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アルク英語教育実態レポート Vol.13 [2019 年 10 月] 高等学校(中学校)での副教材活用の実態 -単語力・文法力を向上させる指導法に着目して-

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アルク英語教育実態レポート Vol.13

[2019年 10月]

■■

■■

高等学校(中学校)での副教材活用の実態

-単語力・文法力を向上させる指導法に着目して-

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はじめに

株式会社アルクは 1969年の創業以来、月刊誌『ENGLISH JOURNAL』、通信講座「1000 時間ヒ

アリングマラソン」、書籍「キクタン」シリーズなど、さまざまな英語学習教材を開発してきました。

近年は、「英語スピーキング能力測定試験 TSST(Telephone Standard Speaking Test)」「英語学習ア

ドバイザー資格認定制度 ESAC(English Study Advisors’ Certificate)」を独自に開発し、学習成果の

検証や継続的学習支援のサービスも提供するようになりました。

私たちは、語学学習者に成果をもたらす有益な方法を常に追求したいと考えています。そのために

アルク教育総合研究所を設立しました。「アルク教育総研」は、学習行動が成果に結びつきやすくなる

ことを目指し、教材・学習法の研究、学習者個人・企業・教育機関のニーズ調査等を随時行い、その

結果を公表しています。

アルクでは、2005 年以降、主に高等学校に向けて副教材(検定教科書以外の教材)を制作・販売し

てきました。現在では単語集『ユメタン』『キクタン』シリーズ、文法参考書『総合英語 One』シリー

ズをはじめ、学校専売品のリスニング・リーディング問題集等、約 50タイトルの副教材を提供してい

ます。

こうした副教材を指導に効果的に活用いただくため、『英語の先生応援マガジン』やウェブサイト等

での指導事例の紹介にも注力してきました。その一方で、副教材がどのように使われ、どのような効

果につながっているか、定量的には把握できていないという課題もありました。

そこで今回、副教材の採用・活用の実態について、高校・中学の先生にアンケート調査を実施した

ところ、全国の 1000名を超える先生方から回答いただきました。その結果を、副教材の活用実態とし

て本レポートにまとめています。高校においては、単語力・文法力が向上した学校では、どのように

副教材を指導に取り入れているかについても、分析と考察を行いました。副教材は教科書での指導を

補足するものではありますが、効果的に活用すれば、少なくとも単語力向上に寄与しそうだというこ

とが見えてきました。

本レポートが先生方のより良い教材選択や教材活用のご参考になれば幸いです。

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◆本レポートの概要◆

1.副教材の採用冊数

高校は中学より採用冊数が多く、学習の「量」が重視されているとみられ、特にリーディング

副教材・リスニング副教材・入試対策問題集の冊数が多い。ライティング副教材・スピーキング

副教材・検定試験(英検など)対策教材は採用が少ないジャンルだが、高 1 では高 2~3に比べて

「0 冊」の割合がやや低く、その分「未定・不明」の割合が高い。大学入試の 4 技能化を見据え

て、採用すべきかどうか迷っている先生方も一定数いることがうかがえた。

2.副教材の採用検討時に重視するポイント

❶高校で半数程度の先生に重視されていたのは、「生徒が取り組みやすいレベルである」(61.5%)

「音声がついている」(56.5%)「テスト作成用ツールが提供されている」(56.5%)「学習方法・手

順が分かりやすい」(54.2%)であった。生徒の学習しやすさ(レベル、学習方法・手順)と、指

導上の観点(音声、テスト作成用ツール)の両方から採用検討されていることがうかがえる。「大

学入試に役立ちそう」「価格が安い」「生徒が取り組みやすい学習量である」もそれぞれ 30%近く

あり、先生によっては重要なポイントであることが分かる。

❷中学では「テスト作成用ツールが提供されている」が 32.3%と、高校の 56.5%より低く、ツー

ルにあまり頼らない慣習があるようだ。「生徒が取り組みやすい学習量である」は 47.8%と、高校

の 32.6%よりも高い。中高の差が目立つところに注目すると、中学は学習の分量に気を配り1つ

1つの学習項目を丁寧に扱う一方、高校では大学入試を見据えて多数のリーディング、リスニン

グ教材を採用するなど演習量を増やしたい傾向がうかがえる。

❸高校・中学ともに「他の先生方の賛同が得やすい」「その教材や出版社を過去に採用した実績が

ある」は 20%を下回り、「近隣の学校や有名校での採用実績がある」に関しては、5%を下回った。

指導のしやすさも考慮されてはいるが、全体的には“生徒目線”を重視して検討されている様子

がうかがえる。

3.単語力・文法力向上の実態と副教材の活用

❶生徒の単語力が「とても上がった」とみなす先生は、知っている単語数が増えただけでなく、

単語を“使える”状態になったことを、その理由として挙げている。その場合の学習方法として、

単語を発音することに加え、日⇒英の変換や例文の音読、協働学習を取り入れるなど、声を出す

活動が鍵となりそうだ。また、単語を含む英文単位での学習が寄与した可能性もある。

❷生徒の単語力が「とても上がった」ケースでは、副教材として単語集を採用した場合に、授業

中に時間を取って指導する割合が高い。自宅学習に関しては、手順や範囲を指示するだけでなく

音声の使い方を含めた取り組み方を指示する傾向にある。このことから、学習を生徒任せにせず、

授業や自宅学習できめ細かく指導することが単語力向上に役立つと言える。

❸文法に関しては、生徒が問題を解けると「文法力がやや上がった」と見なし、理解・表現の能

力にまで影響が及ぶと「とても上がった」とみなす先生が多い。単語同様に文法も“使える”よ

うにすることを促し、副教材においては手順・範囲を明示したほうが良い可能性がある。

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◆目次◆

はじめに ........................................................................................................................................... 1

本レポートの概要 ............................................................................................................................. 2

1 調査概要 .................................................................................................................................... 4

1.1 調査目的 ............................................................................................................................... 4

1.2 調査対象・方法・期間・回答件数 ....................................................................................... 4

1.3 回答者属性 ........................................................................................................................... 5

2 副教材採用の実態 ..................................................................................................................... 7

2.1 3年間の採用冊数 ................................................................................................................. 7

2.2 高校 3年間の採用冊数[偏差値別] ................................................................................. 14

2.3 高校 3年間の採用冊数[コマ数別] ................................................................................. 16

2.4 採用検討時に重視するポイント ........................................................................................ 18

2.5 高校で採用検討時に重視するポイント[偏差値別] ........................................................ 20

2.6 高校で採用検討時に重視するポイント[担当学年別] .................................................... 21

3 高校での単語力向上の実態と副教材の活用 ........................................................................... 22

3.1 単語力が上がった学校の実態 ............................................................................................ 22

3.2 単語力が上がったと感じる理由 ........................................................................................ 24

3.3 授業中の単語学習の方法 ................................................................................................... 25

3.4 単語集の学習指示 .............................................................................................................. 28

3.5 単語集の周回数 .................................................................................................................. 29

3.6 単語テストの内容 .............................................................................................................. 30

4 高校での文法力向上の実態と副教材の活用 ........................................................................... 32

4.1 文法力が上がった学校の実態 ............................................................................................ 32

4.2 文法力が上がったと感じる理由 ........................................................................................ 33

4.3 授業中の文法学習の方法 ................................................................................................... 36

4.4 文法問題集の学習指示 ....................................................................................................... 37

おわりに ......................................................................................................................................... 38

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1 調査概要

1.1 調査目的

1. 高校・中学における副教材採用・活用の実態(どのような観点で、どのくらいの数の副教材を採用

し、どのように使っているか)を明らかにし、先生方に採用冊数やどのような教材を採用するか検討

する際の参考情報として提供する。

2. 生徒の単語力・文法力がアップしたと判断している高校の先生が、単語・文法の指導をどのように

展開し、その中で副教材をどのように活用しているかを明らかにし、高校の単語・文法指導における

副教材の効果的な活用方法のアイデアを提供する。

※アルクでは、学校向けの副教材は主に高校を対象に制作・販売しているため、主な調査対象は高校

の先生方としたが、中学校の先生方からも 161件の回答が得られたため、上記の 1. については中学校

の状況も集計・分析した。

1.2 調査対象・方法・期間・回答件数

1. 調査対象

株式会社アルクが主催するセミナーの参加者や、アルクが発行する情報誌『英語の先生応援マガ

ジン』の購読者など、アルクと接点がある高校・中学の英語教師。

2. 調査方法

アンケートはインターネット上にて実施。E メールおよび『英語の先生応援メールマガジン』上

にて、アンケート回答用の URLを示して回答を依頼した。URLへの誘導 QR コードを記載した

レターも別途郵送し、学校訪問時には直接手渡して回答を促した。アンケート回答特典として、

回答者全員にアルク主催「英語の先生応援セミナー」の無料受講券と、本調査の結果速報を提供

した。

3. 調査期間・回答件数

回答受付期間は 2019 年 4 月 9日(火)~5月 8日(水)で、1,253 人から回答を得た。うち、氏

名・メールアドレスなどから、同一人物が重複して回答していると判別できたものについては重

複を削除した結果、回答者数は 1,215人で、高校勤務の先生は 1,054人、中学校勤務の先生は 161

人であった。

※回答依頼件数は社外秘情報のため非公表

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1.3 回答者属性

高校の先生(1,054人)は 60.4%が公立の所属であるのに対し、中学の先生(161人)は 63.4%が私

立の所属であった。中学の場合には、私立の方が予算に比較的ゆとりがあり、副教材の採用などでア

ルクと接点があったためと推測される。

回答者の勤務校における入学時の偏差値は、高校・中学ともに 45~49と 50~54の割合が高く(こ

の 2つの偏差値レンジを合計すると高校 46.9%、中学 56.5%)、メインで担当した学年の割合は中 1 か

ら高 3までほぼ均等に分かれた。

1.3

60.4

38.1

0.1 0.0

36.6

63.4

0.0 0%

20%

40%

60%

80%

国立 公立 私立 その他

勤務校の運営

高校(n=1,054) 中学校(n=161)

8.6

15.9

22.2 24.7

14.9

8.3 3.7 1.6

4.3

11.8

29.2 27.3

14.3

8.1 3.7

1.2

0%

10%

20%

30%

40%

~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70以上

勤務校の入学時の偏差値

高校(n=1,054) 中学校(n=161)

32.3 34.2 33.5 32.2 30.3

37.6

0%

10%

20%

30%

40%

中学1年生 中学2年生 中学3年生 高校1年生 高校2年生 高校3年生

2018年度の担当学年

中学校(n=161) 高校(n=1,054)

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勤務校の週あたりの授業時間(コマ)数は、高校では 6 コマが 31.6%と最多で、中学では 4 コマが

35.4%と最多、6 コマが 29.2%で続いた。

回答者の性別は高校では男性の割合がやや高く(13.4 ポイント差)、中学は男女ほぼ半々で、年齢は

中高共に 40代が最多(高校 34.3%、中学 34.8%)、中学校では 30代(29.2%)、高校では 50 代(29.8%)

が続いた。

8.1 9.9 16.2

31.6

11.5 8.3

14.4

0.6

35.4

22.4 29.2

8.7 3.7

0.0 0%

10%

20%

30%

40%

1週間の英語の授業時間(コマ)数

高校(n=1,054) 中学校(n=161)

1.2

7.0

10.6 13.0

17.2 17.1 16.4

13.4

3.5 0.6

3.1

6.8

18.0

11.2

15.5

19.3

13.0

8.7

3.7

0.6

0%

10%

20%

30%

~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳~

年代

高校(n=1,054) 中学校(n=161)

51.6

56.7

48.4

43.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

性別

男性 女性

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2 副教材採用の実態

2.1 3年間の採用冊数

ここでは、各分野(単語・文法・リーディング等)の 3 年間での採用冊数を高校・中学の別に見て

いく。本レポートは主な読者を高校・中学の先生方と想定しているので、採用検討の際の参考情報と

なり得ると考える。

副教材の適切な採用冊数は、学校やクラスの状況によって異なるであろう。だが現実には、「多めに

渡しておけば生徒は取り組むはずだ」と、教師自身が安心したいがために必要以上に教材を与えてし

まったり、生徒の一般的なニーズを十分に把握できず教材数が不足してしまったり、といったことは

起こり得る。平均的な採用冊数を知っておくことで、そういったことが防げるのではないだろうか。

また、新年度に向けての教材費を考える上でも、3年間の採用冊数を“目安”として把握しておくこ

とには意義があるだろう。

■単語集

高校では「3 年間で 1 冊」が 45.0%、「2 冊」が 39.4%、「3 冊以上」が 9.4%となり、9 割を超える学

校が採用している。教科書の単語だけでは数が足りないと考える先生が多いのかもしれない。

一方の中学では 41.6%が「3 年間で 0 冊」と回答し、採否の判断が割れている。

41.6

6.0

33.5

45.0

16.1

39.4

5.6

9.0

1.2

0.4

1.9

0.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

質問項目:2018 年度にあなたがメインで担当した学年では、高校 3 年間(中学校に勤務されてい

る場合は中学 3 年間)を通じて、英語の副教材を何冊採用する予定ですか。以下の各分野につい

て、あてはまるものをそれぞれ 1 つお選びください。

※担当した学年が 3 年生の場合は、これまでに採用した冊数をお答えください。

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■熟語集

高校で 80.2%、中学で 85.1%が「3 年間で 0 冊」と回答し、単語集とは異なり採用しないケースが

目立つ。単語集の採用には意欲的な高校であっても、熟語までは手が回らない、もしくは単語集の中

に熟語に関する記載があるなどで、熟語を別途覚えさせるための教材は不要と考えているのかもしれ

ない。

■文法(総合英語)参考書

高校では「3 年間で 1 冊」が 77.2%、中学では「3 年間で 0 冊」が 64.0%と、採否という観点では中

高で対照的な結果となった。中学校では基本的な文法が多いため、参考書で調べる必要性は薄いが、

高校では学習する項目も多く、内容も複雑になるため教科書だけでは事足りず、調べることで理解を

助ける役割を参考書が果たしていると考えられる。

85.1

80.2

9.3

15.0

0.6

1.3

1.2 0.6

0.2

3.1

3.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

64.0

14.9

25.5

77.2

3.7

5.8

3.7

1.0 0.3

3.1

0.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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■文法(総合英語)参考書準拠のワークブック

文法参考書採用の有無とは別にワークブックの採否を尋ねたところ、高校では「3 年間で 1 冊」が

44.7%で最も高い割合であったが、「0 冊」も 29.4%に上った。文法参考書は「0 冊」が 14.9%なので、

14.5%の差があり必ずしも参考書とセットで採用しているとは限らないことがわかった。これは、現行

の学習指導要領から新設された「英語表現」において、一部の検定教科書が、文法参考書準拠のワー

クブックと類似した内容となっていることも影響があると思われる。

中学では「3 年間で 0 冊」が 65.2%となり、参考書と同様の数値となった。

■文法問題集

高校では「3 年間で 1 冊」が 35.6%、「2 冊」が 24.4%、「3 冊」が 14.3%で、参考書準拠のワークブ

ックよりも採用冊数が多い傾向にある。

中学では「3 年間で 0 冊」が 34.8%、「3 冊」が 29.2%と高く、両極端な結果となっている。検定教

科書のみで学習を進めるパターンと、1 年間につき 1 冊の文法問題集で補強を図るパターンの、どち

らかが主流となっている可能性がある。

65.2

29.4

13.0

44.7

5.0

15.9

12.4

6.7

0.6

1.0

3.7

2.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

34.8

17.6

17.4

35.6

9.9

24.4

29.2

14.3

5.0

5.0

3.7

3.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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■リーディング副教材

高校では 3 年間で 2 冊以上(「2 冊」「3 冊」「4 冊以上」の合計)が 58.9%となり、採用冊数が 2 冊

以上の割合がすべてのジャンルの中で最も高い結果となった。検定教科書の英文は生徒にとって難易

度が高くなりがちで精読に用いられるケースが多かったり、問題演習や多読などの目的に合わせた副

教材が複数必要となったりすることから数多く採用するものと思われる。

一方の中学では、「3 年間で 0 冊」が 52.8%と、文法問題集ほどは採用していない。

■リスニング副教材

高校では 3 年間で 2 冊以上(「2 冊」「3 冊」「4 冊以上」の合計)が 52.2%で、リーディング副教材

に次いで 2 冊以上の採用割合が高い。検定教科書ではリスニングが主たるタスクとなっているわけで

はないため、問題演習のため副教材に頼るケースが多いものと思われる。

一方の中学では、「3 年間で 0 冊」が 50.3%となった。検定教科書の英文の量が少ないなどで音声を

活用する余裕があり、副教材に頼る割合が高校に比べて低いと考えられる。

52.8

23.4

16.1

12.1

8.7

15.7

8.1

17.6

8.7

25.6

5.6

5.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

50.3

23.6

12.4

19.5

9.9

21.7

17.4

18.6

2.5

11.9

7.5

4.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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■ライティング副教材

高校では「3 年間で 0 冊」が 47.5%、「1 冊」が 26.0%と、リーディングやリスニングと比べるとあ

まり採用しない傾向にある。中学では 3年間で「0 冊」が 75.8%とその傾向がさらに強い。

大学入試改革の影響もあり 4 技能のバランス良い指導の重要性が高まってはいるものの、依然とし

てリーディングやリスニングが指導の中心となっているようだ。

■スピーキング副教材

高校で 70.5%、中学で 70.2%が「3 年間で 0 冊」と回答し、採用しない傾向がライティング教材よ

りさらに強い。このジャンルの教材自体が少なく、教材を採用したとしても通常のクラスサイズでは

指導方法の工夫に難しさが伴うためと思われる。

75.8

47.5

9.3

26.0

1.9

13.9

3.7

4.4

0.6

0.8

8.7

7.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

70.2

70.5

10.6

14.1

4.3

4.3

6.2

1.5

0.0

0.1

8.7

9.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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■検定試験(英検など)対策教材

高校で 72.9%、中学で 73.3%が「3 年間で 0 冊」と回答し、採用しない傾向が強い。教科書や上述

の各ジャンルの副教材を活用することが、民間の資格・検定試験の対策にも十分つながると考える先

生が多いのかもしれない。

■入試対策問題集

高校では「3 年間で 0 冊」が 30.3%、「1 冊」が 18.4%、「2 冊」が 20.0%と判断が分かれている。0

冊に関しては、上述の検定試験対策教材と同様の理由が考えられるが、現段階ではより重要度の高い

入試に向けて対策問題集を採用する学校も一定数ある現状が見て取れる。

中学では 60.2%が「3 年間で 0 冊」と回答し、あまり採用しない傾向にある。

73.3

72.9

8.1

12.6

5.6

3.9

4.3

2.6

0.0

0.5

8.7

7.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

60.2

30.3

27.3

18.4

4.3

20.0

0.6

9.9

1.2

13.3

6.2

8.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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13

■教科書準拠ワークブック

高校では「3 年間で 0 冊」が 34.9%、「3 冊」が 23.3%と目立つ結果になり、中学ではその傾向がさ

らに強く、「0 冊」が 40.4%、「3 冊」が 43.5%であった。全く採用しないか、採用する場合には教科書

1冊につき必ず 1 冊購入する(3年間で 3冊)というパターンが多いと推測できる。

■ライティング・スピーキング・検定試験(英検など)対策教材に見られる特徴

分野別の副教材採用冊数を学年別に見たところ、一部の教材において、高校で共通する特徴が見ら

れた。

ライティング副教材、スピーキング副教材、検定対策教材は、高 1では高 2~3 に比べて「0 冊」の

割合がやや低く、その分「未定・不明」の割合が高い(約 12~18%)。他の副教材では、「未定・不明」

の割合は高 1でも 8%以下にとどまっており、方針がはっきりしている。

40.4

34.9

8.1

13.2

6.2

16.9

43.5

23.3

1.9

8.3

0.0

3.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

中学校(n=161)

高校(n=1,054)

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

43.7

51.1

48.0

24.2

25.7

27.8

14.7

9.7

16.7

2.9

6.9

3.5

1.5

0.3

0.5

13.0

6.3

3.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

高校1年生(n=339)

高校2年生(n=319)

高校3年生(n=396)

ライティング副教材

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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14

高 1時点では「採用しない」と決めている先生ばかりでなく、「現時点では判断がつかない」先生も

一定数いることがうかがえる。特にスピーキング副教材でその傾向が顕著なので、2020 年度以降の大

学入試 4技能化(2018年度の高校 1年生が対象)などの影響を見極めようとしているのかもしれない。

2.2 高校 3年間の採用冊数[偏差値別]

高校において、偏差値が高い学校の方が、3年間での副教材採用数が多い(熟語集・スピーキング副

教材・検定対策教材を除くほとんどの教材において)。リーディング副教材・リスニング副教材は差が

顕著で、特に偏差値 49 以下の学校での差がはっきりと表れている。

58.7

74.0

77.8

13.6

15.4

13.6

6.5

3.1

3.3

2.1

0.9

1.5

0.3

18.9

6.6

3.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

高校1年生(n=339)

高校2年生(n=319)

高校3年生(n=396)

スピーキング副教材

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

61.7

74.6

81.1

16.5

10.7

10.9

5.9

4.4

1.8

2.7

2.8

2.3

0.6

0.6

0.3

12.7

6.9

3.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

高校1年生(n=339)

高校2年生(n=319)

高校3年生(n=396)

検定試験(英検など)対策教材

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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15

偏差値が高い学校ほど生徒の学習進度が速いので、たくさんの教材を活用できるのかもしれない。

また、大学入試への意識が高いことも要因と考えられる。

なお、中学校はサンプル数が少ないため、この項目では分析の対象としなかった。

53.8

35.7

23.5

16.2

15.3

12.5

12.8

5.9

16.5

11.9

14.5

12.7

8.9

8.0

10.3

5.9

9.9

17.3

17.5

16.5

14.0

18.2

7.7

17.6

11.0

14.3

14.5

20.4

25.5

17.0

12.8

29.4

4.4

11.9

24.8

30.0

33.1

35.2

51.3

41.2

4.4

8.9

5.1

4.2

3.2

9.1

5.1

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

~39(n=91)

40~44(n=168)

45~49(n=234)

50~54(n=260)

55~59(n=157)

60~64(n=88)

65~69(n=39)

70以上(n=17)

偏差値別 リーディング副教材の採用冊数

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

59.3

37.5

23.1

15.0

12.1

14.8

17.9

16.5

17.3

20.9

22.3

18.5

25.0

5.1

11.8

7.7

17.3

23.1

24.6

24.8

20.5

20.5

58.8

8.8

15.5

15.8

19.2

24.8

19.3

35.9

29.4

3.3

7.7

11.5

12.7

17.2

15.9

20.5

4.4

4.8

5.6

6.2

2.5

4.5

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

~39(n=91)

40~44(n=168)

45~49(n=234)

50~54(n=260)

55~59(n=157)

60~64(n=88)

65~69(n=39)

70以上(n=17)

偏差値別 リスニング副教材の採用冊数

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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16

2.3 高校 3年間の採用冊数[コマ数別]

学校の偏差値とともに、判断基準に影響を及ぼすものとして授業時間数が挙げられる。

1人の生徒が受ける週あたりの英語の授業時間数(以下、コマ数)が多い高校の方が、3年間での副

教材採用数が多い(熟語集・スピーキング副教材・検定対策教材を除くほとんどの副教材において)。

文法問題集・リーディング副教材は差が顕著で、特に週 5コマ以下の高校で差がはっきりと表れてい

る。

54.1

29.8

18.1

9.3

7.4

5.7

21.7

18.8

30.8

35.7

41.4

35.5

37.5

34.2

12.9

20.2

21.1

26.4

32.2

33.0

21.7

11.8

8.7

17.0

13.8

14.0

19.3

15.1

6.7

4.1

5.1

9.9

3.4

4.6

2.4

3.8

4.1

3.9

0.8

1.1

2.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3コマ以下(n=85)

4コマ(n=104)

5コマ(n=171)

6コマ(n=333)

7コマ(n=121)

8コマ以上(n=88)

生徒によって異なる(n=152)

コマ数別 文法問題集の採用冊数

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

61.2

39.4

22.2

13.8

13.2

18.2

25.0

14.1

15.4

11.1

11.1

8.3

13.6

14.5

5.9

12.5

18.1

12.6

20.7

21.6

20.4

11.8

11.5

15.8

21.0

22.3

22.7

13.2

4.7

13.5

25.7

34.8

33.9

21.6

21.1

2.4

7.7

7.0

6.6

1.7

2.3

5.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3コマ以下(n=85)

4コマ(n=104)

5コマ(n=171)

6コマ(n=333)

7コマ(n=121)

8コマ以上(n=88)

生徒によって異なる(n=152)

コマ数別 リーディング副教材の採用冊数

0冊(採用しない) 3年間で1冊 2冊 3冊 4冊以上 不明・未定

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17

コマ数が多い学校ほど、学習時間や機会が多いので、たくさんの教材を活用できるのかもしれない。

下のグラフが示すように、偏差値の高い学校ほどコマ数が多い傾向にあるので、採用する副教材の数

も多くなっていると言えるだろう。

なお、中学校はサンプル数が少ないため、この項目では分析の対象としなかった。

26.5

14.4

3.9

4.6

3.3

2.0

17.3

20.9

13.5

13.5

6.1

6.9

15.6

5.3

15.3

18.7

20.3

15.1

15.0

16.8

15.6

15.8

15.3

21.9

32.7

30.3

35.0

46.5

44.4

52.6

5.1

3.2

10.3

13.8

15.6

12.9

17.8

21.1

4.1

6.4

7.5

9.2

10.0

8.9

2.2

5.3

16.3

14.4

11.7

13.5

15.0

5.9

4.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70以上

入学時の偏差値と1週間あたりの英語の授業時間(コマ)数

の関係(n=1,054)

3コマ以下 4コマ 5コマ 6コマ 7コマ 8コマ以上 生徒によって異なる

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18

2.4 採用検討時に重視するポイント

ここでは、高校・中学の英語教師がどのような観点を重視して副教材の採用を検討しているのか見

ていく。

経験と勘だけに頼って選んでしまったり、単に前例踏襲で決めてしまったりすると、生徒の学習ニ

ーズとミスマッチを引き起こしたり、教師にとってその副教材が使いづらく活用しきれなかったりす

る可能性がある。調査結果から他校の状況を知り、副教材検討時の重視ポイントを見直すことで、そ

うしたリスクを最小化できると思われる。

以下では、教師が採用検討時に重視するポイントを中高で比較してみたあと、高校に限定して偏差

値別・担当学年別にまとめた。

40.5

54.2

56.5

14.7

56.5

22.4

29.6

19.4

4.3

12.5

35.5

61.5

32.6

11.6

17.2

42.9

62.7

64.0

8.7

32.3

11.2

36.6

13.0

3.1

10.6

6.8

65.8

47.8

14.9

28.6

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

【レイアウト】が見やすい

【学習方法・手順】が分かりやすい

【音声】がついている

【アプリ】がついている

【テスト作成用ツール】が提供されている

【バラでの納品】が可能である

【価格】が安い/コストパフォーマンスが良い

その教材や出版社を【過去に採用した実績】がある

【近隣の学校や有名校での採用実績】がある

【他の先生方の賛同】が得やすい

【大学入試】に役立ちそう

生徒が【取り組みやすいレベル】である

生徒が【取り組みやすい学習量】である

生徒が【楽しんで学習】できる

生徒が話したり書いたりして【英語を使える】ようになる

高校(1,054) 中学校(n=161)

質問項目:副教材の採用を検討される際、特に重視される項目を 5 つまでお選びください。

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19

高校で半数程度の先生に重視されていたのは、「学習方法・手順が分かりやすい」(54.2%)「音声が

ついている」(56.5%)「テスト作成用ツールが提供されている」(56.5%)「生徒が取り組みやすいレベ

ルである」(61.5%)であった。生徒の学習しやすさ(学習方法・手順、レベル)と、指導上の観点(音

声、テスト作成用ツール)の両方から採用検討されていることがうかがえる。「大学入試に役立ちそう」

「価格が安い」「生徒が取り組みやすい学習量である」もそれぞれ 30%近くあり、先生によっては重

要なポイントであることが分かる。

中学では「テスト作成用ツールが提供されている」が 32.3%と、高校の 56.5%より低く、ツールに

あまり頼らない慣習があるようだ。「生徒が取り組みやすい学習量である」は 47.8%と、高校の 32.6%

よりも高い。中高の差が目立つところに注目すると、中学は学習の分量に気を配り1つ1つの学習項

目を丁寧に扱う一方、高校では大学入試を見据えて多数のリーディング、リスニング教材を採用する

など演習量を増やしたい傾向がうかがえる。

高校・中学ともに「【他の先生方の賛同】が得やすい」「その教材や出版社を【過去に採用した実績】

がある」は 20%を下回り、「【近隣の学校や有名校での採用実績】がある」に関しては、わずか 5%を

下回った。指導のしやすさも考慮されてはいるが、全体的には“生徒目線”を重視して検討されてい

る様子がうかがえる。

自由記述欄には、「アプリで音声が聞ける教材」「動画で学べる教材」「表現力や思考力を育てながら

力を伸ばすような教材」を探しているという回答もあり、マルチメディア活用環境の整備や学習指導

要領の改訂などを踏まえた今の時代ならではの教材のニーズも浮かび上がってくる。

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20

2.5 高校で採用検討時に重視するポイント[偏差値別]

採用冊数の判断と同様に、採用時に何を重視するかは学校の偏差値によっても異なる。

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

【レイアウト】が見やすい

【学習方法・手順】が分かりやすい

【音声】がついている

【アプリ】がついている

【テスト作成用ツール】が提供されている

【バラでの納品】が可能である

【価格】が安い/コストパフォーマンスが良い

その教材や出版社を【過去に採用した実績】がある

【近隣の学校や有名校での採用実績】がある

【他の先生方の賛同】が得やすい

【大学入試】に役立ちそう

生徒が【取り組みやすいレベル】である

生徒が【取り組みやすい学習量】である

生徒が【楽しんで学習】できる

生徒が話したり書いたりして【英語を使える】ようになる

~39(n=91) 40~44(n=168) 45~49(n=234) 50~54(n=260)

55~59(n=157) 60~64(n=88) 65~69(n=39) 70以上(n=17)

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21

偏差値が高い高校ほど、「音声」「バラでの納品」「大学入試」の割合が高めの傾向にある。前述のよ

うに、偏差値が高い学校はコマ数も多い傾向があるので、さまざまな指導を行える時間の余裕もある

ことから「音声」を、必要な時に必要な分量だけ教材を与えるといった柔軟性の観点から「バラでの

納品」を必要とする可能性がある。

偏差値が低い高校は、「生徒が取り組みやすいレベル」の割合が高めの傾向にある。学習に困難を感

じている生徒への配慮があるのかもしれない。

なお、中学校はサンプル数が少ないため、この項目では分析の対象としなかった。

2.6 高校で採用検討時に重視するポイント[担当学年別]

学校の偏差値とともに関係してくるのが、担当している学年である。

高 1では、「音声」「生徒が取り組みやすい学習量」「英語を使える」の割合が高めの傾向にある。量

をある程度しぼった上で、音声を使った活動に取り組ませ、4 技能を向上させようとしているのかもし

れない。

高 3では、「バラでの納品が可能」「大学入試に役立ちそう」の割合が高めの傾向にある。バラでの

納品が高 3 の先生により重視されているのは、必要に応じて投げ込み教材として活用し、生徒の学習

量を適正に保ちたい、予習できない環境で実力を試させたい、ということかもしれない。

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

【レイアウト】が見やすい

【学習方法・手順】が分かりやすい

【音声】がついている

【アプリ】がついている

【テスト作成用ツール】が提供されている

【バラでの納品】が可能である

【価格】が安い/コストパフォーマンスが良い

その教材や出版社を【過去に採用した実績】がある

【近隣の学校や有名校での採用実績】がある

【他の先生方の賛同】が得やすい

【大学入試】に役立ちそう

生徒が【取り組みやすいレベル】である

生徒が【取り組みやすい学習量】である

生徒が【楽しんで学習】できる

生徒が話したり書いたりして【英語を使える】ようになる

高校1年生(n=339) 高校2年生(n=319) 高校3年生(n=396)

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22

3 高校での単語力向上の実態と副教材の活用

2020年度から段階的に実施される新しい学習指導要領では、小中高で学ぶ単語の総数が 2000語程

度増加する(約 3000 語から約 5000語へ)など、単語力(語彙力)の養成がより重視されている。4

技能にわたり英語が使えるようになるためにも、下支えとなる単語力は不可欠である。そこで、生徒

の単語力向上の実態と、副教材などを効果的に活用した指導について、調査結果を基に概観する。

なお、本章では、サンプル数が一定数確保できた「高校」での状況についてのみ分析対象とした。

3.1 単語力が上がった学校の実態

単語力が「とても上がった」が 10.1%、「やや上がった」が 58.5%となっている。

次のグラフからわかるように、入学時の偏差値が高い学校、英語授業のコマ数が多い学校ほど、生

徒の単語力が上がったと受け止めている教師の割合が高い。そのような学校では、学習進度が速くた

くさんの単語に出合うことができ、さまざまな角度から単語を学習し定着させることに授業時間を割

くことができるので、単語力が上がりやすいのかもしれない。

10.1

58.5

31.0

0.3 0.1

単語力がとても上がった

単語力がやや上がった

どちらとも言えない

単語力がやや下がった

単語力がとても下がった

質問項目:2018 年度にあなたがメインで担当した学年の生徒さん(※)の 2018 年 4 月から 2019

年 3 月まで(1 年間)の単語力の変化について、どのようにお感じになりますか。最もあてはまる

ものを 1 つお選びください。

※平均的な学力の生徒さんを想定してお答えください

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23

それでは、単語力が上がった学校は、どのような力が身についたのか。そのために、どのような学

習を行っていたのだろうか。偏差値の高くない学校やコマ数が多くない学校の場合でも、単語力を引

き上げることができるのだろうか。次節以降にて扱う。

5.5

6.0

9.8

10.0

9.6

18.2

20.5

17.6

40.7

57.1

56.4

58.8

72.6

55.7

64.1

64.7

52.7

36.9

33.8

30.8

17.2

25.0

15.4

17.6

0.4

0.6

1.1

1.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~39(n=91)

40~44(n=168)

45~49(n=234)

50~54(n=260)

55~59(n=157)

60~64(n=88)

65~69(n=39)

70以上(n=17)

入学時の偏差値

単語力がとても上がった 単語力がやや上がった どちらとも言えない

単語力がやや下がった 単語力がとても下がった

3.5

7.7

5.8

9.0

14.9

18.2

13.8

48.2

54.8

58.5

64.9

59.5

58.0

52.6

48.2

37.5

34.5

25.8

25.6

23.9

32.9

1.2

0.3

0.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

3コマ以下(n=85)

4コマ(n=104)

5コマ(n=171)

6コマ(n=333)

7コマ(n=121)

8コマ以上(n=88)

生徒によって異なる(n=152)

週あたりのコマ数

単語力がとても上がった 単語力がやや上がった どちらとも言えない

単語力がやや下がった 単語力がとても下がった

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24

3.2 単語力が上がったと感じる理由

生徒の単語力が「上がった」と回答した高校の先生の約 9割がそう感じた理由として「知っている

【単語の数】が増えた」を挙げたことから、まずは“量”が大事だと認識されていることが分かる。

一方で、「上がった」と回答した先生のうち「【正しいつづり】を覚えた」「単語を【聞き取れる】よ

うになった」「単語を【正しく発音】できるようになった」「知っている英単語が【スピーキングやラ

イティングの際に使える】ようになった」と感じた先生の割合は 20~30%代に留まった。英語を聞い

88.7

24.5

39.6

39.6

43.4

45.3

55.7

9.4

93.8

20.1

22.7

19.8

22.0

27.7

31.6

0.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

知っている【単語の数】が増えた

1単語につき【複数の意味】を覚えた

【正しいつづり】を覚えた

単語を【聞き取れる】ようになった

単語を【正しく発音】できるようになった

知っている英単語が【スピーキングやラ

イティングの際に使える】ようになった

単語を【学習する意欲】が向上した

その他

単語力がとても上がった(n=106) 単語力がやや上がった(n=617)

質問項目:「生徒の単語力が(やや・とても)上がった」と回答された方にお聞きします。どのよ

うな面でそう感じますか。あてはまるものをすべてお選びください。

<「その他」の記述>

一部の生徒が「単語帳でやった」と言うようになった/語根のイメージの話が理解できた/模試のデータ分析の結果/「で

きるようになってきた」と生徒に言われた/定型文でなくても、知っている単語を使って話そうとしたり、書こうとした

りしていた /長文読解の力が向上した/コーパスや実際の使用に関心を持ち始めた/生徒達からそう言われた!ので、

「単語力が上がった」とわかった/具体的には、知っている単語を speaking & writingの中で生徒達が運用できるように

なっていた!/入試の長文を読む力が上がった/読解力が上がった/ 読解力が向上した/模擬試験の点数が上がった/

コロケーションで大まかにとらえるようになった/模試などの成績が他学年より良い/まとまった初見の英文を読むのが

速くなった/予備校の模擬試験で語彙力が上がった/英検の合格率が上がった/コロケーションを知った/模擬試験等に

おける英文読解に役立っている感じがします

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25

質問項目:2018 年度にあなたがメインで担当した学年では、授業中、生徒はどのように単語を学

習していましたか。あてはまるものをすべてお選びください。

※教科書に掲載されている単語なども含めてお答えください。

※単語テストを実施していた場合は、テストでの実施内容は含めずお答えください。

たり読んだりして理解し、話したり書いたりしてコミュニケーションをとるためには、単語の音やつ

づりも正確に覚える必要があるが、そうした“使える”単語力に対する向上の実感は低調であった。

しかし注目すべきは、生徒の単語力が「やや上がった」とみなす先生と「とても上がった」とみな

す先生とでは、この回答傾向が異なるということである。例えば「単語を【正しく発音】できるよう

になった」に関しては、「やや上がった」先生の 22.0%が選択したのに対して、「とても上がった」先

生においては 43.4%が選択した。同様に、「【正しいつづり】を覚えた」「単語を【聞き取れる】ように

なった」「知っている英単語が【スピーキングやライティングの際に使える】ようになった」に関して

も、20 ポイント前後の差がついた。

このことから、知っている単語数が増えると、「生徒の単語力がやや上がった」と見なし、正しく書

いたり、聞いたり発音したり、スピーキングに使えたりする(=単語が使える状態になる)と、「とて

も上がった」と見なす先生が多いようだ。

では、どのような指導をすると「単語が使える」ようになるのだろうか。次節では単語力が「とて

も上がった」高校のデータから、そのヒントを探る。

なお偏差値が 49 以下、週当たりのコマ数が 5以下の学校の場合であっても、生徒の単語力が「とて

も上がった」という回答が少ないながらも見受けられた。授業中や自学での単語学習の方法について、

工夫できることがあるのではないだろうか。この点についても、併せて考える。

3.3 授業中の単語学習の方法

各項目の回答割合を、生徒の単語力が「とても上がった」「やや上がった」「どちらとも言えない」

と回答した 3グループ別にまとめたものが、次のグラフである。

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26

90.6

27.4

20.8

50.9

63.2

24.5

52.8

16.0

20.8

25.5

26.4

59.4

3.8

0.9

90.4

28.5

18.6

43.1

50.2

12.3

47.6

8.4

13.9

15.2

19.3

52.7

3.1

2.4

83.8

39.1

12.5

44.3

47.7

11.9

39.4

10.1

10.4

13.8

19.3

44.6

0.6

1.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

英単語を【発音する】

英単語を【書き写す】

英単語を【ディクテーションする】

英単語を【見て(聞いて)和訳する】(英→日)

英単語の【和訳を見て(聞いて)

英単語を声に出す(書く)】(日→英)

英単語を【使った英作文をする】

英単語を含む英文を【音読する】

英単語を含む英文を【書き写す】

英単語を含む英文を【ディクテーションする】

英単語を含む英文を【見て(聞いて)和訳する】(英→日)

英単語を含む英文を【和訳を見て(聞いて)

英語で声に出す(書く)】(日→英)

英単語を【ペア・グループなどで活動しながら】学習する

その他

授業中に単語を学習しなかった

単語力がとても上がった(n=106) 単語力がやや上がった(n=617) どちらとも言えない(n=327)

<「その他」の記述(類似の回答はまとめて( )内に件数を示した)>

小テスト(8)/Quizletを使用した(2)/英単語 definitionを英語で確認(2)/担当にお任せ/写真や絵を見て英語を

発音し、書く/スピーチや対話で/やり取りしたことを書かせる時に確認させた/指定英単語・熟語を使って自分で文を

作る(話してアウトプット)/iPad アプリと大型モニターを使ってフラッシュカードを表示する/3学年は単語のみの形

は授業では扱わず/英単語を含む英文をリテリングする/和訳⇒英語で書く/英単語を含んだ英文を4つ作り、つなげて

物語を作る/単語に関するQ&Aをしたり、単語の意味を別の英語表現で説明したりして学習する/発音記号を読む、発

音記号を見てつづりを書く/ミュージックビデオなどを見て、テーマとなる単語を使いその映像を描写するなど、ゲーム

のように学んだ/ユメタン使用/アプリ/辞書を引いて例文などで確認する/語源

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27

「英単語を【発音する】」という回答が最も多かった。また、「英単語の【和訳を見て(聞いて)英

単語を声に出す(書く)】(日→英)」「英単語を含む英文を【音読する】」「英単語を【ペア・グループ

などで活動しながら】学習する」も目立ち、英語を声に出す活動が取り入れられている傾向がみえる。

生徒の単語力が「とても上がった」先生の回答には特徴が見受けられた。例えば「英単語の【和訳

を見て(聞いて)英単語を声に出す(書く)】(日→英)」に関しては 63.2%が選択しているのに対し、

「やや上がった」では 50.2%、「(単語力が変化したかどうかは)どちらとも言えない」では 47.7%が

選択。同様に、「英単語を含む英文を【音読する】」「英単語を【ペア・グループなどで活動しながら】

学習する」に関しても、「やや上がった」とは約 7ポイント、「どちらとも言えない」とは約 15ポイン

トの差がついた。音声を使ったアクティブな授業で発音が身についたり、単語が“使える”ようにな

ったりしていると考えられる。

偏差値が 49以下や週 5コマ以下の学校においても、上記の活動を取り入れて成果が出たというケー

スが散見された。

「これまでにご採用された副教材で、効果的に利用できたと先生がお感じになるものがありました

ら、1 つお選びいただき、教材名と具体的な利用法、利用の効果についてお知らせください」という自

由回答の設問に対する記述として、「アルクの教材と紐づいている無料の、再生速度の調整ができる音

声再生アプリ(ALCO)を授業で活用し、発音トレーニングを行っている」という事例があった。ま

た、「ペアで問題の出し合いをさせ、3ポイント先取で勝ち負けを決めることで大いに盛り上がり、単

語の学習意欲が大きく上がった」という。ペアワーク・グループワークといった学習形態も活用し、

声を出す活動を取り入れることに意義があると言える。

別の学校において、「事前に学習させた上で、CD に合わせて教材誌面も見ずに発音させている」と

いう先生からは、「考えながら学習するようになり、効果が上がった」との回答もあった。

さらに、生徒の単語力が「とても上がった」という先生は、英単語を含む英文を使った活動をする

割合が高いことも特徴として挙げられる。単語のみを丸暗記させるよりも、意味のある文脈(英文)

の中で覚えさせ、活用を促すほうが、意味のある文脈で効率よく覚えること(エピソード記憶)がで

き、学習効果が高い可能性がある。

ここまで、単語力が「とても上がった」高校の授業中の単語学習について探ったが、そうした高校

では、副教材である「単語集」に関してはどのように扱っているのだろうか。

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28

3.4 単語集の学習指示

生徒の単語力が「とても上がった」先生の場合には「【授業中】に学習した(テストのみの場合を除

く)」の実施率が 79.0%と高い(「やや上がった」は 57.0%、「どちらとも言えない」は 49.6%)。「自宅

学習の【音声の使い方を指示】した」に関しても「とても上がった」先生の場合には 62.0%と高い(「や

や上がった」は 43.2%、「どちらとも言えない」は 28.5%)。「自宅学習の【手順を指示】した」に関し

ても上の 2 項目ほどではないが、「とても上がった」(69.0%)「やや上がった」(62.8%)「どちらとも

言えない」(50.7%)に比べて割合が高かった。

一方、「自宅学習の範囲を指示した」「自宅学習の宿題にし、提出させて確認した」割合は、「単語力

がとても上がった」学校とそれ以外の学校ともに 70%前後、20%前後で顕著な差はなかった。

単語集を採用する場合、授業中に生徒と一緒に学習し、自宅での学習指示も範囲を指定するだけで

なく、使い方や音声の活用法を含めて行うことで“使える”単語力が身につけられると言えそうだ。

79.0

37.0

69.0

62.0

71.0

22.0

4.0

1.0

57.0

24.8

62.8

43.2

72.7

24.2

3.2

0.9

49.6

21.5

50.7

28.5

65.6

25.6

3.0

1.5

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

【授業中】に学習した(テストのみの場合を除く)

【放課後や長期休暇の講習】で学習した

自宅学習の【手順を指示】した

自宅学習の【音声の使い方を指示】した

自宅学習の【範囲を指示】した

自宅学習の【宿題にし、提出させて確認】した

その他

単語集を使った学習(指示)はしなかった

単語力がとても上がった(n=100) 単語力がやや上がった(n=565) どちらとも言えない(n=270)

質問項目:単語集を使った授業中や自宅などでの学習(指示)について、あてはまるものをすべ

てお選びください。※単語集を採用された先生のみご回答ください。

<「その他」の記述(類似の回答はまとめて( )内に件数を示した)>

小テストを実施した(25)/朝学習で書き取り練習/アプリの推奨および校内でのアプリ大会/毎日、寮で教員と共に音読

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29

偏差値が 49以下で週あたりのコマ数が 5以下の学校においても、授業中の学習と自宅での音声も含

めた学習指示によって成果が出たというケースが散見される。

自由回答欄への記述によると、「全員が毎週 1 回放課後に口頭でチェックテストを受ける」ことをゴ

ールに音声活用を促し、それを何周も繰り返すことで、「センター試験レベルの問題はほぼ読めて、7

割以上の得点が取れるようになった」という。また、コマ数が少ない分、朝学習時間や授業での帯活

動を活用して単語学習をしている事例も見受けられた。

3.5 単語集の周回数

学習の繰り返し回数について、生徒の単語力が「とても上がった」先生の場合には「2 周」「3 周」「4

周以上」の割合の合計が 75.0%と高い(「やや上がった」は 53.3%、「どちらとも言えない」は 28.8%)。

単語集を採用する場合、2 周は繰り返した方が、単語力が上がると言えそうだ。

23.0

42.3

58.5

35.0

36.3

20.7

24.0

13.5

7.0

16.0

3.5

1.1

2.0

4.4

12.6

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

単語力がとても上がった(n=100)

単語力がやや上がった(n=565)

どちらとも言えない(n=270)

1周 2周 3周 4周以上 特に指定しなかった(生徒に任せていた)

質問項目:単語集について、1 冊を最初から最後まで学習することを「1 周」とした場合、1 年間

に何周、生徒に学習させましたか。1 つお選びください。

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30

3.6 単語テストの内容

単語集の使い方について適切な指示をすることに加え、その成果を適切に測ることも「指導と評価

の一体化」の観点から重要である。

生徒の単語力が「とても上がった」場合には「やや上がった」「どちらとも言えない」場合に比べて、

「例文を【見て(聞いて)和訳する】(英→日)」「例文の【和訳を見て(聞いて)英語で書く】(日→

英)」の割合が 7~10ポイントほど高い。これは既述の「授業中の単語学習の方法」と同様の結果であ

り、指導と評価どちらの場面においても、例文の活用は有効と言える。

13.7

54.7

62.1

51.6

3.2

23.2

32.6

16.8

9.1

49.1

61.6

60.4

4.0

16.5

26.2

8.5

9.8

48.4

59.4

55.9

3.1

12.2

25.2

12.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

英単語を【ディクテーションする】

英単語を【見て(聞いて)和訳する】(英→日)

英単語の【和訳を見て(聞いて)

英単語を書く】(日→英)

例文の【一部を穴埋めする】

例文を【ディクテーションする】

例文を【見て(聞いて)和訳する】(英→日)

例文の【和訳を見て(聞いて)

英語で書く】(日→英)

その他

単語力がとても上がった(n=95) 単語力がやや上がった(n=550) どちらとも言えない(n=254)

質問項目:単語集を使った単語テストの内容について、あてはまるものをすべてお選びください。

<「その他」の記述(類似の回答はまとめて( )内に件数を示した)>

選択式(29)/並び替え問題(16)/発音・アクセント問題(11)/英単語を見て(聞いて)和訳を選択(10)/和訳を

見て(聞いて)英単語を選択(9)/例文の穴埋めを選択式で(9)/定義(英文)を読んで英単語を書く・選択する(6)

/派生語問題(3)/英語で発話する/発音練習/写真や絵を見て英語を発音したり、スペルを書いたりする/再試では教

員が口頭でフレーズをいい、それを即座に日本語で言わせる/マッチングであぶれた語を選ぶ/チャンクで見て英語で書

く/単語の書き取り/不完全な文と文をマッチングさせる問題/英作文/担当者による/品詞の確認/音声を聞いて英語

と意味を書く

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31

ただし「例文の【一部を穴埋めする】」は「やや上がった」の場合には 60.4%だが、「とても上がっ

た」の場合には 51.6%と下がってしまう。例文を使った出題は単語力向上に有効であるものの、穴埋

め形式だけでは「知っている単語の数を増やす」以上の効果は見込まれないのかもしれない。

なお、単語テストの回数に関しても調査したが、単語力が上がったか否かに関わらず「週に 1 回」

が 5~6割で最多だった。

6.0

5.0

8.5

8.0

8.3

11.9

59.0

55.6

53.7

12.0

19.6

14.4

10.0

8.8

5.6

5.0

2.7

5.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

単語力がとても上がった(n=100)

単語力がやや上がった(n=565)

どちらとも言えない(n=270)

月に1回未満(学期に1回など) 週に1回未満(月に1回など)

週に1回 週に2~3回

週に4回以上 単語テストは実施しなかった

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32

4 高校での文法力向上の実態と副教材の活用

単語力(語彙力)とともに4技能を下支えするのが文法力と言える。そこで、生徒の文法力向上の

実態と、副教材などを効果的に活用した指導法について、調査結果を基に概観する。

本章では前章同様に、サンプル数が一定数確保できた「高校」での状況についてのみ分析する。

4.1 文法力が上がった学校の実態

「文法力がとても上がった」が 6.5%、「文法力がやや上がった」が 57.8%である。

また、入学時の偏差値が高い学校、授業コマ数が多い学校ほど、文法力が上がった割合が高い(単

語力の調査と同様の結果)。そのような学校では、学習進度が速くても生徒に対応できる学力があり文

法演習を繰り返しできるので、文法力が上がりやすいのかもしれない。

6.5

57.8

35.1

0.5 0.1

文法力がとても上がった

文法力がやや上がった

どちらとも言えない

文法力がやや下がった

文法力がとても下がった

質問項目:2018 年度にあなたがメインで担当した学年の生徒さん(※)の 2018 年 4 月から 2019

年 3 月まで(1 年間)の文法力の変化について、どのようにお感じになりますか。最もあてはまる

ものを 1 つお選びください。※平均的な学力の生徒さんを想定してお答えください

4.8

11.1

11.1

33.3

19.0

9.5

6.3

4.8

5.4

13.2

20.3

24.9

19.0

11.0

4.4

1.9

14.0

20.8

26.6

22.8

8.4

4.3

2.3

0.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70以上

入学時の偏差値

文法力がとても上がった 文法力がやや上がった どちらとも言えない

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33

4.2 文法力が上がったと感じる理由

1.6

11.1

14.3

34.9

9.5

14.3

14.3

5.4

8.5

16.1

34.2

13.2

9.5

13.2

12.9

11.9

16.8

27.4

8.9

5.8

16.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

3コマ以下

4コマ

5コマ

6コマ

7コマ

8コマ以上

生徒によって異なる

週あたりのコマ数

文法力がとても上がった 文法力がやや上がった どちらとも言えない

68.3

74.6

69.8

54.0

57.1

39.7

3.2

51.9

73.4

55.8

42.0

35.0

21.7

0.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

【文法の解説が理解】できるようになっ

【文法問題(穴埋め・語順整序など)】が

解けるようになった

【文構造が理解】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を読ん

だり聞いたり】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を書い

たり話したり】できるようになった

文法を【学習する意欲】が向上した

その他

文法力がとても上がった(n=63) 文法力がやや上がった(n=591)

質問項目:「生徒の文法力が(やや・とても)上がった」と回答された方にお聞きします。どのよ

うな面でそう感じますか。あてはまるものをすべてお選びください。

<「その他」の記述>

「分かるようになってきた」と生徒に言われた/外部試験でスコアがあがった/中堅私立大の4択問題の点数が上がった

/受験前になって集中して学習するようになった/語順整序ができないことがわかった/作文力が上がった/なぜその答

えになるかを説明できるようになった/自己採点後のノートを見て

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34

文法力が上がったと判断する理由としては、「【文法問題(穴埋め・語順整序など)】が解けるように

なった」が「とても上がった」で 74.6%、「やや上がった」で 73.4%と、ともに最多。これ以外の項目

に関しては、生徒の文法力が「やや上がった」先生と「とても上がった」先生とで、回答傾向に違い

がみられた。

最も顕著だったのが「知っている文法を活用して【英文を書いたり話したり】できるようになった」

の項目で、「とても上がった」先生においては 57.1%と半数以上が選択したのに対して、「やや上がっ

た」先生は 35.0%にとどまった。同様に「【文法の解説が理解】できるようになった」「【文構造が

理解】できるようになった」「知っている文法を活用して【英文を読んだり聞いたり】できるように

なった」「文法を【学習する意欲】が向上した」に関しても、「とても上がった」先生の回答割合が高

く、12~22 ポイントの差がついた。

このことから、文法問題が解けると、生徒の文法力が「やや上がった」と見なし、理解・表現の能

力にまで影響を及ぼすと、「とても上がった」と見なす先生が多いようだ。ただし単語力に比べると、

「とても上がった」「やや上がった」の差は大きくない。

また、高校入学時の偏差値によっても「文法力がとても上がる」の意味合いは異なるようだ(ただ

し、サンプル数が少ないため、断定は難しい)。

80.0

60.0

70.0

40.0

50.0

50.0

0.0

43.6

70.9

49.1

35.5

34.5

15.5

0.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

【文法の解説が理解】できるようになった

【文法問題(穴埋め・語順整序など)】が解けるように

なった

【文構造が理解】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を読んだり聞いた

り】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を書いたり話した

り】できるようになった

文法を【学習する意欲】が向上した

その他

入学時の偏差値44以下

文法力がとても上がった(n=10) 文法力がやや上がった(n=110)

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35

生徒の文法力が「やや上がった」と「とても上がった」で差が顕著だった項目は、偏差値 44 以下の

場合、「文法解説・文構造が理解できる」「学習意欲の向上」、偏差値 45~54 では「知っている文法を

活用して【英文を書いたり話したり】できる」で、20ポイント以上の差がある。一方で偏差値 55以

上では、「やや上がった」と「とても上がった」での差が 20ポイント以上ある項目がない。

偏差値が低い学校では“理解”ができるようになり“学習意欲”が増した時、中程度では“文法を

活用”できるようになった時、高い学校ではさまざまな力が全般的に上がった時に「とても上がった」

と感じる傾向があるようだ。

67.9

82.1

67.9

53.6

60.7

39.3

7.1

53.2

71.9

55.4

40.1

30.3

22.8

0.7

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

【文法の解説が理解】できるようになった

【文法問題(穴埋め・語順整序など)】が解けるように

なった

【文構造が理解】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を読んだり聞いた

り】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を書いたり話した

り】できるようになった

文法を【学習する意欲】が向上した

その他

入学時の偏差値45~54

文法力がとても上がった(n=28) 文法力がやや上がった(n=267)

64.0

72.0

72.0

60.0

56.0

36.0

0.0

54.7

76.6

59.8

47.7

41.1

23.4

1.4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

【文法の解説が理解】できるようになった

【文法問題(穴埋め・語順整序など)】が解けるように

なった

【文構造が理解】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を読んだり聞いた

り】できるようになった

知っている文法を活用して【英文を書いたり話した

り】できるようになった

文法を【学習する意欲】が向上した

その他

入学時の偏差値55以上

文法力がとても上がった(n=25) 文法力がやや上がった(n=214)

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ここまでの結果から、偏差値によりその意味合いに違いはあるものの、文法力においても単語力同

様、重要なのは「とても上がった」とみなせるかどうかであると言える。そこで、「とても上がった」

とみなした先生のもとでの、学習方法とその指示の特徴を検証する。

4.3 授業中の文法学習の方法

79.4

47.6

74.6

47.6

19.0

12.7

34.9

34.9

46.0

42.9

6.3

0.0

87.5

41.3

80.4

53.8

16.8

14.7

28.6

36.2

42.5

50.6

1.4

0.3

84.5

34.8

72.3

49.0

17.3

9.1

20.8

24.9

29.7

40.6

0.8

0.5

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100%

教師による文法の【説明を聞く】

文法説明を【各自で読む】

文法【問題(穴埋め・語順整序など)を解く】

文法項目を含む英文を【音読する】

文法項目を含む英文を【書き写す】

文法項目を含む英文を【ディクテーションする】

文法項目を含む英文を【見て(聞いて)和訳する】(英

→日)

文法項目を含む英文の【和訳を見て(聞いて)声に出

す(書く)】(日→英)

文法項目を使い【英語の文を作って話す(書く)】

文法項目を【ペア・グループなどで活動しながら】学習

する

その他

授業中に文法を学習しなかった

文法力がとても上がった(n=63) 文法力がやや上がった(n=591) どちらとも言えない(n=394)

質問項目:2018 年度にあなたがメインで担当した学年では、授業中、生徒はどのように文法を学

習していましたか。あてはまるものをすべてお選びください。

※教科書に掲載されている文法事項なども含めてお答えください。

<「その他」の記述(類似の回答はまとめて( )内に件数を示した)>

暗唱する(2)/なぜその選択肢になるのか答えさせる/文法を意識させる教科書本文の穴埋めリーディング/NSの活用

/予習で取り組んだ項目を数人に説明する/学んだ英文法を活用した英語ディベートの立論スクリプト書き、等々のアウ

トプット活動/スタディサプリの動画を視聴/プレゼンテーションを月1回程度行ったので、プレゼンテーションを完璧

にしたいと思うあまり、何度も口に出すうちに文法事項が定着してしまった/教科書本文から文法事項を探す(グラマー

ハント)/調べ学習/フォーカスオンフォームに基づいた指導/教え合い/英作文/動画を視聴して学習/文法項目の入

った会話文練習/TT による教授/文法項目を含む日本文を見て英訳する/動画アプリを使用して事前に学習する/文法

問題の解説を生徒にさせて、そこに間違いがあれば生徒が指摘をし、それでも間違いがあれば教師が訂正をするという学

習/事前に予習で読んでくる

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この質問項目においては「とても上がった」と「やや上がった」の差があまりない、または、「やや

上がった」が「とても上がった」を上回る学習方法が複数存在するため、効果的な文法学習の方法に

関して有効な示唆を得ることは難しい。

ただし、「文法項目を使い【英語の文を作って話す(書く)】」に関しては、「どちらとも言えない」

先生の29.7%が選択したのに対して、「とても上がった」「やや上がった」先生においてはそれぞれ46.0%

と 42.5%が選択しており、差が大きい。文法の“活用”を促すことは、ある程度の学習効果があるの

かもしれない。

4.4 文法問題集の学習指示

この質問項目においても「とても上がった」と「やや上がった」の差があまりないため、効果的な

学習指示に関して結論を出すことは難しい。

ただし、「自宅学習の【手順を指示】した」に関しては、「どちらとも言えない」先生の 45.0%が選

択したのに対して、「とても上がった」「やや上がった」先生においてはそれぞれ 65.5%と 60.3%が選

択しており、差が大きい。「自宅学習の【範囲を指示】した」に関しても同様である。手順・範囲を明

示して学習させることは、ある程度の学習効果があるのかもしれない。

74.5

50.9

65.5

7.3

63.6

40.0

7.3

0.0

66.7

40.0

60.3

7.5

62.9

46.4

2.5

0.6

61.4

33.9

45.0

5.0

47.5

42.5

0.7

1.8

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

【授業中】に学習した

【放課後や長期休暇の講習】で学習した

自宅学習の【手順を指示】した

自宅学習の【音声の使い方を指示】した

自宅学習の【範囲を指示】した

自宅学習の【宿題にし、提出させて確認】した

その他

文法問題集を使った学習(指示)はしなかった

文法力がとても上がった(n=55) 文法力がやや上がった(n=517) どちらとも言えない(n=280)

文法問題集を使った授業中や自宅などでの学習(指示)について、あてはまるものをすべてお選

びください。※文法問題集を採用された先生のみご回答ください。

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おわりに

1年間指導をしても生徒の単語力・文法力に変化を感じられない、という先生がそれぞれ約 3割も

いらっしゃったという事実。「やや上がった」が約 6 割を占め、本来望むべき「とても上がった」はわ

ずか約 1割という状況を、どのように変えていくことができるでしょうか。今回のレポートでは「と

ても上がった」先生に着眼しました。

単語学習においては発音することに加え、日⇒英の変換や例文の音読、協働学習を取り入れるなど、

声を出す活動が鍵となります。副教材として単語集を採用した場合には、授業中に時間を取って指導

すると効果的である可能性が高いこともわかりました。自宅学習に関しては、手順や範囲を指示する

だけでなく音声の使い方を含めた取り組み方を指示することが重要と言えそうです。文法学習に関し

ては、残念ながら明確な結論は得られませんでしたが、問題演習にとどまらず理解・表現を促す取り

組みが有効な可能性があります。

いずれにせよ、副教材を生徒に“丸投げ”してテストだけ実施する、ということでは十分な力を身に付

けさせることは難しいと言えます。副教材を扱う弊社としても教材の販売をゴールとせず、活用事例

を『英語の先生応援マガジン』などでご紹介し、教材著者によるセミナーを全国各地で開催しており

ます。副教材をより効果的に活用していただくために、先生方の一助となっているのであれば幸甚で

す。

なお「生徒の単語力・文法力が上がった」と回答された先生は、偏差値が高い学校、週あたりのコ

マ数が多い学校に勤務している割合が高いという現状があったことも事実です。このことから、単語

力・文法力を向上させるためには、基礎的な英語力全般や学習習慣をつけ、学習の時間や頻度を高め

る工夫を、同時に考える必要があるとも言えます。

今回の調査では、新年度が始まって間もないご多忙の時期に、1,215名の先生方にご回答の協力を賜

りました。深く御礼申し上げますとともに、本調査結果が少しでもお役に立つことを願っております。

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アルク教育総合研究所

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