企業におけるアジャイル人材育成 - IPA役割ごとの人材像...

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企業におけるアジャイル人材育成 2013/3/18 1 Copyright (c) 2002-2013 Eiwa System Management, Inc. 株式会社永和システムマネジメント コンサルティングセンター センター長 天野勝 http://sec.tky.esm.co.jp/

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企業におけるアジャイル人材育成

2013/3/18 1 Copyright (c) 2002-2013 Eiwa System Management, Inc.

株式会社永和システムマネジメント

コンサルティングセンター

センター長 天野勝

http://sec.tky.esm.co.jp/

本日のお話

2002年よりアジャイル開発に関連する研修に携わってきた経験をもとに、企業におけるアジャイル人材育成の取り組みを紹介します。

内容 アジャイル開発に求められる人材

アジャイル開発の導入アプローチ

人材育成の焦点

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スピーカー紹介

天野 勝(あまの まさる) (株)永和システムマネジメント コンサルティングセンター センター長

オブジェクト指向、アジャイル開発、開発現場の活性化をテーマに、ファシリテーションを活用したコンサルティング、セミナーに従事。

経歴 1995年 電機メーカの情報システム部門

2002年10月より現職

コミュニティ活動 オブラブ 事務局長、アジャイルプロセス協議会 編集委員、日本XPユーザグループ 運営委

員、日本ソフトウェアテストシンポジウム 実行委員、プロジェクトファシリテータ協会 副理事

著書 『eXtreme Programmingテスト技法』『正しく学ぶソフトウエア設計』

訳書 『リーン開発の本質』『アジャイルソフトウェア開発スクラム』

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はじめに

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前提とするビジネス構造

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ニーズに合う商品を提供するのがビジネスの大前提

要求

ニーズ

商品

市場

供給者

¥ 提供 獲得

開発

ミッション・リスク分割型ビジネス

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ビジネスをソフトウェアが後ろから支える

市場 ビジネス ソフトウェア

(IT)

市場分析 発注

納品 リリース

半年から3年

ミッション・リスク共有型ビジネス

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ビジネスの実現方法の一つがアジャイル開発

ソフトウェア (IT)

ビジネス

市場 ビジネスとITが一体になった 「One Team」を作り、ミッション とリスクを共有する。 やってみて、結果から戦略を 作りながら進む。

顧客の創造

ソフトウェアの創造

アジャイル開発に求められる人材

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供給者

供給者側の体制

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プロダクト オーナー

プロセスを正しく回す人

管理者

開発者 要求

成果物

支援

市場

ニーズ

サービス 要求をもとに開発をする人達

スクラムでは ・管理者⇒スクラムマスター

ビジネスの責任者として、成果物の価値を最大化する人(達)

ユーザー

顧客の創造 ソフトウェアの創造

自社開発企業 ソフトハウス

自社開発企業のモデル

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自社内のビジネス企画にもとづいて開発を行う

プロジェクト プロダクト オーナー

管理者

開発者 開発者 市場

ユーザー

ユーザ企業 SI企業 ソフトハウス

SI企業のモデル

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ユーザ企業内のユーザーを満足させる開発を行う

プロジェクト プロダクト オーナー ユーザー

管理者

開発者 開発者 プロダクト オーナー補

市場

役割ごとの人材像(求められる知識など)

知識 プロダクト オーナー

管理者 (スクラムマスター)

開発者 その他の 関係者

ビジネス/プロダクトに対する熱意 ◎◎◎ ◎ ◎ 〇

カイゼンマインド ◎ ◎ ◎ 〇

アジャイル開発のプロセス ◎ ◎ ◎ 〇

チーム運営(スクラム、チームファシリテーション) 〇 ◎ 〇

業務知識 ◎ 〇

ビジネスモデリング ◎ 〇

ユーザ中心設計 ◎

プロダクトバックログ管理(要件管理) ◎ 〇 〇

UI設計 〇 ◎

ソフトウェア設計(オブジェクト指向、リファクタリング) ◎

データベース設計 ◎

プログラミング(テスト駆動開発、リファクタリング) ◎

ソフトウェアテスト ◎

システムテスト ◎

各種開発ツール(IDE、xUnit、CI、・・・) ◎

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◎…高いレベルで必要 〇…必要

アジャイル開発の導入アプローチ

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アジャイル開発の導入ステップ

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試行、展開には特に様々なバリエーションがある

調査

• 推進担当を任命する(1~2名)

• アジャイル開発についての情報を収集する

• 導入を計画する

試行

• 対象プロジェクトを決める

• アジャイル開発を行う

• 経験に基づいた知見を収集する/ガイドを作成する

展開

• 推進組織を設置する/社内コミュニティを作る

• 社内で定期的にアジャイル開発の研修を行う

• 社内コミュニティで、ノウハウなどの情報を共有する

定着

• 新人研修でアジャイル開発を教える

• 推進組織を解散する

• 推進担当者を昇進させる

導入のバリエーション 試行のバリエーション 説明

集合研修 集合研修を行い、適用プロジェクトが出てくるのを待つ

お試しプロジェクト 失敗できるプロジェクトを用意して試す

実プロジェクト 実案件で手厚くサポートしながら実施する

チームファシリテーション 既存型プロジェクトに、アジャイル開発のチーム運営のプラクティスを導入する

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展開のバリエーション 説明

チーム分裂 アジャイル開発をしているチームに新たに人を投入して、人が育ったところで、チームを分裂させる

経験者は全員推進者 アジャイル開発の経験者を、推進者として新しいプロジェクトに参加させる

アジャイル開発の標準化 説明は割愛

集合研修 関連する研修の企画実施や、社外の研修へ参加推奨を行う

アジャイル開発を始めたい人が出てくるのを待つ

社内に教育専門組織がある場合によく行われる 推進担当発案ではなく、教育専門組織発案のこともある

メリット 推進担当の負荷が少ない

デメリット 参加動機が弱いため、研修参加者が集まりにくい

実プロジェクトに適用する際には、知識が薄れる

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アジャイル開発というキーワードを知ってもらうのには有効

お試しプロジェクト 失敗してもよいプロジェクトを用意し、アジャイル開発をする

推進担当もプロジェクトメンバーとして参加する

メリット アジャイル開発の経験を得ることができる

失敗時のリスクがない

デメリット プロジェクトの実施にコストがかかる

あまり役に立たないものを作る/できることが多い

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アジャイルソフトウェア開発を経験するのに有効

お試しプロジェクトの実施例

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外部支援者により、適宜教育を行いながら進める

プロダクトオーナー メイン・サブ

2名

上司 1名

導入支援担当 1名

開発メンバー 8名

評価者 1名

メンター

アジャイル コーチ

プロジェクトチーム

導入管理担当 1名

アジャイル コンサルタント

親会社

外部支援者

実プロジェクト 実プロジェクトで、アジャイル開発をする

自主開発で行うことが多い SIの場合は、ユーザ企業からの要望で行うことが多い

メリット アジャイル開発の経験を得ることができる

プロダクトオーナーの育成が進む SIの場合は、育成が進まず、足かせになる場合もある

デメリット 失敗時のリスクがある

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リスクがとれるならば、育成効果は最も高い

実プロジェクトの実施例

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スキルの高いメンバー構成にし、適宜教育を行っていく

プロジェクトチーム

アジャイルコーチ

管理者 プロダクト オーナー

講師

評価者

ビジョン、評価項目の提示

スクラムマスター支援 -役割、振る舞い方の提示 -ファシリテート

プロダクトオーナー支援 -役割、振る舞い方の提示 -プロダクトバックログ作成支援

メンバー支援 -ペアプロ等

評価指標収集

導入教育の実施

作業タスクの消化 技術要素の先行調査 メンバー

メンバー メンター

メンバーのスキルアップ支援

外部支援者

チームファシリテーション 既存型のプロジェクトの中で、チーム運営にアジャイルソフト

ウェア開発のプラクティスを取り入れる 主にチーム運営のプラクティス

工程によっては、エンジニアリングのプラクティスも取り入れる

メリット カイゼンサイクルを取り入れることで、自律的に動ける人材を育成で

きる

一部のプラクティスの経験/ノウハウを蓄積できる

デメリット アジャイル開発の経験はできない

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アジャイル開発の準備として有効

チームファシリテーションの実施例

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1週間の改善サイクルで開発を進める

機能設計

A機能

B機能

C機能

2/5 2/12 2/19 2/26 3/5

Plan

・週計画会

Done

Keep Try

Problem

KPT

Done

ToDo Doing Done

成果物

報告

タスクボード

Do

・朝会

CheckAct

・ふりかえり会

バーンダウンチャート

人材育成の焦点

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指示待ち⇒自律的 サーバント(ファシリテータ)型 支配(指示命令)型

リーダー

・メンバーが自発的に動けるようにサポートする ・メンバーの強みに焦点を当てる ・メンバーの声に耳を傾ける ・メンバーを押す

・メンバーの細かい行動まで指示を出す ・メンバーの弱点に焦点を当てる ・メンバーに自分の声を聞かせる ・メンバーを引っ張る

メンバー

・やりたい気持ちで行動する ・言われる前に行動する ・工夫できるところは工夫しようとする ・リーダーの示すビジョンを意識する

・恐れや義務感で行動する ・言われてから行動する ・言われたとおりにしようとする ・役割や指示内容にだけに集中する

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メンバーが自律的に動くほど、解決速度が向上する

参考「NPO法人サーバント・リーダーシップ協会」 http://www.servantleader.jp/about_servant.html

リーダー

メンバー メンバー メンバー メンバー

支援

リーダー

メンバー メンバー メンバー メンバー

支配 協働 ボトルネック

納期優先⇒品質優先

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品質を下げれば遅くなる

出典:永田 敦「日本におけるアジャイルテストの最新動向」http://www.sea.jp/shanghai/sea/f1111/doc/nagata.pdf

ソフトウェア開発⇒ビジネス開発

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ソフトウェアは使われてこそ価値がある

市場 ビジネスソフトウェア

(IT)

市場分析

納品リリース

ソフトウェア(IT)

ビジネス

市場

顧客の創造

ソフトウェアの創造

市場、ビジネス、 ソフトウェアが一体化

おわりに

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ふりかえり これまでのアジャイル開発導入支援の経験から、企業様で

どのように人材育成に取り組んでいるかを紹介しました。

アジャイルソフトウェア開発という枠を超えて、ビジネス的な視点でアジャイルを活用するようになってきています。

アジャイル開発は受け身では成功することはできず、そこにはゴールに向かって自律的に行動する人材が必要であり、そのような人材を登用、育成していく必要があります。

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お問い合わせ

本資料に関するお問い合わせは下記までお願いします。

[email protected]

twitter @esmsec

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