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Title 瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』―歌詞と音楽からの考察― Author(s) 仲松,あかり Citation 沖縄キリスト教短期大学紀要(46): 41-58 Issue Date 2017-10-16 URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/22135 Rights 沖縄キリスト教短期大学

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Title 瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』―歌詞と音楽からの考察―

Author(s) 仲松,あかり

Citation 沖縄キリスト教短期大学紀要(46): 41-58

Issue Date 2017-10-16

URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/22135

Rights 沖縄キリスト教短期大学

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仲松あかり:瀧廉太郎の幼稚園唱歌

瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』

―歌詞と音楽からの考察―

Rentaro Taki and Children Songs: Its Song Lyrics and Music

仲 松 あかり

Akari Nakamatsu

要 約

瀧廉太郎(1879〈明治12〉年~1903〈明治36〉年)は、明治期を生きた日本を代表する作曲家であり、23

歳10ヶ月という短い生涯のなかで数々の名曲を残した。そのなかに、日本で初めての幼児向け伴奏つき口

語歌唱集『幼稚園唱歌』がある。本論文は、瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』の楽曲分析を通し、歌詞と音楽の

つながりやそれぞれの曲への理解を深めると共に、指導方法について考え、『幼稚園唱歌』の教育的意義に

ついて考察するものである。

出版された『幼稚園唱歌』(共益商社、1901〈明治34〉年7月)には、瀧による「凡例」として、これら『幼 稚

園唱歌』の理念や指導のための方法が明確に記されている。瀧が作曲した17曲の『幼稚園唱歌』のうち、

12曲を東くめ(1877〈明治10〉年~1969〈昭和44〉年)が作詞しており、彼らを中心に、子ども向けの易し

い話し言葉で歌を作りたいとの想いで『幼稚園唱歌』が生まれた。これら『幼稚園唱歌』は、現代では 見

ることのできない日常生活や遊び、四季それぞれの情景や生き物の様子、日本昔話等子ども達が興味を 持

つよう考えられた歌詞に、調、拍子、音域等、様々な面で子ども達が歌唱しやすい曲がつけられており、主

要三和音を多用し簡潔に作られた伴奏は、幼児教育者にとっても弾きやすいものである。このように瀧 の

『幼稚園唱歌』は、今日の幼児教育においても非常に意義の高いものであり、これからも指導する立場 と

して良さを伝え続けたい。

Ⅰ.瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』

1.瀧廉太郎の生涯

日本の近代音楽の先駆者である瀧廉太郎の生涯を、以下に年表にして整理する。

1879(明治12)年 8月24日東京市芝区南佐久間町(現在の東京都港区西新橋)に長男として

生まれた。

1882(明治15)年 父の人事異動により家族と共に横浜に移住。

1886(明治19)年 5月に神奈川県内の小学校へ入学するが、父の人事異動により富山へ移住

し富山県内の小学校へ転入。

1888(明治21)年 父が休職となり東京へ戻る。

1889(明治22)年 父が大分県大分郡長となり家族は大分へ移住するが、廉太郎は祖母、長姉

と共に東京に残る。

1890(明治23)年 小学校尋常科を卒業し大分の両親の元へ移り、小学校高等科に入学。

1891(明治24)年 父が大分県直入郡長となり竹田へ移住。

1894(明治27)年 4月に15歳で小学校高等科卒業後、上京。9月に東京音楽学校(東京藝術

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大学の前身)予科入学。

1895(明治28)年 東京音楽学校予科を修了し、本科(専修部)に進学。その後専修部3年ま

で進級。

1898(明治31)年 19歳で、東京音楽学校本科(専修部)を主席卒業し研究科に進学。

1899(明治32)年 東京音楽学校研究科2年に在学しながら、同学校ピアノ指導の嘱託となり、

その後授業補助を務める。(共に月給10円)

1900(明治33)年 21歳で、ピアノ及び作曲研究の為満3ヶ年のドイツ留学を命ぜられる。東

京音楽学校初の男子留学生となり、皆の大きな期待を背負う。同年麹町区

博愛教会にて洗礼を受けキリスト教徒となる。歌曲集『四季』が出版される。

1901(明治34)年 3月に『中学唱歌』が出版される。4月に横浜港よりドイツへ出発。7月

に『幼稚園唱歌』が出版される。10月にライプツィヒ王立音楽学校に合格

し入学後、12月に肺炎のため聖ヤコブ病院へ入院。

1902(明治35)年 7月に文部省より帰国を命ぜられる。10月に横浜港帰着。11月から大分町

にて病気療養する。

1903(明治36)年 病気療養しながら作曲を続けるも、2月に最後の作品『憾』(ピアノ曲)

を作曲後、肺結核のため6月29日に23歳と10ヶ月という短い生涯を終え、

大分市東新田(現在の金池町)万寿寺に葬られた(注1)。

以上のように瀧は、両親をはじめ、姉妹と弟を合わせた7人(姉1人と妹1人は、廉太郎よ

りも先に亡くなった)と、祖母や従兄家族とも良い関係で助け合って生活しており、短い生涯

の中で数多くの地での生活を経験し、四季折々の様々な風景と詩情あふれる人々の営みを肌で

感じたことが、作詞・作曲にも大きく影響したと考えられる。今もなお、記念の音楽祭やコン

クール等が日本各地で行われており、碑も日本国内に17ヶ所、ドイツのライプツィヒに1ヶ所

所、記念館が日本国内に2ヶ所あり、瀧の功績の大きさと皆に愛されていることがわかる。

2.瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』

瀧の『幼稚園唱歌』は、1900(明治33)年から1901(明治34)年頃の最も充実した時代に書

かれ、1901年4月にドイツへと留学のために出発する、その間際まで作曲が続けられたと伝え

られている。

瀧は東京音楽学校に在学しながら授業補助としても勤めていた1899(明治32)年、作曲にも

一層力を入れていた。当時の子ども向けの歌は、西洋の音楽に難しい文語体の歌詞がつけられ

たものであったため、易しい話し言葉で歌いやすい曲を書きたいと考えていた。同じ頃、東京

音楽学校の先輩である東くめと、その夫で幼稚園の批評掛をしていた東基吉も瀧と同じことを

希望しており、東夫妻は、くめが作詞し、瀧が作曲をと提案したところ瀧も喜び、瀧の親友で

ある鈴木毅一を含む4人で『幼稚園唱歌』集の企画が叶った。瀧は、児童文学作家で童謡の第

一人者でもある巌谷小波を3回訪ね相談し、瀧自身も作詞を手掛け、実質的な編集も一人で行った。

このようにして出版社である共益商社に原稿を提出し、1901(明治34)年7月25日発行の

『幼稚園唱歌』に、全20曲(うち3曲は、瀧ではなく鈴木の作品)が収められた。出版された

『幼稚園唱歌』は、ドイツの瀧のもとには9月に届いた。

以上のように瀧の『幼稚園唱歌』は、日本最初の幼児向け口語唱歌集となり、幼児の歌に伴

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奏をつけたのも日本では瀧が初めてであった。

3.作詞者と東くめ

瀧が作曲した『幼稚園唱歌』17曲のうち、半数以上の12曲が東くめの作詞によるもので、残

りのうち4曲が瀧自身の作詞によるもの、また佐佐木信綱によるものが1曲ある。

作詞 作曲 瀧 廉太郎 東 くめ 佐佐木 信綱 鈴木 毅一

瀧 廉太郎 4曲 12曲 1曲 なし

鈴木 毅一 なし なし なし 3曲

作曲家にとって良い詞との出会いは非常に重要で、『幼稚園唱歌』の他にも6曲「春の海、

四季の瀧、懐友(瀧編曲)、猟夫(瀧編曲)、夕立(瀧編曲)、納涼」を作詞した東は、瀧の作

曲に大きく影響した。東の生涯を以下に記す。

東くめ

1877(明治10)年 6月30日紀州(和歌山県)新宮に長女として生まれ、幼少の頃から祖母と

叔父に古今の名文や名歌、漢籍を習った。

1887(明治20)年 10歳で大阪の女学校に入学するが、12歳の時叔父のすすめで東京音楽学校

を志望する。

1889(明治22)年 東京音楽学校選科に入学しピアノと唱歌を学ぶ。

1892(明治25)年 東京音楽学校予科に入学。

1896(明治29)年 東京音楽学校専修部を卒業後、研究科に入りピアノと和声学を研究した。

在学中より作歌、作詞にその天分が発揮され、研究科で学ぶかたわら東京

府高等女学校の教諭を勤めた。

1899(明治32)年 に『四季の瀧』、翌年に組曲《四季》の中の『納涼』を作詞し、これらを

2年下級生の瀧が作曲した。

東京女子高等師範学校教授兼付属幼稚園の批評掛をしていた東基吉と結婚

した。

1959(昭和34)年 東京音楽学校創立80周年記念祝典にて、長年我が国の音楽の発展に貢献し

た功績により表彰された。

1969(昭和44)年 91歳の天寿を全うした(注2)

4.瀧廉太郎による「凡例」

出版された『幼稚園唱歌』(共益商社、1901〈明治34〉年7月)には、瀧による「凡例」として、

これらの唱歌がどのような理念に基づいて作曲され、またどのように指導に用いられるべきなのかが、

明確に記されている。まずは「凡例」の原文を以下に示す。

凡 例

一、本書載する所の歌曲の品題は、児童が日常見聞する風物童話等に取り、主として四季

の順序に排列したれば、教師は其期節の折々に応じて適当なるものを撰み、先ず談話

問答等に由りて、児童の興味を喚起せしめ、然る後一句ずつ口授するを宜しとす。

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一、歌曲の速度は、決して緩漫に流るべからず、寧ろ急速なるべし。なほ本編収むる所の

歌曲は、凡て遊戯に添ひ得べきものなれば、或は適当の動作等を加へて、以て一層の

興味を添ふるをよしとす。

一、唱歌の方法は活撥なるべし。然かもよく児童の発音に注意し、決して粗暴なる叫声を

発せしむべからず。又児童の歓心を買はんとて、徒らに多数の曲を教ふるはよろしか

らず。甲の歌曲充分熟練して後、はじめて乙の歌曲に移るべし。

一、本書の歌曲は、其興味を助けん為め凡て伴奏を附したり。然れどもこは先づ口授法を

以て、児童の大抵熟達したる後、楽器を添へて歌はしむる際に用ゐんが為にして、初

めより教授に伴はしめんが為めにはあらず。

一、本書歌詞の仮名遣ひは、凡て文部省新定の方法に由りたり(注3)。

以下現代語訳として、主な部分を要約する。

本書の歌曲は、児童が日常生活で見聞きするものを題材とし、四季の順に配列しており、教

師は季節に応じて適当なものを選択し、会話や質問と応答のやりとりによって児童に興味を湧

かせた後、一句ずつ口伝えで指導する。

歌曲のテンポは、遅くならず速くする。全ての曲は、遊戯として使用或は、適当な動作等を

加えることで、より一層児童の興味を高めることができる。

歌唱の方法は児童の発音に注意し、決して乱暴な叫び声を出さないようにする。また、児童

に関心や喜びを持たせるために、多数の曲を教えない。一つの曲を充分に熟練した後、初めて

二曲目に移る。

本書の歌曲は、興味が湧くよう全てに伴奏を付けている。しかしながら、先ず口伝えのみを

用いて教え、児童がおおよそ歌唱できるようになった後、楽器を用いて伴奏を付ける。初めか

ら楽器を使用して教えてはならない。

本書の歌詞の仮名遣いは、全て文部省の新たな方法を用いている。

このように、瀧自身の指示が細かく記載されており、題材や構成の順番の意図、教師に選択

の力が求められること、子ども達との会話を大切にすること等がわかる。テンポについても指

示があり、各曲ごとにテンポの表記が記されていないことも理解できる。子ども達の興味関心

を高めるための方法や、歌唱における声の出し方の注意まで、実に丁寧に述べられていること

に驚かされる。特に、音程もリズムも正確でないまま、歌っているのか叫んでいるのかわから

ない状態で、歌唱を行っている子ども達を目にすることは少なからずあり、気をつけたいとこ

ろである。また、多数の曲を一度に教えるのではなく、一曲を充分に熟練する必要があること

に、瀧のこだわりが感じられる。さらに、日本において幼児の歌に初めて伴奏がつけられた曲

でありながらも、先ずは口伝えのみを用いて指導することが強く求められている。歌詞につい

ても、文語ではなく口語で幼児用の歌が作られたことは、その後の幼児用曲に大きく影響した

と考えられる。これら全てを教師が理解し熟知した上で書かれている通りに指導していくこと

は、たやすいとは言い難いかもしれないが、実行することが子ども達の成長の一助になること

は間違いなく、充分な予習や準備が求められる。

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Ⅱ.楽曲分析

ここでは瀧廉太郎が作曲した『幼稚園唱歌』について、主に歌詞と音楽の観点から楽曲分析

を行う。なお、譜例は『瀧廉太郎全曲集 作品と解説』(音楽之友社、2016年)を使用し、和音

分析と和音記号の表記は筆者が行った。

【楽譜1】1.瀧廉太郎作詞・作曲「ほうほけきょ」

ヘ長調 4分の2拍子 32小節 1番

最低音一点ハ音-最高音二点ニ音

歌詞を見ると、鳥を擬人化して書かれていることがわかる。黄色と青の羽毛を着物と表すこ

とが、子ども達の理解の助けにもなると考えられ、「けきょけきょ」という擬音語の発想も見事

である。全て8分音符で構成されている伴奏は、鳥が鳴いているようにも聞こえる。

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【楽譜2】2.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「ひばりはうたひ」

ト長調 4分の4拍子 24小節 1番

最低音一点ト音-最高音二点ニ音

「ひばりはうたい」と、「ちょうちょはおどる」という擬人表現が、「ひばりは鳴き」や「ちょう

ちょは飛ぶ」のように、実際の生き物の様子をそのまま歌詞にしていないところに、東くめの作詞力

が表れている。春の植物が五つあげられ、これらの植物が見られない地域においても、この曲を通して

春を感じることができると言えよう。花や草を自由に摘んでお母さんへのお土産にする事を、現代の子

ども達が経験した事があるのだろうかと考えさせられる。

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【楽譜3】3.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「鯉幟」

ト長調 4分の2拍子 16小節 1番

最低音一点ト音-最高音二点ホ音

全曲の中で一番音域の高い、二点ホ音が一音のみ使われている。「のぼってゆく」という歌

詞で使われており、歌詞と音楽のつながりがここでもわかる。

【楽譜4】4.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「海のうへ」

ヘ長調 4分の2拍子 20小節 1番

最低音一点ハ音-最高音二点ハ音

この歌詞でも、現代の日常生活の中ではなかなか目にしない光景を知ることができる。また、こ

の他にも、海の上の様々な情景を思い描くことができるだろう。

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【楽譜5】5.瀧廉太郎作詞・作曲「桃太郎」

ト長調 4分の2拍子 16小節 1番

最低音一点ニ音-最高音二点ホ音

4つのフレーズから構成されるが、その全てが付点8分音符と16分音符のリズムで終わると

いう規則性がある。伴奏は4分音符の和音の連続で、桃太郎とお供達の1人と3匹が歩いて行

く様子が想像できる。日本昔話を知る機会にもなるだろう。

【楽譜6】6.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「お池の蛙」

ト長調 4分の2拍子 8小節 1番2番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

擬音語の「くわっ」という蛙の鳴き声にはⅠ度以外の和声も使われ、通常の和声進行の規則

に沿っただけではなく、鳴き声の様々な高低を表しているとも感じられる。

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【楽譜7】7.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「夕立」

ト長調 4分の2拍子 16小節 1番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

雷「ごろごろ」、稲光「ぴかぴか」、夕立「ざあざあ」が擬音語で表され、どれも子ども達が興味

を持つものである。伴奏の8分音符の和音の連続により、空の暗さや重さを想像することができよう。

【楽譜8】8.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「かちかち山」

ニ長調 4分の2拍子 16小節 1番2番3番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

日本昔話が簡潔に凝縮されている。3つの擬音語「かちかち」、「ぼーぼー」、「ざぶざぶ」が

使われており、子ども達が物語の想像を広げさせることができる。さらに、付点8分音符と16 分音

符のリズムで3つの擬音語を引き立たせると同時に、うさぎのしめしめと思う気持ちが表されている

ようにも感じられる。

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【楽譜9】9.瀧廉太郎作詞・作曲「水あそび」

ト長調 4分の2拍子 12小節 1番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

擬音語「ちゅっ」が使われているが、現在は「しゅっ」となっている。現代では、見ること

すらほとんどできない水くみを知ることができる。また、生活するためのお手伝いの中で子ど

も達が遊んでいたこともわかる。

【楽譜10】10.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「鳩ぽっぽ」

ヘ長調 4分の4拍子 12小節 1番

最低音一点ハ音-最高音二点ニ音

リズムが変化に富んでおり、擬音語「ぽっぽ」も3つのパターンが使われている。子どもが鳩に

話しかけている歌詞で、餌を食べ終わっても鳩にいなくならないでほしいという子ども心が表れて

いる。くめが、浅草の観音さまの境内で、鳩とたわむれる子ども達の様子を見てこの詞を書いた。

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【楽譜11】11.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「菊」

ト長調 4分の4拍子 16小節 1番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

菊の花に、赤・黄色・白がある事を理解できる。菊の花でなくても、庭や公園等にある花を

観察するきっかけにもなるだろう。

【楽譜12】12.瀧廉太郎作詞・作曲「雁」

ヘ長調 4分の4拍子 16小節 1番

最低音一点ヘ音-最高音二点ハ音

旋律のモチーフがほぼ同様に構成されている。「五つ六つ」という歌詞で、一種の数字の数え

方を知り、覚えることができる。

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【楽譜13】13.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「軍ごっこ」

ト長調 4分の4拍子 16小節 1番2番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

伴奏のおおよそが4分音符の三和音となっており、ハーモニーの厚さから勇ましさが感じら

れる。また、3・4・7・8小節の、4分音符・付点8分音符と16分音符・4分音符・4分音

符の組み合わせにより、行進の様子やラッパの音がリズミカルに表現されている。現代におい

て、歌詞には賛否両論出てくる可能性もあるが、この歌詞と曲が生まれた背景や、当時の考え

方を知る事は大切であると言えよう。

【楽譜14】14.佐佐木信綱作詞・瀧廉太郎作曲「雀」

ヘ長調 4分の2拍子 16小節 1番2番

最低音一点ニ音-最高音二点ニ音

1番が子どもから雀への問いとなっており、2番で雀が返答している。雀の鳴き声「ちゅう

ちゅう」が、擬音語として使われている。

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【楽譜15】15.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「雪やこんこん」

ハ長調 4分の2拍子 16小節 1番

最低音一点ハ音-最高音二点ハ音

付点8分音符と16分音符で、雪やあられに喜び興奮している子ども達の様子が表されている。ま

た、雪がぱらぱらと降ってくるようにも感じられる。

【楽譜16】16.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「お正月」

ヘ長調 4分の4拍子 12小節 1番2番

最低音一点ヘ音-最高音二点ハ音

正月の楽しい遊びを心待ちにしている子ども達の期待感が表れている。様々なジャンルの音

楽に溢れ、生の音楽や昔の音楽の重要性が薄れてきている今日、この曲を一度も耳にしたこと

のない日本人は少ないであろう。正月の時期にはスーパーマーケットやテレビCMでも使われ

るこの曲のみは、数多くの楽譜や教材にも掲載されている。旋律は子どもから大人まで誰もが

知っているが、瀧廉太郎の作曲であることを知っている人は少ないのではないか。更に、この

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歌詞にある遊びを実際に正月に行う人はどれぐらいいるだろうか。凧揚げ、独楽回し、毬つき、

追羽根が何かということさえ、子ども達は知らないのではないかと思ってしまうのが現代の生活

であろう。

【楽譜17】17.東くめ作詞・瀧廉太郎作曲「さよなら」

ト長調 4分の4拍子 20小節 1番

最低音一点ニ音-最高音一点ロ音

最高音に全曲の中で一番低い一点ロ音が使われ、終曲にふさわしく、落ち着きや、皆が帰っ

て静かになっていく情景が想像できる。旋律と伴奏共に、4分音符・2分音符・付点2分音符

で構成され、別れの様子や、充実した1日が思い出される印象を受けるが、18小節においては、

「ごきげんよう」の言葉のリズムに合わせて唯一8分音符が使われていることに注目したい。

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Ⅲ.考察と指導への提言

1.考 察

以上のように17曲の瀧の『幼稚園唱歌』を楽曲分析することで、以下のような特徴が明らか

になってきた。

調に関しては、調号がないものから2つまでの長調で作曲されている。使用されている和音

は、Ⅰ度(主和音)・Ⅳ度(下属和音)・Ⅴ度(属和音)・Ⅴ7度(属七の和音)の主要三和音や

属七の和音が圧倒的に多く、これらの和音が様々なパターンの分散和音となって伴奏が構成さ

れている。8分音符と4分音符を多用した単純な伴奏の中で曲によって音の厚さを変えたり、

効果的に付点音符や16分音符が用いられていることで、それぞれの曲のイメージを伴奏からも

感じ取ることができる。また、多くの演奏技術を必要とするものではなく比較的弾きやすい伴

奏で、音楽のみを専門として学ぶわけではない幼児教育者の事も考えての作曲と言えよう。旋

律においては、ト音記号(右手)が全ての旋律となっており、音域は最低音が一点ハ、最高音

が二点ニで、子ども達が無理なく歌唱できるよう考えられていることがわかる。旋律に半音が

ないことも、歌いやすい要素である。

拍子については、単純拍子が用いられ2拍子系のみである。3拍子系は日本人にとって馴染

みがなく難しい拍子とも言われており、それを考慮しての作曲と言える。

曲の長さは、最も短いもので8小節の、全曲32小節以下で構成され、演奏時間は平均1分弱

程度である。歌詞においては17曲中12曲が1番のみとなっており、子ども達の集中力や興味を

ひく工夫が見られる。

歌詞と音楽のつながりも密接で、言葉のアクセントに合わせたリズムや、言葉の意味に沿っ

た旋律がある。多くの擬音語も子ども達の理解や想像の助けになると共に、生き物になりきっ

たり動作を付ける際のヒントにもなりえよう。また、今は見る事も殆どない日常生活の光景や

四季折々の特徴が書かれており、日本の歴史や文化、自然を知る重要な意味を持つ。

これらのことから、瀧の『幼稚園唱歌』への強い想いや願いと深い理解、親しみやすさを追

求した様子がわかる。さらに、作詞者の重要性と瀧の作曲のみならず、瀧の優れた作詞力にも

驚かされる。

2.指導への提言

ではこれらの特徴を持った瀧の『幼稚園唱歌』は、今日においてどのように指導されるべき

なのだろうか。筆者が何よりも重要だと考えるのは、瀧の記した「凡例」に沿って、指導を行っ

ていくことである。

具体的にはまずは、季節に合った曲を選択し、子ども達との会話の中で興味関心を引き出し

ていく。例えば、夏。子ども達が夏に遊びたい事は何か、行きたいところはどこか、どんな生

き物が活動しているか、どんな植物があるか等をはじめ、沢山のキーワードを出させる。その

後実際に遊んだり、見聞きしたりし、曲に入りやすい状態をつくる。

続いて、その次に重視したいのは、まずは楽器を用いずに、一句ずつ口伝えで指導していく

ことである。そのために、教師が曲をよく理解し覚えておくことも必要であろう。また、乱暴

な歌唱にならぬよう教師が手本として歌唱したり、子ども達への声掛けが大切になる。さらに、

テンポにも気を付け、擬音語や歌詞をヒントに遊戯や動作を取り入れ、楽しんで歌唱することを

心がけたい。

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沖縄キリスト教短期大学紀要第46号 (2017)

以下、声楽家としての訓練を続けてきた筆者が、特に指導の際に留意しておきたいと考える

ことを、曲ごとに記しておく。

1.ほうほけきょ

擬音語の「けきょけきょ」は子ども達にとって発音しにくいため、ゆっくりと大きく口を

動かして見せて練習する。

2.ひばりはうたひ

旋律で繰り返される付点4分音符と8分音符のリズムを、言葉のアクセントや明瞭な発音

を活かして歌唱する。

3.鯉 幟

歌詞の「のぼって」(11小節目)のシンコペーションを正確に歌唱するために、階段を上

る動作や手拍子等を用いてみる。

4.海のうへ

2小節目と3小節目の3回発音する「ん」で、声を呑み込まないよう注意する。

5.桃太郎

付点8分音符と16分音符の細かいリズムをよく練習し、音符1拍に2つの言葉が入ってい

る「ろう」(1小節目)と「ほう」(10小節目)は流してしまわない。

6.お池の蛙

擬音語「くわっ」を、蛙をイメージして楽し気に歌唱したい。

7.夕 立

3つの擬音語を強調させるとより良い。

8.かちかち山

全曲の中で一番長い3番まであるため、紙芝居等を用いてストーリーを理解させると曲の

イメージが持ちやすい。付点8分音符と16分音符のリズムが何度も繰り返されるため、スキッ

プをしながら歌唱する等してリズムを体で覚えたい。

9.水あそび

実際に水でっぽうで遊びながら歌えるまでになると良い。「ん」の発音に注意する。

10.鳩ぽっぽ

リズムの変化と言葉も多いため、丁寧に何度も繰り返して覚えていく。

11.菊

全曲の中で最高音である二点ニが繰り返し出てくるため、発音を意識して良い発声につな

げる。決して無理をさせず、叫ばないよう気をつける。

12.雁

普段馴染みのない鳥だと思われるため、写真や絵等、イメージを持ちやすい資料があると

良い。「ん」の発音に注意する。

13.軍ごっこ

実際に行進しながら歌唱することで、リズムも体に入り想像の助けになる。二点ニ音が連

続する最後の4小節は特に気をつける。何度も発音する「ん」にも注意する。

14.雀

1番を歌唱するグループと2番を歌唱するグループで分けてみると、歌詞のように会話に

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仲松あかり:瀧廉太郎の幼稚園唱歌

なることを理解しやすい。

15.雪やこんこん

雪の降らない地域の子ども達にとって、憧れの雪を想像できる。付点8分音符と16分音符

のリズムをはっきり歌唱し、ワクワクする様子を出す。「こんこん」の発音に注意する。

16.お正月

歌詞に出てくる遊びを経験できると良い。街中で聞こえてくるため、旋律は子ども達も覚

えがはやいだろう。子ども達が、瀧廉太郎の作った歌であることを知り、大人達にも広がっ

ていくことを願う。

17.さよなら

他の曲と違い2分音符と付点2分音符が多いため、短く切れないように気をつける。最後

の「さようなら」のシンコペーションを、言葉のアクセントに合わせて歌唱する。

以上のように瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』は、瀧や東らの、子ども達に歌いやすい音楽をとの

熱い想いや、幼児教育への深い理解から生まれた。口語の歌詞とはいえ、現代ではほとんど使

われない言葉や、見ることのない日常生活の様子や風景があり、それは現在の子ども達から私

達大人にとっても古いものでもあるかも知れないが、これらから気付かされる事が多くあると

考える。また、自然の現象や生き物を題材とした内容も多く、自然や生き物に触れ合う機会の

助けになると共に、子ども達の感性が豊かになっていくであろう。さらに、簡潔に構成された

音楽は、子ども達だけではなく幼児教育者にとっても親しみやすいもので、音楽によって自然

と様々なことを覚え理解していくことができる。これらの意味において、今日の幼児教育にお

いても非常に意義の高いものであると言えよう。「16.お正月」のように、老若男女問わず愛

され続ける曲が1曲でも増え、瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』が広く歌われることを願うと共に、

指導する立場として良さを伝え続けたい。

【注】

(注1)小長久子著『瀧廉太郎 全曲集 作品と解説』音楽之友社、2014年、p.86~87 小長久子著『滝 廉太郎』吉川弘文館、2003年、p.284~289

楠木しげお著『滝廉太郎ものがたり』銀の鈴社、2008年、p.124~129 (注2)小長久子著『瀧廉太郎 全曲集 作品と解説』音楽之友社、2014年、p.89 (注3)小長久子著『滝 廉太郎』吉川弘文館、2003年、p.164~165

【参考文献】

1 小長久子著『瀧廉太郎全曲集 作品と解説』音楽之友社、2014年。

2 小長久子著『滝 廉太郎』吉川弘文館、2003年。

3 楠木しげお著『滝廉太郎ものがたり』銀の鈴社、2008年。

【参考資料】

1 第62回瀧廉太郎記念全日本高等学校声楽コンクールプログラム

2 第63回瀧廉太郎記念全日本高等学校声楽コンクールプログラム

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沖縄キリスト教短期大学紀要第46号 (2017)

【楽譜1】瀧廉太郎 全曲集より 「ほうほけきょ」、音楽之友社、p.55 【楽譜2】 〃 「ひばりはうたひ」、音楽之友社、p.56~57 【楽譜3】 〃 「鯉幟」、音楽之友社、p.58 【楽譜4】 〃 「海のうへ」、音楽之友社、p.59 【楽譜5】 〃 「桃太郎」、音楽之友社、p.60 【楽譜6】 〃 「お池の蛙」、音楽之友社、p.61 【楽譜7】 〃 「夕立」、音楽之友社、p.62 【楽譜8】 〃 「かちかち山」、音楽之友社、p.63 【楽譜9】 〃 「水あそび」、音楽之友社、p.64 【楽譜10】 〃 「鳩ぽっぽ」、音楽之友社、p.65 【楽譜11】 〃 「菊」、音楽之友社、p.66 【楽譜12】 〃 「雁」、音楽之友社、p.67 【楽譜13】 〃 「軍ごっこ」、音楽之友社、p.68 【楽譜14】 〃 「雀」、音楽之友社、p.69 【楽譜15】 〃 「雪やこんこん」、音楽之友社、p.70 【楽譜16】 〃 「お正月」、音楽之友社、p.71 【楽譜17】 〃 「さよなら」、音楽之友社、p.72

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