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Lectures on Global Communication (ポルトガル語圏の言語...
Transcript of Lectures on Global Communication (ポルトガル語圏の言語...
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言語教育とLGBT-ブラジリア大学のケース-
向井裕樹(ブラジリア大学)
2018年11月14日神戸大学国際人間科学部
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はじめに「日本語教育とLGBT」
• ブラジリア大学構内で,5年ぐらい前から同性同士で手を繋いで歩いている学生を目にするようになった。
• 構内でLGBTの権利や同性愛嫌悪撲滅を求めたデモ行進が行われた。
• 私が所属しているブラジリア大学日本語専攻科にもLGBTの学生がいるようだ。
• そこで,ブラジリア大学日本語専攻科のLGBTの学生の
実態(特に苦悩や困難点)について,ケーススタディとして調査をすることにし,本発表ではその調査結果を報告する。
• 言語教育とジェンダー論や多文化共生論などとの接点を探ることを試みる。
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• 管見の限り,日本語教育とLGBTの両者を扱った研究,論文は希少。
• Ciniiで検索しても,ヒット件数はゼロ(2018年11月現在)。
キーワード• ブラジル
• セクシュアル・マイノリティ
• LGBTと言語教育
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LGBTと言語教育-問題定義-
• LGBT総合研究所が全国の20歳~59歳の個人10万人を調査したところ,(日本では)約8%の人がLGBTをはじめとする性的マイノリティであると回答。これは12.5人に1人がLGBTということであり,日本人の中でAB型の人が占める割合とほぼ同じ。
• (出典:https://lightworks-blog.com/lgbt-outline)
• このグローバル社会で「自分には関係ない」と言えるでしょうか?
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https://lightworks-blog.com/lgbt-outline
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2018年9月18日にFacebookに掲載
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LGBTと言語教育
• LGBTとは?
• レズビアン(Lesbian),ゲイ(Gay),バイセクシュアル(Bisexual),トランスジェンダー(Transgender)の各単語の頭文字を組み合わせた表現。
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• Lesbian (=女性同性愛者,身体と心の性別は女性で、性的指向も女性である人)
• Gay (=男性同性愛者,身体と心の性別は男性で、性的指向も男性である人)
• Bisexual (=両性愛者,身体と心の性別を問わず、性的指向が両性である人)
• Transgender (=身体の性別と心の性別が一致しない人)
• Queer (=規範的異性愛以外のあらゆるセクシュアリティを指すのに用いられる言葉)
• Questioning(=自身の性自認や性的指向が定まっていない人)
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• LGBは,性的指向に関係する。
• Tは,身体/出生時の性と心の性が一致しない人
で,性自認(ジェンダー・アイデンティティ)に関係する。
• LGBTの象徴である6色の虹色の旗,レインボー
フラッグは,「性とはグラデーションでありさまざまな形が存在する」ということを示している。
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• 性の多様性への理解がまだ十分とは言えない現代の社会では,日常生活の中でLGBTが生きづらさを感じる場面がある。
• 困難には2つの側面がある。
1. 社会的困難(今回はこちらを取上げます)
2. 法的困難
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社会的困難
• 自己承認
• 自分が性的マイノリティであることを受け入れられるかどうか。自分のセクシュアリティを受け入れられない,受け入れられる原因は人それぞれ。
• 他己承認
• 相手(親,友人,同僚など)に受け入れられるかという不安や,絶交されてしまうのではないかという恐怖。
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• 社会承認
• 社会が性的マイノリティの存在を広く受け入れているかどうかも,生活するうえで大きな問題になる。
• 例) 2016年に連合(日本労働組合総連合会)が
実施した調査によると,職場に同性愛者や両性愛者がいた場合,抵抗を感じる人は35%。つまり3人に1人が抵抗を感じるという現実が日本社会にはある。
• (出典: https://lightworks-blog.com/lgbt-outline)
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https://lightworks-blog.com/lgbt-outline
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2018年7月25日にFacebookに掲載
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日本での事例1
• 「心の性が女性」は入学可=20年度から-お茶の水女子大(2018年7月2日付けの記事)
• 「戸籍上は男性でも自らの性別を女性と認識するトランスジェンダーの学生を2020年度から受け入れると発表した。」
• (出典: https://www.jiji.com/sp/article?k=2018070201090&g=soc)(2018年8月4日アクセス)
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https://www.jiji.com/sp/article?k=2018070201090&g=soc
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日本での事例2
• 「自民党の杉田水脈(すぎたみお)衆院議員が,月刊誌「新潮45」(8月号)に「LGBTのカップルは子供をつ
くらないので『生産性がない』」などとする記事を寄せ,批判を集めている。」
• (出典: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180728-00025771-president-soci&pos=4)(2018年7月28日アクセス)
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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180728-00025771-president-soci&pos=4
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日本での事例3
「東京医科大、入試で性の質問含む心理テストを実施。「性生活に満足している?」の項目も」
• 「東京医科大の入試の2次試験の「適性検査」で、性的指向や性的自認に関する質問を含む心理テストを実施していたことが分かった。「性生活に満足している?」「異性より同性に強い魅力を感じる?」などの質問が含まれている。このテストは一部自治体の教員採用試験などで導入され、合否判定に使われてきたことが問題視されてきた。」
• 出典:http://huffp.st/XVx4JxZ
• (2018年8月9日アクセス)
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http://huffp.st/XVx4JxZ
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ブラジルでの事例1一方,ブラジルでも
• パラナ州の軍事警察(Polícia Militar)の公務員試験の審査基準に「男性性(masculinidade)」を評価する項目が含まれていた。
• 72項目の心理テストの1項目
• 「暴力的なシーンに心を揺さぶられない,
• 下品さ(粗暴)に耐えることができる,
• 容易に感動しない,
• ラブストーリーやロマンティックな話に興味を示さない」
• 出典: https://www.msn.com/pt-br/noticias/brasil/concurso-da-pm-do-paran%C3%A1-tem-%E2%80%9Cmasculinidade%E2%80%9D-como-crit%C3%A9rio-de-avalia%C3%A7%C3%A3o/ar-BBLSWdQ
• (2018年8月13日アクセス)
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https://www.msn.com/pt-br/noticias/brasil/concurso-da-pm-do-paran%C3%A1-tem-%E2%80%9Cmasculinidade%E2%80%9D-como-crit%C3%A9rio-de-avalia%C3%A7%C3%A3o/ar-BBLSWdQ
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ブラジルでは。。。
• ブラジルは,セクシュアル・マイノリティーとされるLGBTの権利を求める運動の歴史を持つ。
• 2004年には,「同性愛嫌悪撲滅プログラム」(Programa Brasil Sem Homofobia),
• 2011年には,LGBTに対する暴力撲滅審議会を設置。
• 2011年には,連邦最高裁判所が同姓婚カップルに男女間の結婚と同等の法的権利を認め,2013年には,国家司法審議会(CNJ)がすべての登記所(cartório)に同姓婚を承認するよう義務付けた。
• ただし,現在のところ,同姓婚は合法化されていない。
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2018年9月18日にFacebookに掲載
ブラジルでの事例2
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海外での事例1~3海外では。。。
✓ハンガリーの大学院でジェンダー研究プログラムが廃止される。(Hungarian Free Press, 2018年8月12日アクセス)
✓ドイツ「第3の性」認める法案を閣議決定年内
の成立目指す。(AFP BB News, 2018年8月17日アクセス)
✓アメリカ-「トランスジェンダー排除を検討…
米紙報道」(トランプ政権が性の定義を生まれつきの性別に限定することを検討していると報じた) (毎日新聞, 2018年10月22日アクセス)
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LGBTと言語教育
• 「教室」(「大学」)にもLGBTの学生がいる可能性がある。
• 調査結果をご報告する前に,まず私自身の大学での経験をご紹介します。
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私自身のエピソード1
• 2013年の前期に「実践日本語2」(初級,1年生後期)を受け持った時に,N子という女子学生がいた。
• 3年後の2016年の前期に,再び私が担当する「日本語5」(中級,3年生前期)の生徒となった。
• ところが,N男と呼んでほしいと頼んだ。服装も髪型も変わっていた。
• 自分の受け持った生徒のジェンダーがコース中に変わったのは,初めての事例。(通算2回)
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私自身のエピソード2
• 人が誰かのことを好きなったり,付き合ったりするのを当然だと思っていたある日のこと(2018年前期),ある生徒が「先生,大学に結
構アセクシュアル(無性愛者),いますよ。」と私に忠告してくれた。
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私自身のエピソード3
• 日本語に関する講演会があり,学生を参加させた。
• 次の授業で講演会での内容を振り返り,そこで紹介された「イケメン」という言葉の意味を確認していた時のこと。
• 「D君,このクラスで誰がイケメンですか。」
と男子学生に聞いたところ,彼は顔を真っ赤にして,5秒後の沈黙の後に
• 「僕は女の子のほうが好きです。」と答えた。
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• 「イケメンー>男の人が好き」と聞いたつもりはなかったが,学生がそのように捉えた以上,
• 相手が女子学生であっても質問するべきではない?
• 女性だから恋愛対象は男性だとは限らないし,アセクシュアルであったら恋愛感情すら抱かない。
• 学生にとっては恥ずかしいことや答えにくいこともあるので,質問内容によっては単に「日本語の練習」で済む問題ではないということを痛感。
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LGBTの大学生と日本語教育
• 研究目的:
• ブラジリア大学日本語専攻科のLGBTの学生が大学(教室内外)で抱いている/抱いた気持ち
(不安,苦悩,恥ずかしさ,心配,恐怖など)や困難な点に焦点を当てて考察する。
• 研究参加者:ブラジリア大学日本語専攻科のLGBTの学生7人(18歳から30歳)
• 客観的性別(体の性):男性5人,女性2人
• 調査結果に出てくる名前は偽名
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データ収集
a) 自由記述式オンライン・アンケート(2018年7月から8月)
b) フォローアップ・メール(2018年8月)
c) インタビュー(2018年8月,実施場所はブラジリア大学)
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アンケート
1. プロフィール(客観的性別[体の性],主観的性別[気持ちの性],性的指向・性自認など)
2. いつ自分自身がLGBTだと気付きましたか。
3. あなたは自分の性的指向・性自認に幸せですか。また,それはどうしてですか。
4. ご家族の方はあなたがLGBTであると知っていますか。
5. 大学のクラスメイトはあなたがLGBTであると知っていますか。
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6. 大学(教室内外)で何か嫌だったことはありますか。(例えば,クラスメイトや教師の言動など)7. 日本語の教室で扱われたテーマで何が嫌だったですか。8. 日本語のクラスメイトや教師から教室の内外で何か差別を受けたことがありますか。9. 教室の内外で何か困難なことがありましたか。10. 教室の内外で誰かに対して,またはある状況に対して不安,苦悩,緊張,恥ずかしさを感じたことがありますか。
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客観的性別(体の性)
5
2
体の性
男性 女性
30
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主観的性別(気持ちの性)
32
3
2
1
1
気持ちの性
男性 女性 Queer 無回答
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性的指向・性自認
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4
1
1
1
性的指向・性自認
ゲイ バイセクシュアル トランスジェンダー・バイ トランスジェンダー
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性の多様性
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5
2
客観的性別
男性 女性
3
2
1
1
主観的性別
男性 女性 Queer 無回答
4
1
1
1
性的指向・性自認
ゲイ
バイセクシュアル
トランスジェンダー・バイ
トランスジェンダー
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参加者の性別・ジェンダー
客観的性別(体の性)
IDの性 主観的性別(気持ちの性)
性的指向・性自認
男性 5 男性 4 男性 3 G 4
女性 2 女性 3 女性 2 B 1
Queer 1 T/B 1
無回答 1 T 1
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• 私は人そのものを好きになります。その人のジェンダーで好きになるのではありません。(Aline, バイセクシュアル, 21歳)
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「いつ自分自身がLGBTだと気付きましたか。」
• 5歳の時 (Takumi, ゲイ, 30歳)
• 12歳の時 (Anderson, ゲイ, 24歳)
• 13歳から14歳の時 (JV, ゲイ, 21歳)
• 15歳の時 (Cross, ゲイ, 22歳)
• 16歳の時 (Lu,トランスジェンダー・バイ,24歳)
• 高校生の時 (N, トランスジェンダー, 18歳)
• 高校生の時 (Aline, バイセクシュアル, 21歳)
• =>思春期に気付くケースが多い。
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「いつ自分自身がLGBTだと気付きましたか。」
• 「12歳ぐらいの時に自分がゲイであることに気が付きました。最初に感じたことは,それを隠すことと否定することでした。」(Anderson, ゲイ, 24歳)
• なぜAndersonは,自分がゲイであることを隠そう,否定しようと思ったのでしょうか。
• 社会がLGBTを受け入れていない,LGBTについて正しく理解していないと感じたからではないでしょうか。自己承認,社会承認の問題。
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• 「『よくわからないから抵抗を感じる』と思っている人が少なくないはずです。つまり、社会がLGBTについて正しく理解すれば、人間の防衛本能による警戒心が薄れ、職場にLGBTがいても抵抗を感じない人が増え、結果的にLGBTが暮らしやすい環境となる可能性が高まる」
• (出典:https://lightworks-blog.com/lgbt-outline)(2018年8月25日アクセス)
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https://lightworks-blog.com/lgbt-outline
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「カミングアウトしていますか。」
100%
0%
カミングアウト
はい
いいえ
40
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「あなたは自分の性的指向・性自認に幸せですか。」
100%
0%
幸せですか
はい
いいえ
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「あなたは自分の性的指向・性自認に幸せですか。」
• 「人生は,自分は一体誰であるのか,自分は世界でどんな人間になりうるのか
ということが分かった瞬間から,価値があるものとなります。」(Takumi, ゲイ, 30歳)
• =>自己承認している。
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「ご家族の方はあなたの性的指向・性自認について知っていますか。」
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6
1
家族は知っていますか
はい いいえ
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「ご家族の方はあなたの性的指向・性自認について知っていますか。」
• 「はい,知っています。自分の(性的指向の)ことを隠していると,自分は一体誰なのか?といった恐怖が生まれるので,家族に話しました。恐怖があると幸せになれません。」(Cross, ゲイ, 22歳)
• 「いいえ。私の家族はキリスト教なので,もし家族が私(体の性が女性)が女性のことも好きになると知ったらショックを受けてしまうと思うので。」(Aline,バイセクシュアル, 21歳)
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「大学のクラスメイトはあなたがLGBTであると知っていますか。」
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7
0
クラスメイトは知っていますか
はい いいえ
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「大学のクラスメイトはあなたがLGBTであると知っていますか。」
• 「はい,知っています。自分自身のことを隠すのが嫌いなので。」(N, トランスジェンダー, 18歳)
• 「はい。でも,自分から言う必要はありませんでした。何となく自然にクラスメイトの間で受け入れられました。」(Lu, トランスジェンダー, 24歳)
• 「はい。ただ,それについてクラスメイトと話したことはありません。彼らが(私の性的指向が)わかったのです。(Anderson, ゲイ, 24歳)
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• 「はい。自分はゲイであると言います。その方が(クラスメイトとは)会話が自然に流れます。」(JV, ゲイ, 21歳)
• 「クラスメイトの多くは知っています。自分からゲイであると言ったことはありません。クラスメイトに直接言う必要もないと思います。大学の人たちはこの件に関して理解があります。セクシュアリティは,(クラスメイトとの間では)自然な話題です。そのため,クラスメイトは日々の生活の中で(クラスメイトの性的指向に)気付くのだと思います。(Cross, ゲイ, 22歳)
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「日本語教育とLGBT」
学生の事例1-トランスジェンダー(客観的性別が男性で主観的性別が女性)の学生Nさん
• 大学で女子トイレを使おうとしたら,警備員から「女子」トイレは使えないと注意され,嫌な思いをした。
• ブラジルのIDカードには「性別」の欄がない。• IDカードの名前からおおよそ男性か女性は判断できる。
• ブラジルでは,法的に名前を変えることができ,この学生も名前を変えている。
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学生の事例2-トランスジェンダー(客観的性別が女性で主観的性別が男性)の学生L君
• コースの途中で名前をL子からL男に変更し,先生(ブラジル人でクリスチャン)にL男と呼ん
でほしいと頼んだ。それにもかかわらず,先生はいつまでたっても旧名のL子で呼び続け,とても嫌な思いをした。
• =>教師のLGBTに対する理解不足
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学生の事例3-ゲイの学生Anderson
• 日本語の教科書で扱われるジェンダーの役割は時代遅れで,ヘテロを規範としたイデオロギーで満ちている。スタンダードの(社会的)役割だけではなく,もっと多様性があってもいいと思う。
• 男性・女性はこうあるべきだ,こう振舞うべきだと制限しているかのようだ。
• 例えば,授業で恋人関係,家族,結婚,職場などのテーマを扱う時。
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「結婚」「恋愛」
• 「いつ結婚するの?」と質問することも相手に不快感を与える。
• 例えば,男性に対して「彼女はいるの?」と聞くことが日常的に行われているが,相手がゲイであったらどう思うだろうか。「パートナーはいるの?」という言い方に改めれば,相手がLGBT当事者だったとしても戸惑わずに済む。
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家庭・社会の中の役割分担(教科書の中でもよく扱われるトピック)
•料理•家事•育児•掃除•買い物•スーパー•結婚•仕事•研究職
•お茶くみ•女社長•女知事•女公爵•永久就職•寿退社•寮•服装•一人旅•大学院
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作られた?ジェンダーを反映する言葉(これらの表現の再考)
1. 男だから,女だから
2. 男のくせに,女のくせに
3. 男らしさ,女らしさ
4. 男らしい男,女らしい女
5. 男言葉,女言葉
6. 男で良かった,女で良かった
7. 男でつまらない,女でつまらない
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ジェンダーを反映する言語?
• 「これ,高いかしら。」
• 「俺は,明日行くよ。」
• 「行こうぜ。」
• Obrigado.
• Obrigada.
• 今日は友達と出かけた。
• Hoje saí com uma amiga minha.
• Hoje saí com um amigo meu.
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学生の事例3-ゲイの学生Anderson
• 教科書のレッスンやテキストの中で,「女性」の世界は,家族,子育て,買い物に限られ,キャリアについては議論されない。されたとしても,結婚後に子育てのためにキャリアを失ったということが強調される。
• 結婚にしても,女性はおしとやかで,恥じらいがあり,かわいらしく振舞うことが求められ,その結果,服従までもが醸し出されている。
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学生の事例3-ゲイの学生Anderson
• 何が「男性」の世界に属し,何が「女性」の世界に属すのかといった議論は,男性性や男性優位(マチスモ)を賞美し,永続させかねない。
• LGBTに対する受入れや差別は,マチスモに根
付いていることから,マチスモを再考することも非常に重要である。
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• (ゲイの学生Andersonは,日本に1年留学した経験がある)
• ブラジルの大学の授業でもこのようなトピック(LGBT)はあまり扱われませんが,友達同士では話題に上がることもあります。
• 一方,日本ではその件については触れることはできず,自分の中に閉じ込めておくことが求められます。日本でその話題に触れると,注目を浴びたり,自分本位(勝手)であると思われます。
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学生の事例3-ゲイの学生Anderson
• (日本で)自分の問題や個人的な生活を他人の生活に投げかけると,注目を浴びようとしていると理解されます。
• そのため,他人のことには全く興味がなく,なるべく他人と距離を取ろうとする(日本の社会で見られる)感覚が,私の心を誰とも開かせようとはしませんでした。
• 日本には「出る杭は打たれる」という諺がありますね。
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学生の事例4-ゲイの学生Takumi
• 誰も自分がヘテロであると言う必要もないし,言わされる筋合いもないし,自分がそうあるべきであると苦しむ必要もない。
• 自分の服装が女性っぽいとか,ゲイはいつも文学部に入るなどといった冗談にはうんざりする。
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学生の事例4-ゲイの学生Takumi
• (授業で扱われるトピックについて)
• ジェンダーや性的指向の多様性がない。
• 例えば,教科書のダイアログの中で,LGBTQIが全く出てこないが,出てくるべきである。
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私自身のエピソード4
• 教育実習の授業(2018年前期)の中で,エピ
ソード5(「イケメン」に関する失敗談)について話したところ,あるヘテロの男子学生が
• 「先生,そんなことまで気にしていたら,やっていられないですよ。」
• 本当にそうでしょうか。
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まとめ(調査結果から見えたこと)
• 本研究の参加者は大学という限られた環境においては「全員」カミングアウトしており,自分自身の性的指向・性自認に満足している。
• また,大学のクラスメイトも彼らがLGBTであると知っている。
• そのため,大学という限られた環境における「自己承認」「他己承認」「社会承認」には,“一見”大きな問題はないと思われる。
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まとめ(調査結果から見えたこと)
• ところが,LGBTに対して理解のない警備員やヘテロの学生, LGBTを受け入れない教師がいることも明らかとなった。
• また,教科書の登場人物のジェンダーや性的指向に関して多様性が全くなく,
• 家庭や社会の中での役割においても,スタンダードでヘテロを規範としたイデオロギーで満ち溢れている。
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今後の課題
• 言語教育で扱われる家庭・社会の中での役割の再考。多様性がない。
• ステレオタイプの再考。
• 男性性や男性優位性の再考(女社長,女公爵)。
• 教科書で扱われるジェンダーや性的指向の再考。多様性がない。
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今後の課題
• 教科書に出てくる「家族」「結婚」「子育て」「家事」「恋愛」などに関するトピックの扱い方,強制的ロールプレイを
• 再考する必要がある。
• 言語教育に携わっている教師も,LGBTのみな
らず,恋愛感情も性的欲求も抱かないアセクシャル(無性愛者)やノンセクシュアル(非性愛者)の人がいることを理解する必要がある。
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今後の課題
• いまだに教師の中にも
• 「寿退社」「男っぽい」「女っぽい」「男なんだから」「女なんだから」というような発言が見られるが,相手の受け取り方によっては差別用語。
• 言語を教える教師こそ,このテーマや言葉(遣い)にもっと敏感になり,柔軟に対応すべき。
• (キリスト教やイスラム教の国では難しいのか?)
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終わりに
• 「心と体の性別が一致した存在である人にとって、性別というアイデンティティに尊さを感じる機会はあまりないかもしれません。しかしながら、その獲得に命を削る想いで葛藤する人たちがいることを、知るべき義務はあるといえそうです。」(AREAdot.)
• (出典:https://dot.asahi.com/webdoku/2017041900044.html?page=1)(2018年6月10日アクセス)
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https://dot.asahi.com/webdoku/2017041900044.html?page=1
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参考文献
• 金沢大学留学センター・異文化間研究会メンバー(2001)「異文化から見たジェンダー:あ
なたはどう思いますか」金沢大学留学センター・異文化間研究会.
• 上智大学外国語学部ポルトガル語学科編(2015)『ポルトガル語圏世界への50のとびら』上智大学出版.
• 中村桃子(2010)『ジェンダーで学ぶ言語学』世界思想社.
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• LGBT関連
• https://lightworks-blog.com/lgbt-outline
• https://ja.wikipedia.org/wiki/LGBT
• http://rainbow-japan.site/whatisq/
• https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A2-248793
• https://lightworks-blog.com/lgbt-outline
• (2018年8月4日アクセス)
• https://lightworks-blog.com/lgbt-outline
• (2018年8月25日アクセス)
• https://dot.asahi.com/webdoku/2017041900044.html?page=1
• (2018年6月10日アクセス)
69
https://lightworks-blog.com/lgbt-outlinehttps://ja.wikipedia.org/wiki/LGBThttp://rainbow-japan.site/whatisq/https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A2-248793https://lightworks-blog.com/lgbt-outlinehttps://lightworks-blog.com/lgbt-outlinehttps://dot.asahi.com/webdoku/2017041900044.html?page=1
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事例の出典• 事例1
• http://g1.globo.com/Noticias/Vestibular/0,,MUL43786-5604-619,00.html
• (2018年9月24日アクセス)
• まずはじめに。。。
• http://www.abekeiko.com/column/clearing/1797/
• (2018年8月20日アクセス)
• 日本での事例1
• https://www.jiji.com/sp/article?k=2018070201090&g=soc
• (2018年8月4日アクセス)
• 日本での事例2
• https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180728-00025771-president-soci&pos=4
• (2018年7月28日アクセス)
• 日本での事例3
• http://huffp.st/XVx4JxZ
• (2018年8月9日アクセス)
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http://g1.globo.com/Noticias/Vestibular/0,,MUL43786-5604-619,00.htmlhttp://www.abekeiko.com/column/clearing/1797/https://www.jiji.com/sp/article?k=2018070201090&g=sochttps://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180728-00025771-president-soci&pos=4http://huffp.st/XVx4JxZ
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事例の出典• ブラジルでの事例1• https://www.msn.com/pt-br/noticias/brasil/concurso-da-pm-do-paran%C3%A1-
tem-%E2%80%9Cmasculinidade%E2%80%9D-como-crit%C3%A9rio-de-avalia%C3%A7%C3%A3o/ar-BBLSWdQ
• (2018年8月13日アクセス)• 海外での事例1~3• ハンガリー• http://hungarianfreepress.com/2018/08/10/gender-studies-programs-to-be-
banned-in-hungary/• (Hungarian Free Press, 2018年8月12日アクセス)• ドイツ• http://news.line.me/issue/oa-
afpbb/e132b5ce5484?utm_source=Facebook&utm_medium=share&utm_campaign=none&share_id=SjG34475961780
• (AFP BB News, 2018年8月17日アクセス)• アメリカ• https://mainichi.jp/articles/20181022/k00/00e/030/158000c• (毎日新聞, 2018年10月22日アクセス)
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httpshttps://www.msn.com/pt-br/noticias/brasil/concurso-da-pm-do-paran%C3%A1-tem-%E2%80%9Cmasculinidade%E2%80%9D-como-crit%C3%A9rio-de-avalia%C3%A7%C3%A3o/ar-BBLSWdQhttp://hungarianfreepress.com/2018/08/10/gender-studies-programs-to-be-banned-in-hungary/http://news.line.me/issue/oa-afpbb/e132b5ce5484?utm_source=Facebook&utm_medium=share&utm_campaign=none&share_id=SjG34475961780https://mainichi.jp/articles/20181022/k00/00e/030/158000c