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Maternal Serum ScreeningAcog Technical BulletinNumber 228-September 1998
Maternal Serum Screening(母体血清スクリーニング)
妊娠初期に行われる
胎児発達についての非侵襲的検査法
神経管欠損、先天奇形、染色体異常の検出に用いられている
現在AEP、hCG、uE3 が用いられている
母体血清スクリーニングの目的
集団から胎児に異常があるリスクの高い妊婦を特定し、より特異的な診断検査を行うこと
・任意に行われるべき
・検査前に、スクリーニングの利点
と限界を説明する
スクリーニングの結果が・・・
・陰性または正常
胎児に異常がないとは断定できない
・陽性
胎児に異常があると確定したわけではない
更なる評価(US、羊水穿刺)を行なうべき
胎児異常の出生前診断の意味
家族:中絶を含めた様々な選択を可能にする
産科医:最も適切な出産方法、新生児期の治療の準備ができる
Alpha-Fetoprotein (AFP)
胎児によって産生
卵黄嚢→胃腸→肝
胎児発達の理想的マーカー
構 造 的 、 機 能 的 に ア ル ブ ミ ン と 類 似遺伝子:両者とも第四染色体上
分子量:6900
AFP
AFPの機能(仮説)
アルブミン同様、血管内輸送蛋白、血漿浸透圧維持
免疫反応抑制
→母体に胎児抗原に対する抗体が産生されるのを防ぐ
※AFP低値があっても、正常な児が生まれたという報告があり、正確な役割は解明されていない
AFP
胎児AFPの変化
第1三半期:末期でピーク
第2三半期:減少
肝ではAFP産生が活発に行われている
→胎児血漿量増加による希釈
妊娠30週で産生の急激な減少が見られる
AFP
羊水中のAFP
羊水中のAFP→胎児腎での血液濾過の結果
胎児の羊水の嚥下
→AFPは胃腸の酵素により破壊される
第1三半期、第2三半期の羊水中AFPの減少
→胎児血中の減少と比例
AFP
母体血清AFP (MSAFP)
母体循環へのAFP移行
経胎盤・・・2/3、経羊水・・・1/3
30週までは徐々に増加、以降漸減
第2三半期では胎児のAFPは減少するにもかかわらず、MSAFPは増加を続ける
MSAFPの高値、低値の両方が児の重大な異常や妊娠の有害転帰を意味する
AFP
Neural Tube Defects (NTDs)
アメリカで2番目に多い先天奇形
(1位は先天性心奇形)
発生第3週~4週の間に、神経管が正常に閉鎖しなかったために起こる
85%が多因子遺伝、12~15%が染色体異常・一遺伝子欠損・催奇形物質
NTDs
NTDsの種類と予後
無脳症:神経管頭端の閉鎖不全による
→長期的な生存は望めない
二分脊椎:神経管遠位端での閉鎖異常
→予後は病変の部位と範囲に左右される
脳ヘルニア:頭蓋骨の欠損部から脳組織がはみ出る
NTDs
発生数と危険因子
アメリカでは、およそ1000出生に1例
90%以上に明確なrisk factorを認めない
risk factor
・一親等又は二親等に弧発性のNTDs患者がいる(多因子遺伝)
・母体の糖尿病、カルバマゼピン・バルプロ酸・レチノン酸等の摂取
NTDs
Folic acid(葉酸)
葉酸はNTDsのリスクを減少させる
(DMの場合を除く)
→生殖年齢の女性全員が0.4mg/dayの葉酸を摂取するように推奨
実際、前回妊娠がNTDsであった場合、妊娠3ヶ月前から第1三半期まで継続して4㎎/dayの葉酸を補充すると、NTDsのリスクが70%減少した
NTDs
ScreeningMSAFP上昇→OpenNTDs
OpenNTDsの85%を検出できる
3~4%の偽陽性
※カットオフ値が高ければ偽陽性率は下が るが、発見率も下がる
closed defect(脳ヘルニアなど)は検出できない
NTDs
Screening
妊娠15週~22週までに行う
16週~18週が最も正確
MSAFPに影響する因子
母体体重、人種、インスリン依存性DM
多胎妊娠、胎児死亡
NTDs
Diagnosis
1回目のMSAFP値が上昇
→更なる評価
再度MSAFP測定
超音波検査
羊水穿刺
在胎週数、初回のMSAFP値、患者の要望などに応じて行う
NTDs
超音波検査
偽陽性の最大の原因は胎齢の過小評価
MSAFPの軽度上昇
→USにて胎齢の確認
NTDs
超音波検査
不正確な胎齢、多胎、胎児の消滅などMSAFP上昇の説明がつかない
→広範囲なUS検査
第2三半期:lemon sign(前頭骨波形形成)
banana sign(小脳の下降)
出産時や新生児期:脳水腫
NTDs
羊水穿刺
羊水中のAFP上昇→異常を示唆する
AchEを測定
NTDsと他のOpen fetal defectとの区別の為
・AFP↑、AChE↑:Open NTDs・AFP↑、AChE→:NTDs以外のOpen fetal
defect・MSAFP↑、US正常、AFP→、AChE→
:Open fetal defectを除外、低出生体重児、胎児死亡、羊水過少症
NTDs
羊水穿刺
羊水穿刺を行うなら、染色体検査も考慮
構造的奇形が染色体異常によるものかどうかで、その後の方針が異なる
NTDsではトリソミー18,13との合併が多い
NTDsの診断→更なるUS検査
心機能評価、合併奇形、脳水腫、羊水過多 等
NTDs
Management
遺伝学カウンセリング
・異常の原因、治療、予後、再発危険性の説明
・中絶を含む選択肢の非誘導的提示
NTDsの治療をする内科医や小児神経外科医、parental support groupsとの面会の提供
出産方法:帝王切開
陣痛なしで帝王切開で生まれた児の方が、神経学的予後がよい
NTDs
染色体異常:ダウン症
奇形のうち最も高頻度、800出生に1例
発達遅滞、特徴的顔貌、先天性心奇形、消化管奇形、白血病 等
NTDsと異なり、ダウン症や他の染色体異常のリスクは母体年齢と共に上昇する
母体血清スクリーニングはダウン症の胎児スクリーニングの一部として用いられている
MSAFP
ダウン症児妊娠の場合、median MSAFPはコントロールの0.8MoM
NTDsのスクリーニングと異なり、ダウン症の場合、母体年齢によってcut off値が異なる。
ダウン症
hCG
合胞体栄養膜から分泌
排卵後8日で母体血清中に確認、妊娠20週までに低下し、以後出産までその値を保つ
ダウン症ではhCGが非常に上昇
→ダウン症の最も感度の高いマーカー
ダウン症
非抱合性エストリオール(uE3)
ステロイドホルモン、胎児の副腎・肝で変換
第2三半期での母体血清uE3低下(正常より25%低下)→胎児がダウン症
AFP・hCG・uE3でスクリーニング
→偽陽性が25%減少、羊水穿刺数減少
トリソミー18のスクリーニングにも用いる
ダウン症
結果の解釈トリプルスクリーニングでのダウン症の検出率60%、偽陽性率は5%
MSAFP単独の場合より20~25%上昇
正確な在胎週数が必須
※第2三半期ではBPDによる週数決定が最も信頼性が高い←ダウン症児では長骨が短い
在胎週数を検証しても陽性
→羊水穿刺の利点とリスクについてのカウンセリング
ダウン症
染色体異常:トリソミー18
5000出生に1回
精神発達遅滞、先天性心奇形、耳介低位、小顎症、合指症、腎奇形 等
通常、2ヶ月までに死亡
3つのマーカー全てがかなり低値
Open defectを持たない場合に有効
現在研究中の他のスクリーニング方法
従来のトリプルマーカースクリーニングは、MSAFP単独より優れているが、それでもダウン症の40%が未検出
PAPP-A、尿中β‐core、inhibin2量体、hHLなどが現在研究中
(いつ用いるか、単独で用いるのかどうか)
母体循環からの胎児細胞の抽出
他の侵襲的手段の減少
Summary母体血清スクリーニングはopen fetal defectや、ダウン症、トリソミー18の検出率を上昇させる
検査の利点と欠点を充分説明した上で、スクリーニングをうけるかどうか、患者に選択させるべきである
患者は結果が陽性だった場合、羊水穿刺を含む更なる検査を必要とするいうことを理解せねばならない
Summary産科医はgenetic serviceや検査施設と連絡を取りあうべきである
高齢妊婦には、スクリーニングや遺伝検査によって、適切な決断を下せるよう、特別に注意を払うべきである
診断的検査によって陽性という結果がでた患者にはSupport groupsや小児外科の利用を含めた適切なカウンセリングを行うべきである
Maternal Serum ScreeningAcog Technical BulletinNumber 228-September 1998
M6 益山 京子