日本語ダイジェスト No 40 - Oct...

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No 40 - Oct 2009 2009 10 26 · (BI) BioenergiF¨orlag 3 20 (p12-13) 2020 20% EU 10 German Pellets Choren German Pellets 2005 Wismar Mecklenburg 4 Wismar 125,000 4 800,000 German Pellets Choren Choren Biomass German Pellets 10,000 Choren Biomass 1,000 1

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Page 1: 日本語ダイジェスト No 40 - Oct 2009pelletclub.jp/jp/bi/digest_40.pdf日本語ダイジェスト No 40 - Oct 2009 2009年10月26日発行 バイオエネルギー·インターナショナル(BI)日本語ダイジェストは、記事の中から特に興味深いいくつ

日本語ダイジェストNo 40 - Oct 2009

2009年 10月 26日発行

バイオエネルギー ·インターナショナル (BI)日本語ダイジェストは、記事の中から特に興味深いいくつかのトピックスを選んで日本語で要約する、Bioenergi Forlag社の合意のもとにペレットクラブが作る刊行物です。近年、世界各地でペレット生産が急増しているため、原料の製材所から出るの比較的乾燥した良質のおがくずが不足しています。どのようにして安定的に原料を確保するかは、大量生産国の大きな課題になっています。今号には、エネルギー林として柳を植林するドイツの試みが載っています。下の写真はその収穫風景です。一度植えると 3年ごとに収穫でき、20年間使えるのだそうです。今回はこの記事を取り上げます。また、このような原料では効率のよい乾燥機が大切になってきます。これまで一般的に使われてきたドラム方式に対して新しいベルト方式についての記事がありますので、これも取り上げます。

ドイツのペレット:新しい取り組み (p12-13)

今回の経済危機が終わり次第、北部ドイツでもバイオマスが風力エネルギーとともに代替エネルギーとして発展すると専門家はみている。2020までに再生可能エネルギーを最低でも全体の 20%にするという EUの決定がヨーロッパのペレット生産を急激に増やしてきた。今後 10年間で最も早い成長が見込まれているのはスエーデン、ドイツ、デンマーク、英国だ。German Pellets社と Choren社では生産能力を増やしていく。

German Pellets社は 2005年にバルト海に面したWismar地方のMecklenburg市に設立された。現在、ドイツの北部、東部、南部、南西部の 4ヶ所で生産している。最も大きな工場はWismarの古い木材港に

あり、年間約 125,000トンの能力を持つ。ペレットはここから鉄道やトラックでドイツ北部に送られたり、船でスカンジナビアの発電所に送られたりする。ここは会社の本部でもある。4つの工場合わせて年間 800,000トン以上の能力を持つ。

激動の時期には当然新しい手法と行動が必要だ。German Pellets社の新パートナーである Choren社は、バイオマスから合成ガスを製造する技術で世界をリードする。この提携で、Choren Biomass社は木質の生産と輸送を担当する。German Pellets 社は年間 10,000トンの乾燥木質を長期にわたって買う約束をした。

Choren Biomass社の最初のステップは、農業パートナーといっしょにエネルギー林を 1,000ヘクタール程度使って、短期収穫の雑木林を作ることだ。輸

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送コストを抑えるために、植林はGerman Pellets社工場の 50キロメートル以内を優先する。現在、140ヘクタールの植林をしている。2009年だけで約 100ヘクタールが、EUのOptfuel計画の資金でドイツ各地で新たに植林された。植林から 3年で最初の収穫ができる。収穫の後、根から新たに芽が出てくるので、20年間はなにもしないで、収穫量を減らすことなく、3年ごとに収穫ができる。成長の早い樹木の栽培では肥料や殺虫剤の使用は非常に少なくてよい。また、これらの樹木は他の種類に適さない土地で

もよく育つ。これまでは各地に見本林を作り、工業規模で合成バイオガス工場に材料を提供するための経験を得ることだった。「German Pellets社との提携で、早急に木質生産を始め、農家に伝統的な農業生産に変わる魅力的な選択であることを示す突破口になる」と Choren Biomass社のプロジェクト責任者Michael Weitz氏は語った。

2社は、EUの 2020年までに全エネルギーの 20%を再生可能エネルギーでカバーするという目標には木質がカギをにぎる、という点で一致している。最近になってGerman Pellets社は試験林から収穫された柳の木を使って 100トンのペレットを作ることに成功した。

German Pellets社は巨大エネルギー企業のRWEInnogy Cogen社と提携して新たなペレット工場を作る。投資額は約 2,100万ユーロだ。この西部に出来る新工場も含めて、ドイツ全域でペレット工場が消費者の近くにあるという状況になる。新工場は年 120,000トンの能力を持つ。

乾燥機:ベルト式か、ドラム式か (p19、21)

最初のペレット製造は比較的乾燥したおがくずを使って始まった。しかし生産が増えるにつれて、湿ったおがくずを使う必要が出てきた。乾燥にはすでに合板工場で使われていたドラム式乾燥機が使われ、1990年代に出来たペレット工場では、他の技術を考えることなく、この方式が取られてきた。しかし、おがくず意外の樹皮や根などは、木材加工の廃棄物とみなされてきた。これをどうするかという問題は残る。燃やして電力にしてはどうか?その結果発生する大量の比較的低温の廃棄水はどうするか?ドラム式乾燥では高温度の空気を使う。温度が高

いほど効率がよい。21世紀に入って、エネルギー効率が意識されるようになり、乾燥機を持つペレット工場を作る企業も他の技術を考慮するようになった。そして生まれたのがベルト方式のおがくず乾燥だ。ドラム方式との大きな違いは熱源だ。どんな乾燥過程でも、おがくずから空気への大量

の水分の流れが必要だ。空気の温度が高いほど、大量の水分が流れる。水分が同じなら温度が高いほど、空気の量は少くてすむ。逆に、比較的低い熱源しかない場合は大量の空気が必要になる。ベルト方式は後者だ。どちらの方式を取るかは手に入る熱源が何かによる。低温の廃熱しかない場合はベルト方式にせざるを得ない。蒸気タービンなどからの高温ガスがある場合はドラム方式がよい。

ドラム方式ではおがくずが高温空気に投げ込まれるため、早く乾燥する反面、粉塵が排気空気に混ざって出てくる。そのためフィルターが必要になる。ベルト方式では、空気の流量が大きいので、フィルターは非常に高価になるため、乾燥機内の粉塵を抑えなければならない。最近では、細かく織られた合成ベルトが使われ、フィルターの役目も果す。このようなベルトを入口、出口、および両脇でどううまく密閉するかのノーハウで、粉塵の量を空気1立方メートルあたり 10mg以下に抑えることができる。

ペレット製造ではおがくず内の水分を一定にする必要がある。10%以下の場合はペレタイザーに圧力がかかり過ぎるし、12%を越えると貯蔵中にくずれてしまう。ドラム方式では、小さな粒は早く乾燥し早く動き、大きな粒はゆっくり乾燥しゆっくり動く。一見うまくバランスが取れているようだが、最適になるように調整することが難しく、運を天に任せるようなものだ。ベルト方式だと、乾燥時間が長いので、乾燥中の温度モニターも可能で、この調整が比較的簡単だ。ドラム方式では高温のガスがボイラーから直接ドラム内に送り込まれるので、発火の危険性もある。一方、ベルト方式では温度が低い上に、おがくずは空気に投げ込まれるのではなく、ベルトの上に置かれただけなので、発火の危険性はない。

おがくずのペレット化の過程で接着剤として重要な役割をするリグニンはペレタイザーの圧力で液化する。しかし、高温のドラムでも一部液化が始まっている。つまり、ドラム乾燥は水分を除去するだけでなく、リグニンも一部取ってしまう。フランスの研究所によると、ドラム乾燥で作ったペレットはベルト乾燥で作ったものよりも灰分が 0.3%多い。灰分は普通 0.5%程度なのでこれは大きな違いだ。

必要なスペースはドラム方式が少くてすむ。デザインにもよるが、一般的にはベルト方式はドラム方式より 70%から 100%広いスペースを必要とする。値段の比較は工場全体が関係してくるので難しいが、単純に 85◦Cのベルト方式と 500◦Cのドラム方式では、ベルト方式が 20-30%高くなる。運転コストはベルト方式の方が低い。

この刊行物は Bioenergi Forlag社 (www.bioenergyinternational.com)の合意のもとに作られています。購読に関するお問い合わせは、ペレットクラブ事務局まで([email protected] または Tel: 026-252-7506)、内容に関するお問い合わせは、ペレットクラブ BI誌担当阿部まで([email protected] または Tel: 029-852-7476)。

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