結晶成長 - 新潟大学crystallization.eng.niigata-u.ac.jp/crystal...
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新潟大学晶析工学研究室
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令和元(2019)年 8 月 20 日作成
令和元(2019)年 8 月 25 日訂正
令和元(2019)年 9 月 4 日訂正
結晶成長
1.結晶化の推進力
過飽和状態にある液相が固相と接しており、固液界面は十分に撹拌されて平衡状態にあるものと仮定
する。液相、界面、固相の化学ポテンシャル μL、μLS、μS は、それぞれ次式のように表される。 液相: xRTlnL0L …(1.1)
界面: *xRTlnL0LS …(1.2)
固相: zRTlnS0S …(1.3)
ただし、μL0 と μS0 は純物質の化学ポテンシャル[J/mol]、x と z は溶質のモル分率[-](z≒1)、x*はモル基
準の溶解度[-]、R は気体定数[J/(mol・K)]、T は温度[K]。 結晶化の推進力 μ [J/mol]は、次式で定義される。
SLΔ …(1.4) 固液平衡状態のとき、次式が成り立つ。
LSS …(1.5) 上式を式(2.4)に代入して μs を消去し、式(2.1)と式(2.2)を用いると、結晶化の推進力 μ が導かれる。
L LS L0 L0 SΔ ( ln ) ( ln ) ln*
xRT x RT x RTx
…(1.6)
Δ ln *RT S **
xSx
…(1.7)
ただし、S*はモル基準の過飽和度[-]。
あるいは、式(1.6)を次式のように変形することもできる。 *Δ ln 1 ln(1 *)
*x xRT RT
x **
*x x
x …(1.8)
Δ *RT ( * 0.1) …(1.9)
ただし、σ*はモル基準の相対過飽和度[-]。 上式の導出には、対数関数の Taylor 展開における一次近似式を用いた。
2 3ln(1 )= ( 0.1)
2 3x xx x x x …(1.10)
上式の成立は、y=ln(1+x)と y=x の曲線を描くと x<0.1 の領域でほぼ一致することからも理解できる。
モル基準の過飽和度 S*と σ*を濃度基準に変換するには、過飽和比の部分に溶質と溶媒を含めての全モ
ル濃度 CT [mol/m3]を乗じるとよい。式(1.6)より次式が導かれる。
T
TΔ ln ln
* *C x CRT RT
C x C …(1.11)
x0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30
y
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
Relative Error < 5%
y=ln(1+x)
y=x
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2
Δ lnRT S *
CSC
…(1.12)
ただし、C は溶質のモル濃度[mol/m3]、C*は溶解度[mol/ m3]、S は濃度基準の過飽和度[-]。
同様にして、式(1.8)より次式が導かれる。
T T
T
* *Δ ln 1 ln 1 ln(1 )* *
C x C x C CRT RT RTC x C
…(1.12)
Δ RTσ ( 0.1) …(1.13) ただし、σ は濃度基準の相対過飽和度[-]。
融液系の場合、式(1.6)は次式で表される。
L LS m,L m,LSΔ G G …(1.14)
m,L m,L m,LS m,LSΔ ( ) ( )H TS H TS …(1.15)
m,L m,LS m,L m,LSΔ ( ) ( )H H T S S …(1.16)
m,f mΔ Δ ΔH T S …(1.17)
ただし、Gmはモルギブズエネルギー[J/mol]、Hmはモルエンタルピー[J/mol]、 Hm,fはモル融解熱[J/mol]、
Smはモルエントロピー[J/(mol・K)]。
熱力学第二法則より、次式が成り立つ。
m,fm
ΔΔ
*H
ST
…(1.18)
ただし、T*は融点[K]。
上式を式(1.17)に代入すると、融液系における結晶化の推進力 μ [J/mol]を得る。
m,f
m,f m,fΔ *Δ Δ Δ
* *T H T TH H
T T …(1.19)
m,fΔ Δ
Δ*
H TT
Δ *T T T …(1.20)
ただし、 T は過冷却度[K]。
あるいは、相対過飽和度 h [-]を用いて次式で表される。
m,f hΔ ΔH h*
*T T
T …(1.21)
2.表面集積過程
2.1 表面拡散 [文献 1-4]
溶液相の溶質は、脱溶媒和エネルギー Gdesol [J]の障壁を乗り越えて自身を取り巻く溶媒和分子の衣を
脱ぎ去り、すでに結晶相にある表面分子と吸着することで結合を回復し、吸着エネルギー Ga [J]の分だ
け安定化する。表面吸着した溶質は、現在の安定な格子点から表面拡散の活性化エネルギー Gsd [J]の障
壁を乗り越えて隣接する別の安定な格子点へと移り、表面上をランダムに移動する。移動の間、結晶相
分子の振動により熱エネルギーを得た溶質は、表面吸着を断ち切って脱着し、溶液相へ再溶解する。一
方、再溶解が起こる前にキンクに到達した溶質は、活性化エネルギー Gs [J]の分だけ安定化し、ついに
は結晶相に取り込まれる。
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図1 溶液成長における溶質のエネルギー状態
[文献 1]黒田登志雄「結晶は生きている」p.105 図 3.5 を参考に作成
活性化エネルギー Gs [J]の障壁を乗り越えてキンクからテラスへ移動する単位キンク面積あたりの溶
質数 ns [#/m2]は、次式で表される。
ss 0
Δ= expn
Gn
kT …(2.1.1)
ただし、n0はキンク 1 m2 あたりに存在する溶質数[#/m2]。
脱着エネルギー Gdes [J]の障壁を乗り越えて結晶表面から溶液相へ移動する単位時間あたりの溶質数 ω
[#/s]は、次式で表される。
desdes a desol
Δ= exp Δ Δ Δ
GG G G
kT …(2.1.2)
ただし、 は溶質の振動数[1/s]。
結晶表面に到達した溶質が再溶解するまでの平均滞留時間 τs [s]は、上式の逆数で表される。
dess
Δ1= expGkT
…(2.1.3)
結晶表面に到達してから再溶解するまでの平均表面拡散距離 xs [m]は、数学的にはランダムウォークモ
デルを用いることで求められる[文献 5,6]。はじめ原点にある溶質は、距離(+a)だけ離れた右隣の結晶
格子点上、あるいは距離(-a)だけ離れた左隣の格子点上へそれぞれ確率 p [-]で時間 t [s]ごとに 1 回移
動する。到達から再溶解までの平均滞留時間 τs [s]の間に N 回移動する場合、次式が成り立つ。
s =Nt …(2.1.4)
i 回目の移動時に溶質が到達する平均位置<xi>は、次式で表される。
< >=( ) +( ) =0ix a p a p …(2.1.5)
同様にして、i 回目の移動時に溶質が到達する平均二乗位置<xi2>は、
溶存状態
吸着状態
結晶状態
DGdesol
DGa
DGs
DGsd
DGdes
(キンク)
(表面拡散)
(脱溶媒和)溶液成長のみ
自由エネルギー
DGd(液相拡散)
(表面脱離)
0 +a +2a-2a -a
p p
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次式で表される。
2 2 2 2i< >=( ) +( ) =2x a p a p a p …(2.1.6)
N 回移動後の溶質の平均位置<xs>は、式(2.1.5)を用いて次式で表される。
s 1 2< >=< > < > < >=0Nx x x x …(2.1.7)
N 回移動後の溶質の平均二乗位置<xs2>、すなわち平均表面拡散距離 xsの二乗 xs
2 は、式(2.1.5)と式(2.1.6)
を用いて次式で表される。
2 2 2 2 2 2s 1 2 1 2 2 3 1 s< >=< > < > < > 2< >< >+2< >< >+ 2< >< >=2N N Nx x x x x x x x x x a pN x …(2.1.8)
表面拡散係数 Ds [m2/s]を次式で定義する。
2
sa pD
t …(2.1.9)
式(2.1.4)を上式に代入して t を消去したものを式(1.1.8)に代入して pN を消去すると、平均表面拡散距離
xs [m]を得る。
s s s2x D …(2.1.10)
s s sx D 2
s2a pD
t …(2.1.11)
二次元のランダムウォークを考慮する場合は、y 方向に対して上記と同様の整理を行うことで平均表面
拡散距離 zs [m]を得る。[文献 7]
2 2 2s s s< >=< >+< >z x y 2
sz …(2.1.12)
s s s= 4z D …(2.1.13)
s s sz D 2
s4a pD
t …(2.1.14)
現象を反映した表面拡散係数 Ds [m2/s]は、次式で与えられる。
2 sd
sΔ
expG
D akT
…(2.1.15)
式(2.1.11)に式(2.1.3)と上式を代入すると、現象を反映した平均表面拡散距離 xs [m]を得る。
des sds
Δ Δexp
2G G
x akT
…(2.1.16)
式(2.1.15)は、式(2.1.11)の xs に格子間隔 a を代入して式(2.1.3)を用いて導かれる式ではなく、別途定義す
る必要があることに留意する。(指数項の活性化エネルギーが異なる。)式(2.1.15)は、表面拡散過程のみ
に着目した式であり、式中の活性化エネルギー Gsdもそれに基づいている。一方、式(2.1.3)または式(2.1.2)
は、脱着過程と再溶解過程(溶媒和の衣を再び纏う過程)に着目した式であり、式中の活性化エネルギ
ー Gdes Ga Gdesol もそれに基づいている。同様の考えに基づくと、例えば式(2.1.1)は、表面拡散後に
キンクに取り込まれることで安定化するエネルギー分 Gs を用いていることから、キンクとテラスの間
での吸脱着にのみ着目した式であり、テラス上での表面拡散は考慮していないことが理解される。
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2.2 ステップ前進速度(BCF 理論)
2.2.1 過飽和度分布 [文献 8-10]
結晶表面上の一次元濃度分布を考える。ステップを原点とし、原点からの距離 z=z~z+Δz の間を表面
拡散で出入りする溶質と、液本体と結晶表面の間で表面上の微小面積(Δz×1)を出入りする溶質がある。
表面拡散の溶質流束を Js|z=z または Js|z=z+Δz [#/(m・s)]、液本体から表面に向かう溶質流束を Jvb、表面から
液本体へ向かう溶質流束を Jvs [#/(m2・s)]とすると、微小部分での収支式は次式のように導かれる。 s Δ vb s vs( ) Δ ( ) Δz z z z zJ J z J J z …(2.2.1)
上式において、左辺が入量、右辺が出量を表している。表面拡散流束の負号について、溶質が原点へ向
かって移動することから流束自身は負であり、負号を付して正の値としている。
導関数の定義を用いて上式を変形すると、次式のようになる。
s Δ s
vb vs 0Δ
z z z z zJ JJ J
z …(2.2.2)
svb vs
d 0dJ J Jz
…(2.2.3)
上式の表面拡散流束 Js [#/(m・s)]は、Fick の法則を用いて次式で表される。
ss s
ddnJ Dz …(2.2.4)
ただし、ns は表面溶質濃度[#/m2]であり、単位面積当たりの結晶表面に吸着されている溶質数を表す。
溶質流束 Jvb と Jvs は、溶質濃度を用いてそれぞれ次式のように表される。
vb bJ k C …(2.2.5)
vs s sJ k n …(2.2.6)
ただし、C は溶液相の溶質濃度[#/m3]、kb は吸着速度定数[m/s]、ksは脱着速度定数[1/s]。
溶液と結晶表面の間で吸着平衡が成り立つと仮定すると、次式が成り立つ。
b s s (homogeneous mixing)k C k n C C …(2.2.7) * *
b s sk C k n …(2.2.8)
ただし、C*は溶液相の平衡飽和濃度[#/m3]、C∞は最大溶質濃度[#/m3]であり、溶質濃度 C に等しいものと
する。ns*は結晶表面上の平衡飽和濃度[#/m2]であり、単位面積当たりのステップに吸着されている溶質
数を表す。ns∞は最大表面溶質濃度[#/(m2・s)]であり、ステップから十分に離れた位置(z=∞)での溶質濃度
を表す。表面上に吸着された溶質を均一に混合することは困難であるため、位置 z での nsを ns∞と等値す
ることはできない。
式(2.2.7)と式(2.2.8)より ks/kb を消去すると、次式が導かれる。
s* *
s
nCC n
…(2.2.9)
液側と表面側の無次元過飽和度 σ と σs は、それぞれ次式で表される。
*
*C C C C
C …(2.2.10)
*s s
s *s
( )( )
n z nz
n …(2.2.11)
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図2 結晶表面上の溶質流束収支
σ と σsの差を過飽和度分布関数 Ψ [-]で定義すると、次式のようになる。
**s s s
s * * * *s s
( ) ( )( ) ( )
n z n n zC C Cz zC n C n
…(2.2.12)
上式に式(2.2.9)を用いると、次式が導かれる。
s s s s* * *s s s
n n n nn n n
…(2.2.13)
式(2.2.3)に式(2.2.4)、式(2.2.5)、式(2.2.6)を代入すると、次式が導かれる。
ss b s s
dd 0d d
nD k C k n
z z …(2.2.14)
上式に式(2.2.7)を代入して kbC を消去すると、次式のようになる。
2
ss s s s2
d( ) 0
dn
D k n nz
…(2.2.15)
上式に式(2.2.13)を代入して二階微分項の ns を消去すると、次式のようになる。
2 *
*s s s ss s s2 *
s
d ( )0
dn n n nD k n
z n …(2.2.16)
式(2.2.13)を用いて上式を整理すると、次式のようになる。
2 2 2
* * * *ss s s s s s s s s2 2 2
d d d0 0d d d
nD n D k n n D k nz z z
…(2.2.17)
2
s s2dd
D kz
…(2.2.18)
2
s2s s s
d 1 1d
kDz
…(2.2.19)
式(2.1.11)を用いると、結晶表面上における無次元の過飽和度分布式を得る。
n s[#
/m2 ]
zz=0(kink, step)
-Js|z+Dz
ns∞(=C∞)
-Js|z
Jvb Jvs
Dz
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2
2 2s
ddz x
…(2.2.20)
上式は Bessel の微分方程式であり、厳密な一般解は Bessel 関数を用いて表されるが、ここでは次のよう
に考える[文献 11]。上式は、元の関数を二回微分すると元の関数が再び現れる形の式になっている。そ
のような関数の候補として、指数関数が想起される。上式が二階の微分方程式であることから、解の候
補は e-x と ex である。二つの解を重ね合わせると、上式の一般解は次式のようになる。
s s1 2( ) z x z xz C e C e …(2.2.21)
ただし、C1 と C2は定数[-]。
2.2.2 単一ステップ [文献 2,8-10]
直線状の単一ステップを考える。ステップから十分に離れた位置(z=±∞)においては、過飽和度分布関
数 Ψ の式(2.2.13)の ns に ns∞を代入すると Ψ=0 となることから、「z=±∞のとき Ψ=0」が式(2.2.21)に対する
境界条件となる。定数 C1 と C2 について、過飽和度分布関数 Ψ は、式(2.2.13)よりステップの位置(z=0)
において最大となり、正負の方向に関わらずステップから離れるにしたがい減少する。このことを考慮
すると、z>0 において C2=0、z<0 において C1=0 となる。式(2.2.21)は、次式のように場合分けされる。
z>0 のとき s1( ) z xz C e …(2.2.22)
z<0 のとき s2( ) z xz C e …(2.2.23)
初期条件について、z=0 のとき定数 Ψ(0)をとることから、上式より次式が成り立つ。
1 2 (0)C C …(2.2.24)
定数 Ψ(0)について、ステップの位置(z=0)では、式(2.2.11) の nsが結晶表面上の平衡飽和濃度 ns*に相当す
ることから、表面拡散の過飽和度 σs は近似的に 0 となる。このとき、式(2.2.12)で定義される過飽和度分
布関数 Ψ は、液側の無次元過飽和度 σ に等しくなることから、次式が導かれる。 (0) …(2.2.25)
式(2.2.24)を式(2.2.22)と式(2.2.23)に代入して上式を用いると、単一ステップの過飽和度分布式を得る。
s( ) z xz e (z>0) …(2.2.26) s( ) z xz e (z<0) …(2.2.27)
表面拡散流束の式(2.2.4)に式(2.2.13)を代入して微分項の nsを消去すると、過飽和度分布関数 Ψ を含む表
面拡散流束式が導かれる。
ss s
ddnJ Dz …(2.2.4)
s s*s
n nn
…(2.2.13)
*s s sn n n …(2.2.13)’
*
s ss s
d( )d
n nJ Dz
…(2.2.28)
* *ss s s s s s
d d d0d d dnJ D n D n Dz z z
…(2.2.29)
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図3 単一ステップの過飽和度分布
[文献 7] M. Ohara and R. Reid; Modeling crystal growth rates from solution (1973), pp.147-148 を参考に作成
*s s s
dd
J n Dz
…(2.2.30)
式(2.2.26)または式(2.2.27)を上式に代入して得られる式に z=0 を代入すると、正または負の方向からステ
ップに流入する溶質の表面拡散流束 Jsingle± [#/(m・s)]が導かれる。
*s s
single+s
n DJ
x (z>0) …(2.2.31)
*s s
singles
n DJ
x (z<0) …(2.2.32)
原点における表面拡散流束は、単位長さのステップに侵入する単位時間あたりの溶質数を意味する。
表面拡散の全溶質流束 Jsingle [#/(m・s)]は、上式を用いて次式で表される。 single single+ single( ) ( )J J J …(2.2.34)
*s s
singles
2n DJ
x …(2.2.35)
式(2.1.1)を平衡飽和濃度 ns*の条件下で適用し、上式の ns*を消去すると、次式のようになる。
s*s 0= exp
Δn
TG
nk
…(2.1.1)’
s 0single
s
s
2 ex ΔpD nJx kT
G …(2.2.36)
式(2.1.11)を用いて上式の Ds を消去すると、次式のようになる。
s s sx D …(2.1.11)
2s
ss
xD …(2.1.11)’
s s2
0 0 ssingle
s s
s
s
2 Δ 2exp exp
Δn x n xJk
Gx kT T
G …(2.2.37)
u
+z-zh
+z-zO
ΨΨ∞(0)
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式(2.1.3)を上式に代入すると、表面拡散の全溶質流束 Jsingle [#/(m・s)]を得る。
dess
Δ1= expGkT
…(2.1.3)
s dessingle 0 s
Δ Δ2 exp
G GJ n x
kT …(2.2.38)
ステップ前進速度 single [m/s]は、キンク 1 m2 あたりに存在する溶質数 n0 [#/m2]を用いて次式で表される。
single
single0
Jn
…(2.2.39)
上式に式(2.2.38)を代入すると、単一ステップの前進速度式を得る。
s dessingle s
Δ Δ2 exp
G Gx
kT …(2.2.40)
2.2.3 平行ステップ群 [文献 2,8-10]
直線状の平行ステップ群が λ [m]おきに等間隔に並んでいるものとする。間隔の中央を原点(z=0)に定め
ると、z=±λ/2 の位置にステップの両端が存在する。ステップにおける表面拡散の過飽和度 σsは 0 となる
ことから、式(2.2.12)で定義される過飽和度分布関数 Ψ は、溶液側の過飽和度 σ に等しい。このことから、
「z=±λ/2 のとき Ψ=σ」が式(2.2.21)に対する境界条件となる。
s s1 2( ) z x z xz C e C e …(2.2.21)
z=+λ/2 のとき s s2 21 2
x xC e C e …(2.2.41)
z=-λ/2 のとき s s2 21 2
x xC e C e …(2.2.42)
上式を差し引くと、次式が導かれる。
s s2 21 2( )( ) 0x xC C e e …(2.2.43)
1 2 0C C C …(2.2.44)
ただし、z≠0の仮定を用いた。
上式を式(2.2.41)または式(2.2.42)に代入すると、定数 C0を得る。
s s2 20 0
x xC e C e …(2.2.45)
s s0 2 2x xC
e e …(2.2.46)
式(2.2.44)を用いると、一般解の式(2.2.21)は次式で表される。
s s s s0 0 0( ) ( )z x z x z x z xz C e C e C e e …(2.2.47)
上式に式(2.2.46)を代入すると、平行ステップ群の過飽和度分布式を得る。
s s
s s2 2( )z x z x
x xe ez
e e …(2.2.48)
s
s
cosh( )( )
cosh( 2 )z xz
x
2 2z …(2.2.49)
ただし、次式を用いた。
cosh2
z ze ez …(2.2.50)
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図4 平行ステップ群の概略図
[文献 9] M. Ohara and R. Reid; Modeling crystal growth rates from solution (1973), p.149 を参考に作成
式(2.2.49)を式(2.2.30)に代入すると、正または負の方向からステップに流入する溶質の表面拡散流束
Jparallel± [#/(m・s)]が導かれる。
*s s s
dd
J n Dz
…(2.2.30)
*
* s s sparallel± s s s
s s
cosh( )d d cosh( )d cosh( 2 ) cosh( 2 ) d
z x n DJ n D z xz x x z
…(2.2.51)
* *s s s s s s
parallel±s s s s
sinh( ) sinh( )cosh( 2 ) cosh( 2 )
n D z x n D z xJx x x x
…(2.2.52)
ステップの位置(z=+λ/2 または-λ/2)における表面拡散の全溶質流束 Jparallel [#/(m・s)]は、次式で表される。 parallel parallel+ parallel parallel( ) ( ) 2J J J J‐ …(2.2.53)
ステップ右端の位置(z=+λ/2)において式(2.2.52)を上式に代入すると、次式が導かれる。
* *s s s s s
parallels s s s
2 sinh( 2 ) 2tanh
cosh( 2 ) 2n D x n DJ
x x x x …(2.2.54)
式(2.1.1)を平衡飽和濃度 ns*の条件下で適用し、上式の ns*を消去すると、次式のようになる。
s*s 0= exp
Δn
TG
nk
…(2.1.1)’
s 0parallel
s s
s2 exp tanh2
ΔD nJx
GkT x
…(2.2.55)
式(2.1.11)を用いて上式の Ds を消去すると、次式のようになる。 2
0 s 0 sparallel
s s s s s
ss2 2exp tanh exp ta
2Δ Δ
nh2
n x n xJ G Gx kT x kT x
…(2.2.56)
式(2.1.3)を用いて上式の τs を消去すると、表面拡散の全溶質流束 Jparallel [#/(m・s)]を得る。
uu u
ll
h
z=0- +
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dess
Δ1= expGkT
…(2.1.3)
s desparallel 0 s
s
Δ Δ2 exp tanh
2G G
J n xkT x
…(2.2.57)
上式に式(2.2.38)を代入すると、次式を得る。
parallel singles
tanh2
J Jx
…(2.2.58)
ステップ前進速度 parallel [m/s]は、キンク 1 m2 あたりに存在する溶質数 n0 [#/m2]を用いて次式で表される。
parallel
parallel0
Jn
…(2.2.59)
上式に式(2.2.57)を代入すると、平行ステップ群の前進速度式を得る。
s desparallel s
s
Δ Δ2 exp tanh
2G G
xkT x
…(2.2.60)
上式に単一ステップの前進速度式(2.2.40)を代入すると、次式を得る。
parallel singles
tanh2x
…(2.2.61)
2.3 二次元核成長
2.3.1 二次元核生成 [文献 12-19]
g 個の溶質からなる二次元核を一個生成するのに必要な自由エネルギー G2D [J]は、二次元核の形状を
うすい円盤と仮定すると、次式のようになる。
22D VΔ 2 Δg gG π h π h G …(2.3.1)
ただし、h は二次元核の厚み[m]、 GV は二次元核一個あたりの体積自由エネルギー[J/m3]、γ は二次元核
一個あたりの表面自由エネルギー[J/m2]、ρg は二次元核の半径[m]。 上式を ρg で微分して極値をとると、二次元核の臨界半径 ρg* [m]が導かれる。
*2DV
d(Δ ) 2 2 Δ 0d g
g
G h h G …(2.3.2)
*
VΔg G …(2.3.3)
上式を式(2.3.1)に代入すると、二次元核生成に必要な臨界自由エネルギー G2D* [J]が導かれる。
22 2 2
2D VV V V V
2 2Δ * ΔΔ Δ Δ Δ
h h hG h GG G G G
…(2.3.4)
2
2DV
Δ *Δ
hGG
…(2.3.5)
体積自由エネルギー GV [J/m3]は、溶質一個あたりの化学ポテンシャル μ [J/#]を用いて次式で表される。
新潟大学晶析工学研究室
12
Vmg A m
Δ ΔΔG
N …(2.1.8)
Δ lnkT S …(2.1.9)
ただし、k はボルツマン定数[J/K]、NAはアボガドロ数[#/mol]、S は熱力学的過飽和度[-]、T は液温度[K]、
mは溶質一個の体積[m3/#]、 mgは二次元核のモル体積[m3/mol]。
過飽和状態(S>1)のとき、上式を式(1.3.6)に代入すると、 GV は次式で表される。
Vm
lnΔ kT SG …(2.3.8)
上式を式 および式 にそれぞれ代入すると、過飽和度の項を含む式が導かれる。
* m
lng kT S …(2.3.9)
2m
2DΔ *lnhG
kT S …(2.3.10)
無次元過飽和度 σ [-]を用いると、式(2.3.9)は次式で表される。
* m m
*ln ln 1* *
g C C CkT kTC C
…(2.3.11)
* m
ln(1 )g kT …(2.3.12)
* mg kT
(σ<0.1) …(2.3.13)
近似式(2.3.13)の導出にあたっては、次式で表される Taylor 展開の第 1 項までを用いた。
2 3
ln(1 ) ( 0.1)2 3
…(2.3.14)
同様にして、無次元過飽和度 σ [-]を用いると、式(2.3.10)は次式で表される。
2
m2DΔ *
ln(1 )hG
kT …(2.3.15)
2m
2DΔ * hGkT
(σ<0.1) …(2.3.16)
式(2.3.8)を式(2.3.1)に代入して無次元過飽和度 σ [-]を用いると、次式が導かれる。
2
2Dm
Δ 2 lngg
π hG π h kT S …(2.3.17)
2
2Dm
Δ 2 ln(1 )gg
π hG π h kT …(2.3.18)
g 個の溶質からなる一個の二次元核クラスターAgの体積に着目すると、次式が成り立つ。
2m gg π h …(2.3.19)
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13
図5 均一核発生における幼核のエネルギー状態[文献 12]
mg
gπh
…(2.3.20)
上式を式 に代入して ρg を消去すると、次式が導かれる。
m m2D
mΔ 2 ln(1 )g g hG πh kT
πh πh …(2.3.21)
2D mΔ 2 ln(1 )G g πh gkT …(2.3.22)
溶質数 g [#]に対する G2Dの極大値を求めるために、上式を g で微分した値を 0 とおいて整理すると、ク
ラスターが安定な二次元核となるのに必要な溶質数 g* [#]を得る。
1 22Dm
d(Δ ) ( *) ln(1 ) 0dG πh g kTg
…(2.3.23)
1 2
m
ln(1 )( *) kTgπh
…(2.3.24)
2
m2*
[ ln(1 )]πhg
kT …(2.3.25)
二次元核クラスターAgの生成速度 Jg [#/(m2・s)]は次式で表される。 1 1 1(A A ) (A A )g g gJ …(2.3.26)
1g g gJ f f …(2.3.27)
ただし、fg は非平衡状態における二次元核クラスターAgの個数密度[#/m3]、β は溶質の二次元核クラスタ
ーへの衝突速度[m/s]、α は溶質の二次元核クラスターからの離脱速度[m/s]。
平衡状態の場合、二次元核クラスターの生成速度は溶質数 gに関わらずある一定の値 Js [#/(m2・s)]をとる。 1 2 3 s[ ]gJ J J J J …(2.3.28)
平衡状態における二次元核クラスターAgの個数密度 ng [#/m3]は、次式で表される。
g
G
溶質数 g
自由エネルギー
DG
*g
Δ *G
2/32/3m3Δ 4 ln
4G π g gkT S
π
1(unsupersaturated)S
1(supersaturated)S
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14
2DT
ΔexpgGn NkT
…(2.3.29)
** 2D
TΔexpg
Gn NkT
…(2.3.30)
ただし、ng*は二次元核クラスターAgの臨界個数密度[#/m3]、NTは溶質の全個数密度[#/m3]。
式(2.3.28)において、二次元核クラスターAg の生成と消滅の速度が見かけ上等しい Js=0 の条件を仮定す
る。このとき、式(2.3.27)は次式のようになる。 s 1 1 0g g g gJ f f n n …(2.3.31)
上式より次式が導かれる。
1g
g
nn
…(2.3.32)
式(2.3.31)と式(2.3.32)を用いると、式(2.3.27)は次式のように表される。
1
s 11 1
g gg
g g
f fJ n
n n …(2.3.33)
1s 1
1
g gg
g g
f fJ n
n n …(2.3.34)
1s
1 1
1g g
g g g
f fJ
n n n …(2.3.35)
平衡状態の場合、式(2.3.28)が成り立つことから、上式を g=2~g∞まで辺々加えると、次式のようになる。
131 2 2
s1 2 2 3 1 12
1gg g
g g gg
f fff f fJn n n n n n n
…(2.3.36)
1s
1 12
1gg
g gg
ffJn n n
…(2.3.37)
上式において、一個の二次元核クラスターAg を形成する溶質数 g が十分に小さい場合(g=1)、平衡状態に
おける微小クラスターAgの個数密度 n1は、非平衡状態における個数密度 f1に等しいとみなすことができ
る。(クラスターの寸法が十分に小さいので、平衡に達する以前の非平衡状態であっても、平衡状態とほ
ぼ同じ数の微小クラスターがすでに生成していると考える。[文献 18])すなわち、次式が成り立つ。
1
11f
n …(2.3.38)
一方、溶質数 g が十分に大きい場合(g=g∞)、平衡状態における巨大なクラスターAg の個数密度 ng は、非
平衡状態における個数密度 fg よりも十分に大きいとみなすことができる。(平衡状態ではすでに十分な数
の巨大クラスターAg が生成しているが、平衡に達する以前の非平衡状態では、まだ十分に生成していな
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15
いと考える。[文献 18])すなわち、次式が成り立つ。
0g
g
fn
…(2.3.39)
式(2.3.38)と上式を式(2.3.37)に代入すると、次式が導かれる。
s
12
1g
gg
J
n
…(2.3.40)
上式を積分形で表すと、次式のようになる。
s
1
1 dg
Jg
n
…(2.3.41)
上式の ng は、式(2.3.29)で表される。いま、二次元核を生成するのに必要な臨界の溶質数 g*の近傍に着
目しているので、式(2.3.29)中の G2D (g)を g=g*のまわりで Taylor 展開する。
2DT
ΔexpgGn NkT
…(2.3.29)
2
* 22D 2D2D 2D 2
* *
Δ Δ1Δ Δ ( *) ( *)2g g g g
G GG G g g g gg g
…(2.3.42)
上式は、y= G2D(g)が g=g*近傍でどのような関数形になるのかを近似的に表している。右辺第一項と第二
項の和は g=g*における接線の式を表しており、y= G2D(g)の式に g=g*を代入した第一項の定数 G2D*は、
接点の y 座標を表している。 G-g 線図に示されるように、式(2.3.22)で与えられる理論的な y= G2D(g)
は曲線で表されるものの、理論曲線上を動く点 P(g)と上式の近似接線上を動く別の点 P’(g’)は、g=g*近
傍でかなり接近する。このことは、限られた狭い範囲であれば、直線の式であっても、曲線の式の代わ
りになりうることを意味する。ここに、関数の曲がり具合を表す右辺第三項以降を加えることで、理論
曲線式(2.3.22)と近似曲線式(2.3.42)の g=g*近傍における一致の精度を限りなく高めることができる。
G-g 線図において、臨界点(g*, G2D*)における接線の傾きは 0 であることから、式(2.3.42)の右辺第
二項は 0 となる。
2
* 22D2D 2D 2
*
Δ1Δ Δ *2
g g
GG G x x g gg
…(2.3.43)
上式の偏微分項を Q と置くと、上式は次式のように表される。
* 22D 2D
1Δ Δ2
G G Qx 2
2D2
*
Δ
g g
GQg
…(2.3.44)
ただし、Q は G2D の Taylor 展開式における 2 次の偏微分項。
Q の計算について、上式の G2D は、式(2.3.22)で与えられる。
2D mΔ 2 ln(1 )G g πh gkT …(2.3.22)
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16
上式を式(2.3.44)に代入し、偏微分を行うと、次式のようになる。
2 2
2Dm2 2
**
Δ 2 ln(1 )g gg g
GQ g πh gkTg g
…(2.3.45)
1 2m
*( ) ln(1 )
g gQ πh g kT
g …(2.3.46)
3 2m
1 ( *)2
Q πh g …(2.3.47)
式(2.3.44)を式(2.3.29)に代入すると、次式のように導かれる。 * 22D
TΔ ( 2)expg
G Q xn NkT
…(2.3.48)
* 22D
TΔexp exp
2gG Qxn NkT kT
…(2.3.49)
* 22D
T
Δ1 1 exp exp2g
G Qxn N kT kT
…(2.3.50)
2
*1 1 exp
2g g
Qxn kTn
…(2.3.51)
上式を式(2.3.41)に代入すると、次式のようになる。
s 2
* 1
1 exp d2g
JQx g
kTn
…(2.3.52)
上式の積分項について変数変換を行う。式(2.3.43)より *x g g であることから dg=dx。積分区間につい
て、核発生に必要な溶質数 g*が十分に大きいとき、変数 x での積分区間(1~∞)は、変数 g での積分区間(-
∞~+∞)に対応する。以上を踏まえると、上式は次式のように書き換えられる。
s 2
*1 exp d
2g
JQx x
kTn
…(2.3.53)
上式にガウス積分の公式(2.3.54)を用いると、二次元核生成速度 J2D [#/(m2・s)]を得る。
2e dax x
a …(2.3.54)
* *s 2D*
1 2 [ ]2g g
g
QkTJ n n Z JQ kTn
…(2.3.55)
*2D gJ n Z …(2.3.56)
22D
2*
Δ12 2
g g
GQZkT kT g
…(2.3.57)
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17
ただし、J2Dは二次元核生成速度[#/(m2・s)]、Z は Zeldovich(ゼルドビッチ)因子[-]。
Zeldovich 因子は、平衡状態における二次元核クラスターの個数密度(分布)ng*が核発生に伴いずれること
を補正する因子。[文献 15]
式(1.3.56)における溶質の二次元核クラスターへの衝突速度 β [m/s]は、溶液系の場合、溶質の表面拡散
項を考慮して次式で表される。[文献 15]
* sdΔ
2 expgGkT
…(2.3.58)
ただし、 Gsd は表面拡散エネルギー(現在の安定な格子点から隣の安定な格子点へ移るのに必要なエネル
ギー)[J]、 は溶質の振動数[1/s]。
式(2.3.56)に式(2.3.30)と式(2.3.58)をそれぞれ代入すると、次式を得る。
*
* sd 2D2D T
Δ Δ2 exp expgG GJ N ZkT kT
…(2.3.59)
あるいは、上式の G2D*に式(2.3.10)または式(2.3.15)を代入すると、無次元過飽和度の項を含む二次元核
生成速度 J2D [#/(m2・s)]を得る。
2
* sd m2D T 2 2
Δ2 exp exp
(ln )gG hJ N ZkT k T S
…(2.3.60)
2
* sd m2D T 2 2
Δ2 exp exp
ln(1 )gG hJ N ZkT k T
…(2.3.61)
2.3.2 単一核成長 [文献 12,20]
二次元核生成が起こるまでの待ち時間 tw [s]が結晶表面全体を覆うまでの掃引時間 ts [s]よりも十分に
長い場合(tw>>ts)、二次元核が広がって表面全体を覆い尽くした後に次の二次元核が生成する単一核成長
機構が支配的となる。このとき、結晶表面に対して垂直方向の成長速度 R2D [m/s]は、次式で表される。
2D 2DR J Ah …(2.3.62)
ただし、A は二次元核によって覆われる結晶表面の全面積[m2]、h は二次元核の厚み[m]。
上式に式(2.3.61)を代入すると、次式のようになる。
2
* sd m2D T 2 2
Δ2 exp exp
ln(1 )gG hR N ZAhkT k T
…(2.3.63)
2
*sd m2D T 2 2
Δ2 exp exp
ln(1 )gG hR N Ah ZkT k T
…(2.3.64)
上式の ρg*と Z にそれぞれ式(2.3.12)と式(2.3.57)を代入すると、次式のようになる。
2sdm m
2D 1 1 T2 2Δ
exp 2 expln(1 ) 2 ln(1 )
GhQR K K N AhkT kT kTk T
…(2.3.65)
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18
上式の Q に式(2.3.46)を代入すると、次式のようになる。
23 2 31 2 m m
2D m 2 3 2 21 1 ( *) exp ,
ln(1 ) 2 2 ln(1 )KK K hR πh g K K
kT kT k T …(2.3.66)
上式の g*に式(2.3.25)を代入すると、単一核成長機構における成長速度式を得る。
3 22m31 2 m
2D 4 42 expln(1 ) ln(1 ) 4[ ln(1 )]
πhKK K πhR K KkTkT
…(2.3.67)
3 223 22 31 2 m2D 5 5 4 2 2ln(1 ) exp
ln(1 ) ln(1 )KK K πhR K K K
k T …(2.3.68)
3 26 32D 6 1 2 5ln(1 ) exp
ln(1 ) ln(1 )K K
R K K K K …(2.3.69)
1 2 622D 1 1 2 3ln(1 ) exp ,
ln(1 ) ln(1 )KAR A A A K …(2.3.70)
1 2 2
2D 1 exp AR A (σ<0.1) …(2.3.71)
ただし、A1 と A2は系に依存する因子。
2.3.3 多核成長 [文献 12,20]
二次元核が結晶表面を覆い尽くすまでの掃引時間 ts が二次元核生成までの待ち時間 twよりも十分に長
い場合(ts>>tw)、最初の二次元核が結晶表面全体を覆い尽くす前に次の二次元核が結晶表面上のあらゆる
場所で生成する多核成長機構(Birth and Spread Model)が支配的となる。
図6 多核成長(Birth and Spread model)の概略図[文献 12,20]
結晶表面に対して垂直方向の成長速度 R2D [m/s]は、次式で表される。
2DhRt …(2.3.72)
ただし、t'はある二次元核の表面上に次の二次元核が生成するまでの待ち時間[s]。
最初の二次元核が生成した時刻を t=0 と置くと、時刻 t=t'で次の二次元核が一個生成することから、次式
が成り立つ。
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19
* 22D 2D[ ( ) ] 1gJ t t …(2.3.73)
ただし、ρg*は二次元核の臨界半径[m]。
上式より t'が導かれる。
1 3
22D 2D
1( )
tJ
(ρg*≒0) …(2.3.74)
上式を式(2.3.72)に代入すると、t'を含まない成長速度 R2Dが導かれる。
1 32 1 3 1 3 2 3
2D 2D 2D 2D 2D( ) ( ) ( )R h J h J …(2.3.75)
二次元核の前進速度 D [m/s]を過飽和依存の式で表すと、次式のようになる。
2D 2D ( *)k C C …(2.3.76)
2D 2D 2D**
*C Ck C K
C 2D 2D *K k C …(2.3.77)
ただし、C は溶質濃度[kg/m3]、C*は溶解度[kg/m3]、K2D は物質移動係数[m/s]。
式(2.3.75)の J2D, D にそれぞれ式(1.3.61)と上式を代入すると、次式のようになる。
1 32
2 31 3 * sd m2D T 2D2 2
Δ2 exp exp
ln(1 )gG hR h N Z KkT k T
…(2.3.78)
式(2.3.65)~式(2.3.71)にならって上式を整理すると、多核成長機構における成長速度式を得る。
1 31 2 2 33
2D 1 2 exp XR X X …(2.3.79)
1 3 1 6 2 332D 1 2
1 exp3
XR X X …(2.3.80)
5 6 22D 1 exp BR B (σ<0.1) …(2.3.81)
ただし、B1 と B2は系に依存する因子。
2.4 渦巻き成長 [文献 21,22]
らせん転位が存在する結晶表面上のある基点を中心にステップが一周するとき、表面に対して垂直方
向には結晶がステップ高さ h [m]だけ速度 Rspiral [m/s]で成長する。一方、水平方向にはステップが速度 spiral
[m/s]で間隔 λ [m]だけ前進する。
ステップが一周するのに要する時間と前進するのに要する時間は等しいことから、次式が成り立つ。
spiral spiral
hR
…(2.4.1)
上式より、渦巻き成長速度 Rspiral [m/s]は次式で表される。
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20
図7 渦巻き成長の概略図
[文献 21]黒田登志雄「結晶は生きている」p.139 図 3.16(d)を参考に作成
spiralspiral
hR …(2.4.2)
渦巻き成長における水平方向のステップ前進は、平行ステップ群におけるステップ前進に置き換えて考
えることができる。上式のステップ前進速度 spiral [m/s]に平行ステップ群の前進速度式(2.2.60)を適用する
と、次式が導かれる。
s desparallel spiral s
s
Δ Δ2 exp tanh
2G G
xkT x
…(2.2.60)
s s desspiral
s
2 Δ Δexp tanh
2x G G
R hkT x
…(2.4.3)
2 2spiral 1 tanh DR D s des
1 22 s
exp[ (Δ Δ ) ],
2h G G kTD D
D x …(2.4.4)
上式の tanh 項について、一般に次式が成り立つ。
tanhx x
x xe exe e
…(2.4.5)
3tanh
3xx x …(2.4.6)
x が十分に大きいときは式(2.4.5)の x に無限大を代入することにより、あるいは、x が十分に小さいとき
は式(2.4.6)の第一項を用いることにより次式が成り立つ。
tanh 1x …(2.4.7)
tanh x x …(2.4.8)
式(2.4.4)において低過飽和条件の場合(σ<<D2)、式(2.4.7)を用いて次式が成り立つ。
Rλ
uuu
parallelmultiple-step growth
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21
2spiralR …(2.4.9)
式(2.4.4)において高過飽和条件の場合(σ>> D2)、式(2.4.8)を用いて次式が成り立つ。
spiralR …(2.4.10)
渦巻き成長により描かれる模様をアルキメデスらせんと見なすと、ステップ間隔 λ [m]と無次元過飽和
度 σ [-]の関係式を導くことができる。アルキメデスらせんの極方程式は、次式で定義される。
r K …(2.4.11)
ただし、K は定数[-]、r はらせん中心からの距離[m]、θ は回転角[rad]。
渦巻き成長の開始点 O を中心とする曲率円の半径 ρ [m]は、曲率円上の二つの接点 A および B を結ぶ
中心角 θ [rad]をなす扇形 OAB の弧長 l [m]を用いて表される。[文献 23]
ΔΔ 2 Δ2
l …(2.4.12)
ΔΔ
l …(2.4.13)
微小弧長 l は、線分 AB を斜辺とする直角三角形の斜辺と見なすことができる。接点 A と B の直角座標
をそれぞれ A(x, y)、B(x+ x, y+ y)とすると、三平方の定理より次式が成り立つ。
2
2 2 ΔΔ (Δ ) (Δ ) Δ 1Δ
yl x y xx
…(2.4.14)
曲率円上の点 A および点 B を通る接線と x 軸の間の角をそれぞれ α および β とするとき、微小角 θ は
これらの差に等しい。
Δ ( ) …(2.4.15)
上式の正接(tan)を取ると、加法定理を用いて次式のように導かれる。
sin( )tan(Δ ) tan( )cos( )
…(2.4.16)
sin cos cos sin sin cos cos sin cos cos sin sintan(Δ )cos cos cos coscos cos sin sin
…(2.4.17)
tan tantan(Δ )
1 tan tan …(2.4.18)
上式において、微小角 Δθ が十分に小さいとき、式(2.4.8)を用いて次式が成り立つ。 tan(Δ ) Δ …(2.4.19)
正接項は、曲線 y=f(x)を通る点 A および B の接線の傾きを表すことから、それぞれ次式で表される。 tan ( )f x …(2.4.20)
tan ( Δ )f x x …(2.4.21)
式(2.4.19)~式(2.4.21)を式(2.4.18)に代入すると、次式のようになる。
( Δ ) ( )Δ
1 ( Δ ) ( )f x x f x
f x x f x …(2.4.22)
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22
図8 曲率半径を求めるための概略図[文献 23]
式(2.4.14)と上式を式(2.4.13)に代入すると、次式のようになる。
2Δ ( Δ ) ( )Δ 1
Δ 1 ( Δ ) ( )y f x x f xxx f x x f x
…(2.4.23)
2Δ ( Δ ) ( )1 ( Δ ) ( ) 1
Δ Δy f x x f xf x x f xx x
…(2.4.24)
上式の Δx を限りなく 0 に近づけると、直交座標における曲率半径 ρ [m]を得る。
2
2 2 2d ( )1 ( ) 1 1 ( ) 1 ( )dy df xf x f f fx dx
…(2.4.25)
3 221 ( )f
f
2
2d d,d dy yf fx x
…(2.4.26)
上式を極座標に変換する。直交座標(x, y)は、極座標(r, θ)を用いて次式で表される。[文献 24]
cosx r …(2.4.27) siny r …(2.4.28)
式(2.4.27)を r で微分すると、次式のようになる。
d dcos sind d
x rr r
…(2.4.29)
d (cos )d ( sin )dx r r …(2.4.30)
式(2.4.28)を r で微分すると、次式のようになる。
d dsin cosd d
y rr r
…(2.4.31)
α β
θρ
O
lA
B
x
新潟大学晶析工学研究室
23
d (sin )d ( cos )dy r r …(2.4.32)
式(2.4.30)と式(2.4.32)をそれぞれ二乗すると、次式のようになる。 2 2 2 2 2 2(d ) cos (d ) 2 cos sin d d sin (d )x r r r r …(2.4.33) 2 2 2 2 2 2(d ) sin (d ) 2 sin cos d d cos (d )y r r r r …(2.4.34)
上式を加えると、次式が導かれる。
2 2 2 2 2(d ) (d ) (d ) (d )x y r r …(2.4.35)
ただし、次式を用いた。
2 2sin cos 1x x …(2.4.36) 式(2.4.35)の両辺を(dx)2 で割り算すると、式(2.4.26)の分子が導かれる。
2 2 2
2d d d1d d dy r rx x x
…(2.4.37)
3 22 23 22 2d d1 ( )
d drf rx x
dyfdx
…(2.4.38)
3 22 2 23 22 2d d d1 ( ) 1d d d
r xf rx x r
…(2.4.39)
3 23 23 22 2d d1 ( ) 1
d drf rx r
…(2.4.40)
式(1.4.26)の分母について、次式のように導く。
2
2d d d d dd d d d d
d y y y rfx x r x xdx
…(2.4.41)
2
2d d d d d d d d d dd d d d d d d d dd
y r r r y y r rfr r x x x r r x xr
…(2.4.42)
22 2 2
22 2d d d d d d d d dd d d1
d dd d d d d d ddd dr y y r r y y rx x xf
r rx r r x x r xrr r …(2.4.43)
22 2
2 2d d d d d dd d d dd d
r y y x r rfx r x xr r
…(2.4.44)
2 32 2
2 2d d d d dd d dd dr y y x rfx r xr r
…(2.4.45)
3 2 2
2 2d d d d dd d dd d
r x y y xfx r rr r
…(2.4.46)
式(2.4.26)に式(2.4.40)と上式を代入すると、次式のようになる。
新潟大学晶析工学研究室
24
3 2 3 22 3 2 3 2 22
2 2
1 ( ) d d d d d d d1d d d d dd d
f r r x y y xrx r x r rf r r
…(2.4.47)
3 22 2 22
2 2d d d d d1d d dd d
x y y xrr r rr r
…(2.4.48)
上式の分母の微分項を dθ/dr の形に置き換える。式(2.4.29)より次式が導かれる。
d dcos sind d
x rr r
…(2.4.29)
2 2
2 2d d d d d d dcos sin sin ( sin ) sin
d d d d dd dx r r r
r r r r rr r …(2.4.49)
2 2
2 2d d d d dsin sin cos sin
d d dd dx r r
r r rr r …(2.4.50)
22 2
2 2d d d d dsin sin cos sin
d d dd dx r r
r r rr r …(2.4.51)
22 2
2 2d d d d2sin cos sin
d dd dx r r
r rr r …(2.4.52)
式(2.4.31)より次式が導かれる。
d dsin cosd d
y rr r
…(2.4.31)
2 2
2 2d d d d d d dsin cos cos ( cos ) cos
d d d d dd dy r r r
r r r r rr r …(2.4.53)
2 2
2 2d d d d dcos cos sin cos
d d dd dy r r
r r rr r …(2.4.54)
22 2
2 2d d d d dcos cos sin cos
d d dd dy r r
r r rr r …(2.4.55)
22 2
2 2d d d d2cos sin cos
d dd dy r r
r rr r …(2.4.56)
式(2.4.48)の分母は、式(2.4.29), 式(2.4.31), 式(2.4.52), 式(1.4.56)を用いて次式のように整理される。
22 2 2
2 2 2d d d d d d d dcos sin 2cos sin cosd d d d dd d dx y y x r r rr r r r rr r r
2 2
2d d d dsin cos 2sin cos sind d d d
r r rr r r r
…(2.4.57)
新潟大学晶析工学研究室
25
22 2 2
2 2 2d d d d d d d dcos sin 2cos sin cosd d d d dd d d
x y y x r r rr r r r rr r r
2 2
2d d d dsin cos 2sin cos sind d d d
r r rr r r r
…(2.4.58)
2 22 2
22 2
2 2 2 3 22 2 2
2
d d d2cos sin cos cosd d dd d d d
d dd d d d d d2 sin cos sin sin cosd d dd
r rr r rx y y x
r rr rr r r
r r rr
2 22 2
2
2 3 22 2 2
2
d d d2sin sin cos sind d d
d d d d2 sin cos cos sin cosd d dd
r rr r r
r r rr r rr
…(2.4.59)
32 2 22 2 2 2
2 2 2d d d d d d d2cos cos sind d d dd d dx y y x r rr r r rr r r
322 2 2 2
2d d d2sin sin cosd dd
r rr rr
…(2.4.60)
32 2 22
2 2 2d d d d d d d2d d d dd d dx y y x r rr r r rr r r
…(2.4.61)
上式を式(2.4.48)に代入すると、極座標における曲率半径 ρ [m]を得る。
3 22 2
2 3
1 ( )
2 ( )
r
r r
2
2d d,d dr r
…(2.4.62)
上式にアルキメデスらせんの極方程式(2.4.11)を代入すると、次式のようになる。
3 2 3 22 2 2 2
2 2 3 2
1 (1 ) 1
2(1 ) (1 ) 0 (2 )
K K
K K K K …(2.4.63)
上式に原点の条件 θ=0 を代入すると、らせん中心における曲率半径 ρc [m]を得る。
c 2K …(2.4.64)
らせん上のある位置(r1, θ1)とそこから一周成長した位置(r2, θ1+2π)の関係は、次式で表される。
1 1r K …(2.4.65)
2 1( 2 )r K …(2.4.66)
上式の差をとり、式(2.4.64)を用いると、ステップ間隔 λ [m]を得る。
新潟大学晶析工学研究室
26
2 1 2r r K …(2.4.67)
c4 2 1r r …(2.4.68)
曲率半径 ρc を二次元核の臨界半径 ρg*とみなすと、式(2.3.13)を上式に代入して現象が反映されたステッ
プ間隔 λ [m]を得る。
* mcg kT
(σ<0.1) …(2.3.13)
m4kT
…(2.4.69)
式(2.3.13)を式(2.4.64)に代入すると、定数 K を得る。
m2KkT
…(2.4.70)
上式を(2.4.11)に代入すると、現象が反映されたアルキメデスらせんの極方程式を得る。
m2rkT
…(2.4.71)
2.5 付着成長 [文献 25,26]
結晶面の角が崩壊してできるようなキンクの個数密度が高い特異面では、溶液相の溶質は表面拡散を
経ることなく直接的にキンクに取り込まれる。このような条件では、結晶相に取り込まれるまでに溶質
が経験するエネルギー障壁はほぼ最小となり、成長速度はほぼ最大となる。
溶液相の溶質が脱溶媒和エネルギー Gdesol [J]の障壁を乗り越えてキンクへ飛び込む頻度 ωad [1/s]は、
式(2.1.2)と同様にして次式で表される。
desolad
Δ= exp
GkT
…(2.5.1)
ただし、 は溶質の振動数[1/s]。
溶液相の過飽和度を C [≡C-C*] [#/m3]とすると、単位面積当たりのキンク近傍の溶質濃度 n [#/m2]は、
溶質の飛び込み距離 ls [m]を用いて次式で表される。
sΔn l C …(2.5.2)
式(2.5.1)と上式を乗じると、溶液相からキンクへ飛び込む溶質流束 J [#/(m2・s)]が導かれる。
desolad
Δ= Δ exp
GJ a C
kT sl a …(2.5.3)
上式を無次元過飽和度 σ [-]を用いて表すと、次式のようになる。
* desolad
Δ= exp
GJ aC
kT …(2.5.4)
上式に分子一個の体積 m [m3/#]を乗じると、付着成長速度 Rad [m/s]を得る。(Wilson-Frenkel の式)
* desolad m
Δ= exp
GR aC
kT …(2.5.5)
新潟大学晶析工学研究室
27
3.物質移動過程
3.1 移動現象論モデル
3.1.1 対流物質移動流束 [文献 27-29]
均一相中の成分 A と B の質量濃度をそれぞれ ρA [kg/m3]および ρB [kg/m3]、固定座標基準の移動速度を
それぞれ A [m/s]および B [m/s]とするとき、面積 A [m2]を通過する成分 A と B の混合物の質量平均速度
* [m/s]は、それぞれ次式で表される。
AAA* BBAABA )( …(3.1.1)
AAA* BBAA …(3.1.2)
BBAA ww* …(3.1.3)
ただし、ρ は全質量濃度[kg/m3]、wAおよび wBはそれぞれ成分 A と B の質量分率[-]。
固定座標基準における成分 A と B の質量流束をそれぞれ nA [kg/(m2・s)]および nB [kg/(m2・s)]とするとき、
次式が成り立つ。
AAAn …(3.1.4)
BBBn …(3.1.5)
*に対する成分 A と B の相対質量流束 jA [kg/(m2・s)]および jB [kg/(m2・s)]は、それぞれ次式で表される。
)( AAA *j …(3.1.6)
)( BBB *j …(3.1.7)
質量基準の物質移動に関する Fick の式は、次式で表される。
z
wjd
d AABA D …(3.1.8)
ただし、DABは拡散係数[m2/s]。
式(3.1.4)を用いて式(3.1.6)を変形すると、nAが導かれる。
*j AAAA …(3.1.9)
*nj AAA …(3.1.10)
*jn AAA …(3.1.11)
上式の ρA *を拡散成分の情報に置き換える。式(3.1.4)と式(3.1.5)をそれぞれ式(3.1.2)に代入すると、 *が
導かれる。
BA nn* …(3.1.12)
上式より ρA *の項は次式で表される。
AA A B A A B* ( )= ( )n n w n n …(3.1.13)
上式と式(3.1.8)を式(3.1.11)に代入すると、成分 A の質量基準対流物質移動流束 nA [kg/(m2・s)]を得る。
)(d
dBAA
AABA nnw
zwn D …(3.1.14)
上式の右辺第 1 項および第 2 項は、それぞれ拡散項と対流項を表している。
新潟大学晶析工学研究室
28
3.1.2 物質移動速度
晶析過程における固液境膜内の物質移動は、移動論的には一方拡散に相当する。すなわち、結晶化し
ない成分 B(溶媒分子)は動かず、結晶化する成分 A(溶質分子)のみが液相から固相へ向かって、一方向に
拡散する。結晶化しない成分 B は動かないことから、式(3.1.14)に nB=0 を代入し、nAについて整理する。
)0(d
dAA
AABA nw
zwn D …(3.1.15)
z
wnwd
d)1( AABAA D …(3.1.16)
A
AABA 1
ddwwzn D …(3.1.17)
境界条件(z=z1のときwA=wAi、z=z2 (<z1) のときwA=wA)の下、上式を積分して nAについて整理すると、
結晶成長過程における固液境膜内の物質移動速度式を得る。
A
Ai
2
1 A
AAB
zA 1
ddw
wz wwzn D …(3.1.18)
A
Ai)1ln()( AAB12A
wwwzzn D …(3.1.19)
Ai
AABA 1
1ln)(wwn D …(3.1.20)
A
AiABA 1
1lnwwn D
…(3.1.21)
A
AidA 1
1lnwwkn AB
dk D …(3.1.22)
ただし、δ は境膜厚み[m]、kd は物質移動係数[m/s]、wAiは固液界面における成分 A の質量分率[-]。
上式において、見かけの物質移動係数 kd′[m/s]を導入すると、簡略化された物質移動速度式を得る。
)( AiAdA wwkn …(3.1.23)
A
Ai
AiAd
d
11ln1
ww
wwkk
…(3.1.24)
いま、成分 A の濃度が十分希薄であるとき(wA, wAi<<1)、次の近似式が成り立つ。
ln(1-wA)≒-wA …(3.1.25)
ln(1-wAi)≒-wAi …(3.1.26)
これらの近似式は、次式で表されるテーラー展開の第 1 項までを用いることで導かれる。
32
)ln(132 xxxx …(3.1.27)
式(3.1.25)と式(3.1.26)をそれぞれ式(3.1.22)に適用すると、次式の通りとなる。
)}(){()}1ln()1{ln( AAidAAidA wwkwwkn …(3.1.28)
)( AiAdA wwkn …(3.1.29)
上式は、質量成長速度 Rm [kg/(m2・s)]を用いて次式で表される。
新潟大学晶析工学研究室
29
図9 晶析過程における物質移動解析(その1)
)( idm CCkR …(3.1.30)
ただし、C および Ciは液本体および固液界面における質量濃度[kg/m3]。
式(3.1.29)または式(3.1.30)は、工学的な結晶成長モデル(2 ステップモデル)における物質移動過程の成長速
度式に相当し、あくまで希薄条件下で成り立つ。厳密な成長速度式は、式(3.1.22)で与えられる。
結晶形状を球と仮定し、結晶周りの流体は静止しているものとする。結晶化成分 A の質量拡散速度 NAW
[kg/s]は、Fick の式(3.1.8)を用いて次式のように導かれる。
2AAW A AB
d (4 )dwN j A rr
D …(3.1.31)
A
AiAW AB A2
d 4 dw
R w
rN wr
D …(3.1.32)
AW AB A Ai1 4 ( )
RN w w
rD …(3.1.33)
AW AB A Ai4 ( )N R w wD …(3.1.34)
ただし、Dpは粒径[m]、R は粒子半径[m]。
上式を変形すると、静止流体における球周りの物質移動に対するシャーウッド数 Sh の理論解を得る。
AW2
AB A Ai
14 ( )
NRR w wD
…(3.1.34)
A
AB A Ai1
( )nR
w wD 2
A AW 4n N R …(3.1.35)
p d
AB1
2D kD
Ad
A Ai( )nk
w w …(3.1.36)
d p
AB2
k DSh
D …(3.1.37)
式(3.1.22)を上式に代入して物質移動係数 kd を消去すると、次式が導かれる。
結
晶
wA
wAi
z2
境膜
z1
d
z+nAw
新潟大学晶析工学研究室
30
図 10 晶析過程における物質移動解析(その2)
p
2D
…(3.1.38)
すなわち、静止流体中における境膜厚みは、結晶半径に等しい。
流れ場を考慮したシャーウッド数は、Ranz-Marshall(ランツ・マーシャル)式のアナロジーで整理される。
1/2 1/3p2 0.6Sh Re Sc …(3.1.39)
ただし、Rep は粒子レイノルズ数[-]、Sc はシュミット数[-]。
シャーウッド数 Sh の物理的意味について考察する。定義式を変形すると、次式のようになる。
d
ABABd
k L L LSh
kDD
…(3.1.40)
ただし、L は代表長さ[m]。
上式は、代表長さ(円管径、粒径、装置長)L が境膜厚み δ の何倍に相当するかを表している。
あるいは、次式のように変形される。
d A A A
A AiAB A Ai AB AAB
( )k L n n nLSh w ww w j
LD D D
…(3.1.41)
上式は、流れ場における物質移動速度(対流物質移動流束)nAが静止流体中における物質移動速度 jAの何
倍に相当するかを表している。
3.2 化学工学モデル
3.2.1 質量成長速度と線成長速度
質量成長速度 Rm [kg/(m2・s)]と線成長速度 G [m/s]は、それぞれ次式で定義される。
tW
ARm d
d1 …(3.2.1)
0 R(=Dp/2)
wA
w
r
wAi
-jA
結晶
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31
ddLGt …(3.2.2)
ただし、A は結晶表面積[m2]、L は結晶粒径[m]、W は結晶重量[kg]、t は時間[s]。
結晶粒子群の重量 W [kg]と表面積 A [m2]は、形状係数を用いてそれぞれ次式で表される。 3
V cW N L …(3.2.3) 2
SA N L …(3.2.4) ただし、N は結晶個数[#]、ΦVは体積形状係数[-]、ΦS は面積形状係数[-]、ρcは結晶密度[kg/m3]。
上式を式(3.2.1)に代入して整理すると、式(3.2.2)を用いて次式のようになる。
3V c2
S
1 d 1 d ( )d dW N L
A t tN L …(3.2.5)
3V c
2S
1 d dd dW L
A t tL …(3.2.6)
3V c
2S
1 d d dd d dW L L
A t L tL …(3.2.7)
GLLt
WA
)3(d
d1 22
S
cV …(3.2.8)
GRS
cVm
3 …(3.2.9)
上式は、質量成長速度および線成長速度の間で互換性があることを表している。
結晶形状を球と仮定する。このときの体積形状係数 ΦVは、球の体積と実際のいびつな結晶粒子の体
積を等値することで求められる。
(球の体積)3
3 3sphere
4 43 3 2 6
LV r L …(3.2.10)
(いびつな粒子の体積) 3p VV L …(3.2.11)
上式を等値すると、次式を得る。
6V …(3.2.12)
同様にして、球の表面積形状係数 ΦSは、次式のようにして求められる。
(球の表面積)2
2 2sphere 4 4
2LS r L …(3.2.13)
(いびつな粒子の表面積) 2p SS L …(3.2.14)
上式を等値すると、次式を得る。
S …(3.2.15) それぞれの形状係数を式(3.2.9)に代入すると、球粒子の質量成長速度式を得る。
cm
3( 6)R G …(3.2.16)
新潟大学晶析工学研究室
32
GR cm 21
…(3.2.17)
3.2.2 総括結晶成長速度 [文献 30,31]
工学的な結晶成長過程は、溶質成分の物質移動過程と表面集積過程の直列モデルで考える。
溶質成分の物質移動速度は、次式で表される。
)( idm CCkR …(3.2.18)
Ddk …(3.2.19)
ただし、kdは物質移動係数[m/s]、C は液本体の溶質濃度[kg/m3]、Ciは固液界面の溶質濃度[kg/m3]、D は
拡散係数[m2/s]、δ は境膜厚み[m]。
溶質成分の表面集積速度は、次式で表される。
rCCkR *)( irm …(3.2.20)
RTEkk Δexpr0r …(3.2.21)
ただし、C*は溶解度[kg/m3]、r は表面集積速度式の次数[-]、krは表面集積過程の速度係数[m/s]、kr0 は定
数[m/s]、 E は表面集積過程の活性化エネルギー[J/mol]、R は気体定数[J/(K・mol)]、T は温度[K]。
式(3.2.18)または式(3.2.20)のいずれを用いても質量成長速度 Rm を計算することができる。しかし、い
ずれの式も計測が困難な固液界面濃度 Ciが含まれており、不便である。固液界面濃度 Ciを含まない総括
結晶成長速度式を以下に導く。
式(3.2.20)において r=1 の場合を考える。式(3.2.18)と式(3.2.20)はそれぞれ次式のように変形される。
id
m CCkR
…(3.2.22)
*ir
m CCkR
…(3.2.23)
上式を辺々加えると、r=1 の場合の総括成長速度式を得る。
*11
rdm CC
kkR …(3.2.24)
m
d r
1 ( *)1 1R C C
k k
…(3.2.25)
m ( *)R K C C (r=1) …(3.2.26)
d r
1 1 1K k k
…(3.2.27)
ただし、K は総括成長速度係数[m/s]。
上式は、結晶成長過程の全抵抗 1/K が物質移動抵抗 1/kd と表面集積抵抗 1/kr の和で表されることを意味
する。
新潟大学晶析工学研究室
33
図 11 2ステップモデルの概略図[文献 30,31]
式(3.2.20)において r=2 の場合を考える。式(3.2.18)は、次式のように変形される。
i2
md
)(1 CCRk
…(3.2.28)
式(2.2.20)は、次式のように変形される。
2i
2m
r*)()(1 CCR
k …(3.2.29)
*)(1i
2m
rCCR
k …(3.2.30)
*1im
r
CCRk
…(3.2.31)
式(3.2.28)と上式を辺々加えると、次式のようになる。
*)(1)(1m
r
2m
dCCR
kR
k …(3.2.32)
0*)()(1)(1m
r
2m
dCCR
kR
k …(3.2.33)
0*)()()( dmr
d2m CCkR
kkR …(3.2.34)
解の公式を用いると、上式の解析解は次式のように導かれる。 2
d dm d m
r r
1 4 ( *) 02
k kR k C C Rk k
…(3.2.35)
上式を整理すると、r=2 の場合の総括成長速度式を得る。
2
d
2
r
d
r
dm *)(4
21 CCk
kk
kkR …(3.2.36)
結
晶
C (液本体)
Ci (固液界面)
C* (溶解度)距 離
濃
度
①
②
境膜
新潟大学晶析工学研究室
34
2
d
2
r
dd
2
r
d
r
d
2
r
dm *)(4*)(42
41 CCk
kkCCk
kk
kk
kkR …(3.2.37)
*)(4*)(42
41
d
2
r
dd
r
2d
r
rd
r
2d
m CCkk
kCCkkk
kkk
kkR …(3.2.38)
*)(4*)(42
41
dr
2d
dr
2d
2
r
rd
r
2d
m CCkkkCCk
kk
kkk
kkR …(3.2.39)
*)(4*)(44241
ddr
2d
r
2d
r
2d
m CCkCCkkk
kk
kkR …(3.2.40)
*)(4*)(164241
dr
3d
2r
4d
r
2d
m CCkk
CCkkk
kkR …(3.2.41)
*)(4*)(44241
dr
3d
2r
4d
r
2d
m CCkk
CCkkk
kkR …(3.2.42)
*)(4*)(42241
dr
3d
2r
4d
r
2d
m CCkk
CCkkk
kkR …(3.2.43)
2 4 3d d d
m d 2r rr
4 ( *)1( *)2 2k k k C CR k C Ck kk
…(3.2.44)
2 4 3d d d
m d 2r rr
( *)( *)
2 4k k k C CR k C Ck kk
(r=2) …(3.2.45)
上の導出例は、表面集積速度の次数 r が整数となる特別な場合においてである。実際の総括成長速度式
は、次の実験式で整理される。 gCCKR *)(m …(3.2.46)
ただし、g は定数であり、1 から 2 の間の値をとることが経験的に知られている。
3.2.3 有効係数 [文献 32] 結晶の粗大化に直接関わるのは表面集積過程であるが、物質移動過程でも過飽和が消費される為、表
面集積速度は常に最大にはならない。表面集積速度が最大となるのは、固液界面濃度 Ciが液本体濃度 C
と等しくなる場合においてである。また、表面集積速度が最小となるのは、固液界面濃度 Ciが溶解度 C*
新潟大学晶析工学研究室
35
と等しくなる場合においてである。そこで、実際の成長速度が最大成長速度の何割に相当するかを表す
有効係数 η[-]を導入する。
図 12 有効係数の概念図
有効係数 η は、表面集積速度式(3.2.20)の固液界面濃度 Ciを液本体濃度 C に置き換えた最大成長速度式
に対する実際成長速度式(3.2.46)の比で定義される。
r
g
CCkCCK
*)(*)(
r
…(3.2.47)
式(3.2.18)を Ciについて整理すると、次式のようになる。 )( idm CCkR …(3.2.18)
d
mi k
RCC …(3.2.48)
上式を表面集積速度式(3.2.20)に代入する。 rCCkR *)( irm …(3.2.20)
mm r
d*
rRR k C Ck
…(3.2.49)
mm r
d( *)
rRR k C Ck
…(3.2.50)
総括成長速度式(3.2.46)を用いて上式の両辺の Rmを消去する。 gCCKR *)(m …(3.2.46)
rd
( *)( *) ( *)rg
g K C CK C C k C Ck
…(3.2.51)
有効係数 η の式(3.2.47)を変形すると、次式のようになる。
r
g
CCkCCK
*)(*)(
r
…(3.2.47)
rg CCkCCK *)(*)( r …(3.2.52)
上式を式(3.2.51)に代入して左辺の式を消去すると、有効係数の式を得る。
結
晶
C
C*Ci
0<η<1(実際速度)
結
晶
C
C*(=Ci)η=0
(最小速度)
結
晶
C(=Ci)
C*η=1
(最大速度)
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36
rr r
d
( *)( *) ( *)rr
r k C Ck C C k C Ck
…(3.2.53)
1
rr r
d
( *)( *) ( *) 1rr
r k C Ck C C k C Ck
…(3.2.54)
1r
r rd
( *)( *) ( *) 1rr
r r k C Ck C C k C Ck
…(3.2.55)
1r
d
( *)1rrk C C
k …(3.2.56)
rDa)1( …(3.2.57) 1
r r
d d
( *) ( *)( *)
r rk C C k C CDak C C k
…(3.2.58)
図 13 有効係数とダムケラー数の相関
[文献 32]J.W.Mullin, Crystallization 4th Ed.,Butterworth Heinemann (2001), p.229 Fig.6.12 を参考に作成
ただし、Da は結晶成長に関するダムケラー数であり、固液界面濃度 Ci を液本体濃度 C に置き換えた場
合の最大拡散成長速度に対する最大表面集積成長速度の比で定義される。η が 1 に近づくにつれて、表面
集積過程が支配的(表面集積律速)となる。一方、η が 0 に近づくにつれて、物質移動過程が支配的(拡
散律速)となる。
Da0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
r=1r=2r=3
←Pure surface integration growth
Pure diffusion growth →
rDa)1(
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37
4.熱移動過程
4.1 熱移動速度 [文献 33,34]
晶析過程は多くの場合発熱過程であり、発生する熱量は結晶の成長量に比例する。このとき、結晶面
から放出される熱流束 q [J/(m2・s)]は、次式のように表される。
))(Δ( AnHq …(4.1.1)
ただし、 H は溶解熱[J/kg]であり、負の値をとることから、負号を付して正の値とした。また、結晶表
面から溶液本体へ向かう方向を正の方向とするとき、熱移動の向きは正方向、物質移動の向きは負方向
となる。すなわち、物質移動流束 nAは負の値をとることから、負号を付して正の値とした。
結晶表面から液本体に向かう熱流束は、拡散項と溶質の物質移動がもたらす対流項の和で表される。
)()(dd
ipA TTCnzTkq …(4.1.2)
ただし、k は熱伝導度[W/(m・K)]、Cp は比熱容量[J/(kg・K)]、Tiは固液界面の温度[K]。
式(4.1.1)および上式より q を消去すると、次式のようになる。
)()(dd))(Δ( ipAA TTCn
zTknH …(4.1.3)
)()(ddΔ ipAA TTCn
zTkHn …(4.1.4)
)()Δ(dd
ipAA TTCnHnzTk …(4.1.5)
A p ip
d ( Δ ) ( )dT Hk n C T Tz C
…(4.1.6)
zkCn
TTCHT d
)()Δ(d pA
ip …(4.1.7)
zkCn
CHTTT d
)Δ(d pA
pi …(4.1.8)
境界条件(z=z1のとき T=Ti、z=z2 (>z1) のとき T=T)の下で上式を積分して nAについて整理すると、次
式のようになる。
2
1i
d)Δ(
d pA
pi
z
z
T
Tz
kCn
CHTTT
…(4.1.9)
i
A pi 2 1
p
Δln ( )T
T
n CHT T z zC k
…(4.1.10)
A p hi i i
p p
Δ Δln lnn CH HT T T T
C C k …(4.1.11)
d
pA
p
pi
)Δ()Δ()(
lnhCn
CHCHTT
dh
kh …(4.1.12)
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38
図 14 晶析過程における熱移動解析(その1)
ただし、δhは境膜厚み[m]、hd は境膜伝熱係数[W/(m2・K)]。
p
pi
p
dA )Δ(
)Δ()(ln
CHCHTT
Chn …(4.1.13)
上式を式(4.1.1)に代入して整理すると、熱移動速度式を得る。
i pd
p p
( ) ( Δ )( Δ ) ln
( Δ )T T H Chq H
C H C …(4.1.14)
pi
p
p
d
)Δ()()Δ(
ln)Δ(CHTT
CHChHq …(4.1.15)
pi
p
pd )Δ()(
)Δ(ln)Δ(
CHTTCH
CHhq …(4.1.16)
p id i
p i i p i
[( Δ ) ] ( )( Δ )( ) ln( ) [( ) ( Δ ) ] ( )
H C T THq h T TC T T T T H C T T
…(4.1.17)
p id i
p i p i
( Δ ) [ ( )]( Δ )( ) ln( ) ( 1) ( Δ ) [ ( )]
H C T THq h T TC T T H C T T
…(4.1.18)
111ln1)( id TThq
p i( )( Δ )
C T TH
…(4.1.19)
)11()1(ln1)( id TThq …(4.1.20)
11ln1)( id TThq …(4.1.21)
ここで、Λ は結晶化熱に対する対流輸送される顕熱の比[-]であり、 10 の値をとる。Λ は、結晶粒
子の発熱分の何割が対流輸送されたかを表す。上式において見かけの境膜伝熱係数 hd′[W/(m2・K)]を導入
すると、簡略化された熱移動速度式を得る。
)( id TThq …(4.1.22)
結
晶Ti
Tz2
境膜
z1
dh
z+qT
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39
11ln1
d
d
hh
…(4.1.23)
多くの場合、Λ の値は十分に小さい(Λ<<1)。このとき、次の近似式が成り立つ。
ln(1-Λ)≒-Λ …(4.1.24)
上式を式(3.1.21)に適用すると、次式のようになる。
d i1( ) [ln1 ln(1 )]q h T T …(4.1.25)
d i1( ) [0 ( )]q h T T …(4.1.26)
)( id TThq …(4.1.27)
伝熱速度 Q [J/s]を用いる場合は、次式のようになる。
)( id TTAhQ …(4.1.28)
ただし、A は結晶表面積[m2]。
結晶形状を球と仮定し、結晶周りの流体は静止しているものとする。結晶面からの放熱速度 Q [J/s]は、
フーリエの式を用いて次式のように導かれる。[文献 35]
2d (4 )dTQ qA k rr
…(4.1.29)
i2
d 4 dT
R T
rQ k Tr
…(4.1.30)
i1 4 ( )
RQ k T T
r …(4.1.31)
i4 ( )Q Rk T T …(4.1.32)
上式を変形すると、静止流体における球周りの熱移動に対するヌッセルト数 Nu の理論解を得る。
2i
14 ( )
R Qk R T T
…(4.1.33)
i
1R qk T T
24q Q A Q R …(4.1.34)
p d 12
D hk
di
qhT T
…(4.1.35)
d p
AB2
h DNu
D …(4.1.36)
境膜伝熱係数 hd の定義式(4.1.12)を上式に代入すると、次式が導かれる。
ph 2
D …(4.1.37)
すなわち、静止流体中における温度境膜厚みは、結晶半径に等しい。
流れ場を考慮したヌッセルト数 Nu は、Ranz-Marshall(ランツ・マーシャル)の式で整理される。
1/2 1/3p2 0.6Nu Re Pr …(4.1.38)
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40
図 15 晶析過程における熱移動解析(その2)
ただし、Nu はヌッセルト数[-]、Pr はプラントル数[-]。
ヌッセルト数 Nu の物理的意味について考察する。定義式を変形すると、次式のようになる。
d
hd
h L L LNu kk h …(4.1.39)
上式は、代表長さ(円管径、粒径、装置長)L が温度境膜厚み δhの何倍に相当するかを表している。
あるいは、次式のように変形される。
d conv conv conv
ii cond
h L q q qLNu T Tk T T k qkL
…(4.1.40)
上式は、流れ場における熱移動速度(対流熱移動流束)qconvが静止流体中における熱移動速度 qcond の何倍
に相当するかを表している。
4.2 成長推進力の温度依存性 [文献 36]
式(3.1.23)において、表面集積過程を考慮する場合、固液平衡における成分 A の質量分率 wAi*を用いて
次式で表される。
)( AiAdA wwkn …(3.1.23)
*)( AiAdA wwkn …(4.2.1)
上式と式(4.1.22)をそれぞれ式(4.1.1)に代入すると、総括推進力の温度依存性を表す式を得る。 d i d A Ai( ) ( Δ ) ( *)h T T H k w w …(4.2.2)
d
d
AiA
i )Δ(hkH
*wwTT
…(4.2.3)
上式は、タイライン(線分 AC)の傾きを表す。液本体の温度 T と結晶表面の温度 Tiがほぼ等しく、熱移動
の影響を無視できる場合、固液平衡における成分 A の質量分率 wA*を用いて、結晶成長の総括推進力は
濃度差(wA-wA*)に相当する。すなわち、タイラインは線分 AD に相当する。一方、液本体と結晶表面の
温度差が大きく、熱移動の影響を無視することができない場合、総括推進力は濃度差(wA-wAi*)に相当す
0 R(=Dp/2)
T
T
r
Ti
+q結晶
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41
る。すなわち、後者の場合、総括推進力は濃度差(wAi*-wA*)だけ小さくなる。(結晶化成分 A の溶解度
が大きくなる。)
図 16 成長推進力の温度依存性
[文献 36]松岡ら, 化学工学, 35(7), 754-761(1971) を参考に作成
5.不純物存在下における結晶成長
結晶表面上のキンク部位に不純物成分が取り込まれると、多くの場合、ステップの前進が抑制されて
結晶面の成長速度が遅くなる。不純物によってピン留めされたステップは、曲げられて前進する。Kubota
& Mullin は、不純物の取り込み過程に吸着平衡の概念を適用することで、不純物存在下における結晶成
長速度式を導いた。(久保田-マリンモデル)[文献 37-42]
曲げられたステップの前進速度 [m/s]は、無次元過飽和度分布式を解くことで導かれる。[文献 9]
2
s ss2 2 *
s s
( )d ( ) ( )d
n n zz zz x n
…(2.2.20)
s s1 2( ) z x z xz C e C e …(2.2.21)
いま、曲げられたステップでの結晶成長を二次元核成長とみなす。曲率半径 ρ の二次元核の島の中心を
原点とすると、単一ステップの場合と同様、「z=±∞のとき Ψ=0」が上式に対する境界条件となる。過飽
和度分布関数 Ψ は、ステップの位置(z=±ρ)、すなわち二次元核の島の両端において最大となり、正負の
方向に関わらずステップから離れるにしたがい減少する。このときの過飽和度分布式は、単一ステップ
の場合と同様、次式で表される。
z>0 のとき s1( ) z xz C e …(2.2.22)
z<0 のとき s2( ) z xz C e …(2.2.23)
初期条件について、z=±ρ のとき定数 Ψ(±ρ)をとることから、次式が成り立つ。
z=+ρ のとき s1( ) xC e …(5.1)
z=-ρ のとき s2( ) xC e …(5.2)
T*
Ti
T
Tem
pera
ture
wA* wAwAi* wAi
Mass fraction of component A
Equilibrium line
Tie line A
BC
D
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42
図 17 不純物存在下におけるステップ成長の概略図[文献 37-42]
上式より、定数 C1と C2を得る。 s
1 2 ( ) xC C e [ ( ) ( ) ( )] …(5.3)
定数 Ψ(ρ)について、ステップの位置(z=±ρ)では近似的に 0 とみなせるが、導出手順の都合上、ここでは
あえて Ψ(ρ)のままにしておく。
式(5.3)を式(2.2.22)と式(2.2.23)に代入すると、次式が導かれる。
s s( ) ( ) x z xz e e (z>0) …(5.4)
s s( ) ( ) x z xz e e (z<0) …(5.5)
表面拡散流束の一般式(2.2.30)に式(5.4)と式(5.5)を代入して得られる式に z=+ρ と-ρ を代入すると、正
または負の方向から曲げられたステップに流入する溶質の表面拡散流束 Jρ+と Jρ-[#/(m・s)]が導かれる。
*s s s
dd
J n Dz
…(2.2.30)
s
s
* *s s s s
+s s
( ) ( )xxn D e n D
J ex x
(z=+ρ) …(5.6)
ss
* *s s s s
s s
( ) ( )xxn D e n D
J ex x
(z=-ρ) …(5.7)
曲げられたステップに流入する溶質の全表面拡散流束 Jρ [#/(m・s)]は、上式を用いて次式で表される。 ρ ρ+ ρ( ) ( )J J J …(5.8)
*s s
ρs
2 ( )n DJ
x …(5.9)
単一ステップの場合と同様の手順、すなわち式(2.2.35)~式(2.2.40)にしたがうと、曲げられたステップの
前進速度 ρ [m/s]を得る。
u
R不純物
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43
s desρ s
Δ Δ2 ( ) exp
G Gx
kT …(5.10)
単一ステップの前進速度 single [m/s]は、次式で与えられる。
s dessingle s
Δ Δ2 (0) exp
G Gx
kT (0) …(2.2.40)’
前述した単一ステップ速度の解析では、ステップの位置(z=0)で Ψ(0)を近似的に σ と置いて解析を進めた
が、定数 Ψ(ρ)と区別するために定数 Ψ(0)のままとした。
式(5.10)と式(2.2.40)’の比を取り、過飽和度関数 Ψ の定義式(1.2.12)を用いると、次式が導かれる。
ρ
single
( )(0)
…(5.11)
ρ s s s
single s s
( ) [1 ( ) ] ( )1
(0) [1 (0) ] s (0) …(5.12)
二次元核の曲率半径式(2.3.13)を用いると、上式の過飽和度はそれぞれ次式のように表される。
* mg kT
(σ<0.1) …(2.3.13)
m
ckT …(5.13) および m
s ( )kT
…(5.14)
ただし、ρcは二次元核の臨界半径[m]。(ρg*に同じ。)
上式を式(5.12)に代入すると、曲率半径を関数とする曲げられたステップの前進速度 [m/s]を得る。
ρ cm m
csingle1 1
kT kT …(5.15)
c0 1 ρ 0 single, …(5.16)
上式において、 は不純物溶存下でのステップ前進速度、 は純粋溶液中のステップ前進速度を表す。
久保田の導出方法を以下に紹介する。なお、途中計算の詳細については、別途追記した。
----------------------------------------------
[出典]久保田徳昭『分かり易いバッチ晶析』分離技術会(2010),pp.106-111
キンクに取り込まれた間隔 ℓ [m]をなす二個の不純物分子とその間の曲げられたステップを弧長とす
る半径 ρ [m]の曲率円を仮定する。ステップが描く曲線の頂点から二個の不純物分子を結ぶ線分に引いた
垂線の長さを x [m]とし、曲率円の中心と不純物を結ぶ線分を斜辺(長さ ρ)とする直角三角形に三平方の
定理を用いると、次式のようになる。[文献 41,42]
22
2
2)( x …(5.17)
04
22
2xx …(5.18)
xx
82
2 …(5.19)
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44
図 18 曲げられたステップの最小曲率半径を求めるための概略図
[文献 41]久保田徳昭「分かり易いバッチ晶析」p.119 を参考に作成
上式を x で微分して極値を求める。
082
1dd
2
2
xx …(5.20)
2
x …(5.21)
上式を式(5.19)に代入すると、ステップ成長速度の最小値 minを与える曲率半径 ρminを得る。
2min …(5.22)
上式を式(5.16)の ρ に代入して を minに置き換えると、次式が導かれる。
c0min
21 c2
1 0 …(5.23)
式(5.13)を用いて上式の ρcを消去すると、次式が導かれる。
mmin 0
21
kT …(5.24)
曲げられたステップの平均前進速度は、次式で与えられる。
20min …(5.25)
上式に式(5.24)を代入すると、不純物の情報を含むステップ前進速度 を得る。
m m0 0 0 0
m0
2 21 21
2 2kT kT
kT …(5.26)
m
01
kT …(5.27)
ただし、k は Boltzmann 定数[J/K]、ℓ は不純物間隔[m]、T は液温度[K]、γ は二次元核側面積あたりの表面
自由エネルギー[J/m2]、 mは溶質一個の体積[m3]。
BO
A
ρ
xℓ
ステップ
不純物
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45
不純物の平衡吸着率 θeq[-]は、次式で定義される。
Leq …(5.28)
ただし、L は吸着点間隔[m]。
上式の理解について、いま、ある不純物が占有した吸着点か
ら数えて吸着点間隔 10L で次の不純物が占有したとする。こ
のときの不純物間隔 ℓ は 10L であり、L 十個おきに不純物一
個が入るので、区間 10 L での吸着率は 0.1(10%)である。この
値は、式(5.28)の ℓ に 10L を代入することによっても得られる。
式(5.28)を式(5.27)に代入して ℓ を消去すると、平衡吸着率を含む相対ステップ前進速度 を得る。
eq0
1 m
kTL …(5.29)
ただし、α は不純物有効係数[-]。
(久保田の方法[文献 41]は、以上で終わりである。)
----------------------------------------------
上式の不純物有効係数について、原報[文献 37-42]では、表面自由エネルギーγ [J/m2]の代わりにエッ
ジ自由エネルギーγe [J/m](二次元核のふもとの周長に対するエネルギー)が、溶質体積 m [m3]の代わりに
二次元核の占有面積 a [m2]がそれぞれ用いられている。上式に次式を代入すると、原報と同様の式が導
かれる。
m ah …(5.30)
e h …(5.31)
式(5.29)の平衡吸着率 θeqは、Langmuirの吸着等温式より導かれる。結晶表面上の不純物の吸着速度 a [m/s]
および脱着速度 d [m/s]は、それぞれ次式で表される。[文献 43]
Ck )1(aa …(5.32)
dd k …(5.33)
ただし、C は液相中のモル分率基準不純物濃度[-]、kaと kdは速度定数[m/s]、θ は被覆率[-]。
吸着平衡が成り立つとき、上式を等置して整理すると、平衡吸着率 θeqを得る。
eqdeqa )1( kCk …(5.34)
aeqad )( kCkk …(5.35)
Ckkk
ad
aeq …(5.36)
KC
KC1eq a
d
kKk
…(5.37)
ただし、K は Langmuir 定数[-]。
上式を式(5.29)に代入すると、吸着平衡定数を含む不純物存在下の相対ステップ前進速度 を得る。
01
1KC
KC …(5.38)
相対ステップ前進速度 は、相対線成長速度 G/G0 に比例することから、上式は次式で表される。
Cvaka
1-θ(空隙率)
【吸着過程】vdkd
θ(被覆率)
【脱着過程】
ℓ
L L L ・・・(Lが10個)
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46
0
11
G KCG KC
…(5.39)
不純物の情報(α, K, C)を知ることで、相対ステップ前進速度(不純物存在下での線成長速度 G は、不純
物が存在しない場合の線成長速度 G0よりも何倍小さくなるか)を図上で求めることができる。
図 19 相対線成長速度に対する無次元不純物濃度の影響
[文献 37]Kubota, N. and J.W. Mullin; J. Crystal Growth, 152, 203-208 (1995)を参考に作成
参考文献
1)黒田登志雄; 結晶は生きている, サイエンス社, pp.98-105 (1984)
2)黒田登志雄; 結晶の成長の機構と形, 物性研究, 39, 7-63 (1982)
3)後藤芳彦; 結晶成長(材料学シリーズ), 内田老鶴圃(2003), pp.72-76
4)中井 資; 晶析工学(ケミカルエンジニアリングシリーズ 9), 培風館(1986), pp.53-55
5)田崎晴明; ブラウン運動と非平衡統計力学, http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/docs/BMNESM.pdf
6)齋藤幸夫; 結晶成長, 裳華房, pp.115-119 (2002)
7)M. Ohara and R. Reid; Modeling crystal growth rates from solution, Prentice-hall Inc., pp.226-228 (1973)
8)W.K. Burton, N. Cabrera and F.C. Frank; “The growth of crystals and the equilibrium structure of their surfaces”
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9)M. Ohara and R. Reid; Modeling crystal growth rates from solution, Prentice-hall Inc., pp.135-203 (1973)
10)中井 資; 晶析工学(ケミカルエンジニアリングシリーズ 9), 培風館(1986), pp.53-65
11)佐野 理; キーポイント微分方程式, 岩波書店, pp.67-72 (1993)
12)M. Ohara and R. Reid; Modeling crystal growth rates from solution, Prentice-Hall(1973), pp.19-45
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KC [-]
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新潟大学晶析工学研究室
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