FIX-Eを用いた間歇補液プログラムの...

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FIX - E を用いた間歇補液プログラムの 有用性 入谷麻祐子、佐久間朝希、瀧口歩未、磯貝竜騎、人見友啓 髙橋舞香、澤本奈々重、鈴木翔太、鈴木一裕 (医)援腎会すずきクリニック 第34回 日本ハイパフォーマンス・メンブレン研究会

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FIX-Eを用いた間歇補液プログラムの有用性

入谷麻祐子、佐久間朝希、瀧口歩未、磯貝竜騎、人見友啓

髙橋舞香、澤本奈々重、鈴木翔太、鈴木一裕

(医)援腎会すずきクリニック

第34回 日本ハイパフォーマンス・メンブレン研究会

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日本HPM研究会

CO I 開示筆頭発表者名: 入谷麻祐子

演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある企業などはありません。

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【目的】

• 我々は第31・33回HPM研究会においてFIX-Eの除去特性を報告した。 1) 2) FIX-Eは濃度分極層の形成が少なく大分子領域の除去効率を抑えた膜であり、当院では、低Alb血症が認められる患者に対し使用している。

• 低Alb血症の患者は、開始直後の急激な循環血液量減少に伴い血圧が低下し、ショックパターンに陥ることがある。

• そのような患者に対してFIX-Eを使用したプログラムIHDFを施行することで回避できたので報告する。

第34回 日本ハイパフォーマンス・メンブレン研究会

1)伊東健 ,入谷麻祐子,鈴木翔太…,他:高血流におけるFIX-Eの除去特性-FIX-Sとの比較-.腎と透析Vol.81別冊HDF療法’16,:78-81,2016

2)人見友啓 ,澤本奈々重,鈴木翔太…,他:透析後の低リン血症患者に対する透析条件の再考.腎と透析Vol.85別冊HDF療法’18,:108-111,2018

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【FIX-Eの除去特性】

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透析時間 透析器 希釈法QB

[mL/min]

tQS

[L/session]

tQD

[mL/min]

PreQB200

5時間

FIX-150Eeco前希釈

200 60

600PreQB400FIX-210Eeco

400 60

PostQB400 後希釈 400 20

※p<0.05(g/session)

0.5 0.6 0.8

0

1

2

3

4

Alb

PreQB200

PreQB400

PostQB400

漏出量

慢性維持透析患者6名

73%

11%

76%

21%

77%

23%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

β2ーMG α1-MG

除去率

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【患者背景】栄養状態

Alb:3.3→2.8mg/dL GNRI:88.7→75.8

肺がん併発による食欲低下が原因

88.7

83.3 83.3

78.175.8

3.33.2 3.2

2.92.8

2.6

2.7

2.8

2.9

3.0

3.1

3.2

3.3

3.4

3.5

3.6

65.0

70.0

75.0

80.0

85.0

90.0

2018年5月 2018年6月 2018年7月 2018年8月 2018年9月

Alb

(mg

/dL)

GN

RI

GNRI Alb

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85歳男性、原疾患:(右腎癌摘出後)腎硬化症、透析歴:4年、DW:48.0kg

肺がん状態悪化

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【患者背景】透析中血圧・ΔBV

0

50

100

150

200

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5-20

-10

0

10

0 1 2 3 4 5

ΔB

V[%

]

経過時間[H]

ΔBV 最高血圧 最低血圧

血圧[m

mH

g]

脈拍[b

pm

]

sBP:87mmHg

ΔBV:-7%

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【期間中の経過】

透析方法

変更前 変更後

期間 1ヶ月(13回) 1ヶ月(13回)

透析方法 HD プログラムIHDF

コンソール DCS-100NX(BV計搭載) NCV-3

透析器 H12-4000(積層) FB-150UP FIX-150Eeco

(評価項目)変更前後1ヶ月• 処置回数(除水停止・生食補液・治療中断…etc)• 開始時~30分後最高血圧の血圧変動

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【方法】補液プログラム設定

補液プログラム

(内容)• 補液速度:150mL/min 総補液量:380mL

• 1ステップ時間:30分

200

150

100

50

0

50

100

150

200

(mL) ステップ数

補液量

回収量

200

150

100

50

0

50

100

150

200

補液量

回収量

ステップ数

補液優勢 補液優勢

回収優勢

(mL)

30min

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【方法】血圧プロット

0

50

100

150

200

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

-20

-10

0

10

0 1 2 3 4 5

ΔB

V[%

]

経過時間[H]

ΔBV 最高血圧 最低血圧

血圧[m

mH

g]

脈拍[b

pm

]

補液優勢 補液優勢回収優勢

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【結果】プログラムIHDF設定後

補液優勢 補液優勢

回収優勢

透析開始直後・透析後半の血圧下降が無くなった!

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8

0

2

変更前 変更後

除水減量・停止 治療中断

【結果】処置回数

※p<0.05

(回)

治療前後での1ヶ月(13回ごと)で比較

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131.3

106.7

124.9

133.5

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

130.0

140.0

150.0

透析開始時収縮期血圧 開始30分後収縮期血圧

変更前 変更後

【結果】血圧変動※

※p<0.05

(mmHg)

治療前後での1ヶ月(13回ごと)で比較

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【考察】

• 通常のIHDFを低Alb血症の患者に行う場合、初回補充後の回収時にBV下降が助長され、血圧低下を引き起こすことがあった1) 。

• 開始時に補液優勢とすることで、開始直後の血圧低下を防ぐことができた。

• 大分子領域の除去が抑えられたFIX-Eを使用することでより安全に施行できたと考えられる2)。

1) 甲田豊:透析低血圧症に対するI-HDFの有用性.Clinical Engineering Vol.29 No.8:707-713,2018

2) 横川理史,春原隆司,貞廣衝:マキシフラックス®・ファインフラックス®の特性.腎と透析Vol.83別冊HDF療法’17:102-104,2017

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【結語】

• これまでも、IHDFの補液量や回数を変更することでIDHを改善させる試みが報告されてきた。

• 今回はプログラム可能な装置を用いることで、IDHを回避できた。

• 今後も透析方法と膜のベストな組み合わせを追求し、IDHを防ぐ取り組みを続けていきたい。

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