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49 第4章 牛乳・乳製品 1.品目の定義 本調査が対象とする牛乳および乳製品は次の通りである。 重点品目 グループ 対応 HS コード 重点個別品目 香港における対応 (輸入用)HS コード (1) アイスクリーム 21050010 (2) チーズ 04061000~ 04069000 牛乳・ 乳製品 HS04010406 HS2105 (3) 牛乳 04011000~ 04013000 出所:香港統計局 香港では、牛乳・乳飲料、冷凍菓子、粉乳に関する制度は、複数の法律によって規制されてい る。本調査では、該当する部分をできるだけ原文に近い表現で掲載している。 牛乳・乳製品は HS04010406 および HS2105 を含む乳製品を示す。 牛乳・乳飲料、粉乳、チーズは、以下に述べる定義に従う。 本調査で述べる、冷凍菓子はアイスクリームを対象としている。 本項で説明する品目について、食品および薬物(成分組成および表示)規則:Food and Drugs(Composition and Labelling) Regulations(Cap.132W)によって、次のように定義されてい る。 2 (Regulation 2) 仮訳(Interpretation)より、 「牛乳(milk、奶類)」は牛の乳を意味し、クリーム、脱脂乳を含めるが、粉乳、練乳、還元乳、水牛の乳、 山羊の乳は含まない 「乳飲料(milk beverage、奶類飲品)」は液体と乳脂肪あるいは牛乳から発生したその他の固形分と混 ぜてできた飲料を意味し、食品添加物が入っていないものも入っているものも含める. 「還元乳(reconstituted milk 再造奶)」)は、牛乳の成分、すなわち乳脂肪その他牛乳に由来する固形 分に再び水を混ぜ合わせてでき、それ以外の物質を含まない製品を意味する。冷凍濃縮乳を解凍して できた製品も含め、「牛乳を還元する」というのはこれに従って解釈されるものとする。 ④「冷凍菓子(frozen confection、冰凍甜點)」は、冷凍状態あるいは冷蔵状態で人間の食用として一般 的に販売される菓子のいかなるものも指す。 としている。 また、同規則付表 1 (Schedule 1) 内には「食品および薬品(成分組成および表示)規定 (Food and Drugs (Composition and Labelling) Regulatoins)が記載されている。牛乳・乳製品の成分 のうち、本調査の重点個別品目に該当する事項を以下に述べておく。 牛乳および還元乳は、3.25%以上の乳脂肪を含み、牛乳および還元乳に存在する乳脂肪以外の乳 固形分は 8.5%を下回ってはならないものとする。 乳飲料には 0.1%以上の乳脂肪を含むものとする(1977 年第 217 号法律公告)。 ③チーズはレンネットもしくは酸で牛乳を凝固させた固形あるいは半固形の製品とする。熟成発酵剤、調 味料、塩(塩化ナトリウム)、許可された着色料を加えたものもそうでないものもある。水分を抜いた残りの

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    第4章 牛乳・乳製品

    1.品目の定義

    本調査が対象とする牛乳および乳製品は次の通りである。 重点品目 グループ

    対応 HS コード 重点個別品目 香港における対応 (輸入用)HS コード

    (1) アイスクリーム 21050010 (2) チーズ 04061000~

    04069000

    牛乳・ 乳製品

    HS0401~ 0406 HS2105

    (3) 牛乳 04011000~ 04013000

    出所:香港統計局 香港では、牛乳・乳飲料、冷凍菓子、粉乳に関する制度は、複数の法律によって規制されてい

    る。本調査では、該当する部分をできるだけ原文に近い表現で掲載している。 牛乳・乳製品は HS0401~0406 および HS2105 を含む乳製品を示す。 牛乳・乳飲料、粉乳、チーズは、以下に述べる定義に従う。 本調査で述べる、冷凍菓子はアイスクリームを対象としている。 本項で説明する品目について、食品および薬物(成分組成および表示)規則:Food and

    Drugs(Composition and Labelling) Regulations(Cap.132W)によって、次のように定義されている。 第 2 条(Regulation 2) 仮訳(Interpretation)より、

    ①「牛乳(milk、奶類)」は牛の乳を意味し、クリーム、脱脂乳を含めるが、粉乳、練乳、還元乳、水牛の乳、山羊の乳は含まない ②「乳飲料(milk beverage、奶類飲品)」は液体と乳脂肪あるいは牛乳から発生したその他の固形分と混ぜてできた飲料を意味し、食品添加物が入っていないものも入っているものも含める. ③「還元乳(reconstituted milk 再造奶)」)は、牛乳の成分、すなわち乳脂肪その他牛乳に由来する固形分に再び水を混ぜ合わせてでき、それ以外の物質を含まない製品を意味する。冷凍濃縮乳を解凍して

    できた製品も含め、「牛乳を還元する」というのはこれに従って解釈されるものとする。 ④「冷凍菓子(frozen confection、冰凍甜點)」は、冷凍状態あるいは冷蔵状態で人間の食用として一般的に販売される菓子のいかなるものも指す。 としている。 また、同規則付表 1 (Schedule 1) 内には「食品および薬品(成分組成および表示)規定 (Food and Drugs (Composition and Labelling) Regulatoins)が記載されている。牛乳・乳製品の成分のうち、本調査の重点個別品目に該当する事項を以下に述べておく。 ①牛乳および還元乳は、3.25%以上の乳脂肪を含み、牛乳および還元乳に存在する乳脂肪以外の乳固形分は 8.5%を下回ってはならないものとする。 ②乳飲料には 0.1%以上の乳脂肪を含むものとする(1977 年第 217 号法律公告)。 ③チーズはレンネットもしくは酸で牛乳を凝固させた固形あるいは半固形の製品とする。熟成発酵剤、調

    味料、塩(塩化ナトリウム)、許可された着色料を加えたものもそうでないものもある。水分を抜いた残りの

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    部分の乳脂肪含有量は 30%以上とし、乳脂肪以外の脂肪を含んではならないものとする。 ※チーズはクリームチーズ、全乳チーズ、脱脂乳チーズについても定義されている。 ④アイスクリームは脂肪を 5%以上、砂糖を 10%以上、脂肪以外の乳固形分を 7.5%以上含むものとする。 アイスクリームに果物、果肉、果物の裏ごしが入っている場合は、前述の基準に従うか、全脂肪、砂糖、脂

    肪以外の乳固形分は、果物、果肉、果物の裏ごしを含めたアイスクリーム全体の 25%以上で、かつ全脂肪、砂糖、脂肪以外の乳固形分には脂肪 7.5%以上、砂糖 10%以上、脂肪以外の乳脂肪 2%以上を含むものとする。 アイスクリームに関する前記の目的では、砂糖はしょ糖(サッカロース)、砂糖、でんぷんからとった甘味

    料のいずれも意味するものとする。ただしどんなアイスクリームにも 7.5%以上のしょ糖が含まれるものとする。 また、同規付表 1 内 (Schedule1)には、クリームを含む一部の乳製品における添加剤の上限水準も記載されている。 粉乳については、粉ミルク規則(Dried Milk Regulations(Cap.132R))に従い、その分類は付

    表 1 (Schedule1) に示された、下記のとおりに従う。 《抜粋》付表 1 (Schedule 1) 粉乳の種類(定義)(Composition and description of dried milk)

    Description of dried milk Percentage of milk fat

    Dried full cream milk Not less than 26

    Dried partly skimmed milk Less than 26 and not less than 1.5

    Dried skimmed milk Less than 1.5

    規則第 4 条 4(1) (Regulation 4(1))より、付表 1 (Schedule 1) の左列に指定した各種の粉乳は、同表の右列に規定した乳脂肪分を含有し、水分は 5.0%を上回ってはならないものとしている。 2.輸出の可否

    牛乳・乳製品について、我が国から輸入が解禁されていない品目はない。 3.手続き全体の流れ

    (1)フローチャート

    香港における牛乳・乳製品の輸入手続きは以下の流れである。

    日本の輸出業者:商品の出荷とともに以下の書類を準備・送付 ①積荷目録(マニフェスト) ②インボイスおよびパッキングリスト ③航空貨物運送状、船荷証券又は他の同等書類

    日本の輸出業者:商品の出荷とともに以下の書類を準備・送付 ①インボイスおよびパッキングリスト ②衛生証明書、検疫証明書など ③オーシャン B/L(船荷証券)、

    エアウェイビル(航空貨物運送状) または他の同等書類

    ④税関申告書 ⑤その他(税関より必要と指示された場合)

    ③、④の書類の作成は、通関業者、貨物取扱い業者(フォワーダー)等が請負い、

    代理作成する場合が多い。

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    (2)留意点

    香港において、通関手続き上の制限は公衆衛生や安全、保安上必要な場合に原則限られて

    おり、食品については、公衆衛生および市政条例第 132 章(Public Health and Municipal Services Ordinance(Cap.132))およびその関係附則に基づき、主に食品衛生上の観点から輸入ライセンスの取得、食品衛生証明書や検疫証明書等の添付、製造元に関する事前認可の取

    得などが規定されている。 牛乳・乳飲料、冷凍菓子については、香港への輸入の際に香港食物環境衛生署(Food and

    Environmental Hygiene Department (FEHD))から事前許可を受けなくてはならない。また、店舗における販売においても許可証の取得が求められる。

    また、牛乳・乳製品を販売する際には、特定の表示方法が必要となる。 いずれの詳細も後述にて記載する。

    4.輸入制度・輸入規制

    (1)輸入手続き

    香港は自由貿易政策を取っており、輸入品には関税を課していない。ほとんどの商品は

    香港に入るためにライセンスを必要としない。 輸入時における通関では、積荷目録(マニフェスト)等の書類の検査、および必要に応

    じて輸入される商品のサンプル検査が行われる。サンプル検査は抽出ベースで行なわれ、

    検査のために抽出された商品は税関の検査官によって収去される。 税関によって当該商用貨物が書類検証やサンプル検査に抽出された場合には、標準の書

    日本側:通関およびシッピング

    香港の輸入業者:日本の輸出業者または航空ターミナル会社から書類を受領。通関

    および輸入申告手配 申告に必要な書類: ①積荷目録(マニュフェスト)

    ②オーシャン B/L(船荷証券)、 エアウェイビル(航空貨物運送状) または他の同等書類

    ③パッキングリストおよびインボイス ④各種ライセンス ⑤衛生証明書、検疫証明書など ⑥その他(税関より必要と指示された場合)

    香港側: 通関および商品の引き取り 香港では多くの輸入業者や貨物取扱い業者がオンラインによる通関システムを導

    入している。したがって、実際には香港の輸入業者が申告に必要な書類と、引渡し

    指図書(リリースレター)によって貨物の引き取りを行う場合が多い。

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    類を提出するべきである。それ以上の問い合わせは、付録Aに記載されている税関の 24 時間照会ホットラインで行なうことができる。 ① 輸入申告

    ①―1 輸入申告の提出 香港の輸出入条例(第 60E章) (Import and Export Ordinance (Cap.60E)、輸出入(登

    録)規則(Import and Export (Registration) Regulations Cap.60)に基づき、食品を輸入する者は誰でも通常当該商品の輸入から 14 日以内に、必要事項をもれなく記入した輸入申告書を税関局長に提出しなければならない。 上記の 14 日は香港の公休日を含む。しかし、14 日目が公休日、強風警報日、または

    黒色(= 最高レベルの)暴風雨警報日と重なった場合には、提出期限は公休日、強風警報日、または黒色暴風雨警報日ではない次の日まで延長されるものとする。

    申告は政府によって認可された 2 つの電子貿易サービスシステムのどちらかを通じて電子的に提出されるべきである。2 つの電子貿易サービスシステムとは、グローバル・Eトレーディング・サービス・リミテッド (Global e-Trading Services Limited)が提供する GETS(Government Electronic Trading Services)、またはトレードリンク・エレクトロニック・コマース・リミテッド(Tradelink Electronic Commerce Limited)が提供するトレードリンク(Tradelink)であり、いずれかを通じて、電子申告にて提出するべきである。不正確な申告は 1 万香港ドルの罰金の対象となる。 これらの電子申告が出来ない業者および企業は、GETS の電子貿易アクセスサービス

    (ETAS)センター、またはトレードリンクのサービスセンターに書面を提出することで申告することが可能である。これらの各センターの場所は付録Aに、また関連フォーム

    のダウンロード情報は付録Bに記載されている。

    輸入申告に必要なフォーム: 輸入申告フォーム(Form 1A) 衛生証明書等(※法律上での義務ではないが、強く求められる) 申告に必要な情報:

    1)輸入業者の基本情報 2)荷積み港 3)貨物到着日 4)輸出国 5)輸送方法 6)商品の詳細(パッケージの数と種類、荷印とコンテナ番号、HS コードを含む) 7)輸入数量と CIF 価格

    ①―2 輸入申告料金

    申告時には申告料金の支払が必要である。食品の輸入に対しては、政府は食品の価格

    に関係なく、1 電子申告当り 0.50 香港ドルを請求している。政府に指定された 2 社のサービスプロバイダーは、紙および電子媒体の両方の申告サービスを提供している。サー

    ビスプロバイダー両社は提出方式次第で追加料金を請求している:

    Global e-Trading Services Limited (GETS (Government Electronic Trading Services))

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    電子申告に対しては使用頻度等に応じた料金(概ね 1 申告あたり HK$12 程度) 通常の窓口サービスでの書面による申告に対して、1 申告あたり HK$42.80 上記に示した政府への支払 HK$0.50 Tradelink Electronic Commerce Limited (Tradelink) 電子申告に対しては 1 申告あたり HK$12.60 書面による申告に対して、1 申告あたり HK$30.30 上記に示した政府への支払 HK$0.50

    サービスプロバイダー2 社ともに、電子申告料金はそれぞれのサービスセンターで入

    手可能である。これらのサービスセンターのリストは付録Aに記載されている。

    ①―3 輸入申告の免除 輸出入(登録)規則(Import and Export (Registration) Regulations Cap.60)によれ

    ば、HK$1,000 以下の価値のサンプルや贈答品、または展示会出品のために一時的に輸入される商品は、輸入申告が免除される。免除には明確な条件が付けられており、サン

    プルは小額の価値で、かつサンプルによって代表される種類の品物に対する注文を勧誘

    するためのみに使用されるべきである。 輸入・輸出申告の免除に関する問い合わせは、付録A記載の税関 24 時間照会ホットラ

    イン、またはサービスプロバイダーのどちらかで行なうことができる。 香港政府統計處(Census and Statistics Department(CSD))は輸入および輸出の申

    告から収集したデータを統合している。CSD の特定職員は税関局長によって輸入申告に関する法律を執行する権限を与えられている。輸入申告に関する問い合わせは、付録A

    記載の CSD の貿易統計支部に対して行なうことができる。

    ② 検査のために抽出されたサンプルについて

    公衆衛生および市政条例第 132 章(The Public Health and Municipal Services Ordinance (Cap.132))の第 59(1)(c)条(Section59(1)(c))では、香港食物環境衛生署(Food and Environmental Hygiene Department(FEHD))は輸入食品を検査する権限を有している。検査を行う際、FEHD は抽出された食品の品目および数量を明記したサンプリング通知を当該輸入業者に対して発行し、輸入業者へ抽出したサンプルに対する市場価格

    を輸入業者から請求があった場合に支払う。この支払を受けるためには、輸入業者はサ

    ンプリング通知と共にインボイスを FEHD に送付する必要がある。また、検査が完了した時には、輸入業者は当該サンプルを回収することができる。

    ③ 所要時間

    税関は、通常 1 日以内に輸入申告の処理を完了する。 (2)輸入許可のための要件

    ① 通関

    通関に伴う提出書類は次の通りである: 積荷目録(マニフェスト) エアウェイビル(航空貨物運送状)、オーシャン B/L(船荷証券)、または 他の同様の書類 インボイスおよびパッキングリスト

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    引渡し指図書(リリースレター)または貨物保管通知 衛生証明書等

    ② 輸入ライセンス

    ほとんどの食品における輸入は輸入量の制限がないが、健康・安全および環境保護や保安の

    理由に関する食品は除外される。 牛乳および乳製品の輸入にライセンスは必要ないが、牛乳・乳飲料および冷凍菓子は製造元

    に関する書類やサンプルを事前提出し FHED の認可を得なければならない。必要な手続きや書類は以下の通りである。

    ③ 牛乳・乳飲料、冷凍菓子における輸入について

    牛乳・乳飲料や冷凍菓子の輸入は香港食物環境衛生署(Food and Environmental Hygiene Department (FEHD))からの事前許可を必要とする。牛乳・乳飲料輸入のためのフォーム(FEHB 163)、冷凍菓子の輸入のためのフォーム(FEHB 162)は付録Bにある。輸入業者は各々の当該商品の香港への到着に対して、少なくとも 48 時間前に FEHD に報告しなければならない。

    輸入にあたり、追加で必要となる書類は下記のとおり。

    輸入される牛乳・乳飲料または冷凍菓子の各々の貨物は、下記の書類を伴うものとす

    る: 原産国の管轄権を有する保健当局によって発行された衛生証明書 この中には以下の証明を含む ・化学物質分析に関する証明 ・細菌検査に関する証明

    ミルク規定 第 132AQ 章 (Milk Regulations (Cap.132AQ))によれば、牛乳または乳飲料は

    香港食物環境衛生署長より許可された製造者から輸入されなければならない。また、FEHDの副署長は署長の代理で許可を行なう権限を有する。製造者としての許可を取得し、かつ

    FEHD の副署長の判断により、申請者の状況に応じて課される条件等を満たした後に、輸入業者は牛乳および乳飲料を香港に輸入することができる。 必要に応じ、FEHD の衛生検査官は、当該商品の出荷の際に、化学的および細菌学的品質

    の検査を実施する。FEHD による書面の許可なくして商品を販売することはできない。 最初に発行される輸入許可証は 6 ヶ月有効であり、4 回の更新後 1 年間有効の輸入許可証

    が発行される。輸入許可証の申請に関する問い合わせは、付録A記載の FEHD の食品安全中心(Centre for Food Safety(CFS))に行なうことができる。

    輸入業者は以下を準備し、FEHD 副署長に書面にて申請しなければならない:

    ・食品加工工場の正式名と住所 ・食品の生産に関わる原産国の法律 ・食品のラベル付き空容器または包装紙 ・加工工場における食品の加熱処理方式と施設(生産設備と給水設備を含む)に関する情報以下 2 点を証明できる、原産国政府発行の検疫証明書:

    * 牛乳および乳飲料の殺菌または滅菌に際しての加熱処理方式の効果と効率性を証

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    明し、また製品が衛生的条件下で処理・加工され、また包装されたことを証明できる

    もの * 製品の化学物質および細菌学上の品質に係わる衛生検査を示すもの

    ・その製品のおおよその品質保持期限を証明する製造者の申告書 冷凍菓子の場合は上記に加え‐着色料、安定剤および甘味料を含む、原材料の明細ならび

    に内容量

    FEHD の認可後、当該商品のリリースレターが輸入業者に対して発行される。FEHD は製造者許可に対する申請を 12 営業日以内に処理すること、またリリースレターを貨物の到着通知の受領または実際の到着のどちらか遅い方から 14営業日以内に発行することを約束している。

    ④ 香港の食品輸入業者および卸売業者に対する任意登録制度

    食品の安全性を管轄する香港食品安全中心(Centre for Food Safety(CFS))は、2007 年 8月 1 日から、下表の予定で品目ごとに段階的に当該品目を輸入する輸入業者と卸売業者に対して、CFS に登録を行うよう進言している。

    この登録は、現在は任意性であるが、将来的には義務化する方向で法的規制を設けること

    で検討されている。登録された輸入業者や卸売業者のリストは CFS のウェブサイト上で閲覧可能となる予定である。

    登録フォームは CFS のウェブサイトからダウンロードできる。また CFS 内 43F にて受領できる。

    なお、本件に関する詳細問い合わせは、CFS 担当(電話+852-2867-5582)にて確認できる。 自発的登録を進める対象品目 登録開始日 食肉類(ゲームミート含む) 2007 年 8 月 1 日 食肉用の生きた家畜類 2007 年 9 月 1 日 牛乳、乳飲料、クリーム、冷凍菓子類 2007 年 10 月 野菜、果物類 2007 年 11 月 水産物および水産加工品類 2007 年 12 月 その他の食品カテゴリー 上記以降

    ⑤ 食品安全法案(The Proposed Food Safety Bill)および食品中の残留農薬に対する規

    制枠組み案(Proposed Regulatory Framework for Pesticide Residues in Food in Hong Kong)

    について《参考》

    香港では、食品に対する安全性の向上に向けて、次の法律および規制の施行を検討してい

    る。 1)食品安全法案(The Proposed Food Safety Bill)の要旨

    ⅰ)食品トレーサビリティの確保 ・食品輸入業者、流通業者(運送業者および小売業者は除く)は、衛生当局への事前登

    録を義務とする。 ・食品輸入業者、流通業者、小売業者は、食品の移動についての記録管理を義務とす

    る。

    ・香港産食品については、生産者にも上記を適用。

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    ⅱ)リスク度に応じた輸入食品管理措置の導入

    ⅲ)香港政府当局は、衛生問題が起きた食品について輸入禁止、販売禁止およびリコー

    ルする権限を持つ。

    本法案の詳細等は下記ウェブページから参照出来る。

    http://www.fhb.gov.hk/en/press_and_publications/consultation/080121_food/food_

    safety_bill.html

    2)食品中の残留農薬に対する規制枠組み案(Proposed Regulatory Framework for Pesticide Residues in Food in Hong Kong)要旨は次のとおり。

    ・ポジティブリスト制を導入

    ・国際基準、中国の基準等を参考にした残留基準を設定

    ・残留基準が設定されていない農薬が残留する場合の許容基準を設定

    ・対象外物質の一覧を作成

    ・Codex の食品分類を適用

    ・執行猶予期間は2年間

    本法案の詳細等は下記ウェブページから参照出来る。

    http://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fstr/whatsnew_fstr_21_Pesticid

    e.html (3)関税以外の国境特別措置

    該当する規制はない。 5.販売時の規制・手続き

    (1)販売手続き

    一般に食品を販売する際に、特定の許可証や卸売登録等の必要はない。ただし、牛乳・

    乳製品および冷凍菓子を販売する際には、該当する許可証の取得が必要である。 (2)販売許可のための要件

    食品企業規則(Food Business Regulation(Cap.132 X))第 30 項では、香港食物環境衛生署(Food and Environmental Hygiene Department (FEHD))の書面による許可なくして飲料用の牛乳、乳飲料(輸入品を含む)を販売することは認められていない。特に、熱処理加工

    のされていない牛乳・乳飲料の販売は許可されない。

    ミルク規則(Milk Regulations(Cap.132AQ))では、第 6 条 6(1)(Section 6 (1))に、人間の飲食用のために牛乳・乳製品を販売してはならない対象(殺菌処理方法、細菌数の規定な

    ど)が記されている。 中でも、付表 1 (Schedule 1)には殺菌・減菌処理の方法が規定されている。

    (1). 低温殺菌(Pasteurization)としては、次の2通りの規定がある。

    ①「ホルダー法(Holder Method)」、すなわち牛乳または乳飲料を 30 分以上 63℃以上 66℃未満に保ち、その後 10℃未満の温度まで急激に冷却する

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    ②「高温短時間法(High Temperature Short Time Method)」、すなわち、牛乳または乳製品を 15 秒間以上 72℃以上の温度に保ち、その後 10℃未満の温度まで急激に冷却する

    (2). 滅菌 (Sterilization) としては、次の2通りの規定がある。

    ①牛乳または乳飲料を、その脂肪球を壊して牛乳または乳飲料全体に均一に浮遊させる加工方法で

    ホモジナイズし、その後、最終的に人間の食用に供される容器の中で 25 分以上 100℃以上に保つ

    ②「超高温熱処理(Ultra High Temperature Method)」、牛乳または乳飲料を 132℃まで熱し、少なくとも 1 秒間はその温度を下回らないようにした後に、即座に滅菌した容器に注入する。この容器は消費者に供されるものであり、牛乳または乳飲料を汚染の危険から守るために無菌に保つよう注意して

    この処理を行った施設にて、それに充填し、密封するものとする。

    牛乳・乳飲料、冷凍菓子の直接販売は、事業開始以前に計画事業の種類に応じた許可証を

    取得しなければならない。同一の店舗内にソフトクリームの製造機械を設置する場合は、こ

    の他に冷凍菓子工場ライセンスを取得することも必要である。上記に係わる許可証および工

    場ライセンス取得の申請フォーム(FEHB 94)は、付録 C 内で確認できる。なお、FEHDの(付録A参照)によって許可された、密閉容器に入れた殺菌済牛乳や殺菌済乳飲料の販売

    に対しては、牛乳販売許可証の取得は必要ない。 申請者が既に食品企業規則 (Food Business Regulation)または小販規則 (Hawker

    Regulation(Cap.132AI))に従って、有効な食品事業ライセンスを取得していた場合には、本許可証は無料で交付され、また当該ライセンスの有効期間に従った期間有効となる。 これらの許可証の発行の目的は、良好な衛生基準の維持と当該店舗で提供される食品の安

    全・衛生性を確実にすることである。以上に係わる問い合わせは、付録A記載の関連ライセ

    ンス事務所に連絡する。

    牛乳販売許可証および冷凍菓子販売許可証は以下を要求している: 家屋は明るい色でのペンキ塗りかまたはライムウォッシュであること 家屋内の牛乳・乳飲料および冷凍菓子販売場所以外のスペースで行なわれる営業・商売

    は、当該販売される商品の品質を損なわない性格であること 良好な作動状態の冷蔵庫が、牛乳・乳飲料や冷凍菓子の保管用に備えられていること 牛乳・乳飲料や冷凍菓子を販売するための冷蔵庫や他の設備が、共用スペースを占拠し

    たり、歩道や街路にはみ出したりしてはならない 特に、スクープ(すくいさじ)で販売される冷凍菓子について:

    * FEHD が他の給水源を許可しない限り、公共上水道が屋内にに引かれていること *水道または FEHD により許可された給水源に接続された、適切な手洗器が設置されていること *スクープの殺菌のために、許可された型の特別な器具が備えられていること

    *アイスクリームの全スクープの熱湯殺菌のために、適切な設備が備えられていること*アイスクリームコーンの保管用に、防塵容器が備えられていること

    なお、FEHD は、次の営業用家屋での営業に対して、それぞれ食品事業ライセンスの申請

    を要求している: 一般レストランライセンス

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    茶菓軽食レストランライセンス 海鮮レストランライセンス ベーカリーライセンス 冷凍倉庫ライセンス 工場社内食堂ライセンス 生鮮店ライセンス シウメイおよびローメイ店ライセンス(ローストした肉および漬け込み肉の販売) 上記に係わる申請フォーム(FEHB 94)は付録Cを参照のこと。また、詳細問い合わせは、

    付録A記載の FEHD に行う。

    6.表示方法

    (1)法律に基づく義務表示および手続き

    香港では、食品および薬物(成分組成および表示)規則第 132 条 W (Food and Drugs (Composition and Labelling) Regulations (Cap.132W))に基づき、香港内で販売する商品に対して食品製造者および包装業者は所定の、同一で、読みやすい方式で商品を表示

    することを義務付けている。包装済食品とは、包装を開けるまたは包装を変更しなけれ

    ば中身を変更できない方法で包装された食品であり、最終消費者や飲食店に単一の食品

    品目として供給する状態になっている食品を意味する。香港政府は所要条件を満たして

    いれば、この表示をラベルの貼付で実施することを許容している。

    同規則によれば、「消費期限」として記載された日付後に食品を販売してはならない。

    また、食品製造者や包装業者ではない者が、食品製造者・包装業者の書面認可なく、同

    規制下で要求されている表示またはラベル貼付上の内容を除去・消去することはできな

    い。

    コーヒーおよびお茶の液体抽出物、ソース、酸化防止剤を含んでいる食品などに対し

    ては、特別な表示またはラベル貼付の手続が課されている。これらの食品品目は、防腐

    剤および酸化防止剤の含有量を英語で表示またはラベル貼付しなくてはならない。また、

    中華料理の用途として使用される食品品目に限り、中国語による表示またはラベル貼付

    も求められる。

    以下の食品品目は、表示またはラベル貼付規制を免除されている:

    当該商品がばら売り品目として販売する目的である、個別包装の菓子類製品と保存性のあるフルーツ類

    直ちに消費されるために飲食店で販売される包装済食品で、かつ容量で 1.2%以上のアルコールを含むもの

    なお詳細は、食品および薬物(成分組成および表示)規則第 132 条 W (Food and Drugs (Composition and Labelling) Regulations (Cap.132W)) 付表 4(Schedule 4)「付表 3 の規定を免除される項目(Items exempt from Schedules 3)内で確認できる。

    ① 食品表示における法律によって定められた事項について

    ①―1 食品名 包装済の食品は、その名称または呼称が読みやすく表示またはラベル貼付されるもの

    とする。食品名は虚偽であったり、誤解を招いたり、または偽装であってはならず、食

    品の性格と種類を購入者に正確に知らせなければならない。

  • 59

    ①―2 原材料のリスト

    ラベル表示は「材料」(ingredients)、「成分」(composition)、「内容」(contents)または同様の意味の用語から成る適切な標題によって前置きされなければならず、原材料は食

    品が包装された時に測定された重量または容量の、重いまたは多い順番で記載されなけ

    ればならない。

    食品が下記の物質から成る、または下記の物質を含む場合には、その物質名を原材料

    のリストにて表示またはラベル貼付しなければならない。

    グルテンを含む穀類(小麦、ライ麦、大麦、カラス麦、スペルト小麦、それらの混成種、それらの製品)

    甲殻類および甲殻類製品 鶏卵および鶏卵製品 魚類および魚類製品 落花生、大豆およびそれらの製品 牛乳および乳製品(乳糖を含む) 木の実および木の実製品

    包装済食品の原材料を構成する食品添加物は、その食品添加物のカテゴリー(機能分

    類)と、その特定名称または食品添加物の国際番号システム(International Numbering

    System(INS))に基づいた識別番号を記載しなければならない。輸入業者は、INS 番号の

    代わりに、EU で採択されているE-番号制度に基づいた E 番号(「E」または「e」を頭

    につけた表記法)を付けて使用することもできる。

    ①―3 「賞味期限(best before date)」または「消費期限(use by date)」

    における日付の表示またはラベル貼付 包装済食品は次に示す適切で耐用性のある表示方法によって、読みやすく表示または

    ラベル貼付されなければならない:

    「賞味期限」(中国語でも) 微生物学的観点から、腐敗し易く、かつ短期間の後に人体の健康に直ちに危険となる

    と考えられる包装済食品の場合は、「賞味期限」の代わりに「消費期限」(中国語でも)

    英語および中国語で「消費期限」および「賞味期限」と表記した後に、食品の品質保

    持期限を示すため、食品の特性が保持できる期日を続けて表示またはラベル貼付する。

    「消費期限」または「賞味期限」はアラビア数字、または英語と中国語両方による標記

    のどちらかで示さなければならない。

    アラビア数字による表示またはラベル貼付は、日、月、年の表記順はどんな順序であ

    っても構わないが、正確な順序が分かるように中国語と英語の両方で「日」「月」「年」

    を明確に示さなければならない。

    冷凍食品および 18 ヶ月以上の品質保持期限を持つ食品についても、「賞味期限」を表

    示しなくてはならない。

    ①―4 保管に対する特別な条件、または使用上の注意に関する説明書 品質保持のための保管に特別な条件を必要とするか、包装済食品の使用に対して特別

  • 60

    な指示が必要な場合は、その説明書は表示またはラベル貼付内に読みやすく表さなくて

    はならない。

    ①―5 製造者または包装業者の名前と住所

    包装済食品は次の場合を除き、製造者または包装業者の正式名および住所が読みやす

    く表示またはラベル貼付されなければならない:

    パッケージは原産国および香港における代理店またはブランド所有者の名前と住所が表示またはラベル貼付されており、かつ原産国の製造者または包装者の住所が香港

    食物環境衛生署(Food and Environmental Hygiene Department(FEHD))署長に対して書面にて通知済である。

    パッケージは原産国の表示とその国における製造者または包装業者の識別を確認するコードで表示またはラベル貼付されており、かつコード識別と製造者の明細が香港

    食物環境衛生署長に対して書面にて通知済である。

    ①―6 数、重量または容量

    食品表示内には当該食品の数、正味重量、または正味容量を表示しなくてはならない。

    ①―7 適切な言語 包装済食品の表示またはラベル貼付は、英語または中国語のどちらか又は両方であっ

    ても良い。包装済食品の表示またはラベル貼付に英語と中国語の両方が使用されている

    場合には、食品の名称と原材料のリストは両方の言語で表現されるものとする。 ①―8 牛乳・乳製品、冷凍菓子の表示について 牛乳・乳製品、冷凍菓子の表示ついては、これまで述べた食品全般に係わる規則に加えて、

    以下の 2 つの規則を参照しなければならない。 1)食品および薬物(成分組成および表示)規則第 132 条 W (Food and Drugs

    (Composition and Labelling) Regulations (Cap.132W))内、「食 品 と 薬 品 の 表 示(Schedule 2)」.での本調査に該当する品目は以下の通り。

    ⅰ)牛乳が入った容器には、はっきり読めるように以下を表示またはラベル貼付するものとする。 (a) 英語あるいは中国語もしくはその両方で、内容物を処理した者の氏名と住所 (b) 英語あるいは中国語もしくはその両方で、内容物の加熱処理方法

    ⅱ)牛乳あるいは還元乳を含み、付表 1 の第 II 部に規定された成分基準(関連法規参照)に従っている飲料が入った容器は、以下をはっきりと読めるように表示するものとする。

    (a) 英語あるいは中国語もしくはその両方で、内容物を処理した者の氏名と住所 (b) 英語あるいは中国語もしくはその両方で、内容物の加熱処理方法

    ⅲ)牛乳、クリームあるいは牛乳類似と表示される以下の飲料が入った容器には、英語および中

    国語で、はっきりと目立ち読みやすく、その主原料を正確に表示するものとする。 (a) 牛乳あるいは還元乳を含むが、付表 1 の第 II 部に規定された成分基準に従っていない

    飲料 (b) 販売目的のため、商品名、商品表示に"milk"あるいは"cream"、もしくは「奶」もしくは

    「忌廉」という漢字 、あるいはその飲料が牛乳あるいはクリームを含有していることを示唆する言葉や漢字が入っている飲料

    (c) 豆乳、ココナッツジュース(ココナッツ自体は除く)その他、色、味、見かけあるいは濃度

  • 61

    が牛乳に似ている飲料 ⅳ)冷凍菓子を入れる容器は、製造者の名前と住所が英語で明確に表示またはラベル貼付

    されていなければならない。

    2)脱脂粉乳および部分脱脂粉乳について 脱脂粉乳および部分脱脂粉乳は、FEHD によって許可された表示またはラベル貼付

    された容器でなければ販売および販売広告を行ってはならない(これらの商品が購入後

    直ちに消費される露店等の販売スタンドや車上販売などの場合を除く)。 また、容器が紙や他の包装紙で包装され、その紙や包装紙を通して容器上のラベルが

    明確に視認できない場合には、最も外側の包装紙にラベルを付けて再度確認出来ない限

    り、これらの商品を販売してはならない。 さらに、脱脂粉乳および部分脱脂粉乳の販売においては、下記図 1 の布告が部分脱脂

    粉乳(左側)と脱脂粉乳(右側)を入れた、全ての容器に表示またはラベル貼付されなければならない:

    DRIED PARTLY SKIMMED MILK 部分脱脂粉乳 Contains not more than (z)% milk fat. Children under one year of age should not be fed on this milk except under medical advice. 除由醫生指導外不應用以餵哺一歳以下之嬰

    DRIED SKIMMED MILK 脱脂粉乳 Children under one year of age should not be fed on this milk except under medical advice. 除由醫生指導外不應用以餵哺一歳以下之嬰

    (参考)和訳 (z)%以下の乳脂肪を含む。 医師の診断下は除き、1 歳以下の乳児には与えるべきではない。

    医師の診断下は除き、1 歳以下の乳児にはこのミルクは与えるべきではない。

    図 1 脱脂(部分)粉乳に対するラベル

    脱脂粉乳および部分脱脂粉乳に重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはリン

    酸ナトリウム以外の物質が加えられた場合には、容器の種類に関係なく、図1で示した

    布告ラベルに下記の修正を付けた、図 1 にて規定されている適切な様式で表示またはラベル貼付しなければならない。 ◎当該商品の原材料表示内の英語および中国語に下記を付け加える: ・糖分のみが添加された場合には、それぞれ「SWEETENED」および「加糖」という用語。

    ・ミルクの成分のみが添加された場合には、それぞれ「MODIFIED」および「調質」という用語。

    ・上記以外の全ての場合には、それぞれ「COMPOUNDED」および「複合」という用語。

    ◎糖質だけが添加物質である場合を除き:

  • 62

    ・ラベルの布告に「with (x) added」および「内加(y)」という表現が加えられるものとする。

    ・添加された物質や複数の物質を明記するために、(x)と(y)にそれぞれ英語の文字と中国語の漢字を挿入する。

    図 1 で規定されている布告は脱脂(部分)粉乳の合計重量に占めるパーセンテージで表

    現された、最高乳脂肪含有量が(Z)に挿入されていなければならない。 さらに、図1で規定されている各々の布告は下記であるものとする: ・英語の文字と中国語の漢字で目立つように、かつ読みやすく表示またはラベル貼

    付すること ・明色の地色の上に暗色のブロック体、または暗色の地色の上に明色のブロック体

    で印刷されていること ・囲み線で囲まれているいること ・囲み線内には図 1 にて規定されていない他の情報を入れないこと

    図1で規定されているラベルの全ては、容器にしっかりと貼るかまたは容器の一部を

    構成するものとし、明確に視認できるように容器の側面か上端に付けるものとする。ま

    た、ラベルおよび容器には、規定布告についてのコメントや説明は付けないものとする。

    ①―9 栄養成分表示について(参考)

    食品の栄養成分に関する表示の義務化が検討されている。現在検討されている規制は、

    食品の安全性をより確実にすることに加え、消費者がインフォームド・チョイス(充分な

    知識を得た上での選択)を行い、消費者の健康を守ることを促進するためとしている。こ

    の検討されている規制の今後の内容および進行状況によっては、早ければ 2010 年にも栄

    養成分に関する表示の義務付けを開始する。

    現在提議されている、表示に必要とされる栄養成分は、エネルギーに加えて 7 の栄養素、即ちタンパク質、炭水化物、総脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウムおよび糖質

    である。これらの表示として、その栄養分の量が、食品 100 グラム(または 100 ml)当りのキロカロリー/メートル法での絶対量で表現しなければならない。

    ①―10 バイオテクノロジー食品についての自主的表示(参考)

    香港は遺伝子組み換え食品を含む、バイオテクノロジー食品の表示に関して、今のと

    ころ特定の法的規制を有していない。しかし、香港政府はバイオテクノロジー食品につ

    いての表示の義務化を検討中である。政府は 2006 年にバイオテクノロジー食品に対する

    自主的表示について一連のガイドラインを発表しており、自主的表示の有効性を評価す

    る調査を開始している。

    バイオテクノロジー食品の表示についてのガイドラインは、法的効力を有していない。

    同ガイドラインは包装済食品に適用し、次の内容を基礎としている:

    バイオテクノロジー食品の表示は現行の食品規制に従う。 表示目的のためにガイドラインに適用されている閾値は、個別の食品材料に関して 5%

    である。

    食品に、重大な遺伝子組換え操作((例)食品の化学組成、栄養価、栄養阻害因子、天然毒物、アレルギー誘発物質に関する遺伝子、特定な使用目的のための遺伝子、動

  • 63

    物遺伝子の導入等)が行なわれた原材料が用いられる時には、食品表示に追加するこ

    とを勧告している。

    否定表示(例えば「GMO(Genetically modified organism)フリー」や「GM(Genetically modified)材料の使用なし」)は避けなければならない。

    遺伝子組み換え(GM)の否定表示を明確に行う製品に対し、香港政府はその製品を優先的に検査する可能性を示している。また、その検査結果の基準はゼロトレランス(許容

    誤差ゼロ)を採用することを検討中である。製品が誤解を招く表示をしていると認められ

    た場合には、小売店は公衆衛生および市政条例第 132 章(The Public Health and Municipal Services Ordinance(Cap.132)の第 61 節‐食品または薬品の虚偽表示および宣伝広告(False Labelling and Advertisement of Food or Drugs (Section 61))に基づき罰せられる可能性がある。

    業界が否定表示を適用する場合には、香港政府は「非遺伝子組換え(NON-GM)供給源

    から原材料を調達」(GM 含有量は 5%以下)など、あまり明確な表現でない表示を行うこ

    と、また、その表示を立証するための書面を保持していることをアドバイスしている。

    政府はまた、2003 年 3 月からバイオテクノロジー商品の市場導入前における安全性評

    価の可能性に対する研究も行っている。しかしながら、香港政府は導入展開に向けた、

    現在の進捗状況を発表しておらず、まだ調査中である。

    (2)法律に基づく任意表示および手続き

    香港では、法律に基づく任意表示は該当ない。 ただし、前述「(1)法律に基づく義務表示および手続き ①―9」で記した遺伝子組換え

    商品に対する表示の義務化を検討する中で、現在、遺伝子組換え食品についてはその旨を自

    主的に表示することを、香港の食品衛生を司る香港食物環境衛生署(Food and Enviromnental Hygiene Department(FEHD))内の食品安全中心(Centre for Food Safety(CFS))が推奨している。本件に関するガイダンスは、次の URL 内で確認できる。 http://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_gmf/programme_gmf_gi_label.html

    http://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_gmf/programme_gmf_gfd.html

    (3)業界自主表示および手続き

    香港において、食品を含む製品・サービスの向上に向けて業界が認証している表示の代表

    として、香港工業総会(Federation of Hong Kong Industries)の賛助の元、香港 Q マーク協議会によって認証されている Q マークという表示がある(1978 年から実施)。

    本マークは、①製品・サービスの質を高め、環境保全に寄与し、国際的に認められる基準

    に従った管理システムに対応する企業を育成すること ②製品、サービスおよび環境保全に

    対してよい品質であることを証明すると同時に、国内外における品質および環境保全管理に

    対する認識を上げることの目的で制度を制定し、本制度に適った生産・製造施設やその製品

    に対して認証を行っている。 Q マークは赤色の「Q」の文字をモチーフにしたマーク(詳細は、下記リンク先を参照)

    だが、最近は、特に環境保全に対する観点から、環境保全に対する取り組みに対しても一定

    の認証基準を設定した上、その取り組みを行っている申請者にはグリーンマークと呼ばれる

    緑色の新しい Q マークを認証している。

  • 64

    Q-Mark に関する参照 URL http://www.industryhk.org/english/fs/fs_qmark/fs_qmark_prod.php

    (4)「食の安全・安心」に関する表示

    a)食の安心・安全について、当該国政府が実施している認定制度とその表示 香港漁農自然護理署(Agriculture, Fisheries and Conservation Department(AFCD))は、

    食の安心・安全に繋がる有機農産物等に対して直接的な認定制度を行っていない。しかし、

    高品質、安全食品を生産する農家が、新たな市場開発を行うことや市場で販売することを奨

    励しているとの見解である。有機農産物に対する市場開発や啓蒙活動に関する関連団体への

    支援は、2000 年 12 月から計画を立ち上げ実施している。 b)食の安心・安全について業界、生産団体等が独自に実施している認定制度とその表示

    香港において、食の安心・安全の位置づけに繋がる有機農産物・食品に関連して、香港漁

    農自然護理署(Agriculture, Fisheries and Conservation Department(AFCD))が次のホームページ内(http://www.afcd.gov.hk/english/agriculture/agr_orgfarm/agr_orgfarm.html)を通じて、香港における有機農産物・食品の生産・販売支援や認証制度、啓蒙・教育活動を

    通じた認知向上に関する取組などを紹介している。本ページ内には、香港内で有機農産物・

    食品の生産・販売推進に向けた各業界・組織について、次が紹介されている。このうち、独

    自の認証制度を実施しているのは、②および⑤である。この 2 つの組織は、香港および中国で生産・製造された農畜産物・食品に対してのみ認証を行っている。

    ①緑田園基金(Produce Green Foundation) ※URL:http://www.producegreen.org.hk/index.asp ②香港有機農業協會(The Hong Kong Organic Farming Association(HOFA))

    ※URL: http://www.hofa.org.hk/ 1999 年に香港で有機農産物の生産者が集まって設立された HOFA は、香港で初めて有機農産物・食品の基準と認証制度を立ち上げた協会である

    HOFA が定める有機農産物の認証規格に関する詳細リンク http://www.hofa.org.hk/english/files/organic_standards.doc

    ③蔬菜統營處(The Vegetable Marketing Organization(VMO)) ※URL:http://www.vmo.org/

    ④The Federation of Vegetable Marketing Co-operative Societies Ltd. (FVMCS) ※URL:http://fedvmcs.org/index.html ⑤香港有機資源中心(Hong Kong Organic Resource Centre) ※URL:http://www.hkbu.edu.hk/~hkorc/ VMO からの資金協力を受け、2002 年 12 月に設立された組織である。2004 年に有機農産物・

    食品に関する規格を作成し、認証支援等を行っている。 香港有機資源中心の有機農産物等の認証規格詳細リンク http://www.hkbu.edu.hk/~orc_cert/english/eindex.htm

    ⑥Kadoorie Farm & Botanic Garden ※URL:http://www.kfbg.org.hk/ ⑦Hong Kong Organic Agriculture & Ecological Research Association

    ※URL:http://www.hkgardenfarm.org/

  • 65

    c)我が国での認定マーク等(JAS 有機農産物、業界認定マーク等)の表示・販売に対する規制等

    2008 年 1 月にジェトロ香港から香港香港食物環境衛生署(Food and Environmental Hygiene Department (FEHD)へ我が国の認定マークを表示またはラベル貼付した商品に関する輸入・販売に関する問合せを行ったところ、香港で販売のために供される食品は全て香

    港の関連法規を遵守する必要があるが、我が国を含む外国の認証システム・マークに対する

    特別なコメント等はない、との回答を得た。 7.税制度

    (1)関税

    該当する規定はない。 (2)消費税/付加価値税(もしくはこれに該当する各国・地域の税)

    該当する規制はない。 (3)その他

    特に記載する事項はない。 8.サンプル輸出の規制状況等

    輸出入(登録)規則(Import and Export (Registration) Regulations Cap.60)によれば、HK$1,000 以下の価値のサンプルや贈答品、または展示会出品のために一時的に輸入される商品は、輸入申告が免除される。

    免除には明確な条件が付けられており、サンプルは小額の価値で、かつサンプルによっ

    て代表される種類の品物に対する注文を勧誘するためのみに使用されるべきである。 輸入・輸出申告の免除に関する問い合わせは、付録A記載の税関 24 時間照会ホットライ

    ン、またはサービスプロバイダーのどちらかで行なうことができる。 また、香港税関(Custom and Excise Department)および香港食物環境衛生署(Food and

    Enviromnental Hygiene Department(FEDH))食物安全中心(Centre for Food Safty)は、牛乳および乳製品、冷凍菓子類のサンプル輸入に際しては、必ず事前に認可を受け輸入許可証

    の取得を行うことを見解としてあげている。 9.関連企業・団体概要リスト

    (1)輸入業者・卸業者(直接輸入を行っている小売業者を含む)

    City Super Ltd.

    Coverage: Retailer Address: 8/F., Wharf T & T Centre, Horbour City, 7 Canton Road, Tsimshatsui,

    Kowloon, Hong Kong Tel: +852 2306 3824 Fax: +852 2956 0336

    Dmv Far East

  • 66

    Coverage: Dairy Produce Wholesaling

    Address: 1001A Bank Of America Tower, 12 Harcourt Rd, Central, Hong Kong

    Tel: +852 2525 2145 Fax: +852 2810 4543

    Fonterra Brands (Hong Kong) Ltd

    Coverage: Packaged Frozen Food Merchant Wholesalers Address: Unit 1203-6 & 07-09 12/F Tins Enterprises Centre, 777 Lai Chi Kok

    Road, Kowloon, Hong Kong Tel: +852 2958 1333 Fax: +852 2958 0529 Website: http://www.newzealandmilk.com

    Shin Tai Ho (Hong Kong) Company Limited

    Coverage: Mainly covering supermarket and restaurant sector Address: Room 401, Riley House, No. 88 Lei Muk road, Kwai Chung, NT,

    Hong Kong Tel: +852 2647 1138 Fax: +852 2646 6070

    Sunrise (HK) Ltd

    Coverage: Dairy products wholesale

    Address: Level 40, Unit 4006 Metro Plaza - Tower 2, 223 Hing Fong Rd, Kwai Chung, New Territories, Hong Kong

    Tel: + 852-24841338 Fax: + 852-24841318 Website: http://www.sunrise-hk.com.hk

    Dah Chong Hong Ltd

    Coverage: Grocery wholesaling Address: 8/F 20 Kai Cheung Road, Kowloon Bay, Hong Kong Tel: + 852 2768 3388 Fax: + 852 2796 8838 Website: http://www.dch.com.hk

    Ng Fung Hong Limited

    Coverage: Frozen foods (wholesale) Address: 8/F China Resources Building, No. 26, Harbour Road, Wanchai, Hong

    Kong Tel: +852 2593 8777 Fax: +852 2827 5985 Website: http://www.nfh.com.hk

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    (注)業者が引合い交渉を開始するかどうかは、市場動向等にもよるため、上記の

    リストは引合いの手がかりとしてお使い頂くものです。 (2)関連団体

    該当する団体はなし。 10.牛乳および乳製品輸入に関する補足コメント

    (国内マーケット事情、流通経路、新規参入の留意点等) 乳製品はホエイを除き、全般的に輸入が伸びている品目である。2007 年の日本産牛乳・乳飲料料およびクリーム(加糖分を含む)の輸入金額は、約 4 千万香港ドル(対前年 287%)となっている。この中の約 8 割を占める、乳幼児用粉ミルク(除く缶入)の輸入金額は、2007 年に約 3 千 3 百万香港ドル (対前年 308%)となり大きな伸びをみせた。

    2007 年 12 月現在、小売店に並んでいる日本から輸入される主な牛乳・乳製品は、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリームである。牛乳は、LL(ロングライフ)タイプが主流となっている。また、複数の輸入業者に問合わせたところ、ヨーグルトの輸入許可は必要ないとの回答を得

    た。さらに、牛乳・乳飲料の輸入許可の取得には時間を要し、1 年程度かかることも多いとのコメントも得た。

    第4章  牛乳・乳製品1.品目の定義2.輸出の可否3.手続き全体の流れ(1)フローチャート(2)留意点

    4.輸入制度・輸入規制(1)輸入手続き① 輸入申告② 検査のために抽出されたサンプルについて③ 所要時間

    (2)輸入許可のための要件① 通関② 輸入ライセンス③ 牛乳・乳飲料、冷凍菓子における輸入について④ 香港の食品輸入業者および卸売業者に対する任意登録制度⑤ 食品安全法案(The Proposed Food Safety Bill)および食品中の残留農薬に対する規制枠組み案(Proposed Regulatory Framework for Pesticide Residues in Food in Hong Kong)について《参考》

    (3)関税以外の国境特別措置

    5.販売時の規制・手続き(1)販売手続き(2)販売許可のための要件

    6.表示方法(1)法律に基づく義務表示および手続き① 食品表示における法律によって定められた事項について

    (2)法律に基づく任意表示および手続き(3)業界自主表示および手続き(4)「食の安全・安心」に関する表示

    7.税制度(1)関税(2)消費税/付加価値税(もしくはこれに該当する各国・地域の税)(3)その他

    8.サンプル輸出の規制状況等9.関連企業・団体概要リスト(1)輸入業者・卸業者(直接輸入を行っている小売業者を含む)(2)関連団体

    10.牛乳および乳製品輸入に関する補足コメント