sshT2Wを綺麗に撮るために
使用装置PHILIPS Achieva R 2.6.3
~どうしたらブラーの少ない画像がとれるのだろう?~
長野赤十字病院
神谷 直紀
ssh-TSE法とは?ssh-TSE 法では、180°パルスをマトリックス(位相方向)と同じ数だけ照射して1枚の画像を得ます。例えば、マトリックスが256×256 の場合は下図のようになります。
データー収集時間
データー収集時間が長いとフィルタリング効果の影響を受けてブラーリングが増加する
=ブラーリングを抑えるにはデーター収集時間を短く!!
Gyro News Vol.12 Nov 2006 より引用
データ収集時間(shot)
ssh-TSE 法では、一度の90°パルスで1枚の画像を作る。1スライスのデーター収
集時間は、次のように計算できる。位相数=TSE factor
データ収集時間=位相数(TSE factor)×Echo Space
収集時間を短くするには
位相数(TSE factor) を小さく、 Echo Space を短くすればいい。
TSE factor=位相マトリックス×RFOV×Reduction f ×Half Scan f
ただし、マトリックスやHalf Scan f は、分解能そのものに影響するために小さくすればいいというものではない。
補足
PHILIPS の装置はデータ収集時間(shot)
が表示されるので、できるだけこの時間が
短くなるようにパラメーターの設定をすれば
ブラーの少ない画像になる。
以下のスライドはデータ収集時間を
“ shot “ と表現します。
変更したパラメータ
• SENSE Reduction factor (Rf )
• RFOV
• fold-over suppression (折り返し防止)の有無
• Flow compensationの有無
• REST(SAT)の有無
• WFS(バンド幅)
• half scan factor
• scan matrix
今回はTE 80 程度のsshT2W の撮影パラメーターを考えます。
SENSE Reduction f の違い FOV 250 256*256 RFOV 100% TE 80
Rf 1 Rf 1.5 Rf 2
Rf 3 Rf 4 Rf 2 RFOV 50%
=
・以後 Rf2 の画像を基本画像として考えました。
R f 1.0 R f 1.5 R f 2.0
SNR 50 45 44.7
TSEf / Es / shot 144 / 4.6 / 663 105 / 4.5 / 484 82 / 4.6 / 379
R f 3.0 R f 4.0
SNR 39.8 33.3
TSEf / Es / shot 60 / 4.6 / 279 50 / 4.5 / 227
・R f ↑ TSEf ↓ shot ↓ ブラー↓
・SNR↓ 折り返りが目立つ
・SNRは日本放射線技術学会学術研究班「MR画像のparallel imagingにおけるCNR測定法の標準化」によるSNR測定プログラム image-J プラグイン使用。・装置付属ボトルファントムを使用し、ファントム中心に30ピクセルのROIを置いて計測した。
* ES はエコースペース shot はデータ収集時間
RFOVの違い FOV 250 256*256 SENSE×2 TE 80
RFOV 100% RFOV 50% RFOV 150%
RFOV 100% RFOV 50% RFOV 150%
SNR 44.7 31.5 50
TSEf / Es / shot 82 / 4.6 / 379 50 / 4.5 / 227 115 / 4.6 / 530
・RFOV↓ TSEf ↓ shot ↓ ブラー↓ SNR ↓
折り返し防止の有無 FOV 250 256*256 SENSE×2
2NSA fold-over なし 2NSA fold-over あり
(wraparound)PHILIPS では fold-over suppression といいます。
1NSA foldあり 2NSA fold なし 2NSA foldあり
SNR 68 92 89
TSEf / Es / shot 82 / 4.6 / 379 82 / 4.6 / 379 144 / 4.6 / 663
・2NSA で fold-over suppression を使用するとTSEf ↑ shot ↑ ブラー↑
1NSA fold-over あり
折り返し防止の有無 臨床
2NSA foldover+1NSA foldover+
1NSA で fold-overを入れるとRESTが自動的に入るが、完全には折り返し防止ができない。このような場合は多少ブラーが増えても2AV+ fold-over にしたほうがいいのでは・・ 両手挙上してfold-over を入れない方がいい。
Flow compensationの有無 FOV 250 256*256 SENSE×2
FC (-) FC (+)
FC (-) FC (+)
SNR 44.7 36.6
TSEf / Es / shot 82 / 4.6/379 82 / 5.4 / 432
・FC を入れるとわずかだが ES ↑ shot ↑ ブラー↑
RESTの有無 FOV 250 256*256 SENSE×2
REST (-) REST (+)
REST (-) REST (+)
SNR 44.7 44.7
TSEf / Es / shot 82 / 4.6/379 82 / 4.6 / 379
・REST (SAT) を入れてもブラーに変化なし。
臨床画像では、Flow compensation の有無、 RESTの有無で
呼吸性アーチファクトや血管内の信号に影響が出るはずです。
ボランテア画像で比較しましたので。次のスライドでは動脈
(静脈)の信号の違いに注意して画像を比較してください。
FC- REST- FC+ REST+ FC+ REST- FC- REST+
FC- REST- FC+ REST+ FC+ REST- FC- REST+
・FC REST 両方を入れた方が動脈の flow void が明瞭。・臨床画像だと、FC を入れることによって生じるブラーはあまり気にならない。
臨床ではFC REST を入れるべき!
FC+ FC-
・FC を入れないと面内の血管が中抜けになる場合がある。
WFS(バンド幅)の違い FOV 250 256*256 SENSE×2
max 0.3 723.4 Hz / pix
723.4Hz / pix 781.3Hz / pix
SNR 45.3 41.3
TSEf / Es / shot 80/5.4/432 80/5.4 / 432
・sshシーケンスではphilips装置の場合BWは大きく変更できない。・原理的にはBWが大きいほうがブラーは少ないはず。→ESが短くなるため
min 0.278 781.3 Hz / pix
TE 80 half scan f 固定
half scan f の違い FOV 250 256*256 SENSE×2 TE80 固定
0.55 0.525default (0.625)
default 0.55 0.525
SNR 44.7 67.1 100
TSEf / Es / shot 82/4.6 / 379 75/10 / 759 76/18/ 1365
BW Hz / pix 583 203 81
・ TE を固定してhalf scan f を下げるとTSEf ↓ ES ↑ shot ↑ ブラー↑
default (0.625) half 0.55 TE36 half 0.525 TE20
default 0.55 0.525
SNR 44.7 57 67.8
TSEf / Es / shot 82/4.6 / 379 75/4.5 / 341 76/4.6 / 347
BW Hz / pix 583 574 605
・ TE を可変でhalf scan f を下げるとTSEf ↓ shot ↓ ブラー↑
・ half scan f を下げたことによる分解能低下の影響あり
half scan f の違い FOV 250 256*256 SENSE×2 TE shortest
matrix の違い FOV 250 SENSE×2
256*256
256*256RFOV 50%256*128
512*256512*512512*512RFOV50%
256*256 256*128 256 RFOV50
SNR 50 73 31
TSEf / Es / shot 82/4.6 / 379 50/4.5 / 227 50/4.5 / 227
512*512 512*256 512 RFOV50
SNR 16.4 28 11.3
TSEf / Es / shot 144/6.7 / 966 78/6.0 / 468 77/4.7 / 519
・ matrix ↑ 分解能↑ TSEf ↑ shot ↑ ブラー↑・ matrix ↓ TSEf ↓ shot ↓ ブラー↓ 分解能↓丁度いいところがありそう。
FOV360 7mm厚 SENSE×2 一定
matrix 224*224 256*256 320*224ピクセル分解能 mm / pix 1.61*1.61 1.41*1.41 1.13*1.60
matrix 320*320 512*256 512*512ピクセル分解能 mm / pix 1.13*1.13 0.7*1.4 0.7*0.7
・ matrix の異なる6種類の画像について、放射線科医4名 MRIに業務する技師4名に見やすい順に1 から6 の順位をつけてもらいました。
丁度いい分解能はどの位?
matrix 224*224 256*256 320*224ピクセル分解能 mm / pix 1.61*1.61 1.41*1.41 1.13*1.60
matrix 320*320 512*256 512*512ピクセル分解能 mm / pix 1.13*1.13 0.7*1.4 0.7*0.7
結 果
2.5 2.0 2.9
2.9 5.0 5.5
数字の小さいほうが評価の良い画像。 ピクセル分解能1.41*1.41 が良かった。
FOV360 7mm厚 SENSE×2 一定
フィリップスの装置でブラーの少ないsshT2W を撮像するには
画面にshot 時間が表示されるので、出来るだけ短くなるようにシーケンスを組む。
Reduction f =2 RFOVをできるだけ絞る。ただし折り返しとSNR の低下に注意。
複数加算の時はfold-over suppression は使用しない方が良い。
FC 、RESTは入れて撮像する。
バンド幅はdefault で。
half scan f はdefault で。
matrix size は1.4mm/pix 前後で。(SNRも重要)
まとめ
echo space を短くするためにPHILIPSではダミーパルスを用いる方法があるが、ssh
ではダミーパルスを打っても echo space はほとんど変わらない。
参考までに・・
位相
周波数
MTFの測定 5Fr のカテーテルに水道水をいれ、垂直方向に撮像しPSF(point spread function)を得る。
エクセルにてフーリエ解析等をもちいて位相方向、周波数方向のMTF を求めた。
使用ソフト image-J 、エクセル(藤田保健衛生大 辻岡グループMTF計算シート)
撮影条件 FOV150 matrx 288*288 スライス厚6mm バードケージHEADコイル
① FSET2W TF18 TR / TE 4000 / 80 RFOV100% PI no
② sshT2W (TR) / TE (4000) / 80 RFOV100% と ③ RFOV50% PI no
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 0.5 1 1.5
MTF
Spatial frequency (cycle/mm)
* PSFに対する補正はしていません。
フーリエ変換
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 0.5 1 1.5
MTF
Spatial frequency (cycle/mm)
SE T2 F
SE T2 P
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 0.5 1 1.5
MTF
Spatial frequency (cycle/mm)
ssh RFOV 100 F
ssh RFOV 100 P
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 0.5 1 1.5
MTF
Spatial frequency (cycle/mm)
ssh RFOV 50 F
ssh RFOV 50 P
FSE T2W ssh T2WRFOV 100%
ssh T2WRFOV 50%
結 果 撮像シーケンス別 MTF
・FSEは周波数方向、位相方向のMTF が同じ
・sshは同じmatrixでも周波数方向のMTF が良い
・RFOV を小さくすることで位相方向のMTFが周波数
方向のMTF に近づく。
FOV150 matrx 288*288 一定
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 0.5 1 1.5
MTF
Spatial frequency (cycle/mm)
ssh RFOV 50 F
ssh RFOV 100 F
SE T2 F
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 0.5 1 1.5M
TF
Spatial frequency (cycle/mm)
ssh RFOV 50 P
ssh RFOV 100 P
SE T2 P
周波数方向 位相方向
・周波数方向のMTF は設定matrix が同じであれば撮影条件、シーケンスが違って同じ。・位相方向のMTF はFSE、sshRFOV50% 、sshRFOV100% の順で良かった。
・ブラーは位相方向で生じることがわかる。
結 果 エンコード方向別 MTF
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