Chapter 5...Chapter 5 カプレカー数的な数の発見からはじ まる研究 5.1...

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Chapter 5 カプレカー数的な数の発見からはじ まる研究 5.1 33 ··· 34 の平方数の法則 ミッチー「4 2 , 34 2 , 334 2 , 3334 2 という数の系列に面白い規則を見つけました。」 M「どういうことでしょう。」 ミッチー「4 2 = 16, 34 2 = 1156, 334 2 = 111556, 3334 2 = 11115556 です が, 16 62×1=41156 562×15 = 34111556 556 2×155 = 33411115556 5556 2 × 1555 = 3334 という操作を考えることで,最初に考え ていた数に戻ってしまいます。」 カズ「ミッチーってすごいなあ。他にもそんな数はあるのかな。」 M「カプレカー数と呼ばれる数があって,それは,たとえば 9, 45, 55, 99 などがあります。このときの操作は,9 については 9 2 = 18 を計算し,さ らに操作 1+8 9 が得られます。45 についても同様で 45 2 = 2025 で操作 20 + 25 = 4555 については 54 2 = 3025 で操作 30 + 25 = 5599 については 99 2 = 9801 で操作 98 + 01 = 99 です。ミッチーが見つけた系列のような数で は,{9, 99, 999, ···} がカプレカー数となります。」 タケ「今,ミッチー数を見つけたということですか。」 M「そうですね。すばらしいです。」 77

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Page 1: Chapter 5...Chapter 5 カプレカー数的な数の発見からはじ まる研究 5.1 33···34の平方数の法則 ミッチー「42, 342, 3342, 33342 という数の系列に面白い規則を見つけました。

Chapter 5

カプレカー数的な数の発見からはじ

まる研究

5.1 33 · · · 34の平方数の法則

ミッチー「42, 342, 3342, 33342という数の系列に面白い規則を見つけました。」

M「どういうことでしょう。」

ミッチー「42 = 16, 342 = 1156, 3342 = 111556, 33342 = 11115556です

が,16は6−2×1 = 4,1156は56−2×15 = 34,111556は556−2×155 = 334,11115556は 5556− 2× 1555 = 3334という操作を考えることで,最初に考え

ていた数に戻ってしまいます。」

カズ「ミッチーってすごいなあ。他にもそんな数はあるのかな。」

M「カプレカー数と呼ばれる数があって,それは,たとえば 9, 45, 55, 99

などがあります。このときの操作は,9については 92 = 18を計算し,さ

らに操作 1 + 8で 9が得られます。45についても同様で 452 = 2025で操作

20+ 25 = 45,55については 542 = 3025で操作 30+ 25 = 55,99については

992 = 9801で操作 98 + 01 = 99です。ミッチーが見つけた系列のような数で

は,{9, 99, 999, · · · }がカプレカー数となります。」

タケ「今,ミッチー数を見つけたということですか。」

M「そうですね。すばらしいです。」

77

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78 CHAPTER 5. カプレカー数的な数の発見からはじまる研究

5.2 十進BASICでM数の探索

ミッチー「ミッチー数は大袈裟だからM数ということにして,他にはどんな

M数があるんだろう。」

タケ「コンピュータとかで計算できないのかなあ」

M「十進BASICっていう使いやすいBASICがあります。使ってみますか。」

タケ「はい。」

カズ「どうもありがとうございました。やっとプログラムができました。」

! M-number を見つけるプログラム

FOR i=4 TO 10000

LET digit=INT(LOG10(i^2))+1 !(i^2の桁数を digitとする。)

IF MOD(digit,2)=0 THEN

LET c=digit/2 !(digitが偶数なら c=digit/2)

ELSE

LET c=INT(digit/2)+1 !(digitが奇数なら c=[digit/2]+1)

END IF

LET Li=INT(i^2/10^c) !(i^2の数列の左半分をLiとする。)

LET Ri=i^2-Li*10^c !(i^2の数列の右半分をRiとする。)

LET Mnum=-2*Li+Ri !(Mnumを-2*Li+Riとする。)

IF i=Mnum THEN

PRINT i !(もし i=Mnumなら表示する。)

END IF

next I

END

カズ「とりあえず,10000までにはM数は4, 18, 34, 168, 334, 1668, 3334

だけでした。」

タケ「あれ,{4, 34, 334, 3334}はミッチーが見つけた系列だけど,{18, 168, 1668}も系列じゃないかなあ。」

ミッチー「確かに!! 試してみよう。

166682 = 277822224

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5.3. M数の研究(その1) 79

−2× 2778 + 22224 = 16668

だ。その次は,

1666682 = 27778222224

なので,

−2× 27778 + 222224 = 166668

となってる。」

カズ「やばい。プログラムで 10000から 100000の間を調べると,

14287, 16668, 19048, 30954, 33334, 35715

というM数がでてきちゃった!!」

M「そうですか。いよいよ研究開始ですね。」

ミッチー「うーむ。」

5.3 M数の研究(その1)

タケ「5桁のM数について考えたんですけど,

14287, 16668, 19048, 30954, 33334, 35715

の中から 2つの対を作ると,必ず 5002となるんです。つまり,

16668 + 33334 = 14287 + 35715 = 19048 + 30954 = 5002

となっています。」

M「6桁のM数ではどうでしょうか。」

カズ「6桁のM数は 166668と 333334だけです。7桁のM数は

1595745, 1666668, 3333334, 3404257, 4929079

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80 CHAPTER 5. カプレカー数的な数の発見からはじまる研究

という 5個の数です。そして,

1666668 + 3333334 = 1595745 + 3404257 = 5000002

となっていますが,4929079の対は 70923という 5桁で, 70923はM数では

ありません。」

ミッチー「カズちゃん。8桁のリストだしてよ。」

カズ「OK!

15789475, 16666668, 17543860, 22577928,

27422074, 32456142, 33333334, 34210527,

40121788, 43211548, 44088741

の 11個あった。」