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CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY 36 2 0 1 1 事業活動の根幹で「CSR 経営」を推進 東京ガスグループは、「社会的価値(Shared Value)」を創造する事業活動を推進するとともに、その 根幹にある「CSR 経営」の推進を明確化し、積極的に取り組んでいます。CSR 経営においては、コーポ レートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどに真摯に取り組むことはもちろん、「保 安・防災」「環境」「パートナーシップの構築」を重点テーマに据え、「社会の公器」として信頼に応え、 選ばれ続ける企業グループを目指しています。 社会からの期待と信頼に応え、社会の持続的成長に貢献 コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなど 営理念と企業行動理念 オール東京ガスにおける CSR 経営の推進 経営理念と企業行動理念 さらなる保安の向上・ 防災対策の強化 環境経営のトップランナー に向けた幅広い取組み ステークホルダーとの パートナーシップ構築 経営理念 東京ガスグループは、天然ガスを中心とした「エネルギーフロンティア企業グループ」として、「快適な暮 らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献し、お客さま、株主の皆さま、社会から常に信頼を得 て発展し続けていく。 企業行動理念 公益的使命と社会的責任を自覚しながら、企業価値を増大させていく。 常にお客さま満足の向上をめざし、価値の高い商品・サービスを提供する。 法令およびその精神を遵守し、高い倫理観をもって、公正かつ透明な企業活動を行う。 環境経営トップランナーとして、地球環境問題の改善に貢献する。 良き企業市民として奉仕の精神を深く認識し、豊かな社会の実現に貢献する。 絶えざる革新により、低コスト構造で、しなやか、かつ強靭な企業体質を実現する。 一人ひとりの「能力・意欲・創意」の発揮と尊重により、「活力溢れる組織」を実現する。 保安・防災 環境 パートナーシップ

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CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY

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東京ガスアニュアルレポート2011

事業活動の根幹で「CSR経営」を推進東京ガスグループは、「社会的価値(Shared Value)」を創造する事業活動を推進するとともに、その

根幹にある「CSR経営」の推進を明確化し、積極的に取り組んでいます。CSR経営においては、コーポ

レートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどに真摯に取り組むことはもちろん、「保

安・防災」「環境」「パートナーシップの構築」を重点テーマに据え、「社会の公器」として信頼に応え、

選ばれ続ける企業グループを目指しています。

社会からの期待と信頼に応え、社会の持続的成長に貢献

コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなど

経営理念と企業行動理念

オール東京ガスにおける CSR経営の推進

経営理念と企業行動理念

さらなる保安の向上・防災対策の強化

環境経営のトップランナーに向けた幅広い取組み

ステークホルダーとのパートナーシップ構築

経営理念東京ガスグループは、天然ガスを中心とした「エネルギーフロンティア企業グループ」として、「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献し、お客さま、株主の皆さま、社会から常に信頼を得て発展し続けていく。

企業行動理念① 公益的使命と社会的責任を自覚しながら、企業価値を増大させていく。② 常にお客さま満足の向上をめざし、価値の高い商品・サービスを提供する。③ 法令およびその精神を遵守し、高い倫理観をもって、公正かつ透明な企業活動を行う。④ 環境経営トップランナーとして、地球環境問題の改善に貢献する。⑤ 良き企業市民として奉仕の精神を深く認識し、豊かな社会の実現に貢献する。⑥ 絶えざる革新により、低コスト構造で、しなやか、かつ強靭な企業体質を実現する。⑦ 一人ひとりの「能力・意欲・創意」の発揮と尊重により、「活力溢れる組織」を実現する。

保安・防災 環境 パートナーシップ

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保安・防災

ガスライト24

私たちの果たすべき責任

ガスをお使いいただくにあたり、「安全で使いやすいガ

ス器具を開発してほしい」「ついうっかり、といった操作

ミスを防ぐような工夫をしてほしい」あるいは「作業終

了後、作業内容をしっかり説明してほしい」といったご

意見を頂戴します。東京ガスグループでは、ガスをより

安全にお使いいただくために、[1] 事故やガス漏れ、故障

等が発生しにくい設備や発生を抑制する機能の普及(ハー

ド対策)、[2] 正しい使い方の周知、定期点検の実施(ソフ

ト対策)、[3] 万一のガス漏れに対する緊急出動態勢の整

備(緊急出動対策)を3本柱として安全対策を進めてい

ます。また、地震災害等の万が一の事態に備え、ガス供

給を速やかに行うため「予防」「緊急」「復旧」の取組み

を進め、お客さまの生活への影響を最小限にとどめる努

力を続けています。

取組み

不完全燃焼防止装置が装備されていない湯沸器・風呂

釜など非安全型機器の早期取替を進めるため、2007年1

月より特別巡回・無償点検・取替補助を主とする「取替

促進キャンペーン」を実施してきました。2010年3月末

までに約55億円を投入し、対象機器約30万台のうち約

18万台を削減してきました。特に、不完全燃焼防止装置

のついていない小型湯沸器については約74%、CF機器*

については約62%を削減しています。キャンペーン期間

は終了しましたが取替補助は継続し、「ガス設備定期保安

点検」や「開栓」等の機会を通じて引き続き対象機器の早

期削減に努めていきます。併せて、ガスの安全性、環境

性、利便性について正確な情報を提供し、お客さまのご要

望にお応えできるよう充実したコミュニケーションを図っ

ていきます。

ガスの供給面では、2007年1月の北海道北見市での事

故を受け、経年管対策強化の一環から要対策「ねずみ鋳

鉄管」約1,200kmの入取替えを積極的に進めており、

2011年3月期には108億円を投入し、155kmの入取替

えを実施しています。こうした要対策「ねずみ鋳鉄管」は

まだ約667km残されていますが、2016年3月期までに

入取替えを完了する予定です。併せて、保安上重要とさ

れる建物における「白ガス経年埋設内管」の対策につい

ても、2016年3月期までの対策完了を目指しつつ、お客

さまのご理解をいただきながら可能な限り前倒しできる

よう努力しており、2011年3月期には約14億円を支出

しています。

* CF機器:燃焼用の空気を室内から取り、燃焼排ガスを自然通気力により排気筒を介して屋外に排出するガス機器

受付内容や現地の図面情報など必要なデータを車載端末で確認、現場に急行し、都市ガスによる事故発生を未然に防止しています。

3月11日に発生した東日本大震災への対応においても、迅速かつ的確な対応により、ガス漏れを原因とする火災や事故は発生せず、大地震の中でもガスの安全性を証明する結果となりました。ガスライト24の地道な活動がお客さまの安全を守り、当社の「安心・安全・信頼」の企業ブランドを支えています。

お客さまの安心のため、ガスの安全を24時間・365日見守り、ガス漏れなどの万一の時に緊急出動し、迅速な対応を行うことが「ガスライト24」の役割です。

47拠点に約600名の専門要員と、各種機材を搭載した緊急工作車・一般工作車等を配置しています。ガス漏れなどの通報は、「保安指令センター」が受け付け、直ちにガスライト24の各拠点に出動を指示する体制を構築しています。

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T O P I C S

ガス管の緊急修理工事 ガスライト24緊急車両

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環境

私たちの果たすべき責任

東京ガスグループは、かけがえのない自然を大切に、資

源・エネルギーの環境に調和した利用により地域と地球

の環境保全を積極的に推進し、社会の持続的発展に貢献

することを理念として掲げ、[1] お客さまのエネルギー利

用における環境負荷の低減、[2] 当社の事業活動における

総合的な環境負荷の低減、[3] 地域や国際社会との環境

パートナーシップの強化、[4] 環境関連技術の研究と開発

の推進を目指しています。

取組み

東京ガスグループは、低炭素社会の実現、循環型社会

の形成、自然共生社会構築に向けて、温暖化対策など6

分野から構成される環境保全ガイドラインを定め、具体

的な取組みを進めています。

例えば、温暖化対策においては、環境性に優れた天然

ガスの利用促進と効率が高く環境負荷の小さな機器・シ

ステムの提供により、積極的かつ継続的に取り組んでい

きます。お客さま先でのCO2排出量について2016年3

月期までに300万トン、2021年3月期に450万トンを

抑制することを目標として掲げています(2005年比)。

循環型社会の形成においては、東京ガスグループにお

いて効率的・効果的な環境マネジメント活動を展開し、

事業活動における廃棄物等の発生抑制・再利用・再資源

化とグリーン購入を積極的に推進し、環境負荷を総合的

に低減させます。また、自然共生社会構築に向けて、生

物多様性が生み出す恩恵の重要性を認識し、事業活動に

おける生物多様性への影響の把握・分析、および事業の

進め方の改善に努めるとともに、事業活動に関わらない

生物多様性問題に対しても、社会貢献活動の観点から、

生物多様性保全に資する活動を推進しています。

T O P I C S

東京ガスアニュアルレポート2011

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再生可能エネルギーへの取組み東京ガスは、再生エネルギーの利用促進を通じた地球温暖化対策へのさらなる貢献の一環として、メタン発酵技術の研究開発や、食品工場などで発生するバイオガスをコージェネレーション等で利用する技術の開発を推進しています。2008年4月には「バイオガス購入要領」を発表し、バイオガスの都市ガス導管ネットワークへの受入れについても、購入の準備を進めてきました。そして2011年1月に日本で初めて、東京都の施設「スーパーエコタウン」において食品残さ由来のバイオガスの都市ガス導管への注入・受入れを開始しました。本事業により、一般家庭約2,000件が年間に使用するガス量相当(約80万m3N/年)をバイオガスにより調達することになるだけでなく、年間で約1,360トンのCO2削減効果を期待しています。

また、再生可能エネルギーによる発電において、経済性に優れており、気象状況に左右されず安定した出力を期待できる木質バイオマス発電について、株式会社吾妻バイオパワーに出資し、事業参画しています。燃料には、剪定枝・廃材などを破砕しチップ化した木屑チップを100%使用するため、カーボンニュートラルなクリーン電力を生み出し、約23,000世帯分の年間電力使用量に相当する85GWhを出力する予定です。本発電所は2011年内に営業運転を開始する見通しです。さらに、2011年4月には山形県内の遊佐風力発電所等を運営する庄内風力発電(有)への出資を決め、風力発電にも事業参画しており、今後も再生可能エネルギーの積極的な利用を目指していきます。

吾妻バイオパワー(イメージ)遊佐風力発電所

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パートナーシップの構築

私たちの果たすべき責任

公益性の高い事業を営み、社会的使命を担う東京ガス

は、株主の皆さまはもちろん、お客さま、従業員、取引

先・パートナー、地域社会など様々なステークホルダー

の皆さまとともに歩み、ともに社会の発展に貢献するこ

とを重要な課題の一つとして取り組んでいます。そのた

めに、あらゆるステークホルダーの皆さまとの関係の構

築・維持・発展に向けて、真摯な努力を続けています。

取組み

株主の皆さまとは、IR活動を通じて資本市場における

コミュニケーションを深め、経営の健全性・透明性を確

保するとともに、資本市場の期待を経営に反映させ、東

京ガスグループに対する理解と信頼の向上を目指します。

お客さまとの関係については、お客さまに選ばれ続け

るために、「自分が何をお客さまに提供したか」ではなく、

「お客さまがご満足いただけたか」を大切にしています。

こうした考えのもと、オール東京ガスの基本姿勢を「CS

マインド」として定め、「私たちの行動基準」の中に明文

化しています。今後もこの内容をオール東京ガスの全員

に周知徹底することで「お客さま本位」の企業グループ

を目指しています。

従業員については、やりがいを高め、それぞれが個性

を十分に発揮できる「働きやすい職場」づくりを目指し、

様々な制度を整えるとともに、制度利用のための意識啓

発にも力を入れています。さらに、従業員の健康と安全

な職場環境の整備を進めています。

取引先・パートナーとの関係については、公益的使命

と社会的責任を果たすために、購買活動の行動基準を定

め、信頼関係の構築に努めるなどの活動を行っています。

地域社会とのつながりにおいては、快適で心豊かに暮

らせる社会の実現を目指し、暮らしに関わる課題の解決

に取り組むなど、東京ガスだからできる活動を展開して

います。

T O P I C S

東京ガスアニュアルレポート2011

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東日本大震災によるガス供給停止の復旧応援3月11日の東日本大震災は、東北地方を中心に東日本

一帯に大きな爪痕を残しました。都市ガス業界においても、16事業者、40万戸以上が供給停止を余儀なくされました。このような自然災害に対して、従来から都市ガス事業者相互の救援体制は整備されていましたが、今回のように広範囲にわたり多くの事業者が深刻な被害を受けたケースは過去にはありませんでした。このような未曾有の事態に対し、(社)日本ガス協会からの要請により、当社を含む全国59事業者が総力を結集し、ピーク時で1日当たり約4,000人もの応援隊が被災された各地に派

遣され、復旧作業にあたりました。導管設備の修繕・復旧やお客さま宅での安全点検や開閉栓作業だけでなく、移動式ガス発生装置による臨時供給や、仮設設備による供給再開など、全国のガス事業者が有するノウハウ・資産を動員し、震災から約2ヶ月後の5月中旬には、ガス供給を再開することができました。日々の活動場所は違えども、それぞれ地域に密着して事業を営むガス事業者が、「1日も早くお客さまにガスを安全にお届けする」という「ガス屋」が果たすべき社会的使命に対する強い思いを一つにして、活動した2ヶ月間でした。

パイプライン復旧作業お客さま宅での復旧作業