九州大学学術情報リポジトリKyushu University Institutional Repository

スポーツセンシュニタイスルシンリテキキョウギノウリョクノトレーニングニカンスルケンキュウ(1) :イメージ・トレーニングノヨビテキチョウサ・ジッケン

徳永, 幹雄九州大学健康科学センター

橋本, 公雄福岡工業大学

https://doi.org/10.15017/435

出版情報：健康科学. 6, pp.165-179, 1984-03-30. Institute of Health Science,Kyushu Universityバージョン：権利関係：

165

資　料

スポーツ選手に対する心理的競技能力の

トレーニングに関する研究（1）

一イメージ・トレーニングの予備的調査・実験一

徳永幹雄＊橋本公雄＊＊

A　Study　on　Training　of　Psychological－Competitive　Ability　for　Athletes（1）　：

Preparative　lnvestigation　and　Experiment　of　］lmage　Training

Mikio　TOKUNAGA＊　Kimio　HASHIMOTO＊＊

緒　言

　スポーツ選手の心理的競技能力はスポーツの競技成

績を規定する重要な要因である。その意味でスポーツ

におけるトレーニングは休力のトレーニング，技術の

トレーニング，心理面のトレーニングの三木柱として

実施することが望ましい。とくに，トップレベルの選

手にとっては心理li勺競技能力は重要な要因であること

が指摘されてきた。

　Nideffer　lo）やUnestahl　7）は世界各国で行われて

いるスポーツにおける心理的技法の利用を表1，2の

ようにまとめている。我国でも勝部5）6）や藤田ユ）など

の先駆的研究があるが，その多くはイメージ，催眠，

自律訓練法，筋弛緩法などを利用した運動技能学習の

トレーニングが中心であった3＞4＞11）15）。

　木研究の口的は運動技能学習に中心におくのではな

く，スポーツ選手に対してイメージ・トレーニングな

どの心理的技法を川いて，スポーツ場面においてファ

イトを出すこと，作戦遂行能力，試合前の：不安や緊張

の解消，試合中の不満や怒りの抑制，目標設定と意欲

の向L，集中力の向ヒ，人間関係の向ヒなどの心理的

競技能力のトレーニングについて，その方法論と効用

性を検証することである。すでにMartens　g）はイメ

ージ・トレーニングの研究をレビューして「スポーツ

におけるイメージ」の中でイメージ・トレーニングは

技術のトレーニングに有効なだけでなく，心理的競技

能力にも有効なことを解説している。これらのメンタ

ル・トレーニングについてはOrlick　i2）らによって世

界各国の研究が紹介されている。

　画稿はその予備的調査として大学生を対象にイメー

ジ能力やその利用度を調査した。同時に，予備的実験

として心i理的競技能力のためのイメージ・トレーニン

グを実施した。これらの結果から，この研究テーマの

今後の手がかりを得ようとしたものである。

方　法

1．対　象

　イメージ能力とその利用度については表3のとおり

である。九州大学，福岡大学，福岡工業大学及び九州

大学医療短大部のテニス部員で男子80名，女子28名で

ある。また，トレーニングAでは九州大学テニス部員

36名，トレーニングBでは九州大学卓球部員20名であ

った。

2．時　期

　イメージ能力とその利用度については昭和58年3月

から5月の期間に調査した。イメージ・トレーニング

＊　lnstitute　of　Health　Science，　Kyushu　University　11，　Kasuga　816，　Japan

＊＊　Fukuoka　lnstitut．e　of　Technology，　Simovv’ajiro，　Fukuoka－shi　811－02，　Japan

166 健　 康　科　学 笛6巻

Aは昭和58年3∫116Uから3　n　22［．．iまでの71．1問で，

イメージ・トレーーニングBけ：6月27口から7月2日ま

での5「i間であった。

3．内　容

　イメージ能力については資料1にみられるように4

つの課題，つまり，自分がテニスコートで練習してい

る場面，自分が練習中に失敗している場面，チームの

仲間が試合で失敗している場面，自分がある大会で活

躍している場面に関する文章を各自で読み，約1分間

目を閉じてイメージを描き，視覚，聴覚，筋運動感

覚，感情の4つの側面からイメージの鮮明度を5段階

の回答カテゴリーで求めた。

　イメージの利川度は通常の技術練習，試合前の作

戦，集中力の向上など12の」：易面を設定し，それぞれの

場面でのイメージの利用度を5段階の回答カテゴリー

で求めた。

　イメージ・トレー一・　＝ングAの概要は表4のとおりで

あろ。1回目はスポーツにおける心理面のトレーニン

グの必要性を解説し，イメージ能力の調査を実施し

た。次に，資料2，3にみられるようなイメージ・ト

レーニングの理論的背景と実験計画について説明し

た。第2回口はリラクゼーションの訓練としてシュル

ツの自律訓練法の第1公式（重感練習）を／刑｝t尺位で実

施した。3回目以後は前．半に自律調練法によってリラ

クゼーションの訓練をした後，イメージ・トレーニン

グを実施した。その内容は技術練習，作戦能力，感情

のコントロ…ル，集中ノJ，自信の向ヒなどであ7・。合

計7セッションを実施した後，イメージ・トレーニン

グについての感想を調査した。なお，4　1！一iMと5回口

の1・レー二．ング内容を資料4，5に示した。イメージ・

トレーニングBの概要は表8のとおりであろ。1・レー

ニングAとほぼ同様のオリエンテーションを行った。

ただ，リラクセーシuンの訓練時に自律訓練法を実IJjli

しながら「GSR2」バイオフィードバック・トレーナ

ーを利用したことが異なる。また，各セッションを約

20分闘とし，仰臥位で室内を薄暗くして実施した。6

セッションを計面したが，1訂求部の都合で5セッショ

ンとなった。その内容は前半は自律訓練法を（．∫いなが

ら「GSR　2　iバイオフィードバック。1・レーナーを聞

いてリラクゼーションの訓練を実施し，後半は調子が

表1．　．1｛ll界各地においてスポーツ動作の向．ヒに用いられている心理的技法（Unestahl，1982）

1．　INDIA　：

2．　CHINA：

3．　PERSIA：

一1．　UNITED　STATES：

tt，．　CANADA：

6．　BRAZIL：

7．　ISRAEI．　：

8．　ITALY：

g．　la”RANCE：

10．SWITZER　LへND：

11．　ENC，LAND：

12．　GERMANY：

13．　RUSSIA：

14．　DENMARK1．5．　SWEDEN：

Zen－meditation，　TM，　Hatha一一yoga

T’ai　Chi，　Kung　Fu

Mazdaznan

Progressive　relaxation　（Jacobson），　Relaxation　response　（Benson），

Dynamic　tension　（Atlas），　Bioenergetics　（Lowen），　Gestalttherapy

（Perls），　Structural　intergration　（Rolf），　S．v・stematic　desensitization

（NVolpe），　Covert　conditioning　（Cautela），　Symbolic　modeling　（Ban－

dura），　Emotive　imagery　（Lazarし1s），　Psychoimagination　therapy

（Shorr），　Emergent　uncovering　（Reyther），　Breathing　therapy　（Jen－

cks），　Visuomotor　rehearsal　（Suinn），　Think　Training　（Pulos），　Atte－

ntion　Control　Training　（Nideffer）

Psychogynanastics　（Junova，　Knobloch）

Terpsichotrancetherapy　（Akstein）

Movement　a“rareness　（Feldel〈rans）

Psy・chosynthesis　（Assagioli）

Eell’一massage．　（Ruffier），　Passive　movements　（Micheaux）

S，Sel（’一・analysit　（Bezzda），　Acti．ve　iin）agination　（Jung）

Alexander　inethod　（Alexar］der），　Release　therap．v　（Bl－vthev）

Ftinctional　relaxation　（Fuc，hg．），　．Autogenic・　tra’ining　（Schultz），　（．．；uided

affective　imagery　（Leuner），　Sensory　co11sciOUsエユess　（Gilldler）

Ps－vchoregulation　（Roman）

Eutoni　（Alexander），　Lymphdrainage　massage　（Vodder）

Tnner　Mental　Training　（Unestahl）

徳永ほか：ス）“　一一ツ選手に対する心理的競技能力のトレーニングに関する研究（1） 167

表2． 競技者の動作を向．J．iするために用いられる心理的・医学的技法（Nideffer，1981）

　　　　　　　　　　2．

　　　　　　　　　　3．　Selectlon　and　Screening．

　　Physical　Responses

1．　Use　of　phamaco］ogical　agents　（e．g．

　　aspirin，　valium，　prednisone，　etc．）　to

　　directly　affect　physical　symptoms．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　Situational　Stressor

1．　Attitude　change：　lmplosion，　Systematic　Desgnsitization，

　　Positive　Thinking，　Rational　Emotive　Therapy．

　　Environmental　Contro／．　（Avoidance）

2．　Biofeedback

3．

4．

5．

6．

7．

（Prevention）

Progressive　Relaxation

Breathing　exercises　（“centering”）　4．

Autogenic　Training　6．　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Perfomance　Problems

　　　　　　　　1．　Getting　the　athlete　to　overlearn　a　response．

　　　　　　　　2．　Developing　accomplishable　short　term　goals

　　　　　　　　　　the　ultimate　goal　or　performance．

　　Psychologic；al　Responses

1．　Use　of　pharmacological　agents　that

　　t’ocus　on　reduction　of　anxiety　and　tho－

　　ught　disturbances　（Tranquilizers，　am－

　　phetamines，　mood　elevators，　alcohol，

　　barbiturates）．

2．　Extemal　interventions　by　the　These

　　include　the　provision　of　structure，　su－

　　pport，　distraction，　attentional　redirec－

　　　t圭on．

　　　Mental　Rehearsal　and　Discrimanate　Cue

　　　Analysis．

　　Cognitive　Behavior　Modification．

　　Attention　Control　Training．

　　Hypnosis－Self　H．vpnosis．

that　lead　to

男

女

」．7一’

寸．

一J一一

表3．　調査対象

ナし　　　ネ岱　　　ネ吊　　　プし

少卜l　　　i岡　　　1瑚　　　ソく

プく　　　ブく　　　Jl．1　　　【袋

学学大短42　19　12　710　6　　　3　　　9

計

80人

28人

良かった時の再現，集中力，作戦能力，技術練習，II，1

信や意欲の向ヒなどのイメーージ・！・レーニングを実施

した。な；お，リラクゼーションやイメージの指示はす

べてテープレコーダーを川いて与えた。

　　　　　　　　　　　　　　結果と考察

1．イメージ能力とその利用度

　イメージの4課題に対する回答に対して最も鮮明な

イメージに5点を与え，以下，4，3，2，1点とし

て視労よ，1随ヒ覚，筋感：覚，感’情ごとに合訓’した得ノ慧C各

感覚とも得点の幅は5～20点）をイメージ能力とし

た。

　性別，技能別1．こ平均値と標準偏差を算出すると表

6，7及び図1，2のとおりである。性別では男子の

イメージ能力がやや高かったが，いずれの感覚にも有

意な差は認められなかった。男子の得点がやや高かっ

たことは女子の上級者，中級者が男子に比較して少な

かったことが原因しているものと思われる。

　技能別にみると男子では．L級者（九州学昼三選手権の

木戦出場者）のイメージ能力が最も．高く，次に中級者

（2年以．．ヒ0）経験者で同大会の予選落ち）で，’初級者

（大学人学後に入部し1年未満の経験者）は最も低か

一・た。この傾向は視覚，聴覚，筋感覚，感情の感覚で

同様な傾向がみられた。いずれのイメージ感覚でも一E

級者と初級者の平均値は有意であった。しかし，女子

では顕著な技能差は認められなかった。このことは女

了・の対象数が少なく，上級者と中級者を同一グループ

168 健　康　科　学 第6巻

表4，　テニス部員のイメージ・トレーニングの内容

塑剛数回　墨脳所・姿劉一山内三一．1一＿塁＿帆」山山ゴ㌔一一一

．脳慌1腔1簿協　　　　　　　　　　　　　　2回目：19…～・9・・6断イ［靴〃一・

．3^17（木）i（・6分目潰の」1・仰臥位

3　回　目3／18（金）

20．00N　20．20　．

　（20分）

ll

津男72

功ラクセ＿

：　　　ション

技術練習

1シJ．ノレツの自そ皆練～去（第1公式重感繍ザ1、職

．1「1脚煙：たし’のの細

4　回　目3／19（土）

・2．、。～・2．，。1グラウンド，芝［　　l

　　　　　　　　　　　　　　l作戦能力t．一．（『吻＿〔聖些！闘寸言⊥⊥．．．　　，

・2…一・2・2・屡ス・一剛感情の。ン1

　（2・分）1中，座位　i団一ノレ　　　　　　1

自律訓練法，サービス及びボレーの技術練習時の

動作をスローモーションなどでイメージに描く

5　回　目3／20（11）

　自律訓練法，シングルの作戦について試合開始まで，自分の戦法，ゲームポイントの決め方などをイメージに描く

「三輪㈱去，飴織女台までの灘のif、J－1，，ミス・

1ジャッジに対する冷静，．最後まで頑張る，などをイメージに描く

轍ボ2齢。幽肛聯燃編塾主槻1藷総聡ギン　　　　　　　　　　　　i　i　　　　　　　　　　1

7　回　日3／22（火）

　　　　　　i12．30一一一13．10　1

　（45分）　1

ノノ

l　　　　　l自律訓練法，復習としてサービスのフォーム，駐

聡復習：薪劃5乏磯回蝉撃㌔1聲鯉蝉魏i滋　　　　　　1する調査

　　　　　　　　　　　　　　表5．　卓球部員のイメージ・トレーニング内容

期日・回数1時半　間…場所・姿勢1主内容　　 具　　休　　的　　内　　容　　　　　　セ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

一㌔ll撃墜？20、簿欝繕壁越ぎ轟際擁壁マ

．磯燦礎生∴…．藤野酵総1蟄轍編艇縦l136／，河水F…卓球部の融で・1－1止

、回目1・8・3・一・8・5・1

6／30（木）　　　　　：　（20分）

　　　　　ヨ　　　　　　　　　　　　　

、／瑚18瀦●50　・i

　　　　　i6回目i18・30～19・10…7／2（⊥）1（4。分）

1！

1／

！ノ

　　　　　　　自律訓練法＋GSR　2バイオフィードバック，観

集中力信濃鳶撚縦｛認奮撫蕊鞍欝轡　　　　　　［一ジに描く

　　　　　．「島奮辮錫．婁競ご射込気トし雛攣食

1作戦能力　　　　　　　マッシュ，デュース後，セット間，マッチポイン　　　　　　　｝Σなど．：での．戦術1をイー～玄ニジに描一く　一…＿一　一一一

技鰍習，1． �h諦無論磁灘綜擁碧填2囎餓　臼信。意：欲iく。イメージ能ノJ及びイメージ・トレー二．ングに　　　　　　．i関す．ノ1調査．．．t一．．．．一一．　．　．一一一

としたことで顕著・な差が認められなかったものと考え

られる。

　次に，テニスの練習や試合場面でイメージが利用で

きうと思われる13の場面を設定し，男子についてのみ

その利用度を調べた。利用頻度の高い回答に5点を与

え，以下を4，3，2，1点として，技能別にき［べ均値

を求めた，，結果は図3のとおりである。全体的には技

術練習や作戦練習のための利用度が多く，その他の心

王ll的競技能力のための利用度は少なかった。技能別に

みるとヒ級者ほど技術練習を除く，試合前の作戦，試

合中の作戦変更，試合後の反省，試合でファイトを出

すこと，目標設定と意欲の向．ヒ，試合前の不安や緊張

徳永ほか：スポーツ選手に対する心理的9｝lg，？技能力のトレーニングに関する研究（1） 169

表6． イメージ能力の得点比較（’「il．’ジf）

＼イ7ニジ視　覚　　　＝lt・・N．．・　1．ty－g．　．　s．D

男子17914．53．28女子12814．22．54

　　t　　ホ灸　　フヒ　　　　　　0．435

聴　　覚

M　SD11，2　3．13

10．6　2，88

　　0．882

筋感覚

M　SD13．2　2．98

12．8　2．97

　　0．432

感　　　’情　　　　　言卜

A・1　SD　l　M　SD

13，2　3．01152．310．46

13，1　2．14151．2　7，70

　　0．160　i　O．410

有意差なし

　　　　　　　　　　　　　　　表7．　イメージ能力の得点比i咬（技能、）llf）

×一一一一一　一一一．イメージ厩覚1艶1覚筋騨

＼技添IN＼．M．rDIMSD．N獲…．rD男上級者・・i・5・4＊3・37　i　12・4＊3・・4：14・・＊＊2・69

　　1t11級者、30　i　15．13．15、11・03．1512・93・0313・0子鰍．者…・r　113・・2・9・…．1…2・9312・52・77・2・・

女一ヒ．、1．・級者、6、4．32．979．83．。91　12．93．28・4．1

　　　　　　　　　　　　

子初級者■1214．21．8211．72．17112．62．5012．9

　　　　注　＊P＜，05　＊＊Pく．01　（1・．懸者と初級者’のt継穂’：）

　　　　　　　初級者は1年以内，中級者は2年以ヒの経験者，

感♂土’t一．．

M14．5＊　2．60

情　1　計一一一一

@一1　・　　一一　一一SD．．1　．．“ii　．一…S．．D．

　　　　56．9＊＊9．71

2．92　1　52．0　10．75

3．11i49．3　9．49

1．70　151．1　8．82

2．47　151．3　5．88

ヒ級行は57年度夏．季

または58年度春．季九州｛’y：生選手権の冷戦（64．」＼）111場．首

男

10　11　12　13

子

14　15 16 9 10 11

女 子

視　覚

聴　覚

筋感覚

12？　13　14　15

感　情

　　　　　　　　　　　　　中級一者

　　　　　　　　　　　　　　　レ’

　　　　　　　　　　　　　　ノ初級者　　　　　1’　　　　　　　　　　ノ　　雪　　／　　　　ノノ　　A’　　　×

　　　　　＞N

　　　　　　　＞N

　　　　　　　　　Nt　A

　　　　　　　　　　も

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　上級者　　　　　　　　　　　：

　　　　　　　　　　2

，，．．．pt，，．．A．．．．，

r－ny一■■一”一〒一一一r一一一r一一r一「

　上級

。く

　　イメージ得点

・中級者　　　　，7　　　　　　　　　　t

↑　！イ　　　　　一　」

く’初級者

　　　　）×

xt

ts

i

図1．

」哺＿一L一＿＿L騨＿■■」旧＿一」一

テニス部員の技能別にみたイメージ能力の得点

170

得

点

56

54

5L）

50

48

男　∫・

・健　康　科　学　　　第6巻

女　ゴ・

ヒ　中級　　級昔　　者

初

級者

踏虐硲繰

三陸跡．

齢芒r

p穏滋で

f一．

中

級者

図2．テニス部員の技能別にみた

　　　イメージ能：カの合計得点

初

級者

の解消，試合中の不満・怒りの抑制，人悶関係の向

一L，集中力の向．ヒ，苦境に耐えることなどにイメージ

を利用している傾向がみられた。これらの心理的競技

能力ではヒ門門についで11i級者の利川が多く，初級．者

は最も少なかったQただ，通常の技術練習，新しい技

術練習，欠点をなおす練習などの技術練習場面では初

級苔の利川度が最も高く，中級者は最も低いという興

味深い結果が得られた。

　次に，テニスの練習や試合でのイメージの利川価値

をみると表8のとおりである。「非常に価値があろ」

と答えた者は：男子27．5％，女了・17．9％とやや少なかっ

たが，「かなり仙仙がある」を含めると男女とも約8

割が認めていることになる。技能別にみると上級者ほ

ど利用価値をi’；liiく認めている傾向がみられた。

　これらのことから，イメージ能力には男女間に顕著

な差はないが，技能別にみると上級者ほどイメージ能

　回　　答イ

　メ　　肢利＼、“

用ノぞ

2，

ほレとtT

んにどはなあ

いる

が

：3　．

すしるな

｝いぎと

もき

あも

れあばる

4，

い．よ

つく

もあ

でるは

な

し、

か．

5，

Li

つも

あ

る

1．通’常の技術練習

2．新しい技術糸口習

3．欠点をなおす練習

4．試合前の作戦

　試合中の作戦・変5．

　史

6．試合後の反省

・・三重！アイトを

・渦轡定と意欲の

・・魏縮鞍や緊

　試合中の不満・10．

　怒りの抑制　　●

11．　人間関係の向ヒ

12．集中力の向ヒ

13．苫境に耐えること

　へ　　　　　o●

＼忘　　　　　　1，　VX．．

　　　　　K・　g

］ld＞．v　e．／’No

　　　　　　　　　　初級者ぐ・

、←一一中頭　ら　　む

図3．テニスの練習や試合場面でのイメージの利用度（男子大学イ1｛）

注．初級Kはr年以内，中級者は2・年以⊥の経験者，一ヒ級蓄は57年度　　夏季または581卜度春季九州t∫：th選．f権の本戦（64人）へのi．B場者

徳永ほか：スポーツ選壬に対する心±tg的競技能ソJのトレーニングに関する研究（1）　　　　171

力が高かった。イメージの利用度もヒ級者ほど高く，

利用価値も高く評価していた。ただ，技術練習では初

級者の利用度が高いことなどが明らかにされた。

2．イメージ・トレーニングの実験

　（1）テニス部員へのイメージ・トレーニング

　実験方法は前述のとおりである。イメージ・トレー

ニングへの参加者は表gのとおりである。学生の合宿

練習中に実施したが，途中で対外試合に参加したり，

都合で欠席した学生が多く，参加者は…回しなかった。

最終口にイメージ・トレーニングについての感想を調

査した。表10は全体的感想である。全体的にはイメー

ジ能力は以前より浮かぶ（「かなり浮かぶ」と「すご

　表8．テニス練習や試合でのイメージの利用三三　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（％）

、t．　』．　　　　　．　．．．一一一　’　1　　　　　　　　一．ヒ　へ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

＼＼ _、価倒∫紺llがllが疹紬｝た　　　　　＼＼　　　 1常あ　なあ　しあ　旧く

　　　　　　　　　　　に二る　りろ　はる　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はな

＼．2ヤ薮＼；細1■1事い　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

男初級劃29！2・・758・62・…

　　1中級者i3125．838．735．5　0三編12・、4…45・015・00

子・計．｛8！．｛271547・・2・1・・

女溜．醤i：i繍僧：ll　　l』一．．＿．　　一＿　　　　　　　　　　　　　　．一

子1：’v1281i・．9．・7．・25．・．・

し浮かぶ」）ようになった者が67．7％で，以前よりイ

　　　表g．　イメージ・トレーニングへの

　　　　　　　参加苔数（テニス部）

　　　　　　　　　　　　　　　　L

1回日2　pt

3　f／

4　　n

s　　n

6　，t

7　11

男　子

　10人．

　13

　12

　21

　7　14

　20

女　子

　7人　　6

　　6

　　7

　　7

　10

　10

計

17人

19

18

28

14

24

30

　表10．イメージ・トレーニング後の感想（テニ・ス部）

縞1幽1……羽ll峯1．計

ゴ嚇蝋に醐で1柑髭ill：：歪l11鋼灘：1ぞ）

力1以前とあま：りかわらない．8［3　11（32．4）　　i’．．”．　1．　．r・　・．；・t－t［　一1’　．．1

イ　：以前より非常に多く使川　OIO　O

論戦劉、1汐鵬1：1；恥1111とあまりかわらな・・7i・｛1・（29・・）

，。．

纉�Oてみたいi8…1・i・（25．・）

’「できれば側目したいi・8igl　27（7…）

「II｛一陣マ兜轡上回丑L鉱＿．

　　表11．　イメージ・トレーニングの参加回数別感想（テニス部）

　　　　　　　　　　　　　　　　i’””’”“一　［’’’”

設　＼略直参醐練劇範士養茄

li塑欝轡泌（，。．函1人舅…踊とあ翻わ1ない隈7：：註、1欝）

∵墜り鷹多1使川｝：　（11．1泊1

ジ使｛　〃　　すこし　〃　　　　15　（83・3）　1　4　（30・8）

　月判　　　　以前とあまりかわらない　　旨　1　（5．6）　　i　9　（69・2）

　　　　是非使用してみたい　i4（2・・1）〔3（23・1）

　　　　できれば闘したい　115（78・9）；10（76・9）　図1　　　　偵用してみるつもりはない　1　0　　　　　E　O

　172　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　健　　肩乏　　不こ1一

ジを多く使用（「かなり使用」と「すこし多く使用」）

するようになった者が70．6％であった。将来のイメー

ジの使用意図（「是非使用してみたい」と「できれば

使回したい」）は全員にみられた。イメージ・トレー

ニングへの参加回数別にこれらの／頃向をみると表11の

とおりである。参加回数の多いXi’（5回以L）ほどイ

メージが浮かぶようになった傾向がみられ，参加回数

の少ない者（2LLli以下）の約8害【1はほとんど変化がな

かったことが示されている。また，実際に使用したか

否かについても，参加回数の多い者ほど使用経験があ

ったことが明らかである。しかし，将来の使用意図に

ついては参加回数に関係なく，全員に意図が認められ

た。

　次に，自由記述にもとづいてイメージ・トレーニン

グの感想を求めた。主なものを示すと表12のとおりで

学　　　第6巻

　ある。全体的には好意的記述が多いが，集団でしたこ

　　と，・途中で眠くなること，周囲の騒音，イメージの与

　え方と内容，現実場画での利用方法などに問題がある

　　ことが指摘されている。

　　Tutkoユ3）14）は1日20分間，6逓1聞にわたるプログ

　　ラム（muscle　relaxation，　breathing　control，

　1“ocusecl　attention，　mental　imagery，　probleni

　solving　and　body　rehearsal）を米国の選手に

　実施し，　Unestah18）は1FUO～25分間．　12週聞の

　プログラム　（muscular　relaxation，　mental　re－

　laxation，　dissociation　training，　goal－progr－

　aming　training，　ideomotor　training，　syste－

　matic　desensitization，　problem－solving，

　self－con｛’idence　training，　concentration　trai－

　1］illg）をスウェーデンの選手に実施して，その有効性

　　　　　　　　　　　　　　表12．　イメージ・トレーニング後の感想

7回参加，女子

　最初はまったくはじめてのため，イメージはほとんど浮かんできませんでしたが，何回か受けうにつれて，

少しずつ浮かぶようになりました。特にリラックスするのが，とてもよくできるようになりました。精神的

安定に非常に役立った。試合前の作戦で時々イメージを描いていましたが，今度の春季大会で少し活用して

みたいと思います。ただ，このイメージ・トレーニングの時はまわりの雑音やたくさんの人がいたために，

集中できなかった。一・一一一入で静かな所でやりたかったと思います。

6回参加，男子

　練習試合の時にイメージ・トレーニングを利川して心を落ち着けられた。日頃からイメージ・トレーニン

グをしていれば，試合でそれなりに効果が出ると思う。特に負けている時，自分のテニスがわからない時に

役に．立った。

7回参加，女子

　実際に試合中に利用するのはなかなかうまくいかないようだ。もう少し長期のトレー．：ングが必要だと思

う。練習の後に体力トレーニングがあり疲れていたので，途中でねむりかけてテープを聞いていない時があ

った。f中々面白い。意味のある訓練法だと思います。

7回参加，男茎・

　作戦など高度なことはよくわからないが，技術面でイメージをしっかりつかんで練習するとよいような気

がした。

7回参加，女子

　経験が浅い初心者なので，技術のイメージはあまりわかなかった。試合中の作戦や感1情のイメーージ・トレ

ーニングは実際のゲーム中にはなかなか考えろ余裕がないので，この練習は有効なのではないかど思う。疲

れているときに，リラックスするのでついねむくな一ってしまうことがあった。

6回参加，：！・’ji

　試合などで起るミスも1’［分の気持の持ち慣しだいで自分の試合にゾラスにしていけるように思いました，，

そして，心理的に強くなることは大切なことだと思いました。

3回参加，男子

　　トレーニングを受けた回数が少なかったので，あまり効果みたいなものをはっきりと感じるまでにはいか

なかったが，これから何かつかめそうな気がすろ。

徳永ほか：スポーツ選手に肘する心理的競技能ノJのトレーニングに関する研究（1） ユ73

を報告している。

　これらの実験に比較すると今回は極めて短期間でプ

ログラムも簡略化されていた。問題は多々あるとして

も，個人の主観II勺判断による調査結果からみる限り，

参加回数の多い者ほどイメージ・トレーニングの効緊

を認め，参加回数に関係なく将来の使川意図がみられ

たことは今後の明るい材料であった。今回は実験条件

も厳密にせず，日頃の練習中に時間を設定して，暗中

模索のうちに実施したが，その後の大会で著名な成績

を残した者も数名現われた。

（2）屯田部員へのイメージ・トレーニング

テニス部員へのトレーニングと異なることは実験前

　　表13．　イメージ・トレーニングへの

　　　　　　参加者数（卓球部）

　　　　1一勇列一一女子i－1トー

　　　　　　　14人　；　　　6人　1　　20人1回目2’ j／’

P　7i　o’1　73／i　l　7　1　o　l　74　　”　　［　8　　1　O　　l　8・〃

D」．一一一．｝・．…一一一一9…一一．・9

表14．　イメージ能力の得点変化

氏＼学年廓・（経繍高評工数蜘］

石プ能騨口回　　　　　　＼覚一

筋　　感

感

覚　　情

　　i

計　1変　化

　　L

1．木○和○旨

2・内○利。．

3．藤○智0

4．青○秀○

　1（？）

　1（2ケA）

5

2

1

2

1

2

ユ3　　14

14　10

14　710　5

13

11

8

6

　　　　　　i　　2　　1　　　　　　i（4一魁生・

　　　　　　　　　1　　　　　　1・（・朔）E3…

　　　　　　　　　2　　1　ii

轍○克○…（・年）il…

　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　　　2・．山○祐○…（，．　、・．ll）！・1

　　　　　　　　　　　　　　　1　　　　　　i　2　　i7・松○啓Ol（5　年）…4

　　　　　　1　3　i　l8・横○雅O（8年）14

　　　　　　1　3　［・・遠○研○、（，．、年）［5i

　　　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　　　　110・渡○稔 P（・年）i5旨

　　　　　　　　　　　　M　　　　　　　1回目　SD

　　計一一一一一一一　　　　　　1・朋晶

　1　　　　16　　14

　2　　　　14　　11

　1　1　　11　　　8

2…12　9　　1　1　　　　13　　14

　2　｛　　14　　12

　1　i　　14　　　9

　2　　　　13　　10

　1　t　11　　9　　　　

　2　1　　13　　13一．

P　　．一…・一一e－

　1　　　　11　　　5

　2　　　　14　　　6　　　I

l「

一一A…

・｝

　1｛一．一　一＿

　2

9

11

10

11

10

14

13

14

13　10143　　　　　i13 |3．ユー『1、

　　　　　　9　　　9　1　34

14　　11　145　　　　　1

10　5011　1　46　．1　”．

9　387　2811　i　50

　　1　so14　”．rL　．TJ．

g1　3s　　i10　1　42

　　け「11　i　4813　1　53

15　1　51

14　L　51

　×

1×

！　A

　oi

　o

l　zlx

13．4

1．96

13．6

1．74

0．309　O．413　1．677　1．068　1．263

i4　s　n　i614915　13　15　14i57

17　15　15　16　　1　63

17　18　15　16　　1　66

　　10．3　11．1　11．6　46．4

　　3．41　2．17　2．76　7．99

　　10．7　12．4　12．2　48．9

　　3．53　2．61　2．44　9．45

平均値のt検定（2－1）

o

o

o

o

o

（注）t検定の結果，有意な平均値の変化は認められない

174 健　康　科　学 課6雪

後にイメージ能力の調査を実施したことと，リラクゼ

ーションのトレーニングに「GSR　2．「バイオフィード

バック・トレーナー（皮膚の電気抵抗を音にかえ，そ

の音の変化をイヤホーンで聞きながらリラクゼーショ

ンσ）トレーニングをすろ機器）を川いたことであろ。

　参加者は表13のとおりである。第1回口は多くの部

員が参加したが，2回目以降は3，4年生及び女子部

員が練習時間との関係で参加できず少人数となった。

実験前後のイメージ得点を比較すると表14のとおりで

あろ。4つの感覚及び合計得点の平均値は若7「高くな

ったが，いずれにも有意な変化は認められなかった。

fiiTil人別にみると10人ill，6人がL昇，2人が無変化，

2人が下降という結果であった。表15はトレーニング

後の感想である。イメージが以前より浮かぶようにな

った者が7割，イメージを使川すろようになった者は

5割で，将来の使川意図は全員が畠側めていた。

　実験参加者が少数であったため，考察はひかえた

い。ただ，1』GSR　2」バイオフィードバック・トレーナ

ーを川いたリラクゼーションのトレーニングでは，そ

の効果の測定はできなかったが，この機器への関心は

高く，こ0）種のトレーニングの可f彪性が示唆された。

なお，イメージ・トレーニング終了後の九州地区大学

休育大会の団体｝il夏でこのクラブは優れた成績をおさめ

ナこ。

表15．イメージ・トレーニング後の感想（卓球部）

設問＼

　イ

　メ　1　ジ　能　力

イ

メ

　1のジ使

　用

回答肢二τ．「～一～二．π、一’

Jl）／1）1∫より訓三’1～旨にネ乎力＼さミ

　〃　　かなり　〃

　〃　　すこし　〃

以前とあまりかわらない

以前より非常に多く使川

　〃　　かなり　〃

　〃　　すこし　〃

以前とあまりかわらない

　　　　男　　子÷一7“s一@1

　　　　0

　　　　1人（10％）

　　　是非使用してみたい意　　　できれば使用したい図　　使用してみるつもりはない

要　約

i　6

　31

　0

　1

　41s

　4

　61

！　oL

（6　0）

（30）

（10）

（40）

（50）

（40）

（60）

　大学のテニス部員，卓球部員を対象にしてイメージ

能力とその利川度についての調査及びイメージ・トレ

ーニングの予備的実験を試みた。その結果は次のよう

に要約できる。

　1．テニス部員のイメージ能力は男女間には差はみ

らオ1なかったが，技能別にみるとヒ級者ほど高か一つ

た。

　2．テニス部員のイメージの利用度ほ全体的には技

術や作戦の練習に多く用いられていた。技能別にみる

と1’．級K’ほど作戦，ファイトを出すこと，li標設定と

意谷欠。．）lrり　l　tt．　「τ茂で径鳶行α）1イ〈’女べし）緊弓長（／）frM’i？肖，　言犬合1い（ンう＝イミ

filTil，iや）怒りの抑制，人間関係の向L，集中力の向卜．，苦

境に耐えろことなどの心理的競技fitE力を養うことに利

川している者が多かった。しかし，技術の練習では初

級者ほど利用している者が多かった。

　3．テニス部員のイメージの利用価植は1’．級者ほど

高く評価していた。

　4．テニス部員へのイメージ・トレーニングでは参

加回数の多い者ほどイメージ・トレーニングの効果を

認め，参加回数に関係なく，将来の使用意図は高かっ

た。

　5．il〔球部員へのイメージ。トレーニングではイメ

ージ能力の平均値には有意な変化は認められなか（

た。個人的には10ノ＼中，6人が．ヒ昇，2人が無変fヒ，

2人制t． h降した。「GSR　2」にようバイオフィードバッ

ク・トレーニングに高い関心がみられた。

　6，ノ〉後の課題として実験トの条件整側1は当然なが

ら，イメージ・1・レーニングα）効果の判定方法，方法

論（イメージの与え方，回数，場所，時間など），実

際場面での利周方法，個人的処方と集団的処方など多

くの課題が山積していろ。

　附記　木稿の要旨は第32回九州体育学会で発表し

た。なお，調査にあたって福岡大学体育学部rlT木勝

昭，九州大学医療短期大学部rl’i野武彦，福岡工業大学

安永　誠の諸先生にご尽力頂いた。ここに記して感謝

の意を表します。

引用文献

1）藤田　厚1一スポーツ指導とメンタルトレーニングーi

イ本ギyO）不斗P〕；：，　27；789－97，　1977．

2）藤m　厚「運動のイメージとメンタルトレーニン

　グ」　イ木回事の不il・eit：，　30；405一一〇9，　1980．

3）長谷川浩…「カウンセリングの諸技法（2）」体育の

1“，1－tts一｝t：，　29；　562一一一65，　1979．

4）長谷川浩一一「カウンセリングの諸技法（3L｛体育の

不斗｛弓を，　29；646－49，　1979．

5）勝部篤美・只木英子「精神電流現象（1）一一一休操にお

徳永ほか：スポーーツ選手に対する心理的競技能力のトレーニングに関する研究（1） 175

ける精神亀流現象一口体育学研究，5．一3；95…99，

1960．（2）ローマオリンピックHIJ易［）Ax：体操〕’tl，丁・0）演

技のイメージにおける精神霜流現象，5．一4；139　一47，

　1961．（3＞スキー（回転）「i：II旭！田fにおけろ精糾i’iE流：現

象，6－2；30一一3．5．1962．（4）イメージ，i映画を刺激材“

料とした再生方法によるテニスについての粘神電流

現象，7．2；1420，1963．（5）イメージと映画を刺激

材料とした剣道ならびに弓道についての精神電流現

　象，　8－2；7－13，　1964．

6）勝部篤美編，運動技能学習に及ぼすイメージトレ

ーニングの効果，昭和55年度科学研究費総合研究（A）

　イ肝ラヒ幸侵｛｛芦謡：，　1－91，　1979．

7）　Lars－Eric　Unestahl，　“More　New　Paths　to

　Sport　Learning　and　Excellence”，　New　Paths

to　Sport　Learning，　ISSP　sth　World　Sport

　Psychology　Congress，　89一一97，　1982．

8）　Lars－Eric　Unestahl，　“lnneer　Mental　Tra－

　ining　for　Sport”，　Mental　Training　t’or　Co－

aches　＆　Athletes，　ISSP　5th　World　Sport

　Psychology　Congress，　135一一40，　1982．

｛）　Rainer　Martens，　lmagery　in　Sport．　1982

　年　第7回スポーツ・体育・レクリエーーション・

　ダンスの国際会言口での発表資料（於，オーストラ

　リア）．徳永幹雄訳「スポーツにおけるイメージ」

　九州体育学会第2分科会研究会資料．1一・　33，1983．

10．）　Robert　M．　Nideffer，　The　Ethics　and　Pra－

　ctice　of　Applied　Sport　Psycholog．v，　Move－

　ment　Public，ations，　p．144，　1981，

11）杉原　隆「運動弓ζ：習におけるイメージと運動感

　覚」体育の科学，30；401－03，1980．

12）　Terry　Orlick，　John　T．，　Partrington　and

　John　H．　Salmela．，　Mental　Training　for　Co－

aches　＆　Athletes．，　ISSP　5th　World　Sport

　Psychology　Congress，　1982．

13）　Tom　Tutko，　“Sports　Psyching”，　Mental

　rl“raining　for　Coach　＆　Athletes，　ISSP　5th

　World　Sport　Psychology　Congress，　134－

　35，　1982．

14）T．タツコ，　U．　トッシーt（松川・池川訳），

　スポーツサイキング，講淡社，1978．

15）渡辺俊男「迎動とイメージ．」体育の科学，30；

　388－91，　1980．

資料1．　イメージ能力の調査内容

（1）一人での練習

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1　　　今，あなたは誰もいないテニスコートにいます。そこで，サービス，壁打ちなどの何かの練習をして5

1いる筋をイメージに撒てください・約・州だけEl　IZvlll・1じ・その㈲筋の姿・縮のμ与に幽閉；

　　（声），からだの動きの感じ，その時の心の状態・気持を感じろことを試みてください。さあ，目を閉

　　じ，2～3回深呼吸をして始めてください。

質問①

　　（2）

　　Q　　＠・，

練習している自分をどのくらい十分に想像できましたか………・・………・……1

その時に出る音（T’tLt）u）をどのくらい十分に聞きましたか……………・…・・……1

その時のからだの動きをどのくらい十分に感じましたか………………………1

その時の心の状態・気持をどのくらい十分に気づきましたか…………………1

2　　3　　4　　5

2　　3　　4　　5

2　　3　　4　　5

2　　3　　4　　5

（2）練習中の失敗

　1　｝　今，あなたはクラブで他の人と一一一・wrに練習しています。その時，みんなが気づくようなボレーミス，　i

阪プルフ。一，トなどのイ1伽）失敗をします．さあ，みんな槻ているところで秘することと，その…

　i後の状況をできるだけ鮮明にイメージに描くため，約1分間，日を閉じてください。そして，その時のi

　ぼ扮の姿，音（声），からだの動き，心の状態を感じてください。さあ，始めてください。

　i　’’’’’　’　　　　’”　”　’’””　”m’　質問①　この状況の中で失敗している自分をどのくらい．．i・分に想像でき．ましたか……1　2　3　4　5

　　　②その時に出る音（声），をどのくらい・1一分に聞きましたか………・・…………12345

　　　③　その時のからだの動きをどのくらい一1分に感じましたか……・一………・……1　2　3　4　5

　　　④その時の感情をどのくらい十分に感じましたか…・・……………・………………12345

176 健　康　科　学 第6巻

（3）チームの仲間を見ること

　…　今，あなたは，あるπ要な試合でチームの仲闘を応援しています。ところが，彼（または彼女は）非：

　1常に大事なところで，ダブルフォールトかスマッシュ・ミスなどのfi　・∫かを失敗しています。さあ，大事…

　　なところで失敗していろチームの仲間をできろだけ鮮明に，そして．具体的にイメー一一一一ジを描くために1

　　分間目を閉じてください。その時のチー…ノ、の仲川の1谷，音．からだの動キ，気持を感じてください、，さ

　　あ，始めましょう。

　質問①　この状況でチームの仲間をどのくらい十分に想像できましたか…・一……・…1　2　3　4　5

　　　②この状況で，出る音（声）をどのくらい十分に聞きましたか……・一………・12345

　　　③　この状況でのからだの動きをどのくらいt分に感じましたか・一……………・1　2　3　4　5

　　　④　この状況についてのあなたの感情をどのくらい十分に感じましたか…………1　2　3　4　5

（4）ある大会で活躍しているあなた

　1　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1

　　　今，あなたはあろ大会に出場し，テニスコートの中にいます。しかし，非常に調子がよく，グランド1　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト　　ストロークがさえ，サービスやボレー，スマッシュもよくはいります。そして，チームの仲間や観衆が1　　拍手を送ってくれています．縞，これらの状況をできるだ嚇1棚にイメージ剛iくためla，細分r副

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し　1目を閉じてください。その時の自分の姿，音（声），からだの動き，感情を感じてください。さあ，始　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

彫し・う・　　　　　　　　　　　　　　1質悶⑦

　　C2）

　　（3J）

　　（4）

この状況での自分の姿をどれくらい十分に想像できましたか…………・…・・…1　2

この状況で，出る音（声）をどのくらい1分に聞きましたか……………9・一1　2

この状況でのからだのスムーズな動きをどのくらい十分に感じましたか……1　2

この状況についての感情をどのくらい十分に感じましたか………・・………・…1　2

3　　4　Jr

3　　4　　5

3　　4　　5

3　　4　　5

注．同丁丁1．

　　　　　3．

　　　　　4．

イメージは何も現われない　2．　ばく然としたイメージ

はっきりしなく鮮明でもないが，認識できるイメージ

ややはっきりして鮮明なイメーージ　5．　非常にはっきりして鮮明なイメージ

資料2．　イメージ・トレーニングの特徴

1．イメージは視覚だけでなく，聴覚，筋運動感覚，触覚，感情などを画いて，頭の中にスポーツ場面を描く

2．一般に，トップレベルの選手はよく利用している

3．イメージ能力には個人差がある（トップレベルの選手ほどイメージ能力が高い）

4．イメージを描くことにより，筋肉への刺激があったり，感情がコントロールされろ

5．イメージ能力はトレーニングによってlkl．ヒすることができる

6．天候が悪い時，負傷している時，練習ができない時などにイメージを使って練習することができ7，

7．スポーツ技術の練習，心理的競技能力のトレーニングとして利用できる

　　　　　　　　　　　　　　資料3．　イメージ・トレーニングの方法

1．静かで薄暗い場所で行う

2．仰臥位または座位で行う

3・心身のリラックス状態を作る（緊張はイメージを抑圧すろ，イメージ，音楽1’i〈J・絵画的感覚，非言語的弓

　覚は大1悩右半球優位）

4．簡単で〔常的なイメージから練習し，スポーツ場面への課題へ移行する

5．スローモーション，分解動作でイメージを描く

6．カラーで描く

7．視覚だけでなく，聴覚，筋運動感覚，感情も同時に感じる

8．漠然としたイメージではなく，鮮明に描く

徳永ほか：スポーツ選手に対する心理的競技能力のトレーニングに関する研究（1） 177

9．種々の場面でのイメージ能力がコントロールできるようにする（技能練習の直前，直後，試合の前・中・

　　後など）

10．何回も正しいイメージを描く（15～2〔粉または練習後など疲労している時は2～3分また5分位を繰り返

　　す）

　　　　　　　　　資料4．　テニス部員へのイメージ・トレーニングこ作戦能力）

　今日はイメージ・トレーニングの4回目です。昨日と場所がかわりましたが，仰向けに寝る人はいままでど

おり楽な姿勢をとってください。椅子に腰かける人は次のような姿勢をと一、てください。

　まず，椅子に深めに腰かけます。足は膝の関節が90度以ヒになろようにして，評が十分に床につくようにし

ます。両足は少し広げ，両手はピザのヒに軽く乗せ，両手は互いに触れないようにしてください。背中を伸ば

し，息を吐き出しながら…，自然に力を抜き…，頭を前にたれた姿勢になります。どちらの姿勢にしてもリラ

ックスできるように楽な姿勢をとってください。

　今口は自律訓練法と作戦のイメージ・Part　1を行います。

　目を閉じて……，呼吸に集中しましょう…，すって一，はいて一，すって一，はいて一，気持が落ち着いた

ところで両手・両足が重たい感じの練習に入りましょう。それでは両手と両足になんとなく注意を向けてみま

しょう。私の言ったとおりに心の中で同じ言葉を繰り返してみてください。

　両手・両足が重た一い，気持が落ちついている，両手両足がダラーンと重た一い，両手・両足が重た一い・

重た一い。もう一度重たさを感じましょう……（繰り返し）……もっと鮮やかに亜：たさを感じるように努力し

ましょう……（繰り返し）……。

　今，あなたはからだ全体がとても重た一く感じ，ほんのわずかな閤にリラックスできるようになりましたね

…，ゆったりとした深一い呼吸を続けましょう……。

　今日はシングルスの試合のことをイメージに描いてみましょう。仮にあなたはA君またはBさんというライ

バルと試合をすることを思い浮べてください。ゲーム開始前の少なくとも20分前までは，あなたの作戦を決定

しておくことが必要です。心の準備はできるだけ」li唱に決定しミ準備はできたぞ・という感じをもって試合に

挑むことが大切です。そのため，ゲーーム｝〕llの20分は，むしろ，　W－upなどからだのコンディションの方に注意

を向ける必要があるわけです。

　さて，あなたの相手の長所と短所を見分けねばなりません。あなたのライバルの長所のイメージを描いてみ

ましょう……，あなたのライバルの短所を思い出してみましょう……。そ7しをもとにして，この試合でのあな

たのテニスのしかたを確認しておきましょう。

　まず，第1サービスはどんなサービスをしますか，スライスですか，フォアに入れますか・あなたの第1サ

ービスのしかたを決定し，頭の中でサービスを行ってみましょう……，続いて，第2サービスをしましよう…。

　今度はグランドストロークのことについて考えてみましょう。あなたの得意な攻撃パターンを思い出しまし

ょう……。同じように，シングルスでネットについた時はどうしますか，ボレー用のボールがきました……，

あなたの作戦をイメージに描いてください。難しいwビングがきました…一一・。試合の前にあなたが現在持って

いる技術を十分発揮するにはどうしたらよいかをはっきりと確認しておきましょう。そのことがあなたが自分

のテニスをすることにつながります。

　同一い呼吸を続けましょう。すって，はいて一，すって，はいて一。

　今度はゲームポイントのことをイメージに描いてみましょう。4〔）一一一15でリードし・あなたのサーブです。さ

て，あなたはサーービスをどこへ入れ，返球されたボールをどのように処理しますか……。今度は3（）’　”40でリー

ドされ，相手サーブです。どうしてもデュースに持ち込みたいあなたです。この時，どんなレシーブをして，

返球されたボールをどのように処理しますか……。今度はマッチポイントです。あなたは最後のゲームを40｛

30でリ＿ドして，あなたのサービスです。どんなサーブを入れ，返球されてきたボールをどのように処理しま

すか……。これらのわずかな1ポイントの得点はゲームに重要な意味を残します。わずかな迷いがミスにつな

がります。レシーブの前またはサーブの前にどのように打つかをはっきり決定しておくことがとても重要で

178 健　康　科　学　　　第6崔

す。わずかな時悶の間に作戦を変．更するとミスにつながりτ：す。

　今度はゲームの流れに従一，て，イメーージを描いてみましJ、う。あなたは1セッ1・ii3　．0でリーttドし，レ：lll

に快、調です。その後どうしますか……。その後3－4と逆転されてしまいました。どう個くを芝屯し一レすか…

＿っ1セットはそのま＼逆1ilノ↓，6．4でとり，2セツi・は2　6でとられ，　v，・イナルセ・・トにな1ゾー｝．．

た。あなたはファイナルセットをどのように戦い賀すか……。

　今戸行った作詞のイ．メージは武rやにおけろ多くの作戦の1コマです。試含ではいろいろな状記が∵しし出

す。あち：たの試合で〕1生しそうなことをあらがじy）設定して，それに対してどのような作戦を適川すうかをイ

メージを利川して練習しておくことが重要です。これからのいろいろの試合では，必らず」〕1∫もってイメ…ジに

よろ作戦を練i｝・1応て参加するようにしましよう。きっど1ミ干しい：結果が生まオしろものと思います。

　今カゾ，5つ数えますので静かにiiを開けてください・！つ，2　一…一つ・手のひらを困じ・力・．F：／f＼れて5～6同

開いたり閉じたりしてください。3一一つ。肘を3～4囲曲げたりl111ばしたりしてください・4つ。大きく背伸

びをして深呼吸をしてください。5つ。（手のひらでバーンと大きな音を出す）。で〔．よゆ・．べりilをあけて・も

う一．．・洩二，大きく深呼吸をしまし．kう。

　　　　　　　　　資料5．　テニス部員へのイメージ・トレーニング（集中力など）

　’病目はイメージ・トレーニングの6回口です。仰向けに寝て，リラックスできるように泊三な姿勢をとってく

ださい。／｝ilは集中力を維持することや自信を深めろことについてイメージを描いてみましょう・それ．でビい

つものようにあなたのからだと心をリラックスさせましょう……（自律．r．陳法は略）……。

　最初に集中力の練習をしましよう。試合ではどんな状況の変化があっても心が乱されてはいけません・いつ

もゲームに注意を集中し冷静な判目妊を続けている自分の姿をイメージに描いてみましょう。今，あなたほゲ…

ム中でコートのiいにいます。

　・今日は多くの観衆がネットの後にいます……，しかし，あなたは観衆に目をやったり，手を振ったりしませ

ん……，観衆のことなど左然気になりません……いつものように落ちついています。時々あなたに向ってヤジ

がとびます……しかし，あなたはそちらを向くこともありナせん……そのことで表情をかえ夙こともありませ

ん……。いつものように落ち管いてい心す。

　冶・度1はあなたがy〈　L！i：なところでスマッンJl．・ミスをし童した・・…一瞬がっくりきました……しかし，すぐ気

持をとり直します……ミスをしたことはすぐ忘れて，次のゲームに集中します……今liのあなたほくさ一）て気

が沈むことはまったくありません……。

　今度はあなたのパートナーがノ〈　・！｝：なところで失敗しました。一瞬がっかりしました……。しかし，あなたは

その気持を表情や態度には表わしません・…・・すぐ気をとり直して1宋方を勇気づけています。……そし．て二人は

増々やる気が出てきます……。

　後方の観客があなたのことをf1・∫かいっているように感じました……しかし，あなたは全然気になりません…

…あなたは現在の自分にできろことを精…・杯やっています……だから誰が何を一、㌃おうと全く気にはなりませ

ん，ただ，精神を集中して頑張っています。観衆のたy）に笑ったり，怒った1），顔の表情をか」，ろことはまっ

たくありません。

　深一い呼吸を続けましょう。すって，はいて一，すって，はいて一……。

　／｝艮は試合の時に発生する悪い癖についてそれを克服しているあなたの姿をイメージに描いてみましょう。

あなたはこれまでの試合で大lj｝：なところになるとよくダブルフォールトをしてしまいました。どうも大事なと

ころになるとサーブをす／前からダブルフォールトをするのではないかと思ってしまうようですね，そのたy）

ゲームが消極的になりました。しかし，Ar　Hは違います。サーブの時はいつもトスを高くします。そしてよく

からだを弓のようにそります。高いところでボールを打ちます，サーブ前にダブルフォールトをすろのではな

いかなど思いもしません．。もし，その気持が頭に浮ん．だら，すかさず，トスを高く……がイメージに浮かびま

す。だから大事なところになっても何の心配もありません……。

　あなたはこれまでの試合で負けだすと頭ばかりひねって，ダメだ一，グメだ一と気持が沈んでいくことが．多

徳永ほか：スポーツ選手に対する［≧・］1μ的競技能力のトレーニングに関する研究（！） 179

かったようですね，そのため，段々，消極的になって，結局，自分のテニスができないま＼に終ることが多か

ったようですね。しかし．．今口は違います。実敗してもすぐ気持を持ちll「1し主す。ミスをして沈むどころか増

々自分を励童しています。自分の持っていろ技術を仔効に発揮しています，ファイト…，自分も．呂二しいが椙手

も一呂：しいはずだ。ファイト…，Ar　［1のあなたはミスをしても増々フ’、’イトを出して頑張一．・ています……。

　／計度は自分の目標を達成し自信がついたあなたのことをイメ…ジに描いてみまし，llう。あなたはあろ試合で

とうとう勝ちました。最後の握手を終nたところです。あなたの試喬で最も印象深い試r｝のことを思い出して

みましょう∩そのときのゲームのことを鮮やかに想い出してみ’i｝しょう。あの時はよくからだが動いていまし

た。どんなボールでもしつつ：く拾い．まくりました。ノぐll：なポイントをよく淵’包してとることができました……

作戦がとてもうまく的中しました……心の準｛〕1肋ミよくできていました……最後まであきらめませんでした……

そしてとうとう勝ってしまいました……やればできろ……自分にもやれるという自信がつきましたわ。

　／Mlは集中力を継続すろこと，試合で負けるパターンを克服すろこと，素晴しい試合のことをイメージに描

いてみました。あなたが素晴しいゲームをした時のことを思い出すのはとても大．り」なことです。その時のこと

をいつも思い出して再現してください。そして．集中力を維持し，負けのパターンにならないようにすぐ気をと

りもどすことを訓練しておくことが」石：要です。

　これから5つ数えます……（消去動／／tl略）……。

　資料6．　テニス部員へのイメージ・トレーニング（調子の良かった時α）ことを思い出す）

　今度は今までにあなたが最も良かったと思う試合のことを思い出してみ霞しょう。たとえば，逆転して勝っ

た時とか，とても勝てそうにないと思っていた相手に勝ったとか，とにかく、最も調．｝’・がよかったと思う時の試

合です。それではあなたが調子がよかった時の試合を頭の中に浮かべてみ’i三しょう。その時の会場を思い出し

てみまし．ilう。その時の対戦相「｝は誰でしたか。対戦相．r一の1頃を思い出してみましょう。さて，その時・，あな

たはどんな気持でその試査をしたのでしょう。恐らく，あなたの気持け観衆のことなどいっさい気にせず，勝

つとか負けうなど頭になく，テニスのボールだけに集中していたはすです。い…・さいのイ（安目）緊張も感ぜず，

無心で闘ったはずですQその時のようすを少し思い出してみましょう……，さあ，あなたの相｝がサーブをし

ます……あなたは素晴しい返球をしました…，返球しているあなたの姿を息い浮かべてください…，あなたは

軽やかなリズムに乗って，ラリーを続けています。チャンスボールがきました…，あなたはためらうことなく

思い切りよくスマッシュを決めました……スマッシュを決OI）ているあなたの姿を頭の中にはっきりと浮べてく

ださい…，そうです。スマッシJ・一の前に不安はなかったはずです。あなたは無心で試合に没頭していたはずで

す。あの試合の時の調子よかったことをもう一…度はっきりと思い出してみましょう…，ゲームでの軽やかなか

らだの動きを感じましょう…，あなたは右に左に動きまわっています…，E［11：しい時はよく我慢し・粘っていま

す…，田f々自分を励ましています…，あなたの声…ボールの音…シューズの音・その時の気持などを感じまし

ょう…。しばらくの閥，話すのを．止めますので，無心にプレイしていろあなたの姿を想い出してみてください

けけロ @

　今rlはあなたの試合で最も調子のよかった時のことをイメージに浮かべてみました・これからの試合の前に

は調子のよかった時の気持，からだの動き，患いきりのよさ，耐えしのんだことなどをイメージに浮べて作戦

をねってください。そうです。試合の前には調子のよかった時のことをいつも頭に浮かべてイメージ・トレー

ニングをしてください。