SCM第3版 1章 念校...要点 BOX 13 12 第1章 SCMの発達...

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SCMの発達

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Page 1: SCM第3版 1章 念校...要点 BOX 13 12 第1章 SCMの発達 高度成長期には大量生産によるメリットを享受 大量消費時代には在庫を多めに保有し、対応

SCMの発達

第 章 第 章 第 章 第 章 第 章 第 章 第 章 第 章 第 章第 章

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要点BOX

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●第1章 SCMの発達

●IoT、AI、ビッグデータがサプライチェーンにリンク ●開発・設計から消費に至る一連のプロセスを管理

 

商品の開発・設計から生産、流通、販売、消費

に至る一連のプロセスをサプライチェーンといいます。

そしてサプライチェーンマネジメント(SCM)とはその

効率的、かつ高度な管理を指します。SCMの概念

は21世紀に入り、急速に浸透してきました。

 

サプライチェーンでは製造業、卸売業、小売業がリ

ンクされ、「必要なモノを必要なだけ、ムリ、ムダ、

ムラなく供給すること」を目的に出荷数量、在庫情報、

販売情報などを共有します。

 

トヨタ自動車をはじめ、アマゾン、パナソニック、ユ

ニクロ(ファーストリテイリンググループ)、花王など、

現代の優良企業のほとんどはSCMを充実させ、高

度なかたちで運営しています。

 

さらにここにきてのIoT(モノのインターネット)や

AI(人工頭脳)などの急速な普及やビッグデータ(大

容量のデジタルデータ)の活用などでSCMの構築に

不可欠な情報共有がこれまで以上にスムーズに実現で

きるようになりました。

 

IoTの普及により、たとえば物流に用いられる輸

送・保管容器であるパレットやコンテナなどにRFID

を利用したタグ(RFタグ)を装着し、出荷情報や貨

物追跡情報をリアルタイムでサプライチェーンの各領

域と共有することが可能になりました。

 

また売上情報や出荷情報からAIが近未来の需要

を予測し、その情報をサプライチェーンの各プレーヤ

ーが共有することも可能になってきました。

 

もちろん、これらはビッグデータと呼ばれるとてつ

もなく大きな情報量となっていて、統計的に処理す

ることで、さまざまな予測が可能になってきました。

サプライチェーンにおける商品の設計から販売、修理、

廃棄に至るまでのすべてのライフサイクルの情報共有

が高度なレベルで実現し、データベース化されることで

コストパフォーマンスもこれまで以上に大きく向上する

ことになるのです。

サプライチェーンの高度化が

企業経営を左右

現代企業経営の

根幹となるSCM

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IoT、AIなどの急速な普及やビッグデータの活用などでSCMの構築に不可欠な情報共有がこれまで以上にスムーズに実現

SCM

商品の開発・設計から生産、流通、販売、消費に至る一連のプロセスの管理

進化するSCMの概要

IoTの普及

物流に用いられる輸送・保管容器であるパレットやコンテナなどにRFタグを装着し、出荷情報や貨物追跡情報をリアルタイムでサプライチェーンの各領域と共有することが可能になる

AIの進化

AIが近未来の需要を予測し、その情報をサプライチェーンの各プレーヤーが共有することが可能になる

着し、出荷情報や貨物追跡情報をリアルタイムでサプライチェーンの各領域と共有することが可能になる

RFID:radio frequency identifi erの略。ID情報を埋め込んだRFタグから、近距離の無線通信によって情報をやりとりするもの、およびシステム。

用語解説

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要点BOX

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●第1章 SCMの発達

●高度成長期には大量生産によるメリットを享受●大量消費時代には在庫を多めに保有し、対応

 

テレビも電気洗濯機もエアコンも本格的に普及して

きたのは、1960年代の高度成長期以降です。ど

れも発売されて間もなくは高価なものでした。誰も

が簡単に買えるというものではありませんでした。 

 

しかし生産の能率が高まり、商品を大量に供給で

きるようになると値段も安くなりました。そうして、

誰もが買える大衆商品となっていきました。

 

企業の立場からいうと、「いかに安く、優れた商品

をつくるか」ということがとても重要なことになりま

した。そして、そのためには商品をできるだけ大量

に生産することが、きわめて重視されました。自動

車もテレビも、最初は誰も持っていませんでしたから、

安く売り出せば、おもしろいように売れたのです。

売れ残るなどということはほとんどありませんでした。

また万が一、売れ残っても利益が出る程度に値引き

を抑えて売ればよかったのです。

 

むしろ人気のある新商品はみんなが欲しがったので、

足りないことを心配しなければなりませんでした。商

品が品切れになっていれば、消費者はほかの会社の商

品を買ってしまうかもしれないからです。

 

また、倉庫に大量の商品が積まれていることも、

良いこととされました。たくさんの商品が倉庫にある

ということは、企業の財産にあたる「資産」があるこ

ととして評価されたからです。

 

逆に売れ筋商品が欠品することは、企業としては

恥ずかしいことでした。「企業がたくさん商品を持っ

ていれば、消費者も安心して購入できる」と考えられ

ました。

 

ところが世の中が豊かになり、モノが余ってくると

状況は変わってきました。消費者は商品をよく選ん

で買うようになりました。たくさんつくっても消費者

にそっぽを向かれてしまうことも、珍しくなくなりま

した。その結果、生産しすぎた売れ残り商品の処理

に苦労する企業も増えてきました。 生

産性の向上を重視

大量生産時代から

SCMの時代へ

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高度成長期(大量消費時代 )

●大量生産が必要●生産性の向上が課題●在庫は多いほうがよい

低成長・安定成長期

●綿密な需要予測による 生産計画・販売計画が必要●売れ残り、過剰在庫は 可能な限り回避する

大量消費時代には売れ残りや過剰在庫が生じることよりも、品不足になることが心配された。商品が売れ残っても値引きをすれば在庫は簡単に処理できた

在庫についての考え方の変化