COVID-19 問題と米国経済(part 4) みずほ総合研究所...1...

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1 COVID-19 問題と米国経済 (part 4) 再開する経済活動と雇用・失業対策の見直し 新型コロナウイルスへの感染防止を目的とした全米規模のロックダウンにより、史上最長の景気 拡大を謳歌してきた米国経済に急激かつ強力なブレーキがかかった 米国の労働市場では、大恐慌以来の深刻なショックが広がった。米政策当局は、迅速かつ大規模 な雇用・失業対策を打ち出し、家計の経済的ダメージを抑え込んでいる 4月下旬以降、各州で経済活動が再開し始めると共に、米政策当局者らもこの2カ月で明らかにな った既存対策の問題点を洗い出し、経済再始動に即した修正案を提示している 1.ロックダウンと経済活動への影響 新型コロナウイルスへの感染防止を目的とした全米規模のロックダウンにより、米国の経済活動は34月に かけて大きく悪化した。 313日、トランプ大統領が新型コロナによる国家非常事態宣言を発したのを皮切りに、各州が新型コロナ 感染拡大防止措置を取り始めた。16日にサンフランシスコ市長が“Shelter-in-stay order”を公布、19日にはカリ フォルニア州知事が“Stay-at-home order”を公布すると、その後、各州に厳しい移動規制(ロックダウン)が広 がった。 Googleが公表しているコミュニティ・モビリティ・レポートから、「自宅にいる時間」と「職場にいる時間」の推移 をみると、ロックダウンが3月下旬にかけて急速に広がっていった様子や、厳しい移動規制が4月中旬まで続い たことがわかる(図表1)。202016日から26日までの平均値(基準値)と比べると、「自宅にいる時間」は3 12日から20日にかけて急増し、49日に基準対比22%増のピークをつけた。一方、「職場にいる時間」は、 3月上旬ごろから緩やかに減り始め、312日から25日にかけて急減した。410日には基準対比56%減のボ トムをつけている。 ロックダウンは、史上最長の景気拡大を謳歌してきた米国経済に、急激かつ強力なブレーキをかけた。13 月期の実質GDP成長率は前期比年率▲5.0%(暫定値ベース)と、20081012月期以来の大幅な悪化とな った。需要項目別にみると(以下全て実質ベース)、個人消費が同▲6.8%、設備投資が同▲7.9%と大きく減 少したほか、海外でも経済活動が停止したことを受け、輸出・輸入がそれぞれ同▲8.7%、同▲15.5%と著しい 悪化をみせた。需要項目の中でプラスの伸びを維持したのは、低金利の影響を受けて急拡大を続けた住宅 投資(同+18.5%)と、政府支出(同+0.8%)のみである。 GDP統計を供給サイドから眺めると、移動規制がもたらした経済活動への影響をより明確に把握できる。 みずほ総合研究所 欧米調査部 03-3591-1433 2020 6 4 みずほインサイト

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COVID-19問題と米国経済(part 4) 再開する経済活動と雇用・失業対策の見直し

○ 新型コロナウイルスへの感染防止を目的とした全米規模のロックダウンにより、史上最長の景気

拡大を謳歌してきた米国経済に急激かつ強力なブレーキがかかった

○ 米国の労働市場では、大恐慌以来の深刻なショックが広がった。米政策当局は、迅速かつ大規模

な雇用・失業対策を打ち出し、家計の経済的ダメージを抑え込んでいる

○ 4月下旬以降、各州で経済活動が再開し始めると共に、米政策当局者らもこの2カ月で明らかにな

った既存対策の問題点を洗い出し、経済再始動に即した修正案を提示している

1.ロックダウンと経済活動への影響

新型コロナウイルスへの感染防止を目的とした全米規模のロックダウンにより、米国の経済活動は3・4月に

かけて大きく悪化した。

3月13日、トランプ大統領が新型コロナによる国家非常事態宣言を発したのを皮切りに、各州が新型コロナ

感染拡大防止措置を取り始めた。16日にサンフランシスコ市長が“Shelter-in-stay order”を公布、19日にはカリ

フォルニア州知事が“Stay-at-home order”を公布すると、その後、各州に厳しい移動規制(ロックダウン)が広

がった。

Googleが公表しているコミュニティ・モビリティ・レポートから、「自宅にいる時間」と「職場にいる時間」の推移

をみると、ロックダウンが3月下旬にかけて急速に広がっていった様子や、厳しい移動規制が4月中旬まで続い

たことがわかる(図表1)。2020年1月6日から2月6日までの平均値(基準値)と比べると、「自宅にいる時間」は3

月12日から20日にかけて急増し、4月9日に基準対比22%増のピークをつけた。一方、「職場にいる時間」は、

3月上旬ごろから緩やかに減り始め、3月12日から25日にかけて急減した。4月10日には基準対比56%減のボ

トムをつけている。

ロックダウンは、史上最長の景気拡大を謳歌してきた米国経済に、急激かつ強力なブレーキをかけた。1~3

月期の実質GDP成長率は前期比年率▲5.0%(暫定値ベース)と、2008年10~12月期以来の大幅な悪化とな

った。需要項目別にみると(以下全て実質ベース)、個人消費が同▲6.8%、設備投資が同▲7.9%と大きく減

少したほか、海外でも経済活動が停止したことを受け、輸出・輸入がそれぞれ同▲8.7%、同▲15.5%と著しい

悪化をみせた。需要項目の中でプラスの伸びを維持したのは、低金利の影響を受けて急拡大を続けた住宅

投資(同+18.5%)と、政府支出(同+0.8%)のみである。

GDP統計を供給サイドから眺めると、移動規制がもたらした経済活動への影響をより明確に把握できる。

みずほ総合研究所

欧米調査部

03-3591-1433

米 州 2020 年 6 月 4 日

みずほインサイト

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GDPをその生産物の種類によって、耐久財生産、非耐久財生産、サービス生産、構築物生産に分けてみると、

サービスと耐久財の生産悪化が顕著で、実質GDP成長率をそれぞれ4.6%Pt、1.2%Pt押し下げた(図表2)。

特にサービスでは、国内の外出抑制に加え、出入国にかかる渡航制限の影響が表れている(サービスは生

産=最終需要である)。個人消費の医療サービス、交通サービス、宿泊・余暇サービスが軒並み2桁の減少率

(前期比年率ベース)となった。貿易面では、サービス輸出が同▲21.5%、サービス輸入が同▲29.9%と大きく

減少した。輸出入ともに、渡航制限の影響を受けた旅行サービスや輸送サービスの悪化が顕著であった。

BlueChipコンセンサス(2020年5月)によれば、4~6月期の成長率も前期比年率▲32.1%と、一段の悪化が

見込まれている。4月の経済指標は3月に比べて軒並み悪化した。4月の個人消費は、一般市民に対する外出

禁止令や、小売店等に対する営業禁止令などの制限措置の拡大を背景に、前月比▲13.2%(3月同▲6.7%)

と過去最大の減少幅を記録した。耐久財消費が同▲16.7%(3月同▲11.8%)、サービス消費が同▲12.0%(3

月同▲9.3%)と3月よりも減少幅が拡大した。中でも、移動規制の影響を受けた公共交通サービス(4月同▲

80.2%)、多くの地域で営業禁止の対象となった娯楽サービス(4月同▲42.97%)や外食・宿泊サービス業(4

月同▲34.4%)に最も影響が大きく表れた形である。また、3月に食品、日用品等の買いだめによって押し上

げられた非耐久財消費も、4月は同▲15.5%(3月同+5.0%)と大幅な減少に転じた。

低金利の追い風を受けてきた住宅市場にも、移動規制の影響が現れている。4月の住宅着工件数は、前月

比▲30.2%(3月同▲18.6%)と減少幅が拡大した。住宅販売件数は、中古物件が4月同▲17.8%(3月同▲

8.5%)と大幅減が続いた。新築物件は3月に同▲13.7%と大幅に減少した後、横ばいで推移した。ベージュブ

ック(5/27)によれば、不動産会社が内見等の営業活動に制限を受けたほか、移動規制によって売却主の引っ

越しが予定通りに進まず、物件が用意できなかったといった事例が報告されている。

企業の生産・投資活動も4月は大幅に悪化した。業種別(NAICS4桁ベース)の生産動向をみると、天然ガス

供給を除くすべての業種が減産となっており、最も悪化しているのは自動車・関連部品(同▲71.7%)である。

3月18日以降、主要各社は感染拡大防止のために操業を停止しており1、4月の米国内乗用車・トラック生産台

数は2019年の月平均89万台に対してわずか1,118台に留まった(Automotive News)。

設備投資では、機械投資の動きを表すコア資本財出荷額と新規受注額が4月に入って大きく悪化した(そ

れぞれ前月比▲5.7%、同▲6.1%)。米国商務省は、ロックダウンの影響によって企業の回答率が低下したこ

とを指摘している。公表されている数値が、ロックダウンの影響を受けにくい一部企業の動向のみを反映して

いることが示唆され、実際の落ち込みはより深刻であるとみられる。

2.大規模雇用・失業対策と労働市場の現状

米国の労働市場では、大恐慌以来の深刻なショックが広がった。米政策当局は、迅速かつ大規模な雇用・

失業対策を打ち出し、家計の経済的ダメージを抑え込んでいる。

雇用の柔軟性に関する米国労働省の調査(Job Flexibilities and Work Schedules、2019/9/24)によれば、

2017-2018年に「テレワークが可能」と回答した労働者(除く自営業者)は、民間部門で29.3%、政府部門で

26.3%に留まった。産業別にみると、金融業(57.4%)や情報サービス業(53.3%)ではテレワーク体制が整っ

ている一方、対面サービスが不可欠な余暇・宿泊サービス業(8.8%)や輸送・公益業(14.0%)、卸・小売業

(16.5%)ではテレワークがほとんど不可能であることが示されている(図表3)。

この調査結果は、ロックダウンがもたらす影響の度合いが、産業によって大きく異なり得ることを示している。

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そこで、この調査結果と、「Stay-at-home order」を発した州の産業別従業者数を用いて、自宅待機を命じられ

た場合に仕事ができず、レイオフリスクに晒され得る就業者数を試算すると、4月上旬には1億人を超えたとみ

られる(図表4)。

深刻な雇用調整圧力を懸念した米政策当局は、迅速かつ大規模な雇用・失業対策に乗り出した。「コロナ

ウイルス支援・救済・経済保障法」(CARES法、3/27成立)に盛り込まれたPaycheck Protection Program(PPP)

と失業給付制度の拡充である(図表5)。

PPPでは、従業員数500人以下の中小企業(自営業者やフリーランスを含む)を主な対象として、人件費の

2.5カ月分に相当する資金を、政府保証付きローンとして供与する。PPPローンの最大の特徴は、①借入後の8

週間のうちに、借入金の75%以上を人件費として支出すること(残りは光熱費、交通費、通信費、事業所の家

賃、リース代、モーゲージの利払いに充当すること)、②6月末までに雇用水準をコロナ以前(2/15)の水準に

復元すること、という条件を満たせば、ローン返済が条件の達成度に比例して免除される点である2。

PPPの事業規模は当初3,490億ドルと巨額であったにもかかわらず申請が殺到し、わずか2週間で枯渇した。

そのため4月下旬には第2弾として3,100億ドルの資金が追加された(Paycheck Protection Program and Health

Care Enhancement Act、4/24成立)。

雇用統計を使って8週間分の従業員1人当たり人件費を算出し、PPPの総事業規模6,590億ドルを割ると、

およそ7,000万人相当の雇用が保障される計算になる3。PPPが認める人件費には、賃金のほか付加給付等も

含まれるため、実際の雇用保障対象は7,000万人よりも小さくなる。例えば個人所得統計上の報酬に占める付

加給付の割合(2割弱)を用いて算出すれば、5,600万人となる。しかしそれでも、従業員数500人未満の企業に

勤める労働者6,500万人(ただし2019年1~3月期、米国労働省4)の86%をPPPが支え得る。

一方、PPPがフル活用されても、自宅待機によってレイオフリスクに晒される1億人超の労働者のうち、数千

万人という単位で失業が発生することになる。こうした大規模失業への備えとなったのが、CARES法による失

業給付拡充策である。これにより、就業状態にあるのとほぼ変わらない生活水準が失業者に保障されることに

なった。

失業給付制度拡充策は3本柱から構成されている。

① 自営業者やフリーランス、時短勤務を余儀なくされた労働者(部分的失業者)や、新型コロナの感染な

どで勤務につけなかった労働者等、従来の給付対象ではない労働者に対する新たな失業給付制度

(Pandemic Unemployment Assistance、PUA)

② 1週間当たり600ドルの追加給付制度(Federal Pandemic Unemployment Compensation、FPUC)

③ 通常の給付期間が切れた失業者に対する最大13週間の延長給付制度(Pandemic Emergency

Unemployment Compensation、PEUC)

注目したいのは②FPUCである。みずほ総合研究所の試算によれば、FPUCによる追加給付と通常の失業

給付と合わせると、平均的な労働者の週当たり賃金とほぼ同水準となる5,6,7。米国では、「失業給付を最大限

受給した場合、全米で63%の失業者が、働く場合の賃金よりも多い失業給付が得られる」との報告もある8。

雇用統計では、実際に、かつてない雇用調整圧力が発生したことが確認された。

非農業部門雇用者数は、3・4月の2カ月で2,142万人減少した(図表6)。業種別にみると、予想された通り、

余暇・宿泊サービス業が深刻な影響を受けている。雇用減少数は815万人にのぼり、2月時点で余暇・宿泊サ

ービス業に従事していた従業員数のほぼ半数に相当する大きさである(同産業の4月失業率は39.3%)。「雇

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用崩壊」とでも言うべき状況は、全米各地の余暇・宿泊サービス業に共通している。2月対比で最も雇用減少

率が小さいオレゴン州でさえ33%(2月対比)の減少であり、最も減少率が大きいニューヨーク州では66%(同)

もの減少となった。

このほか、教育・医療サービス、専門・企業サービス、小売業、製造業、その他サービス業、建設業では、2

月対比でそれぞれ100万人を超す雇用減少が生じている。

一方、失業者数は2月と比べて1,729万人増加し、4月の失業率は14.7%に急上昇した。失業率には表れな

い雇用情勢の劇的変化もある。2月以降、「働きたくない」として労働市場から退出した労働者が824万人増え

ている。非労働力化は、失業率の上昇をその分だけ抑制する。「働きたくない」という背景に、感染防止がある

ことは想像に難くない。加えて、解雇されてはいないが、自宅待機でテレワークもしていない「労働時間ゼロ」

の就業者が815万人増え、「需要減による労働時間の短縮」を強いられた就業者も696万人増えた。

こうした労働者をすべて失業者として計上すれば、全失業者数は4,064万人、失業率は28%に達する(図表

7)。1930年代前半の大恐慌時の失業率が最大25.6%(1933年5月)だったことを踏まえると、現下の労働市場

には当時に匹敵するショックが生じているとすら言える。

3.経済活動の再開と政策課題

4月下旬以降、各州で経済活動がゆっくりと動き始め、政策当局者らも次の一手を検討し始めている。特に

雇用・失業対策では、パンデミック初期には適切と思われた制度が、経済活動再開という新たな局面に適応

せず、むしろ再開の阻害要因になっていることが指摘されている。

小売店舗に対する顧客収容上限規制(多くの州では食品・燃料・薬・衛生用品・自動車部品等を除く)を基

準とすると、最初に規制緩和に動いたのはミシシッピ州(4/17)スカロライナ州(4/20)、テキサス州(4/24)など南

部共和党の知事を擁する州であった。しかし5月下旬までには、もともと上限規制が緩い6州(アーカンソー州、

ネブラスカ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ユタ州、ワイオミング州)と、規制緩和に慎重なニュージャージ

ー州を除くすべての州が、上限規制を緩め始めている。みずほ総合研究所の試算によれば、全米の小売店

舗の顧客収容可能率は足元で4割程度まで回復している。外食店舗に関しても、同様の推移が確認できる

(図表8)。

しかし、規制緩和を行っても、客足がそれに比例して戻るわけではない。Googleのコミュニティ・モビリティ・

レポートによれば、もともと規制が緩い食料品店やドラッグストアでの人々の滞在時間は、5月には年初の水準

を小幅下回る程度で推移するようになった。通常の小売・余暇施設での滞在時間も、徐々に回復している。し

かしそれでも、後者の滞在時間は、祝日のメモリアルデー(5/25)ですら年初の基準対比28%減と低い水準に

留まる(図表9)。

売上も落ち込んだままだ。Johnson Redbookによれば、5月30日週の小売売上高は前年比7.2%減であった。

本指標を含む、各種セクターの週次指標を合成したニューヨーク連銀のウィークリー・エコノミック・インデックス

(WEI)は、5月30日週時点で▲10.79%であり、4月中旬以降、ほとんど横ばいである(図表10)。WEIは、「その

水準が1四半期続いた場合の、当該四半期の実質GDP成長率(前年比)を指す」ように設計されている。つま

り足元の米国経済は、前年比10%減という厳しい落ち込みからほとんど回復していない。労働市場でも、失業

者が増え続けている。失業給付の継続受給件数は5月16日週で2,105万人である。この数字に含まれない

PUAなど他の全ての失業給付受給者を合わせると、足元では3,000万人を超えているとみられる9。

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景気回復の足取りが鈍い中で、政策当局者の間では次の一手に関する検討が進んでいる。上述した雇

用・失業対策に関しては、①対策の使い勝手の向上、②対策の息切れによる「雇用の崖」の回避、③雇用イン

センティブ、という3つの論点がある。このほか本稿では詳しく触れないが、党派によって支持が大きく異なる次

の一手として、州・地方政府への追加支援(民主党が支持)や、企業に対する新型コロナ責任の免除

(Coronavirus liability shieldなどと呼ばれる。共和党が支持)などもある。

雇用・失業対策の論点の1つめである「使い勝手の向上」は、PPPに対する中小企業からの要請である。

PPPローンは5月末時点で448万社に対して5,102億ドルが供与され、1,500億ドルが余っている。資金が余って

いる理由の1つが、使い勝手の悪さである。

PPPでは、ローン返済免除の恩恵を受ける条件として、「借入後の8週間のうちに、借入金の75%以上を人

件費として支出すること」とされているが、業種によっては期間内に従業員を呼び戻すことができず、使途条件

を満たそうにも満たせない場合があるといわれる。後述する「雇用回復に対するインセンティブ」と関連するが、

ベージュブック(5/27)では、「拡大された失業給付制度が雇用復元の障害になっている」と報告されている。そ

のうちフィラデルフィア連銀によれば、調査した企業の1割程度しか一時帰休の労働者を呼び戻せていない。

新規従業員を雇用もしくは既存従業員を再雇用した企業の29%が「寛大な失業給付」を雇用呼び戻しの障害

として挙げている。これは「従業員の感染の恐れ」(33%)に次ぐ多さである10。

こうした実態を踏まえ、米国議会の上下両院では、PPPローンで得た資金の支出期間の延長や、資金使途

の緩和を盛り込んだ法案が提出されている(下院案=“Paycheck Protection Program Flexibility Act of 2020,”

H.R.7010、上院案=“Paycheck Protection Program Extension Act,” S.3833)11。

第2の論点である「「雇用の崖」の回避」は、PPPと失業給付制度の両方に関係している12。PPPでは、ローン

返済免除の恩恵を受けるもう一つの条件として「6月末までに雇用水準を基準日(2/15)の水準に復元すること」

というものがある。見方を変えれば、PPPの被支援企業は、7月以降であれば必要に応じて雇用削減ができる。

一方、FPUCによる追加給付も、7月末で終了する。FPUCの終了は、8月以降、失業者を抱える家計の生活

水準が大きく悪化することを意味する。(FPUCは、失業者にとって、あたかも就業状態が続いているかのような

高水準の所得保障を提供するものであり、その点においてFPUC失効を「雇用の崖」と呼ぶことができよう。)

PPPとFPUCのいずれも、経済活動の回復が不十分な中で失効を許せば、「雇用の崖」を通じて景気回復を

一段と遅らせてしまう恐れがある。PPP見直し法案では、「6月末」という雇用復元の期限を、「12月末」(下院案)

もしくは、「借入から16週間後」(上院案)とする修正が提案されている。失業給付制度に関しては、リード上院

議員(民主党)が一段の拡充策(“Strengthening Unemployment Insurance for Coronavirus Impacted Workers

and Students Act,” S.3619)を提出している。FPUCについては、実質的に2021年6月30日まで給付を延長す

る措置が盛り込まれている13。FPUCの給付を2021年1月1日までとした上で、同日時点で通常の失業給付を得

る資格を有する失業者に対しては、2021年6月30日までFPUCによる追加給付を継続するものである。

第3の論点である「雇用インセンティブ」は、失業給付制度の見直し論で指摘されるものである。寛大な失業

給付には、労働者が職場復帰する妨げになるという問題がある。また逆に、失業給付の「網の目」が大きいと、

ディスカレジッドワーカーなど非労働力化が進んでしまう。

上記のリード上院議員案(S.3619)では、ワークシェアリングに対する所得補填の拡充策と、大学等の新卒

者など就業経験の少ない新規労働市場参入者への給付拡大策が盛り込まれている。米国の失業給付には

“Short-Time Compensation(STC)”プログラムと呼ばれるものがあり、州の定めるプログラムに従って企業がワ

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ークシェアリング(時短勤務)を行い、従業員の解雇を回避する場合、当該従業員に対して失われた労働時間

に比例したSTCの給付が行われている 14。リード上院議員案ではこれを拡充し、STCに加えて週600ドルの

“Federal Pandemic Short-time Compensation”を給付するとしている。またリード上院議員案では、前掲PUAの

対象者に新規労働市場参入者を加え、週300ドルを給付する仕組みが提案されている。大学等の新卒者が、

就職が展望できず、ディスカレジッドワーカーになってしまうことを回避する措置である。

一方、共和党サイドでは、失業給付制度の拡充という民主党のアプローチとは異なり、失業給付制度のこれ

以上の拡充は行わずに雇用インセンティブを強化することに力点を置いている。例えばポートマン上院議員

は、再就職を果たした失業者に対して週450ドルの「return-to-work bonus」を給付するという提案を行っている

(給付期間はFPUCの給付と同じ7月31日まで)15。ポートマン議員は、時給7.25ドルの連邦最低賃金水準で働

かざるを得ない低賃金労働者を念頭に、「再就職して週290ドルの賃金と週450ドルのボーナスをもらう方が、

失業しているよりも所得が増える」と述べ、失業者の再就職促進を強調している。

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図表1 市民の自宅滞在時間・職場滞在時間

(注)ベースライン=2020年1月6日から2月6日までの5週間平均を指す。週末と祝日のデータは前後日の

データを用いて補間。

(資料)Googleより、みずほ総合研究所作成

図表2 供給側からみた実質GDP成長率

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

▲60

▲50

▲40

▲30

▲20

▲10

0

10

20

30

2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 (月/日)

(ベースライン対比、%)

自宅にいる時間

職場にいる時間

(前期比年率、%)

2020年

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1

3.1 2.0 2.1 2.1 ▲ 5.0

財 2.1 0.6 1.2 0.5 ▲ 1.1

耐久財 0.2 0.8 0.5 ▲ 0.2 ▲ 1.2

非耐久財 1.9 ▲ 0.2 0.7 0.7 0.1

サービス 0.7 1.7 1.1 1.5 ▲ 4.6

構築物 0.3 ▲ 0.3 ▲ 0.2 0.1 0.7

2019年

実質GDP成長率

寄与度

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図表3 テレワークが可能な労働者

(注)業種別の数値は、各産業において「テレワークが可能」と答えた労働者の割合を指す。

なお、鉱業・採掘業については有効な回答数を得られなかったため、非公表。

(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成

図表4 レイオフリスクに直面する就業者数

(注)算出方法については、本文を参照のこと。

(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成

全体 28.8

民間 29.3

政府 26.3

農業 11.1

鉱業・採掘業 #N/A

建設業 17.2

製造業 30.3

卸売・小売業 16.5

運輸・公益業 14.0

情報サービス業 53.3

金融 57.4

専門・企業サービス業 53.4

教育・医療 25.9

余暇・宿泊 8.8

その他サービス業 27.7

行政サービス 29.8

テレワークが可能な労働者の割合(%、2017~18年)

0

20

40

60

80

100

120

3/15 3/22 3/29 4/5

(百万人)

(月/日)

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図表5 PPP(Paycheck Protection Program)と失業給付制度

(資料)米国議会資料、米国財務省、米国労働省より、みずほ総合研究所作成

図表6 非農業部門雇用者数(2020年4月)

(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成

・ 以下の条件達成度に比例して、債務を免除

①借入後8週間内に、借入金の75%以上を人件費として支出する(残りの25%:光熱費、家賃、通信費、モーゲージの利払い等に充填)

②6月末までに雇用水準を新型コロナ拡大以前の水準(2/15)に復元させる

・ 事業規模

第1弾(CARES法):3,490億ドル

第2弾(4/24PPP拡張法):3,100億ドル

PPP(Paycheck Protection Program)

従業員数500人以下の中小企業(自営業者、フリーランスを含む)を対象に、政府保証付きローンを供与

・ PUA(Pandemic Unemployment Assistance)

給付対象を拡大(従来では対象外の自営業者やフリーランス、時短勤務者、新型コロナの感染による失業者等も受給可能に)

・ FPUC(Federal Pandimic Unemployment Compensation)

週当たり600ドルを追加で給付

・ PEUC(Pandemic Emergency Unemployment Compensation)

通常の給付期間失効者(13週間)に対し給付期間を延長(+13週)

失業給付拡大

(前月差、万人) 3月 4月 3月以降累計

非農業部門雇用者数 ▲ 88 ▲ 2,054 ▲ 2,142

財 ▲ 7 ▲ 236 ▲ 243

サービス ▲ 78 ▲ 1,720 ▲ 1,798

政府 ▲ 3 ▲ 98 ▲ 101

余暇・娯楽サービス ▲ 50 ▲ 765 ▲ 815

教育・医療 ▲ 10 ▲ 254 ▲ 265

専門・企業サービス業 ▲ 8 ▲ 217 ▲ 225

小売業 ▲ 4 ▲ 211 ▲ 215

製造業 ▲ 3 ▲ 133 ▲ 136

その他サービス業 ▲ 4 ▲ 127 ▲ 131

建設業 ▲ 3 ▲ 98 ▲ 101

運輸・倉庫業 ▲ 1 ▲ 58 ▲ 59

卸売業 ▲ 0 ▲ 36 ▲ 37

金融業 ▲ 0 ▲ 26 ▲ 27

情報サービス ▲ 0 ▲ 25 ▲ 26

鉱業・採掘業 ▲ 1 ▲ 5 ▲ 6

公益業 0 ▲ 0 ▲ 0

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図表7 実勢ベースでみた失業率(2020年4月)

(注)各要因の寄与度は、2月対比でみた変化を、2月時点の労働力人口で除して算出。

(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成

図表8 小売・外食店舗の顧客収容上限規制

(注)各州発表において収容上限に言及がない場合は、便宜的に収容上限を50%として設定。また、店舗

外受取に制限される場合は、便宜的に収容上限を10%に設定。

(資料)各州公表資料より、みずほ総合研究所作成

0

5

10

15

20

25

30

公表値 失業増による

変化分

労働時間

ゼロ

非労働力化 時短労働 実勢ベースの失業率

(%)

14.7% 14.0%

4.7%

5.1%

4.2%

28.0%

2月対比でみた失業者

の増加による変化分

新型コロナが理由とみられる「その他の理由に

よって労働時間がゼロ」となった就業者の増加

(感染防止のために「働きたくない」と

して)非労働力化した労働者の増加

需要減を受けた時短労働者の増加

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

3/1 3/8 3/15 3/22 3/29 4/5 4/12 4/19 4/26 5/3 5/10 5/17 5/24 5/31

小売店

外食店

(規制なし=100)

(月/日)

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図表9 市民の食料品店・ドラッグストア滞在時間

(注)ベースライン=2020年1月6日から2月6日までの5週間平均を指す。

(資料)Googleより、みずほ総合研究所作成

図表10 Weekly Economic Index

(注)高頻度の10指標を合成して算出。合成指標は次の通り。レッドブック週次小売業売上

高、新規失業保険申請件数、失業保険継続受給件数、American Staffing Association

Staffing Index、ラスムセン消費者指数、国内粗鋼生産量、電力生成量、最終消費

者向け燃料販売量、鉄道輸送量、連邦政府源泉徴収額。

(資料)NY連銀より、みずほ総合研究所作成

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

02/15 02/29 03/14 03/28 04/11 04/25 05/09 05/23

(%、ベースライン対比)

(月/日)

▲ 12

▲ 10

▲ 8

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

12/21 01/11 02/01 02/22 03/14 04/04 04/25 05/16

(実質GDP成長率換算(前年比)、%)

(月/日)

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1 FCA、GM、Hyundai が 18 日に操業を停止。以降、主要各社も続けて操業を停止した。5 月入り以降は、各社が段階的な操業

再開を進めている。 2 CARES 法では、雇用対策として、航空サービス産業及び「安全保障上重要な産業」を対象とした人件費支援策も打ち出されて

いる。Payroll Support Program(PSP)と呼ばれる制度で、事業規模は 320 億ドル(航空旅客サービス産業に 250 億ドル、航

空貨物サービス産業に 40 億ドル、関連契約業者に 30 億ドル)である。1 社あたりの支援額が 1 億ドルを超える企業に対しては、

補助金と無担保ローンが 7:3 の比率で供与される。被支援企業はローンの1割にあたるワラント(新株引受権)を、担保替わり

として米国財務省に付与することとされている。さらに被支援企業は、支援を受ける条件として、①2020 年 9 月末まで一時帰休

やレイオフ、あるいは従業員の合意がない賃金・付加給付の削減が禁止され、②2021 年 9 月末までは自社株買いと配当が禁止さ

れる。さらに③2022 年 3 月 24 日までは、経営陣の報酬について引き上げの凍結や過度な退職手当が禁じられる。 3 PPP によって維持される雇用者数(再雇用者数)は、次の通り算出した。PPP による再雇用者=PPP 事業規模 6,590 億ドル÷

(平均時給 28 ドル×週平均労働時間 34.4 時間×8 週間)×2÷2.5=6,958 万人。時給と労働時間は 2019 年平均。 4 Department of Labor, Quarterly Data Series on Business Employment Dynamics 5 2019 年時点の週当たり平均収入は 963 ドル(=平均時給 28 ドル×週平均労働時間 34.4 時間)であったのに対し、CARES 法

による失業保険給付額は 890 ドル(=平均失業給付 290 ドル+CARES 法による追加給付 600 ドル)となり、失業前の所得の 9割超を保障する大きさである。 6 米国労働省によれば、全米 50 州+DC において FPUC による追加給付の支給が開始されたのは 4 月 29 日。CARES 法成立か

ら 1 カ月以上の遅れとなった。Department of Labor(2020)“U.S. Department of Labor Announces that all 50 States and the District of Columbia Are Paying Federal Pandemic Unemployment Compensation Benefits,”News Release, April 29. 7 米国商務省の個人所得統計では、FPUC として 4 月 110 億ドル(年率 1,320 億ドル)が給付された形となっている。失業保険

申請件数の実績と比較すると小さい金額であるが、担当者によれば、プログラム開始の遅れ(注 6 参照)と、失業給付の申請か

ら実際の給付までのラグ(米国商務省は 2 週間と想定して推計)が原因であり、特に後者の影響が大きいという。米国財務省や

米国労働省からの情報が揃っていけば、FPUC を含む失業給付拡充策の実績値は大幅に修正される公算が大きいようだ。 8 Soto, Isabel(2020)“State Unemployment Benefits and Returning to Work,”Research, American Action Forum, May 13. 9 すべての失業給付継続受給者数は、すでに 5 月 7 日時点で 3,096 万人であった。 10 直近調査(5/24 週)によれば、17%の企業が新規従業員を離職者の穴埋めとして採用、13%が一時帰休中の従業員を呼び戻し

た。これらの企業が従業員の呼び戻しの障害として多く指摘しているのが、「感染の恐れ」(46%)、「子供を預けられないこと」

(39%)、「拡充された失業給付」(23%)である。Federal Reserve Bank of Philadelphia(2020)“Special Weekly Business Outlook Survey on the COVID-19 Outbreak,”May 28. 11 6 月 2 日時点で、上下両院それぞれで PPP 拡張案が提案されている。両案ともに追加予算は設けておらず、制度の柔軟性を高

めることを目的とした内容となっている。下院案(H.R.7010、5/28 下院通過)では、使途要件である人件費の割合が 75%から

60%に緩和され、支出期間が 24 週間(ローン組成から 24 週間。ただし 2020 年末が期限)に延長される。上院案(S.3833)で

は、PPP ローンの使途要件として、新たに保健福祉省や CDC が提示するガイドラインへの対応費用(換気設備、フェイスシー

ルドの設置等)が加えられている。また、PPP ローンの支出期間が 16 週間に延長されている。 12 同じことは航空サービス産業向け支援である PSP(注 2 参照)にも言える。被支援企業は、2020 年 10 月以降であれば一時帰

休やレイオフを実施できる。米国財務省によれば、PSP では、244 社の航空旅客サービス企業、19 社の航空貨物サービス企業、

43 社の関連契約企業が支援を受けた(5 月 22 日時点)。 13 S.3619 では、FPUC の遡及給付も盛り込まれている。FPUC による追加給付の支給開始日は、当該制度に関する「連邦政府

と州政府との協定締結日」とされているが(注 6 参照)、法案では 3 月 13 日の大統領による国家非常事態宣言日に変更し、その

日に遡って追加給付を行う。 14 米国労働省によれば、27 州が連邦政府の認める STC プログラムを有しており、26 州が稼働中である。 15 WSJ(2020)“GOP Considers Back-to-Work Bonuses,”May 24.

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[共同執筆者]

欧米調査部主席エコノミスト 小野 亮 [email protected] ニューヨーク事務所長 中村正嗣 [email protected] ニューヨーク事務所主任エコノミスト 松本 惇 [email protected] 欧米調査部エコノミスト 田村優衣 [email protected]