鎌倉市文化マスタープラン - Kamakura€¦ · Web view・市民による美化運動...

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第 1 章   策 定 の 基 本 的 な 考 え 方

1 策 定 の 背 景

私 た ち の 生 活 を 取 り 巻 く 環 境 は 、 近 年 速 い ス ピ

ー ド で 変 化 を し て い ま す が 、 こ の 社 会 情 勢 の な か

で 、 安 全 や 健 康 、 生 活 環 境 の 保 全 と い っ た 分 野 に

強 い 関 心 を 寄 せ る よ う に な り 、 個 人 の 生 き が い の

探 求 、 個 性 的 な 地 域 づ く り な ど の 文 化 的 な も の へ

の 志 向 が 強 ま っ て い ま す 。

ま た 、 現 在 直 面 し て い る 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク 社 会 、

国 際 化 社 会 、 循 環 型 社 会 、 少 子 高 齢 社 会 な ど の 社

会 潮 流 は 人 々 の 意 識 や 価 値 観 に 大 き な 変 化 を も た

ら し 、 生 活 の さ ま ざ ま な 分 野 に 影 響 を 与 え 、 新 た

な 文 化 を つ く り だ す も の と 予 想 さ れ ま す 。

こ の よ う な 多 様 な 価 値 観 の 共 存 す る 社 会 の な か

で 生 活 や 社 会 を 支 え 、 精 神 的 な 満 足 感 を も た ら す

も の と し て 、 文 化 の 持 つ 役 割 は 大 き い も の と な り 、

社 会 が 成 熟 す る ほ ど 文 化 の 持 つ 重 要 性 は ま す ま す

高 ま っ て い ま す 。

文 化 と は 、 単 に 芸 術 や 文 化 財 、 あ る い は 文 化 施

設 を い う の で は な く 、 科 学 、 技 術 、 教 育 、 言 語 、

習 慣 、 宗 教 、 政 治 、 経 済 な ど 人 間 の 活 動 の 諸 部 門

を 包 括 す る も の と い え ま す 。 都 市 の 環 境 や 景 観 、

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そ し て 、 一 人 ひ と り の 日 々 の 生 活 習 慣 や 衣 食 住 な

ど の 暮 ら し 、 そ こ か ら 生 ま れ る 価 値 観 、 生 活 様 式

も 生 活 文 化 と し て と ら え る こ と が で き ま す 。

鎌 倉 は 長 い 歴 史 を 持 ち 、 と く に 鎌 倉 幕 府 が 開 か

れ て 以 来 八 百 余 年 に 及 ぶ 時 代 を 経 た 歴 史 と 、 明 治

期 以 降 に 鎌 倉 に 移 り 住 ん だ 市 民 社 会 の リ ー ダ ー た

ち に よ り 花 開 い た 文 化 を 併 せ 持 っ て い ま す 。 ま た

、 世 界 に 誇 る 貴 重 な 歴 史 的 遺 産 と 、 明 る く 広 が る

海 や 緑 豊 か な 山 に 代 表 さ れ る 美 し い 自 然 環 境 に 恵

ま れ 、 多 く の 人 た ち が 鎌 倉 に 魅 力 を 感 じ て い ま す

こ の よ う な 背 景 の な か で 、 2 1 世 紀 初 頭 こ の 鎌 倉

に 新 た な 地 域 文 化 を 創 造 し 発 信 す る に は 、 ど の よ

う な こ と に 留 意 す べ き か 、 文 化 の 持 つ 役 割 が 大 き

く な る こ の 時 代 に 、 改 め て 鎌 倉 の 文 化 に 対 す る 取

り 組 み 姿 勢 を 明 ら か に す る こ と が 求 め ら れ ま す 。

2 策定の視点

こ の プ ラ ン は 、 鎌 倉 の 文 化 の 形 成 を 振 り 返 り 、

日 々 の 生 活 の な か で 形 づ く ら れ る 文 化 を 検 証 し 、

継 承 ・ 発 信 と い う 形 で 将 来 の 新 た な 文 化 の 創 造 に

つ な げ て い こ う と す る も の で す 。

(1) 文化の継承や保存の仕組みづくり鎌倉は古代・中世から近代に至る豊富な歴史的遺産と文化的遺産を蓄積してき

ましたが、近年それらの遺産の滅失や散逸、建築物・景観の喪失がみられるよ

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うになってきています。このような状況に対応するため、歴史的遺産と文化的遺産の継承方法と保存管理体制の確立が必要です。また、隣接する市や国・県との連携・交流や、市民や観光客が鎌倉独自の文化

に触れ、これを身近に感じられるような機会の提供や環境の整備も求められています。

(2) 将 来 に わ た る 鎌 倉 の 文 化 創 造 と 発 信 の 仕 組 み づ

く り

古 代 ・ 中 世 か ら 近 代 を 経 て 、 現 代 に 至 る 歴 史 を 大

切 に 継 承 し 、 芸 術 面 や 生 活 面 で の 文 化 を 次 代 に 伝

え 、 発 信 し て い く こ と が 求 め ら れ て い ま す 。 ま た 、

さ ま ざ ま な 文 化 活 動 や 芸 術 活 動 を 通 じ 、 新 た な 鎌

倉 の 文 化 を 創 造 ・ 発 信 し て い く こ と が 必 要 で す 。

(3) 21 世 紀 の 市 民 の ラ イ フ ス タ イ ル を 支 え る 支 援 と

仕 組 み づ く り

こ れ か ら の 時 代 は 、 今 に も 増 し て 価 値 観 や ラ イ フ

ス タ イ ル の 多 様 化 や 多 方 面 で の 市 民 活 動 の 活 発 化

が 予 想 さ れ ま す 。 ま た 、 誰 も が 安 全 で 健 や か で 、

心 豊 か に 暮 ら せ る こ と が 文 化 の 基 礎 条 件 で も あ り

ま す 。 そ の た め 、 市 民 、 市 民 団 体 、 N P O 等 の 各

種 活 動 団 体 、 各 種 経 済 団 体 、 企 業 、 行 政 が 連 携 し

な が ら 、 文 化 を 支 援 し て い く 仕 組 み づ く り が 必 要

で す 。

3 プ ラ ン の 位 置 づ け   

「 鎌 倉 市 文 化 推 進 プ ラ ン 2 1 」 は 、 「 市 民 自 治 の

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確 立 」 「 人 間 性 豊 か な 地 域 づ く り 」 「 環 境 共 生 都

市 の 創 造 」 を ま ち づ く り の 基 本 理 念 と 定 め て い る

第 3 次 鎌 倉 市 総 合 計 画 の 個 別 プ ラ ン と し て 位 置 づ

け ら れ ま す 。

厳 し い 経 済 情 勢 や 財 政 状 況 下 で の 策 定 を 余 儀 な く

さ れ る な か 、 引 き 続 き 第 3 次 鎌 倉 市 総 合 計 画 の 個

別 プ ラ ン と し て 位 置 付 け ら れ て お り 、 2 1 世 紀 は

平 和 の な か で 成 熟 し た 文 化 を 享 受 で き る も の と 確

信 し 、 平 成 15 年 1月 の 策 定 時 か ら 生 じ た デ ー タ の 陳

腐 化 を 現 況 に 合 わ せ る た め の 改 訂 を 行 い ま す 。

4 今 後 の プ ラ ン

昨 今 の 社 会 情 勢 は 、 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク の 発 達 、 循

環 型 社 会 へ の 転 換 、 少 子 高 齢 社 会 の 進 展 、 国 際 化

な ど 大 き な 質 的 変 化 を 余 儀 な く さ れ る こ と が 予 想

さ れ ま す 。 こ れ ら の 情 勢 を 的 確 に と ら え 、 必 要 に

応 じ 適 時 プ ラ ン の 修 正 を 行 い ま す 。

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第 2 章 プ ラ ン の 基 本 理 念

こ の プ ラ ン は 、 第 3 次 総 合 計 画 で 定 め ら れ た 鎌 倉 の

将 来 像 で あ る 「 古 都 と し て の 風 格 を 保 ち な が ら 、 生

き る 喜 び と 新 し い 魅 力 を 創 造 す る ま ち 」 を 実 現 す る

た め の 6 つ の 目 標 で あ る

1 人 権 を 尊 重 し 、 人 と の 出 会 い を 大 切 に す る ま

2 歴 史 を 継 承 し 、 文 化 を 創 造 す る ま ち

3 都 市 環 境 を 保 全 ・ 創 造 す る ま ち

4 健 や か で 心 豊 か に 暮 ら せ る ま ち

5 安 全 で 快 適 な 生 活 を 送 れ る ま ち

6 活 力 あ る 暮 ら し や す い ま ち

を 念 頭 に 置 い て 、 鎌 倉 の も つ さ ま ざ ま な 文 化 の 側

面 を と ら え よ う と す る も の で す 。

鎌 倉 の 文 化 は 、 古 代 並 び に 中 世 武 家 社 会 か ら 続 く 歴

史 と 豊 か な 自 然 環 境 の な か で 、 在 来 の 文 化 と 新 し い

文 化 が 出 会 い 刺 激 し 合 い な が ら 、 人 々 の 生 活 の 中 で

つ く ら れ て き ま し た 。

こ の 鎌 倉 の 文 化 を 考 え る 場 合 、 歴 史 の 中 で つ く り あ

げ ら れ た 建 造 物 や 歴 史 的 遺 産 な ど の 「 形 の あ る 文 化

」 と 、 人 々 の 生 活 の 中 で 築 き あ げ ら れ た 伝 統 芸 術 や

伝 統 芸 能 、 質 実 剛 健 の 気 風 、 自 然 と 調 和 す る 精 神 、

市 民 活 動 の 精 神 な ど の 「 形 の な い 文 化 」 に 分 け て 考

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え る こ と が で き ま す 。

海 と 山 の 美 し い 自 然 環 境 と 歴 史 的 遺 産 、 人 々 の 生 活

の 中 に は ぐ く ま れ て き た 精 神 な ど 、 古 代 か ら 中 世 、

そ し て 現 在 に 続 く 文 化 を 継 承 し 、 将 来 に 向 け て 創 造

・ 発 信 し て い く こ と を 基 本 理 念 と し ま す 。

鎌 倉 市 の 人 口 構 成 推 移

( 国 勢 調 査 及 び 鎌 倉 市 将 来 人 口 推 計 調 査 )※ 2015 年 以 降 は 推 計 で す 。

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第3次鎌倉市総合計画

■鎌倉の将来像

  ●古都としての風格を保ちながら、生きる喜びと新しい魅力を創造す

るまち

■将来像を実現するための目標

  ●人権を尊重し、人との出会いを大切にするまち

  ●歴史を継承し、文化を創造するまち

  ●都市環境を保全・創造するまち

  ●健やかで心豊かに暮らせるまち

  ●安全で快適な生活を送れるまち

  ●活力ある暮らしやすいまち

020,00040,00060,00080,000

100,000120,000140,000160,000180,000200,000

140~ 歳 15 64~ 歳 65歳~

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第 3 章   鎌 倉 の 文 化 に つ い て  

  鎌 倉 の 文 化 の 形 成 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る も の

と し て 、 「 中 世 武 家 社 会 の 歴 史 」 「 寺 社 再 興 と 民 衆

の 力 」 「 明 治 以 降 の 文 化 人 や 政 財 界 人 た ち の 活 動 」

「 平 和 を バ ッ ク ボ ー ン と し た 生 活 」 「 地 域 住 民 に よ

る 市 民 活 動 」 「 緑 豊 か な 環 境 」 「 温 か い 光 溢 れ る 海

」 な ど が 挙 げ ら れ ま す 。

  こ れ ら を 歴 史 と い う 縦 軸 で 見 る と 、 源 頼 朝 が 築 い

た 鎌 倉 幕 府 の 文 化 、 明 治 期 以 降 と り わ け 明 治 22 年

( 1889 年 ) の 横 須 賀 線 開 通 以 後 の 文 化 人 、 政 財 界

人 た ち が 移 り 住 み 花 開 い た 文 化 が 挙 げ ら れ ま す 。

  ま た 、 自 然 環 境 と い う 横 軸 で 見 る と 、 三 方 を 山 に

囲 ま れ た 緑 豊 か な 環 境 と 、 南 側 に 海 を 臨 む 温 暖 で 光

溢 れ る 自 然 環 境 に よ り は ぐ く ま れ た 文 化 、 そ の か け

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鎌倉市文化推進プラン21● 文化の継承や保存の仕組みづくり

● 将来にわたる鎌倉の文化創造と発信の仕組みづくり

● 21世紀の市民のライフスタイルを支える支援と仕組み

づくり

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が え の な い 自 然 環 境 を 守 ろ う と 立 ち 上 が っ た 市 民 活

動 の 文 化 な ど が 挙 げ ら れ 、 こ れ ら が 鎌 倉 の 文 化 を 形

成 し て き た と い え ま す 。

  ま た 、 こ れ ら の こ と は 21 世 紀 の 鎌 倉 の 文 化 を 形 成

し て い く う え で の バ ッ ク ボ ー ン で も あ り ま す 。

1   武 家 政 治 発 祥 の 地 と し て の 文 化  

鎌 倉 は 一 方 が 海 、 三 方 を 山 に 囲 ま れ て い る と い

う 地 形 上 の 特 徴 が あ り 、 要 害 の 地 で 海 上 交 通 の 要

地 で し た 。

源 頼 朝 は 源 氏 ゆ か り の 地 で あ り 要 害 の 地 で あ る

鎌 倉 に 幕 府 を 開 き 、 大 倉 の 地 に 御 所 を 構 え た 後 、

道 を 整 備 し 、 源 氏 の 守 り 神 で あ る 八 幡 宮 を 御 所 の

近 く に 移 し 、 御 所 の 南 東 側 に は 氏 寺 と し て 勝 長 寿

院 を 建 立 し 、 鶴 岡 八 幡 宮 と 由 比 ガ 浜 を 結 ぶ 若 宮 大

路 を 整 備 し ま し た 。

ま た 、 三 方 を 山 に 囲 ま れ て い る こ と か ら 出 入 り

口 と し て の 「 切 通 」 を つ く り ま し た 。

巨 福 呂 坂 、 朝 夷 奈 切 通 、 大 仏 切 通 、 仮 粧 坂 、 亀

ヶ 谷 坂 、 名 越 切 通 、 極 楽 寺 坂 の 切 通 は 鎌 倉 七 口 と

呼 ば れ て い ま す 。

そ し て 、 東 国 の 首 都 と し て 、 京 や 奥 州 な ど の 各

地 を 結 ぶ 道 も 整 備 し て い き ま し た 。 京 鎌 倉 往 還 に

新 し い 宿 が 設 け ら れ る と 、 そ の 地 の 地 頭 や 守 護 が

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管 理 ・ 整 備 す る こ と と し 、 奥 州 に 向 け て は 、 上 道

・ 中 道 ・ 下 道 な ど の ル ー ト を 経 て 、 奥 大 道 と い う

奥 州 縦 貫 道 へ と つ な が っ て い き ま し た 。

各 地 に は 鎌 倉 に 向 か う 「 鎌 倉 道 」 と 称 さ れ る 道

も 次 第 に 整 備 さ れ 、 東 国 の 首 都 か ら 事 実 上 日 本 の

首 都 と な り ま し た 。 ま た 、 伊 豆 や 金 沢 か ら の 海 の

道 も 整 備 さ れ ま し た 。 こ の 鎌 倉 の 都 市 の 骨 格 は 、

現 在 の 鎌 倉 ら し さ を つ く る 都 市 環 境 を 形 づ く っ た

と い え ま す 。

海 か ら 鎌 倉 に 入 る た め 由 比 浦 は 日 本 各 地 か ら の

船 で 賑 わ い ま し た が 、 遠 浅 で 船 荷 の 上 げ 下 ろ し に

不 便 だ っ た ば か り か 、 風 雨 も 強 く 難 破 す る 船 も 数

多 く あ っ た た め 、 勧 進 上 人 往 阿 弥 陀 仏 は 貞 永 元 年

( 1232 年 ) 、 執 権 北 条 泰 時 の 協 力 を 得 て 築 港 に 着

手 し ま し た 。 そ の 工 法 は 丸 石 を 積 み 上 げ る と い う

も の で 、 わ ず か 1 か 月 足 ら ず で 完 成 し ま し た 。 こ

の 港 が 現 存 す る わ が 国 最 古 の 築 港 址 で あ る 和 賀 江

嶋 で あ り 、 舟 船 の 着 岸 に 利 便 を 与 え 物 資 の 流 通 を

盛 ん に し ま し た 。 そ の 後 、 江 戸 期 に も 修 理 が 行 わ

れ 現 在 に 至 っ て い ま す 。

こ の 鎌 倉 の 地 を 支 え た 武 士 は 、 そ れ ま で の 貴 族

の 伝 統 文 化 を 吸 収 し 、 質 実 剛 健 な 気 風 を 加 え て 、

彫 刻 や 絵 画 の 世 界 に 、 写 実 的 で 力 強 い 新 し い 風 を

吹 き 込 み ま し た 。 日 中 間 を 往 来 し た 僧 や 商 人 た ち

に よ り も た ら さ れ た 宋 ・ 元 文 化 の 影 響 も 強 く 、 円

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覚 寺 舎 利 殿 の 唐 様 の 建 築 様 式 や 禅 宗 寺 院 の 五 山 制

度 も そ の 一 つ で す 。 ま た 、 こ の 時 代 は 精 神 生 活 の

面 か ら も 多 く の 新 し い 機 運 が も た ら さ れ ま し た 。

そ れ と と も に 武 家 政 治 の 中 心 地 と し て 人 口 が 増

大 し 、 中 世 都 市 が 発 展 し ま し た 。 そ こ に 大 き な 展

開 を み せ た の が 仏 教 で し た 。 鎌 倉 仏 教 と 呼 ば れ 、

民 衆 の 救 済 を 特 色 と し 、 法 然 が 浄 土 宗 、 親 鸞 が 浄

土 真 宗 、 一 遍 が 時 宗 、 栄 西 が 臨 済 宗 、 道 元 が 曹 洞

宗 、 日 蓮 が 日 蓮 宗 を 唱 え 、 武 士 や 庶 民 の 心 を と ら

え 広 い 階 層 に 信 仰 が 広 ま っ て い き ま し た 。 こ の 仏

教 の 広 ま り に よ り 建 長 寺 、 円 覚 寺 、 寿 福 寺 、 浄 智

寺 、 浄 妙 寺 の 禅 寺 五 山 な ど の 建 立 や 、 高 徳 院 清 浄

泉 寺 の 本 尊 で あ る 大 仏 の 建 立 な ど が 行 わ れ 、 こ れ

ら は 現 在 の 鎌 倉 の ラ ン ド マ ー ク に も な っ て い ま す 。

2 寺 社 再 興 と 民 衆 文 化 ( 江 戸 期 )

元 弘 3 年 ( 1333 年 ) の 鎌 倉 幕 府 滅 亡 後 、 足 利 氏

は 京 都 に 幕 府 を 開 き ま し た 。 一 方 、 鎌 倉 に は 鎌 倉

府 が 開 か れ 関 東 10 か 国 の 首 府 と し て 栄 え ま し た が 、

鎌 倉 と 京 都 の 対 立 が 激 し く な り 、 康 正 元 年 ( 1455

年 ) 足 利 氏 が 鎌 倉 を 追 わ れ 古 河 に 去 っ て か ら は 、

鎌 倉 は 権 力 に つ な が る こ と の な い 歴 史 上 の 地 域 と

な り 、 内 陸 部 に は 中 世 の 権 力 者 た ち が 造 営 し た 寺

社 が 散 在 す る 農 村 地 帯 が あ り 、 海 岸 沿 い に は 漁 村

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が 分 布 し て い ま し た 。

平 戸 の 英 国 商 館 長 コ ッ ク ス が 元 和 2 年 ( 1616

年 ) に 鎌 倉 を 訪 れ た 際 に 、 「 今 で は 町 は な く 、 い

く つ か の 山 々 に 囲 ま れ た 気 持 ち よ い 谷 間 の あ ち ら

こ ち ら に 家 々 が 散 在 し て い る ば か り で あ る 。 そ の

間 に い く つ か の 極 め て 華 麗 な 仏 塔 と 剃 髪 し た 婦 人

の 尼 寺 が 一 宇 あ る 。 」 と 記 し て い ま す 。

ま た 、 寛 永 10 年 ( 1633 年 ) 、 鎌 倉 五 山 な ど を 訪

れ た 臨 済 宗 僧 侶 沢 庵 の 鎌 倉 順 礼 記 に も 荒 廃 し た「 」寺 院 の 様 子 が 記 さ れ 、 「 兵 ど も が 夢 の 跡 」 を 偲 ん

で い ま す 。

こ の よ う な 状 況 に あ っ た 鎌 倉 の 中 で 寺 社 の 復 興

の 過 程 を み る と 、 江 戸 初 期 に 鶴 岡 八 幡 宮 が 幕 府 の

直 轄 と な り 、 幕 府 の 大 社 と し て 重 ん じ ら れ 幾 度 か

の 修 理 が 施 さ れ ま し た 。

水 戸 徳 川 家 の 英 勝 寺 創 建 や 円 覚 寺 と 東 慶 寺 の 仏

殿 再 建 、 建 長 寺 方 丈 の 再 建 、 大 名 家 に よ る 寺 社 の

復 興 な ど 、 徐 々 に 寺 社 の 再 興 が 図 ら れ て い き ま し

た 。

18 世 紀 後 期 に は 、 建 長 寺 山 門 と 円 覚 寺 山 門 、 19

世 紀 前 期 に は 建 長 寺 法 堂 と 鶴 岡 八 幡 宮 上 宮 、 19 世

紀 中 期 に は 妙 本 寺 祖 師 堂 と 光 明 寺 三 門 な ど の 造 営

が 行 わ れ 、 そ れ ま で の 紀 行 に 記 さ れ て い た 寺 社 の

衰 退 状 態 を 克 服 し て 大 き く 復 興 し て い き ま し た 。

鎌 倉 の 地 は 16 世 紀 後 期 に は 寺 社 領 が 認 め ら れ 村

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の 多 く は 寺 社 領 と な り 、 寺 社 は 民 衆 に 対 し て 地 頭

と し て の ぞ み 、 領 内 農 民 に 年 貢 収 納 や 労 役 の 提 供

を 割 り 当 て ま し た 。

時 代 が 降 っ て 幕 末 に な る と 、 各 寺 院 は 祠 堂 金 運

用 の 名 目 で 役 所 を 設 け 、 門 前 の 有 力 者 を 役 人 に 仕

立 て 各 地 の 富 豪 か ら 出 資 金 を 募 り 、 そ れ を 民 衆 に

年 一 割 の 利 息 で 貸 し 付 け る い わ ゆ る 金 融 業 を か な

り 大 規 模 に 行 っ て い た よ う で 、 こ う し た こ と は 門

前 に 商 人 や 職 人 を 集 め る 誘 引 に も な り ま し た 。

一 方 、 水 戸 光 圀 が 編 さ ん し た 「 新 編 鎌 倉 志 」 ( 17

世 紀 後 期 ) を は じ め 、 「 鎌 倉 物 語 」 な ど に 代 表 さ

れ る 鎌 倉 め ぐ り の 案 内 書 、 司 馬 江 漢 や 渡 辺 崋 山 、

安 藤 広 重 ら が 鎌 倉 を 訪 れ た 際 の 紀 行 文 や 絵 図 を 書

き 記 し た 案 内 書 が 出 ま わ る と 市 内 は 賑 わ い を 取 り

戻 す よ う に な っ て い き ま し た 。

ま た 、 こ の 時 代 は 民 衆 文 化 が 華 や か な 成 長 を し

た 時 期 で も あ り ま し た 。 歌 舞 伎 や 人 形 浄 瑠 璃 が 盛

ん に な り 、 い わ ゆ る 時 代 物 、 世 話 物 、 お 家 物 な ど

の 作 品 が 演 じ ら れ ま し た 。 鎌 倉 時 代 の 人 物 や 出 来

事 を 脚 色 し た 作 品 と し て 義 経 千 本 桜 、 曽 我 の 対 面 、

勧 進 帳 な ど が 有 名 で す が 、 元 禄 期 ( 1688 年 ~ 1704

年 ) を 除 き 、 実 在 の 事 件 を そ の ま ま 劇 化 す る こ と

が 禁 じ ら れ た た め 、 仮 名 手 本 忠 臣 蔵 、 青 砥 稿 花 紅

彩 画 ( 通 称 白 浪 五 人 男 ) 、 鎌 倉 三 代 記 な ど 数 多 く

の 作 品 が 鎌 倉 を 舞 台 と し 、 あ る い は 鎌 倉 時 代 の 人

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物 に な ぞ ら え て 構 成 さ れ ま し た 。

こ れ ら の 作 品 に よ り 、 鎌 倉 は 中 世 の 歴 史 豊 か な

古 都 と し て 人 々 の 憧 れ の 地 と な り 、 江 戸 町 民 が 古

蹟 探 訪 を し た り 大 山 詣 で の 帰 り に 立 ち 寄 っ た り 、

江 ノ 島 弁 財 天 や 金 沢 八 景 に 近 い 地 と し て 遊 覧 を し

た り 、 鎌 倉 は 観 光 の 地 と し て 趣 を 整 え て い く よ う

に な り ま す 。

大 き な 寺 社 の 門 前 や 交 易 の 市 が た つ 場 所 に は 民

家 が 連 な り 、 特 に 鶴 岡 八 幡 宮 は 徳 川 家 康 の 再 興 に

よ り 門 前 で あ る 雪 ノ 下 へ の 社 人 の 集 住 や 門 前 宿 の

整 備 が 行 わ れ 、 鎌 倉 随 一 の 門 前 町 の 町 並 み を 形 成

し ま し た 。 「 鎌 倉 紀 」 に は 享 保 11 年 ( 1726 年 ) の

雪 ノ 下 に は 本 陣 の 他 、 門 前 旅 篭 屋 が 24 軒 あ っ た と

記 さ れ て い ま す 。

雪 ノ 下 以 外 で も 、 小 町 に は 宝 戒 寺 門 前 に 、 扇 ケ

谷 今 小 路 に は 寿 福 寺 門 前 に そ れ ぞ れ 町 屋 が 並 び 、

長 谷 に は 長 谷 観 音 堂 門 前 を 中 心 に 人 家 や 旅 篭 が 立

ち 並 び 、 観 音 霊 場 と し て 訪 れ る 人 も 多 く 雪 ノ 下 に

比 す 賑 わ い を み せ ま し た 。

鎌 倉 東 部 の 漁 村 乱 橋 材 木 座 に は 多 く の 民 家 が 立

ち 並 び 、 西 部 の 漁 村 腰 越 に も 民 家 三 百 数 十 戸 が 立

ち 並 ん で い ま し た 。

こ の 時 代 の 職 業 割 合 を み る と 農 民 は 3 分 の 1 強

で 、 他 は 寺 社 に 労 役 を 提 供 す る 者 、 職 人 、 商 人 、

サ ー ビ ス 業 な ど で し た が 、 農 民 の う ち 半 数 は 専 業

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農 民 で は な か っ た と い わ れ て い ま す 。

3   文 化 人 た ち が 築 い た 文 化 ( 明 治 期 以 降 )

江 戸 か ら 一 泊 の 行 程 で 旅 す る こ と が で き る 古 都

鎌 倉 は 、 江 戸 中 期 頃 か ら 参 観 に 訪 れ る 人 が 増 加 し

だ し 、 門 前 に は 旅 館 や 茶 店 も で き 、 鎌 倉 内 の 経 済

交 易 を 基 盤 と し た 商 家 も 存 在 し 徐 々 に 賑 や か に な

っ て い き ま し た 。 幕 末 に は 開 港 場 か ら 約 40 キ ロ 四

方 の 遊 歩 区 域 内 に 行 動 範 囲 を 制 限 さ れ て い た 外 国

人 の 絶 好 の 観 光 地 に な り 、 訪 れ る 外 国 人 も 増 え 、

写 真 入 英 字 新 聞 「 ザ ・ フ ァ ー ・ イ ー ス ト 」 に よ っ

て 海 外 に も 紹 介 さ れ ま し た 。

明 治 13 年 ( 1880 年 ) に な る と ド イ ツ 人 医 学 者 ベ ル

ツ が 七 里 ガ 浜 を 最 適 の 保 養 地 と 推 奨 し 、 明 治 17 年

( 1884 年 ) に は 、 長 與 專 齋 博 士 も 由 比 ガ 浜 が 海 水

浴 場 と し て 最 適 で あ る と 推 奨 し た こ と か ら 同 地 に

海 水 浴 場 が 開 設 さ れ ま し た 。 明 治 20 年 ( 1887 年 )

に は 由 比 ガ 浜 に 保 養 施 設 「 鎌 倉 海 浜 院 」 が 開 設 さ

れ 、 翌 年 、 洋 式 ホ テ ル 「 鎌 倉 海 浜 ホ テ ル 」 と し て

営 業 を 始 め ま し た 。 こ の 他 、 長 谷 に は 「 三 橋 」 と

い う 大 旅 館 も あ り 、 当 時 の 高 官 や 財 界 人 た ち が 夏

の 期 間 、 数 多 く 逗 留 す る よ う に な り ま し た 。

そ し て 、 明 治 22 年 ( 1889 年 ) 6 月 に 横 須 賀 線 が

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開 通 す る と 名 所 旧 跡 に 囲 ま れ た 保 養 地 ・ 別 荘 地 、

あ る い は 陸 海 軍 高 官 た ち の 住 居 地 と し て 新 た な 脚

光 を 浴 び 、 鎌 倉 の 新 た な 時 代 を 迎 え る よ う に な り

ま し た 。

明 治 32 年 ( 1899 年 ) に 御 用 邸 が で き る と 別 荘 建 築

が ピ ー ク を 迎 え 、 鎌 倉 に 別 荘 を 持 つ こ と が 上 流 階

級 の シ ン ボ ル に も な り ま し た 。 明 治 35 年 ( 1902 年

) に は 江 ノ 電 が 一 部 開 通 、 同 43 年 ( 1910 年 ) 全 線

が 開 通 し 、 別 荘 地 や 観 光 地 に 拍 車 を か け ま し た 。

こ の 別 荘 に 住 ん だ 旧 華 族 を は じ め 、 上 流 社 会 の 人

々 は 鎌 倉 に さ ま ざ ま な 都 市 文 化 を 持 ち 込 み 、 外 国

の 食 料 品 や 小 物 を 売 る ハ イ カ ラ な 商 店 や 映 画 館 も

こ の 頃 に で き ま し た 。

心 の 拠 り 所 を 鎌 倉 に 求 め て き た 文 士 た ち も 多 く

鎌 倉 文 士 と い う 言 葉 も 生 ま れ ま し た 。 明 治 ・ 大 正

期 に 鎌 倉 に 移 り 住 ん だ 作 家 に は 、 有 島 生 馬 、 有 島

武 郎 、 里 見   弴 、 芥 川 龍 之 介 、 島 崎 藤 村 、 夏 目 漱

石 、 国 木 田 独 歩 、 大 佛 次 郎 、 久 米 正 雄 、 林   不 忘

ら が お り 、 閑 静 な 鎌 倉 で 執 筆 活 動 を 行 い ま し た 。

文 士 の ほ か 、 思 想 、 芸 術 、 絵 画 、 工 芸 、 音 楽 、 演

劇 等 、 各 方 面 に わ た る 文 化 人 や 芸 術 家 も 居 住 し 、

多 彩 な 活 動 を 行 い ま し た 。

大 正 時 代 の 終 わ り に は 、 一 面 の 水 田 と 遊 水 池 で あ

っ た 大 船 駅 東 側 を イ ギ リ ス の 「 田 園 都 市 思 想 」 を

も と に 、 「 大 船 田 園 都 市 ・ 新 鎌 倉 」 と し て 良 好 な

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住 宅 地 の 整 備 も 計 画 さ れ ま し た 。 こ の 計 画 の 名 残

を 大 船 の 所 々 に 今 も 見 る こ と が で き ま す 。

昭 和 期 に な る と 大 船 か ら 片 瀬 間 の 自 動 車 専 用 道

路 が 完 成 し 、 ま す ま す 都 市 文 化 が 流 入 し て く る と

と も に 海 水 浴 な ど 観 光 地 と し て 人 気 を 集 め る よ う

に な り ま し た 。

浜 辺 は 昼 夜 、 射 的 場 や コ リ ン ト ゲ ー ム 場 な ど で

賑 わ い 、 地 元 市 民 も 海 を 通 じ て 皆 で 仲 良 く 楽 し め

る 環 境 を つ く り あ げ ま し た 。

昭 和 9 年 ( 1934 年 ) に は 、 久 米 正 雄 、 大 佛 次 郎 ら

の 発 案 に よ る 鎌 倉 カ ー ニ バ ル の 開 始 、 昭 和 11 年

( 1936 年 ) に は 鎌 倉 ペ ン ク ラ ブ の 発 足 。 昭 和 20 年

( 1945 年 ) に は 貸 本 屋 「 鎌 倉 文 庫 」 が 開 店 し 戦 時

下 で 活 字 に 飢 え て い た 市 民 の 心 を 癒 や し ま し た 。

そ し て 戦 後 に な る と 、 昭 和 21 年 ( 1946 年 ) に は 教

授 と 学 生 が 、 と も に 理 想 を 追 っ た 、 後 に 「 鎌 倉 ア

カ デ ミ ア 」 と な る 「 鎌 倉 大 学 校 」 の 開 校 な ど 、 鎌

倉 は 日 本 の 文 化 を リ ー ド し て い き ま し た 。

映 画 関 係 の 文 化 も 鎌 倉 で 花 開 き ま し た 。 昭 和 11

年 ( 1936 年 ) に 松 竹 撮 影 所 が 蒲 田 か ら 大 船 に 移 転

し 、 富 士 山 の 見 え る こ の 地 で 、 い わ ゆ る 大 船 調 の

映 画 が 制 作 さ れ 映 画 フ ァ ン の 圧 倒 的 な 支 持 を 得 ま

し た 。

ま た 、 映 画 を 通 じ て 国 際 交 流 に 貢 献 し た 川 喜 多

長 政 ・ か し こ 夫 妻 も 戦 後 、 雪 ノ 下 に 住 ま う よ う に

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な り 、 鎌 倉 を こ よ な く 愛 し 、 海 外 の 映 画 関 係 者 を

自 宅 に 招 き 映 画 に よ る 民 間 外 交 を 展 開 し ま し た 。

ま た 、 市 内 に 住 む 松 竹 関 係 の 映 画 監 督 や 俳 優 と も

交 流 を 深 め 、 日 本 映 画 を 海 外 に 紹 介 す る こ と に も

尽 力 し ま し た 。

4   市 民 活 動 に さ さ え ら れ た 文 化  

別 荘 ブ ー ム に 湧 き 立 つ 大 正 期 は 、 政 ・ 財 ・ 官 ・

学 会 の エ リ ー ト 層 の 流 入 と 以 前 か ら 住 む 住 民 と の

間 に さ ま ざ ま な 軋 轢 が 生 ま れ ま し た 。 陸 奥 広 吉 伯

爵 は こ の ま ち の 様 子 を 憂 い て 、 勝 見 正 成 、 黒 田 清

輝 ら と と も に 発 起 人 と な り 、 安 心 し て 住 め る ま ち

づ く り を 行 う た め 大 正 4 年 ( 1915 年 ) 「 鎌 倉 同 人

会 」 を 結 成 し ま し た 。 特 に 衛 生 、 教 育 、 商 業 、 風

俗 な ど を 住 民 が 一 体 と な っ て 協 力 し て 改 善 し て い

こ う と い う も の で し た 。

「 鎌 倉 同 人 会 」 は 史 蹟 保 存 、 公 共 施 設 建 設 、 衛

生 事 業 な ど を 積 極 的 に 支 援 し 、 住 み よ い ま ち づ く

り を 行 政 と 一 緒 に 展 開 し て い く 市 民 運 動 の 走 り と

な り 、 現 在 も 活 動 を 続 け て い ま す 。

戦 後 に な り 、 宅 地 開 発 が 本 格 化 す る と 、 鶴 岡 八

幡 宮 の 裏 山 保 全 の た め 、 大 佛 次 郎 を は じ め 小 林 秀

雄 、 今 日 出 海 、 永 井 龍 男 、 鈴 木 大 拙 、 中 村 光 夫 、

川 端 康 成 、 横 山 隆 一 、 伊 東 深 水 、 鏑 木 清 方 ら 文 化

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人 と 市 民 が 一 丸 と な り 「 御 谷 」 の 自 然 を 守 る 運 動

を 展 開 し 、 昭 和 39 年 ( 1964 年 ) 「 鎌 倉 風 致 保 存 会

」 が 誕 生 し ま し た 。 昭 和 41 年 ( 1966 年 ) に は 、 御

谷 の 山 林 1.5ha の 買 い 取 り に 成 功 し 、 こ の こ と で 「

鎌 倉 風 致 保 存 会 」 は 日 本 の ナ シ ョ ナ ル ト ラ ス ト 第

1 号 と い わ れ る よ う に な り ま し た 。

ま た 、 こ の 運 動 に よ り 「 古 都 に お け る 歴 史 的 風

土 の 保 存 に 関 す る 特 別 措 置 法 ( 古 都 保 存 法 ) 」 が

昭 和 41 年 ( 1966 年 ) に 制 定 さ れ 、 歴 史 的 風 土 を 後

世 ま で 継 承 す る た め の 保 存 措 置 が 法 律 で 定 ま り ま

し た 。 そ の 後 も 鎌 倉 の 自 然 を 守 る 市 民 活 動 は 活 発

に 展 開 し て お り 、 自 然 環 境 を 利 用 し た 防 御 的 な 都

市 と し て 世 界 遺 産 登 録 を 目 指 す 運 動 に 発 展 し て き

て い ま す 。

鎌 倉 の 恵 ま れ た 自 然 と 気 候 、 歴 史 的 環 境 は 人 々

を 魅 了 し 、 特 に 昭 和 30 年 代 後 半 以 降 、 近 隣 の 都 市

か ら た く さ ん の 市 民 が 移 り 住 み ま し た 。 鎌 倉 に 住

み た い と い う 憧 れ と 期 待 の な か で 、 住 ん で 直 面 す

る 地 域 社 会 の 多 く の 課 題 に 、 自 ら の 意 思 で さ ま ざ

ま な 課 題 の 解 決 に 取 り 組 む 市 民 活 動 団 体 が た く さ

ん 生 ま れ 、 市 民 一 人 ひ と り の 地 域 に 対 す る 責 任 あ

る 行 動 と 実 践 が 、 社 会 の 質 を 高 め て い ま す 。 現 在

で は 、 文 化 、 環 境 、 福 祉 、 ま ち づ く り 等 の 幅 広 い

分 野 で 、 市 民 活 動 が 盛 ん に な り 、 ま す ま す 重 要 視

さ れ て い ま す 。

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本 市 で は 、 こ の よ う な 市 民 活 動 を 支 援 す る 立 場

か ら 、 鎌 倉 と 大 船 に 2 つ の N P O セ ン タ ー を い ち

早 く 開 設 し ま し た 。 こ の N P O セ ン タ ー は 、 市 民

活 動 支 援 施 設 と し て 2 年 間 に わ た る 市 民 と 行 政 と

の 協 働 に よ り 設 置 さ れ た 「 特 定 非 営 利 活 動 法 人 鎌

倉 市 市 民 活 動 セ ン タ ー 運 営 会 議 」 と い う 市 民 組 織

で あ る N P O に そ の 管 理 運 営 が 任 さ れ て い ま す 。

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5   平 和 を さ さ え る 文 化

市 庁 舎 の 入 口 脇 に 立 つ 一 本 の い ち ょ う の 木 が あ

り ま す 。 こ の 木 は 昭 和 24 年 (1949 年 ) 5 月 3 日 に 開

催 さ れ た 鎌 倉 平 和 集 会 を 記 念 し 、 小 牧 近 江 ら の 提

案 で 鎌 倉 駅 前 に 植 え ら れ ま し た 。 フ ラ ン ス 大 革 命

の 「 自 由 の 木 」 に ち な み 二 度 と 戦 争 を 繰 り 返 さ な

い と い う 決 意 を こ め て 「 平 和 の 木 」 と 命 名 さ れ ま

し た 。

こ の 木 は 、 一 時 駅 前 整 備 の た め 旧 市 役 所 前 に 移

植 さ れ ま し た が 、 そ の 後 昭 和 46 年 ( 1971 年 ) 現

在 の 場 所 に 移 さ れ て 平 和 へ の 取 り 組 み を 見 守 り 続

け て い ま す 。

昭 和 25 年 ( 1950 年 ) 8 月 に は 、 第 1 回 平 和 大 会 ス

ト ッ ク ホ ル ム 大 会 に 呼 応 し て 、 小 牧 近 江 、 川 端 康

成 、 久 米 正 雄 、 高 見   順 、 中 村 光 夫 ら が 発 起 人 と

な り 鎌 倉 平 和 大 会 が 開 催 さ れ ま し た 。「 」こ の 大 会 で 日 本 ペ ン ク ラ ブ 会 長 を 務 め る 川 端 康 成

が 次 の 平 和 宣 言 を 朗 読 し ま し た 。

「 鎌 倉 に は 、 文 化 人 が 多 く 住 み 、 文 化 財 が 遺 っ

て い る が 、 そ れ だ け で は 勿 論 文 化 都 市 と は 言 え な

い 。 文 化 を 知 り 、 文 化 を 愛 し 、 文 化 を 守 ろ う と つ

と め て こ そ 文 化 都 市 で あ る 。

平 和 な く し て 文 化 は な い 。 鎌 倉 に 文 化 の 光 が 薫

っ て い れ ば 訪 れ る 人 も 平 和 の 安 ら か さ を 思 う で あ

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ろ う 。 」

こ の 大 会 は 神 奈 川 県 下 の 平 和 運 動 の 始 ま り で 、 そ

の 後 、 昭 和 27 年 ( 1952 年 ) に は 「 海 の 平 和 祭 」 が

開 催 さ れ る な ど 多 彩 な 運 動 に 発 展 し て い き ま し

た 。

そ し て 、 太 平 洋 戦 争 の 惨 禍 か ら 復 興 へ の 確 か な

手 応 え を 感 じ は じ め た 昭 和 33 年 ( 1958 年 ) 8 月 10

日 、 鎌 倉 市 は 、 全 国 の 自 治 体 に 先 駆 け て 「 平 和 都

市 宣 言 」 を 制 定 し 、 永 久 に 平 和 都 市 で あ る こ と を

宣 言 し ま し た 。

こ の 宣 言 の 趣 旨 を 生 か し 、 鎌 倉 市 は 憲 法 記 念 講

演 、 平 和 の つ ど い な ど 長 年 平 和 推 進 事 業 を 積 極 的

に 行 っ て き ま し た 。

一 方 、 戦 争 に 対 す る 平 和 の 意 味 と は 別 に 日 々 の

生 活 の 豊 か さ 、 つ ま り 安 全 、 秩 序 、 正 義 、 公 平 、

自 由 、 平 等 、 民 主 主 義 、 人 権 尊 重 、 健 康 、 福 祉 、

生 き が い 、 環 境 保 全 、 文 化 な ど を 求 め て 、 地 道 に

積 み 上 げ て い く と い う 平 和 の 精 神 も 重 要 で す 。

鎌 倉 に は 心 の 豊 か さ や 心 の ゆ と り に 支 え ら れ た

生 活 、 つ ま り 平 和 を さ さ え る 文 化 的 な 豊 か さ が あ

り ま す 。

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6   歴 史 的 環 境 と 自 然 環 境 に は ぐ く ま れ た 文 化

鎌 倉 は 京 都 、 奈 良 と 並 ん で 日 本 の 代 表 的 な 古 都 と

い わ れ て お り 、 多 く の 歴 史 的 遺 産 と 豊 か な 自 然 環

境 が 溶 け 合 っ て 古 都 の 風 格 を 醸 し 出 し て い ま す 。

歴 史 的 環 境 と 自 然 環 境 は 、 市 民 を は じ め 多 く の 人

々 か ら 愛 さ れ 、 源 頼 朝 が 築 造 し た 若 宮 大 路 は 、 現

在 で も 鎌 倉 の ま ち の 中 心 軸 と な っ て お り 、 こ こ を

中 心 に 広 が る ま ち 並 み や 山 並 み は 最 も 鎌 倉 ら し さ

を 表 現 し て い ま す 。

こ の 鎌 倉 時 代 よ り 受 け 継 が れ て き た ま ち 並 み は

こ れ か ら も 鎌 倉 の 原 点 と な る も の と 思 わ れ ま す 。

鎌 倉 の 山 は 温 暖 な 気 候 か ら 濃 い 緑 の 植 生 が 覆 い

、 寺 社 の 森 や 街 路 樹 な ど は 緑 の 回 廊 を な し 人 間 と

共 生 す る 自 然 を な し て い ま す 。 ま た 、 鎌 倉 石 と い

わ れ る 軟 ら か な 堆 積 岩 が 鎌 倉 の 基 盤 と な り 、 独 特

の 谷 戸 の 地 形 が で き あ が っ て い ま す 。 こ の 鎌 倉 石

は 加 工 が 容 易 で あ っ た た め 、 や ぐ ら や 切 通 し が 掘

ら れ 、 鎌 倉 の 独 自 の 文 化 を 形 成 し ま し た 。

ま た 、 鎌 倉 に は 南 側 に 開 け る 明 る い 海 が あ り ま

す 。 鎌 倉 の 文 化 は 、 緑 の 山 々 を 背 に 海 に 向 か っ て

開 け る 風 景 の な か で は ぐ く ま れ て き た と い え ま す

鎌 倉 の 海 は 暖 海 性 の 外 洋 に 面 し た 海 岸 を 持 ち 温

暖 な 気 候 で 、 海 に 面 し た 崖 は 海 か ら の 風 波 と 太 陽

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光 や 水 に よ る 風 化 に よ り 独 特 の 地 形 を 形 成 し 、 こ

の 景 観 は 多 く の 場 所 か ら 眺 望 で き ま す 。

潮 の 香 り や 太 陽 の 光 な ど 、 自 然 の 恵 み を も た ら

す 海 か ら の 光 を 感 じ た い た め 、 鎌 倉 に 移 り 住 む 人

た ち も 多 く 、 若 い 人 々 が 自 由 な 生 き 方 を 具 現 で き

る 場 と し て 海 岸 周 辺 に は 新 し い 文 化 も 形 成 さ れ て

い ま す 。 海 は 自 然 環 境 と し て だ け で は な く 、 海 水

浴 場 や 漁 港 な ど 文 化 的 な 価 値 を も っ た 場 所 で も あ

り ま す 。 武 家 政 治 の 中 心 で あ っ た 鎌 倉 が 明 治 中 期

に 再 生 し た の は 、 海 水 浴 場 が 開 設 さ れ 、 名 士 や 外

国 人 が 避 暑 の た め に 逗 留 し 、 外 国 仕 込 み の ハ イ カ

ラ な 文 化 が 鎌 倉 に 花 開 き 保 養 地 と し て の 名 声 を 得

た こ と で し た 。

ま た 、 鎌 倉 は 幸 い に も 第 二 次 世 界 大 戦 の 戦 禍 を

受 け ま せ ん で し た 。 こ れ は 、 京 都 、 奈 良 と 並 ん で

貴 重 な 歴 史 的 遺 産 に 富 む 鎌 倉 を 米 軍 が 空 襲 対 象 か

ら 除 外 し た た め と も い わ れ て い ま す 。

そ の た め 、 鎌 倉 に は 戦 後 い ち 早 く さ ま ざ ま な 文

化 活 動 が 花 開 き ま し た 。 昭 和 21 年 ( 1946 年 ) に は

鎌 倉 観 光 祭 が 復 活 し 、 昭 和 24 年 ( 1949 年 ) か ら 鎌

倉 花 火 大 会 、 昭 和 34 年 ( 1959 年 ) か ら 鎌 倉 薪 能 等

の 観 光 文 化 行 事 が 鎌 倉 市 の 支 援 の 下 に 鎌 倉 市 観 光

協 会 を は じ め と す る 市 民 ボ ラ ン テ ィ ア の 協 力 に よ

り 開 催 さ れ 、 観 光 地 鎌 倉 の 声 価 を よ り 高 め つ つ 現

在 に 至 っ て い ま す 。

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第 4 章   鎌 倉 の 文 化 の 特 徴 と 課 題

前 章 で は 鎌 倉 の 文 化 の 形 成 に つ い て み て き ま し た

が 、 鎌 倉 の 歴 史 と と も に 培 わ れ た 文 化 は 、 現 在 の 私

た ち の 生 活 の 中 に さ ま ざ ま な 形 で 溶 け 込 ん で い ま す 。

そ の 文 化 を 生 か し 継 承 ・ 発 展 さ せ て い く に は 、 私 た

ち は ど の よ う な 心 構 え で 臨 ま な け れ ば な ら な い で し

ょ う か 。

「 周 囲 と 調 和 を 保 ち な が ら 暮 ら し て い く 」 「 自 然

や 景 観 と 良 好 な 関 係 を 保 ち な が ら 暮 ら し て い く 」 と

い っ た 事 柄 が 文 化 の 力 を 借 り て 実 現 で き る な ら ば 素

晴 ら し い こ と で す 。

こ の 章 で は 鎌 倉 の 文 化 の 特 徴 を 明 ら か に し て 将 来

の 課 題 と し て ど の よ う に 対 応 し た ら よ い か を 明 ら か

に す る た め 、 歴 史 の 中 で 形 成 さ れ た 鎌 倉 の 文 化 を 芸「術 文 化 と 生 活 文 化 に 区 分 し 、 そ れ ぞ れ を 「 形 の あ」 「 」る も の 」 と 「 形 の な い も の 」 に 分 類 ・ 整 理 し ま し た 。

文 化 に お け る 事 象 を 挙 げ 、 そ の 特 徴 を 考 察 し 、 そ

こ か ら 文 化 を 継 承 ・ 創 造 ・ 発 信 し て い く に は 、 ど の

よ う な こ と に 対 応 し て い く こ と が 必 要 な の か を 整 理

し ま し た 。

 

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「 芸 術 文 化 」 : 主 に 芸 術 分 野 に お け る 文 化 。「 生 活 文 化 」 : 日 々 の 生 活 の 中 に 生 き て い る日 常 的 な 文 化 。「 形 の あ る も の 」 : 歴 史 的 な 建 造 物 、 史 跡 、

芸 術 作 品 な ど 、 文 物 と し て 残 っ て いる も の 。

「 形 の な い も の 」 : 生 活 上 の 習 慣 、 行 事 、 精神 的 な 枠 組 み な ど 、 形 の な い も の 。

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1 武 家 政 治 発 祥 の 地 と し て の 文 化形 の あ る も の 形 の な い も の

芸 術 文 化

事 象

・ 武 家 時 代 の 彫 刻 や絵 画・ 禅 宗 様 の 建 築 様 式・ 国 宝 と し て の 大 仏、 そ の 他・ 重 要 文 化 財 と し ての 仏 像 、 そ の 他・ 漆 絵 、 漆 器 等 の 埋蔵 文 化 財・ 鎌 倉 彫・ 刀 剣 ・ 甲 冑

・ 写 実 的 で 力 強 い 作風・ 連 歌    ・ 書 道・ 和 歌    ・ 漢 詩

特 徴

・ 武 家 や 仏 教 に 支 えら れ た 文 化 財・ 現 在 で は 観 光 資 源

と し て の 一 面 を 持っ て い る

・ 関 東 を 中 心 と し た仏 教 の 芸 術 文 化 は武 家 文 化 の 裏 付 けと な っ て い る

生 活 文 化

事 象

・ 鶴 岡 八 幡 宮 を 始 めと す る 神 社・ 鎌 倉 五 山 を 始 め とす る 寺・ 若 宮 大 路 等 の 町 中の 道・ 鎌 倉 と 諸 国 を 結 ぶ鎌 倉 道・ 鎌 倉 七 口 ( 切 通 、切 岸 な ど )・ 防 御 的 都 市 の 形 成・ 埋 蔵 文 化 財・ 現 存 す る 最 古 の 築港 址 で あ る 和 賀 江嶋・ 五 輪 塔 ・ほ う き ょ う い ん と う

宝 篋 印 塔

・ 板 碑   ・ や ぐら

・ 流 鏑 馬 神 事・ 質 実 剛 健 の 精 神・ 民 衆 を 救 済 す る 鎌倉 仏 教・ 禅 宗 寺 院 の 五 山 制度

・ 鎌 倉は や し

囃 子 ・ 座 禅

・ 祝 い 唄 ・き や り う た

木 遣 歌

・ 数 え 唄 ・ 祭 り唄 ・ 湯 立 神 楽・ 面 掛 行 列

特 徴

・ 鎌 倉 の 生 活 風 景 を形 成 し て い る 各 地に 鎌 倉 街 道 が 残 る・ 鎌 倉 の 地 下 に 眠 る都 市 文 化・ 若 宮 大 路 や 切 通 し

は 現 在 の ま ち の 形状 と な っ て 残 っ てい る

・ 僧 侶 の 海 外 と の 往来 に よ り 形 づ け られ た 精 神 文 化 は 、現 在 に も 通 じ る 。

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課 題

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鎌倉には古代・中世の数多くの歴史的遺産があり、それらを文化財として保護し 、次代に継承することが求められます。また、私たちが身近にそれらのものを感じ、鑑賞できる機会が増大すれば歴史への理解も深まります。

また、鎌倉時代の一所懸命の精神や互いの誇りを重んじる精神は今も私たちの精神文化の拠りどころとなっているといえます。この精神を再認識し、現代生活の糧とすることも大事なことです。

2 寺 社 再 興 と 民 衆 文 化 ( 江 戸 期 )

形 の あ る も の 形 の な い も の

芸術文化

事 象

・ 創 建 及 び 再 興 さ れた さ ま ざ ま な 神社 、 仏 閣 、 仏 像

・ 俳 句・ 川 柳

特 徴

・ 文 化 資 源 の 一 翼 をな す 。

・ 句 会 な ど に 参 加 する た め 俳 人 が 来 鎌し た

生 活 文 化

事 象

・ 寺 社 の 大 改 修 と 復興・ 大 仏 修 復・ 民 家 や 旅 篭 屋 が 建

ち 並 ん だ 門 前 町・ 十 井 ・ 十 橋 ・ 五 名 水・ 「 新 編 鎌 倉 志 」 「

鎌 倉 物 語 」 を は じめ と す る 紀 行 文 や日 誌 な ど の 鎌 倉 案内 書・ 庚 申 塔 の 造 立

・ 寺 社 領 が 認 め ら れた・ た び た び 襲 っ た 地震 、 津 波 、 洪 水・ 鎌 倉 沖 に 異 国 船 の来 航・ 富 士 信 仰 ( 山 岳 信仰 )

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特 徴

・ 大 山 詣 で や 江 ノ 島遊 覧 と と も に 観 光地 と し て の 賑 わ いを 取 り 戻 す 。・ 寺 社 の 門 前 に は 民家 や 旅 篭 屋 が 立 ち並 び 活 況 を 呈 し た。

・ 寺 社 領 が 認 め ら れ、 寺 社 が 年 貢 収 納な ど に あ た り 地 頭の 役 割 を 果 た し た。・ 地 震 、 津 波 、 洪 水

が 再 三 襲 い 、 寺 社や 民 家 に 甚 大 な 被害 を 与 え た 。・ 寺 社 が 出 資 金 を 募

り 、 貸 し 出 す と いう 金 融 業 を 行 っ た。・ 大 山 詣 で や 江 ノ 島遊 覧 と と も に 観 光地 と し て 賑 わ い を取 り 戻 し た 。・ 寺 の 復 興 に 際 し 、勧 進 や 江 戸 へ の 出開 帳 が 行 わ れ た

江戸期の生活には、自然災害に再三見舞われながらも、復興を遂げてきた民衆の力強さが感じられます。また、再興された寺社や名所名跡を訪ねる観光客が増えるとともに門前町としての賑わいをみせ、旅篭の建築など観光地としての基盤が築かれていった時代でもあります。再三の洪水、地震等の自然災害や火災、飢饉に見舞われながらも、助け合いなが

ら復興をしていった民衆の知恵と活力に学ばなければならない点も数多くあるといえます。

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課 題

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3 文 化 人 た ち が 築 い た 文 化 ( 明 治 期 以 降 )

形 の あ る も の 形 の な い も の

事 象

・ さ ま ざ ま な 文 学 ・絵 画 ・ 彫 刻 作 品・ 財 界 人 か ら の 支 援

に よ る 芸 術 作 品・ 映 画 発 信 の 地 と な

っ た 松 竹 大 船 撮 影所

・ 鎌 倉 文 士 、 芸 術 家・ 同 人 誌 「 白 樺 」 の作 家 た ち・ 文 化 人 の 交 流 と 発信 の 姿 勢・ 鎌 倉 ペ ン ク ラ ブ ・ 薪 能・ 芸 術 家 を 支 え る 支援 者 の 出 現

特 徴

・ 文 学 作 品 、 芸 術 作品 等 が 残 り 鎌 倉 の財 産 と な っ て い る

・ 文 化 人 の 足 跡 が 多く 残 っ て お り 、 鎌倉 ら し さ の 要 因 にな っ て い る

生 活 文 化

事 象

・ 別 荘 地 と し て の 敷地 割 り・ 別 荘 建 築 、 華 族 の別 荘・ 別 荘 を 背 景 と し た商 店 街・ 鎌 倉 海 浜 院    ・ 湘 南 サ ナ ト リ ウ ム・ 大 船 田 園 都 市 構 想・ 鎌 倉 御 用 邸 ・ 鎌倉 師 範 学 校 開 設・ 横 須 賀 線 開 通 ・ 江 ノ 電 開 通

・ 鎌 倉 ア カ デ ミ ア・ 別 荘 地 と し て の プラ イ ド・ 文 学 作 品 に 残 る 別荘 地 情 景・ 御 用 聞 き 制 度 ・ 観 光 地・ 自 然 と 共 生 す る 住意 識・ ロ ケ 地 と し て の 鎌倉 の 風 景・ 市 民 文 化 を 支 え る土 壌・ 鎌 倉 カ ー ニ バ ル・ 個 性 の あ る 商 店 街づ く り

特 徴

・ 海 水 浴 場 な ど 別 荘と と も に 発 展 し た・ 大 き な 敷 地 が 分 割

さ れ て 残 り 敷 地 が変 化 し つ つ あ る 。・ 建 築 や 商 店 は 残 っ

て い る も の も あ り昔 の 面 影 が 残 る

・ 自 然 環 境 に 対 す る高 い 意 識 と し て 受け 継 が れ て い る

明治期以降の新たな市民社会の到来は、さまざまな文化の集積を促し、現在の鎌倉の文化を形づくったといえます。鎌倉ゆかりの文化人たちが築いた文化を大切にするとともに、鎌倉アカデミア、鎌倉カーニバルなどの社会的活動を検証し、

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課 題

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そのまちづくりの精神を現代生活のなかに生かす方策を見つけ出すことも必要となります。

また、鎌倉文士ほか多くの文化人の活動が現在の鎌倉らしさを生み出しましたその土壌を大切にしながら現在に活躍する芸術家たちを支える仕組みづくりが望まれます。

鎌倉は明治期から大正期にかけて別荘地として栄え、当時の建物のいくつかは今も残っています。これらの建物は周囲の景色とあいまって鎌倉の特徴ある景観をつくり出しています。鎌倉に残る重要建築物を調査し、保存継承しながら歴史を生かしたまちづくりに活用していくことが求められます。

また、この時代に生まれた市民自治の意識を継承し、将来のまちづくりに生かしていくことが望まれます。

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4 市民活動にささえられた文化形 の あ る も の 形 の な い も の

芸術文化

事 象

・ 鎌 倉 国 宝 館 ・ 芸 術 作 品 の 保 護

特 徴

・ 現 在 の 市 民 活 動 の原 型 と な っ た

・ 文 学 者 や 芸 術 家 が核 と な る 市 民 運 動

生 活 文 化

事 象

・ ( 一 社 ) 鎌 倉 同 人会 の 設 立・ 鎌 倉 青 年 団 に よ る史 蹟 指 導 標・ ナ シ ョ ナ ル ト ラ ス

ト と し て 買 い 取 った 御 谷 の 山 林・ 鎌 倉 市 民 座・ ( 公 財 ) 鎌 倉 風 致保 存 会 の 設 立・ N P O セ ン タ ー の設 置

・ 震 災 ボ ラ ン テ ィ ア・ 御 谷 の 自 然 を 守 る運 動・ ナ シ ョ ナ ル ト ラ スト を 生 む 土 壌・ 古 都 保 存 法 の 制 定

に つ な が る 運 動・ 市 民 に よ る 美 化 運動・ 緑 地 保 全 運 動・ さ ま ざ ま な 市 民 活動 の 出 現

特 徴

・ 市 民 活 動 、 活 動 支援 、 法 整 備 な ど に成 果 が み ら れ る・ 市 民 活 動 を 行 う 場が 提 供 さ れ た

・ 鎌 倉 の 市 民 性 と して 語 ら れ る 特 徴 であ る 地 域 に 対 し ての 熱 い 思 い の 現 われ

鎌倉に住んだ文化人たちは、さまざまな形で鎌倉の発展に関わってきました。歴史のある鎌倉同人会や鎌倉風致保存会の活動、各種のボランティア活動が地域社会の運営の一翼を担い支えてきました。現在では、NPOをはじめとする市民活動団体も活発な活動を展開しています。

今後も多くの市民が参加できるような協働・共生の仕組みを確立していくとともに、市民活動団体間の連携を図りながら活動しやすい環境づくりが必要となります。 さらに、本市では多くの市民の参加を得て生涯学習活動が盛んに行われています。今後もより充実した生涯学習活動ができるよう支援を行う必要があります。

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課 題

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5 平 和 を さ さ え る 文 化形 の あ る も の 形 の な い も の

芸術文化

事 象

・ 平 和 劇 ・ 文 化 人 が 発 起 人 とな っ た 平 和 大 会

特 徴

・ 平 和 の 大 切 さ を 訴え 続 け て い る

・ 平 和 を 考 え る 行 動の 機 動 力 と し て の文 化 人 の 活 躍 と 果た し た 役 割

生 活 文 化

事 象

・ 鎌 倉 駅 前 に 植 え られ た 平 和 の 木

・ 恒 久 平 和 へ の 決 意・ 盛 ん な 平 和 運 動 を生 む 意 識・ 鎌 倉 平 和 大 会 の 開催・ 海 の 平 和 祭 の 開 催・ 全 国 の 自 治 体 に 先駆 け た 平 和 都 市 宣言 の 制 定・ 市 民 運 営 に よ る 平和 推 進 事 業

特 徴

・ 平 和 の 木 は 市 役 所に 移 植 さ れ 、 平 和の シ ン ボ ル と な って い る

・ 古 都 で あ る こ と で戦 禍 を 免 れ た 鎌 倉で の 平 和 意 識 の 意義 と 説 得 力

鎌倉には文化人たちが率先して平和運動を進めた歴史があり、戦後のこの活動が平和精神の拠りどころとなり、その後も多くの市民が引き継ぎ現在に至っています。今後も日常生活のなかで平和に対する意識や行動を促し、市民が機動力となり継続的な活動をしていける環境づくりが必要です。

また、戦争に対する平和だけではなく、平和で安全な社会と日常生活を築き上げる市民の不断の努力も必要となります。

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課 題

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6 歴 史 的 環 境 と 自 然 環 境 に は ぐ く ま れ た 文 化形 の あ る も の 形 の な い も の

芸術文化

事 象

・ 県 立 近 代 美 術 館・ 鎌 倉 文 学 館・ 鎌 倉 芸 術 館

・ 芸 術 家 が 好 ん だ 古都 の ス テ ー タ ス

特 徴

・ 歴 史 ・ 自 然 と 芸 術の 接 点 は 、 仏 教 芸術 が 主 導 的 で あ った が 、 鎌 倉 の 環 境か ら 生 み 出 さ れ るも の も 多 い

・ 歴 史 ・ 自 然 を 好 む文 化 人 や 芸 術 家 が 鎌倉 を 愛 し た

生 活 文 化

事 象

・ 三 方 を 取 り 囲 む 山々・ 緑 の 山 々 を 背 に 海に 開 け る 風 景・ 鎌 倉 海 浜 院 と 別 荘・ 海 水 浴 場・ 漁 港・ 若 宮 大 路・ 県 立 フ ラ ワ ー セ ンタ ー 大 船 植 物 園

・ 人 間 と 共 生 す る 自然 の 景 観・ 温 暖 な 気 候 の 生 活ス タ イ ル・ 保 養 地 、 観 光 地 とし て の 名 声・ 名 士 や 外 国 人 の 逗留・ 外 国 仕 込 み の ハ イカ ラ 文 化・ 花 火 大 会  ・ サ ー フ ィ ン・ ぼ ん ぼ り 祭・ 芸 術 家 が 好 ん だ 古都 の ス テ ー タ ス・ 独 特 な 谷 戸 の 地 形を 理 解 し た 生 活 形 態

特 徴

・ 昭 和 30 年 ~ 40年 代 の 大 規 模 開 発に よ り 自 然 体 系 が変 化 し 、 失 わ れ たも の が 多 い・ 鎌 倉 の 特 徴 的 な 地形・ 戦 禍 を 受 け な か った ま ち 並 み

・ 鎌 倉 の 魅 力 と し て継 承 さ れ て い る 事 象・ 歴 史 ・ 自 然 を 好 む文 化 人 や 芸 術 家 が 鎌倉 を 愛 し た・ 鎌 倉 の 景 観 は テ レビ ・ 映 画 の 舞 台 と なる こ と が 多 い

鎌倉の歴史と、山と海に囲まれた自然環境が文化を育ててきました。この歴史と豊かな自然環境のなかではぐくまれた芸術を大切にするとともに、鎌

倉の環境と共生して生活していく知恵を持つことが大切です。また、鎌倉の発展の過程で海の果たした役割は非常に大きいものがあります。将

来にわたり鎌倉らしさを継承し鎌倉の魅力を高めていくには、海浜景観の維持・回

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課 題

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復、漁港等の再生など広い視野から海について検証し、文化の発信の地でありつづけることが望まれます。

そして、このような活動が鎌倉の風土と歴史に憧れて、この地を訪れる観光客や来訪者に対する文化都市鎌倉のイメージの高揚に役立つものとなると思われます。

第 5 章   文 化 政 策 へ の 視 点

第3次鎌倉市総合計画では、鎌倉のあるべき将来像を「古都としての風格を保ちながら生きる喜びと新しい魅力を創造するまち」とし、この将来像の実現に向けて、6つの将来目標を定め、その1つに「歴史を継承し、文化を創造するまち」を定めています。 この将来目標の達成と充実を図るため、「芸術文化」の領域だけではなく、まちづくりという市民生活全般、つまり「生活文化」の領域についても文化の視点をもって政策を推進する必要があります。「第4章 鎌倉の文化の特徴と課題」のなかで挙げた事項の中にあるそれぞれのキーワードについて整理し、「文化の検証と研究」「文化の継承」「文化の支援」「文化の交流」「文化の創造と発信」の5項目に体系化を行い、さらに項目ごとに「芸術文化 と「生活文化」に分類して文化政策への視点を明らかにしました。」

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■  歴史を継承し、新たな文化を創造する視点

第4章から導き出されるキーワード

歴史や文化の発掘と研究歴史や文化の再評価と再考現在の生活に取り入れるものの検証現在の生活に影響を与えた近代史の研究重要建築物の検証海に関する文化の検証継承すべき文化の評価歴史的遺産や鎌倉ゆかりの作品の保存と活用鎌倉ではぐくまれた芸術文化の継承文化を共有する場の設定重要建築物等の保全・活用生活の知恵・工夫の継承鎌倉の歴史を知る場の設置良好な都市景観の維持平和意識の醸成鑑賞する機会の提供参加する機会の提供アートマネージメントの充実市民と行政が協力して行う支援生涯学習の推進歴史的文化に学ぶ活動への支援交流の場や機会の確保文化施設情報のネットワーク都市間交流の推進交流によるまちづくり文化情報の充実文化プロデュースの必要性文化発信の場の整備文化情報の発信鎌倉らしさを大切にしたまちづくり良好な都市景観形成市民と行政が協力して行う文化の発信世界遺産登録に向けて

知恵を持つ、身近に感じる、魅力を高める、不断の努力、仕組みの確立、精神を現代に活かす、誇りを重んじる、現代生活の糧とする、らしさを生み出す、まちづくりへの参加、文化の集積を促す、発想や行動を促す、歴史への理解に深まり、鑑賞できる機会の増大

5文化の発信 芸術文化

生活文化

助け合いながら復興、文化を育てる、支える仕組みづくり、活動できる支援、活動しやすい環境づくり

3文化の支援 芸術文化

生活文化

連携を図る、協動・共生

4文化の交流 芸術文化

生活文化

検証、精神の再認識、知恵と活力に学ぶ、社会的活動の検証、活かす方策の発見

1文化の検証と研究 芸術文化

生活文化

保護、保存継承、引き継ぎ、次代に継承、意識を継承する、らしさを継承する

2文化の継承 芸術文化

生活文化

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鎌 倉 に は 、 中 世 の 精 神 文 化 や 近 代 に な っ て 鎌 倉 に

居 住 し た 文 化 人 た ち が 築 い た 文 化 、 あ る い は 別 荘 文

化 、 市 民 活 動 か ら 生 ま れ た 文 化 な ど さ ま ざ ま な 形 の

文 化 が あ り ま す 。 ま た 中 世 の 建 築 様 式 や 仏 像 な ど の

歴 史 的 遺 産 、 伝 統 工 芸 や 鎌 倉 に 住 ん だ 芸 術 家 た ち に

よ る 優 れ た 芸 術 作 品 な ど も 数 多 く 残 さ れ て い ま す 。

現 在 の 鎌 倉 の 文 化 を 形 成 し た 事 柄 の 検 証 や 研 究 を 引

き 続 き 進 め 、 的 確 な 評 価 を 行 い 、 次 代 へ 継 承 す べ き

も の は 適 切 な 方 法 を と る こ と が 求 め ら れ ま す 。

【 芸 術 文 化 に つ い て 】

■ 歴 史 や 文 化 の 発 掘 と 研 究

現 在 に い た る 鎌 倉 の 歴 史 を 検 証 し 事 実 を 知 る と と

も に 、 未 研 究 の 分 野 に つ い て 体 系 的 調 査 研 究 を 行 い

、 研 究 結 果 の デ ー タ を 整 理 し 広 く 公 開 し て い く こ と

に 努 め ま す 。

■ 歴 史 や 文 化 の 再 評 価 と 再 考

歴 史 や 文 化 は 時 代 の 流 れ の な か で 評 価 さ れ 選 択 さ

れ 、 そ の 過 程 を 経 た も の が 次 代 へ 受 け 継 が れ ま す 。

そ し て 受 け 継 が れ た も の は 新 た な 価 値 を 創 造 し 、 新

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1 文化の検証と研究

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し い 文 化 と し て 引 き 継 が れ て い き ま す 。 大 切 な 歴 史

や 文 化 を 失 わ な い よ う 歴 史 や 文 化 の 再 評 価 を 行 い 、

何 を 継 承 す べ き な の か を 明 ら か に し 確 実 に 受 け 継 ぐ

体 制 づ く り に 努 め ま す 。

【 生 活 文 化 に つ い て 】

■ 現 在 の 生 活 に 取 り 入 れ る も の の 検 証

昔 か ら 引 き 継 が れ て き た 生 活 の 中 の 文 化 や 知 恵 、

ま た は 眠 っ て し ま っ て い る 数 々 の 文 化 資 源 の 検 証 を

行 い 、 現 在 の 生 活 の 中 に 使 い こ な す 方 法 や 役 立 た せ

る 方 法 の 確 立 に 努 め ま す 。

■ 現 在 の 生 活 に 影 響 を 与 え た 近 代 史 の 研 究

現 在 の 生 活 文 化 形 成 に 強 い 影 響 を 与 え た 明 治 期 以

降 の 文 化 人 や 芸 術 家 た ち が ど の よ う に 地 域 文 化 を 形

成 し て き た の か 、 さ ら に は 市 民 活 動 や 別 荘 文 化 の 成

り 立 ち 、 市 街 地 の 形 成 等 に つ い て 、 基 礎 資 料 収 集 や

研 究 を 進 め ま す 。 ま た 、 自 然 と 共 存 し て い く た め の

自 然 と の 接 し 方 や 自 然 と の 調 和 に つ い て の 考 察 に 努

め ま す 。

■ 重 要 建 築 物 の 検 証

市 内 に は 別 荘 建 築 の 流 れ を く む 洋 風 や 和 風 の 近 代

建 築 物 が 数 多 く 残 っ て い ま す が 、 相 続 問 題 や 建 て 替

え 等 に よ り 急 速 に 姿 を 消 し つ つ あ る の が 現 状 で す 。

こ れ ら の 近 代 建 築 物 を 市 民 の 共 有 財 産 と と ら え 、 保

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全 ・ 活 用 へ の ス テ ッ プ と し て 存 在 確 認 と リ ス ト 化 を

行 い 、 そ れ ら に つ い て 検 証 を 進 め る こ と に 努 め ま す

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■ 海 に 関 す る 文 化 の 検 証

鎌 倉 を 取 り 囲 む 山 や 緑 豊 か な 自 然 環 境 の 美 し さ は

鎌 倉 の 特 色 で す 。 海 辺 や 海 周 辺 の ま ち 並 み も 鎌 倉 ら

し さ を 強 く 感 じ る 風 景 の 一 つ と な っ て い ま す 。 こ の

海 の 風 景 に 憧 れ て 住 み つ き 、 サ ー フ ィ ン な ど の 若 者

文 化 を 作 り 出 し た 人 々 も 数 多 く い ま す 。 海 水 浴 場 ・

漁 港 ・ 景 勝 地 な ど の 海 が も っ て い る 魅 力 が 鎌 倉 に も

た ら し た 文 化 的 価 値 に つ い て 研 究 を 行 い 検 証 を 進 め

、 鎌 倉 に お け る 海 の 魅 力 を 明 ら か に す る こ と に 努 め

ま す 。

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No.指定 名 称 構 造 延床面積(㎡) 指定年月日

1第 号 鎌倉文学館(旧前田家別邸) 1 RC 2 3階 構造、 ・ 階木造 1030. 65 2 10 1平成 年 月 日

2 伊藤邸(旧望洋楼) 木造平屋建 161. 10 2 12 1平成 年 月 日3 篠田邸(旧村田邸) 2木造 階建 161. 37 3 3 1平成 年 月 日4 寸松堂 2木造 階建、搭屋付 421. 22 4 2 1平成 年 月 日

5 日本基督教団鎌倉教会会堂 鉄筋コンクリート2造 階建、塔屋付 317. 16 4 3 30平成 年 月 日

7 かいひん荘鎌倉 2木造 階建 136. 92 4 8 1平成 年 月 日8 石川邸(旧里見弴邸) 2木造 階建 294. 19 6 2 1平成 年 月 日910 川合邸 木造平屋建 83. 23 7 1 1平成 年 月 日11 鎌倉聖ミカエル教会聖堂 木造平屋建 80. 96 7 1 1平成 年 月 日12 鎌倉市長谷子ども会館(旧諸戸邸) 2木造 階建 118. 86 7 1 1平成 年 月 日13 白日堂 2木造 階建 205. 19 8 3 1平成 年 月 日14 小池邸 2木造 階建 130. 20 8 3 1平成 年 月 日15 石島邸 2木造 階建 229. 25 9 3 1平成 年 月 日16 旧安保小児科医院 2木造 階建 115. 22 9 3 1平成 年 月 日17 高野邸 2木造 階建 155. 04 10 4 1平成 年 月 日18 村上邸 2木造 階建 456. 35 11 12 1平成 年 月 日19 旅館対僊閣 2木造 階建 393. 99 12 10 1平成 年 月 日20 笹野邸 2木造 階建 395. 92 13 1 1平成 年 月 日21 のり真安齋商店 2木造 階建 310. 68 13 5 1平成 年 月 日

22 三河屋本店 2木造 階建、蔵は木造平家 436. 52 14 4 1平成 年 月 日

23 東勝寺橋 上路式鉄筋コンクリートアーチ橋 10. 65橋長 m 14 4 1平成 年 月 日

24 檑亭(旧清香園)木造一部鉄筋コン

2クリート造 階建、山門は四脚門

424. 60 15 3 31平成 年 月 日

25 湯浅物産館 2木造 階建 400. 84 15 3 31平成 年 月 日26 去来庵 1木造 階建 123. 71 16 3 31平成 年 月 日27 ホテルニューカマクラ 2木造 階建 303. 26 16 3 31平成 年 月 日

28 平井家住宅・長屋門 2木造平屋建・木造階建 194. 42 183. 42・ 18 4 1平成 年 月 日

29 旧華頂宮邸 3木造 階建 577. 79 18 4 1平成 年 月 日30 野尻邸(旧大佛次郎茶邸) 木造平屋建 155. 80 21 3 2平成 年 月 日31 加賀谷邸 2木造 階建 312. 60 21 3 2平成 年 月 日32 成瀬家住宅 木造平屋建 151. 30 21 9 1平成 年 月 日

No.指定 名 称 構 造 延床面積(㎡) 指定年月日1第 号 旧川喜多邸別邸(旧和辻邸) 木造平屋建 145. 86 22 9 1平成 年 月 日

320. 87 4 3 30平成 年 月 日日本基督教団鎌倉教会付属ハリス記念鎌倉幼稚園

景観重要建築物等

景観重要建造物

15 12※平成 年 月指定解除

33 極楽洞 構造形式/単線断面、レンガ造 22 11 24平成 年 月 日

6

5. 285m内空高/3. 940m内空幅/

鉄筋コンクリート2造 階建

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2 文化の継承

市内には中世武家社会から受け継がれる寺や神社が点在し、中世の建築様式や仏像などの歴史的遺産が数多く残っており、今も鎌倉の文化をつくっています。これらの文化財は、その地域や各時代の生活文化の歩みを物語る貴重なものです。また、武家社会の繁栄とともに、人々の生活の中で生まれ伝えられてきた地域の歴史文化といえる郷土芸能など、数多くの伝統芸能も伝承されています。

また、一方の鎌倉の文化を象徴する明治期から昭和初期の時代に建てられた建築物や別荘文化に代表される住民がつくりあげた風土もあります。 これらの継承していくべき文化の評価を行い、その活用を図っていく必要があります。

【 芸 術 文 化 に つ い て 】

■ 継 承 す べ き 文 化 の 評 価

文 化 が 受 け 継 が れ る に は 、 そ の 内 容 が 評 価 ・ 選 択

さ れ て 次 代 に 継 承 さ れ て い く 必 要 が あ り ま す 。 継 承

す べ き も の に つ い て 分 類 ・ 体 系 化 を 行 い 、 緊 急 度 の

面 か ら の 検 証 等 を 行 い な が ら 鎌 倉 に ふ さ わ し い も の

を 選 択 し て い く 体 制 づ く り に 努 め ま す 。

■ 歴 史 的 遺 産 や 鎌 倉 ゆ か り の 作 品 の 保 存 と 活 用

貴 重 な 歴 史 的 遺 産 を 保 存 ・ 活 用 し 次 代 に 継 承 す る

た め 、 史 跡 管 理 体 制 の 整 備 、 国 宝 館 所 蔵 資 料 の 充 実

、 文 化 財 資 料 館 及 び 博 物 館 の 整 備 を 行 い 、 保 存 ・ 活

用 の 体 制 づ く り を 進 め る 必 要 が あ り ま す 。 ま た 、 鎌

倉 文 学 館 の 収 蔵 資 料 の 充 実 や 美 術 館 の 整 備 を 行 い 、

鎌 倉 を 愛 し た 文 学 者 、 画 家 、 彫 刻 家 た ち の 作 品 を 保

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全 、 研 究 、 展 示 す る 体 制 づ く り に 努 め ま す 。

■ 鎌 倉 で は ぐ く ま れ た 芸 術 文 化 の 継 承

鎌 倉 彫 に 代 表 さ れ る 伝 統 工 芸 や 鎌 倉 で 育 っ た 映 像

文 化 な ど の 継 承 を 図 る た め 、 記 録 ・ 保 護 ・ 伝 承 ・ 公

開 ・ 活 用 と い っ た 文 化 を 継 承 し て い け る 仕 組 み づ く

り に 努 め る と と も に 、 多 く の 人 が 参 加 で き る 行 事 や

事 業 を 企 画 ・ 実 施 し て い く こ と に 努 め ま す 。

【 生 活 文 化 に つ い て 】

■ 文 化 を 共 有 す る 場 の 設 定

日 常 生 活 の 中 の 文 化 を ど の よ う に 継 承 し て い く か

、 生 活 や 伝 統 に つ い て 考 え る ワ ー ク シ ョ ッ プ の 開 催

な ど 、 多 く の 人 々 が 参 加 し 、 文 化 に つ い て 考 え 触 発

さ れ る 場 を 設 定 す る こ と に 努 め ま す 。

■ 重 要 建 築 物 等 の 保 全 ・ 活 用

市 内 に 残 る 洋 風 や 和 風 の 近 代 建 築 物 に は 、 そ の 時

代 の 人 々 が 生 活 し て き た な ご り が あ り ま す 。 こ れ ら

の 建 築 物 を 保 全 ・ 活 用 す る た め 、 市 民 と の 協 働 に よ

る 維 持 ・ 管 理 ・ 運 営 体 制 に つ い て 検 討 を 行 い 、 歴 史

を 生 か し た ま ち づ く り に 活 用 し て い き ま す 。

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■ 生活の知恵・工夫の継承

豊 か な 自 然 や 昔 か ら 親 し ま れ て い る 祭 や 郷 土 芸 能 、

地 域 に 根 ざ し た 文 化 行 事 、 歴 史 的 な 建 築 物 な ど は 、

そ れ 自 体 が 価 値 を 持 つ ば か り で は な く 、 郷 土 へ の 愛

着 を 深 め 市 民 共 通 の 拠 り 所 と な る と と も に 、 鎌 倉 の

魅 力 を 高 め 、 観 光 客 等 を 誘 引 す る 要 因 と も な る も の

で す 。 鎌 倉 ま つ り 、 薪 能 、 ぼ ん ぼ り 祭 、 花 火 大 会 な

ど の 鎌 倉 の 風 物 詩 を 次 代 へ 継 承 す る と と も に 、 生 活

を 豊 か に す る た め に 培 わ れ て き た 生 活 の 知 恵 、 例 え

ば 、 谷 戸 の 自 然 と 調 和 し た 暮 ら し 方 な ど を 現 在 の 生

活 に 取 り 込 ん で い く 方 策 を 検 討 し て い き ま す 。

■ 鎌 倉 の 歴 史 を 知 る 場 の 設 置

鎌 倉 の も つ 歴 史 や 文 化 財 に つ い て 理 解 と 関 心 を 深

め 、 自 分 の 住 む ま ち の 歴 史 を 知 る こ と で 郷 土 に 対 す

る 愛 情 が い っ そ う 深 ま り ま す 。 特 に 中 世 か ら の 歴 史

と 散 逸 し が ち な 民 俗 資 料 、 文 化 財 資 料 な ど を 保 管 ・

展 示 す る 文 化 財 資 料 館 や 博 物 館 の 整 備 に つ い て 検 討

し て い き ま す 。

■ 良 好 な 都 市 景 観 の 維 持

歴 史 ・ 文 化 と 調 和 し た 景 観 を 維 持 し て い く こ と は

都 市 の 活 力 を 将 来 に わ た っ て 維 持 し て い く う え で 欠

か す こ と の で き な い も の で す 。 自 然 環 境 と 歴 史 的 遺

産 が 融 和 し た 環 境 を 大 切 に し 、 市 民 生 活 と の 調 和 を

図 り な が ら 古 都 に ふ さ わ し い 都 市 景 観 の 維 持 ・ 形 成

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に 努 め ま す 。

■ 平 和 意 識 の 醸 成

市 民 に よ る 平 和 へ の 取 り 組 み を 背 景 に 全 国 の 自 治

体 に 先 駆 け て 「 平 和 都 市 宣 言 」 を 行 い 、 永 久 に 平 和

都 市 で あ る こ と を 宣 言 し た 本 市 に お い て は 、 今 後 も

平 和 都 市 宣 言 市 民 憲 章「 」 「 」の 精 神 に 基 づ き 、 市 民 と

行 政 が 協 力 し な が ら 平 和 に つ い て の 意 識 の 醸 成 を 図

る こ と に 努 め ま す 。

42

(2015年1月7日現在)

国 宝 1 4 1 6 3 15国指定 21 29 38 22 43 8 4 2 31 3 201県指定 8 9 24 15 2 2 2 1 2 65市指定 32 49 83 27 19 4 10 13 2 2 23 9 32 305

合計 62 91 146 70 67 4 18 19 4 2 25 1 42 3 32 586*国登録有形文化財(建造物)16件 )(文化財課資料

記 念 物

歴史資料

民族文化財(資料) 有 形 文 化 財 無 形

文化財無形彫刻 書跡 古文書

鎌倉市指定文化財件数

種別考古資料絵画 典籍工芸

合計建造物 史 跡 名 勝

天 然記念物有形

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自 由 時 間 の 増 大 、 情 報 技 術 の 発 達 、 長 寿 化 な ど を

背 景 に 美 術 、 音 楽 、 演 劇 な ど を 鑑 賞 す る 機 会 が 増 え

る と と も に 、 自 ら が 文 化 活 動 に 参 加 す る 機 会 が 増 え

て い ま す 。

鎌 倉 に は 、 過 去 に 鎌 倉 ア カ デ ミ ア を 誕 生 さ せ た 土

壌 が あ り 、 生 涯 学 習 に 対 す る 関 心 も 高 く 、 生 涯 学 習

セ ン タ ー や 教 養 セ ン タ ー で の 活 動 、 市 内 の 大 学 な ど

に お け る リ カ レ ン ト 教 育 も 盛 ん に 行 わ れ 多 く の 市 民

が 参 加 し て い ま す 。

今 後 も さ ま ざ ま な 芸 術 や 文 化 に 接 す る こ と が で き

る よ う 、 作 り 手 と 受 け 手 を つ な ぐ ア ー ト マ ネ ー ジ メ

ン ト の 充 実 や 、 市 民 と 行 政 が 協 力 し て 活 動 が で き る

仕 組 み づ く り を 行 う 必 要 が あ り ま す 。

【 芸 術 文 化 に つ い て 】

■ 鑑 賞 す る 機 会 の 提 供

芸 術 を 鑑 賞 す る 機 会 と 鎌 倉 の 歴 史 を 実 感 で き る 場

を 継 続 的 に 提 供 し て い く た め に 、 鎌 倉 芸 術 館 、 鎌 倉

文 学 館 、 鏑 木 清 方 記 念 美 術 館 、 川 喜 多 映 画 記 念 館 、

鎌 倉 国 宝 館 、 鎌 倉 生 涯 学 習 セ ン タ ー 等 の 公 共 施 設 間

の 連 携 を 図 る と と も に 、 民 間 の 美 術 館 、 博 物 館 と も

連 携 を 図 り 、 ま ち 全 体 が ミ ュ ー ジ ア ム と な る よ う な

空 間 の 実 現 を め ざ し ま す 。

43

3 文化の支援

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■ 参 加 す る 機 会 の 提 供

地 域 文 化 の 振 興 の た め 、 ア ー テ ィ ス ト の 指 導 と 協

力 を 得 な が ら さ ま ざ ま な ワ ー ク シ ョ ッ プ を 開 催 す る

と と も に 、 市 民 自 ら が 企 画 運 営 を 行 う 事 業 、 生 涯 学

習 セ ン タ ー 活 動 、 文 化 施 設 事 業 の 充 実 を 図 り 、 文 化

活 動 に 参 加 で き る 場 や 機 会 を 継 続 的 に 提 供 し て い く

こ と に 努 め ま す 。

■ ア ー ト マ ネ ー ジ メ ン ト の 充 実

芸 術 文 化 に つ い て の 市 場 調 査 、 企 画 立 案 、 実 行 に

向 け た 交 渉 、 事 後 評 価 を 適 切 に 実 行 で き る 能 力 を 有

し 、 作 り 手 と 受 け 手 を つ な ぎ 、 文 化 と 市 民 の 出 会 い

を つ く る こ と が で き る ア ー ト マ ネ ー ジ ャ ー を 育 成 す

る 必 要 が あ り ま す 。 そ の ア ー ト マ ネ ー ジ メ ン ト か ら

芸 術 家 と 観 客 の 間 の 信 頼 関 係 が 生 ま れ 、 地 域 に 根 差

し た 芸 術 文 化 が 生 ま れ ま す 。

【 生 活 文 化 に つ い て 】

■ 市 民 と 行 政 が 協 力 し て 行 う 支 援

文 化 事 業 を 安 定 的 に 展 開 し 支 援 し て い く た め に は

中 長 期 的 な 資 金 の 確 保 や 人 材 の 確 保 が 不 可 欠 と な り

ま す 。 そ の た め 文 化 に 関 わ る 資 金 の 調 達 や 人 材 の 発

掘 の た め 市 民 ・ 企 業 ・ 行 政 が 協 力 を し て 、 活 動 で き

る 仕 組 み づ く り を 行 う 必 要 が あ り ま す 。 ボ ラ ン テ ィ

ア の 組 織 化 を は じ め 、 市 民 ・ 企 業 ・ 行 政 に よ る 資 金

の 分 担 、 寄 付 活 動 な ど 多 面 的 な 活 動 を 通 じ て 文 化 活

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動 の 支 援 や 活 性 化 が 図 ら れ る よ う 努 め ま す 。

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■ 生 涯 学 習 の 推 進

一 人 ひ と り が 自 分 の 能 力 を 伸 ば し 、 豊 か な 生 活 を

実 感 す る た め に は 人 生 の ど の 時 期 か ら も 学 べ る 体 制

づ く り が 必 要 で す 。 生 涯 学 習 活 動 を 展 開 で き る 場 の

確 保 や 学 習 情 報 の 収 集 ・ 提 供 な ど を 充 実 し 、 「 い つ

で も 」 「 ど こ で も 」 「 だ れ も が 」 参 加 で き る 地 域 の

環 境 づ く り を 進 め ま す 。

■ 歴 史 的 文 化 に 学 ぶ 活 動 へ の 支 援

日 本 の ナ シ ョ ナ ル ト ラ ス ト 発 祥 の 地 で あ る 本 市 の

先 進 的 な 市 民 活 動 の 精 神 を 生 か し 、 歴 史 的 文 化 に つ

い て の 研 究 会 、 シ ン ポ ジ ウ ム 、 ワ ー ク シ ョ ッ プ 、 見

学 会 な ど が 今 後 も 活 発 に 行 わ れ て い く よ う に 努 め ま

す 。

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都 市 間 の 交 流 を は じ め 、 異 な る 文 化 や 世 代 の 交 流 を

図 り 相 互 理 解 を 深 め る こ と は 、 地 域 の 持 つ 文 化 に 奥

行 き や 広 さ を も た ら す と と も に 、 交 流 を 通 じ 鎌 倉 独

自 の 文 化 が 再 認 識 で き 、 文 化 を 大 切 に し よ う と す る

心 も 生 ま れ ま す 。 海 外 と の 交 流 に お い て も 同 様 で 、

そ の 国 の 長 い 歴 史 の な か で 生 ま れ た 文 化 を 比 較 研 究

す る こ と で 、 鎌 倉 の 新 た な 文 化 を 創 造 す る こ と に も

つ な が り ま す 。

今 後 も 都 市 間 交 流 や 世 代 間 の 交 流 を 促 進 す る と と も

に 、 美 術 ・ 音 楽 ・ 演 劇 ・ 文 学 な ど に 関 す る 情 報 の 収

集 ・ 提 供 体 制 の 整 備 な ど を 図 っ て い く こ と が 求 め ら

れ ま す 。

【 芸 術 文 化 に つ い て 】

■ 交 流 の 場 や 機 会 の 確 保

地 域 文 化 は 、 さ ま ざ ま な 人 と 出 会 い 触 発 さ れ て は

ぐ く ま れ る も の で す 。 芸 術 家 と 一 般 の 人 々 の 交 流 、

プ ロ と ア マ チ ュ ア の 交 流 、 世 代 間 の 交 流 な ど を 活 発

化 す る と と も に 、 発 表 す る 機 会 の 確 保 や 場 の 確 保 に

努 め ま す 。

■ 文 化 施 設 情 報 の ネ ッ ト ワ ー ク

近 隣 都 市 の ホ ー ル や 美 術 館 な ど の 情 報 を 収 集 し 、

一 元 化 し て 情 報 提 供 を 行 う 必 要 が あ り ま す 。 ま た 、

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4 文化の交流

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公 立 美 術 館 等 の 文 化 施 設 と 民 間 美 術 館 等 が 協 力 し て 、

ま ち 全 体 が ミ ュ ー ジ ア ム 空 間 と な る よ う ネ ッ ト ワ ー

ク 化 を 目 指 し ま す 。

【 生 活 文 化 に つ い て 】

■ 都 市 間 交 流 の 推 進

さ ま ざ ま な 人 た ち と 交 流 し 、 そ れ ぞ れ の 文 化 や 習

慣 を 理 解 し 合 え る よ う 国 際 交 流 を 進 め る こ と が 必

要 で す 。 ま た 、 市 民 や 民 間 団 体 が 中 心 と な っ て 行

う 国 内 外 と の 都 市 交 流 を 支 援 し 、 世 代 や 地 域 を 超

え た 交 流 を 図 る こ と に 努 め ま す 。

■ 交 流 に よ る ま ち づ く り

鎌 倉 に は 江 戸 期 後 期 か ら 多 く の 観 光 客 や 保 養 客 ら

が 訪 れ 、 鎌 倉 の 文 化 の 形 成 に 影 響 を 与 え ま し た 。

ま た 、 現 在 で は 映 画 や テ レ ビ ド ラ マ 等 に も 鎌 倉 が

数 多 く 登 場 し て い ま す 。 こ の こ と は 鎌 倉 の た た ず

ま い や 文 化 が 評 価 さ れ て い る と い う 証 し で も あ り

、 鎌 倉 の 魅 力 を 市 民 が 再 認 識 す る き っ か け に も な

り ま す 。 鎌 倉 を 愛 し 訪 れ る 人 々 と の 交 流 を 通 じ 、

外 か ら 見 た 感 覚 を 取 り 入 れ た ま ち づ く り も で き る

よ う 検 討 し ま す 。

■ 文 化 情 報 の 充 実

豊 か な 鎌 倉 の 文 化 を 作 り 出 す に は 積 極 的 な 文 化 情

報 の 収 集 ・ 提 供 が 必 要 で す 。 ま た 他 地 域 へ の 文 化

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発 信 を 行 い 交 流 を 深 め る こ と も 大 切 で あ り 、 近 隣

都 市 や 歴 史 的 に 関 連 の あ る 都 市 、 自 然 環 境 な ど の

都 市 環 境 が 似 て い る 都 市 等 と の 文 化 交 流 を 通 じ 、

都 市 間 の 広 域 交 流 を 図 る こ と に 努 め ま す 。

495 文化の発信

計 延宿泊客数 延日帰り客数鎌倉市 1,974 32 1,942 1.62%横浜市 4,243 534 3,710 12.59%川崎市 1,416 - 1,416 -相模原市 1,164 60 1,104 5.15%横須賀市 821 32 790 3.90%平塚市 563 7 556 1.24%藤沢市 1,515 42 1,473 2.77%小田原市 437 23 414 5.26%茅ヶ崎市 236 6 230 2.54%逗子市 135 2 133 1.48%三浦市 503 64 438 12.72%秦野市 202 3 199 1.49%厚木市 325 34 291 10.46%伊勢原市 174 8 166 4.60%海老名市 21 - 21 -座間市 27 - 27 -南足柄市 63 4 59 6.35%葉山町 57 3 55 5.26%箱根町 1,944 463 1,481 23.82%神奈川県全域 17,348 1,422 15,926 8.20%

観光客数(万人)

(平成25年度版県勢要覧より抜粋)

宿泊率

各市の観光客数(2012年)

26鎌倉市の観光事情〈平成 年度版〉(観光商工課資料)

(単位:万人)2009年 2010年 2011年 2012年 2013年

各寺社 515 511 458 514 621鶴岡八幡宮 943 1020 1021 1083 1294銭洗弁財天 112 106 89 86 107鎌倉海岸 219 229 168 214 202天園ハイキングコース 46 42 35 35 39鎌倉国宝館 6 6 5 6 5鎌倉文学館 10 10 9 10 11川喜多映画記念館 - - - - 2県立フラワーセンター 26 22 21 21 20県立近代美術館 5 4 4 5 6

26鎌倉市の観光事情〈平成 年度版〉(観光商工課資料)※ 川喜多映画記念館 平成25年から調査開始

鎌倉の観光客数

主要観光地別来訪状況2009年は天候不

2011順、 年は東日本大震災の影響により減少している。

1,600

1,700

1,800

1,900

2,000

2,100

2,200

2,300

2,400

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年

1,679

1,8451,7821,768

1,8161,8401,8461,8691,934

1,8831,949

1,811

1,974

2,308

(万人)

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鎌 倉 は 三 方 を 山 に 囲 ま れ な が ら 、 主 要 な 眺 望 場 所

か ら は 輝 く 海 が 見 え 、 街 中 か ら は 山 々 の 緑 が 見 え る

人 の 活 動 に と っ て 最 適 な 規 模 の 都 市 と し て 発 展 し て

き ま し た 。

山 と 海 の 自 然 環 境 と 歴 史 的 遺 産 が 調 和 し た 都 市 景 観

や 生 活 形 態 は 鎌 倉 の 基 本 的 な イ メ ー ジ を つ く り あ げ

て い ま す 。 今 後 も 鎌 倉 ら し さ の 象 徴 で あ る 自 然 環 境

と 歴 史 的 遺 産 を 基 本 に し た ま ち づ く り を 進 め 、 現 代

に ふ さ わ し い 新 し い 鎌 倉 の 文 化 を 創 造 す る と と も に

、 鎌 倉 と し て の ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー を 発 信 し て い く

こ と が 求 め ら れ ま す 。

ま た 、 文 化 施 設 の 活 用 に 当 た っ て は 、 そ の 施 設 の 特

徴 を 活 か し た 文 化 プ ロ デ ュ ー ス を 行 い 、 文 化 を 発 信

し て い く こ と が 求 め ら れ ま す 。

【 芸 術 文 化 に つ い て 】

■ 文 化 プ ロ デ ュ ー ス の 必 要 性

芸 術 文 化 の 創 造 ・ 育 成 ・ 鑑 賞 ・ 交 流 ・ 研 究 と い っ

た さ ま ざ ま な 局 面 で 充 実 を 図 る こ と が 求 め ら れ ま

す 。

特 に 、 鎌 倉 芸 術 館 、 鎌 倉 文 学 館 、 鏑 木 清 方 記 念 美

術 館 、 川 喜 多 映 画 記 念 館 な ど は そ れ ぞ れ の 施 設 の

持 つ 文 化 性 を 踏 ま え 、 利 用 者 の ニ ー ズ に 合 致 し た

文 化 を プ ロ デ ュ ー ス し 、 地 域 の 文 化 発 信 の 拠 点 と

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し て 、 よ り 魅 力 の あ る 事 業 を 展 開 し て い く こ と が

求 め ら れ ま す 。

■ 文 化 発 信 の 場 の 整 備

旧 華 頂 宮 邸 の 整 備 活 用 を 行 う と と も に 、 美 術 館 や

文 化 財 資 料 館 、 博 物 館 等 の 整 備 に つ い て 野 村 総 合

研 究 所 跡 地 の 利 用 も 斟 酌 し な が ら 、 ま ち 全 体 が ミ

ュ ー ジ ア ム 空 間 に な る よ う に 配 置 し て い く こ と が

必 要 で す 。 ま た 、 各 施 設 の コ ン セ プ ト や テ ー マ を

明 確 に し 、 最 新 の 情 報 通 信 技 術 な ど の 利 用 も 検 討

し 、 そ の 文 化 施 設 の 存 在 価 値 を ア ピ ー ル で き る 運

営 を 行 っ て い く こ と に 努 め ま す 。

■ 文 化 情 報 の 発 信

鎌 倉 に あ る 文 化 資 源 を マ ス コ ミ 、 情 報 誌 、 イ ン タ

ー ネ ッ ト 、 ケ ー ブ ル テ レ ビ 、 鎌 倉 F M な ど の 情 報

網 を 使 い 、 広 く ア ピ ー ル し て い く こ と が 求 め ら れ

ま す 。 ま た 、 文 化 施 設 間 の ネ ッ ト ワ ー ク を 行 う な

か で 役 割 分 担 を 行 い 、 よ り 専 門 性 の 高 い 資 料 や 情

報 を 収 集 し 発 信 す る こ と も 求 め ら れ て お り 、 利 用

者 に 対 し 的 確 な 情 報 が 提 供 で き る 体 制 づ く り に 努

め ま す 。

【 生 活 文 化 に つ い て 】

■ 鎌 倉 ら し さ を 大 切 に し た ま ち づ く り

鎌倉のまちの特性、例えば若宮大路や七切通などの鎌倉時代に形成された都市

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の骨格や、鎌倉石を積み上げた石垣や生け垣を回らせた風情のある住宅地など、鎌倉らしい都市の記憶を大切にしたまちづくりに努めます。

■ 良 好 な 都 市 景 観 形 成

三 方 を 山 に 囲 ま れ た 自 然 環 境 、 谷 戸 か ら 流 れ る 川

に よ り 創 り 出 さ れ る 水 辺 空 間 、 南 側 に 開 け る 明 る

い 海 な ど 、 そ れ ぞ れ が 持 つ 特 性 を 生 か し 、 ヒ ュ ー

マ ン ス ケ ー ル の 調 和 の と れ た 都 市 景 観 を つ く り だ

す た め に 自 然 景 観 の 保 全 ・ 再 生 ・ 創 出 に 努 め ま す 。

■ 市 民 と 行 政 が 協 力 し て 行 う 文 化 の 発 信

文化は芸術活動や日々の生活の中で、市民どうしのさまざまな活動により創造され発信されていきます。文化形成の主役となるのは市民一人ひとりであり、それを側面から支えていくのが行政の役割となります。それぞれがその役割を果たしお互いに協力をして新しい文化を創造し、発信していく体制づくりに努めます。

■ 世 界 遺 産 登 録 に 向 け て

鎌 倉 に は 中 世 か ら の 都 市 の 骨 格 と し て 海 か ら 鶴 岡

八 幡 宮 に 達 す る 若 宮 大 路 や 周 囲 の 山 際 に 造 営 さ れ

た 寺 院 が 現 存 し て い ま す 。 ま た 、 周 囲 の 丘 陵 に は

外 部 に 通 じ る 険 し い 道 で あ る 切 通 し や 切 岸 、 平 場 、

堀 切 、 や ぐ ら な ど も 現 存 し て お り 中 世 武 家 政 治 を

偲 ぶ こ と が で き ま す 。 こ れ ら の か け が え の な い 文

化 遺 産 に つ い て 、 保 護 さ れ る べ き 人 類 共 通 の 遺 産

と し て 世 界 に 発 信 し て い く た め 「 世 界 遺 産 」 登 録

に 向 け た 取 り 組 み を 進 め 、 そ の 実 現 に 努 め ま す 。

52

日本の登録世界遺産 ([ ]は登録年)■ 文化遺産 ・法隆寺地域の仏教建造物[1993年] ・姫路城[1993年] ・古都京都の文化財[1994年] ・白川郷・五箇山の合掌造り集落[1995年] ・原爆ドーム[1996年] ・厳島神社[1996年] ・古都奈良の文化財[1998年] ・日光の社寺[1999年] ・琉球王国のグスク及び関連遺産群[2000年] ・紀伊山地の霊場と参詣道[2004年] ・石見銀山遺跡とその文化的景観[2007年] ・平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園

及び考古学的遺跡群―[2011年] ・富士山―信仰の対象と芸術の源泉[2013年] ・富岡製糸場と絹産業遺産群[2014年]■ 自然遺産 ・白神山地[1993年] ・屋久島[1993年] ・知床[2005年] ・小笠原諸島[2011年]

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「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)は、1972 年第17回ユネスコ総会で採択された条約で、日本は1992 年に第125番目の締結国として仲間入りした。現在、登録をめざす文化庁の暫定リストには次の11件がある。・武家の古都・鎌倉・彦根城・長崎の教会群とキリスト教関連遺産・飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群・国立西洋美術館本館・北海道・北東北を中心とした縄文

遺跡群・明治日本の産業革命遺産 九州・

山口と関連地域・宗像・沖ノ島と関連遺産群・百舌鳥・古市古墳群・金を中心とする佐渡鉱山の遺産群・平泉―仏国土(浄土)を表す建

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「 文 化 の 検 証 と 研 究 」 「 文 化 の 継 承 」 「 文 化 の

支 援 」 「 文 化 の 交 流 」 「 文 化 の 発 信 」 は 、 そ れ ぞ

れ に 関 連 を も っ て 作 用 し 合 い な が ら 、 新 た な 文 化

が 生 ま れ 育 っ て い き ま す 。

こ れ ら 私 た ち の 日 々 の 活 動 の 積 み 重 ね に よ り 鎌

倉 の 文 化 が 継 承 さ れ 、 新 た な 文 化 が 創 造 さ れ る と

と も に 発 信 を し て い く こ と に な り ま す 。

次 章 ( 第 6 章 ) で は 、 文 化 の 担 い 手 の 協 力 と 連

54

文化の検証と研文化の継 文化の交文化の発文化の支 新たな文化

[文化の創造]

最初に継承すべきものを見極める

文化が創り出されるメカニズムの研究。創造のための第一歩としての検証の位置づけと評価

研究成果の交流により視野を拡大

検証結果の発信による市民意識の向上

効果的な文化の支援方策の検証と研究

継承すべきものを明確にし広く発信していく

文化継承を支える仕組みの構築

異分野や都市間の交流が支える仕組みの可能性

世 代 間交 流 によ る 自然 な 文化継承

交流 情 報 の積極的 な 発信

支援の送り手と受け手と を円滑に つなぐ情 報発 信 が 重

継承さ れ てい る良き もの を 創 造 のヒン ト に読み替える

交流が作り出す新たな文化の視点、交流 そ の も の が文化

強力な支援が文化を創りだすという発想

発信なくして創造なし。衆知され、認識されてこそ文化の意味がでてくる

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携 に つ い て 考 察 を 行 い ま す 。

55

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第 6 章   プ ラ ン 実 現 に 向 け て

鎌 倉 の 歴 史 の な か で 形 成 さ れ た 文 化 を 継 承 し 、 2 1

世 紀 初 頭 の 新 た な 地 域 文 化 を 創 造 ・ 発 信 し て い く に

は 、 社 会 を 構 成 す る 要 素 で あ る 市 民 、 N P O を は じ

め と す る 市 民 活 動 団 体 、 各 種 経 済 団 体 、 企 業 、 行 政

な ど が そ れ ぞ れ の 責 任 で 役 割 を 果 た し な が ら 連 携 を

保 ち 、 継 続 的 に 取 り 組 む 協 働 型 を 推 進 す る 必 要 が あ

り ま す 。

そ れ ぞ れ の 持 つ 力 を 最 大 限 に 発 揮 し 、 社 会 全 体 で 文

化 を 育 て 継 承 し 、 発 信 し て い く こ と が 求 め ら れ て い

ま す 。

(1) 市 民 に つ い て

21世紀は市民一人ひとりが、自由で自発的な活動を行い社会に参画して、個人を基盤とした新たな文化を創り出していく世紀であると考えられ、市民一人ひとりは文化の創り手であると同時に、文化を楽しみ育て発信していく主体であると考えられます。

鎌倉では、市民の参画を得てまちづくりを進めることを基本としており、市民参画によるまちづくりの環境が育ってきています。

鎌倉の文化を育て、次代の人々に伝えるには、鎌倉に住んだ先達もそうであったように、山や海や歴史や景観などの鎌倉に関する多くの情報に接し共有することが基本となります。そして、歴史と自然に恵まれたかけがえのないこのまちを愛し、鎌倉というまちや隣人とどのように調和して暮らしたらよいのかを考え行動することが求められます。

鎌倉の良き文化の再認識、例えば谷戸における自然と調和した暮らし方、海か

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1 文化の形成

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ら得られるさまざまな恩恵などを考え直すことも必要です。また、鎌倉芸術館、鎌倉国宝館、鎌倉文学館、鏑木清方記念美術館、川喜多映画記念館などの文化施設に出向き、ワークショップなどイベントへの参加、あるいは舞台芸術や音楽、展示などの鑑賞を通じて、より深く鎌倉を知り楽しむことで感性を磨くことも大切なことと考えられます。

このように文化に参加し文化を楽しむことにより、多様な価値観や高い感性が生まれ育ち、 個人を基盤とした成熟した社会が生まれます。そして、このことが文化を育て、新しい文化を創造する原動力となります。

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(2) NPOをはじめとする市民活動団体について

平成 10 年(1998 年)に特定非営利活動促進法が制定され、今後ますますNPOをはじめとする市民活動団体は、さまざまな分野でしなやかな市民の力を結集し、先見性を発揮しながら地域を支えていく団体に成長していくものと考えられます。

活動の範囲が広がると同時に地域をリードする団体として責任ある行動と実践が求められることは言うまでもないことで、そのことが鎌倉の文化性を高めることにもつながります。

例えば、NPO等が地域文化の発展のため人材を発掘・育成しながらさまざまな研究会、シンポジウム、ワークショップ等を開催するとともに、将来的には利用者の感覚にたった文化施設運営を行い、事業の企画立案、交渉、事後調査などをするアートマネージャーとして腕を振うことも期待できます。また、国内外の都市や市民との交流により、その国、その地域に根ざした生活や文化を生活者の立場から学ぶことも可能となります。

今後このような活動を広範に行っていくには、NPOをはじめとする市民活動団体どうしの協動、並びに体制の整備と強化、経済団体・企業との協働、並びに体制の充実が望まれるとともに、行政との連携が十分に果たされていく仕組みづくりが必要となります。

(3) 企 業 等 に つ い て

鎌倉を活動拠点とする企業や各種経済団体は、地域文化や地域活性化のために各種イベントの開催や地域行事へのいろいろな援助を行い、以前からさまざまな形で社会に貢献してきました。

また、企業も一市民として心豊かな地域社会への実現に向けて貢献し、社会的責任を自覚した企業市民でなければならないという考えから、社会貢献の必要性や重要性が高まり、企業メセナといわれる直接的な見返りを求めない文化・芸術振興のための支援活動が定着してきました。企業と地域文化の理想的な関係を構築するのが企業メセナの役割であるといえます。企業等が地域文化に貢献して文化を守り育てることは、地域の活性化につなが

り、活発化された地域から企業や商工業活動、あるいは漁業等の活動をささえる人材の輩出も期待できます。

芸術文化の領域に限らず生活文化の領域にも、これらの企業等がその本来の経済活動を通じて貢献する余地が多くあります。また、市民との協働を通じて、資金援助をはじめ人材や企業のホール、ギャラリーなどの施設活用面での支援、さらには文化事業の実施など多面的な支援が期待できます。

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この他にもさまざまな協力関係の展開が期待でき、景観をはじめとする、まちのたたずまいや地域文化の創造と発信に彩りが添えられるものと考えられます。

市 民 文 化 を 育 て 継 承 し 、 次 代 に 発 信 し て い く 主 役

は 市 民 一 人 ひ と り で あ る こ と は い う ま で も あ り ま せ

ん が 、 行 政 に は さ ま ざ ま な 面 か ら 文 化 を 支 援 し て い

く と い う 大 き な 役 割 が あ り ま す 。

た だ し 、 文 化 は 採 算 ベ ー ス で は 考 え に く い 活 動 で

あ り 、 特 に 今 日 の 経 済 情 勢 や 財 政 状 況 の 下 で は 継 続

し て 支 援 を 行 う こ と が 難 し い 現 実 に も 直 面 し て い ま

す 。 し か し 、 そ う し た 状 況 の 下 で あ る が 故 に 、 行 政

の な か で も 知 恵 を 絞 り 工 夫 を し て 支 援 が 続 け ら れ る

よ う な 体 制 づ く り を 行 う 必 要 が あ り ま す 。 さ ら に 行

政 の 各 セ ク シ ョ ン に お い て は 今 後 と も 文 化 の 視 点 を

持 ち 、 予 算 の 編 成 や 事 業 運 営 を 行 う こ と が 求 め ら れ

ま す 。

ま た 、 文 化 は 生 活 の あ ら ゆ る 場 面 に 関 係 す る た め

、 従 来 の 行 政 シ ス テ ム の 枠 内 だ け で は 十 分 な 対 応 を

し て い く こ と が で き な い こ と も あ り ま す 。

多 岐 に わ た る 文 化 に 関 す る 課 題 を 解 決 す る た め に

は 、 政 策 課 題 ご と に 市 民 を は じ め 研 究 者 や 実 務 者 な

ど の 専 門 家 を 加 え た 横 断 的 な プ ロ ジ ェ ク ト を 組 織 し

て 文 化 に 関 す る 政 策 を 推 進 す る こ と も 必 要 に な り ま

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2 行政の役割

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す 。

今 後 の 文 化 所 管 セ ク シ ョ ン は 、 さ ま ざ ま な ネ ッ ト

ワ ー ク を 利 用 し な が ら 市 民 の 文 化 ニ ー ズ を 把 握 し 文

化 に 関 す る 情 報 を 提 供 す る と と も に 、 生 活 上 の 各 分

野 に お い て 専 門 的 知 識 や 先 見 性 を 有 し て い る と 思 わ

れ る 市 民 、 N P O を は じ め と す る 市 民 活 動 団 体 、 企

業 等 と 協 力 し な が ら 地 域 を 活 性 化 す る 政 策 を 推 進 し

て い く こ と が 必 要 で す 。

こ の こ と を 実 現 す る た め に は 、 文 化 に つ い て の 支

援 や 課 題 に 向 け た 庁 内 外 の 諸 調 整 を は じ め 、 市 民 感

覚 を 生 か し た 文 化 事 業 の 育 成 ( イ ン キ ュ ベ ー ト ) な

ど を 行 う 横 断 的 な 企 画 調 整 機 関 と し て 文 化 所 管 セ ク

シ ョ ン を 位 置 づ け 、 鎌 倉 の 文 化 に 対 応 す る 総 合 的 な

政 策 を 展 開 で き る よ う な 柔 軟 な 組 織 に し て い く こ と

が 求 め ら れ ま す 。

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文化に関する課題や政策は、芸術や文化財などの特定な分野に限定されるものではなく生活全般に及ぶことはいうまでもありません。そうした時代状況のなかで文化的な課題に取り組むには、鎌倉の文化を継承し、新たな文化を創造・発信していく主体は市民一人ひとりにあるという認識に立つ必要があります。

その市民一人ひとりとが連携し、さまざまな分野で生きた活動を行うのが21世紀の「市民社会」といえます。

地域社会を運営するのは、多様な市民の自主的な取り組みとそれを支える制度、そしてそうした活動と連携しながら政策を進めていく市民と行政のパートナーシップにあるといえます。

鎌倉には中世からの歴史性と明治期以降の近代性や訪れる人たちの現代性との混在があります。また、近年の速いスピードで変化する社会のもたらす現象と鎌倉の持つ特性をいかに調和させるか、さらには自然の豊かさや歴史、風土など地域の特性や文化を生かした「まち」を創るためには、いま何が必要なのか、文化の持つ役割が大きくなる時代に改めて取り組み姿勢が問われます。

このような課題を文化の面から解決するためには、市民、NPOをはじめとする市民活動団体、各種経済団体、企業、行政など、文化に関わる全ての人々が、それぞれの分野における活動や生活のなかで、その置かれた立場や役割を認識し、お互いに連携しながら、文化を育て継承し、創造・発信していくことが求められます。

この市民を中核とするパワーこそが21世紀の私たちの「まち」を創るための原動力となるわけです。 このことは、「第3章 鎌倉の文化について」並びに「第4章 鎌倉の文化の特徴と課題」に記述している鎌倉の歴史からも学ぶことができます。

すなわち、市民などの力や個々の自発的な活動により、現在の鎌倉の文化が形成されており、またその歴史は、このような市民の活動を通じて現在に生き、未来の歴史や文化が形成されていくものといえます。

さらに、こうした鎌倉の文化形成の状況について、関係自治体等との間で活発な交流や情報の交換を行うことにより、相互の連携、協力関係の発展に寄与するものと考えられます。

この「鎌倉市文化推進プラン21」が、それぞれの課題について、21世紀初頭における鎌倉の文化に対する視点や方向性を共に考え、実現に向けて連携しながら行動していくための「指針」となることを望みます。

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3 実現に向けた連

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関 連 す る 行 政 施 策 ( 第 3 次 鎌 倉 市 総 合 計 画 ・ 後 期 実

施 計 画 )

■ 鎌 倉 の 文 化 形 成 に 係 る 現 在 の 行 政 計 画 に は 、 以 下 の よ う な 事 業 計

画 が あ り ま す 。

・ 川 喜 多 映 画 記 念 館 の 運 営 ( 文 化 人 権 推 進 課 )   [ 川 喜 多 映 画 記 念 館 の 運 営 と 旧 和 辻 邸 の 整 備 、 活 用 ]・ ( 仮 称 ) 鎌 倉 美 術 館 の 整 備 ( 文 化 人 権 推 進 課 ) [ 美 術 館 の 市 内 適 地 の 情 報 収 集 と 、 市 が 保 有 す る 美 術品 の 適 正 な 保 管 ]・ 平 和 推 進 事 業 の 推 進 ( 文 化 人 権 推 進 課 ) [ 憲 法 記 念 講 演 会 、 平 和 の つ ど い 、 市 民 平 和 文 化 展 等 の 開催 ]・ 国 際 交 流 の 推 進 ( 文 化 人 権 推 進 課 ) [ 国 際 交 流 フ ェ ス テ ィ バ ル 等 の 実 施 ]・ 都 市 交 流 の 推 進 ( 秘 書 広 報 課 ) [ 都 市 間 交 流 事 業 の 実 施 ]・ 史 跡 の 公 有 地 化 ( 文 化 財 課 ) [ 永 福 寺 跡 、 鶴 岡 八 幡 宮 境 内 、 北 条 氏 常 盤 亭 跡 、 化粧 坂 、 名 越 切 通 の 史 跡 保 存 の た め の 公 有 地 化 の 推進 ]・ 歴 史 的 風 土 特 別 保 存 地 区 の 指 定 ( み ど り 課 )    [ 歴 史 的 風 土 保 存 区 域 の う ち 、 枢 要 な 樹 林 地 部 分の 歴 史 的 風 土 特 別 保 存 地 区 の 指 定 ]・ 国 指 定 史 跡 へ の 指 定 及 び 指 定 の 検 討 ( 文 化 財 課 ) [ 西 瓜 ケ 谷 や ぐ ら 群 に つ い て の 調 査 と 指 定 に 向 け た準 備 ]・ 国 指 定 史 跡 永 福 寺 跡 の 環 境 整 備 ( 文 化 財 課 ) [ 世 界 遺 産 登 録 の 候 補 遺 産 と な る 予 定 の 国 指 定 史 跡 永福 寺 跡 の 整 備 、 活 用 ]・ 史 跡 の 環 境 整 備 ( 文 化 財 課 )    [ 国 等 指 定 史 跡 に つ い て 、 保 存 ・ 活 用 に 資 す る 必 要 な 環 境 整 備・ 文 化 財 の 保 存 修 理 ( 国 ・ 県 指 定 文 化 財 ) ( 文 化 財 課 )    [ 国 ・ 県 指 定 の 文 化 財 の 保 存 修 理 支 援 と そ の 活 用 を め ざ す・ 文 化 財 の 保 存 修 理 ( 市 指 定 文 化 財 ) ( 文 化 財 課 )    [ 市 指 定 の 文 化 財 の 保 存 修 理 支 援 と そ の 活 用 を め ざ す ]・ 博 物 館 の 整 備 ( 文 化 財 課 ) [ 埋 蔵 文 化 財 の 発 掘 調 査 ・ 研 究 体 制 の 強 化 と 埋 蔵 文 化 財 セ ンタ ー の 整 備 ]・ 鎌 倉 国 宝 館 の 管 理 運 営 ( 鎌 倉 国 宝 館 ) [ 本 館 空 調 設 備 の 更 新 ]・ 世 界 遺 産 登 録 の 推 進 ( 歴 史 ま ち づ く り 推 進 担 当 )    [ 世 界 遺 産 登 録 に 向 け た 取 り 組 み ]・ 鎌 倉 歴 史 文 化 交 流 セ ン タ ー の 設 置 ( 歴 史 ま ち づ く り 推 進 担 当 )

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    [ 鎌 倉 の 歴 史 的 遺 産 、 文 化 的 遺 産 を 学 び 、 体 験 ・ 交 流 で き 情 報 発 信 をす る 場 と し て の 施 設 の 設 置 ]・ 特 別 緑 地 保 全 地 区 等 の 指 定 の 推 進 ( み ど り 課 )    [ 緑 の 基 本 計 画 に 沿 っ た 特 別 緑 地 保 全 地 区 等 の 指 定 の 取 り 組 み と 緑 のネ ッ ト ワ ー ク 形 成 の 推 進 ]・ 緑 地 確 保 施 策 の 推 進 ( み ど り 課 )    [ 保 全 す べ き 緑 地 の 確 保 と 確 保 し た 緑 地 の 整 備 ・ 充 実 ] ・ 緑 地 保 全 基 金 の 積 立 て ( み ど り 課 )    [ 緑 地 保 全 施 策 を 推 進 す る 財 源 確 保 の た め の 緑 地 保 全 基 金 原 資 の 積 立て ]・ ( 仮 称 ) 山 崎 ・ 台 峯 緑 地 の 整 備 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 鎌 倉 中 央 公 園 拡 大 区 域 ( 台 峯 ) の 用 地 取 得 等 を 進 め る ]・ 鎌 倉 海 浜 公 園 整 備 計 画 の 検 討 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 鎌 倉 海 浜 公 園 の 整 備 に 向 け た 検 討 ]・ 街 区 公 園 の 整 備 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 市 民 に 身 近 な 街 区 公 園 の 整 備 を 進 め る ]・ 鎌 倉 広 町 緑 地 の 整 備 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 用 地 取 得 と 施 設 整 備 ]・ 都 市 計 画 公 園 等 の 整 備 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 都 市 計 画 決 定 さ れ た 公 園 区 域 内 の 用 地 の 取 得 を 促 進 す る・ ( 仮 称 ) 山 ノ 内 東 瓜 ヶ 谷 緑 地 の 整 備 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 用 地 の 取 得 と 整 備 ]・ ( 仮 称 ) 山 ノ 内 宮 下 小 路 2 号 緑 地 の 整 備 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 用 地 の 取 得 と 整 備 ]・ ( 仮 称 ) 扇 湖 山 荘 の 整 備 ・ 活 用 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 施 設 の 整 備 と 活 用 ]・ 都 市 計 画 公 園 の 運 営 ( 公 園 海 浜 課 )    [ 施 設 の 維 持 管 理 ]・ 安 全 ・ 快 適 な 海 辺 づ く り ( 経 営 企 画 課 )    [ 安 全 で 快 適 な 海 辺 づ く り の た め 、 関 係 団 体 の ネ ッ ト ワ ー ク 化 ・ 拠 点の 設 置 に 向 け 、 検 討 を 進 め る ]・ 景 観 計 画 の 運 用 ( 都 市 景 観 課 )    [ 景 観 計 画 の 運 用 ・ 充 実 を 図 る ]・ 旧 華 頂 宮 邸 の 保 存 と 活 用 の 検 討 ( 都 市 景 観 課 ) [ 旧 華 頂 宮 邸 の 保 全 と 活 用 ]・ 学 校 施 設 の 開 放 ( 学 校 施 設 課 )    [ 開 放 可 能 教 室 の 活 用 ]・ 図 書 館 利 用 サ ー ビ ス の 充 実 ( 中 央 図 書 館 )    [ 市 民 と の 協 働 に よ る 近 代 史 の 収 集 と 調 査 の 実 施 と 利 用 者 サ ー ビ ス の充 実 ]・ ブ ッ ク ス タ ー ト 事 業 の 推 進 ( 中 央 図 書 館 )    [ 6 ヶ 月 児 童 向 け に 絵 本 の 配 布 ・ 読 み 聞 か せ の 実 施 ]・ 観 光 案 内 施 設 の 整 備 ・ 充 実 ( 観 光 商 工 課 )    [ 観 光 案 内 版 、 名 所 掲 示 板 の 整 備 ]・ 観 光 情 報 の 提 供 充 実 ( 観 光 商 工 課 )    [ 各 種 パ ン フ レ ッ ト の 発 行 、 ホ ー ム ペ ー ジ の 保守 、 外 国 語 ガ イ ド 支 援 ]・ 観 光 プ ロ モ ー シ ョ ン の 推 進 ( 観 光 振 興 担 当 )    [ 鎌 倉 の 観 光 魅 力 を 発 信 し 、 国 内 外 か ら の 訪 問 者 の 誘 致 を 促 進 す る

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鎌 倉 市 文 化 マ ス タ ー プ ラ ン 策 定 委 員 会 設 置 要 綱 ( 平

成 15 ( 2003 ) 年 1 月 策 定 版 )

( 目 的 ・ 設 置 )第 1 条 本 市 の 文 化 行 政 を 総 合 的 に 推 進 し て い く うえ で の 基 本 指 針 と な る 文 化 マ ス タ ー プ ラ ン の 策 定 に関 す る 事 項 を 検 討 す る た め 、 鎌 倉 市 文 化 マ ス タ ー プラ ン 策 定 委 員 会 ( 以 下 「 委 員 会 」 と い う 。 ) を 設 置す る 。 ( 所 掌 事 務 )第 2 条 委 員 会 は 、 次 に 掲 げ る 事 項 に つ い て 協 議 ・検 討 す る 。 ( 1 ) 文 化 マ ス タ ー プ ラ ン の 策 定 に 関 す る 事 項 ( 2 ) そ の 他 必 要 と 認 め る 事 項 ( 組 織 )第 3 条 委 員 会 は 、 市 長 が 委 嘱 す る 委 員 1 0 人 以 内を も っ て 構 成 す る 。2 委 員 会 に 委 員 長 及 び 副 委 員 長 各 1 人 を 置 き 、 委員 の 互 選 に よ り こ れ を 定 め る 。3 委 員 長 は 、 委 員 会 を 代 表 し 、 会 務 を 総 理 す る 。4 副 委 員 長 は 、 委 員 長 を 補 佐 し 、 委 員 長 に 事 故 あ

る と き は 又 は 委 員 長 が 欠 け た と き は 、 そ の 職 務 を 代理 す る 。

( 任 期 )第 4 条 委 員 の 任 期 は 、 当 該 所 掌 事 務 が 終 了 す る ま

で と す る 。 ( 部 会 )第 5 条 委 員 長 は 、 必 要 に 応 じ て 委 員 会 に 部 会 を 置

き 、 そ の 所 掌 事 務 を 分 掌 さ せ る こ と が で き る 。 ( 会 議 )第 6 章 委 員 会 の 会 議 は 、 委 員 長 が 招 集 し 、 そ の 議

長 と な る 。2 委 員 会 の 会 議 は 、 委 員 の 過 半 数 が 出 席 し な け れば 開 く こ と が で き な い 。

( 意 見 の 聴 取 )第 7 条 委 員 会 は 、 必 要 に 応 じ て 関 係 者 の 出 席 を 求

め 、 そ の 意 見 を 聴 く こ と が で き る 。 ( 庶 務 )第 8 条 委 員 会 の 庶 務 は 、 こ の 委 員 会 の 所 掌 事 務 を所 管 す る 課 に お い て 処 理 す る 。

( そ の 他 の 事 項 )第 9 条 こ の 要 綱 に 定 め る も の の ほ か 、 委 員 会 の 運営 に つ い て 必 要 な 事 項 は 、 委 員 長 が 委 員 会 に 諮 っ て定 め る 。

付 則 こ の 要 綱 は 、 平 成 1 1 年 6 月 2 4 日 か ら 施 行 す る 。 付 則 ( 第 1 条 、 第 2 条 改 正 )

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こ の 要 綱 は 、 平 成 1 1 年 1 2 月 2 8 日 か ら 施 行 す る 。

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◎委 員 長○副 委 員 長□ 起 草 委 員 会

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委 員

鎌 倉 市 文 化 推 進 プ ラ ン 2 1 改 訂 ア ド バ イ ザ ー 要 綱

(趣旨)第 1条 この要綱は、本市の文化行政の指針となる鎌倉市文化推進プラン21(以下「プ

ラン」という。)を改訂するに当たり、本市の文化施策の方向性について助言を受け、本市の文化行政を推進するため、鎌倉市文化推進プラン21改訂アドバイザー(以下「文化推進アドバイザー」という。)の依頼等に関し、必要な事項を定めるものとする。

(所掌事務)第 2条 文化推進アドバイザーは、次に掲げる事務を所掌する。

1 プラン改訂に関する総合的な助言について2 鎌倉の文化的特徴等の視点からの助言について3 Eモニター、市民意見公募等による市民意見の集約についての技術的な助言について

(依頼)第 3条 文化推進アドバイザーは、学識経験を有する者又は鎌倉の文化等、鎌倉に関する該博な知識を有する者のうちから 2名以内で市長が依頼する。

(依頼期間)第4条 文化推進アドバイザーの依頼期間は、2年間とする。

(報償)第5条 文化推進アドバイザーの報償額は、1人あたり年間、17,000円とする。

(庶務)第6条 文化推進アドバイザーに関する庶務は、経営企画部文化推進課において、処理す

る。

(その他)第7条 この要綱に定めるほか、文化推進アドバイザーについて必要な事項は、別に定め

る。

附 則この要綱は、平成 23 年5月 12 日から施行する。

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鎌倉市文化推進プラン21改訂アドバイザー

氏名 区分

学識経験を有する者

鎌倉に関する該博な知識を有する者

志村 直愛

田中 孝司

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