神経科学研究ハンドブック - Thermo Fisher Scientific...2...

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サーモフィッシャーサイエンティフィックは、神経科学研究用の幅広い技術基盤を形成する試薬や解析技術を提供します。生物医学研究を世界レベルで牽引する蛍光試薬の Invitrogen™ Molecular Probes™ 製品、高品質の細胞培養製品の Gibco™ ブランド、分子生物学の黎明期からその進展に大きく寄与した Invitrogen™ 製品の数々。サーモフィッシャーサイエンティフィックは、基礎研究から治療開発研究までさまざまな神経科学研究のアプリケーションをサポートします。

Culture

Characterization

Modification

Detect - Indicators

Detect - Morphology

Detect - Cell Health

Analyze Instruments

目次Culture & Characterization ....................................................................... 3培地 .......................................................................................................... 3サプリメント ............................................................................................... 3品質の評価 ................................................................................................ 5

Modification ................................................................................................. 6遺伝子導入 ................................................................................................ 6

Detection - Morphology ............................................................................ 7トレーサー .................................................................................................. 7細胞骨格・オルガネラの染色 ........................................................................ 9褪色防止封入剤 ........................................................................................ 11

Detection - Indicator ................................................................................ 12イオンインジケーター ............................................................................... 12膜電位インジケーター .............................................................................. 14

Detection - Cell Health ............................................................................ 15細胞生存率 .............................................................................................. 15アポトーシス ............................................................................................. 15酸化ストレス ............................................................................................. 17細胞増殖・分裂(神経新生) ........................................................................ 17

Analysis....................................................................................................... 19蛍光顕微鏡 .............................................................................................. 19細胞イメージアナライザー ........................................................................ 19フローサイトメーター ................................................................................ 20セルカウンター ......................................................................................... 20

Culture

Characterization

Modification

Detect - Indicators

Detect - Morphology

Detect - Cell Health

Analyze Instruments

Culture

Characterization

Modification

Detect - Indicators

Detect - Morphology

Detect - Cell Health

Analyze Instruments

Culture

Characterization

Modification

Detect - Indicators

Detect - Morphology

Detect - Cell Health

Analyze Instruments

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■ 神経細胞用培地およびサプリメントB-27 Plus Neuronal Culture SystemGibco™ B-27™ Plus Neuronal Culture System(A3653401)は、げっ歯類の初代神経細胞の培養およびヒト多能性幹細胞から神経幹細胞の誘導、ならびにニューロンへの分化および維持培養のためのサプリメントを含みます。Gibco™ B-27™ Plus Supplement(A3582801)と Gibco™ Neurobasal™ Plus Medium(A3582901)で構成されています。

より優れた長期培養を実現B-27 Plus Supplement を含むこのシステムは、従来の Invitrogen™ B-27™ Supplement よりも生存率が高い神経細胞の培養が行えます。

Culture & Characterization

初代神経細胞の培養製品名(製品番号) 説明Neurobasal Plus Medium (A3582901)

Gibco™ Neurobasal™ Medium の次世代製品です。B-27 Plus Supplementと一緒に使用した場合、げっ歯類初代神経細胞およびヒト幹細胞由来の神経細胞の培養において高い生存率が期待できる基礎培地です。

Neurobasal-A Medium (10888-022)

生後および成体脳の神経細胞の長期的な維持と成熟のために設計された基礎培地です。B-27 Supplement と共に使用します(アストロサイトフィーダー層不要)。

B-27 Plus Supplement(50X)(A3582801)

B-27 Supplement の次世代製品です。Neurobasal Plus Medium と併用すると、げっ歯類初代神経細胞およびヒト幹細胞由来の神経細胞において高い生存率が期待できる無血清サプリメントです。

図1. B-27 Plus システムでマウス皮質由来神経細胞の生存率および成熟が改善凍結保存した細胞を 60,000 cells/cm2 の密度で播種し、従来のB-27 Supplement 添加 Neurobasal 培地(A および C)またはB-27 Plus 神経細胞培養システム(B-27 Plus Supplement 添加 Neurobasal Plus Medium; B および D)で培養。神経細胞数は、ハイコンテントスクリーニングシステムで自動画像取得後、定量(E,n=4)。神経細胞は、神経細胞樹状突起マーカーMAP2(緑色)と神経細胞体マーカー HuC/D(赤色)で染色し、DAPI(青色)で核を対比染色。

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B-27 B-27 Plus

Neu

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Mouse cortical neurons: cell viability at 3 weeks

A

B-27

MAP2 HuC/D DAPI MAP2 HuC/D DAPI

B-27 Plus

B E

C D

培地、培地添加物 & 神経細胞培養用関連製品Gibco™ 培地および培地添加物は、神経細胞培養において最も広く使用されている製品です。高い品質、一貫性およびパフォーマンスを提供し、信頼できる結果の入手を可能とします。サーモフィッシャーサイエンティフィックは神経細胞、グリア細胞および神経幹細胞の完全な培養システムを構築する数々の製品群を提供し、神経科学研究をサポートします。

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神経幹細胞、神経前駆細胞の培養製品名(製品番号) 説明StemPro NSC SFM (A1050901)

ヒト神経幹細胞(NSC)の増殖のための無血清培地(SFM)で、ヒト胚性幹細胞または胎児組織由来の接着性およびスフェロイド培養の両方からヒト NSC への分化を可能にします。また、アストロサイト、オリゴデンドロサイトおよびニューロンへの多分化能を維持します。各ロットは cGMP下で製造され、ヒト NSC 増殖アッセイに適合しています。

KnockOut DMEM/F-12 (12660-012)

ヒト胚性幹細胞および人工多能性幹細胞の増殖に最適化された L-グルタミンおよび HEPES を含まない浸透圧の低い培地です(体外診断用)。

B-27 Supplement(50X), minus vitamin A (12587-010)

分化を誘導することなく、ニューロスフェア、神経前駆細胞および幹細胞を培養するための理想的な無血清サプリメントです。

B-27 Plus Supplement(50X) (A3582801)

B-27 Supplement の次世代製品です。Neurobasal Plus Medium と併用すると、げっ歯類初代神経細胞およびヒト幹細胞由来の神経細胞において高い生存率が期待できる無血清サプリメントです。

CultureOne Supplement(100X) (A3320201)

神経細胞培養のためのサプリメントです。多能性幹細胞から神経分化プロトコールにおいて中間体である神経幹細胞の増殖を特異的に抑制し、幹細胞誘導ニューロンの電気生理学応答や活動を改善させます。

N-2 Supplement(100X) (17502-048)

Bottenstein の N-1 をベースにし、化学的に定義された無血清サプリメントで、末梢神経系および中枢神経系の初代細胞の培養および神経芽細胞腫の増殖に使用できます。

StemPro Neural Supplement (A10508-01)

哺乳動物の神経幹細胞やヒトやラットの神経幹細胞(NSC)、グリア前駆細胞(GPC)などの前駆細胞の増殖に適した無血清サプリメントです。

その他関連製品製品名(製品番号) 説明B-27 Serum-Free Supplement (17504001)

海馬やその他の中枢神経系の神経細胞の短期または長期培養のための無血清のサプリメントです。

Neurobasal Medium (21103-049)

生前や胚から得られる神経細胞の長期培養や成熟化に使う基礎培地です。B-27 Supplement を添加するとアストロサイトのフィーダー層を使用しなくても神経細胞を培養することが可能です。

CTS Neurobasal Medium (A1371201)

Neurobasal Medium(21103-049)の CTS 製品です。

■ 多能性幹細胞用培地Essential 8 培地シリーズGibco™ Essential 8™ 培地シリーズは、構成成分が明確なヒト多能性幹細胞(PSC)用の培地です。フィーダーフリー、ゼノフリー条件下でPSCの成長と増殖に欠かせない8種類の必須成分のみで構成され、培養のスケールアップに柔軟に対応します。未確定成分や不純物、BSA などのタンパク質を含まないので、培養のばらつきを最小限に抑え、一貫性のある培養が行えます。

製品名(製品番号) 説明Essential 8 培地 (A1517001)

PSC の増殖および維持用の培地であり、iPS 細胞のフィダーフリー培養が行えます。

Essential 8 Flex 培地 (A2858501)

毎日の培地交換が不要な Essential 8 培地です。PSC 培養のスケジュールを柔軟に管理できます。

CTS Essential 8 培地 (A2656101)

品質マネジメントシステム規格 ISO13485 認証を取得した施設で製造され、製造方法や工程管理は米国の cGMP に準拠する Essential 8 培地です。

図2. 多能性幹細胞の形態Gibco™ Vitronectin をマトリクスに Essential 8 培地中で 4 回継代した多能性幹細胞。

図3. 多能性幹細胞マーカーの染色Vitronectinをマトリクスに、Essential 8 培地中で 50 回継代した多能性幹細胞を Nanog、Tra-1-60、Sox2 で蛍光染色。

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StemFlex 培地Gibco™ StemFlex™ Medium(A3349401)は、フィーダーフリーのヒト多能性幹細胞用培地です。多能性の特性を長期にわたって維持し、高い増殖能で安定して iPS 細胞を培養できます。栄養豊富な構成なのでフィーダーフリーへの移行がスムーズに行えます。

ROCK阻害剤の非存在下におけるシングルセル継代後のクローン性増殖が5倍に増加rhLaminin-521 基質上に StemFlex 培地で、3 継代以上増殖させた PSCを TrypLE Select 酵素でシングルセル化し、生存している多能性幹細胞(Tra1-60 陽性、ヨウ化プロピジウム陰性)をフローソーティングにより回収し、1 ウェルあたり 1、3、5 細胞となるように 96 ウェルプレートに播種しました。播種後、細胞に新しい培地を 3 日おきにフィードしたところ、Day14 までに 5% を超えるコンフルエントに到達していることを確認しました(IncuCyte™ ZOOMシステム(Essen Bioscience 社製)でウェル全体をイメージング)。

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1 細胞 3 細胞 5 細胞 クローン性増殖がみられるウェルの割合(%)

Essential 8 Flex 培地mT培地(他社製品)

StemFlex 培地

96ウェルプレートにおける1ウェルあたりの生細胞(多能性Tra1-60陽性、PI陰性)の播種数図4. 96ウェルプレートにおける1ウェルあたりの生細胞(多能性 Tra1-60 陽性、PI 陰性)の播種数

■ 多能性幹細胞分化用培地製品名(製品番号) 説明PSC Neural lnduction Medium(A1647801)

胚様体を経ずに、わずか 7 日間で神経幹細胞へ分化

PSC Dopaminergic Neuron Differentiation Kit(A3147701)

機能性中脳ドーパミン作動性ニューロンへ分化

■ 細胞のプロファイリングや品質の評価Applied Biosystem™ TaqMan™ hPSC Scorecard™ Panelリアルタイム qPCR アッセイと直観的なデータ解析ソフトウェアを使用して、多能性および三胚葉への分化能を評価します。Alexander Meissner 博士が発表した論文を基に共同開発した画期的なパネルであり、従来のテラトーマ形成能による評価法に代わり、定量的な結果を迅速に提供します。7 機種の Applied Biosystem™ リアルタイム PCR システムで使えます。

KaryoStat アッセイ/KaryoStat HD アッセイ従来の G-band 核型分析の代替として、ヒト幹細胞のゲノム安定性を高解像度で評価するアッセイです。マイクロアレイを使って正確なジェノタイピング(サンプル ID)解析を行い、全ゲノムにわたって染色体異常を検出します。Applied Biosystems™ KaryoStat™ アッセイは、G-band 核型分析と同様の分解能を有し、多くの幹細胞研究用アプリケーションに適しています。KaryoStat HD アッセイは、より高い精度でゲノム全体にわたって一塩基多型(SNP)の対立遺伝子(アレル)や 25~50 kb の Copy Number Variation を検出します。

製品名 サイズ 製品番号TaqMan hPSC Scorecard Panel, Fast 96-well 2 x 96-well A15876

KaryoStat Assay 24 反応 905403

KaryoStat HD Assay 24 反応 905404

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■ レンチウイルス産生Gibco™ LV-MAX™ Lentiviral Production System(LV-MAXシステム)は、浮遊培養用に最適化されたレンチウイルス産生システムであり、高い力価で、必要量に応じたレンチウイルスを簡便に産生します。無血清培養なので、動物由来成分と関連リスクを排除できます。

Modifi cation

図5. LV-MAX Lentiviral Production Systemを用いた高力価LVの生産  LV-MAX Lentiviral Production System を使用して、レンチウイルスを 30mL フォーマットで生産。他のトランスフェクション試薬および細胞は、コントロールとして使用した。レンチウイルス生産を最大化するために最適化された LV-MAX システムを用いると、他の試薬や細胞を用いた場合と比較して、LV 力価が向上することが確認できた。LV293: Gibco™ Viral Production Cells(HEK203 細胞由来浮遊細胞)、293F: Gibco™ FreeStyle™ Cells(293-F細胞株)、PEI: ポリエチレンイミン

1.5 x 108

1.0 x 108

5.0 x 107

0.0

LV t

iter

(TU

/mL)

LV-MAX PEI PEI +

LV producer lineTransfection reagent

LV supplementLV enhancer

Sodium butyrate

LV293LV293LV-MAX

LV293LV293

+ - -+ +-

- -- + +

PEI 293F

--+

LV-MAX system

製品名(製品番号) 説明LV-MAX lentiviral Production System スターターキット(A35684)

0.3 L 用のお試しキットです。浮遊培養のために開発された培地、トランスフェクションキット、293 細胞を含みます。

*cGMP に対応する CTS バージョン(CTS LV-MAX システム)もご用意しています。ご興味のある方はお問い合わせください。

■ トランスフェクション脂質ベースのトランスフェクション試薬Invitrogen™ Lipofectamine™ CRISPRMAX™ Cas9 Transfection Reagent は、Cas9 Nuclease タンパク質と RNA の複合体を高い効率で細胞に導入する試薬です。Invitrogen™ Lipofectamine™ Stem Transfection Reagent は、難しい幹細胞へのトランスフェクションを大幅に改善した遺伝子導入試薬です。

製品名 サイズ 製品番号Lipofectamine CRISPRMAX Cas9 Transfection Reagent 0.3 mL CMAX00003

Lipofectamine Stem Transfection Reagent 0.3 mL STEM00003

エレクトロポレーションInvitrogen™ Neon™ Transfection System は、ピペットチップ型電極を採用し、高い効率でしかも毒性を抑えたエレクトロポレーションを実現するシステムです。試薬による遺伝子導入が困難な細胞でお試しください。

製品名 製品番号Neon Transfection System MPK5000

遺伝子導入関連製品Invitrogen™ 製品は分子生物学研究の発展に大きく貢献していきました。中でも Invitrogen™ Lipofectamine™ シリーズは遺伝子導入のためのスタンダードツールとして多くの研究に使用されながら進化を続けています。また、遺伝子導入法の多様化に伴い、エレクトロポレーション法、ウイルスベクター法に適応する製品も加わり、遺伝子改変を含むさまざまな表現型解析をサポートします。

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Detection - Morphology

図6. プルキンエ細胞を Invitrogen™ Alexa Fluor™ 568 hydrazide で標識(赤色)。小脳矢状切片において、Invitrogen™ Calcium Green™-1 dextran, Potassium Salt, 10,000 MW で標識した登上線維の軸索は、黄色蛍光として観察される。

図7. 雄のカダヤシから得た脊髄ホールマウント標本を用い Invitrogen™ Dextran, Texas Red™, 3000 MW, Lysine Fixable で染色した二次運動ニューロン。

■ 細胞内染色ニューロン染色用のヒドラジド & バイオサイチン低分子量(<1,000 Da)で強い蛍光シグナルを発するヒドラジドおよびビオシチン誘導体は、神経突起のトレーシングやギャップジャンクションの研究に利用されている最も一般的な極性分子です。これらのトレーサーは固定可能で、光安定性が高く細かな構造を検出できます。当社では他の蛍光プローブとのマルチプレックス化を可能にする多様なカラーを用意しています。またバイオサイチンは、蛍光ストレプトアビジン プローブによる検出が可能です。

ニューロン染色用 ヒドラジド製品名(略称) 担体 標準フィルタ 製品番号Alexa Fluor 350 Hydrazide

ヒドラジド、ナトリウム塩

DAPI A10439

Alexa Fluor 488 Hydrazide FITC A10436

Alexa Fluor 568 Hydrazide Rhodamine A10437

Alexa Fluor 594 Hydrazide Texas Red A10438

Alexa Fluor 555 Hydrazideヒドラジド、

Tris(トリエチルアンモニウム)salt

TRITC A20501MP

Alexa Fluor 633 Hydrazide Texas Red A30634

Alexa Fluor 647 Hydrazide Cy 5 A20502

ニューロン染色用 バイオサイチン製品名(略称) 担体 標準フィルタ 製品番号Alexa Fluor 488 Biocytin

バイオサイチン、ナトリウム塩FITC A12924

Alexa Fluor 594 Biocytin Texas Red A12922

ニューロン染色用蛍光・ビオチン標識デキストラン蛍光標識デキストランおよびビオチン標識デキストランは、神経突起のトレーシングに一般的に利用されている試薬です。3,000 MW のデキストランは微細な細胞突起の中を高速で拡散するため、ギャップジャンクションの研究に利用できます。10,000 MW のデキストランはギャップジャンクションは通過せず、分散速度は遅いですが、より長時間細胞内に留まります。そのため、ビオチン標識デキストランは二次検出およびシグナル増幅に適しています。

3,000 MW デキストラン コンジュゲート製品名(略称) 固定 標準フィルタ 製品番号Dextran, Biotin, Lysine Fixable 可 NA(非蛍光) D7135

Dextran, Fluorescein and Biotin, Lysine Fixable 可 FITC D7156

Dextran, Tetramethylrhodamine and Biotin, Lysine Fixable 可 TRITC D7162

Dextran, Fluorescein, Lysine Fixable 可 FITC D3306

Dextran, Tetramethylrhodamine, Lysine Fixable 可 TRITC D3308

Dextran, Texas Red, Lysine Fixable 可 Texas Red D3328

Dextran, Tetramethylrhodamine 不可 TRITC D3307

Dextran, Texas Red 不可 Texas Red D3329

10,000 MW デキストラン コンジュゲート製品名(略称) 固定 標準フィルタ 製品番号Dextran, Alexa Fluor 488, Fixable 可 FITC D22910

Dextran, Alexa Fluor 546, Fixable可 TRITC

D22911

Dextran, Alexa Fluor 555, Fixable D34679

Dextran, Alexa Fluor 568, Fixable 可 Rhodamine D22912

Dextran, Alexa Fluor 594, Fixable 可 Texas Red D22913

Dextran, Alexa Fluor 647, Fixable 可 Cy 5 D22914

Dextran, Alexa Fluor 680, Fixable 可 Cy 5.5 D34680

Dextran, Tetramethylrhodamine and Biotin, Lysine Fixable 可 TRITC D3312

Dextran, Fluorescein and Biotin, Lysine Fixable 可 FITC D7178

ニューロントレーシング(神経細胞の染色)神経細胞の形態および結合性は、神経細胞機能の重要な要素です。Invitrogen™ Alexa Fluor™ 色素を始めとする蛍光標識や蛍光検出試薬は、神経ネットワークとその機能を精査するための多種多様なプローブ、多様な色調の蛍光カラーを提供します。

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■ 細胞膜の染色組織切片、in vivo 神経細胞、固定組織切片および培養細胞に使用できるこれらの脂溶性神経細胞トレーサーは、順行性および逆行性輸送による標識などに広く利用されています。

脂溶性トレーサーDiI とその誘導体などのカルボシアニン色素 は、細胞の生存性に顕著な影響を与えることなく細胞膜を標識し、長期研究に使用することができます。これらの色素は、細胞膜における側方拡散と、それを補足する生体組織における能動的な色素の輸送によって神経細胞を均一に標識します。

図10. B-27 Serum Free Supplement と Gibco™ GlutaMAX™ Supplement (0.5 mM) を添加したNeurobasal 培地で成長させたラット大脳皮質ニューロンNeurite Outgrowth Staining Kit の細胞生存インジケーターによって生細胞の細胞体が緑色で染色され、細胞膜染色試薬によって、細胞膜は赤く染色される。(A)培養 7 日目、(B) 培養 16 日目。

標準フィルタ 蛍光ラベル 励起/蛍光(nm) 固定 フォーマット 製品番号'DiI'; DiIC18(3)

Rhodamine

DiI 449/565 不可

固体 D282

'DiI'; DiIC18(3)(結晶) 結晶 D3911

NeuroTrace DiI Tissue-Labeling Paste ペースト N22880

Vybrant DiI Cell-Labeling Solution 溶液 V22885

CellTracker CM-DiI Dye

CM DiI 449/565 可固体 C7001

NeuroTrace CM-DiI Tissue-Labeling Paste ペースト N22883

Vybrant CM-DiI Cell-Labeling Solution 溶液 V22888

DiD' solid; DiIC18(5) solid Cy 5 DiD 644/665不可

固体 D7757

DiR'; DiIC18(7) Cy 5.5 DiR 750/780 固体 D12731

FM 1-43 Dye, FM 1-43FX, fixable analog of FM 1-43 membrane stainInvitrogen™ FM™ 1-43 Dye(T3163)は、活発に発火するニューロンの同定やシナプス小胞のリサイクリングのメカニズムを調べるためよく利用される試薬です。細胞に対する毒性がなく水中ではほとんど蛍光を発しない水溶性の色素で、細胞膜に挿入されると強い蛍光を示します。神経伝達物質を活発に放出しているニューロンでは、リサイクルされたシナプス小胞に色素が取り込まれ、神経終末を明るく染色します。アルデヒドベースの固定剤を用いて固定する場合は、FM 1-43 Dye の類似体である Invitrogen™ FM™ 1-43FX, fixable analog of FM™ 1-43 membrane stain(F35355)をご利用ください。

図8. BrainStain Imaging Kit で染色したマウス小脳凍結切片神経細胞体を Invitrogen™ NeuroTrace™ red-fluorescent Nisslで 染色(赤)、白質を Invitrogen™ FluoroMyelin™ Green で染色し(緑)、核をDAPI(青)で染色。

図9. BrainStain Imaging Kit で染色したマウス海馬の凍結切片(矢状)神経細胞体は、 NeuroTrace red-fluorescent Nissl で染色(赤)、白質を FluoroMyelin-Green で染色(緑)、核を DAPI(青)で染色。

Neurite Outgrowth Staining Kit Invitrogen™ Neurite Outgrowth Staining Kit(A15001)は、細胞生存インジケーター、細胞膜染色試薬、およびバックグラウンドサプレッサーで構成されており、ひとつのサンプルで神経突起伸長と細胞生存率を迅速かつ簡単に測定します。ニューロンに特異的ではなく、動物細胞全般に作用するので、他の細胞とニューロンを識別する目的には適していません。

BrainStain Imaging KitInvitrogen™ BrainStain™ Imaging Kit(B34650)は、20 分の染色ステップで、脳の凍結切片中のミエリン、ニューロン、および核を 3 色の蛍光色素でラベリングします。

(A)培養7日目 (B)培養16日目

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図12. 顆粒細胞とグリア細胞の細胞骨格染色F-アクチンを赤色蛍光の Inv i t rogen™ Texas Red™-X Phalloidin (T7471)で染色。微小管をマウスモノクローナル抗 β チューブリン、 Invitrogen™ Goat anti-Mouse IgG (H+L) Cross-Adsorbed Secondary Antibody, Alexa Fluor™ 488 (A11001)で可視化。The image was contributed by Jonathan Zmuda, Immunomatrix, Inc.

■ 蛍光標識タンパク質脂溶性トレーサー神経細胞染色のためのタンパク質コンジュゲートマイクロインジェクションまたはイオン導入法によって導入されるコレラ毒素サブユニット B、コムギ胚芽凝集素(WGA)およびイソレクチン GS-IB4 は、固定可能で光安定性が高く、ニューロンの逆方向性標識に利用されます。WGAは、シナプスを横断する逆方向性トレーサーとして機能します。イソレクチン GS-IB4 は、一部の神経細胞のサブタイプを識別します。

図11. ゼブラフィッシュ網膜凍結切片Coneを、Arachis hypogaea(落花生) 由来の Invitrogen™ Lectin PNA From Arachis hypogaea, Alexa Fluor™ 488 (L21409、緑)で標識。 Rod は、コムギ胚芽アグルチニンの Invitrogen™ Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor™ 594 (W11262、赤)で標識。 核は Invitrogen™ DAPI で染色 (D1306, D3571, D21490 、青)。

■ 細胞骨格・オルガネラの染色ファロイジンファロイジンは二環式ペプチドで、タマゴテングダケ(Amanita phalloides)から抽出された毒素ファミリーの一つに属しており、選択的に F-アクチンを染色します。当社は卓越した明るさと光安定性に優れた Alexa Fluor ファロイジンコンジュゲートを全てのスペクトル領域にわたり提供し ます。

製品名 励起/蛍光(nm) 製品番号Alexa Fluor 350 Phalloidin 346⁄442 A22281

Alexa Fluor Plus 405 Phalloidin 405/450 A30104

Alexa Fluor 488 Phalloidin 495⁄518 A12379

ActinGreen 488 ReadyProbes Reagent 495⁄518 R37110

Alexa Fluor 532 Phalloidin 531⁄554 A22282

Alexa Fluor 546 Phalloidin 556⁄570 A22283

Alexa Fluor 555 Phalloidin 555⁄565 A34055

ActinRed 555 ReadyProbes Reagent 540⁄565 R37112

Alexa Fluor 568 Phalloidin 578⁄600 A12380

Alexa Fluor 594 Phalloidin 581⁄609 A12381

Alexa Fluor 633 Phalloidin 632⁄647 A22284

Alexa Fluor 635 Phalloidin 633⁄647 A34054

Alexa Fluor 647 Phalloidin 650⁄668 A22287

Alexa Fluor 660 Phalloidin 663⁄690 A22285

Alexa Fluor 680 Phalloidin 679⁄702 A22286

Alexa Fluor Plus 750 Phalloidin 758/784 A30105

製品名 キャリア 標準フィルタ 製品番号Cholera Toxin Subunit B (Recombinant), Biotin-XX Conjugate

コレラ毒素 Bサブユニット

NA(非標識) C34779

Cholera Toxin Subunit B (Recombinant), Horseradish Peroxidase Conjugate NA(非標識) C34780

Cholera Toxin Subunit B (Recombinant), Alexa Fluor 488 Conjugate FITC C34775

Cholera Toxin Subunit B (Recombinant), Alexa Fluor 555 Conjugate TRITC C34776

Cholera Toxin Subunit B (Recombinant), Alexa Fluor 594 Conjugate Texas Red C34777

Cholera Toxin Subunit B (Recombinant), Alexa Fluor 647 Conjugate Cy 5 C34778

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 350 Conjugate

コムギ胚芽凝集素

DAPI W11263

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 488 Conjugate FITC W11261

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 555 Conjugate TRITC W32464

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 594 Conjugate Texas Red W11262

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 633 Conjugate Texas Red W21404

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 647 Conjugate Cy 5 W32466

Wheat Germ Agglutinin, Alexa Fluor 680 Conjugate Cy 5.5 W32465

Isolectin GS-IB4 From Griffonia simplicifolia, biotin-XX Conjugate

Griffonia simplicifolia

NA(非標識) I21414

Isolectin GS-IB4 From Griffonia simplicifolia, Alexa Fluor 488 Conjugate FITC I21411

Isolectin GS-IB4 From Griffonia simplicifolia, Alexa Fluor 568 Conjugate Rhodamine I21412

Isolectin GS-IB4 From Griffonia simplicifolia, Alexa Fluor 594 Conjugate Texas Red I21413

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CellLight 蛍光タンパク質標識Invitrogen™ CellLight™ 試薬は、蛍光タンパク質により生細胞内の特定の構造を最も容易な方法で標識することを可能にします。お客さまの細胞に試薬を添加し、一晩インキュベートするだけで細胞イメージングの準備が整います。これらのすぐに使えるコンストラクトは、特定の細胞内構造を標的とする蛍光融合タンパク質を発現します。簡単なトランスフェクションステップを用いて蛍光タンパク質が導入され、細胞染色のように作用します。

製品番号細胞内ターゲット GFP RFP CFP 非蛍光

Actin C10582 C10583

細胞質 B10383

小胞体 C10590 C10591

初期エンドソーム C10586 C10587

後期エンドソーム C10588 C10589

ゴルジ体 C10592 C10593

ヒストン(ヒストン 2B) C10594 C10595

リソソーム C10596 C10597

ミトコンドリア C10600 C10601

核 C10602 C10603 C10616

ペルオキシソーム C10604

細胞膜 C10607 C10608 C10606

タリン C10611 C10612

Tubulin C10613 C10614

BacMam 2.0 形質導入コントロール B10383

シナプトフィジン C10610

ターゲットのないウイルス(コントロール) C10615

図13. BacMam テクノロジー

その他のオルガネラ蛍光染色ミトコンドリア標識製品名 標準フィルタ 製品番号 備考MitoTracker Orange CM-H2TMRos TRITC M7511

ホルムアルデヒドで固定可能。ミトコンドリアの膜電位依存的に標識される。

MitoTracker Orange CMTMRos TRITC M7510

MitoTracker Red CM-H2XRos Texas Red M7513

MitoTracker Red CMXRos Texas Red M7512

MitoTracker Deep Red FM Cy 5.5 M22426 ホルムアルデヒドで固定可能。膜電位に依存しない標識。MitoTracker Green FM FITC M7514

固定不可、膜電位に依存しない標識。MitoTracker Red FM Cy 5 M22425

JC-1FITC

T3168ミトコンドリア膜電位の変化を検出。膜電位が低い時は緑、高い時には赤く染色される。TRITC

核・核小体標識製品名 標準フィルタ 製品番号 備考Hoechst 33342, Trihydrochloride, Trihydrate DAPI H1399 バックグラウンドがなく鮮明に核が染色される。

SYTO RNASelect Green Fluorescent cell Stain FITC S32703  RNA を選択的に標識する色素。メタノール固定可能。主に核小体が選択的に染色される。

SYTO 9 Green Fluorescent Nucleic Acid Stain FITC S34854RNA と DNA を標的とする細胞膜透過性色素。

SYTO 82 Orange Fluorescent Nucleic Acid Stain TRITC S11363 SYTOX Green Nucleic Acid Stain FITC S7020 

RNA と DNA を標的とする細胞膜非透過性色素。TO-PRO-3 Iodide Cy 5 T3605 

小胞体標識製品名 標準フィルタ 製品番号 備考

ER-Tracker Blue-White DPX DAPI E12353   小胞体に選択的な蛍光色素。溶媒の極性によって蛍光ピークがより長波長側にシフトする。

ER-Tracker Green for live-cell imaging FITC E34251  生細胞の小胞体を選択的に染色。ER-Tracker Blue-White DPX Dyeよりも小胞体に選択的。ER-Tracker Red for live-cell imaging Texas Red E34250

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■ 蛍光褪色防止用封入剤Invitrogen™ ProLong™ および Invitrogen™ SlowFade™ 褪色防止剤シリーズは、即時イメージング用と長期保存用の選択肢を提供し、さらに封入および核染色による対比染色を、単一ステップで同時に実施できる試薬も用意しています。

ProLong Glass

ProLong Diamond

ProLong Gold

ProLong Live

SlowFadeDiamond

SlowFadeGold

形状 Ready-to-use の硬化マウント剤 100 倍濃縮溶液 Ready-to-use のソフトマウント剤屈折率 1.52(硬化後) 1.47(硬化後) 1.47(硬化後) 1.3 1.42 1.42

固定細胞/生細胞 固定細胞 固定細胞 固定細胞 生細胞 固定細胞 固定細胞長期保管用/即時イメージング用 長期保管用 生細胞 即時イメージング仕様

生細胞イメージング ●固定細胞の即時イメージング ● ●固定細胞の長期イメージング (サンプルの厚みが 10 µm まで) ● ● ●

固定細胞の長期イメージング (サンプルの厚みが 150 µm まで) ●

適合する顕微鏡対物レンズ

油浸対物レンズ ●グリセロール対応対物レンズ ● ● ● ●水またはドライ対応対物レンズ ●適合する蛍光物質

Alexa Fluor 色素 ● ● ● ● ● ●従来の色素 ● ● ● ●蛍光タンパク質 ● ● ● ●対比染色

DAPI による対比染色 ● ● ● ● ●対比染色なし ● ● ● ● ● ●

図14. ProLong シリーズ封入剤における FITC の光褪色60 秒間の経時解析は、ProLong 製品の光褪色防止効果の向上を示しています。 固定した HeLa 細胞をフルオレセイン標識ファロイジンで標識し、ProLong Glass、ProLong Diamond、ProLong Gold、または 50% PBS/グリセロールでマウント。 画像は、一般的な 100 ワット水銀アーク灯からの連続照射と 20 倍対物レンズを使用し、12 秒間隔で取得。

製品名 推奨保存温度 製品番号

固定細胞用

ProLong Glass Antifade Mountant 冷蔵 P36980

ProLong Glass Antifade Mountant with NucBlue Stain 冷蔵 P36981

ProLong Diamond Antifade Mountant 冷蔵 P36961

ProLong Diamond Antifade Mountant with DAPI 冷蔵 P36962

ProLong Gold Antifade Mountant 室温 P36934

ProLong Gold Antifade Mountant with DAPI 室温 P36935

SlowFade Diamond Antifade Mountant 冷蔵 S36963

SlowFade Diamond Antifade Mountant with DAPI 冷蔵 S36964

SlowFade Gold Antifade Mountant 室温 S36937

SlowFade Gold Antifade Mountant with DAPI 室温 S36939

生細胞用 ProLong Live Antifade Reagent for live cell imaging 冷蔵 P36974

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■ カルシウムインジケーター細胞内カルシウムイオン(Ca2+)の変化は、多様な細胞プロセスを制御します。さまざまな細胞内供給源や膜上のカルシウムチャネルが Ca2+ の変化に寄与し、その変化量、持続時間はさまざまです。従って Ca2+ の変化を観察・イメージングするためには、これらのことを考慮し、最も適したカルシウムイメージング試薬:カルシウムインジケーターを選択する必要があります。

カルシウムインジケーターの選択ポイント①親和性:カルシウムイオンとカルシウムインジケーターとの親和性(Kd)カルシウムインジケーターの選択には、Ca2+ に対する親和性に留意する必要があります。例えば、高親和性色素を用いて Ca2+ の大幅な増加を検出しようとした場合、カルシウムとの結合が飽和し、変化の大きさを正しく検出できない可能性があります。 Fluo-4、Fluo-3、Invitrogen™ Oregon Green™ 488 BAPTA-1 / BAPTA-2 などの高親和性色素は、低強度の刺激に対する反応を検出するのに最適です。 細胞の中強度刺激に対する応答は、Fluo-5F などの中親和性色素がよく用いられ、高強度の刺激には、Oregon Green 488 BAPTA-5N や Fluo-4FF などの低親和性色素が有用です。

②休止シグナル:レスト状態での蛍光強度カルシウムインジケーターの蛍光強度も考慮することが重要です。 例えば、Fluo ファミリーの色素はレスト状態では蛍光強度が非常に低く、Ca2+ と結合した際に蛍光強度が大幅に増加するため、静止状態の細胞にて差異を見いだすことは困難です。 一方で、Oregon Green 488 BAPTAファミリーの色素は、静止状態での蛍光強度が Fluo ファミリーよりも高く、細胞や組織構造を特定するために使用することができます。

Detection - Indicator

図16. スパイン(CA1錐体細胞)におけるカルシウム流入の二光子励起イメージングInvitrogen™ Alexa Fluor™ 594 Hydrazide (A10438, A10442) によって生成された画像と、Invitrogen™ Fluo-5F, Pentapotassium Salt (F14221) によって生成されたカルシウムシグナルを重ね合わせた画像。最初のフレームの後に短い(0.2 ms)脱分極刺激を加えた (CA3 錐体細胞の軸索を電極刺激)。フレームレートは4フレーム/秒、イメージングシステムは、810 nm での 2 光子励起。The image was contributed by Thomas Oertner and Karel Svoboda, Cold Spring Harbor Laboratory.

休止シグナルを含むカルシウムインジケーター各 Oregon Green カルシウムインジケーターは、細胞内カルシウムとより高い親和性で結合するため、多くのアプリケーションに適した感度範囲が得られます。Oregon Green プローブは、レスト状態の Ca2+ レベルにおいて緑色蛍光を発光し、Ca2+ 濃度の上昇に伴い蛍光強度が14 倍に増大します。

休止シグナル不含カルシウムインジケーターFluo シリーズのカルシウムインジケーターは、レスト状態の Ca2+ レベルにおいて最小限の蛍光を発光し、各インジケーターの蛍光強度は、Ca2+ 濃度の上昇に伴い 100 倍に増大します。

細胞内イオン濃度の変化と膜電位の変化を検出するための蛍光インジケーター細胞内のイオン濃度や膜電位の変化は細胞の機能・状態を解析のための重要な要素です。 Invitrogen™ Molecular Probes™ 蛍光試薬では、これらの変化に対するさまざまな可視化ツールを提供します。多くの実績を誇る Molecular Probes 蛍光試薬を選択する事で、試薬選定の労力を低減し、さらにデータの信頼性を付与します。

図15. アフリカツメガエル卵母細胞におけるカルシウム「パフ」の共焦点線走査像

Oregon Green 488 BAPTA-1(O6806)を使用し、Invitrogen™ NPE-Caged Ins 1,4,5-P3 (I23580) により Ca2+ の放出を誘発。The image was contributed by Ian Parker and Nick Callamaras, University of California at Irvine.

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長波長カルシウムインジケーターローダミンベースのカルシウムインジケーターには、Ca2+ 濃度の大きな変化から小さな変化のための幅広い種類のプローブが含まれています。カルシウム結合により 50 倍の蛍光強度の増大を示し、GFP または緑色蛍光色素とのコンジュゲートとともに使用することができ、マルチプレックス解析を可能にします。細胞のローディングには、膜透過型を用いるか、パッチピペットを用いたマイクロインジェクション、または食作用細胞(pinocytosis)ローディング試薬を使用することが可能です。Rhod-2 はミトコンドリアに局在し、イメージング、フローサイトメトリー、マイクロプレートアッセイおよび HCS プラットフォームに使用することが可能です。

図17. 嗅球ニューロン(カエル)におけるカルシウムイメージングカエル嗅球ニューロンは、Invitrogen™ Fluo-3, Pentaammonium Salt (F1240、F3715) および Invitrogen™ Fura Red™ Ca2+ インジケーターで標識。KCl およびニフェジピンに対する Ca2+ 応答を観察。 画像は Fluo-3 と Fura Red の蛍光応答の比率を疑似カラー化。The image was contributed by J. Bischofberger and D. Schild, Physiology Institute, University of Göttingen.

製品名 標準フィルタ 細胞透過性 製品番号

休止シグナル

あり

Oregon Green 488 BAPTA-1, AM, cell permeant FITC 透過性 O6807

Oregon Green 488 BAPTA-1, Hexapotassium Salt, cell impermeant FITC 非透過性 O6806

Oregon Green 488 BAPTA-1 dextran, Potassium Salt FITC 非透過性 O6798

Oregon Green 488 BAPTA-6F, Hexapotassium Salt, cell impermeant FITC 非透過性 O23990

Oregon Green 488 BAPTA-5N, Hexapotassium Salt, cell impermeant FITC 非透過性 O6812

休止シグナルなし

Fluo-4, AM, cell permeant FITC 透過性 F14201

Fluo-4, Pentapotassium Salt, cell impermeant FITC 非透過性 F14200

Fluo-5F, AM, cell permeant FITC 透過性 F14222

Fluo-5F, Pentapotassium Salt, cell impermeant FITC 非透過性 F14221

Fluo-4FF, AM, cell permeant FITC 透過性 F23981

Fluo-4FF, Pentapotassium Salt, cell impermeant FITC 非透過性 F23980

イメージング

キット

Fluo-4 Calcium Imaging Kit FITC 透過性 F10489

Rhod-3 Calcium Imaging Kit TRITC 透過性 R10145

Fluo-4 NW Calcium Assay Kit FITC 透過性 F36206

Fluo-4 Direct Calcium Assay Kit FITC 透過性 F10471

長波長プ

ローブ Rhod-2, AM, cell permeant TRITC 透過性 R1244

X-Rhod-1, AM, cell permeant Rhodamine 透過性 X14210

Fluo-4 NW Calcium Assay KitInvitrogen™ Fluo-4 NW Calcium Assay Kit(F36205、F36206)は、Fluo-3 や Fluo-4 等の従来のカルシウムインジケーターと比べて、カルシウムと結合時のシグナル強度が増加したので、洗浄ステップやクエンチャーの添加は必要ありません。

Fluo-4 DirectFluo-4 Direct Calcium Assay KitInvitrogen™ Fluo-4 Direct™ Calcium Assay Kit(F10471、F10472、F10473)は、新しいクエンチャーとの組み合わせにより、細胞を障害することなく、完全培地でのカルシウムイメージングが可能です(培地除去不要)。

■ ナトリウムインジケーターInvitrogen™ Molecular Probes™ ナトリウムインジケーターは、他の一価の陽イオンが生理学的濃度で存在する条件下において、 Na+ 濃度の空間的時間的解析を可能とします。

図18. SBFI が充填された海馬スライス中のCA1錐体ニューロン

Invitrogen™ SBFI (S1262) をパッチピペット(画像の右側)から充填。790 nm での二光子励起を用いて画像取得。The image was contributed by Christine R. Rose, Physiological Institute, University of Munich.

製品名 リードアウト 標準フィルタ 励起/蛍光(nm) 細胞透過性 製品番号

CoroNa Green, cell impermeant Na+ との結合により、波長のシフトを殆ど示すことなく、緑色蛍光強度の増大を示します。

FITC 492/516非透過性 C36675

CoroNa Green, AM, cell permeant 細胞透過性 C36676

SBFI, Tetraammonium Salt, cell impermeantスペクトルの励起シフトを使用して、単離されたミトコンドリア内のNa+ グラジエントおよび細胞内Na+ レベルを推定します。

定量のためには 2つの励起波長から得られる蛍光の比を算出する必要があります。

~340 および 380/500

非透過性 S1262

SBFI, AM, cell permeant 細胞透過性 S1263

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■ 膜電位インジケーター膜電位の増加および減少は、神経インパルス伝達、筋収縮および細胞シグナル伝達など多くの生理的プロセスにおいて中心的な役割を担っています。電位差測定プローブは、こうしたプロセスを研究するための重要なツールであり、一般的に低速または高速反応プローブとして特徴づけられています。

高速反応プローブANEP 色素は、環境の電位変化に応じて蛍光を発します。これらは、周囲の電場の変化に応じた電子構造変化により蛍光特性を変える高速反応プローブです。反応が十分に速いため、単一ニューロン、心臓細胞および正常な脳を含む細胞の一過性(ミリ秒)の電位変化を検出することができます。しかし、これら色素の電位依存的な蛍光変化の程度は、多くの場合小さいものです(100 mV あたり 2~10 % の蛍光変化)。Invitrogen™ FluoVolt™ 膜電位色素は、優れた電位依存的な蛍光反応を起こす高速反応プローブです。反応が十分に速いため、細胞の一過性(ミリ秒)の電位変化が検出され、プローブは 100 mV あたり 25% を超えるシグナル変化をもたらします。FluoVolt 膜電位色素は、正常な心臓組織の電気的活動のイメージング、 ニューロンや筋肉繊維に沿った膜電位のマッピング、または薬理学的刺激に反応した膜電位変化の測定に使用されています。

低速反応プローブ低速反応の電位感受性プローブである DiBAC4(3)は、脱分極された細胞に入った後、細胞内タンパク質または膜に結合して、強い蛍光と赤色スペクトルシフトを示します。脱分極の増大は、陰イオン性色素のさらなる流入と蛍光の増加をもたらします。その反対に、過分極は蛍光の減少によって示されます。この Bis-oxonal は、490 nm の最大励起波長と 516 nm の最大蛍光波長を有します。DiBAC 色素は、その全体の負電荷が原因となりミトコンドリアから排除されるため、原形質膜電位の測定ではカルボシアニンよりも優れています。

■ ローディング試薬アセトキシメチル(AM)エステルを用いた蛍光試薬のローディング非侵襲的で技術的にも簡単な AM エステルを用いたローディングは、蛍光イオンインジケーターを細胞にロードするための最も一般的な方法です。Ca2+ および他のカチオンの指示薬のカルボキシレート基および pH 指示薬のフェノール性ヒドロキシル基は、それぞれアセトキシメチルまたは酢酸エステルとして誘導体化され、指示薬を膜に対して透過性にします。この時のインジケーターはイオンに対して非感受性です。しかし、細胞内に入ると、これらの誘導体化インジケーターは細胞内エステラーゼによって加水分解され、イオン感受性ポリアニオンインジケーターを放出します。

Pluronic F-127AM エステルは、水への溶解度が低いため、細胞へのロードを促進するために分散剤が使用されます。Invitrogen™ Pluronic™ F-127 は、非イオン性界面活性剤ポリオールであり、水不溶性試薬および他の物質の可溶化を容易にします。Pluronic F-127 は、イオンインジケーターのアセトキシメチル(AM)エステルや CFDA-SE などのセルトレーサーを分散させるのに一般的に使用されます。

PowerLoad ConcentrateInvitrogen™ PowerLoad™ Concentrate は、非水溶性試薬を水溶液に分散・安定化させる働きをする、非イオン性の Pluronic 界面活性剤の最適化された製剤です。PowerLoad は、水溶性のプロベネシド Invitrogen™ Probenecid, Water Soluble(P36400)との併用で、AMエステル染料のローディングと細胞内での保持を促進します。

製品名 反応タイプ リードアウト 測定レンジ 反応時間 標準フィルタ 励起/蛍光(nm) 製品番号FluoVolt Membrane Potential Kit

高速反応 脱分極に伴い蛍光が増加

100 mV あたり25%

1 ミリ秒以下 FITC 490/505 F10488

Di-3-ANEPPDHQ 高速反応2 つの励起波長:レシオメトリック リードアウト

100 mV あたり2~10%

1 ミリ秒以下 FITC Cy 5 465/635 D36801

DiBAC4(3) (Bis-(1,3-Dibutylbarbituric Acid)Trimethine Oxonol)

低速反応 脱分極に伴い 蛍光が増加

1 mV あたり1%

20 ms FITC 490/516 B438

Voltage Sensor Probes Set, DiSBAC2(3)and CC2-DMPE

低速反応2 つの蛍光放射波長:レシオメトリック リードアウト

1 mV あたり1%

500 ms FITC Cy 5 490/516 K1016

図19. FluoVolt Membrane Potential Dye をロードした分化 NG-108 細胞細胞を 10 ミリ秒ごとに画像化し、画像を2倍ビニングで取得。3つの選択されたトレースは、選択された細胞(①②③)が培養液中で自発的な脱分極および再分極による蛍光応答を示している。

製品名 製品番号Pluronic F-127, low UV absorbance P6867

Pluronic F-127 (20% Solution in DMSO) P3000MP

Pluronic F-127, 0.2 µm filtered (10% Solution in Water) P6866

PowerLoad Concentrate, 100X P10020

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■ 哺乳類細胞の生存率イメージング集団内の個々の細胞の生存率の検出には、DNA 結合試薬がよく利用されます。細胞膜非透過性の DNA 結合試薬で細胞を染色すると、細胞膜を損傷した細胞のみ、細胞内に DNA 結合試薬が流入し蛍光を発します。マルチパラメーターアッセイでは、生存率に対してエステラーゼ活性やミトコンドリア機能を測定し、生細胞および死細胞の両方の状態からより多くの情報を提供します。

図20. LIVE /DEAD Cell Imaging Kitを使用して染色したHep G2細胞96ウェルマイクロプレートで培養したHep G2細胞を Invitrogen™ LIVE/DEAD™ Cell Imaging Kit (R37601) で染色し、画像化(生細胞:緑、死細胞:赤)。

Detection - Cell Health

■ アポトーシスのイメージング細胞死のカスケードは複雑で動的であるため、その正確な評価を行うためには複数のパラメーターを使用したアプローチが重要です。細胞死および細胞生存のメカニズムの知見は、細胞毒性プロファイリングおよび創薬においても重要な側面を持ちます。

膜電位およびその他のミトコンドリアアッセイミトコンドリアの変化はアポトーシス初期の段階に発生します。アポトーシス早期における顕著な特徴は、膜およびレドックス電位における変化を含むミトコンドリアの破壊です。Molecular Probes 蛍光試薬では、カルシウム流動、スーパーオキシド生成、遷移孔の開口および膜電位を含む、生細胞中のミトコンドリアの活性に関する解析を行うための数多くの蛍光プローブを提供しています。

製品名 リードアウト 蛍光ラベル 標準フィルタ 製品番号

Rea

dyP

rob

es

NucGreen Dead 488 ReadyProbes Reagent

死細胞:緑 DNA stain FITC R37109

NucRed Dead 647 ReadyProbes Reagent

死細胞:赤 DNA stain Cy5 R37113

ReadyProbes Cell Viability Imaging Kit(Blue/Green) 生細胞:青 死細胞:緑 Hoechst

33342DNA Stain DAPI FITC R37609

ReadyProbes Cell Viability Imaging Kit(Blue/Red) 生細胞:青 死細胞:赤 Hoechst

33342Propidium iodide DAPI TRITC/RFP R37610

ハイパフォーマンス LIVE/DEAD Cell Imaging Kit

(488/570) 生細胞:緑 死細胞:赤 Calcein AM BOBO-3 iodide FITC Texas Red R37601

LIVE/DEAD Sperm Viability Kit 生細胞:緑 死細胞:赤 SYBR 14 stain Propidium iodide FITC Texas Red L7011

HCS LIVE/DEAD Green Kit全ての細胞:赤/青 死細胞:緑 NuclearMask

Deep Red Hoechst 33342

Image-iT DEAD Green

Cy5 DAPI FITC H10290

HCS Mitochondrial Health Kitミトコンドリア活性:赤 死細胞:緑 MitoTracker

OrangeHoechst 33342

Image-iT DEAD Green

TRITC DAPI FITC H10295

HC

S

Image-iT DEAD Green Viability Stain

死細胞:緑 Image-iT DEAD Green FITC I10291

Propidium iodide 死細胞:赤 Propidium iodide Texas Red P1304MP

製品名 インジケーター リードアウト 標準フィルタ

励起/蛍光(nm) 生細胞 固定

可能界面活性剤適合性 製品番号

ミトコンドリア健全性製品 MitoSOX Red Mitochondrial

Superoxide IndicatorMitoSOX Red

ミトコンドリアをターゲット。スーパーオキシドの濃度の増加に伴い蛍光強度が増大。

RFP/TRITC 510/580 可 不可 不可 M36008

Rhod-2, AM Rhod-2 AMミトコンドリアをターゲット。Ca2+の濃度の増加に伴い蛍光強度が増大。

TRITC 552/577 可 不可 不可 R1245MP

Image-IT LIVE Mitochondrial Transition Pore Assay Kit

Hoechst 33342

遷移孔の開口によりミトコンドリアシグナルが低下。

DAPI 350/461

可 不可 可 I35103Calcein FITC 494/517

MitoTracker Red CMXRos

TRITC 579/599

ミトコンドリア膜電位製品

Tetramethylrhodamine, Ethyl Ester (TMRE) TMRM

膜電位に相関して活性ミトコンドリアに色素が蓄積。 TRITC 552/576 可 不可 不可 T669

JC-1 JC-1ミトコンドリアの脱分極によりJC-1 分子が凝集。緑色発光から赤色発光にシフト。

FITC 514/529可 不可 不可 T3168

TRITC 585/590

HCS Mitochondrial Health Kit

Hoechst 33342 活性ミトコンドリアのための橙色染色、死細胞ラベル化のための細胞非透過性の緑色染色および局在確認のための核染色を使用した、ミトコンドリア毒性アッセイ。

DAPI 350/461

可 不可 不可 H10295Image-iT DEAD Green

FITC 488/515

MitoHealth stain TRITC 550/580

細胞の生存率、アポトーシス、細胞分裂を検出するための蛍光標識細胞死や細胞分裂は、細胞の機能や状態を分析する指標となります。Molecular Probes 蛍光試薬では従来の検出方法をサポートするとともに、より迅速で安定したデータを取得する新しい技術を提供します。

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アネキシン V 染色アネキシン V 染色は、アポトーシス中期の同定に使用されます。正常な生存細胞では、ホスファチジルセリン(PS)は細胞膜の細胞質表面に位置しています。しかし、アポトーシスの中間ステージでは、PSは細胞膜の内層から外層へと移され、細胞環境に露出されます。非常に蛍光の強いアネキシンVコンジュゲートは、ホスファチジルセリンの外在化の研究に迅速かつ信頼性の高い検出方法をもたらします。

製品名 リードアウト 蛍光ラベル 標準フィルタ 励起/蛍光(nm) 生細胞 固定細胞 固定可能 製品番号Annexin V, Alexa Fluor 350 conjugate

細胞膜の内側から細胞表面に移動したホスファチジルセリン(PS)を蛍光標識したAnnexin Vで検出。

Alexa Fluor 350 DAPI 346/442 可 不可 可 A23202

Annexin V, Alexa Fluor 488 conjugate

Alexa Fluor 488 FITC 495/519 可 不可 可 A13201

Annexin V, Alexa Fluor 555 conjugate

Alexa Fluor 555 TRITC 555/565 可 不可 可 A35108

Annexin V, Alexa Fluor 568 conjugate

Alexa Fluor 568 Rhodamine 578/603 可 不可 可 A13202

Annexin V, Alexa Fluor 594 conjugate

Alexa Fluor 594 Texas Red 590/617 可 不可 可 A13203

Annexin V, Alexa Fluor 647 conjugate

Alexa Fluor 647 Cy5 650/668 可 不可 可 A23204

Annexin V, Alexa Fluor 680 conjugate

Alexa Fluor 680 Cy 5.5 679/702 可 不可 可 A35109

カスパーゼ活性アッセイカスパーゼアッセイは、アポトーシスの初期段階に極めて特徴的なアッセイです。アポトーシス初期における顕著な特徴は基質となるタンパク質の切断とその結果として生じる細胞の分解に関与するカスパーゼ酵素の活性化です。Molecular Probes™ 蛍光色素では、生細胞において活性化カスパーゼをリアルタイムまたはスナップショットとして簡便に検出するためのさまざまなカスパーゼアッセイを提供しています。

製品名 リードアウト カスパーゼ 蛍光ラベル 標準フィルタ 励起/蛍光(nm) 生細胞 固定細胞 固定処理 製品番号

CellEvent Caspase-3/7 Green Detection Reagent

洗浄ステップなしのアッセイで、経時的にカスパーゼ活性をモニタリングすることもできます。カスパーゼ活性が上昇するにつれ蛍光強度が増加します。

カスパーゼ 3, 7

CellEvent Caspase-3/7

Green Detection Reagent

FITC 502/530 可 不可 可 C10423

Image-iT LIVE Red Poly Caspases Detection Kit

各キットは、アポトーシス細胞(カスパーゼ活性に基づく)、生細胞、および死細胞の同時検出が可能なフォーマットになっています。

ポリカスパーゼ

Hoechst 33342

DAPI 350/461

可 不可 可

I35101SYTOX Green FITC 504/523

Image-iT LIVE Red Caspase-3 & -7 Detection Kit

カスパーゼ 3, 7

FMK TRITC 550/595 I35102

Image-iT LIVE Green Poly Caspases Detection Kit

ポリカスパーゼ

Hoechst 33342

DAPI 350/461

可 不可 可

I35104

Image-iT LIVE Green Caspase-3 & -7 Detection Kit

カスパーゼ3, 7

Propidium iodide

Texas Red 535/617 I35106

CellEvent Caspase-3/7 Green Detection ReagentInvitrogen™ CellEvent™ Caspase-3/7 Green Detection Reagent(C10423)は、核酸染色試薬が DEVD ペプチドで保護された状態にあり、活性化した Caspase-3/7 酵素が DEVD ペプチドを切断すると、保護されていた蛍光色素が核酸に結合できるようになり、蛍光が検出されます。

• Caspase-3/7 活性を検出する蛍光プローブ• ホルムアルデヒド固定と膜の透過処理後もシグナルを保持• 透過性色素で生細胞イメージングに理想的• 洗浄、細胞の剥離が不要

図21. HeLa細胞に 50nM のTMRM(赤)、5 µM の Cell Event Caspase3/7 基質(緑)を添加。細胞を 0.5 µM スタウロスポリンで処理し、7 時間にわたって 5 分毎に画像を取得。スタウロスポリンは、ミトコンドリア膜電位の喪失(赤色蛍光の減少)、続いてカスパーゼ 3/7 の活性化(緑色蛍光の増加)を誘導した。

Measure fluorescenceAdd diluted CellEventreagent to cells

Incubate 30 minutes

使用方法① 培地に添加 ② 30 分インキュベート ③ 観察

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製品名 標準フィルタ 励起/蛍光(nm) 生細胞 ホルムアルデヒド固定 界面活性剤 製品番号

CellROX DeepRed Reagent Cy5 644/655 適合 可能 感受性 C10422

CellROX Orange Reagent TRITC 545/565 適合 不可 感受性 C10443

CellROX Green Reagent FITC 485/520 適合 可能 耐性 C10444

CellROX Variety pack CellROX 3 種類(C10422、C10443、C10444)パック C10448

蛍光顕微鏡用選択ガイド (Click-iT plus EdU)製品名 蛍光ラベル 標準フィルタ 製品番号

Click-iT Plus EdU Alexa Fluor 488 Imaging Kit

Alexa Fluor 488 FITC C10637

Click-iT Plus EdU Alexa Fluor 555 Imaging Kit

Alexa Fluor 555 TRITC C10638

Click-iT Plus EdU Alexa Fluor 594 Imaging Kit

Alexa Fluor 594 Texas Red C10639

Click-iT Plus EdU Alexa Fluor 647 Imaging Kit

Alexa Fluor 647 Cy5 C10640

HCS 用マイクロプレートベースアッセイ選択ガイド(Click-iT EdU)製品名 蛍光ラベル 標準フィルタ 製品番号

Click-iT EdU Alexa Fluor 488 HCS Assay

Alexa Fluor 488 FITCC10350

C10351

Click-iT EdU Alexa Fluor 555 HCS Assay

Alexa Fluor 555 TRITCC10352

C10353

Click-iT EdU Alexa Fluor 594 HCS Assay

Alexa Fluor 594 Texas RedC10354

C10355

Click-iT EdU Alexa Fluor 647 HCS Assay

Alexa Fluor 647 Cy5C10356

C10357

優れた感度と再現性を実現(A)EdU 法(露光時間 5msec) (B)BrdU 法(露光時間 2,000msec)

活性酸素種(ROS)酸化ストレスの検出酸化ストレスは、細胞内における活性酸素種(ROS)の生成と除去の不均衡から生じます。ROSは、炎症、アテローム性動脈硬化症、加齢、および加齢関連変性疾患を含むいくつかの疾患の進行において重要な役割を果たします。Invitrogen™ CellROX™ 試薬は、ライブまたは固定の細胞イメージングで細胞の酸化ストレスを測定するための蛍光プローブです。細胞透過性の本色素は還元状態で非蛍光性で、活性酸素種(ROS)によって酸化すると明るい蛍光を示します。

• 光褪色に強い• 血清含有培地に添加可能• 近赤外、オレンジ、緑の 3 色が入手可能

図22. CellROX Deep Red Reagent を用いた BPAE 細胞のイメージングウシ肺動脈内皮(BPAE)細胞を、100 µM メナジオンで 1 時間処理。Inv i trogen™ CellROX™ Deep Red Reagent(C10422)を完全培地に添加し、37 ℃ で 30 分間インキュベート。(核染色:Hoechst 33324)

蛍光シグナルによる細胞増殖解析細胞増殖解析は、細胞の成長および分化の研究にとって極めて重要であり、薬物開発において、化合物の毒性および腫瘍細胞の増殖阻害を評価するためにしばしば使用されます。Invitrogen™ Click-iT™ Plus EdU Alexa Fluor™ 488 Imaging Kit は、増殖細胞中における DNA 複製解析のための簡単で強力な方法を提供し、全工程は約 60 分間で完了します。新規のピコリルアジドおよび銅保護剤試薬により、Click-iT Plus キットは GFP、RFP、mCherry、R-PE および R-PE タンデムとのマルチプレックス解析を可能とします。キットは、顕微鏡イメージングまたは HCS 用に入手可能で、さまざまな蛍光波長でのマルチプレックス解析が行えます。

図23. BrdU 法とEdU 法の比較データBrdU または EdU を腹腔内投与したラットの組織をホルマリン固定パラフィン包埋し、薄切。ヌクレオシドを取り込んだ増殖中の腸絨毛細胞は、ピンク色をしている。両サンプルとも、Hoechst 33342 (灰色) で核をカウンターステイニング。20X 対物レンズを使用。(A) Invitrogen™ Click-iT™ EdU Alexa Fluor™ 647 Imaging Kit の試薬を用い、4 時間未満で EdU を検出。画像取得時の露光時間は 5 ミリ秒。(B) BrdU でラベルした組織を塩酸で変性し中和後、ブロッキングしマウス抗 BrdU 抗体と一晩インキュベート。その後ブロッキングバッファーで洗浄後、組織をヤギ抗マウス Alexa Fluor 647 コンジュゲートとインキュベート。露光時間2,000 ミリ秒で画像を取得。

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Invitrogen ™ Click-iT ™ Plus EdU を用いた細胞周期・細胞増殖アッセイは

• BrdU 法など、旧来の測定法を用いると

- データが不安定、実験時間が長い- GFP など他の蛍光タンパクとのマルチプレックス測定が困難- 非特異的な抗体反応による低特異性

などの問題を抱える事があります。

• それらの原因には

- 抗体のロット間差、ステップ数の煩雑さや条件検討の難しさ- HCL や熱による変性ステップ- 非特異的な抗原抗体反応

などがあります。

• Click-iT Plus EdU を用いた細胞周期・細胞増殖アッセイは

- シンプルなプロトコルで迅速な検出- GFP や R-PE、mCherry などとのマルチプレックスが可能- クリック反応による高い特異性

という利点があり、BrdU法などの旧来法の問題を解決します。

図25. サンプルの標識、固定透過処理後のワークフローの比較

図24. BrdU 法と EdU 法の比較

EdU

・ 放射能不要・ 抗体不要・ 酸 /DNase処理不要(マルチプレックスに効果的)・ 完了までたった 60分

Click-iT, Alexa Fluor azide

Accessible

Anti-BrdU antibody

Inaccessiblewithout

denatuuration

Incorporated EdU Incorporated BrdU

利 点

BrdU法

Click-iT, Alexa Fluor azide

Accessible

Anti-BrdU antibody

Inaccessiblewithout

denatuuration

Incorporated EdU Incorporated BrdU

・ 放射能不要

・ 特異的な抗体が必要(変動性の原因)・ 抗体はサイズが大きくDNAの酸 /DNase処理が必要-他の構造に影響を与える事も・ 組織染色では上手くいかない事が多い

利 点

欠 点

Click-iT Plus EdU Alexa Fluor Proliferation Assays を用いて細胞周期・細胞増殖を見るメリット

Click-iT Plus EdUテクノロジーはシンプルなワークフローで、実験時間と労力を大きく削減

洗浄3X ブロッキング 抗BrdU抗体処理 洗浄3X 洗浄3X

核対比染色 洗浄1X

二次抗体処理

5~6 時間以上

60 分

HCl変性熱変性

15 分 12 分 15 分 60 分 60~120 分 15 分 120 分 15 分 10 分 5 分

中和

核対比染色 洗浄2X

Click-iT検出反応

30 分 10 分 10 分 10 分

洗浄2X

従来法 BrdU 法

Click-iT Plus EdU

反応ステップが少なく、安定したデータが得られます。抗体を使わないので、抗体のロット間差によるデータの変動がありません。

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EVOS M7000 EVOS M5000 EVOS FLoid EVOS XL core

■ 使いやすいオールインワン顕微鏡Invitrogen™ EVOS™ M7000 Imaging System は、生細胞イメージング、タイムラプス、画像タイリング、Z-スタック撮影に高品質の画像を提供します。またInvitrogen™ EVOS™ M5000 Imaging System は、組織染色や細胞染色で鮮やかなカラー画像を簡単に取得します。

Analysis

■ 細胞イメージを定量化 ハイコンテントスクリーニングプラットフォームCellInsight CX7 High Content Analysis PlatformThermo Scientifi c™ CellInsight™ CX7 High Content Analysis Platform は、オールラウンドに機能するイメージアナライザ―の総合システムです。

• マルチカラー解析( 7 色検出・解析が可能)• 共焦点を搭載し、より高品質な画像を取得• 比色定量データを蛍光測定と組み合わせるマルチプレックス解析に対応• 経験と実績のあるソフトウェアでマルチアプリケーションに対応

CellInsight CX7 LZR High Content Analysis PlatformThermo Scientifi c™ CellInsight™ CX7 LZR High Content Analysis Platform は、レーザー光源を使い測定スピードと画質をさらに追及した最新モデルです。

鮮やかで再現性の高い細胞イメージングを実現する解析ツール細胞培養の基本となるセルカウンター、使いやすさを追求した蛍光顕微鏡、共焦点を搭載し細胞イメージの定量化に対応する細胞イメージアナライザー、スピードと高精度な解析を実現するフローサイトメーターまで、細胞解析のさまざまなニーズに対応する製品を提供しています。

Instruments

図26. 初代ニューロンの突起進展アッセイ上) Hoechst 33342(青) および Alexa Fluor 647 を用いて海馬の初代ニューロンを標識。下) 神経突起伸長機能を、Thermo Scientific™ HCS Studio ソフトウェアで自動的に識別。 細胞体は青色、ニューロンは緑色で識別される。

図27. 薬物刺激に対する神経突起とシナプスの変化

海馬の初代ニューロンを 21 日培養、化合物に対する反応性を調べた。Glutamate : HBSS 中の 10mM グリシンを含む グルタミン酸塩を添加し、30 分後に細胞を洗浄後、溶液を培地と交換。その後 24 時間インキュベートし、ニューロンを固定し、化合物に対する反応性を検討。Kainate: カイニン酸を培地中に添加し同様に検討。

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サーモフィッシャーサイエンティフィックライフテクノロジーズジャパン株式会社

研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用はできません。 記載の社名および製品名は、弊社または各社の商標または登録商標です。For Research Use only. Not for use in diagnostic procedures. © 2019 Thermo Fisher Scientifi c Inc. All rights reserved.All trademarks are the property of Thermo Fisher Scientifi c and its subsidiaries unless otherwise specifi ed.実際の販売価格は、弊社販売代理店までお問い合わせください。価格、製品の仕様、外観、記載内容は予告なしに変更する場合がありますのであらかじめご了承ください。標準販売条件はこちらをご覧ください。 thermofisher.com/jp-tc

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■ 迅速な多色検出を実現するフローサイトメーターInvitrogen™ Attune™ NxT Flow Cytometer は、最大 4 本のレーザーを搭載でき、14 色検出可能なフローサイトメーターです。

• 詰まりにくいアコースティックフォーカシング技術で、全血サンプルを洗浄不要、溶血不要で測定可能

• 100~1,000 µL/min という高流速で、短時間測定を実現。1 秒間当り最大 35,000 イベントデータを取得

■ フローサイトメーター用 mRNA検出キットInvitrogen™ PrimeFlow™ RNA アッセイは、従来のタンパク質免疫染色と組み合わせることで、シングルセルでのタンパク質発現パターンと RNA 転写のダイナミクスを解析します。

■ ワンステップで細胞数を正確に計測する自動セルカウンターInvitrogen™ Countess™ Ⅱ FL 自動セルカウンターは、オートフォーカス機能によりわずか 10 秒で迅速測定。幹細胞などの細胞塊も優れたアルゴリズムで正確に計測します。DAPI・GFP・RFP などの蛍光計測機能も追加可能です。