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平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ 再生可能エネルギー導入促進等に資する事業 (ASEANにおける省エネビルのモデル検討調査) 報告書 2018 2 環境・エネルギー事業本部

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平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ 再生可能エネルギー導入促進等に資する事業 (ASEANにおける省エネビルのモデル検討調査)

報告書

2018 年 2 月

環境・エネルギー事業本部

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目次

1. 調査の目的及び調査項目 .................................................................................................... 1

目的 ............................................................................................................................. 1

調査項目 ...................................................................................................................... 2

2. ミャンマーにおける標準的なビル仕様に関する調査 ........................................................ 3

モデルビル仕様の検討方法と現地調査結果の概要 .................................................... 3

モデルビル仕様の検討結果 ....................................................................................... 18

モデルビル仕様に関する英文取りまとめ資料 .......................................................... 25

3. 我が国の技術を活かした省エネビルのモデル整理 .......................................................... 34

省エネ効果の算定 ...................................................................................................... 34

現地関係者との意見交換 ........................................................................................... 38

4. ASEAN 地域への展開に向けたビジネスモデルの考察 ................................................... 45

省エネビルに関する ASEAN での関連政策の動向 ................................................... 45

省エネビルに関するビジネスモデルと展開課題・解決方策 .................................... 69

5. 参考資料 ........................................................................................................................... 75

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図 表 一 覧

図 2-1 建物の概観図 ............................................................................................................. 13 図 2-2 建物平面図(地下階) ............................................................................................. 14 図 2-3 建物平面図(1階) ................................................................................................. 14 図 2-4 建物平面図(2階) ................................................................................................. 15 図 2-5 建物平面図(3階) ................................................................................................. 15 図 2-6 建物平面図(4~7階) ......................................................................................... 16 図 2-7 建物平面図(8階) ................................................................................................. 16 図 2-8 建物平面図(屋上階) ............................................................................................. 17 図 3-1 シナリオ 1(既存ローカル手法)のシミュレーション結果 ............................... 36 図 3-2 シナリオ 2(最先端技術導入)のシミュレーション結果 ................................... 37 図 4-1 インドネシアの基準整備のガバナンスと規制構造 .............................................. 56 図 4-2 マレーシアの基準整備のガバナンスと規制構造.................................................. 57 図 4-3 フィリピンの基準整備のガバナンスと規制構造.................................................. 58 図 4-4 シンガポールの基準整備のガバナンスと規制構造 .............................................. 59 図 4-5 タイの基準整備のガバナンスと規制構造 ............................................................. 60 図 4-6 ベトナムの基準整備のガバナンスと規制構造...................................................... 61

表 4-1 ASEAN 各国の省エネルギーに関連する政府目標 ............................................... 45 表 4-2 ASEAN 各国の省エネビルに関連する政策 ........................................................... 47 表 4-3 ASEAN 各国の省エネビル目標 ............................................................................... 49 表 4-4 シンガポールの主な関連政策 ................................................................................. 65 表 5-1 主な取り組み(全体概要) ..................................................................................... 75 表 5-2 主な取り組み(第 3 の戦略目標関係) ................................................................. 77 表 5-3 2020 年から 2030 年の目標に向けたイニシアティブ ........................................... 83

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単位 ・略称の一覧

本報告書では、以下の通り単位、及び略称の統一を図る。 単位

本報告書での表記 意味 備考

ft feet 1ft = 0.3048m, 1ft = 12 inches in inch 1in = 25.4mm

kWh kilowatt hour

lm lumen

W watt

主な略称

本報告書での表記 正式名称・意味等

ACE ASEAN Center for Energy(ASEAN エネルギーセンター)

ASEAN Association of Southeast Asian Nations(東南アジア諸国連合)。 東南アジア 10 か国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タ

イ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラ

オス)からなる。 BAU Business-As-Usual

CBD Central Business District(中心業務地区)

CQHP Committee for Quality Control of High Rise Building Construction Projects(高層ビル建設プロジェクト品質管理委員会)

GBC Green Building Committee(グリーンビル委員会) (Myanmar Engineering Society の Building Engineering Institute 内の組

織) JASE-W Japanese Business Alliance for Smart Energy Worldwide(世界省エネルギ

ー等ビジネス推進協議会:日本) LED Light Emitting Diode

METI Ministry of Economy, Trade and Industry(経済産業省:日本)

MNBC Myanmar National Building Code(ミャンマー建築基準)

n/a Not Applicable

RE Renewable Energy(再生可能エネルギー)

VRF System Variable Refrigerant Flow System(ビル用マルチエアコン)

YHT Yangon Heritage Trust(ヤンゴン市の都市遺産保護団体)

ZEB net Zero Energy Bbuilding(ゼブ:ゼロ・エネルギー・ビル)

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1. 調査の目的及び調査項目

目的

我が国の「エネルギー基本計画(2014 年4月閣議決定)」では、2020 年までに新築公

共建築物等で ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現すること、 2030 年まで

に新築建築物の平均で ZEB を実現することが記載されており、ビルの省エネルギー普

及が進められている。一方、ASEAN 各国においても、空調等を備えた近代的ビルが急

速に普及してきており、都市部のエネルギー消費を押し上げており、日本と同様に ZEBのコンセプトの展開による省エネルギーが期待される。ASEAN 諸国では、ビルの省エ

ネルギーの関心が高まっているものの、一部の国では省エネルギー関連の法律が未整備

であり、標準的なビルの仕様の特定、省エネルギーに必要な方策について、整理・検討

が必要となっている。本事業は、ミャンマーを事例として省エネビル普及のためのモデ

ルの整理を行い、ASEAN 各国での普及・展開の検討を行った。 本事業を通じ、ASEAN 各国での省エネルギーに貢献するとともに、日本国内の取り

組みの知見を生かした我が国企業の省エネルギー関連事業展開につなげることを目的

とした。

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調査項目

本事業においては、公開情報調査や現地調査を通じてミャンマーにおける標準的なビ

ルの仕様を調査し、省エネビルのモデルを整理した。その上で、ASEAN 諸国へのビジ

ネス展開方法を検討した。

(1)ミャンマーにおける標準的なビル仕様に関する調査 現地調査や政府機関等へのヒアリング、文献調査等を行い、ビルの省エネを評価す

る基準となる標準的なビルの仕様を特定した。主として以下の項目について整理した。

また、現地調査等において、現地関係者より、建築物に関する規制動向、関心のある

省エネ技術等について聴取した。 ①標準的な建物の規模や形態(用途別の床面積、階数、建物の高さ、1フロア当たり

面積等) ②現在の建築・設備の標準仕様(断熱性能、日射遮蔽性能、空調、照明、給湯、コン

セント、エレベーター等) ③建築物に関する規制動向等

(2)我が国の技術を活かした省エネビルのモデル整理 我が国の省エネルギー等関連技術を活用したミャンマー向けの省エネビル(ZEB

Ready)提案のモデル・仕様案を作成。同仕様作成には、上記(1)の調査結果を踏

まえ、標準的なビルとの比較における我が国技術による省エネ効果について整理した。

(3)ASEAN 地域への展開に向けたビジネスモデルの考察 上記(1)及び(2)の成果を踏まえ、ASEAN 諸国への横展開を念頭に、省エネ

ビルに関連する日本技術の展開ビジネスモデルを検討した。 ASEAN Center for Energy(ACE)等との情報交換や文献調査等を通じ、ASEAN 諸

国における省エネビルの導入環境(関係省庁・政策・補助金等の支援状況等)につい

て整理した。また、今後の ASEAN 諸国への展開の課題や、その解決方策について提

言した。

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2. ミャンマーにおける標準的なビル仕様に関する調査

モデルビル仕様の検討方法と現地調査結果の概要

(1) モデルビル仕様の検討方法

ミャンマーでの省エネ性能の高い建築物の導入効果を検討することを目的に、現状に

おける標準的なビルモデルの仕様を検討した。 具体的には、ミャンマー現地の設計事務所の協力を得つつ、現状におけるヤンゴン市

内での典型的な建築事例(ヤンゴン市内の 8 階建ての事務所ビルの設計計画)を参考に、

ミャンマー側の検討チーム(ミャンマー・グリーンビルディング委員会のメンバー)と

の議論を踏まえ、取りまとめた。 (参考)ミャンマー・グリーンビルディング委員会(Green Building Committee) ・建築側から、省エネビルの普及推進を図っている機関。 ・ミャンマーエンジニアリング協会(Myanmar Engineering Society)の建築部門の機関

である Building Engineering Institute 内の組織で、設計士が中心となってボランティ

ア的に運営されている。 ・委員会の委員長は、Swe Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委

員会の Committee for Quality Control of High-Rise Building Construction Projects(CQHP:高層ビル建設プロジェクト品質管理委員会のメンバー1)、副委員長はチ

ャウ・クレア氏(Ms. Chaw Kalyar)で、設計事務所(STATEMENT Architecture+Design)代表で建築の実務家。

ミャンマー・グリーンビルディング委員会との検討状況を以下に示す。

8 月 ヤンゴン市においてグリーンビルディング委員会との検討会を開催

し、委員会メンバーが手がける建築物件について現地調査を行った。 <検討内容> - 検討の目的、検討の進め方に関し議論した。 - 日本での省エネビルの取り組みに関し紹介し、意見交換を行った。

8~9 月 委員会メンバーより、現状におけるヤンゴン市内での典型的な建築事

例(ヤンゴン市内の 8 階建ての事務所ビルの設計計画)に関し情報提

供を受けた。

9~10 月 委員会メンバーとモデルビル仕様に関する検討を行い、結果取りまと

めを行った。

1 http://www.cqhp.org/committee-members/

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11 月 日本においてビルモデル設定、省エネ技術に関し、委員会メンバーと

意見交換を行った。

1 月 ネピドーでの政策担当者を交えた会合(省エネビルモデル、省エネビ

ルに関する政策)に委員会メンバーも参加し、議論を行った。

2 月 上記ネピドーでの会合を踏まえた課題等に関し、委員会メンバーと意

見交換を行った。

(2) 現地関係者との意見交換等の実施状況

ミャンマー・グリーンビルディング委員会との意見交換では、以下に関し議論を行っ

た。 ・対象ビルについて (ミャンマー側からのコメント・提案) ヤンゴンでは、コンドミニアムの建設が多く、コンドミニアム等の集合住宅を対象

としてはどうか。また、事務所ビルとするのであれば、外資等による大規模物件を

対象としてはどうかとの提案があった。 (日本側からの説明) 住宅はエネルギー消費の状況が様々であり評価が難しい。将来的にはミャンマーに

おいても中小規模事務所ビルの新築が増えると考えており、その対策を考えること

が重要である。また、本調査は他のアジア諸国への参考にすることを考えており、

共通の課題である事務所ビルを対象としたい。 大規模物件は、海外の設計事務所等が関わっていると考えるので、個別に省エネ対

応が進むと考えている。むしろ、対策が進み難い中小規模の物件での対策が重要と

考えている。日本の経験でも取り組みが遅れており、苦慮している。 (ミャンマー側メンバーと合意した実施方針) 中小事務所ビルのモデル仕様を作成する。

・対象ビルの立地場所について (ミャンマー側からのコメント・提案) ミャンマーは気候帯が様々であり、ヤンゴン、マンダレーでもかなり気候が異なり、

地域によって建物の仕様が異なる。ミャンマーでの建物の省エネを考える場合には、

地域性を考えることが重要である。 (日本側) 日本においても気候帯が大きく異なるため、建物の省エネ基準は、気候条件を踏ま

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えた地域区分毎に設定している。ミャンマーでの省エネについても、地域別に目指

すべき水準を設定することが必要と考える。 一方で、今回の検討は、ミャンマーの実情を踏まえたモデルビルを設定して、省エ

ネ効果を検討する試みであり、まずは、最大都市であるヤンゴンでの検討に注力し

たい。マンダレー等の他地域への横展開は、次のステップと考えている。 (ミャンマー側メンバーと合意した実施方針) モデル仕様は、ヤンゴン市を想定し作成する。

現地での検討会の様子 先方出席者: Dr. Swe Swe Aye 委員長

【中央左】 Chaw Kalyar 副委員長 【中央右】

この他、モデルビル仕様に関する検討を通じ、今後、建物の省エネを考えるにあたっ

ては、以下の点に関し、ニーズがあることを把握した。 建物の省エネに関しては、設計者といった専門家においても、基本的な知識が十

分でなく、基礎的な知識を含めたキャパビルが必要な段階である(例えば、建物

の気密性の問題、モデルビルを用いた省エネ効果のシミュレーション手法につい

ても、言葉としては聞いたことがあるようであるが、ミャンマーでのビルへ当て

はめた場合の具体的なイメージがわかない状況にある)。 空調に関しては、壁掛けタイプの個別のエアコンが一般的であるが、VRF といっ

たビル用マルチエアコンについても関心がある(現時点では、ランドマーク的な

一部の建物での導入に限定されている)。 断熱材の利用は、天井等で一部普及しているが、外壁はレンガ積みで断熱材はな

く、断熱性に乏しい。レンガ積みの壁といったミャンマーでの実情に適した対策

技術に関心がある(現地で対応可能な施工技術面も考慮することが重要)。 照明の人感センサー等、運用面での対策技術にも関心がある。 また、8 月の現地調査では、工業省を訪問し(Naing Nain Linn 氏、Director, Energy

Efficiency and Conservation Division, Directorate of Industrial Collaboration)、本調査の内容

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を説明するとともに、省エネに関する政策動向について把握し、意見交換を行った。 現在、ビルの省エネ規制に関しては、建設省(Ministry of Construction)を初めと

する関係行政機関や関係団体からなるサブワーキンググループを設置し、様々な

関係者との連携の下に検討を進めている。 今回の調査では、ミャンマー・グリーンビルディング委員会と連携して検討する

アプローチとしており、非常に期待している。調査の成果に関しては、サブワー

キンググループでの検討でも活用していきたい。 必要があれば、ヤンゴンでのミャンマー・グリーンビルディング委員会との会合

に参加することも可能である。 この他、ミャンマー・グリーンビルディング委員会の Chaw Kalyar 副委員長が、来日

する機会を活用し、日本の省エネビルの取り組み、省エネ対策技術、ビルに関する省エ

ネルギー政策の動向に関し、意見交換を行うとともに、ミャンマーでのモデルビルの設

定条件に関する意見交換を行った。 ・ミャンマー・グリーンビル委員会関係者の来日時の意見交換の模様

省エネ技術に関する意見交換

省エネ政策に関する意見交換

省エネ性能の高い建材に関する意見交換

LEED 取得建物での意見交換

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(3) 現地での建築物及び関連設備機器等の状況

・市内の建築物

日系企業が多く入居する「サクラタワー」

事務所ビル(壁に室外機が多数設置)

・市内でのビルの建設状況

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・ヤンゴン市内の事務所ビルの建築の事例(現在、建設中) 6 階建てオフィスビルで、最上階は住居(ペントハウス)となっている。

・事務所ビルでの内壁の例 ビル内の内壁については、レンガの1層構造が一般的である。

・内壁、外壁等に用いられるレンガの例 事務所ビルの建築現場で使用されているレンガの例(比較的品質がよいもの)

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・壁材・窓の例 (ヤンゴン市内の建材マーケットでの販売例)

外装材

内装材 (ヤンゴン市内のショールームでの展示例)

外装材

・照明機器

ホームセンターでは LED が主流であり、

一部、蛍光ランプも販売されている。

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・エアコン

市内のショールーム

市内のホームセンター

Beko は、トルコ家電ブランドで、現在ヨーロッパで急成長している家電ブランド。 (製品はタイ、中国で製造)

市内のショールーム

市内のショールーム 70%の省エネ効果をアピールしている

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(4) 関係情報の収集状況

・建築に関する規制動向

ヤンゴン市内においては、高層ビルの建設については、CQHP(高層ビル建設プロジェ

クトの品質管理委員会)の許可が必要である(12.5階以上のビルはCQHP の許可が必要)。

また、ヤンゴン市内には、イギリス統治時代に建てられた建築物が多く残っている。この

ため、市内の遺産地区(heritage area)においては、YHT(Yangon Heritage Trust)と相談す

る必要がある。遺産ゾーンにある場合、又は遺産の建物に影響を与える可能性があると考

えられる場合は、YHT と相談する必要がある。 また、ミャンマー・グリーンビルディング委員会へのヒアリング結果によれば、現状に

おいては、ビルのエネルギー消費に関する基準や規制値は設定されていない。ミャンマー

の建築基準にあたる「MYANMAR NATIONAL BUILDING CODE 2016」(ミャンマー・グリ

ーンビルディング委員会のメンバーも策定に関与)では、PART 2 ARCHITECTURE AND URBAN DESIGN において、「2.12 Architecture for Energy Efficiency and Green」の記載があ

るが、概念的な記載にとどまっており、エネルギー消費の基準値を示すまでには至ってい

ない。ミャンマー・グリーンビルディング委員会としては、今後、具体化を図っていきた

いと考えている。 ・ビルのエネルギー消費に関する状況

ミャンマーの事務所ビルでのエネルギー消費の実態を分析した文献等は見当たらない

が、サンプル的に市内の事務所での電力使用量(1 年間)について聞き取りしたところ、

約 170 kWh/m2/年の水準であった(あくまで目安的な数値)。

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・ヤンゴン市内での事務所ビルの設計事例(計画段階) 本モデル仕様の検討に当たって参考としたヤンゴン市内での典型的な建築事例(ヤン

ゴン市内の 8 階建ての事務所ビルの設計計画)を以下に示す。

図 2-1 建物の概観図

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

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図 2-2 建物平面図(地下階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

図 2-3 建物平面図(1階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

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図 2-4 建物平面図(2階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

図 2-5 建物平面図(3階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

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図 2-6 建物平面図(4~7階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

図 2-7 建物平面図(8階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

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図 2-8 建物平面図(屋上階)

出所)ミャンマー・グリーンビルディング委員会提供資料

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モデルビル仕様の検討結果

以下に、ミャンマーでのビルの省エネを評価する基準となる標準的なビルの仕様の検

討結果を示す。本モデルビルの仕様は、ミャンマー・グリーンビル委員会関係者の協力

を得て英文で作成した(2.3 モデルビル仕様に関する英文取りまとめ資料参照)。以下に、

その和訳を示す。

なお、仕様等で記載している製品(メーカー、型番等)は、仕様の内容を具体的に示

す上での参考として記載した例示である。 モデルビルのタイプと立地 ビルのタイプ:事務所ビル 立地場所:ヤンゴン市内

モデルビルの規模

項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

階数 8 階建て CBD 地区(中心業務

地区)とその近接地

域は地価が高騰して

おり、事務所ビルへ

の投資案件では 6~12階建てのビルが一般

的である。 CBD 地区外では、2~

3 階建ての戸建て住宅

が建てられている。 外国投資や Sakura

Tower Yangon(20 階

建て事務所ビル)の

ような大規模な事務

所ビルも登場してい

るが、まだ数える程

である。

高層ビル:CQHP(高

層ビル建設プロジェク

トの品質管理委員会)

の許可が必要。12.5 階

以上の建物には CQHPの許可が必要。 通常、高層の事務所ビ

ルは CBD 地区とイン

ナーシティゾーン内に

建設されている。 郊外(人口密度の低い

地域)では高層ビルは

少なく、建物の階層も

比較的低めである。 MNBC とゾーニング計

画を参照。また、遺産

地域(heritage area)に

おいては YHT(Yangon Heritage Trust)と協議

する必要がある。建物

が遺産地域ゾーン内に

ある場合、又は遺産建

築物に影響を及ぼす可

能性があると考えられ

る場合、YHT と協議す

る必要がある。

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項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

延面積(m2) 合計:2,322.67 m2 1 階:253m2、 2~8 階:

233.5m2、 地下:

216.37m2、 屋上テラス:

218.8m2

ダウンタウンにおけ

る通常プロットサイ

ズは、CBD 地区では

12~18ft×40~60ft(側面の窓なし)で

ある。CBD 地区外の

プロットサイズは

様々だが、典型的な

サイズは約 40~80ft×60~80ft である。 CBD 地区外では駐車

場設備の設置が必要

である。ただし、既

存の建物の建て替え

の場合は、駐車場の

規制を満たす必要は

ない。

道路と建物の高さの比

率が定められている。

水道と公衆衛生システ

ムについても、規制の

遵守が求められる。

延床面積(合

計・フロアー

当たり)

事務所エリア

の合計:1,436 m2 (1~8 階:

179.5 m2)

事務所エリアに関する特

段の規制はない。

階高 16ft (1 階)、 12.6ft (2~8 階)

窓・壁・天井

項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

窓 窓の大きさ:2ft 6in×2ft 6in~18ft×10ft 窓ガラスの大きさ:2ft

6in×2ft 6in~18ft×10ft 窓ガラスのタイプ:透

明ガラス(単板、厚さ

8mm~10mm)で保護

フィルム(透明)が貼

られている。 窓枠:粉体塗装アルミ

ヤンゴン市内の事務所

ビルでは、通常、フィル

ムなしの透明ガラスが

使用されている。 事務所ビルの窓枠は粉

体塗装アルミ(白色)が

一般的である。

参考とした現地設

計事務所の設計計

画:透明ガラス、擦

りガラス

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項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

外壁 レンガ壁(両サイドをプ

ラスター塗) レンガ:幅 4.5 in (114.3mm)の 2 層、

厚さ 9in(228.6mm) 室内側:プラスター塗

(3/4in、19.05mm)と ペイント仕上げ 室外側:プラスター塗

(3/4in)とアルミニウ

ム材被覆(アルミニウ

ム板)

レンガ壁(2 層、厚さ約

9in)が一般的。外壁はプ

ラスター塗が一般的で

ある。 外壁の被覆:タイル(例

えば、ホモジニアスタイ

ル、セラミック、粘土)、

アルミニウム材被覆、又

はプラスター塗とペイ

ント仕上げ 外壁の被覆には、通常、

アルミニウム複合パネ

ル、タイル、又は石材、

御影石が使用される。

レンガ サイズ:9in×4.5in×3in、重さ:2kg/個(製品により異な

る) デザイン性や予算

に応じて、厚さの異

なるタイルを使用。

人工タイルも使わ

れている。

内壁 レンガ壁(両サイドをプ

ラスター塗) レンガ:幅 4.5 in(114.3mm)の 1 層、

プラスター塗(3/4in)とペイント仕上げ

<トイレ等の水まわり> パネル式レンガ(両サイ

ドをプラスター塗) パネルの素材:セラミ

ックタイル(厚さ 1/2 in(12.7mm))

幅 4.5in、1 層のレンガ。

内壁はプラスター塗が

一般的。 通常、トイレ等の水まわ

り以外の内壁にはタイ

ルを使用しない。 トイレの内壁と床はセ

ラミックタイル被覆で

ある。(その他のエリア

の内壁と床はタイル仕

上げ)

天井 素材:防水コーティング

した鉄筋コンクリート床

版 厚さ:4~6 in(建物の設計

を参照) 現場でセメントを混和し

て作られる。

通常、コンクリート床版

のみ、又は鉄筋コンクリ

ート床版に雨風からの

保護を施した 4 angle RC slab が使用されている。

参考としたビル仕

様プランでは、屋上

緑化(Garden on top with 9” think earth fill)の導入する案

を提示。

天 井 の

断熱 メ ー カ ー : SCG (Siam Cement Group) 型 番 : CRB-G (AI-Foil faced both sides) 、 厚さ

25mm

ヤンゴン市内では、断熱

ボードとグラスウール

を用いるのが一般的で

ある。

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モデルビルの設備

項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

空調 メーカー名:三菱電機 型番: Room Air Conditioners, Wall-mounted Type, MS-GF series (inexpensive AC in Mitsubishi Electric model)

パッケージエアコン(Mr Slim 等)も人気がある。現時点では、小規模エアコンショップによる維持管理がしやすいため、小さめの部屋に適した個別のエアコンが人気。 先進的な事例では、シティマルチ等のビル用マルチエアコン(VRF: Variable Refrigerant Flow)が使われ始めている。

参考とした現地設計事務所の設計:4~8階の事務所エリアでは以下のエアコンを設置: Mitsubishi Electric, City Multi (VRF Systems): Indoor unit PLFY-P63VBM-E Outdoor unit: PUCY-P250YKA(BS) 他の三菱電機製ルームエアコン(壁掛型)の 例 : MSY-GH, GE series (インバータタイプ、MS-GF シリーズより価格は高め)

給湯設備 設置なし 一般的に、ヤンゴン市内の事務所ビルでは給湯システムは設置されていない。必要な場合は、電気システムが普及している。

エ レ ベ ーター

乗用エレベーターシステム(8~12 人用) メーカー名:三菱電機 型番: NEXIEZ-MRL

シンドラーエレベーターも普及している。

現地で販売されている三菱電機製エレベーターの例: NEXIEZ-MR (Standard Machine Room Type)、NEXIEZ-MRL (Machine-Room-Less System). NEXIEZ-MRL

ソケット 13A 3pin のソケット メーカー名:シュナイダーエレクトリック

照明 直管蛍光灯形 LED ランプ メーカー名:OPPLE 型番:LED-U1-T8 効率 (Lumens per watt (lm/W): 89lm/W LED ダウンライト メーカー名:OPPLE 型 番 : LED Down LightRc-EIIR100-6W-

普及している他メーカー:Changi Light Myanmar Co

LED の効率:Lumens per watt (lm/W) 例:LED-U1-T8-1200m-18W-6500K-Glass-CT (OPPLE 製):89 lm/W LED Down LightRc-ES II R100-6W-4000-WH-NV (OPPLE 製):67 lm/W OPPLE LED 6W-4000K (for B & WC area) CHANGI LIGHT ZGA 103B-OS-1-12 Beam

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22

項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

4000-WH-NV 効率 (Lumens per watt (lm/W): 67lm/W その他 LED 照明 メーカー名: CHANGI LIGHT 型番: ZGA 103B-OS-1-12 Beam 効率 (Lumens per watt (lm/W): 67lm/W

OPPLE LED –3x1.2W-2700K (for garden at Roof Slab)

外気換気システム

機械換気システムは使用していない。

このサイズのビルでは、手動で開閉可能な窓がある場合、機械換気システムは通常設置されていない。

ビルのオペレーション

項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

営業時間 8時間(9:00~17:00、昼 休 み : 12:00 ~13:00)

週当たりの営業日数

5.5 日/週(月曜日から土曜日、土曜日は半日) 祝日:年間 26 日

土曜日 民間部門では毎週土曜日を半日勤務、又は隔週土曜日に終日勤務。 銀行と官公庁は毎週土曜日が休み。

祝日 祝日が日曜日に重なった場合、振替休日となる制度はない。(ミャンマーは他の国に比べて、既に祝日が多い。)

2017 年の祝日は 26 日(日曜日に重なった祝日 4 日を含む)

事務所内照明の照度基準

500 Lux MNBC(2016)によると、一般的な事務所のサービス照度は 300-500-750 Lux である。

MNBC (2016) PART 5A ビルサービス(照明) 表 1:推奨される照度 17 商業 17.1 事務所 17.1.1 事務所:サービス照度は 300-500-750 Lux である。

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項目 仕様 ヤンゴン市内の 一般的状況等 備考

標準的な事務所スペース(事務所での m2 当たりの平均人員数)

9.29 m2/人 1 人当たり 100 ft2 (9.29 m2) 床面積

MNBC (2016) 2.6.1 での事務所エリア:100 gross (ft2)/人

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モデルビル仕様に関する英文取りまとめ資料

VERSION 1.1

January. 2018

STUDY ON ENERGY-EFFICIENT BUILDINGS IN MYANMAR

- Specifications of Reference Buildings Part-

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STUDY ON ENERGY-EFFICIENT BUILDINGS IN MYANMAR -Specifications of Reference Buildings Part-

TABLE

Acronyms and Abbreviations ............................................................................................... 27

Objectives ............................................................................................................................... 28

Specifications of Reference Buildings ................................................................................ 29

Objectives of Reference Buildings ...................................................................................... 29

Building Type and Location .................................................................................................. 29

Building scale ......................................................................................................................... 29

Windows, Walls, and Roof .................................................................................................... 30

Building Equipment ............................................................................................................... 31

Operation of Building ............................................................................................................ 32

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Acronyms and Abbreviations

CBD Central Business District

CQHP Committee for Quality Control of High-rise Building Construction Projects

LED Light Emitting Diode

MNBC Myanmar National Building Code

VRF System Variable Refrigerant Flow System

YHT Yangon Heritage Trust

Ft. Feet 1 Ft. = 0.304 m, 1 Ft = 12 inches

in. Inch 1 in. = 25.4 mm

kWh kilowatt hour

lm Lumen

W Watt

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Objectives

The objectives of this study are as follows. Carry out a fact-finding investigation of current building specifications and establish a reference

building model (specifications at the level of a regular/typical type in Yangon, expecting a

tentative version at this step) in Myanmar for a study on energy-efficient buildings (through

cooperation between Japanese study team and Myanmar study team).

Select candidate energy-efficient building technologies etc., considering a reference building

model (by Japanese study team)

Share results of model analysis of energy-efficient office building (using a reference building

model analysis) between the Japanese study team and the Myanmar study team, and discuss key

approaches for the system to promote energy-efficient buildings in Myanmar (first target area is

in Yangon)

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Specifications of Reference Buildings

Objectives of Reference Buildings

This Reference Building is for analyzing energy-efficient buildings in Myanmar. Energy-efficient technology and energy-saving effects will be analyzed using the reference building. Therefore, the specifications of the reference building were set considering the current situation of typical building cases in Yangon. The Specifications of Reference Buildings were determined through discussions between the Japanese study team (consisting of Mitsubishi Research Institute INC., Fujita Corporation) and the Myanmar study team (Green Building Committee at Building Engineering Institute, Myanmar Engineering Society). Building Type and Location

Building type: Office building Location: Yangon Building scale

Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon

etc. Other Notes

Number of floors

8 story Locally financed office buildings in the Central Business District (CBD) and its proximity, where land prices are high, are normally 6-12 stories.

Outside the CBD, there are more two- to three-story detached houses with their own plots.

Internationally financed large-scale office buildings such as Sakura tower (20 stories) have been increasing, but are still countable.

High-rise Buildings; Permission of Committee for Quality Control of High-rise Building Construction Projects (CQHP)is needed. Buildings higher than 12.5 stories need permission from CQHP. Normally, most multistoried office buildings are built in the CBD and Inner-city zone. There are fewer in suburban areas (which has less population density) and which have low-rise buildings. We can refer to MNBC and

zoning plan, and also need to consult Yangon Heritage Trust (YHT) in heritage areas. There is a requirement to consult YHT in a heritage zone or if it is considered there might be an impact on heritage buildings.

Gross Floor Area (m2)

Total: 2,322.67 m2 (Level 01:253 m2, Level 02-08: 233.5 m2, Basement: 216.37 m2, Roof terrace:218.8m2)

Normal plot size downtown is 12-18 Ft. x 40-60 Ft. long in the CBD with no side windows. Outside the CBD, plot sizes vary. But, the typical size is about 40-80 Ft. x 60-80 Ft.

Provision of car parking facility is needed outside the CBD. Replacing an existing building does not

There is a road to height ratio. Water and sanitation system have to comply with regulations, too.

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Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon

etc. Other Notes

require meeting car parking regulations.

Floor space (Total and per floor)

Office area total: 1,436 m2

(Level 01-08: 179.5 m2)

No specific regulations for office area

Floor to ceiling height (m)

16 Ft. (Level 01), 12.6 Ft. (Level 02-08)

Windows, Walls, and Roof

Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon

etc. Other Notes

Window Window size: from 2 Ft. 6 in. x 2 Ft. 6 in. to 18 Ft. x10 ft

Glass size: from 2 Ft. 6 in. x 2 Ft. 6 in. to 18 Ft. x 10 Ft.

Glass type: Clear Glass (single layer; 8 mm-10 mm thickness) with Glass Protection Film (clear type)

Window frame: powder coated aluminum

In general, clear glass without a film is commonly used in office buildings in Yangon. Powder-coated aluminum (white color) is common for office building windows.

“Building Plan by STATEMENT:” Clear Glass and frosted glass with some kind of opacity.

Exterior walls Bricks (plastered both sides) with panel Bricks: 2-layer 4.5 in. (114.3 mm) wide brick, 9 in. (228.6 mm) thickness. Interior: cement plaster (3/4 in., 19.05 mm) and painting Exterior: cement plaster (3/4 in.) and Aluminum cladding

Bricks (2-layer brick, about 9 in. thick) are common. Wall plastering is common. With Tiles (e.g. homogeneous tile, ceramic, clay), aluminum cladding or plastered and paint finishing For exterior wall cladding, aluminum composite panels, tiles, or stone, granite are normally used.

Brick Size: 9 in. x 4.5 in. x 3 in, Weight: 2 kg per piece (There are differences among products) People use different types of tile with different thicknesses depending on design intent and budget. Artificial tiles are also used.

Interior walls Bricks (plastered both sides) Bricks: 1-layer brick, 4.5 in. (114.3 mm) wide, cement plaster (3/4 in.) and painting <wet area, such as WCs> Bricks (plastered both sides) with panel Material of Panel: Ceramic tile (1/2 in. (12.7 mm)

1-layer Brick is 4.5 in. wide. Wall plastering is common. Normally, do not use tiles for interior walls except wet areas such as WCs. Interior wall and floor of WCs–ceramic tile cladding (Interior floor of all other area–Tile finishing)

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31

Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon

etc. Other Notes

thickness) Roof Material: RC slab with

water proofing coating. Thickness: 4~6 in. (refer to structure design). Brand Name: cement mix to be made in situ.

Normal case is: -Only concrete floor slab, or -4 angle RC slab on top of RC to give weather protection to RC slab

“Building Plan by STATEMENT:” Garden on top with 9-in thick earth fill.

Roof insulation

Brand Name: SCG (Siam Cement Group) Model name: CRB-G (AI-Foil faced both sides) with 25 mm thickness.

In Yangon, thermal insulation board and glass wool are commonly used.

Building Equipment

Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon

etc. Other Notes

Air Conditioner

Brand Name: Mitsubishi Electric Model name: Room Air Conditioners, Wall-mounted Type, MS-GF series (inexpensive Mitsubishi Electric model AC).

Package Air Conditioners -Mr Slim is also popular. Now, people prefer individual air conditioners for small rooms, because they are easily maintained by any small air conditioner shop. In advanced cases, Variable Refrigerant Flow (VRF) Systems (such as City Multi) are starting to be used.

“Building Plan by STATEMENT” in office area, Level 04-08: Mitsubishi Electric, City Multi (VRF Systems): Indoor unit PLFY-P63VBM-E Outdoor unit: PUCY-P250YKA(BS) Other Mitsubishi Electric Room Air Conditioners (Wall-mounted Type): MSY-GH, GE series (Inverter type, price is higher than MS-GF series)

Hot water supply system

n/a Generally, a hot water supply system is not installed in an office building in Yangon. If it is needed, an electric system is popular.

Elevator Passenger Lift system (8-12 persons) Brand Name: Mitsubishi Electric Model name: NEXIEZ-MRL

Schindler Elevator is also common.

The following two model types have been sold of Mitsubishi Electric’s elevator: NEXIEZ-MR (Standard Machine Room Type) and NEXIEZ-MRL (Machine-Room-Less System). NEXIEZ-MRL is common.

Power outlet 13 A 3 pin Switched Socket Outlet Brand Name: Schneider Electric

Lighting LED Tube Brand Name: OPPLE

Another popular Brand: Changi Light Myanmar Co

System efficacy: Lumens per watt (lm/W) For

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Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon

etc. Other Notes

Model name: LED-U1-T8 System efficacy (Lumens per watt (lm/W): 89 lm/W LED Down Light Brand Name: OPPLE Model name: LED Down LightRc-EIIR100-6W-4000-WH-NV System efficacy (Lumens per watt (lm/W): 67 lm/W Other LED Brand Name: CHANGI LIGHT Model name: ZGA 103B-OS-1-12 Beam System efficacy (Lumens per watt (lm/W): 67 lm/W

example, LED-U1-T8-1200m-18W-6500K-Glass-CT (manufacturer: OPPLE) is 89 lm/W. LED Down LightRc-ES II R100-6W-4000-WH-NV (manufacturer: OPPLE) is 67 lm/W. OPPLE LED 6W-4000K (for B & WC area) CHANGI LIGHT ZGA 103B-OS-1-12 Beam OPPLE LED –3x1.2W-2700K (for garden at Roof Slab)

Ventilation system

Do not use mechanical ventilation system

This size of building normally does not have a mechanical ventilation system if there is an operable window (opening window by hand).

Operation of Building

Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon etc. Other Notes

Working hours 8 hrs. (From 9:00 to 17:00, Lunch break: 12:00-13:00)

Working days per week

5.5 days (from Monday to Saturday) Public Holidays: 26 days in a year

Saturday Throughout private

sector, work for 5.5 days a week (half day on Saturday) or some work full day on every alternate Saturday.

Banks and government offices are closed every Saturday.

Public holiday If a public holiday

falls on a Sunday, a substitute is not given nationwide (Myanmar has already got many

Twenty six public holidays in 2017 (including four public holidays on Sundays in 2017)

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Items Specifications Notes on General Conditions in Yangon etc. Other Notes

holidays compared to other countries).

Lux Requirements (or standard level) of lighting in offices

500 Lux According to MNBC (2016), range of service Illuminance for general offices is 300-500-750 Lux.

MNBC (2016) PART 5A BUILDING SERVICES (LIGHTING) Table 1: Recommended Values of Illuminance 17 COMMERCE 17.1 Offices 17.1.1 General offices: Range of Service Illuminance in Lux is 300-500-750

Standard office space (Average number of people per m2 in office)

9.29 m2 per person 100 Ft.2 (9.29 m2) floor area in one person

MNBC (2016) 2.6.1, Business Area=100 gross (Ft.2)/ person

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3. 我が国の技術を活かした省エネビルのモデル整理

我が国の省エネルギー等関連技術を活用したミャンマー向けの省エネビル(ZEB Ready)提案のモデル・仕様案を作成した。同仕様作成には、第 2 章の調査結果を踏ま

え、標準的なビルとの比較における我が国技術による省エネ効果について整理を行った。

省エネ効果の算定

(1) 省エネ効果のシミュレーション方法

省エネ効果のシミュレーションの際のモデルビルの設定、算定プログラムと諸条件、

シミュレーションにおける ZEB Ready シナリオの想定は以下の通り。 なお、省エネ効果のシミュレーションに関しては、世界省エネルギー等ビジネス推進

協議会 アセアン ZEB 普及サブワーキンググループと連携し行った。

・モデルビルの設定 モデル:ミャンマーの標準ビル 種類:オフィス 規模:8 階建、2,400sqm 場所:ヤンゴン市内

・算定プログラムと諸条件 全体ビルエネルギー分析及び熱負荷シミュレーションソフトウェア(BEST プログ

ラム) 気候データ:ヤンゴン 運用スケジュール:ヤンゴン市内の一般的な条件

・シミュレーションにおける ZEB Ready シナリオ

シナリオ 1:既存のローカル手法(製品や流通手法)を用いて ZEB へ改修 ・熱線反射ガラス ・高効率空調 ・年間を通じた自然換気 シナリオ 2:将来を見据えて最先端技術を導入して ZEB へ改修 ・高断熱ガラス(Low-E タイプ) ・高断熱サッシ ・機械換気及び外気給気空調

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35

(2) シミュレーション結果:シナリオ 1

・ベースライン(Case 0) シナリオ 1 では、既存の製品や流通手法を用いてすぐにできる省エネ対策による

ZEB Ready を実現するシナリオを想定した。ミャンマーの標準仕様ビルのエネルギー

消費量は 954MJ/m3・年(98kWh/m3/年)で、その内訳は空調 513MJ/m3・年、照明

74MJ/m3・年、コンセント 366MJ/m3・年である。これをベースライン(ケース 0)と

して省エネ効果を算定するが、ZEB に向けた試算では空調と照明のエネルギーだけを

対象とした。 ・日射遮蔽・断熱対策ケース(Case 1-1 及び 1-2)

省エネ対策として、まず第一に開口部の遮蔽性能向上として、現状のシングルガラ

ス(8 mm)を熱線反射グリーンガラス(熱貫流率 U 値:5.78W/m2・K、遮蔽係数 SC:0.46)へ変更した(Case1-1)。それに加えて、断熱性向上策として、現在はない外壁と

ピロティーに 15mm の断熱材を追加した(Case1-2)。このような対策で省エネ効果は

それぞれ 35%、37%と算定された。この時、遮熱や断熱が十分でないことにより、エ

ネコンの設定温度を 20 度まで下げる必要があったが、本対策により設定温度を 22 度

で設定することができるようになったことが、大きな省エネ要因となっている。 ・照明制御ケース(Case1-3)

上記ケースに追加するかたちで、照明制御を追加した。複雑なシステムではなく、

自然光による制御や在室の有無による照明の点滅、スケジュール制御を行う仕組みの

導入を想定している。これにより、省エネ効果は 40%を達成した。 ・高効率空調ケース(Case1-4 及び Case1-5)

上記ケースに追加するかたちで、現在のルームエアコンをインバータタイプの高効

率エアコンへ変更した。換気について、引違い開閉で換気を行っているサッシを、常

時自然通風が可能なものへ変更した。設定温度は 22 度の場合は 42%の省エネであり、

日射遮蔽性能や断熱性能が良い場合には設定温度を 24 度に変更可能であり、これに

より 60%の削減が可能である。これは、日本の ZEB Ready 基準 50%を超える省エネ

効果である。 ・太陽光発電ケース(Case1-6 及び Case1-7)

上記ケースに追加するかたちで、屋上へ太陽光発電を導入した。20kW 太陽光の導

入の場合は、78%削減で Nearly ZEB 達成、45kW 太陽光導入で、空調や照明の必要電

力を全て自立させる ZEB を達成することができる。

Page 41: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

36

図 3-1 シナリオ 1(既存ローカル手法)のシミュレーション結果

出所)ミャンマー工業省、省エネルギーセンター、JASE-W の共同開催「Meeting related Building Energy

Efficiency Guideline」(2018 年 1 月)の会議資料

(3) シミュレーション結果:シナリオ 2

・ベースライン(Case 0) シナリオ 2 は、今後の発展を視野に入れた最先端技術の導入による省エネ対策を想

定した。シナリオ 2 でも、ベースラインはシナリオ 1 と同じ値として設定している。

ミャンマーの標準仕様ビルのエネルギー消費量は 954MJ/m3・年(98kWh/m3/年)で、

その内訳は空調 513MJ/m3・年、照明 74MJ/m3・年、コンセント 366MJ/m3・年である。

これをベースライン(ケース 0)として省エネ効果を算定するが、ZEB に向けた試算

では空調と照明のエネルギーだけを対象とした。 ・日射遮蔽・断熱対策ケース(Case 2-1 及び 2-2)

省エネ対策として、まず第一に開口部の遮蔽性能向上として、現状のシングルガラ

ス(8mm)を日射遮蔽型 Low-E ガラス(熱貫流率 U 値:2.47W/m2・K、遮蔽係数 SC:0.41)に変更した(Case2-1)。それに加えて、断熱性向上策として、現在はない外壁と

ピロティーに 15mm の断熱材を追加した(Case2-2)。このような対策で省エネ効果は

それぞれ 38%、41%と算定された。この時、遮熱や断熱が十分でないことにより、エ

ネコンの設定温度を 20 度まで下げる必要があったが、本対策により設定温度を 22 度

で設定することができるようになったことが、大きな省エネ要因となっている。 ・照明制御ケース(Case2-3)

366 366 366 366 366 366 366 366

74 74 74 59 59 59 59 59

513

310 294 292 279175 175 175

-107-241

-400

-200

0

200

400

600

800

1,000Scenario 1

PV

Air-conditoning

Lighting

Electrical outlet

-35% -37% -40% -42% -60%

954 750 734 718 704 600

BaselineBuildingModel

Set point:20deg

Improvementof

Solar shadingperformance

Set point:22deg

Case1-1Improvement

ofHeat insulation

Set point:22deg

Case1-1,1-2+Day light and human sensor

control

Set point:22deg

Case1-1 to 1-3+High efficiencywall-mounted

Air-conditonimg

Set point:22deg

Case1-1 to 1-3+High effciency wall-mounted

Air-condtioning

Set point:24deg

[MJ/sqm・a]

Total primary Energy consumption

Calculation Cases 0 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5

-78% -101%

493

Case1-1to1-5+

PV 20W

1-6

359

Case1-1to1-5+

PV 45W

1-7

Page 42: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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上記ケースに追加するかたちで、照明制御を追加した。複雑なシステムではなく、

自然光による制御や在室の有無による照明の点滅、スケジュール制御を行う仕組みの

導入を想定している。これにより、省エネ効果は 44%を達成した。 ・高効率空調ケース(Case2-4 及び Case2-5)

上記ケースに追加するかたちで、現在のルームエアコンをマルチパッケージエアコ

ンと外気処理空調機に変更した。機械換気システムを導入することで、エネルギー消

費量は多少増加するが、日射遮蔽性能や断熱性能向上も考慮して、設定温度を 24 度

まで緩和することで 36%の省エネ効果、設定温度を 26 度まで緩和することで 51%の

省エネ効果が期待できる。後者の場合は、日本の ZEB Ready 基準 50%を超える省エ

ネ効果である。 ・太陽光発電ケース(Case2-6 及び Case2-7)

上記ケースに追加するかたちで、屋上へ太陽光発電を導入した。30kW 太陽光の導

入の場合は、78%削減で Nearly ZEB 達成、55kW 太陽光導入で、空調や照明の必要電

力を全て自立させる ZEB を達成することができる。

図 3-2 シナリオ 2(最先端技術導入)のシミュレーション結果

出所)ミャンマー工業省、省エネルギーセンター、JASE-W の共同開催「Meeting related Building Energy

Efficiency Guideline」(2018 年 1 月)の会議資料

366 366 366 366 366 366 366 366

74 74 74 58 58 58 58 58

513

290 273 268 316233 233 233

-161-295

-400

-200

0

200

400

600

800

1,000Scenario 2

PV

Air-conditoning

Lighting

Electrical outlet

-38% -41% -44% -36% -51%

954 731 713 693 741 657

BaselineBuildingModel

Set point:20deg

Improvementof

Solar shadingperformance

Set point:22deg

Case2-1+Improvement

ofHeat insulation

Set point:22deg

Case2-1,2-2+Day lighit and human sensor

contorl

Set point:22deg

Case2-1to2-3+Multi Spilit

DX coilAir-condtioning

Set point:24deg

Case2-1to2-3+Multi Spilt

DX coilAir-condtioning

Set point:26deg

Total primary Energy consumption

Calculation Cases0 2-1 2-2 2-3 2-4 2-5

[MJ/sqm・a]

496

Case2-1to2-5+

PV 30W

Set point:26deg

2-6

362

Case2-1to2-5+

PV 55W

Set point:26deg

2-7

-78% -101%

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現地関係者との意見交換

(1) ネピドーでの会合における意見交換の概要

ミャンマー工業省、省エネルギーセンター、JASE-W の共同開催である「Meeting related Building Energy Efficiency Guideline」(2018 年 1 月にネピドーで開催)の講演セッション

「Standard building idea for Myanmar- Research results」及び「Possibility of Zero Energy Building ready based on the standard building idea」の機会を通じ、本調査において検討し

たミャンマーでのビルの省エネを評価する基準となる標準的なビルの仕様、省エネルギ

ー等関連技術を活用したミャンマー向けの省エネビル提案のモデル・仕様案に関し、現

地関係者と意見交換を行った。質疑応答は以下の通り。

Standard building idea for Myanmar- Research results 質問事項・コメント 回答

ビル設計として、部材選

択が難しい。通常のビル

からグリーンビルへ変更

した場合の費用はとても

大きい。本分析について、

各ケースについて、コス

ト比較ができれば、より

わかりやすくなる。

本モデルの作成意図は、ミャンマーで最も標準的

なビルを仮想して、それをどのように省エネ対策

していくことができるのかという説明するため

である。本仕様が良いとか悪いとかの判断はな

い。午後の説明で、経済や社会状況を勘案して、

どのような省エネ対策が実行できるのか、そのア

イディアの一つを説明する。誤解をしてほしくな

いのが、冒頭の建物イメージはあくまでもイメー

ジであり、全ての建物は異なる設計になると思っ

ている。各ステークホルダーがどの部分の対策を

強化できるのかを同じテーブルで検討できるた

めの材料となることを望んでいる。 日本には建築学会が作成した建築標準モデルが

住宅とビルの 2 種類存在する。建物は千差万別な

ので、同一な一般的な標準モデルをもとに省エネ

基準を協議していくことが重要である。モデルの

各仕様はミャンマー専門家をはじめ、協議を行っ

て、あくまでも提案としての仕様を設定してお

り、その受け入れを強制するものではない。重要

な点は何を基準に考えていけば、省エネへの取組

を促進することができるのかという視点で設定

した。

Page 44: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

39

Standard building idea for Myanmar- Research results 質問事項・コメント 回答

建物仕様に関して建物調

査をしたのか、それとも

モデル提案するために仕

様を設定したのか。

調査(サーベイ)ではなく、省エネソリューショ

ン例を提案できるような標準モデルとして設定

した。

省エネを誰が責任をもっ

て実施するのか、という

点 が 重 要 で あ る 。

Obligation をどのように

するのか、設計という視

点を勘案しなければなら

ない。日本では建物設計

として国交省、運用は

METI として取り組んで

いる。JASE-W から説明は

可能か。

午後の説明に METI の考え方が含まれているの

で、そちらを参考にしてほしい。日本では、国交

省と METI が協力して取組を検討している。各省

庁が連携しないと取組が進まないのはどの国も

同じである。 本日の目的は、ビルが省エネになるように検討し

ていくことである。誰が責任をもってやるのか、

という視点ではなく、どのようなことができるの

か、という視点で議論したい。省エネ設計と運用

の両視点で、検討をしていきたい。

電気製品は安全性をみて

おり、省エネという視点

は小さいが、現在の電気

製品の基準に取り組んで

いる担当者がはいって協

議が進むと良いだろう。

電気製品は工業省内部に委員会が設定されてい

る。現在は省エネ基準もあり、ASEAN 諸国と協

力していけると良い。2017 年から省エネ協議を

開始している状況であるが、ビル設計は何もされ

ていないので、本会議を最初として取り組んでい

きたいと考えている。 Inspection Department では安全性に注力してお

り、省エネはまだできていない。商業ビルについ

て、シンガポールでは Environmental Committee と

いう環境機関が取り組んでいる。 エアコン設計はどのよう

に算定しているのか。ビ

ル方角、階数、空気出入口

等を勘案して、空調設計

者が実施しているのか。

本来はソフトウェアで詳細に設計したいが、現状

は部屋の大きさのみで算定している。 電力使用者の考え方の認識変化が重要。ビルが涼

しいことが重要になってしまっている。どのよう

な温度設定にするのかも含めて、どのような基準

を設定するために、基準データに基づいて空調設

計を考えなければならない。 現在気象条件等のデータはあるので、それをもと

に基準を作成することは可能である。 個別の機器について本日この場で協議すると切

りがないので、ビル全体としてどうするか検討す

ることが重要である。

Page 45: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

40

Standard building idea for Myanmar- Research results 質問事項・コメント 回答

Possibility of Zero Energy Building ready based on the standard building idea 対策オプションのコスト

算定はしているのか。 現在はしていない。今回の提示したモデルとシナ

リオ・オプションが適切と認められるのであれば

今後実施していく予定である。 日本では、ZEB 普及啓発用のパンフレットを作

成しているが、通常の建築物と比較して約 1 割程

度増加すると示されている。あくまでも日本のオ

ーナー向けのパンフレット内での記載である。 シナリオ 1 はミャンマーでも比較的入手可能な

素材・設備機器類を使い算定している。部材と少

しの工夫で 50%程度の省エネが達成可能であ

る、という点を注目してもらいたい。エネルギー

削減量の起点となるベンチマークは、日本の場合

省エネ法の基準値を基に参照して設定している。

ミャンマーでは建物の省エネ基準がないので、ま

ずはモデルビルのエネルギー使用量を基準値と

して提示して、そこからどの程度の削減が可能か

を示すために、標準モデルビルを提示した。 ミャンマーでは Low-E ガ

ラス使用の場合は 1 割以

上のコストアップに繋が

ると思う。高効率エアコ

ンは初期コストが高い

が、電気料金が下がるの

で長期的には経済的であ

る。エアコンの設定温度 1度上昇することで 10%の

電気料金削減に繋がる。

人々への認知度向上も必

要である。

建築物の設計と空調利用はセットで検討してい

く課題であり、共同してやっていくことが重要で

ある。 日本はクールビズ取組もしている。太陽光は初期

コストが高い。他方で、日本製品は長期で使用で

きるので経済的ではないか。政策普及のために

は、電力消費の余剰分を売電できるようになると

更に普及が進むだろう。

エネルギー消費の基準は

なにか。 標準モデルビルに使われる素材・設備機器類各部

材を基にした、エネルギー消費量データである。

標準モデルビルを設定して、2つのシナリオ別に

削減対策を検討して、最終的に省エネ量を算定し

た。

Page 46: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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Standard building idea for Myanmar- Research results 質問事項・コメント 回答

シナリオ 1 の熱線反射ガ

ラスはミャンマーでも入

手できるのか

可能である。材料も手に入る。

本当に削減するのかの実

証はしたのか。 シミュレーションのみである。

プログラムは日本データ

を使用して作成したと捉

えるのか。ミャンマー気

候条件で設定して算定し

ているのか。

計算ロジックは全世界共通であり、気象条件はヤ

ンゴンに変更して算定している。 省エネビルのエネルギー消費量ガイドラインを

作成できるように検討している。エネルギーの消

費効率を 1%向上できるようにする取組である。

これは、運用でエネルギー使用量が削減できるよ

うに取り組んでいる。 算定結果は、どのようなモデルビルを使用したの

かということは明確にしていきたい。 今回はオフィスビルが対

象である。他方で、8階建

てぐらいであれば、集合

住宅も多い。何故、オフィ

スビルなのか、集合住宅

でもモデル化できるの

か。

住宅ビルは仕様が多岐にわたるので、一番仕様が

簡単なオフィスビルをまずは設定した。 日本でも、住宅は標準的な4人家族を想定して設

定しているが、それでも生活行動によりエネルギ

ー消費が異なる点が指摘されている。

省エネの運用ガイドライ

ンの策定は別途検討して

おり、今回はビル設計に

焦点を当てて、ミャンマ

ーでどのような効果がで

るのかをみていきたい。

ミャンマーは他国事例をそのまま引用して活用

するのは難しいため、どのレベルの基準で

Building Code を策定するべきか、という点は難

しい。 日本でも様々な実態調査をして標準仕様を決定

し、ベンチマークを設定した。さらにパブリック

コメントも活用し最終的に基準ビルを設定した

という経緯がある。 工業省のプレゼンでは、

対象面積を 10,000ft2 以上

で設定し、MNBC と異な

る。他方で、日本の省エネ

基 準 強 制 順 守 対 象 は

2,000m2 で約 20,000ft2 程

度である。

MNBC 策定時は、海外投資の大型高層建築物を

勘案して面積は 100,000ft2 とした。今後、調整し

ていくことは必要である。 日本は大きな建物からエネルギー削減をしてい

こうという考え方を取っており、2,000m2 は日本

では大規模ビルという位置付である。今後はその

基準を引き下げていき対策を強化していく。

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Standard building idea for Myanmar- Research results 質問事項・コメント 回答

ミャンマーの対象基準を

設定するため調査が必要

である。どの程度の規模

のビルが存在し、エネル

ギー消費されているの

か、というサーベイを実

施する必要がある。

既存建築物の調査への日本としての協力の可能

性を検討していきたい。

(2) ネピドーでの関係者との意見交換のまとめ

<分析のアウトプットについて> 標準ビルモデルをもとにした省エネ効果分析の目的や意義の認識共有

本分析の位置付けは、建物仕様の調査が目的ではなく、ミャンマーの実態に則

した標準ビルモデルを設定して、そこからどのようなエネ対策が実施可能にな

るのかを異なるステークホルダー間で議論できるようにするために作成した

旨を強調して、一定の理解を得た。

標準ビルモデルと比較した省エネ対策のコスト増分についての関心 各対策ケースでのコスト比較ができれば、通常ビル建設からどの程度の追加費

用が必要となるのかが把握できて、より理解が進むのではないか、という意見

がだされた。 現在のシナリオがミャンマー側に認められれば、コスト試算に進むことができ

る点、日本の事例になるが、実績として約 1 割程度のコストアップになる点が

補足説明された。

本分析はミャンマーの実態やデータをベースに試算した結果である点の強調 本試算は日本のケースではないか、という指摘を受けたため、ミャンマーの建

物仕様で、ミャンマー(ヤンゴン市)の気象条件により算定している旨を説明

した。 工業省からは、データ結果の取り扱いとして、どのようなプログラムで、どの

ようなデータを使用したのかについて明確にしていきたい旨が強調された。 また、シナリオ 1 の対策について、熱線反射ガラスはミャンマー内で入手でき

るのか、という質問がだされたが、材料から入手できる旨が回答されて、シナ

リオ 1 の妥当性が共有された。

Page 48: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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<分析のアウトカムについて> 建物省エネにおける建物とエネルギーの両視点、設計及び運用の両フェーズ、建築

物設計と空調利用の両対策について検討していくことの重要性の認識共有 エネルギー省からは、省エネを誰が責任を持って実施するのか、という視点が

重要であり、設計及び運用の両フェーズを対象にした検討が必要という点が強

調された。また、この会議の場では役割分担の明確化ではなく、可能性の追求

が目的である点が補足された。 電気製品について、従来は安全性基準のみが対象であったが、2017 年より工業

省内部の協議会で省エネ基準の検討が進められているが、現時点ではビル設計

が対象範囲に入っていない点が補足された。 建設省の Inspection Department では安全性基準のみで、省エネには対応できて

いない旨が補足された。 建築物の設計と空調利用はセットで検討していく課題であり、共同して取り組

んでいくことの重要性が示された。

ミャンマーでのビル設計時におけるエネルギー消費考慮の実態 エアコン設計は、本来は専用ソフトウェアで設計したいが、現状は部屋の大き

さのみをベースに設計している点が現地メーカーより示された。 ミャンマーではビルが涼しい(日本人から見ると寒すぎるレベル)ことが重要

であるが、省エネを考え、どのような温度設定にするのかも含めて、基準デー

タに基づいた空調設計を今後考えていかなければならない、という意見が出さ

れた。

ミャンマーの省エネビルに関する基準値(閾値)不整合と調査ニーズ 工業省の案では、省エネビルの対象基準は 10,000ft2 と設定されているが、

MNBC(Myanmmar National Building Code)では海外投資の大型高層建築物を想

定して 100,000ft2 と設定したことが説明された。 日本の省エネ基準では、2,000m2 で約 20,000ft2 以上を対象としている旨が補足

された。 工業省からは、ミャンマーの省エネビル基準を設定するために、どの程度のビ

ルが存在し、どの程度のエネルギー消費がされているのかの実態調査をする必

要性が強調された。

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(3) ネピドーでの WS を踏まえた関係者との意見交換の概要

ネピドーでの WS を踏まえ、ミャンマー・グリーンビル委員会(GBC)の関係者とミ

ャンマーでの省エネビルの普及上の課題に関し、意見交換を行った。 <意見交換の概要> 出席者:GBC の副委員長他(2 名)、三菱総合研究所主席研究員、フジタ・ヤンゴン支

社建築専門家(2 名) 実施日時:2018 年 2 月 10 日 10:00~12:00 場所:ヤンゴン市内

ネピドーでの省エネビルに関する会議は、工業省の他、建設省、YCDC 等、関係行政

機関の関係者が一堂に会し、情報の共有と意見交換を行う機会ととなり、非常に有意義

であった。GBC としても、政府の担当者とのネットワークが構築でき、今後、連携を進

める上で、大変よい機会になったことに感謝したい。 GBC 関係者の課題認識: ・工業省が主導して策定を行っている省エネルギー法(新法)は、建物の運用段階での

エネルギー消費量に着目した規制案となっていると理解した。 ・建物に関する政策は、工業省、建設省、YCDC 等、様々な行政機関が関係するため、

ミャンマー政府側での連携も始まったばかりであると認識している。その意味で、こ

のような政府関係者が集まった会合は、今後の連携を図る上で非常によい取り組みで

あると考えている。 ・建物の省エネを実現するためには、建物(躯体・設備)の設計段階での取り組みが不

可欠であり、その議論が行われていないことを懸念している。 ・現在は、省エネ対策を工業省が主導しているので、止むを得ないが、今後は、建築の

設計段階での対策の具体化が重要との意見であった。省エネビルの設計ガイドライン

等を作成することが必要であり、日本の経験や省エネ技術に関する知見を踏まえた協

力への期待があった。

Page 50: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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4. ASEAN 地域への展開に向けたビジネスモデルの考察

省エネビルに関する ASEAN での関連政策の動向

文献調査により、省エネビルに関する ASEAN での関連政策の動向に関して整理を行

った。まずは、ASEAN 各国での関係政策(省エネの政府目標、省エネビルに関する

ASEAN での関連政策の動向等)を概観した。

(1) 関係政策の概観

ASEAN における省エネルギーに関連する政府の目標値の設定状況を以下に示す。

表 4-1 ASEAN 各国の省エネルギーに関連する政府目標

国 政策・法律名称 公式目標 ブルネイ・ダ

ルサラーム国 エネルギー白書 2014 2035 年 ま で に 、 エ ネ ル ギ ー 強 度

(TFEC/GDP)を 2005 年レベルに比べて

45%削減。 カンボジア カンボジアエネルギー

効率計画 2035 年までに、エネルギー消費量(TFEC)

を BAU 比 20%削減。

産業部門:縫製工場で最大 20%、製氷工

場で 70%削減

家庭部門:最大 50%削減

業務部門:20~30%削減

農村部電化の省エネルギー:最大 80%

バイオマス利用の置き換え:30~50% インドネシア 政府規則 No.79/ 2014:

国家エネルギー政策

国家省エネルギーマス

タープラン(National Master Plan for Energy Conservation: RIKEN)

2025 年までに、エネルギー強度を年率 1%

削減、エネルギー弾性値を 1 未満にする。

2025 年までに、エネルギー消費量(TFEC)

を産業で 17%、運輸で 20%、家庭で 15%、

商業ビルで 15%、BAU 比で削減。

ラオス人民民

主共和国 国家エネルギー効率政

策 2016 2030 年までに、TFEC を BAU 比で 10%削

減。 マレーシア 国家エネルギー効率行

動計画 2025 年までに、電力消費量を BAU 比で

8%削減。 ミャンマー 国家エネルギー効率・

省エネルギー政策、戦

略・ロードマップ

2030 年までに、電力消費量を BAU 比で

20%削減。

Page 51: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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国 政策・法律名称 公式目標 フィリピン フィリピン・エネルギ

ー効率ロードマップ

2017-2020

2040年までに、TFECをBAU比で年率 1%

削減。エネルギー需要の 1/3 削減に相当。

2040 年 ま で に 、 エ ネ ル ギ ー 強 度

(TFEC/GDP)を 2005 年レベルに比べて

40%削減。 シンガポール サステナブル・ブルー

プリント 2015 2030 年 ま で に 、 エ ネ ル ギ ー 強 度

(TFEC/GDP)を 2005 年レベルから 35%

削減。 タイ タイ EE 政策 2015 2036 年 ま で に 、 エ ネ ル ギ ー 強 度

(TFEC/GDP)を 2010 年レベルに比べて

30%削減。 ベトナム エネルギー効率及び省

エネルギーに関する国

家目標プログラム

2020 年までに、TFEC を BAU 比で 8%削

減。

2020 年までに、エネルギー集約型産業の

エネルギー強度を 10%削減。 備考)TFEC:最終エネルギー総消費量

BAU(Business-As-Usual):追加的な対策を講じなかった場合 TPES:一次エネルギー総供給量

出所)The 5th ASEAN Energy Outlook (AEO5)を基に三菱総合研究所作成

Page 52: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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ASEAN 各国における省エネビルに関する政策及び目標の設定状況を以下に示す。

表 4-2 ASEAN 各国の省エネビルに関連する政策

国 政策・法律名称

シンガポール 「シンガポール・グリーンビルディング・マスタープラン(Singapore Green Building Masterplan)」

「グリーンマーク制度(BCA Green Mark Scheme)」

マレーシア

「低炭素都市フレームワークと評価システム(Low Carbon Cities Framework & Assessment System)(2011)」

「非住宅建築物における省エネルギーと再生可能エネルギー利用に関す

るコード(Code of Practice on Energy Efficiency and Use of Renewable Energy for Non-Residential Building、MS1525: 2001; 2007; 2014)」

「Uniform Building By-Laws(UBBL)2012」

「グリーンマーク(Green MARK)」

「グリーンビル・インデックス(Green Building Index)」

「建築物のグリーンパフォーマンス評価システム(Green Performance Assessment System In Construction: GreenPASS)」

「グリーン評価(Panarafan Hijau)」

「マレーシア炭素削減及び環境持続可能性ツール(Malaysian Carbon Reduction & Environmental Sustainability Tool (MyCREST))」

「マラッカグリーンシール(Melaka Green Seal)」

「Leadership in Energy & Environment Design(LEED)」

「GreenRE のグリーンビル認証(GreenRE)」

「パッシブ設計建築物における省エネ技術ガイドライン(Building Energy Efficiency Technical Guideline for Passive Design)」

「建設業界変革プログラム(Construction Industry Transformation Programme 2016-2020)」

タイ

「建築物エネルギー基準(Building Energy Code)」

「建築物の種類又は規模、省エネルギー建築物の設計における標準、基

準及び手続きに関する省令(Ministerial Regulation prescribing type or size of building and standard, rule and procedure for designing of energy conservation building B.E.2552)」

「指定ビル及び工場におけるエネルギー管理の強制プログラム

(Compulsory Energy Management Program for Designated Buildings and Factories)」

「タイグリーンビルディング認証制度(Thai’s Rating of Energy and Environmental Sustainability; TREES)」

Page 53: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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国 政策・法律名称

インドネシア

「建築法(Law No.28/2002 on Buildings)」

「政府規則(Government Regulation No.36/2005)」

「グリーンシップ(GREENSHIP)」

「ジャカルタグリーンビル条例(Governor Decree No.38/2012 on Green Building)」

「国家グリーンビルディングガイドライン(Ministerial Regulation 02/2015 on National Green Building Guidelines)」

「バンドン市長規則(Bandung Mayor Regulation No. 1023/2016 on Green Building)」

ベトナム

「エネルギー効率改善と省エネに関する命令(Decree No. 102/2003/ND-CP on Thrifty and Efficient Use of Energy)」

「ベトナム省エネルギービルディングコード(Vietnam Energy Efficiency Building Codes No.09/2013/QD-BXD)」

フィリピン ―

ミャンマー 「ミャンマービルディングコード(Myanmar National Building Code) 」

ラオス 「ビルディングエネルギーコード草案(Building Energy Code)」

カンボジア 「ビルのエネルギー効率政策(Energy Efficiency Policy for Building)」

ブルネイ 「ビルのガイドラインと要件(Building Guidelines and Requirements)」

Page 54: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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表 4-3 ASEAN 各国の省エネビル目標 国 政策・法律名称 目標

シンガポール

「サステナブル・シンガポー

ル・ブループリント 2015(Sustainable Singapore Blueprint 2015)」

2030 年までに全建物の 80%がグリー

ンマークを取得

「シンガポール・グリーンビル

ディング・マスタープラン

(Singapore Green Building Masterplan)」

公共建築物について、新築はグリーン

マークのプラチナ評価達成を目指す。

既築は 2020 年までにゴールドプラス

評価達成を目指す。

マレーシア 「グリーン技術マスタープラン

(Green Technology Master Plan Malaysia 2017-2030)」

2040 年までにビルエネルギー消費量

を near zero にする。

タイ 「省エネルギー戦略計画

(2002-2011)(Strategic Plan for Energy Conservation)」

工場、ビル、家庭部門のエネルギー消

費量を 10 年間に 4%削減を目標とす

る。

インドネシア

「国家省エネルギーマスタープ

ラン(National Master Plan for Energy Conservation: RIKEN)」

商業ビルは 2025 年までに 15%削減を

目標。

「国家グリーンビルディングガ

イドライン(Ministerial Regulation 02/2015 on National Green Building Guidelines)」

・2020 年までにビル部門の CO2 を削

減 ・国家が所有するビルの 50%をグリー

ンビルと認証する

フィリピン

「フィリピン・エネルギー効率

及び省エネルギーロードマップ

(Philippine Energy Efficiency and Conservation Roadmap 2017-2040)」

商業ビルは年間 1.9%、2040 年までに

合計 25%節約。

カンボジア 「ビルの省エネルギー政策

(Energy Efficiency Policy for Building)」

ビル部門の 25%をエネルギー効率化

の対象とする。2035 年には 2015 年比

の 7.1%の省エネを実施(全体で 20%)。

Page 55: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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(2) ASEAN での省エネに関連する建築基準に関する取り組み動向

ASEAN での省エネビルの普及・展開を考える上で、建築基準(Building Codes)に関

する動向を踏まえることが重要である。 2017 年 8 月には、APEC エネルギーワーキンググループがレポート「Opportunities for

Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」を公表しており、そ

の中で ASEAN の以下の国に関し、省エネに関連する建築基準の国別の動向を以下のよ

うに分析している。 インドネシア 2012 年には、ジャカルタでグリーン建築基準が策定、採択されており、この基準

は 2013 年に義務付けられている。インドネシア公共事業・国民住宅省(Ministry of Public Works and Housing - 建築・建設を管轄)はこの基準に基づいて、グリー

ン建築に関する国のガイドラインを作成し、公共事業・国民住宅省令第 02/2015号(国家グリーン建築ガイドライン - National Green Building Guidelines)を発令

した。これらのガイドラインは、インドネシア国内の大都市が独自の義務的グリ

ーン建築基準を策定するための枠組みを提供するものである。例えば、バンドン

では、これらの国のガイドラインを使用して 2016 年にグリーン建築基準が採択

されている。この建築基準は、グリーン建築に関する国のガイドラインで示され

ている範囲と技術仕様を超えるものである。ジャカルタとバンドンは、義務的な

グリーン建築基準の策定において先導的な州となっている。 公共事業・国民住宅省に加えて、グリーン建築を所掌する省庁には環境林業省

(Ministry of Environment and Forestry)及びエネルギー鉱物資源省(Ministry of Energy and Mineral Resources)が含まれる。

インドネシアのグリーンビルディング協会(GBCI:Green Building Council of Indonesia)は、評価ツールであるグリーンシップ(Greenship)を開発した。また、

GBCI では EDGE 認証も提供している。 大学やインドネシア建築家協会(Indonesian Association of Architects)等の広範な

機関がトレーニングや能力構築を提供している。国際金融公社(IFC)は、グリー

ン建築基準の要求事項に関する政府関係者及び民間部門の理解を深めるために、

これらの関係者と協力している。これに加えて、IFC ではグリーン建築への資金

供給の機会に関する知識を提供するとともに、学術界に対してもグリーン建築の

トレンドと要求事項に関する知識を提供し、グリーン建築の教育課程の開発を支

援している。 マレーシア 1989 年に国の自主的ガイドラインとして商業用建築物に対する最初のエネルギ

ー効率基準が公表された。その後、この基準は改訂され、自主的基準としてマレ

ーシア規格 MS 1525(エネルギー効率及び非居住用建築物における再生可能エネ

ルギーの使用に関する実施基準)に組み込まれている。この基準に含まれる措置

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には、建築物の外皮、HVAC、照明が含まれる。2012年には統一建築物細則(Uniform Building By-Laws)の改正により、空調面積が 4,000 m2 を超える非居住用建築物

の新築又は改修に対して MS 1525 が義務付けられた。これらの建築物には、エネ

ルギー管理システムも義務付けられた。 建築物規制及びエネルギー規制の策定には 2 つの連邦政府部門が責任を負って

おり、建築規制は住宅・地方自治省(Ministry of Urban Wellbeing, Housing and Local Government)が管轄し、エネルギー効率規制はエネルギー・環境技術・水資源省

(Ministry of Energy, Green Technology and Water)の管轄となっている。 国の自主的基準は州政府によって正式に採択、義務付けされる。州政府はそれぞ

れの固有の状況に応じて基準の適合・策定を行う。あらゆるエネルギー効率建築

基準の実施は、マレーシア国内の地方政府の責任である。 2009 年、マレーシアのグリーンビルディング連盟(MGBC:Malaysian Green

Building Confederation)は、自主的な評価ツールであるグリーンビル・インデック

ス(Green Building Index - GBI)を導入した。GBI はマレーシア建築家協会

(Malaysian Institute of Architects)、マレーシア・コンサルティング・エンジニア

協会(Association of Consulting Engineers Malaysia)からの支援、並びにエネルギ

ー・環境技術・水資源省、科学・技術・イノベーション省(Ministry of Science, Technology and Innovation)、公共事業省(Ministry of Works)を通じてマレーシア

政府から支援を受けている。マレーシアで使用されている他の自主的な評価ツー

ルには、ASHRAE 90.1(米国)、LEED(米国グリーンビルディング協会 - US Green Building Council)、Green Mark(シンガポール)、CASBEE(日本)、GreenRE(マ

レーシア不動産・住宅開発業者協会 - Real Estate and Housing Developers' Association Malaysia)、MyCrest (マレーシア建設産業開発局 - Malaysian Construction Industry Development Board)がある。これらの自発的な評価ツールの

各スポンサー組織は、ツールの使用に関するトレーニングを行っている。 フィリピン フィリピンでは、2015 年に最初の全国的なグリーン建築基準が導入された。公共

事業・高速道路省(DPWH:Department of Public Works and Highways)長官は、長

期間を要する法制化プロセスを経るのではなく、同省の権限を用いてフィリピン

建築基準法(National Building Code)内に、参照基準としてグリーン建築基準

(GBC:Green Building Code)を組み入れた。同省は国際金融公社(IFC)との協

力の下で、GBC の策定及び施行を行った。 グリーン建築基準は、10,000 m2を上回る大規模建築物の新築、増築、改築、改修、

及びコンバージョンに適用される。建築許可証の発行を受けるには、設計と計画

が GBC の要求事項に従っている必要がある。建設後、建築担当官が使用許可証

を発行する前に、建築物が GBC に則って建築されていることを確認する。 フィリピンのグリーン建築基準は、マンダルヨン市が 2014 年に採択した条例を

基にして、それを拡張して策定されたものである。マンダルヨン市は同条例の策

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定に当たって、技術的なアドバイスを受けるために IFC と協力した。マンダルヨ

ン市では独立したグリーン建築課が設置されており、グリーン建築事前遵守証明

書(GBPCC:Green Building Pre-Compliance Certificate)を発行する前に、設計と

計画の同条例に対するコンプライアンスを評価している。建設の完了後、GBPCCの遵守の証明を以てグリーン建築証明書が発行される。また、マンダルヨン市で

は、不動産税の軽減や容積率の引き上げによるグリーン開発業者への奨励措置も

講じている。 義務的なグリーン建築基準に加えて、業界では数多くの自主的な評価基準によっ

て建築物の認証が行われている。現時点では、BERDE(開発業者主導)及び

GREEEN(専門家主導)の 2 つの国内の認証システムと、USGBC の LEED 及び

IFC の EDGE の 2 つの国際的なシステムが存在する。認証システムの中では、

EDGE だけがグローバルな基準を設定し、グリーン化の方法についての開発業者

の意思決定を支援するための無償のオンライン・ツールを提供している国際的シ

ステムである。自主基準の使用を促進している主たる要因は、フィリピンにおけ

る高いエネルギーコストと、それ故に高まる入居者からのエネルギー効率の良い

建築物への需要である。 シンガポール シンガポールでは建築及び建設部門の省エネルギーの取り組みの一環として、

1979 年に最初の一連の建築エネルギー基準が策定された。これらの基準では、建

築物の外皮の熱的性能及び建築設備・装置に対するエネルギー効率の要求事項が

対象とされていた。 シンガポール建築・建設庁(BCA:Building and Construction Authority)が、これ

らの建築エネルギー効率基準を規定する規制の策定と実施を管轄する政府機関

である。長年にわたって、BCA は国家標準機関であるシンガポール規格生産性革

新庁(Spring Singapore)との協力の下でこれらの基準の策定に積極的に関わって

いる。策定されたシンガポール規格(すなわち、SS530 及び SS553)は、建築規

則に規定されている範囲内においてコンプライアンス要求事項の一部として組

み込まれている。 2008 年に BCA は建築統制(環境持続可能性)規則として知られる、環境持続可

能性のための義務的な基準の導入によって規制制度を拡大した。この規則では、

新規建築プロジェクト及び、大規模な改築又は改修を伴う既存建築物プロジェク

ト(延床面積 2,000 m2以上)の開発業者及び所有者に対して、基本的なグリーン

マーク(Green Mark)認証基準をモデルとしたコンプライアンス規準を満たすこ

とが義務付けられている。 この規則をサポートするために、建築物の環境持続可能性基準(Code for

Environmental Sustainability of Buildings)が策定、公表され、その後は技術と世界

的なトレンドの進展に合わせて改訂されている。 この基準では、空調システムに対する費用対効果の高い省エネルギー技術、設計

Page 58: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

53

戦略、施工方法、運用監視、より高効率の空調システムの使用を要件とする仕様

を対象としている。建築計画が承認される前に、この基準に対するコンプライア

ンスが要求される。提出された環境持続可能性の設計意図が実施されていること

を確認するために、使用許可の発行前に必要に応じて BCA による実施監査が実

施される場合がある。 BCA は 2010 年には重要な開発地域の政府土地売却(Government Land Sales)プ

ログラムの下で、より高いグリーンマーク基準を義務づけている。これらの地域

における新規建築プロジェクトでは、土地売却の条件の一部として、より高いグ

リーンマーク基準(高いエネルギー効率の基準及び要求事項からなる)を満たす

ことが要求される。 2013 年 7 月から、建築物の所有者は建築物の情報とエネルギー消費データを毎

年 BCA に提出することが要求されている。当初段階においては、データの提出

が義務付けられているのは、ホテル、事務所用建築物、小売業用建築物、混合開

発(mixed developments)の建築物所有者のみであった。この要求は、段階的に他

の建築物のタイプに拡張されている。 BCA は 2014 年 1 月から、既存建築物のエネルギー効率基準を改善するために、

環境持続可能性基準(特に既存建築物に係る環境持続可能性措置のための基準:

Code for Environmental Sustainability Measures for Existing Buildings)で規定されて

いる要求事項に基づいて、最低限の環境持続可能性基準を課している。建築物の

所有者は、改修の一環として建築物の冷房システムを設置または交換する際には、

建築物がこの基準を満たしていることを確認する必要がある。これによって、既

存の建築部が改修された場合、よりエネルギー効率の高い冷房システムが装備さ

れることが保証される。 既存の建築物がライフサイクルを通じて当初の設計通りの運用効率を継続する

ことが可能であり、実際にそれが継続することを保証するために、2014 年に建築

物冷房システムの定期的エネルギー監査に係る基準(Code on Periodic Energy Audit of Building Cooling Systems)が入居後評価の一部として導入された。建築物

の所有者は、BCA に登録された専門機械エンジニア(Professional Mechanical Engineer)又はエネルギー監査人(Energy Auditor)のサービス利用を求める通知

を受けた後、建築物の冷房システムのエネルギー監査を実施し、所定の期間内に

エネルギー監査報告書を提出し承認を受けることが義務付けられている。 BCA は同庁の教育部門(BCA アカデミー)を通じてこれらの基準の実施を支援

しており、同部門では包括的なトレーニング、教育プログラム/コースの開発と

提供を行っている。これらのプログラムは、技術レベルから専門レベルに至る多

様なニーズに対応している。 義務的な基準に加えて、BCA では BCA グリーンマーク制度認証を通じてベスト

プラクティスの推進も行っている。また、BCA ではシンガポールにおける建築物

のエネルギー効率の大幅な向上を達成できる可能性のある技術の開発を促進す

るために、建築エネルギー効率の研究開発ロードマップを導入している。

Page 59: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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タイ タイはエネルギー効率 20 年計画(タイ・エネルギー省 2011 年)の下で、2030 年

までに 2005 年との比較でエネルギー原単位の 25%の低減にコミットしている。 省令 BE 2552(2009 年)によって建築エネルギー基準が定められている。この基

準には、全ての政府・国有企業の建築物、及びその他の延床面積 2,000 m2超の新

築・改修建築物に対する規定が含まれている。 エネルギー省内の代替エネルギー開発・効率化局(DEDE:Department of Alternative

Energy Development and Efficiency)がこの基準の策定、並びに利害関係者内での

基準の促進、支援、啓発活動を管轄している。 DEDE は基準の策定において、他の省庁と協力し、また地方政府、大学、学者、

業界の専門家と協議を行っている。DEDE は省令 B.E. 2552 の実施を支援するた

めのガイドブックを作成した。また、DEDE では基準をサポートするため、居住

用及び商業用建築物のための評価ツールであるタイ・エネルギー及び環境評価法

(TEEAM:Thailand Energy and Environmental Assessment Method)の開発も行った。 政府及び国有企業の建築物に関しては、建設への予算配分に先立って建築計画に

対する DEDE から評価と認証を受けることを義務付けることによって基準への

コンプライアンスが担保されている。地方/市レベルでは、コンプライアンスは

地方政府/市政府の責任である。 さらに、タイ・グリーン建築協会(Thai Green Building Institute)は、新築の建築

物、改修、商業用・居住用の高層建築物、及び製品表示のための自主的基準であ

るタイ国エネルギー環境評価システム(TREES:Thailand Rating Energy and Environment System)を開発した。

ベトナム 2005 年に策定された最初のベトナム・エネルギー効率建築基準(VEEBC:

Vietnamese Energy Efficiency Building Code)は、ASHRAE 90.1 基準に基づいたも

のであった。しかし、この基準はあまりに複雑であったために実施には至らなか

った。ベトナムにおける経験に基づき、7 年間の作業を経て、改訂された簡素な

基準が 2012-13 年に公表された。この基準の第 3 版が 2017 年に公表される予定

である。この基準には、2,500 m2超の商業用、公共、居住用建築物に適用される

エネルギー効率規定が含まれている。 中央政府の建設省(MOC:Ministry of Construction)がこの基準の策定を管轄して

いる。 義務的な基準に加えて、ベトナム・グリーン建築協会(VGBC:Vietnam Green

Building Council)が居住用及び非居住用建築物の評価ツールとして LOTUS を積

極的に推進している。現在までに、20 の商業用建築物と 5 の居住用建築物が

LOTUS によって評価されている。ベトナムで使用されている別の評価ツールに

は EDGE がある。

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MOCと地方政府がVEEBCの教育とトレーニングを行っており、VGBCはLOTUSのトレーニングを提供している。これに加えて、IFC が VEEBC の実施を支援す

るためのユーザーガイダンス、トレーニング資料、パイロットプロジェクトの開

発を行った。

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図 4-1 インドネシアの基準整備のガバナンスと規制構造 出所)APEC Energy Working Group「Opportunities for Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」(2017 年 8 月)(三菱総合研究所にて和訳) https://www.apec.org/Publications/2017/10/Opportunities-for-Collaboration-to-Improve-Building-Energy-Codes-in-APEC-Economies (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

インドネシア:基準整備のガバナンスと規制構造

国/連邦 所管官庁:インドネシア政府公共事業・国民住宅省

法、規則、基準建築法No.28/2002政府規則No.36/2005建物のエネルギー基準に関する省規則12/2012国家グリーンビルディング・ガイドラインに関する省令02/2015SNI 03-6759-2002 建物における省エネルギー設計SNI 03-6389-2011 建物外皮の省エネルギーSNI 03-6390-2011 建物の空調システムの省エネルギーSNI 03-6197-2011 建造物における照明システムの省エネルギーSNI 03-6196-2011 建物のエネルギー監査手順

居住用新築-基準点500m2を超える複合型建物地下を有し8階建てを上回る建物

商業用新築-基準点

複合型の中層・高層建物または5,000m2を超える低層建物

既存の建物と改築を含むその他の建物:任意

大量エネルギー消費型の建物はエネルギー監査を行わなければならない

インドネシア・グリーンビルディング協会

評価ツールの開発(グリーンシップ)

公共事業省

基準整備・改正

ステークホルダー

‒ 国・地方政府

‒ インドネシア・グリーンビルディング協会

‒ 国際金融公社

‒ インドネシア建築家協会

‒ 実践者

‒ 学界

基準整備に関する助言

研修とキャパシティビルディングの実行

グリーンビルディングコード法(作成中)大都市では国のガイドラインの下でグリーンビルディングコード法を作成中である。例:グリーンビルディングに関するジャカルタ首都特別州知事法令No.38/2012グリーンビルディングに関するバンドン市長規則No.1023/2016

対象‒ 建物外皮‒ HVAC‒ 照明‒ 建物のエネルギー報告

アプローチ‒ 規範的

グリーンビルディング・ガイドライン‒ 2020年に建築物部門のCO2

排出を削減

‒ 国所有の建物の50%をグリーンビルに認定

‒ エネルギー効率を20%向上

‒ 水利用効率を20%向上

‒ 低コスト住宅の廃棄物を20%削減

地方/市政府の部局

基準整備

地方(市) 実施

第三者

免許を持つコンプライアンス監督者、エネルギー管理者、エネルギー監査者教育と研修

地方/市政府遵守状況の監視と強制国教育と認証プログラム

コンプライアンスの対象‒ 設計‒ 建設‒ 入居前チェック‒ 入居後のエネルギー報告

原典の出所はIPEEC 2015 及びGunaw a et al. 2012に基づく。インタビューを通して修正/更新

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図 4-2 マレーシアの基準整備のガバナンスと規制構造

出所)APEC Energy Working Group「Opportunities for Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」(2017 年 8 月)(三菱総合研究所にて和訳) https://www.apec.org/Publications/2017/10/Opportunities-for-Collaboration-to-Improve-Building-Energy-Codes-in-APEC-Economies (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

マレーシア:基準整備のガバナンスと規制構造

国/連邦 所管官庁:マレーシア基準局、科学・技術・革新省

規則:

建築基準を統制する法律は、省エネルギー措置を規制する法と分離されている

工業用

連邦政府の省庁

エネルギー・グリーン技術・水省都市福祉・住宅・地方自治省

ステークホルダー

‒ 産業界の専門家

‒ 学界

‒ 州及び連邦直轄領の代表

グリーンビルディング

NGOの政府支援

対象

‒ 建物外皮

‒ HVAC‒ 照明

対象(GBI)‒ エネルギー効率

‒ 室内環境品質

‒ 持続可能な敷地計画と管理

‒ 材料と資源

‒ 水の効率的利用

‒ イノベーション

第三者

自主的な実施

第三者‒ 業界は自主的基準とガイドライン、GBI、その他の評価ツールの利用を導入

‒教育と研修

連邦/州/地方政府

規則の遵守状況の監視と強制

コンプライアンスの対象

‒ 申請と登録

‒ 設計評価

‒ 完了検査評価

原典の出所はChong 2013、Shaikah et al. 2017及びHuang & Deringer 2007に基づく。インタビューを通して修正/更新

自主的な省エネルギーガイドラインと基準:マレーシア基準局:MS 1525 非居住用建物のエネルギー効率と再生可能エネルギー利用に関する実施規則

建物のエネルギー効率に関するマレーシア・ガイドライン

公共施設 商業用

州政府

建物/エネルギーコードに関する連邦法を採用するか又は州/連邦直轄地の法律を整備する

利用されている評価ツール:グリーンビル・インデックス(GBI)ASHRAE 90.1、LEED、グリーンマーク、CASBEE、GreenRE、MyCrest

‒ マレーシア・グリーンビルディング連盟(MGBC)‒ マレーシア建築家協会(PAM)

‒ マレーシア・コンサルティングエンジニア協会(ACEM)

‒ マレーシア・エンジニア協会(IEM)

‒ マレーシア不動産・住宅開発者協会

‒ マレーシア建設業界開発委員会

‒ デンマーク国際開発援助活動(DINIDA)‒ ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)

‒ 業界メンバー-建築・建設、受託業者、メーカー

‒ 大学及び学界

ツールの開発 非居住用 工業用

居住用 商業用

実施

Page 63: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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図 4-3 フィリピンの基準整備のガバナンスと規制構造

出所)APEC Energy Working Group「Opportunities for Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」(2017 年 8 月)(三菱総合研究所にて和訳) https://www.apec.org/Publications/2017/10/Opportunities-for-Collaboration-to-Improve-Building-Energy-Codes-in-APEC-Economies (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

フィリピン:基準整備のガバナンスと規制構造

原典の出所はChong 2013、Huang & Deringer 2007、Philippine Green Building Council 2017及びCaringal 2016に基づく。インタビューを通して修正/更新

国/連邦 所管官庁:公共事業道路省

規制フィリピン建築基準法(1986年)RA 9729 - 気候変動法(2009年)フィリピン・グリーンビルディング基準法(2015年)

公共事業道路省長官

ステークホルダー

‒ 政府機関

‒ 認可を受けた専門団体

‒ IFC‒ グリーンビル専門家

‒ その他の専門家団体

‒ 学界

‒ 開発業者

政府の協力と支援

対象

‒ 建物外皮

‒ 自然換気

‒ 建物外皮色

‒ 屋根断熱

‒ 機械・電気システム効率

‒ 水の効率的利用

‒ 材料の持続可能性

‒ 固形廃棄物管理

‒ 敷地の持続可能性

‒ 室内環境品質

エネルギー省 基準整備・改正

基準整備に関する助言

すべての新築 延床面積10,000m2超のホテル、オフィス、学校、病院及び雑居ビル、15,000m2超のショッピングモール、20,000m2超の住宅用コンドミニアムの増築、改変、改造、改築

実施

市/町

市及び町は、フィリピン・グリーンビルディング基準法の要件よりも厳しければ、独自のグリーンビルディング条例を採択することができる。

連邦/地域/地方政府法の遵守状況の監視と強制

ツールの開発

市/地方

第三者

‒ フィリピン・グリーンビルディング協会(PHILGBC)

‒ フィリピン・グリーンビルディング・イニシアチブ(PGBI)

評価ツールの利用:BERDE、GREEEN、LEED & EDGEグリーン評価制度

商業施設教育施設

住宅-高層ビル住宅-クラスター

新築 設備改良と改築

運用

第三者

‒ 業界は多様な評価ツール―BERDE、GREEEN、LEED & EDGEの自主的な基準とガイドラインの使用を導入

‒ 独立した業界の開発認証

‒ 教育と訓練

コンプライアンスの対象

‒ 設計‒ 建設

アプローチ

‒ 規範的

対象

‒ エネルギー効率

‒ 管理

‒ 土地利用と生態系

‒ 節水と効率的利用

‒ 交通

‒ 室内環境品質

‒ 材料と資源

‒ 排出

‒ 廃棄物管理

‒ 文化財の保護

‒ イノベーション

Page 64: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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図 4-4 シンガポールの基準整備のガバナンスと規制構造

出所)APEC Energy Working Group「Opportunities for Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」(2017 年 8 月)(三菱総合研究所にて和訳) https://www.apec.org/Publications/2017/10/Opportunities-for-Collaboration-to-Improve-Building-Energy-Codes-in-APEC-Economies (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

シンガポール:基準整備のガバナンスと規制構造

原典の出所はIPEEC 2015eに基づく。インタビューを通して修正/更新

国/連邦

所管官庁:シンガポール政府建築・建設庁(BCA)

法律、規則、基準

‒ 建築規制法(1999年改正)

‒ 2003年建築規制規則

‒ 2008年建築規制(環境持続可能性)規則

‒ 2013年建築規制(既存の建物の環境持続可能性対策)規則

‒ 建物外皮熱性能基準

‒ 建物の環境持続可能性基準

‒ 既存の建物の環境持続可能性対策基準

‒ 建物冷却システムの定期エネルギー監査に関する基準

‒ BCAグリーンマーク認証基準

‒ SS 530 建物のサービスと設備の省エネルギー基準に関する実施規則(2014年)

‒ SS 553 建物の空調と機械換気に関する実施規則(2016年)

対象

‒ 建物外皮

‒ HVAC‒ 照明

‒ 電動式システム-エレベーター、エスカレーター、扇風機

‒ 再生可能エネルギー

‒ 保守管理の方法

基準整備・改正

ステークホルダー

通商産業省の管轄機関であ

るスプリング・シンガポールが

合意形成を促進し、シンガ

ポール基準整備において

BCAを含む国の代表から専

門家を関与させる。BCAはビ

ルディングコードを整備する

ために他のステークホルダー

及び学術研究機関と協力す

る。

すべての建物が、建物外

皮、空調及び照明等の基本的な遵守要件の対象である

新築の建物、及び大規模改修

が行われる延床面積2,000m2

以上の既存の建物は、BCAグリーンマーク基準の枠組みを

使用したより厳しい要件の対象である

延床面積5,000m2以上の既存の建物

(一部例外あり)は、エネルギー利用の大きな変化がある場合には最低EE基準を満たさなければならない。

ビルの所有者に義務的なエネルギー監査の要件が課せられることがある。

実施

第三者が基準(code)法規を適用プロの建築家とエンジニアは、その設計と建設が基

準の要件を確実に満たすようにしなければならない。

国の政府遵守状況の監視と強制

コンプライアンスの対象‒ 設計‒ 入居前チェック‒ 入居後のエネルギー監査

‒ BCAアカデミー

‒ シンガポール・エンジニア協会

‒ シンガポール専門エンジニア委員会

‒ シンガポール持続可能エネルギー協会

‒ シンガポール・グリーンビルディング協会

‒ 学術研究機関

研修

とキ

ャパ

シティビルデ

ィング

アプローチ

‒ 主に性能ベース

‒ 一部に規範的要件

‒ トレードオフ・アプローチのオプション

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図 4-5 タイの基準整備のガバナンスと規制構造

出所)APEC Energy Working Group「Opportunities for Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」(2017 年 8 月)(三菱総合研究所にて和訳) https://www.apec.org/Publications/2017/10/Opportunities-for-Collaboration-to-Improve-Building-Energy-Codes-in-APEC-Economies (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

タイ:基準整備のガバナンスと規制構造

原典の出所はIPEEC 2015、Chong 2013及びKim & Arnmanee 2014に基づく。インタビューを通して修正/更新

国/連邦 所管官庁:エネルギー省代替エネルギー開発・効率局(DEDE)

基準整備・改正

DEDE他の省庁と協力し、ステー

クホルダーと協議する

規制省エネルギー促進法(1992年)建築物エネルギー基準法(指定建築物に関する勅令、1995年)建築物の種類や規模及び省エネルギーのための建築物設計基準、規格、手続きを規定する省令(B.E.2552)(2009年)

対象

‒ 建物外皮

‒ HVAC‒ 照明

‒ 給湯

‒ 再生可能エネルギー

‒ 建物全体の性能

‒ 建物設計法

‒ エネルギーモデリング手法

‒ 昼光利用

‒ 省エネルギーポテンシャル

政府や国営企業所有の全建物は、予算配分の前に建築計画の評価と認証を受けなければならない。

2,000m2を超えるすべての新築または改築される以下の種類の建築物:病院、教育機関、オフィス、コンドミニアム、会議用ビル、劇場、ホテル、娯楽施設、デパート、ショッピングセンターステークホルダー

‒ 地方政府

‒ 大学、学界

‒ 産業界の有識者基準整備に関する助言

市/地方

地方政府

国の規則より厳しい要件を持つ建築法を制定するか、または国の基準を使用することができる

実施

国建築管理局の地方事務所を通して遵守状況の監視と強制

地方/市政府遵守状況の監視と強制

第三者評価ツールタイエネルギー・環境評価システム(TREES)(TGBI)対象:新築、改築、商業

用・住宅用高層ビル

ツールの開発(すべて自主的使用)?

政府の評価ツール

タイエネルギー環境評価法(TEEAM)対象:住宅、商業用建物

Ecovillage 対象:新築の住宅用建物

第三者

‒ タイ・グリーンビルディング

協会(TGBI)‒ タイ工学会

‒ タイ持続可能建設協会

(TACS)‒ 大学

ツールの対象

‒ 用地の位置

‒ 配置と景観

‒ 建物外皮

‒ HVAC‒ 照明

‒ 自然/再生可能エネルギー管理

‒ 衛生システム

‒ 材料と建設方法

‒ 設計と省エネルギー戦略

Page 66: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

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図 4-6 ベトナムの基準整備のガバナンスと規制構造

出所)APEC Energy Working Group「Opportunities for Collaboration to Improve Building Energy Codes in APEC Economies」(2017 年 8 月)(三菱総合研究所にて和訳) https://www.apec.org/Publications/2017/10/Opportunities-for-Collaboration-to-Improve-Building-Energy-Codes-in-APEC-Economies (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

ベトナム:基準整備のガバナンスと規制構造

原典の出所はIPEEC 2015、Chong 2013及びNguyen & Gray 2016に基づく。インタビューを通して修正/更新

国/連邦 所管官庁:中央政府建設省

基準整備・改正

建設省

天然資源・環境省、保健省

と調整

法律エネルギーの効率的利用に関する命令No.04/2010/L-CTN規則エネルギーの効率的利用に関する法令No.21/2011/ND/CPベトナムエネルギー効率建築基準法(VEEBC)QC09(2012-13年)

(2017年版が9月に公布される予定)

対象

‒ エネルギー効率基準整備に

関する助言

市/地方(人民委員会)

2,500m2超の

商業用/公共の建築物

2,500m2超の

住宅用建物

市/地方政府の部局

国の建築法を採用

実施

第三者

‒業界が法規とガイドラインを適用。自主的な評価ツール(LOTUS、LEED & EDGE)を利用するオプションがある

‒教育と訓練

国政府

許可の発行、遵守の強制、教育地方政府許可の発行、遵守の強制、教育

ツールの開発

第三者

‒ ベトナム・グリーンビル

ディング協会

‒ 大学、学界

自主的な実施

評価ツールの利用:LOTUS(LEED & EDGEも利用されている)

LOTUSの対象

非住宅

住宅

稼働中の建物

アプローチ

‒ 規範的

LOTUSの対象

‒ エネルギー

‒ 水

‒ 材料

‒ 生態系

‒ 廃棄物と汚染

‒ 健康と快適性

‒ 適応と緩和

‒ コミュニティ

‒ 管理

コンプライアンスの対象

‒ 工事の各段階の許可

‒ 検査

Page 67: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

62

4.1.2 省エネビルに関する普及方策の取り組み(シンガポールでの事例)

ASEAN での省エネビルのビジネスモデルを考える上で、いち早く、省エネビルに関

する取り組みを行っているシンガポールでの取り組みが参考となる。

(1) 省エネビルに関する政策形成の流れ

シンガポールの省エネビルに関する政策は、2005 年に建築建設庁(Building and Construction Authority: BCA)によって導入された「グリーンマーク制度(Green Mark Scheme)」に始まる。グリーンマーク制度は新築及び既存の建築物の環境性能やサステ

ナビリティを評価するラベリング制度であり、以下の 5 つの評価の視点に基づき、4 つ

の格付け(Green Mark Certified、Gold、Gold Plus、Platinum)がなされている。 評価視点1:エネルギー効率(Energy Efficiency) 評価視点2:水効率(Water Efficiency) 評価視点3:環境保護(Environmental Protection) 評価視点4:室内環境品質(Indoor Environmental Quality) 評価視点5:グリーンな特性(Other Green Features)

BCA は翌 2006 年に「第 1 次シンガポール・グリーンビルディング・マスタープラン

(1st Singapore Green Building Masterplan)」を策定した。第 1 次マスタープランでは、全

ての新築の公共建築物と大規模改修が行われる既存の公共建築物に関して、グリーンマ

ーク認証(Green Mark Certified standard)と同等の最低基準を満たすことが義務付けら

れた。 さらに 2009 年に発表された第 2 次マスタープランでは、6 つの重点目標が定められ、

新築の公共建築物はグリーンマークのプラチナ評価を達成し、既存の公共建築物では

2020 年までにゴールドプラス評価達成を目指すことが定められた。2014 年に第 3 次マ

スタープランが発表され。 一方、環境・水資源省(Ministry of the Environment and Water Resources: MEWR)と国

家開発省(Ministry of National Development: MND)は、2014 年に「サステナブル・シン

ガポール・ブループリント 2015(Sustainable Singapore Blueprint 2015)」を公表した。2015年版のサステナブル・シンガポール・ブループリントは、2009 年に発表された「サステ

ナブル・シンガポール・ブループリント」の改訂版であり、省エネに関しては、エネル

ギー強度を 2005 年レベルから 35%改善すること、また、2030 年までに国内全ての建築

物の 80%でグリーンマークの最低基準を達成することを目標にしている。

(2) 省エネビルに関する主な政策の概要

シンガポールの省エネビルの普及を考える上で、重要な役割を果たしている以下の政

策に関しその概要を把握した。

Page 68: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

63

1)サステナブル・シンガポール・ブループリント 20152

2014 年、環境・水資源省(MEWR)と国家開発省(MND)は、持続可能な開発に関

する省庁間委員会(Inter-Ministerial Committee on Sustainable Development: IMCSD)が検

討を進め、2009 年に発表した「サステナブル・シンガポール・ブループリント(Sustainable Singapore Blueprint)」3の改訂版を発表した。2015 年版ブループリントでは、2030 年に

達成すべき数値目標として、エネルギー強度を 2005 年レベルから 35%改善すること、

全ての建築物の 80%でグリーンマーク認証を取得することを掲げている。 2030 年に達成すべき数値目標として、エネルギー強度を 2005 年レベルから 35%改

善、全建物の 80%がグリーンマーク認証取得を掲げる 4。

2)グリーンビルディング・マスタープラン

建築建設庁(BCA)は、グリーンビルディング・マスタープラン(Singapore Green Building Masterplan)を策定している。

2006 年に発表された第 1 次マスタープランは、グリーンマーク制度を柱に、産業界

ステークホルダーに省エネビルの普及を働きかけることが目的とされた。一方、2009 年

に発表された第 2 次マスタープランは、IMCSD が発表した持続可能なシンガポール

(Sustainable Singapore)に関するレポートと調和が図られた。第 2 次マスタープランで

は、「2030 年までに少なくとも国内建築物の 80%をグリーン化する」という IMCSD レ

ポートの目標を達成するべく、大規模な既存の建築ストックをグリーン化することに焦

点が向けられた。 第 3 次マスタープランでは、エネルギー消費に関する行動変化を促し、国民に幸福を

もたらすことを目指し、建物のテナントや居住者が積極的な関与が意図された。また、

第 3 次マスタープランでは、以下の戦略的目標が掲げられ、省エネビルの普及を加速さ

せて、シンガポール国民に質の高い生活環境を提供することが目指された。 戦略的目標1:継続的なリーダーシップ(Continued Leadership) 戦略的目標2:より広い連携と関与(Wider Collaboration & Engagement) 戦略的目標3:確かな持続可能性パフォーマンス(Proven Sustainability Performance)

2006 年以降、第 1 次及び 2 次マスタープランの下で推進したイニシアティブや政策

を通じて、省エネビルの開発は飛躍的に進んだ。シンガポール国内の省エネビル数は、

2 Our Home Our Environment Our Future Sustainable Singapore Blueprint 2015M

<https://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/16253Sustainable_Singapore_Blueprint_2015.pdf> (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日) 3 MEWR & MND, “Sustainable Development Blueprint” 2009 https://www.mnd.gov.sg/docs/default-source/default-

document-library/other-publications/sustainbleblueprint_forweb.pdf (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日) 4 Our Home Our Environment Our Future Sustainable Singapore Blueprint 2015, p.109 <

https://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/16253Sustainable_Singapore_Blueprint_2015.pdf > (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

Page 69: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

64

2005年の 17棟から 2014年には 2,100棟を超えている。延床面積(Gross Floor Area: GFA)

にすると 6,200 万平方メートルとなり、シンガポール国内の全市街地の 25%に相当する。 第 1 次マスタープラン(2006)5では、全ての新築の公共建築物と大規模改修が行わ

れる既存の公共建築物において、グリーンマーク認証と同等の最低基準を満たすことが

義務付けられた 6。 公共部門が主導(Public Sector Taking the Lead)

BCA グリーンマーク制度(BCA Green Mark Scheme):任意 公共部門の新築または大規模改修工事を実施する既存の建築物に対して

グリーンマーク認証(Government Buildings Green Mark Certified)と同等レ

ベルの最低基準を義務づけ

民間部門にインセンティブ(Incentives for the Private Sector) インセンティブ制度に 2,000 万ドル($20 mil Incentive Scheme) グリーンマークチャンピオン賞(Green Mark Champion Award)

グリーン・ビルディング技術の研究開発(R&D for Green Building Technologies)

MND 研究資金 5,000 万ドル($50 million MND Research Fund) ゼロエネルギービル(Zero Energy Building at BCAA)

最低基準の法制化(Legislation Minimum Standards)

環境持続可能性に関する立法(Legislation on Environmental Sustainability) RETV の導入(Introduction of RETV)

第 2 次マスタープラン(2009)7では、公共建築物について、新築はグリーンマーク

のプラチナ評価達成を目指す。また、既築は 2020 年までにゴールドプラス評価達成を

目指す。下記 6 つの重点目標が定められた。 政府が主導(Government Taking the Lead)

空調設備が整備された公共部門の新築建築物に対して、グリーンマークプ

ラチナ(Green Mark Platinum)評価達成を義務付け、持続可能な建設環境

の実現を目指している。 特定の成長エリアではより高いグリーンマーク評価(グリーンマークプラ

5 The 1st Green Building Masterplan

<https://www.bca.gov.sg/GreenMark/others/gbmp2.pdf> (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日) 6 Serene PEH Deputy Director Green Building Policy Dept., “Singapore Green Building Masterplan”

<https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/en/int/attachement/P1%20Singapore.pdf> (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日) 7 BCA, “The 2nd Green Building Masterplan”

<https://www.bca.gov.sg/GreenMark/others/gbmp2.pdf> (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

Page 70: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

65

チナ、又はグリーンマークゴールドプラス)を達成。 全ての公共部門の既存の建築物は 2020 年までにゴールドプラス(Green

Mark Gold Plus)評価を達成。

民間部門へのインセンティブ(Spurring the Private Sector) 新築ビル向け

既に導入されていた 2,000 万シンガポールドルのグリーンマーク奨励

制度(Enhanced $20 million Green Mark Incentive Scheme for New Buildings (GMIS-NB))に対する大きな反響を受けて、新たなインセンティブ制

度(Green Mark Gross Floor Area: GM GFA)を導入 デザイン・プロトタイプには、500 万シンガポールドルのグリーンマ

ーク奨励制度( $5 million Green Mark Incentive Scheme for Design Prototype)

既設ビル向け 1 億シンガポールドルのグリーンマーク奨励制度($100 million Green

Mark Incentive Scheme for Existing Buildings)

グリーン・ビルディング技術の研究開発(Furthering the Development of Green Building Technology) 最新のゼロエネルギービルプロジェクト(Zero Energy Building Project)は

新しい技術・設計のプラットフォームとして役に立つ。 BCA は R&D やパイロットプロジェクトを適切なパートナーと共同で実施

することによって、50%以上のエネルギーを節約できる。

研修を通じた建設業界のスキル向上(Building Industry Capabilities through Training)

国際的プロファイリング及び認知度の引き上げ(Profiling Singapore and Raising Awareness)

法律による最低限の基準(Imposing Minimum Standards) BCA は既存の建築物のグリーン化に取り組む。そのためにはビルのオーナ

ーにエネルギー消費の情報公開を求め、その結果、建物の様々なカテゴリ

においてエネルギーベンチマークを確立することを目指す。 第 3 次マスタープラン(2014)8では、継続的なリーダーシップ、より広い連携と関

与、確かな持続可能性実績を戦略的目標としている。

表 4-4 シンガポールの主な関連政策

8 BCA, “3rd Green Building Masterplan”

https://www.bca.gov.sg/GreenMark/others/3rd_Green_Building_Masterplan.pdf (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

Page 71: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

66

制度・政策名等 概 要 主な内容

サステナブル・シ

ンガポール・ブル

ープリント 2015 (Sustainable Singapore Blueprint 2015)

2030 年までに全

建物の 80%がグ

リーンマークを

取得

・環境・水資源省(MEWR)と国家開発省(MND)

が 2014 年に発表。持続可能な発展に関する省間

委員会(IMCSD)が検討を実施。 ・2009 年に発表された「サステナブル・シンガポ

ール・ブループリント(Sustainable Singapore Blueprint)」の改訂版。

・2030 年に達成すべき数値目標は下記。

1)エネルギー強度を 2005 年レベルから 35%改善 2)全建物の 80%がグリーンマークを取得

シンガポール・グ

リーンビルディ

ング・マスタープ

ラン (Singapore Green Building Masterplan)

公共建築物につ

いて、新築はグリ

ーンマークのプ

ラチナ評価達成

を目指す。既築は

2020 年までにゴ

ールドプラス評

価達成を目指す。

・建築建設庁(BCA)によって発表された政策 ・第 1 次マスタープラン(2006)では、全ての新築

の公共建築物と大規模改修が行われる既存の公

共建築物において、グリーンマーク認証レベル

と同等の最低基準を満たすことが義務付けられ

た。 ・第 2 次マスタープラン(2009)では、6 つの重点

目標が定められた。 ・目標の設定(公共建築物について、新築はグリー

ンマークのプラチナ評価達成を目指す。また、既

築は 2020 年までにゴールドプラス評価達成を目

指す) ・第 3 次マスタープラン(2014)では、継続的なリ

ーダーシップ、より広い連携と関与、実証済みの

持続可能性実績を戦略的目標としている。

Page 72: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

67

制度・政策名等 概 要 主な内容

グリーンマーク

制度(The Green Mark Scheme)

2005 年に開始さ

れた、新築・既築

建物の環境性能

やサステナビリ

ティを評価する

ラベリング制度

・2005 年に開始。建築建設庁(BCA)より規定さ

れ、国家環境庁(NEA)が承認。 ・翌年に発表される「第 1 次シンガポール・グリー

ンビルディング・マスタープラン」の骨格を構成

する重要な指標である。 ・「サステナブル・シンガポール・ブループリント

2015(Sustainable Singapore Blueprint 2015)」にお

いて、2030 年までに全ての建築物の 80%でグリ

ーンマークの最低基準の達成を目指している。 ・新築・既築建物の環境性能やサステナビリティを

評価するラベリング制度。 ・①エネルギー効率、②水効率、③環境保護、④室

内環境品質、⑤グリーンな特性から成る 5 つの

評価視点に基づき、4 つのランク(Green Mark Certified, Gold, Gold Plus, Platinum)に省エネ性能

を分類。

3)ビルの環境持続性のための建築基準

環境の持続可能性を実現した世界有数の都市を目指すシンガポールには、建築物の省

エネ要件を改善する余地がまだ残されている。しかし、省エネ推進への注力が重要であ

る一方、シンガポールでは環境品質と快適さを損なうことがないように環境に優しい建

築物が推奨された。中でも、建築規制法(Building Control Act)を強化して、BCA によ

って建築規制(環境持続可能性)規則(Building Control (Environmental Sustainability) Regulations)が定められると、新築の建築物と大規模な改修を行う既存の建築物にはグ

リーンマーク認証レベルと同等の環境最低基準を遵守することが義務付けられた。 2008 年 4 月に発効した建築規制(環境持続可能性)規則の対象となるのは、以下の建

築である。 延床面積が 2,000 平方メートル以上の新築建築 延床面積が 2,000 平方メートル以上の既存の建築物に対する延床面積増床を含む

増築または建て増し 延床面積 2,000 平方メートル以上の既存の建築物に対する大規模改修を含む改修

工事 建築建設庁(BCA)は、2008 年にビルの環境持続性のための建築基準である「Code

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for Environmental Sustainability of Buildings(Ver.1.0)」9を制定した。 以下の適応範囲に該当する建物の建築計画の提出・認可時と竣工時に、グリーンマー

クのスコアとチェックリストの提出を求め、認定(Certified)相当の環境性能を義務付

けた。 2008 年 4 月より、下記いずれかの条件を満たす場合、認証の取得が義務化された。 延床面積が 2,000m2 以上の全ての新築建物 延床面積が 2,000m2 以上の増築・建て増しを行う既存建物 延床面積が 2,000m2 以上の大規模改修を行う既存建物

4)グリーンマーク制度(The Green Mark Scheme)

2005 年に開始された、新築・既築建物の環境性能やサステナビリティを評価するラ

ベリング制度。10建設建築局(BCA)により規定されている。 「シンガポール・グリーンビルディング・マスタープラン」における指標であり、「サ

ステナブル・シンガポール・ブループリント 2015(Sustainable Singapore Blueprint 2015)」において、2030 年までに全ての建築物の 80%でグリーンマークの最低基準の達成を目

指すとされている。 評価項目はエネルギー関連要件とその他のグリーン要件に大別される。 エネルギー関連要件(最低 30 ポイント)(Energy Related Requirements)

エネルギー効率(Energy Efficiency) ビル全体の熱効率、エアコン、ビル全体、換気、日照 照明、駐車場・共有部分の換気 エレベーター・エスカレーター エネルギー効率 Practices & Features、再エネ

その他のグリーン要件(最低 20 ポイント)(Other Green Requirements)

水効率(Water Efficiency) 環境保護(Environmental Protection) 屋内環境の質(Indoor Environmental Quality) その他の環境上の特徴(Other Green Features)

スコア・認定評価は下記の通り。 プラチナ:90~、ゴールドプラス:85~90、ゴールド:75~85、認定:50-75

9 BCA, Code for Environmental Sustainability of Buildings

https://www.bca.gov.sg/EnvSusLegislation/others/Env_Sus_Code.pdf (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日) 10 BCA About BCA Green Mark Scheme https://www.bca.gov.sg/GreenMark/green_mark_buildings.html (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

Page 74: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

69

省エネビルに関するビジネスモデルと展開課題・解決方策

ミャンマーでの省エネビルのモデルの検討及び現地関係者との意見交換、ASEAN で

の省エネビルの政策動向等を踏まえつつ、ASEAN での省エネビルに関するビジネスモ

デルを整理した。 省エネビルの普及を考えた場合、重要となる視点として以下の点に着目した。 政策担当者と建築の専門家(設計者、設備技術者等)の連携が重要となること

省エネビルの導入には、規制やインセンティブ等の政策面からのアプローチが不

可欠であるとともに、個々の建築の現場での対応能力の向上の視点も重要である。

このため、政策の立案や制度運用の各段階において、政策担当者と建築の専門家

が緊密に連携し、政策目標と実際の現場での実現可能性の両面から、最適な仕組

みを構築していくことが不可欠である。

省エネビルに関する政策形成に当たっては、以下の点が特に重要である。 ・優先分野(率先して取り組むべき建物)の明確化 ・目指すべき省エネ水準(削減率)の設定 個々の建築の現場での取り組みを支える仕組みの整備

ビルは、建築後、長期にわたり運用されることから、中長期わたる省エネ対策と

いう観点において重要な分野である。一方で、省エネビルの導入に関しては、ビ

ルの運用段階でのエネルギー・コストの削減等といったメリットがあるものの、

省エネ性能の高い技術の導入等に伴う追加コストが障害となる。初期コストの負

担増と省エネ効果のバランス(費用対効果)の問題、最適な省エネ技術(製品)

へのアクセスの問題等、個々の建築の現場での設計者等の取り組みを支える仕組

みの整備が重要である。 取り組みを支える仕組みの整備に当たっては、以下の点が特に重要である。 ・ビルのエネルギー消費実態に関するデータ整備 ・普及のためのツールの整備 ・省エネビルのプランナーの育成(人材育成、新たなビジネスの育成) ・ASEAN での普及のハブの構築

4.2.1 優先分野(率先して取り組むべき建物)の明確化

<課題認識>

省エネビルの普及においては、公的な建物、建築物の種類(オフィスビル、商業ビ

ル、ホテル等)、対象とする規模(延床面積での規模)等の視点から、優先分野(率先

して取り組むべき建物)を明確化することが課題である(例えば、ミャンマーでの省

Page 75: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

70

エネ法の検討においては、規制の対象とする建物の延床面積の規模に関し、議論がな

されており、関係する省庁によっても考え方が異なるなど、合意形成に時間を要して

いる)。 <解決方策(案)>

日本、シンガポール、マレーシア等では、省エネビルやグリーンビルの普及拡大に

向けたロードマップやマスタープランを策定することで、率先して取り組むべき建物

の明確化を行っている。 ・日本の『ZEB ロードマップ』は、エネルギー基本計画」(2014 年4月閣議決定)に

おいて、「建築物については、2020 年までに新築公共建築物等で、2030 年までに

新築建築物の平均で ZEB を実現することを目指す」とする政策目標の実現・普及

に向けたロードマップを提示している(例:学校、官公庁施設等の新築公共建築物

における率先的取り組み)。 ・シンガポールの『グリーンビルディング・マスタープラン』(第 2 次マスタープラ

ン)は、「2030 年までに少なくとも国内建築物の 80%をグリーン化する」という

IMCSD レポートの目標を達成するための具体策を提示している(対象を段階的に

拡大し、現在は、大規模な既存の建築ストックをグリーン化することにフォーカス

等)。 ・マレーシアの『国家グリーンテクノロジー・マスタープラン』は、「2040 年までに

ビルエネルギー消費量を near zero にする」ことを目標とし、中長期的な道筋を示し

ている。 各国が目指す省エネビルの普及の道筋は、各国の状況により様々であるが、先行す

る国での政策立案の経験を共有化することで、アプローチ方法や関係者との調整方法

を学ぶことが可能となるなど、取り組みの加速化が期待される(例:政策立案者を対

象としたセミナーや研修プログラム等の取り組み)。

4.2.2 目指すべき省エネ水準(削減率)の設定

<課題認識>

求める省エネ水準(削減率)は、一律ではなく、地域の実情(例:標準的なビル仕

様、利用実態、建築技術、入手可能な対策技術、気象条件、経済水準)を加味したも

のとすることが求められる。

<解決策(案)>

日本の ZEB Family に関しては、50%、75%の削減水準を設定しているが、各国の

実情を踏まえつつ、複数の達成水準を設定することが効果的である。十分に手が届く

水準から段階的に取り組むアプローチが重要である。 また、ミャンマー、ベトナム、タイ等、多様な気候帯を有する地域においては、各

地域の気候条件を加味した省エネビルの仕様が必要となる。普及の初期段階において

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71

は、主要都市部での取り組みを優先することになるが、他の地域への普及拡大の段階

においては、地域の気象条件を適切に加味する必要がある(国内での地域性の加味)。

4.2.3 ビルのエネルギー消費実態に関するデータ整備

<課題認識>

優先すべき対象や求める省エネ水準の設定に当たっては、各国(必要に応じ気象条

件の異なる地域別)でのビルにおけるエネルギー消費の実態を把握し、削減水準を設

定することが必要となる。しかしながら、ビルのエネルギー消費に関する実態に関し

て把握されていないケースが多い。 <解決策(案)>

例えば、インドネシアではエネルギー消費実態把握の取り組みを行っている

(UNDP 支援を得て実施予定)。対象は商業ビルや政府系ビルで、8 つの地域(スラバ

ヤ、バンドン、ジャカルタ、スラウェシ等)で、合計 250 のビルを対象にデータ収集

及び評価を行う予定であり、2018 年 3 月頃から開始する予定であり、2021 年までの

長期間でのプログラムである。プログラムは 2 種類で、①Green Audit(商業、産業部

門の ESCO)、②Specific Energy Consumption の特定となっている。 ビルのエネルギー消費に関する実態把握に関しては、最近では、リアルタイムでビ

ルのエネルギー消費量をモニタリングするシステムが活用され始めている。例えば、

インドネシアのグリービル協会のメンバーである PT Airkon Pratama 社は、公共事業

省(Department of Public Works)の省エネビルの設計時に省エネビルのコンサルティ

ングを行うとともに、その後のビルの運用・管理を行っている。運営・管理において

は、シンガポール企業が保有するエネルギー・モニタリング・システムを活用し、リ

アルタイムでのエネルギー消費をモニタリングし、運用段階での省エネ対策にも活用

している。 エネルギー消費の報告制度の導入を通じ、消費実態を把握するアプローチの他、ま

ずは、公的施設のエネルギー消費データを蓄積することが効果的であり、その際には、

IT の活用が期待される。

4.2.4 普及のためのツールの整備

<課題認識>

省エネビルの普及が進んでいない国においては、設計の実務家レベルでの省エネに

関する基本的な知識が不足しているのみならず、推奨される省エネ技術や事例に関す

る情報も不足している。また、普及のためのツール(省エネ効果の解析ツール等)も

未整備である。 <解決策(案)>

Page 77: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

72

省エネビルを実現するためには、設計手法、対策技術等、具体的な取り組み手段に

関する建築主や設計技術者の理解を深めることが必要である。 このため、先進的な取り組みに関する事例情報、設計のガイドライン(建物種別)、

省エネ効果の分析のための解析ツール等、各種ツールの整備が不可欠である。 日本では、先進的な ZEB の紹介や Nearly ZEB の設計手法について解説した設計実

務者向けガイドラインや各設計ガイドラインに記載されているモデルビル(ZEB)の

エネルギー計算に使用した「国立研究開発法人建築研究所計算支援プログラム(Webプログラム)計算シート(excel)」等が無料で入手可能である。 ビルの設計・施工・設備の運用に関しては、必ずしも一様ではなく、個々のケース

によってニーズや要求事項が異なる。このような現場のニーズを踏まえ、省エネ対策

導入による省エネ効果を把握できる評価ツールを利用できる環境を整備することは、

設計者にとってメリットがあるのみならず、個々の省エネ技術(製品)の性能情報と

評価ツールを連動させることにより、製品のマーケッティングにおいても重要なアイ

テムとなり、設備や部材関系メーカーにとってもメリットを有する。

4.2.5 省エネビルのプランナーの育成

<課題認識>

省エネビルに関しては、建築主、設計技術者の双方において、理解不足、活用可能

な技術への知見の不足から、具体的にどのように取り組めばよいのか分からない状況

にある。特に、ビルの設計・施工・設備の運用は、必ずしも一様ではなく、個々のケ

ースによってニーズや要求事項が異なり、最適な省エネ技術の適用が求められる。建

築主と設計技術者の能力向上のみでは限界がある。 このため、建築主と設計技術者を繋ぎつつ、省エネビルの提案と実現をコーディネ

ートする機能を持った専門の事業者の育成が課題となる。 <解決策(案)>

~省エネビルのプランニングから設計施工、更には、運用時のエネルギー管理までを一

貫して支援する担い手の育成(人材育成、新たなビジネスの育成)~

建築主と設計技術者を繋ぎつつ、省エネビルの提案と実現をワンストップでコーデ

ィネートする機能を担う事業者を育成することで、実情にあったきめ細かな省エネビ

ルの提案と施工が可能となる。また、このような事業者が、設計・施工段階のみなら

ず、運用段階でのビルの管理やエネルギー消費のモニタリング等、プランニング~ビ

ルの運用段階までを一貫して支援するビジネスモデルに事業領域を拡大することで

(新たなビジネスの育成)、省エネ性能の評価での運用モニタリングの担い手として

の機能も期待される。 例えば、シンガポールでは、GREEN SPECIALISTS(グリーンスペシャリスト)の

育成に力を入れており、 Green Mark Manager (GMM) 、 Green Mark Facilities Manager(GMFM)、Green Mark Professional (GMP)、Green Mark Facilities Professional

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(GMFP)といった様々な資格制度を構築している。 また、日本においては、ZEB プランナーの登録制度があり、建築主等の依頼に基づ

き、設計(建築設計、設備設計等)、設計施工、コンサルティング等(省エネプランニ

ングに係るコンサルティング、省エネ事業に係る知見を有するファイナンス等)等

ZEB プランニングに係る業務等を行っている 11。

4.2.6 ASEAN での普及のハブの構築

<課題認識>

ASEAN においては、経済発展に伴いエネルギー消費が拡大することが見込まれて

おり、温暖化対策やエネルギー供給の確保等の観点から、省エネルギーに対するニー

ズが高まりつつある。このような状況に対応し、ASEAN 各国では省エネルギーに関

する政策目標、省エネビルに関する政策目標を設定する等、省エネビルの普及を図る

動きが活発化している。 最近の特徴的な動きを以下に示す。

・シンガポールにおいては、「グリーンビルディング・マスタープラン」を策定する

など、政府が主導して普及を進めており、2014 年には第 3 次マスタープランが策

定されている。 ・マレーシアにおいては、2017 年に「国家グリーンテクノロジー・マスタープラン」

を策定しており、その対象分野として建築分野を取り上げている。 ・ミャンマーにおいては、工業省が主導して省エネに関する規制法の検討が行われて

おり、その対象分野として建築分野を取り上げている(現在、検討中の段階)。

<解決方策(案)>

~ハブとなる地域から他国への段階的な展開アプローチ~

既に政策的に省エネビルの普及が図られている国を「普及の足がかり(いわゆる普

及のハブ)」として位置づけ、順次、他の国での政策構築を働きかけ、普及拡大を図

るビジネスモデルが有望である。 具体的な候補としては、シンガポールが有望と考える。この他、マレーシアは、建

物のエネルギー消費量を 2040 年までにゼロに近いレベルにまで削減するという政策

を掲げ、官民一体となった取り組みを加速化していることから、普及のハブの候補と

なり得る可能性を有しており、今後の動向に注目する必要がある。 例えば、EU Gateway のレポート「Construction & Building Technologies in Singapore」

(2017 年 5 月)12では、ビルの省エネ設備及びスマート・グリーンビルでの EU 参入

機会について分析を行っており、シンガポールをASEANでのハブと位置づけている。

11 https://sii.or.jp/zeb29/planner.html (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日) 12 https://www.eu-gateway.eu/news/construction-building-technologies-singapore

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具体的には、シンガポールは、省エネビルに関する普及拡大を国家戦略として位置づ

けており、官民一体となった取り組みを行っている。シンガポール国内での市場の拡

大に伴うビジネスのみならず、そこで構築されたビジネスモデルが周辺の ASEAN へ

と拡大するビジネスモデルを睨んでいる。 普及のハブを構築する効果としては、以下が挙げられる。 ・ASEAN ワイドでの製品開発の共通化(例:性能評価の共通化によるコスト削減) ・実証データの整備の拠点としての機能 日本は ASEAN での熱帯気候とは気候特性が異なるため、日本での取り組み事

例をそのまま ASEAN に展開することが難しいケースがある。このようなケース

では、熱帯気候の特性にあった適切な省エネ技術を検討し、その効果を実際の熱

帯気候の条件化で実証することが効果的である。例えば、シンガポールは熱帯気

候の条件化で試験可能な試験装置が整備されており、実証試験を行いやすい環境

が整っている。 ・保守管理等のサービス拠点の効率化 省エネビルに関する取り組みが始まりつつある国においては、省エネに関する製

品に関しては、海外からの製品に依存することとなり、導入後のメンテや保守管理

面での不安を抱えている。一方で、メーカー側も、ビルの省エネ対策の導入の初期

段階においては、将来の市場規模が不確実であり、先行した取り組みを取り難い状

況にある。サービス拠点を一元化することで、より充実したサービスの実現が期待

できる。

4.2.7 今後の課題

日本は、いち早く、ZEB のロードマップを策定する等、官民が一体となって省エネ

ビル・ZEB Family の普及を戦略的に進めてきた経験とノウハウを有している。また、

このような動きに対応し、日本企業は省エネ技術の開発に積極的に取り組んでおり、

官民連携による市場創造の成功事例の一つと位置づけることができる。今後、ASEANにおいても、省エネや ZEB に対するニーズは着実に高まるものと考えられ、日本での

経験やノウハウ、関連製品を ASEAN への展開に活かし、ASEAN での省エネの推進と

あいまって、日本企業にとってのビジネス機会の獲得につながることが期待される。 今回示したビジネスモデルや解決方策(案)は、あくまで日本目線からの考察にと

どまっており、今後は、ASEAN 各国の政府関係者や業界関係者との意見交換を通じ、

ASEAN 目線での考えを反映させるなど、議論を深め、日本の ASEAN の連携による省

エネビルの普及展開への具体策へと深めていくことが課題である。

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75

5. 参考資料

参考資料 1 シンガポールの「第 3 次グリーンビルマスタープラン」の概要

シンガポールの「第 3 次グリーンビルマスタープラン」13を基に、取り組みの概要を以

下に示す。

表 5-1 主な取り組み(全体概要)

BCA の回転検査施設

の開発

・アジア初のビルディング・テクノロジー用回転検査施設

(rotatable test facility)

・ビル用のシステムや構成物を、熱帯地帯の実際の条件のもと、

太陽に対してさまざまな方向で研究するための施設 公共セクターが強力

に主導する環境持続

可能性(PSTLES)

・資源利用を管理する組織プロセスを強化することで、公共セク

ター内の取り組みを強化

熱帯、亜熱帯おける先

進のグリーンビル格

付けシステムとして

のグリーンマーク

・産業界の助言を受けて見直し中のグリーンマーク新バージョ

ンでは、屋内環境性能、ユーザーや居住者の健康と快適性、ウ

ェルビーイングを強調

・グリーンマークのバージョン 5 は、気候反応型パッシブデザイ

ンの進歩に、スマート・ビルディング・マネジメント、資源効

率の向上、再生可能エネルギー採用の拡大も考慮に入れて開発

されている 持続可能な構築環境

の多様性拡大

・さまざまなビル施設の要件に対応すべく、特定の基準のグリー

ンマーク制度を順次追加

・地区向けグリーンマーク制度を、工業団地、教育機関キャンパ

スといった多様な建築環境に拡大 グリーン専門家の育

・グリーンビルディングの設計・メンテナンス・管理について、

産業界の能力を構築していくための全体論的なアプローチに

よる包括的な研修の枠組み

・個人が取得したコンピテンシーが、ひいては所属組織の成長に

つながり、ローカル及び国際市場での競争力を高めていく 5,200 万シンガポール

ドル規模のグリーン

ビルディング・イノベ

・さまざまな種類のビルで、新規性と実績のあるソリューション

を開発し実証

・性能を認証し、認知度と能力を向上させ確立

13 Building and Construction Authority「3rd Green Building Masterplan」

https://www.bca.gov.sg/GreenMark/others/3rd_Green_Building_Masterplan.pdf (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

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ーションクラスター

(GBIC) ・建築環境の横断的な省エネの加速化

500 万シンガポールド

ル規模の設計プロト

タイプ向けグリーン

マ ー ク 奨 励 制 度

(GMIS-DP)

・設計段階を重視すべく、2010 年より導入

・グリーンマーク・プラチナ賞を上回る目標値を設定する開発物

件は、既存のビル向けエネルギー効率性基準比で 40%以上の

省エネ達成を示していること

1,500 万シンガポール

ドル規模の、持続可能

な建築能力開発基金

・資源効率性の能力を開発すべく、2010 年より導入

・ビル解体で発生する廃棄物のリサイクルと、建設時のリサイク

ル材料利用を促進 500 万シンガポール

ドル規模の、イノベ

ーション助成金

(IGRANT)

・今後大規模に採用され、商業ベースに乗るような高いインパク

トと可能性を有する新たなツールや方法論、テクノロジーの導

入を促進する

・小規模、早期着工、概念実証型の研究開発プロジェクト向け 1,500 万シンガポール

ドル規模の、ビルエネ

ルギー効率性助成金

募集にかかるエネル

ギー・イノベーショ

ン・リサーチプログラ

ム(EIRP)

・熱帯地域における高エネルギー効率、高費用対効果な技術やソ

リューションの開発を支援

・民間セクター企業とのコラボレーション

・技術の展開と商用化の機会

出所)シンガポールの「第 3 次グリーンビルマスタープラン」を基に作成(三菱総合研究所において和訳)

BCA の回転検査施設(rotatable test facility)について BCA のゼロエネルギービル(ZEB)(既存ビルを改修したものとしては東南アジア初の ZEBとなる)の成功の受け、アジア初のビルディング・テクノロジー用回転検査施設が開発され

ている。米国ローレンス・バークレー国立研究所のフレックスラボと提携し、モデルとした

この施設では、照明、空調、ファサードといったビル用のシステムや構成物を、熱帯地帯の

リアルワールドの条件で検査することができる。2015 年の完成・操業開始後には、研究者

はさまざまなビルディング・テクノロジーの実際の性能を、設定可変の検査環境で、熱帯気

候の太陽に対してさまざまな方向で研究することができる。 グリーン専門家の育成 グリーンビルディングの設計・施行・メンテナンス・管理の連鎖全体で産業界の能力を高め

ていくため、BCA アカデミーでは持続可能なビルの設計や管理ができるグリーンビルディ

ングのプロ、専門家、エキスパートを育成するための包括的な研修の枠組みを開発した。

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全体論的なアプローチをとることにより、最高の道筋で知識や資格、専門性を得て、学歴や

キャリアを開発していこうとする意欲的な学生や実務家に柔軟性を提供している。実務家

のより高度なレベルのコンピテンシーが、ひいてはローカル及び国際市場での所属組織の

競争力強化につながっていく。

確かな持続可能性のパフォーマンス 第 3 の戦略目標 確かな持続可能性のパフォーマンス実現のためには、持続可能なエネルギー消費と管理が

重要であるとの認識に立ち、BCA ではビルのライフサイクル全体を考慮しつつ、モニタリ

ングと情報共有、ビルのエネルギー性能の実証を行うことで、情報障壁の解消と、エネルギ

ー効率性のマネジメントサイクルを締めくくる。他方で、このことを構築環境と居住者のウ

ェルビーイング(Well-being)の質を改善するためのプラットフォームとしても機能させて

いく。

表 5-2 主な取り組み(第 3 の戦略目標関係) ビル情報とエネル

ギー消費データの

毎年提出の義務化

• 第 1 回 BCA ビルディング・エネルギー・ベンチマーキング・リ

ポート(BCA BEBR)を発刊、全国のビルのベンチマークを公開

• ビルのエネルギー消費量をモニターすることで、ビル居住者や

ユーザーの積極的なエネルギー効率性向上や持続可能なエネル

ギー消費行動を奨励 既存ビル向けの環

境持続可能性の最

低基準達成の義務

• ビルの冷却システムを据付または交換する段階で、環境持続可

能性の最低基準に適合させる

• 延床面積 15,000 平方メートルの単独もしくは複数使用のホテ

ル、リテール、オフィスビルに適用 ビル冷却システム

の効率及び最低基

準遵守についての

定期エネルギー監

査実施の義務化

• ビル冷却システムにエネルギー監査を実施し、システムがライ

フサイクルに沿って運転されていることを確認する

• 2014 年 1 月 2 日以降に大幅なエネルギー使用量の変化があった

既存ビルに適用

屋内環境性能の改

善と居住後評価

• 良好な屋内環境性能を達成するため、さまざまな建築基準を検

討していく

• グリーンマーク認証施設には、定期的な屋内空気環境監査を実

施させる 出所)シンガポールの「第 3 次グリーンビルマスタープラン」を基に作成(三菱総合研究所において和訳)

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参考資料 2 マレーシアの「NATIONAL GREEN TECHNOLOGY MASTER PLAN」14に

おける建築分野の関係箇所の抜粋(仮訳)

建築物部門

建築物分野は、持続可能な建築及びグリーンビルの意欲的な目標を実現する上で、大

きな進歩を遂げている。プロジェクトや方策としては、グリーンビルの格付け、工業化

建築システム工法(Industrialised building system:IBS)、グリーンビル設計、グリーン建

材、及びグリーン製品ディレクトリ等がある。政府は、2020 年までに連邦地区内の官公

庁ビルにおけるエネルギー消費量の 5%削減を目指すイニシアティブとグリーンビル格

付け政策によって、取り組みを主導してきた。 特に課題として挙げられるのは、グリーン技術・資材の高い投資コスト、建築物のエ

ネルギー強度(BEI)に大きく影響する建築物エネルギー基準に対する規制上の促進因

子の欠如、建材に関する持続可能性の性能基準の不備、持続可能な建材に関する研究不

足、建築業界におけるより高スキルの労働力の必要性等である。推奨事項としては、格

付け及び監査ツールの標準化、また、現場での廃棄物の発生を減らし、建材におけるリ

サイクル資材の割合を増やすことで、建築業界を循環型経済の方向へ進めることが挙げ

られる。 建築物部門に関する目標を下表に示す。

表 マレーシアの建築物部門の目標

部門/分野 2020 年 2025 年 2030 年

グリーンビル設計

アクティブデザイ

ン - MEPS

MEPS 法 電化製品 11 種類 現在のMEPS格付

けを改訂

電化製品 16 種類 ASEAN SHINE に

合わせてMEPS格

付けを調整

全ての電化製品 ユニバーサルな

MEPS 格付け

建築物の認定数 550 - 1,750

パッシブデザイン - BEI

建築物のエネル

ギー規制 BEI 120

分野別 BEI 90 分野別 BEI<60

持続可能な建築の実践

建築方法 - IBS

公的プロジェク

ト ス コア 70 ~

100% 民間プロジェク

ト ス コア 50 ~

新技術(自動レンガ積み等)

14 http://www.kettha.gov.my/portal/document/files/Green%20Technology%20Master%20Plan%20Malaysia%202017-2030.pdf (最終アクセス 2018 年 2 月 26 日)

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100%

建築廃材 未定

グリーンビル建材

原材料 - リサイクル資材

の含有率

未定 コンクリート及びその他資材におけるリサイクル資材の含有

率(%) 5.2 現在の展望

5.2.1 グリーンビルの設計と運用

5.2.1.1 自主的な建築物のエネルギー基準

グリーンビル設計は、2001 年に自主的 MS1525:非居住用建物のエネルギー効率に関

する実施規則が導入され、正式に開始された。これは、床面積 4,000 m2以上の商業ビル

の設計仕様を対象としている。

MS1525 について

MS1525 は、推奨される対策を示し、建物のさまざまな要

素(建物の基礎構造の最大許容熱伝導率、照明の最大電力

密度等)に関するエネルギー性能基準を定める。 MS1525 には、2 つの改訂版がある(2007 年の改訂版 1 と

2014 年の改訂版 2)。MS1525 は自主的手段であり、建築業

界における牽引力はほとんどない。建物外皮エネルギー性

能の要件を統一建築細則に組み込もうという取り組みはな

かなか進まず、これまでのところ、導入したのはセランゴ

ール州(2012 年)、トレンガヌ州(2013 年)、ペナン州(2016年)の 3 州のみとなっている。

5.2.1.2 電気機器の最低エネルギー性能基準(MEPS)

エネルギー委員会は、一連の電気機器及びモーターを対象とした MEPS を開発した。

また、エネルギー委員会は、マレーシア国内で販売される機器に MEPS のラベルを義務

付けている。MEPS ラベルに関しては、機器や電気モーターの種類を追加し、マレーシ

アの MEPS エネルギー格付けと今後の ASEAN-SHINE プログラムをすり合わせ、地域

的に統一された MEPS にするという計画がある。 5.2.1.3 自主的グリーンビル格付けツール グリーンビル・インデックス(GBI)

グリーンビル・インデックスは、MS1525 における建物のエネルギー仕様の普及

を促進するために作られた。GBI は、マレーシアの気候や法的要件に合わせてカス

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タマイズされた最初のグリーン格付けツールである。GBI は、マレーシアグリーン

ビルディング連盟(MGBC)及び WGBC にも認められており、関連付けがある。 マレーシア炭素削減及び環境持続可能性ツール(MyCREST)

MyCREST は、建築環境のライフサイクル全体を考慮した、CIDB(Construction Industry Development Board)が使用する炭素格付けツールである。公共事業省は、

2016 年以降、5,000 万 RM 以上の新築建物は MyCREST の認証を受けなければなら

ないという目標を設定している。

5.2.1.6 グリーンビルに関する人材育成 グリーンビルの技能に関しては集中的な人材開発が進められており、それは、様々な

研修コースの実施数や、グリーンビル専門家の認定数に表れている。グリーンビル・イ

ンデックス(GBI)、建築物部門のエネルギー効率プロジェクト(BSEEP)、マレーシア

エネルギーサービス事業者協会(MAESCO)、マレーシア環境技術公社(MGTC)、建設

産業開発局(CIDB)、不動産・住宅開発業者協会(REHDA)、持続可能エネルギー開発

庁(SEDA)、エネルギー委員会(ST)等により、過去 5 年間で 1,000 近くのコースが行

われた。

5.2.2 持続可能な建築の実践

5.2.1.1 工業化建築システム工法(IBS)

建築物のライフサイクル全体を通じて、GHG 排出の 15%が建設段階で発生しており、

残りの 85%が建物の稼働期間に発生するものである。建設中の GHG 排出に対処するた

め、政府は建築の持続可能性を改善し、炭素排出量と廃棄物発生を削減する手段として、

工業化建築システム工法(IBS)の採用を支持してきた。IBS とは、管理された環境(オ

フサイト、オンサイトの両方)で構成部材を製造して、現場で組み立てるという建築方

式を指す。マレーシアで主に利用されている 5 つの IBS の種類は次の通り。 • プレキャストコンクリートの骨組み、パネル、ボックスシステム • プレハブの木材骨組みシステム • 鉄鋼系構造システム • 鉄骨システム • ブロック工事システム IBS スコアの最大値は 100 である。IBS スコアが高いほど、現場における労働力や廃

棄物の削減、建築の高品質化、整頓と安全が行き届いた建築現場であること、プロジェ

クトの迅速な完了、建築コスト削減の度合いが高いことを示す。従って、IBS システム

は、現在はリサイクルが進んでいない建築廃材の量を減らす上で重要な要素となる。 現在、1,000 万 RM~5,000 万 RM の公共プロジェクトの内、IBS スコア 70 を達成し

ているのは 24%に留まっている。また、1,000 万 RM 以上の民間プロジェクトにおいて

IBS スコア 50 を達成しているのは 14%となっている。

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これまでのところ、IBS の採用率を向上させるため、建設産業改革計画(CITP)にお

いて包括的な戦略が策定されている。 この戦略では、まず、その後の実践計画の後押しとなるような、制度的枠組みの策定

を目指す。 • 持続可能な建築における技術革新の推進 • 環境面の持続可能性の格付け及び要件に対するコンプライアンスの推進 • 持続可能な実践に関する責任を主導する公共プロジェクトに注力 • 持続可能な実践の業界における採用の促進 • 建築中の無責任な廃棄物取扱いの削減 CITP は、財務省(MOF)通達 1PPL 1/2013 に則し、1,000 万 RM 以上の全ての公共プ

ロジェクトに、70 以上の IBS スコア達成を義務付けることで、IBS の採用率向上を目指

している。加えて、1,000 万 RM 以上の民間プロジェクトについて、2020 年までの IBSスコア 50 の達成率 100%を目標として設定している。(下表)

表 2020 年までの IBS 採用目標

現在(2016 年) 目標(2020 年)

1,000 万 RM~5,000 万 RM の公共プロジェ

クトの内、IBS スコアが 70 の割合 24% 100%

1,000 万 RM 以上の民間プロジェクトの内、

IBS スコアが 50 の割合 14% 100%

5.2.3 グリーンビル建材

5.2.3.1 グリーンビル建材

グリーンビル建材とは、環境に優しい製造方法を用い、建物内で利用されるその耐用

年数全体にわたってエネルギー消費量と環境負荷を抑えることができる資材として特

徴付けることができる。マレーシアでは、SIRIM エコラベルにおいて、資材がエコラベ

ル認証を得るために満たさなければならない具体的な要件が定められている。 現在市場で入手できるグリーンビル建材の例を以下に挙げる。

フライアッシュ等のリサイクル材を含むセメント 高圧ラミネート、天井板、仕切り板、フローリング、パネル用材、接着剤、シーラ

ント製品等の製造に際し、危険性の低い素材の利用や、原材料使用量の少ない内装

建材 揮発性有機化合物(VOC)や有害な薬品の使用料が少ない塗料、及び建物内部の温

度を約 5~10%下げるよう設計された外壁塗料

5.2.3.2 グリーン製品ディレクトリ

現在、グリーンビルの建材調達を奨励するための 2 つの製品情報ソース(MyHijau デ

ィレクトリとグリーンページ・マレーシア)が存在している。これら 2 つのディレクト

リに登録される製品には、認定された認証機関によるエコラベルの認証が求められる。

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82

これは、開発事業者、建築事業者及び消費者が、環境への影響を考慮した製品の購入決

定を行うために役立つ仕組みである。 さらに、MyHijau ディレクトリにラベリングされている製品は、グリーン製品・サー

ビスを優遇するように 2014 年に導入されたマレーシア投資開発庁(MIDA)のグリーン

投資課税控除(GITA)のインセンティブの対象となっている。

5.4 今後に向けて

5.4.1 グリーンビルの設計と運用

5.4.1.1 Near Zero Energy Buildings (NZEB)の目標と規制

2040 年に Near Zero Energy Buildings シナリオを達成するために、政府は、包括的な建

物のエネルギーコスト、建物のエネルギーラベリング及び電化製品のエネルギー性能基

準の要件を定める、Energy Efficiency and Conservation Act(EECA)の草案作りを行う意

向である。この規制は、2019/2020 年の施行を目指している。それに続いて、マレーシ

ア国内の種々のタイプの建物に関する、2030 年と 2035 年の BEI 目標を定めることがで

きる。

5.4.2 持続可能な建築の実践

CIDB は、建築の実施方法を変更するために、建築業界改革プログラム(CITP)を展

開してきた。これは、業界関係者が、建築業界が環境に与える影響を緩和するための適

切な計画を採用することを奨励するものである。 CITP の継続的な実施の目的は次の通り。 • 様々な方法を通じた EBS の財務的実行可能性の改善 • 現場での廃棄物発生量の削減 • 中核的研究拠点(CoE)を通じた能力開発 • グリーン技術要件を含む、建築仕様に関するマレーシアの規格の開発

5.4.3 グリーンビル建材

2022 年までに、CIDB は主要ステークホルダーと協力し、優先地区における建築及び

解体(construction & demolition、C&D)廃棄物リサイクルのための機材調達を促進し、

建築にリサイクル建材を利用できるようにする政策の改正に取り組んで行く予定であ

る。 民間部門は、主要プロジェクトの建築に、部分的にリサイクルされた建材の使用を推

奨又は義務付ける政策策定において、CIDB と協力することが推奨される。政策開発を

支える関連研究を確立するための政府による促進策も実施される。

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83

表 5-3 2020 年から 2030 年の目標に向けたイニシアティブ

建築物部門

グリーンビルディング設計 エネルギー監査の条件付き助成金 Near Zero Energy Buildings の目標 グリーン格付けツールの標準化 建築仕様に関するマレーシアの規格 CIDB による中核的研究拠点(CoE)

持続可能な建築の実践 CITP の継続的実施 優遇税制による IBS の財務的実行可能性の向上 CoE を通じた能力開発

グリーンビル建材 C&D 建材のリサイクル実現のための機動的な

政策枠組み

Page 89: 平成29年度新興国等における省エネルギー対策・ … Swe Aye 氏(元ヤンゴン工科大学教授。ヤンゴン市開発委 員会の Committee for Quality Control

(様式2)

頁 図表番号

12 図 2-1 13 図 2-2 13 図 2-3 14 図 2-4 14 図 2-5 15 図 2-6 15 図 2-7 16 図 2-8 

34 図 3-1 

35 図 3-2 

54 図 4-1 55 図 4-2 56 図 4-3 57 図 4-4 58 図 4-5 59 図 4-6 

45 表4-175 表5-177 表5-2

78 表81 表83 表

タイの基準整備のガバナンスと規制構造

主な取り組み(第3の戦略目標関係)

マレーシアの建築物部門の目標2020年までのIBS採用目標2020年から2030年の目標に向けたイニシアティブ

ベトナムの基準整備のガバナンスと規制構造

建物平面図(3階)建物平面図(4~7階)建物平面図(8階)

二次利用未承諾リスト

平成29年度新興国等における省エネルギー対策・再生可能エネルギー導入促進等に資する事業(ASEANにおける省エネビルのモデル検討調査)

平成29年度新興国等における省エネルギー対策・再生可能エネルギー導入促進等に資する事業(ASEANにおける省エネビルのモデル検討調査)報告書

株式会社三菱総合研究所

主な取り組み(全体概要)ASEAN各国の省エネルギーに関連する政府目標

インドネシアの基準整備のガバナンスと規制構造マレーシアの基準整備のガバナンスと規制構造フィリピンの基準整備のガバナンスと規制構造シンガポールの基準整備のガバナンスと規制構造

シナリオ1(既存ローカル手法)のシミュレーション結果シナリオ2(最先端技術導入)のシミュレーション結果

建物平面図(2階)

タイトル

建物の概観図建物平面図(地下階)建物平面図(1階)

建物平面図(屋上階)