Flowmaster V7 - engineering-eye

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1. はじめに 自動車・航空機・プラント・造船など様々な産業分野おいて、数値流体力学(CFDComputational Fluid Dy- namics )を活用した設計手法は、ほぼ一般化されており、近年では解析専門技術者ではなく、設計担当者自らが CAEを利用し、設計の効率化や開発の迅速化、そして安全性の向上と環境への配慮を図ろうとする流れが活発と なっています。 その結果、これら要件を満足させる為に、高品質なCFD解析用データを如何に迅速にそして利用者に負荷なく作 成できるかが、より重要な要因の1つとなりつつあります。 現在さまざまな産業分野において利用されている一次元熱流動解析ソ フトウェアのFlowmaster V7でも、ネットワーク(モデル)の構築は その解析工数のおよそ半分程を占めており、解析工数をより削減する為 には、モデル構築の自動化が重要であることが判ります(図1)。 Flowmaster V7のネットワークを自動作成する手段として、設計で 作成したCADデータを活用する方法、すなわちCADインターフェース を使用する方法があります。 CAD インターフェースは、CAD が使用しているデータベースから ASCII形式のフォーマットへ変換し、外部ファイルとして出力します。そ の後、Flowmaster V7が対応するフォーマットに再度変換して、解析 を実施する方法です。図2CADインターフェースのフローチャート例 を示します。 ゴール スタート 解析条件 設定 モデル構築 特性データ 登録 パラメータ 設定 解析実行 及び検討 1 解析工数の割合(概算) 2 CADインターフェース フローチャート例 CADインターフェース Flowmaster V7

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1. はじめに 自動車・航空機・プラント・造船など様々な産業分野おいて、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dy-

namics )を活用した設計手法は、ほぼ一般化されており、近年では解析専門技術者ではなく、設計担当者自らが

CAEを利用し、設計の効率化や開発の迅速化、そして安全性の向上と環境への配慮を図ろうとする流れが活発と

なっています。

その結果、これら要件を満足させる為に、高品質なCFD解析用データを如何に迅速にそして利用者に負荷なく作

成できるかが、より重要な要因の1つとなりつつあります。

現在さまざまな産業分野において利用されている一次元熱流動解析ソ

フトウェアのFlowmaster V7でも、ネットワーク(モデル)の構築は

その解析工数のおよそ半分程を占めており、解析工数をより削減する為

には、モデル構築の自動化が重要であることが判ります(図1)。

Flowmaster V7のネットワークを自動作成する手段として、設計で

作成したCADデータを活用する方法、すなわちCADインターフェース

を使用する方法があります。

CADインターフェースは、CADが使用しているデータベースから

ASCII形式のフォーマットへ変換し、外部ファイルとして出力します。そ

の後、Flowmaster V7が対応するフォーマットに再度変換して、解析

を実施する方法です。図2にCADインターフェースのフローチャート例

を示します。

ゴール スタート

解析条件

設定

モデル構築

特性データ

登録

パラメータ

設定

解析実行

及び検討

図1 解析工数の割合(概算)

図2 CADインターフェース フローチャート例

CADインターフェース

Flowmaster V7

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FlowmasterロゴマークはCommunity Trade

MarkにおけるFlowmaster Group BVの登録商

標です。またその他製品名や呼称などの固有名

詞は各社の商標または登録商標です。

2. CADインターフェース 図2に示した様に、Flowmaster V7のCADインターフェースは

開発元であるFlowmaster社が提供するコマンドラインベースの

ユーティリティ機能を利用します。本機能により、Flowmaster

V7のGUIを使用せず、ネットワークの作成から解析実行までの一

連の操作がバッチ処理にて可能となります。

またFlowmaster V7では、形状を定義したFMDNAファイル

(Flowmaster Direct Network Assembly)、および属性を定義

したEDIFファイル(Electronic Data Interchange Facility)の

フォーマット(XML形式)が公開されており(図3)、CADから

抽 出 し た 中 間 フ ァ イ ル を こ れ ら の 形 式 に 変 更 す る こ と で、

Flowmaster V7のネットワークが自動作成できます。

データ変換プログラムは開発する必要がありますが、Excel

VBA ベ ー ス で も 実 装 可 能 で す。図 4 に 3 次 元 CAD で あ る

AutoPLANT PipingからFlowmaster V7モデルへの変換例を示

します。

<LinkType>Incompressible</LinkType>

<Component>2</Component>

<FromArm>1</FromArm>

<Node>2</Node>>

<IsOrthogonal>false</IsOrthogonal>

図3 FMDNAファイルとFlowmasterネットワーク例

図4 AutoPLANT PipingからFlowmaster V7モデルへの変換例

(a) AutoPLANT Pipingモデル

および中間ファイル

(b) CADインターフェース画面

(Excel VBA) (c) Flowmaster V7ネットワーク

中間ファイル

出力

3. おわりに CADインターフェースを構築する事で、CADデータを有効に活用でき、Flowmaster V7ネットワークを構築す

る時間の大幅な削減を実現できます。また解析専任者ではなく、3D CAD利用者側でFlowmaster V7のモデル化が

容易となり、配管設計者による熱流動解析が可能となります。その結果、Flowmaster V7での解析が容易となり、

Flowmaster V7を使用した検討対象範囲の拡大に期待でき、業務の更なる効率化を実現します。

なおCADインターフェースを構築する上での注意点として、必要なデータが欠損した場合や、不要な情報が変換

されてしまう場合の処理があります。さらに変換後のデータに欠損が発生し、余儀なく修正しなければならないと

いった場合や、汎用CADなどに代表されるコンポーネントベースではないCADには現状では対応できないといった

問題があります。

弊社並びに開発元であるFlowmaster社は、Flowmaster V7を使用した更なる業務改善が実現できる様に、CAD

インターフェースに対し今後も継続して積極的に取り組みます。

科学システム事業部 CAEソリューション営業部

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