医師の 職業倫理指針 - Med序 文 「医師の職業倫理指針」改訂にあたって 日本医師会は1951年に「医師の倫理」を定め医師の職業倫理の向上に努めてきた
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第 1 章 公務員の任用
職階制に代表される開放型任用制と閉鎖型任用制のそれぞれの特徴と相違
点を問う問題は頻出なので、しっかりとインプットしておくことが不可欠で
す。また、わが国の職階制導入の試みに関する問題もときどき出題されるので、
正確に理解しておきましょう。
第 1 節 公務員の任用とその形態
任用とは、職員の採用・昇任・転任といった人事制度とその運用のことをいう。
現代の公務員制度は公開競争試験に基づく資格任用制(メリット・システム)が原
則とされており、猟官制(スポイルズ・システム)や情実任用は制限されている。
資格任用制には、「開放型任用制」と「閉鎖型任用制」と呼ばれる任用形態があり、ど
ちらも資格任用制を基本原理としながら、資格・能力のとらえ方を異にしている。
すなわち、「開放型任用制」は、任用のされ方が多様であるのに対し、「閉鎖型任用
制」は任用のされ方が入口採用に限定されている。入口採用とは、一番下の地位で
採用されることをいう。以下で、開放型任用制と閉鎖型任用制の特徴を詳しく見
公務員制度
第 1 章で扱う「公務員の任用」は、試験種を問わず出題の多い分野です。特に職階制に代表される開放型任用制と閉鎖型任用制という 2 つの任用形態の特徴と相違点については頻出なので、しっかりとおさえておきましょう。
●今日の学習
第 3講
321重要度 4 5
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ていこう。
第 2 節 開放型任用制
● 1 職階制
開放型任用制は、アメリカの職階制を基礎とした制度である。職階制とは、職
務を内容と責任の程度に応じて分類し、体系的に職種と等級に分け、これを基準
に任用・給与などを決定するものである。科学的で合理的な人事管理を可能にす
る制度として、1920年代、アメリカの公務員制度に導入された。
科学的管理法から発展した古典的な組織編成理論は、「初めに組織ありき」という
考え方に立っていた。そして、個々の職位には、その職位に割り当てられる職務・
職責を遂行するのに十分な資格・能力のある者を任用すべきであるとされた。た
とえば、経理職という職務に就く者を任用するなら、簿記の資格がある、あるい
は経理職の経験があることを条件にする、管理職の職責を担う者を採用するなら、
民間企業等での管理職の経験を求めるなどである。
● 2 職階制のイメージ
職階制では、まず個々の官職の職務の性質に着目し、職務の性質の類似した官
職の群を分類する。これを職種という。次に、それぞれの職種に属する官職の複
雑さと責任の度合に着目して、度合いが類似している官職の群を分類する。これ
を職級という。以上を図で示すと、次のようになる(実際の職階制は、もっと複雑
な体系である)。
★職階制のイメージ
語 学
スズキ
( 職 種 )
(職
級)
経 理
サトウ
法 律
イトウ
人 事
タナカ
土 木
カトウ
課 長
課長補佐
係 長
主 任
係 員
※各人の経験・能力を考慮し、それぞれにふさわしい職種・階級に配属する。
第1講
第2講
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第4講
第5講
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第7講
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● 3 開放型任用制(職階制)の特徴
(1)この制度の下で求められる資格・能力は、職位の職務・職責をこなすに足りる
即戦力である。そのため職種に対応した採用選考が行われ、配置転換、昇任も
原則として職種の範囲内で行われる。よって、職員の専門分化を促進する傾向
にある。
(2)終身雇用を前提とせず、転職による中途採用も稀ではなく、個別採用も多い。
よって、採用のされ方は入口採用に限定されない。
(3)官民間、政府間、各省間での労働力の移動が比較的容易な社会でうまく機能す
る。つまり、類似の業務が存在し、受け皿が豊富であることが前提となる制度
である。
第3節 閉鎖型任用制
● 1 閉鎖型任用制とは
閉鎖型任用制は、ヨーロッパ諸国や日本などの公務員制度で見られる形態で、「初
めに職員」ありきである。任用は入口で一括採用した職員に対する人事異動の発令
(辞令)という形式で行われる注 1。職員はゼネラリストとしていかなる職位に配属
されても、その職位・職責に適応することが期待されており、仕事をしながら必
要な事務処理能力を習得していくことが求められる注 2。
● 2 閉鎖型任用制のイメージ
閉鎖的任用制について、わが国の国家公務員を例にして考えてみよう。任用は、
Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種などのかたちで一括して行われる。その後人事異動を繰り返し
ながら昇進していく。このようなわが国の国家公務員のケースを、図でイメージ
化すると右ページのようになる。なお、右図はあくまでイメージであり、実際の
昇進が図の通りというわけではない。特に国家Ⅱ種採用者の位置づけや昇進の度
合いは採用先の省庁によって異なるので注意してほしい。
(注 1)たとえば日本の公務員として採用されると、
「氏名 田中花子 現官職 法務事務官 法務省民事局第一課庶務係に任用。 大臣官房人事課 山田一郎」というような形で辞令が出る。
(注 2)たとえば、窓口業務(現場)から人事課(デスクワーク中心の管理部門)への異動などが行われたり、逆に管理部門から現場に異動することもある。両者に求められる能力や知識は全く異なり、たとえば、窓口業務(現場)では業者、住民とのコミュニケーション能力や、職場の状況に応じて臨機応変に対応することなどが求められる。他方、管理部門ではパソコンの技能や他部門との折衝能力、職場内外の事情に精通すること、政策立案能力などが求められる場合がある。
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★閉鎖型任用制のイメージ(日本の国家公務員のケース)
事務次官
秘書官
官房長
局長
参事官
官房の課長
局の課長
室長
課長補佐
係長
主任
係員
職業行政官の最高職
大臣官房の長
局の長
大臣官房各課の長
局の各課の長
課の各係の長
採用の入口
Ⅰ種採用者 Ⅱ種採用者 Ⅲ種採用者
● 3 閉鎖型任用制の特徴
(1)新規採用職員に要求される資格・能力は、学歴や職種に対応した専門知識のよ
うな、一般的で潜在的な能力である。この潜在能力を開発し顕在化させるため
に、OJT(職場内研修)などの研修が重視される。
(2)終身雇用制が基本で、職員の新規採用はほぼ入口採用に限定される。つまり、
新卒採用が原則で中途採用は例外である。
(3)組織単位ごとの終身雇用制と年功序列制を基本としている。そのため、組織の
壁を超えた労働力移動(特に官民間)をあまり想定していない。
第 4 節 わが国への職階制導入の試み
● 1 職階法の制定
アメリカは第二次世界大戦後の公務員制度改革において、職階制の日本への導
入を企図した。1947(昭和 22)年に制定された国家公務員法では、同法第 3章第 2
節(29~ 32条)に職階制に関する規定が盛り込まれ、1950(昭和 25)年に「国家公
務員の職階制に関する法律」(職階法)が制定された。
しかし、日本に職階制が導入されることはなかった。職階法は今日も存在する注 1
が、実際には休眠化している状態である。職階制が導入されなかった理由は、職
(注 1)平成 12 年の行政改革大綱以来、職階制をはじめとする公務員の給与体系については議論が続いている。
第1講
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階制が日本の人事慣行とあまりにもかけ離れていたからであった(下図)。現在で
は、「給与法」(一般職の職員の給与に関する法律)が職階制の職種・職級に代わるも
のとして、人事管理上ある程度の機能を果たしている。
★職階制と日本の職場慣行
(1)個々人の業務が比較的固定化・定型化
(2)組織の壁を超えた労働力移動が容易
→非定型的である(事務の配分が組織単位で規定)
→容易ではない(終身雇用・年功序列)
職階制が適合するケース 日本の職場慣行注1
● 2 給与法(「一般職の職員の給与に関する法律」)
給与法は職階法と同年に制定された。国の職員の業務をおおまかに 9種類注 1に
分け、それぞれに応じた俸給表を作成した。各俸給表には「級」(主任クラス、係長
クラスなど、職務上の格付け)と「号俸」(年功や業績が考慮される部分)が設定され、
両者を勘案して各職員の俸給が決まる注 2。日本では俸給表上の格付け(級と号俸)
が、職階制の職級・職種に代わるものとして機能している。
第5節 採用試験と身分制
● 1 公務員制度の課題
どの国の公務員制度も、縁故採用などを制限し、これに代えて資格任用制の適
用範囲を拡大することを目指している。具体的には、公開競争による採用試験の
確立が重視されている。
公開競争による採用試験の利点は、①「平等取扱いの原則」が確立され、不公平
または差別的な採用を封ずることができる、②能力の実証に基づき、有能な職員
を採用することができる点にある。
諸外国の中には、上記の①と②が充足されるだけでは不十分で、さらに「合格者
や採用者の構成が社会の構成(例:人種、性別、民族など)を公正に反映したもの
でなくてはならない」とする有力な考え方もある。このような考え方を「代表的官
僚制の理論」という。
(注 1)第 3 講最後のページにある「大部屋のイメージ」参照。
(注 1)俸給表の種類:行政職・専門行政職・税務職・公安職・海事職・教育職・研究職・医療職・指定職の 9 種類
(注 2)行 政 職 の 場 合、1 〜11 までの級と 1 〜 32までの号俸が設定されており、新卒者は国家Ⅰ種採用だと 3 級 1 号俸から、国家Ⅱ種採用だと 2 級 2 号俸からスタートする。一概には言えないが、主任級で3 級、係長級だと 4 〜5 級、課長補佐級だと6 〜 9 級、一般課長級だと 10 級となり、各局の総務課課長や官房の課長になると 11 級あたりになる。
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● 2 公務員の身分制
(1)公務員の身分制 公務員の採用にあたって閉鎖型任用制を採っている国では、公務員の世界にあ
る種の身分制がみられることが多い。たとえば日本の現行の国家公務員制度では、
大学卒、高校卒など学歴による区別に加えて、キャリアかノンキャリアかの区別
がある。「キャリア」とは、国家公務員Ⅰ種試験(旧上級職甲種)に合格して採用され
る職員を指し、「ノンキャリア」とは、それ以外の職員を指す。つまり、同じ大学卒
であっても採用試験が違うと、採用後の人事異動では完全に区別され、昇進の速
度や程度に大差が生じる。
同様な例として、イギリスの行政階級と執行階級、フランスのテクノクラート
とビュロクラート、戦前日本の高等官と判任官などが挙げられる。
(2)キャリアとノンキャリア「キャリア」と「ノンキャリア」の区別は、日本の国家公務員制度の大きな特徴と
いえる。両者は採用、人事、昇任等がそれぞれ区別して行われているが、実はこ
の区別には国家公務員法上の根拠がない。そのため、かねてから実質上の身分制
の維持であると批判されてきた注 1。
第 6 節 公務員制度の国際比較
● 1 各国の公務員制度
ここでは、各国の公務員制度の現状をみていきたい。具体的には、①公務員が
どのように採用され、どの組織に帰属するのかと、②政治任用の有無注 2に注目し
て欲しい。
(1)イギリス①採用・帰属先
政府単位で一括採用され、職員は複数の省庁を移動しながら昇任していく。
②政治任用の有無
職業行政官は政治任用の対象にならない。職業行政官は匿名の存在として、
大臣・副大臣等を補佐する。
(注 1)公務員制度調査会はこのような批判をふま え、 キ ャ リ ア と ノンキャリアの区別は引き続き維持しつつ、ノンキャリアの職員を本省庁の課長級以上の幹部職員として積極的に登用することを提言した。これを受けて政府は、意欲と能力のあるノンキャリア職員を各省庁で選抜し、幹部職員に登用する方策を策定した。1999 年以降、この制度による幹部職員が実際に誕生している。
(注 2)政治任用の有無とは、職員(職業行政官)が内閣や各省大臣といった政治機関によって官職(幹部ポスト)を与えられるか否かということである。通常、政治任用の対象となるのは公務員・民間人・政治家などさまざまで、必ずしも職業行政官に限定されているわけではない。しかし、ここでは「公務員、中でも職業行政官が政治任用されるかどうか」を述べていることに注意して欲しい。
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(2)フランス①採用・帰属先
国立行政学院(ENA)で一括採用され、ここで研修を受けた後、各種の官僚
団(官庁よりも広い概念)に採用され、この官僚団に帰属しながらしばしば各省
庁へ出向する。
②政治任用の有無
職業行政官も政治任用の対象となる。特に、大統領府、総理大臣官房、各省
庁の大臣官房等に出向する場合には、大臣等による政治任用である場合が少な
くない。この場合には、大臣等が交替すれば、これと進退を共にしてその職を
辞する。
(3)日本①採用・帰属先
人事院が統一的に実施する採用試験(国家Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種など)に合格後、各省
庁に個別に採用される。職員は原則として同一の省庁に帰属する。
②政治任用の有無
原則として、職業行政官は最高ポストである事務次官まで政治任用の対象外
とされる(ただし、局長以上のポストへの就任は、閣議了解事項とされる)。職
業行政官は政務に深くかかわり、ときの政権を補佐する。
(4)アメリカ①採用・帰属先
連邦公務員制は、職階制に基づく開放型任用制を基本とする。アメリカの政
治任用は、大統領の政策課題推進のために、行政府の基幹ポストやその側近ポ
ストなどに短期在職を前提に人材を任用していくシステムである。
②政治任用の有無
省庁のトップ (局長以上の幹部 )を中心に、約 3000 人が政治任用されている。
ただし、現職の高級官僚の中から、政治任用されるケースは多くはない。
● 2 日本の政官関係の現状
(1)行政機関における政治任用が、諸外国(米・仏など)に比べて少ない。各省庁で
政治任用が行われる職(政治的任命職)は、大臣・副大臣・大臣政務官くらいで
ある。事務次官や局長といった幹部ポストはすべて職業行政官が占めている。
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(2)1999(平成 11)年に政府委員制度(国会の委員会審議で各省庁の局長が大臣に代
わって答弁をする制度)が廃止され、2001(平成 13)年以降は、各省の大臣か副
大臣が答弁をするようになった。これは官僚主義から脱却し、内閣主導で政策
等を実現しようとする動きであった。2001年には中央省庁再編が実現し、官
僚主導から内閣主導への流れがいっそう加速した。
(3)内閣官房の強化により、内閣官房長官補、内閣広報官、内閣情報官が新設された。
これらはいずれも特別職注 1であるが、現職の高級官僚が登用されている。これ
は、例外的に職業行政官が政治任用されていると解釈できる。
第2章わが国の公務員制度の歴史
我が国の戦前と戦後の公務員制度の違いに注意しましょう。また、「総定員
法」についても何度か出題が見られるのでしっかりとおさえておきましょう。
第 1 節 戦前の公務員制度
● 1 明治憲法下の「官吏制度」
近代国家にみられる公務員制度(官吏制度)の起源は、17~ 18世紀のプロイセ
ン・ドイツの官吏制度にある。その特徴は、君主に対する絶対的かつ無定量な忠誠、
官吏身分の特権化、厳正な規律、資格任用制の確立である。
日本でも、明治憲法下において「官吏制度」が存在した。官吏は天皇によって任
命され、天皇に無私の忠誠を尽くすものとされ、天皇の使用人として働くことが
求められた。明治憲法下でみられた官吏制度の歴史を概観すると、次のようになる。
1885(明治 18)年 内閣制度の始まり
1887(明治 20)年 文官試験試補及見習規則
→公開競争試験による任用開始(ただし帝大法科生は試験
免除)
(注 1)特別職とは、国務大臣・大使・裁判官・地方公共団体の長など、その地位・職務が特別の性格を持っていて、国家公務員法・地方公務員法の適用を除外される職のことをいう。
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