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Page 1: 皆一緒大仏修行次第 - nehan.netnehan.net › buddha-dharma › tairakongousidai.pdf大日には二種類あり。自分の涅槃至福を叶えて、次には一切衆生㈤大日如来坐禅心の五つの姿を思い浮かべ、煩悩を智慧へと変えていく。㈣如来坐禅みすゞの歌のようにあらゆるものを好きになる境地

皆一緒大仏修行次第

福徳

憤怒

世直し

思慮

奮起

悲 慈

弘法大師のお考え

 

 生命の流れを見るに、生まれ生まれ生まれ生まれて、生の始めを知らず、死に死に

死に死んで、死の末を知らない。

 生を好まずして生まれ、死は人の憎むところ。良くも悪くもさまざまな苦しみの生

涯を経ながら、父母も生の由来を知らず、われも死の去りゆくところを知らない。

 このように、迷えるままに、朝な夕なあくせくと衣食の牢獄につながれ、遠近に走

りまわって名声利得の穴に落ちる。さらに磁石が鉄を引くのと同じように、男女は互

いを求めあい、親子はあい親しむのに、愛のなんたるか親のなんたるかを知らない。

 ついには、強者は弱者を食い殺し、足ることを知らず、倉は満てども横取りはやめ

ず、美しい眉に狂っては和姦強姦し、他を苦しめるのみならず、自ら罪を重ねて人が

変わり苦海にもがくこととなる。

 なんらよるべを持たず、心がさわぐままに行なうから、自分を毒し、ますます自己

を失う。この結果、欲望の投影したありもしないものに血相を変え、ことの大事が過

ぎていくのを幻想とみる。転倒夢想の世界を住居とすることになる。

 しかしながら、冬の凍りついた川氷は、春に遇えばすなわちそそぎ流れ、金石も火

をえれば溶けるように、すべてのものは、みな、縁より生まれて自分という固定した

ものがあるわけではない。心は変化し成長していくものである。

 ただし、心には心の変化の法則がある。

 良いことを重ねれば心はますます良くなり、悪いことをすれば一回だけと思ってい

ても心は悪へと一歩すすむ。

 早く、良い心の展開に身を投げ入れることが大事である。

 そうすれば必ず、まだ見ぬ世界が開けてくる。   無自性故去卑取尊

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曼荼羅を観る者は覚る

慈悲救済して皆一緒

 弘法大師のこの教えに従って今回千二百年ぶりにこの道場を

完成しました。綜芸種智院にならい教育施設も建設します。

釈迦は戦場で相手の痛みを感じてその原因である見え

ない矢を煩悩と定め、貪欲、怒り、無知をなくす

ための修行をしました。

煩悩とは貪り過ぎて満足せず他人の物を奪うこと即ち

貪欲。腹立ち平常心を失って時には他人を排除す

ること即ち怒り。自分こそが正しいと思って反省せずまた他人

より偉いと思って他人を見下したり逆に自分は駄目な人間だと

卑下して萎縮すること即ち無知をいいます。これらの心は自分

を駄目にします。他人を損ないます。故に煩悩と名付けます。

釈迦は自分の争いの経験から原因である煩悩をあぶり出し、そ

れを解消することを説きます。

空海大師は人間の飽くなき欲望が、特権階級社会をつ

くり、奴隷制を血を吸う蛭の如しと断罪し、獣の

ような人が人を食らう差別社会を解消して、皆一緒の生き方

を説きます。それは大師の生まれ

た一族が東北の捕虜を囲う身分で

あったことに起因しています。

 この他人の血を吸って生きる悪

徳を止めることは単に人のためで

はなく、その根本の煩悩を釈迦に

習って根絶やしにすることで、争

いをやめ差別をやめるのみならず、

心の平静と永遠の安穏という涅槃

に到ります。故にその道の完成の

必須の修練として他人を助けると

いう菩薩行が強調されるわけです。

 この煩悩の解消即ち①離欲9

9

と、

他人を救う利他の②菩薩行

9

9

9

の二つ

が修練されて③覚りと涅槃

9

9

9

9

9

がやっ

てくるということを形で示したの

が曼荼羅であります。

 下図の①~④です。

①五明王=闘争と無常の苦

②五菩薩=利他行

③五如来=覚りと涅槃

④自分と他人の皆一緒の大楽

① ②③

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曼荼羅の見方

 先ず④曼荼羅全体を俯瞰して清濁を含むこの世を想い、次に

①明王の苦悩と憤怒と煩悩撃退を感じて離欲の行を行い、次に

②菩薩世界でこの世の苦しみをなくす決心を行い四無量心を修

練します。そして③五如来を観ながら五つの心を順次五つの智

慧に変換して覚りと涅槃へと到達していきます。五つの心を垣

間見たなら④再度曼荼羅の全体を俯瞰しながら自分も奮起し他

の人々も一緒に奮起しているこの世を観て、生きとし生ける者

との調和を感じます。

 これで一連の曼荼羅行は一単位を終了しますが、これを何度

も繰り返しては和顔愛語などの⑤救済の実践をします。そうす

ると喜ばれる喜びによって発心が開発され①~④が向上しま

す。私はこれを三年間繰り返して効果が出ました。ですから実

生活でボランティア等の利他行しなければ効果が出ません。

次第の説明

 坐禅は㈠前行、㈡不動明王坐禅、㈢菩薩行坐禅、㈣如来坐禅、

㈤大日如来坐禅、㈥実践検証で構成されます。この㈠から㈥を

繰り返すことで仏果(修行の果報)を得ます。

次第

㈠前行

懺悔反省、決心祈願。

㈡不動明王坐禅

数息観=坐禅の基本、力みを抜き、息を整え、息を数え、吸う息

に満足を感じて、平常心を養う。

月輪観=心に純白の満月を思い浮かべ、その満月球を身体に広げ

る。次には満月を空間に広げる。家の大きさ、村の大きさ、市、県、

国と順に広げ地球を含み、宇宙に拡大する。心を煩悩の静まった

平静安穏で満たす。この境地は大円鏡智=宇宙を照らす大きな鏡

であると比喩される。同時に不動真言で煩悩を静める。

㈢菩薩行坐禅

菩薩行=世界の苦を観て宮沢賢治の如く一切衆生の救済を誓う。

四無量心観の坐禅で思いやりの心をつくる。捨慈悲喜の四種類の

気持ちを月輪観の満月に篭めて同様に心身と世界を満たす。金子

みすゞの歌のようにあらゆるものを好きになる境地となる。

㈣如来坐禅

心の五つの姿を思い浮かべ、煩悩を智慧へと変えていく。

㈤大日如来坐禅

大日には二種類あり。自分の涅槃至福を叶えて、次には一切衆生

と憩う大大日如来の心境を観る。

㈥実践検証

思うだけでは真の変化はない。菩薩利他の実践と坐禅を繰り返す。

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 ㈠前行

①静心・制心・向仏

金一打、息を数え、緊張をなくし、心を和らげる

金一打、欲を離れる

金一打、仏心に向かう

②懺さ

んげ

悔の文

未いま

だ善と悪とを弁

わきま

えず、我わ

知らずして湧わ

き起こる

貪ものほしさと

瞋いかり

と痴

おろかさに

よって生み出す身

おこないと

口ことば

と意

こころ

の誤

あやまりり

を、我わ

いま悔く

い改

あらた

めん

(我がしゃくしょぞうしょあくごう

昔処造諸悪業 皆かいゆむしとんじんち

由無始貪瞋痴

従じゅうしんごいししょしょう

身語意之処生 一いっさいがこんかいさんげ

切我今皆懺悔)

③三帰

仏ぶつ

・苦しみのない生き方の実行者と、

法ほう

・その歩むべき教えと、

僧そう

・ともに歩む仲間とを心から尊敬し依

よりどころ

所とせん

(弟でしむこう

子某甲

尽じんみらいさい

未来際

帰きえぶつ

依仏

帰きえほう

依法

帰きえそう

依僧 弟でしむこう

子某甲

尽じんみらいさい

未来際

帰きえぶっきょう

依仏竟

帰きえほうきょう

依法竟

帰きえそうきょう

依僧竟)

④十楽戒

㈠我と衆生と仏は同じなり

オンサンマヤサトバン(オーン サマヤ サットバン)

㈡光明を持ち、他人を鏡とす

㈢濁じ

ょくせ世

の苦に憤ふんがい慨

し大悲向上を発心す

㈣欲望と快楽から抜け出る

㈤彼ひ

と人を排はいじょ除せず親愛する  

㈥ひとの痛みを知る

㈦ひとに喜ばれるを喜ぶ

㈧いつも心に涅ね

はん槃の光明を持て

㈨くちびるに和わ

げんあいご

願愛語を持て

㈩衆生救済の勇気を持て

●皆み

んないっしょ

一緒大楽よ広がれ、一切所平へいとう等

平安

以上決心して、信心、向上心、大悲心を起こすと念じて、

オン ボウジシッタ ボダハダヤミ

(オーン ブッダチッタム ウトパーダヤーミ)

(弟でしむこう

子某甲

尽じんみらいさい

未来際

不ふ

殺せっしょう生

不偸ちゅうとう盗

不邪じゃいん淫

不妄もうご語

不綺き

ご語

不悪あっく口

不両りょう

舌ぜつ

不慳けんどん貪

不瞋しんに恚

不邪じゃけん見)

オンサンマヤサトバン

アロリキャソワカ

アビラウンキャン

アラハシャノウ

マイタレイヤ スパラ

カールニヤ スパラ

プラモウダ スパラ

ラトナ トラーハ

ダルマ フリーヒ

カルマ アッハ

バザラ ダドバン

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 ㈡不動明王坐禅

⑴数息観

心地よく座り、心を平静にして、息を整え、息を数え、生きて

いることに満足する。坐禅の基本なので他の解説を参考にする。

⑵月輪観 下図の如し

心に純白の満月を思い浮かべて、無念無想で満たし、その満月

球を身体に広げる。心と体を空の心で満たし、次には満月を空

間に広げて全世界と宇宙に拡大して、心の中の世界を煩悩の静

まった平静安穏で満たす。この境地は大円鏡智=宇宙を照らす

大きな鏡であると比喩される。また、不動真言で煩悩を静める。

⑶不動真言

①不動明王

⒈不動明王の心の痛みを知る

不動明王の顔がゆがんでいるのはなぜか。不動は何とかして

有生き物情を幸福にしたいと願う。それは母が自分の子が間違った道

へと進むのを見て歯軋りするのに似ている。どうすれば正しい

道へ行くのか。その方法は各人千差万別である。

菩提心を因

となし、大悲を根となし、方便を究竟となすという。具体策が

究極である。ここでは人の痛みを知ることで起点をつくる。

月輪観・四無量心の方法心に満月を描き

それを順次、捨の心、慈・悲・喜の心で満たし

プラモーダスパラなど真言を唱えつつ

次第に大きくしていく①満月は 30㎝の大きさ②体を包む③家を包む

④町を包む⑤日本を包む⑥東洋、世界、地球を包む

⑦宇宙の果てまで包む喜びが広がるのを楽しむ⑧今度は小さくしていき

元の大きさにする捨は空の心

慈はだれとでも握手する心悲は全ての人の苦をなくす

喜は喜びを喜ぶ

捨慈悲喜

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④金剛夜叉 ⑤降三世

慮    世直し

①不動明王

  

浄   

 

③大威徳  ②軍荼利

義憤   憤怒

⒉真言を唱えて煩悩を静める。 ※ここから紺色を声を出して読む

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

9

貪り過ぎることは煩悩である、奪い合いは煩悩である

戦争は煩悩である、排除は煩悩である、人を痛めつけるのは煩悩である、

快楽に溺れて反省しないこと、自分が正しいと思い反省しないこと、自分の方が上まわっ

ていると思い他人を見下すこと、自分は駄目な人間だと思い萎縮することは煩悩である。

また悩み苦しみはひととき仏様にお預けして心を軽くする。

煩悩とは、独貪り占め、他

瞋人の排除、快癡楽に溺れること。

これらは自分を損ない他人を傷つけるから煩悩という。

のうまく さまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ

そわたや うん たらた かん まん

ナマッハ サ遍満せる

マンタ バ金剛よジラーナーム チ勇猛

ャンダ マ大破

ハーローチャナ 

ス打ち

ポータヤ フーン ト改心せよ

ラット ハ清めよーン マ我をーン

順次、憤怒を因とし、大悲を根とし、福徳を成就して衆生救済をする。

②軍荼利 義憤

世の中の痛みを知り不条理に怒る、怒りを手で押さえている

③大威徳 共鳴

思いやりの心で相手の大切なものを探る、牛に乗りその眼で共感する

④金剛夜叉 見抜く

相手の立場を理解して救済方法を探る、鈴で目覚めさせ金剛で諭す

⑤降三世 世直し

奪い合いではなく与え合う世の中をつくる、最後までやり切る姿

不動真言namah samanta-vajrānām canda-mahā-rocana sphotaya hūm trat hām mām/

⑶不動真言

①不動明王

⑥勇猛心 avīra hūm kham 外五鈷の印⑦捨  om mahā-upekṣa sphara かつまを持ち布施の印⑧慈  om mahā maitrya sphara 独鈷を持ち右手伏せ降魔の印⑨悲  om mahā-kārunya sphara 宝を持ち右手傾聴の印⑩喜  om śuddha-pramoda sphara 慈悲の蓮を持ち説法の印

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⑥金剛薩埵 菩薩行 

人助けの決心をする

この世にいかなる苦難があろうとも決して負けない

困難を吹き飛ばす。大思いやり悲に

よって有ひと情

の苦難をなくす

あびら うん きゃん

ア恐怖に打ち勝て

ビーラ フーン キどこまでもャン

決心のあと慈悲喜捨の観法を月輪観のように行なう。

外五鈷の印

弥陀の印

⑦金剛菩薩 捨無量心

煩悩の遮断よ 広がれ

オーン マハー ウ捨てて捨てろ

ペークシャ ス広がれ

パラ

⑧金剛宝菩薩 慈無量心

有ひと情を排除するな、親愛よ、広がれ

オーン マハー マ愛の

イトリーヤ スパラ

⑨金剛法菩薩 悲無量心

人の痛みを知れ、大悲よ、広がれ

オーン マハー カ思いやりよ

ールニヤ スパラ

⑩金剛業菩薩 喜無量心

与えよ、喜ばれる喜びよ、広がれ

オーン シュッダ プ喜び

ラモーダ スパラ

⑦金剛薩埵  ⑧金剛宝

捨       慈

   ⑥金剛菩薩   

   

心   

 

⑩金剛業   ⑨金剛法

 喜       悲 

㈢菩薩行坐禅

解説 ㈣如来坐禅の1

 心とは何か。人間とは何か。人生とは何か。

 深夜、満天の星が輝いている。ここにわた

しが居ることは不思議だ。なぜ生まれたのか。

何のために生まれたのか。弘法大師は語る。

「生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死

の終わりに暗い」「私を生んだ父母の生の由

来を知らない」「愛のなんたるかを知らない」

そして「人は動物の命を喰らい、貴族は人の

生き血を吸う」そして「いい加減な宗教や考

え方を使って人々を惑わせ戦争をしている」

と。

 仏教は苦悩から生を説き始める。そして修

行のベクトルが指すのは涅槃である。永遠の

至福である。仏教は先ず苦難とその原因であ

る煩悩に面と向かう。四諦の苦集滅道の最初

の苦るしみだ。そしてその原因が煩悩である。

この煩悩を釈尊は見えない矢と呼んだ。そし

てこの見えない矢が駆け抜けるとき、さまざ

まなものがカーマという色とりどりの好悪正

邪なるものとして現れると見たのである。

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⑪阿閦不動

⑫宝生虚空蔵

大奮離欲

 

    大欲

   ⑮大日釈迦   

   大安楽    

 

⑭薬師   ⑬阿弥陀

大勝      大愛大悲

意識を清めて即身成仏する

⑪阿閦如来(不動)大円鏡智・清い魂

煩悩を離れ自立する

オーン ア不

・クショーブヤ フーン又は不動真言

⑫宝生如来(虚空蔵)平等性智・意思力

虚空よ、宝を生まん。我なり家族なり衆生なり

のうぼう

あかしゃ

きゃらばや

おんありきゃ

まりぼり

そわか

ナモー ア果て

ーカーシャ

ガ宝の

ルバーヤ 

オーン

ア良く

ーロークヤ 

マ生き

ーリブハーリ ス出現

バーハー(ラ宝よ

トナ スバーハー)

⑬阿弥陀如来 妙観察智・見えた物が私

無量の慈悲光明よ、真実を照らしたまえ

おん あみりた ていぜい から うん

オーン ア不死

ミリタ テ燃え盛る力よ

ージャ ハ清めたまえラ フーン

⑭薬師如来 成所作智・実行力

世界から恐怖と欠乏よなくなれ

おんころころ せんだりまとうぎ そわか

オーン フ除けよ除け

ルフル チ暴力

ャンダーリ マ奴隷にされることよ

ータンギ スバーハー

㈣如来坐禅

外五鈷の印

⑪阿閦・深層意識・魂は不動に依り煩悩

を清めた如来で、その心は鏡のように物

事をありのままに映し出す。それは空っ

ぽでもあり、あらゆるものを認め許容す

る虚空でもある。

⑫宝生・自我意識・人生目的は字の如く

何でも生み出す仏である。虚空蔵は無尽

に大きく広く何でも容れる器である。良

い意思力さえあれば、その想いに応じて

何でも生まれる。あたかも打出の小槌で

ある。菩薩の意思力とは自他共に救われ

るベクトル。幸福はひとりではあり得な

いのであり、他者と共にあり、皆一緒に

なって始めて生まれる。

⑬阿弥陀・思考識・見えた世界とは観自在。

心が曲がれば物事は曲がって見える。素

直な心には物事は清く見える。物事は宝

生の良し悪しに従って見える。意思を自

在に操れる人は、宝を変えて各視点から

多種多様な世界を自由自在に見る。見え

た物がその人の本性。

⑭薬師・感覚識・行動。思うだけでは霞

のようだ。暴力をなくし人身売買をなく

なくては苦しみは消えない。それを我が

こととして感じる菩薩の苦悩は消えない。

想いが浅いから実行が伴わないのだから、

実行によって修行を続ける。新しい経験

は皆一緒の喜びを得る。皆一緒の喜びは、

深層意識を清め、意思力を鍛え、見えた

世界を変えて良い輪廻に住居する。

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⑪ namah samanta-vajrānām canda-mahā-rocana sphotaya hūm trat hām mām/右手伏せ降魔離欲五鈷の印右人指し指⑫ namo ākāśagarbhāya om ālokya māli-bhāli svāhā/ 小事を捨て大事を取る 左手に宝、右手は傾聴の印 五鈷の印⑬ om amṛta teja hara hūm/ 人の痛みを見る 弥陀の印 五鈷の印左人指し指⑭ om huruhuru chandāli mātaṇgi sāvhā/ 喜ばれる喜びを実行する 薬壷を持ち右は与える印 五鈷の印小指

 ㈧深層意識が見えない矢でありこれが、自分とぶつかると㈦

自我意識が生まれ、記憶や言葉やカラクリとぶつかると㈥思考

識が生まれ、外界の諸物とぶつかると㈤感覚識が生まれる。こ

れは㈦価値観、㈥見えた世界、㈤感じた世界でもある。

㈧見えない矢が自己中心的であるとき、

㈦自我意識は、自分本意で奢りが強く自分が正しいと思い無反

省、他人を馬鹿にするか、自分を過小評価して萎縮して力出せ

ない。

㈥思考識は、見えたものを自分の支配下に置こうとするから、

歪んで見える。自分に都合の良い論理や宗教を立てる。

㈤感覚識は、欲しいものを奪い、嫌いな人を排除する。

㈧見えない矢が抜かれたとき、

㈦自我意識は公平、㈥思考識は客観的、㈤感覚識は取らず捨ず。

㈧矢を利他行菩提心にしたとき、

㈦自我意識は自分も他人も同様に命を大切にする。㈥思考識は

人の痛みを知ってその原因を究明する。㈤感覚識は自分と他人

の救済をする。

 故に、先ず㈧深層意識を清める。

 次に、㈦自我意識を皆一緒のベクトルに変える。

 次に、㈥思考識を人の痛みを知るという慈悲の光りで照らし

て物事を見る。

 次に、㈤感覚識を奪う殺すから与える仲間になるに変換して、

実際に暴力と飢餓から人々を解放して皆一緒の社会をつくる。

 その心で前頁の四仏の真言を唱える。

㈤感覚識

奪う殺すぶつかり合う

⇩与え合う

喜ばれる喜び非暴力

痛みを与えない支配しない

㈦自我意識

慢心・我が正しい優越劣等⇩

皆一緒平等智慧

㈥思考識

敵視謀略差別思想優生思想⇩

正確に知る観察智慧人の痛みを知る

苦悩

㈧深層意識

見えない矢貪り怒り快楽

⇩汚れない大円鏡智慧

 

解説 

㈣如来坐禅の2

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カーマパンコー

自由世界

欲望化

清浄

⑯ 

大大日如来

一切所平等平安、即身成仏なれ

おん ばざら だど ばん

マハー バザラ ダート バン

我と衆生と仏と一体なり

四無量心と五智慧が沸き起こり

一切所平等平安の幸福がある

左人指し指が金剛智慧を示し、そのぬくもりが右手を通して

世界に広がります

金剛界大日om vajra dhāto vam

大大日如来

闘争苦悩

一切所平等平安あらゆるところに

あらゆる人と物に

親しく安穏である

仏心苦悩

仏心苦悩

憂悲苦悩

カーマパンコー

自由世界

欲望化

清浄

平安慈悲

小大日如来

闘争苦悩

仏心

苦悩仏心

苦悩

大日には小と大がある。大日如来の坐禅は先の月輪観や四無量

心観と同じである。先ず満月を思い浮かべ、その満月を平安な

心と思いやりの心で満たす。涅槃と慈悲の心である。涅槃の心

は今までの坐禅の良し悪しで効果が出る。慈悲の心は四無量心

観と衆生救済の実践の成果がものをいう。

⑮ 

大日如来=釈迦如来

仏の心を持ちます。足ることを知り穏やかな平安

な心。思いやりがあり温かな慈悲の心を持ちます。

この心を自分に広げます。世界に広げます。世界

の人々に広げます。

皆一緒大楽よ広がれ

おん ばざら だど ばん

オーン バザラ ダ世界ート バ磐石たれン

先の満月を広げるようにして心と世界を仏の平安と慈悲で満た

す。このように念じて真言を唱え、心が充実するまで何度も唱

えます。

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カーマパンコー

自由世界

欲望化

清浄

左手は自分、右手はひとびと有情世界

左手を右手で包むと、左手のぬくもりが右手へ

と広がります。また、右手のぬくもりに左手は

包まれます

心に仏の満足して穏やかで思いや

りのある心を持ちます。その心

は左手からみんなへと広がりま

す。また、みんなのあたたかさ

が私を守ります。

自分のぬくもりと有情世界のぬく

もりがいっしょになる。これを仏、衆生、

我の三心平等といいます

大日如来は常に覚りをひろげつつ衆生につつま

れているのです

その輪が広がるときみんないっしょ。釈迦世尊

が得た一切所平等平安の大楽世界に到達します。

それは弘法大師の、虚空尽き、涅槃尽き、

衆生尽きるまで願いは果てしないと

いう不死の魂です

私たちはこの世で仏の心を得て、

あの世では諸仏とともに大日如来

の光明世界に生きつづけるのです

生きとし生けるものに幸あれ

大大日如来

平安慈悲

闘争苦悩

仏心苦悩

闘争苦悩

仏心苦悩

一切所平等平安あらゆるところに

あらゆる人と物に

親しく安穏である

カーマパンコー

自由世界

欲望化

清浄

カーマパンコー

自由世界

欲望化

清浄

小大日如来

平安慈悲

仏心

苦悩

Page 12: 皆一緒大仏修行次第 - nehan.netnehan.net › buddha-dharma › tairakongousidai.pdf大日には二種類あり。自分の涅槃至福を叶えて、次には一切衆生㈤大日如来坐禅心の五つの姿を思い浮かべ、煩悩を智慧へと変えていく。㈣如来坐禅みすゞの歌のようにあらゆるものを好きになる境地

12

③大威徳 

福徳 

大道を行く

思いやりの心で大切なものを探る

④金剛夜叉 

熟慮 

思いが全ての始点なり

鈴で良心を覚醒させ五鈷で熟慮させる

②軍荼利 

憤怒 

怒髪天を衝く

世の中の痛みを両手で抱え不条理に怒る

⑤降三世 

世直し 

悪人を踏まず我が悪心を踏む

悪を砕き 

奪わず与え合う世の中へと歯軋りする

左手は私 右手は一切有情大日の智拳印 は我と有情が和する