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2019 年 年年 () 年年 年年年年年年年 「」 ―年年年 「」 年年年年年年 年年年 年年年年年年 年年年年年 年年年年年年年 年年年年 11603183 年年 年年年

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2019 年度 夏課題

(仮)「生徒化」した学生に対するアプローチ

の在り方の検討

―アウトカム基盤型の大学教育改革における「課題」に着目して―

慶應義塾大学

文学部 人文社会学科 教育学専攻

松浦良充研究会

学籍番号 11603183大竹 美奈海

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アブストラクト

 現在の日本において、自律的に学業に取り組むことができない学生の増加、すなわち

学生の「生徒化」が進行している。そうした中で、学生の自律性・社交性を養う教育の方

法を考察することを目的とする。グローバル化や少子高齢化、情報化といった急激に変化す

る社会を生き抜くために、「物事を主体的・批判的に捉える力」や「多種多様な人々と協

同していく力」がより一層求められている。労働市場や産業・就業構造の流動化などによっ

て将来予測が困難になっている今の時代を生きる若者や学生にとって、大学での学びが将来を

生き抜く基盤となるかどうかは切実な問題である。また、こうした状況を踏まえ、筆者は

「生徒化」に伴う大学生の自律性の低下は、対処すべき喫緊の課題であると考えた。

以下に本論文の流れを記す。

序章では、本論文の背景及び目的を述べる。

第1章では、大学生への意識調査および先行研究を参照することで「大学生の生徒化」

言説の概要を明らかにする。はじめに、大学生を対象に行われたアンケート調査の結果

を参照し、大学教育に対し受動的・消極的な姿勢を示す学生が増加している現状を確認す

る。次に、そうした学生すなわち「生徒化」した学生に関する先行研究の検討を行う。第

一に、のちの論者たちの共通基盤となった伊藤茂樹による先行研究を確認する。第二に、

「生徒化」した学生をめぐるその他の諸研究を整理する。以上の一, 二を踏まえたうえで、

本論文の方向性を示したうえで、次章以降へと繋げる。

第 2 章では、本章の目的は、ユニバーサル段階にあたる現在の大学教育像を掴むことで

ある。はじめに、M.トロウの高等教育発展段階説を確認し、「ユニバーサル段階」がど

のようなものであるのかを確認する。次に、その中で進められている大学教育の質的転

換が行われるに至った経緯を概観する。以上を踏まえた上で、先行研究をもとに現在の大

学教育における問題点を明らかにし、次章にて行う授業実践分析の足場を作る。

第3章では、「生徒化」に対するアプローチとして、実践的学習法の一つであるサービ

ス・ラーニング(以下「SL」)を検討していく。はじめに、各機関が提示している文書

や先行研究を参照し、SL の概要を確認する。次に、SL が本論文の文脈で検討するに値す

ると考える理由を示す。最後に、わが国と【比較対象国】における SL の実践事例(構想

中)をそれぞれ確認し、分析枠組み(構想中)に沿った比較検討(構想中)を試みる。

第4章では、比較検討によっ以降のおよび統括につなげたい。(構想中)

最後に今回の執筆に関する反省を述べ、本論文を終える。

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目次

アブストラクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

序章 本論文の背景及び目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3

第 1 章 「大学生の生徒化」言説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4 第 1節 大学生の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4 第 2節 「生徒化」した学生とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8 第 3節 「生徒化」した学生をめぐる議論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9第 4節 先行研究に対する筆者の見解・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

11第 5節 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

11

第 2 章 ユニバーサル段階にある現在の大学教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12第 1節 「ユニバーサル段階」とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12第 2節 大学の質的転換・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

13第 3節 現在の大学教育における「課題」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

18第 4節 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

19

第 3 章 サービス・ラーニングの検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

20

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第 1節 サービス・ラーニングとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

20第 2節 サービス・ラーニングの検討理由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

22第 3節 サービス・ラーニングの実践事例分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・

23(以下構想中)

参考文献リスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

24

参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

30

夏課題の執筆を終えて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

33

3

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序章  本論文の背景及び目的

今日のわが国において、大学という高等教育機関は人々にとって益々身近なものとな

りつつある。平成 30 年度時点で全国には延べ 782 の大学が存在し、学士課程への進学率

は 53.3%と過去最高の数値を記録している(文部科学省 2018)。18歳人口の減少と高

齢化の進行に伴い学生数自体は減少が見込まれているものの、大学への進学率は今後も増

加していくことが予想されている。いわば、現代日本における大学は「ユニバーサル段

階」1にある。

一方で、21世紀の到来をおおよその境に、高等教育研究の分野において「大学生の生

徒化」に関する議論が各所でなされるようになった。2000 年代初頭、当時の大学教員と

学生が置かれている状況について、以下のような記述が見られる。教員については、演

習形式の授業での学生からの発言が少ないことを嘆き、一方の学生は、厳しい入学試験の

突破を目指し「受験学力」の詰め込みに終始しているがために、自らの課題として大学の

講義を聞くことができないことに苛立ちを感じているという(日本福祉教育・ボラン

ティア学習学会 2002)。

筆者は、学生が「生徒化」している状況、すなわち学びに対し受動的な姿勢を示す学生

が多いとされる状況に問題意識を覚える。なぜなら、大学教育には「学業に意欲的に取り

組む環境の提供」が必要不可欠と考えるためである。第一に、「生徒化」が過度に進むこ

とで、学業に対する意欲の減退だけでなく、社会的無関心や対人関係からの回避などにも

つながりかねない(山田 2007)。第二に、社会の目まぐるしい変化を受けて改革が進め

られる大学教育に携わる教職員への負担は、「生徒化」した生徒からの依存度の高まりに

よってさらに増大していくことが予想される。したがって、本論文の目的を、「『生徒

化』した学生に対するアプローチの在り方を明らかにすること」としたい。

1 アメリカの高等教育研究者である M.トロウ(Trow,Martin)が提唱した高等教育発展段階説に基づく。トロウ(1976)は、高等教育は①該当年齢人口の在学率が 15%までの「エリート段階」、② 15〜50%の「マス段階」、③ 50%以上の「ユニバーサル段階」の順に推移し、それぞれは教育課程、目的観、選抜原理、運営形態などの様々な面で質的に異なるとした。第1章2節にて改めて言及する。

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第1章 「大学生の生徒化」言説

本章では、大学生への意識調査および先行研究を参照することで「大学生の生徒化」言

説の概要を明らかにする。

はじめに、大学生を対象に行われたアンケート調査の結果を参照し、大学教育に対し受

動的・消極的な姿勢を示す学生が増加している現状を確認する。

次に、そうした学生すなわち「生徒化」した学生に関する先行研究の検討を行う。第一

に、のちの論者たちの共通基盤となった伊藤茂樹による先行研究を確認する。第二に、

「生徒化」した学生をめぐるその他の諸研究を整理する。以上の一, 二を踏まえたうえで、

本論文の方向性を示したうえで、次章以降へと繋げる。

第1節 大学生の現状

2008 年から 2016 年にかけて、大学1~4年生の 4948名の学生2を対象に、ベネッセ

教育総合研究所によるアンケート調査が行われた。調査の目的は大学生の学習・生活に対

する意識・実態をとらえることであり、「高校時の進路決定」や「友だち関係」、「履修

状況」など、その質問内容は多岐に渡る。

導入として、学生の「大学教育に対する理解・満足度」に関する質問への回答結果を確

認したい(図1,2)。

2016年

2012年

2008年

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

6.9

7.4

8.9

31.5

37.3

40.6

38.4

44.7

49.5

とても満足している まあ満足している Series3

(%)

図1 授業・教育システム(教育内容やカリキュラムなど)に対する学生の満足度3

2 インターネット調査会社の約 420万人のモニター母集団のうち、「大学生」として登録されている約15万人に対して予備調査を実施後、抽出された。また男女比率は文部科学省の『平成 28 年度学校基本調査(速報)』の男女比率に近いサンプル構成であるとしている。回答者の属性比率は、国公立大学と私立大学とでは約7:3、入試偏差値 55 以上の大学とそれ以下の大学では約6:4の割合となっている。

3 ベネッセ教育総合研究所 2016,「第 3回 大学生の学習・生活実態調査報告書 ダイジェスト版 [2016 年]」https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5169 をもとに筆者作成。

5

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図2 大学生活全般に対する学生の満足度4

教育内容やカリキュラムに「満足している」と回答した学生は、2008 年は

49.5%、2012 年は 44.7%、2016 年は 38.4%と8年間を通じて減少傾向にあり、いず

れの年においても半数を切っている。続く大学生活を総合的に判断して「満足してい

る」と回答した学生も同様、2008 年は 64.1%、2012 年は 63.2%、2016 年は 51.1%と年々減少傾向にあることがわかる。

一方、「学びの機会」に関する各質問に対しては、次のような回答結果となっている

(図3)。

4 ベネッセ教育総合研究所 2016,前掲Web サイトをもとに筆者作成。。

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図3 大学において実際に経験したことのある学び5 ※次回までに作成し直します

2008 年から 2016 年にかけて、「グループワークなどの協同作業をする授業(よく+あ

る程度あった)」と回答した比率は 18.1%、「プレゼンテーションの機会を取り入れた

授業(同)」は 16.0%、「ディスカッションの機会を取り入れた授業(同)」は 19.0%増加し、いずれも約7割の学生が経験している。つまり、8年間で学生が“参加型”の授業

を経験する機会は増加していることがうかがえる。

 図1~3の分析結果を通じて、次のことがいえる。「置いてきぼり」「退屈」といった

マイナスのイメージを持たれがちである、一方向的で知識伝達に終始した“講義型”授業の

5 ベネッセ教育総合研究所 2016,「第 3回 大学生の学習・生活実態調査報告書 ダイジェスト版 [2016 年]」https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5169 より抜粋。

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割合は減少傾向にあるにもかかわらず、学生の大学における学びに対する満足度は低下

傾向にあるといえる。なぜこのように矛盾した状況が生じているのか。またそれはどの

ような考えによるものであるのか。

次に、「大学教育観」に関する8つ質問に対する回答結果を確認する(図4)。

図4 学生の持つ大学教育観6 ※次回までに作成し直します

2012 年から 2016 年までの8年間で、学習方法を 自分で工夫 するよりも 大学の指導「 」 「 」を受けたいと考える学生が 11.4%、学生生活について 学生の自主性に任せる よりも「 」「教員の指導・支援」を受けたいと考える学生が 22.9%増加しており、大学に指導を求

める声が大きくなっている。また、「単位取得が難しくても興味のある授業」よりも

6 ベネッセ教育総合研究所 2016,「第 3回 大学生の学習・生活実態調査報告書 ダイジェスト版 [2016 年]」https://berd.benesse.jp/koutou/research/detail1.php?id=5169 より抜粋。

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「あまり興味がなくても楽に単位を取得できる授業」をよいと考える学生が 12.5%増加

しており、授業や学びに対し消極的な印象を抱いていることがうかがえる。

以上の結果から、大学における教育内容やカリキュラム、延いては大学生活に対する現

代の大学生の満足度は低下傾向にあり、その実、学生は大学における学びに対し受動的・

他律的な姿勢を示す学生が増加していることがわかる。このような学生は「生徒化」し

た学生と呼ばれる。

第2節 「生徒化」した学生とは

「生徒化」7という概念を初めて大学生に当てはめて説いたのが伊藤茂樹である。伊藤

によって論じられた「生徒化」の定義や背景は、のちの研究者によっても用いられたと

いう点で、先駆的であったということができる。伊藤は、「学生」には「学校や教師に

依存せずに自律的に学ぶという含意」が込められていると注記した上で、「生徒化」を

「そもそも『学生』であり、生徒ではないとされている大学生について、彼らが『生徒

と化す』現象」を指すと述べている。そして、「生徒化」の構成要素として

① 「未熟性」…自分にはまだ学ぶべきことが多くあると認識している。

② 「他律性」「依存性」…学ぶべきことは、自分で発見し身につけるのではな

く、学校が用意し教えてくれると考えている。

③ 「一面性」…自分を専ら「生徒」として位置付け行動するため、他の側面が希

薄になっている。

の3点を挙げ、これらが当時行われた学生調査の結果にも概ね当てはまることを示した

(伊藤 1999,92)。

加えて、伊藤は「生徒化」の社会的背景についても考察しており、該当するものとして

A) 高等教育のサービス化

B) 1990 年代の社会・経済的状況

の2点を挙げている(伊藤 1999,103)。A は、大学の「初等・中等『学校化』」ある

7 伊藤(1999)よりも先に、「生徒化」の語を用いたのが岩見和彦・富田英典である。岩田ら(1982)は、中等教育段階の子ども達の一側面を捉えた言葉として使用した。

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いは「専門『学校化』」8(以下「学校化」)にあたる。当時は入学時の懇切丁寧なガイ

ダンスやオリエンテーションから始まり、クラス担任による公私にわたる指導(各種資

格の取得や就職のための指導等)が行われることが主流となっていた。この様子を、伊

藤は「学生の現在と未来にわたる生活の様々な側面に関してきめ細かくケアすること」

がよりよい教育サービスの提供であるとされ、「『生徒指導』『生活指導』のごとく、学

業のみならず学生の生活全般に大学は介入し、指導するようになっている」と指摘した。

少子化が進む中で生き残りをかけた大学にとって、学生を確保するためにもこうした

「教育サービス」の提供は行わざるを得ないという。つづく B にあたるのが、バブルの

崩壊と不況である。これらは、就職難や消費的自己実現の崩壊という形で、間接的に学生

に影響を与えるという。「少しでも将来を確実にするために、資格の取得など、目に見

える形での自分の能力や努力、個性を表示するものへの志向性が強まり、これは『生徒

化』につながる」と指摘している。

以上の伊藤による主張をまとめると、「大学生の生徒化」は社会状況に基づいた大学の

「学校化」によって起こり、また「生徒化」した学生とは、自律性が乏しく、学業に対し

て受動的な姿勢を示し、教員による指導を求める傾向にあるとともに、実用性のある教育

内容を志向する受益者感覚が強い学生であるといえる。

第3節 「生徒化」した学生をめぐる議論

「生徒化」した学生に関して、どのような議論がなされてきたのか。以下より、伊藤

(1999)以降の主要な先行研究の概要を確認する。

大学生の「生徒化」を学生文化、若者文化の観点から捉えたのが武内清である。武内

は大学生の学生文化を高校生の生徒文化と比較した際、生徒文化の延長としての側面が

ある一方で、大学生の文化は高校生に比べて非常に広範な広がりと深さを持つことを指

摘している(武内 2003)。一方で、学生が「生徒化」すると大学生の生活は大学の設

定するカリキュラムの中に組み込まれていくようになるため、大学生活における自由

な時間が無くなり、そのような文化的広がりが減少すると述べている。言い換えるな

らば、学生が「生徒化」し大学のカリキュラムに従順になることで遊戯性や対抗性、特

異性等の特質を持つ学生の文化が失われるということである。そして、大学からそれ

らが無くなってしまった場合、大学が学生の自立性を養う場としての機能が失われて

しまうと危惧している(武内 2005)。

8 岩田弘三(2015)による呼称。「学校化社会」といった用語に代表されるような、学校的価値観の社会への浸透を表す言葉としての「学校化」と区別するために、ここでは「初中等」や「専門」という語がつけられているという点には留意しておきたい。

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武内清・濱島幸司・大島真夫は、近年学生の「出席重視」「勉強志向」「教員の指

導」「実学」に対する期待が高まっていることを明らかにした。そして、「生徒化」

は「大人に従順で、自主性が乏しく、与えられた目標を素直に受容する性向」であると

説明している。また、読書などの能動的に学習する機会が少なくなっている状況も問

題視している(武内・濱島・大島 2005)。

大学生の授業への適応という観点から取り上げたのが半澤礼之である。半澤は、量的

調査によるデータから、「生徒化」した学生は大学の授業において学校側が綿密なカリ

キュラムを提供することを望むようになる傾向が強いことを示した。しかし、大学に

おいての学問というのは学校側が与えるものではなく自らが学んで獲得していくもの

であるという認識が強い。そのため、実践的かつ即効性のある知識を望む「生徒化」し

た学生と「主体的な学び」を求める大学の間に学業におけるミスマッチを生み出すこ

とになり、このミスマッチが大学生の学習意欲の低下を引き起こしているという(半

澤 2007)。

岩田弘三は、大学がきめ細かく学生をケアするような「初中等『学校化』」感覚をも

つ学生の意識を学生の「生徒化」と呼び、そうした学生の特徴を 2013 年の調査データ

から分析している。調査結果の分析を通じて、わかりやすい丁寧な板書を求めると

いった「授業に対する『生徒』的要望」が強いことなどが明らかにされている。そし

て、生徒化した学生には「勉強志向」が強いことがうかがえる半面、それが「就職を中

心として『役に立つ』内容こそを重視した『勉強志向』」であるという可能性も指摘さ

れている(岩田 2015)。

「F ランク大学」9に所属する学生に焦点をあてて論じたのが葛城浩一である。これ

にあてはまる学生は、学習に対してある程度肯定的な認識を持っていてもそれを学習

につなげることが出来ないため、自律的な学習が困難であると指摘している。そのた

め、「 F ランク大学」の学生は、大学側が学びの指針等を予め提示することで自律的な

学習習慣を身に付けさせることを可能にすると述べている。これらのことは、各大学

の GP10や初年次教育の分野においても言及されていることである(葛城 2007)。

以上のイからホの先行研究を概観すると、解決すべき問題点として捉えている研究が

多いことがわかる。先行研究に見られた問題点を抽出すると、次の通りになる。

9 「F ランク大学」とは河合塾による大学の格付けであり、通常の合格難易度(A~E までの難易度)が付けられない、つまり受験すれば必ず合格することのできる大学を指す。

10 文部科学省認定の、各大学等が実施する教育改革の取組の中でも、「優れた取組=Good Practice」の略称。GP を選出・支援するだけでなく広く社会に情報提供を行うことで、他の大学等がそれらをを参考にしながら教育改革への取り組みを促進するねらいがある。①国公私を通じた競争的環境、②第三者による公正な審査、③積極的な社会への情報提供をキーワードとする。

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イ) 大学側とのミスマッチによる学習意欲の減退

ロ) 大学における学生独自の文化の衰退

第4節 先行研究に対する筆者の見解

ここまで「大学生の生徒化」言説に関する主要な先行研究を参照してきたが、どの先行

研究も共通して現状把握に留まっており、「生徒化」する学生に対する具体的なアプロー

チ方法に関する考察は行われていない。そして、抽出した問題点の2つのうち、「イ)

大学側とのミスマッチによる学習意欲の減退」に着目したい(「ロ)大学における学生独

自の文化の衰退」については本論文における筆者の問題意識から外れるため言及しな

い)。第1節にて確認した通り、今日「アクティブ・ラーニング」形式の授業が浸透しつ

つあるが、これらの授業実践は学生に対しどのようなインパクトを与えているのかとい

う疑問が残る。

第5節 まとめ

第1章を通じて、今日における「大学生の生徒化」言説の全体像を確認した。その結果 、

これまでの先行研究は、「生徒化」した学生へのアプローチとしてどのような方策が想

定できるのかについては言及されていないことがわかった。そこで次章以降では、実際

の授業実践の検証を行っていきたい。その前段階として、次章では、ユニバーサル段階

にある現在の大学教育の問題点を明らかにすることを試みる。

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第2章 ユニバーサル段階にある現在の大学教育

 本章の目的は、ユニバーサル段階にあたる現在の大学教育像を掴むことである。はじ

めに、M.トロウの高等教育発展段階説を確認し、「ユニバーサル段階」がどのようなも

のであるのかを確認する。次に、その中で進められている大学教育の質的転換が行われ

るに至った経緯を概観する。以上を踏まえた上で、先行研究をもとに現在の大学教育にお

ける問題点を明らかにし、次章における授業実践分析の足場を作りたい。

第1節 「ユニバーサル段階」とは

これまで、大学の変化について論じる際にしばしば引用されてきたのが、M.トロウの

高等教育の発展段階説(以下「トロウ・モデル」)である。大学の量的拡大という高等教

育制度の段階移行に伴う質的変化を示したものである。

トロウ(1976)は、高等教育は①該当年齢人口の在学率が 15%までの「エリート型」、

② 15〜50%の「マス型」、③ 50%以上の「ユニバーサル型」の3段階を示した。序章

にて述べたように、進学率が現在の日本の大学は「ユニバーサル型」の段階にあるとい

える。純粋に学生数が増加するだけでなく、教育課程や目的観、選抜原理、運営形態など

の様々な面において各段階は質的に異なるとしている。3段階それぞれの特徴を簡略化

したものが以下の表1である。

高等教育制度の段階 エリート型 マス型 ユニバーサル型

該当年齢人口に占め

る大学在学率

~15% 15%~50% 50%~

大学の進学要件 制約的

(家柄や才能)

準制約的

(制度的な資格)

開放的

(個人の選択意思)

高等教育観 人間形成・社会

知識・技能の伝達 新しい広い経験の提

カリキュラム 高度に構造化

(剛構造的)

構造化+弾力化

(柔構造的)

段階的学習方式崩壊

(非構造的)

主要な教育方法 個人指導・ゼミ 多人数講義 情報機器などの活用

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制・チューター

+補助的ゼミ

高等教育機関の特色 同質性 多様性 極度の多様性

社会と大学との境界 明確な区分

閉じられた大学

相対的に希薄化

開かれた大学

境界区分の消滅

大学と社会の一体化

大学内部の運営形態 長老教授による

寡頭支配

若手教員や学生参

加の民主的支配

学内コンセンサス

の崩壊?

表1 高等教育制度の段階移行に伴う変化11

表1を概観することでいえるのは、高等教育制度が「ユニバーサル型」段階へと移行し

ていくにつれ、「個」の色が強まっていくということである。今回は一つ一つの特徴に

日本の大学教育があてはまるかを検証していくことはしないが、昨今の動向を振り返る

と、脱・講義型授業の動きやに見られるように、確かに「個」を意識したアプローチを

取っているといえるだろう1213。

第2節 大学教育の質的転換

中央教育審議会大学分科会(2012)は、目まぐるしく変化する社会における大学教育

の在り方について、次のような報告文書を公開した14。

平成初頭以降の種々の大学改革の取組の中で、以前に比べ、大学の教員は教育に多くの時間

を割くようになっており、授業改善のための様々な工夫も進んできている。しかしなが

11 島田博司(2001)『大学授業の生態誌―「要領よく」生きようとする学生』,p220 をもとに筆者作成。12 ここで留意しておかなければならないのが、当時のアメリカ(マス段階)とヨーロッパ(エリート段階)をモデルとした理論であるという点である。天野郁夫は、アメリカとヨーロッパとの共通点・相違点をもとに、日本の高等教育はアメリカモデルとヨーロッパモデルの中間的・折衷的な性格を持つという考えを示している(天野 2013)。13 彼が提唱する理論における「ユニバーサル」は、universal attendance(万人の就学)ではなくuniversal access(万人の機会)や universal participation(万人の参加)であるということにも注意したい。14 下線は筆者による。

14

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ら、国民、企業そして学生自身の学士課程教育に対する評価は総じて低いと言わざるを得

ない。その背景には、大学に対する社会の期待がこれまでとは質的に異なる形で高まって

いることや、大学進学率が5割を超える高等教育のユニバーサル段階の中で学士課程教育

の質の保証が強く求められるようになっている事情がある。

経済を中心とするグローバル化や少子高齢化、情報化といった急激な社会の変化の中、労働

市場や産業・就業構造の流動化などによって将来予測が困難になっている今の時代を生き

る若者や学生にとって、大学での学修が次代を生き抜く基盤となるかどうかは切実な問題

である。予測困難という点は産業界や地域社会にとっても同様であり、変化に対応したり

未来への活路を見いだしたりする原動力となる有為な人材の育成を大学に求めるように

なっている。さらに、大学が機能別分化を進めつつ学士課程教育の質をどう高めていくか

は、高等教育政策の中心課題となっている。

このような時代にあって、若者や学生の「生涯学び続け、どんな環境においても “答えのな

い問題”に最善解を導くことができる能力」を育成することが、大学教育の直面する大きな

目標となる。学士課程教育は、学生の思考力や表現力を引き出し、その知性を鍛え、課題の

発見や具体化からその解決へと向かう力の基礎を身につけることを目指す能動的な授業を

中心とした教育が保証されるよう、 質的に転換する 必要がある 。大学には、その転換に早

急に取り組む責務がある。このような学士課程教育の質的転換の前提として、学生に、授

業時間にとどまらず授業のための事前の準備や事後の展開などの主体的な学びに要する時

間を含め、十分な総学修時間の確保を促すことが重要である。しかしながら、実態として

は学生の学修時間が不足していることが大きな問題である。

前節にて確認したユニバーサル段階にある現代日本の大学教育において、実際に、アウ

トカム基盤型カリキュラムの設計や多様な能力育成手段としての能動的学習(アクティ

ブ・ラーニング)の展開、多面的な学習成果の測定・評価(インスティテューショナル・

リサーチ)および改善につなげる内部質保証システムの構築などの「質的転換」が急速

に進められている。

以下より、わが国において急速に進められ始めているこの質的転換がどのようにして

起こり展開されていったのかを概観する。

1)大学を取り巻く環境の変化

大学を取り巻く環境は、大きく「社会」「大学生」「大学教育」の 3つに分けられ

る。

15

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18歳人口の大幅な減少予測に始まり、大学進学率の上昇、高度な情報化、雇用環

境の変化やグローバル化など、大学卒業後の学生を待ち受ける社会の側が大きく変化

している。特に、バブル経済崩壊以降に到来した就職氷河期やリーマン・ショックに

代表される世界的な金融危機によって、企業は従来型の新卒社会人への手厚い教育

(OJT)に時間や費用を投資することが難しくなり、その結果、大学卒業者に「即戦

力」を求める風潮が強くなってきた。さらに大学卒という学歴の価値は相対的に低下

しており、学歴すなわち「肩書き」だけの受け入れられない。大学教育に対しいっ

そう高い期待や厳しい評価が向けられつつある。

大学教育の主役であり、次世代を担う大学生はというと、目的意識の希薄化、学習

への受動的態度、学ぶ力を含む広義の学力低下、他者との関係性の希薄化、社会に出

るために必要な力(汎用的能力)の欠如など、否定的に語られることが多い。もちろ

んすべての大学生に当てはまるわけではないが、少子化と進学率の上昇によって大

学全入時代を迎え、こうした様態は現代の大学生を一定捉えていると言える。

彼らを受け入れ、送り出す大学教育の側でも大きな変化が生じている。大学に対す

る予算配分の縮減や市場競争化が進み、第三者評価や内部質保証の実質化、 IR(イン

スティテューショナル・リサーチ)を始めとしたエビデンスに基づく教育改革やア

ウトカム基盤型カリキュラムの体系化と可視化、入学者選抜改革やアクティブラーニ

ングの推進を核とした高大接続の一体的改革など、入口・中身・出口とあらゆる局面

で大学教育にも大きな変化が生じている。

2)大学教育で育成すべき能力の拡張

大学教育への期待は、学生に何を身につけさせることができたか、いわゆる学習

成果(ラーニング・アウトカム)という形で具体化される。社会の側の最大の関心は、

どのような力を備えた学生が自分たちを支えてくれるのか、すなわち卒業時(出

口)における学生の「質」にあると言って良いだろう。 その「質」は、これまでで

あれば大学入学者選抜(入口)で担保されていると考えられてきたため、教育(中

身)や教育を通じて獲得した卒業時の能力 (出口)への期待は薄かったが、上述し

た社会変化の中で、大学教育全体へと関心が移ってきた。大学教育を通じて育成すべ

き能力(学生が身につけるべき能力)については、国内外の様々な学術団体や関係省

庁が一定の枠組みを提示している。 国内では、

1. 知識・理解(文化,社会,歴史等)

2. 汎用的技能(コミュニケーションスキル,数量的スキル,

3. 態度・志向性

4. 総合的な学習経験と創造的思考力

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の4領域(13 の能力)で構成された「学士力」(中央教育審議会 2008)や、組織

や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力とし

て、

1. 前に踏み出す力(アクション)

2. 考え抜く力(シンキング)

3. チームで働く力(チームワーク)

の3領域(12 の能力)で構成された「社会人基礎力」(経済産業省 2006)などが

提示されている。日本学術会議においても、専門委員会を設置し、大学教育の分野別

質保証のための教育課程編成上の参照基準を各分野で作成し、ホームページ上で公表

している。そこには、各分野の学びを通じて獲得すべき基本的な知識と理解に加え、

獲得すべき基本的能力(分野固有の能力とジェネリックスキル)が記載されている

(日本学術会議 日付不明)。

3)アウトカム基盤型教育の導入

大学で身につけるべき能力に関する議論が、なぜここまで盛んに行われるのか。

それは各大学の教育やカリキュラムの在り方を大きく規定するためである。日本で

は、育成すべき能力に関する様々な参考指針をもとに、卒業時に身につける能力を

ディプロマ・ポリシー(以下「DP」)の形で明文化することが各大学に義務づけら

れた。同時に、この能力を育成するための教育課程編成・実施および学修評価の方針

としてカリキュラム・ポリシー(以下「CP」)の策定も求められている。そこでは、

最終的な学習・教育目標(アウトカム)から出発して、その実現のためのカリキュ

ラムや授業を編成・実施し、目標に照らして評価・改善を行う、いわゆるアウトカム

基盤型カリキュラムの考え方が推奨されている。文部科学省による平成 27 年度の

「大学における教育内容等の改革状況」に関する調査(文部科学省 2017)によると、

DP を定めている大学は、学部段階で 98.7%、研究科段階で 97.1%とほぼ全ての大

学で DP が策定されている。また、「大学全体で定める人材養成目的や学位授与方針

等とカリキュラムの整合性を考慮」しているかについては、学部段階で 78.3%、研

究科段階で 72.0%となっている。この値をアウトカム基盤型カリキュラムへの移行

と直接的に捉えることはできないが、DP を念頭に置きつつ「カリキュラムの体系性

を明確化する観点からの検討と検討結果の反映」が多く(74.1%)の大学で行われ

ている。また、カリキュラムの改定・刷新を効果的に進める方策として、「履修系統

図(カリキュラムマップ、カリキュラムチャート)の活用」も半数以上の大学で実

践されている。

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4)アクティブ・ラーニングの組織的推進

DP を起点にカリキュラムが見直され、体系的に整理されることと併せて重要に

なってくるのが、教員がどのように教えるのか・学生がどのように学ぶのかという

教授・学習に関する視点である。その際、第2項にて示したような多様な能力(認知

能力や非認知能力)の育成が不可欠となる中、一方向型・知識伝達型の講義のみでは

十分に対応することが困難になってきた。そこで、双方向型・知識構成型の授業とし

てアクティブ・ラーニング(以下「AL」) が注目されるに至った。前述した文部科

学省の同調査においても、「AL を効果的にカリキュラムに組み込むための検討」が

多く(70.1%)の大学で進められており、個々の授業における AL の導入も進んでい

る。大学教育の質的転換の中で登場したアクティブ・ラーニングは、大学入試セン

ター試験の廃止に伴って新たに導入される大学入試を皮切りに、初等中等教育(特に

高等学校)における学習指導要領の抜本的な改定へとつながる。新学習指導要領では 、

育成すべき資質・能力として 3つの柱(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力

等」「学びに向かう力・人間性等」)が掲げられ、その育成のために、「主体的・対

話的で深い学び」(≒AL)が不可欠なものとして盛り込まれることとなる。AL は、

全ての学校教育段階で組織的に取り組むべき課題となり、全ての学校段階において教

育の質的転換が進行している。大学入学前の教育・学習は、入学後の学生の学びを大

きく左右する(溝上 2017)。社会(出口)からの要請に加え、初等中等教育(入

口)の変化にも注視しつつ、大学では AL を含めたカリキュラムや授業の在り方を組

織的見地から検討していくことが求められる。

5)学習成果アセスメントと教学 IR の展開

 次に問題になるのが、カリキュラムや授業を通じて、設定された DP や期待される

学習成果の水準に学生がどの程度到達できたかということである。DP や学習成果を

正解のある試験問題などの客観的指標によって測定できるのであれば大きな混乱は

ないが、求められる能力が多元化・複雑化しているため、容易に測定・評価すること

が難しくなっている。しかし、DP や学習成果を起点に PDCA を回すことが内部質保

証における重要案件である(山田 2018)ため、各大学はアセスメントや評価活動を

集中的に行うための IR 組織を設置するなどの対応を急いでいる。前述した文部科学

省の調査における統計によると、何らかの形で全学的な IR 部署を設置している大学

は、平成 23 年度で 17.5%、平成 27 年度で 54.6%とわずか4年間で3倍以上に増え

ているという。IR 部署は様々な業務を請け負っているが、教学関係に特化した教学

IR では、学習成果の測定・評価が最重要事項となっている。具体的には、代表的な

指標の一つである GPAデータを収集し、学年ごとにその推移を比較したり、修得単

位数と掛け合わせて学生の学習状況を客観的に把握したりしている。そこに、学生調

査等の間接評価型のアセスメントデータを重ねて、授業外学習時間の状況やそれらを

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促す授業やカリキュラムの特徴を探り出すといった取り組みもされている。学生の

中退リスク要因を抽出し、初年次教育の改善を行うなど、教育と経営双方の課題解決

に活かすケースも少なくない。他にも、学生の学習活動に含まれる多様な能力を測

定・評価するためのパフォーマンス評価として、ルーブリックやポートフォリオが

開発され、特定の場面での学習活動のみならず、教育プログラムや長期的なプロ

ジェクトにも応用されている。なお、網羅性や客観性、結果の明瞭性といった点か

ら量的な指標や方法に焦点が置かれがちだが、教育改善への示唆を深いレベルで得る

上では、学生へのフォーカスグループインタビュー(FGI)など質的な指標や方法も

有効であるとされる。

以上の1)から4)を通じて「質的転換」の背景や諸相を概観した。大学を取り巻く社

会が変化し、求められる能力が拡張し、カリキュラムの在り方が変化したことがわかっ

た。こうした状況を、山田(2018)は、「そこには 21 世紀社会における『(教員が)

何を教えるか(teaching)』から『(学生が)何を身につけるか(learning)』への教

授・学習パラダイムの転換15が存在する」と表現している。

第3節 現在の大学教育が有する課題

 前節までを通じて、今日における大学教育の概要を確認してきた。これにより、社会

の変化に伴い、大学教育によって育まれるべきとされる能力は拡大しつつあり、それに

伴い成果を測定・評価する動きが主流となっているという一連の「流れ」があることが

わかった。

 一方で、現在のこうした潮流にも課題があるとされている。先行研究をもとに、指摘

されている課題を以下に挙げる。

① アクティブ・ラーニングの不安定さ

第2節にて確認した通り、学生参加を促進する工夫として、学生の能動的学習、す

なわちアクティブ・ラーニングは組織的に推進されており、その有効性は多くの論

者によって指摘されている。しかし、その実情については依然として不明瞭である

とされ、課題も山積しているのが現状である。岩井(2006)は、教員には従来型の

講義 スタイル で求 め られ る役割と は根本 的 に異なる 「ファシリテーター 」

(facilitator)としての役割であるとし、学生間の人間関係の調整や〈場〉の流れを

15 Barr & Tagg (1995)が提唱した考え方。

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調整するスキルが必要となる。溝上(2007)は、AL には、前提として学生が独力で

学び課題探求・課題解決していくことのできる学習スキル16が必要であるとしたうえ

で、AL の内容(コンテンツ)は基礎知識を必要とし、授業の質を高めようとすると

一授業、一教員の範囲を越えてしまうことを指摘している。

② 教職員への負担の増加

前述した①の最後においても触れたが、制度の改革が行われることで、その制度

を運営する側にのしかかる業務量が増加するのは必然的である。山田(2018)は、

IR機関をはじめとした制度が一定程度整備されている大学においても、教職員の疲

弊感が非常に強く、教員と学生の距離が遠く、学生もいきいきと学んでいないとい

う場面を目にすることが少なくないと指摘する。また、手厚い指導という名の下で、

教職員が献身的に接すると、学生の大人への依存度が高くなり、教職員への負担が増

すといういわば「ループ状態」にあることが調査によって明らかにされている(山

田 2017)。

第4節 まとめ

 本章を通じて、ユニバーサル段階にあたる現在の大学教育像を概観した。その中で、本

論文の方針として第1章にて立てた、実際の授業実践を分析するにあたり、現在の大学教

育の課題とされている「アクティブ・ラーニングの不安定性」と「教職員への負担」と

いう側面を踏まえる必要があると考えた。

次章では、近年能動的学習の教育法として注目が集まっていながらも、いまだ十分に拡

充されているとはいえない「サービス・ラーニング」を分析したい。

16 この例として溝上は、「情報収集や発表、 議論の仕方、レポートの書き方といった初歩的なもの、工学系で言えばハンダ付けや溶接などの基本的な技能、製作技術から、問題発見・発想法、思考の整理法、論・ストーリー構成の方法、機能などのより高次の学習法」を挙げている。

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第3章  サービス・ラーニングの分析

本章では、実践的学習法の一つであるサービス・ラーニング(以下「SL」)を検討し

ていく。はじめに、各機関が提示している文書や先行研究を参照し、SL の概要を掴む。

次に、SL が本論文の文脈で検討するに値すると考える理由を示す。最後に、わが国とア

メリカ(選定中)における SL の実践事例をそれぞれ確認し、次章以降の比較検討および

統括(構想中)につなげたい。

第1節 サービス・ラーニングとは

サービス・ラーニングの定義

「サービス・ラーニング」とは何か。複数の先行研究において SL は、

「越境学習」(学問とコミュニティ・異文化間・自分と他者の越境,振り返りによる自

己の越境の説明など)という学習の特徴を持ち、地域社会活動を通して地域開発・地域

問題解決への貢献と自己成長・キャリア形成を同時になしうる

と定義されている17。管見の限り、上記の定義が最も端的かつ多くの先行研究に概ね

共通しているため、本論文においてもこの定義を用いることとする。

他の類似活動との違い

また SL は、ボランティア活動やインターンシップ、コミュニティ・サービスなど

の活動と混同されがちであるが、これらはどういった点で異なるのか。サービス・

ラーニングをはじめとした諸活動を概念図に表すと、以下の通りになる(図5)。

17 津曲(2013)や中里ら(2015)等を参照。

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図5 諸プログラムの位置付け18

「ボランティア(活動)」は、サービスの提供が主な目的であり、受益者はサービス

を受ける側であるため左端に置かれている。学生がボランティアを通じて利益や学

びを得ることがあったとしても、それは意図された成果ではない。「コミュニ

ティ・サービス19」もボランティアと同様サービス提供が主目的であり、受益者は

サービスを受ける側である。しかし、サービス提供が「ボランティア」よりも長期

化・定期化がする場合があるため、学びを得ることができる。一方、「インターン

シップ」は主に学生自身のアカデミックな学習や現場体験として付加的に設けられ

る活動であり、受益者は学生側であることから右端に置かれている。「フィールド

スタディ」は、カリキュラムの中で正式な研究のための体験機会を学生に提供する

ものであり、専門職養成課程で行われている。

 それでは、SL はどうか。SL は、「サービス」と「ラーニング(学び)」のどちら

にも活動の焦点が当てられており、それにより「サービスの利用者」と「サービス

の提供者」の両者が活動によって利益を得ることができるとされる。つまり、社会

参加活動を単に体験だけで終わらせることなく、活動に参与した人々が「ラーニン

グ」と呼ばれる学習活動にも関与できるように、さまざまな工夫を凝らして成立す

る教育法であると言える。

アメリカにおけるサービス・ラーニング

SL のルーツはアメリカにあるとされるが、どのようにして生まれ、拡大していっ

たのか。以下に、アメリカにおける SL の概要を簡単に記す。

アメリカにおいて「サービス・ラーニング」の語が初めて公的に用いられたのは、

1966 年頃と言われている20。その後、学生のボランティア活動を支援するさまざま

な団体が設立され、それらの中で「サービス Service」と「学習 Learning」を関連

させた用語として「サービス・ラーニング」の語が使われるようになった。

1990 年 代初頭、 「国家お よ びコミュニティ・ サ ービス 法 ( National and Community Service Act of 1990)」や「国家およびコミュニティ・サービス委託

法(National and Community Service Trust Act of 1993)」が制定されると、

サービス・ラーニングを実施する学校に助成金が支払われる仕組みが整備されると、

18 Furco 1996;3 をもとに筆者作成。19 社会福祉や教育、環境などコミュニティの抱える問題を改善しようとする動きのこと(日本総合研究所 2001)。20 オークリッジ大学協会と「テネシー川流域開発公社(TVA)」の協働による、学生と教職員を支流域開発組織と結ぶプロジェクトを説明する用語として使われた(森定 2014)。

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全米レベルで急速に拡大していった。「国家およびコミュニティ・サービス委託

法」は、サービス・ラーニングを次のように定義している。

入念に組織化されたサービスへの積極的な参加を通して学生や参加者が学習し発達

する方法である。

そのサービスはコミュニティのニーズに基づいて行われ、コミュニティのニーズ

を満たすものである。

そのサービスは初等学校、中等学校、高等教育機関やコミュニティとコミュニ

ティとの協働で行われる。

そのサービスは市民的責任感を育成することに資するものである。

その方法は、学生のアカデミックなカリキュラムや、参加者が登録されているコ

ミュニティ・サービス・プログラムの教育的要素に統合され、それらを強化する

ものである。

その方法は、学生や参加者がサービス体験を振り返るための構造化された時間を

提供する。

すなわち、アメリカにおける SL とは、「コミュニティの協働によるサービス体

験」・「市民性教育」・「カリキュラムとの関連性」・「システム化された振り返

り」の4つの特徴を持つ教育方法であると言える。

第2節 サービス・ラーニングを検討する理由

筆者は、実践的学習法の一つであるサービス・ラーニングは、本論文の文脈において検

討するに値すると考える。その根拠となる SL の特徴を以下に示す。

1. 新規性

現在までのところ、日本では SL の概念自体が十分に浸透しておらず、また大学

教育における SL の広がりは未だ限定的である。しかし、前章にて確認した通り大

学の質的転換が叫ばれる中で、学生の主体的な学びを促進しようとする動きは活発

化しており(中矢 2019)、それに伴って、教育政策文書に SL が記載されるなど、

SL の概念自体も徐々に広がりを見せている。つまり、「生徒化」した学生に対す

るアプローチの在り方を検討するうえで新たな示唆を得る余地が存在すると考え

る。

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2. 地域・社会との接点

 2007 年に学校教育法が改正され、大学は教育や研究の成果を広く社会に提供する

ことで、社会の発展に寄与すべきであることが明記された(文部科学省 2007)。す

なわち、大学の使命に社会発展への貢献が明確な形で加えられたということである。

これが顕著に表れているのが、文部科学省がの「地(知)の拠点整備事業」である。

そうした中で、学生がコミュニティへと赴き活動に取り組む SL は、大学と地域、延

いては社会とを結ぶ役割を果たし、大学の「社会への貢献」に寄与するといえる。

また、前章第2節にて確認した通り、2010 年代の大学教育改革における主要な潮

流は、学生による主体的な学びの促進を目指すアクティブ・ラーニングであるが、

SLもその一環として捉えられる。よって同じく前章第3節で挙げた「課題」を孕ん

でいる可能性は否定できない。しかし、「学生」と「大学」だけでなく「地域」とい

うセクターが加わり、また活動自体も地域のニーズという明確な「基準」が存在す

る(中矢 2019)SL は、「課題」の① ,② の両方をクリアーする とも考えることがで

きる。

第3節 サービス・ラーニングの実践事例(構想中)

以下、構想中

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参考資料:ボランティア教育について

「ボランティア教育」とは、一言で言えば「ボランティア」に教育的機能を求めたも

のであると言えるが、両者は具体的にどのように異なるのか。

「ボランティア(volunteer)」は自由意志を意味するラテン語の「voluntas」が語

源とされているが、その概念については様々な解釈がなされている21。

厚生労働省(2007)は、「ボランティア」について次のように言及している。

ボランティアについて明確な定義を行うことは難しいが、一般的には「自発的な意志

に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われており、活

動の性格として、「自主性(主体性)」、「社会性(連帯性)」、「無償性(無給

性)」等があげられる。

続いて伊藤(2017)は、厚労省が挙げた先のボランティアの性格をより深く解釈し、

以下の。ボランティアは「自発性」・「無償性」・「互恵性」・「社会性」の4つの性

格を持つという(逸見・原田・藤枝 2017)。1つ目の「自発性」とは、強制ではなく

自ら進んで行うのがボランティア活動であり、自らのタイミングに可能なことからは

じめることを指す。2つ目の「無償性」とは、有償・無償にかかわらず、見返りを求め

ないことで自らの想像を超えた発見に出会うことを指す。3つ目の「互恵性」とは、活

動の契機が「誰かを助けたい」という気持ちであっても実際は「誰か」に教えられる

ことの連続であり、「生かし、生かされる」関係が構築されることを指す。4つ目の

「社会性」とは、社会や組織の中では誰しも役割を担っており、他者との関わりの中で

自分の役割を見つけることを指す。

 つまり、ボランティアとは、教科科目における学習指導要領のように具体的な方策・命

題をしめす明確な基準は存在しないが、活動としての特性を有しているといえる。これ

を踏まえると、「ボランティア」は「自発的社会参加活動」と定義することとする。

中央教育審議会(2002)は、青少年の奉仕活動等について、次のような答申を発表

している。

大学、短期大学、高等専門学校、専門学校などにおいては、学生が行うボランティア

21 入江幸男は、ボランティアの思想背景に関する研究を類型化した。彼は、諸研究は①宗教思想・道徳思想、②自己実現的思想、③政治的思想の3つに分類出来るとしている(入江 2002,5)。

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活動等を積極的に奨励するため、正規の教育活動として、ボランティア講座やサービ

ス・ラーニング科目、NPO に関する専門科目等の開設やインターンシップを含め学生

の自主的なボランティア活動等の単位認定等を積極的に進めることが適当である。

また、学生の自主的な活動を奨励・支援するため、大学ボランティアセンターの開設

など学内のサポート体制の充実、セメスター制度や、ボランティア休学制度など活動

を行いやすい環境の整備、学内におけるボランティア活動等の機会の提供などに取り

組むことが望ましい。

こうした大学等や学生の取組を支援するため、国においてボランティア教育や活動を

積極的に推進する大学等に対する支援措置を講じることが適当である。さらに、公務

員や民間企業の採用に当たって、学生のボランティア活動等を通じて得られた経験,

能力等を一層重視することが期待される。

以上の答申より、政策的な側面において、大学におけるボランティア活動は推奨され

ていることがわかる。

 それでは、ボランティア活動とは具体的に何を指すのか。前林清和は、ボラン

ティア教育として次の4点を挙げている。

① ボランティアの理念の教育

② ボランティアの方法

③ ボランティアに必要な技術

④ ボランティアの実践活動

すなわち、ボランティア教育とは、まずボランティアの理念は何かを学び、具体的に

組織の中でボランティア活動を実践するための方法論や最低限の技術を身につけ、実際

の体験学習につないでいくこととしている(前林 2009)。

 また、長沼豊(2008)は、ボランティアに関連する多様な用語を次のように用語を

整理している。

A) ボランティア活動:一般的に自らの意思で、意図的に・組織的に、見返りを

求めずに行う公益性のある活動であり、社会に新たな価値を創出するこ

と。

B) ボランティア学習:ボランティア活動の持つ学びの側面、およびその学び

の側面を活かして、意図的な教育活動として構成したものの総称。

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C) ボランティア教育:ボランティア学習を推進するためのシステムの総称 。

以上の先行研究を踏まえ、「ボランティア教育」を「大学教育の中でボランティア活

動による学びと成長を促すためのプログラム」と定義することができる。

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夏課題の執筆を終えて

【お礼と振り返り】

この度は、ご多用のところ私の拙稿を最後まで読んでいただき、ありがとうござい

ました。春課題検討時にいただいたコメントを改めて参照しながら春課題を読み直し、

自身の主張等々の薄さに驚愕するところから始まりました。そして、「大学生の生徒

化」と大学の「ユニバーサル化」についての先行研究を整理し直すことから始めまし

た。今回は、

「生徒化」言説およびユニバーサル化した現在の大学教育像を掘り下げること

サービス・ラーニングにこじつけようとしないこと

の2点を意識して取り組みました。

【夏課題の反省点】

春課題同様、この度の夏課題にも反省点は数えきれない程ございますが、敢えてい

くつか挙げさせていただくならば、以下の3つになるかと思います。

① 字数が圧倒的に少ない。

→3度目の執筆ながら「論の展開のさせ方の模索」と「大学史の咀嚼」に時

間を掛けすぎてしまいました(にもかかわらず自分の中に落とし込み切れ

ていません)。前回に引き続き大変不甲斐なく思います。

② いまだに先行研究や公的資料を鵜呑みにし気味。

→読み返してみると、批判的検討をしている「つもり」であったことに気

付きました。そのため各章での考察も浅く、それぞれが独立していて一貫

した論がちぐはぐになっているなと感じます。

③ SL を「どのように」分析するのかが決まっていない。

→③ が一番大きな原因ですが、はじめに興味をもったトピックであり、新た

な先行研究が最近登場したこともあって、またしても登場させてしまいま

した。今回も「結局こじつけでは?」と皆さまをモヤモヤさせてしまった

ことと思います 申し訳ありません。

【次回提出までに行うこと】

i. 1章と2章を補強する。

ii. 「生徒化」は解決すべき!という主張のままで良いか再「再」度検討する。

iii. (このままで進める場合は)SL分析枠組みを設定する。

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【最後に】

どんなに些細な点でも、率直なご意見・ご指摘をいただけると嬉しいです。上述

した反省点や「次回提出までに行うこと」についてに加えて、

批判的検討を加えるべき/加えると面白そうなところ

1章と2章の構成について

分析枠組みを用いるとしたら…

などに対するアドバイスもいただけると泣いて喜びます。お忙しいところ恐縮です

が、何卒よろしくお願いいたします。

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