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各カンパニーの戦略 2018年度見通しセグメント別売上高構成比率 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 コネクティッドソリューションズ社 連結売上高 億円 83,000 アプライアンス 32% エコ ソリューションズ 23% オートモーティブ& インダストリアル システムズ 33% コネクティッド ソリューションズ 12% 2018年度見通しセグメント別営業利益構成比率 セグメントごとの内訳 連結営業利益 億円 4,250 アプライアンス 27% エコ ソリューションズ 23% オートモーティブ& インダストリアル システムズ 31% コネクティッド ソリューションズ 19% アプライアンス エコソリューションズ コネクティッド ソリューションズ オートモーティブ& インダストリアル システムズ その他 消去・調整 連結決算 売上高 (億円) 営業利益 28,300 20,610 10,930 30,000 89,840 3,100 9,940 83,000 1,210 1,010 830 1,360 4,410 0 160 4,250 (注12017年度に完全子会社となったパナホームは、 20184月にパナソ ニック ホームズへと社名変更し、 2018年度より「その他」から「エコソ リューションズ」セグメントに変更しています。 (注2)セグメント別売上高構成比率、セグメント別営業利益構成比率は、各 セグメントの売上高・営業利益を「その他」および「消去・調整」前の連 結売上高・営業利益で除して算出しています。「その他」は報告セグ メントに含まれない事業活動であり、原材料の販売などが含まれて います。 カンパニー概要・事業別戦略 201841日時点) 家電事業では、日本で培った強みを基盤に 中国・アジアを中心とした海外事業の拡大で収益を伴った成長を追求します。 B2B事業では、省エネ・環境対応商品と IoT技術を強みとした収益モデルの確立を目指します。 電設資材や住設建材などを提供する「空間創造事業」では、 海外重点地域での高成長を追求しています。 戸建住宅や街づくりなどを手がける「くらし創造事業」では、 パナソニック ホームズ(株)を核とする グループシナジーによる成長を目指しています。 社会課題に向き合い、企業のお客様に向けて ビジネスの現場・業務のプロセスにおける課題を コアデバイスと先進技術で解決する 「現場プロセスイノベーション」を実現させます。 車載・産業を軸に、安心・快適な社会づくりに貢献します。 特に、車載事業では、社会的な要請や世界的な環境規制強化を背景に クルマが進化する中、積極的な投資を推進、 パナソニック全体の成長を牽引していきます。 エコソリューションズ社 アプライアンス社 Panasonic Annual Report 2018 35

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各カンパニーの戦略

2018年度見通しセグメント別売上高構成比率

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社

コネクティッドソリューションズ社

連結売上高

億円83,000

アプライアンス 32%

エコソリューションズ

23%

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ 33%

コネクティッドソリューションズ 12%

2018年度見通しセグメント別営業利益構成比率

セグメントごとの内訳

連結営業利益

億円4,250

アプライアンス 27%

エコソリューションズ

23%

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ 31%

コネクティッドソリューションズ 19%

アプライアンス

エコソリューションズ

コネクティッドソリューションズ

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

その他

消去・調整

連結決算

売上高

(億円)

営業利益

28,300

20,610

10,930

30,000

89,840

3,100

△9,940

83,000

1,210

1,010

830

1,360

4,410

0

△160

4,250

(注1)2017年度に完全子会社となったパナホームは、2018年4月にパナソニックホームズへと社名変更し、2018年度より「その他」から「エコソリューションズ」セグメントに変更しています。

(注2)セグメント別売上高構成比率、セグメント別営業利益構成比率は、各セグメントの売上高・営業利益を「その他」および「消去・調整」前の連結売上高・営業利益で除して算出しています。「その他」は報告セグメントに含まれない事業活動であり、原材料の販売などが含まれています。

カンパニー概要・事業別戦略 (2018年4月1日時点)

家電事業では、日本で培った強みを基盤に中国・アジアを中心とした海外事業の拡大で収益を伴った成長を追求します。B2B事業では、省エネ・環境対応商品とIoT技術を強みとした収益モデルの確立を目指します。

電設資材や住設建材などを提供する「空間創造事業」では、海外重点地域での高成長を追求しています。戸建住宅や街づくりなどを手がける「くらし創造事業」では、パナソニック ホームズ(株)を核とするグループシナジーによる成長を目指しています。

社会課題に向き合い、企業のお客様に向けてビジネスの現場・業務のプロセスにおける課題をコアデバイスと先進技術で解決する「現場プロセスイノベーション」を実現させます。

車載・産業を軸に、安心・快適な社会づくりに貢献します。特に、車載事業では、社会的な要請や世界的な環境規制強化を背景にクルマが進化する中、積極的な投資を推進、パナソニック全体の成長を牽引していきます。

エコソリューションズ社

アプライアンス社

Panasonic Annual Report 201835

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イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

2018年度見通し売上高構成

2018年度見通し売上高構成

2018年度見通し売上高構成

2018年度見通し売上高構成

エアコン

食品流通

スモール・ビルトイン

メジャー

AVC

海外専門販路拡大に加え、省エネ商品を強化、欧州等の高い環境ニーズに対応

高いシェアを持つ日本では高収益を維持、中国ではEC販売拡大とビルトイン商材強化

北米では新規顧客開拓の強化、日本ではOPEXモデル確立により収益力強化

中国・アジアなどでドラム式洗濯機等の販売加速、インドでは現地生産商品の販売開始

販売はハイエンドミラーレス一眼中心に堅調、加えて、AVC専門工場での白物生産を推進

実装機単体からお客様のプロセス全体に価値提供領域を拡大溶接システムのラインアップ拡充と次世代レーザー加工機の強化により自動車業界向け事業を拡大

重点4カテゴリー(IVI、コックピット、ADAS、電動化)の本格増販寄与新規テーマ(次世代コックピットなど)への開発投資継続

「車載・産業」への転地を加速大規模投資(米国ネバダ、中国大連)工場が本格稼働、収益貢献

「車載・産業」への比重をさらに高め、増収増益を継続再生事業(半導体・液晶パネル)は、19年度黒字化に向け着実に収益改善

高輝度プロジェクターなどコア商品のさらなる強化、強い商品を活かし、エンタメ・教育業界に向けてソリューション展開の基盤づくり

オリンピック・パラリンピック向け受注推進強化重点3業界(公共・物流/流通・社会)の拡大

ゼテスを核にサプライチェーンソリューション事業を拡大既存製品を強化し、強いハードウェアを活かしたソフトウェアビジネスを拡大

リフォーム市場での中高級商材の販売拡大営業リソースのお客様接点力強化による収益を伴う販売強化新築請負事業の強化などによる販売拡大 ●パナソニックブランドを活用した低層戸建住宅の販売強化 ●首都圏を中心とした多層階住宅事業の拡大

IFEC(機内エンターテインメント+通信)の事業基盤を武器に、デジタルソリューション&サービス事業、リペア・メンテ事業を拡大

ライティング

パナソニック ホームズ

エナジーシステム

パナソニック エコシステムズ

ハウジングシステム

アビオニクス

PSSJ

プロセスオートメーション

メディアエンターテインメント

モバイルソリューションズ

オートモーティブ

エナジー

インダストリアル

デバイス・他 エアコン

食品流通 スモール・ビルトイン

メジャーAVC

ライティング

エナジーシステム

エコシステムズ

パナソニックホームズ

ハウジングシステム

その他

アビオニクス

プロセスオートメーション

メディアエンターテインメント

モバイルソリューションズ

パナソニックシステムソリューションズジャパン(PSSJ)

オートモーティブ

エナジー

その他

2017年度実績は P85「セグメント情報」を参照ください。

インダストリアル

海外:中国はeコマース市場攻略、北米は住宅向け商材拡充国内:熱交換気システム等の高付加価値商品へのシフトによる収益拡大

海外:インド・ベトナムを中心とした配線器具の販売拡大、リソース強化国内:システム機器を中心としたリニューアル市場の刈りとり

海外:中国・インド・インドネシアを重点に製販一体推進による販売拡大国内:ターゲット別の高付加価値商品展開による販売拡大

2018年度 事業別戦略

2018年度 事業別戦略

2018年度 事業別戦略

2018年度 事業別戦略

Panasonic Annual Report 2018 36

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各カンパニーの戦略

2017年度の業績(旧体制ベース)

• 中国・アジア(ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイなど)・インドにおける中間所得層・富裕層の拡大による家電市場の伸長

• 世界的な環境意識の高まりによる、省エネ・低環境負荷商品の需要拡大

• 国内高価値商品への人気の高まり• IoT化の進展による新しい収益機会の出現

• 省エネ・低環境負荷商品を創出する「環境」「材料・デバイス」、家電製品の使用体験・効果を革新する「生体科学」、「IoT/AI/ロボティクス」などの高度な技術力

• 中国・アジアの現地ニーズに迅速・的確に対応できる開発・デザイン・製造・販売体制

• 市場拡大が見込まれる海外エアコン・白物家電へのリソース集中による持続的成長への取り組み

• 事業・地域・製販を超えて最適化を目指すオペレーション改革

• 原材料高騰影響をカバーする生産コストの合理化

機会 強み 課題

売上高 (新体制・製販連結ベース)

30,000

20,000

10,000

0

(億円)

’18/3 ’19/3

営業利益 (新体制・製販連結ベース)

1,200

900

600

300

0

(億円)

500

1,000

当社家電事業における需要動向(2017年度から2021年度まで)

 2017年度は、中国でのエアコン、欧州でのAVCの販売

増などにより、売上高は2兆7,964億円(前年度比104%)

となりました。利益については、一部のアジア地域での

販売不振や原材料高騰の影響を、合理化や中国・欧州での

家電増販益でカバーし、営業利益1,076億円(前年度比

(見込み)’18/3 ’19/3

(見込み)

28,737 29,500 1,0711,210

(各表示年3月期) (各表示年3月期)

0

(億ドル)日本 中・亜・印(ISAMEA※) その他地域

’18/3 ’22/3 ’18/3 ’22/3 ’18/3 ’22/3

※ ISAMEA:インド、南アジア、中近東、アフリカ 出所:当社推定

詳細はP85

アプライアンス社(AP社)

業績数値(実績・見込み・目標)は、製販連結ベース

「Panasonic IR Day 2018 アプライアンス社 説明会資料」(PDF)もご覧ください。

家電事業では、日本で培った強みを基盤に中国・アジアを中心

とした海外事業の拡大で収益を伴った成長を追求します。

B2B事業では、省エネ・環境対応商品とIoT技術を強みとした

収益モデルの確立を目指します。

海外の販売好調により増収増益

108%)、営業利益率3.8%となり、3年連続の増益を実現

しました。また、家電事業のプレミアム商品の販売が継続

して伸長し、収益改善に寄与しました。

 今後の成長に向けた取り組みとしては、海外主要地域で

製造と販売を一体で管理・運営する「製販連結経営体制」

の構築が進展し、中国・アジア・インドでの地域に即した

差別化要素を盛り込んだ「地域適格商品」の市場導入を推進

しました。さらに、ベンチャーキャピタルや大学との協業

などオープンイノベーションを積極的に推進しました。

+0.4%

年平均成長率

+6.5%

年平均成長率

+4.3%

年平均成長率

(各表示年3月期)

Panasonic Annual Report 201837

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 2018年度の売上高については、エアコン・白物家電の

販売増を主な牽引役とし、2兆9,500億円(前年度比

103%)を目指します。利益については、家電事業のプレ

ミアム商品拡大と中国、アジア、インドにおける増販益や

合理化による収益性向上によって、営業利益1,210億円

(前年度比113%)、営業利益率4.1%とし、4年連続の増

益を目指します。

家電事業の戦略

 AP社は家電事業の総本山として、持続的に増収・増益を

実現するべく、「立地」と「構え(戦い方)」の変革を加速します。

 立地面では、AVC領域からエアコン、スモール・ビルト

イン領域へのリソースシフトを加速します。また、日本を

基盤に成長性が高い中国・アジア・インドに注力し、収益

を伴った事業成長を実現します。

 構え(戦い方)の面では、グローバルプラットフォーム

開発の導入・拡大でさらなるプレミアム化を推進します。

グローバルプラットフォームとは、モジュールの組合せで

グローバルに統一した基準で設計する思想です。市場

ニーズに合わせて「変える」モジュールは地域最適設計に

し、共通した価値・機能は統一設計にすることで、コスト

削減や開発効率化を目指します。

 地域家電戦略について、中国では、2020年度に売上高

200億元を目指し、「新貴(シングイ)」と呼ばれる世帯年収

32万元以上の層をターゲットとし、「健康」「余裕」「品」を

テーマとしたプレミアム商品の販売拡大を図っていきます。

また、大手ECプラットフォーマーと連携を強化し、オン

ライン販売比率を高めていきます。さらに、IoTを活用

事業ポートフォリオ中国・インドにおける「地域適格商品」

インターネット接続機能つき冷蔵庫

カレー染み洗浄機能つき洗濯機

事業区分と投資方針 AP社中期計画(2016年度~ 2018年度)

エアコン投下資本 売上 利益率

スモール・ビルトインメジャー

デバイス食品流通

AVC

高成長事業

安定成長事業

収益改善事業

2018年度の方針・戦略

中長期の方針・戦略

今後の戦略した住空間提案など独自のプレミアム商品を素早く提供

できる体制の構築を進め、収益性向上を図ります。

 冷夏影響で一部不振のあったアジアでは、商品のプレミ

アム化の推進に加え、需給変化に柔軟に対応できる製販

連結オペレーションの強化を進めます。

 エアコン・テレビ・洗濯機に加え、新たに冷蔵庫工場が

稼働したインドは、地域適格商品の現地生産および販売の

拡大で、収益を伴う成長を追求します。

B2B事業の戦略

 脱炭素社会実現に貢献する省エネ・環境対応商品とIoT

技術を強みにお客様と長期にわたり継続取引できる収益

モデルの確立を目指します。

 食品流通事業では、スマートロッカーなど IoTを活用

した差別化商品の市場投入や、運営・保守までトータル

サポートするOPEXビジネスの拡大、自然冷媒機器のライン

アップ拡充に取り組みます。

 大型空調事業では昨年度、英国、ブラジルで販売会社

およびエンジニアリング会社を買収しました。引き続き

海外販路・エンジニアリング力の強化に加え、新商品ライン

アップ拡充による限界利益率向上を図ります。

 国内で過半のシェアを持つ家庭用燃料電池事業は、

欧州で新モデル導入と新規ルート開拓により、販売拡大を

目指します。

 2020年度に向けては、より収益性を重視し、営業利益

率5%を目指します。特に高収益が見込めるエアコン、

スモール・ビルトインと、今後安定的に収益拡大を目指す

食品流通を柱に、メリハリある投資により、利益を大きく

積上げることで、キャッシュ創出を図ります。

積極投資

中国 インド

投資抑制

イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

Panasonic Annual Report 2018 38

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各カンパニーの戦略

2017年度の業績(旧体制ベース)

• 中国、東南アジア、ISAMEA(インド・南アジア・中東アフリカ)のGDP高成長による市場拡大

• 東京オリンピック・パラリンピックなどによる大型開発案件の増加

• 国内における電設資材の強い流通網と販売網

• リフォーム政策店、ショウルームなど、国内の充実した顧客接点・窓口

• 各国の多様なニーズに対応した価値を提供する商品開発力

• 海外電設資材事業の成長加速• 2021年以降の国内建設市場縮小への対応

• 建築事業における収益を伴った成長

機会 強み 課題

売上高 (新体制ベース)

21,000

14,000

7,000

0

(億円)

’18/3 ’19/3

営業利益 (新体制ベース)

1,200

900

600

300

0

(億円)

市場環境 2018年度から2020年度までのCAGR※1

 2017年度は、海外を中心に電設資材事業が大幅に伸長

したことにより、売上高は、1兆6,235億円(前年度比

105%)、営業利益は、725億円(前年度比113%)となり、

増収増益を達成することができました。

 2018年度には、中国、インド、東南アジアで照明器具や

配線器具など、電設資材事業の積極的な拡大などにより、

売上高は2兆610億円(前年度比105%)、営業利益は

1,010億円(前年度比124%)を見込んでいます。

(見込み)’18/3 ’19/3

(見込み)

19,574 20,610

8121,010

(各表示年3月期) (各表示年3月期)

詳細はP86

エコソリューションズ社(ES社)

「Panasonic IR Day 2018 エコソリューションズ社 説明会資料」(PDF)もご覧ください。

電設資材や住設建材などを提供する「空間創造事業」では、海外

重点地域での高成長を追求しています。戸建住宅や街づくりなど

を手がける「くらし創造事業」では、パナソニック ホームズ(株)

を核とするグループシナジーによる成長を目指しています。

増収増益を達成 2018年度の方針・戦略

今後の戦略

米州104%

欧州・CIS

104%中国・北東アジア

107%

ISAMEA※2

111%東南アジア・大洋州

108%

※1 各国の名目GDP成長率を当社売上構成比にて加重平均。※2 インド、南アジア、中東アフリカ

主要地域での持続的なGDP成長による市場拡大を予測。ES社の3重点地域は高成長を維持。

Panasonic Annual Report 201839

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(注)円のサイズは営業利益額に比例。また、海外電材、国内電材はソーラーを除く。

中長期の方針・戦略

 海外は、中国、インドを中心とするISAMEA、東南アジアを重点

3地域としており、これら地域は市場が高成長を維持すると予測

しています。国内は、住宅着工、非住宅着工ともに2020年まで

は微減にとどまり、2021年以降は市場が縮小する見通しです。

 こうした中でES社は、ミッションとして「『A Better Life』

を家、街、社会へ広げていく」、ビジョンとして「人起点で

『くらし』をより良く、快適にする」を掲げ、新たな100年を

迎えるにあたり、事業の括りを踏襲しつつ、提供価値を進化

させるべく、部材(電設資材・住設建材)事業は快適な空間

を創る「空間創造事業」、B2C事業は豊かな時間を創る

「くらし創造事業」と再定義しました。経営目標としては、

2020年度に売上高2兆2,700億円、営業利益率5.5%の

達成を目指します。海外事業を成長ドライバーとして、

海外売上高を2017年度の3,250億円から大きく伸長させ、

2020年度には5,000億円を目指します。

空間創造事業の戦略

 海外の電設資材事業(海外電材)は、重点3事業(ライティン

グ、エナジーシステム、エコシステムズ)の重点3地域(中国、

ISAMEA、東南アジア)における事業展開にリソースを集中

し、収益を伴った売上成長を目指します。エナジーシステム

では、インドにおいて高機能配線器具などの戦略商品を投入

するとともに、新たな事業として住宅分電盤ソリューション

を展開していきます。東南アジアでは、配線器具の品種拡充を

進めるとともに、ブレーカ事業を強化します。また、インド

やトルコで高いシェアを保有している配線器具については、

アフリカ市場への進出も進め、グローバルNo.1を目指し

ます。ライティングでは、中国においてeコマースでの事業

拡大や高機能商材の販売拡大を推進します。東南アジア

やインドにおいては、販路拡充と合わせて、商業施設や工場、

オフィス向け営業を強化していきます。エコシステムズで

は、中国において地方都市や非住宅などの新市場、新規販路

を開拓していきます。

 さらに、当社の商品や事業と各国の現地ニーズを融合す

ることのできる協業先(ディベロッパーなど)を地域ごとに

探索し、B2Bソリューション事業の加速を図ります。

 国内の電設資材事業(国内電材)は、市場優位性のさら

なる強化に努め、非住宅分野においてはオリンピック需要

含め首都圏を中心とした旺盛な建設需要を刈りとります。

また、リニューアル市場に対し、システムインテグレート機能

の強化によるエンジニアリング事業の拡大を図り、持続的な

利益創出を目指します。さらに、2021年以降を見据えて、

「光」「音」「映像」「空気」の連動によって新たなソリューション

や体験価値を提供する空間創造の仕込みを加速させます。

くらし創造事業の戦略

 建築事業では、2017年度に完全子会社化したパナソニック

ホームズを核に、グループシナジーの創出により、従来の中高級

住宅に加え、普及価格帯住宅や多層階住宅、さらには非住宅も

含めた街づくりに注力し、収益を伴った売上成長を目指します。

 具体的には、普及価格帯住宅に関しては、木造躯体関連

部材のノウハウを持つハウジングシステム事業部と連携

して木造住宅事業を強化していきます。また、2017年度に

連結子会社化した松村組を含め一元化したゼネコン機能と

の連携によって施工力を強化し、非住宅も含めた街づくり

事業を拡大していきます。

 くらし創造事業の成長に向け、当社の強みとしてパナソニック

の技術を活かした新たな価値を体験できる家や街を提供して

いきます。それにより、パナソニック ホームズのプレゼンス

向上につなげると同時に、ショウケースとして空間価値をいち

早く具現化し、一般のお客様や工務店、ゼネコンなどに広く

訴求することで、空間創造事業さらにはパナソニック全体の

物販ビジネスを拡大するという好循環を生み出していきます。

営業利益率

売上高(億円)0%

4,000

空間創造事業 くらし創造事業

8,000

収益を伴った売上成長

収益性向上収益を伴った売上成長

持続的な利益創出+新たな空間創造の仕込み

安定成長

収益改善

安定成長

安定成長

海外電材

国内電材

住建

事業構成・事業ポートフォリオ

建築

• ライティング• エナジーシステム• パナソニックエコシステムズ• ハウジングシステム 住建

電材 建築• パナソニック ホームズ • 建設ソリューション事業 • パナソニック サイクルテック • エイジフリー

イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

Panasonic Annual Report 2018 40

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各カンパニーの戦略

2017年度の業績(旧体制ベース)

• 社会課題を背景とした産業分野での自動化・省人化ニーズ拡大- 先進国を中心とした、少子高齢化や人件費高騰による人手不足

- eコマースの進展による物流量の急増、現場業務の複雑化

• インダストリー4.0の進展、AI/IoT活用• 東京オリンピック・パラリンピックによる大型開発案件の増加

• B2Bのお客様の経営課題に面で向き合える総合力

• 製造業で培ったノウハウ• 差別化できる強い技術力(画像認識技術、自動化技術など)

• 商品開発力、強いコアデバイス• 日本におけるソリューション事業を下支えするエンジニアリング・システムインテグレーション・顧客基盤・営業力

• サスティナブルな高収益事業体に向けたビジネスモデル変革- 単品・ハードからソリューション事業への転換

- 海外におけるソリューション基盤の構築

機会 強み 課題

売上高 (新体制ベース)

12,000

9,000

6,000

3,000

0

(億円)

’18/3 ’19/3

営業利益 (新体制ベース)

1,200

900

600

300

0

(億円)

 ベルギーの物流ソリューション会社「ゼテス社」の新規

連結に加え、ノートPCや、ICT・自動車業界向け実装機の

販売増などにより、売上高は1兆1,193億円(前年度比

106%)、営業利益は1,057億円(前年度比210%)、営業

(見込み)’18/3 ’19/3

(見込み)

11,104 10,930 1,036830

(各表示年3月期) (各表示年3月期)

詳細はP86

コネクティッドソリューションズ社(CNS社)

「Panasonic IR Day 2018 コネクティッドソリューションズ社 説明会資料」(PDF)もご覧ください。

社会課題に向き合い、企業のお客様に向けてビジネスの現場・

業務のプロセスにおける課題をコアデバイスと先進技術で解決

する「現場プロセスイノベーション」を実現させます。

2年ぶりの増収増益

利益率は9.4%となり、2年ぶりの増収増益を達成しました。

 また、2017年度には顔認証技術を活用した空港での入国

手続き自動化ソリューションや、高輝度プロジェクターを

活用したプロジェクションマッピングなど、付加価値の高い

ソリューションの提供を推進しました。また、ビジネスの

現場で長年培ってきた先進コア技術とB2Bシステム提供ノウ

ハウを活用したIoTサービス「μSockets」を構築しました。

 さらに、CNS社のカンパニー本社を大阪から東京に移転。

世界のeコマース市場規模

25

20

15

10

5

0

(兆ドル)

’16 ’17 ’18 ’19 ’20 ’21 ’22 ’23 ’24 ’25 ’26 ’27 ’28 ’29 ’30

出所:eMarketerの予測をもとに当社作成

eコマース発展による物流爆発・現場業務の複雑化

Panasonic Annual Report 201841

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 アビオニクスの減収減益などにより、2018年度の売上高

は1兆930億円(前年度比98%)、営業利益は830億円(前

年度比80%)となる見込みです。大型航空機の需要減少を

受け、機内エンターテインメント・通信システムが厳しい

アビオニクスの影響が大きく、全体で減収減益の計画とな

るも、その他の事業のさらなる強化とソリューション事業

への領域拡大により、成長を目指します。

 主な取り組みとしては、まずアビオニクスにおいて、「ハード」

「衛星通信」「クラウド」の3つすべてを保有するという強みを

活かして新たな統合型プラットフォームを構築し、各航空会社

のニーズに幅広く対応していくことで機内エンターテイン

メント・通信システム事業の拡大を図ります。また、デジタル

ソリューション&サービス事業やリペア・メンテナンス事業の

拡大も推進していきます。2018年度は減収減益を見込んで

いますが、中期的には安定的な成長を見込んでいます。

 プロセスオートメーションについては、2017年度よりも

ICT業界の投資が減ると見込まれるため、2018年度は若干

の減収を見込んでいますが、シーメンスとの連携による工場

全体の工程改善・提案サービスや自動車業界の生産性向上

に貢献するアーク溶接ロボットシステムおよびレーザー加工

システムの販売拡大に注力し、増益を目指します。

 メディアエンターテインメントについては、エンターテイン

メント業界や教育業界向けに、高輝度プロジェクターや

制作カメラ・リモートカメラなど強みのある商品を核とした

ソリューションの提供を加速していきます。

 モバイルソリューションズについては、ゼテス社を核と

して、サプライチェーンソリューションをグローバルに拡大

していきます。

 パナソニック システムソリューションズ ジャパン(株)

(PSSJ)については、2020年に迫る東京オリンピック・

パラリンピック向け案件の受注と、「公共」「物流・流通」

「社会」の重点3業界向けの販売拡大に注力します。

製造業で培ったノウハウやロボティクスをテコにお客様の「つくる」「運ぶ」「売る」のプロセスを革新

2018年度の方針・戦略

今後の戦略

中長期の方針・戦略

 これまでの時代は、よい商品を大量に生産・流通させる

「PUSH型」の事業が主流でした。しかし、これからは個々の

消費者ニーズに合った商品を個々にお届けする「PULL型」

の事業、つまり「消費者起点のサプライチェーン」が求めら

れます。一方、eコマースの発展による物流量の爆発的な

増加に伴い現場業務が複雑化していますが、十分な労働力

を確保することは困難です。こうした中で、当社の顧客

企業からは、単なる省人化・省力化だけでなく、「さまざま

な現場にまたがるプロセス全体を改革し、業務の生産性・

付加価値を上げたい」という要望をいただくようになって

います。そこで当社は、こうした課題に応える「現場プロセス

イノベーション」を推進していきます。具体的には、製造業

として培った生産管理手法や現場改善ノウハウ、センシング・

画像解析・ロボティクスなどの差別化技術、お客様の現場で

培った現場業務の経験・知見などを総動員し、当社が貢献

できる分野の産業の現場で、商品を納めるだけではなく、

個々の現場の効率化・自動化や、プロセスの統合管理など

を通じてお客様の現場を支えていきます。

 このような「現場プロセスイノベーション」の加速と、

M&Aも含めて不足するケイパビリティ(ソフトウェア・

サービスなど)を獲得し、グローバルなソリューション基盤

を構築していくことで、サスティナブルな高収益事業体と

なることを目指します。

全社一丸となって顧客接点を最大化し、「共創」を加速して

います。またフラットでビジネスに最短で向かっていくカル

チャーに変わるために風土改革を推進しています。

サプライチェーン領域における現場プロセスイノベーション

つくる 運ぶ 売る

製造業ノウハウ  差別化技術  現場知見・経験

消費者

デジタル

現場

バリューチェーンにまたがるプロセス革新

ロボティクス/次世代通信/画像処理/センシング等

データ

製造 物流 流通

イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

Panasonic Annual Report 2018 42

Page 9: カンパニー概要・事業別戦略 - Panasonic USA › jp › corporate › ir › pdf › anuual › 35j.pdf各カンパニーの戦略 2017年度の業績(旧体制ベース)

各カンパニーの戦略

2017年度の業績(旧体制ベース)

• 自動車の情報化・電子化(コネクテッドカー、先進運転支援システム/ADAS)

• ガソリン車から環境対応車への需要シフト(環境規制の強化)

• 産業分野におけるIoT活用、省人化対応

• デジタル家電、携帯電話で培ったグループの技術資産(画像処理、画像認識、無線通信、サイバーセキュリティ等)

• 高容量・高信頼性を誇る電池の技術開発力・安定供給力

• 独自技術に支えられた高シェアデバイス

• CASE※など、加速する自動車の進化への対応

• 車載電池の競争力維持・向上、原材料高騰への対応

• 単品デバイス販売から、システム提案など、新事業・新サービスへの展開

機会 強み 課題

売上高 (新体制ベース)

30,000

20,000

10,000

0

(億円)

’18/3 ’19/3

営業利益 (新体制ベース)

1,500

1,000

500

0

(億円)

車載事業売上高「2.5兆円」の達成に向けて

 2017年度は、オートモーティブ事業、エナジー事業、イン

ダストリアル事業のすべてで増収となり、売上高は2兆

8,035億円(前年度比116%)となりました。営業利益に

ついては、前年度に法務関連戻し益や事業譲渡益を計上

した反動により、対前年度減益の914億円(前年度比98%)

(見込み)’18/3 ’19/3

(見込み) (見込み)(見込み)(見込み)

28,039 30,000

934

’13/3 ’14/3 ’15/3 ’16/3 ’17/3 ’18/3 ’19/3 ’20/3 ’22/3

1.0兆円1.3兆円

1.7兆円 1.8兆円2.0兆円

2.5兆円1,360

(各表示年3月期) (各表示年3月期) (各表示年3月期)

詳細はP87

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)

「Panasonic IR Day 2018 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 説明会資料」(PDF)もご覧ください。

車載・産業を軸に、安心・快適な社会づくりに貢献します。特に、

車載事業では、社会的な要請や世界的な環境規制強化を背景に

クルマが進化する中、積極的な投資を推進、パナソニック全体の

成長を牽引していきます。

事業の収益力が向上

※ Connectivity(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)の略。

となりました。しかし、これらの影響を除いた事業から創出

される利益は前年度から300億円強増加しました。

 2017年度は、将来の成長に向けた取り組みを着実に進め

ました。オートモーティブ事業では、公道における自動運転

走行の実証実験を開始しました。エナジー事業においては、

車載用角形リチウムイオン電池のさらなる進化を目指す

ため、トヨタ自動車(株)と協業の検討を開始しました。また、

中国大連工場における車載用角形リチウムイオン電池の

量産開始や欧州向け車載カメラ増産に向けたフィコサ社

’13/3 ➡ ’17/3 年平均成長率 +7% ’17/3 ➡ ’22/3 年平均成長率 +14%

車載事業売上高自動車部品メーカートップ10入りに挑戦

現 中期計画 次期 中期計画

Panasonic Annual Report 201843

Page 10: カンパニー概要・事業別戦略 - Panasonic USA › jp › corporate › ir › pdf › anuual › 35j.pdf各カンパニーの戦略 2017年度の業績(旧体制ベース)

 2018年度はこれまでに実施した大規模投資を着実に成長

に結びつけ、パナソニック全体の増収増益を牽引していき

ます。車載電池が大きく伸びるエナジー事業をはじめ、

オートモーティブ事業、インダストリアル事業のすべてで

為替影響を除く実質ベースで増収、売上高は3兆円(前年

度比107%)を目指します。営業利益については、エナジー

事業における車載電池の増販益や、インダストリアル事業

の車載・産業向けデバイスの収益拡大、半導体、液晶などの

収益改善が寄与することで、1,360億円(前年度比146%)、

営業利益率4.5%を目指します。

 各事業の主な取り組みとしては、まずオートモーティブ事業

において、重点カテゴリーのIVI※1(車載情報通信システム)、

(見込み)’18/3

9,288(138%)

3.4%

’19/3

9,227(99%)

為替影響除く(102%)

’17/3

6,716

各事業グループの戦略

2018年度の方針・戦略

今後の戦略

※ PSCS:パナソニック セミコンダクターソリューションズ(株)、PLD:パナソニック液晶ディスプレイ(株)

モロッコ工場の新設、中国珠海のモーター工場拡張など、旺盛

な需要に対応するための生産能力強化に取り組みました。

コックピット、ADAS※2(先進運転支援システム)、電動化

システムを中心にさらなる事業成長に取り組みます。2018

年度はIVI、コックピットなど高付加価値商品の納入車種

拡大や、開発効率向上の取り組みなどにより、為替影響を

除く実質ベースで増収増益を目指します。なお、2017年度

に連結子会社化したフィコサ社との協業効果として、電子

ミラーや通信ユニットなどの新製品も増販に寄与します。

 エナジー事業では、一層の経営基盤強化を図るべく、組織

体制を2018年4月より顧客・業界別に再編しました。車載電

池に関しては、重点顧客の需要に同期した増産と稼働率向上

に取り組むことで、円筒形・角形ともに大幅な増収を見込んで

います。大規模投資による設備償却費や人件費などの固定費

増や、コバルトやリチウムなどの材料高騰の影響があるもの

の、車載電池の増販や合理化などによって増益を目指します。

 インダストリアル事業では、基盤事業と位置づけるメカ

トロニクスやデバイスソリューション、電子材料において、

さらなる高収益化を図ります。具体的には、サーボモーター

(各表示年3月期)

オートモーティブ事業

重点4カテゴリー(IVI、コックピット、ADAS、電動化)の本格増販寄与

エナジー事業 インダストリアル事業

’17/3 ’19/3

4カテゴリー その他

売上高(億円) 営業利益率(%)

売上高構成比(%)

「車載・産業」への転地を加速、大規模車載電池工場が本格稼働、収益貢献

’17/3 ’19/3

売上高構成比(%)

「車載・産業」への比重をさらに高め、増収増益を継続

’17/3 ’19/3

売上高構成比(%)

( )内は、前期比

車載 産業 その他 車載 産業 その他

14%27% 33% 29% 30%

45%36%

54%

29%26%

(見込み)’18/3

5,625(114%)

’19/3

7,580(135%)

’17/3

4,936

売上高(億円) 営業利益率(%)( )内は、前期比

(見込み)’18/3

9,452(109%)

’19/3

9,841(104%)

’17/3

8,708

売上高(億円) 営業利益率(%)( )内は、前期比

4.7%

2.0%

3.8% 4.4%5.7%

メカトロニクス事業部デバイスソリューション事業部

電子材料事業部

基盤事業

再生事業

※1 In-Vehicle Infotainment  ※2 Advanced Driver Assistance System

PSCS、PLD※

イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

Panasonic Annual Report 2018 44

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’22/3’22/3

各カンパニーの戦略

中長期の方針・戦略

車載事業売上高2.5兆円に向けて

 当社の車載事業は、車載電池を中心に販売が拡大し、

2019年度に売上高2兆円を達成できるものと見込んでい

ます。また、2021年度には売上高2.5兆円を目指し、自動

車部品メーカートップ10入りに挑戦します。2016年度から

2021年度までの5年間で、当社有効需要(年率+8%成長)

や高機能多層基板材料などの産業向け商品、EVリレーや

車載向け受動部品などの増販に取り組み、収益拡大を図り

ます。再生事業である半導体、液晶については、2019年度の

黒字化に向けて合理化や歩留まり向上、品種構成の見直し

などで限界利益改善を図ります。

 設備投資については、2017年度、米国テスラ社ギガファク

トリー内にある当社ネバダ工場への投資を中心に、2,000

億円を上回る投資を実行しました。一方で、ネバダ工場増販

の期ずれに関しては設備稼働時期を遅らせるなどの対応で

償却費の抑制を図り、収支への影響の最小化に努めました。

2018年度もネバダ、大連、姫路の車載電池工場を中心に、

2,410億円の投資を予定しています。旺盛な需要に対応して

いくとともに、顧客の生産計画、需要を見極め、段階的な

投資をしていくことでリスクの最小化に努めます。

を上回る年率+14%と大きく成長させていきます。

オートモーティブ事業の中期成長シナリオ

 オートモーティブ事業では、重点4カテゴリーであるIVI、

コックピット、ADAS、電動化システムに引き続き注力します。

 2017年度に出荷を開始したコックピットシステムは、

IVIと組み合わせたシステム提案に取り組み、着実に受注

を伸ばしていきます。ADASは、デジタルAVで培った画像

処理技術や画像合成技術を活かし、センシングカメラや

ソナーを使った中低速域での先進運転支援システムで

受注実績を積み重ねるとともに、自動駐車システムなど、

より高度なシステムの受注にも積極的に取り組みます。

電動化システムは、国内で実績のある車載充電器の海外

展開や小型EV向けの電動パワートレインなど、新規受注の

獲得により事業拡大を目指します。

 さらに、これらの車載システムを活用して、移動するすべて

の人やモノに配慮したモビリティ社会に求められる新たな

サービスについても事業化の検討を進めていきます。

エナジー事業の中期成長シナリオ

 電動車の普及によって車載電池の需要が急速に拡大して

います。当社は需要の急速な拡大に対してシェアを追うの

ではなく、収益性と確実な投資回収を一層重視し、日・米・

’19/3

売上高成長/営業利益率(%)

売上高指数(’18/3:100)

営業利益率

円の大きさ:売上規模

’18/3

• 「IVI+コックピット」の統合システムでシェア拡大

• 低速ADAS・電動化で受注・量産実績を重ね事業拡大

重点4カテゴリーにフォーカスし収益成長を実現

売上高成長/営業利益率(%)円の大きさ:売上規模

• 確実な投資回収の下、旺盛な車載電池需要に対応

姫路:2019年度量産開始、以降拡大(角形)

「つくる」を磨く

• ハードに紐づいたモビリティサービスへの貢献

新たなサービス事業への挑戦

• 情報インフラで新たなお役立ち• パートナーと新たなエコシステム構築

「つかう」にチャレンジ

■ 重点4カテゴリー「IVI、コックピット、ADAS、電動化」でクルマの進化に貢献

■ モビリティ社会における新たなサービス事業への挑戦

■ 「つくる」を磨き、加速する電動車普及に貢献■ 「つかう」にチャレンジ、新たな需要を創出

ネバダ:35GWh/年超へ(円筒形)大連:顧客単位でライン増強(角形)

110 120100

5%

’19/3

売上高指数(’18/3:100)

営業利益率

’18/3

200100

5%9,227億円4.7%

9,288億円3.4%

7,580億円3.8%

5,625億円2.0%

中期成長シナリオ

オートモーティブ事業 エナジー事業

人・モノの移動に対するお役立ち領域を拡大

- 統合コックピット

- ADAS・自動運転

- EV・電動化

新たな電池需要創出

- データセンターバックアップ電源- 基地局電源遠隔監視サービス- バッテリーシェアリング

×

×

Panasonic Annual Report 201845

Page 12: カンパニー概要・事業別戦略 - Panasonic USA › jp › corporate › ir › pdf › anuual › 35j.pdf各カンパニーの戦略 2017年度の業績(旧体制ベース)

’22/3

中の各工場において段階的に投資を進めていきます。各国・

各地域の環境規制、燃費規制の強化もあり、電動車への

シフトと新メーカーの参入が加速している中、当社は、当社

電池の優位性を理解いただいたうえで価値観を共有でき、

リスクをシェアしていただけるトップランナー顧客との関係

を深化させていきたいと考えています。こうした考えのもと、

現時点ではテスラ社、トヨタ自動車(株)をはじめ、12のトップ

ランナー顧客に車載電池を納入しています。これらの実績

を強みに、今後さらに車載電池事業を成長させていきます。

そのために、今後も円筒形・角形ともに開発の手を緩める

ことなく、顧客の要望に応える車載電池へと進化させ、世界

No.1レベルの性能をさらに向上させていきます。

 一方、車載以外の用途での電池販売も拡大していきます。

例えば、信頼性や寿命の面で評価が高い当社の蓄電シス

テムは、データセンターや基地局のバックアップ電源などの

用途でグローバルに採用が進んでおり、中期的にさらなる

拡大を目指します。さらに、バッテリーの遠隔監視やバッ

テリーシェアリングなどの新事業創出にも取り組みます。

インダストリアル事業の中期成長シナリオ

 インダストリアル事業では、社会からの要請が大きい

「省人化」「情報通信インフラ」「車載電装化」の3分野を支える

デバイスにリソースを集中していきます。省人化では、自動化

を支えるサーボモーター、センサーなどの基幹部品のシステム

提案を推進します。情報通信インフラでは、独自材料技術を

強みとした導電性コンデンサーや多層基板材などの圧倒的な

シェアを維持し、高収益を追求します。車載電装化では、EV

リレーなどの強いデバイスを軸としたパワーコントロール

ユニット事業を推進するとともに、インダクターなど顧客から

高い信頼を得ているデバイスの販売拡大に取り組みます。

2030年度に向けて

 当社はICT(情報通信技術)など既存分野の減収を車載・

産業関連での増収が上回り、2017年度にそれまでの減収

基調から増収へ転換することができました。また、単に商品

を販売するのではなく、顧客に密着し、お困り事に対して

商品をシステムとして提案していくことで収益の向上を

実現してきました。

 これからも、業界をリードするトップランナー顧客と

組み、特徴ある独自技術で業界No.1商品を開発するとと

もに、積極的な投資を行うことで成長し続けていきます。

数多くのビジネスチャンスがある中で、当社の特徴や強み

が活かせる領域にフォーカスし、リソースを集中していく

ことで収益を伴った成長を着実に果たしていきます。

 そして、注力する車載・産業分野を基軸にしつつ、新たな

事業領域を創出し、次なる成長を目指します。

売上高成長/営業利益率(%)

採用モデル数

円の大きさ:売上規模• 自動化を支える基幹部品で顧客価値拡大産業デバイス

工場省人化商品力で業界をリード

テスラ社/トヨタ自動車(株)

「サプライヤー」を超え「パートナー」として協業

高い安全性に加え、用途に適した商品展開

当社電池の優位性

新材料開発(円筒形・角形)業界トップのエネルギー密度(ニッケル比率アップ、コバルト比率最適化)

新構造開発(角形)安全性、体積当たり容量向上

さらなる進化

トップランナー顧客との取り引き拡大

顧客との関係深化

• 独自技術を強みに、基地局、データセンター向け拡大多層基板材/導電性コンデンサー

情報通信インフラ

• 強いデバイスを核とした車載向けモジュール拡大車載パワーコントロールユニット

• 顧客に選ばれ続ける高信頼技術インダクター

車載(電動化、自動運転)

(各表示年3月期)’17/3 ’18/3納入実績 受注済 受注推進中

■ トップランナー顧客とのパートナーシップを深化■ 「世界No.1電池」(円筒形、角形)のさらなる進化

■ 社会要請の大きい「省人化」「情報通信インフラ」「車載電装化」に集中し安定成長実現

■ 強いデバイスを基軸とした「モジュール化」「ダントツ高シェア」で高収益追求

エナジー事業(車載電池) インダストリアル事業

日系:6社29モデル米系:2社14モデル欧系:4社15モデル

’19/3

売上高指数(’18/3:100)

営業利益率

出力密度

低低 エネルギー密度 高

’18/3

110 130100

10%

9,841億円5.7%

9,452億円4.4%

68モデル

18

50

74モデル

16

58

角形HV用:高出力PHV用、EV用:高容量

円筒形EV用:高エネルギー

密度

イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

Panasonic Annual Report 2018 46

Page 13: カンパニー概要・事業別戦略 - Panasonic USA › jp › corporate › ir › pdf › anuual › 35j.pdf各カンパニーの戦略 2017年度の業績(旧体制ベース)

アプライアンス社

エコソリューションズ社

コネクティッドソリューションズ社

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社

エアコン

ヘアードライヤー

■ エアコンカンパニー家庭・オフィス・店舗用エアコン、ビル用マルチエアコン、ガスヒートポンプエアコン、吸収式冷凍機、CO2ヒートポンプ給湯機

■ テレビ事業部テレビ

■ イメージングネットワーク事業部デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ

■ ホームエンターテインメント事業部ブルーレイディスク・DVDレコーダー、オーディオ機器、ポータブルテレビ

■ コミュニケーションプロダクツ事業部コードレス電話/FAX、ホームネットワーク、インターカム

各カンパニーの戦略

■ インフォテインメントシステム事業部IVI、コックピット、カーナビゲーションシステム、カーAVシステム、カースピーカー

■ 車載エレクトロニクス事業部車載充電システム、カメラモジュール、バック&コーナーセンサー

■ Ficosa International, S.A.自動車用ミラー、シフターシステム、通信モジュール

■ ライティング事業部照明器具(住宅用、施設用、屋外用、店舗用)、照明用デバイス、ランプ

■ エナジーシステム事業部配線器具、分電盤、電動工具、マンションHA、防災機器、HEMS・BEMS、太陽光発電システム

■ Panasonic Avionics Corporation航空機内エンターテインメント・通信システム、デジタルソリューション&サービス、リペア・メンテナンス

■ プロセスオートメーション事業部チップマウンター、スクリーン印刷機、FPDボンダー、電子部品挿入機、溶接機関連システム、レーザー機器、統合ライン管理システム

照明器具

スマートシティ潮芦屋

サーボモーター

コックピットシステム

航空機内エンターテインメントシステム

統合ライン管理システム

リチウムイオン電池

各事業部の主要な商品・サービス (2018年4月1日時点)

ヘア

リチウムイオン電池

Panasonic Annual Report 201847

Page 14: カンパニー概要・事業別戦略 - Panasonic USA › jp › corporate › ir › pdf › anuual › 35j.pdf各カンパニーの戦略 2017年度の業績(旧体制ベース)

■ 冷蔵庫事業部冷蔵庫、冷凍庫

■ ランドリー・クリーナー事業部洗濯乾燥機、衣類乾燥機、掃除機、温水洗浄便座

■ キッチンアプライアンス事業部IHクッキングヒーター、電子レンジ、炊飯器、ビルトイン調理機器、食器洗い乾燥機

■ ビューティ・リビング事業部美容機器(シェーバー、ヘアードライヤー、オーラルケア商品など)、健康機器(血圧計、体組成計、マッサージ機器など)、調理機器(ホームベーカリー、コーヒーメーカー、ジューサーなど)、アイロン、補聴器、ナノイーデバイス

■ 冷熱空調デバイス事業部空調用コンプレッサー、冷蔵庫用コンプレッサー、真空断熱材

■ スマートエネルギーシステム事業部スマートガスメーター用デバイス、燃料電池

■ コールドチェーン事業部ショーケース、業務用冷凍冷蔵庫、製氷機、飲料用自動販売機、厨房機器

■ Hussmann Corporation業務用冷凍・冷蔵ショーケース

■ エナジーデバイス事業部乾電池、ニッケル水素電池、マイクロ電池

■ エナジーソリューション事業部小型リチウムイオン電池、蓄電モジュール/システム

■ テスラエナジー事業部車載用/蓄電用 円筒形リチウムイオン電池

■ オートモーティブエナジー事業部車載用角形リチウムイオン電池、車載用ニッケル水素電池

■ メカトロニクス事業部リレー、コネクター、スイッチ、車載電源、モーター、FAセンサー

■ パナソニック セミコンダクターソリューションズ(株)IC/LSI、イメージセンサー、化合物半導体、リードフレーム

■ デバイスソリューション事業部導電性コンデンサー、抵抗器、インダクター、慣性センサー

■ 電子材料事業部電子回路基板材料、成形材料、封止材、機能フィルム

■ パナソニック液晶ディスプレイ(株)IPS方式液晶パネル

■ パナソニック エコシステムズ(株)空気質関連機器(換気システム、天井扇、空気清浄機)、環境エンジニアリング(水・空気・土の浄化システム)■ ハウジングシステム事業部システムキッチン、システムバス、タンクレストイレ、内装ドア、床材、宅配ボックス、雨樋、屋根材

■ パナソニック ホームズ(株)低層戸建住宅、多層階住宅、リフォーム、街づくり

■ パナソニック サイクルテック(株)電動アシスト自転車、モーターユニット

■ メディアエンターテインメント事業部プロジェクター、業務用ディスプレイ、音響機器、業務用放送機器

■ モバイルソリューションズ事業部パソコン・タブレット、決済システム、サプライチェーン・ソリューション

■ パナソニック システムソリューションズ ジャパン(株)システムソリューション(公共システム・社会システム・物流/流通など)の開発、システムインテグレーション・施工・運用・保守

■ セキュリティシステム事業部監視用カメラ・レコーダー、映像解析ソリューション、医療・産業用カメラ、警察用モバイルカメラシステム

イントロダクション 成長戦略 成長を支える基盤 当期の成果

Panasonic Annual Report 2018 48