大阪大学 薬友会だより 21 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第21号 1...

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大阪大学 薬友会だより 211 今年の薬友会だよりには、特別な内容が含まれ ております。是非ご一読をお願いいたします。 土井健史新研究科長からご紹介がありますが大 阪大学薬学部は、来年度(2019 年度)より旧7 帝大を含め、日本の薬学部として初めて全学 6 制に移行いたします。 私は、外資系の製薬会社に在籍しまた、非常に 多くの欧米の新旧製薬会社との交流があったので 経験しておりますが、海外での薬剤師の地位は非 常に高く、医薬品の開発や扱いに関して、特に品 質面での薬剤師のリーダーシップが確立しており ます。そういう立場にこれからの薬剤師は立つこ とになります。大学発の新規合成医薬品、遺伝子 組み換え医薬品、核酸医薬品等の開発などにおい て薬学研究科は、製造、品質保証、代謝などの分 野において優れており、医学部にも歓迎していた だいており、いずれ共創、協働による創薬の効果 が表れてくるものと確信しております。 薬友会としましては、会員の皆様の全面的なご 支持をいただいて、この新制度の一刻も早い定着 を図りたく存じます。必ず患者さんのためになり ます。 そのためには、施設面での強化も必須で、薬友 会の会員の皆様の強力なご支援をお願いいたしま す。具体的には、新施設の建設には国からの支援 があるものの、全阪大としての支援体制が作れる か否かも成否の一つの鍵であります。 このような状況を踏まえ、組織面では、薬学研 究科からの薬友会役員の増強を行いました。これ により、薬学部・薬学研究科と医・歯学部や外部 医療・医薬関係機関との連携がより図りやすくな るものと期待しております。 このような新事態に鑑み、薬友会員の皆様のさ らなるご支援をよろしくお願いいたします。 以 上 薬友会会長 萬 年  成 泰  大阪大学 薬友会だより 大阪大学 薬友会だより 21 2018.9.3 発行 大阪大学薬友会〔565-0871 大阪府吹田市山田丘 1-6 大阪大学薬学部内〕 TEL: 06-6879-8246 E-mail: [email protected] 薬友会会長ご挨拶

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大阪大学 薬友会だより 第21号 1

今年の薬友会だよりには、特別な内容が含まれております。是非ご一読をお願いいたします。

土井健史新研究科長からご紹介がありますが大阪大学薬学部は、来年度(2019年度)より旧7帝大を含め、日本の薬学部として初めて全学 6年制に移行いたします。

私は、外資系の製薬会社に在籍しまた、非常に多くの欧米の新旧製薬会社との交流があったので経験しておりますが、海外での薬剤師の地位は非常に高く、医薬品の開発や扱いに関して、特に品質面での薬剤師のリーダーシップが確立しております。そういう立場にこれからの薬剤師は立つことになります。大学発の新規合成医薬品、遺伝子組み換え医薬品、核酸医薬品等の開発などにおいて薬学研究科は、製造、品質保証、代謝などの分野において優れており、医学部にも歓迎していただいており、いずれ共創、協働による創薬の効果が表れてくるものと確信しております。

薬友会としましては、会員の皆様の全面的なご支持をいただいて、この新制度の一刻も早い定着を図りたく存じます。必ず患者さんのためになります。

そのためには、施設面での強化も必須で、薬友会の会員の皆様の強力なご支援をお願いいたします。具体的には、新施設の建設には国からの支援があるものの、全阪大としての支援体制が作れるか否かも成否の一つの鍵であります。

このような状況を踏まえ、組織面では、薬学研究科からの薬友会役員の増強を行いました。これにより、薬学部・薬学研究科と医・歯学部や外部医療・医薬関係機関との連携がより図りやすくなるものと期待しております。

このような新事態に鑑み、薬友会員の皆様のさらなるご支援をよろしくお願いいたします。

以 上

薬友会会長

萬 年  成 泰  9期

大阪大学

薬友会だより大阪大学

薬友会だより 第21号

2018.9.3 発行

大阪大学薬友会〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 1-6 大阪大学薬学部内〕TEL: 06-6879-8246 E-mail: [email protected]

薬友会会長ご挨拶

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大阪大学薬友会の会員の皆様におかれましては、ますますお元気でご活躍のこととお慶び申し上げます。本年 4月から堤教授の後を受けて薬学研究科長・薬学部長を拝命し、同時に役職指定で薬友会幹事長を仰せつかりました土井でございます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。現在、大阪大学では平成 29年度入試のミスに対する対応、指定国立大学への申請、卓越大学院構想、運営費交付金の削減、ダイバーシティの推進等、多くの課題を抱えていますが、薬学部においてもこれらの問題に加え、4年制薬科学科の学生に対する薬剤師受験資格を認める経過措置がなくなることから、これにどう対応するかということに直面いたしました。前の堤執行部が若手教員などからの意見を集約するなど多くの教員の意見を聞き、時間をかけ慎重に議論を重ねた結果、研究力を落とさない 6年制の仕組みを構築できるのであれば、4年制学科を廃止し全て 6年制で前に進むことが教授会で認められました(新全 6年制)。現在、まとまった研究期間を確保する 3つのコースを含んだ案を設定し、この案について関係省庁、学会、大学、病院等への説明を経て、文部科学省に申請できるまでに至っていますが、これからは、この構想を実現させるためのプログラム、実習などソフト面を作り上げること、また、講義、実習を行う場所の確保(これまでの 25名から 80名に増員されることへの対応)といったハード面での準備が必要になります。これまで、諸先輩、企業様から、すでにいろいろな面で多大なご支援をいただいておりますが、どうかこの新全 6

年制を成功させるために、さらにご支援ご鞭撻賜りますようお願い申し上げる次第です。新全 6年制以外の最近の薬学研究科の動きとしましては、PharmaTrainという教育プログラムを平成 29年度からスタートしたことが挙げられます。このプログラムは、国際標準化されたカリキュラムで、医薬品の開発について、開発計画から臨床試験のデザイン、規制と審査などの包括的な内容を提供しています。産官

学からの先生方の講義とワークショップを開講し、医薬品開発のグローバル人材育成を行っています。学生の他、製薬企業の方が多く受講されていますが、薬剤師の方々も受講いただければと思っています。また、創薬研究支援については、辻川和丈先生、春田純一先生を中心に AMED(日本医療研究開発機構)から支援を受けています化合物ライブラリー・スクリーニングセンターの整備、創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業による構造展開、ADMET評価などを加えた高度化体制の構築、さらに中川晋作先生を中心に、実験動物を用いた安全性試験をおこなう仕組みが整うことになり、薬学研究科内でシーズ探索から臨床試験直前までを実施できるようになってきました。低分子創薬については、東京大学と大阪大学が日本の両拠点となり、アカデミア創薬を展開できるに至っています。人の大きな動きとしては、分子合成化学分野(合成)の藤岡弘道教授、および生体機能分子化学分野(工学)の八木清仁教授のお二人が、平成 30年 3月で定年を迎えられ退職されました。分野主任からは退かれましたが、藤岡先生は産業科学研究所の特任教授、八木先生は薬学研究科の特任教授として引き続き大阪大学でご活躍いただいています。また、厚生労働省より近藤昌夫先生、廣部祥子先生が大学に戻ってこられ、代わりに渡利彰浩先生、松浦秀幸先生が厚生労働省に出向されご活躍いただいています。以上、大まかな動きをご紹介させていただきましたが、今年度からの薬学研究科の新しい執行部は、土井と評議員の辻川和丈教授、副研究科長で学務会議長の平田收正教授、創成薬学専攻長で研究推進会議長の水口裕之教授、および医療薬学専攻長で評価委員会委員長の橋本均教授で担当させていただきます。多くの問題を抱えた薬学研究科・薬学部ですが、新全 6年制の成功と研究力向上のために全力を尽くしていきたいと考えております。どうか今後とも引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

薬学研究科長・薬学部長薬友会幹事長

土 井  健 史 27期

研究科長ご挨拶

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大阪大学 薬友会だより 第21号  3

薬学部は、それまでの薬剤師国家試験受験資格が得られる 1学科 4年制の教育制度から、2006

(平成 18)年度に 2学科制度(6年制教育により薬剤師国家試験受験資格を得られる薬学科と 4

年制教育の薬科学科)に変更となりました。大阪大学薬学部では、6年制の薬学科は薬剤師および薬学臨床研究者を、4年制の薬科学科は創薬研究力を養うことにより薬学基礎研究者をそれぞれ養成することを目指してきました。一方、この薬学部の制度変更に伴い大学院改革も進行し、4年制の薬科学科の上に創成薬学専攻博士前期課程(修士課程:2年)・後期課程(3年)の4 + 2 + 3の 9年コースと、6年制の薬学科の上に医療薬学専攻博士課程(4年)の 6 + 4の 10年コースが設置されました。そして 2018(平成 30)年度には 2学科制度への変更に伴い認められていた移行措置期間が終了し、薬科学科への入学生は薬剤師国家試験を受験できる方法が完全になくなりました。江戸末期・明治維新の頃からの「適塾」の精神と、道修町をお膝元に抱えた「くすりの街大阪」、なにわ商人(薬問屋など)の心意気で設立された大阪薬専の想いを受け継ぐ大阪大学薬学研究科・薬学部は、この両学科・両専攻の併設を慎重に検証し、さらに今後の薬学の進むべき将来を思い描いた結果、我が国の国立大学法人では初となる「新全 6年制薬学教育システム」を導入することを決意いたしました。そして文部科学省との何度もの協議の結果、2019(平成 31)年から開始することの了承を得ることができました。大阪大学独自のこの「新全 6年制薬学教育システム」では、従前の 4年制の薬学基礎研究教育と 6年制の薬学臨床研究教育・薬剤師養成教育制度を発展的に融合させ、さらに数歩進んでグローバルで活躍する人材を育成するもので、次のような特徴的な 3つのコースを設置します。まず薬学研究コースでは、臨床や医療の経験を有し、かつその経験を基盤とした基礎研究や創薬などのものづくりへの応用研究を展開できる能力を養う研究教育を行うことにより「薬剤師創薬研究者」を養成します。次に、未来医療の実現を目指した大阪大学薬学部独自の Pharm. Dコースでは、早期から臨床力を高めるための研究教育を行い「研究型高度薬剤師」を養成します。そしてこの「新全 6年制薬学教育システム」特有のコースが、推薦入試を活用した先進研究コースです。先進研究コースでは飛び級制度を導入し、学部 6年生の途中に大学院博士課程 4年制を組込み、10年一貫による研究教育を行います。創薬臨床力や創薬研究力の習得に加えて、多様な先進的な内容も学ぶことで広い視野と総合力を育てます。卒業生は薬剤師資格を持つ薬学士と、博士(薬学)の両学位を取得できることから、先進研究コースでは我が国の薬学・医学研究、薬事行政、医療等を牽引し、多方面において世界基準を凌ぐ研究力を持ち、グローバルで活躍する「薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)」を重点養成します。

4年制薬科学科と創成薬学専攻薬学博士前期課程・後期課程は年次進行で廃止しますが、大阪大学の「新全 6年制薬学教育システム」で学んだ学生は、従前の 4年制と 6年制の両方の資質を包括しつつ、医療における課題探求・解決能力をも身につけたリーダー薬剤師・創薬研究者として世界に羽ばたくものと思います。どうぞ、これまでの薬学からの輩出人材を上回る薬剤師創薬研究者、研究型高度薬剤師と薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)を養成する大阪大学「新全 6年制薬学教育システム」にご期待願います。 文責:辻川和丈

大阪大学薬学部の「新全 6年制」薬学教育システムと 大学院薬学研究科との一体化による薬学教育改革の始動

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藤岡弘道教授 最終講義・定年退職記念祝賀会の開催

平成 30年 3月 31日をもって分子合成化学分野・藤岡

弘道教授が定年退職されました。藤岡弘道先生は大阪大学薬学部教務職員、助手、助教授、大阪大学大学院薬学研究科准教授として奉職されたのち、平成 20年 8月に大阪大学大学院薬学研究科教授に昇任されました。その間、独創的な研究を展開され、平成 5年に日本薬学会近畿支部奨励賞、平成 16年に有機合成化学協会関西支部賞、平成 17年に宮田記念学術論文賞、平成 21年に日本プロセス化学会 2009優秀賞を受賞されました。また、日本薬学会理事、学術誌編集委員/Chem. Pharm. Bull.編集長/学術誌部門長、化学系薬学部会役員、有機合成化学協会評議員ならびに関西支部幹事、薬学奨励財団助成金選考委員長を務められる等、学協会の発展にもご尽力されました。分子合成化学分野・藤岡弘道教授の最終講義および定年退職記念祝賀会は平成 30年 3月 10日(土)に開催されました。薬学研究科・沢井ホールで午後 1時 30分に開始した最終講義は、堤 康央先生(大学院薬学研究科長)のご

挨拶で始まり、144名の卒業生・在校生・教職員が出席しました。演題は「研究生活 40年余を振り返って~実験に学ぶ~」であり、藤岡教授は、学生時代からの写真などを交えながら、これまでの研究成果ご披露と若者へのメッセージに熱弁を振るわれました。花束贈呈(在校生代表・及部 奈緒子 学部 4年生)の後、拍手で最終講義は午後 2時 50分に終了しました。続いて、午後 5時から千里阪急ホテル仙寿の間で開催された定年退職記念祝賀会には 158名が出席しました。ウエルカムレセプション、記念撮影に続く開宴、堤 康央先生、萬年成泰先生(薬友会会長)のご祝辞、北 泰行先生(立命館大学招聘研究教授・大阪大学名誉教授)のご祝辞・乾杯のご発声があり、この日のために用意された食事とお酒を前に、参加者が懇親を深めました。合成卒業生のスピーチ(案浦洋一様、田熊一敞様、北川英俊様、永富康司様、前川智弘様、澤間善成様、沖津貴志様、南辻 裕様、沖 友博様)、各テーブルでの藤岡教授との記念撮影、スライド上映の後、記念品・花束贈呈(山川真希様、松本奈央様)、藤岡教授のご挨拶があり、宴

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は午後 8時 30分におひらきとなりました。藤岡弘道先生が大阪大学で注がれてきた薬学の教育と研究に対する情熱に感謝するとともに、ご退職後のご健康とご活躍をお祈りします。なお、藤岡先生は平成 30

年 4月に、大阪大学産業科学研究所特任教授、大阪大学

大学院薬学研究科非常勤講師に就任されます。最後になりましたが、本ご退職事業の趣旨にご賛同いただき、本事業にご出席・ご寄付賜った全ての方に深謝します。

(文責:有澤光弘)

八木清仁教授 最終講義・定年退職記念祝賀会の開催

生体機能分子化学分野、八木清仁教授の最終講義が平成 30年 2月 22日(木)に薬学研究科沢井ホールにて行われました。堤 康央研究科長のご挨拶の後、教職員・卒業生・在校生が「生物工学から薬学へ」と題した講義を拝聴しました。八木教授の恩師であられた故三浦喜温大阪大学名誉教授が立ち上げられた薬品製造工学講座での生物化学工学研究から現在の薬学研究への変遷を中心に、米国でのポスドク時代のエピソードを交えながら講義を進められました。最後のスライドで薬学研究科の皆さまに “May the Innovative Concept be with you, Always!” という言葉を残し講義を終了されました。最後の卒業生のひとりである藤原果奈さんより花束贈呈があり、盛大な拍手で八木先生の最終講義を締めくくりました。前主任教授であられた溝口 正大阪大学名誉教授、三浦先生の奥様とご子息も最終講義に駆け付け、終了後の茶話会で当時の思い出などお話になられていました。また平成 30年 3月 17日(土)に定年退職祝賀会がウェスティンホテルで開催されました。平成 12年 3月に八木先生が教授に就任されて以降の卒業生に呼びかけ、八木先生のご定年退職をお祝いしました。宇都宮大学准教授、前田 勇先生のご祝辞、大阪大学微生物病研究所准

教授、東山真二先生の乾杯ご発声の後、卒業生のスピーチ(西川智浩様、筒井俊郎様、磯田勝広様、松久幸司様、飯田愛未様)、記念撮影など終始和やかな雰囲気で、約3時間の会が終了しました。八木先生は平成 30年 4月より大阪大学特任教授として平成 29年度より開始した教育プログラム “PharmaTrain”の担当を中心として教育活動を継続されることになっております。最後になりますが、今後の八木先生のご健勝を祈念し、最終講義・定年退職記念祝賀会の報告とさせていただきます。

(文責:渡利彰浩)

新任教授紹介岡 田  直 貴(40期)(大阪大学大学院薬学研究科 附属創薬センター ワクチン・免疫制御学プロジェクト [兼]ワクチン・免疫制御学(BIKEN)共同研究講座)

2017年 8月 1日付けをもちまして薬学研究科 教授を拝命し、附属創薬センターに新たに設置されましたワクチン・免疫制御学プロジェクトを担当することとなりました。この場をお借り致しまして、薬友会の皆様方にご挨拶申し上げます。私は、

1997年に眞弓忠範先生(12期)のご指導のもと大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程を修了し、その後、藤

沢薬品工業(株)研究員を経て、京都薬科大学薬剤学教室

助手、大阪大学大学院薬学研究科薬剤学分野 講師・准教授として教育・研究に携わり、ワクチン療法および免疫細胞療法の最適化を志向した Drug Delivery System

(DDS)研究を進めてまいりました。思い返しますと私が大阪大学薬学部への進学を志望した動機は、高校生物の授業で耳にした “バイオテクノロジー” という言葉に憧れを抱き、遺伝子組換えや細胞融合といった技術に触れてみたいという想いであったと思います。薬剤師になりたい、人類の健康に貢献する新薬を生み出したい、と

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いった進学動機に比べますとやや子供じみていたかもしれません。学生時代から現在に至るまでバイオテクノロジー分野が目覚ましい発展をみせる時代に立ち会い、そこから産みだされた新しい基盤技術や知見に刺激を受けながらライフサイエンス研究に携われてきたことに望外の喜びと幸せを感じております。現在の研究室では、生体防御機構として高度に進化した免疫系が紡ぎだす生命現象に学び、感染症予防やアレルギー治療・がん治療につながる免疫制御技術として「DDSを基軸とした革新的なワクチン・免疫療法」の開発を進めていく所存です。頼りになるスタッフ、元気で優秀な学生諸子とともに、

基礎・応用研究の着実な進展を目指します。また本研究室は、阪大微生物病研究会 (BIKEN財団)との共同研究講座としても機能しており、基礎研究から創出した新たなワクチン・免疫療法について臨床橋渡し研究および実用化研究を実践する体制も築いております。教授就任にあたり、学生諸子が主体的に学び、独創的な研究に没頭できる環境を整えるとともに、将来、社会で活躍できる人材の育成に一層尽力していかなければならない責任と使命を強く感じております。薬友会の皆様方におかれましては、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

新任教授紹介近 藤  昌 夫(42期)(大阪大学大学院薬学研究科 附属創薬センター 医薬品医療機器規制科学プロジェクト)

平成 30年 4月 1日付で医薬品・医療機器規制科学研究室(略称:薬事)に着任した近藤(42期、写真左)でございます。この場をお借り致しまして、薬友会の皆様方にご挨拶申し上げます。『薬事』は、4月 1日

付で産声をあげた乳飲み子のラボでございます。現在、同日付で当該研究室に講師として着任した橘 敬祐先生(44期、写真右)、修士 1年生の学生さん 1名の 3人 4

脚で、革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の実用化に資する、阪大発のレギュラトリーサイエンス(RS)研究・教育の学問体系の確立を目指し、第一歩を踏み出そうとしているところでございます。大阪大学を中核とする北大阪バイオクラスターには世界でも群を抜いた免疫・再生・感染症領域等の知財が集積しており、免疫抗体医薬、ワクチン、再生医療、核酸医薬等、創薬の萌芽が生まれつつあるものの、RSに基づいた臨床創薬研究等の遅延により、オプジーボのように多くの革新的医薬品等シーズが海外に流出し、日本に先立って海外で実用化されているのが現状でございます。このような現状を打破するため、『健康・医療戦略(平成 29年 2月 17日一部改訂 閣議決定)』に、『研究開発における RSを普及・充実させる』と明記され、健康立国日本の実現に向け、RSの推進が謳われているところです。

RSの歴史を紐解くと、我が国の RSは、1987年、当時国立衛生試験所副所長であった内山先生が試験所の研究員に向け、掲げた概念に端を発しており、「規制政策に科学的根拠を与える “行政科学” の側面と既存の基礎科学や応用科学とは異なる “評価科学” としての側面を持ち、科学の所産を人間の調和の上での望ましい形に調整してく科学、健康や環境に対する有害性を予測し、予防する科学」として、RSは産声をあげております。

RSが広く周知されたのは、2011年第 4期科学技術基本計画に RSが取り上げられたことに起因しておりますが、基本計画での RSの定義は内山先生の定義の域を超えておらず、学問としての RSが停滞していることがみてとれます。さて、薬事承認審査の基本は、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全性を担保しながら「リアルワールドでの臨床効果を予測」することにあります。そこで『薬事』では、RSを「リアルワールドでの臨床効果予測に係る学問」と定義し、小職および橘先生の基礎研究、臨床開発行政、薬事行政の経験を基に、規制機関、医療機関等と密接に連携しながら革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品のシーズの実用化に資する研究及び教育を推進することにより、アカデミアにおける RSの学問体系の構築に挑む予定でございます。三つ子の魂百までと申します。薬友会の皆様方におかれましては、忌憚なく、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、『薬事』の子育てにご参加頂きますよう、衷心よりお願い申し上げ、着任のご挨拶とさせて頂きます。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  7

分野・研究室の紹介

新体制に際してのご挨拶(旧分子合成化学分野)

生物有機化学分野 准教授

有 澤  光 弘(院 44期)

平成 29年度に薬学研究科スクラップ&ビルドシステムがスタートしていることと、分子合成化学分野・藤岡弘道教授の定年退職(平成 30年 3月末)に伴い、分子合成化学分野は廃止となりました。そして、平成 30年4月、分子合成化学分野に所属していた構成員 23名(准教授、助教、大学院博士後期課程 6名、大学院博士前期課程 10名、学部生 3名、非常勤教職員 2名)は生物有機化学分野にマージしました。現在、新メンバー 4名(大学院博士前期課程 1名、学部生 3名)と共に、生物有機化学分野構成員として、研究・教育活動を展開しています。この場をお借りしまして、薬友会の皆様にご挨拶申し上げます。私は 1999年に大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程(北 泰行教授)修了・学位取得後、千葉大学薬学部助手、米国ハーバード大学化学科文部科学省長期在外研究員、北海道大学大学院薬学研究院准教授を経て、2013

年 8月より藤岡弘道教授が主宰される分子合成化学分野・准教授に就任しました。現在まで、創薬を志向した複素環化合物のための新触媒・新反応・新合成法を開発

して参りました。例えば、遷移金属元素の特性を理論的に利用し、新しい均一系触媒や固体担持型ナノ粒子触媒を開発すると共に、これら触媒を用いて複素環化合物を与える新反応を発見しました。また、方法論を用いて、生物活性化合物・近赤外色素などの機能性分子も合成しました。今回の合併に伴い、従来の研究テーマに加え、新たな研究テーマとして、「有機合成化学」と「核酸化学」を融合した新しい研究をスタートします。具体的には、創薬シーズを迅速かつ簡便に取得する新規方法論開発研究など、これまでの分野ではできなかった、新しい研究領域を村井健一助教・研究室員と共に開拓して行きたいと考えています。さて、小比賀聡教授のご提案で、早速、去る 4月 6日

(金)に生物有機化学分野のお花見を計画しました。当日は生憎の雨となったことから、会場が薬学食堂になりましたが、総勢 55名程の大宴会となりました。これだけのメンバーが力を合わせれば、間違いなく研究が大きく前進するとの確信を得る素晴らしいスタートになりました。今回のマージを契機に、元より微力ではございますが、より一層、研究・教育に邁進する所存です。そして少しでも薬学研究科の発展に寄与できればと考えております。今後とも薬友会の皆さまのご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

新体制に際してのご挨拶(旧分子反応解析学分野)

毒性学分野 助教

辻 野  博 文(院 56期)

本年 4月 1日をもちまして、薬学研究科 毒性学分野

助教に着任いたしました辻野博文です。この場をお借りいたしまして、薬友会の皆様方にご挨拶申し上げます。私は昨年度まで、同研究科 分子反応解析学分野にて助教としてヘムタンパク質の分光分析に携わっておりま

した。ヘムタンパク質とは、補欠分子団としてヘムを含むタンパク質の総称であり、生体内に取り込まれた薬物や化学物質の酸化的代謝、環境変化に応じたシグナルの発生や伝達等において重要な役割を演じています。そこで我々は、様々な分析化学的測定手段を駆使して、ヘムタンパク質の構造と機能に関する研究、および酵素から派生する活性酸素種との関わりについての研究に取り組んできました。例えば、シトクロム P450(CYP)はヒトの薬物代謝の中心となるヘムタンパク質ですが、基質特異性が非常に低いという特徴を持ちます。この特徴のため、人体にとって、未知の構造を有する様々な薬物の代謝を可能としますが、同時に、一種類の CYPが非常

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8  大阪大学 薬友会だより 第21号

に多くの種類の薬物代謝を担うため、飲み合わせによっては薬物間相互作用が発生することが大きな問題となっており、我々は『物理化学』及び『分析化学』的なアプローチにより相互作用の原因のいくつかを明らかとしてきました。私が、本年度から合流させていただく堤 康央教授が主催される毒性学分野では、従来までの医薬品はもとより、遺伝子やタンパク質、細胞などを有効活用したバイオ医薬や、ナノテクノロジーを駆使したナノ医薬といった最先端医薬に加え、医薬部外品・化粧品・食品、さらには環境(生態系)への安全性をも考究し、安全・安心な健康環境を確立することを目的とし、様々な角度から『毒性学』にアプローチされ、多くの人材を育成し、輩出されています。例えば、ナノマテリアルをはじめとした、化学物質の安全性評価研究(曝露実態・動態評価、ハザード評価)、および、安全性確保に資する基盤技術

の開発等を推進されてきました。また本研究の過程で、遺伝子工学やタンパク質 /抗体工学、オミクス解析等の分析化学の手法を駆使し、環境中に存在している種々化学物質の毒性発現(疾患の発症・悪化)メカニズムの探求やその解毒法(治療法、治療薬)の開発、生体が本来兼ね備えている生体防御機構の追究にも取り組んでおられます。今年度からは毒性学分野に『物理化学』、『分析化学』的研究法を携えて合流させていただくことで、『毒性学』や『動態学』・『免疫学』等の多様な学問との融合を通して様々な生命現象を理解し、医薬品の創成や適正使用(レギュラトリーサイエンス研究や、品質・信頼性保証研究)に貢献し、より一層、研究・教育に邁進する所存です。今後とも薬友会の皆様のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

多剤耐性菌感染症克服を目指して

細胞生物学分野 教授

西 野  邦 彦(院 46期)

2015年 2月 16日付で、細胞生物学研究分野(産業科学研究所 生体分子制御科学研究分野)教授を拝命いたしました。2018年度より、準基幹分野として微生物学の講義を担当することとなり、本誌にてご挨拶の機会を頂き、心より感謝申し上げます。私は、京都薬科大学薬学部(微生物学教室)を卒業後、大阪大学大学院薬学研究科にて山口明人教授のご指導の下、2003年に博士課程を修了しました。米国ワシントン大学医学部に研究留学の後、大阪大学の教員として研究と教育に携わってまいりました。大学時代から、一貫して細菌の薬剤耐性機構に関する研究に取り組んでいます。現在、複数の抗菌薬が効かなくなった多剤耐性菌による感染症が急増して深刻な状況になっています。細菌には抗菌薬に対抗するため、薬を細胞外に排出して自身を防御する機能が備わっています。これまで、抗菌薬排出に関与するタンパク質に注目して、大腸菌のゲノムを調べ、薬剤を認識して排出するポンプが 20個もあることを明らかにしました。また、これらポンプが、宿主に対する細菌の毒性の調節に関与したり、細菌の生存に必須

の鉄イオンを取り込むための分子を放出したり、低酸素の環境で菌体内に生じた自身に対する毒性を有する物質を捨てたりと生存のための多様な機能があることも明らかにしてきました。さらに、薬が入ってきたことを素早く認識して、排出するための適切な遺伝子を発現させる情報伝達システムを解明しました。排出遺伝子を制御しているタンパク質が薬の侵入により、分子の構造が変化して、DNAから解離することで、その遺伝子のスイッチが入るという仕組みです。阻害剤の探索も行っており、今後、抗菌薬と排出タンパク質阻害剤との併用で、多剤耐性を軽減する新たな感染症治療につなげたいと考えております。最近では、人工知能(AI)の機械学習を使い、多剤耐性菌の顕微鏡画像から特有の内部構造を自動的に判別して診断する研究や、健康野菜とされるヤーコンをもとに腸内細菌に含まれる善玉の効果を高めるサプリメントの開発などのテーマにも取り組んでいます。この度、準基幹分野として研究と教育を担当することとなり、身が引き締まる思いです。薬学教育モデル・コアカリキュラムの目標達成はもちろんのこと、微生物学分野における先端的な研究成果も取り入れ、独創的発想力と創薬マインドを持ち、出口を見据えた基礎研究を展開できる若手人材の育成、高度な専門性を身に付けた人材の輩出に貢献したいと思っております。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  9

死因究明学研究室の紹介

毒性学分野 特任准教授

原 田  和 生(特別会員)

毒性学分野 特任講師

東 阪  和 馬(57期)

「死因究明」は、人の死亡が犯罪行為に起因するものであるか否かの判断の適正の確保、および、内因死機序解明を介した公衆衛生の向上のために極めて重要です。現在、我が国における年間死亡者数は人口の高齢化を反映し増加傾向にあり、今後も増加することが予想されています。一方で、我が国の死因究明制度は諸外国に比べ必ずしも十分とは言い難く、犯罪を見逃すケースも見受けられ、また、内因性突然死や自殺の予防対策も確立されておらず、歯止めが利かない状況にあり、死因究明体制の強化が強く求められています。さらには、薬剤過剰投与や副作用、中毒による死亡事例における薬剤師の責任の明確化、あるいは、治験時の治験薬剤と死因との因果関係の明確化などが求められ、薬剤師・創薬研究者が

活躍する現場においても「死因究明」の重要性は高まっております。そのような背景のもと、「死因究明等推進計画」が平成 26年に閣議決定され、日本社会全体で制度整備、人材育成を目指すマイルストーンが示されました。さらに平成 28年度からは大阪大学医学系研究科において、「死因究明学の創造と担い手養成プラン」プロジェクトが開始され、従来の学問領域の垣根を超えた医歯薬連携による「死因究明学」の創成が進められております。当該プロジェクトに、阪大薬学研究科から平成 29年 10月より東阪、12月より原田が参画し、医学系研究科法医学教室を拠点として研究・教育を実施しております。原田はメタボロミクスをはじめ、低分子有機化合物の機器化学分析に長け、東阪はプロテオミクス、および医薬品をはじめとした化学物質の毒性学的研究の経験が豊富であります。それらの強みを活かし、現在、1)プロテオミクス、メタボロミクスによる新規死因特異的マーカー探索と死因診断への応用、2)薬毒物の検査法開発と体内動態解析、3)毒性学的アプローチによる内因性突然死の要因探索と作用機序解明、に取り組んでおります。加えて、医歯薬の大学院・学部生を対象とした教育プログラムの開発にも取り組んでおります。両名とも未知の分野に足を踏み入れたわけですが、各々これまで培ってきた知識、技術を存分に活用し、新しい学問分野の確立を目指し、研究教育に邁進していきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

共同研究講座の紹介

次世代食品開発学(三井農林)共同研究講座・プロジェクト

薬剤学分野 教授

中 川  晋 作(特別会員)

薬学は、ヒトの健康確保を考究するライフサイエンス(生命科学)であり、創薬研究だけでなく、食品や化粧品、環境を含め、ヒトの健康環境を豊かにする、或いは逆に脅かす要因を研究教育の対象としており、安全安心の確

保を総合的に担う学問であります。この様な観点から大阪大学と三井農林(株)は、安心安全で有用な次世代の機能性食品・香粧品素材の開発を目指し、2017年 9月 1

日に薬学研究科内に共同研究講座が設置されました。本共同研究講座では、薬食同源の観点から食品類に含まれる有用物質の機能性を向上させ、安全性を科学的に証明・保証した新規機能性食品・香粧品素材の研究開発を進めて行きます。また本講座では、機能性食品・香粧品素材を含めてヒトの健康をグローバルに捉えることの出来る若手研究者、並びに地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する健康サポート薬局やかかりつけ

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10  大阪大学 薬友会だより 第21号

薬局などで活躍できる薬剤師を育成することで、健康長寿社会の実現を目指すプロジェクトを推進していきます。本共同研究講座の研究対象素材は、食品を中心に緑茶や紅茶に含まれるカテキン類やテアフラビン類、ハーブや漢方などに含まれる健康素材などです。これまでに三井農林㈱は 1980年代に自社内に研究所を立ち上げ、世界で最も早く茶ポリフェノール(カテキン)に着目し、その機能に関して様々な基礎研究を行っておられます。さらに近年、難溶性有用物質の溶解性を劇的に向上させる新たな DDS技術の開発にも成功しておられます。本共同研究講座では、これら独自の DDS技術を基に上記研究対象素材中に含まれる難溶性有用物質の吸収改善を

図り、体内動態解析を通じて安全性評価や有効性評価を実施します。さらには、これら基礎研究の成果を基に「食べる」、「飲む」、「塗る」などの様々な適用方法での臨床研究を通して、あらゆる世代(乳幼児、老若男女、妊婦)並びに健康な方から未病、罹患の方などを対象とした実用化研究を展開していきます。また素材の研究開発だけではなく、知財化、商品開発、マーケティングといった各分野のプロフェッショナルが本講座メンバーとして参画することで、消費者ニーズのタイムリーな掌握と研究開発への反映、市場投入までのリードタイムの短縮を図り、一日も早い健康長寿社会の実現に貢献したいと考えています。

先端化粧品科学(マンダム)共同研究講座

招へい教授

岡 田  文 裕

当先端化粧品科学(マンダム)共同研究講座は 2015

年 6月に薬学研究科に初めて設置された共同研究講座です。株式会社マンダム(本社:大阪市、代表取締役 社長執行役員 西村元延、以下マンダム)は、革新的化粧品の開発を目指し、再生医療等の先端技術の応用研究を効率よく推進するために、この共同研究講座制度を活用することにしました。裏話ですが、2014年夏、薬学研究科の藤尾慈教授とマンダムの社長が大阪の某所にて偶然知り合い意気投合したことがきっかけとなり、同年9月に毒性学の堤康央教授に、「ナノテクノロジーの安全性」というテーマでマンダム本社での講演をお願いしたことがこのご縁の始まりでした。講座設立前後数ヶ月間は、藤尾兼任教授 、(故)宇野

公之兼任教授と、我々企業研究員を中心に、研究設備や研究室運営体制の整備に追われました。2015年 10月、新たに特任研究員(大学職員)3名を加え、ようやく本格的に研究テーマをスタートすることができました。

2018年 4月現在の当共同研究講座は、教員として藤尾兼任教授、中川晋作兼任教授、マンダム社員でもある招へい教授の私、藤田招へい准教授および倉田招へい教員の 5名、研究員として特任研究員 3名、企業研究員 3名、大学院生(博士課程)1名(インドネシア:バンドン工科大学教員)、大学院生(修士課程)5名、そして事務補佐員 1名の総勢 18名で、基礎研究からのオープンイノベーションに多様性を持って取り組む先導的産学共創を実践しています。これまでに、次世代の制汗剤創出のための発汗制御研究から下記成果を得ています。大阪大学の蛋白質研究所、医学系研究科との共同による①ヒト皮膚組織からの汗腺細胞の単離、②汗腺幹細胞の発見、③汗腺幹細胞からの汗腺様構造体の再生(以上、第 29 回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)オーランド大会:2016年)。世界で初めてとなるヒト汗腺の三次元構造の可視化(ゴード

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大阪大学 薬友会だより 第21号  11

ン会議:2017年)。汗腺の構造解析(米国科学誌「PLOS

ONE」:2017年)。この解析法を応用した次世代制汗剤成分の探索に向けた汗腺の発汗収縮の観察法(第 24回日本発汗学会総会:2016年)。これらに加えて、皮脂腺をヒト皮膚組織から取り出し

3次元配置観察する技術も派生的に確立しました(第116回日本皮膚科学会総会:2017年)。

今回紹介した研究以外にも、肌再生に関与する免疫制御研究、毛髪再生に関与する幹細胞研究等においても精力的に取組んでおり、引き続き成果が出せるよう研究に邁進していきます。我々とコラボレーションいただけるようなテーマやアイデアがございましたら、御一報いただければ幸いです。

先進健康科学(サラヤ)共同研究講座

応用環境生物学分野 教授

平 田  收 正(院 30期)

先進健康科学(サラヤ)共同研究講座は、大阪大学薬学研究科の4番目の共同研究講座として、平成 29年 11

月に設置されました。世界人口の増大、経済発展による資源の大量消費、生物多様性の消失といった問題提起がなされ、私たち人類は地球規模の環境問題に配慮しながら持続可能な豊かさを求めることが必要な時代になっています。企業は環境負荷低減と持続可能な未来構築のためのビジネスの実践が、大学に代表される研究機関にはこれら地球規模の課題を解決する科学技術の創出が求められています。サラヤ株式会社は創業以来、植物由来の各種自然派原料を活用し、人と地球にやさしい製品開発を続けてきました。また、発酵生産によって得られるバイオサーファクタントや中国原産植物から得られるエキスの製造技術を確立し、原料開発することに成功しました。現在は、これら原料の機能性研究と安全性研究を行い、健康と環境に配慮した化粧品、食品等へ応用する製剤化研究を推進しています。大阪大学薬学研究科は、医薬品原料となる天然物の物性評価や生体内動態解析、分子レベルの生物活性機構解明において優れた研究実績があります。特に、薬用植物園では様々な有用生物資源の開発研究が行われており、

例えば東南アジアやモンゴルにおいて、現地研究者との共同による他大学にはない文化人類学的な知見に基づいた有用資源の調査・探索研究が進められています。本講座では、大阪大学薬学研究科の知の集積と充実した研究環境を活かし、薬用植物園・応用環境生物学分野を中心に密な共同研究によって、新たな生物資源の探索と素材の機能性および安全性に関する科学的なエビデンスの蓄積を行っています。こういった知見をもとに、これら生物資源を配合した優れた機能を持つ化粧品や食品の製品開発研究を進め、人の健康の維持・向上に貢献することを目指します。また、こういった研究を通してグローバルな視点から人の健康や環境問題を考究できる薬学人材の養成を図ります。このような東南アジアなどの発展途上国における有用生物資源を対象とした製品開発研究、さらには優れた国際性を有する人材の養成が、健全な生態系の維持や多様な生物資源の保護を通した地球環境問題の解決と我が国を含めたグローバルな持続可能な発展につながると考え、本講座での研究教育を進めて参ります。⃝研究課題1) 化粧品、食品への応用を目指した有用生物資源の探索と機能性および安全性評価

2) 上記有用成分を配合する化粧品、食品製剤の機能性および安全性評価

3) 上記有用成分の生物活性の機構解明

ピアス皮膚再生技術共同研究講座の設置と今後の取り組み

特任教授

前 田  明 人

本年 4月 1日付けをもちまして、新たな共同研究講座として設置された、ピアス皮膚再生技術共同研究講座特任教授を拝命致しました。当講座の紹介を兼ねて、薬友会の皆様方にご挨拶申し上げます。私は、昭和 61年に岸本忠三先生のご指導の下、大阪大学細胞工学センターで医学研究科修士課程を修了し、その後、京都大学医学部医化学講座の研修員として沼 正作先生のご指導を受

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12  大阪大学 薬友会だより 第21号

け、ムスカリン性受容体の構造と機能の研究で博士号を取得しました。そして平成 4年から日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社にて研究員として勤務後、関西医科大学分子遺伝学講師、京都大学医学研究科分子免疫学助手として教育と研究に従事しました。転機は平成 16

年に阪大発創薬ベンチャーであるジェノミディアの運営に参画後に、平成 21年から大阪大学産学共創本部(旧先端科学イノベーションセンター)で共同研究部門特任教授を任される機会を得たことです。そこで始めた間葉系幹細胞の活性化物質の探索研究が今回の共同研究講座に繋がっています。当講座では、間葉系幹細胞の活性化因子の研究を基盤として、体内誘導型の再生医療技術、特に皮膚の組織再生のための技術を開発することを目標としています。そして医学系の研究成果に加え、薬学領域の研究推進の為に相当の技術を有する複数の教員が取り組む必要があることから、講座メンバーは、講座設置

を主導された堤 康央教授が代表、専任として私、さらに兼任として医学系研究科から金田安史教授と玉井克人教授、それに出資企業である化粧品・健康産業メーカーのピアス株式会社から佐原俊矢特任研究員と招へい研究員 6名を迎えています。産学共創により、シーズを医薬品や医薬部外品につなげるために、基礎研究を充実させると共に実用化のための安全性確認などを進めます。一方では、ピアス中央研究所と適応症モデル試験の準備も始めました。産学による人的交流により基礎研究から応用技術までを一貫して行うというプロセスは研究室にとって大きなノウハウの蓄積となり、実用化への橋渡しをすることのできる若手スタッフを育成していく上でも重要な役割の一端を担うことができると思っております。大阪大学薬学研究科の発展に少しでも貢献できればと願っております。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

寄附講座の紹介

講座近況~先制心身医薬学寄附講座

寄附講座教授

関 山  敦 生

皆様平素よりたいへんお世話になっております。このたびは薬友会だよりに寄稿させていただく機会を賜り、ありがたくまた深く感謝申し上げます。先制心身医薬学寄附講座は、小職が生命情報解析学分野の招へい研究員を拝命しておりました 2014年、堤学部長先生(当時)をはじめとしてさまざまにご縁を頂き、本学、本学部教授会の審査の後、小職を初代の寄附講座教授として開設されました。その後、皆様のご理解とご支援、学外からは株式会社アイティスの支援を得て、期間延長も果たすことができ、設立 5年目にはいったところです。二年目までは学部校舎の耐震工事もあって実験室を設けられませんでしたが、現在では、おかげさまで基本的な機能を備えたラボと培養室とを持つことができております。研究は、「細胞からマウスへ、マウスからヒトへ、ヒトからマウス、細胞へ」を合言葉に進めています。生体を、生態を持つ個体、と少し広くとらえ、疾病を罹患するという現象を、個体とその環境とでなるシステムが働

いた結果と措き、主として個体への分子生物学的アプローチによって、疾患の発生や増悪経路を解明、それらの回避のための制御点がシステムのどこにあるかを見つけようとしています。したがって、科学の先人の方たちの成果を多領域にまたがり勉強する必要が生まれるため、勉強や自問のきっかけには事欠きません。この面白さを、小職だけでなく、若いメンバー(先生)たちにも経験頂きたいと、発展的な学びが多くなるような運営を心掛けています。講座設立後、精神疾患の血液診断に関わるシンポジウムを精神神経学会等で主催(2015–16)。成果の社会導出に関しては、ICTビジネスモデルコンテスト近畿大会優勝(2016)、創薬シーズ事業化コンペティション最優秀賞(2017)。つい近日には、弊教室修士生による発表が、第 39回サイトプロテクション研究会で奨励賞を頂戴する(2018)などの事例を重ねております。これらは全く独力で為したものでなく、本学、学部、薬友会の皆様のご支援とご理解あってのことと思い、またそう思うと小職は嬉しくてなりません。本学部での日々、小職、まるで新しく大学に入りなおしたような気持ちで過ごしています。が、今後の展開や先々の共同研究準備等のため、研究室にこもり切ることができておりません。将来にわたる基盤を固め、はやくに、より深く大きく、本学部の空気を吸いたいと思っております。ひきつづき皆様どうかご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  13

先端免疫治療学寄附講座癌に対する「個別化複合免疫療法(P-CIT)」の開発

寄附講座教授

岡 本  正 人(特別会員)

我々は、臨床現場で起こった現象を基礎研究で解明し臨床現場で生かす「Bedside to Bench, Bench to Bedside」を基本的な考え方として癌に対する新規治療法・診断法の開発を行っています。多様性に富んだ「癌」という疾患の病態を把握しなければ、それに合った治療はできません。癌患者の免疫環境が治療効果や患者の予後に密接に関係している事も明らかになりました。「夢の治療」ともてはやされた免疫チェックポイント阻害剤も例外ではありません。多種多様な「癌患者の免疫環境」を明らかにし各々に合った治療を提供する、「Precision Medicine(精密医療、個別化医療)」と言われるものです。当教室では、より有効な個別化複合免疫療法(Precision

Combined ImmunoTherapy〈P-CIT〉)を開発するために臨床現場との連携により以下の研究を行っています。1)免疫バイオマーカーの開発様々な治療を施された癌患者の検体(血液、組織、その他腸内細菌 /口内細菌等)を解析し、各々の治療効果を予測可能なバイオマーカーを探索します。過去の研究から「免疫抑制」に関連し「治療効果不良」を引き起こ

す分子が候補として得られています。また、臨床検体の解析で得られた知見はあくまでも「現象論」です。如何なるメカニズムで起こった現象かを基礎研究で解明します。この基礎研究が雑多な臨床検体解析データから一つの決定的な標的を絞り込む事を可能にします。2)免疫抑制解除技術の開発免疫抑制に関連したバイオマーカーを参考に「免疫抑制を解除する技術」、すなわち「次世代のチェックポイント阻害剤」を開発します。免疫抑制解除技術には、新規阻害抗体や低分子化合物の開発のみならず、既存の薬剤やサプリメント等にも大きな可能性が秘められています。これらの免疫抑制阻害効果や癌治療効果を基礎研究から臨床応用まで行います。3)より優れた癌ワクチン等の開発「癌患者の免疫環境を改善して癌ワクチンを効かせる」これが我々の P-CITのコンセプトです。「癌ワクチン」のみならず最近話題の TCR-T/CAR-T療法も含め、より有効な「癌特異的免疫療法」を開発します。その為に、標的となる「良い抗原」が必要です。「共通する変異抗原(Shared Neoantigen)」の存在も明らかになりつつあり、抗原探索から特異的免疫療法の開発を行います。バイオマーカーを基に個々の患者に対して最適な組み合わせの治療を提供する。「鍵」となるのは「免疫」である。この考え方を基に、「患者本位の治療」を確立するために研究に取り組んでおります。

センター・プロジェクトの紹介

アカデミア創薬の加速に向けた薬学研究科附属化合物ライブラリー・ スクリーニングセンターの始動

附属創薬センター構造展開 ユニット長附属化合物ライブラリー・ スクリーニングセンター長

辻 川  和 丈(院 30期)

我が国の健康・医療戦略において、創薬イノベーション力を強化することが健康・長寿社会を築く上での最重要課題の一つとされています。その創薬イノベーション

を牽引する重要な使命があるアカデミアでは、生命の理を解き明かす基礎研究から疾患の発症や悪性化機構の解明などの最先端の研究が行われています。その研究成果から多くの創薬シーズ候補の発見が期待されます。さらに、その創薬シーズに基づく研究成果を社会に還元するという大きな使命がアカデミア創薬にはあります。しかしながら、アカデミアの研究者は多くの場合、化合物ライブラリーから医薬の種となる化合物を選び出すハイスループットスクリーニング(HTS)系の構築と実施、ヒット化合物の構造を改変して薬効や薬物動態、安

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14  大阪大学 薬友会だより 第21号

全性などを高める創薬研究経験が十分ではないことが普通であり、さらにそれら創薬研究のためだけに十分な時間を費やせないことが多いため、見出した創薬シーズを製薬企業などによる医薬品開発へと引き継ぐことが容易ではありませんでした。そこで研究者に多様な支援を行うことによりアカデミア創薬研究を先進させるため、平成 28年度に大阪大学大学院薬学研究科に附属創薬センター構造展開ユニットが設置されたに引き続き、平成29年度 1号館 4階に附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンターが設置されました。この化合物ライブラリー・スクリーニングセンターでは、大阪大学が保有する化合物ライブラリーの保管・提供、HTS用機器の利用支援、HTS系構築と実施などを強力に支援する設備が設置され、専任の教職員も所属しています。さらに昨

年 10月に AMED「創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業」において in vivo薬物動態・安全性試験を支援するプロジェクトも採択されました。このプロジェクトでは、大阪府立大学獣医学専攻とも連携する体制が構築されています。これらにより、アカデミアにおける創薬シーズの発見に基づき、医薬品候補化合物創製までの切れ目ない創薬基盤研究支援体制が薬学研究科に構築されたことになります。このように大阪大学薬学研究科はアカデミア創薬支援の我が国の拠点として、難病や希少疾患、さらにはアンメットメディカルニーズなどに対する治療薬の創製にますます貢献し、皆さまのご期待に応えていきます。今後とも何卒よろしくご指導のほどお願い申し上げます。

筋幹細胞創薬プロジェクト開始にあたって

附属化合物ライブラリー・ スクリーニングセンター創薬標的探索ユニット筋幹細胞創薬プロジェクト

深 田  宗 一 朗(46期)

化合物ライブラリー・スクリーニングセンター創薬標的探索ユニット(辻川和丈センター長)内で、筋幹細胞創薬プロジェクトの PIをさせていただく事になりました、46期の深田宗一朗と申します。私は学生時代の指導教員であった山元 弘先生、ポスドク時代の武田伸一先生(国立精神・神経医療研究センター 理事)のご指導のもと、一貫して 20年間骨格筋の研究を続けております。20年前の骨格筋研究の対象疾患は筋ジストロフィーという難病だけであり、有望な治療法もありませんでした。しかし、この 20年の間に人工核酸や抗体医薬など、開発が進んでいるものや FDAに認可されたものも出てきました。ただ患者さん全員を治療する道のりは始まったばかりであり、科学的発見・知見に基づいた治療法の種を一つでも多く生み出すことが切望されています。また現在は、骨格筋研究の対象疾患は、筋ジスト

ロフィーに加えて加齢による筋萎縮(サルコペニア)、フレイル、がん悪液質、不活動性筋萎縮(寝たきりなどによる筋萎縮)等、その対象疾患も広がりを見せています。今まさに、筋ジストロフィー研究をベース蓄積されてきた成果を他の骨格筋疾患にも広げ、骨格筋を標的にした治療薬の開発・誕生を実現させる時期に入ったと痛感しております。私は本プロジェクトにおいて「生理的なメカニズム解明をベースにした治療法開発」に取り組んで行きたいと思っております。中でも、私の専門である(骨格)筋幹細胞を理解・応用を中心に、筋ジストロフィー・筋萎縮治療薬につなげることを目指しております。おそらく日本で骨格筋・筋幹細胞研究を薬学研究科で行っている唯一のプロジェクトとして、学生と共に研究成果を世界に発信し、様々な筋疾患の創薬標的を発見して行きたいと考えております。最後に、このような機会を頂きました、辻川和丈教授、土井健史研究科長、堤康央前研究科長をはじめとする薬学研究科の教員の先生方、またこれまで共に仕事をしてきました学生・共同研究者にこの場をお借りして厚く御礼申し上げると共に、薬学研究科の発展に少しでも貢献できるよう、邁進していきたいと思っております。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  15

薬学部・大学院薬学研究科の組織

附属化合物ライブラリー・スクリーニングセンター

薬学部・大学院薬学研究科の組織

薬学部

大学院薬学研究科

医療薬学専攻創成薬学専攻

基幹分野

附属実践薬学教育研究センター

附属創薬センター

附属薬学地域医療教育研究センター

寄附講座

共同研究講座(プロジェクト)

高分子化学分野

薬品製造化学分野

分子生物学分野

医薬品・医療機器規制科学

死因究明学

生物有機化学分野

細胞生理学分野

毒性学分野

神経薬理学分野

薬剤学分野

臨床薬効解析学分野

生命情報解析学分野

情報・計量薬学分野

応用環境生物学分野(薬用資源学分野)

医療薬学分野

先進医薬学分野

医療薬学教育研究ユニット

Pharm.D教育推進ユニット

実践教育ユニット

創薬チャレンジユニット

創薬臨床研究推進ユニット

先端免疫治療学

協力・連携先機関

(1)産業科学研究所(2)医学部附属病院(3)微生物病研究所(4)一般財団法人阪大微生物病研究会(5)総合学術博物館(6)国立循環器病研究センター(7)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(8)地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター

(9) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(10) 国立医薬品食品衛生研究所(11)地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所*基幹分野に準ずる

薬学地域医療教育ユニット

セルフメディケーション・地域医療推進ユニット

薬学地域医療研究ユニット

病院地域医療ユニット

薬局地域医療ユニット

創薬スクリーニングユニット

ケミカルライブラリーユニット

先制心身医薬学

薬学科(6年制)

薬科学科(4年制)

研究室

先進健康科学(サラヤ)

皮膚再生技術(ピアス)

共同利用機器室

医療薬学教育研究プロジェクト

構造展開ユニット

臨床薬理学教育研究プロジェクト

天然物創薬学分野

薬物動態・安全性試験ユニット

筋幹細胞創薬プロジェクト

創薬基盤技術開発ユニット

創薬標的探索ユニット

バイオマーカー探索ユニット

先端化粧品科学(マンダム)

附属薬用植物園

ワクチン・免疫制御学(BIKEN)

次世代食品開発学(三井農林)

【 簡易版 】

協力・連携

細胞生物学分野(1)*

臨床薬物学講座(2)

遺伝子機能解析学分野(3)

循環器病態学講座(6)

医薬基盤科学講座(7)

環境病因病態学分野(8)

レギュラトリーサイエンス講座(10)

薬事戦略講座(9)

生体分子化学分野(1)

伝統医薬解析学分野(5)

創薬ナノデザイン学分野(4)

衛生分析学分野(11)

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16  大阪大学 薬友会だより 第21号

薬学研究科 組織構成概念図薬学研究科 組織構成概念図

薬学研究科

創成薬学専攻医療薬学専攻

協力分野

連携大学院

総合学術博物館

微生物病研究所

医学部附属病院

産業科学研究所

一般財団法人阪大微生物病研究会

国立循環器病研究

センター

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

国立医薬品食品衛生研究所

地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所

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大阪大学 薬友会だより 第21号  17

2期同窓会開催日 2018年5月17日場 所 ホテルグランビア大阪

5月 17日、大阪駅のホテルグランビア 20階で 2期の会を催した。年々参加者が減り、10→ 8→ 6名となりました。毎年参加の今村君が所用、小

西君は 2時間半の新幹線に坐ったまま来るのは困難、脇本君は最後のゴルフ来年からはゴルフを止め出席するとのこと。まあとにかく元気で、年 1回とは云わず会うということになったが実現するか?写真前列:近藤、園田、抱  写真後列:森田、松本(著者)、塚元

12期同窓会開催日 2018年4月26日~27日場 所 ホテルモンターニュ松本

今回の同窓会は新緑の信州を楽しもうと、4月 26日に松本で開催しました。参加者は、関東からの 5名を迎え 21名でした。今回のプランは、各々の体力、脚力に応じて行動して頂こうと、全員での観光は止め、更に気兼ねなくゆっくり休めるようにと、初めてビジネスホテルのシングルルームを利用しました。

6時から会食が始まり、料理はシニア向け和食コース。料理を味わいながら、今回のテーマである終活の準備、余生の生き方、健康維持法、近況…等について、各人がスピーチをしました。終活の話をしながらも、皆まだまだ楽しく暮らそうという意欲は満々。卒業後 50余年、人生経験を積んで、気のおけ

ない仲間となり、楽しく話がはずみました。翌朝は各自松本市内を観光して、皆で松本駅から白馬へ向かって、観光列車「リゾートビューふるさと」に乗車。広い車窓から柔らかな新緑の山々と、その背後に連なる雪に覆われた北アルプスの景色を眺めながら、おしゃべりに花を咲かせ、白馬へ到着。各々散策を楽しんだ後、2年後の再会を約して帰路に着きました。 (大西明代)

14期ミニ同窓会(京都でのお花見会)開催日 2018年4月5日場 所 京都

一昨年に卒後 50年記念として母校豊中キャンパスでのお花見会を実施し、今回は関西在住のミニ同窓会を京都で開催しました。今年の桜の開花は例年より 1週間も早く、花見には遅い日程でしたが、「花より団子」の精神で予定通り行い、13名の参加者がありました。

11時に阪急河原町駅に集合し、高瀬川沿いの桜並木道を二条まで散策、満開を過ぎたソメイヨシノに後期高齢者となる人生を感じました。12時より「がんこ寿司・高瀬川二条苑」で京都の和食会席を地酒とともに楽しみ、庭園を多くの外国人観光客に交じって見学しました(記念写真)。2次会は徒歩で平安神宮に行き、神苑内の満開の紅しだれ桜を鑑賞でき、

良き思い出ができました。全体の同窓会は 11月 18日(日)、19日(月)に有馬温泉で宿泊・観光(神戸も含む)が予定され、幹事の和谷さん、金芳さんから楽しそうな企画の案内がありました。元気にみなさんが再会できることを願って帰路につきました。 (山路 昭)

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19期同窓会開催日 2017年11月19日場 所 新阪急ホテル

11月 19日(日)大阪梅田の新阪急ホテルにて同窓会を開催しました。三年前の前回以来、亡くなられた河崎、今井(小柳)、石橋さんと、それ以前の物故者に黙祷を捧げて故人を偲びつつ、賑やかな宴が始まりました。本年は阪大への入学から 50年目に当たり、25名の出席者(薬学科 9名、製薬化学科 16名)各人の近況報告も、おきまりの病気と孫の話はタブーということで、皆さん、旅行だとか、ピアノだとか、畑仕事だとかいろんな趣味に打ち込んでいるという話が多く、いよいよ半世紀が経過した後の最終章へ突入、の感を強くした次第です。オーストラリアから里帰り出席のベル(大西)礼子さん始め、今回久しぶりの出席者も交えて楽しい時間を過

した後、次回について相談しましたが、また三年後では体が持たないかもとの声が強く、二年後(2019年)の 11月第三日曜(予定)ということで再会を約束しました。(次回幹事:北瀬照代、野村節子、岡部 勝、杉浦計三)

(植田千裕)

17期 万葉を愛する会開催日 2017年6月10日~11日場 所 愛知・三重

10年目を迎えた「17期 万葉を愛する会」の旅は、6月 10

日、10名が東京・大阪・名古屋より豊橋駅に集合し、愛知県と三重県の万葉と歴史の旅に出立した。まず、持統上皇の三河など東国行幸の故地である引馬神社

(豊川市)を訪れた。上皇の行幸は壬申の乱の後 30年を経て、乱の論功行賞を行うためのものであった。

引馬野に にほふ榛原 入り乱れ 衣にほはせ  旅のしるしに(万葉集 57)

その後 JR、近鉄を乗り継ぎ四日市市の富田駅へ向かう。壬申の乱を起こすにあたって、大海皇子(天武天皇)が天照大神に戦勝を祈願した故地(天武天皇迹太川とおがわ御遥拝所跡)を訪れ、続いて松原の聖武天皇社では氏子の方にお話を伺った。この日は四日市駅前の都ホテルに宿泊。翌朝、まず杖衝坂(つえつきざか)へ。油断して伊吹山の神に負けたヤマトタケルが杖を突きながら登ったといわれる急な坂。東海道の難所で芭蕉も歩くのに難渋して次の句をよんだ。

歩行かちならば杖つき坂を落馬かな(笈の小文)

一昨年、松阪にほど近い多気郡明和町の斎宮跡に平安時代前期の建物群が再現された。伊勢神宮に仕える斎王の宮殿跡で飛鳥時代から続く遺跡である。次の歌は謀反の罪で誅された弟・大津皇子を気遣う初代斎王の大伯皇女(おおくのひめみこ)の歌である。

我が背子を 大和へ遣ると さ夜ふけて  暁(あかとき)露に 我が立ち濡れし(万葉集 105)

斎宮の近所には、国指定天然記念物「斎宮のハナショウブ群落」がある。一面に広がる紫の色鮮やかな花菖蒲に心うたれ、しばし散策した後、松阪駅で東西に別れて帰路についた。

(西村和夫)

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21期ミニ同窓会開催日 2017年10月14日場 所 東京

2017年 10月 14日、過門香・點(Ten)東京有楽町イトシア店にて、21期ミニ同窓会を開催しました。2013年から大阪で毎年春に開催するミニ同窓会がきっかけとなり、昨年から東京でも同様の会を開催するようになりました。今回は西川諭さんと内藤(柿元)恭子さんのお世話で、19名が集まりました。東京近郊は勿論、九州、四国、近畿から多数の参加もあり盛会となりました。来春は 4月 14日か 21日に武野が幹事となり大阪堂島の “がんこ” で開催します。原則 E-mail

で連絡することにしていますから、薬友会同窓生名簿に

E-mailアドレスを掲載されていない 21期同窓生の方で次回の案内がほしい方は是非とも武野([email protected])までご連絡下さい。 (武野秀一)

21期ミニ同窓会開催日 2018年4月21日場 所 大阪

2018年 4月 21日にがんこ堂島アバンザ店にて 21期ミニ同窓会(大阪)を開催しました。昨秋の東京での 2回目のミニ同窓会に続き、今回も Eメールで連絡出来る方々を中心に開催しました。大阪近郊は勿論、鳥取、四国、関東から19名の参加となり何時ものように楽しい会となりました。次回は 9月 29日(土)に西川諭さんのお世話で東京での

ミニ同窓会を開催します。さらに来年は入学後 50年となることを記念して、Eメールに加えて往復葉書での案内により久々の大同窓会を 2019年 9月 28日(土)に大阪大学中之島

センターにて開催することを決定しております。21期同窓生の方々の多くの出席をお待ちします。 (武野秀一)

23期ミニ同窓会開催日 2018年4月21日場 所 大阪ステーションシティ サウスゲートビルディング「ロドス」

2018年 4月 21日(土)大阪ステーションシティ サウスゲートビルディング 16階の中国料理店ロドスにて 1971年入学生のミニ同窓会を開催しました。

23期は 2000年 4月に同期会を開催後、15年ぶりに 13名参加で男女合同のミニ同窓会が発足し、今回で 4回目、参加者は男性 5名、女性 12名、合計 17名でした。毎回お会いする方、また、卒業後初めてお会いできた方と近況報告や思い出話など楽しく、懐かしい時間を過ごすことができました。本会は Eメールを中心に連絡をしていますが、併せて各人のネットワークを活用して仲間の輪を拡げています。メール連絡網に登録を希望される方は幹事の八木さん yagi@phs.

osaka-u.ac.jp にご連絡下さい。次回は 2019年 4月 20日(土)12:00~開催することが決

定しています。場所は大阪駅近辺、場所は未定です。おすすめの店があれば幹事までご一報下さい。皆様お誘いあわせの上、多くの方の出席をお待ちしています。 (北島惠子)

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27期 製薬化学科同窓会開催日 2017年9月10日場 所 大阪大学中之島センター9F 交流サロン

2017年 9月 10日(日)13時より大阪大学中之島センター9F 交流サロンで 4年ぶりに製薬化学科 27期生の同窓会を開催しました。参加者は 12名、内訳は男性 4名、女性 8名、地元大阪府が 6名、京都府 2名、神奈川県 1名、茨城県 1名、富山県 1名、高知県 1名と遠方からも参加してくださいました。常連の方が多いですが、卒業後初めてお会いする方もあり、とても懐かしい顔ぶれでした。各々還暦を迎え、第一線で御活躍の方、定年になり再雇用で勤務されている方、第一線を退き第二の人生をエンジョイされている方などいろいろですが、「60代はまだまだ体力的に元気だから、旅行や趣味など楽しんでいきたいね」とおしゃべりの花が咲きました。薬学部教授の土井先生からは、薬学部 6年制になって 10

年、現状やこれからの方針などについてのお話もありました。製薬化学科 27期生のメーリングリストがあるのですが、これからは SNSの時代、佐藤(多胡)様のご尽力でその場でLINEグループを設定していただき、同窓会参加者をグルー

プに招待。あっという間の 2時間でした。次回の幹事(柴原様、原様)も決定し 2~ 3年後には開催予定ですが、「これからは同窓会だけではなく、集まれる人たちだけでも機会あるごとに集まろう。LINEやメールで情報交換しながら、まずは来年の天神祭に集まりましょう」と話が盛り上がりました。

2次会でも LINEで同窓会の写真が共有され、同窓会翌日の今日もどんどん LINEでメッセージやスタンプが飛び交っています。これからは、もっと皆様と集まれる機会が増えればと思っています。 (河合佐起子)

25期 製薬化学科・薬学科 合同同窓会開催日 2017年11月25日~26日場 所 箕面観光ホテル

美しい紅葉に彩られた箕面で、薬学部の合同同窓会を開きました。宿泊付きの同窓会は初めての試みで、おかげで遠方からも多数の参加がありました。北は富山、南は奈良、西は長崎、東は千葉 総勢 36人の若々しい 60代男女です(写真では、そのパワーが十分に伝わらないのが残念でございます)。さて、活き活き、わくわくしながらの会場で久々の再会。お喋りと食事、一人一分間スピーチと、あっという間に時間が経ってしまいました。元気で顔を会わせられたことを喜びながら一次会を名残惜しく終え、二次会は、宿泊のひと部屋で、狭いながらもゆっくり歓談できました。10年前に難病にかかり、歩くこともままならなかった同窓生も今回飛行機で来て参加できるほど回復し、共に喜び合いました。同窓会というのは、それぞれの人生を抱えて一か所に集まり、改め

て自分を見つめ直すきっかけになると思いました。これからの生き方に影響を及ぼす貴重な機会になるのかもしれません。さて、ホテルの「天空の露天風呂」は、標高 180 mからの眺め。温泉に浸かりながらの大阪平野一望、素晴らしい夜景でした。翌日の箕面散策も、森林浴を満喫でき、日頃の慌ただしさを忘れる癒しの時間となりました。次は、二年後、幹事 4人も決まり、今から参加するのが楽しみです。 (藤内郁子)

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阪大薬品製造化学同窓会開催日 2017年10月7日(土)場 所 ホテルグランヴィア大阪

当研究室(分野)は大阪大学薬学部第 1期生から始まり、今日に至っております。その間、研究室の名称は変わり、それぞれの時代の同窓会が開催されて参りましたが、本同窓会は、全ての世代の「製造」関係者が一堂に会する合同同窓会として、4年前から、2年毎(西暦の奇数年)に開催されています。今回も岩田宙造先生と田中徹明先生がご列席され、現役の学生を含めて 60余名が参加しました。卒業後、何十年ぶりに再開された方も居て、学生時代の思い出話に花が咲きました。楽器の演奏、晴耕雨読など、第二、第三の人生を謳歌されている方、企業の第一線で活躍中の方、研究室に入ったばかりの学部 3年生(まだ 20歳)、外国人留学生などの近況紹介で会場は盛り上がり、3時間があっと言う間に過ぎました。また、現役の学生にとっては、社会で活躍されている先輩方や、多様なご経験をお持ちの大先輩との交流は、今後の進路や人生設計を考える上で大変有益な時間

になりました。本同窓会の御案内は、私どもが把握している情報に基づき、電子メールでお送り致しました。しかし、電子メールアドレスが分からない方やメールが届かなかった方も多数おられました。この記事をお読みになった方で、同窓会の連絡が届かなかった方が居られましたら、赤井 [email protected]までご一報頂けますと幸いです。

2019年に、また多くの方とお会いできますことを楽しみにしています。 (赤井周司)

微生同窓会開催日 2017年6月30日場 所 東京ガーデンパレス

微生同窓会は、細胞生理学分野(旧微生物薬品化学教室、臓器化学教室、放射薬化学教室)の卒業生や在校生で構成され、現在会員数は 510名にのぼっています。この微生同窓会の会合はこれまで大阪で開催されていましたが、2017年には初めて東京で約 80名の関東在住の同窓生のご出席をいただき開催されました。

まず最初に、2016年 9月 23日にご逝去された濱 堯夫先生(2期)のご冥福をお祈りし、全員で黙祷をいたしました。また 2017年 3月に神戸学院大学をご退任された山元 弘先生のお祝いもいたしました。ご出席いただいた同窓生にはあっという間の一時でしたが、たいへん楽しく、懐かしい時間を持っていただけたものと思います。微生同窓会は 2年に 1回開催されています。次は 2019年に再び多くの同窓生にお集まりいただくことをお願いして散会いたしました。

(辻川和丈)

薬友会ホームページ更新情報を配信します

薬友会ホームページはおおむね月1回程度更新しています。

ご希望の方に更新情報をお送りしますので、下記の要領にて薬友会事務局へメールをお送りください。

[メール宛先] 薬友会事務局 [email protected]

[タイトル(件名)] HP更新情報の配信申込み

[メール本文] 「氏名」「期数」「配信希望先メールアドレス」

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伊 藤 卓 也 院 45期(生薬) (大阪大谷大学薬学部 教授)

2003年に小林資正先生の厳しい指導の元、博士後期課程を修了し学位を頂くことができました。その後、米国オレゴン州立大、徳島文理大学薬学部、富山大学和漢研と 15年間渡り歩いてきました。雪深い富山から本年 4月より大阪大谷大学薬学部天然薬物学講座の教授として着任致しました。これまで、微生物由来の生物活性物質の探索・生合成、東南アジア伝統生薬の科学的エビデンスの解明など幅広い研究活動を行ってきました。これに加え 6年制薬学教育にも尽力して来ましたが、私学の薬学ということで後者の比重が大半を占めることを実感している日々です。幸い本学には阪大薬出身の先生も多いことから、先生方と力を合わせて次世代の薬剤師の育成に邁進していきたいと考えております。

西 岡 諭 史 57 期(微生) (第一三共株式会社)

私は 2011年 3月に修士課程を修了後、第一三共株式会社に入社し、以降 7年間、医薬品の開発業務に携わってきました。現在の主な業務は、臨床試験の計画・推進です。自らが立案した試験に、患者さんをはじめ医師や医療スタッフ、関係会社など多くの方々が参画くださることに、大きな責任感とやりがいを感じながら日々業務に勤しんでいます。最近では、学生時分に研究対象であった標的分子が、実際に開発候補品として臨床入りしたという情報に触れる機会が増え、医薬品開発の面白みを一層実感しています。研究室で得られた成果(種)を医薬品へと育てられるよう、これからも自身の役割を全うしたいと考えます。

松 尾 一 彦 54 期(薬剤) (近畿大学薬学部化学療法学研究室 講師)

2011年に博士後期課程を修了後、近畿大学薬学部化学療法学研究室の助教として赴任しました。新設のラボで、デスクしかない状態でのスタートでしたが、おかげさまで研究環境も整い、早いもので 7年目になります。現在は、がんやアレルギー、感染症の病態発症機序を分子レベルで解明し、創薬ターゲットの探索、治療薬開発を目指しています。近畿大学薬学部の学生は研究志向も高く、私たちのラボも素晴らしい学生に恵まれ、活発なディスカッションで騒がしい毎日です。今後は、これまでに学んできたサイエンスの魅力を学生に伝え、臨床薬剤師だけでなく、薬学研究者や研究力のある臨床薬剤師を育成するとともに、自身もいい研究を続けていけるよう努力していきます。

近 況 報 告 ——– 卒業生の方々の近況をご紹介させていただきます。–——

清 水 か ほ り 院 56期(生化) (大阪大谷大学薬学部生化学講座)

2013年に分子生物学分野(水口裕之先生、櫻井文教先生)にて博士後期課程を修了後、同分野にて日本学術振興会特別研究員を経て、2014年より大阪大谷大学薬学部生化学講座(寺田知行先生(院 26期)、西中徹先生(36期))の助教として赴任いたしました。現在の主な研究テーマは、大阪大学在籍時に開発しました改良型アデノウイルスベクターを用いた、生活習慣病に対する遺伝子治療と遺伝子機能解析です。実験は、学生さんと一緒に試行錯誤しながら行っております。たいへんなことも多々ありますが、学生さんが成長していく様子を見ることは興味深く、卒業研究発表や学会発表をする姿は心配になりながらも、うれしい限りです。今後も、研究・薬学教育に邁進していきたいと思います。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  23

八 幡 健 三 57 期(合成) (大阪大学薬学部)

2014年に分子合成化学分野にて博士後期課程を修了し、その後 3年間、内藤記念科学振興財団にご支援頂き、米国ハーバード大学の岸義人先生の研究室へ留学しました。アメリカでは天然物合成を通して様々な経験を積むことができました。2017年 4月には大阪大学薬学部の薬品製造化学分野に特任助教として着任し、母校に帰ってくることができました。まだ教員としての立場に慣れていませんが、学生たちに協力してもらって留学中から考えていた研究テーマに取り組むことができています。これからは学生とともに成長していけるように頑張りたいと思います。

山 崎 淳 史 57 期(薬理) (第一三共株式会社)

私は 2014年に神経薬理学分野にて博士後期過程を修了し、現在は第一三共株式会社で感覚神経疾患を対象とする創薬研究に携わっています。在学中は多能性幹細胞からの誘導系を用いて神経細胞の分化に関する研究を行っており、主に in vitroの研究でしたが、第一三共株式会社に入社後は in vivo実験にも携わらせていただいています。少し領域は異なるものの、神経薬理学分野で学ばせていただいた研究手法を活かせる機会は多く、研究に対する取り組み方は企業でも変わらないように感じています。企業では、他分野の研究者と議論する機会が多く、異なる考え方を知ることで研究者として成長できているのではないかと感じています。これからも、患者さんに喜んでもらえるような治療薬の創出に向けて、日々努力したいと考えています。

多 久 和 綾 子 58 期(物化) (大阪大学大学院医学系研究科)

2016年 3月に博士後期課程を修了し、現在は大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学で、ヒトの遺伝子解析研究を行っています。ヒトゲノムはおよそ 30億塩基対からなり、その 0.1~ 0.3%ほどに個人間のバリエーションがあると考えられています。これらの変異の多くは問題とならないものがほとんどですが、まれに変異がタンパク質の機能に影響を与え、疾患原因となることがあります。現在私は、遺伝性が疑われる循環器疾患患者さんとそのご家族の変異解析を行い、原因変異の探索と、原因遺伝子の機能解析による疾患発症メカニズムを研究しています。今年は家族も増えて多忙な毎日ですが、新たな治療法の開発を目指して奮闘しています。

幡 生 あ す か 58 期(薬情) (大阪大学大学院薬学研究科附属実践薬学教育研究センター 医療薬学教育研究ユニット)

高木達也先生のご指導の下、私は 2018年 3月に博士号を取得しました。学部 4年次で情報・計量薬学分野に所属してから 9年の歳月が経ちました。その間、博士課程で学ぶ傍ら、大阪大学医学部附属病院未来医療センターで特任技術職員として 3年あまり勤務しました。臨床研究に関する書類作成という立場で、医学部附属病院で実施されている最先端の研究を知ることができました。現在は大阪大学大学院薬学研究科附属実践薬学教育研究センター 医療薬学教育研究ユニットに所属し、上島悦子先生のご指導の下、薬学教育研究に携わっています。今後も多くの方々や様々な研究との出会いを大切にし、微力ながら薬学の発展に貢献したいと思います。

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舎 川 洸 太  舎 川 千 明(旧姓:堀井)60 期(薬効) (科研製薬株式会社) 60 期(分析) (淀川キリスト教病院)

私は藤尾 慈先生のご指導のもと 2017年に博士後期課程を修了後、現在は科研製薬株式会社にて、免疫・炎症領域の創薬研究に携わっています。昨年は社会人一年目ということもあり戸惑うことばかりでしたが、最近ではようやく任される仕事も増えてきました。素人同然の私の意見や質問に対しても、真摯に議論してくださる先輩や上司の方々ばかりで、非常にやりがいのある環境で仕事をさせていただいております。創薬研究はなかなか成果の見えない仕事だと言われますが、プロジェクトが歩みを進められるよう、少しずつでも成果を積み上げていきたいと思います。昨年 12月に結婚し、私生活でも試行錯誤の毎日ですが、妻も私も薬に携わる職業

ということもあり、お互いが刺激となる日々を過ごしております。

原 孝 志 60 期(薬化) (住友化学株式会社)

2012年から 6年間、生物有機化学分野において、小比賀 聡先生の元で研究を行わせていただき、2017年に博士後期課程を修了しました。在学中には核酸医薬品に関わる合成研究をしておりましたが、住友化学株式会社に入社した後も引き続き、核酸を使った研究に携わることができています。現在は、核酸原薬の製造を中心とした研究を行っており、製薬企業や大学とも連携しながら新規医薬品の開発を進めています。大学在学中に学んだ知識や経験をフルに活かせる職場ですが、入社して 1年目ということもあり、まだまだ学ぶことも多いと痛感しています。今後さらに経験を積み、社会に貢献できるように努力して参りたいと思っています。

澤 田 健 太 郎 61 期(製造) (マルホ株式会社)

私は 2015年に博士前期課程を修了し、マルホ株式会社で合成関連の業務に取り組んでおります。入社当初は原薬の代謝物合成や、種々の検討用原薬の合成などに取り組んでおりました。現在では将来の安定生産や原価低減のための原薬のプロセス開発に取り組んでおります。現在所属している部署では、原薬の分析(HPLC、GC、熱分析など)も行います。合成以外の業務もあり、刺激の多い毎日です。大学時代の知識・経験が役立っているのは間違いありませんが、社会人になってからも勉強は続いております。周囲の方々に助けられつつではありますが、原薬の良いプロセスを開発できるよう日々精進して参ります。

永 野 貴 士 院 59期(毒性) (東和薬品株式会社)

2016年に堤 康央先生のご指導の下、博士後期課程を修了しました。現在は、東和薬品株式会社の製剤技術本部という部署で、ジェネリック医薬品の開発に携わっています。先発品と比べて、患者様に対し飲みやすい(苦くない・水なしで飲める)、また医療従事者に対し扱い易い(印刷面が判別し易い・分割し易い)など、付加価値の高い製剤を開発するために、日々従事しています。担当品目も多く開発期間も短いことから、業務が忙しい時期も多々ありますが、担当した品目が承認され世の中に届けることが出来たときは、非常に嬉しくやりがいを感じます。これからも、より良い医薬品を患者様・医療従事者の方々に届けることが出来るように尽力していきたいと思います。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  25

田 中 亨 院 61期(蛋白) (国立循環器病研究センター研究所分子生理部)

2017年 3月に土井健史先生、岡田欣晃先生のご指導の下、生命情報解析学分野にて博士課程を修了しました。現在は国立循環器病研究センターで流動研究員として勤務しております。私の所属研究室では心臓と血管系の発生・形態形成に関わるシグナル伝達因子や転写調節因子に着目し、先天性心疾患や循環器疾患の発症メカニズムや治療法の開発を目指して研究を行なっております。これまで行なってきた In vitro中心の研究から In vivo研究へとシフトし戸惑うことが多々ありましたが、現在では新たに習得した技術とこれまで培ってきた経験を織り交ぜながら新しい研究テーマを進めております。今後、より研究を発展させるために切磋琢磨していく所存ですので、ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い致します。

玉 置 杏 那 63 期(先進) (第一三共株式会社)

私は 2017年に薬学部薬学科を卒業し、第一三共株式会社に入社しました。現在は安全管理推進部評価グループの一員として働いています。本グループでは、安全性情報について、因果関係、重篤性、予測性などの観点から有害事象を評価します。対象は CRAやMR、DIセンター、海外子会社や提携会社からの情報、文献など実に様々です。評価の上で情報が不足している場合は医療機関に詳細な情報提供を依頼し、MDの意見を参考により適切な評価を目指しています。一例一例の症例評価の積み重ねが、リスク最小限化に繋がることを常に意識し業務にあたっています。まだまだ与えられた仕事をこなしていくことで精一杯ですが、Pharm.Dコース(大阪大学)で得た知識や経験を糧に頑張っていきます。

浅 山 恵 62 期(応環) (大阪大学医学部附属病院未来医療開発部)

2016年に薬学部薬学科を卒業し、大阪大学医学部附属病院未来医療開発部で働いています。私は、研究者が治験や臨床研究を計画・実施するにあたり、薬事戦略的な立場から協力しています。PMDAに対する相談の立案と対応など、さらに実施計画書など数多くの文書作成を支援しています。大学のシーズは、医薬品、医療機器、再生医療等製品にわたり、対象疾患も様々ですので、幅広く、ケースバイケースの対応が必要ですし、研究者の考えと規制の両方を踏まえて、ディスカッションを行うことに苦労しています。今後、研究者と規制当局の架け橋となれるような存在を目指し、大学発のシーズを実用化できるよう、また日本の医療の発展に貢献できるよう頑張りたいと思います。

2017年度版の薬友会名簿ができました!卒業生への配布を始めました。

【2017年度版の薬友会名簿お申し込み方法】

昨年の「薬友会だより 20 号」に同封した名簿注文用の振込用紙をご利用ください。お手元にお持ちでない方は、

卒業年度・氏名・フリガナ・郵便番号・住所・電話番号および、「2017 年度名簿希望」と明記の上、郵便局備え

付けの振込用紙にてお申し込みください。1 冊あたり 5,000 円(消費税、送料込み)です。お振り込みを確認後に、

名簿を発送します。

加入者番号:00900-8-7509

加 入 者 名:大阪大学薬友会

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26  大阪大学 薬友会だより 第21号

大阪大学沢井記念薬友会賞受賞

研究部門賞

櫻 井 文 教

特別会員大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野 准教授

この度、「microRNAによる遺伝子発

現制御システムを搭載した新規遺伝子

組換えアデノウイルスの開発」という

研究課題にて、平成 29年度大阪大学

沢井記念薬友会賞研究部門賞を拝受い

たしました。この場をかりて萬年成泰

会長をはじめ薬友会の皆様に御礼申し上げます。

一般に遺伝子導入に汎用される非増殖型アデノウイル

ス(Ad)ベクターは、他のウイルス遺伝子の発現に必

要となる E1遺伝子を遺伝子工学的に欠失させることに

より、ウイルス遺伝子が発現しないよう設計されていま

す。しかし実際には、細胞内の内因性の転写因子が Ad

ベクターゲノムに結合することによりウイルス遺伝子が

発現し、免疫応答や細胞障害を誘導することが問題と

なっています。私は、近年注目を集めている小分子

RNAである microRNAを利用することで、この副作用

の原因であるウイルス遺伝子の発現を抑制し、長期間に

渡り高効率な遺伝子発現を示す新規 Adベクターの開発

に成功しました。また、本 Adベクターを用いることで、

血友病モデルマウスの遺伝子治療に成功するとともに、

Adベクター投与後早期に観察される肝障害の発症機構

を解明しました。このように本 Adベクターは、遺伝子

治療用ベクターとしてのみならず、遺伝子機能解析にお

ける重要なツールとして汎用されることが期待されます。

この他にも私は、同様に microRNAを利用することで、

正常細胞におけるウイルス増殖を精密に制御可能な制限

増殖型 Ad(癌細胞特異的に増殖する Ad)や、臓器特異

的に導入遺伝子の発現を制御することで安全性を大きく

向上させた Adベクターの開発にも成功しました。今後

は、本受賞を励みとしてさらに研究・教育活動に邁進し

ていく所存です。最後になりましたが、本研究は、本研

究科分子生物学分野教授・水口裕之先生をはじめとする

多くの先生方・学生のご協力のもと実施されたものです。

この場を借りて関係者の方々に御礼申し上げます。

研究部門賞

山 口 卓 男

院51期大阪大学大学院薬学研究科生物有機化学分野 講師

この度、「薬物標的タンパク質の高選

択的な蛍光ラベル化」という研究課題

にて平成 29年度沢井記念薬友会賞研

究部門賞を拝受致しました。この場を

お借りし、萬年成泰会長をはじめとす

る薬友会の皆様に厚く御礼を申し上げ

ます。また、本研究の遂行にあたり多大なるご指導ご鞭

撻を賜りました袖岡幹子主任研究員(理化学研究所)、

橋本祐一教授(東京大学)、小比賀聡教授(本学)、なら

びに各機関で研究をサポートして下さった諸先生方や学

生の皆様に深く感謝を申し上げます。

本研究では、表現型スクリーニング等によって見出さ

れた生物活性化合物の標的タンパク質を、簡便かつ高確

度に同定するための手法開発に取り組んでまいりました。

標的タンパク質を同定する手法として、古くからアフィ

ニティー精製法やアフィニティーラベル化法が利用され

ていますが、このうち後者のアフィニティーラベル化法

は生きた細胞内の標的タンパク質を直接捕捉することが

できる大変強力な手法です。一方で、アフィニティーラ

ベル化法の原理上、生物活性化合物には複雑な化学修飾

を施す必要があり、簡便な手法とは言えませんでした。

私は、プローブ分子の設計を再考し、生物活性化合物に

「小さなタグ」を導入するだけの簡便性に優れたアフィ

ニティーラベル化法を開発してきました。「小さなタグ」

は、生物活性化合物と標的タンパク質の相互作用を妨げ

にくく、より高確度で標的タンパク質を同定することが

可能となります。研究当初、設計した「小さなタグ」が

うまく機能するか心配な部分もありましたが、予想を上

回る選択性で標的タンパク質の蛍光ラベル化が進行し、

結果的には優れた標的タンパク質同定法を創出すること

ができたと考えております。

今後は、本受賞を励みにして、更なる発展的な研究に

取り組んでいきたいと考えております。薬友会の皆様に

は、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、何

卒よろしくお願い申し上げます。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  27

奨励賞(D4)

下 剛 典

薬化[H30.4.1以降所属]中外製薬株式会社

この度、「RNAスプライシングを制御可能なアンチセン

ス核酸の配列設計と評価系に関する研究」という研究課

題にて、薬友会賞奨励賞を拝受いたしました。本研究に

おいては、RNAスプライシングの制御を作用機序とす

る核酸医薬品 splice-switching oligonucleotides(SSO)に対

して、糖部架橋型修飾核酸を導入した際の配列設計を検

討すると共に、必要な評価系細胞株を複数樹立しました。

2016年米国 FDAによって世界初の SSOとして Duchenne

型筋ジストロフィー治療薬 eteplirsenが承認されるなど、

近年 SSOへの注目が高まっています。一方で、eteplirsen

の薬効は依然として改善の余地がある事も指摘されてい

ます。本研究においては、SSOの更なる活性の向上を目

指して、十分な報告例がなかった糖部架橋型核酸を導入

した SSOを網羅的に設計、合成し、その活性を評価す

る事で、最適な配列設計法の検討を行いました。また、

核酸医薬品の活性に負の影響を及ぼす因子の一つとして、

SSOの自己高次構造形成を見出し、核酸化学的アプロー

チからその解消を目指しました。更には、稀少疾患であ

る Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の患者と同様

の遺伝子欠失変異をゲノム編集技術により導入した細胞

株や、SSOの迅速なスクリーニングを可能にするレポー

ター細胞株等、複数の評価系の樹立を達成しました。以

上の成果が、DMDのみならず数多くの遺伝性疾患治療

薬の創成に寄与する事を期待しております。

本研究課題の遂行に際し、ご指導、ご鞭撻を頂きまし

た小比賀教授、橘特任講師をはじめ、ご助力いただきま

した生物有機化学分野の皆様と国内外の先生方に厚く御

礼申し上げます。また在学中は、研究留学や薬剤師免許

の取得、リーディング大学院への参加など様々な挑戦を

させて頂きました。本研究課題の遂行に際して、これら

の活動から多大なる影響を受けました。諸活動にご理解

を頂き、ご指導頂きました、日本学術振興会、University

of Alberta、大阪大学薬学部、大阪大学超域イノベーショ

ン博士課程プログラムの諸先生方に厚く御礼申し上げ

ます。

奨励賞(D3)

和 田 郁 人

薬化[H30.4.1以降所属]

国立循環器病研究センター研究所 特任研究員

この度、「動脈硬化症の治療を目的とした新規アンチセ

ンス薬の開発とその副作用克服に向けた薬物送達技術に

関する研究」という研究課題にて、薬友会賞奨励賞を拝

受致しました。このような賞を頂きましたこと、大変光

栄に存じます。薬友会の皆様に厚く御礼申し上げます。

本研究では、動脈硬化症の治療に向けて、アンチセン

ス核酸を基盤とした創薬に取り組みました。動脈硬化症

は、本邦の死因の多くを占める心血管疾患や脳血管疾患

などの重篤な疾患の原因となります。動脈硬化の形成、

進展を促す因子は様々ですが、悪玉コレステロールとし

て知られる LDLコレステロールの高値が最も大きな要

因と言えます。現在は、このような疾患に対しスタチン

が第一選択薬ですが、十分に治療できない患者も多く、

新たなタイプの薬の開発が求められています。そこで本

研究では、PCSK9という LDLのクリアランスに関与す

るタンパク質を標的としたアンチセンス薬の開発研究を

行いました。アンチセンス薬は、タンパク質の情報をコー

ドする mRNAを分解誘導する短い人工核酸で、標的の

タンパク質の産生を選択的に阻害することが可能な次世

代の薬として近年注目されております。私は、学部 4年

生より、アンチセンス薬のスクリーニング法や薬物送達

技術の研究を行ってきましたが、本博士論文研究では今

まで培ってきた技術を最大限に活かすことができ、最終

的にはヒトに近いモデルであるカニクイザルに対して高

い PCSK9発現抑制活性とそれに伴う強力な LDLコレス

テロール低下作用を示すアンチセンス薬の開発に成功し

ました。本アンチセンスは、患者の病態および QOLを

著しく改善する薬になることが期待され、今後もご指導

してくださった先生方や本研究をサポートして頂いた共

同研究者の皆様と共に、実用化に向けて開発を進めてい

けたらと思います。

小比賀先生をはじめとした生物有機化学分野の皆様、

本研究に対して多大なるご指導ご協力賜った国立循環器

病研究センター斯波先生および室員の先生方に心より感

謝申し上げます。

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28  大阪大学 薬友会だより 第21号

若手奨励賞(M2)

井 上 俊 介

生化[H30.4.1以降所属]大阪ガス株式会社

この度は、平成 29年度修士論文研究発表会におきまし

て、「ウイルス製剤であるレオウイルスのドラッグリポ

ジショニングによる肝線維化治療に関する研究」という

研究テーマで、若手奨励賞を拝受いたしました。

腫瘍溶解性ウイルスとして臨床開発が進められている

レオウイルスは、腫瘍細胞特異的に増殖し死滅させるこ

とが知られておりますが、本研究ではレオウイルスが腫

瘍細胞のみならず、肝線維化の原因となる筋線維芽細胞

に対しても治療効果を有するのではないかと仮説を立て、

検討を行いました。その結果、レオウイルスが顕著な肝

線維化抑制効果を示すことを見出しました。さらに、二

本鎖 RNAであるレオウイルスゲノムが、自然免疫受容

体に認識されることで肝線維化抑制効果が誘導されるこ

とを明らかにしました。本研究成果は、レオウイルスの

線維化治療薬としての臨床応用に大きく貢献するものと

期待されます。

最後になりましたが、私が今回受賞できたのは、御指

導、御鞭撻を賜りました水口裕之教授、櫻井文教准教授

をはじめとする分子生物学分野の皆様、共同研究の先生

方、ならびに多方面から支えてくれた家族のおかげであ

り、心より感謝いたします。

若手奨励賞(M2)

小 林 哲 也

合成[H30.4.1以降所属]ニプロ株式会社

この度、平成 29年度修士論文研究発表会におきまして、

「超原子価ヨウ素試薬を用いる 2級アミンの酸化的転位

反応の開発」という演題で薬友会若手奨励賞を拝受いた

しました。

超原子価ヨウ素試薬を用いる酸化的転位反応は有名な

1,2-転位反応の一つです。窒素原子への炭素鎖の転位反

応の例として、アミド窒素への転位であるホフマン転位

は有名ですが、アミン窒素への転位反応は未だに報告例

がありませんでした。そこで私は、超原子価ヨウ素試薬

を用いて 2級アミンでの直接的な転位反応の開発に着手

しました。スピロ環構造を持つインドール型の基質を用

いて検討し、良好な収率で環拡大生成物を得ることに成

功しました。また、転位後の反応条件を変更することで、

中、大員環化合物を得ることにも成功しました。環ひず

みの小さい 6員環スピロ構造を持つ基質から中員環化合

物を収率よく得ることに大変苦労致しましたが、溶媒等

の反応条件を精査することで本問題を解決することがで

きました。日々の実験において研究の難しさや厳しさを

痛感することもありましたが、実験検討が成功する喜び

を噛みしめることができ、大変貴重な経験をさせていた

だけたと思っております。

最後になりましたが、本研究を遂行するにあたり、ご

指導賜りました藤岡弘道先生、有澤光弘先生、村井健一

先生並びに、学生生活をご支援、ご協力くださいました

同分野の皆様、家族に感謝いたします。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  29

若手奨励賞(M2)

西 本 愛

微生[H30.4.1以降所属]塩野義製薬株式会社

この度、平成 29年度修士論文研究発表会におきまして、

「加齢に伴い減少する RNA中の 5-hydroxymethylcytosine

機能解析」という題目で、薬友会賞若手奨励賞を拝受い

たしました。

RNAは転写後にメチル化、アセチル化やアミノ酸付

加など 100種類以上の多彩な修飾を受けます。近年、こ

れらの RNA修飾の異常が癌をはじめとする疾患に関与

することが見出され、RNA修飾の生物学的意義の理解

に注目が集まっています。そこで私は、加齢の進行にも

RNA修飾が関わる可能性を考え、加齢に伴う RNA修飾

変化の解析を試みました。その結果、マウスの加齢およ

び細胞老化の進行に伴い tRNA中に含まれる修飾体の

5-hydroxymethylcytosine(hm5C)が減少することを発見し

ました。また、in vitroにおいて hm5Cを含む tRNAはタ

ンパク質翻訳効率を亢進させることを見出し、加齢の進

行に伴い減少する tRNA中の hm5Cがタンパク質翻訳を

制御することを初めて発見しました。

この度の受賞により、本研究成果と発表が評価された

ことを大変嬉しく感じております。本受賞を励みに、今

後もより一層精進し、社会に貢献することで恩返しして

いきたいと思います。

最後になりますが、この栄誉ある賞を賜ることができ

ましたのは、本研究を遂行するにあたり御指導、御鞭撻

を賜りました辻川和丈教授、深田宗一朗准教授をはじめ

とする細胞生理学分野の皆様、ならびに終始温かく支え

てくれた友人や家族のおかげであり、ご支援を賜りまし

た全ての方に格別の感謝の意を表します。

若手奨励賞(M2)

堀 江 直 宏

薬化[H30.4.1以降所属]

大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程 1年

この度、平成 29年度修士論文研究発表会におきまして、

「置換基導入型グアニジン架橋を有する人工核酸の簡便

な合成法開発とその特性評価」という演題にて、薬友会

若手奨励賞を拝受いたしました。

当研究室が開発したグアニジン架橋型人工核酸 GuNA

は、相補鎖結合親和性や酵素分解耐性、細胞膜透過性に

おいて優れた特性を有しており、アンチセンス核酸への

応用が期待されています。本研究では、GuNAのさらな

る機能性拡張を志向して、グアニジノ基に置換基を導入

した GuNA誘導体の合成と相補鎖結合親和性の評価を

行いました。GuNA誘導体の合成に際して、従来法でグ

アニジノ基の保護基として用いてきた Boc基を Ac基へ

と変換し、酸性条件下で不安定なプリン塩基を含む

GuNA誘導体導入オリゴヌクレオチドの合成法を確立し、

計 5種類の GuNA誘導体を効率良く合成することに成

功しました。加えて、嵩高い脂溶性置換基を導入した際

に、より強い相補鎖結合親和性を示すという他に類を見

ない特性を見出すことが出来ました。本研究で合成した

GuNA誘導体がこれまで以上に活性の強いアンチセンス

核酸の開発の基盤となることを大いに期待しております。

最後になりましたが、本研究を遂行するにあたり、小

比賀聡教授、山口卓男講師をはじめとする諸先生方なら

びに生物有機化学分野の皆様から多くのご指導、ご鞭撻

を賜りましたことを深く御礼申し上げます。

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30  大阪大学 薬友会だより 第21号

若手奨励賞(B6)

藤 田 亜 衣 里

未来医療開発[H30.4.1以降所属]大塚製薬株式会社

この度、平成 29年度長期課題研究発表会に置きまして、「がん免疫療法における NK細胞の動態と遺伝子発現解析」と

いう演題で、薬友会若手奨励賞を拝受いたしました。腫瘍を構成している様々な細胞を遺伝子レベルで解析すること、又、

腫瘍内環境を視覚的に明示することは今後のがん治療に大きく寄与するものであると考えています。本研究では、所属

する研究室が見出した HVJ-Eのもつ抗腫瘍免疫の機序を解明することを目指し、特に NK細胞に注目して実験を行いま

した。NK細胞は体内の免疫細胞のわずか 2%に過ぎず、その挙動をとらえることは非常に難しかったです。その中で、

研究の指針を立てる方法や実験を組む上での系の工夫などを例として、ʻ考えるʼ ことを学ばせていただきました。私は、

常識で考えるのではなく目の前のデータで考えることを大事に研究を行っています。4月からは環境は変わりますが研

究に関わり続けることの出来る縁に感謝し、より一層精進して参りたいと思っております。最後になりましたが、本研

究を遂行するにあたりご指導賜りました金田安史先生、安永桂一郎先生、二村圭祐先生、佐賀公太郎先生並びにご支援

ご協力くださいました皆様に感謝いたします。

スタートアップ賞(B4)

竹 内 修 斗薬理

[H30.4.1以降所属]大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 29年度卒業研究発表会におきまして、「統合失調症の発症脆弱性因子としての VPAC2受容体過活性化による大脳皮質神経発達異常の解析」という演題で薬友会賞スタートアップ賞を拝受いたしました。発症や治療・寛解機構が未解明である統合失調症ですが、

近年になって VPAC2受容体をコードする VIPR2遺伝子の重複と統合失調症が高オッズ比で関連することが明らかにされました。今回私は、大脳皮質由来のマウス初代培養神経細胞を用いて、VPAC2受容体の活性化が神経細胞の軸索や樹状突起の退縮を引き起こすことを見出し、本受容体活性化の病態生理学的意義の一端を明らかにしました。またこの作用には、PKAの活性化とそれに引き続く転写活性化が関与していました。今後は VPAC2受容体の下流シグナルに着目し、より詳細なメカニズムの解明と創薬標的分子の探索を進めていきたいと考えています。最後になりましたが、本研究を遂行するにあたりご指導を

賜りました橋本均先生、吾郷由希夫先生をはじめとする神経薬理学分野の皆様に心より感謝申し上げます。

柳 原 瑞 士合成

[H30.4.1以降所属]大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 29 年度卒業研究発表会におきまして、「Trialkylsilyl trifrate, 2,2’-bipyridyl組み合わせ条件下におけるフェノール性MOMエーテルの反応性研究」という演題で、薬友会賞スタートアップ賞を拝受いたしました。当研究室では、脂肪族MOMエーテルに対し、trialkylsilyl

trifrateと 2,2’-bipyridylを作用させることで、ピリジニウム型塩中間体が形成されることを報告しています。しかし、フェノール性MOMエーテルを用いた場合には、塩中間体の形成を確認できませんでした。本研究では、フェノール性MOMエーテルの trialkylsilyl trifrate, 2,2’-bipyridyl組み合わせ条件下における反応条件を精査し、フェノール性MOMエーテルが脂肪族MOMエーテルとは異なる反応性を示すことを明らかにすることができました。また、その差異を利用したこれまでにない反応を開発することにも成功しました。今後は、本研究で学んだことを活かし、更なる研究活動に努めていく所存です。最後になりましたが、本研究においてご指導を賜りました、藤岡先生をはじめとする分子合成化学分野の皆様方、また生活面で支えてくれた家族に心から感謝申し上げます。

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大阪大学 薬友会だより 第21号  31

平成 29年度学位授与式 沢井記念薬友会賞授与式薬学部・薬学研究科卒業祝賀会――― 平成 30年 3月 22日 ―――

和 田 祐 希合成

[H30.4.1以降所属]大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 29年度卒業研究発表会におきまして、「酸化チタン光触媒担持型金属ナノ粒子の開発とその反応性に関する研究」という演題で薬友会スタートアップ賞を拝受いたしました。光触媒は太陽光エネルギーを化学エネルギーへと変換できるため、環境負荷の小さな反応系を構築できる可能性を秘めています。また、金属ナノ粒子担持型触媒についても従来の金属触媒と比べて触媒活性が高く、触媒の再利用も可能であることから近年注目を集めています。本研究では、当研究室独自の in situナノ空間制御法を応用し、繰り返し利用が可能な酸化チタン光触媒担持型白金ナノ粒子を開発しました。この触媒の活性について種々検討したところ、エーテル合成反応の触媒となることを見出しました。今後は、より有用な反応を見出すべく、この度の栄誉を励みに精進して参ります。最後になりましたが、本受賞は、ご指導ご鞭撻を賜りました藤岡弘道先生、有澤光弘先生を始めとする諸先生ならびに分子合成化学分野の皆様、終始温かく支えてくれた家族や友人のおかげであり、心より感謝申し上げます。

山 本 果 奈薬理

[H30.4.1以降所属]大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 29年度卒業研究発表会におきまして、「統合失調症多発家系患者の iPS細胞由来分化神経細胞を用いた分子病態解析」という題目で、薬友会賞スタートアップ賞を頂きました。本研究では、統合失調症の分子病態の一端を明らかにする

ことを目的として、共同研究にて同定した統合失調症多発家系の患者に由来する iPS細胞を神経細胞に分化させ、遺伝子発現解析および機能解析を行いました。この患者由来神経細胞では、既存の抗精神病薬の標的であるドパミン D2受容体の mRNAスプライシングに異常が生じ、ドパミン含量の低下および神経活動のバランスが変化している可能性を示唆する結果を見出しました。本研究成果が、統合失調症の新たな治療戦略の開発に向けた一助となれば幸いです。最後になりますが、本研究を遂行するにあたり、ご指導、

ご鞭撻を賜りました、神経薬理学分野の橋本均教授、創薬センター特任准教授(現、歯学研究科准教授)の中澤敬信先生、ならびに神経薬理学分野の皆様方、また本研究にご協力を頂きました多くの共同研究者の方々に心より御礼申し上げます。

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32  大阪大学 薬友会だより 第21号

「E. C. Taylorシニア国際賞」を受賞して北 泰 行  院15期立命館大学招聘研究教授/阪大名誉教授

私は、2008年阪大停年退職後も立命館大学薬学部教授、同総合科学技術研究機構・創薬

科学研究センター長として研究を続けているが、昨年秋にドイツ・レーゲンスブルグで開

催された第 26回国際複素環会議(ISHC Congress)で、E. C. Taylor Senior Awardを受賞した。

ISHC会議は 1968年米国 Raymond N. Castle教授により設立され、1981年度より傑出した

複素環化学者に対して ISHC Senior Awardを授与してきた。2013年より米国 E. C. Taylor教

授(1989年受賞者)の栄誉を称え、その名称を冠した賞となり、2年に 1度開催される国

際会議で 1名が選出される。

日本人としては、1985年亀谷哲治東北大学名誉教授、2003年福山 透東京大学名誉教授(現名古屋大学特任

教授)に続いて 14年ぶり 3人目の受賞となる。受賞対象は以下の 2点に集約される。まず、複素環を含有し

複雑な構造を有するディスコハブディン Cおよび A、フレデリカマイシン A、γ-ルブロマイシン等の生物活性

天然物の最初の全合成を達成したことである。2点目は、ノーベル賞受賞で一躍世に知られるようになった炭

素と炭素を結合させる根岸および鈴木クロスカップリング反応であるが、この方法では反応させる化合物に金

属やハロゲンを予め付ける工程及びレアメタル触媒を必要とする。一方、受賞内容として特に注目されたのは、

ヨウ素反応剤を用いることによりこれらを不要とし、通常の炭素と炭素のクロスカップリングだけでなく、従

来法では難しかった窒素、酸素、硫黄を含む複素環化合物のクロスカップリング反応も可能な画期的な反応と

して世界の注目を集め、さらにレアメタルや重金属を用いないので安全と持続可能なグリーンケミストリーと

して高く評価されたことである。

阪大時代の成果は既に、国内で薬学会奨励賞(1986年)、薬学会学術貢献賞(1997年)、薬学会賞(2002年)、

プロセス学会優秀賞(2006年)、ヨウ素学会賞(2008年)と受賞しているが、今回国際的な賞を受賞出来て、

阪大 40年、立命館大 10年と、50年間にわたって取り組んで来た研究が国際的に世界の有機化学者に認めら

れたことは光栄なことであると共に、望外の喜びである。共同研究者として協力頂いた多くの先生方、研究員、

大学院生の方々に心より御礼申し上げたい。

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2018」受賞報告末 延 則 子  院37期株式会社ポーラ・オルビスホールディングス グループ研究・薬事センター担当 執行役員

2017年 12月 1日、ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2018 大賞を受賞いたしましたことをご

報告申し上げます。ウーマン・オブ・ザ・イヤーとは、キャリアアップ、女性としての

生き方などをテーマに、働く女性たち向けのビジネス誌である「日経WOMAN」が主催し、

(1)働く女性のロールモデルを掲示(2)組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当て

る(3)活躍した女性たちを通して時代の変化の矛先をとらえるという主旨のもと、1999

年から毎年 12月、その年活躍した働く女性に授与されている賞です。

私の授賞理由となりましたポーラ リンクルショット メディカル セラム開発は、ポーラ化成工業株式会社

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大阪大学 薬友会だより 第21号  33

が 15年の歳月をかけてシワの改善メカニズムや素材の探索を行い、開発した新規有効成分を配合し、シワ改

善を効能効果とする医薬部外品としての承認を得たものです。本製品は、2017年 1月の発売以来、56万人を

超えるお客様にご愛顧頂き、2017年日経優秀製品・サービス賞にて「最優秀賞日本経済新聞賞」を受賞する

など、化粧品の枠に留まらず、社会的にも大きく注目して頂くことができました。

本製品のヒットは、ポーラ・オルビスホールディングという一企業体におけるイノベーションの結果ではな

く、日本香粧品学会を中心とした業界、皮膚科専門医、薬学研究者が、「シワ改善」という新しいカテゴリを

先導し、切り拓いた結果であり、長年にわたる諸先輩方のご努力と、ご功績があってこその賜物と、尊敬と感

謝の念が増すばかりでございます。

また、本製品の開発期間は 15年と、通常の化粧品開発と比較して格段に長く、開発途中には数えきれない

くらいの挫折や失敗を繰り返してまいりました。しかしながら、そのたびに、メンバーの前向きで真摯な姿勢

と創意工夫を厭わない努力に助けられ、開発を続けることができました。

日本の香粧品研究は名実ともに、世界におけるトップクラスであり、薬用化粧品を始め、生み出される製品

の品質、有効性はグローバルに十分評価されているものと認識しております。今後は、日本の化粧品研究が益々

発展するよう、香粧品学を志す若手研究・開発者の方々のご活躍に少しでもお役に立てるべく、精進する所存

でございます。

最後になりましたが、修士課程より温かいご指導を賜りました恩師、大阪大学大学院薬学研究科特任教授 

八木清仁先生をはじめとする先生方、受賞に際し、お祝いのメッセージを頂きました諸先輩方、影となり日向

となり支えてくれた開発メンバーに心からの感謝を申し上げます。

「平成29年度日本薬学会化学系薬学部会賞」を受賞して森 本 功 治  52期立命館大学薬学部

私は、この度、「ヘテロ原子を有する芳香族化合物類の革新的なメタルフリー酸化的結合

形成」に関する研究で、日本薬学会化学系薬学部会の「平成 29年度日本薬学会化学系薬

学部会賞」を拝受しました。以下、研究成果「ヘテロ原子を有する芳香族化合物類の革新

的なメタルフリー酸化的結合形成」について簡単に説明させて頂きます。

ヘテロ芳香環を有するビアリール類は、天然物、π共役系ポリマーの有用な前駆体や金

属触媒のリガンドとして有用な化合物です。芳香環に芳香環をつなぐ手法としては、根岸

及び鈴木クロスカップリング反応のようなノーベル賞を受賞した方法が一般的ではあるが、

同手法では、反応させる化合物に金属やハロゲンを導入すること、また遷移金属触媒が必要でありました。ヘ

テロ原子を有する芳香族化合物のクロスカップリング反応の研究は、当時遷移金属触媒を用いても反応の制御

が難しいとされていましたが、私は金属触媒を用いないで超原子価ヨウ素反応剤の分子設計と、反応条件の精

査により様々なヘテロ原子を有する芳香族化合物へと展開に成功しました。私が開発した方法は予めハロゲン

化やメタル化等の構造修飾を必要としない直接的かつ簡便で、副産物の少ない有用な手法です。

このようなヨウ素反応剤による酸化的クロスカップリング反応研究において、本賞の受賞に至りました。

本研究は、私が大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程在籍中から 10年以上一貫して取り組んできた研究

です。最後になりましたが、本受賞は大阪大学名誉教授(現立命館大学総合科学技術研究機構 招聘教授)北 

泰行先生のご指導、学生の皆さんのご努力の賜物であり、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

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34  大阪大学 薬友会だより 第21号

 八木 清仁24期 大阪大学大学院薬学研究科 教授学会名 国立大学法人 大阪大学課題名 大阪大学の薬学教育における学務会議議長としての永年

にわたる貢献受賞の名称 大阪大学賞(教育貢献部門)受賞日 平成 29年 11月 22日

 柴田 哲男院 36期 名古屋工業大学大学院工学研究科 教授学会名 デリー大学化学科創立 75周年記念国際会議受賞の名称 Prof. B. D. Laroia Memorial Lecture Award

受賞日 平成 30年 1月 13日

 岡田 直貴40期 大阪大学大学院薬学研究科 教授学会名 第 33回日本 DDS学会学術集会課題名 経皮デリバリー技術を活用したワクチン・免疫療法の開発受賞の名称 第 10回日本 DDS学会 水島賞受賞日 平成 29年 7月 7日

 有澤 光弘院 44期 大阪大学大学院薬学研究科 准教授学会名 国立大学法人 大阪大学課題名 創薬を指向した環境調和型金属ナノ粒子触媒創製の研究受賞の名称 大阪大学賞(若手教員部門)受賞日 平成 29年 11月 22日

 吾郷 由希夫49期 大阪大学大学院薬学研究科 准教授学会名 公益社団法人日本薬理学会受賞の名称 2017年度日本薬理学会 Journal of Pharmacological Sciences誌

優秀査読者賞受賞日 平成 30年 3月 10日

 澤間 善成49期 岐阜薬科大学 薬品化学研究室学会名 有機合成化学協会課題名 脱水素型酸化を基盤とした不均一系触媒的反応の開発と

応用受賞の名称 2017年研究企画賞(三菱ケミカル研究企画賞)受賞日 平成 29年 12月 8日

 立花 雅史50期 大阪大学大学院薬学研究科 特任准教授学会名 第 1回がんと代謝研究会・若手の会課題名 飽和脂肪酸による骨髄由来免疫抑制細胞分化制御とがん

退縮効果受賞の名称 優秀発表賞受賞日 平成 30年 1月 17日

学会名 第 24回日本免疫毒性学会学術年会課題名 グルタミン酸シグナルによる骨髄由来免疫抑制細胞の機

能制御

受賞の名称 年会賞受賞日 平成 29年 9月 5日

 一條 知昭51期 大阪大学大学院薬学研究科 助教学会名 日本薬学会 環境・衛生部会課題名 環境細菌の統合的理解に関する衛生微生物学的研究受賞の名称 平成 29年度日本薬学会 環境・衛生部会賞・金原賞受賞日 平成 29年 9月 1日

 伊藤 元気院 54期 明治薬科大学学会名 有機合成化学協会課題名 ロジウム触媒を用いる窒素-窒素結合形成を機軸とする

ポリアミン類の新規合成法の開発受賞の名称 2017年研究企画賞(富士フィルム研究企画賞)受賞日 平成 29年 12月 8日

 八幡 健三院 57期 大阪大学大学院薬学研究科 助教学会名 The 26th International Society of Heterocyclic Chemistry

Congress

課題名 A Convergent, Efficient, and Scalable Total Synthesis of

Halichondrins

受賞の名称 26ISHC Eur JOC Poster Prize

受賞日 平成 29年 9月 8日

 下 剛典60期 中外製薬株式会社学会名 13th Annual Meeting of the Oligonucleotide Therapeutics

Society

課題名 A Novel Human Muscle Cell Model of Duchenne Muscular

Dystrophy Created by CRISPR/Cas9

受賞の名称 Travel Grant

受賞日 平成 29年 9月 24~ 27日

学会名 日本薬学会第 138年会課題名 Locked nucleic acids導入 splice-switching oligonucleotidesが形

成する自己高次構造の抑制とエキソンスキッピング活性の評価

受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 30年 4月 13日

 藤原 健人63期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 2年学会名 第 33回日本 DDS学会学術集会課題名 mRNAエレクトロポレーション法により作製した腫瘍

血管標的化ヒト CAR-T細胞の品質・機能評価受賞の名称 優秀発表賞(ポスター発表の部)受賞日 平成 29年 7月 7日

学会名 日本薬学会第 138年会課題名 CARのヒンジ・膜貫通領域改変による CAR-T細胞機能

制御に関する基礎的検討

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大阪大学 薬友会だより 第21号  35

受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 30年 4月 13日

 根来 亮介院 63期 大阪大学大学院薬学研究科 博士課程 4年学会名 日本薬学会第 138年会課題名 ヒト iPS細胞から小腸型の腸管上皮細胞への高効率な分

化誘導法の開発受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 30年 4月 13日

 木村 瑠美64期 小野薬品工業株式会社学会名 第 132回日本薬理学会近畿支部会課題名 細胞死抑制因子 Dad1の心筋細胞における意義受賞の名称 学生優秀発表賞受賞日 平成 29年 11月 24日

 窪木 勇一64期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 2年学会名 第 43回反応と合成の進歩シンポジウム課題名 ピリジニウム塩中間体を用いた含フッ素化合物の合成研究受賞の名称 富山学生ポスター賞受賞日 平成 29年 11月 7日

 小垣 考弘64期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 1年学会名 日本薬学会第 138年会課題名 非小細胞肺癌における ALKBH3 発現抑制時の細胞死メカ

ニズムの解明受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 30年 4月 13日

 坂上 俊64期 大阪大学大学院薬学研究科 科目等履修生学会名 第 33回日本 DDS学会学術集会課題名 生体適合性材料を用いた二段型ソリッドマイクロニードル

の開発受賞の名称 優秀発表賞(ポスター発表の部)受賞日 平成 29年 7月 7日

 中 雄一郎64期 大阪大学医学部付属病院 未来医療開発部 未来医療センター学会名 日本薬学会第 138年会課題名 全脳イメージング法を用いた発達障害モデルマウスの脳

形態解析受賞の名称 優秀発表賞(口頭発表)受賞日 平成 30年 4月 13日

 野村 加奈子64期 大阪赤十字病院薬剤部薬事衛生課学会名 第 67回日本薬学会近畿支部大会課題名 CGRPを介した神経―免疫系―癌制御系の検証受賞の名称 学生ポスター賞受賞日 平成 29年 10月 14日

 樋口 桃子64期 大阪大学薬学部 科目等履修生学会名 第 60回日本神経化学会大会課題名 Differentiated antidepressant-like profile of ketamine

enantiomers in mouse models of depression

受賞の名称 Poster Award in JSN2017 meeting

受賞日 平成 29年 9月 8日

 元山 直人64期 プロクター・アンド・ギャンブル ジャパン株式会社学会名 18th International Conference on Medicinal Chemistry &

Targeted Drug Delivery(December 06-08, 2017 Dallas, USA)課題名 Interaction analysis of MDM2 inhibitor by fragment molecular

orbital method

受賞の名称 Poster Award

受賞日 平成 29年 12月 8日

 守沖 瞳64期 塩野義製薬株式会社学会名 第 132回日本薬理学会近畿支部会課題名 腎線維化病態における転写因子 OASISの役割受賞の名称 学生優秀発表賞受賞日 平成 29年 11月 24日

 LIM JAEEUN64期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 1年学会名 第 64回日本生化学会近畿支部例会課題名 ヒト iPS細胞の未分化性制御におけるマイクロ RNA、

miR-27bの機能評価受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 29年 5月 27日

 中前 壮一郎院 64期 住友化学株式会社学会名 第 64回日本生化学会近畿支部例会課題名 DNAメチル化酵素 DNMT3Bを標的としたヒト iPS細胞

由来肝細胞成熟化の検討受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 29年 5月 27日

 衛藤 舜一65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 2年学会名 日本薬学会第 138年会課題名 非晶質ナノシリカの事前投与による肝障害の増悪に関わ

る因子の同定に向けた検討受賞の名称 学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日 平成 30年 4月 13日

 中辻 悠輔66期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 1年学会名 第 67回薬学会近畿支部・総会課題名 N4位に 2-(2-アミノエトキシ)フェニル基を有するシチ

ジン誘導体の合成と機能評価受賞の名称 ポスター賞受賞日 平成 29年 10月 14日

 馬場 優志65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 2年学会名 次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム 2017

課題名 複数の自閉症患者に de novo変異が認められる PRKD2遺伝子産物の機能解析

受賞の名称 優秀ポスター発表賞受賞日 平成 29年 8月 26日

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36  大阪大学 薬友会だより 第21号

周  怡  博士後期課程1年

目  的:9th International Conference on PLS and Related Methods

(PLS ’17)にて口頭発表を行う。派遣期間:H29.6.16~ H29.6.20

派 遣 先:中国

阪 野 文 哉  博士後期課程3年

目  的:IUMS2017にてポスター発表を行う。派遣期間:H29.7.16~ H29.7.22

派 遣 先:シンガポール

太 田 礼 伊 也  博士後期課程2年

目  的:第 18回テトラへドロンシンポジウムアジア大会にてポスター発表を行う。

派遣期間:H29.7.22~ H29.7.28

派 遣 先:オーストラリア

藤 居 由 基  博士後期課程3年

目  的:第 18回テトラへドロンシンポジウムアジア大会にて口頭発表を行う。

派遣期間:H29.7.22~ H29.7.28

派 遣 先:オーストラリア

窪 木 勇 一  博士前期課程2年

目  的:26th ISHC Congressにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.9.2~ H29.9.9

派 遣 先:ドイツ

秋 山 敏 毅  博士後期課程1年

目  的:26th ISHC Congressにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.9.2~ H29.9.9

派 遣 先:ドイツ

大 野 祥 平  博士後期課程1年

目  的:26th ISHC Congressにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.9.2~ H29.9.9

派 遣 先:ドイツ

森 田 健 太  博士後期課程1年

目  的:26th ISHC Congressにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.9.2~ H29.9.9

派 遣 先:ドイツ

吉 川 祐 介  博士後期課程1年

目  的:26th ISHC Congressにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.9.2~ H29.9.9

派 遣 先:ドイツ

高 本 康 平  博士後期課程3年

目  的:26th ISHC Congressにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.9.2~ H29.9.9

派 遣 先:ドイツ

芳 賀 優 弥  博士前期課程2年

目  的:Advances in Breast Cancer Researchにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.10.6~ H29.10.12

派 遣 先:アメリカ

田 中 翔 太  博士後期課程2年

目  的:American Heart Association Scientific Session 2017にてポスター発表を行う。

派遣期間:H29.11.11~ H29.11.15

派 遣 先:アメリカ

小 垣 考 弘  博士前期課程2年

目  的:ASCB EMBO 2017meetingにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.12.1~ H29.12.8

派 遣 先:アメリカ

元 山 直 人  博士前期課程2年

目  的:18th International Conference on Medicinal Chemistry & Targeted

Drug Deliveryにてポスター発表を行う。派遣期間:H29.12.5~ H29.12.10

派 遣 先:アメリカ

平成29年度マルホ大学院生等海外派遣平成29年度大阪大学薬学部・大学院薬学研究科海外研修助成制度

「大学院生海外派遣」採択者一覧

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大阪大学 薬友会だより 第21号  37

薬友会では 48期生以降については終身会費制※をとって

いますが、それ以前の卒業生には、会費に代わってご寄付

をいただくことにしております。下記の一覧は 2017年 5

月 1日より 2018年 4月 30日の間に終身会費とご寄付をい

ただいた方です。ご寄付いただいた会員諸兄姉にお礼申し

上げますと共に、引き続き広くご協力をお願いいたします。

なお寄付は 1口 5,000円とし、同封の振込用紙でお送り下

さいますようお願いいたします。また、終身会費をこれま

で支払われていない方は、この機会に是非お納めください。

※終身会費は、48期生(2000年の春に学部卒業または大学院入学)以降の会員に、入会時にお支払い頂いております。

終身会費納入者竹村 充代 (48)小林 哲也 (64)田中 敬介 (64)土持  出 (64)中辻 由乃 (64)森田このみ (64)金田 英莉 (65)金井 優紀 (66)栗原由美子 (66)菅谷  俊 (66)中尾  香 (66)柳原 瑞士 (66)櫻井美由紀 (68)愛染 芳朗 (69)池邉 美季 (69)太田 亮輔 (69)折田 将輝 (69)越野 智葵 (69)杉村早耶香 (69)瀬尾  慧 (69)高田 理彩 (69)竹味 大地 (69)竹本 智哉 (69)

多田百合絵 (69)田中 佑弥 (69)谷川 清香 (69)遠山 知里 (69)永田  怜 (69)増田 有香 (69)松本 晃希 (69)村田美治佳 (69)山本 敬太 (69)青柳 皓大 (70)足立 莉奈 (70)荒井 美咲 (70)有田 奏人 (70)池田明花理 (70)市岡 慎也 (70)井上 拓人 (70)今中 智昭 (70)今村 千春 (70)梅田 綾香 (70)大植  颯 (70)大久保 仁 (70)太田有希乃 (70)大林 竜也 (70)

岡田 京也 (70)尾上 遥南 (70)片平 海雅 (70)勝見 尚馬 (70)桂田 剛志 (70)喜多 良介 (70)倉山 亮典 (70)小林 純大 (70)小林 浩子 (70)小南 春祐 (70)塩見真里奈 (70)種昂なお実 (70)杉田  慧 (70)鈴木 彩乃 (70)関口 健昌 (70)髙寺  薫 (70)瀧本 菜穂 (70)田代 敦也 (70)谷田  亮 (70)近重 雄大 (70)月井 紅里 (70)辻井 勇気 (70)鶴嵜 雅子 (70)

徳川 友梨 (70)中西 亮太 (70)中野 慧悟 (70)中村 圭菜 (70)仲本有里菜 (70)難波 風香 (70)西田 周平 (70)西野  樹 (70)新田そよかぜ(70)橋本  涼 (70)秦  啓子 (70)廣本 怜司 (70)正木 辰実 (70)松尾 若奈 (70)松﨑 倫久 (70)松村 謙吾 (70)水田 陽菜 (70)三ツ井洸碧 (70)村島 里南 (70)矢島 典昭 (70)山崎 太輔 (70)山田 翔平 (70)吉田 春陽 (70)

吉田  誠 (70)佐々木一恵 (院 50)丸川 貴史 (院 53)堀川 慶子 (院 56)上松 由昌 (院 58)大和田康子 (院 60)山口 貴弘 (院 63)飯阪有佳理 (院 65)柴田 祐稀 (院 65)関  夏未 (院 65)髙田 一輝 (院 65)中村 倫子 (院 65)三木 祥平 (院 65)山口  楓 (院 65)我喜屋良行 (院 66)笠間 建吾 (院 66)河上 仁美 (院 66)木曾 歩美 (院 66)北嶋 祐里 (院 66)朴  美燕 (院 66)秦野  衛 (院 66)平林  怜 (院 66)

寄付納入者畑田 昭雄 (1)森田  實 (2)小村 典子 (3)木津 宗三 (5)西島 真森 (7)柴山 文男 (9)瀬戸 義子 (9)石部美智子 (10)川路 晴子 (10)篠田 純男 (10)

南浦 義勝 (10)仁紫 明美 (12)眞弓 邦子 (12)眞弓 忠範 (12)山田 安廣 (12)北澤  清 (14)柴田 圭子 (14)中原  豊 (14)山路  昭 (14)大杉 圭子 (15)

大杉 義征 (15)岡上伊都子 (16)五十嵐理慧 (17)植木 明廣 (17)北澤 恵子 (17)吉田 和子 (17)垣内 信子 (22)中山 容子 (22)藤原 裕美 (24)今西 一郎 (25)

倉内 尚子 (29)赤井 周司 (30)櫻川 弥生 (31)森岡 弘志 (32)山田 雅巳 (32)山本恵理子 (32)永井 伸二 (36)新谷 紀人 (45)福本 泰典 (49)山﨑 聖司 (58)

溝口  正 (院 6)野田 弘子 (院 14)井上 俊光 (院 19)占部日出明 (院 22)北尾 達哉 (院 54)加藤 信幸 (院 57)櫻井 文教 (特別)

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38  大阪大学 薬友会だより 第21号

平成30年度 大阪大学薬学部卒後研修会のご案内

薬学部 6 年制教育がスタートし、薬学部出身者に寄せられる期待は益々大きくなってきております。本研修会では薬学関係者として各方面で活躍しておられる卒業生に、最先端の医薬・医療情報を提供することを目的としております。多数ご参加賜りますようお願い申し上げます。

〈会 場〉 大阪大学中之島センター http://www.onc.osaka-u.ac.jp/     大阪市北区中之島 4-3-53(旧医学部跡地 Tel. 06-6444-2100)〈参加費〉 無 料(参加申し込みは必要ありません。当日、直接会場までお越しください。)     ※日本薬剤師研修センター認定集合研修 1単位(第 1,2,4,6,7,8 回)/ 2単位(第 3,5 回)     ※大阪府薬剤師会薬剤師生涯教育認定研修(認定ご希望の場合は新薬剤師章をご持参下さい)〈主 催〉 大阪大学薬学研究科 /大阪大学薬友会

平成30年度 年間予定表  テーマ:基礎から臨床まで薬物治療の最前線

回 日 時 講 師 演 題 会 場

16月23日(土)

14時~16時藤尾 慈 先生

(大阪大学薬学研究科)心不全の病態と薬物治療 304号室

27月22日(日)

14時~16時岡本 禎晃 先生

(市立芦屋病院薬剤部)薬物治療の最前線(緩和医療) 304号室

38月18日(土)

14時~17時岡本 禎晃 先生

(市立芦屋病院薬剤部)症例検討(緩和症例への対応) 703号室

49月15日(土)

14時~16時藤澤 智巳 先生

(堺市立総合医療センター)薬物治療の最前線(糖尿病治療) 304号室

510月13日(土)

14時~17時藤澤 智巳 先生

(堺市立総合医療センター)症例検討(糖尿病治療例への対応) 304号室

611月4日(日)

14時~16時足立 浩祥 先生

(大阪大学医学部)薬物治療の最前線(精神疾患) 304号室

71月19日(土)

14時~16時嶋 良仁 先生

(大阪大学医学部)免疫抑制治療の最前線 304号室

82月24日(日)

14時~16時

山本 陵平 先生(大阪大学キャンパスライフ健康 支援センター)

メンタルヘルスとCKD(慢性腎臓病) 304号室

※なお、都合により会場が変更になる場合があります。 必ず、下記の大阪大学薬友会ホームページにてご確認の上、ご参集下さい。http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/yaku/sotugo/sotugo-index.html

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大阪大学 薬友会だより 第21号  39

平成29年度 卒業者の進路卒業者総数 進 学 企 業 病 院 官公庁 教 育 その他

薬科学科 58 55 0 0 0 0 3

薬 学 科 26 0 19 4 1 0 2

博士前期 63 11 45 0 0 0 7

博士後期 15 0 9 0 6 0 0

博  士 0 0 0 0 0 0 0

平成30年度薬学部および薬学研究科学生在籍数(平成30年5月1日現在)

薬学部定員 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 計

薬科学科 55 62 59 65 52 238

薬 学 科 25 25 29 27 24 27 27 159

計 80 87 88 92 76 27 27 397

薬学研究科修士課程(博士前期) 博士課程 (博士後期) 研究生

定員 1年生 2年生 計 定員 1年生 2年生 3年生 4年生 計 学部 大学院創成薬学専攻 75 73 81 154 20 15 19 24 58 5 2

医療薬学専攻 10 2 2 3 5 12

計 75 73 81 154 30 17 21 27 5 70

薬友会役員名簿任期:2014.4.1 ~ 2018.3.31(会計、広報、研修、交流事業担当幹事は 2020.3.31 まで)

会   長 萬年成泰( 9)

副 会 長 鶴田康則(16) 馬場明道(17) 北澤恵子(17) 西川 修(21) 戸谷治雅(23)

理   事 大杉義征(15) 鍋島俊隆(16) 植木明広(17) 佐伯とも子(18) 向井睦子(18) 岡部 勝(19) 山村倫子(20) 米田真理子(20) 河合裕一(22) 春田純一(23) 八木清仁(24) 糟谷史代(25) 池渕佐知子(27) 池田かおり(32) 広川美視(35) 宇都口直樹(38) 鈴木信孝(39) 南  敬(41) 紀平哲也(41) 角田慎一(42) 鎌田春彦(43) 形山和史(47)

役付き理事 庶務担当:広川美視(35) 角田慎一(42) 会計担当:近藤昌夫(42) 吉岡靖雄(47) 名簿担当:伊藤浩介(57) 廣部祥子(58) 広報担当:吉田徳幸(56) 研修担当:鍋師裕美(院 53) 共催交流事業担当:鎌田春彦(43) 清水かほり(院 56)

幹 事 長 土井健史(27)

幹   事 庶務担当:近藤昌夫(42) 会計担当:堤 康央(39) 名簿担当:小比賀聡(38) 広報担当:辻川和丈(院 30) 研修担当:平田收正(院 30) 共催交流事業担当:水口裕之(39)

平 幹 事 薬学研究科専任教授全員

監   事 森岡茂夫(17)

監   事 藤岡弘道(23)

最 高 顧 問 近藤雅臣( 2)

名 誉 顧 問 眞弓忠範(12)

名 誉 理 事 抱 忠男( 2)  藤井正美( 2)  松本光雄( 2) 岩田宙造( 6)  奥田順三( 9)  西原 力(12) 田中慶一(13)  山下治夫(13)

( )内の数字は期数

薬友会だよりに掲載したい原稿がございましたら、辻川和丈(e-mail: [email protected])までお送りください。

6月 18日朝に大阪北部を震源とする大きな地震が発生しました。薬学部・薬学研究科は耐震改修工事完了後であっ

たことから、少し壁にひびが入ったり、給排水菅がずれるぐらいの被害に留まりました。また一部の精密機械に被

害が見られましたが、けが人もなく、教育や研究に甚大な障害を及ぼすような事態を免れることができました。皆

様にご心配をおかけしたものと存じますが、ご安心頂きますようお願い申し上げます。

Page 40: 大阪大学 薬友会だより 21 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第21号 1 今年の薬友会だよりには、特別な内容が含まれ ております。是非ご一読をお願いいたします。土井健史新研究科長からご紹介がありますが大

大阪大学薬学研究科主催

Pharmaceutical Research Professionalコース医薬品開発のためのモジュール単位のコース平成 29 年度より医薬品開発のグローバル人材育成を目指した PRP コースを大阪大学薬学研究科主催で実施しています。平成 30 年度のプログラム詳細については順次大阪大学薬学研究科ホームページにアップする予定です。

開催場所 大阪会場:大阪大学中之島センター   東京会場:日本橋ライフサイエンスビル

受 講 料 モジュール(4日間):7万円  モジュール(2日間):3万5千円 各モジュール毎の募集  アカデミア価格あり➡ 要問合わせ

コースに関する お問い合わせ

〒530-0005 大阪市北区中之島 4-3-53大阪大学薬学研究科 PRPコース事務局(一般社団法人 臨床医工情報学コンソーシアム関西内)E-mail: [email protected]

各モジュールの講義概要 (講義日は変更になる可能性があります)

1 臨床試験の研究倫理  講義予定日:6/9、6/16、6/23、6/30ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、ベルモントレポート、ICH-GCP、CIOMS ガイドラインなど、人を対象とする研究、臨床試験の実施、支援に欠かすことのできない国際的な倫理原則の内容、倫理的ディレンマの解決のための分析方法・実践の道筋を習得する。さらに、国内外で臨床研究・臨床試験を実施する際の法令、法的に欠かすことのできない事項を習得する。一般的な医薬品臨床試験だけではなく、iPS 細胞、先端的な医療機器の開発に伴う研究倫理上の重要な論点を理解するとともに、科学的不正の発生予防と事態への対処についても方法論を習得することを目的とする。

2 臨床試験のデータマネジメント  講義予定日:7/7、7/21医薬品開発、臨床試験におけるデータマネジメントの役割と方法について議論する。医薬品開発における科学的な臨床評価のためには、臨床試験が適切にデザインされ、計画に基づいてデータ解析が実施されることが重要である。しかし、そこではデータの品質が確保されなければ、データから得られる結果の信頼性は低い。データマネジメントの役割、業務プロセス、信頼性確保等について、その基盤となっている科学的側面とともに説明する。

3 医薬品の安全性  講義予定日:7/28、8/4医薬品の安全性監視、評価、管理は、臨床試験のみならず医薬品市販後において重要かつ必須の要素である。近年、我が国でも、臨床試験の安全性データをもとに市販後に安全性の評価と管理を体系的に行う医薬品リスク管理計画の提出が義務化された。本講座では、リスク管理計画の概説を行うとともに、ワークショップ形式に実際のリスク管理計画を建てながら、議論し、理解してもらう予定である。

4 医薬品開発のプロジェクトマネジメント  講義予定日:8/25、9/1、9/8、9/22プロジェクトマネジメント知識体系とプロジェクトの各プロセスの運営について理解する。その上で医薬品開発を複数のプロジェクトを統合して構成されるプログラムとして効率的に進める方法を身につけることを目的とする。

5 ビッグデータの活用  講義予定日:10/13、10/20現代社会の IT 化の進展に伴い、医療医薬品分野において、疾患の診断や医薬品開発・市販後活動に関してビックデータの活用が注目されている。そこで、医療や医薬品分野でのビックデータの現状とその活用法について最新の知見を概説するとともに講師との議論を通して理解を深めてもらう予定である。

6 臨床試験のデザイン  講義予定日:10/27、11/10、11/17、12/1循環器領域およびがん領域の実際の臨床試験の計画を通して、実施計画に対する理解を深め、臨床試験の実施と管理に必要なデータの収集と記録の方法の実務を理解しうえて、臨床試験の信頼性を確保して臨床試験を実施できるような知識と技術を研鑚することを目標とする。

7 希少疾患の医薬品開発  講義予定日:12/8、12/15、12/22、1/5難病あるいは稀少疾患の医薬品開発は、患者だけでなくその専門家の数も少なく、病態などの臨床情報、治療などに関しての特殊性もあり、いわゆるcommon disease の医薬品開発と異なる点が多く存在する。本コースでは、疾患と患者の特殊性、規制、臨床試験などについて規制当局、開発企業、医師の立場から概説するとともに、具体的な開発事例をもとにワークショップ形式の討論をおこない、稀少疾患の医薬品開発についての理解を深めてもらうことを目的とする。

8 メディカルアフェアーズ  講義予定日:1/19、1/26、2/2、2/16近年、我が国の製薬企業において、営業などのコマーシャル部門と独立して、市販後の医薬品の価値を高める活動を担うメディカルアフェアーズという新しい部門が立ち上げされている。その活動は、医薬品の適正使用のための教育啓蒙、医療現場との医学、科学的な情報交換をもとにアンメットメディカルニーズの収集や臨床試験によるエビデンス創出など多岐にわたる。これらの活動について講義による概説とともにワークショップにより具体例を通してより深い理解をしてもらう予定である。

※各モジュールは、講義とワークショップで構成されています。各モジュール4日あるいは2日間コースで、土曜日に開講されます。※各モジュールの申し込み期限は、各モジュール開始日の2週間前までです。

皆様の受講申し込みをお待ちしております。

PRPコース

産官学からの多彩な講師陣の講義による国際標準化されたカリキュラムにて、医薬品開発:創薬、臨床開発から市販後まで網羅した包括的な教育内容をモジュール単位で提供。

社会人にも対応した土曜日に開催されるコース日程、大阪と東京2会場で受講可能(両会場を TV 会議システムで同時中継)。

大阪大学薬学研究科 PRP コースとして、大阪大学からの修了証も発行されます(発行手数料は無料で、要件を満たした方に郵送いたします)。