質点の力学と微分方程式 - Hiroshima University...質点の運動の記述 質点の運動の記述 速度 加速度: 時刻 における t 質点の位置ベクトル r(t)
泌尿器系 - 国立大学法人...
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泌尿器系
腎臓
腎臓の構造
腎臓
腎動脈
腎杯
腎静脈
尿管 髄質
腎盂
皮質
100~150g
腎錐体
腎乳頭
腎臓の働き ●
1)
2)
3)
3つの主要な役割
不要な代謝産物を体外に運ぶ(排泄)
血液内の水分と電解質バランスを正常範囲内に維持する。同時に酸と塩基バランス(pH)を維持する
特殊物質の産生 レニン(血圧調節)、 エリスロポエチン(造血) ビタミンD
排泄とは? II
老廃物や毒物を体外に排出すること
•代表的な老廃物
CO2(肺から排泄)
水(腎臓から排泄)
尿=老廃物(尿素・尿酸・クレアチニン)や
毒物を含む液体
泌尿器=尿を生成し排泄する器官
腎臓→尿管→膀胱→尿道
ネフロン(微小濾過単位) 近位尿細管 遠位尿細管
腎小体 皮質
髄質 集合管
ヘンレループ
100万個×2個
腎小体 腎小体
腎糸球体
近位尿細管
ボーマン嚢
輸出細動脈
輸入細動脈
傍糸球体装置
腎小体
ネフロン
尿細管 1)近位 2)ヘンレループ 3)遠位
腎小体 1)ボーマン嚢 2)腎糸球体
+ =
腎臓における経路
腎乳頭 腎錐体 の先端部
腎錐体 太い尿細管
集合体の集まり
腎盂 (腎盤) 腎杯
の集合体
腎杯に 包まれる
尿管へ
尿細管
膀胱 尿路上皮
尿道括約筋
尿路
膀胱三角
尿道
腎小体では血圧で濾過が起きる
濾過(原尿) ~150L/日
ボーマン嚢
分子が大きいタンパク質は 濾過されない
水分・糖質・イオン 尿素・尿酸が濾過
される
細動脈 圧が高い
濾過された液体
1.4L/日
尿細管での再吸収
尿細管
尿素・尿酸・アンモニア クレアチニンなど
薬物等
そのまま分泌(排泄) 原尿の約1%(1.5L)
体内
水分・イオン・糖質 の99%が再吸収される
物質の輸送速度に 担体の数が間に合わない
尿に残る (例:糖尿病)
非タンパク質性窒素
体内の水分が増加 血液中の浸透圧↑ 心房筋が伸展
視床下部 浸透圧受容 ニューロン
脳下垂体後葉
抗利尿ホルモン分泌抑制 (ADHバソプレシン)
水の再吸収抑制 →尿量増加(希釈尿)
レニン&アルドステロン分泌抑制 →Na+の排泄を促進 →水分の排泄↑ →尿量増加
心房細胞
心房性ナトリウム 利尿ホルモン (ANP)分泌↑
尿量の調節
・人体は「アルカリ」よりも圧倒的に多量の「酸」を 産生している。が、人体はややアルカリ性(pH7.4)
●揮発性の酸(炭酸ガス)→肺で処理できる 糖質 脂質 たんぱく質等
●不揮発性の酸(リン酸や硫酸)→肺で処理できない 脂質 たんぱく質
酸・塩基平衡とその異常
•肺と腎臓がpHを維持する機能を持つ
H++ HCO3- H2CO3 H2O + CO2
•基本ルール:HCO3-を再吸収してH+を排泄
•血液が酸性の状況ではH+を排泄
•血液が塩基性の状況ではHCO3-の再吸収& H+の排泄 が起きない
•アンモニアやリン酸はH+を緩衝する働きを持つ 酸性側に傾く:アシドーシス アルカリ側に傾く:アルカローシス
pHの維持
腎臓
肺
肝臓
肺
血圧調節のしくみ レニンーアンギオテンシノゲンーアルドステロン
視床下部-下垂体後葉
造血と血液細胞の発生と分化
(エリスロポエチン)
エリスロポエチンは、腎臓の尿細管間質細胞で 産生され分泌される。 ↓ 骨髄で造血幹細胞から赤血球へ分化 腎不全によって、 十分なEPO産生が行われないと貧血になる。
(腎性貧血)
腎機能の検査 1)血清クレアチニン 2)尿素窒素(BUN) 3)β2-ミクログロブリン 4)糸球体濾過量(GFR)
イヌリンクレアランス(ゴールドスタンダード) クレアチニンクレアランス(Ccr) (mL/min)=Ucr × UV × 1.73 ←63kg,170cm
Pcr A
Ucr:尿中クレアチニン濃度(mg/dl) UV:1分間の尿量(dl/min) Pcr:血清クレアチニン濃度(mg/dl) A:体表面積(m2)
推算GFR (eGFR)
慢性腎臓病(CKD)
腎機能(糸球体濾過量:GFR)の低下もしくは尿たんぱく陽性など腎障害の存在を示す所見が慢性的に続く状態
慢性腎症・糖尿病性腎症の判定基準
腎障害の症状 1)タンパク尿 ①糸球体濾過膜の障害による血漿タンパクの漏出 → ネフローゼ症候群(3.5g/日以上) ②尿細管における再吸収不全
2)浮腫 ①糸球体濾過量の減少 → 乏尿、Na+の貯留 ②タンパク喪失による血漿タンパクの減少 → 浸透圧の低下 → 血管から組織への水分の移動
3)高血圧 ①水分やNaの貯留で体液量が増加(糸球体濾過量の減少) ②レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の活性化 (腎血流量の低下)
4)高窒素血症 非タンパク窒素(NPN) :25~35 mg/dl 尿素窒素(BUN) :8~18 mg/dl
血清クレアチニン(Cr) :0.5~1.3 mg/dl
5)貧血(腎性貧血)
腎疾患の栄養の原則(6つ) エネルギーは、糖質と脂質から確保し、タンパク質と塩分、水分を制限する(実際は、腎疾患の病態に即応した治療食を考える)
1)糖質:腎臓に負担をかけない主要なカロリー源 タンパクの異化を防ぐ
2)脂質:糖質と同様なカロリー源
ただし、糖尿病性腎症→ケトン体を生じやすい場合 ネフローゼ症候群 高脂血症、動脈硬化症の進展が疑われる場合は注意
3)タンパク質:血中の尿素窒素(BUN)の増大があれば制限が必須。 高窒素血症、尿毒症になる。 ネフローゼ症候群の場合は、尿に多量のタンパク質が排泄されるため 良質のたんぱく質の補給が必要。
4)食塩:浮腫や高血圧がある場合は厳重に制限 強力な利尿薬の使用中は制限を緩め、尿細管のNa+再吸収能が 低下している場合は、制限の必要はない。
5)カリウム:要注意!! 尿細管でのK+排泄阻害 → 高K血症 →心停止 利尿薬によりNa、K多量に排泄 → 低K血症 → 不整脈
6)水:体重の変化(浮腫)と尿量を目安に制限するかしないか考える 急性腎炎の無尿期、慢性腎炎の乏尿期で浮腫 → 制限する 慢性腎炎末期で多尿の時 → 制限しない
制限:前日の尿量+700mL以下(食物中の水分を含む)
慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
用語説明 ●サルコペニア 狭義:加齢に伴う骨格筋の減少 広義:CKDなどの慢性疾患に伴う筋肉量の減少 実際には、筋肉量と筋力・身体機能の低下で判断する
●Protein-energy wasting (PEW):CKDにおける栄養障害 摂取量の低下のみならず、尿毒素の蓄積、代謝亢進、炎症、酸化ストレス、インスリン抵抗性など複数の要因が関与し、体蛋白(骨格筋)や、エネルギー源(体脂肪)が減少する。
●フレイル 複数の生体機能(身体機能、移動能力、バランス能力、持久力、栄養状態、活動性、認知機能、気分)に障害が起きた結果、ストレス因子からの回復や抵抗力が低下し、有害事象に対して虚弱になる生物学的な症候群 ただし、まだ詳細な定義、診断基準のコンセンサスは得られていない
腎疾患
●慢性腎臓病(CKD) 定義: 腎機能(糸球体濾過量:GFR)の低下もしくは尿たんぱく陽性など腎障害の存在を示す所見が慢性的に続く状態
糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症etc. 高齢、家族歴、高血圧、耐糖能異常、糖尿病、肥満、
メタボリックシンドローム、脂質代謝異常症、高尿酸血症、NSAIDs、 膠原病、感染症、尿路結石
CKD
腎不全 透析
エネルギーは、透析液からのものも合わせて考える!!
腎炎について
腎臓の炎症は、2つ。 1)腎盂腎炎 原因:細菌(大腸菌)感染、尿道、膀胱を経由 治療:抗生物質
2)糸球体腎炎 原因:口腔、鼻腔、咽頭、喉頭、肺などで生じた 抗原が血中を移動し糸球体へ沈着 免疫複合体の形成による炎症惹起 (III型アレルギー反応) 治療:ステロイドホルモンなどの免疫抑制剤
腎炎 ●急性糸球体腎炎 上気道感染があり、その後一定の潜伏期間を置いて急激に発症する。 原因: 上気道感染の原因菌、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌) 菌体成分に対する抗体が産生され、抗原・抗体複合体+補体→免疫複合体 糸球体の濾過膜に付着、免疫反応 症状: 全身倦怠感、咽頭痛、食欲不振など ⇒ 高血圧、浮腫、血尿
●慢性糸球体腎炎 1年以上もの慢性の経過をたどる 原因: 抗原・抗体反応による糸球体の炎症 病型: (1)微小変化型、(2)IgA腎症、(3)膜性腎症、(4)単状糸球体硬化症 (5)膜性増殖性糸球体腎症 症状: (1)潜在型 経度タンパク尿、血尿 (2)進行型 高血圧、浮腫、血尿 ⇒ タンパク尿
●腎盂腎炎 尿路感染症の一部 原因: 大腸菌による尿道、膀胱からの上行性感染 症状: 悪寒、発熱、全身倦怠感、尿意頻回、排尿時痛、腰背部痛
ネフローゼ症候群 成人ネフローゼ症候群の診断基準(腎臓学会2011)
ネフローゼ症候群の分類 1.一次性ネフローゼ症候群(原発性) a)微小変化群 b)膜性変化群 c)腎炎性変化群 2.二次性ネフローゼ症候群(腎外性) a)代謝性疾患(糖尿病など) b)全身性疾患
Alb↓ γ-グロブリン↓ α2-グロブリン↑(高脂血症)
TC: 250mg/dl以上
腎不全 排泄、代謝、分泌などの腎機能障害をきたし、体液の恒常性が失われるために生じた病態
●急性腎不全:急激に起こった糸球体濾過の停止ないし減少に基づく腎機能廃絶状態
腎前性: ショック、出血、心不全などの腎血液量低下 腎性: 腎臓の虚血、尿毒性物質などの腎実質障害 急性尿細管壊死 腎後性: 尿管、膀胱腫瘍、前立腺肥大などの尿路閉塞 乏尿、無尿、浮腫、高血圧、尿毒症症状 治療に反応する、可逆的な病態。慢性腎不全への移行は少ない。
●慢性腎不全:CKDを背景として、徐々に発症 ⇒ 末期腎不全
高血圧:レニン、アンギオテンシン系の活性化 腎性貧血:エリスロポエチン産生低下 腎性骨異栄養症:ビタミンD活性化障害
糖尿病性腎症 糖尿病の三大合併症のひとつ 透析導入する原疾患の第1位 糖尿病性糸球体硬化症 細動脈硬化症 治療: 血糖値コントロール 高血圧の治療
まず
腎性貧血 CKDの進行に伴い、腎臓皮質の間質細胞からエリスロポエチン(EPO)の分泌が低下し、赤血球の産生が低下することによって起こる貧血。早ければ、ステージ3で見られる。
診断: CKDステージ3以降で、貧血と判定され、 鉄欠乏など他の原因が考えられない場合。 Ht値: 男:39~52% 女:35~48% ⇒ 25%以下 Hb量: 男:14~17g/dl 女:12~16g/dl ⇒ 11.0g/dl以下 ⇒ rHuEPO投与 赤血球数 男:450万~510万/mm3 女:395万~465万/mm3 フェリチン(貯蔵鉄): 100ng/ml以下 トランスフェリン: 20%以下 MCV(平均赤血球容積) ビタミンB12、葉酸など
貧血と心不全 透析患者の最大の死亡原因は、心不全
エネルギーは、腹膜から吸収されるのものも合わせて考える!! 大体、50~100g/日(200~400kcal/日)
ネフローゼ症候群の場合
EN.: 35kcal/kg/day Pr.: 0.8g/kg/day 微小変化型:1.0~1.1g/kg/day Na: 6g/day 高度な浮腫:3g/day
糖尿病性腎症の場合(教科書p172, 表6-22)
入院時検査値 58歳、男性
身長170cm 、体重76kg、BMI 26.2kg/m2 、BP 150/100mmHg
検査値
WBC(/μL) 8,000
RBC(/μL) 350
Hb(g/dL) 10.0
Ht(%) 29.0
PLT(/μL) 20
Na(mEq/L) 140
K(mEq/L) 5.0
Cl(mEq/L) 96
Ca(mg/dL) 8.2
P(mg/dL) 4.0
Fe(μg/dL) 55
検査値
TP(g/dL) 6.0
Alb(g/dL) 3.0
AST(IU/L) 20
ALT(IU/L) 15
BUN(mg/dL) 25
Cr(mg/dL) 1.5
Ccr(mL/min) 40
尿中蛋白排泄量(g/day) 4.0
LDL(mg/dL) 150
HDL(mg/dL) 30
TG(mg/dL) 320
BS(mg/dL) 150
HbA1c(%) 8.0
尿たんぱく(+++)、尿糖(+++)、 ケトン体(ー)、沈渣(-)
En. : 25~35kcal/kg/day Pr. : 0.6~0.8g/kg(動物性Pr.60%以上)
Fat : En.25%以上/day C. : En. 60%以上/day NaCl : 6g/day H2O : 35mL/kg/day K : 2000mg以下/day P : 600mg以下/day
栄養アセスメント
モニタリングと評価
BUN/クレアチニン比 >10の場合、たんぱく質過剰摂取と判定できる 24時間蓄尿による、 窒素出納値:=たんぱく質摂取量(g/日)/6.25-(UN+4) 食塩摂取量:=尿中Na排泄量/17 血清K 血清Alb たんぱく尿 腎機能