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18
Ver1.0 瀬戸メサイア合唱団 (内 料)

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Ver1.0

瀬戸メサイア合唱団

メ サ イ ア を 歌 お う

(内 部 資 料)

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☆ も く じ ☆

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.1

メサイアについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.1

メサイア歌詞について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.1

「メサイア」のあらすじと構成図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.2

メサイア歌詞対訳 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.3

第1部 預言・降誕 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.3

1.Symphony (p.3) 2.Accompagnato (Tenore) <Comfort ye comfort ye>(p.3) 3. Air (Tenore) <Every

valley shall be exalted>(p.3) 4. Chorus<And the glory of the Lord>(p.3) 5.Accompagnato (Basso) <Thus

saith the Lord, the Lord of Hosts>(p.3) 6. Air (Alto) <But who may abide the day>(p.4) 7. Chorus<And He shall purify

the sons>(p.4) 8. Air (Alto) and Chorus<O thou that tellest good tidings>(p.4) 9. Accompagnato(Basso)

<For behold, darkness shall cover>(p.5) 10. Air (Basso) <The people that walked>(p.5) 11. Chorus<For unto us

a Child is born>(p.5) 12. Pifa(p.5) 13.Accompagnato (Soprano) <And lo! the angel of the Lord>(p.6)

14. Accompagnato (Soprano) <And suddenly there was with>(p.6) 15. Chorus<Glory to God in the highest>(p.6)

16. Air (Soprano) <Rejoice greatly, O daughter>(p.6) 17. Duet (Alto、Soprano) <He shall feed His flock>(p.7)

18.Chorus<His yoke is easy>(p.7)

第2部 受難 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.8

19. Chorus<Behold the Lamb of God>(p.8) 20.Air (Alto) <He was despised and rejected>(p.8) 21. Chorus

<SurelyHe hath borne >(p.8) 22.Chorus<And with His stripes>(p.8) 23.Chorus<All we like sheep>(p.9)

24. Accompagnato (Tenore) <All they that see Him>(p.9) 25. Chorus<He trusted in God >(p.9)

26. Accompagnato (Tenore) <Thy rebuke hath broken>(p.10) 27. Arioso (Tenore) <Behold, and see if there>(p.10)

28. Accompagnato (Tenore) <He was cut off out of the land>(p.10) 29. Air (Tenore) <But Thou didst not leave >

(p.10) 30. Chorus<Lift up your heads>(p.10) 31. Chorus<Let all the angels of god>(p.11) 32. Air (Alto) <Thou

art gone up on high>(p.11) 33. Chorus<The Lord gave the word>(p.11) 34a. Air (Soprano) <How beautiful are the

feet>(p.11) 35a. Chorus<Their sound is gone out >(p.12) 36. Air (Basso) <Why do the nations>(p.12) 37.

Chorus<Let us break their bonds>(p.12) 38. Air (Tenore) <Thou shalt break them >(p.12) 39. Chorus<

Hallelujah>(p.13)

第3部 復活 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ p.14

40. Air (Soprano) <I know that my Redeemer>(p.14) 41. Chorus<Since by man came death>(p.14)

42. Accompagnato (Basso) <Behold, I tell you a mystery>(p.14) 43. Air (Basso) <The trumpet shall sound >(p.15)

44. Duet (Alto & Tenore) <O death, where is thy sting?>(p.15) 45. Chorus<But thanks be to God>(p.15) 46. Air

(Soprano) <If God be for us>(p.16) 47. Chorus<Worthy is the Lamb >(p.16)

参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ p.17

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はじめに

メサイアについて

メサイア歌詞について

「メサイア」に親しむための資料として、「資料検討委員会」によって整理されたもので、ベーレンラ

イター版の楽譜を使用することを前提としています。

瀬戸メサイア合唱団は、1990年創立以来、市民のあたたかい声援を受け、7回のメサイア演奏会を

経て、創立10周年記念には「メサイア全曲演奏会」を開催しました。2000年にはドイツ親善演奏旅

行、ハノーバー万博に参加しました。2003年、モーツァルト「レクイエム」を経て、同年、再びドイ

ツのケムニッツにてケムニッツ工科大学オーケストラ・合唱団と「メサイア」を共演し、その後ドイツ各

都市の音楽団体との親交を深め、2005年の愛知万博には「メサイア」をはじめとした3回の万博関連

の合同演奏会に繋げ、その活動が評価され、平成17年度(2005年)瀬戸市文化協会「つばき賞」を

受賞しました。2007年11月、第3回ドイツ親善演奏旅行として「ドレスデン吹奏楽団(BKD)4

0周年記念演奏会」に招聘され、ドレスデン、マイセン、ゲルリッツの3都市にて演奏し、2010年3

月7日、創立20周年記念演奏会として、ヘンデル作曲「メサイア」 全曲をドイツから指揮者(ギュンター・シュバルツェ氏)

と弦楽合奏団(Kammerorchester ohne Dirigenten)を、ソリストには池田京子、上杉清仁、神田豊壽、春日保人各

氏を迎えて演奏しました。

一方で地域活動にも力を入れ,「文化の祭典」、「合唱フェスティバル」に参加し、毎年「チャリティー

コンサート」を開催、募金活動を通じて地域の福祉活動に協力しています。

《メサイア》(或いはメシア)とは、「油を注がれた者」(ヘブライ語)という意味で、高貴な人を讃

えるために“香油”を頭に注がれることによって清めた事に由来するそうです。高貴な人即ち「キリスト」

を「救世主」として讃えたオラトリオということですが、現代的には宗教の枠を超えて、すべての人類の

苦悩を救う「救世主」を待望し讃える音楽として高らかに歌ってもいいのではないでしょうか。

ヘンデルは《メサイア》を1741年夏にわずか24日間で書き上げたと言われていますが、あまり乗

り気でなかったヘンデルの尻を叩いたのは彼の友人で台本作家のジェネンズ(Charles Jennens)だったよ

うです。彼の聖句に基づく台本がよほど気に入ったのでしょうか。 当時は教会=国家ですから、教会の

ための作品(ミサ曲)に似ているが、世俗作品として劇場で演奏するためには《メサイア》という名前に

して圧力を回避したとも言われています。 又初演がロンドンでなく、アイルランドのダブリンであった

ことも教会の反発を恐れていたらしいともいわれています。

《メサイア》のテキストは、ジェネンズが旧約・新約聖書から自由に抜粋したもので、また当時の英語

は現代の英語とは少し違いがあるようです。

ジェネンズは教会に属する立場でなく、ひとりで真摯に聖書に取り組む姿勢をもっていたとされ、聖書

の深い理解によって普遍性の高いテキストとなっています。

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メサイア歌詞対訳

3. Air (Tenore)

2.Accompagnato (Tenore)

3. アリア (テノール)

2.伴奏付レチタティーボ (テノール)

1.Symphony

5. Accompagnato (Basso)

5.伴奏付レチタティーボ (バス)

4. Chorus

4. 合唱

Comfort ye ,comfort ye my people, saith your God.

The voice of him that crieth in the wilderness: Prepare

ye the way of the Lord, make straight in the desert a

highway for our God.

Speak ye comfortably to Jerusalem, and cry unto her,

that her warfare is accomplish’d, that her iniquity is

pardoned

「慰めよ、私の民を慰めよ」とあなたがたの神が言われる。

(イザヤ書 40:1)

「優しくエルサレムに語りかけよ、そして呼びかけよ。戦乱

の日々は終わり、エレサレムの罪も赦された」と。(イザヤ

書 40:2)

荒野で呼びかける声がする。「主の道を整えよ、私たちの

神のために、砂漠にまっすぐな大路を作れ。」 と (イザヤ

書 40:3)

Ev’ry valley shall be exalted, and ev’ry mountain and hill

made low, the crooked straight, and the rough places

plain.

あらゆる谷は持ち上げられて浅くなり、あらゆる山や丘は

低くされるだろう。曲がったところはまっすぐに、険しい地

は平らにされる。 (イザヤ書 40:4)

このようにして、主の栄光があらわされ、皆が共に見る

だろう。主の口からそれが語られた通りに。 (イザヤ書

40:5)

And the glory of the Lord shall be revealed, and all flesh

(神・主) (現れる) (人間)

shall see it together, for the mouth of the Lord hath

spoken it.

そして万軍の主はこう語られる。「間もなくもう一度、再び、

私は天と地と、海と陸と、すべてのものを動かすであろ

う。」(ハガイ書 2:6)

Thus saith the Lord ,the Lord of Hosts: Yet once, a little

while, and I will shake the heavens and the earth, the sea

and the dry land, and all nations, I’ll shake;

(第1部 預言・降誕) 第1部はメサイヤの預言、イエスの降誕を主に旧約聖書からのテキスト。途中、第12(Pifa)

でイエス誕生の雰囲気を、第18(His yoke..)「主から学べ..」(マタイ)で結んでいる。

救世主の降誕が神の預言として語られる。 イスラエルの民がアブラハム・イサク・ヤコブ等々と続いた敬虔な神の信者であるにもかかわ

らず異教徒の偶像を崇拝したり、神に対する不正を行うようになったことに対し、神により試練と苦難が彼らに与えられ、永い償いの年月

の後、神の怒りも解け「苦しみの時は既に終わり、その咎は赦された」と語られる。

「山は低くされ、谷は持ち上げられる」とは、神の前では人間の価値、地位、身分などの差は意味を持たないということ。来

るべき救世主の前では、人は皆同じであることを預言している。

第2曲レチタティーボ (テノール)「慰めよ」第3曲アリア (テノール)「あらゆる谷は」第4曲合唱「このようにして、主の栄光が」の3曲

はセットになっている。 第2曲~第4曲は、ヨルダン河畔の荒野で「神の国」が近づいた、「悔い改めよ」と教えを説いて

「メシア」到来の準備をしている預言者ヨハネの役割(教え)を歌っている。 預言者ヨハネは、「キリスト」に洗礼を施し

た先駆者で、キリストの弟子「ヨハネ」とは別人。預言者ヨハネは、ヘロディアの娘“サロメ” の所望から(ヘロデ王はヘ

ロディアを娶ることを「ヨハネ」に非難された)ヘロデ王の命令により、首を刎ねられたことになっている。

古典派 symphony の原型は sinfonia と呼ばれるオペラのなかの“イタリヤ風序曲”で、後にオペラから独

立してオーケストラ作品となったとされるが、ここでは“フランス風序曲”とみなされている。

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6. Air (Alto)

6. アリア (アルト)

7. Chorus

Recitative(Alto)

7. 合唱

レビの子:アブラハムの曾孫<司祭の祖とされている>

レチタテーボ(アルト)

8. Air (Alto) and Chorus

8. アリア (アルト) と合唱

The Lord, whom ye seek, shall suddenly come to His

temple; ev’n the messenger of the Covenant, whom ye

(契約)

delight in: behold, He shall come, saith the Lord of

Hosts.

あなたがたが尋ね求めている主と、あなたがたの待ち望ん

でいる契約の使者は、突然その神殿に来るだろう。「見よ、

その方がやって来る」と万軍の主は言われる。(マラキ書

3:1)

しかし、だれがその方の来る日に耐えられようか。だれが、

この方の現れるところに立っていられようか。

まことに、この方は精錬する者が扱う火のようだから。(マラ

キ書 3:2)

But who may abide the day of His coming, and who

shall stand when He appeareth? For He is like a

refiner's fire.

(精錬<純化>する者)

この方は、レビの子らを純化するであろう。そして彼らこ

そが義にかなった捧げ物を主に捧げるようになるだろう。

(マラキ書 3:3)

And He shall purify the sons of Levi, that they may

(純粋にする) (レビ=リーヴァイと発音)

offer unto the Lord an offering in righteousness.

(捧げ物) (正義)

見よ、処女がみごもって男の子を産み、「エマヌエル」と

名付けるであろう。「エマヌエル」とは「神は我々と共にい

ます。」という意味の名である。(イザヤ書 7:14)

(イザヤ書第 7 章 14 節)(マタイ第1章 23 節)

Behold, a virgin shall conceive, and bear a son, and

shall call his name Emmanuel , ”God with us.”

O thou that tellest good tidings to Zion, arise, shine, for

thy light is come, and the glory of the Lord is risen upon

thee.

シオンに良い知らせを伝える者よ、起て、光を放て。あなた

方を照らす光は昇り、主の栄光があなた方の上に光り輝く。

(イザヤ書 40:9、イザヤ書 60:1)

O thou that tellest good tidings to Zion, get thee up

into the high mountain; O thou that tellest good tidings

to Jerusalem, lift up thy voice with strength, lift it up,

be not afraid; say unto the cities of Judah: Behold your

God ,

シオンの人々に良い知らせを伝える者よ、高い山に登れ。

エルサレムに良い知らせを伝える者よ、力の限り声をあげ

よ。恐れるな。ユダの町々に言うのだ。「あなた方の神を見

よ」と。(イザヤ書 40:9)

信仰の厚くないものは、メシア到来のとき耐えることができないと、神の厳しい一面を描いている。「純化する」ことを語る

のにバプテスマ(洗礼)で用いる「水」でなく、激しい「火」のイメージを使っている。

弦楽器による16分音符の連続構成によって、近寄りがたい神のおそれと尊厳さを表している。

And the desire of all nations shall come.

(財宝=メシアのこと)

「すると、すべての国々の望んでいた財宝(メシア)がやって

来るであろう」と。(ハガイ書 2:7)

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9. Accompagnato(Basso)

9.伴奏付レチタティーボ (バス)

For behold, darkness shall cover the earth, and gross

darkness the people: but the Lord shall arise upon thee,

and His glory shall be seen upon thee.

見よ、闇が地をおおい、さらに深い闇が民を包んでいる。し

かし、主があなた方の上に現われ、 その栄光があなた方

の上に輝く。(イザヤ書 60:2)

10. Air (Basso)

10.アリア (バス)

Recitative(Soprano)

レチタティーボ(ソプラノ)

11. Chorus 11. 合唱

ひとりのみどり子、ひとりの男の子=「イエス」のこと

諸国の民はあなた方の光の方へと歩み、その王達もあな

たの輝きへと歩み寄るだろう。(イザヤ書 60 章 3 節)

And the Gentiles shall come to thy light, and kings to

(異教徒)

the brightness of thy rising.

The people that walked in darkness have seen a great

light, And they that dwell in the land of the shadow of

death, upon them hath the light shined.

闇を歩く人々は大いなる光を見た。死の陰におおわれた

土地に住む者たちの上に、光が輝いた。(イザヤ書 9:2)

それは、ひとりのみどり子が、私達のために生まれたか

らである。私達はひとりの男の子を賜ったのだ。治世は

その子の肩に委ねられ、その子の名は、「すばらしい

方、助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれ

る。(イザヤ書 9:6)

For unto us a Child is born, unto us a Son is given,

and the government shall be upon His shoulder; and

(統治、治世)

His Name shall be called Wonderful, Counsellor, The

Mighty God, The Everlasting Father, The Prince of

(永遠)

Peace!

12. Pifa 12. 田園曲

Pifa とは、Piffero というイタリアで使われていた2枚リードの楽器。オーボエやチャルメラに似た音を出す。

ローマやナポリでクリスマスの季節に牧者の姿をした農民が集まってこの楽器を演奏する習慣があった。

又こうした田園風の管弦楽曲は、「キリスト降誕」を祝う意味でよく演奏される。

There were shepherds abiding in the field, keeping

watch over their flock by night.

夜通し、野にとどまり、群れを見守り続ける羊飼い達がい

た。 (ルカの福音書 2:8)

第6曲と第8曲の出だしの音型は同じで(ニ短調)から(ニ長調)と変わって、明るさを増して希望が膨らむような動きが

感じられる。

第9曲と第10曲では、バスのソロで「イエス」到来の前ではこの世は闇であるとして darkness(闇)が強調され、「イエ

ス」を light(光)として対比している。第9曲から第11曲はセットになっている。

第11曲は、メサイア作曲の直前に書かれた“No、di voi non vo fidarmi”(私は、お前達を信じたくない)からの転用とされ

ている。

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13. Accompagnato (Soprano)

Recitative(Soprano)

13伴奏付レチタティーボ(ソプラノ)

レチタティーボ (ソプラノ)

And lo, the angel of the Lord came upon them, and the

glory of the Lord shone round about them,and they were

sore afraid.

And the angel said unto them, Fear not: for behold, I bring

you good tidings of great joy, which shall be to all people.

For unto you is born this day in the city of David a

Saviour, which is Christ the Lord.

(救世主=イエスのこと)

すると見よ!主の御使いが彼らの上に来て、主の栄光が彼

らのまわりを照らしたので、彼らはひどく恐れた。 (ルカ

の福音書 2:9)

御使いは彼らに言った。「恐れることはない。見よ、私は全

ての人々のために与えられる大きな喜びをあなた方に伝

えに来たのだ。今日、ダビデの町で、救い主があなた方の

ために生まれた。その方こそ、主キリストである。」 (ルカ

の福音書 2:10~11)

14. Accompagnato (Soprano) 14. 伴奏付レチタティーボ (ソプラノ)

15. 合唱 15. Chorus

And suddenly there was with the angel a multitude of the

heav’nly host, praising God ,and saying:

すると突然、この御使いに大勢の天の軍勢が加わり、神を

賛美し、そして言った。 (ルカの福音書 2:13)

Glory to God in the highest, and peace on earth, good

will to wards men.

(善意)

「いと高きところでは、神に栄光あれ。 地上には平和

が、そして人々には善意が宿りますように。」 (ルカ

の福音書 2:14)

旧約聖書(預言)から、イエスの降誕という新約聖書(預言が成就した現実)への移行とするインターミッション(幕間)であると共に野にと

どまり、群れを見守り続ける羊飼い達の状況描写的効果も見られる。

一説には、野宿の羊飼いに象徴される社会の最下層の人々が「イエス」の到来を知ることを予感させるものとなっている。

「イエス」自身が“馬小屋”(=宿無し)で生まれたと重ねられている。

ダビデの町とは、ベツレヘム(=ダビデの生地)のこと。 メシアはベツレヘムで生まれると旧約の時代から言い伝えられて

いた。 ダビデ:羊飼いから身を起こし、イスラエルの王となった。竪琴の名手であり、『詩篇』の作者とされている。数々

の武功により民族統一を成し遂げたが、晩節を汚したとされている。 息子のソロモン王時代は隆盛を極めるが、ソロモンの

死によって国が分裂し、滅亡から大国支配の中で多数のユダヤ人がバビロニアに捕虜として連行され半世紀にわたる『バビロ

ン補囚』の時代を迎える。

「シオン」とは、エルサレムのこと。「シオンの娘」とはユダヤの民のこと。

16. Air (Soprano)

16. アリア (ソプラノ)

Rejoice greatly, O daughter of Zion, shout, O daughter of

Jerusalem, behold, thy king cometh unto thee, He is the

righteous Saviour, and He shall speak peace unto the

heathen.

シオンの娘よ、大いに喜べ。エルサレムの娘よ 歓呼せ

よ。見よ、あなた方の王があなた方のところへ来られる。こ

の方は高潔な救世主で、諸国の民にまでも平和を語りか

けるだろう。(ゼカリヤ書 9:9~10)

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レチタティーボ(アルト)

Recitative (Alto)

17. Duet ( Soprano、 Alto)

18.合唱

軛:牛の首・肩にかけて、牛車をひかせる。苦痛や苦難、苦労の

ことを比喩的に表す。

18.Chorus

burthen ⇒ burden

17. 二重唱(ソプラノ&アルト)

その時、盲人達の目は開かれ、耳の聞こえない人が 聞こ

えるようになる。 (イザヤ書 35:5)

Then shall the eyes of the blind be opened, and the ears

of the deaf unstopped.

then shall the lame man leap as an hart, and the tongue

of the dumb shall sing.

歩けなかった人々が雄鹿のように跳ね、口の聞けなかった

人々は、喜び歌うであろう。 (イザヤ書 35:6)

He shall feed His flock like a shepherd, and He shall

gather the lambs with His arm, and carry them in His

bosom, and gently lead those that are with young.

Come unto Him all ye that labour, that are heavy laden,

and He will give you rest.

この方は羊飼いのように、彼のもとにやってくる羊の群れを

養われるだろう。子羊たちをその腕に集め、 その懐に彼ら

を抱きしめ、子供を宿しているものを優しく導かれる。(イザ

ヤ書 40:11)

重荷を背負って苦しむ者は誰でも彼のもとに来なさい。主

はあなた方を休ませてくださるであろう。(マタイの福音書

11:28)

Take His yoke upon you, and learn of Him, for He is

meek and lowly of heart, and ye shall find rest unto your

souls.

彼のくびきを受け、彼に学びなさい。なぜなら、彼は心が柔

和でつつましい方であるからだ。そうすればあなた方は心

の安らぎを得るだろう。(マタイの福音書 11:29)

His yoke is easy, His burthen is light.

(くびき=軛) (重荷)

なぜなら、この方のくびきは負いやすく、その荷は軽いの

だから。 (マタイの福音書 11:30)

第16曲<その時、盲人の目は開かれ> 第17曲<この方は羊飼いのように羊の群れを養われ> 第18曲<この方の軛は

負いやすく>までの3曲は、イエスの行い、生きざま、教えを凝縮して表現している。

『主のくびきは負いやすい、その荷は軽いのだから』⇒神は優しく、ゆるしの神だから。 「主が我々に負わせる荷は軽い、だから主の下

に集まろう」という意味合いの希望のある合唱となっている。

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19. Chorus

19. 合唱

The Lam of God :神の子羊(キリストのこと)

Behold the Lamb of God, that taketh away the

sin of the world.

(大罪)

見よ、世の罪を取り除く神の子羊を。 (ヨハネの福音

書 1:29)

20. Air (Alto) 20. アリア (アルト)

22. Chorus 22. 合唱

21. Chorus 21. 合唱

He was despised and rejected of men, a man of

(しりぞけられる)

sorrows, and acquainted with grief.

この方は人々に軽蔑され、受け入れられなかった。彼は

悲しみに満ちていて、深い悲しみを身をもって知ってい

た。(イザヤ書 53:3)

He gave His back to the smiters, and His cheeks

to them that plucked off the hair, He hid not His

face from shame and spitting.

だからこそ彼は、彼を打とうとする者たちに背をまかせ、

ひげを抜こうとする者たちにほおをゆだねた。彼は侮辱さ

れ、つばを吐かれても顔をそむけなかった。 (イザヤ書

50:6)

Surely, He hath borne our griefs and carried

(悲しみ)

our sorrows.

(不幸)

He was wounded for our transgressions, He

was

(傷つける) (罪)

bruised for our iniquities; the chastisement

(打ち砕く) (罪悪) (懲罰)

of our peace was upon Him.

彼は、私たちの罪のために心を痛め、私たちの不義

のために肉体をも傷つけられた。彼が自ら受けた責

め苦によって、私たちには平安がもたらされた。(イザ

ヤ書 53:5)

まことに、この方は私たちの悩みを負い、私たちの悲

しみを担った。(イザヤ書 53:4)

And with His stripes we are healed.

(傷跡=むちで打たれた) (癒す)

そして、彼が打たれた傷によって私たちは癒された。

(イザヤ書 53:5)

(第2部 受難) 第2部はイエスの受難、復活、昇天、伝道、福音の広がりを歌うものとして、主として新約聖書から

のテキストで、受難によって救済されるというキリスト教信仰の中心的教義をなす。

預言者(洗礼者)ヨハネは、ヨルダン河畔で人々に洗礼を与え「悔い改めよ」と説いていたが、「自分のあとに来る方はは

るかにすぐれており、ヨハネ自身はその方の靴の紐を解く値打ちもない」と預言し、訪れたイエスに洗礼を与えたとき、“来

るべき方”であることを悟り語った言葉とされている。

ヘンデルはこの曲を作曲しているとき、感極まって、涙を流しながら筆を進めたと言われている。

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23. Chorus 23. 合唱

私たちは皆、羊のようにさまよって、それぞれの勝手

な道へ散っていってしまった。 それなのに主は、私

たちすべてのこの罪を、彼ひとりに負わせた。 (イザ

ヤ書 53:6)

All we like sheep have gone astray; we have

(道に迷って)

turned ev’ry one to his own way; and the Lord

hath laid on Him the iniquity of us all.

(罪)

24. Accompagnato (Tenore) 24. 伴奏付レチタティーボ (テノール)

25. Chorus 25. 合唱

All they that see Him, laugh Him to scorn; they

shoot out their lips, and shake their heads,

saying:

彼を見る全ての人々が、彼をあざ笑う。彼らはくちびるを

つき出し、頭を振っていう。(詩篇 22:7)

He trusted in God that He would deliver Him, let

(解放する)

Him deliver Him, if He delight in Him.

(お気に入り)

「彼は神を信じているのだ。それなら神が助ければい

い。本当に神のお気に入りなら、神は助けてくれるは

ずではないか。」(詩篇 22:8)

第21曲(Surely He hath borne)、第22曲(And with His stripes)、第23曲(All we like sheep)の3曲は一つの文脈を形作っている。

「神の子の贖罪による人類の救済(人間の罪をイエスひとりが負い、人々みなの代わりに責めを受けることで、人間を救ってくれたこ

と)」を3曲に展開している、キリスト教の中心的教義とする説もある。

羊のようにさ迷うさまとは、ひとびとが神の示す方へいかず、自分勝手にふるまったことで、人間の罪を現しているが、

最後に Adagio で一転して「主は私たちすべてのこの罪を、彼ひとりに負わせた」として、イエスを失うことを重々しく歌う。

なお、この曲は、第11曲と同じく、メサイア作曲の直前に書かれた“No、di voi non vo fidarmi”(私は、お前達を信

じたくない)からの転用とされている。

十字架上のキリスト最後の七つの言葉:<ハイドン・シュッツ等が題材として作曲>

第一の言葉「父よ、彼らを赦して下さい。なぜなら彼らは何をしているのか解らないからです。」

第二の言葉「アーメン、あなたに言います。あなたは今日私と共にパラダイスにいます。」

第三の言葉「ギュナイ、そこにあなたの子がいます」「そこに、あなたの母が」<母マリアと弟子ヨハネに言われた言葉=

ヨハネは言葉の意味を理解してマリアを伴って離れた>

第四の言葉「我が神、我が神、どうして私を見捨てられたのですか」<詩篇22からの引用>

第五の言葉「私は渇いている」<詩篇42の引用(涸れた谷に鹿が水を求めるように、神よ、私の魂はあなたを求める)>

第六の言葉「終わった」<旧約聖書の預言をすべて成就して、贖罪の業を完成したとの意に解せられている>

第七の言葉「父よ、私の霊をあなたの手にまかせます」

「shoot out their lips, and shake their heads」は、あざけりや悲難の仕草と思われるが、現代ではこういう表現はないとのこと。

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28. Accompagnato (Tenore) 28.伴奏付レチタティーボ (テノール)

27. Arioso (Tenore) 27. アリオーゾ (テノール)

26. Accompagnato (Tenore) 26. 伴奏付レチタティーボ (テノール)

Thy rebuke hath broken His heart; He is full of

heaviness. He looked for some to have pity on

Him, but there was no man, neither found He any

to comfort Him.

あなたがたの非難が彼の心を砕いたので、彼は望みを失

った。彼は同情を示すものを求めたが誰ひとりなく、慰め

てくれるものもまた誰もみつからなかった。(詩篇 69:20)

Behold, and see if there be any sorrow like unto

His sorrow !

見よ。彼に下されたような苦しみがこの世にまたあるかどう

かを考えよ。(エレミア哀歌 1:12)

10

あなたがたが犯した罪のために彼は打たれ、命あるものの

地から断ち切られた(昇天した)のだ。(イザヤ書 53:8)

He was cut off out of the land of the living ;

for the transgressions of Thy people was He

stricken,

29. Air (Tenore)

29. アリア (テノール)

30. Chorus

Recitative (Tenore)

30. 合唱

レチタティーヴォ (テノール)

But Thou didst not leave His soul in hell, nor

didst Thou suffer Thy Holy One to see

corruption.

しかしあなたは彼の魂を黄泉(よみ)に捨て置かれず、聖

なる方を死の腐敗に任せることはしなかった。(詩篇 16:

10)

Lift up your heads, O ye gates, and be ye lift

(頭を上げよ≒開け) (あなたがた)

up, ye everlasting doors, and the King of

(永遠の)

Glory shall come in !

Who is this King of Glory? The Lord of Hosts,

(万軍の主)

He is the King of Glory.

おお城門よ、こうべをあげよ。永遠の門よ、開け。栄光

の王が入られる。(詩篇 24:7)

栄光の王とは誰か。万軍の主、彼こそが栄光の王であ

る。(詩篇 24:9)

Who is this King of Glory? The Lord strong and

mighty, the Lord mighty in battle.

Unto which of the angels said He at any time,

Thou art My Son, this day have I begotten

Thee?

栄光の王とは誰か。それは、強く偉大な主、雄々しく戦

われる主。(詩篇 24:8)

いったいいつ神がどの御使いたちに向かっていわれた

のか。「あなたは私の息子、今日私はあなたを生んだ」

と、(ヘブル人への手紙 1:5)

第28曲は、預言者イザヤの有名な「主のしもべの歌」から引用(私たちの罪をすべて、主は彼に負わせられたの意)でキ

リストの死を表している。

揺るぎない信念の変イ長調の和音から、不安な気持ちを表すト短調への移行、さらにロ短調に展開し、最後の小節でロ短調の

同名調のロ長調へと劇的に移り変わるさまはキリストの深い絶望からくる苦しみや悩みそのものを表現している。

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31. Chorus

31. 合唱

神の御使いたちすべてに、彼を崇拝させよ。(ヘブル書

1:6)

11

Let all the angels of God worship Him.

(あがめる)

32. Air (Alto)

33. Chorus

32. アリア (アルト)

33. 合唱

34a. Air (Soprano)

34a. アリア (ソプラノ)

Thou art gone up on high, Thou hast led

captivity captive, and received gifts for men,

yea, even (とりこ=虜)

for Thine enemies, that the Lord God might

dwell among them.

あなたは天に登り虜(とりこ)となった人々を導き、またそ

れのみならず背くものたちのためにまで贈りものを集めら

れた。主なる神が彼らの中でも住むことができるように。

(詩篇 68:18)

The Lord gave the word: Great was the

company of the preachers.

(群れ) (牧師、説教者)

主がことばをお与えになった。福音を伝える者は、大き

な群れとなった。(詩篇 68:11)

How beautiful are the feet of them that

preach the gospel of peace, and bring glad

tidings of good things.

よき知らせを伝え、平和の福音をもたらす人々の足は

なんと美しいことだろう。(イザヤ書 52:7)(ローマ人へ

の手紙 10:15)

Zion[ザイオン]:シオンのこと。丘の名前であったが、転じてエルサレム全体を指す。「シオンの娘」とは、エレサレムの住人やユダヤ人全

体を指すことがある。 「良い知らせをもたらす、彼らの足取りはなんと美しい事か」とキリストの復活を急いで知らせる人々を称えてい

る。 マグダラのマリアともう一人のマリアが墓所に入って、最初に復活を知り、急いで弟子たちに知らせるために走ったとされている。

平和の福音を説く者たちの活動の美しさを8分の12拍子のやさしさに満ちたシチリアーノ(田園風)で表している。

第29曲では、復活のテーマに移ることとなり、第30曲では、聖なる山(シナイ山)に入るありさまを引用して、イエス

の復活・昇天・天国(神の国)への入場のさまに転化している。

虜(とりこ)⇒人間支配の虜=虐げられた人々を導く、即ち世界のすべての人々に開かれたものであること、また、反対す

る者たちのなかにあっても教えを宣べ伝えるようとする神の強い意思を暗示している。

福音とは、“神が人々の罪を許した証にキリストを復活させた”こと。第33曲では、福音を伝える使徒たちの活動を1

6分音符のメリスマで第34曲,第35曲と続くいわゆる<福音の布教>が語られる最初の曲となる。

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35a. Chorus 35a . 合唱

12

彼らの声は全地に響きわたり、その言葉は世界の果て

まで行きわたった。(ローマ人への手紙 10:18)

Their sound is gone out into all lands, and their

words unto the ends of the world.

36. アリア (バス)

36. Air (Basso)

38. Air (Tenore)

38. アリア (テノール)

37. Chorus

Recitative (Tenore)

37. 合唱

レチタティーボ (テノール)

なぜ国々はいっせいにそう激しく怒り狂うのか。そしてな

ぜ人々は虚しい事を想像するのか(詩篇 2:1)

Why do the nations so furiously rage together:

and why do the people imagine a vain thing?

The kings of the earth rise up, and the rulers take

counsel together against the Lord, and against

His anointed.

地上の王たちが立ち上がり、統治者たちはともに、主な

る神、そして主の聖別を受けたものに逆らって言う。(詩

篇 2:1-3)

Let us break their bonds asunder, and cast away

(枷かせ

)(ばらばらに) (投げ捨てる)

their yokes from us.

(軛くびき

He that dwelleth in heaven shall laugh them to

scorn, the Lord shall have them in derision.

「我らは彼らの枷を打ち砕き、彼らの軛を解き投げす

てよう。」(詩篇 2:3)

天におられる方は彼らをさげすむようにして笑い、主

は彼らを嘲笑する。(詩篇 2:4)

Thou shalt break them with a rod of iron; thou

shalt dash them in pieces like a potter's vessel.

(陶工) (陶器)

「お前は鉄の杖で彼らを打ち破り、陶工の作る焼き物の

ように彼らを打ち砕くであろう」と。(詩篇 2:4)

福音・伝道が世界のすみずみまで行きわたることを8分音符の連続した上向・下向の大きなうねりによって表現。

いままで続いた人間の支配から、キリストが自ら犠牲になって示した大いなる愛<福音の教え>に支配されることに対し

て、人々が戸惑いや恐怖から口々に反抗して騒ぐ様子を描写している。 スタッカートで激しく動く8分音符で歌われる第

1主題と3拍子を正確に示す4分音符とそれに続く16分音符のメリスマで構成される第2主題が交錯して群衆が口々に

反抗する様子を表している。 レチタティーボから第38曲の主の“審判”へ、そして「ハレルヤ」の高みに昇っていく。

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39. Chorus 39. 合唱

13

ハレルヤ。われらの主、全能の神は支配者となられた。

(ヨハネの黙示録 19:6)

Hallelujah! for the Lord God Omnipotent

(全能の)

reigneth.

(支配する)

Hallelujah:ヘブライ語で「神を賛美せよ」の意。ヨハネ黙示録では、「第七の御使いが、ラッパを吹き鳴らした。すると大きな声々が

天に起こって言った。」とあり、次の詩に続く。 神とキリストの勝利と支配を高らかに讃える大合唱となる。

The Kingdom of this world is become

The Kingdom of our Lord and of His Christ;

and He shall reign for ever and ever

この世は私達の主とその子キリストの王国となる。主は

永久に、そしていつまでも君臨するだろう。(ヨハネの黙

示録 11:15)

King of Kings, and Lord of Lords. 王の中の王、主の中の主である。(ヨハネの黙示録 1:

16)

「ヨハネの黙示録」:新約聖書の中にあって唯一預言的性格を持つ。 著者の使徒ヨハネ(しもべヨハネ)については詳しくは解らない

とされている。 ヨハネの黙示録では、使徒ヨハネが、「私は、神の言葉とイエスの証しのゆえに、パトモスと呼ばれる島にいた」、「ある

主の日のこと、私は霊に満たされていたが、後ろのほうでラッパのように響く大声を聞いた」ではじまる終末期において起こるであろう

出来事の『幻』見たと語る。

1. 緒言(1章)

2. 七つの教会へのメッセージ(2章、3章)

3. 神の玉座 天における礼拝と子羊(キリスト)の登場(4章5章)

4. 子羊(キリスト)が七つの封印を開封する(6章~8章5節)

5. 七人の天使がラッパを吹く(8章6節~11章19節)

6. 天の戦い、地における獣の増大、地の刈り入れ(12章~14章)

7. 最後の七つの災い、神の怒りが極みに達する(15章~16章)

8. 大淫婦の裁きとバビロンの滅亡(17章~18章)

9. 天における礼拝子羊の婚礼(19章1節~10節)

10. キリストの千年の統治の開始、サタンと人々の裁き(19章11節~20章)

11. 新天新地(21章~22章5節)

12. 全体の結び(22章6節~)

「ハレルヤ」では、七人の天使がラッパを吹くが、第1から第6までのラッパでは破壊や苦しみが始まるが、第7のラッパが吹かれると“こ

の世の国は主メシアのものとなった。天の神殿が開かれ契約の箱が見える”となって、この世は私達の主とその子キリストの王国とな

る。

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40. Air (Soprano) 40. アリア (ソプラノ)

I know that my Redeemer liveth, and that He shall

stand at the latter day upon the earth.

私は知っている。私の罪をあがなう方が生きている事を。

そして、彼が後の日にこの世にいらっしゃるであろうことを。

(ヨブ記 19:25)

14

(第3部 復活)

私の肉体が朽ち果てようとも、なお生きている神を見るで

あろう。(ヨブ記 19:26)

And tho’ worms destroy this body, yet in my

flesh shall I see God.

I know that my Redeemer liveth: For now is

Christ risen from the dead, the first fruits of

them that sleep.

今、キリストはよみがえり、眠りについたものたちの初穂

となられた。(コリント人への第1の手紙 15:20)

41. Chorus

41. 合唱

42. Accompagnato (Bass)

42. 伴奏付レチタティーボ (バス)

Since by man came death, by man came also

the resurrection of the dead.

(復活)

死がひとりの人を通して来たのと同じように、死者の復

活もまたひとりの人によってもたらされたのだ(コリント

人への第1の手紙 15:21)

For as in Adam all die, even so in Christ shall

all be made alive.

アダムの犯した罪によって全ての人が死を迎えるよう

に、キリストによって全ての人が生かされるだろう。(コ

リント人への第1の手紙 15:22)

Behold, I tell you a mystery; we shall not all

sleep,

見よ。あなたがたに神秘を告げよう。私達を皆永遠の眠

りにつくわけではなく、(コリント人への第1の手紙 15:51)

but we shall all be changed in a moment, in the

twinkling of an eye, at the last trumpet.

全て最後のラッパとともに、瞬く間に変えられるのであ

る。(コリント人への第1の手紙 15:52)

台本作家ジェネンズの発想による、信仰厚い義人ヨブの物語から引用(裕福だったヨブは神の試練によって財産も子供も失

い、重い皮膚病にかかるが、なお神への信仰を失わなかった)の歌詞と美しいメロディーによって「復活への信仰」が歌わ

れる。ヘンデルはこの曲に関しては一度も修正せず“霊感”を得て一気にこの美しいメロディーを書き上げたとされている。

「死」と「復活」を対比させるため Grave(重々しくゆるやかに)によって静かに「死」を、そして Allegro(速く)の

部分は全パートで「復活」を交互に歌う宗教的な独特な雰囲気がある。

アダムが禁断の木の実を食べたために、すべての人は死ぬ「さだめ(古い契約)」(=旧約)とされた。 しかしキリス

トが受難により人の罪の代償を払ってくれたので、人は死ぬ運命から救われる(新しい契約=新約)⇒「人間の支配」

から「神の支配」とする復活信仰の宣言。

最後の審判の日のラッパ、運命の日のラッパというイメージは古くからあったとされている。 ラッパは英語では trumpet

であるが、ドイツ語では Posaune=トロンボーン、ラテン語では tuba=チューバ。

第3部は死後の復活と永遠の生命への信仰を歌う。ほとんどは新約聖書後半、使徒の手紙からの

引用だが、第40は旧約のヨブ記からジェネンズが敢えて取り上げたもの。

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43. Air (Bass)

Recitative (Alto)

43. アリア (バス)

レチタティーヴォ (アルト)

ラッパが鳴り響き、そして死者は朽ち果てることのないも

のとしてよみがえり、われわれは変えられる。(コリント人

への第1の手紙 15:52)

15

The trumpet shall sound and the dead shall be

raised incorruptible, and we shall be changed.

For this corruptible must put on incorruption, and

this mortal must put on immortality.

Then shall be brought to pass the saying that is

written, death is swallowed up in victory.

この朽ち果てるべきものは、この朽ち果てないものをつ

け、死すべきものは不死のものを身につけるようになる

からである。(コリント人への第1の手紙 15:53)

その時「死は勝利に飲み込まれてしまった」と記された言

葉は成就されるであろう。 (コリント人への第1の手紙

15:54)

44. Duet (Alto & Tenor)

44. 二重唱 (アルト&テノール)

45. Chorus 45. 合唱

おお、死よ、おまえのとげはどこにあるのか。

おお、墓よ、おまえの勝利はどこにあるのか。(コリント人

への第1の手紙 15:55)

O death, where is thy sting?

O grave, where is thy victory?

The sting of death is sin, and the strength of sin

is the law.

死のとげは罪であり、罪の力は律法である。(コリント人

への第1の手紙 15:56)

But thanks be to God, who giveth us the

victory through our Lord Jesus Christ.

しかし、神に感謝せよ。神は、私達の主イエス・キリス

トを通して、われわれに勝利を与えて下さるのだから。

(コリント人への第1の手紙 15:57)

死への勝利に次いで罪と律法への勝利があげられる。 「死のとげ」とは、罪のこと⇒罪は究極的には死への恐怖から生

じている。 アダムとイブが「この木の実を食べると神のようになる」という蛇の誘惑によって犯した罪(原罪)から、

限られた生命のなかで、欲望から「自分を神とする」生き方が罪の正体とされる。 「律法」とは、ここでは人間の業績

とその業績の積み重ねを「自分を神とする」根拠にしようとする態度を指す、とする考えがある。

第44曲・第45曲では、死の決定的・最終的な克服を歌う一連の曲となっている。

第45曲では、キリストの復活によって人々の罪が許されたことを神に感謝する。

復活とは、死に対する勝利であることを宣言。

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46. Air (Soprano) 46. アリア (ソプラノ)

16

47. Chorus 47. 合唱

If God be for us, who can be against us?

神が私達に味方するならば、だれが私達と敵対するだろ

うか。(ローマ書 8:31)

Who shall lay anything to the charge of God's

elect? It is God that justifieth.

だれが神に選ばれたものを訴える事が出来るだろうか。

いやだれもできはしないだろう。なぜならば神が義とする

からである。(ローマ書 8:33)

Who is he that condemneth? It is Christ that

died, yea rather, that is risen again, who is at the

right hand of God, who makes intercession for

us.

誰がわれわれをとがめようとするだろうか。いや、誰もし

ないだろう。私達のために死んで、復活した方である主キ

リストが神の右に座して私達のためにとりなして下さるか

らである。(ローマ書 8:34)

Worthy is the Lamb that was slain, and hath

(価値がある) (屠ほふ

る)

redeemed us to God by His blood, to receive

(贖あがな

う)

power, and riches, and wisdom, and strength,

(権力)

and honour, and glory, and blessing.

屠られた子羊、自らの血によって神に贖って下さった

神の子羊キリストこそ、力と富、知恵、威力、名誉、栄

光、そして賛美を受けるにふさわしい。(ヨハネの黙示

録 5:12)

Blessing and honour, glory and power, be

(賛美)

unto Him that sitteth upon the throne , and

(玉座・御座み ざ

unto the Lamb, for ever and ever.

御座にいます方と、神の子羊キリストとに賛美、名誉、

栄光、権力が永遠にありますように。(ヨハネの黙示録

5:13)

Amen

アーメン

Amen:ヘブライ語で「まことに」「しかり」「かくの如くありますように」の意。

最終曲である第47曲でもヨハネ黙示録からの引用、“神の玉座 天における礼拝と子羊(キリスト)の登場”で、四つの生き物と

二十四人の長老とは、おのおの竪琴と香の満ちている金の鉢とを持って、子羊の前にひれ伏した。 天使たちは大声でこう言った

とあり、「屠られた子羊、自らの血によって神に贖って下さった神の子羊キリストこそ、力と富、知恵、威力、名誉、栄光、そして賛美

を受けるにふさわしい...」と続き、四つの生き物は“アーメン”と言い、長老たちはひれ伏して礼拝した、と結んでいる。

神の信任をえた信徒たちの自信に満ちた声を歌う。 もとは弱気人間にすぎない信徒たちがイエスの力によって永遠の生命

を得て、敵対するものを恐れない決意が語られる。

「神の右に座し」とは、キリストが父である神とともにおられる、との意。

前半部は、感謝と賛美の気持ちを全パートで荘厳に奏でる。中間部は、救い主<メサイア>に対し、その賛美と栄光が

限りなくあるように歌い上げ、各パートの8分音符の連続はまさに、永遠の賛歌となっている。後半部は有名な祈りの

大フーガ「アーメン・コーラス」であり、オラトリオ「メサイア」は、この<アーメン>の言葉によってすべて集約さ

れ、キリストの大いなる<真実の姿>と<普遍の愛>が全ての人々の上に等しく注がれていることへの感謝と祈りの言

葉で、この偉大なオラトリオ「メサイア」の全曲は終わりを告げる。

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参考資料

☆ ヘンデル

☆ オラトリオ

☆ヘンデルとバッハ

文献:メサイアハンドブック(三ヶ尻正)<参照:日本聖書協会> キリスト教と音楽(金沢正剛) 西洋音楽史(グラウト) 音楽史とっておきの話(武川寛)、

新音楽史(ミラー)、団内資料、その他 wikipedia等インターネット上の資料

楽譜については、初演当初の捨て子養育院版のほか、モーツアルト版などがあり、今でもノベロ版、ペータース版、ベーレンライター版、基督教音楽出版

があり、若干の相違が見られる

17

ヘンデル(Georg Friedrich Handel)は、1685年2月23日、ドイツのハレで出生。 子供の頃から音楽に強い関

心と能力を見せますが、父親の遺志により一度はハレ大学法学部に進学します。

しかし、結局はハレの教会オルガニストを皮切りに、ハンブルクをはじめイタリアのフィレンツェ、ナポリなどの遍

歴を通じて多くの音楽と人脈を得たようです。 25歳でハノーバーの宮廷楽長という安定した地位を得ますが、任

地に落ち着くことなくロンドンに外遊し、ついには職場放棄してそのまま居着いてしまいました。

その後、イギリスのアン女王が没して、ハノーバーのルードリッヒ公(もとの君主)がジョージⅠ世として即位、か

っての不義理のため、間の悪くなったヘンデルが「水上の音楽」を演奏したとされていますが。 「音楽の母」と呼

ばれて、オペラ・オラトリオ作曲家、劇場経営者として音楽史上重要な1ページを飾るとともに、 晩年は、捨子孤

児院での慈善演奏会を毎年演奏するなど前進的な行動とともに啓蒙的な考えの持ち主だったようです。 「調子

のよい鍛冶屋」やアリア「オンブラ・マイ・フ(美しい木陰)」なども魅力的です。

25歳でハノーバーの宮廷楽長という安定した地位を得ま

すが、任地に落ち着くことなくロンドンに外遊し、ついには職場放棄してそのまま居着いてしまいました。

イギリスのアン女王が没して、ハノーバーのルードリッヒ公(もとの君主)がジョージⅠ世として即位、

間の悪くなったヘンデルが「水上の音楽」を演奏したとされていますが。 「音楽の母」と呼ばれて、オペ

ラ・オラトリオ作曲家、劇場経営者として音楽史上重要な1ページを飾るとともに、 晩年は、捨子孤児

院での慈善演奏会を毎年演奏するなど前進的な行動とともに啓蒙的な考えの持ち主だったようです。

「調子のよい鍛冶屋」やアリア「オンブラ・マイ・フ(美しい木陰)」なども魅力的です。

オラトリオは「宗教的な主題を持ったオペラ」ともいえるもので、聖書の内容がテーマであり、オペラのように

演技をしないものを指す、または、「衣装と装置のないオペラ」とも言われたりします。 メサイアではテキストは、ジ

ェネンズが聖書の「詩編」「書簡」あるいは「黙示録」から作り上げましたが、旧約聖書から「預言」の形を借りて「降

誕」から「受難」を経て新しい展開を期待させるものがあるように思われます。

ヘンデルとバッハ(Johann Sebastian Bach)はともに1685年にドイツで生まれています。 バッハは音楽家一

族の出で自らの信仰心を最も表現できる教会音楽の場で活躍し、ヘンデルは「音楽だけはやるな」という外科医

の父親に反して音楽の道へ、そして自由の地イギリスのロンドンに渡ってオペラやオラトリオなど劇場音楽の公開

演奏に専念しました。

20歳のバッハが、中部ドイツのアルンシュタットからドイツ北部のハンザ同盟の町リューベックまでの370キロ

(京都から東京位?)踏破して著名なオルガニスト、ブクステフーデのオルガンを聞くために旅したことは有名な

話ですが、それに先立つ2年前にヘンデルがブクステフーデを訪問しています。 その時既に60歳後半の巨匠

は後継者として迎えようとしたようですが、巨匠の娘と結婚することが条件だったようで、逃げ帰っています。

子供が20人いたというバッハに対して、ヘンデルは独身でした。 バッハもヘンデルもお互いの活躍を知って

いましたが遂に会うことはありませんでした。 晩年のベートーベンが「あなたを除いて、音楽家で一番偉い人は

誰だとおもいますか」と問われて、「最近までバッハだと思っていたが、ヘンデルにはまだまだ学ぶべきものがある

ことが解った」と語ったとか言われています。

編集

発行

2011年 7月 Ver1.0

瀬戸メサイア合唱団 内部資料検討委員会