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4 添付文書② 別紙第2 説明書 遺伝についての一般的な説明 遺伝子とは 遺伝子は、生き物の体を作る設計図に相当し、細胞のなかにあります。父親と母親から、半分 ずつ受け継いだ遺伝子という設計図に従って、1 個の受精卵からからだの様々な部分がつくら れ、最終的にヒトの体ができあがります。また、完成された体の機能をうまくコントロールす るのも遺伝子の役目です。この遺伝子の働きで、生命が維持されています。 病気と遺伝子 ほとんど全ての病気は、生来ヒトが持っている因子(遺伝因子)と病原体、環境(環境因子) の両者が組み合わされて起こります。これらのどちらかの原因が強く影響しているもの(優性 遺伝病や染色体異常などの狭い意味での遺伝病と、麻疹などの感染症)もあれば、高血圧や糖 尿病など生活習慣病のように両者が複雑に絡み合って発症にいたるものがあります。 遺伝性の病気 遺伝性疾患とは、遺伝子の異常が主因になって起こる病気をいいます。これには、親が遺伝子 の異常をもっていて、その異常が子に伝わる(いわゆる遺伝する)場合と、親の遺伝子に全く 異常がないのに、精子や卵子の遺伝子に突然変異が生じて病気になる場合とがあります。また、 身体の細胞の一部に遺伝子の異常が生じて、がんやその他の病気になることもあります。 しかし、遺伝子の異常が何時も病気になるわけではありません。人間には、染色体が 2 本(一 対)ずつあり、一本の染色体の遺伝子に異常があっても、正常なもう一本の遺伝子が機能を補 って病気にならないこともあります。また、遺伝子の異常が身体の機能異常につながらないこ ともあります。一方、食事などを含めた環境(外的因子)への反応の違いが遺伝子の性質によ ることもあり、一見遺伝性でないように見える病気が遺伝子の違いに起因することもわかって きました。 遺伝子検査とは 特定の病気が遺伝子の異常によるものである可能性が高く、かつその病気の原因となる遺伝子 がわかっている場合には、遺伝子検査によって診断を確定し、治療に有用な情報が得られる場 合があります。また、原因となる遺伝子がまだ良くわかっていない場合には、その原因をつき とめる研究がすすむことにより、将来病気の治療や対策がより良く行えるようになる可能性が あります。 平成 説明時間: 分から 分まで 説明者(自署)氏名 職名

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添付文書②

別紙第2

説明書 1

遺伝についての一般的な説明

遺伝子とは

遺伝子は、生き物の体を作る設計図に相当し、細胞のなかにあります。父親と母親から、半分

ずつ受け継いだ遺伝子という設計図に従って、1 個の受精卵からからだの様々な部分がつくら

れ、最終的にヒトの体ができあがります。また、完成された体の機能をうまくコントロールす

るのも遺伝子の役目です。この遺伝子の働きで、生命が維持されています。

病気と遺伝子

ほとんど全ての病気は、生来ヒトが持っている因子(遺伝因子)と病原体、環境(環境因子)

の両者が組み合わされて起こります。これらのどちらかの原因が強く影響しているもの(優性

遺伝病や染色体異常などの狭い意味での遺伝病と、麻疹などの感染症)もあれば、高血圧や糖

尿病など生活習慣病のように両者が複雑に絡み合って発症にいたるものがあります。

遺伝性の病気

遺伝性疾患とは、遺伝子の異常が主因になって起こる病気をいいます。これには、親が遺伝子

の異常をもっていて、その異常が子に伝わる(いわゆる遺伝する)場合と、親の遺伝子に全く

異常がないのに、精子や卵子の遺伝子に突然変異が生じて病気になる場合とがあります。また、

身体の細胞の一部に遺伝子の異常が生じて、がんやその他の病気になることもあります。

しかし、遺伝子の異常が何時も病気になるわけではありません。人間には、染色体が 2 本(一

対)ずつあり、一本の染色体の遺伝子に異常があっても、正常なもう一本の遺伝子が機能を補

って病気にならないこともあります。また、遺伝子の異常が身体の機能異常につながらないこ

ともあります。一方、食事などを含めた環境(外的因子)への反応の違いが遺伝子の性質によ

ることもあり、一見遺伝性でないように見える病気が遺伝子の違いに起因することもわかって

きました。

遺伝子検査とは

特定の病気が遺伝子の異常によるものである可能性が高く、かつその病気の原因となる遺伝子

がわかっている場合には、遺伝子検査によって診断を確定し、治療に有用な情報が得られる場

合があります。また、原因となる遺伝子がまだ良くわかっていない場合には、その原因をつき

とめる研究がすすむことにより、将来病気の治療や対策がより良く行えるようになる可能性が

あります。

平成 年 月 日

説明時間: 時 分から 時 分まで

説明者(自署)氏名 職名

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添付文書③ 別紙第2

説明書 2-1 先天性免疫不全症について(患者さん用)

先天性免疫不全症には種々の原因がありますが、免疫系を作るプログラムが一部障害された

ために起こると考えられています。最近、免疫系を作るプログラムの仕組みが明らかにされて

きており、いくつかの遺伝子群が原因遺伝子であることがわかってきました。

この検査は、先天性免疫不全症の原因遺伝子とその機能の異常の有無を調べ、病気の原因を

明らかにしようとするものです。異常の有無を明らかにすることによって、確定診断が出来ま

す。このことにより,早期診断が可能になり,早期治療を行えば,予後を改善することができ

ます。また,今後の病気の変化、御家族や御兄弟の病気発生の危険性などを知ることも出来ま

すし,より適切な治療法の選択にも役立ちます。さらに先のことにはなりますが将来の遺伝子

治療の開発に役立つことが期待できます。なお、本研究では500例の患者さんを対象として

研究をさせて頂く予定としています。本研究は、防衛医科大学校小児科、および九州大学医学

部 生殖発達医学部門小児医学講座成長発達医学分野、独立行政法人理化学研究所免疫・アレ

ルギー科学総合研究センター、財団法人かずさ DNA 研究所、筑波大学人間総合科学研究科遺伝

医学分野、広島大学原爆放射線医科学研究所放射線ゲノム学研究分野、京都大学 iPS 細胞研究

所臨床応用研究部門疾患再現学分野、東京大学医学部附属病院・キャンサーボード、東京医科

歯科大学・大学院医歯学総合研究科 小児・周産期地域医療学講座、同発生発達病態学分野、イ

ンペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)、徳島大学 疾患プロテオゲノ

ム研究センター病態プロテオゲノム分野、山梨大学・大学院医学工学総合研究部・環境遺伝医

学講座にて行われます。

約5-20ml の血液をいただくことになりますが、上記のような目的を御理解の上、御協力

下さるようお願いいたします。いただいた血液などから、試験管内で B リンパ球や T リンパ球、

線維芽細胞を増やして解析に使用することがあります。一部の細胞は保存し、次の解析に使用

することがあります。

この検査に御協力いただかなかったとしても、現在受けている診察や治療に何の不利益もあり

ません。

なお、遺伝情報を開示すると、社会的、個人的な不利益を受けることがありますので、結果

については秘密保持に万全を期し、他に漏れることがないようにいたします。具体的には検体

の取り扱いを、患者の個人を特定できないように記号化して別に管理者を置き、患者個人を特

定できないようにします。共同研究施設へは匿名化情報のみを提供しますので、個人情報が流

出する恐れはありません。管理者は、防衛医科大学校が指名する個人情報管理者の監督のもと

に補助者として管理を行うこととし、本研究に関与しない者(防衛医科大学校小児科 若松太

講師)とします。

検査の結果が出ましたら御報告いたしますが、結果の報告を希望されない場合は、その旨を

記載してください。未成年に対する結果の報告は、代諾者との十分な協議の上で、代諾者およ

び患者さんの希望がある場合に限り、代諾者同席の上でまた、報告します。また、ご希望があ

れば、専門家による遺伝カウンセリングを紹介します。なお、得られた結果については、個人

情報が明らかにならないよう匿名化した上で、学会等に公表することがあります。

また、この分野の研究は世界的に急速に進んでおり、近い将来未知の原因遺伝子の候補がさ

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らに発見されることは充分に考えられます。そこで、今回の一連の研究が終了した後も、永続

的に当研究室内および独立行政法人 理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターで

匿名化をしたまま検体を保存し、適宜検査を続けていきたいと私たちは希望しています。いず

れの施設でも検体の管理は施設長の責任の元で厳重に行ない、他に流出することはありません。

もちろん、新しい発見があった場合は、その都度主治医からご説明申し上げます。また、先天

性免疫不全症とは異なった目的で、検体を用いる研究を計画した場合には、その都度詳しく御

説明申し上げ、ご同意が得られない場合は、決して使用いたしません。また、ご要望があれば

検体の破棄や使用の中止はいつでも速やかに行います。

尚、本研究に参加された場合の費用につきましては、保険適応範囲での画像や血液検査料は

他の患者さん同様にご負担いただきます。また、本研究にご参加いただくことに対して、あな

たに金銭面での謝礼はありません。また将来研究の成果が特許権等の知的財産権を生み出した

場合、知的財産権は防衛医科大学校および共同研究施設に帰属します。

以上、この研究に対して十分ご理解いただいた上で、研究に参加していただけることになり

ましたら、同意書に日付を記入の上、署名をお願い致します。

研究主任者:小児科学 官職 教 授 野々山 恵章

研究分担者:小児科学 官職 研究科(3 等陸佐)釜江 智佳子

研究科(3 等陸佐)本間 健一

研究科(3 等陸佐)加藤 環

説明日:平成 年 月 日

説明時間: 時 分から 時 分まで

説明を受けた患者

同席された代諾者

説明を行った医師 、

連絡先:〒359-8513 埼玉県所沢市並木 3-2 防衛医科大学校小児科医局

電話 042-995-1621 FAX 042-996-9204

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別紙第2

説明書 2-2 先天性免疫不全症について(保因者診断用)

先天性免疫不全症には種々の原因がありますが、免疫系を作るプログラムが一部障害された

ために起こると考えられています。最近、免疫系を作るプログラムの仕組みが明らかにされて

きており、いくつかの遺伝子群が原因遺伝子であることがわかってきました。

この検査は、ご家族の方の先天性免疫不全症の原因遺伝子の異常の有無を調べ、保因者であ

るかを診断するものです。保因者であるかを明らかにすることによって、お子さまが先天性免

疫不全症をもって出生される可能性が推定できます。約5-20ml の血液をいただくことにな

りますが、上記のような目的を御理解の上、御協力下さるようお願いいたします。なお、本研

究では500例の患者さんおよび保因者の方々の研究をさせて頂く予定としています。

この検査に御協力いただかなかったとしても、患者さん本人が現在受けている診察や治療に何

の不利益もありません。

なお、遺伝情報を開示すると、社会的、個人的な不利益を受けることがありますので、結果

については秘密保持に万全を期し、他に漏れることがないようにいたします。管理者は、防衛

医科大学校が指名する個人情報管理者の監督のもとに補助者として管理を行うこととし、本研

究に関与しない者(防衛医科大学校小児科 若松太講師)とします。

検査の結果が出ましたら御報告いたしますが、結果の報告を希望されない場合は、その旨を

記載してください。未成年者に対する結果の報告は、代諾者との十分な協議の上で、代諾者お

よび患者さんの希望がある場合に限り、代諾者同席の上でまた、報告します。また、ご希望が

あれば、専門家による遺伝カウンセリングを紹介します。なお、得られた結果については、個

人情報が明らかにならないよう匿名化した上で、学会等に公表することがあります。

また、この分野の研究は世界的に急速に進んでおり、近い将来未知の原因遺伝子の候補がさ

らに発見されることは充分に考えられます。そこで、今回の一連の研究が終了した後も、永続

的に当研究室で検体を保存し、適宜検査を続けていきたいと私たちは希望しています。しかし、

他の研究室に分与することはありません。もちろん、新しい発見があった場合は、その都度主

治医からご説明申し上げます。また、先天性免疫不全症とは異なった目的で、検体を用いる研

究を計画した場合には、その都度詳しく御説明申し上げ、ご同意が得られない場合は、決して

使用いたしません。また、ご要望があれば検体の破棄や使用の中止はいつでも速やかに行いま

す。

尚、本研究に参加された場合の費用につきましては、保険適応範囲での画像や血液検査料は

他の患者さん同様にご負担いただきます。また、本研究にご参加いただくことに対して、あな

たに金銭面での謝礼はありません。また将来研究の成果が特許権等の知的財産権を生み出した

場合、知的財産権は防衛医科大学校に帰属します。

以上、この研究に対して十分ご理解いただいた上で、研究に参加していただけることになり

ましたら、同意書に日付を記入の上、署名をお願い致します。

研究主任者:小児科学 官職 教 授 野々山 恵章

研究分担者:小児科学 官職 研究科(3 等陸佐)釜江 智佳子

研究科(3 等陸佐)本間 健一

研究科(3 等陸佐)加藤 環

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説明日:平成 年 月 日

説明時間: 時 分から 時 分まで

説明を受けた患者

同席された代諾者

説明を行った医師 、

連絡先:359-8513

埼玉県所沢市並木 3-2 防衛医科大学校小児科医局

電話 042-995-1621 FAX 042-996-9204

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別紙第2

説明書 2-3

患 者 さ ん へ の 説 明 文 書

(京都大学 iPS 細胞研究所における iPS 細胞の樹立と解析について)

研究課題名

先天性免疫不全症の遺伝子解析研究

1. 同意の自由・同意撤回の自由について

「先天性免疫不全症の遺伝子解析研究」に協力されるかされないかは自由で

す。途中で気が変わるのも自由です。研究協力されるかどうかは自由意志で決

めて下さい。また、患者さんの年齢が16歳以上の未成年者の場合、あるいは

16歳未満で本人による意思表明が可能な場合は本人及び代諾者の方に、16

歳未満で本人による意思表明が不可能な場合は、代諾者の方に決めて頂きます。

16歳未満で本人による意思表明が可能な場合、ご本人の同意がいただけない

場合、研究に参加いただきません。強制はいたしません。協力して頂いても、

して頂かなくても、同じように最善の医療をいたします。

この説明書をお読みになり担当医の説明を聞いて、体の細胞の一部を 提供

して下さることに同意して頂ける場合は、別紙の同意書に署名または記名・押印

をして下さい。

一旦同意された場合でも、不利益を受けることなく一方向的に文書により、

同意を撤回することができます。その場合、提供頂いた検体、それより作成し

た iPS 細胞、それに付随する医療情報は破棄され、以降は研究に用いられるこ

とはありません。

本研究に関する意思の確認書の原本は、防衛医科大学校小児科学教室におい

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て保管します。その写し一部をお渡しします。

2. 研究計画が倫理委員会で承認されたものであること

本研究計画は、京都大学再生医科学研究所、物質-細胞統合システム拠点及び

iPS 細胞研究所合同医の倫理委員会、及び防衛医科大学校倫理委員会で審査さ

れ、承認されたものです。

3. 研究の目的

先天性免疫不全症は,さまざまな感染症を合併するため,早期に・治療を行

うことが非常に大事な疾患です。診断がつけば,様々な方法で感染症の予防が

可能であり,さらに幹細胞移植(骨髄移植など)により根治することも期待で

きます。診断は,主に遺伝子の異常を見つけることで行われます。約 8-9 割の

患者さんで先天性免疫不全症の原因遺伝子が判明していますが、先天性免疫不

全症は非常に種類が多く、残りの患者さんでは未だに原因がわかっていません。

これらの患者さんのなかには、様々な要因により、従来の方法では遺伝子診

断を行うのが非常に困難な患者さんもいらっしゃいます。そこで,本研究では

このような患者さんに対して、iPS 細胞を用いた診断方法の開発を目指します。

iPS 細胞は、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)という細

胞で、皮膚や血液などから取り出した細胞に4種類または3種類の遺伝子を導

入することにより作ることができます。iPS 細胞は、多能性幹細胞という名前

の通り、私達の体を構成するいろいろな組織に分化することができます。この

性質を応用し、血液の病気を調べたい時には血液細胞へ、肝臓の病気を調べた

い時には肝細胞へ、神経の病気を調べたい時には神経細胞へ、試験管の中で分

化させます。そうすることにより、患者さんより、繰り返して検体を頂く必要

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がなくなります。そこで今回、あなた(代理人の場合は当該の患者さん(以下

同))が現在治療を受けておられる病気の原因を調べたり有効な治療法を見つけ

出すために、あなたの体の細胞から iPS 細胞を作り出す研究を行いたいと考え、

研究へのご協力をお願いしています。

なお、本研究により得られる成果をもとに、新しい治療方法を開発するため

には、数年以上の期間が必要です。また、本研究により作成されるヒト iPS 細

胞を加工して、直接患者さんの体内に戻すといった治療応用は行いません。

4. 研究の実施体制について

この研究は京都大学 iPS 細胞研究所と防衛医科大学校小児科学教室との共同

研究として行われ、研究全体の統括を iPS 細胞研究所の中畑龍俊教授が担当し

ます。iPS 細胞研究所における研究は齋藤潤助教、大嶋宏一研究員が、防衛医

科大学校における研究は野々山恵章教授が担当します。

研究期間として、承認日より 10 年間を予定していますが、研究の進展により、

倫理委員会の承認を受けた上で、延長されることがあります。

5. 研究の方法

次の項で記載する、あなたの細胞を、京都大学 iPS 細胞研究所に搬送し、そ

こで iPS 細胞を作成します。作成方法は、現在はウィルスやプラスミドという

方法を用いて、遺伝子を細胞に入れるという方法を用いていますが、将来は、

より有効で安全な方法が開発される可能性があり、その時点における最も優れ

た方法を使って作成する予定です。そして作成された細胞を使って、病気の原

因を探る研究を行います。このとき、細胞の遺伝子を調べることも必要になり

ます。

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6. 細胞の採取について

本研究では、別の研究のためにすでに採取されている試料を、iPS 細胞の樹

立に用います。したがって、あなたに新たに負担や苦痛を生じることはありま

せん。

7. 作成した iPS 細胞の使用について

作成した iPS 細胞を用いて、病気の原因を探る研究を行います。具体的には、

血球細胞またはその元になる細胞、あるいは血球細胞と関係する様々な細胞種

(血管の細胞・神経細胞・脂肪細胞など)に分化させて、機能を分析します。た

だし、実際の治療のために使用することはありません。iPS 細胞と同じように

いろいろな細胞に分化することができる胚性幹細胞(Embryonic stem cell、ES

細胞)の使用に関しては、詳しいルールを国が定めていますが、iPS 細胞に関し

ては、まだ詳しいルールは決められていません。現在、iPS 細胞の使用に関し

て禁じられていることは下記です。

1)ヒト iPS 細胞を使用して作成した胚(注:胎児のもとになるものです)の

人又は動物の胎内への移植その他の方法によりヒト iPS 細胞から個体を作成す

ること。

2)ヒト胚へヒト iPS 細胞を導入すること。

3)ヒト胎児へヒト iPS 細胞を導入すること。

4)ヒト iPS 細胞から生殖細胞(注:精子や卵子のことです)を作成した場合

は、これを用いて胚を作成すること

この計画で作成した iPS 細胞の使用に関しても、上記の事は堅く守ります。

なお、本研究では、iPS 細胞から生殖細胞は作成しません。

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8. 個人情報に関して

作成した iPS 細胞については、患者さんが特定できる名前、住所などの個人

情報を削り、代わりに新しい符号が付けられます(匿名化といいます)。患者さ

んとこの符号を結びつけるための対応表は、この研究に携わらない個人識別情

報管理者が管理し、この個人識別情報管理者以外の者は、どの患者さんより作

成した iPS 細胞であるか、わからないようにしてあります。一方、提供して頂

いた患者さんより、新しい成果についてお問い合わせがある場合には、研究者

が個人識別情報管理者より患者さんの個人情報を入手し、研究の独創性の確保

に支障をきたさない範囲内でお知らせすることが可能な状態にしておきます

(連結可能匿名化といいます)。なお、この情報を研究者が知ることが可能なの

は、京都大学 iPS 細胞研究所及び防衛医科大学校において行われる研究におい

てのみです。

9. 細胞の保存について

iPS 細胞研究所に送付された細胞は、研究期間中、同研究所で保存されます。

研究期間終了後について、長期保存に対して同意がいただける場合は、引き続

き同研究所で保存させていただきますが、同意いただけなかった場合は、研究

終了後、速やかに廃棄します。 iPS 細胞の長期保存は、iPS 細胞研究所及び防

衛医科大学校小児科学教室の双方で行われます。細胞の長期保存に同意してい

ただける場合は、同意書の中の、「iPS 細胞を含む細胞を京都大学 iPS 細胞研究

所及び防衛医科大学校で長期保存することについて」という項目で、「承諾する」

を選択してください。同意されないなら、「承諾しない」を選択してください。

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10. iPS 細胞の外部研究機関への供与について

研究計画に参加している研究者以外の研究者から、あなたの組織から作成し

た iPS 細胞を使用したいという申込みがある可能性があります。その場合は、

以下の条件が満たされている場合、細胞を供与させて頂きたいと考えています。

1) 申込みをした研究者が所属する機関(病院・研究所・企業*など)の倫理委

員会で審査・承認された研究計画に基づいた申込みであること。

2) 研究目的・内容や倫理審査の経緯などに関し、作成に関わった研究者が適切

と判断した研究計画であること

*iPS 細胞を治療に役立てるためには、製薬会社などの企業の研究も進むことが

大切ですので、申請された計画が妥当なもので、倫理委員会での審査も適切と

判断された場合は、企業にも iPS 細胞を供与させて頂きたいと考えています。

その成果として、患者さんにとって有益なお薬が開発され、製薬会社より発売

されることも考えられます。

以上の条件が満たされていた場合、あなた由来の iPS 細胞を供与することに同

意していただけるのであれば、同意書の中の、「他機関への細胞の供与について」

という項目で、「承諾する」を選択して下さい。いかなる条件でも供与して欲し

くないならば、「承諾しない」を選択して下さい。この選択によって、その後の

あなたの病気の治療に何らかの影響が発生することは一切ありません。供与の

際には、必要に応じて連結できるようにして供与しますので、同意された後に、

同意の取り消しを希望された場合も供与機関に連絡して、使用を中止すること

が出来ます。

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11. iPS 細胞バンク事業への寄託について

iPS 細胞の研究が進んで、多くの研究者が様々な iPS 細胞を用いた研究を速

やかに行うために、理化学研究所バイオリソースセンターにおいて、iPS 細胞

バンクと呼ばれる事業が執り行われています。iPS 細胞バンクとは様々な病気

をお持ちの患者さん由来の iPS 細胞を登録・保管し、申込みに応じて、必要な

細胞を各研究機関に送付する作業を行うものです。あなたの組織から作成した

iPS 細胞についても、多くの研究者が使用できるようにバンク事業へ登録・保

管することを考えております。バンクから細胞を他の研究者に渡す際は、あな

たの個人情報とは一切連結できないようにして寄託しますので、あなたのプラ

イバシーは、完全に保護されますが、寄託した後に、その取り消しはできなく

なります。この点を理解して頂き、バンク事業への寄託について同意して頂け

るならば、同意書の中の「細胞バンク事業への寄託について」の項目で、「承諾

する」を選択して下さい。同意されないなら「承諾しない」を選択して下さい。

この選択によって、その後のあなたの病気の治療に何らかの影響が発生するこ

とは一切ありません。

12. 研究計画の開示について

研究計画の詳細をお知りになりたい場合は、特許等の保守義務がある部分以

外は、開示できます。

13. 研究成果の公表について

この研究の成果は学会発表や学術誌、データベース上などで公に発表される

ことがあります。その際には個人情報の保護に慎重に配慮し、患者さん個人に

関する情報(氏名など)が外部に公表されることは一切ありません。この研究

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計画に対する同意を途中で取り消された場合、それ以降の研究は行わず公表も

行いませんが、それまでにすでに研究結果が論文などで公表されていた場合等、

それまでの研究結果について廃棄できない場合があります。

14. 研究に協力することによる予想される利益と不利益

この研究計画にご協力頂いたことによって、あなた自身が治療に際して何ら

かの利益を受けることができる可能性については不確定です。iPS 細胞の研究

は、始まったばかりであり、実際の治療に貢献できる成果が得られるかどうか

は不確定だからです。予想される不利益としては、個人情報の漏洩によるプラ

イバシーの侵害が考えられます。これについては、匿名化などの個人情報を守

る工夫を行い、その管理を厳重に執り行います。

15. 研究から生じる知的財産に関する権利について

あなたの組織に由来する iPS 細胞を用いた研究の結果により、特許等の知的

財産が生み出される可能性があり、知的所有権が生じることが予測されます。

それらの権利は全て京都大学または防衛医科大学校が管理します。この知的所

有権は、提供された検体に含まれているそのものに対してではなく、研究者達

が研究やその成果の応用を行うことによって初めて生まれてきた価値に対する

ものです。そのため、「検体を提供したのだから、その検体に関わる知的所有権

を当然もつはずだ」と、提供された患者さんおよびその関係者が主張すること

はできません。また、その知的所有権により経済的利益が生じても、同じ理由

によりその権利を主張できません。

16. 費用について

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この研究に必要な費用は、私達の研究費でまかないます。患者さんに一切の

ご負担はございません。

17. 問い合わせ先

この研究への協力について何か分からないことや心配なことがありましたら、

いつでも担当医師にご相談下さい。

これらの内容をよくお読みになりご理解いただき、この治療に参加することを同意

される場合は、別紙の同意書に署名(自筆)と日付を記入して担当医師にお渡し下さ

い。

研究主任者:小児科学 官職 教 授 野々山 恵章

研究分担者:小児科学 官職 研究科(3 等陸佐)釜江 智佳子

研究科(3 等陸佐)本間 健一

研究科(3 等陸佐)加藤 環

説明日:平成 年 月 日

説明時間: 時 分から 時 分まで

説明を受けた患者

同席された代諾者

説明を行った医師 、

連絡先:〒359-8513 埼玉県所沢市並木 3-2 防衛医科大学校小児科医局

電話 042-995-1621 FAX 042-996-9204

平成 年 月 日

説明医師署名

Page 15: Pediatrics Honma NDMC PID 9 H241204pidj.rcai.riken.jp/douisyo/boueiidai_menekifuzenidenshi...6 らに発見されることは充分に考えられます。そこで、今回の一連の研究が終了した後も、永続

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別紙第2

説明書 2-4

保因者の方への説明文書

(京都大学 iPS 細胞研究所における iPS 細胞の樹立と解析について)

研究課題名

先天性免疫不全症の遺伝子解析研究

1. 同意の自由・同意撤回の自由について

「先天性免疫不全症の遺伝子解析研究」に協力されるかされないかは自由で

す。途中で気が変わるのも自由です。研究協力されるかどうかは自由意志で決

めて下さい。また、対象の方の年齢が16歳以上の未成年者の場合、あるいは

16歳未満で本人による意思表明が可能な場合は本人及び代諾者の方に、16

歳未満で本人による意思表明が不可能な場合は、代諾者の方に決めて頂きます。

16歳未満で本人による意思表明が可能な場合、ご本人の同意がいただけない

場合、研究に参加いただきません。強制はいたしません。協力して頂いても、

して頂かなくても、同じように最善の医療をいたします。

この説明書をお読みになり担当医の説明を聞いて、体の細胞の一部を 提供

して下さることに同意して頂ける場合は、別紙の同意書に署名または記名・押印

をして下さい。

一旦同意された場合でも、不利益を受けることなく一方向的に文書により、

同意を撤回することができます。その場合、提供頂いた検体、それより作成し

た iPS 細胞、それに付随する医療情報は破棄され、以降は研究に用いられるこ

とはありません。

本研究に関する意思の確認書の原本は、防衛医科大学校小児科学教室におい

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て保管します。その写し一部をお渡しします。

2. 研究計画が倫理委員会で承認されたものであること

本研究計画は、京都大学再生医科学研究所、物質-細胞統合システム拠点及び

iPS 細胞研究所合同医の倫理委員会及び防衛医科大学校倫理委員会で審査され、

承認されたものです。

3. 研究の目的

先天性免疫不全症は,さまざまな感染症を合併するため,早期に・治療を行

うことが非常に大事な疾患です。診断がつけば,様々な方法で感染症の予防が

可能であり,さらに幹細胞移植(骨髄移植など)により根治することも期待で

きます。診断は,主に遺伝子の異常を見つけることで行われます。約 8-9 割の

患者さんで先天性免疫不全症の原因遺伝子が判明していますが、先天性免疫不

全症は非常に種類が多く、残りの患者さんでは未だに原因がわかっていません。

これらの患者さんのなかには、様々な要因により、従来の方法では遺伝子診

断を行うのが非常に困難な患者さんもいらっしゃいます。そこで,本研究では

このような患者さんに対して、iPS 細胞を用いた診断方法の開発を目指します。

iPS 細胞は、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)という細

胞で、皮膚や血液などから取り出した細胞に4種類または3種類の遺伝子を導

入することにより作ることができます。iPS 細胞は、多能性幹細胞という名前

の通り、私達の体を構成するいろいろな組織に分化することができます。この

性質を応用し、血液の病気を調べたい時には血液細胞へ、肝臓の病気を調べた

い時には肝細胞へ、神経の病気を調べたい時には神経細胞へ、試験管の中で分

化させます。そうすることにより、患者さんより、繰り返して検体を頂く必要

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がなくなります。そこで、患者さんが現在治療を受けておられる病気の原因を

調べたり有効な治療法を見つけ出すために、iPS 細胞を作り出す研究を行いた

いと考えています。しかし、着実に研究を行うためには、患者さんのご家族で、

患者さんと同様の遺伝子変異の一部を持っている可能性がある方(保因者、と

呼びます)からも、同様に iPS 細胞を作成させて頂き、細胞の様子を比較検討

することが望ましいと考えています。このため、あなた(代理人の場合は当該

の保因者の方(以下同))に、研究へのご協力をお願いしています。

なお、本研究により得られる成果をもとに、新しい治療方法を開発するため

には、数年以上の期間が必要です。また、本研究により作成されるヒト iPS 細

胞を加工して、直接患者さんの体内に戻すといった治療応用は行いません。

4. 研究の実施体制について

この研究は京都大学 iPS 細胞研究所と防衛医科大学校小児科学教室との共同

研究として行われ、研究全体の統括を iPS 細胞研究所の中畑龍俊教授が担当し

ます。iPS 細胞研究所における研究は齋藤潤助教、大嶋宏一研究員が、防衛医

科大学校における研究は野々山恵章教授が担当します。

研究期間として、承認日より平成25年3月31日までを予定していますが、

研究の進展により、倫理委員会の承認を受けた上で、延長されることがありま

す。

5. 研究の方法

次の項で記載する、あなたの細胞を、京都大学 iPS 細胞研究所に搬送し、そ

こで iPS 細胞を作成します。作成方法は、現在はウィルスやプラスミドという

方法を用いて、遺伝子を細胞に入れるという方法を用いていますが、将来は、

より有効で安全な方法が開発される可能性があり、その時点における最も優れ

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た方法を使って作成する予定です。そして作成された細胞を使って、病気の原

因を探る研究を行います。このとき、細胞の遺伝子を調べることも必要になり

ます。

6. 細胞の採取について

本研究では、別の研究のためにすでに採取されている試料を、iPS 細胞の樹

立に用います。したがって、あなたに新たに負担や苦痛を生じることはありま

せん。

7. 作成した iPS 細胞の使用について

作成した iPS 細胞を用いて、病気の原因を探る研究を行います。具体的には、

血球細胞またはその元になる細胞、あるいは血球細胞と関係する様々な細胞種

(血管の細胞・神経細胞・脂肪細胞など)に分化させて、機能を分析します。た

だし、実際の治療のために使用することはありません。iPS 細胞と同じように

いろいろな細胞に分化することができる胚性幹細胞(Embryonic stem cell、ES

細胞)の使用に関しては、詳しいルールを国が定めていますが、iPS 細胞に関し

ては、まだ詳しいルールは決められていません。現在、iPS 細胞の使用に関し

て禁じられていることは下記です。

1)ヒト iPS 細胞を使用して作成した胚(注:胎児のもとになるものです)の

人又は動物の胎内への移植その他の方法によりヒト iPS 細胞から個体を作成す

ること。

2)ヒト胚へヒト iPS 細胞を導入すること。

3)ヒト胎児へヒト iPS 細胞を導入すること。

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4)ヒト iPS 細胞から生殖細胞(注:精子や卵子のことです)を作成した場合

は、これを用いて胚を作成すること

この計画で作成した iPS 細胞の使用に関しても、上記の事は堅く守ります。

なお、本研究では、iPS 細胞から生殖細胞は作成しません。

8. 個人情報に関して

作成した iPS 細胞については、あなた個人が特定できる名前、住所などの個

人情報を削り、代わりに新しい符号が付けられます(匿名化といいます)。あな

たとこの符号を結びつけるための対応表は、この研究に携わらない個人識別情

報管理者が管理し、この個人識別情報管理者以外の者は、どの個人より作成し

た iPS 細胞であるか、わからないようにしてあります。一方、提供して頂いた

方より、新しい成果についてお問い合わせがある場合には、研究者が個人識別

情報管理者より患者さんの個人情報を入手し、研究の独創性の確保に支障をき

たさない範囲内でお知らせすることが可能な状態にしておきます(連結可能匿

名化といいます)。なお、この情報を研究者が知ることが可能なのは、京都大学

iPS 細胞研究所及び防衛医科大学校において行われる研究においてのみです。

9. 細胞の保存について

iPS 細胞研究所に送付された細胞は、研究期間中、同研究所で保存されます。

研究期間終了後について、長期保存に対して同意がいただける場合は、引き続

き同研究所で保存させていただきますが、同意いただけなかった場合は、研究

終了後、速やかに廃棄します。 iPS 細胞の長期保存は、iPS 細胞研究所及び防

衛医科大学校小児科学教室の双方で行われます。細胞の長期保存に同意してい

ただける場合は、同意書の中の、「iPS 細胞を含む細胞を京都大学 iPS 細胞研究

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所及び防衛医科大学校で長期保存することについて」という項目で、「承諾する」

を選択してください。同意されないなら、「承諾しない」を選択してください。

10. iPS 細胞の外部研究機関への供与について

研究計画に参加している研究者以外の研究者から、あなたの組織から作成し

た iPS 細胞を使用したいという申込みがある可能性があります。その場合は、

以下の条件が満たされている場合、細胞を供与させて頂きたいと考えています。

1) 申込みをした研究者が所属する機関(病院・研究所・企業*など)の倫理委

員会で審査・承認された研究計画に基づいた申込みであること。

2) 研究目的・内容や倫理審査の経緯などに関し、作成に関わった研究者が適切

と判断した研究計画であること

*iPS 細胞を治療に役立てるためには、製薬会社などの企業の研究も進むことが

大切ですので、申請された計画が妥当なもので、倫理委員会での審査も適切と

判断された場合は、企業にも iPS 細胞を供与させて頂きたいと考えています。

その成果として、患者さんにとって有益なお薬が開発され、製薬会社より発売

されることも考えられます。

以上の条件が満たされていた場合、あなた由来の iPS 細胞を供与することに同

意していただけるのであれば、同意書の中の、「他機関への細胞の供与について」

という項目で、「承諾する」を選択して下さい。いかなる条件でも供与して欲し

くないならば、「承諾しない」を選択して下さい。この選択によって、その後の

あなたのご家族の病気の治療に何らかの影響が発生することは一切ありません。

供与の際には、必要に応じて連結できるようにして供与しますので、同意され

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た後に、同意の取り消しを希望された場合も供与機関に連絡して、使用を中止

することが出来ます。

11. iPS 細胞バンク事業への寄託について

iPS 細胞の研究が進んで、多くの研究者が様々な iPS 細胞を用いた研究を速

やかに行うために、理化学研究所バイオリソースセンターにおいて、iPS 細胞

バンクと呼ばれる事業が執り行われています。iPS 細胞バンクとは患者さんや

保因者の方など、様々なヒト由来の iPS 細胞を登録・保管し、申込みに応じて、

必要な細胞を各研究機関に送付する作業を行うものです。あなたの組織から作

成した iPS 細胞についても、多くの研究者が使用できるようにバンク事業へ登

録・保管することを考えております。バンクから細胞を他の研究者に渡す際は、

あなたの個人情報とは一切連結できないようにして寄託しますので、あなたの

プライバシーは、完全に保護されますが、寄託した後に、その取り消しはでき

なくなります。この点を理解して頂き、バンク事業への寄託について同意して

頂けるならば、同意書の中の「細胞バンク事業への寄託について」の項目で、

「承諾する」を選択して下さい。同意されないなら「承諾しない」を選択して

下さい。この選択によって、その後のあなたのご家族の病気の治療に何らかの

影響が発生することは一切ありません。

12. 研究計画の開示について

研究計画の詳細をお知りになりたい場合は、特許等の保守義務がある部分以

外は、開示できます。

13. 研究成果の公表について

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この研究の成果は学会発表や学術誌、データベース上などで公に発表される

ことがあります。その際には個人情報の保護に慎重に配慮し、あなた個人に関

する情報(氏名など)が外部に公表されることは一切ありません。この研究計

画に対する同意を途中で取り消された場合、それ以降の研究は行わず公表も行

いませんが、それまでにすでに研究結果が論文などで公表されていた場合等、

それまでの研究結果について廃棄できない場合があります。

14. 研究に協力することによる予想される利益と不利益

この研究計画にご協力頂いたことによって、あなた自身が治療に際して何ら

かの利益を受けることができる可能性については不確定です。iPS 細胞の研究

は、始まったばかりであり、実際の治療に貢献できる成果が得られるかどうか

は不確定だからです。予想される不利益としては、個人情報の漏洩によるプラ

イバシーの侵害が考えられます。これについては、匿名化などの個人情報を守

る工夫を行い、その管理を厳重に執り行います。

15. 研究から生じる知的財産に関する権利について

あなたの組織に由来する iPS 細胞を用いた研究の結果により、特許等の知的

財産が生み出される可能性があり、知的所有権が生じることが予測されます。

それらの権利は全て京都大学または防衛医科大学校が管理します。この知的所

有権は、提供された検体に含まれているそのものに対してではなく、研究者達

が研究やその成果の応用を行うことによって初めて生まれてきた価値に対する

ものです。そのため、「検体を提供したのだから、その検体に関わる知的所有権

を当然もつはずだ」と、提供された患者さんおよびその関係者が主張すること

はできません。また、その知的所有権により経済的利益が生じても、同じ理由

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によりその権利を主張できません。

16. 費用について

この研究に必要な費用は、私達の研究費でまかないます。あなたに一切のご

負担はございません。

17. 問い合わせ先

この研究への協力について何か分からないことや心配なことがありましたら、

いつでも担当医師にご相談下さい。

これらの内容をよくお読みになりご理解いただき、この治療に参加することを同意

される場合は、別紙の同意書に署名(自筆)と日付を記入して担当医師にお渡し下さ

い。

研究主任者:小児科学 官職 教 授 野々山 恵章

研究分担者:小児科学 官職 研究科(3 等陸佐)釜江 智佳子

研究科(3 等陸佐)本間 健一

研究科(3 等陸佐)加藤 環

説明日:平成 年 月 日

説明時間: 時 分から 時 分まで

説明を受けた患者

同席された代諾者

説明を行った医師 、

連絡先:〒359-8513 埼玉県所沢市並木 3-2 防衛医科大学校小児科医局

電話 042-995-1621 FAX 042-996-9204

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別紙第2

説明書 2-5

「先天性免疫不全症の遺伝子解析研究」協力のお願い

(理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターにおける

iPS 細胞の樹立と解析について)

(説 明 文 書)

(はじめに)

以下をお読みいただき、「先天性免疫不全症の遺伝子解析研究」研究協力についてご理解

をいただいた上で、10~20cc の血液の提供にご協力いただければ幸いです。提供いただけ

ない場合であっても、不利益を被ることは決してないことを、まず、申し上げます。

(1)研究協力の任意性と同意の撤回について

まず、この研究への協力は、提供者の方々の自由意思、善意に基づいています。同意

されなくても不利益を受けることは一切ありません。

(3)で説明しますとおり、連結可能匿名化を施しますので、提供後の同意の撤回は

することができます。その場合、付随する医療情報は破棄され、以降は研究に用いられ

ることはありません。

(2)研究計画の概要

研究計画:先天性免疫不全症の遺伝子解析研究

研究機関名および研究責任者氏名:

防衛医科大学校小児科学講座 教授 野々山 恵章

研究期間:研究計画承認後から 5 年間

(ただし研究の進行状況によっては研究期間が延長される可能性があります)

研究目的と方法:

この研究では、ヒト iPS 細胞由来の造血細胞を用いて原発性免疫不全症の病因を明ら

かにすることを目的としています。提供していただいた末梢血より T 細胞などの成熟リ

ンパ球を単離し、それらの細胞から、主に公表されている手法により、ヒト iPS 細胞を

樹立します。その後、樹立された T 細胞由来 iPS 細胞について T 細胞抗原受容体の遺伝

子再構成状態を把握することによって、T 細胞由来であることを確認します。そして、

この iPS 細胞をフィーダー細胞上で培養し、成熟した B、T、NK 細胞などの成熟リンパ

球を含む造血細胞の分化誘導を行います。

原発性免疫不全症の病気の原因を調べるため、成熟した血液細胞へ試験管の中で分化

させます。ヒト iPS 細胞由来の造血幹細胞が成熟した血液細胞まで分化誘導するのかを

試験管内の実験によって確認することを予定しています。得られたヒト iPS 細胞由来造

血細胞に細胞の分化異常や免疫機能の異常が認められた場合には、免疫不全マウスに移

植し、生体内での免疫異常を明らかにするとともに、移植されたマウスを約 1 年間飼育

し、ヒト iPS 細胞由来造血細胞の免疫異常を明らかにします。

また、ヒト iPS 細胞由来造血細胞を用いた難病治療を行っていくためには、そこで用

いる細胞の安全性評価は必要不可欠のものとなります。しかしながら、現在その基準は

まだ準備されておらず、基準を作るための科学的証拠を集める事が必要です。その一つ

の客観的な基準は、ヒト iPS 細胞における遺伝子発現パターンです。たとえば、がん遺

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伝子の過剰発現やがん抑制遺伝子の発現抑制は、腫瘍形成能を予測する上で役に立つ可

能性があります。また、エピゲノム状態を明らかにすることで、まだ遺伝子発現として

顕われていない細胞の状態を把握することが可能になります。したがって、T 細胞以外

にも B細胞や NKT 細胞に由来するヒト iPS 細胞やそこから誘導した様々な造血系細胞に

おける遺伝子発現のパターンやエピゲノム状態を系統的に調べてデータベースとして

保存していくことは、これからの臨床応用に不可欠なものになります。この研究計画は

防衛医科大学校における研究倫理委員会で承認されています。

(3)試料提供者にもたらされる利益および不利益、個人情報の保護

提供いただいた試料は、研究実施責任者によって、提供した方が誰か分からないよう

に、氏名などを削除して代わりに番号を付与する、『匿名化』を施します。これにより、

解析結果などから提供者の方に結びつくようなことは一切ありませんので、提供者の方

が不利益を被ることはありません。一方、提供していただいた患者さんより、新しい成

果について問い合わせがある場合には、研究実施責任者が個人識別情報管理者より患者

さんの個人情報を入手し、研究の独創性の確保に支障をきたさない範囲内でお知らせす

ることが可能な状態にする『連結可能匿名化』を施します。また、連結可能匿名化され

た試料は、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター内の鍵のかかる保管庫

に施錠保管をされ、研究実施責任者の監督の下、厳重に管理され、この研究のためだけ

に使用されます。

(4)費用負担

本解析における提供者の費用負担は一切ありません。また、謝礼等もありません。

(5)解析結果の開示

(3)のとおり連結可能匿名化を施しますので、解析結果を特許等の保守義務がある

部分以外は、提供者の方々に開示することができます。

(6)研究成果の公表

解析結果は学会や学術誌で発表されることがありますが、(3)のとおり連結可能匿名

化を施しますので、個人が特定される形で公表されることは決してありません。

(7)研究から生じる知的財産の帰属

本研究の解析結果から特許権が生じる可能性がありますが、その権利は、理化学研究

所に属し、提供者の方々には属さないことをご理解ください。

(8)研究終了後の試料、情報などの取扱いに関して

いただいた同意書などは、個人が特定できないようシュレッダーにかける等して廃棄

します。ご提供いただいた試料(血液)は、研究終了から5年間保存後に廃棄されます。

具体的には、匿名化されていることを確認後、感染性廃棄物として処理します。

なお、樹立されたヒト iPS 細胞株やリンパ球は、将来の研究のための貴重な試料とし

て、厳重に保存させていただきます。また、将来的には医学の発展を目指した研究のた

め、他の研究者や細胞バンクに寄託して分配提供し、他の研究者が使用する可能性があ

ります。その場合使用目的はより広範なものとなる可能性があります。

研究主任者:小児科学 官職 教 授 野々山 恵章

研究分担者:小児科学 官職 研究科(3 等陸佐)釜江 智佳子

研究科(3 等陸佐)本間 健一

研究科(3 等陸佐)加藤 環

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説明日:平成 年 月 日

説明時間: 時 分から 時 分まで

説明を受けた患者

同席された代諾者

説明を行った医師 、

連絡先:〒359-8513 埼玉県所沢市並木 3-2 防衛医科大学校小児科医局

電話 042-995-1621 FAX 042-996-9204

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添付文書④

別紙第3‐1

同 意 書

防衛医科大学校長 殿

先天性免疫不全症の遺伝子解析研究について、防衛医科大学校病院小児科(また

は )担当医師 より 時 分から 時 分までにわたり①

研究の目的・方法 ② 予想される効果及び副作用 ③ 同意しない場合でも不利益を受けな

いこと ④ 同意を撤回した場合でも不利益を受けないこと ⑤ 人権、その他保護について

配慮されていること ⑥ 研究に参加した場合の費用などについて説明文書に基づき十分な説

明を受け、理解しましたので自らの意思でこの研究に参加することに同意します。

検査結果の報告を希望 (します。 しません。)

検体の保存に同意 (します。 しません。)

平成 年 月 日

検体提供者氏名 (本人自署、代諾者記載)

住所

代諾者氏名 (代諾者自署)

続柄 ( )

住所

代諾者氏名 (代諾者自署)

続柄 ( )

住所

説明者(自署)

氏名 職名