YAOYA PROJECT REPORT...

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PROJECT REPORT 2019 年度 八尾市デザインイノベーション事業 Loftwork 2020/03/10

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PROJECT REPORT2019年度 八尾市デザインイノベーション事業

Loftwork2020/03/10

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令和元年の夏、挑戦の幕があけた。

YAOYA PROJECT(ヤオヤプロジェクト)は、八尾のものづくりを世界へ広げるためのプロジェクト。これまであらゆる種類の生活雑貨や工業製品を生み出し、日本のものづくりを “裏側” から支えてきた八尾の企業たちと、その高い技術力を生かしたプロダクトを武器に、世界の表舞台へ挑みます。

この挑戦が5年、50年100年と続いた時、その挑戦は伝統となり、人はそれをブランドと呼ぶのかもしれません。

ものをつくる、世界を知る

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CONTENTS

プロジェクト概要

台湾のフィールドリサーチ

競合都市のフィールドリサーチ デスクトップリサーチ

企業の公募 勉強会 アイデア・クリエイターの公募

05 プロジェクトの背景06 プロジェクトの目的07 目的を達成するために08 目的達成のための仕組み09 ゴールの舞台に台北を選定した理由10 スケジュール11 八尾市を理解するための3つのリサーチ12 企業とクリエイターのマッチング13 プロダクト制作のための3つのアクション

04 05 06

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0415 実施目的と内容16 競合都市リサーチ時のポイント17 高岡市でのリサーチ18 燕市でのリサーチ19 東大阪でのリサーチ20 競合リサーチでの気づき

14 2425 実施目的と内容26 デスクトップリサーチでの気づき

3338 実施目的と内容39 メンター40 アイデア・クリエイター公募のポイント41 採択アイデア・クリエイター42 アイデア・クリエイター公募の気づきと課題

37

4647 実施目的と内容 48 台湾フィールドリサーチのポイント49 キックオフミーティング50 uDesignとのディスカッション51 フィールドリサーチのポイント52 フィールドリサーチ54 言語化・共有55 台湾フィールドワークでの気づきと課題

28 企業の公募方法29 採択企業

34 実施目的と内容35 海外市場勉強会36 デザイン経営勉強会

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展示会

085657 実施内容と目的58 プロダクト制作・展示のポイント59 ミートアップイベント60 展示アンケートの結果

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プロジェクト概要

CHAPTER

YAOYA PROJECTはなぜはじまったのか。またなにを目標とし、プロジェクト全体のプロセスはどのような意図で設計されているのか。

01

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プロジェクトの背景

⾦属やプラスチック製造業を中⼼とした⼋尾市の中⼩の企業たちは、これまで⾼い技術⼒で多くの⼤⼿企業のプロダクトを⽀えてきた。しかし競合の範囲が世界に拡⼤し、価格競争が加熱している昨今、下請けやOEMを主とした取り組みでは事業を維持するのが困難な状態だ。価格競争から脱却し、⼋尾を「製造業の街」としてリ・ブランディングしていくためにも、各企業が「製品開発⼒・営業⼒・ブランド⼒」を⾼めていく必要がある。

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八尾市と企業の課題

• ⼤企業の下請けが多く、「製品開発⼒・営業⼒・ブランド⼒」のある企業が少ない�

• 企業が、⾃社の強みや価値を⾔語化できていない�• 企業が、⾃社の製品の出荷後、どのように使⽤・販売さ

れているのか把握できていない�• 下請け・OEMを中⼼に製造を⾏ってきた企業が多く、

市場で取引先の商品とのバッティングを避ける必要があり、オリジナル商品をつくりにくい�

• 企業間で知識や技術の情報交換ができていない�• ⼋尾市外のクリエイターとの接点がない�• 企業に成功体験がなく、技術はあるのに⾃信がない

CHAPTER 01

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プロジェクトの目的

CHAPTER XX 6

企業が自社や市の特徴・価値を理解し、それを伝えられる八尾を牽引する

リードカンパニーの育成機会をつくること

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目的を達成するために

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企業がクリエイターと協働して新規プロダクトを創出し、台北で展示を行うことを目指す。

目標

• ⼋尾市・⾃社の強みや価値を理解し、⾔語化すること�• ⼋尾企業が外部クリエイターとの繋がりをつくること�• BtoC向けの新規プロダクトを制作すること�• 国内外でレセプションや展⽰を実施し、ユーザーのリア

クションを得ること�• 国内外で販路開拓をするためのネットワーキングの獲得�• 本プロジェクトで得た経験や知⾒の、⼋尾市内での共有�• 新しい市場に挑戦して、企業がカルチャーショックを感

じること

CHAPTER 01

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目的達成のための仕組み

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A1. これからのものづくりに求められる「デザイン」を、1社にでも多く体験してもらう

「⽇本のものづくりが厳しい」と多くの現場で⾔われる中で、“⾃社のブランド⼒を⾼める”�必要性が声⾼に叫ばれている。とは⾔え、「とっかかりすらわからない」という企業も多いのが現状。 YAOYA�PROJECTでは、経済産業省から出された「デザイン経営宣⾔」をベースに、「デザインをプロダクトや経営にどのように取り込むのか」を体験するきっかけをつくります。

A2. はじめてを経験し、失敗を重ねられる場所をつくる

⾃分たちで考え、また思い描いたビジョンを実現していくためには、多くのはじめてを経験し、失敗を重ねることが⼤切だ。しかし、事業の中で挑戦をしようとなると尻込みをしてしまうもの。⼋尾市やロフトワークが主体となり、場を提供することで、安⼼して挑戦と失敗を体験していただける場所をつくる。

A3. 継続する体制や、マインドを育てる

明⽇からすぐにヒットして売れる商品がつくれるわけではない可能性もある。しかし、このプロジェクトでまいた種が、数年後のヒット商品になる可能性も⼗分にあるはずだ。こうした地道な取り組みが企業の、ひいては⼋尾の100年後のブランドにつながると信じ、継続する体制やマインドを育てる。

CHAPTER 01

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ゴールの舞台に台北を選定した理由

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A1. プロジェクトの中で、多くのカルチャーショックを受けられるようにする

YAOYA�PROJECTでは、企業が「他者・他社と意⾒やアイディアを交わし合うこと」や、「⾃社のプロダクトが、さまざまな⽣活⽂化の中でどのように使われるのか知る」というプロセスを⼤切にする。できるだけ多くのギャップを体験し、バイアスを壊すためにも挑戦の舞台を国外である台湾に設定した。

A2. 海外挑戦をしやすい条件が揃っている

プロジェクトの中で企業が多くのカルチャーショックを受けることは⼤切だ。しかし、そのハードルが⾼すぎると挑戦することが難しくなる。台湾では若者を中⼼に⽇本のカルチャーやデザインが広く受け⼊れられ、⽂化的にも物質的にも距離が近い地域。移動や輸出のコストも⽐較的安く抑えられるため、はじめての挑戦には最適と考えた。

A3.デザインへの感度が高く、国際的な注目度が高い

近年、台湾のデザインは欧⽶のデザインアワードで受賞するなど、台湾国外での評価も⾼まっている。また国内でも多くのデザインフェスが⾏われ、デザインのハブとしてアジアの中で存在感を増しており、さまざまな国のバイヤーが出⼊りしている。

CHAPTER 01

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スケジュール

CHAPTER 01 10

7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

競合都市のフィールドリサーチ

デスクトップリサーチ

企業の公募

クリエイターの公募

勉強会

台湾のフィールドリサーチ

プロダクト制作

展示会

高岡市・燕市

東大阪市

海外市場勉強会デザイン経営勉強会

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1. 八尾市を理解するための3つのリサーチ

CHAPTER 01 11

八尾の企業訪問 デスクトップリサーチ 競合都市のフィールドリサーチ

⼋尾市の現在の状況を多⾓的に理解するために、3つの⽅法でリサーチを⾏った。�実施⽬的はプロジェクトの⽅向性を定め、⼟台をつくること。�その後の取り組みにリサーチ内容を反映し、適切なプロジェクト設計を⾏っていく。

⼋尾の企業の特徴や課題、ニーズを把握するために⼋尾市の事業参加の候補となる企業の訪問を⾏った。訪問時には事業の内容をヒアリングするとともに、どのような事業内容であれば参加への動機が⾼まるかをリサーチした。

国内の「ものづくり」や産業が、どのようにマーケットや事業の規模をスケールしていったのか成功や失敗の事例を集め、YAOYA�PROJECT設計時の参考とした。

⼋尾市に類似している都市に実際に訪れ、どのように企業の話を伺った。また同時に⾏政側にもヒアリングを⾏うことで、YAOYA�PROJECTを通じて、どのようなポイントを⽀援していくべきかを洗い出した。

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アイディア・クリエイターの公募

CHAPTER 01 12

企業の公募

YAOYA�PROJECTに参加する8企業を、オープンな形で募った。公募の際には、書類での経営の状況を申告いただくとともに、⾯談の時間を設け、プロジェクトを通じ、どのような課題をクリアしていきたいのかヒアリングした。

選定した8企業と、マッチングするためのクリエイターをAWRDというオンラインサービスを利⽤し世界中から公募した。申込時にはマッチングを希望する企業と⼀緒につくりたいプロダクトのアイディアを提案いただき、その情報を元に企業がクリエイターを選定した。

リサーチ後に、⽬的達成のための施策を決定。�上記に合わせ、企業やクリエイターの公募内容やメッセージを策定した。�参加が決定した企業は個別に取材を⾏い、紹介ページを作成。�クリエイター公募の材料とした。

2. 企業とクリエイターのマッチング

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3.プロダクト制作のための3つのアクション

CHAPTER 01 13

企業とクリエイターマッチ後は、プロダクト制作のために3つのアクションを設定した。�「台北での展⽰」に向けてプロダクト制作を⾏うのと並⾏し、新規アイディアの創出や、�マーケット理解のインプットとして、「勉強会」「台北フィールドリサーチ」を実施した。

勉強会 台北フィールドリサーチ 台北での展示

海外展開やクリエイターとの協⼒・開発に不慣れな企業も多いため、どのような点に気をつけるべきか講師を招いた勉強会を⾏った。また基礎的な考え⽅を⾝につけるため、LW主導でデザイン経営とはどういったものかを体験するワークショップも実施した。

制作を予定しているプロダクトが、マーケットに受け⼊れられるものなのかどうかを調査し、どのような販路があるか把握するために台北でのフィールドリサーチを実施した。同時にプロダクトをブラッシュするためのアイディアを探し、その後の開発に⽣かした。

ユーザーのリアクションを得るために、制作したプロダクトを台北で展⽰した。YAOYA�PROJECT全体の取り組みが伝わるように冊⼦を作成し、またフィードバックを得られるように意⾒箱を設置した。

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競合都市のフィールドリサーチ

CHAPTER

国内で外部に向けて積極的な発信を行っている「ものづくりの街」を視察した。行政や、企業がそれぞれどのように連携し取り組みを行っているのか、またクリエイターとどのようにコラボレーションを行ってきたのかプロジェクトのヒントを得るとともに、差別化のポイントを探る。

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CHAPTER 02 15

1. ⼋尾市がプロジェクトを通じてどのような街として国内外で認知されるべきかを策定する�

2. プロジェクトでどのようなポイントが企業にとってメリットや負担にななり得るかを調査する�

3. 海外展開を⾏うに当たりどのような仕掛けが必要か、取っ掛かりの⽰唆を得る

リサーチ対象都市の選定

リサーチの対象都市を選ぶために⽇本全国の「ものづくりの街」を洗い出した。その中から、以下条件にマッチする「⾼岡市・燕市・東⼤阪市」の3都市を策定した。�

• 外部クリエイターとの連携が積極的に⾏われていること�• 海外に向けて開かれた取り組みが⾏われていること�• ⾏政との連携が盛んに⾏われていること

工芸 工業

BtoC

BtoB

高岡

東大阪

実施目的

実施目的と内容

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競合都市リサーチ時のポイント

CHAPTER 02 16

どのように街のブランディングを⾏い、またどのような取り組みで参加する企業の気持ちを醸成していったのか、街ごとに⾏われているブランディングの構造を紐解いた。

視察先の選定は、現地の市役所の産業担当者や、企業の⻘年会の⽅を窓⼝に⾏った。また当⽇も同⾏いただき、取材先とのスムーズな関係構築を⾏った。

視察ガイドの作成

⾏政・企業の2つの視点から視察を⾏うことで、プロジェクトを⽤意する側と、参加する側双⽅の認識を洗い出し、またそのギャップからプロジェクトにおける注意点を洗い出した。

事前に視察時のポイントを⼋尾市と協議の上策定。短い時間でも必要な情報が集められるよう、取材先にも事前に配布し認識のすり合わせを⾏った。

現地コーディーネーターのアサイン

行政・企業、2つの視点での視察の実施

ブランディングの構造を探る

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高岡市

CHAPTER 02 17

特徴は、銅器を中⼼とした伝統⼯芸と近代産業の融合と、企業の分業だ。30年ほど前からはじまった銅器産業の落ち込みは、⼯業を中⼼として発展してきた他の都市よりも早い段階で問題が顕在化。そのため、早期から産業の転換がはかられており、多くの伝統⼯芸職⼈が柔軟に新しい技術や知識を取り⼊れ市場の開拓を⾏っている。�

また上記の活性化に寄与しているのは地元の⼯芸⻘年会の存在だ。同業者でも競争することなく協⼒しあって、情報や知⾒の交換を⾏う他、⼀緒になってオープンファクトリーなどのイベントを開催している。

富山県

伝統工芸と近代産業が溶け合う街

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高岡市の取材内容

CHAPTER 02 18

取材日:2019年7月25日(木)

有限会社モメンタムファクトリー・Orii

漆器くにもと

富山県総合デザインセンター

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シマタニ昇龍工房

株式会社 能作

高岡市デザイン・工芸センター

国内外の多くの展⽰会に出展している、⾼岡の中⼩企業のスター。染めの技術を⽣かした建材を開発し、販路を⼤きく開拓した。今では多くの企業やクリエイターとコラボレーションし、様々なプロダクトを開発している。

おりんの製造のみを⾏っていた⼯房。製造に求められる⾼い「叩く」という技術を⽣かして、⾃由に折り曲げられる「すずがみ」という錫の⾷器を開発した。現在は和菓⼦の⽫などに⽤いられる他、関東の多数のセレクトショップで取り扱われている。

2000年代に急成⻑を遂げた⾼岡の有名企業。2017年にできた⾃社⼯場で、⽇々オープンファクトリーとして来場者に製造の現場を⾒せるとともに、多くのクリエイターとコラボレーションした制品を開発。世界を舞台に出荷を⾏っている。

⾼岡の伝統⼯芸の保存と、産業の発展のための活動を⾏っているデザインセンター。市レベルでデザインセンターを持っている地域は少ない。毎年、デザインセンター主導で勉強会が⾏われ、テーマに沿った商品の開発などが⾏われている。

富⼭県にとどまらず国内外のクリエイターに開かれた国際コンペティションを実施するなど、デザインを⽤いて「産業・地域の発展」に寄与。バーチャルスタジオや、3Dプリンタを有し、有名な⾞メーカーのテストも⾏われている。

⾼岡の製造品を販売する卸・⼩売店であり、「⾼岡クラフト市場街」の中核メンバー。製造は⾃社で⾏っていないものの、メーカーとコラボレーションして新しい商品を開発している。

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CHAPTER 02 19

燕市燕市は隣接する三条市とともに国内では早期からオープンファクトリー「⼯場の祭典」を⾏い、「ものづくりの街」として認知度を⾼めてきた。産業は⾦属加⼯・カトラリーに特化しており、駅で燕・三条産のプロダクトが販売されているなど、街をあげて⽀援が⾏われている。�

素材や物流に恵まれた地域ではなく、ここ数百年の間に何度も産業の転換を⾏ってきた。そのため継承してきた最⼤の武器は⾦属加⼯の技術そのものであり、製造のプロセスにフォーカスしたストーリーづくりを各企業が⾏っている。

金属の加工・製造に特化した街

新潟県

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燕市の取材内容

CHAPTER 02 20

取材日:2019年7月26日(金)

玉川堂

燕市役所

藤次郎株式会社

株式会社 タケダ(TAKEDA DESIGN PROJECT)

⼆百年続く鎚起銅器の⽼舗。⼯場は常にオープンな状態で、多くの観光客や学⽣が訪れており、⾒学した学⽣が就職することも。⼯業というより⼯芸に近く、⼈間国宝も排出している名⾨。「⼯場の祭典」でも中⼼となって運営を⾏う。

「どのように企業と連携し、⽀援を⾏っているのか」にフォーカスし意⾒交換を⾏った。燕市も⼈⼝の減少が進み、多くの企業が後継者を探している状況。⾏政は移住希望者の住居や職探しを⼿伝うなど親⾝になって⾐⾷住をセットにしたサポートを⾏っている。

ナイフの製造・⽣産から出発した刃物メーカー。⽇本でも数少ない⼀貫製造のメーカー。⾼いデザイン性で、海外の「iFデザイン賞」などを受賞するほか、⾼級箸メーカーのマルナオとのコラボレーションを実施している。

株式会社タケダの⾼い切削技術と加⼯技術を⽤いて新しい⾦属製品を⽣み出すことを⽬的に、プロダクトデザイナー秋⽥道夫⽒がTAKEDA�DESIGN�PROJECTをプロデュース。これまでにステーショナリーを中⼼にユニークなプロダクトを発表している。

燕市産業史料館燕市の産業をアーカイブした資料館。知識だけでなく、鎚起銅器などの燕市の産業を⽀える技術の体験ができる。過去の産業の興りに加え、燕市の企業を対象に年に⼀度⾏われている「GOOD� DESIGN� AWARD」の受賞製品を展⽰。町をあげて産業を⽀援する姿がここにも表れている。

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CHAPTER 02

東大阪市東⼤阪市は⼋尾市に隣接しており、⼋尾市によく似た産業を持っている。⼟地を探す企業や企業が、⼋尾市と東⼤阪市のいずれかで迷うケースもあり、その時々、⾒つかった場所で事業を開始する。全国的な知名度で⾔えば、東⼤阪市が⼋尾市を上回っており、「ものづくりの街」としてのブランディングに成功していると⾔える。�

強みは⼋尾市に⽐べ⼤阪市に近く、交通の要所であること、⼤阪市のベッドタウンとしても⼈⼝が多い。その分昼間には⼈が少なくなるなどの課題も抱えている。

八尾によく似た産業を持つお隣の都市

大阪府

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東大阪市の取材内容

CHAPTER 02

取材日:2019年7月31日(水)

東大阪市役所

株式会社 盛光SCM

「どのように企業と連携し、⽀援を⾏っているのか」の意⾒交換を⾏った。⼋尾市と同様の「ブランディング」や「デザインシンキング」に関する学びの機会に加え、産学官連携で、東⼤阪に所属する企業が⾃由に使えるフォントを作成するなどユニークな取り組みも⾏っている。

へら絞りを⽤いて照明器具を制作しているメーカー。「JAPAN� SHOP� 2019」や「LIGHTING� FAIR� 2019」など国内のイベントへ積極的に出展している。またミラノサローネなどの出展も⾏っており、「世界」を視野に商品開発を実施。海外出展への⾜がかりのつくり⽅に重きをおいて話を伺った。

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競合リサーチでの気づき

CHAPTER 02

企業が自立して継続するための支援が必要

⾏政の⽀援は、予算の関係から1-3年で実施されることが多い。ただ事業が芽を出すまでには3-5年かかるとの話が多かった。そのため、⼀年で結果を求めるのではなく、いかに考え⽅や仕組みをインストールし、企業がプロジェクト終了後も継続して⾃⾛できるように⽀援するかが⼤切。

トライ&エラーの数が重要

いずれの企業も⼝を揃えて話していたのは、「看板商品の裏には無数の失敗作がある」ということ。マーケットを定め、製品をつくるにも何度もトライ&エラーを重ね少しずつ調整を⾏っていく必要がある。いかに失敗できる環境を整えるか、それが⾏政主導で⾏うプロジェクトの肝なのかもしれない。

海外展開は良い現地コーディネーターを見つけること

海外展開には、現地のコーディネータが必要不可⽋との声が多かった。展⽰会に⼀年だけ出展しても、なかなかあとには繋がらない。継続して出展をし、少しずつコネクションをつくる必要がある。良いコーディネーターがいれば、プロダクトの開発に注⼒することもできる。

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デスクトップリサーチ

CHAPTER

国内で行われている「ものづくり」や、「クリエイターとのコラボレーション」、「海外展開」に関する取り組みについてデスクトップリサーチを行った。国内外のトレンドを把握し、どのような設計を行えばステークホルダーにとって魅力的なプロジェクトとして設計できるのかを探った。

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CHAPTER 03

すでに多くの都市や企業が、世界の同業他社と差別化をはかり、独⾃性を⾼め価格競争から脱却するために様々な取り組みを⾏っている。�

こうした成功や失敗の事例を広く集めることで、�プロジェクトに巻き込むべきステークホルダーの把握や、またそのステークホルダーにとってどのようなことがメリットやリスクとなり得るかを把握することで、プロジェクト設計の精度を⾼める。

調査シートhttps://docs.google.com/spreadsheets/d/18hs7WH9RzEcJUD3vOcDFnaj1pnOUjOWt8s6YFGeNkII/edit?usp=sharing

実施目的

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実施目的と内容

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デスクトップリサーチでの気づきと課題

地方企業はクリエイターとマッチングできていない

都⼼部以外の地⽅は、クリエイターとの出会いが極端に少ない状況だ。そのため、企業は誰に頼むべきかもわからない状況。多くの⾏政のプロジェクトが⽀援しているのはこのマッチングの部分であり、⼤切なのはスキルに加え、⾜を運び同じ⽬線で企業と話ができるクリエイターを⾒つけ出すこと。中でも実績を求める若⼿デザイナーは相性が良い存在だ。

プロダクト制作以降の支援も必要

いずれのプロジェクトでも、制作・展⽰は実施していたが、その後の販路開拓まで⾏っているものは多くなかった。しかし、企業がつまずきやすいのは販路開拓であるとの情報も⼊ってきている。多くのBtoB企業は誰に、どのように商品を届けるかがわからない上に、コネクションがない。販路について学ぶ機会や、コネクションを⽤意するのは効果的である。

プロジェクトのステートメントに共感ができるか

企業は⽇常の業務に忙殺されて、プロジェクトへの気持ちが途切れてしまうという話もよく聞く。こういった現象を防ぐために、YAOYA�PROJECTではステートメントを掲げ、それに賛同する企業に参加いただくこととする。あくまで⾃分たちの意志でプロジェクトを進めることを尊重することで、脱落を防ぎ⾃⾛するきっかけをつくる。

CHAPTER 03 26

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企業の公募

CHAPTER

YAOYA PROJECTに参加する8の企業を、オープンな形で募った。公募の際には、書類での経営の状況を申告いただくとともに、面談の時間を設け、プロジェクトを通じ、どのような課題をクリアしていきたいのかヒアリングした。

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公募にあたっては書類審査と⾯談を⾏い、経営の状況を把握するとともに、本プロジェクトを通じてどのような課題をクリアしていきたいのかヒアリングした。�

⾯談には⼋尾市産業政策アドバイザーである奥⽥充⼀⽒にも同席いただき、最後までプロジェクトに参加いただけると判断した8企業を採択した。�

書類提出

審査 (書類+面談)

採択

2019年8⽉20⽇(⽕):公募受付開始�2019年8⽉21⽇(⽔):公募説明会�2019年9⽉03⽇(⽕)�:公募締切�2019年9⽉04⽇(⽔)�:企業⾯談�2019年9⽉09⽇(⽉)�:審査結果通知

実施内容

CHAPTER 04 28

実施目的と内容

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No. No.

主な商材・サービス 主な商材・サービス

採択企業

ホトトギス株式会社藤田金属株式会社 21

蚊帳(かや)ふきん専⾨の縫製会社。通気性が⾼く、乾きやすいという蚊帳⽣地の特徴を活かした商品を製造している。看板商品の蚊帳ふきん「Sodateru�Fukin」を中⼼に、マットやブランケットなど、商品ラインナップを広げている。

フライパンや鍋を中⼼に、キッチン⽤品の製造販売を⾏っている。創業当初はアルミの急須や給⾷⽤の⾷器などをつくっていたが、40数年前からフライパンの製造を開始。時代のニーズに合わせて、鉄のフライパンからコーティング加⼯されたフライパン、浅型・深型のものまで、年間12万個もの様々な商品を製造・出荷している。

• 鉄製調理器具(フライパン・鍋)、アルミ製タンブラー・急須・ティーポット、天ぷら鍋など • 蚊帳ふきん、バスマット、トートバッグ、ケット、エプロンなど

CHAPTER 04 29

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No. No.

主な商材・サービス 主な商材・サービス

ラピス株式会社有限会社大一創芸 43

1⽇およそ3万本もの⻭ブラシや⾆ブラシづくりを⾏う、オーラルケア⽤品の製造会社。⼤⼿メーカーからの発注を受けた商品だけでなく、⾃社オリジナル商品も多数扱っており、看板商品は、⻭科医院などで使われる「ワンタフトブラシ」。円錐状に切られたブラシが特徴で、⻭間などの清掃に重宝されている。

ふくさを中⼼に慶弔⽤のバッグ、他布製品全般の製造を⾏う専⾨業者。ほぼ受注⽣産だったものの、2015年からオリジナルの⾃社商品の製造を開始。細かく折りたたむことができる機能性を持たせたり、ポップなテキスタイルを⽤いたりと、冠婚葬祭のシーンが多様化する現代にフィットした「スタイルふくさ」を開発するなど新しい形を模索している。

• ふくさ • ⻭科医院向け⻭ブラシ、ノベルティ⻭ブラシ、ワンタフトブラシ、スケーラー(⻭⽯除去)ブラシ、ペット⽤⻭ブラシ、ネイルブラシ、その他特殊な⼯業⽤ブラシなど�

• オンデマンド印刷機による⻭ブラシの柄にキャラクター・名⼊れなど

CHAPTER 04 30

採択企業

Page 31: YAOYA PROJECT REPORT mastert...12万個もの様々な商品を製造・出荷している。•鉄製調理器具(フライパン・鍋)、アルミ製タンブラー・急須・ティーポット、天ぷら鍋など

No. No.

主な商材・サービス 主な商材・サービス

• 射出成形⾦型、画像からの転写加⼯、彫刻加⼯、刻印作製、造形• ⼯業⽤ゴム・樹脂製品の製造・販売(事務機器・弱電・⾷品衛⽣・医療機器・⾃動⾞・重⼯業・ガス機器)�

• ⾃社ブランド⼟⽊資材・製品(キャッスルボード・キャッスルシール)の⽣産・販売�• 視覚障がい者向け歩⾏誘導ソフトマット「歩導くん」の製造・販売・施⼯

赤坂金型彫刻所錦城護謨株式会社 65

三代⽬が運営する熟練の彫刻技術と最新の加⼯機を組み合わせた⾦属加⼯・⾦型製造の会社。繊細なのにエッジが効いた彫り物が特徴で、家電製品の部品やロゴプレート、焼印やフライパン⽤の刻印など、⼩さな⾦属を加⼯することに⻑けている。現在、写真を⾦属板に転写加⼯するサービスなども⾏うなど、その技術に磨きをかけている。

魔法瓶や炊飯ジャーの蓋の内側のパッキン、内臓を保護するために内視鏡に取り付けられた先端、オリンピックの⽔泳のメダリストが使⽤するゴーグルのベルトやキャップなど、世の中のあらゆる商品を影から⽀える⼯業⽤ゴムの製造販売を⾏っている。

CHAPTER 04 31

採択企業

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No. No.

主な商材・サービス 主な商材・サービス

有限会社ルネセイコウ株式会社オーツー 87

国内⽣産であることにこだわり、強くて使いやすい椅⼦を製造販売している。⾦属に特化した加⼯技術は、海外産にはない強靭な耐久性を⽣み出している。折りたたみ椅⼦やワークチェアなど、技⼯を⽣かしたプロダクトを得意とし、ユーザーの「こういうものがあればいいのに」といった想いを形にしたアイデアあふれる商品を世に出している。

BtoBに特化した椅⼦とテーブルの製造メーカー。鉄⼯所として創業した後に、「ラッパ脚のイス」の製造を主⼒に、業務⽤の家具づくりへと事業を拡⼤した。カタログの商品に加え、個別のデザインオーダーにも対応。2011年に新ブランド「QUON」を⽴ち上げて以降、活躍のフィールドを世界へ広げつつある。

• 業務⽤イス・テーブルの製造・販売 • スチール家具・⽊製家具その他家庭⽤品の製造販売及び輸出⼊

CHAPTER 04 32

採択企業

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33

勉強会

CHAPTER

海外展開やクリエイターとの協力・開発に不慣れな企業も多いため、どのような点に気をつけるべきか講師を招いた勉強会を行った。またプロジェクト参加におけるマインドセットを身につけるため、LW主導でデザイン経営とはどういったものかを体験するワークショップも実施した。

05

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CHAPTER 05 34

YAOYA�PROJECTでは「海外市場勉強会」と「デザイン経営勉強会」2つの勉強会を実施した。各勉強会実施の狙いは以下である。

海外市場勉強会

• 海外の市場で販売を⾏う際に起きやすいトラブルについて把握すること�

• 今の台湾市場のトレンドを知ること�• フィールドワークで⾒ておくべきポイントを押さえる�• クリエイターとの共同開発時に揉めやすいポイントを

理解しておくこと

デザイン経営勉強会

• 「デザイン」がどういったものかを理解すること�• 企業が⾃分たちの「やりたいこと・⾃社の価値」を⾔

語化すること

実施目的と内容

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DAY

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海外市場勉強会では、トランクデザイン株式会社の堀内康広と合同会社シーラカンス⾷堂の⼩林新也を講師に招き、それぞれが経験してきたことについて話を伺った。�

堀内⽒は兵庫県を中⼼とした多くの職⼈や企業から依頼を受け、プロデュースを⾏ってきた。またプロデュースを⾏った商品のいくつかを台湾に卸し、また展⽰会での販売を⾏っている。⾃⾝が売り⼦となり、最終ユーザーと多く接してきた経験からどのような商品が台湾で求められているのかを中⼼に語っていただいた。�

⼩林⽒は欧⽶での販売経験が豊富なプロデューサー。これまでに⾃⾝もクリエイターとして多くの企業とのコラボレーションを⾏ってきた。クリエイター視点から⾒た共同開発時の注意点や、海外出店時に起きやすいトラブルやリスクを中⼼に語っていただいた。

海外市場勉強会日時:2019年10月1日(火)場所:八尾商工会議所参加人数:約15名(企業)

勉強会

1

講師• 堀内 康広(トランクデザイン株式会社 / 代表取締役・クリエイティブディレクター)

• 小林 新也(合同会社シーラカンス食堂 / MUJUN 代表・デザイナー)

CHAPTER 05

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DAY

36

デザイン経営勉強会では、LWプロデューサーの篠⽥を招き講義を⾏った。デザインとはどのようなものか、またそれがどのように形を変えてきたのか、なぜ今デザインが経営にまで必要なのかを過去の事例を交えて紹介した。�

また後半は「妖怪ワーク」を実施。⾃分が妖怪だったら?というifの世界をベースに、「⾃分が⽣きづらいと感じていることを吐露し、どのような世界を求めているのか」を⼆⼈⼀組になって探り合うことで、デザイン経営における最も重要な「⾃分たちが何を⼤切にしているのか」という価値観を⾔語化した。

デザイン経営勉強会日時:2019年10月9日(水)場所:みせるばやお参加人数:約15名(企業)

勉強会

2

講師• 篠田 栞(LOFTWORK)

CHAPTER 05

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アイデア・クリエイターの公募

CHAPTER

選定した8企業と、マッチングするためのクリエイターをオンラインサービスのAWRDを利用し世界中から公募した。クリエイターはマッチングを希望する企業と、プロダクトのアイデアを提出。集まったアイディアを元に企業がクリエイターを選定した。

06

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アイデア・クリエイター公募の⼿段として、共創プラットフォーム『AWRD(アワード)』を活⽤した。「こころを豊かにするプロダクト」をテーマに、各企業が持っている技術や素材を活かしたプロダクトのアイデアを募集。�

公募開始前には1企業ずつ取材を⾏い、それぞれの事業の「特徴・魅⼒・課題」を洗い出した上で⽇本語・英語・中国語で記事を作成。国内外問わずクリエイターがアイデアを応募できる環境を整えた。

CHAPTER 06

AWRD|YAOYA�PROJECT�公募期間:2019/09/19(⽊)�-�2019/10/20(⽇)�URL:https://awrd.com/award/yaoya-project�

公募結果�応募アイデア数:96個�応募クリエイター数:60名�応募地域:⽇本、台湾、⾹港、マレーシア

実施内容

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実施目的と内容

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審査員

堀内 康広

2009年に「トランクデザイン」を、神⼾垂⽔・商⼤筋にオフィス&ショップをオープン。地場産業のプロデュースやブランディング、百貨店広告などのディレクションやデザインを幅広く⼿がけ、2011�年には兵庫県のモノづくりを紹介する「Hyogo� craft」を⽴ち上げ、兵庫県の間伐材や地域材を活かしたオリジナルプロダクト「森の器」、播州織の職 ⼈ と つ く る アパ レ ル ブ ラ ン ド 「 i R o D o R i 」 ・「megulu」、淡路島のお⾹メーカーともに⽇常で使えるお⾹ブランド「Ku」「Daily」も⼿掛ける。2018年台湾のデザインアワード「Golden�Pin�Design�Award」3プロジェクト⼊賞、1プロジェクト最優秀賞受賞。2018年4⽉に印刷会社(有)グラミックプロセスを事業継承し3代⽬として就任。

トランクデザイン株式会社代表取締役・クリエイティブディレクター

小林 新也

1987年兵庫県⽣まれ。2010年、⼤阪芸術⼤学デザイン学科卒業。2011年、イノベーションデザインを⾏う「合同会社シーラカンス⾷堂」を地元の兵庫県⼩野市に設⽴。播州刃物や播州そろばん、⽯州和紙、⽯州⽡、京都の伝統⼯芸品などの商品や技術、販路や伝え⽅、意識のイノベーションに取り組み⽣産者が抱える問題解決に取り組んでいる。特にグローバルとローカルを⾏き来した視点で持続可能なものづくりを⽬指している。2016年、オリジナル商品ブランド「MUJUN」をオランダ、アムステルダムで⽴ち上げる。2018年7⽉に地元の刃物職⼈の後継者育成を⽬指して「�WORK�SHOP�」を⽴ち上げ、持続可能な新しい後継者育成の仕組みを構築している。

合同会社シーラカンス食堂 / MUJUN代表・デザイナー

李 郁函

台湾台中出⾝。⽇本の⽂化、ものづくりの発想⼒と技術⼒の⾼さに強く惹かれ、⼤学卒業後、デザインを勉強するために渡⽇。在⽇期間中、デザイナーとしてものづくりに携わる。2014年より台湾発の越境デザイナーズECを展開しているPinkoiに⼊社。現在、デザイナーサポート担当として、台湾と⽇本の架け橋になり、⽇本のすぐれたデザイン商品を海外に発信している。

Pinkoi Japan株式会社Account Manager

CHAPTER 06 39

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アイデア・クリエイター公募のポイント

企業の想いを伝える

企業が持っている技術やものづくりへの想いをわかりやすく伝えるため、⼯場⾒学とインタビュー取材を実施し、公募に合わせて企業ごとの取材記事と動画をWebサイトで公開した。

アイデアを考えるためのヒントの提供台湾マーケットを狙ったプロダクトを考える上で参考となる台湾のトレンド情報や、アイデアが思いつかない時のヒントになる発想⽅法など、アイデアを考えるきっかけとなる情報をまとめたページを公募サイトに作成した。

プレスリリース・インタビュー記事による広報活動公募を広く伝えるために、AWRDのSNSやメールマガジンでの情報の拡散とともに、デザイン系のWebマガジンや出版社、新聞社、放送局など約50のメディアにプレスリリースを送付した。

ターゲットとなるクリエイターへの訴求新しい分野に挑戦し、活躍の場を海外に広げたいと思っているデザイナーで、特に独⽴して間もないデザイナーや、⾃分の⼒を外で試したいと考えている⼤⼿企業のインハウスデザイナーへの訴求を狙った。

CHAPTER 06 40

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No. No. ひかりだけを通す仮眠アイマスク

蚊帳⽣地は遮光性が低く、これをアイマスクにできれば⾵景だけをほどよくフィルタリングして⾃分の空間を作り出し、快適な仮眠体験を⽣み出すことができるのではないかと考えた。

ホトトギス株式会社

木倉谷 伸之・塚本 裕仁

⽊倉⾕伸之:埼⽟県出⾝。2018年に東京造形⼤学デザイン学科インダストリアルデザイン専攻を卒業。ヒトの⽣活に寄り添ったデザインのあり⽅を模索中...。現在は家電メーカーにてプロダクトデザイナーとして勤務。�塚本� 裕仁:富⼭県出⾝。2018年に⾸都⼤学東京⼤学院システムデザイン研究科インダストリアルアート学域を卒業。プロダクトデザインを軸とした課題解決提案を得意とする。現在は精密機器メーカーにてプロダクトデザイナーとして勤務。�

Carafe + Cup

へら絞りから⽣まれる、お互いに寄り添いフィットするカラフェとカップ。素地の素朴な味わいを⽣かしたタイプや、塗装によるカラフルなタイプなど組合せの可能性も広がる。ここで⽰した形状は最終的なものではなく、製造の条件や使い勝⼿などを考慮しながらブラッシュアップしていく。

藤田金属株式会社

大村 卓

2001年東京⼯業⼤学⼤学院修了。2009年oodesignを設⽴、プロダクトデザインを中⼼に活動を開始。おもに⽣活雑貨、⽂具、家具など⾝の回りのもののデザイン開発、コンサルティングを⾏う。企業に向けてデザインを提供するかたわらオリジナル製品開発も⼿がけ、ジャンルにとらわれない振幅の⼤きい活動を⼼掛けている。Twitterでの発信も盛ん。

21

採択アイデア・クリエイター

CHAPTER 06 41

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No. No. 3minutes brush

毎⽇の⻭磨き、⼤切だとわかりつつも、⾯倒なもの。3分間で⻭ブラシの柄が変わっていくことで、「あっ花の様⼦が変わった」「今⽇は⼤吉!」などワクワクしてもらい、こころが少し豊かになる⻭磨き⽣活を送って欲しいと思います。

ラピス株式会社

望月 愛海

UXデザイナー。1995年静岡⽣まれ。海のそばで育つ。筑波⼤学芸術専⾨学群デザイン専攻卒業後、⼤阪に移り、メーカーで⽣活家電のUXデザインをしている。使う瞬間だけでなく、その⽇が笑顔で過ごせるような、ものがたりの⽣まれるデザインを⼤切にしている。リサーチを通してひとを知り、新しくてよりたのしい⽣活を考えて、かたちにすることが好きで好きで仕⽅がない。

おりふく

海外の⼈に折り紙の折り⽅でふくさの裁断・縫製技術と⽣地を使った新たなファブリックを「遊ぶ」「包む」「運ぶ」という3つのテーマで提案する。

有限会社大一創芸

タカハシトモユキ

⽂化ファッション⼤学院⼤学ファッションデザインコース修了後、アパレルブランドの広報等に携わる傍ら、to.designというブランド名でフリーペーパーやシルクスクリーン印刷を使ったBAGなどの布帛中⼼の制作活動を開始。Yシャツ型に折られたフリーペーパーがメディア等で取り上げられる。その後フリーランスで印刷物やロゴのデザインを受注しながら制作活動を⾏っていたが、2017年活動休⽌。2019年より再開。

43

CHAPTER 06 42

採択アイデア・クリエイター

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No. No. 好きな街を持ち歩く。

台湾の街に散らばるさまざまな漢字たち。⽇本のものとは違うニュアンスになんだか惹かれてしまいます。台湾の街をつくる看板や、話される⾔葉を集めて、漢字やタイポグラフィを活かした彫⾦アクセサリーに。台湾の「街のカケラ」を⾝につけて持ち歩くことができる商品です。

赤坂金型彫刻所

平山 靖子

編集者・ライター・料理⼈。京都在住の1989年⽣まれ。京都精華⼤学⽇本画コース卒(2013年)。ローカルコンテンツを掘り下げる取材や、飲み歩きレポートなど、現地に赴いて得たものを形におこすことを得意としている。「ジモコロ」「Gyoppy!」などのWebメディア、雑誌『Meets�Regional』『Men's�Leaf』などのさまざまな媒体で企画・編集・執筆に携わる。全国あっちこっち取材に⾏くかたわら、出張スナックや料理⼈、イベント出店をおこなう飲⾷のプレイヤーもしても活動中。

Silik Glass

シリコン商品の売り場は極めてカラフルである。まだシリコンであることを主張しているような世界観。シリコンの利便性は欲しいが、もっと⽣活に馴染むデザインが欲しいが、いざ売り場に⾏くとカラフルなものが⽬⽴ち、シックなものは⽬⽴たない。シリコン売り場から、⾷器売り場など別の売り場へ提案できるような展開が重要と考える。

錦城護謨株式会社

合同会社シーラカンス食堂

デザイナー⼩林新也が兵庫県⼩野市に2011年に設⽴。播州刃物や播州そろばん、⽯州和紙、⽯州⽡、京都の伝統⼯芸品などの商品や技術、販路や伝え⽅、意識のイノベーションに取り組み、⽣産者が抱える問題解決に取り組んでいる。特にグローバルとローカルを⾏き来した視点で持続可能なものづくりを⽬指している。2016年、オリジナル商品ブランド「MUJUN」をオランダアムステルダムで⽴上げる。2018年7⽉に地元の刃物職⼈の後継者育成を⽬指して「�WORK� SHOP�」を⽴ち上げ、持続可能な新しい後継者育成の仕組みを構築している。

65

CHAPTER 06 43

採択アイデア・クリエイター

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No. No. ハンモックのように身軽な折りたたみソファ

ソファは価格も⾼く⼀度購⼊するとソファによって部屋のレイアウトが決まってしまい、引っ越しや模様替えなどを考えると、購⼊するのが難しい家具です。最近ではライフスタイルも変化し、あえて賃貸での⽣活を選ぶ⼈も多く、今までのような重厚⻑⼤な家具ではなく、⾝軽な家具が求められているのではないかと考えました。

有限会社ルネセイコウ

ゼツ ユウキ

メーカーのプロダクトデザイナーとして主にBtoB商品のデザイン業務を6年間担当し、現在はハードウェアのスタートアップにて製品開発にかかわるデザイン全般に携わりながら、デザイン活動を⾏っています。

Bridge stool

スツールのモダンな構造とコントラストを成す、⽵のしなやかさと不均⼀性の味わい併せ持ったスツール。⾦属ジョイント部には⽵⼯芸の⼿法を応⽤した、繊細でシンプルながら独⾃性のあるディテール。「異素材へのチャレンジ」でもあり、コントラクト家具の可能性を広げると同時に、⽇本と台湾の関係を豊かに繋ぐプロダクトを⽬指します。

株式会社オーツー

濱西 邦和

インテリア・プロダクトデザイナー。版画家の家庭に⽣まれ幼少期を⽇本と海外で過ごし、�アートを愛する気持ちや、物を作る精神と共に、伝統的な⽅法と、従来の型に�はまらない⽅法の両⾯から物事の可能性を探求するようになる。

87

CHAPTER 06 44

採択アイデア・クリエイター

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アイデア・クリエイター公募の気づきと課題

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海外クリエイターとのコミュニケーションの壁

海外からの応募が多数あったが、コミュニケーションへの不安から企業が海外クリエイターのアイデアを選びにくいという状況がみられた。企業にとって、コミュニケーションの不安が払拭されないと、どんなによいアイデアであっても海外クリエイターと⼀緒にプロダクトをつくることを躊躇する。

クリエイターの質の担保

応募に際しては、アイデアのコンセプトシートだけでなくポートフォリオの提出も必須とした。ポートフォリオがあることで、アイデア単体の良し悪しだけでなく、クリエイターの実⼒を総合的に判断できるようになり、企業にとってクリエイターを選ぶ上での安⼼材料になっていた。

インセンティブの設定

⼀般的な公募では賞⾦が設定されていることが多いが、今回の公募では賞⾦ではなく商品化後のロイヤリティ契約と台湾のフィールドリサーチにかかる諸費⽤の⽀給をひとつのインセンティブとした。結果的にアイデアの実現に向けて企業と同じ⽬線で⼀緒にプロダクトをつくり上げていく意欲があるクリエイター集まった。

CHAPTER 06

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台湾リサーチ

CHAPTER

制作を予定しているプロダクトが、台湾マーケットに受け入れられるものなのかどうか調査し、どのような販路があるか把握するために台北でのフィールドリサーチを実施した。同時にプロダクトをブラッシュするためのアイディアを探し、その後の開発に生かした。

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実施目的と内容

CHAPTER 07 47

1. 新規プロダクトアイディアをブラッシュアップするためのヒントを異⽂化の中に探すこと�

2. 市場の価格や品質、トレンドを正しく理解し、マーケットインできるショップを探すこと�

3. 企業とクリエイターのプロダクトに対する⽅向性や、価値観をすり合わせること

実施目的

DAY�1:2019/10/06(⽔)�• キックオフミーティング�

DAY�2:2019/10/07(⽊)�• uDesignとのディスカッション�• フィールドリサーチ�

DAY�3:2019/10/08(⾦)�• リサーチのまとめ

実施内容

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台湾フィールドリサーチのポイント

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台湾に対する思い込みを壊す

台湾マーケットにでの出品を⽬指すにあたり、台湾の⽂化や⽣活習慣、トレンドを理解する必要がある。イメージとのギャップを埋めることで、プロダクトをマーケットインするための戦略の確度をあげていく。

現地の暮らしに触れる

イメージとのギャップを埋めるためには、できるだけ現地の暮らしに触れる必要がある。本プロジェクトで⼤切にしたのは、現地で暮らしている⼈の声を直接聞くこと。1,2⽇⽬では様々なステータスの台湾の⽅と話す機会を設けた。

企業とクリエイターの共通言語をつくる台湾ではじめて顔を会わせる企業とクリエイター。3⽇間、共通の⽬的のために時間をともにしてもらうことで、両者の感覚をすり合わせ共通⾔語を⽣み出す。このことはプロダクト制作をスムースにし、質のアップにも繋がる。

バイヤーとの接点をつくる

プロダクトをつくることがゴールではない。企業が⾃⽴して、現地のバイヤーと提携し、台湾での流通・販売までを⾏える必要がある。⼤⼿ECサイトの運営部と各企業をつなげ、最初のステップづくりをサポートする。

CHAPTER 07

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DAY

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キックオフミーティングには、⼋尾市、ロフトワーク(京都・台北)、企業、クリエイターが参加し、YOAYA� PRPJECTに携わるほぼ全ての関係者が顔を会わせる場となった。この場は設けた⽬的は以下の2点である。�

①企業とクリエイターの顔合わせ�AWRDで採択されたクリエイターと企業が、翌⽇からのリサーチをスムーズに協⼒体制のもとスタートできるように、カジュアルな場での顔合わせを⾏うため。�

②ロフトワーク台北のメンバーからプロダクトやフィールドリサーチの場所に関する情報を得る�台北で暮らし、⽇本と違う⽣活⽂化の中で暮らすロフトワーク台北のメンバーへ検討中のアイディアを伝え、検証や、翌⽇フィールドリサーチで回るべき市場やショップについてのヒアリングを⾏うため。

キックオフミーティング

日時:2019年11月6日(水)場所:FabCafe Taipei参加人数:約30名(企業、クリエイター、Loftwork Taipei)

台湾のフィールドリサーチ

1

CHAPTER 07

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DAY

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ECサイトuDesignの異運営部とディスカッションする機会を設けた。はじめにuDesignが持っている販路や、台湾のマーケットに関する説明を受け、その後は企業とクリエイターをプロダクトの種類ごとに3つのチームに分け、専⾨のバイヤーと意⾒交換を⾏った。ディスカッションの⽬的は以下の3点である。�

①台湾マーケットのトレンドを把握するため�uDesignは台湾で最⼤⼿のECサイトであり、今の台湾のトレンドやマーケットの状況を伺うには適したパートナーであること。�

②プロダクトに関する意⾒を伺うこと�uDesignは多くのクリエイターやエンドユーザーとのコミュニケーションを⽇夜⾏っており、プロダクトのクオリティやユニークさについて率直な意⾒を求めた。�

③企業の台湾での販路開拓のパートナーをつくること�各企業へuDesign運営部を台湾での販路開拓のパートナーとして紹介。関係をつなぐことで、継続した台湾での販路開拓につなげる。

uDesignとのディスカッション

台湾のフィールドリサーチ

2日時:2019年11月7日(木)場所:uDesign本社   https://udesign.udnfunlife.com/mall/Cc1a00.do参加人数:約40名(uDesign・企業・クリエイター)

CHAPTER 07

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Day2

Day3

見つける制作するプロダクトをブラッシュアップするためのヒントを探すために、素敵な「もの・場所・習慣」を街の中に探しに行く。

記録する見つけたものを写真におさめる。また見学後すぐに「どんなところがよかったのか」をシートに書き込む。撮影した写真をドライブにアップし、PowerPoint・Googleスライドに写真をはめ込み印刷を行う。

言語化・共有する記録したものの「なにがよかったか」や、「どのようなポイントをプロダクトに生かせそうか」をディスカッションする。

フィールドリサーチのポイントCHAPTER 07 51

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DAY

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フィールドリサーチでは、各企業とクリエイターごとに事前に調査した場所やショップを訪れ、プロダクトをブラッシュするためのヒントを集めた。リサーチ中は「情報を集めること」に集中し、気になるものを写真や⾔葉で記録した。フィールドリサーチの実施⽬的は以下の3点である。�

①⽇本と台湾のギャップに気がつく�⽇本と台湾は似ている⽂化もたくさんあるが、そうでないものもたくさんある。意識や好みの⼩さな違いを⾒つけ、プロダクトへ反映することを⽬指す。�

②流通させたい、⽬標となるショップを⾒つける�販路を開拓し、台湾でプロダクトを流通させるにあたり⽬標とするショップを⾒つける。またそのショップ内で近似するプロダクトを分析することで、デザイントーンや差別化のポイントを探る。�

③販売・使⽤シーンをよりリアルにイメージする�販路開拓後、⾃分たちのプロダクトがどのようなショップに置かれ、また⽇常の中でどのように利⽤されていくのか、イメージを具体化する。

フィールドリサーチ

台湾のフィールドリサーチ

2日時:2019年11月7日(木)場所:台北市内参加人数:約25名(企業、クリエイター)

CHAPTER 07

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主な訪問先

1. 誠品書店(松山店)

フィールドリサーチで訪問したのは以下の場所やショップである。�特筆すべきは⼀般家庭の訪問で、実際の暮らしを伺える貴重な経験となった。

TSUTAYA書店のモデルとなったショッピングモール⼀体型の書店。松⼭店は松⼭⽂化園区内にあり、ショッピングだけでなく、ワークショップも楽しめる⽂化の発信拠点。

2. 富錦街

住宅街の⼀⾓だが、近年はセレクトショップが⽴ち並び、トレンドに敏感な若者が集まるエリアとなった。⽇本のプロダクトの取り扱いも多い。

3. 迪化街

古い問屋街だったが、レトロな雰囲気に注⽬が集まり若い⼈も集まる⼈気エリアとなった。新旧の台湾の⽂化が⼊り交じる場所で、リノベーションされたお店が増加中。

4. 一般家庭の訪問(Yさん宅)

⼀般家庭のYさんのお宅を訪問した。台湾で購⼊されたプロダクトがどのように実際に⽣活の中で使⽤されているのか、⾒学とヒアリングを⾏った。

CHAPTER 07 53

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DAY

フィールドリサーチで集めた情報を整理し、「気になったポイントや良いと感じる部分はなにか」を企業とクリエイターで言語化した。その後、その内容をどのようにプロダクトに反映するかをゴールにディスカッションを行い、帰国後に展示に向けた制作をスタートする。言語化・共有の実施目的は以下の2点。

①価値観を言語化しすり合わせる記録した情報について言語化をしていく中で、自分自身の価値観が表出する。それを企業とクリエイターですり合わせることによって、プロダクト制作のコミュニケーションをスムーズにする。

②プロダクトをブラッシュアップする街の中で集めてきた情報を元に、台湾のマーケットに合わせプロダクトをブラッシュアップする。今まで実際の市場を見ずに思い込みでつくってきたプロダクトとのギャップを埋める作業となる。

言語化・共有

台湾のフィールドリサーチ

3日時:2019年11月8日(金)場所:FabCafe Taipei

参加人数:約30名(企業、クリエイター)

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台湾フィールドワークでの気づきと課題

ものを見る、感じることで普段から感度を高める

海外へ出て、フィールドリサーチをするにあたっても普段からものを⾒たり、感じたりする練習をしていないとうまくリファレンスを探すこともできない状態。⼋尾市やLWメンバー、クリエイターが各企業に同⾏することでが「なにを⾒るべきか」を補助することは必須だった。

リサーチの事前準備がアイディアの質を高める

事前に調べるべきことはたくさんあったはずだが、リサーチの⽢い企業も多かった。台湾の市場や、ショップについて事前に調べる宿題を課したものの、チームによってリサーチの質に⼤きな差がでた。結果としてクリエイターの⾃主性が⾼かったチームがうまくいった。企業の「情報を集める⼒」を⾼める必要を感じる。

何気ない時間の共有で感覚がすり合わせられる

「遠くまで、わざわざ⼀緒に⾏くこと」でしか⽣まれ得ない何気ない時間が、プロダクトのアイディアを発展させるためには必要。また⾷事の時間や移動の時間での会話がプロジェクト全体の⼠気の上昇に⼀役買った。

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プロダクト制作・展示

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台湾のフィールドリサーチ後、3ヶ月のプロダクト製作期間を経て台北での展示会を実施した。開催の意図は、実際の市場の反応を伺うこと。また展示に合わせてミートアップイベントを行うことで、企業が自分たちの言葉で現地のクリエイターへプロダクトを紹介する機会を得た。

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実施内容と目的

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1. 台湾で得た知⾒やアイディアを実際に形にする過程でトライ&エラーを経験すること�

2. どのようなものであれ形にし、台湾の⽅が⼿にとった際の率直な反応を得ること�

3. 開発した商品と市場イメージのギャップを⾒極めること

実施目的

場所:華⼭1914⽂創園区�⻄7-3館�期間:2020/02/19�-�03/02�オープン時間:11:00-18:00

実施場所・期間

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プロダクト制作・展示のポイント

メンター相談日の設定

プロダクト制作の進捗確認、及びクオリティアップを⽬指して堀内・⼩林⽒同席の元メンタリングを実施。技術的な課題や、ブランディングを含む相談を3ヶ⽉間で⼆回⾏った。

ミートアップを設け、自分の言葉で話す機会をつくる展⽰開始⽇にミートアップを設定。台湾在住のクリエイターを招集し、彼らに対するプレゼンの機会を得た。中には熱⼼に技術について質問を重ねる来場者も。

定量・定性調査の実施

プロダクト展⽰期間に来場者に対してアンケートによる定量・定性の調査を実施。「10点満点による評価」「適正だと感じる価格」「改良のポイント」を実際のユーザーから150ほど集めた。

プレスリリース・インタビュー記事による広報活動⽇本・台湾でプレスリリースを各メディアに送付するとともに、ホトトギス・オーツーの2社とそれぞれパートナーとなるクリエイターとの対談を実施。両国で記事を配信し、プロダクト開発から展⽰までのストーリーを⾒える化した。

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台湾で活躍するプロダクト・インテリア・グラフィックのクリエイターや、バイヤーを集め2時間のミートアップイベントを実施。大一創芸、赤坂彫刻、オーツーの3社が参加した。プロジェクト全体の概要を説明後、各社が自社及びこれまでに制作したプロダクトの紹介を行った。

①自分たちの言葉で紹介する自分たちが取り組んできたこと、また大切にしていることを第三者に伝えることで、自社やプロダクトの価値を再認識していく。

②プロダクトを販売・流通するコネクションを得る現地のクリエイターや、バイヤーとつながることで販売・流通のコネクションをつくる。またプロダクトに対する率直なフィードバックを得ていくことで、ブランディングにおける方向修正を早期の段階で行っていく。

ミートアップイベント

日時:2020/02/18(火)場所:華山1914文創園区 西7-3館参加人数:20人

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No. No. UTATANE

⼀度はストールに⽅向を転換したものの、他社と競合することしたこと、また蚊帳⽣地を⽣かしせていないことから、元のアイマスクというアイディアに戻った。製品化への課題も多いものの、ホトトギスがすでに持っているプロダクトとは違う市場へのスケールが期待される。

ホトトギス株式会社

ミルクパン+マグ藤田金属株式会社 21

展示アンケートの結果

平均点数:5.18�適正価格(NTD):518

リサーチを経て、机周りがすっきりとするミルクパン・マグのセットとしてチューニング。「⾷事をする際のスペースが狭くなりがち」という台湾市⺠の⽣活に寄り添った結果、「欲しい」という声が多く上がった。

平均点数:4.27�適正価格(NTD):226

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No. No. Zooラピス株式会社

おりふく有限会社大一創芸 43

⼦どもが嫌いな⻭磨きをどう習慣づけるかというテーマは変わらず、商品化。サーモインクの温度変化が環境によって⼤きく影響を受けるため、開発が難航。低評価が多かったものの、アイディアを⾼く評価するユーザーもおり評価が⼤きく分かれた。

平均点数:3.76�適正価格(NTD):473

紆余曲折を経て、元のアイディをブラッシュアップする形となった。レゴのようにパーツを組み合わせることで、ペンケースやバックなど好きな形状のアイテムをつくることができるというもの。ただ台湾のユーザーからは「⾯倒くさい」との声もあがっており、どのようにその⼿間を楽しませるかが課題。

平均点数:4.90�適正価格(NTD):162

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展示アンケートの結果

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No. No. 街を指先サイズの装飾品に赤坂金型彫刻所

シリコーンロックグラス / ワイングラス錦城護謨株式会社 65

微細な細⼯を施した台湾モチーフのアクセサリーを制作。ユーザーからも技術に対するリアクションはよかったものの、モチーフに対しては厳しい意⾒も多かった。また価格が⾼くなってしまうため、どのように差別化・コストダウンするのかが⼤きな課題となった。

平均点数:6.80�適正価格(NTD):286

ユーザーのリアクションが最も良かったプロダクトのひとつ。⾒た⽬を裏切る商品の特性から、使⽤シーンについて多くのアイディアが⾶び出した。クラウドファンディングを実施し、商品化・流通までが⾒えている。

平均点数:4.90�適正価格(NTD):731

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展示アンケートの結果

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No. No. ハンモックソファ有限会社ルネセイコウ

Bridge stool株式会社オーツー 87

耐久性という⼤きな課題を残しながらも、アイディアに対しては多くの賛同が集まった。こちらも台湾の家庭訪問時に部屋の狭さを体感し、折りたたみを⼤きく打ち出したことが⾼評価に繋がった。また家の中だけではなく外での利⽤に関しても⾔及されることが多かった。

平均点数:7.01�適正価格(NTD):1,859

物⾃体のクオリティもさることながら、製品に近い状態で展⽰ができたことから評価が最も⾼かったプロダクトのひとつ。台湾内での商流づくりはもちろんだが、⽇本国内、及び欧州での販売を⾒据えたプロダクト制作を実施中。

平均点数:6.41�適正価格(NTD):2,794

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展示アンケートの結果

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プロダクト制作の中ではじめて言語化が進む

プロダクト制作を⾏う中で、⾃分たちがなにをつくっているのか、またどのようなインパクトを残したいのかの⾔語化が進んだ。それにより商品のブランドやストーリーを⽣み出し、販売の際のセールストークにも使⽤することができる。この過程を経ることで企業は⾃分たちの商品に関して積極的に意⾒を求めることができるようになった。

プロトタイプでも十分にフィードバックを得られる

最終製品化までできたチームはいなかったものの、プロトタイプでもプロダクトに対する率直な意⾒を集めることはできた。製品化してしまってからアンケートなど、ユーザーの意⾒を集めてしまうことはリスクが⾼い。早期の段階での検証が、⼤きな失敗を⽣み出さないために必要だ。

手間暇をかけたプロダクトが良いリアクションを集める

全チームのプロダクト制作における進捗を眺めていたが、プロジェクトの意図を理解し、実直に制作に時間を割いたチームのプロダクトは展⽰でのできもよく、良いリアクションを得られていた。モチベーションがそのまま成果に跳ね返ったように感じる。

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展示アンケートの結果

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