SAKAUE & KIDA (2011) @JASELE Yamagata

日本人英語学習者における定型表現の処理

阪上　辰也・鬼田　崇作（　　　　　　　　外国語教育研究センター）

第37回全国英語教育学会山形研究大会平成23年8月20日（土） 10:50-11:20　於：山形大学　小白川キャンパス

1Saturday, August 20, 2011

Agenda

1.本研究の目的2.研究の背景3.先行研究の概観4.実験5.結果と考察6.結論


Agenda



1. 本研究の目的

日本人英語学習者が

英語の定型表現（formulaic sequences）を

どのように処理しているのかを明らかにする


Agenda



2. 研究の背景

•L2使用における定型表現の重要性

“... formulaic language is intrinsically connected with functional, fluent, communicative language use. As such, it is just as important as individual words.” (Schmitt, 2010, p. 12)


2. 研究の背景

•L2における定型表現の処理

“... stored and retrieved whole from memory at the time of use” (Wray, 2002, p. 9)


しかし9Saturday, August 20, 2011

2. 研究の背景

“holistic hypothesis” は十分に実証されていない（Jiang & Nekrasova, 2007）

http://www.flickr.com/photos/fmgbain/4382010455/“I don't know !” by fmgbain


http://www.flickr.com/photos/fmgbain/4382010455/

http://www.flickr.com/photos/fmgbain/4382010455/

http://www.flickr.com/photos/fmgbain/

http://www.flickr.com/photos/fmgbain/

Agenda



3. 先行研究の概観Conklin & Schmitt (2008)

Schmitt, Grandage, & Adolphs (2004)

Underwood, Schmitt, & Galpin (2004)

Schmitt & Underwood (2004)

支持

支持せず

部分的に支持

支持せず※詳細は，印刷版ハンドアウトを参照されたい


•問題点その１：実験材料

“... employed a number of test items that either were not typically considered formulaic sequences or were unknown to the participants.” (Jiang & Nekrasova, 2007, p. 441)

3. 先行研究の概観


•問題点その２：実験方法

“... measuring the fluency and accuracy in an oral-dictation task and measuring reading times in a self-paced reading task might not be direct enough …” (Jiang & Nekrasova, 2007, p. 441)

3. 先行研究の概観


２つの問題点を克服するには...

•頻度情報に基づく実験材料

•オンライン処理を分析できる課題


Jiang & Nekrasova (2007)•被験者：22人の英語母語話者と22人の学習者

•材料

•　　定型表現：22個•　非定型表現：22個•非文法的表現：22個

•課題：提示される表現が文法的か否かを　　　　できるだけ速く正確に判断する課題


単語認知

統語解析

文法性判断定型表現

Jiang & Nekrasova (2007)

非定型表現


もし定型表現が全体的に処理されるなら

非定型表現の文法性判断よりも速く正確に判断されるはず



Jiang & Nekrasova (2007) の結果（実験2）

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

NS NNS

1367

1187 1198

1039 1080

908定型表現非定型表現非文法的表現


＜結論＞定型表現を

ひとつのまとまりとして処理している可能性



ところが22Saturday, August 20, 2011

日本人英語学習者を対象とする実験は少数


日本人英語学習者を対象とする追実験


Agenda



仮説２つ27Saturday, August 20, 2011

仮説 (1)

定型表現は非定型表現よりも速く文法性判断がなされる



定型表現は非定型表現より

速く文法性判断がなされる


仮説 (2)





正確に文法性判断がなされる


•被験者：日本人英語学習者の大学院生54名　　　　（52名分を分析）

•平均年齢：22.81歳（SD=1.19）

• TOEIC ：540.58（SD=119.22）

4. 実験


• 材料：Jiang & Nekrasova (2007)の実験2と同一（Appendix 1）

• デザイン：

• 定型表現，非定型表現，非文法的表現を被験者ごとにランダムに提示

• 提示された表現の文法性判断を速く正確に行う

4. 実験


4. 実験

＋＋


4. 実験

on the other hand


Agenda



5. 結果と考察―判断の “速さ”―

による作図


5. 結果と考察

被験者分析・項目分析（t検定）からも，仮説を支持する結果参照：印刷ハンドアウト p.11 の図３と図４

―判断の “速さ”ー


5. 結果と考察―判断の “正確さ”―

被験者分析・項目分析（t検定）からも，仮説を支持する結果参照：印刷ハンドアウト p.12 の図５と図６


仮説検証39Saturday, August 20, 2011

仮説 (1)







支持仮説 (1)


仮説 (2)







仮説 (2)

支持43Saturday, August 20, 2011

仮説 (1) (2) どちらも

支持44Saturday, August 20, 2011

したがって45Saturday, August 20, 2011

日本人英語学習者も定型表現を

まとまりとして処理する可能性


5. 結果と考察

•反応速度を変数とする実験の限界•頻度効果の可能性（cf. Appendix 1）

•プライミング実験・眼球運動測定など多角的な検討が必要


5. 結果と考察

•実験材料について（全員不正解の項目）•文脈情報の有無

•e.g., take food in the night

•より大きな処理単位の可能性


Agenda






日本人英語学習者においても




総じて53Saturday, August 20, 2011

日本人英語学習者も定型表現を

まとまりとして処理する可能性


ただし55Saturday, August 20, 2011




プライミング実験や眼球運動測定などによる

多角的な検討が必要56Saturday, August 20, 2011

ご静聴ありがとうございました

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