岡山エリアmap3 · 2020. 5. 22. · Title: 岡山エリアmap3 Created Date: 9/11/2015 1:26:51 PM
プレゼン(7 福井大学 岡田将人) - JST · プレゼン(7 福井大学 岡田将人)...
Transcript of プレゼン(7 福井大学 岡田将人) - JST · プレゼン(7 福井大学 岡田将人)...
微細表面形状に応じて高効率に平滑化できるローラバニシング加工法
福井大学 新技術説明会
2016. 08. 30JST東京本部別館1Fホール
福井大学 学術研究院 工学系部門 機械工学分野
講師 岡田 将人
2
従前技術と問題点
バニシング加工
図.バニシング加工の一例(㈱スギノマシン 様 Webサイトより)
工具を工作物表面に押し付けて,表面凹凸を平滑化する加工法
メリット・特徴
■研削加工と比べ加工効率が高い
■工作機械(切削加工)で加工が可能
■改質層の生成が期待できる(耐摩耗性・疲労強度の向上)
加工効率(仕上げ面積)仕
上げ
面粗
さ良
良
研削
バニシング
切削
バニシング加工の位置付け
切削 < バニシング < 研削
中仕上げにおける有効性に期待
3
バニシング加工
チップバニシング加工(チップ加工)
ローラバニシング加工(ローラ加工)
チップ加工
加工後表面
チップを擦りつけて対象面上の微小凹凸を押しならす
微小凹凸にチップの摺動作用を付与
チップ
微小凹凸
工作物
チップ加工の概要
工具摩耗
仕上げ面にむしれ
従前技術と問題点
4
バニシング加工
チップバニシング加工(チップ加工)
ローラバニシング加工(ローラ加工)
ローラ加工
ローラを転がして対象面上の微小凹凸を押しつぶす
微小凹凸にローラの転動作用を付与
ローラ加工の概要
微小凹凸の残留
高い押付力の付与
ローラ 加工後表面
工作物
微小凹凸
従前技術と問題点
5
摺動と転動の両者を作用
軸形状品を対象とした傾斜ローラバニシング加工法(先行技術)を開発
先行技術の概要
従前のローラ加工用工具
ボディ部 ヘッド部
20 mm
メインローラ・自由回転・工作物に接触
リテーナ・メインローラを支持
サポートローラ・自由回転・メインローラと接触
ヘッド部拡大
メインローラ拡大
シャンク
6
摺動と転動の両者を作用
従前のローラ加工
ローラ加工用工具 ローラ加工中の外観
工作機械により回転する工作物外周面に自由回転するローラを押し付けて工作物軸方向に工具を送る
先行技術の概要
軸形状品を対象とした傾斜ローラバニシング加工法(先行技術)を開発
7
従前技術 先行技術
Workpiece
Main roller
平行
傾斜
Workpiece
Main roller
工作物の回転軸とローラの
回転軸は平行
工作物回転軸からローラ回
転軸を傾斜
先行技術の概要
8
Y
XZ
工作物
サポートローラ メイン
ローラ
リテーナ
Y
Z
工作物の中心軸
工作物
工具正面
・工作物とメインローラの中心軸は一致
X
工具送り方向
工具側面
メインローラの中心軸
先行技術の概要
9
加工点における工作物とメインローラの周速度ベクトルは等しい
工作物の周速度ベクトル
メインローラの周速度ベクトル
摺動は発現しない
工作物の中心軸 メインローラの
中心軸
工作物の回転方向
メインローラの回転方向
加工点
=
工具送り方向
先行技術の概要
10
α = 0º従前技術
α ≠ 0º先行技術
α = 0º従前技術
α ≠ 0º先行技術
工作物の回転方向
工作物の中心軸
加工点
・工作物とローラの回転中心軸に傾斜角を設ける・メインローラは工作物に対して斜めに回転
傾斜ローラバニシング加工(先行技術)
傾斜角α
工具送り方向
先行技術の概要
11
工作物の周速度Vw
Y
Z
メインローラの周速度Vr=Vwcosα
メインローラのZ軸方向の速度Va=Vwcosαsinα
メインローラのZ軸方向の速度Va=Vwcosαsinα
X
工作物軸方向の速度差Vwcosαsinα
メインローラのY軸方向の速度Vt=Vwcos2α
メインローラのY軸方向の速度Vt=Vwcos2α
工作物周方向の速度差Vw(1-cos2α)
傾斜角α
先行技術の概要
12
■摺動の作用方向はローラの傾斜角度に依存
■旋削加工時の軸方向の凹凸形状に対し,軸方向のみに摺動を作用させることは不可能
軸状工作物の対象面上の微小凹凸に対する転動・摺動作用
そこで開発したのが…
先行技術の問題点
13
■工作物と同様にローラも能動的に回転させることで,任意の方向に摺動作用を発現可能
■ローラの工作物周方向成分速度を工作物周速と同一にすれば,軸上工作物に対し軸方向の摺動作用のみを発現可能
新技術の概要
能動回転型傾斜ローラバニシング加工(新技術)
この速度,方向で摺動が発現
14
卓上旋盤に設置製作した加工試験機
■能動回転型傾斜ローラバニシング加工(新技術)用工具を製作
■押付力はばね,ローラ回転はDCモータにより制御
■卓上旋盤への設置において,工具全体を傾斜
新技術の概要
15
同一条件下における先行技術と新技術による仕上げ面比較
断面曲線の比較
同一条件下においても,ローラを能動的に回転させることで平滑な仕上げ面を創成
先行技術の傾斜ローラ加工に対する優位性を確認
新技術の効果検証
Prof
ile c
urve
[µm
] 2 µm
Measurement distance (axial direction) [mm]
0.1 mmth = 90°
= 45°F = 60 N
仕上げ面粗さ Ra
先行技術 Ra = 1.09 mm
新技術 Ra = 0.72 mm
検証結果
16
まとめ
新技術の特徴・従来技術との比較
■先行開発した傾斜ローラバニシング加工のローラを,工作物と同様に能動的に回転させることで,ローラと工作物の加工点における周速ならびにローラの傾斜角度から決定される方向に摺動作用を発現することを可能にした.
■新技術により,従来技術ならびに先行技術に対して同一の加工条件下において,より平滑な仕上げ面が得られた.特に先行技術より同一のローラ傾斜角において算術平均粗さRaで約30%の向上が認められた.
想定される用途
■摺動方向を制御することが可能なため,平滑化に限らず製品の用途に応じた微細表面形態を,従前と同様の加工法により創成することが可能である.
■小さな押付力で従前より良好な仕上げ面が得られるため,小径材料など強度が低く,高い押付力を付与できない材料に有効である.
17
まとめ
実用化に向けた課題
■現状は,新技術のコンセプトを確認するために,簡便な加工機により,その効果を実証した段階であり,一般的にバニシング加工に期待される程度の仕上げ面粗さが得られるに至っていない.
■今後は加工機の高剛性化,ローラの材質ならびに表面形態の適正化により,良好な仕上げ面性状の獲得が課題となる.
企業への期待
■ローラの材質,表面形態の適正化には硬質薄膜の表面処理技術を適用することにより解決が可能と考える.
■ローラバニシング加工に限らず,高硬度材質からなる固定工具を対象面に摺動させるチップバニシング加工に関する研究も実施している.ベアリングメーカーなど製品表面の平滑化,高機能化に対して課題を共有できる企業との共同研究を希望している.
18
まとめ
本技術に関する知的財産権
発明の名称: 能動回転型ローラバニシング加工法
出 願 番 号: 特願2016-065093
出 願 人: 国立大学法人福井大学
発 明 者: 岡田将人,大津雅亮,宮越侑輝
お問い合わせ先
福井大学 産学官連携本部 知的財産部
漆崎 行乃利
TEL 0776-27-9725
FAX 0776-27-9727
E-mail [email protected]