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目次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

SaaSから広がるサブスクリプションエコノミー・・・4

従来の「売り切り型」と何が違う?・・・・・・・・5-8

■顧客との関係

■収益モデル

■キャッシュフロー(会計上)の特性

新しい損益計算書 ・・・・・・・・・・・・・・・ 9-10

どんな指標を追えばいいの?・・・・・・・・・・ 11-12

■SaaSにおける代表的な指標

成長のために見るべき指標は3つ・・・・・・・・・13

サブスクリプション基本用語集・・・・・・・・・ 14-15

ROBOT PAYMENTについて ・・・・・・・・・・・ 16

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はじめに

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3

「聞いたことのない単語ばかりで何から覚えていいか分からない・・・」

「指標など数字の話になるとついていけない・・・」

本資料のゴールはサブスクリプションビジネスの収益モデルの基本の理解です。

本資料の最後に「サブスクリプション基本用語集」を掲載しています。

本文に出てくる単語の意味を調べるための辞書としてもお使いください。

SaaSを代表とするサブスクリプションモデルのビジネスに携わるうえで、このような悩みを抱える人は多いのではないでしょうか? また、起業や新規事業など、これからサブスクリプションビジネスを始めようと考えている人は、投資家やVC(ベンチャーキャピタル)がどの指標を見ているのか気になるのではないでしょうか?

こうした悩み・疑問を解決するために、サブスクリプションビジネスの全体像を理解するうえで必須レベルの用語・指標を中心に解説します。

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4 SaaSから広がるサブスクリプションエコノミー

原因として「顧客のニーズの変化」と「デジタル化」の2つがあげられます。

顧客のニーズはモノの「所有」から、好きなときに好きな分だけの「利用」へ、「モノ消費」か

ら「コト消費」へと移っています。

また、個人の間でもノートPCやスマートフォンが普及し、誰もがいつどこでもインターネットにアクセスできるようになりました。そして企業側も、どの顧客が何をどれだけ使ったかをデータで取得できるようになりました。

常に変化する顧客のニーズに、従来のようにモノを売るだけでは対応できなくなりました。ビジネスモデルの変革が求められるなか、技術的進歩の恩恵を受けて、主にデジタルコンテンツにおいて顧客

との新たな関係(サブスクリプションエコノミー)が始まります。特にソフトウェア業界においてサブスクリプションエコノミーは急速に拡大しました。「SaaS」がその代表例です。こうしたビジネスモデル転換の成功を受け、現在あらゆる業界でサブスクリプションモデルへの転換が行われています。

※SaaS(Software as a Service)の定義は人によってさまざまなのですが、本資料では「法人向け(BtoB)ソフトウェアを提供するサブスクリプションモデルのクラウドサービス」とします。

SaaSがいち早く世界的な成長・広がりを見せたことで、その収益モデルは多くの人によって最新の研究がされています。そのため、新たにサブスクリプションビジネスを立ち上げる際はSaaSモデル

を参考にすることがほとんどであり、その意味で「SaaSモデルの理解 ≒ 一般的なサブスクリプションモデルの理解」と言えます。そこで本資料ではSaaSモデルを中心に解説します。

サブスクリプションとは、期間内の利用権に対して代金を支払う定額制サービスで、新聞購読や牛乳配達など古くから存在していました。では、なぜ近年、サブスクリプションモデルが話題になっているのでしょうか?

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5 従来の「売り切り型」と何が違う?-01

▼ 売り切り型とサブスクリプションの比較図

顧客との関係

サブスクリプションビジネスを行うには、顧客がサービスをどれくらい利用しているかはもちろん、どの部分に満足・不満なのかを顧客1件1件に対して把握する仕組みをつくる必要があります。そして、彼らの声をもとに常にアップデートをしつづけなければなりません。こうして、顧客との継続的かつ双方向の関係(サブスクリプションエコノミー)が築かれます。

このような特性上、サブスクリプションを利用する顧客は最新の製品・サービスが享受できることが当たり前と考えています。そのため、例えば定期的に同じ商品を送るだけのサービスや、製品価格を単純に12で割って月額課金というビジネスは、形式的にはサブスクリプションであっても実質的には異なります。最近はさまざまな分野で「サブスク」を耳にすることが増えましたが、その多くが成功しているとは言えません。「常に最新のサービスを個別に届ける」という重要な要素が抜けている場合が意外と多いです。

顧客のニーズが「モノ」から「コト」、「所有」から「利用」へと変わっており、従来のように良いモノをつくれば売れるという考えは限界に来ています。顧客は一時的・突発的なニーズを満たすだけの製品・サービス

では満足せず、変化するニーズを常に満たしてくれる継続的体験・価値に対価を支払います。この連続したニーズの充足にサブスクリプションは対応できます。

売り切り型とは「商品・サービスを一度売ってしまえば終わりのビジネスモデル」を指します。フロー型ビジネスとも呼ばれ、単発で収益をあげるモデルとなっています。反対にサブスクリプションモデルを代表とする継続課金モデルはストック型ビジネスと呼ばれます。

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6 従来の「売り切り型」と何が違う?-02

Churn(チャーン)とは解約を意味します。解約率はチャーンレートと呼び、顧客数ベースと収益ベースの2種類があります。この計算式におけるチャーンは既存顧客の解約によって失った収益額(レベニューチャーン)です。

ACVは年間契約額と呼ばれ、「新規顧客からの定期収益」と「既存顧客からの増収」で構成されます。既存顧客からの増収によって追加で計上されるMRRを「Expansion MRR」と言い、エクスパンションの手段としてアップセル(商品やプランのアップグレード)、クロスセル(抱き合わせ)があります。

※逆に、既存顧客からの減収(ダウンセルなどで)によって追加計上されるMRRを「Downgrade MRR」と呼びますが、簡略化のためここでは考えないものとします。

継続的な顧客との関係は「リカーリングレベニュー(定期収益)」として収益化されます。従来の売り切り型では単発の販売数が売上に直結し、毎日販売数(売上)を追う必要がありました。しかしサブスクリプションでは、企業は抱える顧客数によってその月の収益が決まり、約束された定期収益(=リカーリングレベニュー)として年間の、そして数年後の収益の予測が可能です。

年間定期収益の計算式は以下の通りです。(出典:Zuora)

ARRとは年間経常収益(年間定期収益)と訳されます。ARRはMRR(月間経常収益)を12倍

して求めます。MRRでは定期的な収益のみが算入され、1度限りの収益(初期費用やコンサルティング費用など)は含みません。

ARRはその時点でのサブスクリプションビジネスの実力を示す数値とも言われています。そのため多くのSaaS企業では、ARRが売上に代わってKGI(重要目標達成指標)に設定されており、毎年ARRの成長を最終的に目指しています。

収益モデル

期首ARR - Churn + ACV = 期末ARR

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7 従来の「売り切り型」と何が違う?-03

1件の新規顧客獲得コストは、1件の既存顧客維持コストの5倍と言われています(「1対5

の法則」)。そのため、企業の成長段階や資金状況によっては、コストの多くかかる新規顧客獲得よりも既存顧客へのアップセルを優先するべき場合もあります。

チャーンによる減収を既存顧客からの増収が上回る(Churn MRR < Expansion MRR)と

き、これをネガティブチャーンと言います。ネガティブチャーンは仮に新規顧客が1件

も獲得できなかったとしても前期よりもARRが成長するという理想的な状態です。

①チャーン減少

②新規顧客の獲得

③既存顧客からの増収(エクスパンション)

収益モデル

「新規顧客数の伸び ≒ 売上成長」であった売り切り型に対して、サブスクリプションの特徴である「安定的な売上成長」を達成するには顧客の単価上昇・継続期間長期化が欠かせません。そのため、サブスクリプションでは ①チャーン減少 ③既存顧客からの増収 に特に注力すべきです。

したがって、ARR成長のためには大きく3つの方法があることがわかります。

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8 従来の「売り切り型」と何が違う?-04

売り切り型では、売れたタイミングで売上として計上され、その商材の原価・販売コストを回収したことになります。しかし、サブスクリプション(SaaS)モデルでは会計ルールとキャッシュの動きにズレが生じます。顧客との関係を収益化するサブスクリプションにおいて、販売数よりも顧客1件あたりの数字を重視します。下の図は顧客1件あたりのキャッシュの動きを表しています

キャッシュフロー(会計上)の特性

CACをキャッシュアウトとして考えます。CACとは新規顧客1件の獲得にかかる営業・マーケティングのコス

トです。一定期間にかけた営業・マーケティング費用(人件費含む)を期間内に獲得した新規顧客数で割って算出します。サブスクリプションビジネスの代表的なKPIの一つです。

このCACを毎月のキャッシュイン(利用料から運用・維持コストを引く)で回収していきます。上の図ではCAC回収期間は10ヶ月です。この特性上、新規の件数によってはキャッシュフローが回らなくなるため、事業が軌道に乗って安定するまでは豊富な資金力が必要となります。法人向けSaaSはこうしたリスクを避けるため、請求は月ごとではあるものの、契約段階で半年契約や年間契約を義務付けるケースが多いです。

また、売上は契約金額を契約期間で割って、月単位で分けて計上しなければなりません。例えば、12月決算の企業において12月に契約した顧客を見てみましょう。今後その顧客は数ヶ月~数年かけて収益・利益をもたらすと実質的には考えられるものの、会計(P/L)上では多くの費用に対して1ヶ月分の売上のみが計上され大きな赤字となります。この現象は年間契約などを義務付けて将来の売上が確定している場合も発生します。

このようにサブスクリプションではキャッシュ・会計上、「新規顧客獲得 = 一時的な赤字」となります。ビジネスがノリに乗って大量の新規獲得ができている状況も、現行のルールでは大幅な赤字とみなされるのです。従来の考え方ではサブスクリプション事業の本当の健全性や成長可能性を判断することが難しいことが分かります。

▼ サブスクリプションにおける顧客1件あたりのキャッシュの動き

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9

益モデルやキャッシュフローが異なるのですから、(「売上」を頂点とする)従来の損益計算書では正確な経営・投資判断はできません。それを解決するサブスクリプション用の新しい損益計算書がこちらです。※説明の都合上、値・単位を変更

▼ 新しい損益計算書(出典:Zuora)

「売上」にかわって「期首ARR」が頂点となっています。新しい計算書の構造の説明に入る前に、それぞれの項目についてSaaSモデルを前提として簡単に解説します。

新しい損益計算書 -01

前の章では、サブスクリプションの収益モデル、会計上の特性などを紹介しました。新たな概念が多く登場し、サブスクリプションが売り切り型とは全く異なるビジネスモデルだと認識したのではないでしょうか?

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まず純営業利益の算出方法から説明します。期首ARRからChurnを引いてNet ARR(正味ARR)を算出します。COGS、G&A、R&DはRecurring Cost(定期コスト)として合算されます。R&Dが定期コストに含まれるのは、研究開発部門の規模が年度ごとに大きく上下することはまずないからです。正味ARRから定期コストを引いてRecurring Profit(定期利益)を出せます。この定期利益から販売・マーケティング費用(成長コスト)を引くことで純営業利益が算出できます。

つづいて期末ARRの算出方法です。下は前述の計算式です 。

(期首ARR - Churn)はNet ARR(正味ARR)であり、ACVはNew ARRと同義です。

したがって、正味ARRにNew ARRを足すことで期末ARRが算出できます。期末ARR(120)= Net ARR(90)+ New ARR(30)

損益計算書の構造

期首ARR - Churn + ACV = 期末ARR

新しい損益計算書 -02

用語説明

Churn:解約分収益。期間内の解約によって失った定期収益。

COGS:売上原価。期首ARRの維持にかかる費用(人件費含む)。SaaSではホスティング費用(レンタルサーバー料)。カスタマーサポートやカスタマーサクセスの人件費も含めることがあります。

G&A:一般管理費。管理部門の人件費など。

R&D:研究開発費。プロダクト開発にかかる費用。開発者の人件費。

販売・マーケティング費用:新規顧客獲得やエクスパンションにかかる費用(人件費含む)。主に営業・マーケティング・カスタマーサクセスの費用。成長コストとも呼ばれます。

New ARR:新規年間定期収益。新規獲得とエクスパンションによって増加したARR。厳密には異なりますが、本資料ではACVと同義とします。

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SaaSにおける代表的な指標

以下は代表的なKPIですが、企業、人によって特に重視する指標は異なります。重点的に追うKPIはビジネス特性などによって取捨選択をするとよいでしょう。(※既に触れた用語解説は省略)

Churn Rate(CR)

解約率。顧客数ベース(Customer Churn)と収益ベース(Revenue Churn)があります。同じ顧客から継続的に収益を積み上げるサブスクリプションでは、月間CRのほんの少しの改善で数年後には大きな売上の差が生まれるため最重要KPIの1つ。月間3%以内、年間10%以内が目安。

(一定期間に解約したユーザー数)÷(期間前の全ユーザー数)

どんな指標を追えばいいの?-01

ここまでの説明でサブスクリプションモデルの全体像をつかめたのではないでしょうか?最後に、SaaS企業経営者や投資家・VCがどのような指標をもとに経営・投資判断しているのかを紹介します。また、SaaS企業における数字の目安もお伝えします。これらを知っておくことで、どの数字をどの程度改善すれば自身のビジネスが成長していくのかという判断材料になります。また、たとえ経営者でなくとも、各業務がどの数字・指標にインパクトを与えるのか分かりやすくなり、より経営的な視点で捉えられるようになるはずです。

アップセルやクロスセルによって生まれる既存顧客からの月次の増収分。これがChurn MRRを上回ることでネガティブチャーンの達成となります。

Expansion MRR

解約による減収額から既存顧客からの増収額を引いた値。これがマイナスになるときネガティブチャーンの達成となります。

Net Revenue Churn

Churn MRR - Expansion MRR

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一般的には12~18ヶ月。12ヶ月以内が理想的。

ユニットエコノミクス

顧客1件当たりの経済性を評価する指標。LTVをCACで割ったもの。この指標が不健全であれば、いくら顧客数が伸びていても成長性を評価されません。月間CRが3%、CAC回収期間が12ヶ月でユニットエコノミクスはおよそ3になります。3~4が目安。値が大きすぎる場合は、販売・マーケティング費用の不足しており、本来獲得できた新規顧客や、既存顧客のエクスパンションを逃していることを意味します。

CAC

CAC回収期間

複数年にわたる売上成長率から、1年あたりの売上成長率を割り出したもの。複利計算と同じ。優良SaaS企業のCAGRは50%以上を達成してきたケースがほとんど 。

年成長率(CAGR)

顧客生涯価値と訳されます。ある顧客との取引開始から終了までに得られる利益の合計。提供するサービスがどれだけ顧客のニーズを満たし続けているかを数値化した最重要KPIの1つ。「アップセルによる顧客単価(ARPU)向上」「解約率の低下」という重要2要素が絡む指標であることから、LTVの最大化がサブスクリプション成功のカギだと言われています。

LTV

LTV/CAC

(一定期間の営業・マーケティング費用)÷(期間内の新規顧客数)

5年で売上高が150百万円から300百万円(2倍)に成長。100(%) ÷ 5(年) = 20(%) ➡ CAGR 20% は間違い2(倍)の5乗根は1.148 ➡ CAGR14.8%(※ 1.148 × 1.148 × 1.148 × 1.148 × 1.148 ≒ 2 )

① (購買単価)×(購買頻度)×(契約継続期間) ×(収益率)② (ARPUもしくはARPA)×(収益率)÷(解約率)

どんな指標を追えばいいの?-02

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①解約率(Churn Rate)

パーセンテージを少し改善するだけで長期的には売上に大きな差が生まれるという特徴があります。SaaSに限らず、顧客と対話しながら常にアップデートをして顧客のニーズを満たし続ける必要があるサブスクリプションにおいて欠かせないKPIです。また、解約率は売上維持のために、どれだけ新規獲得、エクスパンションに取り組むべきかの判断材料になります。

②定期利益率(Recurring Profit Margin)

ARRに対する定期利益の割合です。例として先ほどの新しい損益計算書の数字を使うと、期首ARRが100、定期利益が40のため、定期利益率は40%となります。定期利益率が大きいほど、利益として計上できる金額、または成長コスト(販売・マーケティング費用)として投資できる金額が多くなります。そのため、定期コスト(原価・一般管理費・開発費)をいかに抑えるかが成長戦略を描くうえで重要になってきます。

③成長効率指標(GEI )

成長コスト(販売・マーケティング費用)を New ARR(新規ARR)で割ることで求められます。例えば、成長コストと新規ARRが同じときGEIは1となります。これは新規ARRを1円獲得するためにいくらの成長コストをかけたか、逆にどれだけの成長コストをかければいくらの新規ARRを稼げるかの目安になります。前述のように定期利益は利益として残すこともできれば、成長コストとして投資に充てること

もできます。したがって、GEIは「成長か利益か」のバランスを示す指標と言えます。サブスクリプ

ションにおいては利益を優先した途端に成長が鈍化する例が少なくなく、SaaS企業ではGEI1~2が目安とされています。成功した企業の多くは利益よりも成長を優先していました。

①解約率(Churn Rate)②定期利益率(Recurring Profit Margin)③成長効率指標(GEI)

GEI =(販売・マーケティング費用)÷(New ARR)

成長のために見るべき指標は3つ

SaaSのいくつかの代表的な指標を紹介しました。しかし、その中でもどれを最も重視すべきか、また、SaaS以外のサブスクリプションではどうなるか気になることでしょう。サブスクリプションエコノミーを提唱しているZuoraによると成長戦略を描くうえで重要になるKPIは以下の3つとされています 。

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1 ACV(Annual Contract Value) 年間契約額。新規顧客獲得による定期収益と、既存顧客からの増収で構成される。任意の顧客1件の数字として見ることが多い。

New ARRTCV

2 ARPA (Average Revenue per Account)1アカウントあたりの平均収益(≒顧客単価)。業態によってARPUと使い分けることが多い。=(一定期間の売上)÷(アカウント数)

ARPULTV

3 ARPPU (Avrage Revenue per Paid User) 1課金ユーザーあたりの平均収益。ARPUを細分化したもの。 ARPU

4 ARPU (Average Revenue per User) 1ユーザーあたりの平均収益。月次ARPUが一般的。=(一定期間の売上)÷(ユーザー数)

ARPALTV

5 ARR (Annual Recurring Revenue)年間経常収益。初期費用やコンサルティング費用は含まない。年間契約が多いBtoBのSaaS企業では売上に代わるトップKPIとして採用されている。=MRR×12(ヶ月)

MRRNew ARR

6 CAGR 年平均成長率。複数年にわたる売上成長率から、1年あたりの売上成長率を割り出したもの。複利計算と同じ。

7 CAC (Customer Acquisition Cost)1顧客獲得に要した営業・マーケティングの総コスト。人件費や代理店手数料なども含まれる。=(一定期間の販売・マーケティング費用)÷(一定期間の新規顧客数)

CAC

8 CAC Payback Period CAC回収期間。SaaSでは12か月以内が理想。=CAC÷(ARPUもしくはARPA)

CACARPAARPU

9 Churn MRR 解約分収益。期間内の解約によって失った月次の定期収益。 MRR

10 Churn Rate(CR) 解約率。チャーンレート。顧客数ベースと収益ベースがある。月間CR3%以下が目安。

11 COGS (Cost of Goods Sales) 売上原価。期首ARRの維持にかかる費用(人件費含む)。 G&AR&D

12 Custmer Churn Rate 顧客数ベースの解約率。=(一定期間に解約したユーザー数)÷(期間前の全ユーザー数)

Churn RateRevenue Churn Rate

用語 意味 関連用語

初心者向けSaaS用語集

13 CRM (Customer Relationship Management) 顧客関係管理。顧客と企業で良好な相互関係を築くことを目指すマネジメント手法。

14 Downgrade MRR 既存顧客からの減収(ダウンセルなどで)によって追加計上されるMRR MRRExpansion MRR

15 Expansion MRR アップセルやクロスセルによって生まれる既存顧客からの月次の増収分。 MRRDowngraded MRR

16 G&A (Genereal and Administrative) 一般管理のこと。一般管理費を表す場合もある。 COGSR&D

17 GEI (Growth Efficiency Index) 成長効率指標。=(販売・マーケ費用)÷(New ARR)

CACNew ARR

18 LTV (Lifetime Value)

顧客生涯価値。ある顧客との取引開始から終了までに得られる利益の合計。企業によては利益ではなく収益で算出することもあるので注意。=(購買単価)×(購買頻度)×(契約継続期間) ×(粗利率)【一般】=(ARPUもしくはARPA)÷(解約率)【収益ベース】=(ARPU)×(粗利率)÷(解約率) 【利益ベース】

ARPAARPU

Churn Rate

19 MRR (Monthly Recurring Revenue) 月間経常収益。初期費用やコンサルティング費用は含まない。 ARR

20 New ARR 新規年間定期収益。新規顧客獲得や既存顧客からの増収の合計。ACVの合計とすることが多い。

ARRACV

21 Net Revenue Churn 解約による減収額から既存顧客からの増収額を引いた値。これがマイナスになるときネガティブチャーンを達成。 ネガティブチャーン

22 R&D (Research and Development) 研究開発のこと。研究開発費を表す場合もある。 COGSG&A

23 Retention Rate 顧客維持率。=(期間終了時の顧客数 - 期間中に獲得した顧客数) ÷ 期間開始時の顧客数 Churn Rate

24 Revenue Churn Rate 収益ベースの解約率。=(一定期間に失ったMRR)÷(期初のMRR)

Churn rateCustmer Churn Rate

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15 初心者向けSaaS用語集

用語 意味 関連用語

25 TCV(Total Contract Value) 総契約額。契約期間中にある顧客が支払う総額。任意の顧客1件の数字として見る。 ACV

26 アップセル 顧客に対してより高いグレード(プラン)の商品・サービスをすすめる手法。クロスセル同様、LTV最大化のためにおこなわれる。

LTVクロスセルダウンセル

27 インサイドセールス従来の営業活動のうち、訪問営業と受注を除いた部分。内勤営業。または、その部分を担当するチーム。主に電話・メールを駆使して、顧客との接触からアポ獲得までのリード(見込み客)育成を担う。

フィールドセールス

28 カスタマーサクセス顧客の成功のために、自社サービスの価値を最大限引き出してもらえるよう支援するという価値観。または、それを担当するチーム。企業ごとに役割は異なるが、共通したミッションは既存顧客の解約阻止。解約率減少やアップセル・クロスセルなどを通してLTV最大化を図る。

Churn RateLTV

アップセルクロスセル

29 クロスセル 顧客に対して購入したものとは別の商品・サービスをすすめる手法。抱き合わせ販売。アップセル同様、LTV最大化のためにおこなわれる。

LTVアップセルダウンセル

30 ダウンセル 顧客に対してより低いグレード(プラン)の商品・サービスをすすめる手法。価格が理由で解約を考えている顧客におこない、解約を防ぐことが狙い。

アップセルクロスセル

31 ネガティブチャーンチャーンによる減収を既存顧客からの増収が上回る状態。この状態では仮に新規顧客獲得がゼロでも前期よりもARRが成長する。Churn MRR < Expansion MRRNet Revenue Churn < 0

Churn MRRExpansion MRR

32 フィールドセールス 従来の営業活動のうち、訪問営業と受注の部分。外勤営業。または、その部分を担当するチーム。インサイドセールスで集めた顧客情報をもとにクロージング活動を行う。 インサイドセールス

33 ユニットエコノミクス1顧客あたりの採算性を示す指標。成長投資をするうえで重要な指標の一つで、3以上であれば健全とされている。=LTV/CAC

CACLTV

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16 ROBOT PAYMENTについて