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平成 30 年 12 月 28 日 各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて 日頃から薬事行政の推進に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。 さて、医薬品の流通については、医薬品産業強化総合戦略(平成 27 年9月4 日策定。平成 29 年 12 月 22 日一部改訂)において、「医療用医薬品の安全性確 保のあり方については、PIC/S GDP(Good Distribution Practice:医薬品の 流通に関する基準)に準拠した国内 GDPの策定の検討を速やかに進める。」こと としています。また、「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に 関する検討会最終とりまとめ」(平成 29 年 12 月 28 日)においても「PIC/S の GDPガイドライン全般に準拠した国内向け GDPガイドラインを作成し、厚生労働 省がそれを広く周知することで、卸売販売業者における自主的な取組を促すべ きである。」こととされています。 これらを受け、今般、厚生労働行政推進調査事業において、PIC/S の GDP を踏 まえた「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が取りまとめられました。本ガ イドラインの対象である、卸売販売業者及び製造販売業者をはじめ、医薬品の流 通に係る全ての関係事業者において、本ガイドラインを参考に業務を実施いた だくよう、貴管内の製造販売業者、卸売販売業者、関係団体等に対し周知いただ くようお願いします。 ※ PIC/S:Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキ ーム)

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事 務 連 絡

平成 30 年 12 月 28 日

都 道 府 県

各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中

特 別 区

厚生労働省医薬・生活衛生局総務課

厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課

医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて

日頃から薬事行政の推進に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。

さて、医薬品の流通については、医薬品産業強化総合戦略(平成 27年9月4

日策定。平成 29 年 12 月 22 日一部改訂)において、「医療用医薬品の安全性確

保のあり方については、PIC/S※の GDP(Good Distribution Practice:医薬品の

流通に関する基準)に準拠した国内 GDPの策定の検討を速やかに進める。」こと

としています。また、「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に

関する検討会最終とりまとめ」(平成 29 年 12 月 28 日)においても「PIC/S の

GDPガイドライン全般に準拠した国内向け GDPガイドラインを作成し、厚生労働

省がそれを広く周知することで、卸売販売業者における自主的な取組を促すべ

きである。」こととされています。

これらを受け、今般、厚生労働行政推進調査事業において、PIC/S の GDPを踏

まえた「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が取りまとめられました。本ガ

イドラインの対象である、卸売販売業者及び製造販売業者をはじめ、医薬品の流

通に係る全ての関係事業者において、本ガイドラインを参考に業務を実施いた

だくよう、貴管内の製造販売業者、卸売販売業者、関係団体等に対し周知いただ

くようお願いします。

※ PIC/S:Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical

Inspection Co-operation Scheme(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキ

ーム)

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医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン

平成 30 年 12 月

平成 30 年度厚生労働行政推進調査事業

「GMP、QMS 及び GCTP のガイドラインの国際整合化に関する研究」

分担研究「医薬品流通にかかるガイドラインの国際整合性に関する研究」

分担研究者 木村 和子

別添

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目次

緒言

目的

適用範囲

第1章 品質マネジメント

1.1 原則

1.2 品質システム

1.3 外部委託業務の管理

1.4 マネジメントレビュー及びモニタリング

1.5 品質リスクマネジメント

第2章 職員

2.1 原則

2.2 一般

2.3 責任者の任命

2.4 教育訓練

2.5 衛生

第3章 施設及び機器

3.1 原則

3.2 施設

3.3 温度及び環境管理

3.4 機器

3.5 コンピュータ化システム

3.6 適格性評価及びバリデーション

第4章 文書化

4.1 原則

4.2 一般

第5章 業務の実施(オペレーション)

5.1 原則

5.2 仕入先の適格性評価

5.3 販売先の適格性評価

5.4 医薬品の受領

5.5 保管

5.6 使用の期限が過ぎた製品の廃棄

5.7 ピッキング

5.8 供給

第6章 苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収

6.1 原則

6.2 苦情及び品質情報

6.3 返却された医薬品

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6.4 偽造医薬品(Falsified medicinal products)

6.5 医薬品の回収

第7章 外部委託業務

7.1 原則

7.2 契約委託者

7.3 契約受託者

第8章 自己点検

8.1 原則

8.2 自己点検

第9章 輸送

9.1 原則

9.2 輸送

9.3 輸送の容器、包装及びラベル表示

9.4 特別な条件が必要とされる製品

用語集

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緒言

市場出荷後の医薬品の薬局、医薬品販売業者や医療機関などに対する卸売販売は、医薬

品の仕入、保管及び供給等の流通経路全般を担う重要な業務である。今日の医薬品の流通

経路はますます複雑になり、多くの人々が関与するようになってきた。

医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン(以下:本ガイドライン)は、卸売販売業者及

び製造販売業者(以下:卸売販売業者等)の業務を支援し、本ガイドラインを遵守するこ

とにより、流通経路の管理が保証され、その結果、医薬品の完全性が保持されるための手

法を定めるものである。さらに、偽造医薬品が正規流通経路へ流入するのを防止するため

の適切な手法を定めるものである。

本ガイドラインに使われているいくつかの用語は用語集に列挙した。

目的

高水準の品質保証の維持と医薬品の流通過程での完全性を保証するため、卸売販売業者

等の業務の画一性を推進し、医薬品取引における障害をさらに除くための参考となる手法

として、本ガイドラインを作成した。

本ガイドラインは、卸売販売業者等がそれぞれのニーズに合わせた規則を作るための根

拠としても利用することを意図している。

本ガイドラインに規定した方法以外で、この原則を達成できる方法は受け入れられ

る 。

適用範囲

本ガイドラインは医薬品の市場出荷後、薬局、医薬品販売業、医療機関に渡るまでの医

薬品の仕入、保管及び供給業務に適用する。

第 1 章 品質マネジメント

1.1 原則

卸売販売業者等は、その業務に関連する責任、プロセス及びリスクマネジメントの原則

を定めた品質システムを維持すること。

卸売販売業者等は、全ての流通業務の手順を明確に定義し、系統的にレビューするこ

と。流通過程における全ての重大な段階及び重要な変更を正当化し、必要に応じてバリ

デートすること。

卸売販売業者等の経営陣には、品質システムに対する責任があり、リーダーシップと積

極的な参画が求められること。また、職員はそれぞれの役割を果たすこと。

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1.2 品質システム

1.2.1 品質を管理するシステムは、卸売販売業者等の構成、手順、プロセス、資源を

包含し、輸送される製品に関わる完全性を維持し、輸送中や保管中に正規流通

経路の範囲にあることを保証するために必要な活動に係る業務を含むこと。

1.2.2 品質システムを文書化し、その有効性を監視すること

品質システムに関連する全ての業務を定義し、文書化すること。

品質マニュアルを含む階層化された文書体系を確立すること。

1.2.3 卸売販売業者等の経営陣は、品質システムが履行され、維持されることを確実

に保証するための明確に規定された権限及び責任を有する者を任命すること。

1.2.4 卸売販売業者等の経営陣は、品質システムの全ての分野において、適格性のあ

る職員、並びに適切で十分な建物、施設及び機器の面で、十分なリソースが充

てられることを確実に保証すること。

1.2.5 品質システムの構築又は修正の際には、卸売販売業者等の業務の規模、構造等

を考慮すること。

1.2.6 変更管理システムを整備すること。

このシステムには品質リスクマネジメントの原則を取り入れ、バランスの取れ

た有効なものとすること。

1.2.7 品質システムは、以下を保証すること。

i. 医薬品は本ガイドラインの要求事項に適合するよう仕入、保管、供給するこ

ii. 卸売販売業者等の経営陣の責任が明確に規定されていること

iii. 製品は、速やかに正当な受領者へ納入されること

iv. 記録が(作業と)同時に作成されていること

v. あらかじめ定められた手順からの逸脱は記録され、調査されていること

vi. 品質リスクマネジメントの原則に従い、逸脱を適切に是正し、予防するた

め、適切な是正措置及び予防措置(Corrective Action and Preventive Action

以下:CAPA)が講じられていること

1.3 外部委託業務の管理

卸売販売業者等の品質システムの範囲は、医薬品の仕入、保管及び輸送に関連する全て

の外部委託した業務の管理とレビューにも適用すること。

このようなプロセスには品質リスクマネジメントを取り入れ、さらに以下を含めるこ

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と。

i. 契約受託者の業務、医薬品の完全性とセキュリティを保持する能力の評価、

並びに文書化と保管、必要な場合、医薬品販売業等の許可取得状況の確認

ii. 関係業者・団体の品質関連業務に対する責任者及び情報伝達等の取決め

iii. 契約受託者の業務のモニタリングとレビュー、並びに定期的な、要求改善事

項の確認と実施

1.4 マネジメントレビュー及びモニタリング

1.4.1 卸売販売業者等の経営陣は、定期的な品質システムのレビューに関する正式な

プロセスを定めること。レビューには以下を含めること。

i. 品質システムの目標達成状況の評価

ii. 例えば、苦情、回収、返品、逸脱、CAPA、プロセスの変更等、品質システ

ムにおけるプロセスの有効性モニターに用いることができる KPI(重要業績

評価指標)の評価、外部委託した業務に関するフィードバック、リスク評

価、内部監査を含む自己評価プロセス、販売先からの監査並びに当局による

検査

iii. 品質マネジメントシステムに影響を及ぼす可能性のある新たな規制、ガイダ

ンス、及び品質情報

iv. 品質システムを向上させる可能性のある技術革新

v. ビジネスの環境及び目的の変化

1.4.2 品質システムの各マネジメントレビューの結果を適時記録し、効率的に内部に

伝達すること。

1.5 品質リスクマネジメント

1.5.1 品質リスクマネジメントは、医薬品の品質に対するリスクの評価、管理、コ

ミュニケーション及びレビューの系統的なプロセスである。それは予測的及び

回顧的にも適用可能である。

1.5.2 品質リスクマネジメントでは、品質に対するリスクの評価を科学的知見及びプ

ロセスでの経験に基づいて行い、最終的には患者の保護につながることを保証

すること。

取組み内容、正式な手順及びプロセスの文書化レベルは、リスクレベルに見

合っていること。

第 2 章 職員

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2.1 原則

医薬品の適正な流通は、それに関わる人々に依存する。このことから、卸売販売業者等

が責任を有する全ての業務について、職務を遂行できる職員を十分な人数置かなければな

らない。当該職員は個々の責任を明確に理解すること。また、その責務を文書化するこ

と。

2.2 一般

2.2.1 医薬品の仕入、保管及び供給業務の全ての段階について適切な数の適格な職員

を従事させること。

必要な職員の数は業務の量と範囲による。

2.2.2 卸売販売業者等は組織体制を組織図に記載し、全ての職員の役割、責任及び相

互関係を明確に指定すること。

2.2.3 卸売販売業者等は重要な地位の職員を任命し、その役割と責任を職務記述書に

記載すること。なお、代行者も同様とする。

2.3 責任者の任命

2.3.1 卸売販売業者等は、本ガイドライン遵守のための責任者を任命する必要があ

る。

該当する職員は、本ガイドラインに関する知識を有し、必要な教育訓練を受け

ているだけでなく、適切な能力及び経験を有すること。

2.3.2 卸売販売業者等は時間外であっても(例えば緊急及び /又は回収発生時 )に連絡が

取れる体制を構築すること。

2.3.3 責任者の職務記述書には、具体的な責務・権限等を規定すること。

卸売販売業者等は、責任者に対し、その業務を遂行するために必要な権限、経

営資源及び責任を付与すること。

2.3.4 責任者は、本ガイドラインに関する業務を適切に遂行すること。

2.3.5 責任者の責務は以下に示すが、これに限定されない。

i. 品質マネジメントシステムが実施され、維持されることを保証する

ii. 権限を与えられた業務の管理及び記録の正確さと記録の質を保証する

iii. 本ガイドラインに関連する全ての職員に対して導入及び継続的教育訓練プロ

グラムが実施され、維持されていることを保証する

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iv. 卸売販売業者等が実施する医薬品の回収作業の実務を取り仕切り、迅速に実

施する

v. 関連する販売先からの苦情を適切に処理することを保証する

vi. 仕入先及び販売先が必要な医薬品販売業等の許可等を有していることを保証

する

vii. 本ガイドラインに関連する可能性のある全ての外部業者等に委託する業務を

確認する

viii. 自己点検があらかじめ定められたプログラムに従い、適切かつ定期的な間隔

で実施され、必要な是正措置が講じられることを保証する

ix. 委任した業務については、適切な記録を保管する

x. 返品、出荷できなくなった製品、回収された製品又は偽造医薬品の処理を決

定する

xi. 返却品を販売可能在庫に戻す際には、その承認を行う

xii. 国の規制により特定の製品に課せられた追加要件が遵守されることを保証す

2.4 教育訓練

2.4.1 医薬品の仕入、保管及び供給業務に関与する全ての職員は、本ガイドラインの

要求事項に関する教育訓練を受講すること。

職員は、各自の職務を遂行するために必要な能力及び経験を有すること。

2.4.2 職員は、手順書に基づき、また文書化された教育訓練プログラムに従い、各自

の役割に関連のある導入及び継続的教育訓練を受けること。

責任者も、定期的な教育訓練を通じて本ガイドラインに関する能力を維持する

こと。

また、卸売販売業者等の経営陣も本ガイドラインに関する教育を受けること。

2.4.3 教育訓練には、製品の識別及び流通経路への偽造医薬品の侵入防止に関する事

項も含めること。

2.4.4 より厳格な取扱い条件が求められる製品を取扱う職員は、特別な教育訓練を受

けること。

そのような製品には、例えば、毒薬劇薬、放射性医薬品、乱用されるリスクの

ある製品(麻薬、覚せい剤原料及び向精神薬を含む)、及び温度の影響を受けや

すい製品(冷蔵品等)がある。

2.4.5 全ての教育訓練記録を保管し、教育訓練の効果を定期的に評価し記録するこ

と。

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2.5 衛生

実施する業務に関連し、職員の衛生に関する適切な手順を作成し、それを遵守するこ

と。

この手順には、健康管理、衛生管理及び必要に応じて更衣に関する事項を含むこと。

第 3 章 施設及び機器

3.1 原則

卸売販売業者等は,薬局等構造設備規則を遵守するとともに、医薬品の適切な保管及び

流通を保証することができるように、適切かつ十分な施設、設備及び機器を保有する必要

がある。

特に、施設は清潔で乾燥し、許容可能な温度範囲に維持すること。

3.2 施設

3.2.1 施設は求められる保管条件を維持するように設計するか、適合していること。

施設は適切に安全が確保され、構造的にも問題はなく、医薬品を安全に保管し

取扱うだけの十分な広さを有すること。

保管場所は全ての作業を正確かつ安全に遂行できるように適切な照明と換気の

設備を備えること。

3.2.2 卸売販売業者等は、外部施設を利用する場合は文書化された取決めを締結する

こと。

3.2.3 医薬品の貯蔵設備は、他の区域から明確に区別されていること。また、当該区

域に立ち入ることができる者を特定すること。

コンピュータ化システムのような物理的な区別を補完するシステムを用いる場

合にも、同等のセキュリティを確保し、バリデートすること。

3.2.4 処分保留の製品は、物理的に、又は同等の電子システムにより区別すること。

物理的な隔離及び専用保管場所の必要性についてはリスクベースで評価するこ

と。

出荷できなくなった製品、偽造医薬品及び回収された製品は、物理的に隔離す

る必要がある。

そのような製品が販売可能在庫から隔離された状態で保管できるように、これ

らの区域には適切なセキュリティレベルを適用すること。これらの区域を明確

に識別すること。

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3.2.5 別に規定する特別な取扱い上の指示が定められた製品の保管(例えば、麻薬や

向精神薬)については、関連法規により適正に保管すること。

3.2.6 放射性医薬品及び毒薬劇薬は、火災又は爆発の特別な安全上のリスクがある製

品(例えば、医療用ガス、可燃性/引火性の液体及び固体)と同様、別途規定

された法令により適切に保管すること。

3.2.7 受入れ場所及び発送場所は、気象条件の影響から医薬品を保護できること。

受入れ、発送及び保管は区域あるいは作業時間等により適切に分離すること。

製品の入出庫管理を維持するための手順を定めること。検品する区域を指定

し、当該区域には適切な設備を備えること。

3.2.8 医薬品の貯蔵設備は、当該区域に立ち入ることができる者を特定し、立入りは

権限を与えられた職員のみに限定し、立ち入る際の方法をあらかじめ定めてお

くこと。

なお、医薬品の貯蔵設備以外の区域に立ち入る場合についても、同様の措置を

講ずることが望ましい。

通常、防止策としては、侵入者探知警報システム及び適切な入退室管理を含

む。外部の者が区域に立ち入る際には、原則として職員を同行させること。

3.2.9 施設及び保管設備は清潔に保ち、ごみや塵埃がないようにすること。

清掃の手順書と記録を作成すること。

洗浄は汚染の原因を防止するよう実施すること。

3.2.10 施設は、昆虫、げっ歯類、又は他の動物の侵入を防止できるように設計し、設

備を整備すること。

防虫及び防そ管理手順を作成すること。

適切な防虫及び防そ管理記録を保持すること。

3.2.11 職員のための休憩・手洗場所を保管場所から適切に分離すること。

保管場所への飲食物、喫煙用品又は私用の医薬品の持ち込みを禁止すること。

3.3 温度及び環境管理

3.3.1 医薬品を保管する環境を管理するための適切な手順を定め、必要な機器を設置

すること。

考慮すべき因子として、施設の温度、照明、湿度及び清潔さを含む。

3.3.2 保管場所の使用前に、適切な条件下で温度マッピングを実施すること。

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温度モニタリング機器(例えばデータロガー)は、温度マッピングの結果に

従って適切な場所に設置すること。

リスク評価の結果に依って、若しくは設備又は温度制御装置に大きな変更が行

われた場合には、温度マッピングを再度実施すること。

数平方メートル程度の小規模な施設の室温については、潜在的リスク(例え

ば、ヒーターやエアコン)の評価を実施し、その結果に応じて温度センサーを

設置すること。

3.4 機器

3.4.1 医薬品の保管及び流通に影響を及ぼす全ての機器は、それぞれの目的に応じた

基準で設計、設置、保守及び洗浄を行うこと。

3.4.2 医薬品が保管される環境の制御又はモニタリングに使用される機器は、リスク

及び要求精度に基づき定められた間隔で校正すること。校正は、国家計量標準

でトレースできるものであること。

3.4.3 あらかじめ定められた保管条件からの逸脱が発生した際に警告を発する適切な

警報システムを備えること。

警報のレベルを適切に設定し、適切な機能性を確保するため、警報は定期的に

点検すること。

3.4.4 医薬品の完全性が損なわれることがない方法で、機器の修理、保守及び校正を

実施すること。

機器故障時に医薬品の完全性が維持されることを保証する手順書を備えるこ

と。

3.4.5 主要機器の修理、保守及び校正業務の適切な記録を作成し、結果を保管するこ

と。

主要機器には、例えば保冷庫、侵入者探知警報システム、入退室管理システ

ム、冷蔵庫、温度計又はその他の温度記録装置、空調設備及び後続の流通経路

と連動して使用される機器が含まれる。

3.5 コンピュータ化システム

3.5.1 コンピュータ化システムの使用を開始する前に、適切なバリデーション又はベ

リフィケーションにより、当該システムによって正確に、一貫性及び再現性を

もって、求められる結果が得られることを示すこと。

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3.5.2 文書による詳細なシステムの記述(必要に応じて図を含む)を利用可能とする

こと。記述内容は最新の状態を維持すること。

文書には、原則、目的、セキュリティ対策、システムの範囲及び主な特徴、コ

ンピュータ化システムの使用法、並びに他のシステムとの相互関係を記述する

こと。

3.5.3 コンピュータ化システムへのデータの入力及び変更は、権限を設定された者の

みが行うこと。

3.5.4 データは物理的又は電子的手法によって保護し、偶発的又は承認されない変更

から保護すること。

保管されたデータにアクセスできる状態を維持すること。

データを定期的にバックアップして保護すること。

バックアップデータを分離された安全な場所で国の規制に定められた期間保管

すること。

3.5.5 システムが故障又は機能停止に至った場合の手順を定めること。これにはデー

タ復元のための手順を含むこと。

3.5.6 医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理

ガイドライン(薬食監麻発 1021 第 11 号 平成 22 年 10 月 21 日)を参考とする

こと。

3.6 適格性評価及びバリデーション

3.6.1 卸売販売業者等は、正しい据付及び操作が行われることを保証するため、どの

ような主要機器の適格性評価及び/又は主要なプロセスのバリデーションが必

要かを特定すること。

適格性評価及び/又はバリデーション業務(例えば、保管、選別採集 (ピッキン

グ )梱包プロセス及び輸送)の範囲と度合は、リスクに応じて決定すること。

3.6.2 機器及びプロセスの使用開始前や重要な変更(例えば、修理又は保守等)が

あった場合には、それぞれ適格性評価及び/又はバリデーションを実施するこ

と。

3.6.3 バリデーション及び適格性評価の報告書は、得られた結果を要約し、観察され

たいかなる逸脱に関してもコメントし、作成すること。

定められた手順からの逸脱は記録し、CAPA を行うこと。

プロセス又は個々の機器について、満足すべきバリデーション結果が得られた

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証拠を、適切な職員が作成し、承認すること。

第 4 章 文書化

4.1 原則

適切な文書化は品質システムに不可欠な要素である。文書とすることにより口頭でのコ

ミュニケーションによる誤りが防止され、医薬品の流通過程における関連業務の追跡が可

能になる。

各作業の記録は実施と同時に作成すること。

4.2 一般

4.2.1 文書とは、紙又は電子媒体に関わらず全ての手順書、指図書、契約書、記録及

びデータを指す。

文書は必要な時に利用可能な状態にしておくこと。

4.2.2 職員、苦情を申し出た人物、又はその他の全ての人物の個人データの処理に関

しては、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)等の関連法令が適用

される。

4.2.3 文書は、卸売販売業者等の業務範囲を十分に包括しており、的確かつ理解しや

すく記載されること。

4.2.4 文書は必要に応じて責任者が承認し、署名及び日付を記入すること。

4.2.5 文書に何らかの変更を加える場合、署名及び日付を記入すること。変更を行う

場合、元の情報が読めるようにしておくこと。

適宜、変更の理由を記録すること。

4.2.6 文書は国の規制に定められた期間保管すること。

4.2.7 各職員が職務を遂行するために、必要な文書全てをいつでも閲覧できるように

すること。

4.2.8 有効かつ承認済みの手順を用いるよう注意すること。

文書は明白な内容とし、表題、性質及び目的を明確に示すこと。

文書を定期的にレビューし、最新の状態に保つこと。

手順書には版管理を適用すること。文書を改訂した後に旧版の誤使用を防ぐた

めのシステムを構築すること。

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旧版又は廃版となった手順書は作業場所から撤去し、別途保管すること。

4.2.9 医薬品を購入し、又は譲り受けたとき及び販売し、又は授与したときには記録

すること。当該記録は、原則として書面で国の規制に定められた期間保存する

ことが求められているが、購入/販売送り状又は納品書の形で保存すること、

若しくはコンピュータ又は他の何らかの形式で保存することができる。ただ

し、コンピュータ等で保存する場合は、記録事項を随時データとして引き出せ

るシステムが採用されていること。

手書きの場合は明瞭で読みやすく消せないよう記載すること。

記録には少なくとも以下の情報を含む必要がある: ①品名、②ロット番号

(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)、③使用の期

限、④数量、⑤購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与の年月日、⑥購入者

等の氏名又は名称、住所又は所在地、及び電話番号その他連絡先、⑦⑥の事項

を確認するために提示を受けた資料、⑧医薬品の取引の任に当たる自然人が、

購入者等と雇用関係にあること又は購入者等から取引の指示を受けたことを表

す資料

第 5 章 業務の実施

5.1 原則

卸売販売業者等が実施する全ての行為は、医薬品の同一性が失われることなく、医薬品

の仕入、保管及び供給業務が外装に表示された情報(取扱い上の注意等)に従って実施さ

れていることを確実にすること。

卸売販売業者等は、可能な限りあらゆる手法を講じ、偽造医薬品が正規流通経路に混入

する危険性を排除すること。

以下に記載した主要な作業は、品質システムにおける適切な文書に記載すること。

5.2 仕入先の適格性評価

5.2.1 卸売販売業者等は、卸売販売業の許可を受けた者、又は当該製品を対象とする

製造販売承認を保有する者から医薬品の供給を受ける必要がある。

5.2.2 医薬品を他の卸売販売業者等から入手する場合、受領側の卸売販売業者等は仕

入先が本ガイドラインを遵守していることを確認するとともに、医薬品販売業

等の許可を受けていることを確認する必要がある。

5.2.3 医薬品の購入に先立ち、仕入先の適切な適格性評価及び承認を行うこと。

この業務は手順書に従って管理し、その結果を記録し、リスクに応じて定期的

に再確認すること。

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5.2.4 新規仕入先と新たに取引を開始する際には、適格性を評価すること。特に、以

下の点に注意を払うこと。

i. 当該仕入先の評判又は信頼度

ii. 偽造医薬品である可能性が高い製品の供給の申し出

iii. 一般に入手可能な量が限られている医薬品の大量の供給の申し出

iv. 仕入先により取り扱われる製品の多様性(供給の安定性・偏り、種類の不安

定さ等)

v. 想定外の価格(過大な値引き等)

5.3 販売先の適格性評価

5.3.1 卸売販売業者等は、医薬品の販売先が、薬局開設者、医薬品の製造販売業者若

しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者その他厚

生労働省令で定める者であることを確認する。

5.3.2 確認及び定期的な再確認を行う事項として、販売先の許可証の写し、国の規制

に準拠した適格性又は資格を示す証拠の提示等がある。

5.3.3 医薬品の横流し又は不適正使用の可能性があると思われる異常な販売パターン

が見られる場合は調査し、必要な場合は所轄当局に報告すること。

5.4 医薬品の受領

5.4.1 受入業務の目的は、到着した積荷が正しいこと、医薬品が承認された仕入先か

ら出荷されたものであり、輸送中に目視で確認できるような損傷を受けていな

いことを確実に保証することにある。

5.4.2 特別な取扱い、保管条件又はセキュリティのための措置を必要とする医薬品

は、優先的に処理し、適切な確認を行った後、直ちに適切な保管設備に移送す

ること。

5.5 保管

5.5.1 医薬品は、品質に影響が及ばないように、他の製品と区分すること。さらに、

光、温度、湿気、その他の外部要因による有害な影響から保護すること。

特別な保管条件を必要とする製品には特に注意を払うこと。

5.5.2 入荷した医薬品の梱包箱は、必要に応じて保管前に清浄化すること。

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入庫品に対する全ての業務 (例えば燻蒸 )は医薬品の品質に影響を与えないように

すること。

5.5.3 保管は、適切に保管条件が維持され在庫品のセキュリティを確実にする必要が

ある。

5.5.4 在庫は使用の期限順先出し(FEFO)又は先入れ先出し(FIFO)の原則に従って

管理すること。

例外は記録すること。

5.5.5 医薬品は、漏出、破損、汚染及び混同を防止するような方法で取り扱い、保管

すること。

一部の医療用ガス容器等、床の上で保管できるように包装が設計されている場

合を除き、医薬品を直接床に置いて保管しないこと。

5.5.6 使用の期限が近づいている医薬品は、直ちに販売可能在庫から排除すること。

5.5.7 定期的に在庫の棚卸を実施すること。

在庫の異常は調査、記録し、必要な場合は所轄当局に報告すること。

5.6 使用の期限が過ぎた製品の廃棄

5.6.1 廃棄予定の医薬品は適切に識別し、隔離して一時保管し、手順書に従って取り

扱うこと。

5.6.2 医薬品の廃棄は、関連法規に従って行うこと。

5.6.3 廃棄した全ての医薬品の記録を、定められた期間にわたって保管すること。

5.7 ピッキング

正しい製品がピッキングされたことを確実に保証するため、管理を行うこと。

適切な使用期間が残った製品のみがピッキングされること。

5.8 供給

全ての供給品は、品名、ロット番号又は(ロットを構成しない医薬品については製造番

号又は製造記号)、使用の期限、輸送条件、保管条件、数量、購入若しくは譲受け又は販

売若しくは授与の年月日、購入者等の氏名又は名称、住所又は所在地、及び電話番号その

他の連絡先等を記載又は他の方法で提供し、記録を保管すること。

実際の輸送先が譲受人の住所等と異なる場合には当該情報についても記載されているこ

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と。

第 6 章 苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収

6.1 原則

全ての苦情、返品、偽造が疑われる医薬品及び回収については、卸売販売業者等は製造

販売業者と適切に連携すること。

全ての項目は記録し、手順書に従って適切に保管する必要がある。記録は所轄当局によ

る閲覧を可能にしておくこと。

譲受人から保管品質を保証され、返却された医薬品が再販売される場合、任命された職

員によって事前に評価を実施すること。偽造医薬品を防止するためには、流通経路におけ

る全ての関係者による一貫したアプローチが必要である。

6.2 苦情及び品質情報

6.2.1 苦情は、全ての詳細な原情報を含めて記録すること。

医薬品の品質に関連する苦情(品質情報)と流通に関連する苦情とは区別する

こと。

品質情報及び製品欠陥の可能性がある場合、遅滞なく製造販売業者に通知する

こと。

製品の流通に関連する苦情は、苦情の原因又は理由を特定するために徹底的に

調査すること。

6.2.2 医薬品の品質不良が見いだされた或いは疑われる場合、製品の他のロットも調

査することを考慮すること。

6.2.3 苦情処理を行う担当を任命すること。

6.2.4 必要に応じ、苦情調査及び評価後に適切なフォローアップ措置(CAPA を含む)

を講じること。また、必要な情報を所轄当局の要求に応じて報告すること。

6.3 返却された医薬品

6.3.1 返却された製品は、該当製品の保管に関する特別な要求事項、当該医薬品が最

初に出荷されてからの経過時間等を考慮して、文書化された、リスクに基づく

プロセスに従って取り扱う必要がある。

返品は、関係者間の協議に従って行うこと。あらかじめ契約書で取り決めてお

くこと。

記録 /返品リストを保存する必要がある。

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6.3.2 販売先から返却された医薬品は、以下の全てが確認された場合にのみ販売可能

在庫に戻すことができる。

i. 当該医薬品の二次包装が未開封で損傷がなく、良好な状態であり、使用の期

限内で回収品ではない場合

ii. 許容される期限内(例えば 10 日以内)に返品された場合

iii. 当該医薬品の保管に関する特別な要求事項に従って輸送、保管及び取扱いが

行われたことが販売先によって証明されている場合

iv. 教育訓練を受けた者によって検査され、評価されている場合

v. 当該流通業者は当該製品がその販売先に供給されたことを示す合理的な証拠

(納品書の原本の写し又は送り状番号のロット番号又は製造番号等の参照)

を有しており、その製品が偽造されたという理由がない場合

6.3.3 特別な保管条件が必要とされる医薬品の場合、販売された医薬品は原則販売可

能在庫に戻すことはできない。ただし、当該製品が全期間にわたって承認され

た保管条件の下にあったことを示す文書化された証拠が存在する場合はこの限

りではない。

6.3.4 製品を販売可能在庫に戻す場合、使用の期限順先出し /先入れ先出し

(FEFO/FIFO)システムが有効に機能する場所に収容すること。

6.3.5 盗難に遭い、回収された製品は、販売可能在庫に戻して販売先に販売すること

はできない。

6.4 偽造医薬品

6.4.1 偽造の疑いのある医薬品の販売及び輸送は直ちに中断すること。

6.4.2 偽造医薬品又は偽造の疑いのある医薬品が発見された場合、直ちに製造販売業

者に通知し、検体を確保・送付すること。製造販売業者は保存品と目視等によ

る真贋判定を行う。偽造の可能性の高い場合は、その当該ロットを隔離すると

ともに、速やかに所轄当局に通知し、以後の対応策を協議すること。関係者は

所轄当局及び製造販売業者により決定された指示(回収を含む)通りに行動す

る必要がある。

上記に関する手順を定めること。発見時の詳細情報を記録し、調査すること。

6.4.3 流通経路において発見された偽造医薬品は直ちに物理的に隔離し、他の全ての

医薬品から離れた専用区域に保管し、適切に表示すること。

このような製品に関連する全ての業務を文書化し、記録を保管すること。

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6.4.4 偽造医薬品だと認められた場合は、流通経路への混入の原因を特定し、必要に

応じて適切な再発防止策を講じること。製造販売業者における当該品の保管を

含め、これらの業務を文書化し、記録を保管すること。

6.5 医薬品の回収

6.5.1 製品回収を迅速に行うために受領及び輸送される製品のトレーサビリティーを

保証するための文書と手順書を整備すること。

6.5.2 製品回収の際は製品が輸送された全ての販売先に適切な緊急度により、明確な

行動指針とともに連絡すること。

6.5.3 製造販売業者は所轄当局に全ての回収を連絡すること。

6.5.4 必要に応じて製品回収に関する手順の有効性を評価すること。

6.5.5 回収業務は迅速に、いつでも開始できるようにしておくこと。

6.5.6 卸売販売業者等は回収要請に対応する必要がある。

6.5.7 全ての回収業務は、それが実施された時に記録すること。

6.5.8 流通の記録は回収の責任者がすぐに閲覧できるようにしておき、流通の記録に

は卸売販売業者又は直接供給した販売先に関する十分な情報(住所、常時連絡

が可能な電話番号、メールアドレス、国の規制に基づく要件として医薬品の品

名、ロット番号又は製造番号等、使用の期限、納入数量等)を含めること。

6.5.9 回収プロセスの進捗状況は回収製品の収支合せを含め最終報告として記録する

こと。

第 7 章 外部委託業務

7.1 原則

本ガイドラインの対象となる業務のうち外部委託する全ての業務は、製品の完全性に疑

いを発生させない様、委託業務の内容について、正確に定義、合意、管理すること。契約

委託者と契約受託者の間で、各当事者の義務を明確に定めた書面による契約を締結する必

要がある。

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7.2 契約委託者

7.2.1 契約委託者は外部委託する業務に対して責任を負う。

7.2.2 契約委託者は、必要とされる業務を適切に遂行するという観点で契約受託者を

評価し、契約書及び監査を通じて、本ガイドラインが遵守されることを保証す

る責任を負う。

監査の要求及び頻度は、外部委託する業務の性質に応じたリスクに基づいて定

めること。監査は随時実施できるようにしておくこと。

7.2.3 契約委託者は、当該製品に関する特別な要求事項及びその他の関連の要求事項

に従って委託した業務を実施するために必要とされる情報を、契約受託者に提

供すること。

7.3 契約受託者

7.3.1 契約受託者は本ガイドラインに基づく業務及び契約委託者から委託された業務

について責任を持つ。

7.3.2 契約受託者は、契約委託者から受託した業務を遂行できるように、適切な施設

及び機器、手順、知識及び経験、及び適任な職員を有していること。

7.3.3 契約受託者は、第三者への業務の再委託に対する契約委託者による事前の評価

及び認証を受け、かつ当該第三者が契約委託者又は契約受託者による監査を受

けるまでは、契約書に基づいて委託されたいかなる業務も第三者に再委託しな

いこと。

契約受託者と第三者の間でなされる取決めは、医薬品の仕入、保管及び輸送業

務に関する情報(委託した業務を実施するために必要とされる品質に関する情

報)が原契約者と契約受託者の間と同じように利用できることを確実に保証す

ること。

7.3.4 契約受託者は、契約委託者のために取り扱う製品の品質に有害な影響を及ぼす

可能性のある行為を行わないこと。

7.3.5 契約受託者は、製品の品質に影響を及ぼす可能性のあるいかなる情報も、契約

書の要求事項に従って契約委託者に送付する必要がある。

第 8 章 自己点検

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8.1 原則

本ガイドラインの原則の実施及び遵守を監視し、必要な是正措置を提案するために、自

己点検を実施すること。

8.2 自己点検

8.2.1 自己点検プログラムは、定められた期間内において本ガイドライン及び該当手

順に従って実施すること。自己点検は、限られた範囲に分割して実施してもよ

い。

8.2.2 自己点検は、あらかじめ指定した者が定期的に実施すること。

8.2.3 全ての自己点検を記録すること。報告書には自己点検で認められた全ての観察

事項を含めること。

報告書の写しを卸売販売業者等の経営陣及びその他の関係者に提出すること。

不備及び/又は欠陥が認められた場合、原因を明らかにし、手順に従って CAPA

を記録し、フォローアップを行うこと。

第 9 章 輸送

9.1 原則

9.1.1 医薬品を破損、品質劣化及び盗難から保護し、輸送中の温度条件を許容可能な

範囲に維持することは卸売販売業者等の責任である。

9.1.2 輸送方式を問わず、当該医薬品がその完全性を損なう可能性のある条件に曝さ

れないようにリスクに基づき証明すること。

9.2 輸送

9.2.1 外装又は包装に記載された保管条件が輸送中も維持されていること。

9.2.2 温度逸脱や製品の損傷などが輸送中に生じた場合は、手順に従って卸売販売業

者等にその旨を報告すること。

また、温度逸脱に関する調査や取扱いに関する手順も定めること。

9.2.3 医薬品の流通、保管又は取扱いに使用される車両及び機器は、その用途に適し

たものであること。

製品の品質及び包装の品質等に影響を及ぼさないよう適切に装備されているこ

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と。

9.2.4 清掃及び安全対策を含め、流通過程に関与する全ての車両、及び機器の操作及

び保守のための手順書を作成すること。

9.2.5 どこで温度管理が必要とされるかを決めるために、輸送ルートのリスクアセス

メントを用いること。

輸送中の車両及び/又は容器内の温度モニタリングに使用する機器は、定期的

に保守及び校正すること。

9.2.6 医薬品を取り扱う際には、可能な限り、専用車両及び機器を使用すること。

専用ではない車両及び設備が使用される場合は、医薬品の完全性が損なわれな

いように手順書を整備すること。

9.2.7 定められた納品先の住所・施設以外に納品してはならない。

9.2.8 通常の就業時間外に行う緊急輸送については、担当者を任命し、手順書を備え

ること。

9.2.9 輸送が第三者によって行われる場合、第 7 章の要求事項を含めた契約書を作成

すること。

卸売販売業者等は、積荷に関する輸送条件を輸送業者に知らせること。

輸送ルート中に輸送基地での積み替えが含まれる場合、温度モニタリング、清

浄度及びセキュリティには、特に注意を払うこと。

9.2.10 輸送ルートの次の段階を待つ間の、一時保管の時間を最小限に抑えるための対

策を講じること。

9.3 輸送の容器、包装及びラベル表示

9.3.1 医薬品は、製品の品質に悪影響を及ぼさないような容器で輸送し、汚染を含む

外部要因の影響から適切に保護すること。

9.3.2 輸送の容器及び包装の選択は、当該医薬品の保管と輸送の要求事項、医薬品の

量に応じた大きさ、予想される外部温度の上下限、輸送の最長期間、包装及び

輸送容器のバリデーションの状況に基づいて行うこと。

9.3.3 輸送の容器には、取扱いと保管の要求事項についての十分な情報に加え、製品

が常時適切に取り扱われ安全であることを保証するための注意事項を記載した

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ラベルを表示すること。

輸送の容器は、内容物と出荷元が識別できるようにすること。

9.4 特別な条件が必要とされる製品

9.4.1 麻薬や向精神薬のような特別な条件が必要とされる医薬品の輸送に関して、卸

売販売業者等は、国の規制によって定められた要求事項に準拠して、安全で確

実な流通経路を維持すること。

このような製品の輸送には、追加の管理システムを備えること。また、盗難、

紛失等が発生した場合の手順を定めること。

9.4.2 高活性物質及び放射性物質を含む医薬品は、関係法規に従って輸送すること。

9.4.3 温度感受性の高い医薬品については、卸売販売業者等及び販売先の間で適切な

輸送条件が維持されていることを確保するため、適格性が保証された機器(保

温包装、温度制御装置付きの容器、温度制御装置付きの車両等)を使用するこ

と。

9.4.4 温度制御装置付きの車両を使用する場合、輸送中に使用する温度モニタリング

機器を、定期的に保守及び校正すること。

代表的な条件下で温度マッピングを実施し、必要であれば、季節変動要因も考

慮すること。

9.4.5 要請があれば、製品が保管温度条件に適合していることが証明できる情報を、

販売先に提供すること。

9.4.6 断熱ケースに保冷剤を入れて使用する場合、製品が保冷剤に直接触れないよう

にすること。

断熱ケースの組み立て(季節に応じた形態)及び保冷剤の再使用を担当する職

員は手順の教育訓練を受ける必要がある。

9.4.7 冷却不足の保冷剤が誤って使用されないことを確実に保証するため、保冷剤の

再使用に関する管理システムを構築すること。冷凍した保冷剤と冷却した保冷

剤を、適切かつ物理的に隔離すること。

9.4.8 温度変化に対して感受性が高い製品の輸送及び季節ごとの温度変動を管理する

プロセスを手順書に記述すること。

用語集

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契約受託者

本ガイドラインにかかわる業務を行うことを契約委託者と契約した会社

契約委託者

本ガイドラインにかかわる業務を他の法人に外注する会社

偽造医薬品

固有性、組成又は起源に関して故意又は不正に虚偽表示した医薬品

出典 :

World Health Organization, Appendix 3 to the Annex to document A70/23, 20 March 2017

偽造の疑いのある医薬品

固有性、組成又は起源に関して故意又は不正に虚偽表示した疑いのある医薬品

温度

原則として、具体的な数値で記載する。ただし、以下の記述を用いることができる。

冷所:1~15℃

室温:1~30℃

二次包装

一次包装を補うための単一又は複数の包装であり、有効成分,添加剤又は製剤と直接接

触しない。二次包装は、医薬品の品質を保持すると共に医薬品の使用時の過誤防止並びに

利便性などの機能を付与することができる。

回収

製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等

を引き取ることをいう。「改修」及び「患者モニタリング」を含み、「在庫処理」及び「現

品交換」を除く。また、製造販売業者等が新製品の発売に当たり、品質、有効性及び安全

性に問題のない旧製品を引き上げる行為を除く。(「医薬品・医療機器等の回収について」

の一部改正について:引用)