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Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分 析( Dissertation_全文 ) Author(s) 加賀爪, 優 Citation Kyoto University (京都大学) Issue Date 1988-07-23 URL https://doi.org/10.14989/doctor.r6631 Right Type Thesis or Dissertation Textversion author Kyoto University

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Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析( Dissertation_全文 )

Author(s) 加賀爪, 優

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 1988-07-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.r6631

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion author

Kyoto University

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目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」

序章 課題設定と分析視角

第一 章 、 オセアエア牛肉産業の計量経済分析 7

--ーその主要輸出市場との貿易関保を中心としてーーー

第一節 オセアニア午肉産業の概況 7

第二節 課 題 と 方 法 14

(1) 構造形

(2) 誘導形

(3) 最終形

(4) 安 定 性 乗 件 と 固有値

(5) 動学乗教と動学的弾力性

第三節 モデルのスペシブイケーション 20

(1) 輸出需要関数

(2) 国内消費需要関数

(3) 圏内牛肉価格闘数

(4) 生産供給関数

(5) 輸出 余 剰 お よ びストック関係式

第四節 モデルの推定結果 25

(1) 個々の方程式の推定結果

(2) 推定結果の体系 的 聾 示

第五節 シミュレーション分 析 35

(1) 事後予棚(バリデーション)

(2) 事前予測(プレディクション)

第六節 動学乗数分析 41

第七節 分析結果の考察と残された課題 50

第二章、オーストラリア、ニュージーランドにお付る羊肉産業の計量経済分析

第一節、はじめに 58

'・A

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第二節、モデルの定式化

1.主要市場の輸出需要関数

2.圏内消費需要関数

3 .圏内羊肉価格関数

4.生産供給関数

5 .非主要市場への輸出及びストック関係式

第三節、モデルの推定結果

1 .主要市場の輸出需要関数

2.圏内消費需要関数

3,圏内羊肉価格闘散

し生産供給関数

5 .非主要市場への輸出及びストック関係式

第四節、推定モデルの動学的安定性

1.構造形

2.誘導形

3 .最終形

4,動学的安定性と固有値

第五節、 シミュレーション分析

1.事後予測(バリデーション)

2.事前予測(プレディクション)

第六節、動学乗数分析

し主要市場への羊肉輸出量に対する動学乗数分析

し羊肉消費需要に対する動学乗数効果

3.羊肉生産量に対する動学乗数効果

6 1

65

16

81

87

第七節、要約と残された課題 99

第三章、オーストラリアにおけるビーフサイクルのスベクトル分析

ー一周期性およびラグ構造の検出を中心として 109

第一師、分析課題 109

第二節、オーストラリアにお付る牛肉生産涜通とビーフサイクル 111

-2・

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第三節、 分析手法の説明とデータの定常化 1 1 9

コレログラムと定常時系列

自己パワースベクトル分析

クロススベクトル分析

資料の説明と定常化

第四節、 実証分析 1 28

コレログラムによる分析

自己パワースベクトル分析

クロススベクトル分析

第五節、若干の帰結と残された課題 1 42

第四章、オセアニアにおげる一次産品貿易の動向と輸出多角化政策 145

第一節、課題と背景 145

第二節、オセアニア両国の産業構造と一次産品貿易 151

1.両国経済におげる一次産品貿易の比重

2.一次産品輸出の動向

第三節、一次産品輸出成長の規定要因

1.分析方法

2 .貿易相手国別検討

し輸出商品群別検討

第四節、 日本・オセアニア聞にお iする貿易行動の特性と輸出多角化政策の評価

16 1

1.分析枠組

2.日本の輸入行動の特性とオセアニアのシェア

3.オセアニアの輸出行動の特性と多角化計画の評価

4.日本・オセアニア聞にお付る輸出入シェアの見通し

第五節、むすび 184

1 69

第五輩、環太平洋地域の経済発展と韓物貿易の構造変化 1 9 1

第一節、はじめに 1 9 1

第二節、太平洋地域の最近の経済成長とオーストラリアへの彰響 1 92

俺見U

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1.実質 GNPの成長車と世界の GNPに占めるシェア

2 .太平洋地域の経済構造の変化

3,太平洋(地域)貿易との関連

第三節、愚物需給の構造と貿易連関モデル

1.世界穀物需給の構造

2 .貿易連関分析

しシミュレーション分析

第四節、おわりに

結章、 要約と結論

終りに

200

215

218

227

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序 章、 課題設定と分析視角

第一節、問題の背景

オーストラリアの経済問題と農業部門について論ずる場合、 2つの理論分野に基

づく分析視角から接近することが特に興味漂い。

その第ーは経済発展論の分析視角からの接近である。従来の経済発展の謹 論に

おいては、 その大部分は労働過剰経清の二重構造問題に焦点が当てられてきた。

というのは、 1960年代以前においては 、 開 発 論 の 中 心 は ア ジ ア ・ 中 米 で あ り、共

に労働過剰経済であったからである。その当時、今日の NICSやアセアン諸国の様

にこれらの地戚 が急 速な 工業 化や農産物自給化に成功するとは予想されてはいな

かったのである。

ルイス、ラニス,フェイ型の二重経済論によれば、当時のアジアを始めと する

開発途上国の多くは労働過剰経済として特徴付けられる。二重構造とは、伝統的

後進部門としての農業部門と近代的先進部門としての工業部門とが相互に彰響し

合 うことなく異質なままで並存して い る 状 態 で あ る 。 前 者 に は 過 剰 労 働 が 潜在失

業という形で滞留し、最低生存水準に近い賃金に甘んじており、いわゆる古典派

の経済法則が貫徹している。他方、 後 者 に は 限 界 原 理 に 従 う 新 古 典 派 的 な 経済法

則が支配して いる。経清的離陸が開始される以前においては外国資本を導入して

近代的先進部門を拡大させようとしてもそれが飛び地(エンクレープ)として孤

立し後進部門の発展に按及して行かない状態にあることが問題とされた。 しかし

一旦農業部門での生産が革大しその部門で消費される以上の余剰生産を生じるよ

うになると、その余剰分は貯蓄されて工業部門に賀本投下される。この過程で工

業部門での技術革新が促されそれに従って雇用機会が拡大し、農村から都市への

労働 力 移 動 が生じる。更にこの過程が持続すると、工業部門の労働需要が増大す

るにつれて農業部門での潜在失業を吸収し尽くして労働不足経済へと転換される。

(この 境 界 時点が転換点といわれる時期である)。この過程は両部門にお付る労

働の限界価値生産力が均衡するまで続く。 日本の経済発展もこの典型的なパター

ンを示した。 つま り資 本と 労圃 とが圏内の農業部門から工業部門へと涜入するこ

とを通じて工業化二経済発展を実現したのである。いわば農業部門は工業化また

は経済発展の為に強制貯蓄する機能を果たしたわげである。

オーストラ リアの経摘発展過程はこれとは全〈違ったパターンを示した。先ず

BE--

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第一 に 労 働 希少経済である点が根本的に異なる。第二に工業化の為の労働と 資本

は園内の農業部門からではなく、本国イギリスから来たのであり、 その意味で従

属的植民地型の発展過程を辿ったの であるが、いわゆる二重構造は存在しな かっ

た 。そして人口 不足 であ るが 故に 、工業の尭展が不十分なままで第三次産業 部門

が膨張した脱工業化社会を形成してしまったのである。 これはオーストラリアの

経済学者コーリン・クラークが唱えた法則や「ベティの法則」、 いわゆる経済発

展が進むにつれて経済の重心が第一次産業から第二次産業へ、更に第二次産 業か

ら第三次産業へと移行するという経験法則に対する例外をなすパターンである。

このパターンを示す国の例としては他にアルゼンチンとカナダがあるが、オ ース

トラリアほど顕著ではない o

その第二は国際貿易論の分析視角 からの接近である。比較生産費説の教え ると

ころ に 従 え ば、オーストラリアの様に天然資漉が豊富で、労働と資本の不足 する

国 では、土地依 存型 の一 次産 品の 生産に特化して工業品を輸入することが資 揮の

最適配分に合致することになる。事実、 1950年代までのオーストラリアの発展パ

ターンはごの理論に沿っていた。 しかし、その後の現実はこの通りには動いてい

ない。確かに技衛進歩を捨象する静学的な世界ではこの理論はその'まま妥当する。

しかし現実には各産業部門とも著 しい技術進歩を示しており、その相対的な 速さ

如何 で は 比 較彊位の構造は初期の資 謀 賦 存 状 態 に 規 定 さ れ ず に 時 と 共 に 変 化しう

る。 更 に 、 一 次産品に関しては主要先進国が輸入保護政策或は輸出補助金政 東を

採っ て い る 為、その需給関係が過剰基調となり国際価梧が長期的に低迷して いる

こと、 またオーストラリア圏内の経滑不況により失業問題が濫化しているが、一

次産品部門の雇用吸収力は小さい為、 その失業対策としては雇用吸収力の大きい

工業部門をある程度まで拡大せざ るを得ない状況にあること等の為に、戦後は積

極的 に 輸 入 代 替的な工業化が進め られてきた。その結果、第4章で見る知く、農林

水産部門の比重は園内的な産業構 造面で見ても、輸出に占める比重で見ても低下

の一途を辿っている。

周知の通りオーストラリアは国土は広いが乾燥した砂海地帯が大部分であり、

土地の生産性は必ずしも高くはな い(たとえば小麦の単位面積当り収量はアルゼ

ン チ ン の 半 分に 過ぎ ない )。 更に 数年に一度は皐魁か局地的な洪水に襲われるの

が常である。 また強い直射日光のもとでしぼしば自然発火による山火事の被 害 を

-2-

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被ってきた。この様に自然変動の影響を諸に受け易い。つまり、量的には天然資

語に恵まれているが、その質的には恵まれていないのである。主要市場との距離

が遠い こ と も 輸入競合的な工業部門にとっては一種の保護関税的な効果を持った

が、輸出農業部門にとってはその潜在的な高い国際競争力を弱めてきたといえる。

現在、オー ス ト ラ リ ア は 失 業 、 財政赤字、インフレ、国際収支の悪化とい う 4

重苦に直面しているが、 さらに高い金利とオーストラリ 7 ・ドルの対外価値の長

期的低落とに直面 して いる 。こ れらは相互に関連しているが、インフレ対策とし

て、或は外資を引き付ける為の呼び水政策として探用された高金利政策が一方で

は経済縮小による失業の増大をもたらし、 また他方では農家の借金問題を漂刻化

させて いる 。失業対策としての種々 の 社 会 保 障 が 財 政 赤 字 を 増 大 さ せ 、 財 政 赤字

と国際収支の赤字の悪化がオーストラリ 7 ・ドルの価値の低落を引き起こしてい

る。 通常であれば、オーストラリア・ドルの価値の低下は輸出を促し、輸入を抑

制するので、国際収支を改善させる効果を持ち、逆方向のより好ましい循環を開

始させるのであ るが、現時点ではい わゆる" Jーカープ効果"の為に、 (貿易相手

国通貨での)輸出価格は即時に低下 しでも輸出量はすぐには増加せず一定のタイ

ム・ラグを伴うので短期的には輸出額 が 減 少 す る ( 逆 に 輸 入 額 は 増 加 す る )とい

う状態に置かれ てい る為 、ま すま す国際収支が悪化し未だに長期不況に噛いでい

るのである。

1970年代以降、オーストラリアの政権は 1973年にマクマホン(自由党・国民党

連立政権)から労働党のホイットラム内閣に代わり、更に 1976年には再び自由党

・国民党のフレーザー内閣、 1983年には労働党のホーク政権へと変遷してきたが、

農民支持政党である自由党・国民党の連立政権が長く続いたお蔭で農業部門はそ

のGDPに占める比重以上に優遇されてきた。 しかし労働党のホーク政権に代わった

今、国際的にも圏内的にも厳しい経済情勢の中で、その農業部門は思い切った構

造再編を迫られているのである。中 で も 労 働 集 約 的 な 酪 農 や 柑 橘 類 、 砂 糖 等の部

門は探刻であり、 1985/6年度の牽州農業経清局 BAEの調査では、調査対象農家の 1

/3が赤字経営で あ る こ と が 指 摘 さ れている。更にアメリカの輸出甚大計画(EEP)

や ECの補助金付き輸出から大きな打撃を受げている小麦も苦境に立たされている。

他方、伝統的な輸出農業部門である畜産部門に関しては、主要輸出市場におげる

輸入割当制度によりそこでのシェアが縮小しつつある。

ー3-

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こうしたオーストラリア農業の直面する問題に対して可能な限り実証的手法を

用いて分析する為に、本書では次の 4つを課題としている。

先ず第一は主要輸出部門である畜産部門についてその圏内需給構造を解明し主

要輸出相手国との貿易関係について若干の政策シミュレーションを行うことであ

る。

第二の課題は、主要畜産物である牛肉の価格変動についてその周期変動を解明

することにより、牛肉に関わる種種の市場段階の構造とその連関関係とを分析す

ることである。その見かげ上の裡雑な変動を建つかの成分変動に分解して各々の

周期性と振幅の大きさとを具に検討し、異なる市場段階(或は貿易相手国の圏内

市場)におげる変動がどのように 相互に揖及しているかについて分析することで

ある。

第三の課題は、 1960年以後の 20年間においてオーストラリア及びニュージーラ

ンドの輸出の伸びが世界全体の輸出の伸びを大きく下回って推移してきたが、こ

の両国の輸出が相対的に停滞してきた原因について、主にマーケット・シェアに

重点をおいて解明し、それを是正する為の政策を検討することである。

第四の課題は世界の GNPと買易の成長・においてその中心的役割を果たしつつある

環 太平 洋 地 曜における経清尭展の方向とそれがオーストラリアの貿易に及ぼす効

果について検討することである。

第二節、本書の構成

本書は 5章から構成されている。前述の課題との対応関係は以下の通りである。

課題 lに対しては第 1章と第 2章が対応し、課題 2に対しては第 3章、課題 3に対して

は第 4章が対応している。 また課題 4に対しては第 5章が各々対応している。以下、

全体の構成を略述しておこう。

第一章では、オーストラリアとニュージーランドのヰ肉市場の構造を分析する

為に計量経済モデルを構築し、その主要貿易相手国からの輸入需要の変動の誼及

効果に焦点を当てて検討したものである。その際、単なる外挿テストによるシミ

ュレーシヨンだ付ではなく、動学乗数効果の検討を中心とし、 また市場構造全体

の安定性とその周期的変動の生ずる可能性についても検討した。

第二章では、 日本での圏内生産が少ない為に余り註目されることは少ないが、

-4-

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オーストラリアとニュージーランドにおいては、 その歴史的発展過程においても

極めて重要であった羊肉部門の市場構造について前章とほぼ同様な分析を試みる。

というのは、 この両国においては、各々の農場は牛肉と羊肉とを摺合経営と して

組み合わせて経嘗しており、市場価倍反応も相互に密接に関連しあっている為、

一方のみを検討して他方を捨象することが難しいからである。

第三章 では、オーストラリアの牛肉市場に顕著にみられる周期的変動について

検討する。オー ス 卜 ラ リ ア で は そ の牛肉輸出の 6割以上がアメリカに輸出されるが、

その際、アメリカからの牛肉輸入需要の変動がオーストラリアに按及している。

アメリカの牛 肉 生 産 に は キ ャ ト ル ・サイクルと言われる固有の周期変動が観察さ

れ る が、この 変動が輸入需要の変動を通じてオーストラリアに法及し、オースト

ラリアに特有 の圏内需要から生じる変動と合成されて裡雑な周期変動を形成して

いる。本章ではオーストラリアで観察されるビーフ・サイクルに焦点を当てて、

スベクトル分析の手法を用いて分析する。

第四 童 で は、オーストラリア及びニュージーランドの農産物輸出の世界輸出に

占 めるシェア が長期的に低下してきたことについて検討する。この両国は伝統的

に イギリス市場をその主要な輸出 先 と し て き た が 、 イ ギ リ ス の EC1Ju盟を契櫨にそ

の輸出 先 の 多角化と新市場の開発とを迫られてきた。更にそのイギリスの経清力

が低下し輸入需要の伸びを低下させてきたことが大きく影響している。その際、

CMS分析という手法を用いて、その主要輸出先について経済成長が停滞する傾 向に

ある市場に偏っていたことと、輸出商品 そ の も の が 所 樽 弾 力 性 の 低 い も の に偏っ

ていたこととの両面から輸入需要の伸びが停滞したごとを統計的に分析する。

第五章では 、前章におげる分析を踏まえて、輸出多角化の一環として環太平洋

地域の重要性を指摘する。この地場が世界の経清成長と貿易の成長を遥かに上回

った車で成長 しているが、そのことがオーストラリアとニュージーランドの経済

成長に与える 影響を分析する。さらに貿易マトリックスに投入産出分析の手法を

適用してこの環太平洋地誠における穀物貿易の構造変化の過程を検討し、その中

でオーストラリアとニュージーランドがもっ意味について分析する。

以上が本書の構成である。オー ストラリアおよびニュージーランドはその長期

的な経済発展の方策を巡って今や過去に経験したことの無い岐路に立たされてお

り、思い切った産業構造調整を追られているが、 その中で農業部門がもっ意味と

-5-

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在割について留意しつつその抱えている問題点を少しでも明らかにしようとする

ものである。

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第一章、オセアニア牛肉産業の計量経済分析

ーーーーその主要輸出市場との貿易関係を中心としてーーーーー

第ー節、オセアニア牛肉産業の概況

オセアニア農業について論ずる場合、 その地理的および歴史的背景を無視する

ことは出来ない。通常、オセアニアという場合、オーストラリア、ニュージーラ

ンド、パプア・ニューギニアおよび太平洋上の島国を含めている。つまり、ミク

ロネシア、 メラネシア、ポリネシアといわれる地域とオーストラリアとを併せた

地舗を意味しているが、本稿では、これらのうち、オーストラリアとニュージー

ランドに焦点を当てている。この両国は、 ともに英国の植民地として尭足し、百

年余りの歴史し かもっていない新しい国であるという意味において歴史的には似

かよっているが、地理的学には大きく異なっており、ニュージーランドが日本と

同じく火山性で肥沃な土壌に恵まれているのに対して、オーストラリアは非火山

性で、山自体が 殆どなく、極めて平坦な地形を呈している。そのため、水の少な

い内陸部では耕作可能な作物も自ずから限定されている。

ニュージーラ ン ド に お け る 食 肉 生産は、南北両島にわたっているが、その地理

的分布は図トiに示す通りである。なお、ニュージーランドでは、牧羊が主要家畜

であり、それ故、慣例的に、全ての家 畜 は 羊 換 算 し て 総 計 す る こ と に よ り 、 全体

としての家畜飼養規模が示される。その際の換算草は、次の通りである。雌羊を

!とすると、子羊は O.6、乳牛ではジャージー牛が 6,5" フリージアン牛が7.5 、雄

牛は 5.0、子牛は 2,0 I 肉牛では僅牛 6,0、雄牛 5.0、子牛 3.0である。図 1-1では、

l点が、このように羊換算して合計された場合の 2万頭(羊単位 I S U )を示している。

ごれから分るように牧畜は、北島では中央高地を除くほぼ全謡、南島では東側の

平坦地に偏っていることが知られる。 概 し て 、 酪 農 は 北 島 に 偏 り 、 肉 用 牛 は 南島

に偏在しているといえる。

また図 1-2はオーストラリアにおける肉牛分布を示している。これらの固から、

両国とも、牛肉生産は、耕作可能地の ほ ぼ 全 域 に わ た っ て は い る が 、 国 土 全 体の

やや東亜11に偏っていることが知られる。

なお、オーストラリアにお付る牛肉生産涜通については第三章で触れるので、

ここでは詳細は避付、主にニュージーランドのそれについてふれておこう。 オ

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図 1-1 ニュージーランドの農牧業の分布

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出 所 文猷 (13).

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-8-

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セアニアにおける牛肉産業といっても、オーストラリアとニュージーランドでは、

その市場構造はかなり異なっている。 まずオーストラリアでは、その涜通経路に

種々のチャンネルが併存しているが、多くの場合、中央却売市場でセリにより卸

売価指が決定され、 これから一定の涜通・加工マージンを反映させて、小売価格

あるいは農場価指が決定されるのに 対 し て 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド で は 、 食 肉 冷 J東会

社が構外の主 要輸出相手国の価惜の動向を勘案して、随時(2週間おきに)計画価

指 Cschedule price)を 発 表 す る。この価格を考慮して生産者は牛肉を出荷する

か否 か を 決 定する。その後、出荷された牛肉は圏内市場での需給状況によって現

実の(小売) 価格が決定されるという仕組みである。従ってどちらかと言えば、

オーストラリアの市場構造に比べて、ニュージーランドのそれは、 より一層強く、

海外市場に連動しているといえよう。 つ ぎ に 、 オ ー ス ト ラ リ ア で は 、 大 部分の

牛肉はグラスフェツドで生産されるが、特に日本市場向げに、フィードロットに

よるグレインブエツドの牛肉生産も細々とではあるが存在しているのに対して、

ニュージーランドでは殆どの牛肉は放牧によるグラスフェッドで生産される点も

lつの相違点を なしている。これは、オーストラリアが穀物(特に飼料穀物 )の輸

出国でもあるのに対して、ニュージ ー ラ ン ド は 穀 物 に 関 し て は 十 分 な 輸 出 余剰を【~ :

持 たず、殆ど国内消費をまかなえる程度でしかないという事情をも反映している

といえよう。

さ ら に 、 ニュージーランドでは、午肉専業農家は少なく、大部分は牧羊との兼

業農家(しかも羊に対する副業としての経営)であり、 1 9 80年における羊牛兼業

農家の平均農家粗所得(7 万 3900~Z ドル)中、肉牛粗所得( 2600~Z ドル)の占める

割合は 15%前後にすぎない。これに対して、オーストラリアでは、牛肉専業 農家

の比重は、かなり高くなる。他の部門との謹合経営も多いことはいうまでもない

が、そうした事情は州によって大きく異なっている。

つぎに、両国における牛肉産業の最近の動向 (1960.....1980年)についてふれて

おこう。図ト3.......図ト16に示す通りであるが、両国とも輸出市場との連動が強いた

めに、 197 4年のオイルショックが大きく圏内経済に髭響しているごとが知ら れる。

家畜 飼 養 頭 数および宇肉生産量でみる限り、この期間内では、両国とも多少の変

動は含みつつも 19 7 6年までは着実にのびて来ており、それ以後、減少に転じてい

る(図ト6、図 1-8.. 図 1-13、図 1-1 5 )。

-9-

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また、牛肉消費需要量の動きは、 両 国 で か な り 異 な っ た 動 き を 示 し て い る。オ

ース ト ラ リ アの場合(図ト5)、1s73年までは 52 0千トン位で安定的に推移してい

たが、それ以後、 19 7 7年まで急速に増加し、以後再び下落して 620千 トン (1 9 8 0年)

にな っ て い る。他方、ニュージーランドでは(図ト 12) 1968年まで上昇、 1 9 7 1年

まで下落、 1977年まで上昇、以後下落とやや周期的な変動を示している。ただ け

7 7年以降の下落だげは、両国に共通している。

また、午肉価 格 の 動 き に つ い ては(図 1-7、図ト 14)、両国とも似通った変動を

示している。つまり 1962-3年で極小、 1973年で極大、 1977.......8年で極小、 1980年

で極大と、振幅の差こそあれ、類似した周期を示している。 19 7 7年以降の両国の

この価格急上昇が前述した同時期における消費需要の急減少を説明するものとみ

られる。

なお、主要国(アメリ力、 日本)への牛肉輸出量の動きは、両国ともかなり大

きく変動しており 、そ の中 でも アメリカ市場への輸出量は周期的な変動を示しつ

つ上昇して来ている(図 1-3、図 l→o)。これは、アメリカで 19 6 4年に制定された

食肉輸入法の措置、つまりアメリカでの国内生産の増加に併せて輸入割当量を増

加させるという措置により、アメリカ圏内のビーフサイクルが両輸出国からの牛

肉輸入量に反映されているものと思われる。 しかしこの制度の下では、生産 量 が

多く、価格が安い時に輸入量がふえることになり、アメリカ国内において価情不

安定化効果をもつようになって来たため、 1 9 7 8年、この食肉輸入法の改正案 が 提

案され、圏内ビーフサイクルに対して逆サイクル的な方式で輸入割当量を決定す

る措置 (counter cyclical measures)が導入されている。

これに対して、 日 本へ の輸 出量の動きはむしろ不規則に変動しており、場当た

り的な牛肉輸入車l当政策が反映されているといえる。特に 19 7 5年の僅小点は、 日

本が前年の石油ショックによる経済的混乱を理由に輸入をストップした経緯を示

している。従ってこの年の輸入量は、前期における輸入尭注量が遅れてこの年に

到着した量を示しているにすぎない(図ト4、図ト11 )。

前述した如 く 、 両 国 と も 牛 肉 生産量に占める輸出量の比宰 (オーストラリア

60, 5 % ,ニュージーランド 65,1%)が極めて高いので、こうした国際市場の変動を

敏感に受付易い。それ故、近年、両 国 と も 種 々 の 安 定 化 政 策 を 導 入 し て い る。オ

ーストラリアでは、商品ごとの安定基金計画 (stabilization fund schemelがそ

-10-

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農家の所得安定化政策の一環として導入またニュージーランドでは、れであり、

ニュージーランド食肉ボードの最低価格計画および 19 具体的には、されており、

supplementary minimum 78年に導入された政府による補足最低価措計画(S MP :

schemelがそれである。P rl C e

ニュージーランドにおげる最低価格補償制度図ト17

P 4

}④本'ート'へ積立Pt

市P 3

場策

価P s 価

措①政府から補填

P 2 . - -I

政 府から補填②{梧

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価価円

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帯帯措

定定価

安安低

ドド最

一一足梧

ポポ補価

肉肉府場

食食政市

pppp

食肉まず、国ト17において、この両者の価指安定計画は次のように作用する。

安定帯下限価惜 (ボードの設定する価格制度は一種の価格安定帯政策であって、

市場 価 格が設定され,と 安 定 帯 上 限 価梧(トリガ一価格 Pt ) ミニマム価格 Pm )

市場ボードはいかなる措置も発動しないが、p ,,-3がこの聞に落ち着いた時には、

価 格 PIが安定帯下限価梧 Pmを 下回った場合 P'"と PIとの差額を食肉ボードが農

さらに補足最低価格 Psと Pmとの差を政府が補助するというもので家に補填し、

市 場価格 P2が政府の補足最低価格 Psと 食 肉 ボ ー ド の 安 定 帯 下 限 価 格 Po11とある。

補足政府のみが、ボードは知 何 な る 措 置 も 講 じ な い が 、の 聞に落ちた 場合には、

市 場 価 格 P3がまた、最低価格 P5 と市場価格 P"との差額を補填するごとになる。

食肉ボードも政府もトリガ一価格 Ptと補足最低価格 Pm との聞に来た場合には、

最低限 psの価格を受げとるごとこうして農家は常に、

-12・

いかなる措置も採らない。

が保証されるわ げ で あ る 。

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逆に市場価格 P4がボードのトリガ一価格 Ptを越えた場合には、市場価格 P4 と

トリガ一価惜 Ptとの差額が徴収され、ボードの基金に積み立てられる。 この際、

政府はいかなる措置も採らない。

この制度は、最近の生産コストの上昇を反映して、従来、食肉ボードが行なっ

て来たこの種の安定化措置だけでは、農家所樗補償の効果が弱くなって来たため、

政府の一部負 担という形において、価格安定帯の下限価格を引き上げることをね

らったものである。 しかし、現在、探刻な財政難に苦しんでいるニュージーラン

ド政府にとって、この制度の導入・継続は、政治家、学者のみならず国民のあら

ゆる層にわたって大きな議論をかもし出している。

こうした事情は、オーストラリアでも程度の差こそあれ同様である。

注(1 1 :オーストラリアは、その住民が海洋民族ではなかったために、ミクロネ

シア、メラネシア、ポリネシアのどれにも属さないが、他方、ニュージー

ランドのマオリ族は、海洋民族であり、ポリネシアに含められる。

( 2 )オーストラリアの牛肉流通経路は、多喧にわたっており、農場段階では

大まかに 4種類に区分され る。詳しくは拙稿(12 )参照。

( 3 )食肉冷車会社の設定する計画価格は、各々の食肉に対して最大輸出市場

の圏内価格に準じて決められている。牛肉の場合はアメリカ市場、 マ ト ン

の場合は日本市場、ラムの場合はイギリス市場といった具合である。

(4)以前には、恒常的に麦類を中心とする患類を輸出していたが、近年では、

輸入と輸出をくり返しており、その量も多くはない。

( 5 )また乳牛と肉牛との割合についてみると、 1S 6 0年を境に、 肉牛の飼養頭

数が急敢に増加している(1 S 8 0年での比率は肉牛 520万頭に対して、 乳牛

29 0万頭となっており、 またオーストラリアでは、前者 23 3 7万頭に対して、

後者は 2B 3万頭となっている)。

( 6 )この制度の尭足当時においては、消費需要が生産量を大きく上回ってお

り、 また生産量は消費需要の増大(従って価格の上昇)に引張られて増加

す る傾向にあったために、圏内ビーフサイクルに対して比例的な輸入方式

を摂用しても、価格不安定化を生じなかった。

-13・

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第二節 課 題と方法

本稿で展開される計量経済モデルは、 日本一オセアニア聞の農産物貿易に関す

る種々の政策の効果を定量的に評価しうるよう意図したものである。それ故に、

現段階では各セクターの国内市場読通過程の詳細は可能な限り簡略化されており、

そ の 主 要 輸 出 市場、つまりアメリカと日本との貿易関係の動学的な側面に注目し

ている。

また、この地威に関するこの種の計量モデルがほとんど見られなかったために、

以下では、モデル開尭そのものの説明にもかなりの紙数をさくこととする。

種々の推定法の 長 所 お よ び 短 所 については、長い聞にわたって、計量経済学者

の間で活発な語論を呼んで来たし、 また今も続いている。良〈知られているよう

に、指数個の(当期)内生変数が含まれているモデルの中の lつの方程式に、 OLS

(通常最小 2乗法)を直接に適用すると、 どの変数を従属変数として選択しても、

残りの内生変数は、一般に方程式の誤差項との聞に何らかの相関関係を生じる。

その結果、 OLS推定法はバイアスをもち、一致推定量ではなくなる。そうした場合、

ただリカーシヴ体系の連立方程式モデルのときにおいてのみ、 OLS推定法は、最適

な推定方法となるにすぎない。

他方、 3段階最小 2乗法あるいは完全情報最尤推定法(FIML)等が推定量の一致

性あるいは有効性の尺度では好ましいと見なされるが、 その際、モデルの中の lつ

の方程式中に、種本誤差やスペシフ ィ ケ ー シ ョ ン 誤 差 が あ る 場 合 に は 、 そ れ がモ

デル内の全ての他の方程式の推定結果に控及し累積されるので、 この意味におい

ては、 こ れらは実琵性・揖作性 (practicabilityor operationality)を欠いてお

り、統計的頑健性(robust!lesslを持たない。従って適用の容易さという尺度から

言えば、これらは必ずしも理論面で強調されるほど良好な推定法とは言い難い。

妥協 した 推定方法として 2段階最小 2乗法 TS L S (あるいは制限情報最尤法Ll5E)

等がしばしば用いられる。 しかし TS L Sの場合ですら、もしモデルの規模が大きい

時には、過小標本問題 (the undersized problem)に直面する。つまり外生変数の

数がサンプルサイズを上回るようなとき、 TS L Sの第 lの 推 定 段 階 で 自 由 度 が 小さす

ぎて、意味のある推定を行なうことができなくなるというわけである。

以上のような 事情から、今日なお、特定の推定法を選択する決定的な基準 はな

く 、ど れを 選ぶかは、各々の場合の 重 点 の 置 き 方 に 依 存 す る 。 そ こ で 以 下 の 分析

-]4-

Page 22: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

では主に OLSおよび操作変数法(t h e instrumental variables methodslを第 l次接

近として探用することとした。

(1 )構、d=主主 青3

本稿の主たる関心は、 静学的な哩1)面よりはむしろ動学的な側面にある。 それ故、

推定結果を用いて動学乗数効果を導出することを容易にするために、 全体の関数

関係を綿形に限定した。 というのは、 非 線 形 体 系 の 方 程 式 が 1つでも入ると係数

行列の各要素に、 定数ではなく変数(つまり外生変数ないしパラメーターの関数

値)が入ってくるからである。 以下で論議されるモデルは、 次のような方程式体

系で提示されうる。

A * Y (t) ーー B*Y(t-l) + c * z (ti + v (t)……………………{ト1)

ここて'

A......'・a当期内生変数の係数行列(次元 nxn)B …‘・・・・・ラグ付き内生変数の係数行列(次元 nx n ) C …・・・・・・外生変数の係数行列(次元 nx n ) Y (t)…・・・当期の n次元内生変数ベクトルY (t -1)…・ラグ付きの n次 元 内 生 変 数 ベ ク ト ルZ (t)…, ,・ E個の外生変数からなるベクトルV (t) ,.. • .,確率的誤差項のベクトゾレ(n次元)n… I I t I I .内生変数の数m…・・・・・・外生変数の数

なお、モデル の 規 模 は 、 内 生 変 数 n= 1 4、外生変数 m= 1 Sであり、ズ 【 3)

サンプル サイ

はt=1958-...1980の 22期 間 で あ る 。 この(1 )式によるモデル提示法は、 各々の構造方

程式を集めて連立体系として並べ、 当期内生変数、 ラグ付き内生変数および外生

変数の順に項をを整理したものである。 これは、 もとの体系の構造形( t~e

structural form) ) と呼ばれるものであり、 内生変数ベクトル Y(t)に関する一階

定差方程式の体系をなしており、 以下の分析の出発点となるものである。

( 2 )誘 導 責5

システムの動きを検討するためには、 それを同時方程式体系として解くことが

必要となる。 その際、 次の 2段階の解法が試みられる。 ( i ) :最初のものは、 システ

ム内の内生変数を全ての先決変数(すなわちラグ付き内生変数および外生変数)

-15・

Page 23: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

の関数として解くものであり、 (ii) 第 2のものは、システム内の内生変数を外生変

数のみの関数として解く方法である。 このうち前者はシステムの誘導形( t h e

reduced form )と呼ばれる。これは、構造形の方程式(1 )式において、係数行列 A

(当期内生変数のベクトルの係数行列)の逆行列を(左から)両辺に乗ずること

によって導出される。つまり

y(t) = A-1B 事 Y(t-l) + A-1C ヰ Z(t) + A-1 ヰ v(t)

=π1事Y (t-l) + πE本Z (t) + u (t) .. .. (1-2)

ここで 7C1 司.骨 A -1 B ( n x n 次元)

π2 -ー A -I C ( n 1 m 次元)

U (t) . A -1 本 V (t) ( n 次元

乙の誘導形は、後に動学乗数や第 2の型のシミュレーション(トータルテスト)

を導く際に使われる。 またこの(ト2)式の係数行列 π2は後述する短期衝撃乗数の

行列と同ーのものである。

( 3 ) : 最 終 形

モデルの体系的な動きをより動学的に詳細に時昧するためには、前述した解法

のうち後者の解法が必要となる。

つまり誘導形(1-2 )式で示された l階定差ふ方程式をさらに、外生変数のみの関数と

して解くことが必要である。定数係数の緯形定差方程式の通常の解法に従って、

次式が導出される。

Y (t) = (1-π1 ) ー 1π2本Z(t)+[gij] [λI , λ2 , ・・ λn: ] ノ・・・(1-3)

= Y・(t)+ y (t)

ここで λi (i = 1、2…、 n)は、 (1-2 )式にお付るラグ付き内生変数の係数行列

πlの圏有根(特性根 the eigen values:characlerislic rools) である。行列

[giiJ (i, j=l、2、…、 n)は、初期条件によって決定されるべき任意定数の行

列である。この(3 )式は、もとの同時方程式体系の最終形 (the f inal for皿)と呼

ぼれる。最終形(3 )式の右辺の最初の項は、所与の外生変数値に対応する内生変散

の長期均衡(定常)値 y. (t)を示す。

-16・

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また(I・3)式の右辺第 2項は、内生変数の長期均衡(定常)値からの需離成分か

らなるシステマティックな変動成分を示している。

通常の定差方程式論の用語法に従えば、 この第 2項は、斉次解に対応し、前述の

係数行列 π1の各固有根の累乗値の線形結合したものからなる。 また第 l項は非斉

次解(特殊解)に 対 応 し て い る 。 ここで外生変数ベクトル z(t)の係数行列は、後

述する長期乗数行列と同ーのものである。

( 4 ) 安定性条件と固有値

長期均衡値 か ら の 轟 離 成 分 ( 内 生変数のシステマティックな変動成分 y (t) )の

動き は、前述の固有根のうちドミナントな固有値(つまり絶対値が最大の固有根)

の 大きさと符号に依存する。もし最大固有根の絶対値が lより小さいならば、シス

テムは安定性を有し、さらにもしそれが 、 正 の 実 数 な ら ば 均 衡 値 に ( 大 き い方か

ら)単調に収 束 す る 。 も し そ れ が 負の実数ならば、均衡値の回りに上下しながら

振動しつつ収束する。

一方、最大圏有根の絶対値が 1より大きいならば、システムは安定性を持たない。

その際、それが正の実数値であるならば、均衡値から(上方へと)単調に発散し

ていき、もし負の 実数 なら ば、 均衝値の回りに振動しながら尭散する。他方、も

し最大固有担が複素数ならば周期的変動を示し、その絶対値が lより小さいならば、

均衡値の周囲に誠 衰的 周期 変動 を示しつつ収束する。またそれが複素数で、かっ

その絶対値が lより大きいならば、均衡値の回りに革大的周期変動を示しつつ 発 散

して行くことが知られている。 ここで最大固有根が複素数の場合、 その絶対値は

周期変動成分の据幅を示し、その周期は、その複素数の実部と虚部とを用いて、

次のように導 出 さ れ う る 。 も し 複 素固有担 (a:tbi) が得られれば、

となる。

(周期)

(振幅)

T = 2π/ tan-1 (b/a)

s = .Jτ可v

( 5 ) 動学乗数と動学的弾力性

前節 に お いては、システムの構造形から出発して、誘導形を経て最終形へと展

開 し て 来 た 。その過程で、誘導形あるいは最終形の推定結果から、種々の動学乗

-17・

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数が導出される。そのうち 2つ、つまり短期衝撃乗数 (the short run impact

阻ultiplier)と長期乗数 (the 10ng run mu1tip1ierJについては既に言及した。本

節ではこれらについてより詳しく説明しておこう。

誘導形の式(ト2)において、ラグ tを 1期ずらすと

Y (t-l) =πl' y (t-2)+π2・ Z (t-l) + U (t-l)………………( 1-2 ) ~

これをもとの式(1斗)に代入して

Y (t) =πI {π1 ・Y (t-2) +πE・Z (t-l) + U (t-l)} +π2・z(t)+U(t)

=π12.Y(t-2)+π1π2 . Z (t骨 1)+π2・z(t) +π1 ・U(l-I)+U(t)

この操作を s固くり返すと次のようになるロ

Y (t) =π1..I.Y (t-s-l) + L π11π2・Z(t-l) +I π1 I・U (t-l) …… (1-4) 1=0 1=0

この式において安定条件を考躍する。前述した知く、安定条件は最大臣有 担の

絶対置が lより小さいということを意味する。言いかえれば、行列 πI~ • 1が、 Eが

限 りなく大きくなるにつれて、ゼロ行列に近づくということである。つまり

1im π1雷 .1 0 2→∞

(ト4)式にこの条件を適用すると次式が得られる

00 00

y (t) = L π1 Iπ2・Z (t-1) +L: π1 I・U(t-1) …………… (1-5) ]=0 1=0

種々 の動学乗数の定義式はこの式の右辺の第 l項 {Z(t-1)の係数!の継続的な

成分項から得られる。つまり lの値 0,1, 2, 3,……に応じて、 π2、π1π2,π2π2 ,

π1 3π2 ,……となる。これらの行列は、外生変教の変化が同期または、それに引

き続く時期において内生変数に及ぽす影響を示すものであり、短期衝撃乗数行列

( 1 = 0の時つまり π2 )、および各期 (1=1,2,…)におげる時差乗数行列 ( t h e

de1ay multiolier matrix)と呼ばれる。 また、これらをラグ =0の時点から各期ま

での累積値の形で示したもの、つまり π2,π2 +π1π2,π2 +π1π2 +π! 2π2, .・

. (1 +π1+π12+… +πI I -1 )π2 は 、 各 期 に お け る 累 積 乗 数 行 列 (thecumu

lative multip}ier matrixlと 言 われ、その極限収束値{ ( 1ーπ1)・ 1π 2}は、

長期乗数行列 と呼ばれる。従ってこれはシステムが安定性を有する時にのみ存在

し、意味をもつことになる。

-18・

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関連する変数の単動学乗数行列の各数値は、以上の記述からも分かるように、

変数の単位のとり方から影響さそこで、位のとり方に依存してその値を変える。

これを弾力性のタームそのために、れない独立な尺度で示すことが必要となり、

elastici ty

これの詳細は第 6節で展開するごとにする。

dynamic t h e これが動学的弾力性行列(

malrix)と呼ばれるものである。

で示す方法が用いられる。

トラリアのオース日本の比重は、注(1 )両国の午肉輸出量に占めるアメリ力、

ニュージーランドの場日本市場 15 ,ばであり、アメリカ市場 63, 4目、場合、

( 1 9 8 0年)。日本市場 16. 7 ~と大きいアメリカ市場 73,4目、合、

通常は、( 2 )非課形体系で係数行列の要素が定数ではなく変数となる場合、

(推定期間中の)平均値を用いることが多い。その

実質的なサンプルサイズは( 3 )方程式中に i期のラグを想定しているため、

lつ減って 21となる。

( 4 )ここで内生変数ベクトル Y(l)、外生変数ベクトル Z(t)の具体的な形は

外生変数ベクトルの(各変数の説明は第四節参照)0 次のように示される

円、

UAHUnMHRHMnH湾内

HUAHunHU円、

u

n

m

M

h

μ

ι

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P

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牛ロιpιnuuι

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“AnAnRUUU寸

d?d中AMnHUMMHunu-dpιRUMHAA

ーーl

aEL--n

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最初の要素の 1は定数項に対応している。

-19・

5

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O

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第三節 モデルのスペシフィケーション

本稿のモデルは各輸出国(オーストラリアとニュージーランドの各々)に対して、

6本の構造方程式と lつの恒等式とから構成される。従って全体としては 12個の構

造方程式と 2個の恒等式よりなる。各輸出国に対して、行動方程式の中では、供給

に関する式が 2本、国内需要に関する式が l本、主要輸入国からの輸出需要に閲す

る式が 2本 および価格に関する式が l本とから構成されている。以下で、モデルの

スペシフィケーションにつれてふれておこう。

( 1 ) 輸出需要関数

主要な輸出相手国として、 2国(アメリカと日本)を明示的に考慮した。これは

前述した知〈、 この分析が、 日本とオセアニアとの貿易関係に注目したものであ

る が、その際にも最大輸入国であるアメリカが無視し得ない彰響を持っているた

め、日本市場と共に明示的な形でと り入れたものである。両国の場合において輸

出 需要は、前期にお付る輸出需要量、輸出価格(あるいは輸入国におげるオース

トラリア産ま た は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド産牛肉の対応する価格)および輸入国の所得

水準の関数として決定される。具体的には、次節の(l), (2), (7), (8)式がそれであ

る。

( 2 ) 圏 内消費需要関数

この種の分析でよく用いられる様 に、消費需要は、その農産物自身の価格、代

替品の価格および所得の関数として説明される。 これらの変数は、例えば消費者

物価指数 CP 1のような適当な指数に よりデフレートされている。本稿では、通 常の

ものとは若干異なって、消費需要は集計的に測定されている(つまり、 l人当たり

消費量のタームで奇い)ことに注意を要する。これは単に、モデル全体の緯形性

を維持するために 採用 した 便法 である。なお、代替的農産物の価格としては、マ

トン価格、豚肉価格等が、各々の式においてデータの許す限り用いられた。具体

的には次節の(3 )、(1 0 )式に示される通りである。

(3 ) 圏内牛肉価格関数

牛肉 圏 内 価格(小売価格または農場価格)は、定数項と前年度の価格および輸

入相手国にお付る対応する農産物の価格とその他の外生変数により説明される。

-20・

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通 常、 小売価格と農場価格との聞 に は 、 強 い 相 関 関 係 が あ る 。 そ こ で 多 重共線

関係( マ ル テイコリニアリティ)を避吋るために、両者のうち lつを内生変数とし

て 用 いた。可能な場合には、両価惜を内生変数として用いる方が望ましいけれど

も、モデルを操作可能な範囲内にとどめるために、さし当たって一方の価格 は他

方 に代表させた。これはまた、両国で圏内価格の決定される事情がかなり異なる

ことを考慮し て 探 用 さ れ た 便 法 で もある(この取り扱いは後に改められる) 。具

体的 な関 数間保は次節の(S )、(1 2 )式に示される通りである。

(4) 生 産 供給関数

牛肉の生産供給量と価格との聞の関係は、当期の価梧が当期の供給量(生産量)

に及ぽす即時的影響とその価惜に基づいて形成される期待将来価格がそれ以 降の

生産 水 準 ( または飼養頭数規模)に及ぼす長期的効果とに分割して考える必 要が

ある。

前者の場合、つまり価格の短期的な効果の場合には、 当期の価格に反応して意

志決 定 さ れ る生産供給の期待量は、季節的な粂件やその時点での農家の家畜 飼養

規模の状況に依存して修正され、必ずしも聞時的には実現されず、多くの場合、

一定 の ラ グ を もって実現される。従 って生産供給の関係式においては、タイ ムラ

グ の 問 題 が 特に重 要と なっ て〈 る。本稿の分析では、年次データを用いてい るの

で、当然、のこ 4 とながら、 1年以内のタイムラグ関係は分析され得ない。本稿では、

産出量に対する価格効果をスベシファイする際に、 l年のタイムラグを想定した。

ま た、牛肉生産供給に対する天候の影響には、季節的なものと不規則的なも のと

の双方が考えられる。 しかしこれらに関する利用可能なデータの制約から、本稿

では十分には考慮、されていない。 しいていえぽただ土壇中湿度の欠乏回数とい う

形で間接的に考慮されている。具体的には次節の(4)、(11)式に示される。

後者の関係について、食肉の供給ポテンシャルとしての家畜飼養頭数は、牛肉

価格 、 牛 肉 生産水準、輸出需要量および前年度のま畜個葺頭数とそぷ担の外 生変

数、例えば食肉ボードの安定帯下限価格等で説明される。

なお、価格と家畜飼養頭数との関係については少々複雑である。 というのは、

価格が下落する場合には(ー方では、少し待てば価格が上昇するだろうとい う期

待の 下 に ) 牛肉生産を遅らせるために屠殺頭数が一時的に減少し、その分だ け飼

-21・

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葺頭数 は 増 加 することが考えられる。他方、同じく価格が下落する時、資本スト

ックとしての家畜の価値そのものが下落するので、屠殺頭数を一時的に増加させ

ることにより飼 養 頭 数 を 減 ら す こ とも考えられる。従ってこの変数(価格)の係

数の符号を先験的に恒定することは 容 易 で は な い 。 各 々 の 場 合 の 推 定 結 果 を 待っ

て考察されるべきである。なお、 これらの具体的な関数関係は、次節の(6 )、(13

)式に示される通りである。

( 5 ) 輸出余剰およびストック関係式

生産と消費とのギャップは、スト ッ ク と 輸 出 余 剰 量 の 蓄 積 と を 説 明 す る 。 でき

れば、器 輸出 関数を別個に推定して 、 そ れ か ら 独 立 に ス ト ッ ク を 取 り 扱 う こ とが

望ましい。 しか し な が ら 、 デ ー タ 上の制約から本稿では、ストックと(非主要輸

出市場への)輸出余 剰量 との 合計 が、生産量から国内消費量および主要輸出国へ

の輸出量を差し引いた残余として計算される。なお、 この間数関係は具体的には

次節の(7 )、(1 4 )式に示されるとおりである。

言うまでもな〈、 lつのモデルに対して唯一の完聖なスベシフィケーションとい

うものはなく、本稿で採用されたものも、想定されうる幾つかの可能性のうちの

lつにすぎない 。こ のス ペシ フィ ケーションを選んだ理由は、本分析がオセアニア

と日本との聞の貿易関係に焦点を当 てることを意図しており、その他の輸出市場

については、陰伏的に残余として取り担わざるを得なかったからである。また、

この分析は、 日本倒の同様なモデル の検討によって補完されるべき性質のもので

ある。その意味で多分に改良の余地を残している。

以 上 の ス ペ シフィケーシヨンをフローチャートの形で示したのが図ト18である。

固に示される知〈、 まずアメリカと日本との牛肉鞘入割当量が独立に決定され、

その影響を受けて、オーストラリアと ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 国 内 事 情 に 関 す る 諸変

数が別個に決定 された後、各々の園内市場調整過程を通じて、両国からの輸出余

剰量が種々の輸出市場へと配分されるという流れを示している。

註(1 )オーストラリアでは、主としてセリによる卸売価格を中心にして決定さ

れるのに対して、ニュージーランドでは、海外市況を考慮して冷連会社が

計画価格を尭表し、これが他の価格の指揮となっている。

-22・

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( 2 )その他の説明変数としては、肥料価格上昇草あるいは土壇中湿度欠乏日

数、飼料積物価格等が用いられている。

-23・

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図ト18 モデルのフローチャート

¥

長次決屯段階 (recursivestage)

注「仁三)内生変数

同時決定段階 (simultaneousstage)

口O

)

:外生産政

:N等式により決定される内生変数

:ラグのない開設関係

:ラグ付きの閑散関係ー---~

-24-

(オーストラリア・サプセクター)

(ニュージーランド・サプセクター)

/

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モデルの推定結果第四節

個々の方 程 式 の 推 定 結 果)

-l 括弧内の数字は t値を示して各方程式の推定結果を列挙すると次のようである。

ワトソン各 々 の 推定式に対して自由度修正済み決定係数およびダーピン・おり、

必要に応(またラグ付従属変数が含まれる方程式においては、{直が示されている

紙数制限の都合により掲載をが計聾されたが、じてダーピン統計量(h検定値)

省略した)。

トラリア・サプモデル>><<才一ス

25,1681事USGNPO(2,61338)

+ 0,3368B事ASPRUS(1. 0425)

-87.4316 t 0,124491申USAMQl(-1. 52861) (0.587562)

-ー① USAMQ

D,'f(,=1.8546 R2=0, 845349

t 0.78398HJTBIMQ (27,8425)

+ 0.142791本JGNEO(4.11865)

ー1.21348 -10,1948章ASJMPO(-O, 22301) (・ 2,69877)

. ② ASJMQ

-3.23437本TIME(-4.28948)

D,'f(,=1.4015 R2=0,996773

+ 1.51769キRGDP(5.78267)

+ 1. 55388事MTRTP(3.91854)

;: 999,489 -819.39URPRC 14.6845) (・ 15.8334)

③ CONSM

D,W,=1.0316 R2=0,970515

0.0269808宇AS百BC 1 (2.69968)

+ -36.3897 -615,611宇L1RPRC1・0.65712)(-2.4959)

ーー④PROD

+ 0.627710ヰPRODl(4.07557)

+ 1. 44523本L1(USAMQ+ASJMQ) (4.46962)

D.W.=1.5709 R 2 ;:自, 968524

-25-

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⑤ RPRC

⑤Asnc

= -0.288568 + 0.658951事RPRC1 + 0.000485545本ASPRUS(-2.11037) (5.89002) (2.09844)

+ 0.659942tASJMPO (5.62938)

R2=0.826158 D. ¥l{. =1. 3889

= -5875.18 -3.95222事PRODl + 9.84722本USAMQl - 53.9568宇BARLPR(-7.80656) (・2.99776) (2.64025) (-1. 91464)

+ 1. 3289事ASNTC1(20.2255)

R2=0.985266 D. W. =0. 8821

⑦ AEXOTS = PROD -CONSM -USAMQ -ASJMQ

<<ニュージーランド・サプモデル>>

@USEXQ = -25.0542 t 0.0280026ヰUSMPR t 11. 946*USGNPO (-0.947462) (1. 85787) (2.74636)

R2=0.768 D.W.=1.823

@JPEXQ = -3.03802 ・0.00017623キJPMPR t 0.298891村山口-0.971751キTIME(-2.04049) (-0. 277606J (2.7395) (-2.07993)

R2=0.591 D. W. =1. 743

⑩tiCONSM = 40.8493 ・ 0.845239ヰNBFPRO t 1. 2719tNMTPRO ・ 0.118819章NPIPRO(0. 76409J (-4.34755) (2.21512) ・0.609901)

+ 1.26459章NZGNPO(2.68712)

-26・

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R2::0,776 D,Y{, ::!.1324

⑪ NZQBM :: -278,035 t 0,0718992ヰNZNBCl t 0,232466キLl(日SEXQtJPEXQ)(0,0620811)

⑫ NBFPRO

⑬ NZNBC

⑬ NEXOTS

(-1. 63483) (2,28759)

t 0,359522キNZQBMl(1. 68248)

+ 1. 26499事MINPRP(0,952856)

- 7. 25312事TIME(-0,771376)

:: 37,2703 t 0,760328ヰNZBFPS1. 20844) (4. 256(5)

- 1. 69485キTIME (1. 35595)

= 546,567 + 0.91005ヰNZKBCl1. 10698) (16,7692)

+

+

+

R2::0,886499 D,Y{,::1.8306

0,030109本(0, 9 6本USMPRtO,04ヰJMPR)(2,08684)

0,569416キNBFPRQ(-l)(3,98027)

R2=0,739043 D, W. =2,7444

4. 79307ヰNZBFPS(1. 22716)

- 1601. 27本FRT01(-1. 40706)

- 3,93201事BFMOIS(-0,58993)

t 0,193290キLlUSEXQl (0,0626833)

R2=0.938168 D. W. =0, 9847

. NZQBM 自CONSM U S EXQ JPEXQ

以上に示されるま日〈、 推定結果を個別に見る限りかなり良好な結果を示している。

殆どの係数推定値の符号は、 理論的に予想されるものと一致しており、 (自由度

修正請み)決定係数でみてもかなり説明力を示している。 しかし、 強つかの係数

推定値には有意でないものも含まれており、 また系列相聞のみられる式もある。

従って推定結果の解釈には注意を要するが、 その全体としての良否は第 5節の動学

的なシミュレーシヨンの結果をも考慮してなされるべきであろう。 本節の以下の

-27-

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部分では、使用された変数について説明しておこう。

《内生変数》

USAMQ =オーストラリアからのアメリカの牛肉輸入量(千トン)

A S J MQ =オーストラリアからの日本の牛肉輸入量(千トン)

CO~SM =オーストラリアにおけるヰ肉総消費量(千トン cwt)

PROD =オーストラリアにおける牛肉総生産量(千トン cwt)

RPRC =オーストラリアにおける 牛 肉 小 売 価 格 (C P 1により修正済み)

ASNBC =オーストラリアにおける肉牛飼養頭数(千頭〕

AEXOIS =オーストラリアから非主要市場への牛肉輸出量および在庫量(千

トン、 c曹t)

USEXQ =ニュージーランドからのアメリカの牛肉輸入量(千トン)

JPElQ =ニュージーランドからの日本の牛肉輸入量(千トン)

NCONSM =ニュージーランドにおげる牛肉総消費量(千トン)

NZQBM =ニュージーランドにお付る牛肉総生産量(千トン)

NBFPRO =ニュージーランドにお吋る牛肉小売価格(実質ターム、キログラ

ム当たり NZセント)

NZNBC =ニュージーランドにおける誌肉牛掴養頭数(千頭)

NHOTS =ニュージーランドから非主要市場への牛肉輸出量および在庫量

(千トン)

《外生変数》

MTRTP =羊肉小売価格(シドニー市場、キログラム当たり豪州セント)

RGDP =オーストラリアにおける実質 GN P (百万豪州ドル)

ASPRUS =アメリカにおげるオーストラリア牛肉の価格(キログラム当たり

USセント

ASJMPO =オーストラリアから日本へ輸入された牛肉の輸入価格(キログラ

ム当たり豪州セント

BARLPR =オーストラリアにおげる大麦価格(トン当たり豪州ドル)

USGNPO =アメリカにお付る実質 GNP

JGNEO =日本の実質国民総支出ム

JTBIMQ =日本の総牛肉輸入量(千トン)

-28・

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T 1 lH =トレンド

~MTPRO =ニュージーランドにおけ る実質羊肉価格(C P 1で修正清み、キ

ログラム当たり NZセント)

NPKPRO =ニュージーランドにおける実質豚肉価桔(C P Iで修正清み、キ

ログラム当たり NZセント)

NZGNPO =ニュージーランドにおげる実質 GN P (百万円ドル)

NZBFPS =ニュージーランドにおける牛肉計画価指(キログラム当たり NZ

セント)

USMPR =ニュージーランドからアメリカへ輸入された牛肉の輸入価格(ト

ン当たり NZドル)

JPMPR =ニュージーランドから日本へ輸入されたヰ肉の輸入価惜

FRT01 =ニュージーランドにおけるスーパーフ才スフェイト(肥料)価格

の前年からの上昇分(トン当たり NZドル)

BFMOIS =ニュージーランドにおける年間土壌湿度不足日数

MINPRP =ニュージーランドにお付る牛肉安定帯下限価格(キログラム当た

りNZセント)

ASNTCI =オーストラリアにおける前期の総家畜飼養頭数(千頭)

( 2 ) 推定結果の体系的提示

前節においては、モデルの推定結果が、各々の構造方程式ごとに個別に示され

た。本節では、モデルの全体的な特徴をシステマチックに理解するために、全て

の推定結果を行列の形で表示し、以下の分析の素材を提供しておこう o

モデルの構造方程式の推定結果から各変数の係数行列が導出される。各々の変

数ベクトルに対する係数行列(すなわち、 当期内生変数ベクトル Y (t)の係数行列

A、 ラグ付き内生変数ベクトル Y (t-1)の係数行列 B、外生変数ベクトル Z (t)の

保数行列 c)の推定値は表ト1--表 1-3に示される通りである。ここで、次の点が

注意されねぽならない。構造形において、 当期内生変数ベクトルのみが左辺にお

かれ、他の変数ベクトル、すなわち、ラグ付き内生変数ベクトルおよび外生変数

ベクトルは右辺へおかれているということである。従って、全ての変数ベクト Iレ

が左辺にまとめられ、右辺にはゼロベクトルだげが来るという通常の教科書的な

-29・

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表現法とは異 なっている。それ故 、普通の提示法による場合と比べると、係数行

列 Bおよび Cの各要素の符号は逆になっている。

つぎに、係数行列 Aの 逆 行 列 を 構造形方程式の両辺に(左から)乗ずることに

よって得られ た誘導形方程式の係 数行列(すなわち、ラグ付き内生変数ベクトル

y (t -1 )の係数行列 π1と外生変数ベクトル z(t)の係数行列 π2)の推定値を示し

たのが表ト4と表 l寸である。

また、この係数行列 π1から導出される固有値は表ト6に示す通りである。この

表から分かるように、 このモデルは、実数と捜索数との双方を固有値にもっ てお

り、 またごのうち、最大固有根は lより小さい絶対値をもっている。従って本 モデ

ルは安定性を有しており、その意 味 で 以 下 で 展 開 す る 動 学 乗 数 分 析 が 意 味 をもつ

ことが知られる。さらにこの固有担の値から、システム全体としての動きは、誠

衰的周期変動 ( こ れ は 檀 素 固 有 根 0.3138510.090162・iにより規定される)と単

調減衰変動(これは実数固有担により規定きれる)との混合した変動により説明

される動学的プロセスを示すことが知られる。 また各固有棋の絶対値の大きさの

比較から、前者の変動成分(減衰的周期変動)は、後者の変動成分(単調減衰変

動)によりドミネイトされ、顕在化しないことが知られる。

なお、このシステムにおける減衰的周期変動の部分に関する振幅と周期は 、各

、々 0.32654および 22.46046(年/サイクル)であることが導かれる。つまり lサ

イクルするのに 22.46年かかる(或は l年に 0.0H 5サイクルする)周期変動であり、

その揺幅は毎年 3分の lに縮小していくことが知られる。

情 30世

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表 1-1構造形:従属内生変数の係数行列 (A)

USAMQ. A0S.JαMxQ p CONSM PROD RPRC ASNBC AEXOTS

A1C1SOSJANMMSQ M Q 1.α:m O.α:m O.α:m O.αX氾 O.αXXl O.α:m O.αx:o 1.αXXl O.αx:o O.αまお a αxx) a α::00 O.α::00 O.αX泊 O.αxぉ 1.αxx) O.α:m 819.3ヲ70 O.α:00 O.αX泊

PROD -1. 4452 -1. 44:;2 O.αx:o 1.α::00 615.6110 0.CfX1J O.αχぉRPRC O.αxロ O.αX氾 O.αx:o O.αXXl 1.α:x::o O.α:00 O.αX氾ASNBC O.α:ro O.αXXl O.αx:o O.αx泊 O.α:x::o 1.αx:o O.αx:o AEXOTS 1.α:x::o 1.αXXl しαxx) ー1.αXXl O.αx:o O.αx:o しはX泊

JUNPSCEEOXXNQ Q SM O.αX泊 O.αxx) O.αX氾 O.αXXl O.αx:o O.α文。 O.αX氾O.αχ沿 O. αχ幻 O.αX泊 O.αXXl O.α::00 O.αxx) O.αxx> O.αx:o O.αxx) O.αxx) O.α:ro O.αXね O.αX幻 O.αlX)

NNZBQF?BRM O a αx:o O.αX氾 O.αx:o O.αXXl O.α:x:xコ O.α:x::o O.CO:O O.αX均 O.αx:o O.αxx) O.αXXl O.αX泊 a αX幻 O.αlX)

NZNBC O.αX沿 a α::00 O.αx:o O.αXXl O.α::00 O.α以3 O.αX氾NEXOTS O.氏以3 O.αx:o O.αx:o O.αX泊 O.αXXl O.α:x:o O.は:x:o

USEXQ JP0.EαXχQ 均 NCONS~i NZQBM NBFPRO NZNBC NEXOTS

UACOSSAINMMSQ M Q O.αX均 O.αxゎ O.α:ro O.αxぉ O.αlX) O.αXXl O.αXXJ O.α::00 O.αX氾 O.oo::n O.α:ro O.αX泊 O.αXXl O.α:ro O.αχ均 O.αX幻 O.αx:o a αXXl O.αX泊 O.αXXl

PROD O.α::00 O.α::00 O.αXXl O.αX氾 O.αX氾 O.αx:o O.αヱ泊RPRC O.αXね O.α::0コ O.αX刃 O.αx:o O.αxゎ a αx:o O.αXXl ASNBC O.α:x::o O.αX氾 O.αX幻 O.αX氾 O.αX氾 O.α:x::o O.α:m AEXOTS O.α:x::o O.αX泊 O.αX氾 O.αχp a αx:o a 氏以3 a αxx)

UINPSCEEOXXNQ Q SM 1.α:x::o O.αx:o O.αXXl O.αxx) O.αx:o O.αXXl O.αXXl O.αx:o 1.α::00 O.αXXJ O.αlX) a αx:o a αm O.αx泊O.αXXl O.αXXJ 1.αX泊 O.αXXl 0. 8452 O.αxx> O.αXXl

沼曾品 -0.0232 O.但32 O.α:x::o 1.αlX) O.αXXl O.αx:o O.αlXl O.αXXl O.αxx) O.αxx) O.はロコ 1.αX氾 o.ccoo O.αX氾

NZNBC -0.1933 O.α:x:o O.αXXJ O.は::00 O.αxx) 1.αxx) O.CO:O NEXOTS 1.αロコ 1.α::00 1.αx:o -1.αXXJ O.αxx) O.αxo 1.αx:o

表 1-2 構造形:.先決内生霊数の係数行列 (B)

'USA..¥1Q ASJMQ CONSM PROD RPRC ASNBC AEXOTS USA.¥fQ 0.1245 O.αxc O.αxロ O.αX泊 O.αX氾 O.αX幻 a αx:o ASJMQ O.αX沿 Q.αχロ O.αX氾 O.α:m a α沼3 O.α以3 O.αX氾CONSM O.α))J 0.00.:刃 O.αxロ O.αX氾 0.αロ3 O.α::00 O.αxx) PROD -1. 4452 -1.4452 O.α))J 0.6277 615.6110 0.0270 O.α::0コRPRC O.α::OJ O.α:0コ O.αX泊 O.αX幻 0.品5句 0.00:刃 O.αX泊ASNBC 9.8472 O.α:00 O.α::00 --3.9522 O.αxx) O.α::00 O.はロコAEXOTS O.α))J O.αX泊 O.αm O.αm a αmコ O.αm O.CXXX> USEXQ O.αxゎ a αm O.αm O.αX氾 O.α::00 O.α::00 O.αx:o JPEXQ O.α::OJ a αxx) O.αX泊 。‘αXXl O.αxx) a α::m O.αxx) NCONSM a α::co O.α::co O.α::m O.αX氾 a αmコ O.αxo O.OXXコNZQBM O.αXXJ O.α:m O.α::m O.αxx) a α沼3 O.α::00 '0.αX幻NBFPRO O.α:xxコ O.αm O.αxo O.αxx) a α))J O.αxゎ O.α::00 NZNBC O.α:m a αX氾 O.αxo O.αX泊 O.民ロコ O.αxゎ O.αx:o NEXOTS O.αx:o O.αm O.α::00 O.αXXJ 0.α:0コ O.αmコ O.COX> USEXQ JPEXQ NCONSM NZQBM . NBFPRO NZNBC NEXOTS USA!vlQ O.α:x:o O.αX泊 O.氏以コ a αxゎ O.α:m O.α::m O.αX幻ASJMQ O.α::00 O.α:m O.αxx> 0.0:ロコ a αまね O.α:00 O.αX幻CONSM O.αXぬ O.αX氾 a αxx> 0.0:ロコ O.αX均 O.α:00 O.αxo PROD O.αxx> O.αX氾 O.αxx> a αX泊 O.αx:o 。‘αロコ O.αXXJ RPRC O.αxx) O.αlXJ O.αx:o O.民間 O.αロコ O.αX泊 O.αXXJ ASNBC a α:0コ O.αxx) O.αxx> 0.αロコ a αnコ O.α::m O.α:x:o AEXOTS O.民間 O.αX泊 ‘a αX泊 a αxゎ O.α:x:o a αXlO O.αlXJ USEXQ O.αxx) O.αm O.α::00 O.αxロ O.αx:o O.αX悶 O.αXXJ ]?EXQ O.αXぬ O.αm O.αx:o O.αlXJ O.αx:o O.α丈氾 O.αXXJ NCONSM O.αX泊 O.αxぉ 。‘α:m O.α:x:o a αxゎ O.α:x:o O.αX氾NZQBM -0.0232 -0.0232 a αロコ 0.3595 O.αX泊 0.0719 O.αXXJ NBFPRO O.αm O.αxx) O.α:m O.α:x:xコ 0.5694 O.αX幻 O.αX幻NZNBC -0.1933 O.α:m . O. α::m O.αx氾 0.(0)) 0.91∞ O.αXXJ NEXOTS 0.0:00 O.αX泊 O.α:m O.αm O.αxx) O.α:x:o O.αx:o

寸1・

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表ト3 構造形:外生変散の係数仔列 (C)

定数項 MTRTP RGDP ASPRUS ASJl¥.IPO

ACUSOSj ANh LSI1Q bQ f -87. -4316 0.0筑羽 O.αX氾 0.3369 O.αxx)

ーし 2135 O.αX沿 O.αX氾 O.αx:o -10.7948 9押 .48叩 1.5539 l. 5177 O.α::00 O.αX氾

PROD -36.3897 O.αm O.αxo O.αX氾 O.α:00 RPRC -0.2886 O.αχ泊 O.αxxコ O.α))5 0.6599 ASNBC -5875.1802 O.αXJ.コ O.αxo O.α:00 O.α:00 AEXOTS O.αDコ 0.0ま)Q O.αDコ O.αm O.αX氾USEXQ -25.0542 O.ro:刀 O.αDコ O.αχ幻 O.αx:o J KPC EOXNQ SbI

-3.0380 O.α刀コ O.αxゎ O.αX氾 。‘αx:o40.8493 O.αχゎ O.αX幻 O.αχ沿 O.α::0コ

NZQB:-'l -278.0350 O.αxゎ O.αXJJ O.α::00 O.α:00 NBFPRo 37.2703 O.αY.X) O.αX刃 O.α::0:コ O.α::0コ?、~Z~BC 546.5670 0.0:立)) O.αxゎ O.αXJ..コ O.αm l'¥EXOTS O.αX1J O.αま刀 O.αχ幻 O.α:00 O.αX幻

BARLPR USGNPo JGNEO JTBJMQ TIME

AUCSSO1AX1hSiQ λQ I O.αX氾 25.1681 O.αxゎ O.αX氾 O.α:00 O.αχ幻 O.∞:J:) O. 1429 O. 7840 -3.2344 O.αX氾 O.∞羽 O.α工氾 O.αX刃 O.αX幻

PROD O.αX幻 O.∞羽 O.α:00 O.α工幻 O.αX氾RPRC O.α工わ 0.0:;つコ O. o:x刀 O.α工氾 O.αx'o AS~BC -53‘9568 O.C':OJ 0.0α)') O.αX幻 O.αXJ.コAEXOTS O.αx'o 0.00刀 0.0主わ O.αX氾 O.αX氾

J UT4PSC EEOXXNQ Q SLI O.αX幻 11. 946:) 。曾α立〉つ O.αX氾 O.α:XXJ O.αXJ..コ O.OY.XJ 0.2989 O.αχゎ -0.9718 O.α::00 O.α工ロ O.αm O.αxゎ O.αX氾

TqZBQ F BhI O.αX1J O.∞泊 O.αX氾 O.αX1J 一7.2531ト:BFPRつ O.αxゎ O.αXfJ 0.0α刀 O.αxo -1.6948 NZ;-..iBC O.α::00 O.O:XXJ 0.00:刀 O.αX氾 O.α)')Q

1'¥EXOTS O.αm O.αYY.コ O.αX刀 O.αX1J O.αX氾

N~1TPRo NPKPR:J NZGNPJ NZBFPS USMPR

UACS SOjANMLS IQ EQ I O.αエ刃 O.∞羽 O.α:00 O.α::0コ O.αX氾O.α::00 O.α工YJ O.α泊。 O.αxxコ O.αX氾O.αχゎ O.αコココ O.αX泊 O.αXXJ O.α::00

PROD O.α:O:J 0.0:)羽 O.Q.:).X) O.αx:o O.α::00 RPRC O.αxゎ O.CXXYJ O.αヱわ O.αx'o O.αX均AS:--iBC O.αx:o O.α工刀 O.α)')Q O.αxx) O.α::0コAEXOTS O.α::00 O.αT1J O.αX氾 O.αxx) O.αX幻

JUぷP SC EE0XX 7Q 4Q SλI O.αX1J O.αX刀 。+αX刀 O.αX幻 0.0280 O.αX1J O.α工幻 O.αm O.α:00 O.α丈幻1. 2719 -0.1183 1. 264岳 O.αX泊 O.αX氾

XZBQ F BhI O.α::0コ O.∞刀 O.αm O.αX幻 O.αX1J NBFPRつ O.αヌヨD O.O:X刀 O.αヌヨコ O. 7国 3 0.0289 I¥Z:--IBC O.αX幻 O.αXXl O.αX幻 4.7981 O.はxx)

I¥EXOTS O.αXXl 0.00:0 O.αX幻 O.αxx) O.αX1J

JPMPR FRTOl BFMOIS MINPRP ASNTCl

AcUo 5S1AN5LS1IQ hQ I O.αXJ..コ O.CIJY.J O.αXJJ O.αxゎ O.αX1J O.αX1J O.α工ロ O.αX氾 O.αm O.α)')Q

O.α))J O.αX氾 O.αXJ,コ O.αX泊 O.αXJ..コPROD O.αX幻 O.αX氾 O.α:O:J O.αX1J O.αX泊RPRC O.α)')Q O.αXXl O.αxゎ O.α)')Q O.αX幻AS~BC O.αXJ.コ O.αm O.αXJ..コ O.αX氾 1. 3289 AEXOTS O.α::00 0.0ま刀 O.α工氾 O.αX氾 O.α)')Q

UJNPSCEEOXXNQ Q S51 O.αx:o O.αxゎ O.αヌ刃 O.α)')Q O.αロコ

-0.α泊2 O.αX刀 O.αX氾 O.αX氾 O.α)')Q

O.αXXl O.α)')Q O.α)')Q O.αm O.αX1J

NZBQF BhI O.αxx) O.α)')Q O.α:0コ 1. 26日 O.αX氾NBFPRa O.α)12 O.αヱヨD O.αxx) O.α::0コ O.αX幻NZ~BC O. ( 口 均一1601.27∞ -3.9320 O.αX刃 O.αX1J NEXOTS O.αx:o O.αX氾 O.αx:o O.αxx) O.α)')Q

-32・

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註(1 )これは筆者自身の作成したプログラム上の便法であって、 当期内生変数

ベクトルの係数行列 Aの逆行列を用いて誘導形を導く手続きを容易にす

るためである.

( 2 )減産的周期変動成分 y (t}は、次式で示される(ラジアン単位)。

y(t)= {O.31385:t0.090162・i} t

= {O. 32654宇(cosO.27914+ i . sin(). 27974)} t

= (0.32654) t {cosO. 27974・t+i. sinO. 27974・t}

なお、最大固有担は、表 1-6より、実数根 0.91005であるため、この聞の

全体的動きは均衡値への単調誠嚢変動(均衡値からの轟離が毎年単調に

101縮小してゆく変動)によりドミネイトされる。

-33-

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r

E

表 1-4訴導形先決内生定Eまの係数行列(宵,=A-'B)USAMQ AS])'fQ CONSM PROD RPRC ASNBC ' AEXOTS

ACUSOSAJNMJKS1Q M Q O.124!1 O.αxx) O.αxx) O.αXXl a αX氾 O.αxx::l O.αxx)

O.αxx::l O.αxx) O.αXXJ O.α:m O.α:x:xコ O.αXXl O.α丈ロ

O.α::x:xコ O.αxx) O.αX氾 O.α:x:xコ -!l39.9424 O.αxx::l O.α::00

PROD ーし 2~3 ーし4452 O.αxx) 0.6217 京刃.9535 0.0270 O.αxx)

RPRC O.CXX泊 O.αxx) O.αX氾 O.αxゎ 0.65町 O.αXXJ O.αxx)

ASNBC 9.8472 O.αxx) O.αxx) -3.9522 O.はX氾 O.αX氾 O.αxx)

AEXOTS -1. 389B ーし 4452 O.αX氾 0.6217 749.89日 0.0270 O.α:ro

UJNPSCEEOXXNQ Q SM O.αX刃 O.αxx) O.α::O::J O.αXD a αX氾 O.αXD O.αxx)

O.αX氾 。亭αxx) O.α::00 O.αxx) O.αX刃 O.αXXl O.αxl:)

O.αX氾 O.αxx) O.αXXJ O.αXXl O.αXD O.αXXl O.α::O::J

O.α主氾 O.αxx) O.αxx) O.α::O::J O.αX刃 O.αX1J O.αxx)

NBFPRO O.αxx) O.αxx) O.αx:o O.αXD O.αXXl O.αX1J O.α::O::J

NZ~BC O.α::x:xコ O.αxx) O.αxx) o α:x:xコ O.αX氾 O.αxx) O.αxx)

NEXOTS O.αXD O.αxx) O.α::O::J O.αXXl O.α))) O.αxゎ O.αxx)

USEXQ ]PEXQ NCONS九f NZQBM i'-1BFPRO NZNBC NEXOTS

IACJSOSJAXEJS』ItQ5Q 1 O.αxx) O.α:00 O.α::OJ O.αX氾 O.αXXl O.α:x:o O.αX幻

O.αxx) O.αX氾 O.α::OJ O.αX氾 O.α:x:o O.α:x:o O.α::x:xコ

O.αxxコ O.α::O::J O.αxx) O.αXXl O.αxx) O.α:m O.αX氾

PROD a αx:o O.α工わ O.αX氾 O.α:x:o O.αX刃 O.α:x:o O.α:m RPRC O.αx:o O.α:m O.α:x:o O.α:x:o O.αxx) O.α:x:o O.α::x:xコASNBC a氏以〉 O.α:00 O.α:x:o O.αX幻 O.α:x:o O.α::00 O.αX1J

AEXOTS O.αx:o O.α:x:o O.α:00 O.α:00 O.αxx) O.α:00 O.αX氾

1J74JPSCEEOXXNQ Q SM 。‘はxx) O.αXXJ O.αX氾 O.αX氾 O.αxx) O.αxx) O.αX泊

O.αxx) O.α:x:o O.αX幻 O.α:x:o 0.0;エロ O.α:x:o O.αX1J

o αxx) O.α:00 O.α:00 O.αX氾 -0.4BI3 a α:XXJ O.αX1J

メZBQFBM -0.0232 -0.0232 O.αX氾 0.3595 O.αxx) 0.0719 O.αX1J

NBFPRo 。司はxx) o.α丈む O.αxx) O.α:00 0.569~ O.αxx) . O.αm

NZNBC -0.1933 O.α:x:o O.α::00 o.αX泊 O.αxx) 0.91∞ O.α:XXJ

NEXOTS -0.0232 -0.0232 a.α:00 0.3!195 0.4813 0.0719 O.α::00

表 1-5 I秀導形:外生uの係主主行'j'lJ(:r,=A-'の

定数項 MTRTP '.RGDP ASPRUS ASJMPO BARLPR USGNPO

UACSSOAJNMLSfQ M Q -87.4316 O.α:XXJ O.αxx) 0.336守 O.αxx) O.αX1J 25.1伺 l

ーし2135 O.αX氾 O.α立泊 O.α::x:xコ -10. i948 O.αχ泊 O.αX1J

123!1.9408 1.5539 1.5177 -0.3979 -540.7545 O.αm O.αX1J

PROD 13.1434 O.αnコ O.αXXl O. 18田 -421. 8685 a α m 36.3737 RPRC -0.2B86 O.αxx) O.αXXl O.αXl5 0.6599 O.αXD O.αX1J

ASNBC -~75.1即2 O.αxゎ O.αX氾 O.αX1J O.αX氾 -53.9568 O.αxo AEXOTS ー1134.1522 -1.5539 -1. 5177 0.2489 129.6田7 O.αX泊 11. 2056

UJNPSCEEOXXNQ Q SM -25.0臼2 O.α:XXJ o.cx::c氾 O.αX1J O.α:x:o O.αXXl 11. 94伺一3.国田 O.α:XXJ O.αXXl 0.αX氾 O.αX氾 O.αxx) O.oo::xJ

9.3470 O.αX泊 O.αxx) O.αX氾 O.αX氾 O.α:00 O.αX幻

NNZBS QBM -278.5468 O.αX幻 O.α:XXJ O.αX氾 O.αX1J O.α:x:o 0.2777 PRO 37.2703 O.αxぉ a α工氾 O.αxゎ O.αXD O.α::x:xコ O.α:x:o

NZNBC 541.7243 O.αX幻 O.αX氾 O.αX1J O.∞∞ O.αXD 2.3C刃0NEXOTS -259.8016 O.αX氾 a αxx) O.αxゎ O.αXXJ O.αxx) -11.6683

.]GNEo ]TBIMQ TIME NZBFPS N1iTPRO NPKPRO 'NZGNPJ USAMQ O.αX氾 O.αxx) 圃 O.α)00 O.αxx) O.α::OJ O.αXlO O.αXlO

ACSOJNMSQ M O. 1428 0.7840 -3.2344 O.αX泊 O.αxx) O.αm O.αX氾O.α::co O.αX氾 O.α::co O.αm O.αXXl O.αX氾 O.αxゎ

PROD 0.2064 1.13担 -4.6744 O.α以3 O.αxx) O.αX幻 O.αX1J RPRC O.αX氾 O.αX1J O.αxx) O.αXlO O.α:x:o O.αX刃 O.αxx) ASNBC O.αxx) O.αX氾 O.αXQ O.α:x::o O.αm O.α:x::o O.αロコAEXOTS 0.063晶 0.3491 '-1.44αコ O.αXlO O.αX泊 O.αX氾 O.αXlO USEXQ O.αxx) O.αXlO <'0.αxx) 、O.α:x:o O.αxx) O.α:x:o O.αXlO

JNPCEOXNQ SM 0.29自守 O.αXlO -:-0.9718 '0.αXlO O.αxx) O.αXね O.αX幻O.αxx) O.α:x:xコ 1.4326 '1.2719 -0.1188 1. 2646 -0.6427

NZBQF B M -0.αlo9 O.αX氾 -7.2305 a α以コ O.αX氾 O.α::00 O.α::x:xコNBFPRO O.αxx) O.αXlO -1. 69'18 a α:x:xコ O.αxx) a αXlO 0.7却 3NZNBC O.αXlO O.α:x:xコ O.αxx) a αXlQ O.αxx) O.αXlO 4.7ヲ81NEXOTS -0.羽58 O.α立泊 -7.6913 -1. 2719 0.1188 ー1.2646 . 0.6427

]PMPQ FRτ・01 BFMOIS MINPRP ASNTCI US:-'lPR

UACSSOAJNMbSfQ M Q O.α:XXJ O.α:x::o O.α:XXJ O.α:x:o O.αXlQ 0.D:XXl O.αxx) O.αXlO a αX泊 O.αX'Q O.αxx) a αX幻O.α:XXJ O.αX泊 a αX氾 O.αXlO O.αXlQ O.αX泊

PROD O.αJCX) O.α:x:o O.α:x:o a α:x:o O.α::00 aαXXl RPRC O.α:x:o O.α:XXJ a α:XXJ O.αX泊 O.αX泊 O.αX幻ASNBC O.α:x:xコ O.αxx) a α:x:o O.αm 1.3289 . O.α:x:o AEXOTS O.αxx) O.α:x:o O.αxx) O.αXXl O.αX氾 司O.αXXl

UJNPSCEEOXXNQ Q SM O.α:x:o O.αXXl a αX泊 0.00:0 O.α:x:o , '0.白田

-0.α刃2 O.αxx) O.αX1J O.αX1J O.αX氾 O.αXlO -0.∞10 O.αxx) O.α:XXJ O.αXXI O.αxx) 【な0244

NZQBM O.α:ro O.αX氾 O.αX1J 1. 26田 O.αX幻 .~.αXJ7 NBFPRO O.∞12 O.αxx) O.α:m O.α:x::o O.αX幻 . 0.028ヲNZNBC O.α:m -1601.27∞ -3.悶 20 O.αm O.αX1J O.出品NExo'rs O.∞12 O.αX泊 O.αX氾 1. 26日 O.αX幻 司 O合)29

-34曙

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表 ト6 、,J根性特のー

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有固

第五節 シミュレーション分析

本節では、推定結果を用いて本稿で 想 定 さ れ た モ デ ル が 現 実 の 動 き を い か にう

まく再現するかに関してのバリデーションおよび若干の予測を行なう。

( 1) 事後予 測(バリデーション)

周知 の 通 り 、シミュレーション分析は、①サンプル期間内についてモデル再現

性をチェックするバリデーションあるいは事後予測としての用法と②サンプ ル期

間外 についてのモデルの動きを予測す る 事 前 予 測 あ る い は 政 策 的 模 擬 実 験 として

の用法とのふた通りに用いられる。

またシミュレーションの手法そのものにも控つかの計算方法が開発されている。

良〈知 られ ているものに、①ガウス・ ザ イ デ ル 法 と ② ニ ュ ー ト ン 法 が あ る 。前者

は、係数行列の逆行列計算を行なわず、反復的収束計算で代行しようとするもの

であり、能って、非緯形モデルにも適用が可能である点で最近ではよく用い られ

る。また後者は、逆行列計算の過程を要するので主に轄形モデルに適している。

前述した知く、本稿のモデルでは綿形性を維持しているので後者が適用された。

さらにシミュレーションによるテストの厳しさに応じて、 3種類 のテ スト が区別

される。つまり ①パ ーシ ャル テス ト、窃トータルテスト、@ファイナルテストの

3つである。パーシャルテストでは 、 各 方 程 式 に つ い て 、 全 て の 独 立 変 数 ( つまり

右辺に表われる当期内生変数、ラグ 付き内生変数および外生変数の全て)に観察

値を 代入して従 属 変 数 (=内生変数)の動きをテストするものであり、最も安易

-35・

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者テストである。 トータルテストでは、各方程式の右辺の独立変数の中、先決変

数(つまりラグ付き内生変数および外生変数)のみに観察値を与え、右辺の当期

内生変数には推定値を代入して、従属変数の動きをテストするものである。従っ

てパーシャルテストに比べて、システム内の当期における各誤差項が方程式間で

互いに影響しあうことを認めたうえでテストされるのでより厳しいテストといえ

る。

さらにファイナルテストにおいては、各々の方程式において、右辺の独立変数の

中、外生変数のみに観察値を与え、当期内生変数とラグ付き内生変数には推定値

を与えて、従属変数の動きをテストしようとするものである。従ってこのテスト

においては、システム内の各誤差項が方程式間で作用しあうだけでなく異時点間

でも作用しあうので、連立方程式体系の連動的再現性と勤学的再現性の双方から

テストされることになり、最も厳しいテストといえる。

本稿では、煩雑を避けるため、この最も厳しいファイナルテストの結果のみを

示した。それをプロットしたのが第 l節に示した図ト3---図ト16である。

また前述したバリデーションの方法についても、パラメトリヅクな方法とノン

パラメトリックな方法とがある。

前者は、推定誤差の系列に種々の統計解析法を適用して検定値を導出したもので、

そ・の代表的なものにタイルの不一致係数、残差平方和、重相関保数など数多くあ

る。後者の代表的なものは、いわゆるターニングポイント・エラー・テストであ

るが、本稿では適用されていない。前者の方法において推定誤差の分解の仕方に

応じて種々の検定が試みられるが、本稿では、 これらのうち主要なもののみを各

内生変数ごとに示した。表 1-7に掲げられる通りである。

-36-

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決定係書E

平均ニ蜂眼差の平方根

平均絶対値鼠益

平均鼠 差

指定値系列に対する観察値系列の回帰係数

THEILの不ー致係数

よ分岳部項る

に部の鼠散す分

り整散る分来甑

価額分よ共由差

,E・E・-Eld--llt

分解①

平均=魚眼差の

表 1-7事後的シミュレーシ,ン結果 (77'イナル・テスト〉のパリデーシ・ン

オー見トヲリ 7 ・+プーデル

USAMQ I AS]MQ I CONSM PROD RPRC i ASNBC I AEXOTS

0.8685

ぬ 88

26.18

0.9974 0.9434 0.9748

70.34

55.02

。‘ 8522

0.05853

0.04703

0.9882

679.2

518.5

O.∞1349

1.0

0.01652

0.6848

101.2

76.95

-0.1四 X10-4

0.7816

O. 1333

O. 1384X 10-131 O. 1517X 10-1:1 0.4274 X 10-1~ O. 1707X 10-111 O. 5878x 10-"1 O. 31-12X ¥0-111 O. ! 161 X ¥O-Il

ーに分ょ

の雄前に分

散説差散関

係の鼠分霊

婦らる楚眼

目〆ゅは

1同る

窮議脚

1.田7

1. .0¥51

46.錯

32.35

1.0 1.02守

O. 3633X \O-~I-o. 7039X ¥0-'1 O. :J052x 10-'1 0.2田 6x¥0-'1-0. 1419X ¥0-'

1.0 1.0

o αJ2964

O.守97

1.0

。‘8413X¥0-"1 0.4073 X 10-") 0.守 2939X10ーロ

O.∞9348

0.9旬 7

0.14日コ

0.855

1.0

O.白京刃 0.01748 0.03-179 0.02646 0.02812

USEXQ -l-JPEXQ--I NCONS1¥l .::. .. .ージーヲ γ ド・+プモデル

間 B1¥1 I NBFPRO下NZNBCfNEXOTS

0.914守

31. 83

21. 87

0.7912

11.65

8.102

0.03522 O. 6.o¥62x 10-'1 0.05491 0.006376 0.03995

5

にのこ民

lに

h…

U分酌均一掛日韓一蹴一能…

Ef--JIllfit--

@

@

T係

=

-a-mMM

0.9648 0.9994 0.9451 0.9936 0.96

0.1527Xl0-1110.9817X10-U 0.0131

1.0 1.0 1.0 しO 0.9869

O. 1998X ¥0-51ーO.4144X 10-11 O. lQ5.4X 10-'1-0. 321X ¥0-4 1-0. 3633X 10-'

0.7915 0.6525 0.7731

1.0 1.0

0.03936 0.02419

0.9536 。‘733

4 0

1

7

x

qu

白日

a--司L

qua-事

'a

d

4aaI0

0

6

7

X

La品

‘“

R

4

4旬

&

4

nu

0.01533

1.0 0.99

O. 1124

O. 1456X 10ー口IO. 1373X 10-121 O. 4042x 10-日10.1055X10-111 0.9719X10-ul 0.3415X10ーロ1O. 1532X 10-11

16.56 1. 1J8

0.9524

16.57

11. 74 13.10

1.0 1.0 0.9344

0.07638 0.1お l 0.05453

O. 5B38X 10-'1 O. 1063 0.01512

0.9416 0.8937 0.9849

O. 9659X 10曲 "1O. 2655x 10-131 0.0165

¥;0 1.0 O.拘 35 1.0 0.9押 7

0.02224 0.05841

0.9778 0.9,¥15

0.01187

0.9芭81

O.白 848

0.9315

1.0

O. 7839X ¥0-口1O. 3733x ¥0-"1 O. 1849X 10-141 O. 2782X 10-1

-37-

しo

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( 2 ) 事前予 澗 ( プ レ デ ィ ク シ ヨン)

前 節 表 ト7のバリデーシヨン(事後予測=再現性チェック)の結果から、 本モデ

ルは 以 下 の 分析に耐えるだけの十 分 な 再 現 性 を 有 し て い る ご と が 知 ら れ る 。ぞれ

故、ごのモデルを用いて、若干の事前予測を行なった結果を検討しておごう。

まずこの予測に当たって次のように外生変数をコントロールした。 (i)アメリカ

の実質 GNPの 成長率をは、(i i )日本の実質 GNEの成長率をは、(i i i )他の全ての外生

変数を 1980年のレベルに画定した場合の条件付き予測を試みた(表ト8)。

( 1 ) 以上の想定の下で、モデルの構造が予測期間(1980......1990年)中に変

化しなかった場合、オーストラリアの肉牛飼養頭数は比較的ゆるや かな

伸びを示し、 19 9 0年には 2348万 5千頭へと 5, 9 3 ~の増加が見込まれる。ニ

ュージーランドでも、同 樟に 19 9 0年には 94 2万 E千頭に遣し、 0,99nの増

加が予想される。

( 2 ) また牛肉生産量について は 、 オ ー ス ト ラ リ ア で は 16 5万 8千トンへと

0,302%増加することが見込まれるが、ニュージーランドではむし ろ減少

傾向が予想される。

( 3 ) 牛 肉 の 圏 内 価 格 に つ いては、オーストラリアでは 19 9 0年 ま で に 29,13

自の上昇が見込まれるのに対して、ニュージーランドでは逆に下落傾向

が予想される。然しこの後者は種々の価格指数でデフレートした 合成値

で あるため、このデフレー ト の た め の 指 数 が 予 測 期 間 に わ た っ て適切に

設 定されていないことが反 映している可能性がある。またこうした事情

が前述のニュージーランド に お 付 る 牛 肉 生 産 量 の 下 落 傾 向 に も 反 映して

いるものと思われる。

(4) 牛肉の圏内総消費需要の動きについては、オーストラリアでは 、下落

傾向が予想されるが、ニュージーランドでは、 1 S 83年まで下落した後、

上昇に転じ、 19 9 0年には、 18万 4千トンに遣することが示される。なお、

前述した知く、 この統計は l人当たり消費量の尺度で測られておらず、

総消費量であるため、人口の動きに対する種々の誤差が累積されている

可能性もあるために、 との結果の信頼性は必ずしも高〈ないことに注意

しなげればならない。

( 5 ) 主たる輸出市場(アメリカおよび日本)からの(潜在的な)輸 出需要

-38・

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量の動きについては、オーストラリア、ニュージーランドとも、両輸出

市 場からの牛肉輸出需要量は大きく増加していくことが予想される。

ここでこの輸出需要量の予想値については、特に注意を要する。 これは、アメ

リカと日本との輸出需要関数だけから計算される潜在的輸出需要量であって、最

終的輸出実現量の予想値ではない。本来ならば、アメリカおよび日本倒の圏内市

場モデ ルを 作り、それから導出され る 輸 出 需 要 量 の 変 数 が 、 オ セ ア ニ ア 倒 の モデ

ルに結合されて、そこでの国際市場調整を経て貿易量が実現されるようモデル化

すべきであるが、 現段 階で はこ うした調整過程は内生化されておらず、むしろ単

一方程式として決定された輸出需要量が(同時決定過程ではなく)、連改決定過

程を 経て、オセアニア倒につながって い る に す ぎ な い 。 従 っ て こ の 予 測 値 に は輸

出倒の詳細な市場状況が反映されて来ない特殊なものであることに註意する必要

がある。

注(1 ) トータルテストは、スタティックシミュレーションテストと呼ばれる

こともある。

( 2 )ファイナルテストは、ダイナミツクシミュレーションテストとも呼ば

れる。

( 3 )表 1-7におけるタイルの不一 致 係 数 に は 3種類あるが、 ここで示したの

はその第 l式である。つまり、

U,= j手五ι_Y,)t

仔F+J司 Y,t

( 4 )表 1-iにおげる平均 2乗誤差の 分 解 法 ① と ② と は 各 々 、 次 式 の よ う に 分解

した後、左辺の値で除し各項を比草で示したものである。

① すs孟召〔什1',':'"ι与Y,)l=(什Y,-y,巴a仰〉

冒,一.

@すeE〈九一Yt)"=CY-Y)t+CSr"","rSr)l+CI-r")Srl (rは現実値 Y,と措定値れの相関係置]

-39・

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表 1-8 事前的シミュレーシ,ン結果

USAMQ ASJMQ CONSM PROD RPRC 1980 398. 150 ヲ1.6772 650.145 1653.58 1.38878 1981 413.261 98.8691 535.314 1531.06 1. 52692 1982 429.217 l∞.282 459.646 1485.81 1:62127 1983 445.842 101.928 409.184 14伺 .71 1. 68212 1984 463. 135 103.817 376.928 1517.68 1.12222 1985 481. 121 105.963 355.277 1548.26 1. 74864 1986 499.826 I団 .378 341. 011 1576. 15 1. 16回 51987 519.279 111. 075 331. 610 16CO.32 1.77753 1988 539.511 114.069 325.415 1621. 45 1. 78田守

1969 5国 .551 117.374 321.333 1640.51 1.79CIJ7 19伺 582. 434 121.∞6 318.643 1658.33 1.19335

ASNBC AEXOTS USEXQ JPEXO NCONSM 1980 22170.8 日7.E:m 177.37ヲ 6.00639 181.339 1981 21834.8 <48守.611 182.伺 3 6.63786 171. 653 1982 22444. 1 <496.663 188.647 7.34948 167.570 1983 22803.8 ~33. 217 194.622 8. 14527 166.678 1984 22947.8 573.釦4 200.835 9.02945 167.回 21985 23011.8 日5.895 目7.296 10.0064 169.561 1986 2出品目.I 626.933 214.017 11. 0田 8 172.109 1987 23142.0 638.354 221.αJ6 12.2575 174.992 1988 23236.0 642. 454 228.274 13.5417 178.067 1989 23353.8 制し 252 235.833 14.9386 181.2日19句 23485.6 日6.249 243.695 16.4540 184.495

NZQBM NBFPRO NZNBC NEXOTS 19田 561.ぽ刃 269.838 9336.40 197.075 1961 562. 971 281. 297 9349.87 却し 7771982 557. 114 286.126 9362. 18 lヲ3.5471983 54目.647 287. 183 9373.42 179.却 31984 539. 166 2!!6.0拘 9383.69 161. 7α} 1965 529.251 283.772 9393.09 142.387 1986 519.118 2却.757 9401. 70 121.911 1987 日8.849 277. 346 9409.58 l∞.593 1988 498.479 273. 7明 9416.81 78.5966 1989 488.027 269.943 9423.44 56.∞51 19悶 477.日3 266. 103 9429.54 32. 8589

-40・

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第六節、動学乗数分析

前述した知くモデルの動学的安定性が確認されたので、種々の動学乗数分析

(the dynamic multiplier ana}ysis)が意味を持ってくる。周知の通り、シミュ

レーションによる事前予測の場合には、予澗期間におげる全ての外生変数に適当

な想定値を与えねばならないし、 また、それは多くの場合において複数個の外生

変数(ないし政策変数)が同時に変化した時の全体としての(内生変数に対する)

効果を検討するものである。これに対して、動学乗数分析は、複数個の外生変数

のうち、他の全ての外生変数は一定に保ったうえで特定の lつの外生変数の値を l

単位だ付変化させた時に、その効果が、その時期あるいはそれに引き続〈各時期

にラグをもって、どのように(内生変数に)影響するかについて検討するもので

ある。従って敢えていえば、シミュレーションによる事前予測は常微分あるいは

全微分的方法にあたり、動学乗数分析は偏微分的方法にあたるといえる。

前者 に お いては、予測結果が(予欄期間にお付る)外生変数の先験的な想定値

に大きく依存するのに対して、後者では、特定の外生変数の限界的効果を動学的

に追求するものであるため、モデルそのもののシステマティックな動きをよりつ

ぶさに検討できる。

推定された各係数行列から、第 2節で示した手続きを用いて種々の動学乗数 を 導

出できる。付表ト2I ト4, 1-6,は時差乗数行列の推定値を示しており、付表ト3I ト

S I ト7は累積乗数行列の推定値を示している。また短期衝撃乗数行列は付表トlと

付表ト8に示されている。

-41・

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賓 1-9 IIJ民向ヲ全押カ位行列 (dynnmic10101 e/osticity motrix) (ラグ=0)表 1-10 動学的全弾力性〈ラグ=1)

定数項 MTRTP RGDP ASRRUS ASJMPO

定~数0.3項726 MTRTP RGDP ASPRVS ASD1Po

AUCSSOAjNhMSIQ M Q -0.4169 O.αxx) O.α::00 0.2196 O.αXJJ

ACUSOSJANMhSfQ JQ kf a αx:o a αx:o 0. 1953 O.αxx) -0.田23 O.αx:o 。守αx:o O.αXXl -0. 25自5

-0.0323 O.αxx) O.αx:o O.αX刀 -0.2585 2.1628 0.2062 0.5526 -0.1395 一l.2525 1.9却 7 0.2062 0.5526 -0.明 41 -0 .. 15日 PROD -0.血80 0.0:x.x:l O.αXXl -0.∞20 -0.3814

PROD 0. 0105 a α:x::o O.αxx) 0.0ぉ4 -0.3022 RPRC -0.4646 O.α:x::o O.αXXl 0.1064 0.9547 RPRC -0.2801 a α:00 o.α::00 o.白川 0.5755 ASNBC -0.2859 O.αxx) a αX氾 0.0148 0.0631 ASNBC -0.2475 O.αχ旧 o.α:00 o.αぉコ o.Cα刃 AEXOTS -4.品80 -0.3918 - J. 05∞ O. lO56 0.9959 AEXOTS -3.3492 -0. 3918 -1.0氏氾 0.1α刃 0.3441 USEXQ -0.2437 o.αXXl O.αX泊 O.αXXl O は:co

NUJPSCEEOX X NQ Q SM -0.2137 a α:00 a α:00 O.αxx) o.αXXl

JNPCEOXNQ SM -0.6291 O.αx:o O.αm O.αxx) O.αXXl

-0.自291 O.αX泊 G αX氾 O.αぬ3 O.αXXl -0.0問。 O.αXXl O.αXXl O.αXXl O.αXYJ 0.(刷l o.αxx> O.αx.o O.αm o.α:x:o NNZBO F BM -0.8694 O.αx:o O.αXXl O.αXXl O.αxx)

-0.7141 G αx.o O.αx:o a α;00 O.CO:O PRO 0.2440 o.αxx) o.α::00 a αro a αxx)

PRO O. 1555 O.αXXl O.αXXl o.αX氾 a αX泊 NZNBC 0.1279 q α:aコ o.αm O.αXXl O.αxx)

NZNBC O.白 67 o.αXXl o.α文。 o.α))J o.αXXl NEXOTS → 2咽 2342 a αX白 O.αXXl O.αXJJ a αx:o NEXOTS ーし引95 a αx:o O.αX沿 。‘αX心 o.αXJJ

DARLPR USGN向 ]GNEO JTBIMQ TIME BARLPR USGNPo JGNEo JTDIMQ TJ~fE

1AC1SSOJANMMSQ M Q O.αX泊 1.1925 o.αX氾 O.αXXl O.α工幻

1AC1SSOJANBESffQ EQ I a αxx) 1.0回S a αXXl O.αx.o O. co:o O.αm O.α::00 l‘4358 0.9758 -1.1206 O.α:x.x:l a αX氾 1. 4358 0.97~ -1.12国 O.α文xl O.αm O.α主刃 O.α::00 O.αXJJ

O.α:00 O.αXYJ a αX氾 O.α:x:o O.CO:O PROD -0.06C0 O. 2157 0.03叩 0.0265 -0.0304

PROD O.αX泊 0.2866 0.0621 0.0422 -0.0484 RPRC O.αXJJ O.αXXl O.α工泊 O.αXlO 。+αXXl

RPRC a αXlO O.α::00 O.αX泊 O.α丈。 O.αxo ASNBC 一0.1175 0.0433 -0.0130 -0.α388 0.0101

ASNBC -0.1175 o αX沿 O.αXlO a αxη O.αxx) AEXOTS -0.2223 -0目0275 -0.0148 -0.01∞ 0.0115

AEXOTS O.αxx) 0.3272 0.07伺 0.0461 -0.C553 J NIJP SCE EOXX NQ Q Shf

O.αXXl 1. 1469 a αX泊 a αχ幻 O.αχXJ

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O.αXXl O.αXXl 回'.7726 O.αX>J -3.40176 O.αXJJ a α::00 O.αX泊 O.αI刃 0.1972

O.αXXl a αx:o a α以3 a αm 0.1257 NZBQF B M O.αXXl 0.0067 -0.0159 O.αxo -0.3269

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PRO O.αx:o a αx:o a αx:o O.α:0コ -0. C919 NZ:"l'BC O.αXJ) O.∞26 O.αXXl O.αXぬ O.αx:o 帰』 NZNBC a αx:o a ∞2日 ααX氾 a αX氾 O.α:x::o NEXOTS a αXYJ -0.8533 -0.6786 O.αX幻 -1. 0646 陸、s

' NEXOTS O.αX泊 -0.8525 -0.8::'24 ααDコ ーO亭 7387NMTPRO NPKPRO NZGNPO NZDFPS USMPR

NMTPRo NPKPRO NZGN町 NZsFPS US~IPR USA~IQ O.αJOO 0.00CXl O.αX泊 O.αX幻 O.α:x:.o

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O.αx:o a αx氾 a αX氾 O.αχc O.αxo a αXlO O.α文xl O.αX幻 O.αXfJ O.α:0コO.α:x::o O.αX幻 a αx:o O.α(xj O.CO::O PROD O.はXXl a αXXl O.αx:o O.αxx) O.α以3

PROD O.OOC氾 a αXXl a αXXl O.αm O.伐矧3 RPRC O.αXXl O.αXXl O.αX均 O.α主J) O.αX氾

RPRC O.αX泊 a αXXl O.αx:o a αxロ O.αXXl ASNBC O.αX沿 。α文。 O.αXXl O.αXXl O.αXXl

ASNBC O.αXXl O.αXXl O.αx:o O.αxロ O.CO:O AEXOTS O.αX氾 O.αXXl O.αX氾 O.α丈悶 O.αχ泊

AEXOTS a αXlO a αXXl O.αXXl O.αXD a α文沿 USEXQ O.αXXl O.αXXl O.αX泊 O.αXIJ 0.2558

JNUPS C EEOXXNQ Q SM O.αχ氾 a αXIJ aα:00 a αX幻 a. :<558

J NPCEOXNQ SM o.αX氾 O.α:00 O.α:00 O.αX幻 o.αX氾

O.α:x:o O.αXXl a αXXl O.αXD o.αJOO 1.3424 -0.2凹7 0.9586 -0.5444 -0.2430

1. 3424 -0.訴刃7 0.9586 -0. 346~ -0.1548 NZBQ F BM O.αXXJ O.αXIJ O.αm 0.07田 o.∞1::'

NZBQ F BM o.α:m O.以:x:o O.αX幻 O.αX白 0.(016 NBFPRo O.α'XfJ o.α丈沿 o.αm 0.3983 0.1778

NBFPRo O.αX氾 a αXXl a αm O. 2528 0.1133 NZNsC O.α'XfJ O.αm O.α工泊 0.0902 O.α刃6NZNBC O.伎は3 O.α:00 o.αm 0.0472 O.αX地 NEXOTS -1. 46明 O. 2296 -1. 0496 0.8α:0 0.0761 NEXOTS -1.4699 0.2296 -).白96 0.3798 -o.C泊3

jPMPR FRTOI BFMOIS MINPRP ASNTCI jPMPR FRTOI sFMOJS MINPRP ASNTCI

1AC1SSOJANMMSQ M Q a αX均 O.αXXJ O.αm a αx:o O.α'XfJ

AUCSOSJANMMSQ M Q a αXlO O.α以3 a α:00 a αX幻 O.αx:o O.αXXl O.αXXl O.α:00 O.αxf) ααx:o a αXXl O.α))J O.α:XlO O.αm a α:co O.α;00 O.αxo O.αX幻 O.氏m O.αXJ.コa αXlO a αχXJ a α:XlO O.αx:o 0. ccoo PROD O.αx:o O.α;00 a αx:o O.α:m 0.6651

PROD a α))J a α:a a α:XlO O.αm O.α工。 RPRC O.αx:o O.αxx) O.α:00 O.αX氾 O.αXぬ

RPRC a α:00 O.α:XlO O.α:00 a αx:o O.αX沿 ASNBC O.αXXI O.αXXl O.α工幻 O.αXJJ 1.加 24

ASNBC O.αX氾 O.αXXJ O.αXXJ O.αXXl 1.3024 AEXOTS O.αXXJ O.αx:o a αx幻 O.αXXl 2.4636

AEXOTS O.αXXJ O.α文悶 O.αχ幻 O.α:x:o O.αxo UJNPSCEEOXXNQ Q SM

O.αχm O.αXlO O.α:00 a α:00 O.αχXJ

JUNPS CEEOXXNQ Q SM a αnコ O.αχm a αXXJ O.αX幻 a αx氾 -0.0462 O.αXlO O.αχx) O.αXXJ O.αXJ)

-0.0482 O.αxo a αXXJ O.α:00 O.αX泊 -0.01明 O.α:00 。司 αX泊 O.αXXl O.αX泊

一O.α)69 a α:00 O.αχゎ O.α:x:o a α::co NZBQF BM O.α::co -0司1473 -0.田∞ 0.1731 a αX沿

。目 α::00 O.αXfJ n αX氾 O. 1274 O.CCOO NBFPRO O.α)79 a α:OJ O.αXXl O.αXXl O.C以泊

NBFPRO a αぁo a αX氾 a αXXl O.αxゎ O.αX刃 NZNBC O.αX氾 -0.1679 -0.0255 O.α:XlO O.αXXJ

NZNBC O.αXXl -0.凹84 -0.0134 O.αm O.αXXl NEXOTS 0.0132 -0.4246 -0.0576 0.4989 O.αx.o NEXOTS O.α)39 O.αXfJ O.αX氾 0.3670 O.αX氾

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表 1-11 動明均金~,cカ性行列〈ラグ= 2) 表 1-12. 動学的金弾力性行列くラグ=3)

定-0.数.項4254 MTRTP RGDP ASPRUS ASJMPO

定-0.欺4項2H MTRTP RGDP ASPRUS ASJ:¥(Po

UACSSOjANh五SIfQM Q o..α:00 O.α:co 0.2230. o..α)x)

ACEIOSSJANMbSfQ ιQ f o..αxx> o..αX氾 0..2226 O.X<<l -0.田23 O.α:00 O.αxo O.αxx) -0.25む

-0..田23 O.αxx) O.αxx> a α丈氾 -0..2585 2. 4275 0..2062 0..5526 -0..2∞l ーし抑制2.3224 0..2曲 2 0..5526 -0..1761 ~ I.!ま沼 PROD -0..2277 o..α:x:o o..αx:o ーo..∞24 -0..2520.

PROD -0.. 1578 O.αXXl o..αxx) -0..∞70. -0.2336 RPRC ー0.666~ o..α:x:o o..αX泊 0..1525 1.3692 RPRC -0..5862 o..αxx) O.αXXl 0. 1342 1.2J45 ASNBC -0..2559 o..αxx) o..αxx) 0..0.231 o..cめ96ASNBC -0.2740. O.αX)J O.αXXl 0.0218 0.0796 AEXOTS -5.1578 -0..3918 -1. 0.5∞ 0..2168 2.5S69 AEXOTS -4.69守7 -0.3918 -1.0.5∞ o.. 1544 1.7961 USEXQ -0..2437 o..αまわ o..αXXJ O.α:00 O.CO;X)

J UNPSCE EOXXNQ Q S恥4-0..2437 a αXXl a αXXl a αXXl D. coo:コ JPEXQ -0..8291 o..αm O.αXXl O.α:00 o..αXXJ -0.8291 o..α:00 o..αxx) a α m o..COXI NCONSM -0.1661 O.α))J o..α:00 0..0弐氾 O.αXXl -0..1269 o..αxx) o..αxx) o..αxx) a αXXJ NZQBλI -0.7369 o..αm o..α:00 o..αXXJ o..∞Cu -O.833~ a α:00 a αXXJ a αXXJ o..αxx) NBFPRO 0..3232 O.α工町 o..α:x:o o..αXXJ 0.0ヨ刃

NBFPRo. 0..2945 o..αXXJ o..αxo 0..0:00 O.αxo Nz:-.:nc 。司 2344 o..α:00 o..αXXJ o..αxx) O.∞:0 NZNBC 0..1837 o..αX泊 O.α:00 a αX氾 O.αxo NEXOTS -1. 7342 o..αx:o O.α文泊 o..αx:o O.∞氾NEXOTS -2.0551 a αXXl o..αxo o..αXXl O.αxx)

BARLPR USGNPu ]GNEo. JTBIMQ TI~!E B:¥RLPR USGNPo JGNEo. JTBT~(Q TI:¥fE US.~\'IQ O.αX氾 1.2110. o..α:00 o..αx:o O.α〉ユコ

UACSSOJANMMSQ hQ I O.αxx) 1.京刃O o..αX沿 a αx:o O.ヨXXl AS]λ[Q O.α::OJ o..α)')J 1.4353 0..9758 -1. 120il O.αx:o o..αx:o 1. 4358 0..9758 -I.l:oa CO;-":S~[ O.o::oJ 0..0立)J o..α:00 oαxx) o..αll)

a αX幻 o..α:x::o o.αXXl o..α::OJ 0..0支均 PROD -0..1¥50. 0..1335 o..∞70. o..αJ48 -o..OJ55 PROD -0..凹77 0.1620 0..0178 0..0.121 -0..0139 RPRC o..α羽コ o..∞3コ o..αx:o o..o.:m O.αXXl RPRC o..αX氾 o..α:x:o o..αJOO o.αXXl O. :x:oo. ASNBC -0..田71 0..083ヲ -0.∞37 -0..∞25 0..0コ29ASNBC -0..1050 0..0710. -0..α::61 -0..α)55 o..ヨ)63 AEXOTS -0..425日 -0..3262 -0..1330 -0..白0.4 o.. ¥0.38 AEXOTS -o..36I? -0.2379 -0..凹30 -0.白 32 0. 0726 USEXQ a αχゎ 1. 1489 O.αxo O.αX氾 o..αぬコ

JNUPS CE EOXXNQ Q SM O.α:00 1.1489 o..α::OJ O.α:x::o O.αXXl jPEXQ o.αXXl O.o.XD 30.7726 o.αx:o -3.4476 o..α:00 o..αX幻 加.7726 O.α:00 -3. H76 i'¥CONS;'¥[ o..α),)J o..CuXl o..o:m 。司αXXl D. 2612 O.α:00 o..αXXl o..αxx) o..αヌヨコ 0. 2330. NZQsM 。.o::m 0..0.コ57 ー0..0203 oα)JQ -0. 36S9

NNZBQF BM a αXXJ O.α)63 -0..0.191 O.αXXl -0..2578 NsFPRo. o..∞xl o..o:::o.J O.O::OJ o..αxx) -C.19Io. PRo. o..αXXl O.αXXl o..α:x:o a αX氾 -0..1141 NZNsC o..α)JQ o..α)21 o..αX泊 o..αxゎ C.OJCu

• NZNBC o..α)JQ o..α)23 a αxx) a αDJ O.ヨ主)J NEXOTS O.αm -0..8562 -0.8916 a αX氾 一1.255ι..... NEXOTS o..αxu -0..8547 -0.8882 0.民間 -t. [982 ~

KMTPRヨ NPKPRO NZGNPO NZBFPS US;..!PR mlTPRo. NPKPRO NZGNPQ NZBFPS us~rPR US:¥.¥IQ o..αXXl O.αユ)J 。咽 α:OJ O.α:0:コ o..α:0コ

UACSOSAJNMMSQ M Q o..α:m O.αX沿 o..α)JQ o..α)JQ O.X>:幻 ASn1Q O.α:00 O. ())コo o..o.:X刀 o..∞3コ o.α王氾o..Cf.))J o..αヱわ o..αXXl a α:m 0..:0コ0 CO :-.l S~1 。+即):J 0.0:)コつ 。咽αXD o..αXJ.コ 0.0),)) O.αXXJ O.αXXJ o..αxx) O.αχ氾 a α工氾 PROD O.αヨココ 0.0)刀 O.αm O.OY.YJ 0..0叩3

PROD O.αXXJ o..OXXJ o..α::OJ a αxo O.')D) RPRじ o..α刃コ 。‘0)刀 O.∞∞ o..α)JQ o..OJ:)) RPRC o..αx刀 o..αxx) o..αXXl a αxゎ 0.:'つ::0 ASi'¥sC O.αη3 o..α〉コo O.αm o..αX1J o..∞羽ASNBC O.αロコ o..αxx) o..α:00 O.民間 O. :0:刃 AEXOTS 0..0立xl o..αχ刀 O.αXXJ o..α:x:o o..α:OJ

AEXOTS a∞'xl o..αXXJ O.α:00 a αX氾 O.~ USEXQ o..αDJ 0..0珂3 O.α)').J O.α刀コ 0..2553

JUNPSCE EOXXNQ Q Shf O.αX沿 o..α:00 O.α)JQ a α)JQ O.~5日 JPEXQ o..αXXl O.∞刃 O.αXXJ 。‘α)JQ O.∞こ泊a αXXl o..α文氾 O.αXXl o..αxx) O. ry;丈沿 NCO:-':S:¥l 1.3424 -0.2(J")7 α9536 -0..7210. -0..3218 1. 3~2.1 一o..2明7 0.9586 -0. 6569 -0.. ~32 NZQB~( O.α刀コ O.∞ぬ O.αIココ 0..2515 0.0コ13

NZBQF BM a αI氾 O.α)JQ O.αxx) 0.1606 o..('fコ14 NsFPRO 0..0弐)'J O.JXlJ O.αχ。 。‘ 5274 0.2354 NBFPRo. a αX氾 o..αX)J O.αX刀 0..48つ6 o..:! 45 NZ;-;BC o..αX1J O.ro刀 O.α)J'J 0.1649 O.∞)5 NZNBC o..αX氾 O.α:x::o a α:ro o.. 1293 0..:0コ5 NEXOTS -1. 4699 0..2296 ーし0496 1.5141 0..1617 NEXOTS -1. 4699 0..2296 -1.0496 1. 1621 O. I~コ7

JPMPR FRT01 BF?¥!OIS MINPRP ASNTCI jP:¥1PR FRTOI BFMOIS MINPRP AS~TC1

IACJSSOAJNMESIQ hQ I o..α:00 O.αX泊 。+αXD o..αx1.コ o..∞:0

ACUOSSJANMbSfQ hQ f O.αX氾 o..α:ro O.αxx) O.α:ro a αx:o a αxx) a αxx) O.α丈幻 o..αX刀 o..α:00 o..αJOO O.αXXl O.α:w o..α立氾 a α:ro o..α)00 o..α)'xl o..αχ。 O.αXXl o..α::ro o..α::00 o..αDJ o..αX氾 a α)JQ o..αZ刃 PROD o..αχゎ o..αχ。 O.α::00 o..α)JQ 1.273ヨ

PROD o..α)JQ o..α))コ o..α;00 O.氏丈日 1.阻 2品 RPRC o..α)00 O.αx:o o..αX氾 o..α:0コ O.αJOO RPRC o..はXXJ 。目αX)J o..αJOO O.αX泊 a α::m ASNBC o..α'1y.) o..αx;o 。目αxu o..αnコ 1.0763 ASNBC O.αI泊 o..αX氾 O.αxx) a αxx) 1.1635 AEXOTS o..αJOO o..αx:o a αxx) O.α::OJ 4.7181 AEXOTS o..αXXl O.α丈ロ o..αX氾 o..αxx) 4.0101 USEXQ o..α文句 o..αJOO o..α:OJ O.α)JQ O.α:00

JUNPS CEEOXXNQ Q SM O.αXXl O.α文)J a αX氾 a αx;o O.αx:o JPEXQ -(¥.0482 O.α)JQ o..αX泊 O.αXXl O.α:OJ

ーな04日2 O.α::OJ o..α:x:o o..α)JQ O.αX)J NCONSM 一0..0143 O.αx:o O.α:00 o..oxo 。‘αX刀-0..0.13。 O.α)x) o..α:m o..α:m o..α:m NZQB~1 O.αχゎ -0.5236 -0.0.711 0..1955 O.α:OJ

ZNNB QF BM a α:m -0.3344 ー0..0454 0..1896 a αlXl NBFPRo. 0.0.10.5 O.αx;o o..α:x:o O.α)JQ O. αX刃PRO a α刃5 o..αxo O.αm a αJOO O.αXlO NZNBC o..α:00 -0..3435 -0..0466 O.α:m o..α:nコ

NZNBC a αX幻 マ -0.2693 -0.悶 66 O.α)JQ |o,α))J NEXOTS 0.0.170 -1.5四つ -0.2049 0..5634 O.α).xl

NEXOTS 0.0157 -0.9636 • -0..1308 0.5464 o..αJOO

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表ト13長ma期tr動lX学〕的(ラ全グ弾=力∞性〕行列 (thelong run dyn皿 ictot且1e1且sticity

定数項 MTRTP RGDP ASPRT.:S ASJ11PO

AUCSOSJANMbSfQ 恥Qf -0. 4255 G αX氾 a α:00 0.2231 O. α:00 -0.0323 O.α))コ O.α立xl O.αX幻 -0.2585 2. 6307 aお62 0.5526 -0.24“ -2.2138

PROD ーな 3686 o.αX氾 o.α:XXJ 0.0232 a α:00 RPRC -0. 8212 。+αxロ O.αxロ 0. 18eO 1. 6873 ASNBC -0.2119 a αXXl O.α:XXJ 0.0169 O.αxo AEXOTS -6.0658 -0.3918 -1. 0ま刃 0.3996 4.2353

JUNPSCEEOXXNQ Q S恥fーな 2437 a α))コ O.αXXl O.α主xl C.α:00 -0. 6291 O.αヌヨコ O.α:x:o O.α工。 a αxo -0.2180 O.αXXl 0.0:0:コ O.αヱxl O.αX幻

NNZBQ FPBRM o 0.6364 O.α:x:o O.α::0:コ O.α:x:o O.αxo 乱3611 a α:00 O.αX氾 O.αXXl O.αxo

NZNBC 0.7478 O.α:00 O.α)(x) O.αXXl O.α:00 NEXOTS 2. 2803 a α:00 O.αX刃 O.αX泊 O.α::0:コ

BARLPR USGNPO ]GNEO ]TBIMQ TI:ME

UACSSOJANMbSfQ JQ M O.α:x:o 1.2113 o.αX氾 O.α:00 O.αx1.コo.αX氾 O.α:x:o 1. 4358 0. 9758 ー1.12団O.αX氾 a αXXl o.α:00 O.α:00 O.αX幻

PROD -0. 12~3 0.1257 O.α:00 O.α:00 O.αxロRPRC O.α:00 a α:XXJ o.α工氾 O.αXXl o.αX泊ASNBC -0.0914 0. 0917 O.α:x:o o.αヱ氾 O.αX氾AEXOTS -0.4643 -0.3738 -0.1591 -0.1団 l 0.1242

UINPSCEEOXXNQ Q SM O. α:x:o 1.1489 O.α:x:xコ O.αヌ刃 0.CtXJ.コo.αXXl O.α:x:o 釦'.77'26 O.α:00 -3.4476 o.α:x:o O.α:00 O.α:00 O.α:00 0.2ヲ18o.α:x:o o.α:00 -0.但 10 O.α:00 -0.3751

PRo O.α:00 o.α:XXJ o.αX泊 O.αX氾 -0.2135 NZNBC O.αxx) O.αXXl O.αxx) O.α:x:o O.α:co NEXOTS O.αxx) -0. B7'28 -0.8935 O.α:00 -1.却71

NMTPRo NPKPRO NZGNPO NZBFPS USMPR

UACSSOAJNMMSQ M Q o.αXXl a α:00 O.αXXl a αXXl O.αxo O.αx1.コ O.αX沿 O.αX氾 O.αX刃 O.αxo a αX泊 O.αXXl O.αxo a αXXl O.αX泊

PROD O.α:00 O.αX泊 O.α:x:o O.αxo 0.0文幻

RPRC O.αXXl a αX泊 a αXXl O.α:00 O.α:00 ASNBC O.αXXl O.co::x:J O.α立::0 O.α:00 a αX泊AEXOTS O.α::co a αχロ O.αxゎ O.αヌ刃 a α:x:o

JUNPSCEEOXX NQ Q sbt O.α::co O.αXXl O.α::co O.α:00 0.2!l58 O.α:x:o O.α:00 O.αxiコ O.α:00 a α工。1.3424 -0.2C刃7 0.9586 -0.8057 -0. 3596

NZBQF BM O.αXXl O.α:00 a αXXl 1.2262 a αX氾NBFPRO O.α::co O.αX氾 O.α:x:o 0.58守4 0.2晶31NZNBC O.αX氾 O.α:x:o O.α:x::o 0.5251 O.α:x:o NEXOTS ーし 46符 。1.2296 -1.0496 ".4214 0. 1994

JP~R FRT01 BFMOIS MINPRP ASNTCI

1AC1S5OAJNMMSQ M Q a α:00 O.α:x:o O.α:00 O.α:x:o O.α:00 O.αX刃 a αxx) a αロ3 。昼αXXl O.OXO O.αX幻 O.αxx> O.αX幻 O.α:00 a α::co

PROD a αxゎ O.α:x:o a αX氾 a α::m 1.祖国RPRC O.αX幻 O.α:x:o a αXXl a αXXl O.α:x:o ASNBC O.αXXl O.αX氾 a αXXl O.αXXl 1.0124 AEXOTS O.αXXl O.αX泊 O.αXXJ O.αX泊 5.1441

UJNPSCEE OXXNQ Q S〉fO.αXXl O.αX氾 O.CO:::O a α:x::o O.α:x:o

-0.0482 O.αX泊 O.α::00 a αX幻 O.αxx) -0.0160 O.αX沿 a αXXl O.αXXJ a α:x:o O.α::m -2.5573 -0. 3412 0.1988 a αX氾0.0117 O.αxx) O.αXXJ a αXXJ O.αXXJ

NZNBC O.αX氾 -1.0935 -0. 1484 0.α:00 O.αm NEXOTS 0.0189 -7.36守4 ー1.0005 0.5130 O.α:x:o

-44-

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これらを次式を用いて弾力性の形で示したのが動学的弾力性行列 (the dynamic

elaslicity matrix)である。ラグ tにおける各々の動学乗数を Mij(l)で表わすと、

その弾力性表現 ei j (t)は、

[m eij(t) = M{tl* で士=

Y ( t )

ここで Zは、変数 Zの標本期間にわたる平均値を示している。表ト9......ト13は、

各ラ グ期 間における累積乗数を弾力性表現した動学的全弾力性行列 (thedynamic

total elastici ty matrixlの推定結果である。

つ ぎに 動学乗数分析(およびそれから導出される動学的全弾力性分析)の帰結

を検討しておこう。(2 I

まず、日本の輸入価梧の効果を考察しておこう。

( 1 ) 日 本のオーストラリアからの牛肉輸入価格が a上昇した場合、その期にお

いては、 0.25BXだけオーストラリアからの輸入量が誠少し、次期以降においては、

そ の 影 響 は 残留 しな い。 つま りその輸入量に及ぼす影響は即時的であることが判

る。一方ニュージーランドからの 牛肉輸入価格が l目上昇した場合、 その期におい

て、 0.048%だけニュージーランドからの牛肉輸入量が減少し、次期以降への残留

効果はみられない。この場合も効果は即時的であることが読みとられる。

これらのことから、両輸出国か らの日本市場への牛肉輸出に関する限り、オー

ストラリアからの輸入の方が、ニュージーランドからの輸入よりも価梧弾力的で

あることが知られる。 しかしこれ は、ニュージーランドからの輸入牛肉はグラス

フェッドであるのに対して、オー ストラリアからの輸入牛肉にはグラスフェッド

とグレインフ ェ ッ ド と の 双 方 が 含まれているという違いが影響していることに注

意しなげればならないであろう。

( 2 1 アメリカにおけるオーストラリア産牛肉の圏内価格が1%上昇した場合、オ

ーストラリアからアメリカへの輸 出は、その期においては 0.1953X上昇する。また

そ の効 果は 次期以降に残留し、次期(つまりタイムラグ i期)には、追加的に O.0

24 n (果積的には 0.2196X)の 上 昇をもたらし、更にその次の期(タイムラ グ 2期)

には追加的に O.0030X (累積して 0.2226%) の上昇、さらにその次の期(タイムラ

グ3期)には追加 的に 0.0004%(累積して 0.2230X)の上昇をもたらすことが知られ

-45晶

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国 1-197'メ Pカにおけるオーメトラリア車牛肉価格が 1%上昇した場合

〈時差乗数効果および累積乗猿効果)

K 0.22

0.%1

0.%目

0.19

0.18

。ω0.02

0.01

。-O.Dl

(0.223)

オーストラリアからアメリ均への愉出量

一一一一一

¥帥間来(0.%23)

3 メ 。。 ,.(タイム・ヲグ}

国 1-20オ-Aトラリアにおける飼料殻物価格が 1%上昇した場合

〈時差果章効果および累積乗数効果〉

gd,a ,

O.也

0.01

-0.01

-0.02

-0.09

-0.10

-0.11

-0.12

1

ピ/叫一

I ∞ Hタイム・ラ丹

府牛飼養親EE

{-0.T:L.a-H戸日--ーー寸さ0.091)

-46・

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る。このようにその影響は、漸減し な が ら も 各 期 に わ た っ て 追 加 的 な 残 留 効果を

持ち、長期的には累積して 0.2231%の上昇をもたらすことがよみとられる( 図 ト

I 9 )。

他方、アメリカにおけるニュージーランド産牛肉の国内価格が u上昇した場合、

ニュージーラン ド か ら ア メ リ カ への牛肉輸出は、その期において O.2558~上昇する

が、次期以降への残留効果はなく 、その効果は、オーストラリア産の場合と違っ

て即時的であることが判る。

( 3 ) つぎに、オーストラリアにおける飼料穀物価格が u上 昇 し た 場 合 、肉牛飼

養頭数は、その期においては、 0.1175%減少することが示されるが、次期以降にお

いては逆の時差乗数効果の表われ る こ と が 示 さ れ る 。 つ ま り 飼 料 穀 物 価 格 上昇の

攻の期(タイムラ グ l期 )には、追加的効果は日(累積してマイナス 0.1175%) で

あるが、その 次 の 期 ( タ イ ム ラ グ 2期)にはプラスの時差乗数効果が表われ O.0 12

5自の増加(累積して 0.1050%の減少)をもたらす。さらにその次の期(タイムラグ

3期)には、 0.0079自の増加(累積効果 0.097Uの減少)をもたらすことが知られる。

その結果、長期的 に は 累 積 効 果 として 0.0914%の誠少がもたらされることが判る。

これら の事 情は図ト20に示されてい る 。 な お 、 既 述 し た 知 〈 、 ニ ュ ー ジ ー ランド

では グラ スフェッドによる放牧経 営 が 謀 用 さ れ て い る た め 、 飼 料 穀 物 価 格 の効果

は検討されていない。

(4 ) ま た ニュージーランドにおいて食肉ボードの設定する安定帯下限価 格が l

B上昇した場 合、その期において、牛 肉 生 産 量 は O.127H上昇し、徒って非主要輸

出市場(アメリ力、 日本以外の輸 出市場)への輸出余剰量は 0.3670目増加する。ま

たこの影響は長期にわたり、次の期(タイムラグ l期 ) に は 、 追 加 的 に 午 肉 生産量

は0.0457%(累積効果 0.1731%) の 増加、同輸出余剰量は、追加的に 0.1393%(累積

効果 0.4989%) の 増 加 を 示 し 、 次 の期(タイムラグ 2期)には、牛肉生産量は追加

的に O.0165~ (累積効果 Q.1896%) の増加、同輸出余剰量は追加的に 0,047a(累積

効果 O.5464~) の増加が見られる。さらにこうした残留効果が続き長期的には、累

積効果として 牛肉生産量は 0,1988%増加し、その結果、非主要輸出市場への輸出余

剰量は 0.5730%増加することが示される(図ト21)。

(5 ) またニュージーランドにお い て 食 肉 冷 諌 会 社 が 設 定 す る 計 画 価 格 が u上昇

した場合の効果は多方面にわたっている。 まずその期(タイムラグ O期)において

-47・

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は、肉牛餌蓑頭数を 0,0472目上昇させるが、キ肉生産量への効果は即時的には表わ

れない。むしろ圏内価格を 0.253U上昇させることによって、園内消費需要量 を 0

.346U下 落 させ る こ と が 知 ら れ る。その結果、非主要輸出市場への輸出余剰量 は

0.3798%上昇する。次に l期のラグをもって、牛肉生産量への効果が表われ、 O.07

08%の増加をもたらす。肉牛飼養頭数はさらに 0.0430%(累積効果 0.0902目)増加す

るのに対して 、 囲 内 牛 肉 価 格 は さ らに 0.1444%(累積効果日 .3983%) 上昇し、従っ

て 牛肉消費需要量は追加的に 0.1975%(累積的効果 0.5444%)減少し、同じく輸出余

剰量は追加的に 0.4202目(累積効果 0.8000%)増加することが示される。 また、次

の 期 ( タ イ ムラ グ 2期 ) に は 、 牛 肉生産量は追加的に 0.0898%(累積効果 0.1606%)

増 加 し 、 肉 牛飼 養 頭 数 も 追 加 的 に 0.0391%(累 積 効 果 0.1293目)増加するものとみ

られる。

一 方、 牛肉価倍は追加的に 0.0823目(累積効果 0.4806目)上昇し、牛肉消費需要

量は更に O.I12H (累積効果 0.6569削減少する。従って同輸出余剰量は 0,3821%(

累積効果1.18211)増加することが知られる。こうした傾向は次期(タイムラグ 3

期)以降にもつづき、最終的には、牛肉生産量は1.2282%、肉牛飼養頭数は 0,52 5

1 %増加することになる。 また牛肉価格は 0.5894目上昇し、牛肉消費需要は 0.8057目

減少することが知られる。その結果、非主要輸出市場への輸出余剰量は4.4214目増

加することになる(図 1-22)。

( 6 ) なお、消費需要における代 替 財 の 価 格 効 果 に つ い て 検 討 し て お こ う。オー

スト ラリ アにおいて、羊肉価格が II上昇した場合、牛肉消費需要は、その期にお

いて 0,5526%増 加 す る が 、 次 期 以 降への残留効果はなく即時的な影響を生じること

が知られる。同様に、ニュージーランドおいて、羊肉価格が 1~上昇した場合、そ

の期において、牛肉消費需要量は1.3424%増加するが、次期以降への残留効果はな

く、オーストラリアの場合と同様に、その効果は即時的であることが知られる。

またこの 2財聞 の 交 叉 弾 力 性 は ニ ュージーランドの方が、オーストラリアよりもは

るかに大きいことがよみとれる。

また、ニュージーランドにおいて、豚肉価格が 1~上昇した場合、牛肉消費需要

量は意外にも 0,2097%減少し、両者 は 代 替 財 と い う よ り ( 豚 肉 と 羊 肉 、 羊 肉と牛肉

との代替財的関係を介して)むしろ補完財的関係にあることが知られる。またこ

の髭響も多期間にわたる残留効果はなく、即時的なものであることが知られる。

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国 1-21エュージーランドにおいて食肉ポ-Fの安定帯下隈価格が 1%上昇した場合(累積果数効果〉

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なお、オーストラリアにおいては、豚 肉 価 格 か ら の 交 叉 的 影 響 は 明 示 的 に は計測

されなかった。

注(1)短期衝撃乗数行列は、誘導形におげる外生変数ベクトルの係数行列に等

しく、 また長期乗数行列は、最終形におげる外生変数ベクトルの係数行

列に等しい。

( 2 )前述した通り、 これは、各ラグごとに、各々の行列の要素の数だげ意 味

付げ(解釈)ができるので、 この各々について全てのケースに言及する

ことは膨大な紙数と時間とを要する。それ故、 ここではそれらのう ち主

たるもののみを検討した。

( 3 )さらに、次の期(タイムラグ 3期)には、牛肉生産量は追加的に 0,0909

自(累積効果 0,2515%)増加し、肉牛飼養頭数も追加的に 0,0356%(累積的

に0,1649~1 増加する一方、牛肉価格は追加的に O , 046U (累積的に 0,52

7Ul上昇し、圏内消費需 要 量 は 追 加 的 に 0,0641%(累 積 的 に 0,7210削減

少 することが知られる。それ故、同輸出余剰量は追加的に 0,3320~ (累

積的に1.5141%)増加することになる。

第七節 分析結果の考察と残された課題

前述した如く、本稿の課題は、オセアニアと日本との聞の牛肉貿易の定量的考

察にあった。そ の際 、想 定さ れた スペシフィケーションには、やや不自然なもの

も少なからず含まれているが、モデ ルを操作可能な範囲内に保つためにやむを得

ないものである。唯、敢えて言えば、個々の構造方程式の段階での過度の慎重さ

よりもむしろ全体として、つまり誘 導 形 な い し 最 終 形 か ら 導 か れ た シ ス テ マティ

ックな構造の安定性および(観察値 に 対 す る ) 再 現 性 と い う 点 に 重 点 を 置 くこと

により、経済の動きより勤学的に分析しようとした点に本稿の特撒がある。

分析結果の詳細は、本文中に掲げた図表に示される通りであり、 その解釈は前

簡に示した通りで ある 。繰 り返 しによる克長を避げるために、詳述することは控

えるが、本稿の段階での帰結の主たるものは次のようにまとめられる。

( 1 ) 本稿で計測されたモデルは、一部に周期的変動成分を含みつつ、全体とし

て趨勢的な動きを示し、動学的安定性を有している。

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( 2 ) イギリスの EC加盟により伝 統的市場を失って以来、両国とも輸出多角化

政葉を進めて来たが、 どちらかといえば、ニュージーランドよりもオースト

ラリアでその効果は大きく表われている。

( 3 ) 既して、オーストラリアよりもニュージーランドの方が、輸出市場からの

影響を敏感に受けている。他方、その効果は、オーストラリアでは多期にわ

たって影響するのに対して、ニュージーランドでは即時的であることが知ら

れる。

( 4 ) また、 日本の牛肉輸出価格に関する限り、その影響は、オーストラリアへ

の方が大きく、ニュージーランドへの影響はさほど大きくはない。

( 5 ) 消費面においては、両国とも羊肉との代替関係がみられるが、その交 叉 効

果はニュージーランドの方が大きい、 またニュージーランドでは豚肉は牛肉

に対してむしろ(羊肉需要の動きを介して間接的に)補完財的関係にある。

( 6 ) 生産面においては、両国とも牛肉生産量と肉牛飼養頭数とは、種々の政 策

価格に対して、重層的なラグをもって反応しており、複雑な動きを示してい

る。概してオーストラリアにおげるよりもニュージーランドにお町ける方が、

政策的変数が生産に大きく影響しており、 またその効果は、多期にわたって

残留効果をもたらしている。

以上、大雑把な要約を掲げたが、次に今後に残された課題について述べておこう。

前節に示した動学乗数分析の結果によれば、その多くの時差乗数が各ラグにわた

って単調な動きを示している。これは、本モデルが融形に限定され、 また各式の

スペシフィケーションにおける最大ラグを l期に限定したことが大きく髭響してい

るものとみられる。それ故、 より一般的な結果を得るためにはこうした制限をは

ずして、 ( 1 )線形性の恒定をゆるめ、 (変数変換により容易に練形化可能な範囲内

で)一部に非線形関係を導入する。(i i )スペシフィケーシヨンの過程で、必要に

応じて 2期以上のラグも考慮する。さらに、 ( i i i )牛肉価格の式を、小売価格と卸

売価格に分割する。(i v)各輸出国からの総輸出量を、在庫量と別個に推定する。

などの点が今後の改良点として挙げられる。 (v)できれば、状態空間表現による最

適制御系設計へと導くことである。また(i v)その周期的変動成分に註目して時系

列解析を適用することも残された課題の lつであるが、 こ れ に つ い て は 第 三 章で取

り扱うことにする。

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-52・

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-53・

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千旨「表 1-1 短期筒繋飛車k行列=ラグ0における時盤飛散行列=累積乗数行列付着量 1-2崎重量来型血行列くラグ=¥)

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O.α:x::o o.αXXJ o.αXXl O.αx:o o.α::00 PROD o.αX氾 a αx:o o.αX泊 oα))Q 0. 0359 PROD O.αX幻 o.α:x::o O.α:x::o o.α::00 o.α::00 RPRC O.αX氾 o.αX泊 O.α::00 o.α::00 。聞はXXlRPRC O.α:;00 O.α:;00 O.α:00 O.αX氾 o.αx:o ASNBC O.αx:o a αx:o a αXXl a αx:o O.αx:o AS::'IIBC o.αXXl O.αm O.αm O.αx:o 1. 3289 AEXOTS O.αx:o o.α文泊 0.00::0 o.αX刃 0.03~9 AEXOTS O.α))Q O.α)'x) O.αx:o O.αX泊 O.αx:o UJNPSCEEOXXNQ Q SM

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千す表 1-3累間乗欺行3河IJ(ラグ=1) 付表 1-4.時箆東数行列 Eラグー 2)

定数項 MTRTP RGDP ASPRUS ASlMPO

-定9数8.3項160 MTRTP RGDP ASPRUS ASJ品IPO

UACSSOJANMMSQ M Q →1. 35臼 O.α:xxl O.α:xxl O.∞::'2 a αxo

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PRUD -85.3273 O.αx:o O.αxx) ー0.0184 -532.5215 RPRC -0.1253 O.αx:o O.αI刃 O.αXl2 0.2SM RPRC -0.4187 O.αxx) O.αm a αX周 1.0948 ASNBC 281. 9963 O.α::00 O.α:XXl 1. 2284 437.32~0 ASNBC -6788.佃 40 O.αx:o O.αxx) 2.5745 1667.3173 AEXOTS -213.筑期3 O.α::00 O.α)x) O. 1216 301. 6344 AEXOTS -1377.5486 -1. 5539 -1. 5111 0.2628 375.3585

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O.αxx) O.αxx) 0.142日 0.7840 -3.2344 a αxo 0.0立xl O.αxx) O. αχ泊 O.α文。

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PROD -1.4558 27.3凶3 0.1295 0.7112 -2.9342 RPRC O.αx:o O. o::x刀 O.α::0コ O.αxx) 。‘αヨxlRPRC O.αXlO O.α:x:o O.αxx) O.αXlO O.αχ泊 ASNBC 5. 7536 66.4761 0.3田昌 1. 6671 -o.8776 ASNBC -53.9568 104.0790 -0.8156 -4.4780 18.4743 AEXOTS ー0.913自 -7.2042 -0.0702 -0.3856 1. 59"渇AEXOTS ー1.455日 -0.9410 -0.0133 -0.0728 0.3α)2

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O.αxx) O.αxゎ 0.2989 O.αxo -0.9718 O.αxx) O.αxロ O.αxx) O.αXlO 0.4645 O.αXlO O.αnコ O.αま::0 O.αxo 2.2483 NZBQ 12 BM O.αX沿 -0.0192 -0.∞34 O.αxx) -0.9265

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NZBQF B51 O.αxx) O.αx:o O.αXXl 0.34試】 O.αぉ6 NBFPRO o αx:o O.OXO O.αx:o 0.2465 O.α刃4NBFPRO O.αX沿 O.αxx) O.αX氾 1.1933 O. 04~4 NZNBC O.α:00 O.αm O.αヌxl 3.9737 _.J.αXl4 NZ:¥BC a αDJ O.αm O.αxx) 9.1646 O.αJ49 NEXOTS O.αXIJ O.∞:::0 O.α:m 。.6463 0.C079 NEXOTS -1.2719 0.1188 -1. 2646 1.3536 0.0110

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IACJSSOJANMESIQ M Q O.α:m O.αXXl O.α::00 O.α:00 a αxx) O.αx:o 0.0:00 O.αDJ O.α).')J 。‘αXlOO.αxx) O.αXlO O.αXlO 。目 αDJ O.αXlO a α工。 O.αxx) O.αXlO O.α),)j O.αX幻O.αxo O.αXlO O.αXlO O.αxx) O.αXXl PROD O.αxx) O.αm O.αxx) O.αX沿 0.0225

PROD O.αXXl a αx:o O.αXlO O.αx:o a明日 RPRC O.αXXl O.α)x) O.αX幻 O.αxx) O.α口3RPRC O.αXXl O.αX沿 O.αXlO 。φαXlO O.αXlO ASNBC O.αx:o O.α:m O.αm O.αXlO -0.1417 ASNBC O.αX幻 a αXlO O.αXlO O.α::00 1. 32日9 AEXOTS O.αxx) O.α}.')j O.αm O.αX冶 0.0225 AEXOTS O.αxx) a αx:o O.αx:o O.α::00 O.回目

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NZBQ F BhI O.αXlO -1[5.ロ∞ -0.2827 1. 7198 O.αX氾 NBFPRO a αぉ4 O.αX羽 O.αx:o O.αX氾 O.αX沿NBFPRO O.∞19 O.α:00 O.αXlO O.αXlO O.αX泊 NZNBC a αX:O -1326. 1573 -3.2565 O.αX氾 O.α:00 NZNBC O.α:00 -3058. 5059 一7.5103 O.α:x:o O.αX氾 NEXOTS O.αX泊 ー146.1659 -0.3589 O. 1635 O.αX幻NEXOTS O.∞18 -115.悶∞ -0.2827 1. 7198 O.α:00

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付 賓 1-5累積東京行列けグ=2) 付表 1-6 時差,展望k行列 tラグ=3)

定数項 MTRTP RGDP ASPRUS ASJMPO 定数項 MTRTP RGDP ASPRUS AS]MPO USA.¥fQ -99.6111 O.αxx) O.αχx) 0.38...0 O.広xx> USAMQ -0.1687 O.αXXl O.αxx) O.αX地 O.αxx) ASJMVEQ ヨ -1. 2135 O.αm O.αXXJ O.αXXl ー10.7948 ASJMQ O.αま泊 O.αXXl O.αXXl O.αXXl O.αX泊CONSM 149....4221 1.5539 1.5117 -0.8328 -1131.回96 CONSM 67.6553 O.αX氾 O.αX氾 -0.1138 -154.7246 PROD -197.9201 O.αx:o O.αX刃 -0.白 43 -465.6916 PROD 一日7.6創::0 O.αx:o O.αXXl 0.0420 113‘9130 RPRC -0.“).:10 O.αX)J O.α:::00 a ∞10 1. 3814 RPRC -0.佃26 O.αX泊 O.αXXl O.α::01 O. 1868 ASNBC -6506.回 79 a α::00 O.αX泊 3.8白9 2104.6423 ASNBC 431. 6484 O.α:::00 a αx:o 0.2330 -264.1265 AEXOTS -1591. 4576 ー1.5539 ー1.5177 0.3844 676.9929 AEXOTS -155. 1...66 O.α文x) O.α::00 O. 1551 268.6376 US_EXQ -25.0542 O.α::00 O.αχ氾 O.αx:o O.α:m USEXQ 弘氏x:o O.α::00 O.αX氾 O.α::00 a αnコJPEXQ 自 3.0380 O.α:0コ O.αx:o O.α::00 O.αX泊 jPEXQ O.α::00 O.α::00 O.αX泊 。‘α:x::o O.αx:o NCONSM -18.8051 O.α::00 O.α))J O.α::00 O.α::00 NCONSM -5.8161 O.α:x:o O.α::00 O.αX氾 O.α工刃NZQBM -325.0596 a αm O.αXXl a α::00 O.α::00 NZQBM 37.6180 O.α::00 O.α:x:o O.αX泊 O.α::00 NBF'PRO 70.5769 。‘∞JJ O.αxゎ O.αx:o O.α::00 NBFPRO 6.8810 O.αX泊 O.α:x:o O.α::00 。+αX氾NZNBC 1492.6216 O.α沿3 O.α::00 a α::00 O.α::00 NZNBC 412.3057 O.αX泊 O.αx:o O.α文x) O.αX幻NEXOTS -278.1623 O.白刃 O.αχゎ O.αx:o O.α::00 NEXOTS 43.4341 O.αX氾 O.αx:o O.α::00 O.αx:o

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NMTPo 討中KPRQ NZGN町 NZBF'PS USMPR NMTPRo NPKPRo NZGNPO NZBFPS USMPR USA"IQ o.α:::00 0.CQ:Xl o.αX泊 o.α:::00 O.α))J USAMQ O.αXXl O.α::00 O.αXXl a α:::00 O.αx:o ACOSJNMSQ h I O.α::00 0.0:1刀 O.αX氾 O.α:x::o O.α::00 ASJMQ O.α:::00 O. αxx) O.αX泊 O.αx:o O.α::00 O.α文。 O.α文刀 O.αX氾 O.α:x::o O.α::00 CONSM O.α:::00 O.αX泊 a αX刃 O.αxxコ O.αx:o PROD O.αxぉ 0.07刀 O.αχ氾 O.α::00 O.αXXJ PROD O.α::00 O.αx:o O.αx:o O.広:00 O.αヌ刃RPRC O.α:x::o 0.0):羽 O.α::00 O.αxx) O.α))J RPRC O.α:::00 O.αX刃 O.α::00 O.α::00 O.α::00 ASNsC O.α:x::o 0.1)')ヌコ O.α))J O.α:x::o O.α:x::o ASNBC O.αX氾 O.α丈氾 O.αX氾 O.αXXl O.α文氾AEXOTS O.α::00 0.0):>.1 O.αXXJ O.α:x::o O.α::00 AEXOTS a α:x::o O.αxxコ O.α:x:o O.α::00 O.αX泊USEXQ O.αx泊 O.α)J:コ O.αX氾 O.αXXJ 0.0260 USEXQ O.α::00 O.αXXJ O.α:x::o a αXXJ O.αX氾JPEXQ O.α:x::o 0.0:00 O.α:x:o O.α:x:o O.αXXJ JPEXQ a α:x::o ααX幻 q α:x::o a α::00 O.αX幻NCO:--:S"I 1. 2719 -0.1188 1.2646 -1. 2110 -0.0~63 NCONSM 。+αX氾 O.α:x::o a α::00 -0.1167 -0.∞45 r.:ZQB"l O.α:x:o 0.0):刀 O.αXXJ O. 7630 O.α:06 NZQsM O.αXXl O.α:00 O.α::00 0.4432 o.αX氾NsFPRO O.α:x::o O.αm O.αX氾 1. 439自 0.0547 NsFPRO O.αX氾 O.αxx) a αXXl 0.1404 O.∞53 NZ:--'BC O.α:x::o O. CisJ O.α:00 13. 1383 O.∞45 NZNBC O.αX氾 O.αXXl O.αXXl 3.6163 -0.α氾4~EXOTS ー1.2719 0.1198 ー1.2646 1. 9999 0.0168 NEXOTS O.αm O.αX泊 O.α::00 0.5616 O.∞45

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付 費 1-7累積無量生行列〈ヲグ=3) 付表 1-8畏期乗数行列

定数項 MTRTP RGDP ASPRUS ASJMPO 定数項 MTRTP RGDP ASPRUS AsnlPO U~.-\;\IQ -99. B39B O.αx:o O.<nx> 0. 3847 .0. αxx) USAMQ -99.8631 a αXXl O.α主::0 0. 3848 a はm~s}.\rQ ーし 2135 O.αX氾 ααx:o 0.α::00 -10. 7948 AS]MQ -1.2135 O.α:m O.αXXl O.αXXl -10.7947 CONSM 1562.0774 1.5539 1.5177 -0.9466 -1286. 6143 CONSM 16ヲ2.7963 1. 5539 1.5177 -1. 1666 -1585. 5524 PROD -285.5801 O.α))J O.αXXl -0.0224 -351.7787 PROD -~62. 36田 0.αx:o O.α))J 0.2135 -0.0:白RPRC -0.6866 O.α))J a αXXl O.∞ 12 1.57回 RPRC -0.8461 a αXXl O.α))J O.α)14 1.9350 AS;o.;BC ー回74.4395 a αXXl 0.α))J 4.田 59 1840.5159 ASNsC -5(泊1.1807 O.αm O.αX氾 2.9454 0.0:ヨ)jAEXOTS -1746.回42 -1.553ヲ 1.5177 0. 5396 945.6306 AEXOTS -2054. C旭日 -1.5539 ーし引71 0.9952 1596.3572 USEXQ -25. 05~2 O.αXXl 0.αX氾 O.α:00 a α))J USEXQ -25.0542 O.α))J O.OCOO O.α))J a αχ口JPEXQ -3.03BO O.α:00 O.αXXl O.α::00 o.αX氾 ]PEXQ -3.曲80 0.αXXl o.α:00 o.αXXl O.αxn NCONSM -24.6212 o.α))J a α:00 O.α:m O.αX氾 NCONSM -323125 O.α))J o.αm 。司 α:00 o.C'α)J NZQBM -287.4416 o.α::00 .0.α))J o.α))J a α:00 NZQ8M 24日.2369 a α::00 o.αXXl o.α工氾 O.OXJコNBFPRo 77.1579 O.CC印 O.αXXl o.αXXl O.αX泊 NsFPRO 86.5576 o.α))J o.α:00 o.α:00 O.αxo NZNBC 1904.9274 O.α::00 O.α:00 a αx:o a αxo NZNBC 6076.3413 O.α)J() o.α:00 a α:00 0.0YXl NEXOTS -231.7282 O.α))J O.α))J O.αx氾 a α以3 NEXOTS 3C岨.6417 o.α::00 a αX氾 O.αX氾 O.α))コBARLPR USGNPo JGNEO ]TBIルfQ TIME BARLPR USGNPo ]GNEO JTBIMQ TI~(E USA.¥IQ a αxo 28. 7399 O.αxo a α:00 O.αX泊 USAMQ O.αXXl 28.7468 a α))J O.αヌ)) O.OCOJ ~Sj.\fQ a αX氾 O.α:00 0.1428 O. 7840 -3.2344 ASjMQ O.α:00 O.αxx) 0.1428 O. 7840 -3.2344 CO!':S~1 a αXXJ a αX氾 O.α文泊 O.α)()J O.αX氾 CONSM O.αXXJ a α))J a α::00 O.αXXJ O.croJ PROD -2.7曲。 17.56'町 0.023~ 0.1286 -0.5304 PROD -3.0397 15.9475 O.αXXJ O.αXXJ 0.0ヌヨ3RPRC O.α::00 O.αX氾 a αxo a α:00 O.αxx) RPRC O.αxx) O.αxゎ O.αxx) O.αxx) O.OCDつAS;¥iBC -.44.5916 201.3270 -0.2344 ー 1.2869 5.3田2 ASNBC -~ l. 9431 220.0483 O.αxx) O.αX泊 0.0立)JAEXOTS -2.7田O ー11.1710 -0.1194 -0.6554 2.70-l0 AEXOTS -3.0397 -12.7993 -0.1428 -0.7840 3.2344 UsEXQ O.αX泊 11.9460 O.αX氾 O.αχ泊 O.αXXl

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第 二章、オース ト ラ リ ア 、 ニ ュ ー ジーランドにおける羊肉産業の計量経済分析

第一節、 はじめに

本 稿 の 課 題 は、オーストラリア、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 羊 肉 産 業 を 、 そ の 主 要輸

出市場との関連において定量的に分析することである。その際、 その両国の貿易

依存度が極めて高〈、輸出市場の動向と切り離しては国内経済を論じ得ないとい

う 事 情を考慮して、主に主要輸入国の国民所得あるいは輸入価格等の外生的要因

が輸入需要の変動を通じて、 この両国に与える彰響を動学的に分析しようとした。

従って、国内市場の詳細は可能な限り簡略化されている。 より具体的には、

(i) 上記の分析に必要となる計量モデルを構築すること、

(ii) 構築されたモデルの再現性と若干の予測能力を確認すること、

(i ii) 種 々の外生的および政策的変数の効果がラグを伴って混及していく 過程

を具に検討し、以後の政策的考察に資すること、

を主な目的としている。定式化に当 たっては、モデルの規模を出来るだけ小さく

保つよう努めた。また本稿では通常の計量分析とは違ってシミュレーションによ

る 予測には余り 重点を置かず、動学乗数分析に重点を置いている。以下の展開は

それに必要な最小限の分析手法の説明とその適用結果の解釈に終始する。

分析に先立って両国の羊肉産業を取り巻く環境を概観しておこう。

両国の農牧形態 は 図 2-1に示される通りである。オーストラリアでは中央の 乾 燥

地を除く周辺部分、 とくに東南部に偏っており、ニュージーランドでは北島の全

域と南島の東卸に偏っている。

近年、ニュージーランドでは、 その輸出収入の約半分が、牧羊農家の生産活動

に依存しており、羊毛、マトン、ラムという主要経営に副業としての肉牛を加え

て経営されている。 こ う し た 事 情 は、オーストラリアにおいても大きくは異なら

ない。後者では、牧羊業よりも肉牛経嘗の方が主である点で若干の違いはあるが、

皆 無として牧羊業への依存度は高い。かつては"羊の背に乗る国"と言われた位

であり、イギリス人の入植依頼 1890年代までは、 まさに"羊の時代"とも言うべ

き状況であった。{』b後 1930年頃までは小麦生産が拡大し、 それ以後、牧草を中 心

とした農業経営が発展している。さらに 1960年代の肉牛飼養頭数の急上昇を経て、

今日に至っている。 このようにオーストラリアの経清発展は、 まさに"牧羊業"を

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図 2-1 オセアニア両国の主要農牧形態

a)オーストラリアの主要良枝地帯[文献 18)

b)ニュージーランドの主要民投地m= [丈献 15)

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-59-

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土古として開始されたのである。

近年の傾向として、ニュージーランドでは肉牛農家が相対的に不利となり、牧

羊あるいは酪農業が相対的に拡大する傾向にある反面、オーストラリアでは牧羊

業や酪農業が相対的に縮小し、肉牛 農家が抵大する動きを見せて来た。こうした

傾 向は今後も続くものと見られるが 、それは、両国が直面している輸出市場の動

向に大きく左右される。周知の通り、両国とも欧州人入植以来、専らイギリス市

場への輸出に支えられて来た。従って 1973年に、 イギリスがECに 加 盟 し た 時 点で

大打撃を被ったのであるが、 これに加えてほぽ同時期に生じた国際的な食糧危機

(1972/3)および石油ショック(1974)が決定的な追いうちをかけたのである。

こうした国際 情 勢 の 甑 変 に 対 し て、非農業費揮を持っていたオーストラリアと

それを持たなかったニュージーランドでは、その対応の仕方が若干異なっていた。

つまりオーストラリアは、この危機 的状況に対して、イギリス市場から非イギリ

ス市場へと、 また最近では、最有利市場であるアメリカ市場から非英米市場へと、

輸 出先多角化政策を押し進めると共に、農業内部においては畜産物輸出から穀物

や園芸作物輸出へ、 さらに農産物輸出から鉱工業製品輸出へと重点を移すことに

より 、国際農産物市場の変動がもろに圏内経済に按及することを阻止しようとし

てきたのである。

他方、ニュージーランドも種々の多角化を押し進めつつあるが、 とるに足る非

農業賞理を持たないため、主に農業内部での多様化、つまり園芸作物の強化、鹿

肉(venison)の導入などの面で農産物輸出に伸縮性をもたせようとしており、輸

出先の多角化を図っているが、その成果はオーストラリアほど顕著ではない。そ

れ故、イギリスの EC加盟後も依然とし て 特 別 枠 を 設 げ て 、 主 に 酪 農 品 を 中 心 にイ

ギリスへの輸出を続けている。

とうした国際情勢を背景に、石油危揖以後、中東諸国へのラム輸出が種増し、

オーストラリアではイランが最大の輸出市場となっている。 またニュージーラン

ドにおいても、従来、圧倒的優位を示していたイギリス市場をイラン、 イラク市

墳が追い越しつつある。

他方、マトンの輸出市場については、 日本とソ連が上位をしめており、安定的

には日本が最大市場となっている。こうした事情を反映して、ニュージーランド

では、圏内の羊肉計画価格 (scheduleprice)の算定に当たって、 ラムの場合は

-60-

Page 68: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

イギリスの圏内価情を基準にしているが、マトンの場合には日本の圏内価格を基

準にしている。

また最近では、ラム、マトンの輸出に加えて生体として羊の輸出がのびている。

主たる市場はやはり中東諸国であるが、 これに加えて共産圏諸国の輸入ものびて

いる。特に最近では、中東紛争のために誼減したラム生産を補うために、羊の生

体輸入が急増していると言われる。

さらに羊肉産業の結合生産物としての羊毛市場の動きを無視することはできな

い。ある分析結果によると、マトン価格とラム価格とは、羊飼養頭数の短期的な

構成比率を説明することはできるが、羊の長期的な総頭数は、これらの羊肉価格

よりもむしろ羊毛価格により説明されることを示している。周知の通り、羊毛の

国陣価椿は、合成繊維などの代替品の出現により長期的に低下して来ており、ま

た周期的に大きく変動して来た。 この国際羊毛価惜の動きが、 オーストラリアに

おける羊飼養頭数の長期的な誠少の傾向の一部を説明するものと思われる。固に

日本は、両国における羊毛輸出の最大市場となっている。

このようにオセアニアの牲羊業を検討する場合、関連する商品(つまり、ラム、

マトン、生体としての羊および羊毛)の多様性をいかに処理するかという点が問

題となる。本稿では、 これを羊肉と羊毛とに分割し、後者については別稿にゆず

ることとした。 また前者については、 ラム、マトンの間で特に区別せず、集計的

に取り扱わざるを得なかった。更に羊の生体貿易は本稿の対象から除外した。

以上にのべたように、オセアニアの牧羊業にとっては、特に日本市場とイギリ

ス市場、それに中東市場が重要であることが知られる。それ故、本分析では、オ

セアニア両国の主要輸出市場として日本と英国とを選んだ。他の市場は非主要市

場として集計的に取り扱われている。なお、中東市場は重要ではあるが、計測期

間の最後の部分で重要性を増して来たに過ぎないため、非主要市場に集計された。

註(1) 18世紀 後半 の冷 濠輸 送船 の発明により食肉輸出が可能となり、牧羊業の

中でも羊毛から羊肉へと重点が移行した。

第二節 モデルの定式化

本稿は、オセアニアの羊肉産業のモデル化を試みたものであるが、 これは、前

章に示した「オセアニア牛肉産業の計量経済分析 J (或は拙稿[14] )に続〈も

-61-

Page 69: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

のである。 これらのモデルは、 日本との貿易関係を具に検討し、両地域聞の諸政

第の効果を定量的に分析できるよう試みたもので、本稿の段階では分析的という

よりもむしろ多目的なモデル構築そのものを目指したものである。 それ故、オセ

アニア地城内の詳細な市場経済関係は可能な限り簡略化されており、極めて集計

度の高いレベルで計測されている。

先ず、羊肉そのものの定義についてであるが、先述した如く、羊肉農家は、ラ

ムとマトンおよびこれに加えて生体としての羊の生産に従事している。本稿では、

この生体としての羊の市場取引は原則として取り担っていない。 また、ラムとマ

トンについても、 とり立てて区別はせず、羊肉(sheepmeat)として集計的に取り

担った。一般的に、 ラムはマトンよりも値段が高く、マトンに対して上最財的性

格が強く、昧も大きく異なることから、両者に対する消費需要関数も異なってい

る。それに加えて、両者の生産期間も異なることから、各々の生産供給関数にも

差異があるはずである。従って、 これらを単純に集計的に単一商品として取り扱

うことから来る情報のロスはかなり大きいかも知れない。 しかし、全体のモデル

を謀作可能な範囲内にとどめるため、あるいはデータ上の制約のため、両者を集

計して取り担うこととした。

オーストラリアとニュージーランドの各々について、 6本の行動方程式と l本の

定義式とからなる。従ってオセアニア地域としては 12本の行動方程式と 2本の定義

式との合計 14本の式から構成されている。

以下、個々の方程式のスペシフィケーションを説明していくこととする。

(1) 主要市場の輸出需要関数

羊肉の国際貿易について論じる場合、ラムとマトンとでその主要市場が異なる

ことは、既に論じた。ラムに閲しては、伝統的にイギリスが最大市場であり、石

油ショック以後はイラン、イラクを中心とする中東諸国が急速にのびている。こ

れに対して、マトンに関しては、 日本およびソ連が最大の貿易相手国となってい

ることも前述した。このうちソ連市場は過去において何度も最大輸入国となって

いるが、極めて不安定であり、安定的な輸出市場としては日本ほどの重要性をも

っていない。以上の点を考慮してラムに関してはイギリスを、 またマトンに関し

ては日本を主要輸出市場としてとらえ、オーストラリア、ニュージーランドから

-62-

Page 70: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

両国への羊肉輸出関数を計測した。その各々について、 l期前の羊肉輸出量、各々

の輸出価格(あるいは輸出先国におけるオセアニア産羊肉価格)および輸入国の

GNPをその説明変数として選んだ。前者は、羊肉輸出における市場の動学過程を、

また佳の 2者は、各々、価格効果と所得効果を示す説明変数として選ばれている。

理論的には価格効果はマイナスに、所樗効果はプラスの符号が期待される。なお、

これらの具体的な関数関保は、次節の①、①式と⑤、@式とに示される通りであ

る。

(2) 圏内消費需 要関 数

オーストラリア、ニュージーランドにおける羊肉器消費量については、両国に

お ける羊肉価格、代替品の価格(ここでは牛肉価格と豚肉価格が用いられる)お

よび国民所得と前期の羊肉価格が説明変数として選ばれた。 ここで、従属変数(

被説明変数)の羊肉消費需要量は、 l人当たりのタームではなく、集計的な総消費

量であることに註意を要するであろう。 これは、 システム全体の線形性を維持す

るために探用された便法にすぎないが、 この取り担いにより、推定結果から導出

される各種弾力性の値は、計測期聞における人口の動きにより影響されている恐

れがある。それ故、 1人当たりタームでの計測結果とは若干異なりうる点に注意す

る必要があろう。理論的には、羊肉価格の係数はマイナスに、 また代替財価格の

係数と国 民 所 得の係数とはプラスに推定されることが期待される。なお、この間

保式の具体的な関数形は次節の③、⑪式に示される通りである。

(3) 圏内羊肉 価 格 関 数

オーストラリア、ニュージーランドにおける羊肉圏内価格は種々の変数から影

響されて決定される。ここでは、これらの中から、主要輸出市場であるイギリス

と日本での羊肉輸入価格(あるいはこれらの加重平均値)、羊肉生産量、前期に

おげる羊肉価格およびニュージーラ ンドで課用されている羊肉計画価格などを説

明変教として用いた。なお、オーストラリア倒の式にも、何らかの政策価格を代

表する説明変教を入れることが望まれるが、データ不足のため、本稿の段階では

使用できなかった。理論的には、羊肉生産量の保数はマイナスに、 それ以外の説

明変教の係数はプラスに推定されることが期待される。 また、この関係式の具体

-63・

Page 71: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

的な関数形は次節の④、@式に示される通りである。

(4) 生産供給関数

周知の通り、食肉の生産過程は、羊肉生産量、屠殺頭数、飼養頭数の 3つの指標

で把握されうる o 事実、多くの食肉統計は、この 3者を含んでいる。 しかし、計量

モデルの構築に当たっては、 この 3者の全てを内生変数とすることは少々蛇足にす

ぎる。というのは、羊肉生産量と屠殺頭数とは、精肉技術に変化がなければ、ほ

~ir 一定の歩留り宰を介して比例関係にあり、 また屠殺頭数を飼養頭数とは、一定

期間に限っていえば、"和が一定"の関係にあるからである。従ってこの 3者は互

いに独立な時系列ではなく、いわ ~i, ..隷形従属"の関係にある。それ故、本稿

では、羊肉生産量と羊飼養頭数との 2つを構造方程式の従属内生変数として用いた。

前者の羊肉生産量の関係式は、 いわば羊肉供給関数に対応し、羊肉価情、 (前

期の)羊伺聾頭数、主要輸出市場への羊肉輸出量(あるいはその増分値)および

前期の羊肉生産量などで説明される。

後者の羊飼養頭数の関係式は、いわば羊肉生産関数に対応し、羊肉価梧(ニュ

ージーランドの場合には羊肉計画価格)、羊毛価格(ニュージーランドの場合に

は羊肉安定帯下限価格)、主要輸出市場への羊肉輸出量(あるいはその増分値)

および前期の羊飼養頭数などを説明変数として用いている。

これら両推定式において、ラグ付き従属内生変数を用いた理由は、ナーロフ型

の期待形成と部分調整による供給反応モデルを組み入れるためであり、 また両式

において、主要輸出市場への羊肉輸出量を用いた理由は、海外主要市場からの輸

入需要のもつ派生的生産誘発効果を検討するためである。羊肉は生産量に占める

輸出比率が高いためにこの効果は、極めて重要な意味をもつことが予想される。

またこれら 2つの従属内生変数の羊肉価格に対する反応は、極めて複雑である。

というのは、羊肉価格が上昇した場合、一方では、羊肉生産量を増加させるべく

屠殺頭数をふやし、 その結果、飼養頭数は一時的に減少することが考えられるの

に対して、他方では、同じく羊肉価梧が上昇した場合、生産ストックとしての肉

羊そのものの価値が上昇するので(価格がさらに上昇するであろうという予想の

下に)、飼養頭数を増加させるべく屠殺頭散を誠らし、その結果、羊肉生産量も

ー時的に滅少することが考えられるからである。従ってこれら 2式において羊肉価

-64-

Page 72: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

惜の係数の符号を先験的に予想することは容易ではない。 また、 これらの関係式

の具体的な関数形は次節の⑤、@式と⑫、⑬式に示される通りである。

(5 ) 非主要市場への輸出およびストック関係式

以上で、主要輸出市場への輸出量、圏内消費需要、圏内価格および生産供給の

関係式が定式化されたわけであるが、両輸出国について、モデルを同時方程式体

系として閉じるための恒等式が必要となる。つまりここでは、生産量から圏内消

費量と主要輸出市場への輸出量とを差し引いた残余が、他の非主要輸出市場への

輸出量とストックとにふり向けられることを示す恒等式が用いられる。具体的に

は、次節⑦式と⑪式とに示される通りである。もし可能ならば、両国から非主要

市場への羊肉輸出量の関数を別個に推定して、それからストック部分のみを残余

としての恒等式で説明する方が興味深いモデルになるかも知れない。 しかし、非

主要市場への輸出量の統計は年毎に相手国も異なりデータも大きく変動している

ため良好な推定結果を得ることが難しく、両者(非主要市場への輸出量とストヅ

ク)の合計を残余として計算した。

前章においても指摘した如く、いかなるモデルに対しても唯一の完壁な定式化

というものはなく、 ここで諜用されたものも、想定されうる建つかの可能性の中

のlつにすぎない。さらにこの分析は、 日本側の同様なモデルの検討によって補完

されるべき性質のものである。その意味で多分に改良の余地を残している。

以上のスペシフィケーションをフローチャートの形で示したのが図 2-2である。

図に示されるま日〈、 まずイギリスと日本との羊肉輸入量が各々独立に決定され、

その影響を受けて、オーストラリアとニュージーランドの圏内生産量および飼蓑

頭数が決定される。 さらに圏内価格および消費需要にも同時決定過程を経て影響

し、各々の圏内市場調整過程を通じて両国からの輸出余剰量が種々の(非主要)

輸出市場へと配分されるという流れを示している。

第三節 モデルの推定結果

個々の方程式の推定結果は、本節の末尾に示される通りであるが、 ここで簡単

な説明を与えておこう。前述した如く、行動方程式は、オーストラリア・サプモ

デルの 7本とニュージーランド・サプモデルの 7本との合計 14本より構成されてい

-65-

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図 2-2 モデルのフローチャート

抽出市場段階 l司内市J時il陪

温 ICコ:内生変位

亡コ :外生蛮位

<CJ>恒等式によ 1)決〉与される内主変位

ーー→ :ラグのない閲註関係

ー---~ラグ{ずきの開設関係

-66-

(オーストラリア・サプセクター)

『ニュージーランド・サプセクター)

Page 74: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

る。うち 2本は、非主要市場への輸出量および在庫量を示す定義式である。

(1) 主要市場の 輸 出 需 要 関 数

主要輸出市場への羊肉輸出関数について、英国への輸出関数(①式)は、決定

係数でみる限り、余り良好な計測結果を示していない。また係数推定値は、ラグ

付き従属変数以外は有意には Oと異ならない。これの理由は次のように考えられる。

周知の通り、イギリスは 1973年に ECに加盟したが、これに伴ってオーストラリア

からの農産物輸入は大きく減少した。これは図 2寸に示される通り極めてドラステ

ィックな構造変化をオセアニア経清に与えることとなった。 1973年の 23. 1千トン

から 1974年の 7. 2千トンへと実に 3分の 1に濫減したわけである。こうした構造変化

が、モデルのサンプル期間で生じて お り 、 他 方 、 本 モ デ ル で は こ れ を 全 期 間 にわ

たって均一の式で示そうとしたため、その変化を十分に説明することが困難とな

ったものとみられる。従ってこの変化の前後でデータ期間を区切って計測するか、

あるいはより間接的な方法としては、 1973年を境とするダミー変数を説明変数に

加えるべきであろう。

この式は、ナーロフ型の動学的反応過程を考慮して次式のように変形される。

UKSliQ-UKSMQ ・ 1= r (UKSMQ. -UKSMQ-1)………… (2-1)

UKSMQ. = a 1 UKSMPO ・ +a~UKYO ……………………… (2-2)

UKLMPO・=UKLMPO・1・+β[UKLMPO・1ー UKLMPO・1・]…(2-3)

ここで UKSMQ"は長期的な均衡輸出量(イギリスへの輸出量)であり、 UKSMQは今

期におげる実現輸出量である。従って第(1)式の意味するところは、前期における

実現輸出量と長期均衡輸出量とのギャップの 100r %だけの修正を(前期の実現輸

出量に)加えて今期の輸出量が実現されるという調整過程を示しており、 Yは調

整速度と呼ばれている。 また (2寸)式の意味するところは次の通りである。前期に

おける実現輸出価格と期待輸出価格とのギャップの 100βZだけが(前期の期待輸

出価格に対して)修正されて今期の期待輸出価格を形成するという期待形成過程

を示している。 さらに (2-2)式は、長期的均衡輸出量が、期待輸出価格とその他の

変数(ここでは輸出相手国の実質国民所得)に依存して決定されるという関数間

保を示している。 β はこの場合の期待の弾力性と呼ばれている。観察不可能な変

-67-

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図 2-3羊肉モデル の シ ミ ュ レ ー シ , ン 結 果

jh:::::欠陥量111)豪州でX11,、dAHVphJ'

Ea--a

(.()豪州の羊肉価格膏剤セ;tr

70

60

50

~O

30

20

10 60 62“66 68 70 72 7' 76 78 8~ A監工l .A且訂:.p~

260

220

180

140

U

一川一川町一

三国千トン但)NZから英国へのキ肉鮪出量

320-1 300 280 2印240 22沼

200+ 11 180

ω62“66 68 10 72 74 76 78 80平旦且且旦ldL監

NZ 叫 NZの羊肉価格セント180

:;:区、印 6264 66 68 70 72 14 76 78 80lf 且E出血且旺四位

MW

・・4

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60 62““ 68 10 12 74 16 18卸平

且畠旦i~.!:担!~星

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ω62 64 66 68 70 72 74 76 78 80平

旦旦岨担世也

ー (5)豪州の羊肉生産量千ト J

900

800

700

600

500

400 60 62 64“68 70 72 14 76 78 80平

A担1.A姐娃

千トン (9)NZから百本への羊肉輸出量

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so

5 ω62“66 68 70 72 74 76 78 80平

阜県主旦叫旦

一回 NZの羊肉生産量千トJ

570

550

530

510

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-68-

.(00

350

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60 62 64 66 68 70 72 7' 76 78 80r~ A且出.AS,却且ミ

百万E(6)豪州の羊飼養顕tL180.f

170

160

150

140

130 的 62“6668 70 72 74 76 78 8~1" A晶玉且A盟担主

130

120

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且且L..CQl!li~l..,♀!n~~

裁誕飼キのZ

N

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6

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so

60 62““ 68 70 72 74 76 78 80l下且迎盟r.NZNS旦PS

注.突富良は毘察値,破富良はファイナルテ~ト

による推定値で.変数名の末尾に sを

付加Lて表示されている.

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散つまり長期的均衡輸出量 UKSMQ'と期待輸出価格 UKSMPO・を消去する為に、 (2-2)

式と (2-3 )式を (2-1 )式に代入して、適当に整理すると次式が得られる。

UKSMQ= alβy • UKSMPO-I + [(1-β )+(l-Y)] UKSMQ-I

一(1-β)(I-y)UKSMQ・ 2 + a2γU K Y 0 - a2 ( 1 -β)yUKYO-1 …(2 -4)

これがいわゆるナーロフ型の(輸出)供給反応過程であるが、本モデルにおい

ては、システム全体を撮作可能な範囲内におさめるために、各変数の最大ラグを

i に限定している。従って 2期ラグの変数(自KSMQ-2) は推定式中には出て来ない。

=れは、上述の反応過程において、 β:: 1つまり期待の係数(もし各変数が両対数

関係で表示されているならば、 ヒックスの言う期待の弾力性に等しい)が lに等( <' )

しいと恒定していることになる。

本モデルの推定結果に上述の式を適用すると、オーストラリアからイギリスへ

の羊肉輸出量の長期均衝値への調整速度は O.523と導出される。

他方、オーストラリアから日本への羊肉輸出関数は、決定係数、ダーピン・ワ

トソン値でみる限り、かなり良好な結果を示しているが、各係数の推定値は殆ど

有意ではない。イギリスへの輸出関数の場合と同様に、調整速度を計算すると O.

642となり、比較的大きいことがわかる。

また、ニュージーランドから主要輸出市場(イギリスおよび日本)への羊肉輸

出開敢については、何れも決定係数が低〈、余り良好な計測結果とは言えないが、

日本への輸出関数の場合の各係数推定値はかなり有意に出ている。調整速度は、

イギリスへの輸出関数の場合が O.892、日本への輸出関数の場合が O.638と共に高

い。また、両国からイギリス、 日本への輸出関教の価格弾力性および所得弾力性

を示すと表 2-1 (a)のようになる。

なおここに示した価格弾力性および所得弾力性の値は短期のそれであって、長

期および中期の弾力性は、第 6節の動学乗数のところで論じられる。

この短期の弾力性からも知られるように、価格弾力性、所得弾力性とも日本市

場の方がイギリス市場より大きく、特に日本市場の所得弾力性の大きいことが注

目に値する。羊肉部門においては、今後も日本市場が成長的市場として重要性を

唱していくことが知られる。 また日本市場の所得弾力性は、オーストラリアより

もニュージーランドに対してより大きく、今後、所得水準の上昇につれて、羊肉

-69-

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輸入については、対ニュージーランド輸入依存度が対オーストラリア依存度より

も急速に高くなることが予想される。 ま た 、 そ れ は 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド で は 牛肉

よりも羊肉に重点をおき、逆にオーストラリアでは羊肉よりも牛肉に重点をおい

ているという両国の現在の輸出構造とも斉合的であるといえよう。

表 2-1 短 期の弾力性推定値

(a)主要市場への羊 肉 輸 出 関 係

(b)羊肉消費関係

価格 弾 力 性 所得弾力性 調整速度

KSMQ 軒 0.4417 0.3739 O. 523 PlolMQ -0.8521 0.93 H O. 642 XMLQ -0.0262 O. H 35 O. 892 IMLQ -0.5947 1.2152 O. 638

(c 1 羊 肉生 産供 給関係

弾自力己性価格 交(牛差肉弾価力格性) 交{豚差肉弾価力格性) 所樺弾力性 調 整 速 度

SCOK -0.939 0.5896 0.0417 0.2475 )(LCON -0.1043 0.7636 0.0612 0.4843 1. 0

aauHMma属品目刷日

価格 使用頭性数 羊毛価性格 計画力価格 安定帯格 下 調整速度弾力性 弾力 弾力 弾性 限力価性 弾

Q)(L 1. 1081 0.6159 QML 0.5810 0.7147 SKSH 0.0576 -0.1314 0.3189 ZKSHP 0.008 0.1303 1. 0

(2 ) 圏内消費需要関数

オー ス ト ラ リア、ニュージーランドとも羊肉の消費関数は、かなり良好な推定

結果 を示している。なおニュージーランドでは、牛肉価格のみならず、豚肉価格

から の交叉代替効果がみられるが、オーストラリアでは、牛肉価格からの交又代

替効果 のみ が計測された。各々の説明 変 数 に 対 す る 短 期 弾 力 性 を 求 め る と 表 トl

(b)のようになる。

これらの結果から、種々の交叉価格弾力性および所得弾力性の全てにおいて、

二 ュージーランドはオーストラリアよりも大きな値を示している.所得弾力性に

-70・

Page 78: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

ついての結果は、ニュージーランドでは羊肉とくにラムは牛肉、豚肉その他の食

肉の中でもとくに上組財的性格が強いが、オーストラリアでは必ずしもそうでな

いという事情を反映しているといえる。 また、 自己価格弾力性についてはオース

トラリアの方が大きいことが知られる。

(3 ) 圏内羊肉価格関数

羊肉の圏内価格についての推定結果は、ニュージーランドについては、比較的

良好な結果を示しているが、オーストラリアについては、 それほど良好な結果は

得られていない。この遣いは、両国で異なった価措系列を用いたことによるもの

と思われる(オーストラリアでは農場価格、ニュージーランドでは小売価格)。

またそれに加えて、両国の価格系列ともマトン価格とラム価格との平均値系列と

して計算されているが、両価格は必ずしもパラレルには動いておらず、さらに各

等組ごとの価格の動きが十分には反映されていないため、あてはまりは余り良く

ない。

(4 ) 生産供給関数

前述したごと〈、羊肉の生産供給は、羊飼養頭数と羊肉生産量との 2段階で捉え

られる。ニュージーランドの羊飼養頭数の推定式の説明力がかなり低いのを除く

と、地の推計式は両国ともかなり良好な結果を示している。ニュージーランドの

現実の羊飼養頭数はかなり周期的な変動を示しているが、線形の推定式ではこれ

を十分にフォローし切れなかったものとみられる。そのため、ダーピン・ワトソ

ン値は低く残差項にかなり強い系列相聞を生じている。

また前述したようにニュージーランドでは、補足最低価格(S 1dP )計画が 19?8年

以降採用されているが、 これはサンプル期間中の最後の一部分にしか該当しない

ために説明変数として使用することができず、 その代わりに食肉ボードの設定す

る安定帯下限価格と食肉冷濠会社の発表する計画価格とを使用したが、この両者

の聞に多重共線関係(l1ulticolinearity)が存在したものとみられる。従って、安

定帯下眼価格の方の係数は有意に推定されているが、計画価格の方の係数は有意

lご推定されていない。

以上の点がこの式の説明力を低からしめているものと思われる。なおオースト

-71・

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ラリアの羊飼養頭数の関係式において、羊毛価惜の係数値が理論的に期待される

ものと反対の符号で有意に推定されているが、 これは、従属変数の羊飼養頭数の

系列がマトン用成羊、ラム用子羊および羊毛・羊肉兼用種の総計であり、データ

系列が必ずしも対応していないことの他に、次の点が考えられる。

通常、羊毛価格と羊肉価格の聞には(短期的には)ある程度の正の相聞がみら

れると言われる。その場合、羊毛価格が上昇すれば羊の価格が上昇し、それが羊

肉価格をつり上げる方向に働く。羊肉価格が上がれば食肉生産を増加させるべく

屠殺頭数をふやす結果、羊飼養頭数は一時的に減少するということである。この

反応過程は通常、 l年以内の短期間の ラグを伴って生じるが、本モデルの場合は年

次データであるので、 その障のタイムラグが確認されることなく同期の反応とし

て計測されたと推棚されうる。

また、これらの関係式にナーロフの関係式を適用すると表 2-1(c)のようになり、

さらに各説明変教に対応する弾力性も同表に示される知く計算される。

(5 ) 非 主要 市場へ の 輸 出 お よ び ストック関係式

前節 で も 示 した知く、この関係式は推定式ではなく、モデルを閉じるための恒

等式として計澗されている。従ってこの式のあてはまりの良否は、第 5節(1)の事

後予測によるバリデーションの結果を待って検討することとする。

以下で、各式の推定結果および使用された変数について説明しておこう。

《オーストラリア・サプセクター》

①UKSMQ = 9.81892 f 0.476692事UKSMQ1- 24. 7316事UKLMPO f 0.821837章UKYO(0.566763) (2.23379) (-0,636609) (0,870387)

R2=O,401044 D. W. =1. 8648

②JPMMQ = 22.5639 t 0.357114事JPIO!Ql ・ 11.03H本JMPO f 0.558421章JGNPO(0,892279) (1. 36401) (-1. 48505) (1. 84517)

R2=O.724165 D,官,=1.6126

-72-

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@ASCON

④AXSYP

⑤AQML

@AStiSH

w .

⑦ASIOTS

= 223.920 + 0.752453ヰASCON"Sl(2.94808) (6.93675)

+ 0.0730783事AGDPO(0,397221)

-170.033事AMRPO(-4. 61454)

+ 234. 803ヰBFRPO(3.61768)

R2=0.863874 D. W. =2. 0597

= -26.018 + 0.513559宇AMSYPl-0.979508) (1. 68381)

+ 5.59012章JMPO(0. (03625)

+ 0,978453ヰTIME(1. 21216)

0.00579215本AQ1U(-0,206347)

+ 32.0275本AMRPO(0.298339)

R2=0.613392 D. W. =1. 055

-303.360 t 0.384057ヰAQMLl1・1.82973) (2.73545)

t L 35568*ASNSH1 (3.12695)

+ 2,1994事..dUKSMQ (1.25901)

+

ーー

1. 15535本LlJPMMQ(1. 16653)

-0.920641宇LlAMSYP(0.705774)

R2=0.723 D. W. =1. 685

70.3274 t 0.681011本ASNSHl + 1. 98277) (3. (1124)

0.330888宇AMSYPl(2.35354)

0.282988本UKSMQl(ー1.536}

-0.116199ヰJPMMQl(ー1.61579)

-0.157452事AWLP(-2.18447)

AQML ASCON UISMQ JPM)fQ

R2=O.847 D.W.=2.0039

ニュージーランド・サプセクター

@OHHQ -. 148.885 t 0‘107481宇UUfLQl(1. 2796) (0.445672)

-73・

-0.0116404キUIMPRl・0.1628(7)

t 11. 0274キU1YO(1.16186)

R2=0.531845 D. W. =1. 9624

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@JXXLQ = 1.18491 + 0.361671キJH:!LQl0.0909627) (1. 87634)

-0.0723527宇JIMPR(-2.8336)

+ 0.915767事JGNPO(2.43967)

R2=0. 513869 D.W.=1.8669

⑩HLCON ーー 109.554 ・(7.47134)

0.91320事NMTPRO(-5.9556)

+ 0.0251997宇NPKPRO(0.471602)

+ 0.342999ヰNBFPRO(6. 43231}

+ O. H413hNZGNPO (3.59579)

R2=0.761222 D.W.=1.3438

⑪UPTPRO=77.973 +0.314739本NMTPRO(-I)(2,01762) (1. 69137)

+0.0115588章(0.23・JIMPR+0.77・OIMPR)(0.835864)

+0.32257事NZMTPS・0.00842742本NQMLtO.462815*fI1U(2.45409) (-0.147259) (0.45926)

R2=0.719704 D. ¥f. =2. 2997

⑫HQIH=31. 5139+0. 123863判UXMLQtJunQ)tO. 285246州 QMLltO.00528558ヰNZNSHPl(0.675929) (1. 80643) (1. 89838) (4.17642)

R2=0.838 D.W.=1.9

⑬HZNSHP=47005. 7+3. 20830事..d(UXMLQ+JIMLQ) +65. 4098tNZllTPSH80. 696柑 MINP(16.2472) (0.178571) (1.1096) (3.83668)

R2=O, 424546

⑭NSIOTS -ー NQML NMLCON UIMLQ JIMLQ

《内生変数》

OISXQ =イギリスのオーストラリアからの羊肉輸入量(千トン)

JPXKQ =日本のオーストラリアからの羊肉輸入量(千トン)

AS C01l =オーストラリアにお付る羊肉消費量(千トン)

A)fS yp =オーストラリアにお付る羊肉価格 (kg当たり葦州セント)

AQKL =オース トラリアの羊肉生産量(千トン)

-14・

D, 1, =0. 5397

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ASNSH :::オーストラリアの羊飼養頭数(百万頭)

ASIOTS ::;オーストラリアの非主要輸出市場への羊肉輸出量+在庫量(千トン)

UULQ :::イギリスのニュージーランドからの羊肉輸入量(千トン)

JX).[L Q ::;日本のニュージーランドかちの羊肉輸入量(千トン)

NMLCON ::;ニュージーランドの羊肉消費量(千トン)

川TPRD :::ニュージーランドにおける羊肉価格 (kg当たり NZセント)

NQML ::;ニュージーランドの羊肉生産量(千トン)

NZKSHP ::;ニュージーランドの羊飼養頭数(千頭)

NSIOTS =ニュージーランドの非主要輸出市場への羊肉輸出量+在庫量(千トン)

《外生変数》

UKLMP 0 =ロンドンにおげるオーストラリア産ラムの卸売価格〔官P1にて修正清、

kg当たり英国ニューペンス)

UKYO =イギリスの実質国民所得

JXP 0 =日本の羊肉平均輸入価格(同当たり)

JGHO ::;日本の実質国民所得

AMRPO =オーストラリアのマトン小売価格 (kg当たり豪州セント)

BFRPO =オーストラリアの牛肉小売価格 (kg当たり豪州セント)

AGDP 0 =オーストラリアの実質国民所得

TIME =トレンド

AWLP =オーストラリアにおける羊毛価格 (kg当たり豪州セント)

UIKPR =イギリスのニュージーランドからの羊肉輸入価格(トン当たり NZドル)

JIXPR =日本のニュージーランドからの羊肉輸入価格(トン当たり NZドル)

HZXTPS :::ニュージーランドの羊肉計画価格(回当たり NZセント)

NPKPRO =ニュージーランドの豚肉小売価格(指数)

HBFPRO :::ニュージーランドの牛肉小売価格 (kg当たり KZセント)

刷INP =ニュージーランドのマトン安定帯下限価格

HZGNPO :::ニュージーランドの実質国民所得

なお、変数名の末尾の 0は適当な価格指数で実質化されていることを示し、また

末尾に lを添えて用いられた場合は、その変数の l期ラグ付き変数であることを示

-75・

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している。

注(2 ) 現実の食肉貿易の動向をみると、種々の輸入数量制限政策が採用されて

おり、必ずしも輸出価格に対して伸縮的な自由貿易制になっていない。

そのため、輸出価格の期待値に反応するよりむしろ(示された)輸入数

量に対して反応しているという現状にある。

第四節 推定モデルの動学的安定性

以下で動学乗数分析を試みるためには、 その前提としてシステムの動学的安定

性が確認されなければならない。そのためには、先ず第 lに推定された同時方程式

体系のモデルをシステムとして担えていくことが必要である。

( 1 )構造形

前節に示された個々の構造方程式の推定結果は次のように体系的に整理されう

る。その最初のものは構造形 (thestructural form)といわれる式である。

AヰY(t) = B本Y{t-l)+C本Z(t) + V {t)...………………… (2 -5)

とこで A…...・....・…当期内生変数の係数行列(次元 nx n )

B ......・ H ・……ラグ付内生変教の操数行列(次元 n X n )

c..・H ・・・・・.....・外生変数の係数行列(次元 nX n )

Y (t)…...…当期内生変数のベクトル(n次元)

Y(t-l)'"…ラグ付内生 変 散 の ベ ク ト ル (n次元)

Z (t)………外生変数のベクトル(m次元)

v (t)……・・・確率的誤差項のベクトル(n次元)

n……………内生変教の数

m...…………外生変散の数

上記において、内生変数ベクトル Y (t)、外生変数ベクトル Z(t)の具体的な形

は枕のように示される。外生変数ベクトルの最初の要素は1.0であり、 これは定数

項に対応している。

-76・

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nHV

円、

unHURHumHU

nv‘

nHVAHVAMMnHwnHHnMHhvー・nHHnMHnv-nν4

nHVHM且内

HvnHunvι円

Vιnv‘nv--BRunVE-nv--nvAmBAnvamv-M即日目問日

.,LVanrHHnnnHHnuHm'LHMnH見

HM且

vh悶

FTihhu

1aV且vaumnuMmFanuTiE何

TITiqbpAEUUR7u

nunu-J1uAAEuan干AaAnu-uunH"wuURun

ーーZ (t) 円、

u

日制日

nHvnνA肉、

u'

AH噌nHM‘日開

MRV4nH且mEAnH曹司nH噌AHunHUnMMmEA

umMMHnHVVI冒

LFbnU1U冒

LnLnrluFbnu

quMRnLquM四MMVAMAUnyL中AVEHuva

v且

nrRUUmnnu喝Fbnbvh'AHMNH凪

nw司qLnb

nu守

dAAAAAAAAAnnuTdH目MnNOMMMn

ーーY (l)

サンプルサ外生変数が 16個であり、内生変数が 14個、モデルの規模は、なお、

実際には l期のラグが含まれているので、1958-1980年の 22期間であるが、イズは、

先決変散をラつまり通常のシステム詣で用いられる式において、21期間となる。

内それ故、グ付内生変数と外生変数とに明示的に区別して表示したものであり、

各々の係数行生変数ベクトル Y {t)に関する l階定差方程式の体系をなしている。

付表 2-1.....付表2上述の各方程式の推定結果を用いて、Cの推定値は、

-3のように示される。

B 、列A、

誘導形l

ayt

・,.,‘

システムの動きを動学的に検討するためには上述の定差方程式体系を Y (t)につ

この内生変数 Y (t)をシステム内の全ての先決変数(すなわいて解く必要がある。

reduc 次の誘導形 (theの閑散として解くと、ちラグ付内生変数および外生変数)

係数行列 Aの逆行構造形の方程式(2 -5 )において、これは、ed form)が得られる。

つまり列を(左から)両辺に乗ずることによって導出される。

Y(t)=A-1BヰY(t-1)+A-1Cヰz(t)+A-1V(t)

= π 1 ヰY (t曲 1)+ π 2事Z(t}+U(t).....・H ・H ・H ・・........・…………・・・ (2 -6)

ここで

-77・

= A -1 B

= A -1 C

π1

π2

L

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U (t)=A-1V (t)

この誘導形方程式 (2-6)の係数行列 (π1.π2)の推定結果は表 2-2、表 2-3に示

される通りである。 また後者の係数行列 π2は、後述の短期衝撃乗数行列と一致す

る。

(3 )最終形

前述の誘導形 (2-6 )式で示された l階定差方程式をさらに、外生変数のみの関数

として解くと、次の最終形 (the final form)が得られる。

Y (t) = ( 1ー πI)・ 1π2本Z(t)+[g;i] [λI t ,λ2 t ,…, λn t] •

= y・(t)+ Y (t) ………… ..11 .... ...・……………………………(2 -7)

ここで λ(i=1,2.….)は誘導形 (2-6)式におけるラグ付内生変数の係数行列 π

lの固有値(特性根 =the eigen values, the characterIstic rools}である。 行

列 [g;J] (i,j, =1,2,… n, )は、初期条件によって決定されるべき任意定数の行列

である。最終形(7 )式の右辺の最初の項は、外生変数の所与の値に対応する内生変

散の畏期均舗(定常)値 y. (t)を示し、 また右辺第 2項は、 それ(内生変数の長期

均衡値)からの需離成分からなるシステマティックな変動成分 y( t)を示している。

ここで外生変数ベクトル Z(t)の 係数行列(1ー π!)ー 1πEは、後述する長期乗数

行列と同ーのものであり、その推定値は付表ト10に示される通りである。

-78・

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表 2-2 l持導形:先決内生変数の係数行列 {<7I =(I-A)-'B}

UKSMQ JP0h.fαhXIQ X3 ASCON AMSYP AQML ASNSH ASXOTS

UKSMQ 0.4767 O.αX幻 O.α)):コ O.α)):コ O.αXXl O.α:x:o JPMMN Q O. αχ沿 0.3571 o.α:x:o O.α:x:o O.α)):コ O.α:x:o o.α:x:o ASCO a α:x:o O.αxゎ O. 7525 O.αXXl O.αXXl O.α:x:o O.αXXl

AMSYP 0.0189 o.∞ヲl O.αXXl 0.5217 O.∞22 0.0254 O.α:x:o ASQN ML 3.2653 1.5763 O.αxゎ 1.4α刃 0.3861 4.37町 O.αX幻

ASNSH →-0.2830 ー0.1162 O.α:x:o 0.3309 O.α:x:o 0.6810 O.α:x:o ASXOTS 之7886 1. 2192 -0.7525 1.4α刃 0.3861 4.3790 O.α:x:o

JNUXhXhfMLfLCLQ OQ N O.α:x:o o.αXlO O.αXXl O.αX氾 O.αxx) O.αXXl O.αxx)

O.αXXl O.αXlO O.αXlO O.α:x:o a αX幻 O.αXXl O.α:x:o O.αXlO O.αX幻 O.αxx) O.αXXl a αxx) O.α)):コ O.αX幻

NMTPRO o.α:x:o O.αX泊 O.αlOO o.αXXl O.α:x:o O.αxx) O.区以3

NQz ML O.α:x:o o.αX氾 o.αxx) o.αXlO o.αXXl O.αヌXJ O.α:x:o NZNSHP o.α:x:o a αm O.α)):コ o.αX氾 a α)XJ O.αXXJ O.αXJO

NSXOTS a αXlO o.αX氾 O.αxx) O.αXXl O.αxx) O.αxx) O.α:x:o

UXMLQ JXMLQ N加U.CON NMTPRo NQ~lL NZNSHP NSXOTS UKSMQ O.αχ。 O.αXlO O.αxx) o α::0コ O.αxx) 。‘αヱEコ O.α)):コ

JPM?¥iQ O.αχゎ o.αXlO O.α)):コ O.α:x:o O.αXXl O.αx:o O.αm

ASCON o.α:x:o O.αX泊 O.α:x:o O.α:x:o O.αXXl O.αx:o O.αXXl

AMSYP O.αXXJ o.αX氾 o.O:X:O O.α)XJ 0.0立刀 O.αxゎ O αχロ

AAQShh-fSL H O.αxゎ O.αm o.α:x:o O.αXJO O.αxx) a α:co O.αヱ泊

O.αxロ O. αXXl O.α:x:o a αXJO a αxxコ O.cr.:oコ O.αX1J

ASXOTS O.α:x:o O.α:x:o a αXXl O.αXJO O.α:x:o O.αXXJ O.α工Xコ

NUJXMXιh仏LfCLQXQ コNO. 1075 0.0:00 O.α)):コ O.α:x:o O.αXXl o.αχゎ O. o:x泊

O.α:x:o 0.3517 O.α:x:o O.αXJO O.αXJO O.αxf.) O.α:x:o -0.岱泊l -0.αXJ3 O.αXXl -0.3-122 -0.αコ22 0.00:氾 O.O:X:O

NMTPRO O.αXJI O.αXJ.I O.α:x:o 0.37~7 O.∞2 .. 0.0:立XJ 0.0:0::1

NNQZNMSL HP 0.0133 O.04~8 O.α:x:o O.αXXl 0.2852 。‘∞53 O.αXXl

-2. 8635 -2. 0480 O.αxx) O.α::x:o 0.0:00 O.αXfJ O.αXfJ

NSXOTS -O.C刷 l -0.3165 O.αxゎ 0.3422 0.2374 O.αコ53 O. o:x刃

表 2-3 誘導形:外生変数の係数行列 {r..=(l-A)-IC}

(定量項〉 ul包MPIコ UKYo JMPO JGr-."F勺 AMRPo UKSMQ ヲ.6189 -24.7316 0.8216 O.αxo O.は:00 O.α::00

2之 5晶39 O.α:00 O.α:x:o -11. 0394 0.5564 O.αXJO ASCO 223.9200 O.αxロ O.α;00 O.αXJO O.α::00 -770.由30AM.SYP -27.6464 -0.3168 0.0105 5.54:)6 O.∞38 3乙 1992

AAQSNhE SH -281.1471 -54.6818 1.8173 -1.6486 0.6486 29.臼41

70.3274 O.α:00 O.αxx) O.αXJ.コ O.α:x:o O.α::x:o ASXOTS -537.4虫刃 -29.9562 O.99~ 3.3筑渇 0.0拍 2 799.6771

uINXxhEEhEEdC,Q lQ-N 148.8850 O.αXlO 11.02H O.αm O.α::00 O.αXJO

1. 1849 O.αXlO O.αmコ『 O.αm 0.9158 O.αXXl 37.9635 O.α:x:o -0.0105 O.α:x:o -0.αX刃 。。αxぉ

Nl¥1TPRO 78.3952 O.α:x:o 0.0115 O.αXJO O.∞10 O.αχ幻

NQZNEVESEfP -日.旧20 O.出お 1. 3659 O.α:x:o 0.113-4 O.α:x:o

NZNSHP _ 47487.16ぽ3 O.αXJO 35.3792 O.α:XXJ 2. 9381 O.αm NSXOTS -137.9314 O.OC回 -9.6510 O.α:XXJ -0.8015 O.αm

BFRPO AGD同 TIME AWLP UIMPR )IMPR

1JJMEtsh1f3 Q O.α:XXJ O.α:x:o O.αX泊 D.α:x:o O.αm D.αロコO.氏丈均 D.α:x:o O.α:x:o O.α:x:o O.民間コ 臥は以3

ASCO 234.60ぬ 0.0731 O.はは3 O.αXXl O.αm a αm AMSYP O.α:x:o a α:x:o 0.9837 O.αX氾 O.αm a 民主ロ

AAQSIhtE sH O.α:x:o a α:x:o O.引高岳 O.αXXl O.αm O.αXJO O.αX氾 O.αXlO O.αm -0.1575 O.α:x:o O.αxo

ASXOTS -234.8030 -0.亭0731 0.9056 O.αXJO a αxゎ O.α:x:o

uJNXxhhfhL位江c,,QoQ rf

O.αXXl O.氏以3 O.α:x:o O.αXJO -0.0116 O.αXJO O.αm 。亭α丈白 O.はm O.αXJO O.αX氾 -0.0724 O.αXJO O.αロ3 -0.4226 O.αxx) -0.α)81 -0.∞24

NMTPRO O.αm 0.00:0 0.4628 O.αXJO O.は渇9 O.∞26

TNtZQN恥ESLEfP O.αm O.α以3 O.α:x:o O.αxx) -0.∞14 -0.α問a民ロコ O.αm O.αm O.αXJO -0.田 73 -0.2321

NSXOTS O.αm O.αXJO 0.4226 O.は足。 0.0183 O.白57

NZMTPS: NPKPRO NBFPRO MMINP NZGNPO

UKSMQ O.αm O.αm O.α:x:o O.α:x:o O.α::0:コ

JPMMS O.α:x:o a αm O.α:x:o O.αXJO O.は:00

ASCO O.α以3 O.民主白 O.α弐わ O.は定。 a α:x:o AMSYP O.αX均 O.αX泊 O.α:x:o O.α:00 a αxx)

AAQSN恥ESH, O.α:00 O.ぽロヨ O.αXJO O.αXJO a α:x:o O.αロコ O.αxx) O.αxx) O.αXXl a α:x:o

ASXOTS a αm O.αm O.αxゎ a α:x:o O.α:x:o

UJNX島XM征M,LCLQiQ N

O.αロ3 。‘氏以〉 O.α:x:o O.αX泊 。司αXむO.αXXJ O.民主口 a αm O.αXXl a はX氾

-0.2946 O.但 52 0.3430 O.α弐XJ 0.4641

NMTPRO 0.3226. a αm O.αX泊 0.αXJO O.αXJO

NNQZNbES, EE a αm O.αxx) O.はXXJ a α:x:xコ O.αX泊

“.4098 O.αxx) O.α:x:o 48Q. 69日 O.αX氾

NSXOTS 0. 2946 -0.理由 -0.3-4叩 O.αX氾 -0.4641

-19“

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{4 ) 動学的安定性と固有値

ここで内生変教の長期均葡値(上記(7)式の右辺第 l項)からの希離成分 y( t)のシ

ステマティックな動きは、前述の園有値のうちドミナントな固有値(つまり絶対

値が最大の固有担)の大きさと符号に依存して決定される。もし最大固有値の絶

対値が 1より小さいならば、システムは安定性を有し、さらにもしそれが、正の実

数ならば均衡値に(大きい方から)単調に収束する。もしそれが負の実数ならば、

均街値の回りに上下しながら振動しつつ収束する。

また、最大固有値の絶対値が iより大きいならぽ、システムは安定性を持たない。

その際、それが正の実数値であるならば、均衡値から単調に尭散していき、もし、

負の実数ならぽ、均衛値の回りに掻動しながら発散する。

他方、もし最大固有値が複素数ならば周期的変動を示し、その絶対値が lより小

さいならば、均衡値の回りに語表的周期変動を示しつつ収束する。 またそれが捜

索散で、かっその絶対値が 1より大きいならぽ、均衡値の回りに拡大的周期変動を

示しつつ尭散していくことが導かれる。ここで最大固有値が嶺素散の場合、その

絶対値は周期変動成分の振幅を示し、その周期は、その複素数の実部と虚部とを

用いて、次のように導出されうる。もし複素固有根 (a::tb'I;a,bは実数、 iは虚

数単位)が得られれば、

周期 r= 2π/tan ・1(b / a)

振幅 s=.J(a2+b2)

• (2-8)

誘導形方程式におけるラグ付き内生変教の係数行列 π1の固有棋は表ト4に示さ

れる通りであるが、 この表から最大固有値は正の実数で 0.75666である。これは l

より小さい絶対値を持つのでごのモデルは全体として安定性をもっていることが

知られる。またシステムの動きは、長期均衡値からの希離成分が毎年 4分の 3( 75

X)に縮小していくような形で、 (大きい方から)単調に均葡値へ収束していく変

動で特徴づけられることがわかる。

国に表 2-4に示された固有棋は一対の複素根 O.4l607::t O. 073175・iを含んでいる。

とれは、その絶対値が最大ではないので、全体の変動に顕在化はしないけれども、

-80・

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、‘,,担性特の

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7

7

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nun-aaaaaτA晶司ω"InHMnHuqun4AHV1aqu

誘00000000000000

rt

、根有国,A2

q晶表

語表的周期変動成分が一部に含まれることを示唆している。 この成分変動に

lト 8)式を適用すると、 こ の潜在的な誠嚢的周期変動成分の周期は 1B. 045年(周浪

数0,055415サイクル/年)であり、その掻幅は 0.42244で あ る こ と が 導 か れ る 。従

ってこの陰伏的な周期変動成分は 18年 で 1回転する(つまり l年 で 0.0554回転する)

ような変動であり、 またその振幅は毎年 42.aに縮小していくことがわかる。

以上で本稿のモデルが動学的安定性を持つことが示された。従って以下でシミ

ュレ ー シ ョ ン分析や動学乗数分析を試みることが方法論的に正当化されたことに

なり、意味をもってくる。

註(3 )推定されたモデルに陰伏的に含まれる減産的周期変動成分は次式で示さ

れる,

y(t)= {0.41607:tO.0731?5・ i} t

= {(O. 42244) (cos9. 97・:t i'sin9.97・)} t

= (0.42244) t (cos9. 97・.t :t i'sin9t97'.t)

第五節 シミュレーション分析

以下の分析のために、本節ではこれまでの推定結果を用いて本稿で想定された

モデル がい かに良く現実の動きを再現するかに関して若干のバリデーション(事

後予調)を行なう。 ま た そ の 結 果 に基づいて標本期間外のプレディクション(事

前予測)を行 なうこととする。なお 、 こ れ ら の シ ミ ュ レ ー シ ヨ ン の 計 算 に お いて

は、モデルが 鯨野であることからニュートン法を用いた。前掲図 2-3に示した各変

-81・

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挫のグラフは全てファイナルテスト(すなわち、構造方程式の右辺に表われる諸

費散のうち、ラグ付き内生変数の初期値と外生変数とにだ付観察値を与え、他の

全ての変数には推定値を代入して、従属内生変数を計算する最も厳しいテスト)

の結果を使用している。

( 1 ) 事後予測(バリデーション)

サンプル期間内の事後予欄によるバリデーシヨンの方法については、パラメト

リヅクな方法とノンパラメトリックな方法とがある。前者は予測誤差の系列に種

々の統計的加工を加えて検定{直を導出するものであり、その代表的なものにタイ

ルの不一致係数、残差平方和、重相関係数など数多くある。後者には、その代表

的なものとして、いわゆる転換点誤差検定 (tbe turning point error test)があ

るが、本稿ではこれについて言及はしていない。

またタイルの不一致係数にも 3種類あるが、ここではその第 1種の統計量 UIを用

いており次式で示される。

Jf五広三)'勺EF+JZZ7 〈山

これは Oとlとの聞に分布し、。に近いほど推定値系列が観察値系列をより良〈再現

しているごとを示す。

その他のバリデーションテストの結果は表 2-5に示す通りである。

なお、推定値系列と観寮値系列との平均 2乗誤差は患っかの異なった形に分解さ

れうるが、 ここではその中の代表的な 2つを示しておこう。つまり第 lの分解法は、

主主??a-YhO-FM吋,-Si,)I-j・ 2(1-机"1"........................... (2-10)

ここで 子=よ五y"y=よ£Ys1. I圃 1. 1・1

Sy=.j持10aJysr=J詰(y,-y,)'

一宇iJ(y,-y,) (y,-y,) t,..1

r = Sy Sy

-82・

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上式に基づいて分解し、両辺を左辺の式で除し、右辺の各項を比率として計算

するものである@それ故、第 l項から順に、偏りによる誤差部分、分散の違いによ

る誤差部分、共分散項に由来する誤差部分と解釈されうるが、当然、ながらこれら

の和は lとなる。 この分解法に従う場合、理想的な結果は、第 l項と第 2項が 0に近

〈、第 3項が lに近い値を示すと同時に、 タイルの不一致係数 Ulを最小にするよう

な状況ということになる。

また平均 2乗誤差の第 2の分解法は次式に基づいている。

辛iJ(YI-YI)f=(Y1_Y1)'+(S合一rSy)"+ (1一戸)Sr'………・…・….....・H ・.(2-11) J. 1=1

ここで、右辺第 l項は前式(10)と同ーである。 この式において両辺を左辺の式 (

平均 2乗誤差)で除して樟準化したのち、右辺の各項を計算したのが、表 2-5に示

す分解法②である(第 11賓は、①の分解法の場合と同ーであるので省時し、第 2項

と第 3項のみ示している)。ここで、第 l項から願に、平均値の遭いによる誤差部

分、推定値系列に対する観察値系列の回帰係数が lから需離していることによる誤

差部分、残差項による誤差部分を示すものと解釈でき、 当然のことながらこれら

の和は lとなる。 この分解法に従う場合、理想的なモデルは、第 l項と第 2項が 0に

近く、第 3項が 1に近い値を示すと同時に、タイルの不一致係数 Ulを最小にするよ

うな結果を示すことになる。

表2・5に示される種々のバリデーションの結果を総合的にみる限り、本稿のモデ

ルは多くの改善の余地を含んでいるが、少なくとも標本期間内に関しては、かな

り良好な再現性をもっていることが知られる。

この事情は、前掲圏 2-3からも確認することができる。この図では、 (煩雑を避

吋るため、パーシャルテスト、 トータルテストのグラフを省略して)ファイナル

テストによる推定値と観察値とをプロットしたものであるが、全体として観察値

の動きを極めてよくフォローしていることがわかる.ただ、恒等式で説明された

内生変数、つまり非主要市場への羊肉輸出量だ吋は、余りあてはまりが良〈ない。

ζれほ、他の内生変数の推定式にお付る誤差項が、恒等式を通じてこの変散に累

噴きれるからである。この点は多くの計量分析で既によ〈知られた事実である。

-83・

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(2 ) 事前予測(プレディクション)

以上のバリデーシヨンの結果から、 このモデルは以下の分析に十分耐えるだけ

の再現性を有していることが知られる。それ故、 このモデルを用いて若干の事前

予測を行なった結果を以下に示しておこう。(表 2-6)。

まずこの予測に当たって次のように外生変教をコントロールした。(i )イギリス

の実質 GNPの成長率を 3%、(i i )日本の実質 GNPの成長率をは、(i i i )他の全ての外生

変数を 1980年のレベルに固定した場合の条件付き予測であることに注意を要する。

(l) 以上の想定の下で、市場構造が予測期間中(1980-1990年)に変化し

なかった場合、オーストラリアの羊飼養頭数は、 1 9 8 1年まで誠少した後、

上昇に転じ、 19 80年の 12 8百万頭から 199 0年の 14 3百万頭へと 11,aのよ昇

が見込まれる。他方、ニュージーランドの羊飼養頭数は、 1 9 8 1年に若干

誠少した後、上昇するが、それ以後は極めて安定的に推移していくこと

が示される。

(2 ) また羊肉生産量については、オーストラリアでは、 1S 8 3年まで減少し、

それ以降は増加に転ずることがわかる。 1980年の 462千トンから 1990年に

は 502千トンへと 8,65Xの増加が見込まれる。他方、ニュージーランドで

も、 19 82年まで減少傾向がみられ、それ以降は極めて安定的に増加して

いくことが示されている。

( 3 ) 圏内羊肉価格については、オーストラリアでは、比較的種やかな車で

上昇していくことが示されており、 1キログラム当たり 1980年の 56,5セン

トから 1990年の 80,1セントへと約 40"上昇することになる。 またニュージ

ーランドでは、羊肉価格は 1984年まで減少したのち上昇に転ずる。しか

しここでは次のことに在意しなければならない。 この価梧系列は消費者

物価や農家購入肥飼料価格等で実質化されているが、この際に用いた各

指数のウエイトが予欄期間で必ずしも適切に調盤されているとは隈らな

いために、これらの長期にわたる予澗値は余り信頼できないということ

である。またこうした事情は予測期聞が長くなればなる程、その不確か

さを増すことになるため、結果の解釈には極めて慎重でなければならな

い。

-84・

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相関係散

平均二乗鼠盤の平方根

平均絶対値観盤

平均 四 抱

推定値系列に対する観務値系列の回帰係致

TllEILの不一致係叡

偏りによる

平 の眼差部分

均分 分散の遣いエ解 による鼠差

.① 部分鼠

共分散羽に盤 由来する鼠

差部分

{~戸叩鍾a 分艶よ僧脚保閥盤

平の からの事絢分 による鼠ニ解 部分

景@ 量分歓に

E る鼠盤邸

相関係散

平均二景観盤の平方tl

平均絶対値眼差

平均眼差

権定値系列に対する観察値系列の回帰保散

THEILの不一致保散

f鼠偏りによる

平の盤部分

均分 分駐の違い二解 による民盤!Il① 郁分民

共分舷.t.nに盤由来する鼠差節分

回帰係散の

11 らの準均分 自量による鼠

ニ限眠

@ 解 盤部分

喪盤分般による眠盤餌分

表 2-5 シミュレーシ,ン (7Tイナルテ九ト〉結果のパ Pデーシ,ン〈羊肉そデル〉

UKSMQ

0.7α)6

6.622

5. 756

-0. 6962X 10-1

1.0

0.1697

O. 1112X 10-12

0.1760

0.8240

O. 3588X 10-1<

1.0

0.7759

見 13

19.62

-0. 1017X 10-<

1.0

0.05719

O. I14X ¥0-13

O. 1262

0.8738

0.3173X¥O-14

1.0

オ ー昆 ト ' リ 7 ・-<t"プ""ヂル

]PMMQ ASCON AMSYP AQML ASNSH ASXOTS

0.875 0.944 0.8443 0.8975 0.9411 0.4-476

13.20 出'.38 9.493 49.H 4.682 57.61

10.91 24.35 7. 123 36.34 3. 701 42.54 -0. 1126x 10-1 -0. I09X 10-< 0.6812X 10- O. 436x 10-1 0.1453X10-1 O. 1526x 10-(

1.0 1.0 0.9991 1.0 1.0 0.4274

0.1415 0.03617 0.1391 0.009畠5 0.01562 O. IB2B

0.17田 XIO-ll O. 12B7X 10-11 O. 5149X 10-14 O. 7682X 10-14 O. B862X IO-u O. 7016X 10-12

O.白 669 0.02関2 O.団 361 0.054 0.0説)35 O.α)1937

0.9333 0.9712 0.9164 0.946 0.9697 0.9981

。.3347X 10-1< O. 2563 X 10-u O. 206X JO-s O. 1576X ¥0-" O. 1544X 10何日 0.3103

1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 0.6897

ュ ージー予 γ ド・+プ号デル

]XMLQ I NMLCON I NMTPRO I NQ叫 1 NZNSHP I NSXOTS

O. 76回 0.7曲 3

15.52 6.922

1 2.~ 5.242

→ O. 1499X \O-~ -0. 7266X 10-1

1.0 O. 7228

O. 1445 0.03203

O. 932BX ¥0-1< 。1I02X10-11

O. 1325 O. 705x ¥O-l

0.8675 0.9993

0.1911 X 10・H 0.129

1.0 0.871

-85・

0.6871 0.9287 0.7147

6.676 15.71 3, 739

5.301 13.38 3,3日O. 1453 X ¥0-1 。1.17Hx 10-< O. 1302x 10-1

l.∞l 1.0 1.0

0.02126 0.0154

O. 4738x 10-日 O. 1232X 10-11 O. 1213x 10-12

O.白 057 0.03695 0.1664

0.9394 0.963 0.8336

O. 21HX 10-5 0.3171 X ¥O-It 0.3311 X 10-11

1.0 1.0 1.0

--~ーー..・』 ・副・』唱晶-・・4・副・-・4・』品4・..‘ー"晶4・・・.-晶-~ ・ーー・4司-・4・,-・・ー..一~咽圃圃圃圃圃圃圃圃・・・,-一一E・E・-

0.7427

43. 59

28.44

O. 3170X 10-1

0.8178

0.19.国

O. 5288X 10-12

0.01772

0.9823

O.田 757

0.9424

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表 2-6 事前予測としてのシミュレーシ冒ン結果(主要なもののみ〉

UKSMQ JPMMQ ASCON AlvISYP AQML 1978 4.64271 81. 5924 237.034 42.0989 493.395 1979 5.97244 73.5291 250.663 50.8726 474. 146 1980 6.92849 71. 8458 304.408 56.5294 462.584 1981 7.38424 71. 2447 344.849 60.5499 438.924 1982 7.60149 71. 0301 375.279 63.6762 424.598 1983 7.70505 70.9534 398. 177 66.2804 421. 108 1984 7.75442 70.9260 415.406 68.5706 425.521 1985 7.77795 70.9162 428.371 70.6714 434.828 1986 7.78917 70.9127 438. 126 72.6590 446.859 1987 7. 79451 70.9115 445.466 74.5806 460.256 1988 7.79706 70.9110 450.989 76.4650 474.239 1989 7. 79828 70.9109 455. 145 78.3291 488.397 1990 7. 79886 70.9108 458.273 80. 1830 502.537

ASNSH UX~1LQ JX?>.ILQ NMLCO~ N?¥'lTPRO 1978 134.612 203.883 33.9323 88.7244 171. 868 1979 132.810 196.116 38.8658 98.5131 175.483 1930 128.709 186. 705 20.5756 106. 778 171.977 1981 127. 713 185. 693 18.8726 120. 182 163.299 1982 128.306 185.58~ 23.4144 124. 732 158.317 1983 129. 700 185.573 30.4725 126.025 156.901 1984 131. 504 185.572 38.7116 126.091 156.829 1985 133.474 185.511 47.6621 125.693 157.264 1986 135.505 185.511 51. 1684 125. 122 157.890 1987 137.543 185.571 61. 1892 124.485 158.587 1988 139.566 185.571 71.1252 123.824 159.311 1989 141. 566 185.511 88.7931 123.154 160.045 1990 143.545 185.571 100.416 122.48J 160.183

NQ~IL NZNSHP 1978 513.999 63840.6 1979 549.907 64699.8 1930 554.852 66021. 6 1981 538. 745 65641. 7 1982 532. 143 66276.4 1983 533.614 66276.4 L担 4 534.034 66276.4 1985 534. 154 66276.4 1986 534. 188 66276.4 1987 534. 198 66276.4 1988 534.201 66276.4 1989 534.201 66276.4 1990 534.202 66276.4

-86・

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(4 ) 圏内消費需要の動きについては、オーストラリアでは、コンスタント

な上昇傾向がみられるのに対して、ニュージーランドでは、 1984年まで

上昇するが、それ以降は減少に転ずることが示される。

( 5 ) 主要市場への羊輸出量の動きについては、オーストラリアでは、イギ

リスへの輸出量は僅かに増加し、 日本への輸出量は僅かに減少すること

が示されるのに対して、ニュージーランドでは逆にイギリスへの輸出量

が僅かに減少し、日本への輸出量が大幅に増加することが示される.

以上、サンプル期間外の予欄結果の概略を示したが、前述した如く本稿ではこ

の結果に余り大きな意味を持たす意図はない。 というのは、モデルがいかに良野

に作られていても、外生変数にたいする(予測期間中)の想定値に何を詰定する

かにより、結果は大きく左右されるからである。 また、その場合、予潤期間中の

外生変数の適当な値を厳密に予想することは、適当な想定の下で内生変数の動き

を予欄する作業と大して変わらない位に、困難だからである@ またこうした事情

は外生変数の教が多けれぽ多いほど、 この傾向を増してくるために、外生変教の

教が比較的少なくて、その傾向的な動きがかなり精確に想定しうる場合以外には、

事前予掴は非常に難しく、その信頼性も低いといわざるを得ない。

本稿のモデルでは外生変数の数が比較的多いために、 こうした方法よりは、動

学乗数分析の手法により、各外生変数毎の陣界的な効果を(時間の経過と対応さ

せて)槙討していく方法が妥当であると思われる。

第六節 動学乗数分析

本節では、推定されたモデルを用いて、動学乗数分析を試みよう。全体の関数

関係を轄形に限定して来たので、近似を用いることなく解析的に動学乗数分析を

適用することができる。第 4節で展開した最終形の推定結果を用いて各種の動学乗

教が導出される.そのうちの 2つ、つまり短期衝撃乗数 (the short run Ilpact

lultiplier)と長期乗数については既に言及したe 本節では、 これらについてより

一般的な説明を加えておこう。

誘導形の式 (2-6)において、タイムラグを 1期ずらすと

Y (t-l) = π 1 ・y (t・2)+ π 2 ・Z (t-l) + U (t-1) ...…... .... ....・・・・ (2-6)'

ζれをもとの式(2 -6 )に代入して

-87・

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(t) =π1 {π1・Y(t-2) +π2・Z{t-l)+U(t-l)} +πE・Z{t)+U(t)

=π12. Y (t-2) +π1π2・Z (1-1) +π2・Z (t) +π2・U(t-l)+U{t}

D操作を s固くり返して

(t) =πIP ¥ ,Y (t-s-l) + ~ π111(2'Z (t-1) +~ πい・ U (t-1) …・・・ (2-12)I:D I=D

この式において安定条件を考慮する。前述した如〈安定条件は、係数行列 π1の

大固有根の絶対置が lより小さいということであり、このことは書いかえれば、

刊πI5 + 1が sが大きくなるにつれて、限りなくゼロ行列に近づくということで

る。つまり

lim πI ~ + 1 = 0 s →∞

(2-12)式にこの条件を適用すると次式が得られる

co co Y (t) = ~ π 11 π 2 ・Z (t-}) +~ π 1 ; ・U (t-}) ・・・… ... … … (2-13)

1=0 }=o

この (2-13)式の右辺の第 l項 {Z{t-llの係数}の継続的な成分項から、各種の

学乗教の定義式が得られる。つまりこれらの項はタイムラグ lの値 0,1.2.3,'"

高じて、 π2 Jπ1π2, π1 2π2 .π1 3π2.……となる。これらの行列は、外生変散

l単位の変化が、同期またはそれに引き続〈時期において内生変教に及ぼす影響

示すものであり、短期衝撃乗数(1 = 0の時つまり π2)および各期 (1=1, 2.……)

お付る時差乗数行列 D(l) tthe delay multiplier matriIJと呼ばれる。つまり

a Y (t) (1) = =π11π2 (1=0.1,2,.....・ , ∞ ) … …… … ・・・… (2-14)

d Z (t-1)

またこれらをタイムラグ 1= 0の時点から各期までの累積値の形で示したもの、つ

り π 2 , π 2+ π 1 π h π 2 + π 1 π 2+ π 12 π 2 , ・.....・ , (1 + π 1+ π 12+ …・・・ +

1 1 -1 ) 1t 2は各期における累積乗敏行列 C(1) (the cUl!ulative Ilultiplier lIatr

[)と言われ、その極限収束値{ ( 1ー πI)・ 1π2}は、長期乗数行列と呼ぼれる.

lまり

C (1)= l:D (5)= L π1 s πE (1=0.1.2,...,∞)……... ... (2-15) 5=0 5=0

前述の知くこれはシステムが曲学的安定性を有する時のみ存在し、意味を持つ

-86・

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とになる。本稿のモデルがこの動学的安定性粂件を満たしていることは既に第

|で確認された。これらの動学乗数行列の推定結果は、付表 2-4、2-6、トs(時

乗数行列)および付表 2-5、2-7、2-9 (累積乗数行列)に示されている。

以上の記述からも分るように、動学乗敢行列の各数値は、関連する変数の単位

取り方に依存してその値を費える。そこで愛散の単位の取り方から影響されな

独立な尺度で示すことが必要となり、その為にこれを弾力性のタームで示す方

が用いられる。ごれが動学的弾力性行列 (thedynamic elasticity matrixlと

ばれるものであり、時差乗数行列からは時差弾力性が導かれ、 また累積乗数行

からは動学的全弾力性 (thedynamic total elasticity matrIl)が導びかれる。

まり

εd{l} = D(I)事

z (t J εe{l) = C(l}章一一

Y (t r

(l = 0 I ・・・・・・,∞)

この動学的全弾力性行列の推定結果を示したのが表ト?である。以下、これから

出される帰結を検討しておこう。その際、モデルの聖教の数が多いので、全て

ケースに言及することは膨大な紙数を必要とし容易ではない。従って、各内生

数毎に、主要な外生変数からの効果を選択的に示し、 また同様の理由で、中期

学乗数はタイムラグ 3期までを示し、それ以降を割愛した。

( 1 )主要市場への羊肉輸出量に対する動学乗数効果

( i ) 所得効果

イギリスの GNPUの上昇がオセアニア両国からの羊肉輸入にもたらす効果から検

I していこう。この変化は、オーストラリアからの羊肉輸入を、 その期(タイム

グ0期)において 0.3741上昇させ、タイムラグ l期には追加的に1}.1781(タイム

l グ2期には 0.08491)上昇させるが、以後タイムラグが進むにつれて遇滅的な追

l的効果(時差乗数効果)を示し、長期的には 0.7141の上昇をもたらすことが分

同また同じくイギリスの GNPのuの上昇は、ニュージーランドからの羊肉輸入を、

-89-

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の期(タイムラグ 0期)において O , 343~上昇させ、以降タイムラグが進むにつれ

0,03 n (タイムラグ l期) 0, OOU (タイムラグ 2期)、……と遁滅的な追加的

果を生じ、長期的には、 0,HUだげ上昇させることが知られる。

このように、イギリスの GNPのuの上昇は、ニュージーランドからの羊肉輸入に

してよりもオーストラリアからの羊肉輸入に対しての方が、大きな所得効果を

すことが知られる。その効果の動学的な披及のパターンは、 ともに逓滅的な時

乗数効果を示し、互いに類似していることがわかる(図ト4)。

他方、日本の実質 GNPが1%上昇した場合には、オーストラリアからの羊肉輸入は、

の期において 0,9344%上昇し、次期(タイムラグ 1期)には 0,3337%上昇する。以

遇誠的な追加効果を示しつつ、長期的には、累積して1.030iの上昇をもたら

ーまた、ニュージーランドからの羊肉輸入に対しては、 当期において、1.2152

二昇させ、次期には追加的に 0,439U上昇させる。それ以降も、遇滅的な時差乗

効果を示し、長期的には、累積して1.90381の上昇をもたらすことが知られる。

このように、 日本の実質GNPのけの上昇は、オーストラリアからの羊肉輸入に対

てよりもニュージーランドからの羊肉輸入に対しての方が大きな所得効果を生

ることがわかる(国 2-5 )。

また、上述のいずれの場合にも、その長期的な効果の捜及パターンは類似して

り、逓滅的な時差乗数を示しているが、各期を通じて、オセアニア両国の羊肉

出に対して日本からの所得効果の方が、イギリスからの所得効果よりもはるか

大きいことを示している。このことは、今後、国民所得の上昇にともなって、

来、伝統的に最大の貿易相手国であったイギリスに代わって日本市場の重要性

増してい〈であろうことを類推させる。

(i i ) 価格効果

オーストラリアからイギリスヘ輸出される羊肉の輸入価格が u上昇した場合、

肉輸入量は、その期において 0,H lS減少し、 また次期(タイムラグ l期)には追

的に 0.2106目減少する。以降タイムラグが進むにつれて漸滅的な追加的効果を生

、長期的には、果積的に 0,8441自の減少を生じる.またニュージーランドからイ

リスへ輸出される羊肉の輸入価格が 11上昇した場合、羊肉輸入量は、その期に

-90・

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国 2-4 英国の国民所得が 1%上昇した場合〈黒鼠東散効果〉

(%) 1.0

0.5

オーストラリアからイギー ~.-::?ノリスへの・羊 I:~愉入量~(O.1U5)

(O.38Ul

(0.3BC4) (0.沼U)

J

・らま

か入

翰ン内

-7下

一の

一ス

エギR

M制「

10.34お}

10.情。II

国2・5 日;本の巴畏所i専が 1%上昇した場合

(累積県佐効果〉

5

• 0

。[!Ol持,¥ {U踊 1 (0.0詩的 (0.01121

1 2 3 co

-91・

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いて 0.0262目減少する。 また次期以降には、 O.0028~ (タイムラグ l期)、 O.000

{タイムラグ 2期)と栴滅的な追加的効果を示すが、タイムラグ 3期以降には時

乗数効果は消誠し、長期的には累積して 0.029U減少することが知られる。この

うに、イギリスとオセアニア両国との聞の羊肉輸入に関する限り、その価格効

は、オーストラリアからの羊肉輸入の場合の方が、ニュージーランドからの羊

輸入の場合よりも大きいことが知られる。

他方、オーストラリアから日本へ輸出される羊肉の輸入価格が u上昇した場合、

肉輸入量は、その期において 0.8521目減少し、次期(タイムラグ 1期)には追加

に、 O.304Hの減少をもたらす.以降、南滅的な追加効果を生じつつ、長期的に

累積的に1.3254%誠少させることが知られる.また、ニュージーランドから日本

輸出される羊肉の輪入価格がけ上昇した場合、羊肉輸入は、その期において O.

47目減少し、次期(タイムラグ l期)には 0.2151%の追加的減少をもたらす。それ

障も、逓滅的な追加的効果を生じつつ、長期的には、累積乗数効果として O.93

Bの減少をもたらすことが知られる。

このように、オセアニア両国と日本との聞の羊肉輸入に関する限り、その価格

果は、オーストラリアからの羊肉輸入の場合の方が、ニュージーランドからの

肉輸入の場合よりも大きいことが知られる。

また上記のことから、オーストラリア、ニュージーランドの両国とも、 日本ヘ

羊肉輸出の場合の方がイギリスへの羊肉輸出の場合よりも価格効果が大きいこ

が知られる。これは、羊肉に関しては日本は自由貿易制を採用しているため、

れだけ価棺に対して敏感に反応するのに対して、イギリスは(特にsC加盟後は)

通農業政策の枠の中で輸入量を決めざるを得ないため、価格以外の要素にも大

〈影響されることを反映しているものとみられる。

上述のように、主要市場への羊肉輸出に関しては、所得効果についても、価格

果についても、その動学乗数効果のパターンは類似しており、各期にわたって

滅的な残留効果を生ずることが示される。

(2 ) 羊肉消費需要に対する動学乗数効果

( i 1 価格効果

オーストラリアにおげる羊肉価措が 11上昇した場合、羊肉消費は、その期にお

ー92・

Page 100: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

てO.939目減少し、次期(タイムラグ 1期)には、吏に O.7066~減少する。以降、

属的な追加的効果を生じつつ、長期的には累積的効果として 3.793~1の減少を生

る。同栂にニュージーランドにおいて、羊肉の計画価格が 11上昇した場合、そ

期において、羊肉需要は O.100目減少し、次期(タイムラグ 1期)には、 0.041滅

する。さらにそれ以降にも、構滅的な追加効果が生じ、長期的には累積効果と

て0.16891減少させる。

このように、羊肉消費需要の価格弾力性は、短期、中期、長期のいずれにおい

も、オーストラリアの場合の方が、ニュージーランドの場合よりもはるかに大

い。

( i i ) 交叉価格効果

羊肉と代替関係にある牛肉価格が上昇すれば、牛肉の消費需要が減少して、代

りに羊肉の需要が増える領向がみられる。この間保についての動学景数効果を

討してみよう。オーストラリアにおいて、牛肉価格が 11上昇した場合、羊肉の

費需要量は、その期において 0.S89n上昇し、以降、各タイムラグにわたって補

的な追加的効果を示しつつ、長期的には 2.38Hの上昇をもたらす。また、ニユ

ジーランドにおいて牛肉価措が 11上昇した場合、その期において羊肉消費は O.

3U上昇するが、次期以降への残留効果はなく、その効果は、即時的であること

分かる。

つぎに同じ〈羊肉と代替間保にある豚肉の価格が 11上昇した場合、羊肉消費需

量は、その期において 0.06121上昇するが、次期以降への残留効果はなく、ごの

合も、被及効果は開時的に表われることが分かる.

このように、午肉価格からの交叉効果は、短期的には、オーストラリアよりも

ユージーランドにおいて高いが、長期的には、逆にオーストラリアの方がニユ

ジーランドよりも高くなる。またニュージーランドにおいては、豚肉価格から

交叉効果よりも牛肉価格からの交叉効果の方が大きいことがわかる。このこと

、ニュージーランドにおいて、羊肉は、豚肉よりも牛肉との代替財的関係が強

ことを示している。

(ii i) 所得効果

オーストラリアにお付る国民所得が 1~上昇した場合、その期において、羊肉消

十量は 0.0-(171上昇し、次期(タイムラグ l期)には追加的に 0.03141上昇する.そ

-93-

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れ以降も帯滅的に追加的効果が生じ、長期的には O.l686%の上昇をもたらすことが

示される。他方、ニュージーランドにおげる国民所得が 1,上昇した場合、その期

において、羊肉消費量は 0.48431上昇するが、次期以降への残留効果はなく、その

効果は即時的であることが知られる。このように、羊肉の消費需要に対する所得

効果は、短期的にも長期的にもニュージーランドにおげる方が才一ストラリアに

お吋るよりも高いことが示される。これは、ニュージーランドにおいては、牧羊

が牧牛よりも成長産業であるのに対して、オーストラリアではその逆であるとい

う最近の慣向とも一致している。

(3 ) 羊肉生産量に対する動学乗数効果

( i ) 主要輸出市場への羊肉輸出の際の輸入価格からの間接的効果

主要市場の輸入価格の上昇は、輸入需要を減少させることを通じて圏内生産量

を減少させるという間接的効果をもつが、他方、輸入価梧の上昇が圏内羊肉価格

を上昇させることを通じて羊肉生産量を上昇させることも考えられる。 とこでは

こうした場合の効果について検討しよう。

イギリヌの羊肉輸入価格が 11上昇した場合の効果は、当期(タイムラグ 0期)か

らタイムラグ 1期にかげてマイナスの逓増的な追加的効果を生じるが、タイムラグ

2期以降は遁識的な追加的効果を生じ生産量を減少させる。 しかしタイムラグ 4期

以降には逆にプラスの追加的効果を生じ、長期的には累積して O.02U%の減少効果

をもたらすととが知られる。同様の場合、ニュージーランドの羊肉生産量はタイ

ムラグ 0期から 2期まで逓滅的なマイナスの追加的効果を示すが、 タイムラグ 3期以

障はこの効果(時差乗数効果)は消揺する。そし τ長期的には、累積して 0.0026

5だげ羊肉生産量を減少させることがわかる。

また日本の羊肉輸入価梧が u上昇した場合には、オーストラリアの羊肉生産量

はタイムラグ 0期から 1期まで逓増的なマイナスの追加的効果を生じて減少するが、

タイムラグ 2期以降は逆にプラスの逓増的な追加効果を生じ、その結果、長期的に

は累覆して 0.5498%の上昇をもたらすことがわかる.同様の場合、ニュージーラン

ドの羊肉生産量は逓滅的な負の追加的効果を生じ、長期的には累積して 0・01551誠

ョーすることがわかる(国 2-6 ) 0

このように、主要市場の輪入価格からの間接的効果については、オーストラリ

-94・

Page 102: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

アでは時差乗数効果が(タイムラグが進むにつれて)マイナスからプラスに転じ

ているが、ニュージーランドでは一貫して逓滅的でマイナスの効果を示している。

( i i ) 主要輸出市場における国民所得からの間接的効果

輸出相手国にお付る国民所得の上昇は、輸入需要の増加を通して羊肉の圏内生

産を増加させるごとが考えられる。この場合の効果を検討しておこう。

イギリスの国民所得が 1%上昇した場合、オーストラリアの羊肉生産量は、タイ

ムラグ O期から l期にかけて逓増的な増加効果をもち、以降タイムラグ 2期からは逓

滅的な追加効果を生じて増加する。然し、タイムラグ 4期以降はマイナスの追加効

果を生じ、長期的には累積して 0,0205~だけ上昇することがわかる。同様の場合、

ニュージーランドの羊肉生産量は、タイムラグ 2期まで逓滅的なプラスの追加効果

を生じるが、 それ以降は、マイナスの追加的効果を生じ、畏期的には累積して 1

034Uだけ上昇することがわかる。

このようにこの効果は、即時的にはオーストラリア羊肉生産に対しての方がニ

ュージーランドに対してよりも大きいが、長期的にはニュージーランドに対して

の方が大きいことが知られる。

また日本の国民所得がu上昇した場合には、オーストラリアの羊肉生産量はタ

イムラグ 0期から l期にか吋て逓増的な時差乗数効果を示しているが、タイムラグ

1期以降は逓誠的となり、タイムラグ 4期以降にはマイナスの時差乗数を生じ、長

期的には累積乗数効果として 0.1236%だけ上昇させることが知られる,同様の場合、

ニュージーランドの羊肉生産量は一貫して逓減的な時差乗数効果を生じ、長期的

には累積効果として 0,03191だけ増加させることが知られる。このように日本のG

Hの上昇からの効果は一貫してニュージーランドよりもオーストラリアの羊肉生

産に対して大きいごとがわかる。

また表 2-7から分かるようにオーストラリアの生産量に対する効果については、

日本の国民所得から効果の方がイギリスのそれからの効果よりも大きい。他方、

ニュージーランドの生産量に対する効果については、タイムラグ l期まではイギリ

スからの所得効果の方が日本からのそれよりも大きいが、タイムラグ 2期以降は逆

に日本からの所得効果の方がイギリスからのそれよりも大き〈なることが分かる。

しかし

長期の累積効果としては僅かにイギリスからの効果の方が大きいことにぷ為。

-95-

Page 103: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

図 2-6 日:本の羊肉輸入価格が 1%上昇した場合の動学乗数効果

% 0.50

0.10

0.08

0.06

0.04

0.02

0.00

-0.02

-0.04

-0.06

-0.08

-0.10

オーストラリアの羊肉生

産量への時差来最効果

¥何

3 E

CQ

オーストラリアの羊肉生産

量への累積車数効果

9・(-0.0153) て向。1156)

{タイム・ラグ1

-96・

¥=ュージーランドの羊肉

生産量への累積来最効果

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表 2-7 動学乗数効果〈上側は時差来散.下側指孤内は黒由来敬〉

一¥「ーコ

動学乗散効果

タイム守グ

短期随筆果位

aml 0.9344

(0.9344)

0.3435

(0.3435)

0.1783

(0. 5522)

0.3337

(1. 2凶 1)

0.0369

(0.3田~)

中 期乗

2

o.α~49

(0.6371)

0.1191

(1. 3872)

a ∞40

(0.38~~) 卜;|(ぷ:コ:z〉 l-I)|♂詑) (-). 3254)

|ふ3) ! ( -0. (293)

3

効 I~Y~ ...

呆|ジ

日本の国民所得からの動果jGNPu::;>JXMLQ

自己価格効果

英国の拍入価格からの柑果1JKLM同=日JKSMQ

日本の柚入価格から l の効果 l JMPO::;>JPMMQ

英国の紬入価格から ! の効果 l LlIMPR今UXMLQ 1

日本の拍入価絡から l の効果 1 11 MPR::;>JXMLQ

.州の羊肉価格から | の効果 l AMRPQ=>ASCON I

NZの羊i勾価指からの効果NZMTPS今

NMLCON

1. 2152

(1. 21:52)

-0.1417

(-0. 4417)

-0. 8521

(-0.8521)

E-le--EEl----E・E・Elita--lEtitil--

、‘J

『,.司,.

AUZD

4

4

nunu

nunu --rz、

-0. 59~1

(ー0.5947)

-0.時四

(-0. 93町〉

-0.10-13

(-0. 1043)

O. 7636

(0. 7雌〉

o.儲 12

(0.0612)

一一一一一一」0.0417

(0.凹17) I

0.4843

(0.4自43)

0.~396

(¥. 65..自)

-0.21白

【ー0.6523)

-0.出 42

(ー¥.15日〉

-0.∞28

〈ーO.白 90)

-0. 2151

〈ーO.自国的

-0.7品6

(ー¥.64~)

-0.04

〈ーO.1....3)

0. .....37

(1.出羽) I

0.0

(0.7時的

0.0

(0.0612)

0.0314

(0.回 31)

0.0

(0. 4843)

O. 1589

(1. 8137)

-0.1∞4

〈ー0.7527)

ーO.IC渇7

(ー1.265)

-0. 0777

(-0.国 75)

-0.5317

(-21773)

-0.0152

(ーO.1592)

0.3339

(1. 3672)

0.0

(0.7同時

0.0

(0.白 12)

a白 37

(0.帥ω) I

0.0

(0. 4制 3)

-0.4

(-2.5713) (-3.7悶 4)

.州の牛肉価格からの効果BFR凹::;>ASCON

NZの牛肉価格からの効果NBFPRO:争

NMLCON

NZの豚肉価格からの効果NPKPR~

NMLCON

豪州の国民所得からの効果AGDP::;>ASCON

NZの菌民所得からの始果NZGNPO:>

NMLCON

-0.∞58

(ーO.1653)

0.2512

(1.6184)

(-0.168町

(2.泊 2)

0.0

(0.7臼的 (0.7時的

0.0

伊.白12)

一一」0.0177

(0.1145) I

(0.0612)

(0. 1舗の

0.0

(0. 4843) (0.48"3)

-97・

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表ト7(続き)

¥| 動学)Ie:散効果 短期筒軍最散 中 期 ,民 散 延期衆散

9 イムラ F 。 2 3 C由

オ一O.白 回 -0.0529 -0.0253 -0.0021

価 UのK効L果MPO~AQML (-0.1086) 〈一0.0242)^ (-0.回目〕 (-0.国 12) (-0.1邸時ト

ラ 一入価指由ら| -0.0375 -0.白 ¥6 0.03¥7 O.閣 ι4格 官

JのM効P果O~AQML (0.01田) (0.549日〉7 (-0.田75) (-0.明 J) ( -0.0674)

":';.1 英国の紬入価格から -0.α)17 -0.αX渇 -0.α均l O.αエロ

動 且ド の効果(-0.臨時 〈ーO.∞26)UIMPR~NQML ←O.∞17) (-0.∞25) (-0.∞26)

羊ジ

-0.αX)7 果 -0.∞71 -0.α)56 -0.∞19

肉ヲ J のI動l¥1P果R~NQML (ーO.即 1) ( -0.0127) (-0.0146) くー0.0153) (-0.0156)

生 オ0.0239 0.OH8 0.0214 O.α)18

UのK効Y果o~AQr.位,麗 l所 ^ (0.0239) (0.品87) (0.田01) (臥田¥9) (0.0お5)ト

量 ラ 0.0錫q 0.12曲 0.0516 O.α)33 得

日JのG効N果m今AQML (0. 1236)

に ア (0.品目〉 (0.1自白〉 (0‘2411) (0. 24H)

対 効 :';.1 英国の国民所得から 0.0218 0.0115 O.αX刃 -0.αxゎ

品ド UのK効Y果0=争NQML (0.0218) (0.回お〉 (0.田42) (0.0342) (0.回 41)す

果 ジ

JのG効N果~NQML 0.0146 0.0114 O.α)39 0.0013

ラ (0.0146) (0.回目〉 (0.白骨〉 (0.由 12) (0.回 19)効

果 A掲京W州果I羊P毛~価AQ繕hかEらの I 0.0 -0.1456 -0.1566 -0.1311 そかのら (0.0) (-0.1456) (-0.3022) (-0.4却〉 〈ー0.84国〉

他のNZ計画価格からのの効 0.0 0.0259 O.α:rH O.α)21

外果 効果

生 NZMTPS手NQML (0.0) (0.0259) (0.間的 (0.03:14) 何回日〉

NZ安IのN定効P=帯果〉下限価格位から

0.0 0.0774 0.0221 O.α泌3

MMINP~NQML (0.0) (0.0774) (0.倒的 (0.10日〉 (0. 1閣)

U英のK効国L果のM輸m入今価A格Sから I 0.0 0. 0141 0.01:19 0.0136 l ス NSH (0.0) (0.0141) (0.国X)) (0.白 36) くO.団 45)

羊 ト同 ヲ

0.0 0.06国 0.0677 0.0587 集 F JのM効町果中ASNSH眠 ア (0.的 (0.白血〉 (0. 1280) (0. 1867) く0.37田〕

散,、

:':.1 英国の舗入価格から -0.αx>4 O.αD4 0.0 0.0 -の ,:a.ド

1のJ1効M果PR~NZNSH 効 (-0.氏。。 (0.0) (0.の (0.0) (0. 0) 呆 ジ

日M本効P果のR舗~入N価Z格から -0.α)1晶 O.∞10 O.αD4 O.αX)I ヲ JのIMPR~NZNSHP (-0.∞16) (-0.民間〉 (-0.区間) 〈ーO.ぽ01) (0.町

-98・

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注(4) 羊飼養頭数に対する動学乗鞍効果については以下のとおりである。主要

市場への羊肉輸出の際の輸入価格の上昇は、一方では輸入量を減少させる

ように作用することを通じて、 また他方では羊肉圏内価格を上昇させるよ

うに作用することを通じて、羊飼養頭数に両方向の間接的効果を及ぼす@

その際の効果を検討しておこう。

イギリスの輸入価格が 11上昇した場合、オーストラリアの羊飼養頭数は、

タイムラグ l期以降にプラスの効果を生じ、タイムラグ 2期まで逓増的な効

果を生じるが、それ以降は逓滅的な効果を生じ、長期的には累積して 0.0

845l増加させることが知られる。同樟の場合、ニュージーランドでは、そ

の期において O.OOOUの誠少効果を生じるが、タイムラグ l期には 0.00041

の増加効果を生じ、そのため、タイムラグ 1期以降の累積効果は相殺され

て消誠することがわかる。このようにイギリスの羊肉輸入価格からの間接

的効果は、オーストラリアには長期的に増加効果を生じるが、ニュージー

ランドには長期的には増大効果も減少効果も生じないことが示される。

また日本の羊肉輸入価措が u上昇した場合には、オーストラリアの羊飼

養頭数は、タイムラグ l期以降にプラスの時差葉数効果を生じ、タイムラ

グ2期において極大の効果を生じた佳、逓滅的な効果を示し、長期的には

累積して、 0.3785X増加させることが知られる。同様の場合、ニュージー

ランドの羊飼養頭数は、その期(タイムラグ 0期)において O.OOl6X減少す

るが、 タイムラグ l期にはプラスの時差乗数効果を生じ、 0.0010X増加する。

以降、逓滅的な時差乗数効果を示し、長期的には相殺されてその累積効果

は消滅することが示される.

このように日本の輸入価格からの効果は、長期的には、オーストラリア

の羊飼聾顕教にはプラスの効果を生じるが、ニュージーランドの羊飼養頭

数には、 (短期的には減少効果、中期的には増大効果を生じるが)長期的

には増大効果も減少効果も与えないことがわかる。

第七節 要約と残された課題

前述した如〈本稿のモデルは、オーストラリア、ニュージーランドの農業部門

-99・

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を対象としたより大きなモデルの中から、羊肉に関するサプモデルに焦点をあて、

槙討したものである。なお、主要輸出相手国として選んだイギリス、 日本につい

て、前者は推定期間の後半において急速にその貿易パートナーとしての比重を縮

小して来たのに対して、 f走者は逆にますます重要性をましつつある。また、特に

ここ数年間にお付る中東諸国の台頭も顕著な動きを示している。こうした、流動

的な状況の中でも、本モデルは、サンプル期間内の観察値の動きを極めてよ〈再

現しており、事後予測についてはかなり良好なものといえる。

しかし、いかにモデル自身がうまく出来ていても、事前予測の場合には、予澗

期間にわたって外生変数をいかに設定し、コントロールするかなどの、いわゆる

モデル外部の要素にも大きく依存し、特に前述のように涜動的な国際状況のもと

では、こうした事情は極めて複雑となることは言うまでもないe そこで本稿では、

Zの、いわゆる条件付き予割には余り重点を置かず、むしろ動学乗数分析に重点

を置いて種々の外生的変化の露曹を検討するにとどめた。その詳細は前節の本文

中および詮に示した通りであるが、主な帰結のみを再現すると次のようになろう。

(1 ) 本稿で計調されたモデルは、ー部に周期的変動成分を含んでいるが、顕

在化するには至っていない。またシステムの安定性粂件を満たしている.

(2 ) イギリスの BC加盟(1 9 73年)以降、オーストラリアでは、羊肉生産量、

羊飼養頭数ともに顕著に減少しているのに対して、ニュージーランドでは、

-8、減少した後、羊肉生産量、羊飼養頭数ともに急濫に増加している.

(3 ) イギリスの国民所得の増加は、ニュージーランドからの羊肉輸入よりも

オーストラリアからの羊肉輸入に対して大きな増加効果を与えるのに対し

て、 日本の国民所得上昇は、オーストラリアよりもニュージーランドから

の羊肉輸入に対してより大きな増加効果を与える。さらに、オーストラリ

ア、ニュージーランド両国に対して、日本の国民所得上昇からくる効果の

方が、 イギリスのそれからくる効果よりもはるかに大きい。 このことは、

今後、 ますます、オセアニア両国に対する羊肉輪出市場として、日本の重

要性が増していくであろうことを意味しており、かつてのイギリス市場を

しのいで、輸出相手国としてのシェアを菰大していくものと予想される。

(4) 羊肉の圏内消費需要に関して、その価格弾力性は、オーストラリアの方

がニュージーランドよりもはるかに大きい。また牛肉価格からの交叉価格

-100・

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弾力性については、短期的には、オーストラリアよりもニュージーランド

の方が高いが、長期的には逆にオーストラリアの方がエュージーランドよ

りも高くなる。 またニュージーランドでは、羊肉は、豚肉よりもヰ肉との

間の代替財的関保が強〈表れている。

以上、ごく大まかに帰結の一部を要約したが、 ごの地堀に関するこの様なタイ

プの定量的な分析が余り見られないために、分析的というよりはむしろ多目的な

モデル構築そのものにかなりの重点を置いて、 とりまとめたものである。

さらにとうした幾つかの部門モデルを統合することにより総合的に分析するこ

とが望ましいが、そのどの部門モデルにしても、 日本側の事情を反映させる必要

があり、オセアニア側と日本側との両地域のモデルを結合させることが望ましい

ことは言うまでもない。 しかし、生産、流通、消費の各面において異なるこの 2つ

の地域をただ単純に、同規槙のモデルとして結合させることには、予測されるメ

リットに加えてある程度のデメリットを生ずることも否めない。 また他方では、

大規模な計量モデルの有用性に関して疑問視する傾向も出て来ている。従って、

本稿ではさし当たってオセアニア倒のみのモデル化を試みた。

次に若干の残された課題について述べておこう。既に書及した如〈、モデルを

操作し易くするために、本稿では建つかの制限的な定式化を採用して来た@その

主なものは、最大タイムラグを 1期に隈定したことと定式に当たって韓形性を堅持

したことである。従って、 (i)一部に非綿形関係を導入する、 (ii)必要に応じて 2

期以上のタイムラグを考慮する、 さらに(iii)圏内羊肉価格の式を小売価格と農場

価格(あるいは卸売価格)に分割する、 (i v)羊肉在庫量を輸出量から別個に推定

する、などの点が考えられるが、これらはむしろマイナーな点であり、最終的に

は、 (v)状態空間表現による最適制御系設計へと導くことである。 また第三章(或

lま拙稿(13) )で試みたように、その周期的翠動成分に詮目して、主要輸出市場

の園内羊肉サイクルがいかにオセアニアに据及しているかに閲して時系列解析を

適用することや、 {vi} CllS分析等のマーケザトシェアの観点から接近するととも今

髄に残された課題の一部である。これらについては稿を改めて発表したい。本稿

がこの方面の今後の研究に対して lつの礎石となれぽ幸いである。

-101・

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-102・

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-ID3・

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付表 2-2

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付 表 2-1

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第三章、オーストラリアにお付るビーフサイクルのスベクトル分析

一一ー周期性およびラグ構造の検出を中心として

第一節、分析課題

オーストラリアは概して農業への政府介入の少ない国である。 しかし近年輸出

多角化計画という一種の輸出割当政策が実施され、また輯笹基金計画という一種

の圏内価倍安定化のための握案がなされている e

前者は民間輸出業者が無計画に特定の有利な輸出市場(具体的にはアメリカ市場)

へ牛肉輸出を集中させるのを抑え、将来の潜在的な輸出市場への開拓しようとす

るものである。この下で有利な輸出市場を輸出資格そのものが輸出業者間で売買

され、ごのことが肉牛価格に少なからぬ髭響を与えている。既に、計画の対象市

場となっているアメリ力、カナダに次いで日本もその対象市場に含められようと

している。

またf走者は、例の石油危機以後の輸出不彊による牛肉価惜の大暴落時に大半の

肉牛農家(主にフィードロット方式を採用していた農家)が破産したという悲惨

な経験の産物であり、圏内価格を輸出市場の変動から切り離して安定化させよう

という聾案である。

従来、こうした二つの計画は半政府機関である AMB(オーストラリア食肉委員会)

が担当していたが、最近、 AIHC ('オーストラリア食肉畜産事業団)と改名され、

その所管する領域も畜産部門全体に拡大されている。

またこれらの二つの計画は、ちょうど日本の現行制度、つまり牛肉輸入割当政

策および牛肉価格安定帯政策に対応し、その裏返しとも言うべき政軍に近づきつ

つある。

このように政府介入が増しつつあるという事実から分かる通り、オーストラリ

アにおける牛肉価格変動はもはや放置し得ない段階に来ていると見てよい。

一般に時系列変動は、傾向変動、循環変動、季節変動、不規則変動の四つが複

雑に混ざり合って生じている。経済時系列では傾向変動が強〈現われ、なかでも

農業時系列では、その生産が生物学的現草に依存し気象要因に左右されるため季

節変動が強〈現われる。更に畜産時系列では、特有の慎妊期聞があるため循環変

動が強〈現われる、なかでも牛肉時系列は肉種ごとに生産期聞が異なり、乳牛か

~I09-

Page 117: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

ちの生産もあるため特に複雑な循環変動を示す傾向にある。

従来、こうした農業時系列の循環変動(周期変動)について農つかの分析がな

されて来た.しかしこれらの大半は、時系列の全体的変動、つまり見かけ上の動

きに注目したものであって、それを構成する成分変動の段階にまで立ち入って分

析したものはご〈最近まで殆どない。僅かにアメリカ、カナダにおける分析があ

る程度である。

この両国での分析の要点は次の通りである。アメリカの牛肉市場において(期

間 1SH年 1月--1 S 72年 4月)、

① 屠殺頭数の時系列には 10---11年のサイクルと 3年のサイクルがあり、価格系

列には 3年と l年のサイクルがある。

② 小売価格は卸売価格に約 3週間遅れて対応しており、子牛価楕、成牛価格、

卸売価格は殆ど同時的に変動する@

③ 屠殺頭数と肉牛価指の系列について、長期的周期帯(周期4.351J月以上)で

は殆ど同時的に変動し、短期的周期帯(周期4.35:b月以下)では肉牛価格が屠

殺頭数に約9t月先行している。

またカナダの分析例では(期間 1949年 l月--1972年 4月)、

肉牛価格と屠殺頭数の系列には 10年のサイクルと 60カ月のサイクルとがあり、

60カ月サイクルの変動では肉牛価格が屠殺頭数に 6.14カ月先行している。

次節で説明する如〈、オーストラリアの牛肉生産涜通構造は、これらの国に比

べて未整備であり、極めて裡雑で多槽化されている。

従ってこれらの分析例と直接比較可能な分析結果を導き出すことは困難であろ

うけれども、一応の試論として、次のことを本稿の課題とする。

[i]オーストラリアの牛肉市場において異なった涜通段階での 3つの時系列デ

ータ(牛肉卸売価指MBP、雄壮齢牛価格AOP、屠殺頭数 STN)に明確な周期成

分が観察されるか否か、観察されるとすれぽどの位の周期をもっ成分変動

がドミナントであるか。

[ i i ]この 3つの時系列の各々の組み合わせについて主な成分変動ごとの時間的

先行遅行間保を検出し、関連度、タイムラグの畏さ、披及の仕方について

検討する。

-110・

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[ i i i ]前 述 い i]の結果から、主な周期帯におげる 3つの異なる市場段階の時

系列聞の先行遅行関係を判定し、関連度、タイムラグの長さ、担及の仕方

について検討する。

[ i v ]前述 [i]...... [iii]の結果をアメリカ、カナダでの分析結果と可能な範

圏内で比較検討することにより、主要輸出先でのビーフサイクルがオース

トラリア圏内にどのように反映されているかについて検討する。

なお、分析に先立って第2節でオーストラリアの牛肉生産読通構造を概観し、第

3節で分析手法と資料について略述するa 第4節で前述の諸課題について実証分析

を行い、第 5節で若干の帰結を導出する。

注(l)有利市場への輸出資格の売買を制度化し、 AMLCの管轄でセリ売りする案も

出されている。

( 2 )ごの分析例は「牛肉に閲する国際シンポジウム j (1979年東京開催)で

の報告者 Darrl1 g, Ray氏より入手した資料・情報による(文献[6] )

等。

第二節 オーストラリアにお付る牛肉の生産読通どビーフサイクル

従来の建つかの調査報告によると、オーストラリアでのビーフサイクルは、他

の諸国でのビーフサイクルに比べて極めて不規則な変動をしていることが指摘さ

れている。こうした事情は、オーストラリア特有の牛肉生産流通構造の複雑さに

よるものと思われる。そこで本節では、この様な不規則なビーフサイクルをもた

らしている生産流通構造を概観しておこう。

国3-1に示す通り、牛肉は広大な豪州大陸の幅広い異なった地域で生産され、そ

の生産形態は多種多様であり、その流通経由も多世にわたっている。また豪州大

陸全体が極めて乾燥した土壇であるため、生産条件の年次的変動が余りにも大き

いことが特徴である。

主な肉牛種は英国系のへレフォード、ショートホーン等であるが、日本と遭っ

て乳牛が食肉用に固されることは少なく(主に子牛肉veal用に用いられる)、全

生産量の 15%程度である。またフィードロットによる生産は、最近では殆どみら

れず、全生産量の2%程度にすぎない。残りの大部分は放牧飼養形態で生産される。

ー111-

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:::肉牛脅布

{畠卑d'.O,7却闘を1Jl"t)

2時~ 平均年同時間.(・)

.牛肉幽由工場

出所:文献[5).

国 3-1 肉牛および牛肉柏山工場の分布

-112-

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なお、肉牛専業農家は全肉牛生産者数の 20%にも溝たず、殆どが他の部門との複

合経営である。

オーストラリアにお付る牛閃は次の 4つのタイプの生産形態で生産されている。

つまり、 ①若齢牛の繁殖育成・肥育(一貫経営)、@壮齢牛の繁殖育成・肥育

(一貫経営)、③素牛(痩牛)の繁殖育成・臨売、④素牛の購入・肥育の4形態

である。各々の詳細な説明は後注にゆずるが、これらの諸形態で生産される肉ヰ

は大き〈分げて、(イ)若齢牛 (6-12i1月)、 (ロ)イアリング (yearling、12-1

u月)、 (ハ)桂子牛(steer 、16カ月 -3蕗)、 (ニ)壮齢牛(bullock、3最以上)、

(車)素牛 (store cattles、繁殖育成過程で 1-2農まで飼養し、更に肥育過程で

最高 12il月飼育する)と悶牛だ,tに限っても 5種類あり、これに僅かではあるが、

高齢雌牛(C 0曹)と若齢雌牛 (heiferlが加わる。この様に肉種ごとに飼育期聞が異

なり、各々の生産が固有のサイクルをもって変動しているわけである。 このよ

うに生産形態毎に異なった肉種を生産しており、それぞれの肉種毎に生産期聞が

遭っているということは、オーストラリアのビーフサイクルを考える上で極めて

重要である。一般に牛肉生産のサイクルは、繁殖育成から肥育に至る全飼養期聞

に出荷に関する意志決定期間を加えたものと考えられる。

ここで後者は農家毎あるいは肉種毎にそれほど大きな差はないと思われる。それ

故、との牛肉サイクルを主に決定づげるものは、肉種毎の肥育期間ということに

なるからである。従って、各々の肉種がその肥育期間に対応する一定の周期をも

ったビーフサイクルを形成し、とれらが複雑に握ざり合って全体として不規則な

ビーフサイクルを形成することになるのである。

①の若齢牛の生産形態は気候条件に車、まれたニューサウスウエールズ州やヴィク

トリア州に集中しており、輸出向けの比重の高い肉種を生産する。②壮齢牛およ

び④薫牛肥育の生産形態はクイーンズランド州に多く分布している。また①や②の

生産形態を採っている農家はその若齢肉牛の多〈を圏内消費用に販売する。 揮

して屠殺時の肉牛の年齢が高いもの抵ど、オーストラリア圏内で消費される比率

は低い。従って高齢肉牛の生産者は輸出市場により多〈依存する傾向がみられる。

図3・28はオーストラリアにおける牛肉流通経路を示している。肉牛出荷段階の

4形態のうち、第 1の経路(直接屠畜・委託販売)は生産者が卸売業者や加工業者

を兼ねる場合以外には余り見られず、クイーンズランド州やニューサウスウエール

-113・

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国3-2 a オーストラリアにおける牛肉読通革路

出所:文献 (5).

図 3ー2b アメリカにおける牛肉流通経路

「,E品

消費者|

一一一一一 I=:肉牛の流通ーー一一ーは牛肉の流通

出所:文献 (10).

図.3-2c オーストラリアのビーフサイクJレ

|国内需給め変動|'官、

ー114-

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ズ州で輸出業者による垂直的統合という形で芽生えつつある。

第2、第3の出荷経路は日本でいう相対取引的なもので、主に肉牛輸送経費およ

び屠殺経費を生産者が負担するか買手が負担するかの遣いであり、第2の出荷経路

は北部オーストラリアで屠畜される肉牛の 50%に諜用されている。

しかし現在では、第 4の出荷経路(公開セリ市場)で出荷される肉牛流通が全国

的にみて最も重要であり、北部オーストラリアとは対照的に南部諸州では、大部

分の肉牛がこのセリシステムを通じて販売される。このセリ市場システムを通じ

て販売される肉牛の比車は、ニューサウスウエールズ州 80%、ヴィクトリア州70%、

南オーストラリア州 75%、クイーンズランド州 50%、西オーストラリア州 40%、タ

スマニア州 40%である。

以上の 4つの肉牛出荷経由から販売された枝肉は総て民間ベースで取引きれ、中

央食肉センターを経て、一部は直接に小売市場へ涜れて圏内消費者に届くが、残

りは桂肉解体処理場を経由して輸出市場へと読れる。

他方、図 3-2bはアメリカにおげる牛肉の涜通経路を示している@近代化された

生産形態からごく単純明快なルートを経て消費者まで涜れるという極めて合理的

な涜遁システムを示している。つまりパヅカー(食肉処理業者)が屠畜から解体、

包装まで一貫作業でやってしまうわけで、このルートが全涜通量の 70%を占めて

いる。また全米を通じてほぽ同様の流通システムが貫観しているわげである。

これと比べるとオーストラリアの流通制度は極めて未整備で複雑であることがわ

かる。生産段階から最終消費段階までが多数に分断され、その各々の中間段階ご

とに蔑つもの異なる涜通オプションが併存している。更にその聞に多数の独立の

流通主体が介在しているわ付である。このことはそれだげ垂直的にも水平的にも

変動パターンの自由度が大きいことを意味し、各段階、各流通オプションごとに

異質なビーフサイクルを生じ易いわげである.

このようにオーストラリアの牛肉涜通構造は極めて螺雑で多様化されている。

とこで姐雑というのは、①生産形態における多様性、②従ってその反映でもある

肉種の多様性、③涜通経路におげる多様性という 3重の意味での多樺性を意味して

いる。更に各々の生産形態および涜通経路の相対的ウエイトが各州ごとに異なっ

ているという事実がこの煩雑さを倍加させている。

-115・

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こうした複雑な重眉構造の中で、前述した様に、一方で生産形態および肉種ご

とに輸出依存度が異なっており、また他方で圏内消費用についてもその生産形態

および肉種ごとに生産期聞が異なり各々が遭った周期をもっビープサイクルを示

しているわげである。

それ故、図 3-2cに示す樟に、オーストラリアのビーフサイクルは、高齢午を中

心として輸出需要のサイクルを強く反映する部分(輸出需要連動型サイクル)と

若齢牛を中心として圏内消費の動向を強〈反映する部分(圏内動向連動型サイク

ル)とが混在していると解釈しうる。そしてこの両者が各州ごとに異なった比率

で混在しているという事実が、オーストラリアの全体としてのビーフサイクルの

甑形を複雑にしているのである。

周知の通り、牛肉は羊毛、小麦、砂轄と並んでオーストラリアの 4大輸出農産

物となっており、その生産の 50%強を輸出に回すという事情から輸出市場との関

連を無視するわげにはいかない。更に近年、輸出業者による生産涜通段階の垂直

的統合が芽生えつつあるという事情からも、輸出需要連動型サイクルの部分が大

きな比重をもって〈るものと思われる。

言うまでもなくアメリカが主要な輸出先であるが、日本は高組肉に対する重要

な輸出市場となっている。また他の輸入国では主に加工用肉に強い需要を示して

いる。

クイーンズランド州は最も多くの肉牛を生産しているが、その生産量の中で輸出

される比車が最も高い州である。南部諸州と遭って伝統的にこの州では国内消費

の少ない高齢肉牛の肥育が大きな比重を占めて来た。能って日本を代表とする輸

出市場へ最も強〈依存している。各州での生産量に対する輸出比率はクイーンズラ

ンド州 71%、ニューサウスウエールズ州 50%、西オーストラリア州 50%、タスマニ

ア州日%、ヴィクトリア州 U%、南オーストラリア州 48%となっている.

以上の輸出比車からみて分る樺に牛肉は極めて輸出依存度が高〈、その価格(

および生産量)も圏内消費よりはむしろ輸出市場の動向に左右され易い。図 3-3-

図3-5は、本稿で用いる牛肉市場の時系列資料を示している。 1973年の石油危機以

来の輸出不撮が大きく圏内市場を圧迫したととを確認できる。詳細にみると、ま

ず 1974年屠殺頭数と肉ヰ価格に急敢な下落傾向が始まり、それから約 12ヶ月遅れて

国内牛肉価格の畢落に按及していることが分る。 1960年代後半の開発輸入ブーム

-116・

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に便乗して海外からの農業控資が活発になったことにより、生産が軌道に乗った

直慢の世界的大異変であっただけに未だにその混乱から立ち直れない状態にある。

また前期間を通して極めて複雑な周期性を示していることが知られる。これは

前述した様に、生産形態にも流通経路にも多種多用なケースがあり、生産される

肉種ごとに生産期聞が異なるため、各々異なる周期変動が複雑に混在していると

いう事情を反映しているからである。

なお、本積で用いるデータについて、国ト2aの読通経路図で示すと、 KBP系列は

中央食肉センタ一段階での価格であり、 STN系列は屠場段階、 AOP系列は肉牛出荷

段階にお吋る第④ルート(公開セリ市場)でのデータである。本節で説明したオ

ーストラリアの事情から言えぽ、各州ごとの肉種別データを用いる必要があるが、

本稿では差し当たって SIN系列と MBP系列については各々、全肉種の集計値、加重

平均値を用い、総て全国平均のデータを用いている。とのことが、以下の分析結

果を若干不明確なものにしていることは否めないであろう。 以下でこれらの時

系列の周期性と各系列聞のラグ構造について実証するが、差し当たって方法論の

説明から始時ょう。

註 (3)①の生産形態では、子牛を 6-12ヶ月の年齢で屠場へ売る。 生体重で

170-340キログラム(桂肉換算で 90-180キログラム)程度である@こ

れらの若齢牛は誌て食卓用として圏内市場で消費される。

②の生産形態では、主に lU月以上の年齢の肉用雄牛を生産する。屠殺

時には 1-3最位で、その肥育度には広いバラツキがある e この生産形態

で生産される雄牛は、主に 3つのタイプに分類される。つまり(i)イアリ

ングyearling(12-1U月の年齢で、生体重 300-400キログラム、枝肉

で 170-200キログラム)、(ii)雄子牛 steer(1st月-3患で生体重 400-

500キログラム、枝肉換貰で220.....300キログラム)、 (iii)成牛(壮齢

牛) bullDC~ (3議以上の雄牛であるが体重は雄子牛steerと同程度}の

3つである。

@の生産形態(素牛の繁殖育成)は、土壌が痩薄なため家畜を屠殺段

階まで肥育することが不可能な地帯でみられる形態で、肉牛は 1......2鵡ま

で育成飼育され、別のより肥沃な土壇に恵まれた良好な放牧・牧草地帯

-111鴫

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の肥育農家に販売される。そして次の生産形態で屠殺段階まで更に肥育

される@

④の生産形態(素牛の肥育)では、前段階の生産形態(素牛の繁殖塵

家)から素牛を購入し屠殺段階まで肥育する。屠殺時の年齢(肥育度)

は購入時の年齢や季節的条件に依存するが、普通は購入後 12カ月以内に

屠場に出す。

なお、最後の形態以外の生産形態、つまり何らかの形で繁殖育成行程

に携わる生産形態の農家は、副次的に盤牛 (COI,heiferなど)をも生

産している。これらの雌牛は繁殖に使えなくなった高齢雌午(C 0曹)と

過剰に生まれた若齢雌牛 (heiter)等である。

(4 )最初のケースは、 「直接屠畜・委託販売」のルートである。このルー

トは生産者が卸売業者や加工業者を兼ねる場合以外にはみられない。生

産者が肉牛を屠場へ売りに出し、自分の負担で屠殺し食肉センターへ供

給する。場合によっては食肉販売業者に委託して食肉センターへ販売す

る。この委託販売の事例は、隣接食肉センターを備えた屠場を利用でき

る生産者にのみ採用されうるわけで、そのような施設は大都市でのみ利

用可能である。このルートはクイーンズランド州.で若干みられるが他の

諸州では少ない,

第 2のケースほ、 「枝肉重量,品質販売」のルートである。このルート

は北部オーストラリアで屠殺される肉牛の 50%に揖用されている。生産

者が肉牛を直接屠場へ輸送し、輸送にかかるリスクは生産者が負担する。

生産者は枝肉重量およびその品質に基づいて価格を交渉し、 (通常は屠

場を所有する)買手が枝肉を丸ごと買い受付屠殺費用も買手が負担する.

第 3のケースは、 「牧場庭先販売」ルートである。この出荷ルートでは、

買手が農場を訪問し、舷牧飼養中の肉牛を槙萱しー顕当たりの値段を撞

示する。牧場から屠場への輸送費用やリスクは買手が負担する。

第 4のケースは、 『公開セリ市場」ルートであり、全国的にも最も重要

な出荷方法である。生産者が肉牛を公開セリ市場へ輸送し、セリ売りす

る。そのセリ販売には 2通りある。伝統的な方法はセリにより価格がl頭

当たりベースで決定され、肉牛の小集団ごとに販売される。最近の方法

-118-

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は、同じく小集団ごとにセリ販売されるが、価格はキログラム当たり生

体重に基づいてセリの結果決定される。その倍、肉牛の体重が計られ、

l 頭当たり価格は事種的に決定される。

この第3と第4の出荷方法では、通常、生産農家に代わって販売を取り

纏める家畜委任売買人(産地家畜商)のサービスを受げることが多い。

この産地家畜商は肉牛販売以外に、農業に関する一般的な情報の提供等

の多くの機能を果たしている。しかし近年の労働コストの上昇や情報伝

達・輸送手段の改善により、これら産地家畜商の教は誠少しつつある。

また日本と違って生産者共同組合は肉牛出荷には殆ど関与していない。

(5 )伝統的に総ての牛肉は、日本やアメリカと遭って、 4分割体または半

丸枝肉の形で小売庖まで輸送される。ただ輸出用に出回った枝肉から得

られた高価な部位(部分肉)のみが、一部オーストラリア圏内でパート

カットの形で流通しており、これらの高価な部分肉の多くはレストラン

やホテル等に販売される.

第三節 分析手法の説明とデータの定常化

ここで以下の分析に用いる統計手法について必要最小限の説明をしておこう。

( 1 )コレログラムと定常時系列

時間 tに閉して不規則に変化する時系列を X (l)とするとき、ある時間 T だけ遅

らせた系列ともとの系列との共分散を自己共分散といい、これをラグ Tの関数と

みなしたものが自己共分散問教 C{,)である。これを, = 0の時の値つまり X系列

の分散で除したものが自己相関係数であり、これをラグ Tの関数とみなしたもの

が自己相関関数 R(,)である。

R (,)= C (T)/C (0)

ー-E[ (X (tト xTt)) (X(tt,ト王百了訂)]

C (0) a・(3-1)

この値をラグの長さ Tと対応させて二次元座揮にプロットしたものがコレログ

ラムである。

-119-

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周期の整数倍だ吋ずもし定常時系列 X (tJが周期 Tの周期変動であるとすれば、

つまり、らすと元の謹動に重なってしまう。

-・ (3-2J ( X t土nT ) X (t) = 従ってある時間 Tだ吋遅らせた時系列 X{ttr)と元の時系列x(t)との相関度を

コレその時系列変動の周期成分を判定することができる。調べることによって、

ログラムはこの様な目的のために考案された初歩的な分析方法である。

(弱)定常性ランダムデータの時系列分析ではデータの定常性が重視される@

と自己相関係数R(t. 'l'" Jが時刻t[ X (t) ] 平均値 μ=Eは次の様に定義される。

この自己相関係教がラグ Tのみの関数である場合に、

時系列は(弱)定常時系列とみなされる。

が変わっても不変であり、

自己バワースベクトル分析(2 )

幾つかの単掻動の合成されたも定常時系列 X(t)の韓変動が、zの分析手法は、

時系列がN= 2n

x (t)系列を nf固の周期間教を用いて表わせる。

その各成分変動の周期を見出そうとするものである。

個のデータよりなる場合、

のと考え、

-・・ (ト3J bj・SIN8it)+ t I (a j • COS 8 J t all ーーx (t)

…(3-4 ) an'COSπt + Od t I d j・C05 (θJt aB ーー

l角周揖数2πj/n

~aj2 t bj2

ーー8j

ことで

:振幅ーーdj

tan-t (-bj/aj) 位相角

a由 =E{X{t))bJはフーリエ係数:

~ (ー1)tX (t)

I X (t)・COS8j t

~ X(t).SIN8Jt

-120・

ー-

ーー

1

-

n

1

-

n

ーー

ーー

φJ

a j.

an

aj

b j

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この式から各周櫨数領域での分散のヒストグラムの高さ、つまりベリオドグラ

ムが導かれ、パワースベクトルは次の様に導かれる。

T

au

戸、

unu n-w

T

R

∞zr

,,‘t -π -一

、‘a'

QU

P

一』。DI R (τ )cose j T

π , .-∞ -・・・・・… {ト5)

これがスベクトル密度関数と言われるものであり、結果的には自己相関関数の

フリーエ余弦変換したものに当たる。

このスベクトル密度関数の推定値は非常に不安定で分散が大きく、バイアスを

もつため、これをウエイト付けして平滑化したものを最終的な推定値として用い

ている。との平滑化のためのウエイトは、ラグ・ウインドウ(あるいはこれと一定

の対応関係にあるスベクトル・ウインドウ)と呼ばれ、建つかの方法が提案されて

いる (Parzen法、 Tuker.Hanning法、 Hamming法など)が、各々一長一短を持って

いる。最終的な推定値に大きな差はないことが指摘されている。本稿では主にハ

ニングのラグ・ウインドウを用いた。具体的な平滑化の揖作は次の様になる。

P冒== O.5Ps t O.5PI

P T == O.25P ,-1 + O.5Pτt O,2SPT+1

O.5PII-1 + D.5PIII

(T:l,''',1I-1) ・・… (3-6 )

P ftI =

また前述のスベクトル密度関数の推定法にも幾つかの方法が彊案されている。

(①Blaclun Tuker法、②FFT法、 @KEM法、④自己回帰式法などん本稿では全体

的に FFT法を揖用し、推定結果の検定に際して一部、 BT法を併用した。

こうして推定されたスベクトル密度関数は、時系列の総変動にドミナントな彰

曹を与える成分変動のもつ周按数帯の所でピークを示すことになる。従ってこの

ピークを揮すことにより主要な成分変動の周期(周按数の逆数)を検出できるわ

-121-

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けである。

(3 )クロススベクトル分析

この分析手法は、 2個の時系列 X (t)、Y(t)について、各々、農つかの単揖動の

合成されたものとみなし、各周謹数ごとにその成分変動聞の関係を検討すること

により、両時系列聞の関係をより詳細に分析しようとするものである。自己パワ

ースベクトルの場合と全く同様に、 N= 2 n{固のデータからなる 2つの時系列を各々、

故の様に表わせる。

= ax0 t i: (axj.COS8jt f bxJ・SU8 j t )

-・..(ト7)

= a 19 f i: (a νj・COS8 j t f b νj・SIN8it)

各記号は自己パワースベクトルの説明と同じものを意味し、単に X系列、 Y系

列の別を示すサフィックスが付いただ吋である。この両式からクロスベリオドグ

ラムを求めて適当に変形すると、最終的にクロススベクトル密度問教が求められ

る.

nkH曹

司‘“噂

・唱,占τ

au e

τ

X

R ∞

∞Z

一T

一π--

QM

''t‘、HV

P

(ここで RxパT}はラグ Tの下でのクロス相関係数を示している。)

この間数((別式)は複素数となり、実数部(共スベクトル)と虚数部(直交ス

ベクトル)とから構成され、次の様になる。

PXY (8j) = Sn (8d -Qxv (8J)・ i

-iφ12 ( 8 d = D翼¥1 (θj) e

Dn(8j)= .J百万「了訂了τ否二τ了ej了AHW6 ・4

d'

iクロス振幅スベクトル

このクロススベクトルから次の建つかの統計量が樽られる。

-122鴨

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《コヒアレンス》

2系列聞の各周謹数ごとの関連度を示す尺度で、通常の回帰分析でいう決定係数

に相当する。

CHR2 ( 8 Jl = D q2 (8 d

Px(8dPv{8;J 0:;; CHR2 (8 d;孟l…… (3-10)

。から lまでの値を取り、 1に近いほど強い関連を示し、。に近いほど関連は弱く

なる。

《ゲイン》

クロス据幅スベクトル Dxパej);を入力系列のパワースベクトル px ( e d で除

したものは、ゲインと言われ、通常の回帰分析でいう回帰係数(入力系列Xに対

する出力系列 Yの回帰係数 yθj= G ( e d ・X 8 jの関係)に相当する。

Dxd8Jl G(8il=

Px(θ;) 1

4E&

-崎‘H

・I

• -• • • • • • • • • • • • • • • • • •

《フェイス=位相》

これは入力系列 X (t)と出力系列 Y(t)との位相差を示すもので、次式によりラ

ジアン単位(弧度法)で測られる。

oxy (8i) = tan・1

、.,J-

、‘,,

J

-

J

Bu-no

rE巴、-,,‘、

M

V

E

U

w

-

x

Q

一S-

A可祝副

4

・EE-

-内司

wi

--• • • • • • • • • • • • • • • • • •

《タウ統計量=タイムラグ》

ラジアン単位で示された位相差は角周揖数2πθjで時間単位へ変控できる。

τ(8 d = 、‘,,-

J

-

j

au

一au

f、一

π

u'-a3-

X

R

AY- -・・・・ (3-13)

この統計量 τ{θ J)がプラスならぽ入力系列 X (t)が出力系列 Y (t)に先行してい

るととが示され、'r(8 jJがマイナスならぽ入力系列 X (t)が出力系列 Y (t)に遅行

していると解釈される。

-123・

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( . )資料の説明および定常化

本稿の分析で用いる資料は既に第2節で示した通り次の 3系列である。

[ 1] MB P系列(牛肉卸売市場価格、キログラム当たり豪ドル、 1962年 1月~

1976年 12月の 180カ月)

[ 2] A OP系列(社齢肉牛市場価格、キログラム当たり豪ドル、 1962年 l月~

1976年 12月の 1801J月)

[ 3] S TN系列(緯屠殺頭数、単位は万頭、 1962年l月.....1976年 12月までの

1801J月)。

前述の図ト3-図3-5に示されるようにこれらの原時系列はトレンドを含む非定

常系列であることがわかる。スベクトル分析を適用するためにはこれらを定常化

しなげればならない。そこで次の変換手続きが必要となる。

(1)トレンド除去フィルター

(2 )季節変動除去フィルター

(3 )平均値調整フィルター

の3つの定常化フィルターを通すわ付である。(1 )の手続きとして本稿では次の相

対変化事法を用いた.

I(t)= {X{t)-X(l-l)} /X(t-l) i

s4・

-Ea--'

‘‘u

l

--•

'

• • • • • • • • • • • • • • • • ・

(2 )の手続きとしては、センサス局法など色々あるが、要は季節因子に対応する

調和誼を取り除くような移動平均法を用いることである。本稿では次式を採用し

た。

I(t)= I Xt+μ + ー (Xt+6 + Xt-s)"・・・・ H ・・・・… (3・1S)12 ,・・5 24

(3 )の手続きは計算の恒宜上のもので定常化のためには必ずしも必要でない。本

稿では平均値を 0に修正した系列を用いている。

原時系列にこれらの定常化の手続きを施すと図 3-6-図3-8の栂になる。ごれら

の図から分る掃に、以上の定常化揖作を行っても、 1914-1975年にわたる食料危

-124・

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図 3-3 MB P系列(牛肉卸売価格〉

芸"ド 90Jレ/ 80

恒 70 ・・

60

50

40

30

' . 01962 1965 1970 1975

図 3-4 AOP系列〈撞杜齢牛価格〉

ミ100[ド 90Jレ/ 80

E570

60

50

40:-.../

10

000 1965 1970 1975

図3-5STN系列〈緯屠設頭数〉

~ 120 万nn 110 “・〆

100

901.

80

70

40・・

30・・

20

10

01'962 1965 1970 1975 -125・

i.;.'~:.. ‘卓也弘

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慢の影響が大きく残留し異常値の様な形で表われていることが分る。従って決し

て良好な定常性が得られたとは言い難い。本来ならこの時期を除くべきかも知れ

ないが、スベクトル分析では、採用した自己相関係数のラグ数に対してそれの数

倍もンプルサイズが要求されるため、これらの期間も含めざるを得なかった(前

述の定常化操作の結果、データ期間は 167個に減少している)。

しかし他方ではこの異常期聞を含めたことが逆に三系列のラグ関係を調べる上

で有利に作用している面もある@というのはこの期間のデータは、石油危機、世

界的食糧異変を反映して通常では見られない様な大揖動を示しており、まるでモ

デル分析用の実験データのように「統計的情報量」に富んでいるからである。

定常化された時系列(図ト6-図3-8)において食料危檀の前後の頃の極大値の

位置を、三系列について見比べると、 STN系列 (t=121で極大、 t=139で極小)はA

OP系列 (t=128で極大、 t= 145で極小)に 6-7:1J月先行しており、またAOP系列はMB

P系列(t = 140で極大、 t= 151で極小)に 12カ月先行していることが知られる。 し

かしこの関係は単にこの異常な期間について食料危槙という一つの外乱が読通段

階の異なるこれらの三系列聞でどの様な願で諒及しているかということを示すだ

けであり、それを全サンプル期聞を通しての各成分変動聞の関係としてとらえる

ことはできない.

次節でごれらの定常時系列の周期性についてより詳細に分析していこう。

註 (6) B T法はスベクトル推定値の分解能も安定性もそう悪〈はなく検定が容

易であるが、短いデータでは推定できない点が欠点である。他方HT法

は潰算速度が速いという利点はあるが、小数のデータでは安定性が低く

なる。 XEH法は短いデータからも分解能や安定性の良好な推定結果を与

えるが、その検定方法に難がある(なお、 BT法では自己相関係数のフー

リエ余弦変換からスベクトル推定値を得るが、 HT法では逆にスベクト

ルのフーリエ逆余弦変換として自己相関関数を求めるという関係にある)

(7 ) 文献[4]

(8 ) 採用したラグ教に対し、 3-6倍、または検出したい最大周期の E倍のデ

ータ数が必要とされる。

( 9 ) 定常化された債の最終的な時系列データが余りにも小さな数値となった

ので、以下では計算結果を 10A倍した数値を用いて分析している。

ー126・

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0.04

0.03

0.02

-0.01

-0.02

-0.03

-0.04

-0.05

-0.06

-0.07

-0.08

図 3-6 定常化されたMBP系列

-Q.09L....:ーー

0.05

0.04

0.03

0.02

-0.011-

-0.021'

-0.03

-0.04

-0.05

-0.06

-0.07

-0.08

-0.09

-0.10

O

-0.01

-0.02

-0.03

-0.04

-0.05

-0.06

-0.01

一一一 4050 60 70 80 90 100 110120130140150160170 (年次)

国 3-7 定常化されたAOP系列

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160170 (年次)

国 3-8 定常化されたSTN系列

10 20-30. 40 50 60 70 80 90 100 110120130140150160170 (年次}

-127-

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第四節 実証分析

(1)コレログラムによる分析

前述の知〈、コレログラムとは、時系列データの自己相関保数を各々のタイム

ラグの関数とみなして、二次元座揮にプロットしたものである。三つの時系列MB

p (牛肉卸売価格)、 AQP(雄壮齢牛価格)、 STN (総屠殺頭数)について各々のコ

レログラムを示すと国 3-9--図 3-11のようになる。ごれらの国から、三つの時系列

データは、各々異なった自己相関構造を示していることがわかる。

時系列解析論の教えるところによれば、循環変動はその成立過程によって次の

様に分類される。

「一周期変動の合成聖①

循環変動横型 →I 不規則変動の有限集積型(移動平均型)②

」 線 形 回 帰 型 |」不規則変動の無限集積型(自己回帰型)@

定常性の条件等が満たされる場合、①の型のコレログラムはやはり一定の周期

をもっ周期間数となる(この周期はかならずしももとの変動の周期と一致しない)

a ②の型のコレログラムは γド lかち等差的(直纏的)に誠少し、ある時点以後は

横軸に一致する。③の型のコレログラムは減衰するが、自己回帰の次数が一次の

時には単調に誠衰しつつ振動(横軸の上下に掻動)する。また三次以上の場合には、

このー攻と二次のケースの和となるので主に正の領掛で減産しつつ振動するとい

うことが知られている。

前述の図 3-9--図ト11に示されるコレログラムは一見して減衰振動型に近いこと

が読み取られ、日P系列は二次、 AQPとST!i系列は三次以上の自己回帰型であること

を類推させる。しかしより詳しく見ると小さなラグの所では確かに掻動している

が、大きなラグの所では必ずしも癌動していない.他方、ラグが 12カ月の所までほ

どの図でもやや直緯的に減少しており、それ故、それ以後のラグでの自己相関係

散(大部分は O.3以下)を 0と有意に異ならないものと見なせば②の型の(移動平

均型)ともみられる。

前節で示した様にこれらのデータは、原時系列変動から傾向変動と季節変動と

を除去したものであり、従って循環変動と不規則変動とが残留していることにな

る。以上の推論は、これらの時系列が、単なる周期変動のみの合成型というより

-128-

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国3-9 型肝系列のコレロタ フム

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

0.4

0.3

0.1

0.0 10 20 30 40 50 60

タイ i、ラク'U1)

魁品I:l<o

国3-12 MBP系列のスベク

トル密度

ー1

-2

-3

。0.125 _0.25 0.375 L-1 L...I B a

∞却 108 4 2.66

0.5

2

図 3-10 AOP系列の=レロ

グラム

10 20 30 40 50 60 タ Ct、ザク υn

図 3-13 AuP系列のスベク

トル密度

,---_:一ーーーーー--.田ーーーー」。0.125 0.25 0.375 0.5 L--I -4 t-冒抽ー_'---・E ・-'

∞30 108 4 2.“ 2

-129・

図 3-11 STN系列のコレロ

グラム

10 20 30 40 50 60 タイムラグ()J)

図 3-14 STN系列のスベタ

トル密度

' E -園園田ー.J.

0.125 0.25 0.375 0.5(田被眠}1--1ー-~E t . ∞30 108 4 2.66 2 (同J!11)

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も、無限あるいは有限の不規則変動の集積型(②あるいは③)に近いことを類推

させ、不規則変動の比重が高いことを予想させる e ごのごとは第 2節で示したオー

ストラリアの牛肉生産読通の祖雑な重層構造を反映するものと思われる。

他方、これらの図形には、前節で採用した定常化揖作(移動平均法と相対変化

車法)が過大に髭曹していることも考えられる。それ故、図の形だげから、もと

の変動が①の型(周期変動の合成型)ではないと断言するととはできないであろ

つ。

そこでこうした定常化揖作の偏った効果を考慮して、原時系列が①の型であり、

しかも同ーの周期をもっ周期変動のみの合成型(つまり単据動に変換できる場合)

であると底定してみよう@周知の通り単振動のコレログラムは元の単語動と同じ

周期をもっ周期変動を示す。それ故、固から、 KBP系列(図 3-9 )は24:1J月前後の周

期を示し、 AOP系列{国 3-10)は22.....32:b月の周期を、 STN系列{図 3-11 )は 14-3

21J月の周期を示すと読めないこともない。しかし、この仮定は極めて非現実的な

想定であり、以上の解釈をそのまま受付入れられないことは言うまでもない.

一般に経済時系列は幾つかの異なった変動が合成されたものであり、その各成

分変動の周期は必ずしも均ーではない。前述のように、畜産時系列の場合には特

にその傾向が強いと思われる。この様者場合には、コレログラムのみによる分析

には臨界があり、その内部に混在している成分変動に聞してより詳細に立ち入る

分析トウールが必要となる。それに答えるのがベリオドグラムであり、より糟融化

された形ではスベクトル密度分析である@

(2 )自己パワースベクトル分析

スベクトル分析は、シュスターのベリオドグラムと同様な発想の下で、時系列

データの変動を麓つかの単語動の合成されたものと見なし、各々の成分変動の周

期(周按数)に注目して、周捜数領域に各成分変動を配列し、各周誼教をもっ成

分変動の分散が全分散に占める相対的ウエイトを推定するものである@従って時

系列変動にE響する幾つかの成分変動の中でドミナントな膨曹を与える成分変動

の周揖数に対応するパワースベクトル推定値は、スベクトル密度関数のピーク(

極大値)を示すことになる。

スベクトル分析の方法論は前節で触れたので、その分析結果を以下に示そう。

図ト12-図3-1~は、 3つの系列のスベクトル密度閑散の推定値を示しており、表 3

-130-

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ーlはその中でピークを拾い出したものである。

まずMBP系列では、 スベクトル密度関数に 7つのピークが観察された。 長期的変

動の領域では 31. 71J月周期と 10.511月周期であり、 短期的変動の領域では 7.日月、

4, 8カ月、 3. 6:b月、 2.5-2.1抱月周期である。 (表トlおよび図 3-12 )

他方、 STN系列では、 g個以上のピークが観察される。 長期的変動の領域では 12

7 • 0カ月周期、 18. 1カ月周期、 10.581.1月周期の成分変動であり、 短期的変動の領域で

は 5.0カ月、 4. 5:b月、 3, 6:b月、 2. 8..... 2. 1カ月周期のところにピークが見出される(

表3-1および図ト100

またAOP系列では 8個以上のピークが観察された。 長期的変動の領舗では、 3 1

.7カ月、 10.51.1月、 短期変動の領域では 8.4カ月、 5. 2:b月、 4.5カ月、 3.5-3,U月、 2

.8-2.3:b月周期のところで各々ピークがみられた(表 3-1および図ト13)。

小さなピークまで誌で拾い上げると以上のようになるが、 これらの中の麓っかは

推定値が不安定で、 推定法(例えばラグウインドウの遺び方およびラグの打ち切り

点等)を少し変えれば消誠するようなピークも含まれている (特に短期的変動の

領舗のものはその傾向が強い)。 そこで以下ではこれらの中で比較的安定したピ

ークに注目していく (表トlは比較的安定した相対的ピークを示したものである)。

表 トl スベクトル・ピークの仮説検定(サンプルサイズ=161.自己相関関数のラグ=口、等価自由度=19.31)

系高列 周期(周誼数) 相対的r寸の ホワイトノイ.:rの その他のZへ・川島Zヘ・ Hk密度 9U信額区間 t・-'}の周期帯

カ月[サイクル/月) 虫月 カ月M BP 31.14(0.0315) 17. 9 15.2-38.8 7, 93 4. 87

10,58 (0.0945) O. 993 0.844--2.154 2. 59 2. 11 3.62 (0. 276) O. 226 0.192--0,490

TN 127. DS (0.007) 38. 5 32.7.....83.5 5, 07 4.54 18.14(0.055) 9. 6 ~ 8,19......20.91 2, 82 2. 26 10.58 (0,094) 2. 1 7 1.84.....4,70 2. 11 3,62 (0. 276) O. 901 0.765......1.955

A OP 31.14(0,0315) 12. 8 10.8-27.7 8. H 5. 29 10.58 (0. 0945) O. 943 0.801.....2.046 4. 54 3. 53 3.17(0.315} 0.0892 O. 07S8.....0. 1935 2. 82

3つの時系列の関係について興味漂いことは、 長期的変動の領棋で 10.5b月周期

-131-

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のところで共通にピークが観察されることであり、共通に約 l年の周期をもっ成分

変動が安定的に観察されることである。また短期的変動の領域では、 2.S-4.5:b月

周期の周揖数帯で類似したピークが観察される。

2つの価格系列(MB PとAOP)の間では、長期的変動の31.7'b月と 10.5:b月周期の所

で共通のピークが観察される。このことから、オーストラリアの牛肉市場の価倍

系列には、約 3年と約 1年の周期変動がより大きく作用していることが確認される。

また肉午市場段階に関する 2つの 系 列 (S T NとAOP)の聞では、長期変動の 10.5カ

月周期の他に、4.5:b月周期と 2.8:b月周期の所に共通のピークが見られるが、これ

は季節変動の調和混とほぼ一致し、定常化フィルターを通してもなおかっその一

部が残留したものとみられる。

異なる市場段階での価格と数量の系列(){B PとSTN)の間では、長期的変動10‘5

カ月周期の他に、 3冒 6カ月周期と2.1カ月周期のところで共通のピークを示している。

前述した通り、 8TN系列では、長期的変動の 127.0 'f1月周期の所に相対的ピークが

みられるがこれは約 10年周期に当たり、アメリカで観察された分析結果(10..... 11

年と 3年のサイクル)とも一致している。

相対的ピークの信頼性を統計的に検討するために次の手続きで有意性検定を行

う。先ず帰無仮説「当該時系列がランダムな系列(白色雑音)である Jという命

題を考え、これを一定の有意水準の下で棄却する。ランダムな正規変量の aa%信

頼区聞は次式で示される。

P[x 2(V) 孟α1

V P ( e j)

P (e d 亘X 2(V)]=(α1ーα2) =α3

α2

ここで X 2 (V) は自由度 Vのカイ二乗分布の上倒 α%点、 α1とαEはx2分α

布の上倒累積確率、 P( e j )は正規分布に従うランダム変量のスベクトル密度の

理論値、 P (e d はその推定値である.ごとで Vは等価自由度といわれる近似式

V=a.N/M

で計算している。この数値Vはもとの系列が必ずしも正確に正規分布に従ってい

-132-

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るとは隈らないという事実を考慮して選ばれる値であり、あ〈まで近似値である

ので厳密な検定方式とは言えず、検定結果の解釈には注意を要する。

この検定方式により求められた信頼区聞かち外れるピークのスベクトル笹度は、

(トα3)の有意水準で白色雑音のスベクトル密度と有意に異なると判定できるわ

げである。

この検定方式によると 5% (α1=0.975、α2=0.025)の水準で、以上のどのピー

クも統計的には有意でなかった。

担っている時系列データが、オーストラリア各州の加重平均値ないし集計値と

いうデータ上の制約もあり、また検定方式自体がここで用いた推定法に必ずしも

最適な方式とはいえず近似的な方式であるため、検定結果を無条件に受付入れる

ことはできない.

従って極めてラフな意味での統計的支持は欠くが、以上の推論から次の様に(

控え目に)考えても大き在誤りはなかろう。

オーストラリアのビーフサイクルに聞して、価格系列については約3年周期と約

l年周期、および 3:tJ月前慢の周期を示す周混数帯に主なピークのあることが確認さ

れた。また、屠殺頭数の系列については、 10年周期という長期の周揖数帯にもピ

ークのあることが確認された。これらの結果は、他の分析結果、特にアメリカの

ビーフサイクル論と共通した点を示しているが、カナダについて報告されている

60:tJ月というビーフサイクルは、オーストラリアでは確認されなかった。

( 3 )クロススベクトル分析

三つの時系列(MB P 、STN..AOP)の組み合わせについてクロススベクトル分析を

適用した結果を検討しておこう。国 3-15-図ト17は、 3通りの組み合わせ((A] MB

P-AOP、 [BjMBP-STN、 [C]STN-AOP) についてのコヒアレンスダイアグラムを示

したものであり、また図 3-1B-図3-20はゲインダイアグラムを示している。さら

に表ト2はこれらの中から各組み合わせごとにコヒアレンスのピークに対応する周

期帯を拾い出したものである。

まず [A]llBP-AOP系列の組み合わせから見ていこう.この組み合わせは、牛肉卸

売価格と雄成牛価格との関係であるが、図ト15から全周極致領域にわたってコヒ

アレンスをみて行くと、全体として長期的周期帯(低周捜数領域)では幅広〈中

ー133-

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国3ー15 MDP-AOPのコヒ

アレンスダイアク.ラム

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

図 3-16 MBP-STNのコヒ

アレンスダイアグラム

図 3-17 STN-AOPのコヒ

アレンスダイアグラム

~ 。0.125 o 0.1250.250.375 0.5 0 0.1250.250.375 O.5(周雄監)

L.....J 1-..1 E

∞30 108 4 2.66 ... L......L.....-.ムーA

2 ∞30 108 1.-ーーー......

2.65 2

図3-18MBP-AOPのゲイン 図 3-19MBP-STNのゲイン

ダイアグラム ダイアグラム

12

11

10

9

81-

7

6

....... '-' 句 30108

E

4 2.66

.

E E L-I • 2 ∞30 10 8 4

-134・

‘ • 2.66 2

~ーーー」ー」

∞30 108 2.侃 2(周Jm

図 3-20 STN-AOPのゲイン

グイアグラム

0.375 O.5(周世世)ー, ...... '

E . ∞30 108 4 2.飴 2 (周期)

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程度の関連度を示し、短期的周期帯(高周誼数領域)では飛び飛びに強い関連度

を示している。

表3-2A欄より中・長期的周期帯で最も高いコヒアレンス O.785を示す周櫨数O.1

18 (周期 8.41書月)に注目すると、タイムラグ推定値はマイナス 0.954で、約3.913

月AOP系列がlfBP系列に先行していることが示され、その影響の強さ(ゲイン)は

0.8Hと計測される。つまり AOP系列の 0.844%の変動がそれに 0.9カ月遅れてMBP系

列の 1%のやや革大された変動と対応しているという関係が見られる。この周按数

帯はアメリカの畜産市場でも観察される周誼数帯に近いものである。第2節で示し

た通り、 AOP系列(雄壮齢牛価倍系列)は、アメリカを代表とする輸出市場への輸

出比宰の最も高い品種の価格系列であり、アメリカからの輸入需要の変動がAOP系

列の方に先に反映されているものとみられる。ここでMBP系列(牛肉卸売価格系列)

は雄壮齢牛以外の肉種をも含んだ広範な肉種の加重平均値であるため、輸出市場

からの髭曹が薄められた形でしか計測されないことになる。 AOP系列のカバレヅジ

とより強〈対応するよう修正された牛肉価格系列を MBP系列に用いたならば、これ

とは遭ったより興味漂い結果が得られるであろうと思われる。

また短期的周期帯では、周甑数 0,291(周期 3.4.3カ月)の所でのコヒアレンス

O. 615と周謹数 O.H 1 (周期 2,26由月)の所でのコヒアレンス 0,85が高い値を示し

ている。タイムラグ推定値は、各々 0,785カ月、 O.538書月であり、両者とも先行遅

行開館は、長期的周期帯の場合とは逆に MBP系列が .~OP系列に先行している。各周

誼数での回帰係数に相当するゲイン値は、各々自.703、5,56である.従って前者

(周期3.-43カ月)の変動成分間では、:MBP系列の 1%の変動に対して、 0,785カ月遅れ

てAOP系列の 0,703%の縮小された変動が対応しており、また後者(周期 2,26カ月)

の変動成分間では、日P系列の 1%の変動に対し、 0.53813月遅れて AOP系列の 5.56%

の拡大された変動が対応していることになる。

このように旧P-AOP系列聞については、畏期的周期帯ではAOP系列がMBP系列に

先行し、その謹及の仕方は拡大変動的(発散的)であるが、短期的周期帯では逆

にMBP系列がAOP系列に先行し、その誼及の仕方は縮小変動的(収束的)と革大変

動的{発散的)との両方が混在していることがわかる。

ー135-

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表3-2 クロススベクトル推定値 (コヒアレンスの主な極大値のみ列挙)[A} MBP-AOP系列

周期(周渡数) コヒアレンス ゲ イ ン フェイス タイムラグ

カ月 (fイ?It/月) カ月1.74{0,0315) 0,0930 0, 258 0, 6 10 3, 08 8,47(0,118) 0, 785 0, 844 -0,708 -0,954 3,43 (D. 291) 0, 615 0, 703 1. 14 0,785 2,26(0,H1) 0, 85 5, 56 1.49 0, 538

''Ea EJ

系町田嶋,.-円九M

RμA

n円uum

引一

••••.

,EEA---A

2,7 (0,0787) O. 682 1. 32 1. 06 2 , 1s 0, 7 1 6 1. 25 -1. 43 -2, 41

9,8 (0,102J 0, 813 1. 09 ー1.55 -2. 41 2,89(0,346) 0, 843 10. 9 -0, H S -0,211 2,1110,472) O. 772 1. 68 1.48 0.498

1.74(0,0315) 0, 94 0 1. 52 -1. 41 -7, 11 2,70 {O. 0787} 0, 952 0, 552 -0,265 -5, 36 0,S8(0,0945} 0, 705 0, 553 -3, 14 同 5,28 9,09{O.110) 0, 913 1. 07 1. 86 2, 69 2,94 (0, 339) 1), 85' {}, 445 -0,189 -(}, 0889 2.76 (0,362) 0, 968 0, 308 -2,98 -1. 31 2,04(0,488) 0,934 3, 79 0, 227 0,074

次に [B]MBP-Sn系列の組み合わせについての分析結果をみていこう@国ト16で

全周混数領域にわたってコヒアレンスを見ると、長期的周期帯に中程度の関連が

示され、短期的周期帯で強度の関連が示される。

繰り返しを避けるために詳細な検討は後注にゆずるが、表3-2B掘で前述 fA)と同

様な推論を行うことにより、このニ系列の組み合わせでは長期的周期帯でも短期

的周期帯でも、先行遅行関係は周謹数ごとに逆転しており、広い周謹数帯にわた

って均ーの先行遅行関係を見出すことは困難と思われる。(また変動の按及の仕

方も各々の周期帯で拡大変動的と縮小変動的とが混在している)0 これは、との

こ系列がオーストラリアの牛肉涜通課程において異なった市場段階での価格と数

量との組み合わせであり、より隔たった関係にある上に、両系列とも控つかの肉

種の集計された系列同土であるという事実を反映するものと思われる。

次に [C)STN-AOP系列の組み合わせについての分析結果を検討しよう。図ト17で

全周捜数領域にわたってコヒアレンスを見ると、前述のニ通りの組み合わせより

も強い関連度が全域にわたって観察される。

表ト2C欄において前述 [A]と同様な推論を行うことにより次のことが分かる(詳

ー136-

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細は侵注参照)。とのこ系列の組み合わせにおいて、長期的周期帯では安定的に

AOP系列がSTN系列に先行しており、中期および短期的周期帯では周誼教により逆

転した先行遅行関係が混在していることが示される。特に長期的周期帯では、幅

広い周浪数帯にわたってタイムラグ推定値の符号(負値)が一定していることか

ら、雄成牛価格の変動に一定のラグを伴って総屠殺頭教が反応して変動している

という関係が安定的に観察される。これは周知の「くもの巣原理」的行動に通じ

るものと思われる。

また全周世教領域を通じて O.7以上のコヒアレンスを示す周按数帯が 50%を占め

るという極めて強い関連度が安定的に観察される。これは、第1節で示したように

この二系列がオーストラリアの流通課程で比較的近い市場段階での価格系列と数

量系列であるという事実を反映している。

以上の考察では、 3つの時系列の組み合わせについて、コヒアレンスの高い周誼

数帯に註目して、そこでの先行遅行関係を具に検討して来た。この理由はコヒア

レンスの低い周渡数帯ではタイムラグ推定値から何ら意味のある情報が得られな

いからである。

しかしコヒアレンスが高〈強い関連度がみられても、その周謹数帯で各々の系

列の自己パワースベクトル密度が低ければ二系列の全体的変動へのー彰審度は小さ

い。そこで以下では、前節までの分析で検出された、三系列に共通するスベクト

ルピークの周期帯、つまり約 3年周期、約 l年周期、約3カ月周期の 3つの周期帯での

先行遅行関係を検討する e

( i ) 約 l年周期の成分変動聞の先行運行関係

表ト2C欄より、 lO.SU月周期の所では 5TH系列と AOP系列とのコヒアレンスはO.

70Sと高く、この周期帯でのタイムラグ推定値マイナス 5.28カ月は十分信頼できる。

従って AOP系列がSTN系列に 5.28:tJ月先行していることがわかる(ゲインは 0.553)。

また表ト2B柵から、同じ 10.S81J月周期の所でMBP系列と 8TH系列とのコヒアレン

スは O.7 16と高〈、この周期でのタイムラグ推定値マイナス 2.41が十分信頼できる

ものであることを示している,従って、 STN系列がMBP系列に 2.41カ月先行している

ととがわかる(ゲインはし 25)。

以上のごとからこの周期帯での三系列の成分変動聞の先行遅行関係は次ぎの通

りまとめられる。(矢印の上の数字はタイムラグを示し、矢印の下の数字は揖及

司 137・

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の甚大縮小比率とコヒアレンスを示す)。

5.28カ月[AOPI - → [8 TNJ

拡大変動的 (11/0.日 3)

CHR2=0.705

2.41カ月

縮小変動的 (11/t.25)

CHR2=0.716

( i i ) 約刊月周期の成分変動の先行遅行関係

→[MBP)

表3-2A欄より、約吋月の周期帯でMBP系列と AOP系列のコヒアレンスが最も高い

のは、 3.43カ月周期の所で、コヒアレンスの値は 0.615と高〈、この周期でのタイ

ムラグ推定値 O.785が十分信額できるものであることを示している。世って MBP系

列がAOP系列に O.785カ月先行していることがわかる(ゲインは 0.703)。 また表

3-2C欄より、約a月の周期帯での STN系列と AOP系列とのコヒアレンスが最大とな

るのは、 2.9U月周期の所で、その値は 0.854と極めて高く、タイムラグ推定値マ

イナス 0.0889由月は十分信頼できる。従って AOP系列が STN系列に 0.0889:b月先行し

ていることがわかる(ゲインは0.445)。

以上のことからこの周期帯での三系列の先行遅行関係は次のようにまとめられ

る。

0. 185カ月 0.0889カ月[MB P]ー← → [AOP1 →[STIi]

縮小変動的 (IO.703) 拡大変動的 (11/0.445)

CHR2=0.615 CIfR2=0.854

(iii) 約3年周期の成分変動での先行遅行関倭

繰り返しを避げるために詳しい説明は省略するが、表ト2A欄と C欄とから前述 l

i}、 (ii)のケースと同様な推論により、約3年周期(正確には 31.71J月周期)の所

での三系列の先行遅行関係は一応、次の様にまと的られる.

3. 08書月[XBP]・II I • I III I I・・・・・・・・・→

縮小変動的 (10.258)

CHR2=O.0930

7. 11書月IAOP]

縮小変動的 (Il/t.52)

CHR2 =0. HO

→[8 TIfl

ここでllBP系列から AOP系列への揖及関係を点離で示したのは、両系列聞のコヒ

アレンスが0.0930と低〈タイムラグ推定値が殆ど信頼できないからである.世つ

ー138-

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てこの周期帯の成分変動聞では、 AOP系列がSTN系列に先行するという屠場段階で

の先行遅行関係は見出せるが、これらの系列と牛肉価格系列KBPとのラグ関係は見

出せないことが分かる。

柱(10)周期変動と循環変動とは同義ではない。周期変動は一定周期一定振幅の

循環現象であり、循環変動はこれ以外に不定周期不定握幅の循環現象を

も含んでいる。従って前者は後者の特別な場合である。

(11)これらの図(図ト12...,図ト10から分かるようにスベクトル密度の推

定値が極めて不安定で分散が大きく、また低周謹数領揖に高い密度が偏

っていることから、決して良好な推定値とはいえない。これは主に (i)採

用した平滑化のためのラグウインドウが適切でなかったこと、つまりスム

ージングの程度が不十分であったこと、 (ii)定常化操作が必ずしも完

全でなかったためにトレンド成分が一部残留したこと等が原因している

ものと思われる(筆者は別にパルツエン・ウインドウを用いて推定してみ

たが結果に大きな差はなかった)。

(12) :本稿では約 10カ月以上の周期帯(O. 1以下の周揖数領踊)を長期的周期帯

と呼び、それ以下の周期帯を短期的周期帯と呼んでいるが、これは全く

説明の便宜上のもので何らそれ以上の担拠はない。

(13) :本稿ではパルツエン・ウインドウの時に a=3.71、ハニング・ウインドウの

時に &=2.67として計賞した.

(14 )コヒアレンスダイアグラムとは、二次元座揮において、横軸に周誼数領

曜をとり、縦軸にそれに対応するコヒアレンス値をプロットしたもので

ある。

( 1 5 )ゲインダイアグラムとは、二次元座揮において、横軸に周揖数領曜をと

り、縦軸にそれに対応するゲイン値をプロットしたものである.

(16 )クロススベクトル分析を適用する 2組の系列において、入力系列を先に書

き出力系列を後に書〈ことにする o (以下問樺)0

(17 )ゲインは、入力系列に対する出力系列の回帰係教を示している。従って

タイムラグ推定備が負の時には逆散値で対応・捜及することになる。

( 1 8 )表ト2B欄で中・畏期的周期帯では、周被数0.102(周期 g.811月)の所でコ

ー139-

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ヒアレンス 0,813と極大値を示しており、タイムラグはマイナス 2.41、

ゲインは1.09と計算される。この近傍の周甑数帯でタイムラグ推定値が

かなり広範囲に員値をとっており、従ってこの周揖数帯における両系列

の成分変動間では、安定的に STN系列がMBP系列に 2,41カ月先行し、その浪

及の仕方は前者の1.09 %の変動が使者の 1%のやや縮小された変動に対応

しており、ほぽ同程度の振幅変動比率で漉及することが知られる。

もう少し長期的周期の周捜数 0,0787(周期 12. 7カ月)の所にもコヒアレ

ンスの極大値0,682(タイムラグ 2.15カ月、ゲイン値1.32)があり、前述

とは逆にMBP系列が STN系列に 2.15:IJ月先行し、拡大変動的(1 %→1. 32 % )

に対応している。

また、短期的周期帯では、周浪数0.346(周期 2,8911月)でのコヒアレ

ンス ι643(タイムラグマイナス 0.211カ月、ゲイン 10.9 )と周謹数O.472

(周期 2.11カ月)でのコヒアレンス 0.772(タイムラグ 0.08カ月、ゲイン

1. 68)が両系列の強い関連を示している。前者は全周謹数領域を通じて

コヒアレンスの最大値を示しており、この周捜数で両系列に最も強い相

関関係(sn系列がXBP系列に 0,21lb月先行し、縮小変動的<10, a→1%

〉に対応するという関係)のあることが知られる。後者の周謹数0.472の

所では、 YBPとSTHの両系列とも自己パワースベクトルの極大値を共通に

示している点で興味探〈、この周按数を持つ成分変動聞の強い相関関係

( MBP系列が STti系列に O.49 8カ月先行し、拡大変動的く 1%→1.68%>に対

応するという関係)が、両系列の総変動聞の関係に少なからぬ比重で露

曹していることが知られる。

( 1 9 )長期的周期帯では周按数 O.0315(周期 31.74金月)のところコヒアレンス

の極大値0.940が得ちれ、極めて強い回帰関係が検出される。ここでタイ

ムラグはマイナス1.11で、ゲインは1.52と大きい。 従って、 AOP系列が

STN系列に7.1U月先行し、その按及の仕方はAOP系列の1.52%の変動が

STN系列の 1%の縮小された振幅変動に対応している。またとの先行遅行

関係(つまりタウ統計量の符号)は前慢の周檀数帯 (0.0157-0.0394)

にわたって同ーで、 しかもコヒアレンスも大きな値を維持していること

から、極めて安定的な関係であるととがわかる。更にこの 0.0315の周控

-140・

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数帯はAOP系列の自己パワースベクトルの極大値でもあり、 ドミナントな

変動成分である。

また周披数0.0787(12.7カ月周期)でもコヒアレンスの極大値0.952(

タイムラグマイナス 5.36:b月、ゲイン 0.552)がみられ、先ほどと同様な

先行遅行関係が示される。

つぎに、中期的周期帯では周檀数0.110(周期 9.09:b月)のところでコ

ヒアレンス O.973という最大値が示され、タイムラグ 2.6U月、ゲイン

1. 07となっている。従って先行遅行関係は逆に SfNが先行系列となる。

短期的周期帯では、周被数 0.362(周期 2.76抱月)の所でのコヒアレン

ス0,968(タイムラグマイナス1.31カ月、ゲイン 0,308)と周誼数0,488 (

周期 2,04カ月)の所でのコヒアレンス 0,9H (タイムラグ0,074カ月、ゲイ

ン3,7 S )とが両系列聞の強い関連を示している。両者で先行遅行関係は

一定していない。

(20)約 3カ月近くの周期帯での先行遅行関係に関して、表ト2B欄の 2.89カ月周期

のところ(コヒアレンス 0,80、タイムラグ推定値マイナス 0,211)に控

目すると、本文と遣って 8TH系列がXBP系列に先行していることになる。

しかしこの周期の所では、f.(Jコヒアレンスは高いが、各々の系列のスベ

クトル密度は高くな〈、従って両系列の全体的変動への彰響は大き〈な

い。更に{ロ)このタイムラグ推定値の符号は隣接周期帯にわたって一定し

ていない。{ハ}推定法を変えると数値が変動する等の理由から、サンプル

エラーに近〈不安定なものとみなし、ことでは撰用しなかった。

( 2 1 )筆者は以前に日本の牛肉市場についてスベクトル分析を試みたことがあ

る。その結果によると、不明確ではあるが日本の乳雄肉の価格系列に33

2月の周期が観察された.本積でオーストラリアの牛肉価格系列 (MBP

とAOP)に31.11J月の周期が観察されているが、日本の乳雄肉はオースト

ラリアからの輸入肉と競合する意味から、両者に類似の周期がみられた

ことは興味漂い{文献 (7) (8))0

-141・

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第五節若干の帰結と残された課題

オーストラリアのビーフサイクルに関する本稿の分析では次のごとがまとめら

れるe

( 1 )課題[i ]に対して、牛肉価格系列には約 3年周期と約 1年周期および約a月

周期のドミナントな成分変動がみられた。また屠殺頭数の系列については、 10年

周期、 l年周期の成分変動がドミナントであることが示された。

(2 )課題い i]、 [ i i i ]に対して、前節の(i)....(iiilが直撞の帰結であるが、

表現を変えて市場段暗別にまとめると

(a) 3つの周期帯(3年、 l年、 3:b月)の総てについて、屠場一肉牛市場段階では雄

成牛価格系列A仰が器屠殺頭数系列snに先行し、そのラグは、 3年周期の変動成分

で7.1カ月、 l年周期のそれで 5.28:b月、 3iJ月周期のそれで0.0889カ月(これは殆どラ

グなしとみなしてよかろう)となっている。

{b)との2系列 (AOP-STN)と牛肉卸売価格系列),[BPとの関保については3つの周

期帯で各々異なる。つまり 3年周期の成分変動においては明確な関係は得られず、

l年周期の成分変動においては、 8TH系列にKBP系列が2.41:b月遅行しているのに対

し、 3:b月周期の成分変動においてはXBP系列がAOP系列に O.7851;1月先行している@

この (a)と(0)について換書すると、短期的な 3カ月周期の成分変動では、需要倒

の要因が強〈作用し消費者に近い倒の価格系列から生産者に近い系列へと変動が

誼及しているのに対し、 l年周期の成分変動では、逆に生産者に近い倒の価格系列

から消費者に近い系列へと変動が漣及する傾向のあることが示される。

(3 )課題[i v] に対して、 3つの時系列にみられた周期性は、アメリカでの分析

結果(第 l節参照)と類似しており、また 3カ月周期の成分変動で肉牛価措が器屠殺

頭数に僅かながら先行している点もアメリカでの分析結果に類似している。第2節

で示した知〈、オーストラリアの牛肉の 50%強が輸出に回り、その涜通経路も輸

出業者による垂直的統合が進みつつあるという現状かちして、輸出先の園内での

ビーフサイクルが輸出需要の変動を通じてオーストラリアに反映されているとと

を推測させる(輸出需要連動型サイクル)D だが他方で生産期間の異なる多種の

牛肉の異質な謹動が複雑に緒み合っているオーストラリアのビーフサイクルには、

アメリカやカナダには見られない周期帯にもドミナントな成分変動が蔑っか見ら

れた(圏内動向連動型サイクル)D この様にオーストラリアの事情はとれら両国

ー142・

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とは遭って極めて複雑であり、これらの聞の連関性について明確な帰結を本稿に

求めることは難しいけれども一応の対応関係のあることが確認される。

なお、残された課題として攻の点があげられる@前述した如〈オーストラリア

では各州ごとに輸出依存度が異なり、また肉種ごとに輸出比宰が異なっている。

それ故、州別のデータで肉種別に分析することにより、輸出先の圏内におげる諸

変動がどの様にオーストラリアに披及しているかを検討することが差し当たって

残された課題である。いま 1つの課題はランニングスベクトルという操作を用いて、

政策変化のあった時点の前後でデータを区切り、その周期性およびラグ構造の変

化を判定することである。引き続き別稿で分析したい。

〔参考文献〕

( 1 ) 岩田暁ー『経滑分析のための統計的方法 J (東洋経済新報社、 1967年)。

( 2 ) 森田恒三『経済変動の統計的分析 J (1965年)。

( 3 ) 藤井光昭『時系列解析 J (コロナ社、 1974年)。

(4) }(eyer R. A. 1 ・iile-InvariantLinear Filters for Seasonal Adjust-

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prepared for an Ioternational Symposi辺111 on the problems concern-

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(5) .Tokyo.

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会、 1917年3月および同研究会報告資料)。

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易への制度酋的接近ー一一(r農林業問題研究』第 46号、 1977

( 9 ) 轟田恒三『統計概論{新販)J (日本評論社、 1965年)。

-143・

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vL5h

( 10)朝日新聞社『牛肉ーーその高値構造を斬る一 J (1976年)0

( 11)貿易 E日通信社『飼料・畜産一価格変動予測事典 J (1977年)0

( 12 )国際食糧農業協会「世界食肉経済 J (1966年)。

(13) Granger. C. W. J. J and Ne,bold. P., Forecasting !conollIc TIle

SeriesJ Acadelic Press, 1977.

( 14) 曹illk 5 , S I S I J l{a t h eJ a t i c a 1 S t a t i s t i cs I J 0 h n W i le 1 J 1 9 6 2 I

S 旬、

ー‘ : ~明司 齢 ' ,:; ~, ,、

b ... 司百4

三副

ーlH・

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第四章、オセアニアにおける一次産品貿易の動向と輸出多角化政策

第ー節、課題と背景

ー国の経済発展におげる一次産品貿易の役割が論じられてから既に久しい。そ

の主たる関心は開発途上国の開発轄略との関係において展開されて来た。つまり

一次産品の交易条件が長期的に低下領向にある中で、輸入代替的工業化政策をと

るか、 あるいはスタテイヲクな比較彊位誼に従って、輸出産業としての一次産品部

門に特化すべきかといった語論である。 こうした問題は、開発途上国のみに見ら

れる技況ではなく、外貨獲得の手段を一次産品輸出に頼る多〈の国々に共通する

問題である。オーストラリアおよびニュージーランドは、一時は世界最高の生活

水準を記録した先進国ではあるが、その後の国際農産物市場の低迷により長期的

に経済成長率を低下させて来た。その意味で諜刻な一次産品問題に直面する農業

先進国の典型をなしている。こうした状況に対して両国は異なった打開策を槽じ

つつある。すなわち、オーストラリアは輸入代替的工業化を進めるのに対して、

ニュージーランドはその最も比較優位の強い輸出農業部門の強化を図ろうとして

いるのである.

このように両国の軽済発展戦時は異なるが、 その資混賦存杖況から判断して長

期的には両国とも輪出依存型の尭展戦時を志向せざるを得ない状況に置かれてい

る。 しかし、国 4-1に示すように、最近 20年聞この両国の輸出器額は世界全体の輸

出の成長を下回って推移して来た。 こうした技況を考慮して、両国の貿易の動向

とその規定要因について定量的な分析を試みることは極めて有意甚なことと思わ

れる。そこで本章では以下のことを課題としている。すなわち、

(i )載慢におげるオーストラリアおよびニュージーランドの食糧・資器貿易の

動向を検討すること、

( i i )特に 196 0年以降の 20年聞にお付るオセアニア両国の輸出成長を世界全体の

輸出の伸びと比較することにより、その輸出成長パターンの規定要因を分析

すること、

(i i i)さらにとれに基づいて貿易シェアの見通しを行うと共にそれから導出され

る若干の政策的語圏(主に輸出多角化政策)について検討すること、

以上の点を主たる分析目的としている。本論に先立って歴史的推移を概観する

畠 145-

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国 4ー1 オセア=ア両国と世界の輸出成長

10億usドル(片対散目盛)

z∞o

1,∞0 800 600

400

200

AUnunUAu

m

8

6

4

20

0.2

, , , , , ,.

---・ーーー

4F

AF

0.1

出所:文献 (5).

圃 146・

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ことから始めよう。

イギリス人による入植以忠ごの両国は専ら、イギリスへの一次産品輸出を経

済発展の原動力として来た。初期の頃は羊毛を中心とする牧羊業を主要な産業と

し、 1 g世紀半ばの食肉冷車輸送船の発明をきっかげに、羊毛から羊肉へとその比

重を移して来たが、依然として牧羊業の重要性は低下することなく、 いわゆる「

羊の背にのるラッキー・カントリー」として経済成長を開始したのである。

1 9 6 0年代になって合成繊維の出現により、羊毛の国際価格が暴落するにつれて、

羊毛部門は次第に斜陽化し、羊餌蓑頭数も減少し始めた。 こうした傾向の中で羊

肉部門も従来ほどの活況を呈さなくなって来たのである。

オーストラリアの場合はこれに代わって所得弾力性のより大きな牛肉部門が成

長産業として飛車的な抵大を遂げるようになったのである。表 4-1に示されるよう

に、集計的な農業生産は過去 30年聞に年車約 3%で成長してきた。その中で、牛

肉、小麦、米などが次第に成長率を高めてきており、逆に羊毛、羊肉、酪農など

は成長車を低下させ、最近の 10年間ではマイナス成長を示している。

またニュージーランドの場合には、脱脂粉乳、 カゼインなどの酪農部門が急速

に成長してきた。表 4-2に示すように、集計的な農業生産は同じく過去 30年聞に約

3.7%の車で成長しており、オーストラリアよりも若干高い伸び華を示しているが、

前述の酪農晶や木材・水産物を除くと殆どの農産物で成長宰が低下して来ている

ことが分かる。

過去に探用されて来た両国の一次産品政策は、①食糧・責涯開発政策と②食糧

・貰諒輸出政策とによって特慣づげられて来た。前者としては特に、オーストラ

リアにおけるスノーウイマウンテシズ計画(1 )やマレー川、マランビジー川涜域の

大規槙種概事業が有名である,これによって、大陸東南部の小去を初めとする韓

親地帯が拡大され、放牧と耕種作物との混合農業地帯が兜展して来たのである。

現在、オーストラリアの農牧地帯は、東南泊岸部と西南沿岸部とに位置して肥訴

な土壇に恵まれる「多南地帯」と、内陸部の砂穫の周辺地域に位置して広大では

あるが地力の癌せた「放牧地帯」、および両者の中聞に位置して安定的に高い生

産性を誇っている「小麦・羊地帯」の三つの農牧地帯に区別される{図 4-2) 0 4.....の

「小麦・羊地帯』は主として大規槙な漕概事業により、 もともと水の少ない半乾

蝿地揖に多〈の作物を導入して開発された地帯である。その棲新たにマメ科牧草

-147・

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1952/53- 1960/61- 1970/71- 1952/日~1959/60 1969/70 1978/79 1978/79

麦 -1. 8 5 , 4 6, 1 4. 1 樟 2. 6 7. 0 3. 1 L 4 毛 4. 2 1. 9 -3, 1 0.8

肉肉2. 8 2 . 7 8,5 3, 9 5. 3 1. 2 -9, 1 0, 8

羊肉 5. 0 3 , 8 -4, 3 2, 8 乳 1. 9 1.6 -4. 5 0,2 肉 2. 8 5. 0 -O. 2 3, 7

7 , 5 g. 3 1 0, 0 7.8 粒鞍物t豆、 燕麦、 トウモ百コシ] 4. 6 2 , 7 0, 6 4.7

k農業生産 2, 9 3, 4 1. 9 2, 9

S) 年来{単位:オーストラリアにお付る農業生産の成長率表4-1

4砂羊牛羊子牛露米粗{

オーストラリア第一次産品省農業経清局「才一ストラリアの農業生産、輸出、所得および価指 J (各年版)

出所:

1951/52 ..... 1960/61 ..... 1970/71- 1951/52 ...... 1960/61 1970/71 1980/81 1980/81

麦 4. 84 2. 85 。‘ 02 3, 03 麦 2, 85 4. 01 -2 , 40 1. 20 類 4. 87 10, 47 0,49 7, 32 ャガイモ 5, 8 9 O. 84 -0, 05 2, 38 肉 2, 7 5 1. 82 2. 92 6, 38 牛肉 0, H ー1.24 ー1.80 -0, 67 肉 2, 65 2. 35 -0, 20 0, 94 羊肉 3, 33 2, 97 1. 86 3, 1 6 肉 O. 1 5 1. 01 国 2,3 1 -0, 37 毛 5, 08 2.50 1. 51 3. 84 ター 1. 01 0,84 1. 63 1. 37 ーズ 1. 18 -4, H -2. 05 ー1.83 脂掛乳 3,45 2. 26 4. 72 4. 02 ゼイン 3, 63 1. 88 8, 93 5 • 5 1 材 L 58 S, 1 9 8, 6 1 6, 12 産 4. 38 4. 64 5, 07 4. 69

量島業生産 0, 66 S. 20 S. 29 3. 7 1

出)年車{単位:ニュージーランドにおげる農業生産の成長率表 4-2

小燕豆ジ牛子羊子豚羊J

チ脱カ木水

献文

出所:

従来の休閑地を廃して鞍作と家畜飼養との兼営が可頼が採用されることとなり、

積物と羊毛あるいは羊肉との相対価格や収益性の

経営

このことにより、

如何に応じて経営部門の比重を適宜変えるなど危険の分散を図る道が閲材、

-148・

龍となった.

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の安定化に大きく貢献して来たのである。

また鉱業部門は内陸部や西オーストラリア州を中心に石炭、鉄鋼、 ウランなど

の開発が急速に進められて来た。そのかなりの部門が日本の開発輸入投資により

促進されて来たことは周知のとおりである。

他方、ニュージーランドの農業開発は 18 1 J年に牧師マースデンが欧州より最初

の家畜を導入したことに始まるが、南島では主に羊毛と肉畜農場が開拓され、 20

世紀に入って北島を中心に酪農部門が急成長して来た。その開発は、先住民族マ

オリ族から土地を買収し、開拓農民に安〈払い下げるという形で進められた。そ

の際、オーストラリアが一部にアメリカ的な資本家的大土地所有経営の道を辿る

傾向があったのに対して、ニュージーランドでは、 ヨーロッパ的な家族経営によ

る自作農主義が貫かれて来た。 また降雨量が比較的多いため、大規模な港概事業

よりも草地改良、土壇保全という形で、南島東倒の平野部から北島の E陵地帯に

至るまで開発が進められて来た。(図 4-3 )。

しかし、 19 60年代以降の世界農産物市場の過剰基調が漂刻になるにつれて、輸

出の伸びが鈍化し、圏内でも非効華的な未開発地輔の経済関莞や補助金交付に反

省が求められるようになって来た。

こうした風潮の中で、農産物輸出政策がより重視されるようになって来たので

ある。周知の通り、 この両国においては、農産物の涜通、販売、輸出等のかなり

の部門は各種のマーケテイングボードにより遊行されて来た。現在では、殆どの作

物ごとにマーケテイングボードが組構され、 その揖能も市場開発や研究調査等も含

めてますます多様化しつつある。マーケテイングボードの多〈は、 1 9 J 0年代の不況

期に次々と樹立されたが、 中でも食肉ボードと小麦ボードとは長い歴史をもって

おり、積極的に輸出政策に関与している。にも拘らず最近 20年間、 ごの両国の輸

出は世界全体の輸出の伸びを大き〈下回ってきた。前掲図 4-1に示すようにその傾

向はニュージーランドの方がオーストラリアよりも探刻である.そこで本分析で

は、こうした輸出の鈍化が知何なる要因によってもたらされたかについて検討し

てみることにする。 まず、分析に先立って、 2節で両国の経済と一次産品

-14ト

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図 4-2 オーユトラリアの主要島牧地帯

出所:捕前「ォ-;1..トヲ 97,:::.ーージーヲ γ ドにおける羊肉

産業の1十Ltftii町分析J(f'員集m合研究J第 3i巻M3号,昭

和58年).

国 4ー3 ユ",-:;)ーラγ ドの主要量牧地帯

出所:図 4-2に同じ,

屋書集約的酪EEヨJlH~的酪Q&ぴ仔羊記育E司集約的i子羊E宵互二守底京苗仕上げ豆宵,

坦量的性古田!m(.) :羊且ぴ牛生者E羽 (b)良質羊毛生産圃圃集約的園芸.c.t{E]集約的世合皇軍Eコ未聞知色(山岳地苦など)

-150・

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部門の動向について概観しておこう。続く 3節では、輸出鈍化傾向の規定要因に

ついて cxs分析により検討する。なおデータの制約からこの分析による検討はオー

ストラリアのみを対象とした。 さらに 4節では、最近急速に貿易パートナーとし

ての重要性を増して来た日本との関係に注目し、 その貿易行動の特性および日本

と両国との聞の貿易シェアの見通しについて検討する。最後に 5節において、以上

の分析の帰結について要約する。

註{l)オーストラリア大陸はもともと山が少なく、僅かに低い山が東海岸沿い

に南北に偏って走っているに過ぎない。その上、殆どの河川は海岸線の

方へ涜オl、 内陸部は砂漫の乾燥地帯となっていた。 スノーウイマウンテン

ズ計画は 19 6自年初頭に実施され、海岸への河川の涜れをせき止めて内陸

部へ逆涜させたもので、 当時としては世界最大級の土木工事であった。

他に大きな漕概事業としては大陸北西部の熱帯地曜に実施されたオルド

川地輔の事業が有名であるが、 との方は熱帯特有の生態系の問題から導

入された殆どの作物が失敗に終っている。

第二節、オセアニア両国の産業構造と一次産品貿易

(1) 両国経清にお付る一次産品輸出の比重

まず、オーストラリアの産業構造を概観することから始めよう。表 4-3の左倒は、

オーストラリアの圏内総生産 (GD P)に占める各産業部門の比重の歴史的推移を示し

たものである@戦後しぼら〈、圏内総生産に占める農林水産業産出高の比重は 20

%前佳を維持していたが、 その後ほぽ一貫して低下傾向をたどり、最近では 7%前

憧に落ち着いている。

この問、製造業の比重も I949年の 26%から 19%へと低下傾向をたどっているが、

同じく非農業部門の中でも鉱業の比重は、 1980年代までは 2%前後であったもの

が、 1979年以後、 5 %前後までその比重を高めてきていることが知ちれる。この

事情は、 日本の高度経済成畏に伴い鉄鋼その他の鉱産物の輸入が I960年代後半に

急撮に増大したことによるところが大きい.

産業構成の変化において特に注目すべきごとは第 3次産業の比重が一貫して上

昇していることである。近年では 70%前後を占めるに至っている。

-151・

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表 4-3 オーストラリアの産 業 構 造

圏内総生 国内総生産に占 器輸出 る輸出に占め」産(百万 める比車百 額 比率目豪 $) (百万

農 鉱 製 第 豪$) 農 鉱 製林 業 Z、a旦z 一 林 業 RY三K

水 業 次 水 業産 産 産業 業 業

9H 4. 031 2 1 2 6 50 1.075 8& 6 50 4. 837 2 5 2 5 4B 1. 2 1 7 9 0 5 1 6. 585 29 24 1. 9 5 1 92 4 52 6. S 5 3 1 9 27 52 1. 334 H 8 53 7.5(3 2 1 26 5 1 1. 7 2 7 84 54 8. 109 1 S 27 5 2 1. 6 4 0 85 55 8.743 1 6 2 S 54 1 , 5 3 2 84 10 56 9. 48 3 1 6 28 5 4 1. 536 83 8 57 10.236 1 7 2 28 53 1. 95 S 8 1 B 11 58 10.267 1 3 2 9 5 6 1. 606 80 1 3 59 11.137 1 4 2 9 55 1 , 5 9 0 a 1 1 3 60 12,211 14 2 9 55 1. S 3 9 8 1 1 3 6 1 1 L 9 S 2 1 3 2 9 56 1. 58 5 7 5 1 7 62 13,335 12 28 58 2 J 1 0 1 7 9 14 63 14.446 27 2. 1 06 7 9 7 14 64 16.074 26 5 S 2. 727 80 • 13 65 17.640 1 2 27 5 9 2 • 52 8 76 1 5 66 18.403 10 2 , 6 1 2. 638 71 1 1 18 67 20.416 12 2 2s 60 2. 9 3 6 69 12 1 9 6 S 21, 736 8 27 6 3 2 • 9 3 5 64 1 6 20 6 9 24.66B 1 0 2 6 6 2 3. 24 5 58 20 2 2

27.369 8 3 26 3. 9 6 6 54 2 4 22 7 1 30.313 2s 65 4, 201 52 2 6 22 72 33.835 A 24 6 5 4 I , 19 5 2 25 23 73 38.486 23 65 5 , 96 1 57 2 2 2 1 74 45.967 23 64 6 I 67 3 54 2 4 2 2 7 5 55.0BB 22 6 7 8,420 4B 28 24 76 6 L 127 4 2 1 ~~ I .~.~Q~ 47 3 1 22 77 73.300 4 2 1 69 i 11,3S0 n 3 1 22 7 B 79,603 2 1 70 11,878 46 3 1 23 79 88.984 1 9 6 9 13.785 4s 28 2 7 80 99.959 1 9 70 18.221 47 2 5 28 81 119.913 1 9 7 1 18, H 9 4s 31 24 82 135,096 4 1 9 7 2 19¥294 43 34 2 3 83 146,962 a 1 8 7 3 21,454 37 3 9 24 84 166,171 1 8 7 2 24,013 37 39 24 85 183,098 1 8 72 29,707 37 41 22 86 202,397 ー ー . 32,820 37 40 23

一一一一』ーー

オーストラリア統計局、農業経済局および貿易賀課省、rオ ーストラリアの経済と農 業 J (シドニー大学出版会)

出所:

-152-

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表4.-4 ニュージーランドの産業構造

圏内総生 圏内総生産に占める比率 韓輸出 輸出に占的る比率目産{百万 額NZ$) {百万

農 鉱 製 第 KZ$) 農 鉱 製林 業 造 ー 林 業 辺、'lJO三

‘ 水 業 次 水 業産 産業

産葉 業

H9 9 6 4 2 S. 6 1. 4. 2 1. 7 50. 2 292 98. 9 0.47 O. 5 50 1,087 4. O. 4. 1. 5 2 1. 2 36. 8 364 98. 9 O. 7 1 0.2 5 1 1, 3 3 3 48.8 1. 4 2 O. 1 29. 6 492 9 g. 3 O. 36 O. 2 5 2 L 500 3 5. 5 1. 2 20. 3 42. 9 476 9 9 • 3 0.37 0, 2 53 1, 523 4. O. 9 1. 4. 20. 8 36. 8 4. 6 6 99. 4. O. 1 7 0.4. 54. 1, 606 4. O. 7 1. 3 22, 4. 35. 5 484 98, 2 0, 20 1.5 55 L 927 3 5. 3 1. 4 21. 8 41 . 4 5 1 4. 9 8且 9i O. 11 O. 9 56 2 , 01 5 3 3. 9 1. 6 22, 1 4. 2, 3 550 9 8. 6 0, 10 l. 2 57 2, 07 9 ~ 5, 9 1.8 22, 0 40, 2 548 98. S O. 10 1. ~ 58 L 265 3 2. 3 1. 6 22. 5 43,4. 495 98. 8 O. 08 1.0 59 2, 2 9 6 30, 7 1.6 23‘4 44,2 58 1 98, 7 O. 13 1. 0 60 2 I 338 33. 6 1. 6 25, 0 39‘7 5 9 9 98, 7 O. 13 1. 1 6 1 2 I 7 1 2 2 B. 6 1. 5 24. 2 4. 5. 6 560 99, 0 O. 10 0,8 62 2, 814. 25. 9 0, 8 26, 1 47. 1 568 98, 9 0, 07 1. 0 63 2 I 949 2 6. 9 O. 9 26. 1 45. 9 62 0 98, 7 0, 06 1. 1 64. 3 I 2 11 28, 9 0, 8 27. 6 4. 2. 5 728 98. 5 0, 02 1. 4. 65 3,506 27, 4 1. 0 27 , 6 43. 9 7 3 ~ 97. 7 0, 02 2, 2 66 3 , 939 26. 3 O. 8 28, 1 44. 6 75 S 97. 0 O. 02 2, 8 67 4, 058 2 L 7 O. 8 28, 4 46.0 112 9 6, 1. O. 01 3, 8 6 S 4.141 24.0 O. 8 28. 4. 46.7 804 9 5. .( O. 01 4.5 69 4, 29 9 25. 0 O. 8 2 9 . 4. 4(.7 9 6 8 93. 8 日‘ 02 6. 1 70 4, 7 59 22. B 0.7 30. 4. 45. 9 1, 064. 92. 1 0, 01 1.8 7 1 5 , 5 1 7 20. 6 O. 6 30. 1 48.5 L 108 91. 2 O. 01 8. 7 72 6, 47 8 2 1. 1 O. 5 29. 1 4S. 1 1, 346 90. 3 O. 01 9. 6 1 3 7 , 386 25. 2 O. 5 29. 4 44.1 1, , 5 B 9 O. 1 O. 02 9. 8 14 8,145 2 1. 9 0, 5 28, 7 48.8 1, 74 6 B 7. 3 O. 09 1 2. 6 75 10,820 8.6 O. 4 2 1. 5 6 9 . 3 1, 558 83. 7 O. 0 1 16.2 7s 11, U 7 1 0, 5 O. 3 22 • 4 66. 7 2 , 81 5 65. 5 4. 19 30. 2 77 13,809 1 1. 7 0.6 22 • 9 64. 7 3,228172.2 3 [ 9 8 23, 6 7 6 15,211 1 O. 5 1. 2 22. 2 66, 0 3, 3 1 3 69‘4 3. 98 26, 5 7 9 17,5 U 1 l. 0 O. B 2 3 • 0 65. 1 4, 067 70. 3 4. 3 9 2 5, 2 80 201966 1 2. 7 O. 8 23. 2 63. .( 5, 152 6 g. 9 3. 72 26. 2 8 1 24, 127 11. 2 0, 7 23. 2 64‘8 6 I 035 68, 2 4. 10 27. 6

出所:文献 [5],[6], [14], [15] より作成.注) .小数点以下第 2位または第 3位を切り捨てた為,比率の和が 100になら

ない箇所もある。 鉱業部門については、 1 97 5年以前と以後とではデータソースが異なることによる不連続があるので註意を要する.

曹 153・

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以上の様に国内総生産(G D P )に対する比重としては、農林水産業の重要性は非

常に小さく、先進国車業という最近までのオーストラリアのイメージとは大きく

か付腫れている。 この事情は各産業の就業構造比率でみても同様である。

表 (-3の右倒は、オーストラリアの器輸出額に占める各産業輸出額の比重の歴史

的推移を示している。前述と同様に農林水産業の比重は低下して来てはいるもの

の依然として 50%前後を維持している。 19 50年代初めには、 ごの比率は実に 92%

にも遣しており、農林水産業は外資彊得の殆ど大部分を担っていたことが知られ

る。この状況が急敢に低下し始めたのは、 19 6 0年代前半であるが、 この時期は、

ちょうどアメリカを初めとする主要輸出国において穀物過剰が深刻化して来た時

期であるe 輸出総額に占める農林水産物輸出の比率が 7096を下回ったのは、 アメ

リカが過剰履物処理として撞助輸出の強化を握言した「平和のための食糧法」の

制定された年の翌年であり、 またこの比車が 50%を下回ったのは、 アメリカが自

固に累積する過剰穀物の受付皿として各国に 6¥ 000万トンの張物在庫を負担させ

ようとした例の「キヲシンジャー提案 Jが発表された年(またこの年は、石油ショ

ザクの尭生した年でもある)の翌年であり、イギリスが正式に KCに加盟した年の

2年後でもある。そして更に、 日本との関係でいえぽ、 この 1S 75年という年は、

日本が「牛肉輸入を突然停止」した年でもあり、 2年後に紛争を生じた日豪砂桔

協定の締結された年でもあった。 このようにオーストラリアの器輸出収入に占め

る農称水産業の比重は国際農産物市場において大きな変動が生ずる毎に、 その比

重を一段と大きく低下させてきたのである。

一方、鉱業部門および製造業部門の比重はほぼ一貫して上昇して来ており、現

在では、両部門とも 28%前後となっている。製造業部門の拡大はほぼ連読的に生

じて来たが、鉱業部門の比重の飛毘的な甚大は 1960年代後半にやや不連続な形で

生じている。

以上のように、オーストラリアの産業構造はニ面性をもっている。つまり圏内

的な産業構造面では第 3次産業を中心とする非農業国であるが、対外的な貿易構

造面では依然として農業固といえるのである。

表 4斗に示されるように、 この事情はニュージーランドにおいても同樟であり、

事〈の先進農業国に共通して見られる特徴である。なお、ニ江ージーランドの場

合には、 GDPに対する割合でみても総輸出額に対する割合でみても、農林水産

-154・

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業の比率はオーストラリアよりもはるかに高く、逆に鉱業部門の比率はきわめて

低いことが知られるa さらにオーストラリアでは鉱業部門の比重は GDPにたいして

(総輸出額に対しても)上昇していたが、ニュージーランドでは GDPに占める鉱業

部門の比重は低下傾向にある。

( 2 )一次産品輸出の動向

衣に両国の一次産品輸出の動向について検討しておこう。表 4寸は、オーストラリ

アの主要一次産品輸出額の全商品輸出額に占めるシェアの歴史的推移を示したも

のであるCI 1 9 7 7年まではー貫して、全商品輸出額に占めるシェアにおいて第 1位

を占め、 1 96 7年までは誌額の 3-4割を占めてきた羊毛も、それ以後は 1IfJ前後ま

でシェアを低下させてきていることが知られる。小麦についても 19 5 0年代に入っ

て、以前の 17%台から 10%前後へと後退してきているが、砂糖は、多くの輸入国

との聞で長期輸入契約の成立した 197 0年代後半にし 3%のシェアを記録したのを

除くとし 4-3.7%のシェアで安定している。

逆に牛肉は 1960年代後半よりその比重を大き〈のばし、国際市場の変動が濫し

かった 1970年代佳半をのぞくとし 1-7.5%前後で推移している。 また羊肉に代表

されるその他倉肉は、羊毛の場合と閉じ〈ほぽ一貫して低下傾向を示している。

これは、特に 197 0年以降は羊飼養頭数自体が誠少して来ていることによっても示

されるように輸出余力が低下する傾向にある=とを反映しているa

青果物および酪農品のシェアは、年度毎に大きな変動を示しているが、長期的

には低下傾向を示している。特にバターとその他酪農品は輸出額の絶対水準も低

下していることが分かる(輸出額はこれ以外の品目については総て増加している.

各々の主要農産物が以上のような傾向を示していることから、農産物全体とし

ての輸出額のシェアも一貫して低下しており、最近では 45%前後となっている。

これは既に表 4-3でも示した通りである。

なお、ニュージーランドの場合について、 その一次産品輸出の全商品輸出額に

占めるシェアの推移は表ト6に示される通りである。脱脂粉乳、 カゼインや木材、

パルプおよび水産物がシェアを高めているが、 それ以外の一次産品の輸出シェア

は殆どが低下傾向を示している.

また、オーストラリアで重要輸出農産物であった砂簡や小麦は、ニュージーラ

ンドでは全〈マイナーである,その圏内消費をも完全には自給できない状態にあ

-155・

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表 4-5 オーストラリアの主要農産物の槍出額 (3年平均〉とその割合 〈単位:官万華淵s.%)

-ーーー一ー1937-39 1947-49 1955-57 1965-67 1975-77 1979-81

-ーーーーーー毛 107.6 ( 39.9) 352. 1 ( 42.6) 816.4 ( 49.7) 789.3 ( 28.9) 1,064.2 ( 10.9) 1. 744 ( 9.2)

(小麦扮〉 43.0 ( 16.0) 141.1 ( 17.0) 142.3 ( 8.7) 336.3 ( 12.3) 971.4 ( 10.0) 2.174 ( 11.5)

寝 7.9 ( 2.9) 1l.8 ( 1.4) 56.5 ( 3.4) 102.0 ( 3.7) 517.3 ( 6.3) 667 ( 3.5)

肉 9.3 ( 3.5) 11.1 ( 1.3) 45.1 ( 2.8) 203.9 ( 7.5) 477.2 ( 4.9) 1. 269 ( 6.7)

E 食肉 12.8 ( 4.8) 25.3 ( 3.1) 54.6 ( 3.3) 76.5 ( 2.8) 188.7 ( 1. 9) 281 ( 1. 4)

物 11.0 ( 4.1) 13.1 ( 1.6) 56.4 ( 3.4) 94.8 ( 3.5) 95.3 ( 1.0) 188 ( 0.9)

F ー 21. 7 ( 8.0) 38.5 ( 4.7) 53.8 ( 3.3) 63.3 ( 2.3) 45.2 ( 0.4) 39 ( 0.2)

酪食品 4.9 ( l.8) 27.4 ( 3.4) 40.3 ( 2.4) 62.4 ( 2.3) 143.0 ( 1.4) 87 ( 0.4)

量産物輸出 13.0 (ι8) 77.1 ( 9.3) 98.5 ( 6.0) 197.9 ( 7.2) 739.0 ( 7.5) 1. 309 ( 6.9)

a組出 11 231.2 ( 85.8) 697.5 ( 84.4) 1. 364.5 ( 83.0) 1. 926.5 ( 70.5) 4.342.3 ( 44.3) 8.臼3 ( 45.2)

出 額 269." (100.0) 826.9 (100.0) 1.644.1 000.0) 乙733.0(100.0) 9,808.0 000.0) 18.881 (100.0)

I面表 4-3同じ・

表 4-6 ==-~ージーランドの主要量産物 の輸出額とその割合 (単位:官万NZ S)

19~0 1950 1960 1965 1970 1975 1980

羊 豆国王 33.0 ( 22.9) 149.0 ( 40.9) 204‘0(33.7) 208.0 ( 28.0) 204.0 ( 18.7) 261. 0 ( 16.1) 930.0 ( 18.0) 草 肉 27.8 ( 19.3) 45.5 ( 12.5) 97.2 ( 1ι0) 134.9 ( 18. n 182.8 ( 16.8) 238.6 ( 14.7) 583. 8 ( 11. 3)

ヰ 肉 5.9 ( 4.1) 7.0 ( 19.3) 44.0 ( 7.2) 57.0 ( 7.6) 154.0 ( 14.1) 161.0 ( 9.9) 528.0 ( 10.2) 1-、 ~ ー 36.0 ( 25.0) 71.0 ( 19.5) 100.0 ( 16.5) 119.0 ( 16.0) 109.0 ( 10.0) 122.0 ( 7.5) 360.0 ( 6.9) 1- ー ズ 16.0 ( 11.1) 29.0 ( 7.9) 37.0 ( 6.0 40.0 ( 5.3) 44.0 ( 4.0) 48.0 ( 2.9) 105.0 ( 2.0)

R 宿 勧 乳 0.8 ( 0.5) 6.6 ( 1.8) 11. 0 ( 1. 8) 18.0 ( 2.4) 31.0 ( 2.8) 103.0 ( 6.3) 214.0 ( 4.1) tI 品i:! イ γ 0.1 (0.06) 1.3 ( 0.3) 8.4 ( 1.3) 16.8 ( 2.2) 25.0 ( 2.3) 14.6 ( 0.9) 112.0 ( 2.1) 牧草・ 租 手 0.7 ( 0.4) 4.1 ( 1.1) 3.3 ( 0.5) 2.0 ( 0.2) 3.5 ( 0.3) 9.7 ( 0.5) 13.9 ( 0.2)

:-'ゴ 0.4( 0.2) 3E0317fO)5MM) 8.8 ( 0.8) 19.3 ( 1.1) 35.7 ( 0.6) 材木・パルプ 0.3 ( 0.2) 0.7 ( 0.01 9.7 ( 1.6)1 11.1 ( 1.4) 41.2 ( 3.7) 71.4 ( 4.4) 24i.0 ( 4.7) その他の岳遭物輸出 16.2 ( 11. 1) 42.4 (11.6)! 30.7 ( 5.0)1 42.6 ( 5.7) 122.7 ( 11.2) 572.4 ( 35.3) 425.6 ( 9.8)

圭量章勧愉出 l1372〈白 355.0 ( 98.3)1 550.0 ( 91.0)1 655.0 ( 88.2) 926.0 ( 85.2) 1.370.0 ( 84.5) 3.605.0 ( 69.9) ま 愉出額 I143.5 000.め 36.LQ 000.0)1 604.0 (100.0)1742.0 (100.0) 1. 086.0 (100.0) 1.621. 0 (100.0) 5.152.0 (100.0) ー'出所表 4-2同じ・

-156・

ιー

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1935...... 38 1946-48 1954-56 1964-66 1974......76 1980..... 8

毛 33, 3 38, 8 0.6 50, 0 6 L 9 65, 1

麦肉 {小麦掛) 16, 1 8 I 9 9, 7 11. 2 10, 0 1 0, 5 14. 7 11. 7 19 I 3 20, 1 20, 0 1 9 , 3

肉 25, 9 11. 6 1 2, 1 11. 3 1 7 , 7 1 7. 1 ター 1 6. 2 22. 5 14, 0 13 I 4 5. 6 5 . 0 ーズ 3. 1 8. 7 4, 9 4. 5 3. 3 3. 0 槽 4.4 7.4 5.9 6. 7 9. 3 7 . 7 爆果実 17. 2 22. 4 16. 7 1 9 I 3 9, 7 8 , 5

1) (単位:世界輸出に占めるオーストラリアの主要農産物輸出の比車表4-7

羊小牛羊-Jチ砂乾

出所:表 4-3に同じ。註. 各数値は上掲年聞の平均値.

1945 1950 1960 1 9 6 5 1970 1975 1980

毛肉9, 5 14. 3 1 9, 9 1 9. 7 24. 1 25. 7 31. 4 6 I -4 12. 5 10. 1 6. 3 8.4 8. 0 6. 4

肉 59,8 66, 1 73, 8 66, 5 60, 7 58. 2 52. 0 ター 42. 1 28. 5 26. 5 28. 4 21. 7 18 I 2 1 6 I 3 ーズ 31. 3 28. 0 16, 9 1 5. 7 11. 4 6. 4 4. 8 材 パルプ 一 一 0, -4 0,5 0.8 1. 2 1.4

ーー 固・・・圃凹・司・-

1) (単位:世界輸出に占めるニュージーランドの主要農産物輸出の比車表 4-8

羊牛羊ノチ木

-157・

文献 [6] 1[14] I [15] 出所:

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り、部分的な輸入国となっている。 これらを除くと、ほとんどの農産物について、

その輸出商品としての重要性はニュージーランドの方が高い。それ故、 農林水産

物全体としても、器輸出額に占的るシェアが低下しているとはいえ、依然として

10%近くを占めており、 オーストラリアよりもはるかに高い@

表 4-7は、オーストラリアの主要一枕産品輸出の世界輸出に占める比率を示した

ものである。 ここで控目に値するのは羊毛にお付る比車がー貫して上昇してきて

いることである。前述したように、オーストラリアの輸出総額に占める比重は縮

小していたにも拘わらず、世界羊毛輸出に占める比重は拡大していることが知ち

れる。これは、 この問、世界の羊毛輸出の規模が化学掛維などの代替品の出現に

より大幅に縮小してきていることを反映するものである。

小麦は、戦前の 16%に比べると、戦後は比重を低下させて来たが、最近はやや

回復して世界小麦輸出の 10%前後の比重を保っているe また牛肉は、最近では戦

前の 14%を上回って 20%前後で安定している。 しかし羊肉の方は載前の 26%を大

きく下回っており、最近では 17%前後にとどまっている。

バター、チーズなどの描農晶は、鞍後になって鞍前の比重を大きく上回ったが、

それ以降一貫して低下傾向を示し、現在では鞍前の比重をも下回っている。これ

は主として、隣国のニュージーランドからの酪農品輸出との競合によるものであ

る. また乾爆果実も、 これらの酪農品とほぽ同様な傾向を示している。

砂糟は、戦前にお付る比重を大きく上田り、 その使、若干の変動を含んではい

るが、傾向としては世界輸出に占める比重を拡大させてきている。

以上に示したように、羊毛、牛肉、砂楢を除〈殆どの主要農産物について、世

界輸出に占めるオーストラリアの比重は低下して来たのである。

またニュージーランドの一次産品輸出が世界輸出に占めるシェアの推移は表 4-

Bに示される通りである。羊毛についてはオーストラリアと間接な傾向を示してい

るが、やはり他の殆どの一次産品はその世界輸出に占めるシェアを低下させてい

ることが知られる。なお、最近年について世界輸出に占める両国のシェアを比較

すると品目毎にかなり大きな遭いがみられる。羊肉とバターについては 3倍以上、

チーズについては 1f 6倍以上もニュージーランドのシェアの方が高いげれども、逆

に牛肉では 3倍、羊毛では 2倍以上にもオーストラリアのシェアの方が高〈なっ

ている.

-158-

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枕に表 4-9はオーストラリアの主要農産物輸出先の各品目毎の変化を示したもの

である。羊毛については、イギリスおよび ECと北アメリカの比重が低下してい

き、逆に日本やその他諸国への輸出比率が高まっている。 この傾向は小麦および

牛肉の輸出についても同様にみられるが、羊毛の場合と遭って北アメリカ市場が

畳場してくるのはサンプル期間の一部だけである。

羊肉を中,r.とするその他食肉については、 日本市場の比重の都大が著しく、 1 9

65-67年に第 1位を占めていた北アメリカを抜いて (1977-80年は) 36%を占め、

最大市場となっているe

砂曹の輸出に関しては、 イギリスおよび ECの比重が大きく低下し、北アメリ

カと日本とが着実にその比重を増大させている。

また、酪農品、果実、 その他鞍物については、 イギリスおよび ECの比重が一

貫して低下し、 日本の比重が一貫して増大していることは、他の品目の場合と同

様であるが、 アメリカの比重は時期毎に変動的である。

このように表トgに関して注目に値するととは、 どの量産物に関しでもイギリス

および ECの比重は一貫して低下し、逆に百本の比重は一貫して上昇しているこ

とである。輸出相手国としてのイギリスの地位は大きく佳退し、 こと農産物に関

する限り、往時の宗主国として支配関係は殆どうかがわれない.

同様に表ト10は、ニュージーランドの主要農産物輸出先の歴史推移を品目別に

示したものである。やはり殆どの農産物で西欧への輸出比宰が大きく低下してい

ることが読みとれる。唯一の例外は水産物であって 197 0年から 1980年にかけてそ

の輸出シェアを増大させている。

また、オーストラリアの場合以上に、 アメリカへの輸出比宰が殆どの農産物で

顕著に増大していることが注目される(例外は羊毛と水産物のみ)。

さらにニュージーランドから日本への輸出比車は、オーストラリアの場合と遣

って必ずしも顕著には増大していない。逆に誠少しているのは羊肉、謹縮牛乳、

羊毛、林産物と多般にわたっており、 さらに近年、 日本の輸入需要が増大してい

る牛肉の場合ですら、 1970年水準を上回つてはいるものの 19 6 0年代のシェアと比

べると低下している。 日本への輸出シェアが増大した農産物としては、チーズ、

パタ一、 カゼインなどの酪農品と水産物にすぎない。

とのようにニュージーランドの場合には、西欧諸国への輸出のシェアが低下し

-159-

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英国および~~C ~tアメリカ

1947 1965 1977 1947 1965 1977 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

1949 1967 1980 1949 1967 1980

67.76 39.60 30.87 18.23 8. 03 2.77 E紛) 28.93 9.05 0.81 ー ー ー

80.65 31. 27 4. 65 一 56.94 56.65 ロロロ 73.47 34. 09 14. S3 1.48 36. 97 10. 80

65.40 41. 78 3.73 6. 16 25. 62 36. 40 89.00 70.94 11. 66 0.89 O. 55 4.79

農品 34.15 16.36 0.23 ー 2. 59 2.40 57.~2 66. 12 40. 05 11. 42 11. 18 16. 89

拘 61. 70 39.26 18. 13 0.01 O. 68 O. 12

(1947・1980) (単位:I) 才一ストラリアの主要農産物輸出先表4-9

ヰ肉その他食砂糖

そ果実そ

日 本 その他諸国

1947 1965 1977 1947 1965 1977 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

1S49 1967 1980 1949 1967 1980

1. 07 32.77 32.04 12.94 19.60 34.32 i小麦粉) 0.67 I 6.54 12. 83 70. 90 84. H 86.36

1. 99 1. 97 12.39 17.36 9.82 26. 31 他食品 ー 14. 66 35.90 25, 05 14.28 38. 77

0.47 24. 13 32.14 27. 97 8.47 27. 73 ー 0.37 2.50 5.04 9.14 26, 01 78.51 他酪農品 0.25 13. 09 22.38 65.60 67. 96 H.99

一 O.H 4.84 31. 26 22, 25 38.22 他意物 O. 17 18.09 47. 56 38. 12 41. 99 34. 19

粍・4牛

時-J

そ賠そ

出所:表4-3に同じ.

ヨーロッパ アメリカ 日 本 そ の他(ソ連を除く)

196011970 1980 1960 1970 1980 1960 1970 1980 1960 1970 1980

6, 0 7, 8 3. 1 81. 4 50.2 68.9 2, 9 2. 14 2.6 9.2 39.8 25.4 9 O. 7 78.7 5.6 2. 1 3,7 S.8 4.6 15. 1 4. 7 2.6 2.4 83. 9 89. 7 75. 3 14. 8 6.3 11. 0 31. 0 O. 9 6. 7 28. S 3. 0 6.9 25.4 93. S 90.0 59. 6 O. 2 O. 3 O. 9 一 O. 02 O. 2 6.2 9‘6 39.3

乳 71. 6 19. 8 O. 6 一 F O. 6 O. 1 14. 5 4. 7 28.3 65. 6 9-4. 1 52, 5 46. 4 11. 2 34.5 29.7 56.4 11. 6 19. 8 23. 3 1.4 4. 1 9.0 73. 0 64.3 49. 0 16, 4 11. 2 3. 9 3. 8 11. 9 9. 8 6.8 12且 6 31.3 一 2.3 3. 0 ー 72.0 15. 3 一 3.2 30.4 100.0 22. 5 51. 2

82. 9 O. 1 ー 一 一 ー 一 62.-4 49. 7 17. 1 37.51 50•3

(単位 :S) ニュージーランドの主要農産物輸出先表-4-10

牛羊

MN一如何為抽

-160-

注)表←4に同じ.

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てきたことはオーストラリアの場合と同様であるが、 その傾向は比較的緩慢であ

り、 そ の 減 少 した輸出シェアの多くはアメリカおよびその他市場への輸出シェア

の抵大へとつながり、 必ずしも日本への輸出シェアの拡大にはつながっていない

ことが指摘される。

これは、 ニュージーランドの場合、 歴史的に本国イギリスへの依存関係がオー

ストラリア以上に強かったことに加えて、 現在でも市場の多角化を進めているが、

低然としてアメリ力、 カナダその他の欧州系諸国への輸出志向が強〈、 必 ず しも

オーストラリアほどはアジア市場へと移行していないという事情を反映している。

さらにこの遣いは、 ニ ュ ー ジ ー ランドの一次産品輸出額はその規模がオースト

ラリアに比べてはるかに小さいため、 主に欧州系市場だけでもなんとか輸出市場

に販路を見出せたが、 オーストラリアの場合には、 その輸出規模が大きいため、

まとまった輸出需要(の増加) のある非欧州系市場へも移行せざるを得ない状況

にあったことを反映しているものと思われる。

以上のことを背景として 3節でオーストラリアの輸出成長の規定要因について

若干の定量的な検討を加えておこう。

第三節、 一次産品輸出成長の規定要因

(1 )分析方法

ここでは、 オーストラリアの貿易構造が大きく変化した 19 6 0年代以降について、

各商品あるいは各輸入市場におけるオース トラリアからの輸出の増大が、 如何な

る要因によって規定されたかについて若干の分析を行なっておこう。 用いられた

方法は CMS分析 (Costant Market Sh昌re analysis) として良〈知られているもの

であり、 既に多くの学者により詳細な 検 討 が な さ れ て い る (1)。

この分析は、 オーストラリアの器 輸 出 額 の 一 定 期 間 に お げ る 増 加 を 四 つ の 効果

lこ分解して、 その要因としての重要性を評価しようとするものである。 つ ま り以

下の式で示される。

X = gX + L (g i -'g) 1 i ~~(g;j-gi)Lj + ~ L (X'ij-!.j-g;jLd ー "'(4-1

ここで各記号の意味は次の通りである。

ー161・

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1 i =基準 年におげる商品 iのオーストラリアからの輸出総額

1,' =比較 年における商品 iのオーストラリアからの輸出総額

1; =基準年 に お け る 市 場 jへのオーストラリアからの輸出総額

X j' =比較年における市場 jへのオーストラリアからの輸出総額

1 i J =基準年におげる市場 jへの商 品 iのオーストラリアからの輸出額

L に=比較年におげる市場 jへの商 品 iのオーストラリアからの輸出額

x = 基準年における(総ての商品の総ての市場への)オーストラリアから

の輸出総額 (1 =LL=LX;=LLLd

l' 比較年における(総ての商品の誌での市場への)オーストラリアか

ちの輸出総額 (X'= L L! = L Xj' = L L L j' )

g =基準年から比較年にかけての世界輸出額の平均‘成長率 (Xl

gi =基準年から比較年にかげての商品 iの世界輸出額の平均成長率(目)

gi =基準年から比較年にかげ て の 市 場 jへ の 商 品 iの世界輸出の平均成長

宰(X)

( 1 l式の左辺は、対象期間において オーストラリアからの輸出額が増加した額を

示している。右辺の各項は、各々以下 の よ う に 解 釈 さ れ う る 。

{i)第 l項 gX r全般的貿易効果 J

オ ー ス トラリアの輸出額が、世界全体の輸出総額の平均成長率 g と同じ 車

で成長したならば実現したであろうオーストラリアからの輸出の増加額

( i i i第 2項 L (gi-g) L r商品構成 効 果 」

オーストラリアからの各商品の輸出が、 当該商品の世界輸出の平均成長率

g,と同じ率で成長した場合に実現するであろうオーストラリア輸出の増加

額と、 その輸出が世界の全商品輸出額の平均成長華 g と同じ宰で成長した

場合に実現するであろう増加額との差

( i i i )第 3項 LL (gij-gi) X,j r市場配分効果 J

オーストラリアが各市場においてその市場占有率を維持し、かつ、各商品

の各市場への世界成長率 gi jと同じ車で成長した場合に実現するであろう

オ ー ス トラリアの輸出の増加額と、 そのオーストラリアの輸出が各商品の

-162-

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表4-1 1 オーストラリアの輸出成長の要因分析ーー貿易相手国別検討--

日 本 E C イキ'リ1 7γ7・ 7}リカ 計大洋州

豪州の輸出増加 4, 0 1 0, 07 -1. 14 0, 2 1 1. 57 4, 7 2 全般的貿易効果 2, 4 1 2. 02 2, 59 0, 9 2 1. 36 9 , 3 6

商品構成効果 -1. 72 -1. 50 -1 , 50 -0, 35 -0, 74 -6 . 00 市場配分効果 1. 50 -O. 22 -1. 14 -O. 64 O. 43 O. 2 2 競争・残余効果 1. 74 -O. 22 ー1.1 4 0, 2 1 1 O. 57 1. 14

11 期

第 豪州の輸出増加 1 g. 78 1. 79 ]. 64 1, 7 8 1. 93 1 5 . 9 4 全般的貿易効果 4, 9 3 2. 43 2 . 5 0 1. 2 1 2. 3 6 13. 43

H 商品構成効果 -1. 79 -1. 88 O. 1 4 -O. 87 -5. 7 2 市場配分効果 O. 5 7 0.43 -]. 01 -0, 28 O. 007

期 競争・残 余効果 5. 07 O. 7 9 1.14 0, 7 1 O. 5 1 8. 07

第 豪州の輸出増加 | 31.071 g, 9 3 5.57 14.72 50. 78 全般的貿易効果 3 O. 29 10. 7 9 10. 9 3 6.92110.93 6 g. 78

E 商品構成効果 -16.72 -3. 02 -2 , 2 3 -22.29 市場配分効果 9. 93 0.0 -1. 72 -0.921 0.14 5. 9 9

期 競争・残 余 効 果 7. 57 2. 08 I -7. 43 -1.35 1 -3.72 -2. 84

豪州の輸出増効加 43. 7 1 1 1 , 7 9 O. 08 71. 42 全 般 的 貿易 果 2 6. 86 21. 7 9 28. 43 10.42 1 14.64 100.00

期 商品構成効果 -22.09 -14.66 -9. 7 9 -0.71 1 -11. 24 1-52.28 市場配分効果 1 5. 72 O. 99 ー11.00 -1. 70 競争・残 余 効 果 23 . 2 1 3 . 64 -7 , 50 2.07 1 3.37 23. 9 1

註(1 i第 I期 =1960/62-1967/69, -1913/60.

第 H期 =1967/69......1973/751第 E期 =1973/75

( 2 )各数値は、全期間における全般的貿易効果(合計欄)に対する比率(~)で表刀可.

( 3 )小数点以下第 3位または第 4位で四捨五入したため、が合計欄と一致しないとともある。

各々の行和あるいは列和

( 4 )ィ~. tJ の̂ EC加盟後もl'-;としてはイ~. t) ^を区別して扱った。

ー163-

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全 市場 への 世 界 輸 出 の 平 均 成長率 g,と同じ率で増加した場合に実現するで

あろう輸出増加額との差

(i v) 第 4項 LL (X';j-g;jLd r競争・残余効果」

オーストラリアの現実の輸出増加総額(X'・x)と前述の三つの効果(

右辺第 1項から第 3項)から生じた輸出変化額との差。 この項には、オー

ストラリアが各市場で他の輸出国との頗争の結果、 その市場占有率を変化

さ せ た こ とによる輸出量の増減や価棺変化などの効果が残余として含まれ

ている。

以上の計算を実際の輸出額のデータに適用した結果を各市場別にまとめたの が

表ト 11であり、 また商品別にまとめたのが表ト 12である。

以 上 の 計 算 において、輸出額は年 度 ご と の 変 動 が か な り 大 き い の で 3か 年 平均

の値を用いている。 また全期間は 1960/62(1960,1961, 1962年の 3か年平均、以下

同様に表記)から 1978/刊に至る期間をとっている。 また、 この期間を三つに区

切って、第 I期(1960/62-1967/69)、第 H期(1967/日一 1973/75) および

第E期 (1973/75ー 1978/80) とし、全期間と各々の期間毎に以上の計算を適用

している。

ここで、 ごれらの時期区分は改のような歴史的状況を背景としている。つまり

第 I期(1960/62-1967/日)は、 国際穀物市場の過剰基調が探刻な問題となっ

て来た時期であり、 アメリカが余剰農産物処理計画を強化した時期である。第 H

期(1967/日 -1973/15) は、異常気象による世界的食糧危機や石油ショックあ

るいはイギリスの EC加盟など、国際市場が濫しく揺れ動き始めた直前の時期で

ある。なお、 この時期は世界が好況を享受した時期であり、 ケネデイ・ラウンドの

際に国際軽物協定や国際砂糖協定などの成立した時期でもある。 また第皿期(lS7

3/75-1978/80)は、石油ショック以後の世界同時不況へと向かう時期である。

( 1 ) C M S分析には、分析手法とし て幾つかの限界点が指摘されている。その主

要なものは、 ( i )輸出変動を数量ベースではなく金額ベースで取り担わざるを得な

いため価格変動と数量変動とが重視して出てくること、 ( i i )輸出シェアの変動に

聞し て 価 梧 変 動 による部分の他に輸 入国側にお付る噌好の変化や政治的あるいは

非経 滑 的 な 要 因による部分等が競争・残余効果に裡在して含まれるが、各々の部

分を分解して抽出できないこと, (i i i )計算期間の途中で新しい商品(あるいは市

-164・

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表4-12 オーストラリアの輸出成長の要因分析ー商品グループ別検討ー

畜産物水産物車 類青果物砂糖農林水鉱産物製造業 計産物計 晶

豪州の輸出増加 0,28 I 0,14 ι3010,001-0.0711 0,64i 3,441 0,6411 4.72 全般的貿易効果 1. 49 1 0,07 1 0,50 1 0.43 I 0,71 11 3,21 1 1. 43 1 4,7111 9,36 商品構成効果 -0,57 1 0.00 I -0,36 1 -0.20 1 -0.64 ・1.78 ・0.571 -3.6111 -6.00 市場配分効果 O. 28 I 0, 00 1 -0. 07 ・O.14 1 -0. 14 11 -0.07 I 0.64 ・0.3511 0.22 続争・残余効果 I-0.99 1 0.01 I 0.15 I -0. H 0, 14 ・0,78 I 1. 86 1 O. 07 11 1. 14

豪州の輸出増加 1. 9 9 i O. 3 2 1. 5 0 i o. 07 i 1. 6 4 11 5, 49: 8. 2 2 i 2, 21 11 15. 9 4 全般的貿易効果 i.9 2 o. 22 O. 7 9 1 O. 52 I O. 7 8 11 4, 14 I 3. 3 6 I 5. 92 11 13, 43 商品構成効果 -0. 1{ 1 0,88 ! -0,43 ・0.21 1 -0.14 !I -0,78 j -1. 43 1 -3.49 ・5,72 市場配分効果 -0,35 1 0.01 ! -0,14 1 -0.07 I 0.14 11 -0,35 1 0.50 I -0. 14 11 0.007 競争・残余効果 O.57 I O. 00 I 1. 29 I -O. 14 1 O. 7 1 11 2, 49 I 5. 72 ・0.1411 5,07

豪州の輸出増加 1 1.78 I 0.60 I 2.80 0,07 3.21"11 8.491 28.71T13.57l 50,78 全般的貿易効果 9.57 1 1. 11 1 5.01 I L 81 1 5, 14 11 22.56 1 24,36 1 22,85 11 69.78 商品構成効果 ・3.71 ・0,14 ・0.43 ・0,57 I -0,92 ・5.78 ・7.22 ・9,28 ・22.29市場配分効果 -0,49 I 0,07 I 0.37 1 -0.14 I 1. 14 11 0,99 ・0.8615,85115.99競争・残余効果 j-3,57 !-0,43 1-2, 07 ・1.00 1-2.14 !I -9,281 12.441 -5,9911 -2.84

豪州の輸出増加 3. 9 9 1 1. 03 1 4, 5 9 1 0, 14 I 4. 8 5 11 14, 57 1 40. 36 i 16. 48 11 7 1. 42 全般的貿易効果 16.5110,93 川 4. 81 川 3349 110000 商品構成効果 ・6.57 ・O.07 ・2,641-2.291-3.64 ・15.14 卜52.28 市場配分効果 ー1.99 I 0,08 ・0.43 ・0,72 0, 57 11 -2, 4 9 I 2, 72 I -1. 9 2 "・1.70

期-第

H

=

O. 08 1. 94 -1. 57 0.42 lla

JR宝---A

司ω-

27,14 -E.,. huv '

吟唱司

uav&

-

-

AWW

a'目-nHU

注, 表4-11に同じ

-165・

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場)が畳場してくる場合には、結果が歪曲される恐れがあること、 ( i v)市場配分

効果と商品構成効果とを計聾する順序を変えると結果が変わる可能性があること、

などである。

( 2 )貿易相手国別検討

まず、表 4-11において貿易相手国別に検討しておこう。全期間について、 また

総ての市場の計に関してみると、全般的貿易効果が 100であるのに対して、 オー

ストラリアの実際の輸出増加は 71でしかなかったことを示している。 これは、 オ

ーストラリアか ら の 総 て の 市 場 に 対する輸出総額が、世界全体の輸出総額の増加

と同じ草で増加していたならば 100だけ増加するはずであったにも拘らず、商品

構成効果と市場配分効果とが各々、一日、 ー1.7と負の値であったために、実際に

拡 71しか増加しなかったという事情を示しており、世界全体の輸出商品の構成に

比べて、オーストラリアの輸出商品の構成には農産物などの需要の伸びの比較的

小さなものがよ り大 きな 割合 で含 まれていたことから来るマイナス効果(商品構

成効果)が大き〈作用していたことを物語っている。

さらに世界全体の輸出商品が配分さ れ た 輸 入 市 場 の 構 成 に 比 べ て 、 オ ー ス トラ

リアの輸出商品が配分された輸入市場の構成には、輸入需要(あるいは所得水準)

の 伸びの小さな市場がより大きな比重で含まれていたことによるマイナスの効果

(市場配分効果)も僅かではあるが作用していたこと示している。つまり世界全

体の輸出商品の涜れに比べてオーストラリアからの輸出商品は、 そのより多く の

割合がイギリス在ど輸入需要の成長 の鈍かった地場へ向げられていたことにも露

響されたことを示唆している。 しかしこの問、競争・残余効果は 23とプラスに計

算され、従って各市場で他の競合輸出国との競争に勝って自国の輸出シェアを革

大していったことが分かる。

以上のことを市場別・時期別にみると注目すべきなのは、やはりイギリス市 場

であって、第 I期と第田期でオーストラリアからの輸出額が揺少していること、

つぎに三つの総ての時期において商品構成効果および市場配分効果ともマイナス

であるごと、 さらに総ての時期でオーストラリアからの輸出の伸びが世界全体の

伸びを 下 回 っ ているということである。競争・残余効果についても第 II期を除い

てマイナスになっており、特に第田期においては -7と大きく輸出シェアを失った

-166・

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ことを示している。それ故、全期聞を通じてみると、商品構成効果、市場配分効

果、競争・残余効果の総てが大きくマイナスに出て来ている。 このように、オー

ストラリアの商品輸出の相手市場としてイギリスの地位はあらゆる角度から低下

していったことが知られる。

他方、 これと全〈対照的な結果を示しているのが、やはり日本市場である。時

期別にみると、オーストラリアから日本への輸出額の増加幅は、第 I期 4,0、第 II

期8,7、第田期 31.0と加速度的に糧増しており、総ての時期において、世界全体の

輸出の伸びよりも高い宰で増加している。 さらに、総てに時期で、市場配分効果

と競争・残余効果がプラスに計算されていることも注目に値する。特に競争・残

余効果は、第 I期1.7、第 II期 5,0、第皿期 7, 5 7と大きく上昇しており、 オーストラ

リアは日本市場において、他の競争輸出国を駆逐してますますその輸出シェアを

拡大して来たことを示している。なお、オーストラリアから日本への輸出商品の

主要部分は農林水産物を始めとする一次産品であり、輸入需要の所得弾力性が小

さい(今後も需要の伸びの小さい)商品に偏っているため、商品構成効果はどの

時期においてもマイナスに出ている。従って、前述の二つの効果のプラスがごの

マイナスの効果を大きく上回って作用して来たわけである。それ故、全期間でみ

ても、市場配分効果と競争・残余効果は各々 15、 2 3と大きな値を示しており、輸

出額の増加も世界全体の輸出額の増加をはるかにしのぐ宰で伸びている。 これら

の事実は、オーストラリアの商品輸出栢手市場として日本の重要性が累積的に甚

大して来たことを示すものである。

(3 )輸出商品群別検討

次に表 4-12で、同様の計算を商品グループ別に検討してみよう。産業別にみる

と、全期間について、農林水産物と製造業品でオーストラリアからの現実の増加

は世界全体のそれを大きく下回っている(農林水産物では、オーストラリアの輸

出増加 14は世界全体のそれ 35の 112以下であり、製造業品では、 オーストラリアの

輸出増加 16は世界全体のそれれの 1/3以下でしかない)。 これは両産業部門と も商

品構成効果、市場配分効果、競争・残余効果の総てがマイナスの影響を与えてい

たごとによるものである。これに対して鉱産物部門では、 オーストラリアの輸出

増加 40は世界全体のそれ 15を大きく ( 2倍以上に)上回っており、 それは主に競

-167・

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争・残余効果の大きなプラスの作用と市場配分効果の小さいけれどプラスの作用

によるものである。特に前者の効果は 21と大きく、 オーストラリアの鉱産物輸出

は各市場で、他の競争翰出国との競争に打ち勝ってそのシェアを拡大したことを

示している。 また後者の効果は小さいけれども、 オ ー ス ト ラ リ ア か ら の 鉱 産 物輸

出のより大きな割合が日本などの輸入需要の伸びの大きな成長市場へと向けられ

て来たことを示唆している。 また時期別にみると、農称水産物と製造業品では、

特に第田期に競争・残余効果が大きなマイナスとなっており、 この時期にその輸

出シェアを大きく縮小したことを示している。逆に鉱産物では第皿期に入って競

争・残余効果が大きなプラスの値になっており、各市場で他の輸出国を駆逐して

自国の輸出シェアを増大させたことがうかがわれる。 またオーストラリアの農林

水産物輸出の国際競争力の大きな上昇は第 H期にみられたが、 イギリスの E C加

盟、世界的食糧危接、オイルショックなどの変動直後の時期を含む第皿期ではそ

の競争力を大きく低下させたことが知られる。

表 4-1 2の左倒の五つの欄は、農林水産物の中身をより詳しく分類して示したも

のである。 まず全期聞についてみると、競争・残余効果がプラスなのは意外にも

水産物、穀類、砂糖などであって、畜産物と青果物とではマイナスとなっている。

特にこの二つの農産物では、商品構成効果、市場配分効果、競争・残余効果の総

てがマイナスになっており、 それ故、オーストラリアからの輸出増加は世界全体

のそれを大き〈下回っている。青果物については、 三つのどの時期においても同

じ傾向を示していたが、畜産物は、特に第四期になってその傾向を強くした。な

お、全期聞についてオーストラリアからの輸出の増加が世界全体のそれを上回っ

ているのは水産物だけであって、伝統的な重要農産物の殆どの輸出は、 世界全体

の輪出増加より小さな車でしか伸びていないことになる。時期別にみると、特に

この傾向が大き〈表れたのは第皿期であって、 この期には表中の総ての農産物グ

ループでオーストラリアの輸出の伸びは世界全体のそれを大きく下回っており、

揖争・残余効果もその総てでマイナスとなっている。他方、第 II期では、青果物

を除く総ての農産物グループに関してオーストラリアの輸出は世界全体の輸出よ

りも大きく増加しており、 また競争・残余効果も青果物を除くと総てプラス(な

いしゼロ)となっている。それ故、農林水産物全体でみても第 II期 は 、 第 I期 や第

阻期とは反対に、オーストラリアの輸出が、他の競合輸出国との輸出競争に勝つ

ー168・

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てそのシェアを菰大し、世界の輸出 拡大よりも大きな車で拡大していった時期な

のである。

ここで畜産物に関して、オーストラリアの輸出成長が世界全体のそれを大きく

下回 ったことの 経 済 的 背 景 と し て は、次のように考えられよう。つまり、食肉の

場合は主要輸入国の圏内食肉産業保謹という理由で、 また酪農品の場合は、 主要

輸入国の圏内需要が既に飽和状態にあり、 大きな過剰在庫をかかえているという

理 由でともに輸入制限政策が探用されて来たが、オーストラリアからの畜産物の

多くが依然としてこれらの市場へ向けられていたことによるものである。 これは、

前述の知く市場配分効果がマイナスになっていることによっても示されている。

また輸 出 供 給 倒の事情としては、特に酪農晶、羊肉を中心として、隣のニュージ

ーランドあるいはアルゼンチンなどの南米諸国からの輸出と競合し、各市場で駆

運され輸出シェアを低下させる傾向にあったことによるものである。 これは、や

はり前述の如く競争・残余効果がマイナスに計算されているごとにも表われてい

る。このように第皿期において、 オーストラリアの畜産物輸出は、輸入需要倒の

事情 と輸出供給側 の 事 情 の 双 方 か ら世界畜産物輸出に占める重要性を抵下させて

来たのである。

さらに表 4-11、表ト12の殆どの柵にお付る商品構成効果はマイナスの値を示し

ている。 このことは、オーストラリアの輸出構成がどの産業部門においても、 ま

たどの輸入市場に対しても、 さらにまたどの時期においても殆ど一貫して、需 要

の伸びの小さな商品に偏っていたことを示している。 とれは、 2節で示した結果

とも一致する事実である。 このように、輸出相手市場の配分構成からくる需要成

長の 低下と輸出 商 品 の 構 成 か ら く る需要成長の低下との双方がプレーキとなって

オーストラリアの輸出成長は鈍化して来たのである。

第四節、 日本・オセアニア聞における貿易行動の特性

と輸出多角化政策の評価

一国の輸出動向のパターンを分析する場合、 当該輸出国の状況だけでなく、 買

易相手国の輸入行動パターンをも検 討する必要がある。前節における分析は、オ

ーストラリアの農産物輸出の動向を 世界全体の輸出実績と対比させて検討したも

のである。その際、 「競争・残余効果 J として抽出された部分の中身は、純粋 に

-169・

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輸出国側におげる国際競争力の変化により説明される部分の外に、輸入国側にお

付る噌好の変化や政治的・文化的な事情などの非経済的要因による部分、 あるい

は新しい技術体系や新規商品の出現による既存商品のマーケットシェアの変化な

どが含まれている。 この中身に立ち入った検討は、 3節の CMS分 析 の み に よ っ ては

十分には解明され得ない。それ以外の角度からの分析が必要である。そのための

ーつの試みとして本節では、近年急速に貿易パートナーとしての重要性を増して

来た日本(1) との関係について、貿易取引先の決定過程にお付る遷移確草行列を推

定し、貿易相手国におげる取引行動のパターンを検討しておこう。

併せて、若干の主要商品について、 オセアニア倒の輸出行動の特性を検討する

ことにより、市場シェアの見通しおよ び 輸 出 多 角 化 計 画 の 評 価 を 試 み る こ と とす

る。

注(1 )豪州輸出総額に占める日本への輸出額のシェアが農産物の品目別に見た場

合にも急速に証大して来たことは、 ここでの分析の他に表 4-9においても

明確に表れている。

(1)分析枠組み

異 時 点 に わ たる行動パターンを捉えるものとしてマルコフ連鎖によるモデルが

しばしば用いられて来た。消費者行動や企業の規模分布、社会的移動など種々の

経済問題に幅広く 適用 され てお り、既にその適用範囲の広さとモデルの簡便さは

良〈知られている。本節の分析で適用したモデルの枠組みは次のように示される。

先ず初めに、 日本市場において、 nか国からある商品が輸入されており、 t期に

おげる第 i輸出国のシェアが mj(t) (j=L…, n, t=l,.・., r)であるとする。 つまり、

mJ (t) = L m, (t-1) 'Pi j + Vj (t) ( j = 1、ーー・・、 n) ・・・・・・ (4-2 )

ここで Vdt)は、 m;(t -1)とは無相関で平均値がゼロの確率変数(誤差項)であ

るe p, jは、特定の輸入国(日本)が前期(t -1時点)に第 i輸出国から輸入してい

たが、今期(t期)にはその輸入先を第 j輸出国へと切り換える確率を示している。

時点 tにお付る第 j輸出国の日本市場におけるシェアの期待値は前期におげるシ

ェアに、 日本が同じく第 j輸出固から繰り返して輸入する確率を乗じたもの mj (t-

1) , P j jに、他の輸出国から第 j輸出国 へと輸入先を切り換えて来ることによる変 化

ー170・

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分(つまり前期における第 i輸出国のシェアに、 日本が第 i輪出国から第 j輸出国 へ

と輸入先を変える確率を乗じたものの総和L:m ・(t-I)p, j) を加えたものに等しい。

第(4 -2 )式はこの関係を示している。 ここで、 日本市場における輸出国の選択は自

己完結的(つまり、輸入先を既存の n個の輸出国のどれかに切り換え、 それ以外の

輸出国 へ の 切 り換えは生じない状況)になるように決定される。従って

L: L ; = 1 、IJ

関口“

'

e

-dEE----

.,B-e ,r、、

)

偽‘HV

-an嶋企(

• • • 4

• '

-a

• • 』量 1

また変数 p,jは遷移確率なので当然、改の条件を満たさなければならない。

o ~ p, J 孟 1 (i, j=1、 …、 n ) ・t I • r ・・ a ・・(4・4)

さらに(ト2)式を誤差項'ij(t) について解き二乗することから次式が得ら

れる。

v,(t)2= {mdt)-L:;n;(t-I)'Pi;} 2 i

'h1v -

aa・(

• '

• • • • • • • • •

遷移確率 p,jの推定過程は、 ( 4 -3 )式および(4・4)式の制約の下で(4 -5 )

式を最少化するという問題となるが、 ごれは典型的な二次計画法(Qは dratic Pr

ogramming Methoa) の問題となる I220 以下、 この解法に従って商品別に推定され

た。 その推定結果が表ト13(a) - (d)に示すものであるは}。

以上の記述からも分かるように、本分析におげる遷移確率は、 日本が特定の商

品の 輸入先を取 引 関 係 に あ る 輸 出 国間で切り換えようとする性向を測るものであ

る。マルコフ過程においては、通例、 これらの遷移確草は分析期間を通じて一定

であ ると仮定する。むしろこれらは 一定ではな〈、価格、所得などにより影響さ

れると恒定する方がより現実的であろう。 しかし利用可能なデータの不足および

時間的制約のため、遷移確率のより 現実的な形での推定は容易ではなく、別の槙

舎にゆずることとした。

注 (2)なお、札(t )はマーケットシェアであることから当然次式を満たす。

L: mdt-1) = 1 (t=I,・・・・、 T) I I I I I • I I I • • I (4・6)

これを例えぽ mj(t-1)について解き、 ( 4 -2 )式に代入すると通常の重回帰式の

最少二乗推定を直接適用できる形となる(あるいは、 ( 4 -2 )式に定数項をゼ

ロに固定した重回帰式による推定を適用することも出来る)。事実、初期の

ー171・

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表ト13 (a) 日本の小麦輸入の遷移確率行列

7メY'b 'btr オ-.1.トラリ7 その他

7メリカ 1. 0 0,0 0, 0 0,0

bt1φ 0,0535409 0,278308 0,663804 0,00434687

t-Aトラリ7 0, 0 1. 0 0, 0 0,0

その他 0, 0 0,0 0,0 1. 0

表4-13(b) 日本の牛肉輸入の遷移確車行列

t-AトラY7 こ.1-シ'ーうント, 7メ『カ カナr その他

1・1トラリ7 「ーー 0,932336 0,0 0,0676641 0,0 0, 0

ニェーシeーラント e 0,0 1. 0 0,0 0,0 0, 0

7メリカ 0, 0 0,0848631 0,8989 0,0162372 0,0

カナr O. 0 0, 0 0,0 1. 0 0, 0

その他 L - O. 0 0,159013 0,0 0.0 0,840988

表ト13 (c) 日本の砂糖輸入の遷移確華行列

オ-.1.トラリ7 南 77~ tJ キューJ¥' その他

1-.1.トラリ7 「ーー 0,1739130.0 0,0 0,826987

南17Yb 0, 0 1. 0 0.0 0.0

キュ』ハ' L 1. 0 0.0 0,0 0.0

その他 0, 0 0.0411524 0,666667 0,292181

表4-13(d) 日本の全農林水産物輸入の遷移確宰行列

7j1ltJ .t-.l.トラ97 カナr ニ.1-~・ーラント. その他

7)リカ 0.0 0.0 0, 0 0, 0 1. 0

ト1トラリ7 0.0 0.738095 O. 0 0,261905 0.0

カナ9・ 0.0 0,22535 0.77465 0.0 。‘。ニ墨田γーラYト' 0,0 0, 0 1.0 0,0 0,0

その他 0,14617 0.00437664 0,0 0.0 0,249453

ー172・

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頃のマルコフモデルの推定はこの方法に頼っていた。 しかしこの方法の場合、

推定パラメーターに(4・3)式と(4 -4)式とからくる制約が課されねばならない。

等号による制約((4 -3 )式)の場合は、制約条件付きの最少二乗法を適用で

きるが、不等号による制約((4・4)式)の場合は、不等号条件を満たす範囲

内に計算された推定値をその値に 固 定 し た 後 に 再 び 最 少 二 乗 法 を 適 用 し 、総

ての推定値が不等号乗件を満たすまで繰り返すという方法が訴られる。 しか

し、 このような従来の推定方法には次の棟な批判が出されている。つまり、

(j )推定値を固定することから計算過程に恋意性が入ること、 さらに(j i) :最

終的に得られた推定値がもとの式((4・2)式)におげる誤差項の二乗和を最

小にしている と は 限 ら な い と いうこと、の 2点である。 これらの批判点を考

慮して本節では、前述の二次計画法による推定方法を探用した。

注 (3)遷移確華の推定に当たっては、 1 97 5ー 198 1年の資料を用いた。 この節は 3

節と次のように関連している。 3節の CMS分析において第 l項から第 3項ま

ではシェアが一定の下で抽出される効果であるが、第 4項の競争・残余効

果はシェアそのものが変化する効果である。 この第 4項 の 内 容 は 種 々 雑 多

なものが混在しており、 その中身は CMS分析だげでは検討できない。従って

4節ではごれを別の角度から検討するためにマルコフモデルによりシェア

そのものの動きに註目したものである。その際、貿易相互依存度が急速に

高まっている 日 本 ・ オ セ ア ニ ア両国の貿易取引行動の特性を検討したもの

である。

(2 )日本の輸入行動の特性とオセアニアのシェア

周 知 の通 りマルコフモデルは、一定の仮定の下で、各変数の推移過程の将来を

見通すために用いられる。 しかし、 その本来の用途とは別に、計算過程で導出さ

れる遷移確華行 列 自 体 は 、 そ の 市 場の経済行動を知る上で多〈の情報を含んでい

る。

遷移確宰行列の主対角要素は、各輸出国から引き続き輸入を繰り返す確率を 示

している。消費者行動の分析では「購入忠実度 (baYIng loyaltY)J と呼ばれてい

るものであるが、 ここでは貿易取引の「継続性向」と名付けておこう。 これに対

して、行列の非対角要素は、前期から今期にかけて、 ある輸出国から他の輸出 国

ー173・

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へと輸入先を切り換える確率を示すものである。以下の分析のために、 さし当た

りここでは、 これを貿易取引の「切替え性向」と名付けておくこととする。

表ト13 ( a)ー (d)に示される遷移確 率 行 列 に つ い て 、 各 行 が 前 期 (t -1 )における

輸入先に対応し、各列が今期における輸入先に対応している。 日本の小麦輸入(

表ト 13 (a) )については、アメリカに対する輸入取引の「継続性向」が極めて高〈、

カナダに対してはかなり低いが、 オーストラリアに対しては更に低〈、 またオー

ストラリアからカナダへの「切換え性向」が極めて高いことを示している(また

逆にカナダからオーストラリアへの「切換え性向」も 66%とかなり高いことが知

られる)。 このように日本の小麦輸入に関しては、 アメリカが極めて安定的な輸

入先となっているが、 カナダとオーストラリアの聞では掴Eに切り換え傾向が見

られるc ネットの効果としては、オーストラリアからカナダへと代替する性向が

約34%の確率で存在していることが示される(4)。

日本の午肉輸入(表ト 13(b ) )に関しては、行列の主対角要素の総てが 84%以上

に推定されており、主要輸出国であるオーストラリア、ニュージーランド、 アメ

リカ、 カナダに対する輸入取引の「継続性向」が極めて大きいことを示している。

従って他の輸出国への「切換え性向」は殆どみられないといってよい(僅かにオ

ーストラリアからアメリカへの代替傾向が 6%ほど見られるが殆ど註目するには

当たらない)。牛肉の場合には、輸入劃当制度が採用されているが、 そのため、

各国毎に政府間で数量が定められ、輸入先がかなり固定的であるという事情を反

映しているものと思われる。

ごれに対して、 日本の砂糖輸入の場合(表ト13 ( c) )には、主対角要素は南アフ

リカに対するものを除いては極めて小さく、 オーストラリア、キューバに対する

輸入取引の「継続性向 J は極めて小さいことが知られる(オーストラリアからそ

の他の輸入先への「切換え性向」は 82%と高いが、同時にキューバからオースト

ラリアへの「切換え性向」がそれ以上に高いために、ネットではオーストラリア

への「切換え性向」が約 18%あることになる) (引。 日豪砂糖長期輸入協定が例の

砂轄紛争により破駐して以後は、協定の自動延長が成立しなかったため、オース

トラリアからの砂糖輸入は従来ほど安定的ではないという事情を反映している。

次に水産物、林産物をも含めた全農林水産物の輸入については表 4-13(d)に示さ

れる通りである。オーストラリアとカナダについてはかなり大きな輸入取引の「

-174・

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継続性向」がみられるが、 アメリカについては「継続性向」よりも、 その他の輸

出国への「切換え性向」の方が大きいことが示される(ただし、同時にその他の

輸 出国からアメリカへの「切換え性向 Jが 14%と大きいため、 アメリカからのネ

ヅトの「切換え性向 J (6)は 26%弱となる)。近年、 日本は農林水産物輸入につい

て過度のアメリカ依存を見直し、輸入先を分散させようとしつつあるが、 この傾

向 が増幅された形で計算結果に反映されたものと思われる。他方、オーストラリ

アからの輸入の場合、 ニュージーランドへの「切換え性向」が 26%と示されるが、

同時にカナダからの「切換え性向」がほぼ同じ程度(22% )あることも推察さ れ

る。

以上のように、 日 本 の 輸 入 先 の 決定過程は、農産物ごとに大き〈異なっている

こと が推察され る 。 つ ま り 牛 肉 に 関しては総ての主要輸出国に対して橿めて安定

的な輸入行動を示しているのに対し て、小麦と砂糖に関しては一つの輸出国を除

いては輸入先を代替させる傾向が大きく、かなり不安定な輸入行動を示している

ことである。特にオーストラリアとの輸入取引についていえば、牛肉に関しては

極めて固定的な市 場シ ェア を提 供しているが、小麦と砂糖についてはかなり不安

定でかつ縁辺的な市場シェアを提供して来たごとが分かる。 しかし、農林水産物

全体としては、オーストラリアとカナ ダ に 対 し て 特 に 持 続 的 に 輸 入 し よ う と する

傾向の強いことが示された。

ごのように、農林水産物全体としての輸入先について、 オーストラリアに対す

る持続的輸入傾向が大きいという日本市場の特性が、 3節で示された「競争・残

余 効果」について の 帰 結 ( 日 本 市 場で特に大きく、累積的に増大して来たという

蝿結)の一部を説明しうるのである

注) (4) (5) (6) 本文中にお付る判トの「切替え性向 lの計算過程は一定の粂件{前

期の各市場のシげが総て等しい場合、例えば nか国の市場の場合、各市場の

h7が総てII!j (t-l)=l/nで等しいという条件)の下でのみ成立する。 この

条件が満たされない場合には、各々の連帯確率に、異なった前期のシェ

アII!j (t -1 )がかげられるので、遷移確車聞の単純な引算は余り意味をも

たない。 ここでは一応の目安として敢えてその数値を示したに過ぎない。

-175-

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( 3 ) オセアニアの輸出行動の特性 と 多 角 化 計 画 の 評 価

以上のマルコフ連鎖による遷移過程の考察において、輸入と輸出を逆にして 考

察すれば、輸出国における輸出先選択行動のモデルとして解釈することが出来る。

計算過程は前項と全く同様であるので説明を省略するが、 ( 4・2)式において、

11 j (t)を t期にオ ー ス ト ラ リ ア ( あ るいはニュージーランド)の総輸出額に占める

第j輸出先への輸 出 額 の シ ェ ア と み ればよい。従って遷移確率 P i jは、前期(t -1 )

において第 i輸入国へ輸出していたが、今期 tにその輸出先を第 j輸入国へと切り

換える確率を示すこととなる。

この分析を輸出国としてのオーストラリア倒のデータに適用したのが表 4-14(a

) - (c)である。 この検討は 3節までに 示 さ れ た オ ー ス ト ラ リ ア の 輸 出 動 向 の 規定

要因について違った角度から説明を加えることとなる。つまり 3節までの説明は

世界全体の輸出動向との対比における説明であったが、 ここではそれをオセアニ

ア両国の輸出行動パターンの特性から の 説 明 で 補 う も の で あ る 。 元 長 を 避 け るた

め、詳細な記述は省略するが、顕著な帰結は以下の通りである。

まず、牛肉輸出(表ト14(a) )についてであるが、 日本に対する輸出取引の「継

続性向」が最大であるという点が注目 に 値 す る 。 更 に 他 の 主 要 輸 出 国 で あ る アメ

リ力、 カナダについても持続的に輸出しようとする傾向が橿めて大きいことを示

している。 ただイギリスに対してだけでは、 この傾向は全く見られず、 輸出取引

の「切換え性向」の方が庄倒的に大きいことを示している。前述した如く、オー

ストラリアは牛肉輸出の多角化政策を積極的に推進しようとしているが、 この推

定結果はその効果 が十 分表 われ ておらず、依然として従来からの主要輸入国に持

続的に集中する 傾 向 の 強 い こ と を 推察させる。現在検討されている牛肉輸出多角

化政策の具体的な措置は、特に最有利市場であるアメリカ市場からその他市場へ

と輸出先の多角化を進めることであるが、 この方向の輸出取引の「切換え性向」

は10.6 %と依然として低いごとが確認される。 さらにカナダからアメリカへの(

政範目槙とは逆方向の) r切換え性向」が 17.7 %もあるため、ネットの効果(7 )で

は、逆にアメリカへの『切換え性向」が約 7.7 %あることになる。 この意味からも、

現在の非アメリカ市場への多様化措置は必ずしも成功しているとは言えない。 そ

して、 このことがオーストラリアの輸出成長の鈍化の一因となっていることは既

に 3節でも言及した通りである。

-176・

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しかし、表 4-14(a)において、 rその他市場」の列を縦に合計すると 2,1となり、

lより大きくなる。 一定の条件の下では〈わある特定市場について、貿易取引の「

継続性向 J に、 その市場へのネットの「切換え性向 J (その市場への「切換え性

向」からその市場からの「切換え性向 」 を 差 し 引 い た も の ) を 加 え た 値 が lより

大であれば、 その市場への「集中化傾向」が存在し、 その市場シェアが高まるこ

とになる。従っ て「その他市場」についてこの値が lより大であるということは、

今後、 「その他市場」のシェアが上昇していく傾向にあることを示している。

この意味においては、現在の牛肉輸出多角化政策はある程度、成功していること

になる。 ただ、前述の記述と併せて考えれば、 アメリカ市場から「その他市場」

への多角化というよりも、 日本、 カナダ、 イギリスから「その他市場」への多角

化が進む傾向にあ ると いう こと になる。輸出シェアの圧倒的大部分がアメリカ市

場であることを考えれば、 こ の 方 向の多角化は量的にはマイナーであり、余り大

きな意味を持つとは思われないのである。

次に小麦と砂糖の輸出(表 4-14(b) I (C)) については(砂糖輸出における日本市

場を除けば)、特 定の 主要 市場 について余り大きな「継続性向」は見られず、今

後、 「その他市場」への輸出多角化が進んでいく傾向のあることを示唆している。

またニュージーランドの輸出行動の 特 性 を 検 討 す る た め に 同 樟 な 計 算 を 行 なっ

たのが表 4-15!al-(d)である。牛肉については(表ト15 (a) )、 アメリカに対 する

「継続的輸出性向」が高く、 さらに「その他の輸出市場」からアメリカへの「輪

出先切換え性向」も極めて高いことが知られる。他方、 日本に対する輸出の「継

続性向」はある程度みられるがアメリカ市場ほど大きくはない。 また日本から の

「輸出先切換え性向」の方が大きいことが知られる。

マトンの輸出先に関しては(表← 15 (b) )、従来、 日本が最大市場であったが、

ここ数年ソ連の輸入シェアが(不安定ではあるが)飛語的に上昇している。それ

故、 ソ連に対する「継続輸出性向 Jが極めて大き〈計算されているが、 これは殆

どマイナーな状況から数年前に突然急上昇したため、 その変化が過大に推定され

たものであり、むしろ異常値というべきであろう。 日本に対する輸出の「継続 性

向」もかなり高〈、 さらに「その他の市場」から日本への『輸出先切換え性向」

も極めて大きいことが知られる。 しかし同時に、 日本からイギリスへの「輸出先

切換え性向 J もかなり大きいことが分かる(他方、 イ ギ リ ス に 対 す る 輸 出 の 「継

ー177-

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表4-14(a) オーストラリアの牛肉輸出の遷移確率行列

イ~. g ̂ 7Jリカ カナタ' 日本 その他

ィt'~ ̂ 0.0 O. 0 O. 0 0, 0 1. 0

1)9カ 0.0239703 0,869683 0.0 O. 0 0.106347

:lJH' O. 0 0,177419 0.822581 0,0 0.0

日本 0, 0 0.0 O. 0 0.954785 0,0452155

その他 0, 0 0.0 O. 0 0,0 1.0

表ト14 ( b) オーストラリアの砂輔輸出の遷移確率行列

日本 金ナr 韓国 マレーシ7 その他日本

「0.615065 0.0 o . 0 O. 0 0.384935

自ナ~. 0.0 0.307375 0.0 0.692626 0.0

韓国 0,523311 0,0 0.4766890,0 。目。

干~-シ 7 0,0 0,5284310,4715690,0 O. 0

そ の他」 0, 0 O. 0 0,0 O. 0 1. 0

表 4-14(c) オーストラリアの小麦輸出の遷移確車行列

ェγ" ~ 中国 日本 ニrγ ィyト'その他ェγ7'ト O. 0 0,941536 0.0 0.0 0.0584643

中国 0,629415 0,0 0.259313 0,0203195 0.0909521

日本 O. 0 0,0 0,0 0, 0 1. 0

ニューγーラント' O. 0 0,0 1. 0 0.0 0,0

その他 L- 0.0 0.0 0, 0 0, 0 1. 0

-178-

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表4-15{a) ニュージーランドの牛肉輸出の遷移確率行列

7メリカ カナゲ 日本 イ:ドリZ その他

1P}'b 0,565868 0,148204 0,0344312 0,0 0,251497

tJt7' 1. 0 0,0 o , 0 0, 0 0, 0

日本 0,0 0, 0 0,352939 0,647061 0,0

ィ*'V ̂ i寸 O 0, 0 0,0 0, 0 0, 0

その他 1. 0 0, 0 0, 0 0,0 0, 0

表ト15 ( b) ニュ ージーランドの羊肉(マトン)輸出の遷移確率行列

日本 Y連 イキ, 1} ^ 韓国 その他日本 「一一 0,401827 0,0 0,06621 0.0776254 0,063927

y連 0,0 0,977867 0.0 0.0221329 0.0

イキ'リス 0,0 0,0 0.0 O. 0 1.0

韓国 0.0 O. 0 1. 0 0, 0 0, 0

その他」 1. 0 0,0 0,0 0,0 0,0

表ト15 ( c ) ニュージーランドのチー ズ輸出の遷移確宰行列

日本 7メリカ オ-;{トラ97 イ 7~ その他日本 O. 0 0.507692 0,174359 0,0 0.317949

7Jリカ 0.9595960.0 0, 0 0.040404 0,0

t-;{トうH O. 0 1. 0 0, 0 0,0 0.0

イ11 0, 0 0,37931 0, 0 0.62069 0.0

その他 O. 0 0,0 O. 0 0.0 1. 0

表ト 15 ( a ) ニ ュージーランドの全商品輸出の遷移確車行列

イ:γ1}̂ オ-;{トラリ7 日本 7メVカ その他イキ'リ1 0, 0 0,0 0.846153 0.153847 0.0

t-;{トラ97 O. 0 0.0 0.0 0.0 1. 0

日本 0,0769237 0.0 O. 0 0.9230760.0

7J9カ 1. 0 0.0 0.0 0.0 O. 0

その他 0.0 0,319149 0.0425535 0.0 0.638298

-179・

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続性向」は極的て小さい)。

またチーズの輸出(表ト 15 (c) )については、 アメリカから日本への「輸出先切

換え性向 J が極めて大きいが、逆方向への「切換え性向」もかなり見られる。同

時にオーストラリアからアメリカへの「輸出先切換え性向 J も極めて大きいこと

が知られる。

表 4-15(d)は、非農産物を含む全商品について同様の計算を行ったものである。

余り良好な計測結果とは言えないが、 イギリスから日本およびアメリカへの輸出

先切換え性向がかなりあることが示される。他方、 日本からアメリカへの切換え

性向も極めて大きく、 またアメリカからイギリスへの切換え性向も極めて大きい

ことが知られる。なお、 オーストラリアからその他市場への切換え性向も極めて

大きいことが知られる。 このように全商品の輸出先別シェアとしては、 アメリ力、

イギリス、 日本が重要であるが、 オーストラリアへの輸出シェアは相対的に縮小

する傾向を示している。

( 1) (8) 柱(4 )と同じ。

(4 )日本・オセアニア聞におげる輸出入シェアの見通し

( 3 )で検討された遷移確草は、貿易取引先の選択過程における代替の程度を示す

ものとしてそれ自体興味漂いが、 その本来の用途は将来の推移過程を見通すこと

にある。本章ではこの見通しそのものには余り重点を置いていないが、遷移確率

が時間を通じて不変である場合に、前項までの推論が、今後いかに展開するかに

ついて検討するために、 その補論として試みることとする。 198 1年を起点として

この時点の各国のマーケットシェアのベクトル[iDj(t)]に前項で推定された遷移

確車行列 Pを予測期間の年数 lだけ乗ずることにより計算される。つまり

この関係を用いて日本の輸入に占める各輸出国のシェアを予測したものが図 4-

4 (a) - (d)であり、 またオセアニア両国の輸出に占める各輸入国のシェアを予測し

たものが図 4-5(a) - (c)および図 4-6 (a)ー(d)である。

日本の牛肉輸入(図ト4( a) )については、今後、オーストラリアの比重が若干

下落して、 アメリカとニュージーランドとがややウエートを高めてくることにな

るが、依然としてオーストラリアを初めとするこの主要 3か国だけで 95 %をしめ、

ー180・

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国 4-4件l冒本における牛肉愉入先

のジa邑ア

% 70

50

40

30

20 その他

ニュージーラ計二J・_.-..----ーーー-ーーー← 1カナダ

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1 2 3 ・" 5年

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国 4-4 (e) 日本における砂積輸入先

のシa ア

30

20

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-161・

国 4-4(b) 日本における小麦蛤入先

のシ皐ア

% 60

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40

30

20 一一-42

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l 2 3 4 54t

図 4-4同 日本における全盛林水産

.,抽入先のタ晶ア

% 50

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その!也

40

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20

10 」二三トラリア

カナダa・d薗島里・・・"‘

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極めて固定的な間保にあることがわかる。これは(3 )でも指摘した通りである。

日本の小麦輸入(図 4-4(b)) に つ いては、今後もアメリカの比重が高まり、 他

方 、カナダとオーストラリアは若干、 下 落 傾 向 を 示 し な が ら も 極 め て 安 定 的 なシ

ェアを保っていくことが知られる。(現在、 わが国は輸入先の分散を図りつつあ

るが 、その効果は こ の 隈 ら れ た 予 測 期間内では明確に表われず、僅かに予測期間

の 3年目以降にアメリカのシェアの 伸び宰が低下しているのが確認される。恐ら

く十分 な効 果はこれ以降の期間に生ず る も の と 思 わ れ る 。 )

これに対し、砂糖の場合(函 4-4(c)) には、各国シェアとも大きく変動してお

り、 その中で、南アフリカのシェアだ吋がコンスタントに上昇していく傾向にあ

る。オーストラリアのシェアは大きく下落した徒に、 しばらくの問、上昇に転ず

ることが推察される。

全農林水産物でみた場合(図ト4( a) )、やはりアメリカが今後も圧倒的なシ ェ

アを占めるものとみられる。現在、第 2位のシェアをもっオーストラリアはカナ

ダと順位が入れ代わるが、両国ともほぼ同程度のシェアを維持していくであろ う。

ま たニュージーランドのシェアもマイナーなレベルでほぼ安定している。 このよ

うに日本の農林水産物輸入は今後も、 オーストラリアを含む小数の主要輸出固に

大きく依存していくであろうことが示される。

他方、オーストラリアの輸出総額に 占める各輸入国のシェアは、 牛肉について

は(図 4-5(a))、 アメリカの橿位が今後も続くが、 日本とカナダは若干低下する

傾向にあることが示される。 ここで、 「その他市場」のシェアが増大していく傾

向にあるが、 このことは前項で輸出 多角化計画との関連で検討したこととも一致

している。

また、小麦(図 4寸(b) )と砂糖( 図ト5(c) )については、従来の主要輸出先の

殆どがシェアを低下させ、 「その他市場」のシェアが急速に拡大していくことが

示される。それ故、 この二つの農産物については、今後、輸出先の多角化が大き

く進展するものと思われる(9)。

なお 、 オ ー ストラリアの農林水産物全体としての輸出については、完備したデ

ータを欠〈ため 十分な推定はできないが、以上のことから、今後、輸出先の多角

化は、主要輸出 農産物である牛肉では輯慢にしか進まないが、小麦と砂穂などの

やや重要性の低い輸出農産物ではより急速に進む傾向にあることが推察される@

ー182・

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国 4-5 (a) 豪州における牛肉鎗出先

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%

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40

30 その他///

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1 2 3 , 5年

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図 4-6但=品ージーヲ;/1-"における

牛肉愉出のシ墨ア

% 印

アメリカ

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20 その他

一一一一一一一一ーーカナダ

イギリス1 日本

o'12345fF01 .

国 4-61,剖 =晶ージーランドにおける

全商品輸出先のシaア

% 40 ~「

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ーストラリアイギリスアメピiL-r斗与~---_.- .,.--

101H本 ー.12345年

図 4-5lb) 豪州における小麦抽出先

のシ'"ア

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国 4-6(b) =晶ージーランド附ける

% 日

羊肉T トンの崎出先のシ墨ア

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30

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2 3 4

-183・

図 4-5作) 豪州における砂檀嶋出先の

% 60

50

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国 4-6(c) 昌晶ージーランドにおける

チーズ給出先のシーア

%

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50

40

オーストラリア

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同時にニュージーランドについて 輸出シェアの見通しを行ったのが図ト6(a)-

( d )である。

牛肉輸出(図 4-6(a)) については、今後もアメリカへの輸出シェアが圧倒的に

高く、カナダ、 日本がこれについでいる。各々のシェアはほぼ横ぱいに推移する

ことが示され、その他市場への多角化の傾向は余りみられない。

またマトンの輸出(図 4-6(b)) については、 ここ数年、不安定ながら急速に輸

出先としてのシェアを増して来たソ連が今後縮小し、 日本やイギリスおよびその

他市場が現状程度のシェアを維持していくことが示される。

チ ー ズ の 輸 出(図ト6(c) )については、主要輸出先である日本、 アメリカおよ

びオーストラリアのシェアが低下し、今後、その他市場への輸出多角化が進展し

ていくことが示喧される。

さらに非農産物を含めた全商品の輸出(図 4-6(d)) については、 イギリス、 ア

メリカおよび日本への輸出シェアが徐々に高まって行くが、 その他市場への輸出

シェアは逆に低下し、輸出多角化は今後数年聞に聞しては余り進まないことが示

される。

このようにニュージーランドでは、酪農品については多角化が進む傾向にある

が、食肉類などその他の商品については、 乙こしばら〈の聞は必ずしも多角化が

進展する傾向にはないことが示唆される。

註(9 ) 因に日本はオーストラリアの砂糖輸出に対してその輸入シェアを低下さ

第五節、

せ つつあるけれども、今後もしばらくは最大市場であり続けるごとが示

される。 この他に日本は、羊毛、マトン等に関して最大市場となってい

る。

む す び

以上の分析を通じて確認されたことをまとめると、以下のようになろう。

(j) オセアニア両国の輸出は世界全体の輸出の伸びを下回って推移したこと。

(i i Iオーストラリアの場合、その要因としては主に輸出商品の構成から〈る

効果と輸出相手国市場の構成からくる効果とにより説明されること。

(j i iIまた、その傾向は第 11 1期(1973/75-1978/80) に入ってより大き〈表わ

ー184・

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れたこと。

(i V) さらにその傾向は、伝統的な農産物である畜産物、酪農品、羊毛と製造

業部門で大きく表われ、逆に鉱産物では有利に展開したこと。

(v) この傾向はイギリス市場で最も大きく表われ、 日本市場では全く反対に

有利に展開したこと。

(v i )またその傾向に対する補足的要因としては、 日本の輸入行動において、

オーストラリアからの持続的輸入性向が大であったこと、 さらに、オース

トラリアの輸出行動においても日本に対する継続的輸出性向および日本へ

の輸出先切換え性向が小さくなかったこと。

などが示された。

つぎにニュージーランドについて確認されたことを要約すれば以下のようにな

ろう。全般的な傾向は、 オーストラリアの場合と類似していると言える。 しかし、

①イギリスを 中心とする西欧諸国への輸出比宰はどの農産物についても低下

しているが、 その低下する速度はオーストラリアの場合よりも緩慢であるこ

と。

②また、オース卜ラリアの場合と遭って、 日本への輸出比率は必ずしも高まっ

てはおらず、建つかの農産物については低下していること。 さらに日本への

輸出比宰が高まっている農産物についても、 その速度はオーストラリアの場

合よりも緩慢であること。

③さらにアメリカへの輸出比宰の上昇が比較的顕著であること。

などの点、が観察される。

これらの点は、ニュージーランドにおける輸出多角化がオーストラリアの場合

よりも遅い速度でしか進んでいないこと、 さらにその多角化の先は必ずしも日本

が主流ではな〈、 アメリカその他の市場へも大きく涜れていることを示唆してい

る。

こうした状況の背景には、ニュージーランドはオーストラリアと遭って、輸出

するに足る鉱物資揮を持たなかったために、 1 9 6 0年代の日本の高度経済成長によ

る鉄鋼、石康、 ウランなどの輸入需要の飛曙的な増加に便乗できなかったことが

あげられる。

またそれに加えて、急速な経済発展の過程で、 日本が米以外の最類の生産を縮

-185・

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小させ、その殆どを輸入に頼る方向へと政策転換しつつあった時期にも、 ニュー

ジーランドは穀物に関して以前に有していた国際競争力を急敢に低下させ、既に

部分的に詰物輸入国に転じていた。そのため、増大する日本の穀物輸入需要に応

じられなかったことも日豪貿易とは違った状況をもたらした一つの原因となって

いる。

他方、アメリカへの輸出比率の上昇がニュージーランドではオーストラリアの

場合よりも顕著である点については次のように考えられる。つまりニュージーラ

ンドの場合、過度のイギリス依存からの脱皮が遅れたため、 アメリカ市場への参

入者としては相対的に後発国であった。それ故、既に米豪貿易関保が成熟段階に

近づいた時点でも、ニュージーランドとアメリカの貿易関係は未だ菰大の余地を

残した段階にあったのである。

さらにニュージーランドの主要輸出商品は酪農品であるが、酪農品は食肉その

他の(輸出)農産物よりも早い時期から主要先進国が過剰状態に陥り始めた。そ

のため酪農品の世界輸出量そのものが低迷して来たにも拘らず、ニュージーラン

ドは酪農品輸出に依然として大きく依存し続けたためその輸出成長の鈍化傾向は

オーストラリア以上に諜刻であったのである。 また輸出商品の多角化も酪農製品

の内部での多角化(例えば伝統的なチーズ、バターからカゼインや種々の桁乳類

あるいはその加工品などへの多角化)が大部分であることが最近の輸出成長停帯

の大きな原因となっている。

またオーストラリアの場合、輸出一次産品の中では、羊毛、酪農品がその重要

性を低下させ、逆に牛肉、小麦、米、砂糖および鉱産物などが貢献度を高めてき

ていることも示された。他方、ニュージーランドでは、脱脂粉乳、 カゼインや林

産物および水産物などが比重を高めつつあるが、軽類、羊肉、バター、 チーズな

どは比重を低下させていることが確認された。

さらに産業部門としては、両国とも第 3次産業の比重が圧倒的に高く、農業部

門と製造業部門の比重は低いこと、 またオーストラリアでは鉱業部門の比重が急

速に伸びて来ているがニュージーランドでは逆に低下し殆どマイナーな水準にと

どまっていることなどが指摘された。 との第 3次産業の比重が高いことは多く の

先進国に共通してみられるが、 この両国の場合には小数の経済活動地騒が相互に

遠く離れて散在しているため、流通、交通・運輸あるいは通信業務の比重が必然

-186-

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的に大きくなるという事情に加えて、歴史的にも移民の割合が高〈彼らの多くは

来勲親労働者であり、農村部に入ることな〈都市のサービス部門に滞留する傾向

が強かったという特有の事情をも反映している。

周知の通り、両国とも国内の多くの輸入競合部門を手厚く保謹している。 この

ことが輸出一次 産 品 部 門 に 不 利 な 影響を及ぼしていることも見逃せない事実であ

る 。輸入競合部門に おけ る関 税お よび輸入数量制限は以下のことを通じて一次産

品部門に不利に影響する。つまり (i) 一次産品部門で使用される輸入投入財の費

用を上昇させる。 (i i )資本や労働などの基本的な生産要素の確保に対して保護さ

れた部門の競争力を高め、 一次産品部門からの涜出を促進する。

( i i i )従ってそれらの費用(価格)を引き上げる。 (i v)為替レート(自国通貨の評

価)を実質的に高めるよう機能する。その結果、 (一次産品)輸出を鈍化させる、

などである。事実、 ごれらの効果は一次産品部門に対する交易条件の悪化となっ

て表われている。

戦後、オーストラリアは積極的に輸入代替的工業化を押し進めて来たが、 その

ことが比較彊位部門である一次産品部門の輸出成長に抑制的に作用し、 そ の 国際

競争力を弱めてきたことは否めない。

またニュージーランドにおいては、最近の経済不揮による財政韓を理由に、 あ

るいは世界ーを誇る社会福祉政策の 強化の代償として、輸出補助金や種々の一次

産品助成のための予算を削減して来たが、 このことが輸出成長鈍化の一因ともな

っている。

しかし、 国際市場における一次産品の交易条件が悪化している状況では、輸 出

一次産品部門に特化することもまた必ずしも賢明とは言い難い。

3節での分析からも分かるように、今佳この両国が世界輸出と歩調を合わせ て成

長していくためには、 (i) (より需要成長の大きい市場への)輸出先の多角化と、

( i i) (より需要成長の大きい商品への)輸出商品の多角化とを図る必要があろう。

具体的には、前者としては、伝統的な英米市場から中東、計画経済園、 ア ジ ア市

場への多角化であり、 f走者としては、 伝 統 的 な 畜 産 物 か ら 穀 類 、 園 芸 ・ 加 工 農産

物およ び 鉱 産 物(オーストラリアの場合)や林・水産物(ニュージーランドの場

合)への多角化を促進すべきであろう。

また本文中にも指摘したように、 この両国は貿易依存度が高いために、 国際価

ー187・

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惜の変動により圏内市場が撹乱され易 い 。 そ れ 故 、 国 際 市 場 の 変 動 か ら の 影 響を

抑え るために、圏内市場に対して各種の 価 格 安 定 化 措 置 を 強 化 す る と と も 重 要で

あろう。さらに 国 際 市 場 に 対 し て も各種の国際協定や長期契約を通じて輸出市場

の安定確保に積極的に努めるべきであろう。

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-188・

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-189-

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-190・

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第五章、環太平洋地域の経済発毘と穀物貿易の構造変化

第一節 はじめに

本稿の課題は環太平洋地場の経清発展の動向と穀物貿易の構造変化について統

計的に検討し、それがオーストラリアに対して持つ意義について検討することで

ある。周知の通りオーストラリアは畜産物、或いは食糧全体の貿易については圧

倒的に大きな輸出シェアーを占めているが、鞍物に限っていえぽ必ずしも支配的

な輸出国とはいえない状態にある。使って、本稿の分析ではオーストラリアの貿

易動向の意義が必ずしも大きくは出てごないが、東アジアや ASEAN諸国の経

済発展にとっての穀物貿易の重要性及びそれがオーストラリアやニュージーラン

ドに与える彰曹はこのように隈られた角度からの分析においてもかなりの程度反

映されるものと思われる。統計資料の制約の為に、差し当って本稿の段階では第

一次的接近としてデータの入手し易い鞍物貿易のみを対象とした。 この意味にお

いて、今後の改良の余地を多分に含んでいる。

以下の分析において各地域の呼称は次の国々を指している。アセアン諸国とは、

東南アジア諸国連合であり、 インドネシア、マレイシア、 フィリピン、 シンガポ

ール、 タイに加えて 1984年に加盟したプルネイの 6ヶ国である。 また、東アジア地

域は上述のアセアンに日本、韓国、台湾、香港、 中華人民共和国を加えた地堀で

ある。 さらに、西太平洋地域は東アジア地域にオーストラリア、ニュージーラン

ド、パプア・ニューギニアと南西太平洋に位置する開発途上の島国を加えた地域

を意味しており、 より広〈太平洋諸国とは西太平洋諸国にアメリカとカナダとを

加えた地域を示している。 また、 中央計画経済固とは中国以外の非市場経清国を

指している。更に、 OECD諸国とは高所得先進国からなる経済協力開発機構のメン

バー国を意味している。

以下において、第二節では環太平洋地域の経済発展の過程とオーストラリアに

とっての意義について検討し、続〈第三節では貿易週間モデルを用いて穀物貿易

の構造変化とその意義について論じる。最後に第四節で分析結果を要約すること

にする。尚、第二節の大部分はオーストラリア国立大学の Peter Drysdale 等の

分析(1)を参考にした。

-191-

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第二節 太平洋 地 輔 の 最 近 の 経 済 成長とオーストラリアへの影響

第 1項 実質 GNPの 成 長 率 と 世 界 の GNPに占めるシェア

表 5-1の左半分は、 1960年代と 1970年代に於付る GNPの実質成長率およびその 19

90年時点までの予測を示したものである。アセアンと計画経済国を除くどの地域

に於いても、 1970年代の成長率はオイル・ショックや食糧危機の時期を反映して

いるため、 1960年代の平均成長車を大きく下回ったが、 その各々の時期に於いて、

東 アジアを中心と す る 太 平 洋 諸 国 の成長率は世界全体の成長率を大きく上回って

いる事がわかる。 またこの傾向は 1990年時点の予測値に関しても同様である。 こ

の予測は、世界銀行の世界開発報告 1982の統計資料に基づいている。 1970年代に

比べて世界全体の成長率は若干低下することが見込まれる。 日本、 アセアン、ニ

ュージーランド、 中東及び計画経清国等の成長率は若干低下することが予想され

るが、 東 ア ジ ア地域及び太平洋地場全体としては世界の平均を上回って成長する

ことが見込まれる。

表 5-1 実質 GNPの成長車と各国の GNPシェア(% )

GNP実質成長率 世界の GNPに占めるシェ7(一人当り GNPの成長率)

1962-70 1970・81 1990 1962 1981 1990

オー スト ラリァ| 5.8( 3.8) 3.5(1.7) 4.5 1 . 2 1.5 1.4 日本 |149(138) 5.3(4.2) 4.5 4.2 9.9 10. 9 | 中国 5.7( 3.4) 2.8(4.1) 8.0 2.2 2.3 3.5 その 他 北 東 アジア I12.6( 0.4) 8.4(6.0) 8.5 0.4 1.2 1.8 ア セ アン |32(102) 7.4(5.5) 6.5 3 . 1 1.7 2.1

東ア ジア計 11.1( 8.5) 5.4(3.7) 5. 7 9.9 15.1 18.3 北 ア メ カ 4.1( 2.9) 3.1(2.0) 3.5 29.8 28.3 26.4

|こ zk半話量dU 3.7( 1.7) 3.60.4) 3.5 0.3 0.3 o . 3 5.9( 3.5) 3.9(2.3) 4.4 41.2 45.2 46.4

西中計そ

ヨーロッパ東!

画経済国の 他

世界計

7.4( 6.7) 8.9( 6.1) 2.5( 0.2) 5.9( 4.1) 5.7( 3.8)

2.10.6) 8.5(5.5) 4.5(2.7) 2.0(0.9) 3.60.5)

2.1 4.1 2. 1 4 . 1 3.3

28.3 3. 9

18.0 8.6

100. 0

27.4 8.2

15.5 3.8

100.0

27.4 8.4

13. 1 4.7

100.0

(資料) 文献 ( 1 )

他方、同表の右 側 半 分 は 、 世 界 の GNPに占める各国のシェアを示したものである。

1962年には世界の GNPの 9.はが東ア ジ ア の み で 占 め ら れ て お り 、 太 平 洋 諸 国 全体

では世界の 41.2%を占めていたが、 1981年には、東アジアはそのシェアを 15.1%へ

と拡大し、 また太平洋諸国全体のシェアでみると 45.2%へと拡大している。 これら

の地域の比重は、 1990年に は さ ら に拡大することが予想されている。(東アジア

ー192司

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では 18.3%へと上昇し、太平洋諸国全体では46.4%へと増大するごとが予想されて

いる)。

同様に表5-2は世界の貿易額に占める各国のシェアを示したものである。左側半

分は輸出に関するシェアであり、右倒半分は輸入に関するシェアを示している。

世界の輸出に占める東アジアの比重は 1962年の 8.5%から 1981年の 17.4 %ま

で2倍に都大し、世界の総輸出額の 1/6を占めるに至っている。 またより広〈太平

洋地域全体で見ても 1962年の 32.8%から 1981年の 36.0%へと拡大しており、 さら

に 1990年時点の予測値では東アジアで 19.8% まで拡大し、太平洋諸国全体では

37.3%.....37.6%まで拡大することが見通されている。

このことは、世界の国民総生産においても、 また世界の貿易総額においても、

今後、東アジア及び太平洋地域の重要性が拡大していくことを示している。言い

替えれば特に 1960年以降は世界の国民総生産と貿易における成長の重心が環大西

洋地域から環太平洋地域へと着実に移行しつつあると言える。

表5-2 世界の貿易に占める各国のシェア ( % )

!世界の輸出に占めるシェ7 世界の輸入に占める ~h:.7

1962 1981 1990 1962 1981 1990

オーストラリア 1.9 1.2 1.4 1.7 1.3 1.5 日 本 3 .9 8.8 7.7 4.5 6. 1 5.5 中 国 o . 6 1.2 1.7 0.5 0.8 1.6

4

その他北東アジア 0.7 3.3 5. 7 1.5 3 . 6 4.6 ア セ ア ン 3 .3 4.1 4.7 3.3 3.8 4.1 東アジ ア 計 8.5 1 7 . 4 19.8 9.8 14.3 15.8

~t ア メ カ 21. 7 17 . 0 16.0 17.3 15.1 17. 1 ニュ田ジーランド etc o .7 0.4 o . 4 0.6 0.4 0.4

太平洋諸 国計 32.8 36.0 37.6 29.4 31.2 34.8 西ヨーロッパ 45.8 42.8 41.4 50.7 42.5 43.0 中 東 2.9 8.9 7.8 2.5 6. 1 5.8 計画経済 国 3.5 4.1 3.8 3 .4 5.4 5.0 そ の f也 14.8 8.2 9.4 14. 7 14.8 11. 4

世 界 計 100.0 100.0 1円~__ 100.0 100.0 100.0

(貰料) 文 献(1 )

尚、 この表において殆どの国で輸出シェアが 1962年から 1981年にかけて上昇し

たのに対して、オーストラリアとニュージーランドだげは下落したことが知られ

る。ごれは、 この両国の輸出額の構成の大部分が輸出需要の所得弾力性の小さい

食糧農産物で占められていたこと、および特にオーストラリアでは輸入代替的な

工業保護政策が採用され、輸出農業部門への補助がその代償として抑制されてき

-193・

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た為、 その国際競争力が低下して来たことを反映したものである。

この様な傾向は同衰の右倒半分に示される輸入に関するシェアで見ても殆ど同

様な傾向が読みとられる。

一方、殆どの固に於いて、 GNPに占 め る 輸 出 の 比 率 は 1962年から 1981年 に か けて

上昇したのに対して、オーストラリアのみは、 この比華を低下させた。 こ の 理由

は 前述した知く、オーストラリアの輸出品構成に占める農産物など需要の伸びの

低 いものの比率 が 高 か っ た こ と や 工業部門橿先的な輸入保護政策が探用されてき

たことを反映している。 ま た こ の 比率は、太平洋諸国全体では、世界全体の平均

比 宰を下回っている が、 東ア ジア のみでは世界全体を上回っている。つまり、東

アジ ア地域は世界 全 体 に 比 べ て よ り貿易促進的な経済成長パターンを辿ってきた

のである。

他方、 この間 1960年から 1970年 にかげで、中国その他の北東アジアやアセア ン

諸国と中東を除〈殆どの地域で、輸出の成長率は低下した。 さらに東アジアおよ

びより広く太平 洋諸国では共に世界全体の輸出の伸びを上回っているのに対して、

オーストラリア・ニュージーランド地堀に関しては、 その輸出の伸びは世界全体

のそれを下回って推移して来たが、 この点も、前述した両国の輸出政策を反映し

たものである。

第 2項 太 平洋地曜の謹清構造の変化

経済発展段階と産業構造との聞には雁行形態論(或いは市場の成熟度との関係

ではパーノンの プ ロ ダ ク ト ・ サ イ クル論)として知られる一定のパターンが見ら

れる。つまり、 経 済 発 展 が 進 む に つれて各産業部門で先ず輸入が増加し、続いて

輸入代替的政策に よ り 輸 入 が 減 少 し て圏内生産が高まる。 さらに技術進歩が進む

と圏内生産が圏内需要を越えるようになりその余剰分の輸出が高まるという過程

を辿る。 このように輸入、 圏内生産 と 輸 出 の 各 々 の 推 移 が 経 済 発 展 段 階 に 応 じて

上昇、停滞、 下降を示し、 いわゆる雁行形態を示す事が確認される(また、パー

ノンのプロダクト・サイクル論においては、 さらに輸出が或る程度以上に高まれ

ほ 圏内生産及び輸出が減少して海外市場への直接投資に転じるという構造パター

ンが指摘されている)0 この過程が通常は農業部門で最初に生じ、続いて軽工業

部門、 さらに重 工業部門(その次にはサービス部門)と移行するので、第3股階(

輸 出が伸びる段階 )の みに つい て経済発展段階の異なる各国間で比較すると、主

-194-

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要輸出品目が経済段階に応じて農業から軽工業へ、吹いで重工業へと移行する過

程が見られることになる。

表5-3 工業品輸出に占める労働集約的工業品のシェア (:0

1962 1967 1972 1977 1990 -66 -71 -76 -81

オ 一 ス 卜 フリ本ア国 | | |

11 9 g 9 3 日 40 29 22 13 11 中 64 66 63 67 62 その他北東ア ジア 80 76 66 59 48 ア セ ア 31 32 52 33 36 ~t ア メ 11 8 8 8 7 ニュージーランドその他| 7 19 24 26 12

(資料) 文献 C1) (表 5-5も同樟)

表 5-3は、工業品輸出に占める労働集約的工業品の比華を示している。 この表か

ら明確に読みとれることは、 日本および北東アジア、オーストラリア、 北アメリ

カ等ではこの比率は一貫して低下しているが、中国とアセアン(そしてニュージ

ーランド等)ではこの比率が上昇しつつあることである。つまりこれは経済発展

の過程で、主要輸出品の比宰が車産物輸出から軽工業品輸出へ、 さらに重工業品

輸出へと移っていくが、 日本や北東アジア(主に NICS)は既に貿易構造変化

の第 3段階(軽工 業品の輸出比率が下がり、重工業品の輸出比率が上昇する尭展 段

階}にあるが、 中国とアセアンはいわゆるこの過程の第 2段階(主要な輸出項目が

農産物から軽工業品へと移行する発展段階)にあることを示している。

さらに表 5-4は、各国の「顕示された比較畳位指数 RCAj (Revealed Co皿parati

ve Advantage) の推移を示したものである。 この RCA指数は世界の輸出総額 x..に

占める K財の輸出額 Xwkの比重に対して、 ある特定地棋の輸出総額 X,に占める K

財の輸出額 X i kの比重が(前者の比重 に 対 し て ) 相 対 的 に ど の 程 度 大 き い か を示

す尺度として澗られる(具体的には倍者の比重を前者の比重で除した比率として

定義される)。つまり、

X; k/ X RCA=

X w k/ X w -・・ … (5-1)

この指数が 1より大であれば、世界の輸出額に占める K財の重要度よりもこの地 域

の輸出額に占める K財の重要度の方が大きいことになり、 この地域はその E財に

対して相対的に比較橿位を持つことが示される。 この表から分るように、オース

-195-

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トラリアでは、農業部門では RCAが 高い水準にとどまっているが、鉱産物などの部

門では RCAは徐 々 に 高 ま っ て お り 、 その他工業品では逆に低迷している。これ に対

して、 日本や北東アジアでは、 その他工業部門で RCAが上昇しているが、 その他の

部門では比較橿位 が 低 下 し て い る ごとが分る。この様に、東アジア地域とオース

トラリアはEいに異なった部門で逆方向に比較橿位を高めており、 この意味で 貿

易面での補完性を高める方向に産業構造上の変化を伴ってきたのである。

表5-4 RCA (Revealed Co皿parative Advantage)の推移

鉱産物・ 労働集約的農産物 工事!片'ー 金 属 工 業 ロcロ 工業品

オー ス ト フ リ7 196212.7 0.5 0.9 O. 1 o .5 i

1970 2.4 1.5 1.7 o . 1 o .3 1981 2.8 1.2 2.5 0.2 0.4 1990 2.4 1.4 3.2 o . 1 0.4

日 本 I1962 0.4 0.2 0.3 3.5 1.2 1970 0.3 0.1 0.5 2.2 1981 O. 1 o . 1 O. 7 1.1 1990 O. 1 o . 04 1.0 0.9 1.8

中 国 I1962 1.5 0.4 2.4 2.2 0.4 1970 2.3 0.4 O. 2 2.5 o .3

1.5 1.1 O. 9 3.0 1990 1.1 1.4 1.8 2.8 0.3

その他北東アジア I1962 O. 7 0.3 O. 1 5.5 o .3 1970 0.7 0.2 O. 1 5.3 0.4

o . 1 0.5 4.8 0.8 1990 1 0.4 0.05 0.3 3 . 9 1. 0 1

セ ア ン 196212.1 1.6 1.3 O. 2 o . 2 1970 12.7 1.7 1.4 0.2 0.1 i 19811 1.7 2.0 1.3 O. 7 0.3 1990 1.4 1.8 0.9 1.2 0.4

北 ア メ カ 1962 1.0 0.7 1.1 0.6 1.2 1970 1.0 0.7 1.0 0.4 1.2 1981 1.5 0.4 0.9 0.4 1990 1.4 0.4 0.6 0.4 1.3

ニュージーラ ン ド etc 1962 3.0 0.2 0.3 0.0 O. 1 1970 3.5 0.6 1.0 o . 2 o . 2 1981 4.5 o . 1 2.9 0.4 o .3 1990 4.3 o .3 2. 9 o . 3 0.4

また、 同表に於いて労働集約的工業品の欄に註目すると、 日本とその他北東 ア

ジア、 北アメリカなどでは、 この比 較橿位指数が低下しているが中国とアセアン

ではとの指数が上昇しているごとが示される。 このことからも表 5-4で示したよう

に経済発展に伴う産業構造変化の過程で雁行形態論的な状況が確認されるのであ

る。

ー196-

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第 3項 太平洋 (地域)貿易との関連

表 5-5は、誌貿 易額に占める太平洋地曜との貿易額のシェアを(各地域別に) 示

し たものである 。 輸 出 額 に つ い て は、東アジアの輸出額の 63%が太平洋地域へ輸

出されており、 また太平洋地場全体の輸出額の 56%が太平洋地威内へと輸出され

ていることを示している。 この 比率は 1962年には 45%であったが、 こ の 聞 に 11%

も増加したことが確認される。

表 5-5 総貿易額に占める太平洋 地 域 と の 貿 易 額 の シ ェ ア (% )

他の太平洋地域への輸出額のシェ71他の太平洋地域からの輸入額の川

1962 1910 1981 1990 1962 1970 1981 1990

オーストラリア 49 65 60 70 41 51 63 78 日 本 56 62 56 52 59 58 53 59 中 国 48 56 14 16 48 54 71 83 その他北東アジ ア 60 72 65 58 71 15 70 62 ア セ ア ン 68 70 74 74 64 67 64 66

東アジア計 ー ー 63 61 ー 65 64 北アメ カ 39 50 48 51 48 59 52 62 ニ1-ジーランド等 29 48 58 65 44 53 68 85

太平洋諸国計 45 56 57 52 F 51 62

輸入 に つ い ても全く同様の傾向が見られ、太平洋地域からの輸入の割合は輸出

の場合よりも高い比率を示しており、年度 年に 上昇 する 傾向 にあ る。 この様に、

太平 洋 地 輔 の 経済発展の過程で生ずる貿易拡大面での利益の多〈は、太平洋地域

内で生ずる傾向を強めてきている。

特にオーストラリアの貿易総額に占める東アジア地誠への輸出の割合は 1962年

の29%から 1981年には 44%へと上昇し、 1990年の予測では 48-53%まで上昇するこ

とが見込まれている。 ま た 太 平 洋 地域全体への輸出は同期間に 49%から 60%へと

上昇し、 1990年時点では 70%まで増大するものと予棚される。 之の様な傾向は、

輸入の傾向についても殆ど同様である。

さらに、今後 10年 間 の オ ー ス ト ラリアと東アジア地域および太平洋諸国全体 と

の 貿易の成長率は世界全体との貿易の成長宰を大きく上田ることが予測されてい

る。このことは オ ー ス ト ラ リ ア の 経済発展にとって、今後、東アジア及び太平洋

地域がますます 重要になっていくことを意味しているのである。

表 5-6はオーストラリアの貿易結合 度 指 数 の 推 移 を 示 し て い る 。 ここで, 貿易結

合 度指数とはオーストラリアの貿易相手国の輸入総額 M. jが世界全体の輸入総額

-197-

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Mwに 占め る比 重とオーストラリアから そ の 国 へ の 輸 出 額 M唱』がオーストラリアの

輸出総額 Mi.に占める比重とを比較して、後者の比重が前者の比重に対して相対

的にどの程度大き い か を 示 す 尺 度 である(具体的には、後者の比重を前者の比重

で除した比率として示される。つまり、

M ij/M , .

1 i j ……………………………………… H ・(5-2)M .j/M凶

ごの指数が lより大ならば、 そ の 貿 易相手国がもっ世界全体にとっての重要度より

もオーストラリアにとっての重要度の 方 が 大 き い こ と を 示 す も の で あ る 。 つ まり

その両国は世界全体との貿易取引の平 均 的 な 緊 密 度 よ り も 強 い 貿 易 関 係 を 有 して

いることになる。

| 輸出

表 5-6 オーストラリアの貿易結合度指数の推移

1951 1965 1975 1981 -55 ・70 ・80 -83

、-50758644140132

:J一

rau

FDnunU『

tRU戸

314nE

,h48UE8uzqd司d

l

hq-qu-nLnv1A1Aa--AqdnutAtAnunu

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000100一

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11111111111111ム

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f

dジ

西

'

F

)

.

-

d--L

a

(

数指

ている。

ま た、貿易結合度指数 1i jは、補完性指数 c と偏向性指数 B i jとの積に分解

されうる。つまり、

工リ C j j X B i j ………... ... ....・H ・・・…………………… (5・J)

このうち、補完性指数は輸出国倒の 輸 出 品 の 構 成 が 輸 入 国 側 の 輸 入 品 の 構 成 とい

-198-

Page 206: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

かに強〈対応するかという尺度を示すもので、 両国間の産業構造上の補完性を示

すものである。 他方、 偏向性指数は、 これ以外の貿易促進要因を示すもので、 主

に距離の近さ(運賃の安さ) や政治・外交上あるいは制度上の貿易障壁の低さ な

どを示すものである。

表 5-7は、 オーストラリアの貿易結合度指数をその構成要因である補完性指数と

偏向性指数とに分解して示したものである。 日本を初めとするアジア地域では、

特に補完性指数の方が高まる領向にあるが、 逆にニュージーランドでは補完性指

数は低下し、 偏向性指数が上昇する傾向にある。 これに対してイギリスは、 この

両指数とも大きく低下する傾向にある。 このことは、 日本ではこの時期に高度 経

済成長を遂げ、 そ の過程で農業部門を縮小させ工業部門を急拡大させたことから

その産業構造がオース トラリアと補完的な方向へと変化したことと対応している。

ま たニュージーランドについてはその産業構造はオーストラリアと類似している

が、 距離が近いことや最近、 経済緊密化協定(CER) を 結 ん だ こ と に よ り 貿 易額が

増加していることと符合している。 さらにイギリスの場合にはその工業部門が停

滞していることや ECへの加盟により オーストラリアとの貿易関係が急速に後退し

てきていることに対応している。

表 5-7 オ ー ス ト ラ リ アの貿易補完性指数と偏向性指数

日 本(輸出)(輸入)

その他 (輸出)東アジア(輸入)

アセアン(輸出)(輸入)

北ア メリ カ(輸出)(輸入)

ニ zージー(輸出)ランド etc (輸入)

イギリス (輸出)(輸入)

(資料)文献(1 )、

補完性指数(C i;) 偏向性指数 (Bij}

I 1962 1972 1981 1962 1972 1981 ,

1.8 2.3 1.8 2.0 2. 1 1.7 0.9 1.2 1.3 〉 1.6 1.8 1.7

0.8 0.9 1.2 1.5 1.7 1.1 1.1 1.2 1.1 1.5

0.5 0.6 0.8 2.7 3.9 2.4 0.8 0.8 0.8 2.2 1.7 1.9

0.8 0.8 o . 7 1.0 1.1 0.8 1.0 1.0 1.4 1.3 1.4

1.5 O. 7 0.8 8.2 20.5 22.8 0.6 0.5 0.6 く 5.5 14.5 14.3

1.7 1.4 1.0 1.1 1.0 0.5 0.9 1.2 1.1 3.9 2.6 1.1

補完性指数 C i j及び偏向性指数 B i jの 詳 細 な 定 義 は 文 献(l)PJl:参照。

-199-

Page 207: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

この様に、オーストラリアの貿易相手国としての重要性は特に東アジアを中心

とする太平洋地躍で高まっており、 この地域の経清成長から今後もオーストラ リ

アは貿易拡大を通じて大きな利益を得ることが予想される。言うまでもなく、 そ

の最も将来性の高 い輸 出商 品は 依然として食糧・貰諒である。従って次項では特

に環太平洋地域でより重要な穀物貿易について検討しておこう。

第三節 鞍物需給 の 構 造 と 貿 易 連 関モデル

第 1項 世界穀物需給の構造

1.貿易マトリックス

表5-8は、 1981年における世界の穀物貿易関僚を示している。各行は、輸出国を

表しており、各列は輸入国を表している。 また、世界を 15の国又は地域に分類し、

さらにこれを輸出と輸入との両方に関与する固または地揺(第 l列から第 11列およ

び第 1行から第 11行に配置、以下では輸出入国と呼ぶことにする。 また特にその輸

出額が 輸入 額を上回る国を純輸出国 と 言 い 、 逆 に そ の 輸 入 額 が 輸 出 額 を 上 回 る国

を純輸入国と呼ぶ)と輸入のみに関与する国または地堀(第 14列から第 17列に配

置、以下 で は 純粋輸入国と呼ぶ)とに区別して表示することにより、一般の産業

連関表と対応する形式にして示したも の で あ る 。 第 13行は各国の総輸入額を示し、

第 15行と第 19列は各国の総輪出額を示している。 また、第 14行は両者の差額とし

ての貿易黒字増加額を示している(但し、 この額は鞍物貿易のみから生ずる黒字

額であり、一国の全貿易取引に関する黒字額を示すものではない)。

ここで、 この表はいわゆる国際産業連関表とは若干異なる点に注意しなけれぽ

在らない。 というのは、 国際産業連関表の場合には、輸出倒と輸入倒の双方とも

中間 需要・投入 部 門 ( 内 生 部 門 ) と最終需要・付加価値部門(外生部門)とに区

別してその各々において各固または 各 地 域 を 配 列 し た 上 で 、 最 終 行 と 最 終 列 とは

総生産額として集計することになっているからである。

-200-

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輸入国 (to) 輸 出 入 国

¥ ¥ EC そ の 他 カナヲ' 7メリカ オーストラリ7・ 77リカ 中南米 7シ, 7

¥ 西 欧 こ:1-:;,ーラント'出国(fro皿)¥ (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)

C (1) 3591 365 3 。 781 71 105 の他西欧 (2) 42 44 。 。 28 3 13

ナ ダ(3) 534 37 。 36 。 230 428 46 メ リカ (4) 1675 1295 134 。 3 1716 3006 2465

"i.トラリ7・,-シ'ーラント, (5) B 9 。 11 349 27 382 フ リカ (6) 7 15 。 。 36 。 22 南 米(7) 200 90 。 5 。 65 336 24 ジ ア(8) 88 21 1 6 1 467 64 833

国 (9) 2 6 。 。 。 8 3 146 欧(10) 15 27 。 4 。 8 12 。連(11) 2 。 D 。 。 224 14

言十Vャッ7'(12) 64 3 日 1 1 81 1 364 入 計(13) 6225 1916 136 56 16 3769 4175 4414

白出ー輸入)(14) 513 -1340 3968 18838 2275 -3619 -1016 -1411 露出合計(15) 6738 576 4104 18894 2291 150 3159 3003

百万凶ドル}単 位1981年、(穀物、貿易連関表表 5-8

¥

Eそカアオニア中ア中東ソ統輸

輸輸

¥ 輸入国 (t0) 輸 出 入 国¥

¥ 中 国 東欧 ソ連 統計 中間計¥ γャッ7'

出国(from)¥ (9) (10) ) (11 ) (12) (13 )

c (1) 206 7982 288 2 6211 I の他西欧 (2) 2 2004 225 4 562 I

ナ ダ(3) 586 2694 1367 24 3557 I メ カ (4) 1331 9914 1554 964 15134 I

』ストラリ 7・.ーシラン トt (5) 257 04 350 4 1395

フ リ カ (6) 。 31 B -1 88 南 米(7) 22 131 2283 3039 ジ ア (8) 187 848 352 28 2132

国 (9) 。 692 62 -2 294 欧(10) 3 1532 206 2 430 連 (11) 130 670 。 。 438

計 Vャヲ7.(12) 1 91 1 529 入 計(13) 2725 26567 6694 1027 33809

輸出ー輸入)(14) -23'99 恒 21952 -6256 -172 7186 信出合計(15) 326 4615 438 855 40995

Eモカアオこア中ア中東ソ続輸

-201-

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(続き)

輸入国(to) 純 粋 輸 入 国輸出合計

南 7連邦 日本 中東 オi?7こ7 小計出国 (from) (14) (15) (16 ) (17 ) (18) (19)

C (1) 2 524 。527 6738 の他西欧 (2) 。 。 14 。 14 576

ナ ダ (3) 。 473 74 。547 4104 メ カ (4) 111 2868 775 6 3760 18894

』ストラリ 7・2291 150

3159

貿易連関表表 5-8

、E

,,、JAU

nuu噌

E--

r,‘、r't、

国欧

326 461 。 。 。 。 438 。 218 108 。326 855

126 3942 3041 77 7186 40995 I

輸出ー輸入)(14) 。 。 。 。 。自出合計(15) 。 。 。 。 。 。|

。。23 31

9 0

。。

Eそカアオニア中ア中東ソ統輸

オーストラリアとニュージーランドを除〈ここでいうオセアニアとは、大洋州諸国を意味している。愚物のカバレッジは SITC 041-045であり、小麦、米大豆、メイズその他の鞍類を含んでおり、 それらの粉末および調製品は含まない。総輸出額が1.5億 ド ル に 満 たない国はその輸出を無視して純粋輸入国として分類した。

{注 1)

(註 2)

(註 3)

データの制約の為にごこではこの分析においてもそうすることが望ましいが、

さらに各国の圏内消費額や生産額の部 分中間投入財と最終需要財とを区別せず、

従って、貿易マトリックスの部分のみを用いて分析したものである。を捨象して、

国際産業連開衰 の中で貿易に関する部分のみを取り出して検討していることにな

この分析では時間的制約の関係で穀物という単品の貿易関係を扱って い尚、る。

国際市場における産業聞の 連関関保は分析結果に必ずしも大きな影響 をるので、

或る程度はこのよ うな簡略法を用いることが正当化されるであもたらさない為、

さらに多くの商品に閉して生産額および消費額は貿易額に比べて値が桁違ろう。

これらの数値を同ーの表で取り扱うのは貿易の部分に関しては必ずいに大きく、

との事情からも貿易マトリックスのしも正確な結果を持たらすとは思われない。

部分のみに注目 し て 分 析 す る こ と が 妥当性を持ってくる。

(46.3%、

輸出入シ ェアーの動向

1981年時 点で世界の鞍物輸出額の約半分 46%

-202-

2 •

この表から分るように、

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以下括彊内は 1976年度の数値を示す)がアメリカで占められており、次いで EC

の 16.4% (15.9%)、 カナダの 10.0% (10.5%)、 中南米の 7.7% (6.68%)、 ア

ジアの 7.3% (4.95%)、オーストラリア・ニュージーランド地域の 5.5% (7.35

% )と続いている。 この中、 中南米とアジアは輸入が輸出を上回っており、 ネッ

トの輸入国となっているので、 ネットの輸出国としてはアメリ力、 カナダに次い

でオーストラリア・ニュージーランド地域が続いている。 1976年時点と比較する

とアメリカの輸出シェアは横遣い、 E Cが若干増加したのに対して、オーストラ

リア・ニュージーランド地域はやや後退したことが知ちれる。

他方、輸入額に関してはソビエトが最も大きく世界の総輸入額の 16.3% (11.3

% )を占め、次いで E Cの 15.1% (28.7%)、 アジアの 10.7% (12.9%)、 中南

米の 10.1% (8.0%)、 日本の 9.6% (11.9%)、 アフリカの 9.1% (6.0%)、 中

東の7.4% (3.8%) と続いている。尚、 ここで中国は若干の輸出を行っているが、

ネットでは輸入国にとどまっている。 しかし最近では一部の鞍物に関してはネッ

トの輸出国に転じつつある。特に 1978年に従来の人民公社制度に変わって生産責

任制を探用し、一部に市場メカニズムを導入してからは鞍物の生産性が急上昇し

輸出余力を高めつつある。 1976年時点と比較するとソ連やアフリカ、 中東等の輸

入シェアーが大きく伸びており、 ECの輸入シェアーが下がっていることが確認

される。

前章でも示した通り、最近、オーストラリアは従来の西欧及び北米からアジア

やソ連、中国を初めとする計画経済諸国へと輸出先の多角化を図ってきた。 ソ連

やアジアに関してはある程度成果をあげてきたが、 中国に関しては上記のように

輸入国から輸出国に転じたことから逆に軽物輸出について蹟合国となりつつあり、

西太平洋諸国への愚物輸出に関してオーストラリアを脅かす可能性をも臨めてい

る。

前述の貿易連関衰の各要素を対応する最終行の値で除することにより、貿易係

数行列(輸出入保数行列) [A (i、 j) ]を導くことができる(付表 5-1)。その

第i、 j要素は第 j国の輸入額に占める第 i固からの輸入額の比車を示している。 こ

の表からアジアにおいては他のアジア地域からの輸入に次いでオーストラリア・

ニュージーランド地域からの輸入係数が大きいことが確認される。 また、 中国に

ついては、 アメリカ、カナダに吹いでオーストラリア・ニュージーランド地域か

-203-

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らの輸入係数が高いことが知られる。 さらに、 E Cにおいては EC域内からの輸

入に次いでアメリカ、 カナダ、中南米からの輸入比率が大きく、オーストラリア

・ニュージーランド地威からの輸入比率は以前ほど大きくはないことが確認され

る。同揮にオーストラリア・ニュージーランド地域においては輸入額自体が小さ

いが、場外ではアメリカに次いでアジアからの輸入が大きく、 E Cからの輸入の

比率は極めて小さい。

このように、オーストラリア,ニュージーランド地域は既に穀物貿易に関して、

E Cを初めとする欧米諸国からアジアなどの地域へと輸出(入)先を転換しつつ

あることが確認される。

第 2項 貿易連関分析

1.貿易連関とレオンチェブ逆行列

国際需給の均衡式は、貿易保数行列を用いて次のように示される。

[A] X [X] + [F] = [X]…………...……………… (5 -4)

[ X] = ( Iー [A])-lX[F]………………………… (5-5)

こ こ で [A ]は輸出入保数行列、 [ x ]は輸出額のベクトル、 [ F ]は純粋輸

入国の輸入需要のベクトルを示している。表 5-9は、上式の買易連関モデルに於け

るレオンチェブの逆行列 {(I-A)-!} を示している。通常の産業連関分析の

場合と同様に、その第i、 J要素は、純粋輸入国の第 j輸出国に対する輸入需要 が 1

単位増加した場合に、第 i輸出国が全ての輸出入国と純粋輸入国との輸入需要を

過不足なく満たす為に直接・間接に輸出しなげればならない究極的な(第 i輸 出国

からの)輸出必要額を示している。

例えば、 アジアに対する鞍物輸入需要が 1単位(百万 U S $ )増加した場合、 オ

ーストラリア・ニュージーランド地域からの穀物輸入は 0.608単位(60.8万 US $)

増加するという買易構造になっていたととが知られる。同栂に中国に対する純粋

輸入国の輸入需要が 1単位(百万 US $ )増加した場合、究極的にはオーストラリ

7 ・ニュージーランド地誠からの語物輸出は4.256単位(425.6百万 U S $ )増加

し、 またソ連に対する輸入需要が l単位増加した場合には 7.427単位 (742.7万 US

$ )増加することになる。

このように、 ソ連に対する鞍物輸入需要の増加はオーストラリア・ニュージー

ランド地域からの種物輸出を究極的により大き〈増加させることが分る。之の状

ー204-

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1979年のソ連のアフガニスタン侵攻に改の事情からも容易に類推される。況は、

他の輸出国に対してアメリカはその制裁措置としてソ連への積物禁論を行ない、

ア ル ゼ ン チ ン は こ れ を 拒 否 し て 輸出その際、もこれに同調するように呼掛けた。

トラリアは前年度の輸出実績を上限とし、カナダとオースし漁夫の利を得たが、

しかし翌年にはこれそれを上回る部分については自粛するという形で同調した。

またアメリカはその後もソ連への穀物輸出実績を完全には回復を解除しており、

ト ラリアなどの輸出がその分に食い込んで増加結果的にはオースLていない為、

他方で大量に輸入し てソ連は一方で愚物を輸出しつつ、従って、したのである。

い るがその大きな比率をオーストラリア・ニュージーランド地域から輸入し始め

たのである。

C 1 -A ) -1 (1981年)

アフリカオーストラリ7・ニューシ'ーラント e

アメリカカナダその他西欧

31.759 2.246

14.865 68.071

7. 422 1.580

11.609 11.013 1.119 1.604 1. 567 2.561

1.005 0.000 0.001 0.001 0.000 0.000 0.000 0.001

可,z'E4内

hU戸町

JV

E4nHua叫-n

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nHunHunHu'EA

,AMVAHuhHuhHUnHM内

HUAHunHU

nHU内

HunHunHvnHvnHUAHU向

HunHU内

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nHunHunHuv'EAhHunHunHunHvnHvnHV凸

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inunununU

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2

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nヨTIliti---11111十

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欧ダカ・ドカ米ア国欧連プ

I

園、川

E

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c他ラ

tfzナ

4

(

-

:

-

ー[ B ] 貿易連聞の逆行列表

0.001 0.000 0.001 0.005

0.001 0.000 1. 001 0.035

4.766 1. 442 2.213

10.711

0.000 0.000 0.001 0.001 0.000 0.000 0.000 0.000

0.692 0.073 2.036 1. 055 O. 160 0.329 0.266 0.235

統計ギャップ

連ソ欧東国中アジア

0.077 0.014 0.074 1. 334

34.640 4.487

26.209 90.946

22.299 2.643

13.006 47.973

17.048 2.014

13.655 46.220

1. 903 0.207 1. 343 6.017

0.020 0.000 0.043 0.060 0.003 0.010 0.006 1. 0 10

7. 427 0.407

27.159 10.527 1. 757 3.653 4. 227 1. 969

3.569 0.229

11.509 5.404 1. 019 3.075 1. 707 1. 089

4.256 O. 192

12.112 5.579 1. 825 1. 635 1. 860 1.010

0.608 0.033 1. 187 1. 977 0.150 O. 160 0.178 0.283

4832

IEJRM

o

u

q

u

q

V

7

f

2128

ハい

i

国同

E

m

C

-

f

(

:

7

-

Eの

-

0.637 0.035 3.379 0.917 O. 150 0.311 0.351 O. 171

-205-

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2. 感応度係数および髭響力係数

表 5-10は、本節で示した貿易連関 モデルから導かれる感応度保数および影響 力

係数を示している。 これらの係数は産業連関分析で使われるものと対応している

が、 ここで、感応度係数は次のように定義される。各々の輸出国について、全て

表 5-10 彰響力係数および感応度係数

影 響 力 係 数 感 応 度 係 数

1976年 1981年 1976年 1981年

E C 0.7479 0.1084 2.4451 2. 1483 その他西欧 1.5356 0.4360 0.2390 0.2455 カ ナ ダ 0.0233 0.0189 1.2737 1.3680 ア メ カ 0.0227 0.0189 5.2331 5. 1456 オーストラリ7・

ニューシ eーラント' 0.0221 0.0184 0.5948 0.4682 ア フ カ 2.9555 2.8263 0.1061 0.0465 中 南 米 0.3307 0.3713 0.9472 1.2623 ア ジ ア 0.5157 0.2554 0.3051 0.6678 中 国 0.7883 1.9532 0.1272 0.1129 東 欧 2.1598 2.0644 0.3789 0.1969

統ソ計ギャッ連プ2.7475 3.8808 0.1582 0.1856 0.1508 0.0482 0.1415 0.1525

の輸出入国からの輸入需要が 1単位ず つあった場合に第 i輸出国の直面する必要輸

出額はzp・Jとなる。つまり、逆行 列 {b i d の第 i行の合計である。 この値を各

行の合計値の平均で割った値を、その輸出国の感応度保数と呼ぶ。つまり、

1: b i j

(第 i国の 感応度係数) = 、、,,nhu -

EJ

rsk

• • • • • • • • • • -a' • •

・1: 1:bij

この値の大きい国は、全ての輸出入国 か ら の 輸 入 需 要 の 増 加 か ら 受 げ る イ ン パク

トに敏感であることを示している。

逆に第 j番目の輸出入国の輸入需要が 1単位あった時、それを充たすに必要な全

輸出国 の究 極的な輸出額合計は、逆行列{b i d の第j列の合計である。 この合計

を、それぞれの列の合計の平均値で割ったものを第 j国の影響力係数と呼占。つま

ー206-

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り、~ b ; j

(第J国の影響力係数) = (5-7)

L L b ; j

ごの値が大きい国は、 その貿易行動が輸出回全体に平均以上に大きな彰響を与え

ることを示している。

1981年の貿易マトリックスから導出される影響力係数によれば、 ソ連が 3.88で

最も大きく、次いでアフリカの 2.82、東欧の 2.06、中国の1.95が大きな値を示し

ており、 これらの国又は地域が世界の鞍物需給および貿易に大きな影響を与えて

いることが知られる。他方、感応度係数に聞してはアメリカの 5.14が最も大きく、

吹いで ECの 2.14、カナダの1.36、中南米の1.26が大きな値を示している。従っ

て、 これらの国は世界の穀物需給の変動から平均以上に大き〈左右されることが

知られる。

これらの値を 1976年時点のものと比較すると、影響力慌数に関しては、 ソ連と

中国の影響力が拡大しており、逆に ECやアメリカのそれは低下している。 また、

感応度係数に関しては、 ソ連、 カナダ、 アジアで上昇したが、 それ以外の地棋は

概して低下している。オーストラリア・ニュージーランド地域は、 その穀物貿易

のシェアー自体がこの期間に低下したことも反映して両係数とも小さくなったこ

とが知られる。(逆に中南米は両係数とも若干拡大している。)

周知の通り、 1973/74年の世界的天候異変の時、 ソ連は五大穀物商社を通じて

アメリカから極酪裡に大量の愚物輸入を行ったが、 その当時アメリカは圏内に大

量の穀物在庫を抱えていた為、実状を十分に把握していなかったアメリカ政府は

輪出補助金まで出してこの輸出に協力した。その結果在庫は底をっき圏内のイン

フレを招いた為、翌年には大豆を初めとする穀物輸出制限に踏みきったが、 この

ことが、例の食糧危揖の引金となったことはまだ記憶に新しい。 ソ連について両

僚数とも拡大したという上述の計算結果はこうした事情ともよく一致していると

いえる。

J. 本来的輸入国からの貿易誘発効果

以上は輸出入国(つまり、 この分析モデルの内生部門)の聞に見られる輸出櫨

及効果であったが、次に純粋輸入国(つまり、 この分析モデルの外生部門)から

-207-

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の貿易披及効果を検討してみよう。

表5-11(a)は 各々 の純 粋輸 入国 の輸入需要を満たす為に最終的に必要とされる各

輸出国の輸出誘発額を示している。

表 5-11 純粋輸入国による輸出誘発効果(a)輸出誘発額 ( 1981年、単位 百万 US$ )

純粋輸入国輸出国 南ア連邦 日 本 中東 オセアニア 計

E C 30 307 6391 10 6738 そ の他西 欧 37 535 l 576 カ ナ ダ 20 714 3363 7 4101 アメリカ I187 3990 14681 36 18894

b

オーストラリ 7 ・ニュージーランド 10 401 1810 69 2291 アフリカ I: ~ 4 146 。 150 中南米 28 223 2902 6 3159 ア ジ ア 8 158 2827 10 3003 中 国 26 298 l 326 東 欧 3 30 428 l 461 ソ 連 3 3 1 403 1 438 続 計ギャ、'}7

0

2 244 608 l 855

~ 計 296 6164 34392 143 40995

例えば、 日本の輸入需要器額 39.42億 US$ (表 5-8)を満たす為にアメリカから 39

.9億 s、 カナダから7.1憧 s、 オーストラリア・ニュージーランド地揺から 4.01

億 s、 E Cから 3.0億 s、中南米から 2.2億 S、そして全輸出国から 61.64檀 sの穀

物輸出が誘発されることがわかる。

また表 5-11(b)は、輸出誘発係数を示しており、純粋輸入国別の輸出誘発額を対

応する 純 粋 輸 入国の輸入合計額を除したものである。純粋輸入国の輸入需要が l単

位増 加し た場 合に各輸出国に究極的に 生 ず る 輸 出 誘 発 効 果 の 相 対 的 な 大 き さ を示

すものである。例えば、 日本の輸入需要 1単位の増加はアメリカからl.01単位、 カ

ナダから O.18単位、オーストラリアから O.10単位の穀物輸出を誘尭することにな

る。尚、 この表に よ る と 穀 物 の 輸 出誘発効果は日本よりも中近東のほうがどの輸

出国に対しても蓮かに大きいことがわかる。とのことは、 日本の輸入先がアメリ

カや EC等を始めとして比較的少数の供給国に偏っているのに対して、 中近東は、

国際政治面で微妙な立場に置かれていることから食料安全保障に対する配臆から

その輸入先を多くの地域に少しづっ分散させており、特定地域に偏っていない為

と思われる。

品 208-

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(b)輪出誘発保数

純粋輸入国輸出国 南ア連邦 日 本 中 東 オセアニア 計

E C 0.2376 0.0780 2.1016 0.1249 0.9377

そ の 他西欧 0.0259 0.0093 0.1759 0.0136 0.0802

カ ナ ダ 0.1626 0.1811 1.1058 0.0882 0.5711

ア メ カ 1.4802 1.0122 4.8277 0.4738 2.6293

オーストラリアニ ュ ー ジ ー ランド 0.0831 0.1017 0.5953 0.9011 0.3188

ア フ カ 0.0024 0.0009 0.0480 0.0022 0.0209 中 南 米 0.2239 0.0565 0.9543 0.0779 0.4396

ア ジ ア 0.0631 0.0401 0.9296 0.1293 0.4179 中 国 0.0102 0.0066 0.0980 0.0098 0.0454

東 欧 0.0212 0.0075 O. 1407 0.0105 0.06421

ソ 連 0.0235 0.0079 O. 1325 0.0116 0.0610 統 計 ギャップ 0.0121 0.0619 0.2000 0.0189 0.1190

合 計 1. 5637 11.3094 1.8616 5.7048

これは各々の輸出国に対しさらに表 5-11(c)は輸出誘発依存度を示しているが、

従つて純粋輸入国別の輸出誘発額をその輸出誘発額合計で割算したものである。

この構各輸出国毎に各々の純粋輸入国による輸出誘発額の構成比がわかり、て、

各輸出国が直接・間接にどの純粋輸入国により大きく

その究極的な市場構造を究明することができる。

成比をみることによって、

依存しているか、

純粋輸入国輸出国 南ア連邦 日 本 中 東 オセアニア 計

E C 0.0044 0.0456 0.9485 0.0014 1.0 の他西 欧 0.0057 0.0639 0.9287 0.0018 1.0

ナ ダ 0.0050 0.1740 0.8194 0.0017 1.0 メ カ 0.0099 0.2112 0.7770 0.0019 1.0

ーストラリアユージーランド 0.0046 0.1750 0.7902 0.0303 1.0

ブ カ 0.0020 0.0243 0.9725 0.0011 1.0 南 米 0.0089 0.0105 0.9187 0.0019 1.0 ジ ア 0.0026 0.0527 0.9414 0.0033 1.0

国 0.0039 0.0794 0.9143 0.0023 1.0 欧 日.0058 0.0644 0.9280 0.0018 1.0 連 0.0061 0.0715 0.9197 0.0020 1.0

計 ギャップ 0.0018 0.2852 0.7113 0.0017 1.0

合 計 0.0072 0.1504 0.8389 0.0035 1.0

(c)輸 出誘発依存度

そカアオニア中ア中東ソ統

-209-

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-ニュージーランド地域に対する輸出誘発額の 79%はオーストラリア例えば、

ま17.5%が日 本の輸入需要に依存しているごとになる。中近東に依存しており、

その 21%がアメ リカ に対する輸出誘発額の 77.7%は中近東に依存しており、た、

=の比率は輸出に関与せず(但し、日本の輸入需要に依存していることになる。

輸入と輸出との両方に関与輸入のみに関与する純粋輸入国の聞での比車であり、

大きい値になっている点に注意を要する)0 する輸出入国が入っていないので、

輸出が純粋輸入国の輸入需要と究極的にどの様な関係になっている以上では、

その関係を通じて純粋鞘入貿易に伴う黒字額に対しても、かを検討してきたが、

貿易黒字の純粋この時、国の輸入需要と究極的な関係づけを 行うことが出来る。

貿易黒字誘発係数は輪出のそ輸入国別誘発依存度は輸出のそれと同値となるが、

つまり、れとは国別構成比も異なって〈る。

(純粋輸入国の輸出誘発額)・・ (5・8)

純 粋 輸 入 国 の 輸 入 額

X (貿易黒字係数)(貿易黒字誘発係数)

日本の華宝物輸入需要はア

オーストラカ ナ ダ に 6.9億 s、

表 5-12(a)はこの貿易黒字誘発額を示している。例えば、

メリカに対して 39.7億 sの貿易黒字を持たらし、

純粋輸入国による貿易黒字誘発効果単位 百万ドル)

表 5-12貿易黒字誘発額(1981年、(a)

純粋輸入国輸出国 南ア連邦 日 本 中 東 オセアニア 計

E C 2 23 487 l そ の 他西欧 -8 -86 -1244 -2 -1340 カ ナ ダ 20 690 3251 7 ア メ カ 186 3978 14638 36 18838 オーストラリア・ニ ュ ー ジ ー ランド 10 398 1798 69 2275 ア フ カ ー7 -88 -3520 明 4 -3619 中 南 米 -9 -72 -933 ー2 -1016 ア ジ ア ー4 -74 -1328 -5 -1411 中 国 -9 -190 画 2194 -6 -2399 東 欧 ー13 -141 -2037 -4 -2195 ソ 連 -42 -448 -5753 ー13 -6256 統 計ギャップ 。 -49 -122 。 ー172

合 計 126 3942 3041 77 7186

-210-

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ECに 0.2億$の貿易黒字を誘発するこ-ニュージーランド地戚に 3.9億$、リア

これらの値は中近東のそれに比べればかなり小さいことがわかる。とになる。

世界全体に与える誘発額は日本の方(39.4億$)が大きい)しかし、

これを各々の輸入需要一単位当りの黒字誘発額として表すと表 5-12(b)のまた、

日本の語物輸入需要 1単位の増加はアメ例えば、貿 易黒字誘発係数のようになる。

オ ー スカナダに対しては O.17単位、リカに対して1.009単位の貿易黒字を誘発し、

-ニュージーランド地屈に対しては 0.10単位の貿易黒字を派生させるこトラリア

何れ の園に対しても中近東ほど大きい効果ではない。とになる。

欧 10.0000連 10.0000

ップ 10.0000

1.0000

貿 易黒字誘発係数

純粋輸入国輸出国 南ア連邦 日 本 中 東 オ セ ア ニ ア 計

E C 0.0181 0.0059 0.1600 0.0095 0.0714 そ の他 西欧 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 I カ ナ ダ O. 1572 0.1751 1.0692 0.0853 アメリカ I1.4758 1.0092 4.8134 0.4724 オーストラリア,ニュージーラン ド 0.0825 0.1010 0.5911 0.8948 0.3166 I ア フ 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 中 南 米 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 ア ジ 7 I 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 中 国 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000

(b)

0.0000 0.0000 0.0000 i

1. 0000 I

0.0000 0.0000 0.0000

0.0000 0.0000 0.0000

0.0000 0.0000 0.0000

東ソ続 苛デギ計

1.0000 1.0000 1.0000 計メー‘ロ

貿易成長の要因分析4.

にかけての輸出の増加額は次のよから比較時点(1981年)基準時点(1976年 )

つまり、うに分解されうる。

F -B. . F' - X = B' X 〆

F -B ・(F+.6.F) ( B +ム B ) 一一

"(5-9) -ム FF+.6.B = B .ム F+ム B.

を示してい-1} Bは貿易保数行列 Aのレオンチェア逆行列{ ( 1 -A ) とこで、

は不変のままで純粋輸入

また第二項は輸入需要が不

右辺の第一 項は貿易構造(輸出国聞の競争力関係)る。

国の輸入需要が増加したことによる輸出増加であり、

-211-

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変 のままで貿易 構 造 ( 輸 出 競 争 力 関係)が変化したことによる輸出増加である。

第三項は両者の支持作用による部分である。

-ニュージーランドオーストラリア各効果の寄与宰を示している。表ト13は、

輸地域に 関 し て はこの 3つの総効果の 58.5%が輸入需要の増加によるものであり、

また両者の交緒効果による減少は 30.8%と出競争力の低下による下落は 10.6%、

トの効果としては総効果の 17.1%だけ総輸出の増加ネツその結果、なっている。

輸出競争力の低下による輸出額の減少効果の相因みに、に貢献したことになる。

ECなどに比べると 2倍以上に大き対的大 きさ は他の主要輸出国である アメリカ、

逆にカナダは こ他方、そ の分 だけ国際競争力が大きく下落したことになる。〈、

の期 間 に 総 効 果の 0.5%だげ輸出競 争力の上昇により輪出額が増加していること が

全体的な輸オーストラリア・ニュージーランド地域は、このように、知られる。

他の主要輸出国に比べて相 対的

にはそ の輸 出競争力がより大きく低下したことになる。

入需要 の増 加により輸出額は増加した け れ ど も 、

ー引S

けは

S

M~U

川市万

恥日百

%

0000

mmmm

i111

の果

mur日一

7765

7効'ム

9-mm日日目

A

4

7

7

n

D

-

・・

F

L

uτti

両交

μ

一寸寸寸寸

111111+1111

分一争果)F37U062

因一一競効

f

9

一一uHUM

ιι11

の一一輸力心一

--E

長一

1111「|

i

h

-

-

%

出輸一

)

J

入果1

輔効何

表ト13

3109.0 193.0

1699.0 8357.。

61.763 57.902 64.948 65.774

617. 0 4.0

1637.0 1875.0

55.0 -42.0 220.0 517. 0

100.000 100.000 100.000 100.000 100.000 100.000 100.000 100.000

nHuhJtHnuda処置・

nMMnHV

円,EAHU

HuhHunhun岨ザ圃』

d噌

'4内

hu'hd

nHunu--nwnHwnJnHUnL

-

-

-

-

-

-

-

-

nHvan-anHU『,

ean--同

''nMM'hd

内唱日V

内4M叫屯M

tuq唱dunF也

'B品

-------

ー10.609-15.589

9.008 14.375

-11.917 13.904 7.017 6.314

58.591 50.409 60.823 78.531 54.026

-48.786 63.116 78.436

E C その他西欧カナダアメ リカ耳目Xトラリ7・

ニューシ eーラント'アフリカ中南米アジア中 国東欧ソ連統計ギャップ

シミュレーション分析第 3項

以 上の 分析 は各時点の貿易週間表かち得られる構造的な特性をその時点の輸出

次にこの統計数値が変化した場合額の統計数値をもとに検討したものであるが、

-212-

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の効果を検討してみよう。

1. 輸入需要拡大による控及効果

貿易連関表および輸出入均衡式 (5-5)を用いて特定の輸入国の輸入需要が単独で

増加した場合の効果を新しい均衡輸出額として計算することができる。 この計算

によれば、 日本以外の純粋輸入国の輸入需要を一定にして日本の輸入需要のみを

1%増加させた場合にアメリカの輸出額は 21.4%増加し、 カナダとオーストラリ 7

・ニュージーランド地域の輸出額は各々 17.6%、 17.7%増加し、輸出国全体では、

15.2%増加することになる。

また同様に、他の純粋輸入国の輸入需要を一定にして中近東の輸入需要のみを

1%増加させた場合にはアメリカの輸出額は 21.9%増加し、 カナダとオーストラリ

ア・ニュージーランド地域の輸出額は各々 18.2%、 18.3%増 加 し 、 輸 出 回 全 体で

は15.9%増加するごとになる。 このように、 日本よりも中近東のほうが世界最物

貿易に大きな効果を持たらすことがわかる。(しかし、 ここでは外生的な純粋輸

入国として日本、 中近東を始めとする 4つの地躍しか考慮していないので、 その分

だけ各々の効果が過大に出ていることに註意する必要がある)。

2. 画格捜及効果

以上の分析において、買易連関衰を行方向に検討してきた。 この場合、 (5-4)式

において輸出国の貿易収支が示される。つまり輸出入国への輸出額と純粋輸入国

への輸出額との和が器輸出額になるという関係を示している。

他方、同じく貿易連関衰を列方向に検討すると、輸入国の貿易収支が示される。

つまり、輸出入国からの輸入額と貿易黒字増加額との和がその国の総輸出額に等

しくなるという関保を示している。 ここで価格と数量について若干の調整を施す

と、 この場合の基本的な関係は次の様に示される。

[A]; x [P] + [V] = [P] …… ・・・… … … … … … ・・・…… (5-10)

[P] = [I-A;] -IX [V]

= [(I-A)ー1]'X[V] ・・・… … ・111.t.・… ・・・… … … ・・・ (5-11)

ごとで[A ]は輸出入係数行列、 [ v ]は輸出ー単位当りの貿易黒字軍のベク

トル、 [ p ]は価格ベクトルである。 との式は輸出額 1単位当りの貿易黒字額の変

動に対し、各国の貿易取引を通じて国際価惜体系にどの程度の影響が及ぶかを示

-213-

Page 221: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

しており、均衡価格モデルと呼ばれる。(このように、同}の貿易連関表から 2つ

のモデルが構築され、 しかもモデル形式が類似している為、輸出額モデルと価格

モデルとは双対的であるといわれる)。 この時、貿易黒字軍の変動による価格捜

及効果は次の様に示される。

[ム P] = [(I-A) ー t]' x [6.V] …………………… (5-12)

上式 に よ り 、輸出ー単位当りの貿易黒字車が変動した場合(具体的には輸入関

税または輸出税の変動した場合)の披及効果を導出することができる。 この計算

によると、輸入関税(輸出現)が一律に 1%下落した場合、ー定の国際価桔への披

及効果を介してアメリカの貿易黒字は 0.997%増加し、 カナダとオーストラリア

ニュージーランド地頃では各々 0.967%、 0.993%増 加 す る 。 逆 に 中 南 米 (-0.32%)

、アジア (-0.47%)、 中国(ー7.35%)、 東欧(ー4.76% )、 ソ連(ー 14.2%)な

どの貿易黒字額は減少することがわかる。

つまり、穀物の輸出と輸入との両方に関与する国のなかで、ネットの輸出国(

純輸出国)では貿易黒字が増加し、ネットの輪入国(純輸入国)では貿易黒字が

減少する傾向を示している。 また同様に上の式から簡略計算法 {dpi=( B ni/

B nn)ム pn} を用いて、特定の輸出国の輸出価揺が変動した場合の揖及効果を導

くこともできる。例えば、砲の乗件を一定としてオーストラリア・ニュージーラ

ンド地輔のみの鞍物輸出価格が 1%上昇した場合、 ソ連の鞍物価格は7.38%上昇し、

アフリカでは 7.385 %、 中国では 4.23%、東欧では 3.55%上昇するが、 アメリカや

カナダ、 ECなどでは殆どその価格に髭響しないことが知られる。

このように或る穀物輸出国の輸出価格が上昇した場合、鞍物のネットの輸入国

ではその価梧が上昇するが、ネットの輸出国の価格には余り大きな変化は生じな

いことがわかる。このことは、穀物の国際市場は極めて裏占的であり、 アメリ力、

カナダ、オーストラリアなどを初めとする小数の巨大輸出国がプライス・セッタ

ーとなり、多数の小さな輸入国がプライス・テイカーとして存在していることを

示している@

3. R A S法による予測

RAS法は、基準時点の輸出入係数行列[A ]を、行方向の修正行列[R] (

-214・

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輸出先代替変化の修正係数を示す) と 、 列 方 向 の 修 正 行 列 [S] (輸入依存度変

化の修正係数を示す)とによって修正し、予潤時点の輸出入係数をそれらの行列

の 積[R ]・[A ]・[S ]として求める方法である。 これらの修正係数行列[

R ]と[S ]は、暫定的輸出額に輸出入係数行列を乗じて得られる内生部門の行

方向の計と列方向の計とが、 それぞれ暫定的中間輸出額と中間輸入額に一致する

ように逐次的に修正していくことによって求められる。

こ こで、輸出先代替変化の修正銘数(R )は Expandingexporter (今後、輸

出入国の間で輸出拡大が期待される輸出国)の場合には 1より大、 Declingexpor

t er (輸出拡大が余り期待されない輸出国)の場合には lより小となり、他方、

輸入依存度変化 の 修 正 係 数 (S )は Unefficientexporter (貿易黒字華の揖少

が見込まれる輸出国)の場合には 1より大、 Efficient exporter (買易黒字軍

の増加が見込まれる輸出国)の場合には 1より小となる。(cf.文献[6] r産業

連聞の理論と適用」、 1971 )。

紙数制限の関係で詳細な結果は省略するが、 1976年と 1981年のデータを用いて

RAS法を適用 した結果によれば、オーストラリア・ニュージーランド地域に 関

して、 [ R] (輸出先代替変化の修正係数)は 0.865(アメリカは1.005) となり、

この期間を通じて輪出の伸びが停滞する誘因をもっていたことになる。 また、 [

S] (輸入依存度変化の修正保数)は1.034 (アメリカは 0.993) となり、穀物貿

易からの黒字額は相対的に不利に展開する誘因を持っていたことが知られる。 ま

た、 ごうした点に関してアメリカは全く逆の傾向を持っていたことが示される。

周知の通り、 1981年までの数年は世界同時不況のなかで国際貿易全体が縮小す

る傾向を示した時期である。その怪、 1982/3年にはオーストラリアは史上最悪の

大阜越の過に大きな打撃を受げたが、 それ以後は全般的に回復に向かっている。

こうした外生的な変化は本稿の分析期聞には反映されていないので、今後の予測

に当っては註意を要する。

第 四節終りに

本稿の分析により、東アジア地域の軽清発展に伴い、その産業構造が急設に工業

化の過程を辿り、その為の食糧や原材料を海外からの輸入に頼る傾向を強めてき

たことが確認された。この過程でこの地域とオセアニア地域とは相互の補完性を

ー215-

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強めつつあり、その食糧や原材料の供 給 基 地 と し て の オ ー ス ト ラ リ ア の 重 要 性が

増してきていること、及びこの地域全体の穀物貿易構造に変化が生じつつあるこ

とが示された。その変化の主なものは、次の点である、 1976年から 1981年の期間

にわたってオーストラリア・ニュージーランド地域の患物輸出は増加したが

その輸出増大効 果 の 大 部 分 は 純 粋 輸入国からの全般的な輸入需要の増加によるも

のであって、穀物輸出の競争力構造そのものの変化はむしろマイナスに働いてい

たことが示された。つまり、需要サ イドのプラスの要因による増加であって、供

給サイドの要因によるものではないと言える。

また、オーストラリアはこの期間 に穀物輸出の世界貿易に占めるシェアを低め

たこともあって、 他の 輸出 国に 与える影響力も国際穀物需給の状況かち受げる感

応度も若干低下したことが確認された。

冒頭にも述べたように、本稿の分 析は限られたデータの範囲内でまとめられ た

為、貿 易 連 関 モデルの遭用による一試論の棋を出ないものである。その意味で第

一次接近を示したものであって、今後、 さらに改良を加えて別稿の形で報告した

い。

[参考文献]

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フォード合同委員会報告 J 1976年4月、 日本経済研究センター

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葺関係」和 55年 4月 所 収 ) お よび「農産物貿易と豪州経済の進路 J (小島清

絹「太平洋協力と日豪の関心 J 日豪調査委員会、 1983年 10月所収)

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池間誠絹「オーストラリア経清への視点」日華調査委員会、 1986年3月所収)

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ジーランドにお付る羊肉産業の計量経済分析 J ( r農業総合研究」第 37巻

第 3号、農業総合研究、 1983年 7月所収)

[ 5 ]加賀爪 恒「オーストラリアにお付る農産物輸出の動向と規定要因 J ( r農

業総合研究」第 38巻第 1号、農業総合研究所、 1984年 1月所収)

[ 6 ]金子敬生「産業連聞の理論と適用 J 日本評論社、 昭 和 46年 2月

ー216-

Page 224: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

アジア経済研究昂「アジア太平洋諸国の貿易と産業調整」山沢逸平/野原[ 7 ]

1985年 3月所、

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「経済構造の連関分析」東洋経済新報社、

1号、

[ 10 ]宮沢健一

(1981年)、、,,・1JV-且、A,,.‘、{付表5-1)貿易係数行列 A

アフリカオーストラリ7・こヱーシ'ーラント'

ア メ リ カカナダその他西欧

5.207 O. 187 1. 533

11.440

0.000 0.000 0.000 0.001

0.000 0.000 0.002 0.000

0.000 0.000 0.000 0.033

0.634 0.076 0.064 2.248

2.327 0.240 0.433 3.113 0.053 0.053 0.000 0.540

0.005 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000

0.000 0.000 O.日000.000 0.000 0.000 0.000 0:-000

0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000

0.016 0.026 O. 156 0.036 0.010 0.047 0.003 0.009

内屯

dnnunHunuu'EA'BA円

HM伺唱

unHuntunHvnudv

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unHU円,『

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E--nHunHunHunHV

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欧ダカ・ドカ米ア国欧連プ

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統計γヤヴフ.連ソ欧東酉中アジア中南米輸入国 (to)輸出国(fr 0皿)

0.002 0.005 0.028 1. 127

0.658 0.514 3. 121 3.548

1. 731 0.434 0.584 2. 150

0.632 0.006 1. 798 4.083

0.035 0.004 0.015 0.821

0.005 -0.001 0.001 0.033

-0.002 0.002 0.000 0.001

O. 799 0.014 5.212 0.804 0.142 0.470 0.000 0.002

0.000 0.007 0.028 0.182 O. 150 0.332 0.145 0.020

0.788 0.000 0.067 0.574 0.000 0.009 0.399 0.003

O. 127 0.007 0.008 0.277 0.049 0.000 0.005 O. 121

0.009 0.000 0.106 0.020 0.001 0.004 0.071 0.000

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-217-

Page 225: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

結章 要約と結論

本研究は、オセアニア、特にオーストラリアとニュージーランドを分析対象地

域として、その農産物貿易が自国の経済発展に及ぽす彰響と環太平洋地曜の経済

発展がオーストラリアに及ぽす影響とに関して計量的に分析するものである。

その際、本稿では次の 4つの課題を取り担った。先ず第ーに、オーストラリアにお

付る主要輸出部門である畜産部門についてその圏内需給構造を解明し主要輸出相

手国との貿易関係について政策シミュレーションを行うことである。第二に、牛

肉市場の周期変動に注目して、その見かげ上の複雑な変動を農つかの成分変動に

分解して各々の周期性と振幅の大きさとを具に検討し、圏内の異なる市場段階に

おげる変動の甑及間保(ラグ構造)を解明すること、併せて輸出相手国における

周期変動が輸出需要の変動を介してオーストラリアに如何に誼及しているかにつ

いて検討することである。一般に経済時系列変動は傾向変動、循環変動、季節変

動、不規則変動が檀雑に混ざりあって生じている。言わば第ーの課題はこのトー

タルとしての見かげ上の変動に関して、主要輸出相手国との関係を論じたのに対

して、第二の課題はその成分変動である循環変動(その中でも特に周期変動)に

在日して、主要輸出相手国との聞の変動の按及関係を論じたものである。さらに

第三は、 1960年以後の 20年間においてオーストラリア及びニュージーランドの輸

出が世界全体の輸出を大きく下回って推移してきたが、 この両国の輸出が相対的

に停滞してきた原因.について、主にマーケット・シェアに重点をおいて分析し、

それを是正する為の政策を検討することである。第四は、世界の GNPと貿易の成長

においてその中心的役割を果たしつつある環太平洋地域の経済発展の方向とそれ

がオーストラリアの貿易に及ぼす効果について検討するごとである。前者の 2つの

課題がオセアニア内部の問題を主として論じ、その歴史的発展過程において買易

相手国としての重要性が劇的 Eつ対照的に変遷したイギリスと日本とのパイ・ラ

テラルな関係を浮き彫りにしているのに対して、後者の 2つの課題はオセアニアと

世界経済とのマルティ・ラテラルな関連に註目して論じている。

尚、各々の分析手法に関して言及しておくと、第一の課題は挟義の計量経済的

手法を駆使しており、第二の課題はいわゆる時系列解析の手法に頼っている。こ

の両者はより広義の数量統計解析の用語に従えば、前者は時間領域からの接近法

-218-

Page 226: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

であり、徒者は周披数領域からの接近法といえる。また第三の課題は一種の成長

要因分析であり、第四の課題は投入産出分析を貿易部門に適用したもので貿易連

関モデルを掻用している。

最後に本稿を結ぶに当たって、本研究の分析課題に対して各章で得られた研究

結果を要約しておこう。

第一の課題に対して第一章では、オセアニアの牛肉需給構造及び日本との聞の

午肉貿易について定量的に検討した。

本章の分析からの帰結の主たるものは次のようにまとめられる。

(1) オーストラリアよりもニュージーランドの方が、輸出市場からの彰響を敏

感に受付ている。他方、その効果は、オーストラリアでは多期にわたって彰

響するのに対して、ニュージーランドでは即時的であるごとが知られる。こ

のことは次のように説明されよう。ニュージーランドでは、国の規模が小さ

い為に、比較的短期間で輸出市場の変動に対処して調整することができるが、

オーストラリアは国の規模が大きい為に、その調整に時聞がかかることを意

味している。

(2) また、 日本の牛肉輸出価椿に関する限り、その影響は、オーストラリアヘ

の方が大き〈、ニュージーランドへの髭響はさほど大きくはない。とれは、

日本との牛肉買易取引の相対的大きさがオーストラリアに対してはその牛肉

輸出額の 20%近くを占めるのに対して、ニュージーランドに対してはその牛

肉輸出額の数Zに過ぎないという事情からして容易に推謝される帰結である。

(3) 消費面においては、両国とも羊肉との代替関係がみられるが、その交叉効

果はニュージーランドの方が大きい。このことは、オーストラリアと違って

ニュージーランドでは、羊肉の方が必需品的性格が強〈、牛肉需要は羊肉需

要ほど安定的ではない為、羊肉との相対価楕が変化すれば大きく影響される

傾向があることを示している。

(4) 生産面においては、両国とも牛肉生産量と肉牛飼養頭数とは、種々の政策

価格に対して重眉的なラグをもって反応しており、オーストラリアにおげる

よりもニュージーランドにおげる方が、政策的変数が生産に大き〈膨響して

おり、 またその効果は、多期にわたって残留効果をもたらしている。このこ

とは両固におげる牛肉市場への政策介入の程度の差を反映していると言えよ

ー219-

Page 227: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

う。オーストラリアでは殆ど自由市場に任されているのに対して、ニュージ

ーランドではミート・ボードを中心に或る程度の市場介入が行われている。

ごれはまた両国におげる午肉部門の競争力の差とその部門の相対的な重要度

の差を反映しているのである。

同じく第ーの課題に対して第二章では、オーストラリア、ニュージーランドの

両国の歴史的尭展過程の中で最も重要であった羊肉部門に焦点を当てて検討した。

主な帰結のみを再現すると次のようになろう。

(1) イギリスの EC加盟(1 9 7 3年)以降、オーストラリアでは、羊肉生産量、

羊飼養頭数ともに顕著に減少しているのに対して、ニュージーランドでは、

ー豆、誠少した後、羊肉生産量、羊飼養頭数ともに急置に増加している。

このことは、次のことを反映している。オーストラリアでは羊肉部門に代

わる主要輸出部門として貰海部門が急速に拡張したが、ニュージーランド

ではこれに代わる外貨獲得部門が見いだせなかった為である。

(2) イギリスの国民所得の増加は、ニュージーランドからの羊肉輸入よりも

オーストラリアからの羊肉輸入に対して大きな増加効果を与えるのに対し

て、 日本の国民所得上昇は、逆にオーストラリアよりもニュ二ジーランド

からの羊肉鞘入に対してより大きな増加効果を与える。ごのことは、次の

様に解釈できょう。イギリスは EC加盟佳もニュージーランドに対しては一

定の特別枠を設けて従来の英連邦特恵による輸入を継続しているが、オー

ストラリアに対してはそれを設けていないこと、 また日本はオーストラリ

アにとっては大きな市場であり既に安定的な取引先であるが、ニュージー

ランドにとっては貿易量も余り大き〈はなくそれほど安定的な市場ではな

いことを反映していると言える。

(3 ) オーストラリア、ニュージーランド両国に対して、 日本の国民所得上昇

からくる効果の方が、イギリスのそれからくる効果よりもはるかに大きい。

このことは、今後、ますます、オセアニア両国に対する羊肉輸出市場とし

て、 日本の重要性が増してい〈であろうことを意味しており、かつてのイ

ギリス市場を凌いで、輸出相手国としてのシェアを革大してい〈ものと予

想される。

(4) 羊肉の圏内消費需要に関して、その価格弾力性は、オーストラリアの方

-220-

Page 228: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

がニュージーランドよりもはるかに大きい。これらのことは、羊肉はニュ

ージーランドでの方が必需品的性梧が強いのに対して、オーストラリアで

は他の肉類との消費におげる競合関係がかなり強いことを示している。

第一章、第二章の両方に関して、こうした幾つかの部門モデルを統合すること

により総合的に分析することが望ましいが、 またそのどの部門モデルにしても、

日本側の事情を反映させる必要があり、オセアニア倒と日本倒との両地曜のモデ

ルを結合させるごとが望ましいごとは言うまでもない。 しかし、生産、涜通、消

費の各面において異なるこの 2つの地域をただ単純に、同規模のモデルとして結合

させることには、予測されるメリットに加えである程度のデメリットを生ずるこ

とも否めない。また他方では、大規模な計量モデルの有用性に関して疑問視する

傾向も出て来ている。従って、本稿ではさし当たってオセアニア倒のみのモデル

化を試みた。

次に若干の残された課題について述べておこう。既に言及したま日く、モデルを

揖作し易〈するために、第一章と第二章では農つかの制限的な定式化を器用して

来た。その主なものは、最大タイムラグを l期に限定したことと定式化に当たって

轄形性を竪持したことである。従って、 より一般的な結果を得る為にはこうした

制限をはずして、れ)一部に非轄形関係を導入する、(ii)必要に応じて 2期以上の

タイムラグを考慮する、さらに(iii)圏内羊肉価格の式を小売価梧と農場価格(あ

るいは卸売価格)に分割する、(iv)羊肉在庫量を輸出量から別個に推定する、な

どの点が今後の改良点として考えられるが、さらにフィード・パックを考慮した

より動学的な過程を論じる為には、 (v)状態空間表現による最適制御系設計へと導

くことである。

第二の課題に対して第三章では、オーストラリアのビーフサイクルに注目して、

その背後にある成分変動を検討することを通じて市場の構造を明らかにした。本

章の分析では次のことがまとめられる。

(1)牛肉価格系列には約 3年周期と約 1年周期および約日月周期のドミナントな成

分変動がみられた。また屠殺頭数の系列については、 10年周期、 1年周期の

成分変動がドミナントであることが示された。

(2)市場段階別のビーフサイクルについては、次のようにまとめられる。

短期的な 3b月周期の成分変動では、需要倒の要因が強〈作用し消費者に近い

-221-

Page 229: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

倒の価格系列から生産者に近い系列へと変動が按及しているのに対し、 1年

周期の成分変動では、逆に生産者に近い倒の価格系列から消費者に近い系列

へと変動が披及する傾向のあることが示される。

(3)これらの時系列にみられた周期性は、アメリカでの分析結果(第 l節参照)

と類似しており、 また 3カ月周期の成分変動で肉午価格が誌屠殺頭数に僅かな

がら先行している点もアメリカでの分析結果に類似している。第 2節で示し

た如く、オーストラリアの牛肉の 50%強が輸出に回り、その流通経路も輸出

業者による垂直的統合が進みつつあるという現状からして、輸出先の圏内で

のビーフサイクルが輸出需要の変動を通じてオーストラリアに反映されてい

ることを推測させる(輸出需要連動型サイクル)。だが他方で生産期間の異

なる多種の牛問の異質な誼動が複雑に緒み合っているオーストラリアのビー

フサイクルには、アメリカやカナダには見られない周期帯にもドミナン卜な

成分変動が幾っか見られた(圏内動向連動型サイクル)。この様にオースト

ラリアの事情はこれら両国とは違って極めて複雑であるけれども一応の対応

関係のあることが確認された。

なお、残された課題として次の点があげられる。前述した知くオーストラリア

では各州ごとに輪出依存度が異なり、 また肉種ごとに輸出比率が異なっている。

それ故、州別のデータで肉種別に分析することにより、輸出先の国内におげる詰

変動がどの樟にオーストラリアに按及しているかを検討するごとが差し当たって

残された課題である。いま lつの課題はランニングスベクトルという操作を用いて、

政策変化のあった時点の前後でデータを区切り、その周期性およびラグ構造の変

化を判定することである。

第四童での分析から確認されたことをまとめると、以下のようになろう。

(1)オセアニア両国の輸出は世界全体の輸出の伸びを下回って推移したこと。

(2)オーストラリアの場合、その要因は主に輸出商品の構成が需要の停滞するも

のに偏っていたことからくる効果と輸出相手国市場の構成が経済成長車が低

〈輸入需要の伸びの小さい市場に偏っていたことから〈る効果とにより説明

されること。

(3)また、その傾向は第皿期(1973/75-1978/80)に入ってより大き〈表わ

れたこと。

-222圃

Page 230: Title オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計 …...目次 「オセアニアの農産物貿易と経済発展に関する計量経済分析」 序章 課題設定と分析視角

(4) さらにその傾向は、伝統的な農産物である畜産物、酪農品、羊毛と製造

業部門で大きく表われ、逆に鉱産物では有利に展開したこと。

(5) この傾向はイギリス市場で最も大きく表われ、 日本市場では全く反対に

有利に展開したこと。

などが示された。

次にニュージーランドについて確認されたことを要約すれば以下のようになろ

う。全般的な傾向は、オーストラリアの場合と類似していると言える。 しかし、

①イギリスを中心とする西欧諸国 へ の 輸 出 比 率 は ど の 農 産 物 に つ い て も低下

しているが、その低下する速度はオーストラリアの場合よりも謹慢であると

と。

②また、オーストラリアの場合と違って、 日本への輸出比車は必ずしも高まっ

てはおらず、幾つかの農産物については低下していること。 さらに日本への

輸出比率が高まっている農産物についても、その速度はオーストラリアの場

合よりも緩慢であること。

③更にアメリカへの輸出比宰の上昇が比較的顕著であること。

などの点が観察される。

これらの点は、ニュージーランドにおげる輸出多角化がオーストラリアの場合

よりも遅い速度でしか進んでいないこと、 さらにその多角化の先は必ずしも日本

が主読ではな〈、アメリカその他の市場へも大きく流れているごとを示唆してい

る。

ごうした状況の背景には、ニュージーランドはオーストラリアと違って、輸出

するに足る鉱物資額を持たなかったために、 1960年代の日本の高度経済成長によ

る鉄鋼、石炭、 ウランなどの輸入需要の飛曜的な増加に便乗できなかったことが

あげられる。

またそれに加えて、急速な経済発展の過程で、 日本が米以外の鞍類の生産を縮

小させ、その殆どを輸入に頼る方向へと政策転換しつつあった時期にも、ニュー

ジーランドは穀物に聞して以前に有していた国際競争力を急首位に低下させ、既に

部 分的に鞍物輸入国に転じていた。そのため、増大する日本の輯物輸入需要に応

じられなかったととも日豪貿易とは遭った状況をもたらした一つの原因となって

いる@

-223-

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さらにニュージーランドの主要輸出商品は酪農品であるが、酪農品は食肉その

他の(輸出)農産物よりも早い時期から主要先進国が過剰状態に陥り始めた。そ

のため酪農品の世界輸出量そのものが低迷して来たにも拘らず、ニュージーラン

ドは酪農品輸出に依然として大きく依存し続けたためその輸出成長の鈍化傾向は

オーストラリア以上に深刻であったのである。 また輸出商品の多角化も酪農製品

の内部での多角化(例えば伝統的なチーズ、バターからカゼインや種々の粉乳類

あるいはその加工品などへの多角化)が大部分であることが最近の輸出成長停滞

の大きな原因となっている。

またオーストラリアの場合、輸出一次産品の中では、羊毛、酪農品がその重要

性を低下させ、逆に牛肉、小麦、米、砂糖および鉱産物などが貢献度を高めてき

ていることも示された。他方、ニュージーランドでは、脱脂粉乳、カゼインや林

産物および水産物などが比重を高めつつあるが、鞍類、羊肉、バター、チーズな

どは比重を低下させていることが確認された。

戦後、オーストラリアは積極的に輸入代替的工業化を押し進めて来たが、その

ことが比較優位部門であるー次産品部門の輸出成長に抑制的に作用し、その国標

競争力を弱めてきたことは否めない。

またニュージーランドにおいては、最近の経済不彊による需 j政難を理由に、あ

るいは世界ーを詰る社会福祉政策の強化の代償として、輸出奨励策や種々の一次

産品助成のための予算を削誠して来たが、 このことが輸出成長鈍化の一因ともな

っている。

確かに、国際市場における一次産品の交易条件が悪化している状況では、輸出

一次産品部門に特化することもまた必ずしも賢明とは言い難い。

今後この両国が世界輸出と歩調を合わせて成長していくためには、(i)(より需

要成長の大きい市場への)輸出先の多角化と、 OU(より需要成長の大きい商品

への)輸出商品の多角化とを図る必要があろう。具体的には、前者としては、伝

統的な英米市場から中東、計画経済園、アジア市場への多角化であり、後者とし

ては、伝統的な畜産物から穀類、園芸・加工農産物および鉱産物{オーストラリ

アの場合)や林・水産物(ニュージーランドの場合)への多角化を促進すべきで

あろう。

この両国は貿易依存度が高いために、国際価惜の変動により圏内市場が撹乱さ

-224-

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れ易い。それ故、国際市場の変動からの影響を抑えるために、圏内市場に対して

各種の価格安定化措置を強化することも重要であろう。さらに国際市場に対して

も各種の国際協定や長期契約を通じて輸出市場の安定確保に積極的に努めるべき

であろう。

第五章での分析により、東アジア地棋の経済発展に伴い、その産業構造が急置

に工業化の過程を辿り、その為の食糧や原材料を海外からの輸入に頼る傾向を強

めてきたことが確認された。この過程でこの地棋とオセアニア地域とは相Eの補

完性を強めつつあり、その食糧や原材料の供給基地としてのオーストラリアの重

要性が増してきていること、及びこの地場全体の穀物貿易構造に変化が生じつつ

あることが示された。その変化の主なものは、次の点である。 1976年から 1981年

の期聞にわたってオーストラリア・ニュージーランド地舗の履物輸出は増加した

が、その輸出増大効果の大部分は純粋輸入国からの全般的な輸入需要の増加によ

るものであって、鞍物輸出の競争力構造そのものの変化はむしろマイナスに働い

ていたことが示された。つまり、需要サイドのプラスの要因による増加であって、

供給サイドの要因によるものではないと言える。

また、オーストラリアはこの期聞に積物輸出の世界貿易に占めるシェアを低め

たこともあって、他の輸出国に与える影響力も国障鞍物需給の状況から'受付る感

応度も若干低下したことが確認された。

以上の分析をつうじて、オセアニア両国は共に依然として一次産品部門に比較

橿位を持ち、短期的には今後もこの部門を経済発展の原動力として位置づけなげ

ればならないが、その産業構造に占める相対的重要性は時と共に変化しつつあり、

畏期的には、(1)国際需要の停滞による交易条件の悪化、 (2)雇用創出効果の小さ

いことと失業問題等の為に、輸出の多角化とある程度の輸入代替的工業化を押し

進めなければならないであろう。その前提となる資額賦存の余裕は両国で大きく

異なっており、この点に関しては、オーストラリアはニュージーランドよりも若

干有利な立場にあると言えよう。 この両国は共にイギリスの植民地として経済発

展を開始し、その産業構造も似通っている為、ニュージーランドはオーストラリ

アの影に隠れてそれだげが注目されることは少ないが、自然条件その他の点でか

なりの相違点を持っている。この相違が今後の経滑発展を進めて行〈上で、槙本

的に遭った臨時を必要としているのである.両国はかつての資諒利用型のラッキ

-225・

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ー・カントリーから脱皮して、今まさに、新たな方向に進路を見いだす為の大胆

な産業構造調整を模索しているのである。それ故、現在の経済状態は低迷の真只

中にあり、厳しい構造再編の課刻な苦難の時期にある。この過程で両国は一段と

"脱欧入亜"、つまり血縁的なヨーロザパの一員から地縁的なアジア・環太平洋

地域の一員として目覚めて行くであろう。 このことは見方によっては歴史的パラ

ドックスともいえる。両国に関しては、かつて"距瞳の暴虐"という言葉がしば

しば使用された。というのは、本国イギリスの農園として機能し、その工業製品

に対する需要を専ら本国に頼りつつ経済発展を進めていた時代には、之の地輔が

世界の中心から遺く暗たっていることが最大の成長阻害要因であったのである。

航空輸送技術が飛彊的に進歩した今、この"距離の暴虐"は実質的には殆ど消麗

したと言っていい。そうした今、この両国は逆に本国から脱皮し、近隣のアジア

諸国に真剣な眼差しを向付てきたのである.それだ付にアジア諸国がとの両国に

とって、また相互の補完関係と言う意味からも重要になってきたのである。

骨 226・

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終りに (終りに.J XW)

今年はオーストラリアの建国 200年祭の年である。 200年祭と言っても、イギリ

ス人の入植開始以来 200年なのであって、その当時は 6つの独立の植民地でしかな

かった。また現在のニュージーランドもニューサウスウエールズ植民地の一部で

あった。連邦国家の樹立はそれから 113年を経た 1901年のことであるから、実質的

には建国以来 87年しか経っていないことになる(因みニュージーランドの独立は

最終的には 1949年である)。捜多の軒余曲折を経て連邦結成の降、にこの各々の植

民地が現在の各州となったのであるが、この僅か 87年の聞にオーストラリアは世

界一豊かな固から OECD諸国の中でも中位を辛うじて保つメンバー固にまで調落し

た。その最も大きな原因は宗主国イギリスの凋落である。イギリスの ECへの加盟

は1973年であるからオーストラリアが本国の英連邦特恵得遇から完全に脱皮して

独り歩きしてからは 15年しか経っていないのである。

経済成長論の分野ではよく製造業部門が樹立するには最低 5000万人の人口が必

要だといわれる。オーストラリアの人口は 1500万程度であり、その三分のーにも

満たない(つまりオーストラリアでは日本の 22倍の国土に東京都の人口しか居住

していないのである)。このように人口が少ない為に工業部門が育たない。その

結果として一次産品部門を強化してきたが、この部門では雇用眼収力が小さい為

にその過小な人口(労働力不足と同時に国内需要不足)の中で失業が発生すると

いうディレンマにたっているのである。

このような中でオーストラリアが今後、採るべき政貨は、従来の貿易論が教え

る産業間分業(または垂直分業)ではなく、いわゆる産業内分業(または水平分

業)の途であろう。つまり各産業部門をある程度維持して、産業構造に柔軟性を

持たせた上でその各々の産業部門内部の比較優位分野に特化してい〈ことであろ

う。具体的には今後も重要性を増してくるのは貰揮に立脚した産業であるが、そ

の貰掘を従来の様に原材料のままで輸出するのではなく、それに一次加工を加え

て圏内での付加価値を少しでも高めてから輸出することである。畜産部門では食

肉そのものではな〈食肉加工品として、 また園芸部門ではフルーツそのものでは

なく、その加工品、例えぽワインなどとして輸出することであろう。また砂槽黍

からアルコールを作り、これをエネルギー混として産業化することや輸送費の高

-227-

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〈付く石炭を譲化して輸送費の節約できる石油代替財として製造することなども

将来性のある例であり現にその方向に 産 業 構 造 調 整 が 進 ん で い る の で あ る 。その

中で従来の形の農業部門はここ暫〈の問、構造調整の寅担を強いられるであろう。

最後に、本論文をまとめるに当たって、多くの方々のお世話になった。 特に

頼 平 先 生 には、学部学生時代から大学院時代にかけて公私にわたりお世話にな

った。 この 論 文 を 提 出 す る に 至 る過程でも、遅々として進まない筆者の原稿作成

を忍耐 強〈 励まし続げ、常に刺置 を 与 え て 下 さ っ た 。 さ ら に 藤 谷 築 次 先 生と西村

博行先生は 、 頼 先 生 と 共 に ご 多 忙中にも拘らず貴重な時間を割いていただき、と

の読み辛い草稿に目を通して適切かつ懇切丁寧な御助言を下さった@ここ に衷心

よりお礼を申し上げたい。

また中鴫千尋先生には学部学生時代から大学院時代、 さらに農政学講座の助手

を努めてか らも指導教富として、 時には厳しく、また時には曜かい御指導 と励ま

しを惜しまれなかった。先生からは単に時涜に乗った新知識の吸収能力ではな〈、

既 成の事実 に対する自問自害能力が研究者として最も重要であることを教えられ

た。さらにまた学部及び修士課程在学中には、貝原基介先生と吉田 忠先生には

特に色んな面でお世話いただいた。両先生からは農業問題のミクロ的な接 近法を

御教示いただいた。

筆者はまた京都大学経清研究所や 東 南 ア ジ ア 研 究 セ ン タ ー の 詰 先 生 方 に も色々

とご指導をいただいた。前者の佐和隆光先生からは計量経済学を、 f走者の安場保

吉( 現 在 、大阪大学教授)先生からは経済発展論の講義やゼミを通じて多大の学

問的刺置を 受けた。そこでは、経済学部のみならず工学部や数学科或は他大学か

らの学生と共 に 受 講 す る こ と が 多かったが、あの緊彊感のあるムードは今なお慎

かし く 思 い出される。筆者の最も知的成長率の高い時期であった。この様に筆者

は京都時代に非常に多〈の良き指導教官に恵まれた。

さらに農林水産省農業総合研究所に移ってからは、当時の所長の並木正吉先生、

その後任の紙谷貢先生(現在、東京 農 大 教 授 ) を 始 的 、 研 究 所 の 先 輩 で も ある辺

見 謙三 先生 (もと東大教授、現在 、 亜 細 亜 大 学 教 授 ) か ら は よ り 視 野 の 広い角度

か らの 分析 手法を身につ付る上で 多 く の 貴 重 な 第 曹 を 受 げ た 。 ま た 、 三 枝華清先

生(もと農 業総合研究所研究員、現在、東京都立大学教授)からは、統計的手法

を身に付付る上で大きな影響を受げた。

-228-

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筆者が研究対象としてオセアニアに興味を持ち始めたのは、大学院博士課程在

学中に、オーストラリアのクイーズランド大学の J.W. ロングワース先生が京大農

学部に半年間滞在されたことからである。その後、研究所に移ってからも、相互

に交流する機会が多く、筆者が現地を訪問する度に色々とお世話になっている。

またロングワース先生も何度か筆者の研究所を訪問され、 また或る時にはご自身

の修士課程の学生を私のもとにおくってこられたりもした。さらに筆者は、ニュ

ージーランドのカンタペリー大学リンカーン・カレッジに 2年間留学したが、その

際、 B.ロス教援や A.ズワート教授には大変なお世話になった。紙面の都合で逐一

列挙することはできないが、その他にも、実に多数の先生方のご指導を得た。こ

こに篤く感謝の意を表したい。

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