Fluctuation Learningnbic.ist.osaka-u.ac.jp/pdf/CiNet_Sympo2019.pdf · 赤外線照明...

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既存AIの情報処理メカニズム ~過去の事実・知識に基づく予測により対処~ Determinism 全ての未来は過去に よって決定される(未来 は想定内である)という ことを前提にメカニズム が備わる。 Static/Planned クリーニングされた大量 の静的な過去データ・知 識に基づく静的予測と統 計的処理 大量の知識と情報 ヒト脳の認知・意思決定を再現する「ゆらぎ認知モデル」 - Fluctuation Learning - 想定するための 予測メカニズム(統計手法) 脳の情報処理メカニズム ~新たな事象11つにその都度対処~ Indeterminism 未来はいかなる過去に よっても決定されない (未来は想定外である) ということを前提に対 処するメカニズムが備 わる Dynamic/Ad hoc 時間とともに変動し、ノ イズを含む新規データ に基づく動的予測に基 づく意思決定 脳に倣う目的関数 想定外に対処する メカニズム 1.脳と人工知能 非決定論と決定論/弾力性と精確性 3.ベイジアン・アトラクター・モデル ヒトの意志決定を表すモデル 4.ゆらぎ学習を搭載した リレーショナルデータベース 5.ゆらぎ学習を利用した 医療診断支援システム 6.ゆらぎ学習が実現する 人にやさしい次世代人工知能と応用 超多自由度から少自由度への絞り込み、ゆらぎによるアトラクター探索:実験的で証明 分子機械 細胞 膨大な数の自由度を持つ生体システム 環境、状況に対処する少数のキーとなる 自由度を選択 ゆらぎで環境、状態に合う自由度(アトラクター) を探索して決定 ゆらぎをベースにした ランダムネスの規則化 全てのレベルに適用可能な 一般化ゆらぎ方程式 アトラクタを持つ 制御構造 最適化指標 自発ゆらぎ 分子レベルゆらぎ方程式 1 (,) 2 () dx Uxt B kT t dt x バイアス ポテンシャル力 熱ゆらぎ ゆらぎによる細胞の情報処理 ゆらぎで動く分子モータ 歪み センサー ブラウン運動 ゆらぎを使う脳の視覚認知 ノイズを排除・遮断 精確かつ厳密 計算機で厳密制御すると膨大な 情報処理(計算)が必要 脳は1ワットの動作エネルギー ロバストに働く 弾力性(レジリエンス) 3万キロワット (淡路島全世帯の消費電力) ノイズ・バラツキを許容 曖昧だが柔軟 複雑化による厳密制御の破たん 精確・厳密性( ゆらぎ原理 柳田敏雄:「脳とICTに関する研究の推進とイノベーション」 脳とICTに関する研究開発推進会議(20122月)資料抜粋・編集 2.分子・細胞から脳まで 生体のやわらかさ・自律を支えるゆらぎ原理 出典:A Bayesian Attractor Model for Perceptual Decision MakingSebastian Bitzer, Jelle Bruineberg, Stefan J. Kiebel アトラクター選択 意味付け 特徴抽出 センシング 学習 制御 環境 アトラクター アトラクター アトラクター 意思決定選択肢(知識) 意思決定(認知) 抽象化・知識変換 センシング・アクチュエーション Sensory Uncertainty 観測情報への信用度 「人の信用しやすさ」 Dynamic Uncertainty 観測情報変動への追従度 「情報変化への対応力」 Noise Uncertainty 観測情報の雑音レベル 「観測情報の確からしさ」 個性の設定 さまざまな入力 データを特徴量 ベクトル符号化 特徴量ベクトル データ 内部データ処理 フォーマット 複数の脳情報処理計算モ デルを組み合わせてRDB 関数・命令を設計 複雑な脳情報処理をSQL 関数・命令としてプログラミ ング環境を提供 ユーザは脳型コンピュータとしての専門 知識を必要とせずSQLクエリによりアプリ ケーションをプログラム可能 RDB内部データと処理履歴・判 断理由をグラフィカルに可視化 処理結果はSQL命令により 修正、加工が可能 PostgreSQLのデータベース分析処理関数として提供 SQL:Structured Query Language ベイジアン・アトラクター・モデル アトラクター1 アトラクター2 アトラクター N 推定 抽象化 符号化 意志決定 外部 環境 制御 選択肢(分布) 可制御性 Controllability 既存コンピュータシステムのようにプログラム可能でその動作を全 て制御できること 可観測(監視)性 Observability コンピュータの動作がいつでも観測、監視できること 可説明性 Explainability 処理結果が(利用者によって)説明できること 3つの特性 健常者 総合失調症患者 自由視 滑動性追跡 注視 ①移動の総距離 ②追従の遅れ とみだれ ⑤注視点の変動 疾患診断では診断精度が 求められるため多種の特徴 量をもとに健常・疾患を分類 出典 疾患者 健常者 Fluctuation Leaning搭載 リレーショナルデータベースシステム 眼球運動 特徴抽出 ユーザ インタフェース ゆらぎ学習関数搭載 データベース マネジメントシステム 眼球座標 データ 特徴量 ベクトル データ リレーショナルデータ ベース システム 赤外線照明 赤外線カメラ 検査用表示映像 座標抽出 眼球撮影 映像 眼球運動計測・特徴抽出システム 協力:国立精神神経医療研究センター/大阪大学 橋本亮太、大阪大学 藤田一郎、岡田研一 識別分類手法 ゆらぎ学習 機械学習(SVMNeural Network 患者の識別精度 76.83% 46.25% 43.75% 各種AIを用いた患者の識別精度 ※正解データが存在しな い:正解データが多様少 数、あるいは定義困難な ケースを指す 医療・ヘルスケア 教育 安心・安全 生活支援 ビジネス コミュニケーション支援 介護・福祉 製造・農林水産 個人の特性と状況を とらえた指導 潜在能力の発見 オーダーメイド 教育 個人に最適な学習空間 希少伝統技術の 継承 人の心理を読み取ることで 事故を避ける(感情の推定) パニック状態の収束 チームワーク構築 個人に最適な 空間の提供 被災情報の把握・予測 ★リソース最適配分 オーダーメイド 医療 パーソナル化さ れた 健康管理 多言語翻訳 感情を理解した サポート 五感の補完 シンプルな 意図判別 感情に訴える マーケティング 新品種の 効率的な実現 組み立て自動化 ★医療診断の効 率化 新たな症候群の 発見 正解データが存在する領域 正解データが存在しない領域 誤作動防止 (異常動作の検出) ビッグデータを活用した マーケティング高度化 本音共創議会 弁護士ロボット 怒らせない スーパー介護士 エッジ(AI)間 協調型MaaS 交渉人ロボット 専門的な文章の 翻訳 感情・表情・挙動 を考慮した対話 脳情報を利用した 言語を超えたコ ミュニケーション 質問応答 環境条件・植物の特性を 自律的に判断して行動する ロボット 運転アシスト 快適な 空間の提供 最適な学習空間 パーソナライズ化されたAIによる 快適な介護 個人の感覚を学習することで 失われた五感を補完 瞬時の判断が可能な 協調型モビリティによる快適な移動 専属の医師AIによる 高度な在宅医療 個人の特性と状況を とらえた指導 訪日外国人の嗜好をとらえた ナビゲーション 次世代AI どこでも誰でも 最適医療 ストレスの無い 暮らし 生活の質の 向上 外国人との 共生 障がい者の 自立支援 個人の潜在能 力の発見 医師の知見 個人の価値観 個人の嗜好 個人の価値観 家族の知見 個人の感性 個人の価値観 個人の感性 本研究開発は総務省「次世代人工知能技術の研究開発」の委託を受けたものです 問い合わせ先: 大歳達也/加納敏行 大阪大学大学院情報科学研究科 NBIC協働研究所

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Page 1: Fluctuation Learningnbic.ist.osaka-u.ac.jp/pdf/CiNet_Sympo2019.pdf · 赤外線照明 赤外線カメラ 検査用表示映像 座標抽出 眼球撮影 映像 眼球運動計測・特徴抽出システム

既存AIの情報処理メカニズム ~過去の事実・知識に基づく予測により対処~

• Determinism • 全ての未来は過去によって決定される(未来は想定内である)ということを前提にメカニズムが備わる。

• Static/Planned • クリーニングされた大量の静的な過去データ・知識に基づく静的予測と統計的処理

大量の知識と情報

ヒト脳の認知・意思決定を再現する「ゆらぎ認知モデル」 - Fluctuation Learning -

想定するための 予測メカニズム(統計手法)

脳の情報処理メカニズム ~新たな事象1つ1つにその都度対処~

• Indeterminism • 未来はいかなる過去によっても決定されない(未来は想定外である)ということを前提に対処するメカニズムが備わる

• Dynamic/Ad hoc • 時間とともに変動し、ノイズを含む新規データに基づく動的予測に基づく意思決定

脳に倣う目的関数

想定外に対処する メカニズム

1.脳と人工知能 非決定論と決定論/弾力性と精確性

3.ベイジアン・アトラクター・モデル ヒトの意志決定を表すモデル

4.ゆらぎ学習を搭載した リレーショナルデータベース

5.ゆらぎ学習を利用した 医療診断支援システム

6.ゆらぎ学習が実現する 人にやさしい次世代人工知能と応用

超多自由度から少自由度への絞り込み、ゆらぎによるアトラクター探索:実験的で証明

分子機械 細胞 脳

膨大な数の自由度を持つ生体システム

環境、状況に対処する少数のキーとなる 自由度を選択

ゆらぎで環境、状態に合う自由度(アトラクター)を探索して決定

ゆらぎをベースにした

ランダムネスの規則化

全てのレベルに適用可能な 一般化ゆらぎ方程式

アトラクタを持つ 制御構造

最適化指標 自発ゆらぎ

分子レベルゆらぎ方程式

1 ( , ) 2( )

dx U x tB

kTt

dt x

バイアス ポテンシャル力 熱ゆらぎ

ゆらぎによる細胞の情報処理 ゆらぎで動く分子モータ

歪み センサー

ブラウン運動

ゆらぎを使う脳の視覚認知

ノイズを排除・遮断

精確かつ厳密

計算機で厳密制御すると膨大な情報処理(計算)が必要 脳は1ワットの動作エネルギーでロバストに働く

弾力性(レジリエンス)

3万キロワット (淡路島全世帯の消費電力)

ノイズ・バラツキを許容

曖昧だが柔軟

複雑化による厳密制御の破たん

精確・厳密性(

ゆらぎ原理

柳田敏雄:「脳とICTに関する研究の推進とイノベーション」 脳とICTに関する研究開発推進会議(2012年2月)資料抜粋・編集

2.分子・細胞から脳まで 生体のやわらかさ・自律を支えるゆらぎ原理

出典:「A Bayesian Attractor Model for Perceptual Decision Making」Sebastian Bitzer, Jelle Bruineberg, Stefan J. Kiebel

アトラクター選択

意味付け

特徴抽出

センシング

学習

制御

環境

アトラクター アトラクター

アトラクター

意思決定選択肢(知識)

意思決定(認知)

抽象化・知識変換

センシング・アクチュエーション

Sensory Uncertainty • 観測情報への信用度 「人の信用しやすさ」

Dynamic Uncertainty • 観測情報変動への追従度 「情報変化への対応力」

Noise Uncertainty • 観測情報の雑音レベル 「観測情報の確からしさ」

個性の設定

さまざまな入力 データを特徴量 ベクトル符号化

特徴量ベクトル データ

内部データ処理 フォーマット

複数の脳情報処理計算モデルを組み合わせてRDB関数・命令を設計

複雑な脳情報処理をSQL

関数・命令としてプログラミング環境を提供

ユーザは脳型コンピュータとしての専門知識を必要とせずSQLクエリによりアプリ

ケーションをプログラム可能

RDB内部データと処理履歴・判断理由をグラフィカルに可視化

処理結果はSQL命令により 修正、加工が可能

PostgreSQLのデータベース分析処理関数として提供 SQL:Structured Query Language

ベイジアン・アトラクター・モデル

アトラクター1

アトラクター2

アトラクターN

推定

抽象化 符号化

意志決定

外部 環境

制御

選択肢(分布)

• 可制御性 Controllability

• 既存コンピュータシステムのようにプログラム可能でその動作を全て制御できること

• 可観測(監視)性 Observability • コンピュータの動作がいつでも観測、監視できること

• 可説明性 Explainability • 処理結果が(利用者によって)説明できること

3つの特性

健常者 総合失調症患者

自由視

滑動性追跡

注視

①移動の総距離

②追従の遅れ とみだれ

⑤注視点の変動

疾患診断では診断精度が求められるため多種の特徴量をもとに健常・疾患を分類

出典

疾患者 健常者

Fluctuation Leaning搭載 リレーショナルデータベースシステム

眼球運動 特徴抽出

ユーザ インタフェース

ゆらぎ学習関数搭載 データベース

マネジメントシステム

眼球座標 データ

特徴量 ベクトル データ

リレーショナルデータベース システム

赤外線照明 赤外線カメラ

検査用表示映像

座標抽出

眼球撮影 映像

眼球運動計測・特徴抽出システム

協力:国立精神神経医療研究センター/大阪大学 橋本亮太、大阪大学 藤田一郎、岡田研一

識別分類手法 ゆらぎ学習 機械学習(SVM) Neural Network

患者の識別精度 76.83% 46.25% 43.75%

各種AIを用いた患者の識別精度

※正解データが存在しない:正解データが多様少数、あるいは定義困難なケースを指す

医療・ヘルスケア

教育

安心・安全

生活支援 ビジネス

コミュニケーション支援

介護・福祉

製造・農林水産

個人の特性と状況を

とらえた指導

潜在能力の発見

オーダーメイド

教育

個人に最適な学習空間

希少伝統技術の

継承

人の心理を読み取ることで

事故を避ける(感情の推定)

パニック状態の収束

チームワーク構築

個人に最適な

空間の提供

被災情報の把握・予測

★リソース最適配分

オーダーメイド

医療

パーソナル化された

健康管理

多言語翻訳

感情を理解した

サポート

五感の補完

シンプルな

意図判別

感情に訴える

マーケティング

新品種の

効率的な実現

組み立て自動化

★医療診断の効率化

新たな症候群の発見

正解データが存在する領域

正解データが存在しない領域

誤作動防止

(異常動作の検出)

ビッグデータを活用した

マーケティング高度化

本音共創議会

弁護士ロボット

怒らせない

スーパー介護士

エッジ(AI)間

協調型MaaS

交渉人ロボット

専門的な文章の

翻訳

感情・表情・挙動を考慮した対話

脳情報を利用した

言語を超えたコミュニケーション

質問応答

環境条件・植物の特性を

自律的に判断して行動するロボット

運転アシスト

快適な

空間の提供

最適な学習空間

パーソナライズ化されたAIによる

快適な介護

個人の感覚を学習することで

失われた五感を補完

瞬時の判断が可能な

協調型モビリティによる快適な移動

専属の医師AIによる

高度な在宅医療

個人の特性と状況を

とらえた指導

訪日外国人の嗜好をとらえた

ナビゲーション

次世代AI

どこでも誰でも

最適医療

ストレスの無い

暮らし

生活の質の向上

外国人との

共生

障がい者の

自立支援

個人の潜在能力の発見

医師の知見

個人の価値観

個人の嗜好

個人の価値観

家族の知見

個人の感性

個人の価値観

個人の感性

本研究開発は総務省「次世代人工知能技術の研究開発」の委託を受けたものです

問い合わせ先: 大歳達也/加納敏行 大阪大学大学院情報科学研究科 NBIC協働研究所