3. 地形判読調査 - maff.go.jp...機械的処理には「ENVI LiDAR 5.5」を利用した。...

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3-1 3. 地形判読調査 3. 1 地形図作成 フィルタリングされていない航空レーザ計測データを用いて、簡易フィルタリングによる地形図を 作成する。対象とする範囲は、国土基本図図郭の地図レベル 2,5002km×1.5km)の 171 図郭で ある。 以下に図郭位置図を示す。 3.1 航空レーザ計測データの図郭位置図

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3. 地形判読調査

3. 1 地形図作成 フィルタリングされていない航空レーザ計測データを用いて、簡易フィルタリングによる地形図を

作成する。対象とする範囲は、国土基本図図郭の地図レベル 2,500(2km×1.5km)の 171 図郭で

ある。

以下に図郭位置図を示す。

図 3.1 航空レーザ計測データの図郭位置図

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3. 1. 1 簡易フィルタリング

航空レーザ計測データは、フィルタリング処理を経てから 0.5m サイズや 1.0m サイズの地形デー

タとなる。このフィルタリング処理は機械的に実施するものと手動で行う手法がある。機械的と手動

を組み合わせることで、詳細な地形図を作成することができる。本業務では、航空レーザ計測データ

を崩壊地判読に利用することから、機械的に処理をする手法を採用した。

機械的処理には「ENVI LiDAR 5.5」を利用した。

以下にフィルタリング前後の比較を示す。フィルタリング前は、崩壊地周辺の樹木が見えるが、フ

ィルタリングをすることで、樹木下の地形が現れるため、崩壊地の境界を判読することができる。

図 3.2 フィルタリング前後の比較

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3. 1. 2 地形図作成

一般的に航空レーザ計測データから作成される地形図は隣接する図郭間で連続性が保たれている。

図郭毎に処理をすると隣り合う図郭の間にずれが生じてしまい、連続性が保たれなくなる。そのため、

近隣の図郭をまとめて処理し、図 3.3 の白枠で示す図郭範囲で切り出すことでシームレスな地形図を

作成した。

図 3.3 シームレスな地形図の作成

上記のように作成した地形図を以下に示す。

図郭線で不連続となっていない

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図 3.4 フィルタリング前のデータ(傾斜度)

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図 3.5 フィルタリング後のデータ(傾斜度)

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3. 2 地形判読(崩壊地判読) (1)判読の基準

地形判読(崩壊地等の判読)は以下の方針で実施した。

・ 判読は崩壊地,堆積地(林内,林外)の 3 区分として範囲を括る。

・ 崩壊地末端の小規模な堆積は便宜上崩壊に含めて扱う。

・ 地すべりは写真のみでの判別は困難な場合が多いので便宜上崩壊として扱う。 (2)判読とプロット(ポリゴン描画)の手順 ① 土砂移動箇所(崩壊,堆積)の箇所を「地理院画像」で把握

・ 地理院画像で大まかな土砂堆積範囲を把握。(地理院画像は崩壊と堆積を区分しない土砂移

動発生範囲を示しているが,その箇所を的確に拾い出している。崩壊や堆積域の範囲は大まか

であるが,土砂移動箇所の把握に有用である)

図 3.6 国土地理院画像(オルソ画像上に表示)

② 崩壊下流の堆積域の土地利用状況の判断(林地か否か)

・ 農地(水田,畑,牧草)等があれば,林地外の堆積域である「堆積域(林外)」とする。

・ 土地利用がなければ林地とみなし,土砂堆積範囲は「堆積域(林内)」とする。

図 3.7 地形図での土地利用の確認

農地等→堆積域(林外)

山地→堆積域(林内)

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③ 最初に「堆積域」の範囲をプロット

・ オルソ画像の裸地範囲,倒木分布範囲から渓流内の土砂堆積範囲を見極める。

・ オルソ画像で堆積域やその他の範囲を大まかにプロットする。

図 3.8 堆積域の範囲をプロットした状況

・ 続いて DEM 画像(傾斜度画像)上で斜面と平地の境界,微地形から判読される堆積域の範

囲をプロットする。

・ 支流にも緩い地形の堆積域が存在する場合があるので,本流の堆積域を拡張しプロットする

か,または,支流個別の「堆積域」としてプロットする。

図 3.9 DEM 画像上での修正(堆積域)

④ 「崩壊地」のプロット

・ オルソ画像で大まかに崩壊地の形状をくくる。

・ 崩壊地は原則として傾斜のある斜面内とする。堆積域の規模が大きい場合のみ「堆積域」を

区分する。

・ 地すべりも崩壊として扱っている。

・ 裸地が無くても地理院が抽出している場合は極力抽出する。(疑わしきものは抽出しているが,

傾斜度画像等で全く崩壊の存在を確認できなければ除外している)

その他

堆積域

支流の堆積域修正

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図 3.10 崩壊地の範囲をプロットした状況

・ 続いて DEM 画像(傾斜度画像)上で滑落崖,側壁等の微地形に応じて形状を修正する。

・ 崩壊地が接している場合は,程度に応じて1箇所にするか個別にするかを判断する。

・ 影になって見えない箇所は,地理院画像を参考にして崩壊の有無を判別している。

・ 続いて傾斜度画像で滑落崖,側壁の微地形を必要に応じて形状を修正する。

図 3.11 DEM 画像上での微地形の修正(崩壊地)

次頁にプロット例を示す。

崩壊地

微地形を修正

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<プロット例>

図 3.12 崩壊地と堆積域(林外)の組合せ例

図 3.13 崩壊地と堆積域(林内)の組合せ例

図 3.14 崩壊地と堆積域(支流)の組合せ例

図 3.15 崩壊地と小規模な支流の組合せ例

崩壊地

堆積域

(林外)

崩壊地

堆積域

(林内)

崩壊地

支流を堆積

域とした例

崩壊地

堆積域

(林外)

崩壊地

支流も崩壊

地に含めた

崩壊地

堆積域

(林内)

崩壊地

支流を堆積

域とした例

崩壊地

支流も崩壊

地に含めた 例