Society 5.0に向けて求められる 初等中等教育改革第...

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2020年7月14日 Society 5.0に向けて求められる 初等中等教育改革 第一次提言 ~with コロナ時代の教育に求められる取組み~ 一般社団法人 日本経済団体連合会

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2020年7月14日

Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言

~with コロナ時代の教育に求められる取組み~

一般社団法人

日本経済団体連合会

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目次

Ⅰ. Society 5.0で求められる能力と教育の方向性

Ⅱ. Withコロナ時代の初等中等教育に求められる取組み

はじめに ..... 2

終わりに

..... 5..... 6

..... 3

..... 13

1.全国でリモート教育が実施可能な環境の緊急整備

2.改訂学習指導要領が目指す教育の実現

3.ICTを活用した新しい教育様式に対応できる教員の養成

4.9月入学に向けた考え方

..... 8

..... 10

..... 11

1.Society 5.0で求められる能力と素質2.Society 5.0における教育の方向性

..... 3

..... 4

Ⅲ. 高大接続の改善と大学入試改革

Ⅳ. 企業に求められる取組み ..... 13..... 12

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全国の学校は長期の臨時休校へ 臨時休校中、ICTを活用したリモート・オンライン

教育に対応できた学校は少なかった

Society 5.0で活躍できる人材の育成の観点から義務教育・高等学校教育のあり方を検討

(2019年4月諮問、2020年度内答申予定)

はじめに

with コロナ時代に比較的、短期的

に求められる教育改革の取組み

経団連として、Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革に関する意見を取りまとめ、政府方針や中央教育審議会の審議に反映させるべく、2019年秋より検討を開始

Society 5.0に求められる能力の育成には初等中等教育段階から取り組むことが必要

デジタル技術を活用しつつ、創造力・想像力を発揮して、社会

課題を解決し、新たな価値を生み出す「人づくり」が重要

採用と大学教育の未来に関する産学協議会 中央教育審議会

日本のデジタル化が、教育分野で諸外国と比べて周回遅れの状況が露呈 第一次提言として取りまとめ

新型コロナウイルスの感染拡大

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Ⅰ. Society 5.0で求められる能力と教育の方向性

1.Society 5.0で求められる能力と素質

【出典:採用と大学教育の未来に関する産学協議会「中間とりまとめと共同提言」(2019年4月22日)、経団連「Society 5.0 –ともに創造する未来 – 」(2018年11月13日)を基に経団連事務局にて作成】

高等教育にて育成

初等中等教育にて育成

課題発見・解決力 未来社会の構想・設計力

高度専門職に必要な知識と能力

論理的思考力と規範的判断力リベラルアーツ教育を通じて涵養

相互に関連

リテラシー数理的推論・データ分析力、論理的文章表現力、外国語コミュニケーション力、ITスキル、プログラミング的思考、情報選択力・情報リテラシー、技術活用に関する倫理観 など

素質リーダーシップ、失敗を恐れず果敢に挑戦する姿勢、自己肯定感、忍耐力、

他者と協働する力、新しいことを学び続ける力、変化を楽しむ力など

基礎学力読み書き能力(読解力を含む)、計算・計数能力、基礎的な英語力 など

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2.Society 5.0における教育の方向性

(注)「浮きこぼれ」とは、生まれながらにして高い知能を有していたり、通塾などによって高い学力を身に付けたり、もともと学習意欲が高かったりする、極めて優秀な児童生徒が、通常の学校の授業内容に物足りなさや疎外感を持ったり、実際に他の生徒から疎外されたりすること

【出典:経団連「EdTechを活用したSociety 5.0時代の学び」(2020年3月17日)等を基に経団連事務局にて作成】

現状の教育 Society 5.0の教育

教師が一律のペースで一斉に指導する教育【落ちこぼれ、浮きこぼれ(注)

を生みやすい土壌】

教育現場は学校に限定。個人の学習履歴が学校、家庭、学習塾の間で分断されている

ICTやEdTechを活用した

児童・生徒の理解度に

応じた個別最適な学習

オンラインにより、全国で

学校と家庭・学習塾などが

機動的に連携し、質の高い

教育を提供

児童・生徒は受け身の姿勢で授業に臨む

探究型学習により「主体的

・対話的で深い学び」を実現

児童・生徒・学生の間は勉強するが、社会人になると勉強しない

社会人が大学等でいつでも

学び直せるリカレント教育が

充実

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Ⅱ. With コロナ時代の初等中等教育に求められる取組み

全国でリモート教育が実施可能な環境の緊急整備

改訂学習指導要領が目指す教育の実現

ICTを活用した新しい教育様式に対応できる教員の養成

9月入学に向けた考え方

コロナの第二波に備え、全国でオンライン授業と家庭でのオンライン学習が可能な環境を実現

「修得主義」をより重視した教育の必要性

オンライン学習と学校での対面形式の学習とのハイブリッドな学習環境

教員のICT活用力向上に向けた教員養成課程の見直し

教員の働き方改革 外部人材、専門家の活用

9月入学への移行の慎重な検討

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全国でリモート教育が実施可能な環境の緊急整備

臨時休校中の公立学校における家庭学習支援の取組み状況(複数回答可)

12

5

29

10

24

100

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

その他

同時双方向のオンライン指導

上記以外のデジタル教科書・ デジタル教材の活用

教育委員会が独自に作成した授業動画の活用

テレビ放送の活用

教科書や紙の教材の活用

( %)

注:公立学校の設置者である自治体ベース。回答のあった自治体に占める割合【出典:文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導の取組状況について」(2020年4月16日現在)】

2019年 2020年

学校のICT環境整備をめぐる動向

OECD「生徒の学習到達度調査2018(PISA2018)」にて日本の読解力が急落

児童生徒が学習の場面でICTを活用する機会が少なく、コンピュータ画面上での長文読解に不慣れであったことが原因との指摘

12月

教育のICT化の遅れが学力に影響を及ぼす懸念

「GIGAスクール構想」

※2019年12月13日閣議決定 児童生徒1人1台端末環境の

整備【2023年度迄に達成】 校内通信ネットワーク環境の

整備【2020年度迄に達成】

1月30日、令和元年度補正予算成立

1月 2月 3月

総理からの緊急要請を受け、3月2日より、全国の小中高校等が一斉休校を開始

4月

※令和2年度補正予算(4月7日閣議決定、30日成立)にて対応

GIGAスクール構想の前倒し実施(児童生徒1人1台端末環境等を2020年度中に実現)

Wi-Fiによる学校ネットワーク環境の整備

家庭学習支援のためにWi-Fi環境のない家庭に貸し出すモバイルルータの整備支援

学校からの遠隔学習機能の強化 GIGAスクールサポーターの配置

「新型コロナウイルスの感染症対策のための学校の緊急措置」

日本でも新型コロナ感染拡大

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1.全国でリモート教育が実施可能な環境の緊急整備

臨時休校中にリモート教育が実施できなかった主な理由と求められる対応【理由】 【求められる対応】

GIGAスクール構想が動き出したばかりで、教育現場におけるICT環境の自治体・学校間格差が大きかったこと

一部の児童生徒の家庭では、通信環境が整備されていないこと

ICT環境を準備できない家庭に端末やLTE通信機器を優先配備(「『学びの保障』総合対策パッケージ」(注1))

GIGAスクール構想(児童生徒1人1台端末等)の前倒し実施(令和2年度補正予算)

情報セキュリティの安全性が確保されていないこと

ICT機材の操作やICT及びデジタル教科書・教材を活用した授業に不慣れな教員が多いこと

十分な情報セキュリティを確保した上で全国一律の対応が可能となる、政府による具体的なガイドラインの提示

教員養成・研修において教員がICTを活用した教授法を学ぶ機会の確保(教員養成フラッグシップ大学にて取り組む予定)

自宅への端末の持ち帰りを認めるかどうかは各自治体・学校の判断に委ねられていること

自宅に端末を持ち帰って家庭学習に使用できる一律の取扱い方針の提示

政府が方針を示している緊急課題

政府は方針を示していないが緊急に取り組むべき課題

デジタル教科書の使用を制限する規制や著作権に係る補償金の発生(注2)

・デジタル教科書の使用制限の緩和・著作権に係る補償金について、著作権者

の理解を得つつ低廉化

【ICT端末を活用した家庭学習のための環境整備】・最終学年や経済的理由で家庭にICT環境がない家庭に端末、LTE通

信機器を優先配備・8月には、特定警戒都道府県として指定された等優先すべき地域で

オンラインによる家庭学習を可能とする

【学校の授業における学習活動の重点化】・学校の授業では、教師と児童生徒の関わり合いや児童生徒同士の

協働学習等に重点化・個人でも行える学習活動はICT等も活用して授業以外の場で行う

(注1)文部科学省「新型コロナウイルスの感染症対策に伴う児童生徒の『学びの保障』総合対策パッケージ」(2020年6月5日)

(注2)学校教育法によりデジタル教科書の使用は授業時間数の2分の1未満に制限されている。コロナ対応により、今年度限りの特例として、著作権に係る補償金が無償とされている。

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2.改訂学習指導要領が目指す教育の実現

「改訂学習指導要領」(2020年度より順次施行) 目標と方法が一致しない現状の教育

「改訂学習指導要領」の目指す教育学校が社会と連携・協働しながら新しい時代に求められる資質・能力を総合的にバランスよく育んでいくこと

Society 5.0で求められる教育と同じ方向性

「改訂学習指導要領」 新しい時代に必要な「資質・能力」の育成を重視

実際の教育現場 現行の学校教育法では、「年齢主義」「履修主

義」の考え方を採っているため、必要な素質・能力を保障する仕組みがなく、基盤となる学力が身につかないまま、小中学校を卒業する子どもたちが一定割合存在

目標に関して、一定の成果をあげることを求める考え方(修得主義)をより重視した教育が重要

修得主義

vs

年齢主義:年齢に達したら自動的に義務教育は終了することを認める考え方

履修主義:所定の教育課程を一定期間履修すれば、目標に関する履修の成果は問わないとする考え方

修得主義:所定の教育課程を履修し、目標に関して一定の成果をあげて単位を修得することを必要とする考え方(わが国の高等学校は「修得主義」の原理に立っている)

年齢主義・履修主義

【出典:文部科学省「新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会の議論から改訂そして実施へ-」を基に経団連事務局作成】

【改訂学習指導要領の考え方】

よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育む

「社会に開かれた教育課程」の実現

何ができるようになるか

学びを人生や社会に生かそうとする

未知の状況にも対応できる

新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実

何を学ぶか

新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直し

どのように学ぶか

主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善

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2.改訂学習指導要領が目指す教育の実現

児童生徒の学びのペースに合わせて義務教育の期間を、ある程度幅を持たせてはどうか

義務教育期間に習得すべき内容を9年間で学ぶようにしてはどうか

生活集団としての学年と学習活動を行う集団としての学級を分けてはどうか

イエナ・プラン教育 (注1)の学級はどうか

今後、中央教育審議会等の場で、多様なステークホルダーにより議論すべき

教科学習個別最適学習により、個々の児童生徒が単元の学習を終えた段階でいつでも受けられるテストをCBT形式(注2)で実施

CBT形式のテストの成績を基に期待される学力水準に到達したかを測定すれば、学習成果の可視化が可能

主体的・対話的で深い学び テストによって「主体的に学習に

取り組む態度」などを評価するのは困難

学習の目当ての明確化と学習活動の振り返りを通して、学習者本人に「主体的な学習により、自分は何ができるようになったのか」という気付きを与えることが重要

義務教育終了時に「主体的に学習活動ができるようになること」を教育の質として保証すべき

オンライン学習が進展しても「学校」という場所・空間で学ぶことは必要

オンライン学習でこそ効果的な学び(注3) 教科学習における知識・技能の習得

「学校」という場でこそ効果的な学び 多様な考えを持つ他者との協働によ

る探究型、主体的で深い学び 上記を通じて得られるリーダーシッ

プ、チームワーク、忍耐力、学び続ける力 等

地域との交流を通じて得られる教科外の学び

withコロナ時代には、オンライン学習でこそ効果的な学びと、学校というリアルな場での他者との協働が効果的な学びとのハイブリッドな学習環境が重要

(注1)欧州で実施されている異年齢の子供を集めて学級を編成する教育 (注2)CBT(コンピュータ使用型調査) (注3)不登校の子供の学習を保障する上でもオンライン学習は重要

「学年」の概念に関する多様な意見

オンライン学習では、学習指導要領に基づく履修内容にこだわらず学習者のペースに合わせた個別最適学習が可能

同じ学年の中に、学習進度の速い子供も遅い子供もいる

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3.ICTを活用した新しい教育様式に対応できる教員の養成

対面形式の教育とICTを活用したオンライン教育とのハイブリッド型の新しい教育様式の確立

ICTを活用した新しい教育様式に対応できる教員の養成が喫緊の課題

• 教職課程におけるICT活用指導法の必修化等

• 教員が担うべき役割の明確化(教育に集中)

• それ以外の役割は他の専門スタッフや地域社会と連携・分担する体制の整備【チーム学校(注2) 】

• ICTを活用した校務の効率化 • IT企業等の現役社員、OB/OGをGIGAスクールサポーター、ICT支援員として派遣

・ICT、EdTechを学校に迅速に取り入れるため、外部人材の活用や専門家の協力が必要

• 特別免許の活用促進に向けた規制緩和(注3)

• 教員免許更新時のICTリテラシーの確認

・主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の実施による教師の役割の変化(教科を一方的に教える存在 ⇒コーチやファシリテーターの役割へ)

• オンライン上での履修管理

2021年度より、教員養成フラッグシップ大学(注1)の取組みが開始

(注1)教員養成フラッグシップ大学教科横断的なSTEAM教育やAI・ビッグデータ等を活用した指導法等、Society 5.0にふさわしい教員養成カリキュラムを研究・開発する大学。国が選定する。

(注2)チーム学校校長のリーダーシップの下、教職員や学校内の多様な人材(スクールカウンセラー、スクール・ソーシャルワーカー、部活動指導員等)が、各々の専門性を活かして、子供たちに必要な資質・能力を確実に身に付けさせる学校。

教員養成課程の見直し 教員の働き方改革 外部人材、専門家の活用

(注3)教員定数の加配、社会人特別選考枠の拡大、採用年齢の上限撤廃、特別免許の有効期間の延長 等

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4.9月入学に向けた考え方

9月入学への移行によって、新型コロナウイルス感染症の影響によって生じた教育現場の課題が全て解決されるものではなく、また、初等中等教育開始年齢の遅れは国民全体の教育水準の低下につながるとの指摘もある。

中長期、グローバルな視点、社会的な影響なども十分踏まえ、教育の質をさらに高めるための方策として、他の制度・慣習との関係を整理しつつ、慎重に検討すべき。

新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校に伴い、休校の長期化に伴う学習の遅れを取り戻すとともに、自治体・学校間のICT環境の差による教育格差の発生を防ぐ目的で、政府・与党では、一時、9月入学の導入を選択肢の一つとして検討

検討の背景

考え方

注:大学における9月入学への移行については、学事暦における国際的な整合性を確保することで、わが国の高等教育のレベルアップがグローバルな視点で図られるとの視点から、今後議論が深まることを期待

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Ⅲ.高大接続の改善と大学入試改革

高等学校教育は、高等教育と接続するゆえ、大学入試に左右される2015年度より、高等学校教育・大学教育・大学入試制度改革の一体的改革「高大接続改革」が進められてきた

2020年度より、①「大学入試センター試験」に代わる「大学入学共通テスト」(注1)の実施②英語4技能を測る民間英語資格・検定試験の活用③明確な「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」に基づく個別入試改革

が実施される予定であった

大学入試改革のこれ迄の経緯

昨年秋、経済的・地理的理由による受験機会の公平性等の観点から、民間英語資格・検定試験の活用の延期、「大学入学共通テスト」への記述式問題の導入の見送りが決定

「大学入学共通テスト」(注1)の実施目的を再確認した上で、各大学が実施する個別入試との役割分担を明確化すべき

個別入試では、リーダーシップ等の資質や高校時代の様々な体験活動などを総合的に評価すべき すべての大学は、文理を問わず、個別入試で数学の試験や記述式問題を課すべき 大学入試における英語4技能の測定は高校における英語の授業改善につながる(特に地方(注2))ことから、

英語4技能を測定する民間英語資格・検定試験の活用を大学入試に早急に導入すべき(民間試験活用に対する批判には、試験会場の増設やオンライン受験を可能とすること、経済的理由で受験が困難な生徒には、国や地方自治体が受験費用を補助する制度を拡充すること等で対応)

大学入試改革の目指すべき方向性

(注1)大学入試センター試験に代わるものとして、2021年度入学者選抜より実施予定の大学の共通入学試験。大学入学希望者の高校段階における基礎的な学習の達成度を測定するとされる。

(注2)経団連教育・大学改革推進委員会企画部会(2019年11月11日)における鈴木寛東京大学・慶応義塾大学教授の指摘。 「地方の公立高校を中心に英語4技能をバランスよく教えられる教員の不足等により英語の授業方法の改善が進んでいない。」

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Ⅳ. 企業に求められる取組み & 終わりに

With コロナ時代の初等中等教育において企業に求められる取組み

(1)デジタル技術やハードウェアの提供

リモート・オンライン学習やAR、VR等のデジタル技術を活用した体験型・参加型教育の実施にあたり、企業には、高品質のデジタル教育コンテンツの開発・提供、教育用端末の貸与・提供等を通じた協力が可能

(2)企業人の派遣による貢献

企業は、企業人の持つ専門能力を有効活用する意味でも、学校現場に社員を派遣し、様々な側面から学校教育をサポート

小中高校におけるキャリア教育、インターンシップ、PBL型教育にもさらに積極的に協力

今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校の臨時休校中、同時双方向のオンラインによる指導を実施できた学校は少数で、学習の遅れが生じた。

この反省を活かし、国、自治体は、ハード・ソフト・ヒトの三位一体で教育のICT化を迅速に進め、周回遅れの状況を挽回しなければいけない。

withコロナの時代には、オンライン教育と学校での対面形式の教育とのハイブリッドな学習環境を構築し、Society 5.0に向けて求められる人材を育成することが求められる。

終わりに