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1/27 First-visit patients without a referral to the Department of Internal Medicine at a medium-sized acute care hospital in Japan: an observational study Nobuyuki Kajiwara , Kazuyuki Hayashi 1 , Masahiro Misago 2 , Shinichiro Murakami 2 , Takato Ueoka 2 Int J Gen Med 2017, 10:335-345 https://www.dovepress.com/first-visit-patients-without-a-referral-to-th e-department-of-internal--peer-reviewed-article-IJGM 日本の中規模急性期病院内科を紹介状なしで受診した初診患 者:観察研究(日本語訳) 梶原 信之 1) § ,林 和幸 1) ,三砂 雅裕 2) ,村上 慎一郎 2) ,上岡 孝人 2) 1) 市立池田病院 腎臓内科 2) 市立池田病院 総合内科 § Corresponding author

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First-visit patients without a referral to the Department of Internal Medicine at a medium-sized acute care hospital in

Japan: an observational study

Nobuyuki Kajiwara1§, Kazuyuki Hayashi1, Masahiro Misago2, Shinichiro Murakami2, Takato Ueoka2

Int J Gen Med 2017, 10:335-345 https://www.dovepress.com/first-visit-patients-without-a-referral-to-th

e-department-of-internal--peer-reviewed-article-IJGM

日本の中規模急性期病院内科を紹介状なしで受診した初診患者:観察研究(日本語訳)

梶原 信之1) §,林 和幸1),三砂 雅裕2),村上 慎一郎2),上岡 孝人2)

1)市立池田病院 腎臓内科 2)市立池田病院 総合内科

§Corresponding author

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抄録 Abstract 目的:日本の中規模急性期病院を紹介状なしで受診した初診患者の実態を分析することは、日本における急性期病院に求められる医療ニーズやプライマリ・ケアの問題点を明らかにすることに役立つ。 患者と方法:4年間の金曜日に市立池田病院を紹介状なしで受診して内科診療を希望し総合内科外来受診となった患者765件を対象とした。年齢,性別,受診日,受診理由 reason for encounter,診断,同一受診理由での他の医療機関受診の有無,同一受診理由での他の医療機関受診時の抗菌薬処方の有無を調べた。受診理由と診断とにはプライマリ・ケア国際分類改訂第2版 international classification of primary care revised second edition (ICPC-2-R) コードを用いた。 結果:受診理由の分野別の内訳は、消化器"Digestive"(D: ICPC-2-R chapter),全身および部位不特定"General and unspecified"(A),呼吸器"Respiratory"(R)の順であった。診断の分野別の内訳は、消化器"Digestive"(D),呼吸器"Respiratory"(R),全身および部位不特定"General and unspecified"(A),筋骨格"Muscloskeletal"(L)の順であった。同一受診理由で事前に他の医療機関を受診していたのは27.6%であり、そのうちで受診理由が咳"Cough"(R05:ICPC-2-Rコード)であったものの64.7%に、発熱"Fever"(A03)であったものの72.0%に、それぞれ抗菌薬が処方されていた。緊急に検査を行って結果を待つこととなったものが62.4%で、初診日に入院したものは4.3%であり、初診日に投薬が行われたものは60.5%であった。心療内科的な問題が主であると推定されたものは11.5%であった。 まとめ:日本の中規模急性期病院内科を紹介状なしで受診した初診患者をICPC-2-Rを用いて分析した。受診理由は腹痛と咳と発熱が多かった。プライマリ・ケア医での抗菌薬過剰投与傾向が示された。

キーワード Keywords 中規模病院 medium-scale hospital,総合内科 general internal medicine,総合診療 general practice,受診理由 reason for encounter (RFE),プライマリ・ケア国際分類 international classification of primary care (ICPC),抗菌薬過剰投与 antibiotic overuse

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はじめに Introduction

日本では国民皆保険制度とほとんど全ての医療機関へのフリーアクセスとが保たれている[1, 2]。一次と二次とのケアの明確な基準がなく、それらの間のゲートキーパーとなる人がいない[3]。しかし、医療費の増大と高齢者の増加により、多くの急性期病院は外来診療よりも検査業務や入院診療により多くの医療資源を投入している。そのような病院での外来診療は主にプライマリ・ケア診療所からの紹介患者を受け入れている。プライマリ・ケア医が必要と考えた場合には急性期病院への紹介状を書く。患者はその紹介状を持って急性期病院を受診する。しかし、患者は紹介状なしでも急性期病院を受診することができる。一定の基準を満たした急性期病院は紹介状なしで受診した初診患者から選定療養費[4]を徴収することが認められている。 市立池田病院は日本で2番目に大きな都市圏である大阪の中心部まで電車で18分に位置する。同院は人口約10万人を有する池田市にあるベッド数364床の中規模地域中核急性期病院である。紹介状なしで受診した初診患者から健康保険の自己負担分以外に2160円の選定療養費を徴収している。病院全体での初診患者の年間紹介率(2012年4月から2014年3月までの紹介率 = (紹介患者数 + 即日入院初診患者数) / (初診患者数 - 休日夜間初診患者数 + 休日夜間即日入院初診患者数),2014年4月以降の紹介率 = 紹介患者数 / (初診患者数 - 救急自動車により搬入された患者 - 休日夜間初診患者数 - 自覚症状なく健康診断目的での受診から疾患が発見されて治療開始となった初診患者数))は2012年4月から2016年3月までの平均値で66.8%である。病院の紹介率は医療費の計算に用いられる。政府により2014年4月に計算方法が変更された。同院の年ごとの紹介率は、順に64.2%, 62.4%, 67.2%, 73.2%であった。 市立池田病院を紹介状なしで受診して内科的な問題点を有する患者は、原則として総合内科が診療を担当している。これらの患者は選定療養費と他の医療機関を受診していた場合には初診料との余分な支払をしながら受診している。

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本研究の主な目的は、市立池田病院総合内科を紹介状なしで受診した初診患者の実態を分析することで、この地域における中規模急性期病院に求められる医療ニーズと患者特性を明らかにすることである。もう1つの目的は、それにより日本のプライマリ・ケアの問題点を明らかにすることである。

患者と方法 Patients and Methods 患者 2012年4月から2016年3月までの金曜日に市立池田病院を紹介状なしで受診して内科診療を希望し総合内科外来受診となった患者のうち、2つの診察室のうち到着順で第2診察室対応となって著者(梶原信之 NK)が診療を担当した全ての患者765件を対象とした。救急車で搬送された患者,16歳未満の患者,外科,産婦人科,整形外科,皮膚科,泌尿器科,眼科,耳鼻いんこう科,歯科受診を希望して来院した患者を除いた。受診の契機が健康診断である場合は、医師による紹介状を持参した場合を含まず、患者本人向けの結果説明用紙に受診勧奨が記載されていたものを含んだ。 倫理的承認 Ethics approval 本研究は市立池田病院倫理委員会の承認を得た。承認番号:A28004。本論文において、診療録から得られたデータで個人は特定されない。本論文はいかなる個人情報も含まず、また本研究が観察研究であり介入試験でないので市立池田病院倫理委員会はそれぞれの患者から文書での同意を得る必要はないと認めた。 検討項目 年齢,性別,受診日,受診理由,受診理由のプライマリ・ケア国際分類改訂第2版 international classification of primary care revised second edition(ICPC-2-R)[5]コード(主として「要素1 症状と愁訴 Component 1 - Complaint and symptom component」),診断,診断のICPC-2-Rコード(主として「要素7 診断/疾病 Component 7 - Diagnosis/disease component」),同一受診理由での他の医療機関受

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診の有無,同一受診理由での他の医療機関受診時の抗菌薬処方の有無,受診の契機が健康診断であったか否か,初診日の緊急検査の有無,初診日の転帰,当院初診での投薬の有無,心療内科的な診療の対象と思われるか否かを調べた。受診理由は、単純化のために、それぞれの患者について我々が最も重要と考えたもの1つを選んだ。そして、我々は受診後2ヶ月後までの診療記録を確認して、受診理由に対応する診断1つを選んだ。緊急検査とは、単純レントゲン撮影,血液検査,その他検査で、結果が出るまでその日の診療を終了しなかった場合とした。心療内科的な診療の対象と思われるか否かは診察者の主観的な印象である。特異的な心療内科的疾患に関するスコアや診断基準を用いてはいない。 データ解析 年齢は、平均±標準偏差で表示した。他のデータは数えて百分率を示したのみである。統計学的手法は用いていない。

結果 Results のべ765名の年齢は49.4±18.7歳で、男性349名(49.6±18.5歳),女性416名(49.1±18.9歳)であった。16名が別の日に別の受診理由で合わせて2回受診しているが、それぞれを数えた。 受診理由の分野(ICPC-2-Rでは章chaptersと記載されている)別の内訳は、図1に示した通りで、多い順に消化器"Digestive"(D)(以下カッコ内のアルファベット1文字はICPC-2-Rの章 chapter を意味する。),全身および部位不特定"General and unspecified"(A),呼吸器"Respiratory"(R),神経"Neurological"(N)の順であった。上位30位までの受診理由は、表1に示した通りで、多い順に咳"Cough"(R05)(以下アルファベット1文字と2桁のアラビア数字との組合せはICPC-2-Rコードを意味する。),発熱"Fever"(A03),心窩部痛"Abdominal pain, epigastric"(D02),その他の限局性腹痛"Abdominal pain, localized, other"(D06)となるが、心窩部痛"Abdominal pain, epigastric"(D02),その他の限局性腹痛"Abdominal pain, localized, other"(D06),腹部全体の疼痛/激痛"Abdominal pain/cramps, general"

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(D01)を合計して腹痛全体とすると105件(13.7%)と最も多い受診理由となった。 診断の分野別の内訳は、図2に示した通りで、消化器"Digestive"(D),呼吸器"Respiratory"(R),全身および部位不特定"General and unspecified"(A),筋骨格"Muscloskeletal"(L)の順であった。上位50位までの診断は、表2に示した通りで、急性上気道炎(かぜ)"Upper respiratory infection, acute"(R74),感染を疑う消化管炎症”Gastroenteritis, presumed infection”(D73),胃の機能障害"Stomach function disorder"(D87),インフルエンザ"Influenza"(R80)が多かった。感染を疑う消化管炎症”Gastroenteritis, presumed infection”(D73)にはいわゆる「急性胃腸炎」や「急性腸炎」が含まれ、胃の機能障害"Stomach function disorder"(D87)には上部消化管内視鏡検査で「慢性胃炎」の所見を認めたものが含まれ、食道の疾患"Oesophagus disease"(D84)には「逆流性食道炎」が含まれている。受診理由と診断とが同一コードであったものは全765件中で211件(27.6%)であった。211件中では多い順に、頭痛"Headache"(N01)14件,その他の限局性腹痛"Abdominal pain, localized, other"(D06)13件,咳"Cough"(R05)12件,心窩部痛"Abdominal pain, epigastric"(D02)10件,背部痛"Back symptom/complaint"(L02)8件,めまい/めまい感"Vertigo/dizziness"(N17)8件であった。 同一受診理由で他の医療機関(ほとんどが診療所)を受診していながら、紹介状なしで当院を受診した患者は765件中210件(27.5%)であった。受診理由の分野別に他の医療機関受診件数を図3に示した。他の医療機関受診歴が高い分野から順に、呼吸器"Respiratory"(R)(146件中51件 34.9%),内分泌・代謝"Endocrine, metabolic and nutritional"(T)(27件中9件 33.3%),筋骨格"Muscloskeletal"(L)(63件中19件 30.2%),消化器"Digestive"(D)(211件中59件 28.0%),全身および部位不特定"General and unspecified"(A)(155件中42件 27.1%)であった。他の医療機関にて抗菌薬が処方されていたものは5分野計53件であった。投与されていた抗菌薬は、クラリスロマイシン,アジスロマイシン,セフカペン,レボフロキサシンなどであった。(図4)受診理由に注目すると、呼吸器"Respiratory"(R)(51件中27件

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52.9%),全身および部位不特定"General and unspecified"(A)(42件中21件 50.0%)で抗菌薬を処方されていた割合が50%以上であった。なかでも、咳"Cough"(R05)を受診理由として受診した88件のうち他の医療機関を受診していたのは34件(38.6%)で、そのうち22件(64.7%)が抗菌薬を処方されていた。その88件の診断は、急性上気道炎(かぜ)"Upper respiratory infection, acute"(R74)35件,気管支喘息"Asthma"(R96)14件,咳"Cough"(R05)としか診断できなかったもの12件,急性/慢性副鼻腔炎"Sinusitis acute/chronic"(R75)5件,肺炎"Pneumonia"(R81)4件,食道の疾患"Oesophagus disease"(D84)3件,急性気管支炎"Acute bronchitis/bronchiolitis"(R78)3件,インフルエンザ"Influenza"(R80)3件などであった。また発熱"Fever"(A03)を訴えて受診した85件のうち他の医療機関を受診していたのは25件(29.4%)で、そのうち18件(72.0%)が抗菌薬を処方されていた。その85件の診断は、急性上気道炎(かぜ)"Upper respiratory infection, acute"(R74)29件,インフルエンザ"Influenza"(R80)22件,肺炎"Pneumonia"(R81)6件,発熱"Fever"(A03)としか診断できなかった微熱 4件,腎盂腎炎/腎盂炎"Pyelonephritis/pyelitis"(U70)4件,伝染性単核球症"Infectious mononucleosis"(A75)3件,急性リンパ節炎"Lymphadenitis, acute"(B70)3件,感染を疑う消化管炎症”Gastroenteritis, presumed infection”(D73)3件などであった。 健康診断で異常を指摘されたために受診したのは85件(11.1%)で、そのうち28件を異常結果の精査"Abnormal results investigation NOS (not otherwise specified)"(A91)に分類している。 初診時に緊急で何らかの検査を行い、その結果を待つことにしたのは479件(62.4%)であった。緊急の血液検査を318件(41.6%)に、緊急の単純X線検査を276件(36.1%)に行った。 初診日の転帰を表3に示した。当院内科系診療科(例えば消化器内科)の再診予約が入ったものとその日限りで終診となったものとで全体の8割を占めた。その一方で、総合内科外来からの即日入院および救急外来に診療依頼となりそこから当院あるいは他の医療機関に即日入院となったものは33件(4.3%)を占めていた。後日に入院する予定が

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決まった3件を含めると、合計36件(4.7%)で初診日に入院が決定した。 初診日に総合内科または同日受診した当院他診療科から投薬が行われたものは463件(60.5%)であった。 診察者が抑欝,不安障害,身体化障害などの心療内科的あるいは精神科的な問題が受診理由に大きな影響があるという印象を受けたものは、88件(11.5%)であった。経時的に変動があるか調べるために、2012年4月から2013年3月までを数え、その後も1年間ごと4年間で数えてみると、それぞれ223件中28件(12.6%),173件中27件(15.6%),163件中18件(11.1%),206件中15件(7.3%)であった。

考察 Discussion 本研究の目的の1つである、日本における中規模急性期病院に求められる医療ニーズを明らかにするために受診理由と診断との分析にICPC-2-Rを用いた。ICPC-2-Rは医療ニードを把握するために有効なツールである[5] 。これまで日本からも診療所や病院における外来患者の受診理由の報告はあるが[6, 7]、中規模病院での英語での報告はほとんどない。今回我々は特に紹介状なしで受診した患者に着目し、ICPC-2-Rに基づいて受診理由と診断とを分析した。Takeshima らは、90ベッドを持つ日本の小規模病院の外来患者の受診理由と診断とをinternational classification of primary care second edition (ICPC-2)[8]を用いて分析している[9]。その結果、受診理由として呼吸器"Respiratory"(R),全身および部位不特定"General and unspecified"(A),消化器"Digestive"(D)が多かったことを報告している。我々の結果も同様であり、受診理由についての共通性が認められる。 診断では、消化器"Digestive"(D)が最多で、呼吸器"Respiratory"(R)が続き、全身および部位不特定"General and unspecified"(A)が減っているのが受診理由と比較して目立つ。これは、受診理由の分野が全身および部位不特定"General and unspecified"(A)であるもののうち最多である発熱"Fever"(A03)が風邪(R74)やインフルエンザ"Influenza"(R80)と診断されることが多かったことと、異常結果の精査"Abnormal results investigation NOS"(A91)にその他の肝疾患

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"Liver disease NOS"(D97)などの消化器"Digestive"(D)疾患が多く含まれていたことの2点の影響が大きい。診断についての以上の結果も Takeshima らの報告と同様である[9]。一方、皮膚科的あるいは整形外科的問題の頻度は、診療所で病院よりも相対的に高い[6, 7]。患者が病院内科よりもプライマリ・ケア診療所により幅広い健康問題への対応を期待していることを示している。ただし、市立池田病院には皮膚科および整形外科もあり、病院全体としては診療所との間に対応している問題に大きな差は認められない。 本研究のもう1つの目的は、日本におけるプライマリ・ケアの問題点を明らかにすることであった。そこで、当院受診前に同一受診理由で他の医療機関を受診していたかどうかと抗菌薬の処方の有無とを調べたが、紹介されていないのに自己判断で当院を受診した理由までは調べていない。症状が改善しないなどの理由により診療への満足度が低かったことが予想される。同じ受診理由で診療所と病院とを紹介状なしで受診することは医療経済的に効率的でなく、時間の無駄ともなる。プライマリ・ケア医のゲートキーパー機能の充実が望まれる。疾患分野によって他の医療機関受診の割合が異なるかどうかを調べて図4に表示したが、特別に他の医療機関受診が多い分野は明らかでなかった。呼吸器"Respiratory"(R)と全身および部位不特定"General and unspecified"(A)との分野,特に咳"Cough"(R05)と発熱"Fever"(A03)とで他の医療機関受診時に高頻度で抗菌薬を処方されていた。受診理由が咳"Cough"(R05)や発熱"Fever"(A03)であっても、当院で細菌感染症の診断となった患者は少なかった。急性リンパ節炎"Lymphadenitis, acute"(B70), 急性/慢性副鼻腔炎"Sinusitis acute/chronic"(R75), 急性気管支炎"Acute bronchitis/bronchiolitis"(R78), 肺炎"Pneumonia"(R81), 腎盂腎炎/腎盂炎"Pyelonephritis/pyelitis"(U70)に抗菌薬が必要とすると、咳"Cough"(R05) 88件のうち12件(13.6%),発熱"Fever"(A03)85件のうち13件(15.3%)でのみ抗菌薬が必要であった。治療満足度との関連は明らかでないが、このことは当地域のプライマリ・ケア上の問題点と思われる。ただし、抗菌薬投与が有効であったとすると、当院を受診する必要性は低くなるはずである。日本での

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2013年の薬剤卸売業者からのデータによれば1日当たり約200万人に抗菌薬が投与されているという報告もある[10] 。Higashi らは、日本の健康保険請求データから非細菌性上気道炎患者の約6割に抗菌薬が処方されていると報告している。彼らのデータは2005年に集められた[11] 。米国(US)の「賢く選択しよう Choosing Wisely」において、米国感染症学会は「上気道感染症に抗菌薬投与は控えよう Avoid prescribing antibiotics for upper respiratory infections.」と訴えているが、このような訴えがなされることが US でも急性上気道感染症での不要な抗菌薬投与が多いことを示していると思われる[12]。 2016年に日本政府は不要な抗菌薬投与を減らすことを含むアクションプランを発表した[13]。不要な抗菌薬処方を減らすことはプライマリ・ケアにおける国際的な課題と思われる。一方、英国(UK)内610ヶ所のプライマリ・ケア診療所を行ったコホート試験の結果、登録患者7000人の平均的な診療所において、気道感染症で抗菌薬を投与する割合が10%減った場合に1年間で肺炎発症が1.1人増加していた。肺炎高リスク群では注意が必要である[14]。 日本においては特別な自他覚症状のない人が定期的な健康診断を受けることが政策として勧められている[1]。その結果、特に自覚症状のない人が高血圧や異常検査の精査目的で内科を受診することが多い。本研究でもそのような患者が11.1%あり、診療を行う医師には科学的根拠に基づいた医療 evidence-based medicine に基づいた適切な対応が求められ、そのニーズは高い。Takeshima らも異常検査の精査(A91)を受診理由とする患者が多いことを報告し[9]、異常検査の精査(A91)が、厚生労働省が医学部卒業後2年間に臨床研修医が経験すべきであると定めた「臨床研修の到達目標」や文部科学省が卒業までに医学生が最低限履修すべき教育内容をまとめた「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に含まれていないことを問題点として指摘している[15, 16]。さらに我々は受診理由:異常検査の精査(A91)はプライマリ・ケア診療所で対応可能であることが多いことを指摘したい。 緊急検査を行った頻度が62.4%と多数を占めた。これは診察者個人の検査に頼りがちな診療態度の影響を受けてはいるが、診療所ではな

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く病院を受診する患者が詳しい検査を希望する傾向も反映していると考えられる。 他の報告が少ないために比較は難しいが、本研究での初診日の転帰で目立つのは初診日当日に入院が決定した頻度が4.7%と高いことである。日本の田舎の診療所の8日間263件の診療での診断と診察時間とを分析した Wooldridge らの報告では入院した患者がいたとの記載はない[17]。症状が重篤であるために急性期病院受診を選択した患者がいたことが推測される。 初診日に投薬が行われたものは60.5%であったが、他の報告が少ないために比較は難しい。 心療内科的な問題が受診理由に大きな影響がありそうなものは11.5%であった。非専門医による主観的な判断で特別なスコアや診断基準を用いていないが、観察期間中にその比率の大きな変動は認めず、一定の再現性がある。もしも我々が Somatic Symptom Scale 8 (SSS-8) や Somatic Symptoms Experiences Questionnaire (SSEQ) といった指標を用いていれば、より正確に診断できたであろう[18, 19]。Ishikawa らは日本の大学病院の総合内科外来における初診患者のうち、12.4%が精神科疾患 psychiatric disorders を合併していると報告している[20] 。この報告では、精神科疾患と記載されてはいるが、多いものからうつ病,不安障害,身体化障害などであり、心療内科疾患と捉えることも可能であり、本研究での頻度と一致している。 本研究の限界として、1人の医師の診療の集計であることが挙げられる。従って、診断と臨床判断については個人の臨床能力のバイアスが影響している可能性は高い。しかし、受診理由は患者の訴えに基づいており、バイアスは少ないと考える。また診察日は金曜日に限られており、受診理由や診断とはあまり関連はないと思われるが、他の医療機関受診の頻度など受療行動については影響があるかもしれない。なお、当院近隣の診療所の多くは、日曜日,土曜日午後,水曜日または木曜日の午後を休みとしている。そして、集計期間は丁度4年間であり、季節変動や感染症の流行状況の影響は少ないと考える。また、1病院のデータであり、日本全体を代表するかどうかは不明であるが、

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すでに論じた通り日本の他の報告と概ね一致していた[6, 7, 9, 11, 17, 20]。 この研究の今後の発展のため、他の医療機関を受診していたにもかかわらず当院を紹介状なしで受診された患者についてその理由を調べたい。さらに高齢者が増えることによる受診理由や診断の変化についても検討したい。また、地域の医療機関の医師との議論を通じて、抗菌薬の適正使用を進め、それを検証したい。

まとめ Conclusions 日本の中規模急性期病院内科を紹介状なしで受診した初診患者をICPC-2-Rを用いて分析した。受診理由は腹痛(D02, D06, D01)と咳"Cough"(R05)と発熱"Fever"(A03)とが多かった。診断は急性上気道炎(かぜ)"Upper respiratory infection, acute"(R74),感染を疑う消化管炎症”Gastroenteritis, presumed infection”(急性腸炎など)(D73),胃の機能障害"Stomach function disorder"(慢性胃炎など)(D87),インフルエンザ"Influenza"(R80)が多かった。 プライマリ・ケア医での咳"Cough"(R05),発熱"Fever"(A03)などに対する抗菌薬過剰投与傾向が示唆された。受診理由に診療所と当院との役割に明確な境界は認められなかったが、より重症な患者が自ら当院を選択している可能性がある。 謝辞 Acknowledgement 総合診療について著者らをご指導いただいた雨森正記先生 Dr. Masaki Amenomori,総合内科外来診療を補助していただいた看護師の前山美枝子 Mieko Maeyama,沖家恵理子 Eriko Okiie に感謝する。 また、英文翻訳および校正に協力いただいたクリムゾンインタラクティブ(ユレイタス)およびフォルテに感謝する。 著者らの論文への寄与 Authors' contributions 梶原信之 NK は、すべての患者の診療を行い、データを集計し、草稿を作成した。

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林和幸 KH, 三砂雅裕 MM,村上慎一郎 SM, 上岡孝人 TU は、診療,データ集計,考察について議論に参加した。 三砂雅裕 MM は、データを集計した。 すべての著者がデータ解析,原稿作成,原稿修正に寄与し、本研究の解釈に説明責任を持つことに同意した。 情報開示 Disclosure すべての著者は本論文に関して開示すべき利益相反はない。

文献 References 1. Ikeda N, Saito E, Kondo N, Inoue M, Ikeda S, Satoh T, Wada K, Stickley A, Katanoda K, Mizoue T, Noda M, Iso H, Fujino Y, Sobue T, Tsugane S, Naghavi M, Ezzati M, Shibuya K: What has made the population of Japan healthy? Lancet 2011, 378(9796): 1094-1105. 2. Hashimoto H, Ikegami N, Shibuya K, Izumida N, Noguchi H, Yasunaga H, Miyata H, Acuin JM, Reich MR: Cost containment and quality of care in Japan: is there a trade-off? Lancet 2011, 378(9797): 1174-1182. 3. Mark Britnell: Fragmentation. In: Mark Britnell. In search of the perfect health system. London, United Kingdom: Palgrave MacMillan; 2015. p. 16-17. 4. 厚生労働省 Fee for Treatment of Patients' Choice http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000056829.pdf Accessed 13 Nov 2016. 5. WONCA International Classification Committee (WICC): ICPC-2-R: International Classification of Primary Care. Revised Second Edition. Oxford, United Kingdom: Oxford Medical Publications; 2005.

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6. 山田隆司,吉村学,名郷直樹,浅井泰博,古賀義則,井上陽介,濱崎圭三,三瀬順一,Lamberts H, Okkes IM: 日常病・日常的健康問題とは ICPC〔プライマリ・ケア国際分類〕を用いた診療統計から. 日本プライマリ・ケア学会誌 2000, 23(1): 80-89. 7. 田中勝巳,野間口智,松村真司,福原俊一: プライマリ・ケア診療所における症候および疾患の頻度順位の同定に関する研究. プライマリ・ケア 2007, 30(4): 344-351. 8. WONCA International Classification Committee (WICC): ICPC-2: International Classification of Primary Care. Second Edition. Oxford, United Kingdom: Oxford Medical Publications; 1998. 9. Takeshima T, Kumada M, Mise J, Ishikawa Y, Yoshizawa H, Nakamura T, Okayama M, Kajii E: Reasons for encounter and diagnoses of new outpatients at a small community hospital in Japan: an observational study. Int J Gen Med 2014, 7: 259-269. 10. 村木優一,田辺正樹,渡邉珠代,藤本修平,八木哲也,村上啓雄: 日本における経口剤、注射剤を含む全抗菌薬の使用動向調査(2009-2013年) 日本環境感染学会誌 2016, 31(Suppl): 268. 11. Higashi T, Fukuhara S: Antibiotic prescriptions for upper respiratory tract infection in Japan. Inter Med 2009, 48(16): 1369-1375. 12. Infectious Diseases Society of America; Arlington, VA, USA: Choosing Wisely: Infectious Diseases Society of America. http://www.choosingwisely.org/societies/infectious-diseases-society-of-america/ Accessed 14 May 2016. 13. 国際的に脅威となる感染症対策閣僚会議

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薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/pdf/yakuzai_honbun.pdf Accessed 24 July 2016. Japanese. 14. Gulliford MC, Moore MV, Little P, Hay AD, Fox R, Prevost AT, Juszczyk D, Charlton J, Ashworth M: Safety of reduced antibiotic prescribing for self limiting respiratory tract infections in primary care: cohort study using electronic health records. BMJ 2016, 354: i3410. 15. 厚生労働省 臨床研修の到達目標 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000102821.pdf Accessed 14 May 2016. 16. 文部科学省 医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成22年度改訂版)」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/033-1/toushin/1304433.htm Accessed 14 May 2016. 17. Wooldridge AN, Arató N, Sen A, Amenomori M, Fetters MD: Truth or fallacy? Three hour wait for three minutes with the doctor: Finding from a private clinic in rural Japan. Asia Pacific Family Medicine 2010, 9: 11. 18. Gierk B, Kohlmann S, Kroenke K, Spangenberg L, Zenger M, Bre wait foLöwe B: The somatic symptom scale-8 (SSS-8): a brief measure of somatic symptom burden. JAMA Intern Med 2014; 174(3): 399-407. 19. Herzog A, Voigt K, Meyer B, Wollburg E, Weinmann N, Langs G, L): a b Psychological and interactional characteristics of patients with somatoform disorders: Validation of the Somatic Symptoms Experiences Questionnaire (SSEQ) in a clinical

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psychosomatic population. J Psychosom Res 2015; 78(6): 553-562. 20. Ishikawa Y, Takeshima T, Mise J, Ishikawa S, Matsumura M: Physical symptoms in outpatients with psychiatric disorders consulting the internal medicine division at a Japanese university hospital. Int J Gen Med 2015, 8: 261-266.

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表 Tables 表 1 内科を紹介状なしで受診した初診患者の受診理由の ICPC-2-Rコード上位 30 順位 ICPC-2-R ICPC-2-R項目 数 百分 累積 コード 率 百分率 1 R05 咳 88 11.5 11.5 2 A03 発熱 85 11.1 22.6 3 D02 心窩部痛 55 7.2 29.8 4 D06 その他の限局性腹痛 39 5.1 34.9 5 A91 異常結果の精査 34 4.4 39.3 5 N01 頭痛 34 4.4 43.8 7 D11 下痢 26 3.4 47.2 8 N17 めまい/めまい感 23 3.0 50.2 9 A04 全身脱力/倦怠感 19 2.5 52.7 10 R02 息切れ/呼吸困難 16 2.1 54.8 11 D08 鼓腸/放屁/げっぷ/おくび 15 2.0 56.7 12 D09 嘔気 13 1.7 58.4 12 L01 頚部の症状/愁訴 13 1.7 60.1 12 R01 呼吸器による疼痛 13 1.7 61.8 15 L02 背部の症状/愁訴 12 1.6 63.4 15 U98 その他の尿検査の異常 12 1.6 65.0 17 D01 腹部全体の疼痛/激痛 11 1.4 66.4 17 R21 咽喉の症状/愁訴 11 1.4 67.8 19 A11 その他の胸痛 10 1.3 69.2 19 K07 足首の浮腫/腫脹 10 1.3 70.5 21 K02 心臓の圧迫感/絞扼感 8 1.0 71.5 21 R07 くしゃみ/鼻閉 8 1.0 72.5 21 T81 甲状腺腫 8 1.0 73.6 24 D12 便秘 7 0.9 74.5 24 L03 腰部の症状/愁訴 7 0.9 75.4

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26 B84 説明のつかない異常白血球 6 0.8 76.2 26 D03 胸やけ 6 0.8 77.0 26 D10 嘔吐 6 0.8 77.8 26 D78 良性消化器新生物 6 0.8 78.6 26 K04 動悸/心拍の自覚 6 0.8 79.3 26 K86 合併症のない高血圧症 6 0.8 80.1 26 T03 食欲不振 6 0.8 80.9 その他 146 19.1 100.0 合計 765 100.0 略語:ICPC-2-R, プライマリ・ケア国際分類改訂第 2版

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表2 内科を紹介状なしで受診した初診患者の診断の ICPC-2-Rコード上位 50 順位 ICPC-2-R ICPC-2-R項目 数 百分 累積 コード 率 百分率 1 R74 急性上気道炎(かぜ) 86 11.2 11.2 2 D73 感染を疑う消化管炎症 49 6.4 17.6 3 D87 胃の機能障害 33 4.3 22.0 4 R80 インフルエンザ 28 3.7 25.6 5 D84 食道の疾患 20 2.6 28.2 6 R96 気管支喘息 19 2.5 30.7 7 A97 疾患無し 15 2.0 32.7 7 D06 その他の限局性腹痛 15 2.0 34.6 9 D12 便秘 14 1.8 36.5 9 N01 頭痛 14 1.8 38.3 11 D78 良性消化器新生物 13 1.7 40.0 12 R05 咳 12 1.6 41.6 13 R81 肺炎 11 1.4 43.0 14 B80 鉄欠乏性貧血 10 1.3 44.3 14 D02 心窩部痛 10 1.3 45.6 16 D97 その他の肝疾患 9 1.2 46.8 16 K86 合併症のない高血圧症 9 1.2 48.0 16 L85 脊椎の後天性変形 9 1.2 49.2 16 N95 筋緊張性頭痛 9 1.2 50.3 16 T90 糖尿病、インスリン非依存型 9 1.2 51.5 21 L02 背部の症状/愁訴 8 1.0 52.5 21 N17 めまい/めまい感 8 1.0 53.6 23 A11 その他の胸痛 7 0.9 54.5 23 D75 大腸/直腸の悪性新生物 7 0.9 55.4 23 L01 頚部の症状/愁訴 7 0.9 56.3 23 L03 腰部の症状/愁訴 7 0.9 57.3

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23 R01 呼吸器による疼痛 7 0.9 58.2 23 T81 甲状腺腫 7 0.9 59.1 29 A91 異常結果の精査 6 0.8 59.9 29 D98 胆嚢炎/胆石症 6 0.8 60.7 29 K90 脳卒中/脳血管障害 6 0.8 61.4 29 R75 急性/慢性副鼻腔炎 6 0.8 62.2 29 R78 急性気管支炎/細気管支炎 6 0.8 63.0 29 U70 腎盂腎炎/腎盂炎 6 0.8 63.8 29 U88 糸球体腎炎/ネフローゼ 6 0.8 64.6 36 B70 急性リンパ節炎 5 0.7 65.2 36 D70 病原体の確定された消化管感染症 5 0.7 65.9 36 H82 回転性めまい症候群 5 0.7 66.5 36 K96 痔核 5 0.7 67.2 36 L14 下腿/大腿部の症状/愁訴 5 0.7 67.8 36 P74 不安障害/不安状態 5 0.7 68.5 36 P76 うつ病性障害 5 0.7 69.2 36 T85 甲状腺機能亢進症/甲状腺中毒症 5 0.7 69.8 44 A03 発熱 4 0.5 70.3 44 A75 伝染性単核球症 4 0.5 70.8 44 A76 その他のウイルス性発疹 4 0.5 71.4 44 A85 医薬品の副作用 4 0.5 71.9 44 B02 リンパ節腫脹/疼痛 4 0.5 72.4 44 D01 腹部全体の疼痛/激痛 4 0.5 72.9 44 D08 鼓腸/放屁/げっぷ/おくび 4 0.5 73.5 44 D11 下痢 4 0.5 74.0 44 D86 その他の消化性潰瘍 4 0.5 74.5 44 D92 消化管憩室 4 0.5 75.0 44 L99 筋骨格のその他の疾患 4 0.5 75.6 44 N06 その他の知覚障害 4 0.5 76.1 44 P75 身体化障害 4 0.5 76.6 44 R72 溶連菌性咽頭炎 4 0.5 77.1 44 R99 その他の呼吸器疾患 4 0.5 77.6

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44 U99 その他の泌尿器疾患 4 0.5 78.2 その他 167 21.8 100.0 合計 765 100.0 略語:ICPC-2-R, プライマリ・ケア国際分類改訂第 2版

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表 3 内科を紹介状なしで受診した初診患者の初診日の転帰 転帰 数 百分率 終診 301 39.3 内科系診療科予約 310 40.5 他の医療機関に紹介 64 8.4 内科系診療科予約+他の医療機関に紹介 19 2.5 即日当院入院 15 2.0 当院入院予定 3 0.4 救急外来→帰宅 7 0.9 救急外来→即日当院入院 15 2.0 救急外来→他の医療機関に転入院 3 0.4 院内他科受診 23 3.0 院内他科受診+内科系診療科予約 4 0.5 院内他科受診+他の医療機関に紹介 1 0.1 合計 765 100.0

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図 Figures 図 1 2012年 4月から 2016年 3月までの金曜日に市立池田病院内科を紹介状なしで受診した初診患者 765 名における ICPC-2-R を用いて分類した受診理由の頻度.凡例:A = 全身および部位不特定;B = 血液・造血器・免疫機能;D = 消化器;F = 眼;H = 耳;K = 循環器;L = 筋骨格;N = 神経;P = 心理・精神;R = 呼吸器;S = 皮膚;T = 内分泌・代謝・栄養;U = 泌尿器;W =妊娠・出産・家族計画;X = 女性性器(乳房を含む);Y = 男性性器;Z = 社会問題.

A (n=155 20.3%)

B (n=16 2.1%)

D (n=210 27.5%)

F (n=3 0.4%) H (n=0 0.0%) K (n=42 5.5%)

L (n=62 8.1%)

N (n=69 9.0%) P (n=4 9.0%)

R (n=146 19.1%)

S (n=9 1.2%)

T (n=28 3.7%) U (n=21 2.7%) W (n=0 0.0%) X (n=0 0.0%) Y (n=0 0.0%)

Z (n=0 0.0%)

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図 2 2012年 4月から 2016年 3月までの金曜日に市立池田病院内科を紹介状なしで受診した初診患者 765名における ICPC-2-Rを用いて分類した診断の頻度.凡例:A = 全身および部位不特定;B = 血液・造血器・免疫機能;D = 消化器;F = 眼;H = 耳;K = 循環器;L = 筋骨格;N = 神経;P = 心理・精神;R = 呼吸器;S = 皮膚;T = 内分泌・代謝・栄養;U = 泌尿器;W =妊娠・出産・家族計画;X = 女性性器(乳房を含む);Y = 男性性器;Z = 社会問題.

A (n=55 7.2%)

B (n=27 3.5%)

D (n=232 30.3%)

F (n=3 0.4%) H (n=5 0.7%)

K (n=44 5.8%)

L (n=55 7.2%)

N (n=45 5.9%)

P (n=19 2.5%)

R (n=202 26.4%)

S (n=8 1.0%)

T (n=36 4.7%) U (n=26 3.4%) W (n=0 0.0%) X (n=1 0.1%) Y (n=7 0.9%)

Z (n=0 0.0%)

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図 3 2012年 4月から 2016年 3月までの金曜日に市立池田病院内科を紹介状なしで受診した初診患者 765名の他の医療機関受診および抗菌薬処方の有無.ICPC-2-Rを用いて分類した受診理由の分野別に当院受診前の他の医療機関受診の有無と他の医療機関受診での抗菌薬投与の有無とで分けて示した。右端の受診理由が発熱(A03)と咳(R05)とであるものは、それぞれ左側の全身および部位不特定(A),呼吸器(R)の件数と重複して示してある。凡例 (n=他医療機関受診なし, 他医療機関受診あり抗菌薬なし, 他医療機関受診あり抗菌薬処方あり):A = 全身および部位不特定 (n=113, 21, 21);B = 血液・造血器・免疫機能 (n=14, 2, 0);D = 消化器 (n=152, 55, 3);F = 眼 (n=3, 0, 0);H = 耳 (n=0, 0, 0);K = 循環器 (n=35, 6, 1);L = 筋骨格 (n=44, 19, 0);N = 神経 (n=53, 16, 0);P = 心理・精神 (n=4, 0, 0);R = 呼吸器 (n=95, 24, 27);S = 皮膚 (n=8, 1, 0);T = 内分泌・代謝・栄養 (n=18, 9, 0);U = 泌尿器 (n=16, 4, 1);W =妊娠・出産・家族計画 (n=0, 0, 0);X = 女性性器(乳房を含む)(n=0, 0, 0);Y = 男性性器 (n=0, 0, 0);Z = 社会問題 (n=0, 0, 0);A03 = 発熱 (n=60, 7, 18);R05 = 咳 (n=54, 12, 22).

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0

50

100

150

200

250

他医療機関受診なし (n=555)

他医療機関受診あり抗菌薬処方なし (n=157) 他医療機関受診あり抗菌薬処方あり (n=53)

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図 4 2012年 4月から 2016年 3月までの金曜日に市立池田病院内科を紹介状なしで受診した初診患者 765名が他医療機関で処方された抗菌薬の種類 (n=53)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

マクロライド (16) 第3世代セフェム (9) ニューキノロン (8) ホスホマイシン (4) ペニシリン (4) 不明 (12)

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