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CONTENTS 福島進路 2009.4 №320 2 しんろ「ワイン」と「日本酒」 ジェトロ福島貿易情報センター所長 4 マンスリーレポート県内経済は、世界的な景気後退や円高などがもたらす経 営環境への影響から生産活動が大幅に減少、雇用情勢の 一段の悪化などから個人消費も低迷し、悪化している。 12 調 景況感が一段と悪化した県内景気 ―平成21年度上期の県内景気見通し調査― 30 どうなる これからの日本経済 明治大学政治経済学部 教授 37 私の研究ゆう ゆう こう どう 、始於足下 あなたのあしもとからはじまる ― 健康は日頃の自己行動にある ― 公立大学法人会津大学コンピュータÉ情報システム学専攻 情報システム学部門生体情報学講座 上級准教授 西 41 美を訪ねて第77回 大山 忠作 《岡潔先生像》 福島県立美術館長 46 福島の祭り第30回 箱崎愛宕神社の祭りと獅子舞 元福島県立博物館 学芸課長 49 企業法務セミナー退職した従業員の営業機密保持義務 渡辺健寿法律事務所 弁護士 寿 51 税務É財務相談Q A 相続税の基本的計算の仕組み 東北税理士会郡山支部 税理士 55 地方経済天気図 58 福島県景気動向指数 59 主要経済指標

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CONTENTS

福島の進路 2009.4 №320

CONTENTS

� 【しんろ】

「ワイン」と「日本酒」ジェトロ福島貿易情報センター所長 岡 田 春 彦

� 【マンスリーレポート】

県内経済は、世界的な景気後退や円高などがもたらす経営環境への影響から生産活動が大幅に減少、雇用情勢の一段の悪化などから個人消費も低迷し、悪化している。

�� 【調 査】

景況感が一段と悪化した県内景気―平成21年度上期の県内景気見通し調査―

�� 【講 演】

どうなる? これからの日本経済明治大学政治経済学部 教授 高 木 勝

�� 【私の研究】

悠ゆう

々ゆう

康こう

道どう

、始 於 足 下あなたのあしもとからはじまる

―健康は日頃の自己行動にある―公立大学法人会津大学コンピュータ�情報システム学専攻情報システム学部門生体情報学講座 上級准教授 陳 文 西

�� 【美を訪ねて】

第77回 大山 忠作 《岡潔先生像》

福島県立美術館長 酒 井 哲 朗

�� 【福島の祭り】

第30回 箱崎愛宕神社の祭りと獅子舞元福島県立博物館 学芸課長 懸 田 弘 訓

�� 【企業法務セミナー】

退職した従業員の営業機密保持義務渡辺健寿法律事務所 弁護士 渡 辺 健 寿

� 【税務�財務相談�&�】

相続税の基本的計算の仕組み東北税理士会郡山支部 税理士 佐 藤 達 夫

地方経済天気図

福島県景気動向指数

� 主要経済指標

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「ワイン」と「日本酒」

■ 岡田 春彦(おかだ はるひこ)

ジェトロ福島貿易情報センター所長(1993-1998年、1999-2004年 フランス駐在)

� ■ 福島の進路 2009.4

しんろ

ワインと日本酒。フランスと日本を代表する

「酒」であるが、主原料の「葡萄」と「米」の生

産を担う農家の位置づけは異なる。フランスでの

経験をご紹介する。

【身近な葡萄畑】

当たり前のことだがフランス人はワインが好き

である。そして、それを産み出す「葡萄畑」も彼

らにとっては身近な存在だ。陽光を浴び完熟を待

つ春から夏、収穫のため季節労働者で賑わう夏の

終わり、実が摘まれ葡萄の樹がスリムになる秋、

葉が色づき斜面が紅葉の絨毯に化す晩秋、雪と霜

に耐えながら春を待つ冬など、葡萄畑が織り出す

四季折々の風情は旅行好きなフランス人にとって

日常的な光景であり、新聞やテレビもその変化を

こまめに伝えてくれる。そうした環境もあって、

フランス人とワインの関係も深まっていくのであ

る。1999年から2001年まで、ボージョレの南に位

置するリヨンに勤務したが、そもそもリヨンは娯

楽が少ない上、日曜は店舗も閉まってしまうため、

暇つぶしのドライブコースとしてボージョレは最適

であった。ワインラベルの住所をたどって製造元

のワイン農家と触れ合うこともできたし、葡萄畑

を見たり、葡萄そのものを口にすることも出来た。

【農家との交流】

フランスではワイン農家によるワインの小売販

売は一般的であり、併設するワイン貯蔵庫(カー

ブ)は観光客のドライブコースの一つになってい

る。特に、ワインの仕込み段階を終えた閑散期の

農家は、農機具、農地、葡萄の樹の手入れの傍ら、

ワイン販売に忙しい。自宅の前に車が止まると、

「よっこいしょ」と外に出て客を迎え、クラクショ

ンを鳴らせば、畑から駆け足で戻ってくる。車の

中で退屈した子供にとって、農家の広い敷地は格

好の遊び場だ。大手スーパーなどに比べ割安感は

ないが、一般に市販されていない珍しいワインに

お目にかかかることが多く、数あるガイドブック

もワイン好きの訪問を後押ししている。訪問客は

試飲を楽しみながら、「自己責任」で車を運転(も

しくは同乗者に運転させながら)し、自宅の酒庫

や土産用に、好きなワインをダース単位で購入し

ていくのである。観光客相手にカーブを開けても

売れやしないし時間の無駄だろうに、と危惧する

ものの、人里離れた地域に住む農家にとって訪問

客は貴重な情報源であり、むしろコミュニケー

ションを楽しんでいるようである。もっともカー

ブに入った以上はワインを購入することはマナー

であるし、何も買わずに帰るという行為は一般的

ではない。

近隣からの外国人旅行客や在仏の外国人が農家

に立ち寄るケースも多いと見え、彼らは外国人に

とまどうことはないし、わざわざ立ち寄ってくれ

た遠来の客を温かく迎えてくれる。年配者であっ

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�福島の進路 2009.4 ■

しんろ

ても片言の英語を話すし、違和感を感じるであろ

う外国人のフランス語も一生懸命聞いてくれる。

話題も、葡萄やワインの出来具合はもちろん、年

配の農家であれば遠くに住む子供や孫の話、若手

農家であれば他国産ワインとの競合関係、最近の

気候の変化、政府の農業支援策など豊富である。

【ワイン作りにかける誇り】

葡萄農家の多くはワインの製造元でもある。葡

萄の収穫から醸造、瓶詰め、ラベル貼り、販売の

すべてを手がけており、カーブに飾ってある賞状

などは彼らのプライドの証である。大手醸造元に

比べ農家によるワインは量も少なく、地元の小売

店やレストラン向けがほとんどであるが、隠れた

逸品も少なくない。ボージョレの奥地にあるシ

ルーブル村(��������)で8年物を開けて

もらったが、苺に似た甘い香りが一気に放たれ、

瓶底にたまった澱(おり)もボージョレのイメー

ジを覆すものであった。それでも1本1,000円も

しなかったと思う。農家とはいえ、立派なビジネ

スマンの顔も持ち、国内だけでなく近隣諸国向け

に直売も行っている。定期的に、凝ったDMを送っ

てくるし、割引期間の設定や、おまけ(1ダース

買うと1本ただ)を付けるなど販促活動もしたた

かだ。国内消費量の減少や他国産ワインとの競合

など農家をめぐる環境は厳しくなってきており、

彼らは新規販路拡大にも意欲的である。当時、リ

ヨンで、ワインの対日輸出に向けた勉強会を開催

したところ、30名程度の農家が自慢のワインを持

ち寄り参加。日本市場の留意点、バイヤーの発掘

方法、日本人の味の嗜好、好まれるラベルデザイ

ンなど、日本人講師の話に熱心に耳を傾けノート

を取る姿に感心させられた。

リヨン滞在は2年半に過ぎなかったが、今でも

ボージョレ地方のワインを飲む度に当時の思い出

が蘇る。豊かな葡萄畑、葡萄の樹、やさしくも力

強い農家の面々が、格好のスパイスとなり、味に

深みを与えてくれるのである。

【日本酒と農家】

筆者は新潟県出身で、家の周りは田んぼだった

し、田植えや稲刈りも経験した。蛙の卵やタニシ

も取ったし、畦道のふきのとうも食卓に並んだ。

稲わらの香りも懐かしい。

一方、有名ブランドの日本酒を堪能しながらも、

「米」や「田んぼ」に思いを馳せることはない。

なぜなら、日本酒は酒造メーカーが製造するので

あって、特に杜氏の技術に頼るところが大きく、

米農家や産地の係わりを実感することができない

からだ。ワインであれば、葡萄の品種や原産地が

表示されており、ラベルのデザインによっては葡

萄畑やカーブも容易に想像できるが、日本酒のラ

ベルからそれらを読み取ることは困難である。し

かし、もし、原料米、農家、産地が今まで以上に

身近になれば、(ワインのように)味にさらに深

みが増すであろうし、産地まで足を伸ばしてみた

くなる愛好家も多いのではないか。ネットなども

通じ消費者と農家、産地との距離が縮まれば日本

酒需要の底上げにも繋がるし、情報を海外に発信

すれば「��」需要の高まるアジアや欧米の観

光客誘致に繋がるかもしれない。人気日本酒銘柄

の原料米が広く認知されれば、農家の生産意欲も

更に高まるであろう。

2月、郡山で新酒祭りが開催された。ヌー

ヴォーで有名なボージョレで出会った農家の面々

を思い出し、当時の経験を紹介させて頂いた。酒

造りに関してはまったくの素人ながら、日仏の

「酒」どころに身を置いた、一人の「酒好き」の

感想である。

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マンスリーレポート マンスリーレポート

県内経済は、世界的な景気後退や円高などがもたらす経営環境への影響から生産活動が大幅に減少、雇用情勢の一段の悪化などから個人消費も低迷し、悪化している。

1.平成21年1月の県内経済

消費動向をみると、大型小売店販売額(全店舗ベース)は冬物衣料品などが不振で2ヵ月連続で前年を下回った。乗用車新車販売は、大型、中小型乗用車、軽乗用車がいずれも減少し全体では6ヵ月連続で前年を下回った。生産活動は、前月比、前年同月比でともに急速に落ち込み一段と低下した。投資動向をみると、公共工事前払保証取扱は、件数が2ヵ月連続、請負金額が7ヵ月連続で前年を上回った。建築着工(民間�非居住用)は、棟数、工事費予定額がともに5ヵ月ぶり、床面積は2ヵ月ぶりで前年を大幅に下回った。新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅のいずれもが大幅減となり全体では3ヵ月連続で前年を下回った。倒産状況は、負債金額10百万円以上の企業倒産件数が5ヵ月ぶり、負債総額が3ヵ月ぶりに前月を下回り、また福島県信用保証協会の代位弁済件数は12ヵ月ぶり、金額が7ヵ月ぶりに前年を下回った。雇用情勢は、新規求人倍率、有効求人倍率がともに15ヵ月連続で前年を下回るなど一段と悪化した。

〔消費動向・減少〕大型小売店販売額(全店舗ベース)は、飲食料品は堅調だったものの、冬物衣料品、身の回り品など

が引き続き低調に推移し、既存店ベースとともに2ヵ月連続で前年を下回った。乗用車新車販売は、大型車、主力の中小型車が大幅減、軽自動車も減少し全体では6ヵ月連続で前年を下回った。消費者物価指数は、前年同月比では+0.5ポイントと17ヵ月連続の上昇となったが、前月比では△0.1ポイントと4ヵ月連続で前月を下回った。個別企業の販売動向をみると、家電量販店は、洗濯機、冷蔵庫などは堅調、薄型テレビ、パソコンが横ばい、携帯電話、デジタルカメラなどは低迷しており、全体では前年をやや下回る水準で推移した。ホームセンターは、園芸用品、ペット用品などは堅調、日用品、 ���商品、灯油などは低調で全体では前年を下回る水準で推移した。旅行取扱額は、個人の国内�海外旅行は景気後退の影響などから一段と落ち込みが厳しく、海外団体も減少傾向が強まった。

〔投資動向・減少〕公共工事前払保証取扱は、件数が県からの発注増により2ヵ月連続、請負金額が福島市の新庁舎発注

工事などから7ヵ月連続で前年を上回ったが、年度累計では前年度比で件数が△1.0%、請負金額が+3.3%に止まり依然低水準にある。12月の建設着工(民間�非居住用)は、棟数、工事費予定額がともに5ヵ月ぶり、床面積が2ヵ月ぶりにいずれも大幅に減少し前年を下回った。新設住宅着工戸数は持家、貸家、分譲住宅のいずれもが前年を大幅に下回り全体では3ヵ月連続で前年を下回った。

〔生産活動・減少〕12月の鉱工業生産指数(季節調整済指数)は、83.8(前月比△10.3%)と大幅に低下し3ヵ月連続で

前月を下回った。原指数も、84.9(前年同月比△19.1%)と5ヵ月連続で前年を下回った。大口電力販売量は、食料品を除く非鉄金属、化学、電気機械、輸送用機械、一般機械など主要大口需要先で大幅に減少し3ヵ月連続で前年を下回った。

〔企業倒産・横ばい〕負債金額10百万円以上の企業倒産状況は、倒産件数が5ヵ月ぶり、負債総額が3ヵ月ぶりでともに前

年を大きく下回った。福島県信用保証協会の代位弁済状況も、件数が12ヵ月ぶり、金額が7ヵ月ぶりでともに前年を大幅に下回った。

〔金融動向・低調〕1月末の預金残高は前年同月比+2.2%と23ヵ月連続で前年を上回った。貸出金残高は前年同月比+

1.9%と低水準だった前年の影響から7ヵ月連続で前年を上回った。〔雇用動向・悪化〕

新規求人倍率、有効求人倍率(原数値)はともに15ヵ月連続で前年を下回った。また、季節調整値でみた新規求人倍率は、平成13年12月と同水準の0.69倍、有効求人倍率は平成14年7月(0.46倍)以来となる0.48倍まで急低下し県内雇用情勢は一段と悪化した。

� ■ 福島の進路 2009.4

マンスリーレポート

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県内経済動向の概要

平成20年11月 12 月 平成21年1月項 目

前年同月比 前 月 比 前年同月比 前 月 比 前年同月比 前 月 比大型小売店販売額(全店舗)

消費動向 乗用車新車登録台数消費者物価指数(総合)

公共工事前払保証取扱保証請負金額投資動向 建設着工棟数(民間�非居住用) - -

新設住宅着工戸数鉱工業生産指数(総合) 注1 - -

生産活動大口電力販売量

企業倒産件数 注2企業倒産

企業倒産金額 注2預 金

金融動向貸 出 金

有効求人倍率(パート含む)注3雇用動向

新規求人倍率(パート含む)注3

良化 良化傾向にあるがほぼ横這い 悪化傾向にあるがほぼ横這い 悪化

注1:前月比は季節調整値、前年同月比は原指数。注2:負債総額10百万円以上。注3:前月比は季節調整値。前年同月比は原指数。

�福島の進路 2009.4 ■

マンスリーレポート

2.県内経済動向

―― 消 費 動 向 ――

-20

-10

10

20 合計

(%) 福島県大型小売店販売額(全店舗)

(前年同月比伸び率)

9 105 6 1112 8 1 3 4 9 10 11 12 71 2 8

19年 20年 21年

百貨店 スーパー等

(資料:経済産業省)

(台) (%) 福島県乗用車新車登録台数推移

20,000

15,000

10,000

5,000

20

10

-10

-20

5 6 7 8 9 11 10 12 1 1 2 3 4

20年 21年

前年同月比(右目盛) 台数

(資料:福島県自動車販売店協会)

大型小売店 1月の県内大型小売店の販売額は、

飲食料品は好調だったが、紳士�婦人服などの冬

物衣料品や身の回り品などが引き続き低調な推移

となり、全店舗ベースで203億39百万円(前年同

月比0.5%減)と2ヵ月連続、既存店ベースでも

同2.7%減と2ヵ月連続で前年を下回った。(注:

既存店とは調査月において当月と前年同月でともに存在

した事業所の数値。)

業態別に内訳をみると百貨店は、主力の紳士�

婦人服などの冬物衣料品を始め身の回り品、飲食

料品などが低調に推移し全店舗ベースで36億69百

万円(同5.8%減)と既存店ベース(同5.8%減)

と、ともに17ヵ月連続で前年を下回った。

スーパーは、身の回り品、冬物衣料品などが低

調だったものの、主力の飲食料品が引き続き好調

で全店舗ベースで166億70百万円(同0.8%増)と

12ヵ月連続で前年を上回ったが既存店ベースでは

同1.9%減と2ヵ月連続で前年を下回った。

乗用車販売 1月の乗用車新車登録台数(軽乗用

車含)は、合計で4,494台(前年同月比18.4%減)

と大幅に減少し6ヵ月連続で前年を下回った。車

種別でみると、大型乗用車が393台(同29.9%減)、

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� ■ 福島の進路 2009.4

マンスリーレポート

主力の中小型乗用車が2,127台(同25.1%減)と、

ともに6ヵ月連続、軽乗用車が1,974台(同6.4%

減)と2ヵ月連続でいずれも前年を下回った。

1月の乗用車中古車販売台数(軽自動車は名義

変更を含む)は、合計で8,427台(前年同月比4.8

%減)と4ヵ月連続で前年を下回った。車種別に

みると大型乗用車で2,313台(同2.1%増)と4ヵ

月ぶりに前年を上回った。一方、中小型乗用車で

3,251台(同5.9%減)、軽乗用車で2,863台(同

8.5%減)と、ともに4ヵ月連続で前年を下回っ

た。

消費者物価指数 1月の消費者物価指数は、総合

指数(福島市、平成17年=100)でみると、101.4

(前月比△0.1ポイント)となり、4ヵ月連続で前月を下

回った。

一方、前年同月比では+0.5ポイントと17ヵ月連続し

て上昇した。費目別の指数動向をみると、前月比

上昇したのは、「食料」で106.8(前月比+2.3ポイント)

と2ヵ月連続、「光熱�水道」で109.6(同+0.6ポイント)と4ヵ月ぶり、「家具�家事用品」で96.3(同

+0.4ポイント)と3ヵ月ぶり、「保険医療」で97.6(同

+0.1ポイント)と4ヵ月ぶりにいずれも前月を上回っ

た。一方、前月比低下したのは、「被服及び履物」

で96.0(同△11.2ポイント)と2ヵ月連続、「交通通信」

で96.0(同△1.6ポイント)、「教養娯楽」で96.8(△0.6ポイント)と、ともに5ヵ月連続でいずれも前月を下

回った。「住居」は99.7、「教育」は102.4でとも

に前月と変らなかった。

(台) (%) 福島県中古車販売台数推移

20,000

15,000

10,000

5,000

20

10

-10

-20

5 6 7 8 9 11 10 12 1 1 2 3 4

20年 21年

前年同月比(右目盛) 台数

(注)軽自動車は名義変更台数含む資料:�日本自動車販売協会連合会 福島支部

�全国軽自動車販売協会連合会

福島県消費者物価指数 (総合指数 平成17年=100)

9 105 610 11 12 1 9 3 4 11 812 1 2 7

19年 21年 20年

98

99

100

101

102

103

104福島県 全国

104

103

102

101

100

99

98

(資料:総務省統計局)

(千台) (%) 福島県高速道路出入交通量

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

75 6 8 9 10 11 12 1 12 1 2 3 4

19年 21年 20年

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8前年同月比(右目盛) 交通量合計

-2

-4

-6

-8

-10

(資料:東日本高速道路㈱東北支社)

家電量販店 1月の売上状況は、洗濯機、冷蔵庫

などは堅調、薄型テレビ、パソコンが横ばい、携

帯電話、デジタルカメラ、���レコーダーなど

は低迷しており、全体では前年をやや下回る水準

で推移した。

ホームセンター 1月の売上は、ペット商品、園

芸用品などは堅調だったものの、日用品、���

商品や灯油などが低調に推移したことから全体で

は前年を下回る水準で推移した。

旅行 1月の旅行取扱額実績は、個人の国内�海

外旅行が景気後退の影響などから一段と落ち込み

が厳しく、海外団体も需要の減少傾向が継続した。

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�福島の進路 2009.4 ■

マンスリーレポート

高速道路 1月の県内自動車道通過台数は3,190,899

台(前年同月比0.9%増)と3ヵ月連続で前年を

上回った。路線別にみると、東北自動車道(白河

��~国見 ��)は1,865,193台(同1.0%増)と10ヵ

月ぶり、磐越自動車道(いわき三和 ��~郡山東

��)は229,171台(同5.7%増)と4ヵ月連続、磐

越自動車道(磐梯熱海 ��~西会津 ��)は469,017

台(同2.4%増)と3ヵ月連続でいずれも前年を

上回った。常磐自動車道(いわき勿来 ��~常磐

富岡 ��)は627,518台(同1.8%減)と15ヵ月連

続で前年を下回った。

福島空港 1月の福島空港国内定期路線の利用状

況は、24,796人(前年同月比1.0%増)と16ヵ月

ぶりに前年を上回った。路線別にみると、札幌便

は6,235人(同2.5%減)と3ヵ月連続、大阪便は

10,695人(同17.4%減)と13ヵ月連続でともに前

年を下回った。沖縄便は7,866人(同51.2%増)

と5ヵ月連続で前年を上回った。一方、国際定期

路線の利用状況は2,536人(同44.9%減)と3ヵ

月連続で前年を大きく下回った。路線別にみると

ソウル便は1,696人(同44.8%減)と3ヵ月連続、

上海便は840人(同45.3%減)と12ヵ月連続で、

ともに大幅に前年を下回った。

(人) (%) 福島空港国内定期路線の利用客数推移

50,000

40,000

30,000

20,000

10,000

15

10

-5

-10

-15

9 10 5 6 11 12 1 10 9 11 12 1 2 3 4 7 8

20年 19年 21年

前年同月比(右目盛) 利用客数

(資料:福島県商工労働部空港交流課)

-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

60

5 6 7 8 9 11 10 12 1 1 2 3 4

(百万円) (%) 福島県公共工事請負金額(前払保証取扱)推移

21年 20年

30,000

20,000

10,000

60

50

40

30

20

10

0

-10

-20

-30

-40

-50

-60

前年同月比(右目盛) 請負金額

(資料:東日本建設業保証㈱)

0

50

100

150

200

250

(棟) (%) 福島県着工建築物推移(民間・非居住用)

250

200

150

100

50

4 5 6 7 8 9 11 10 12 12 1 2 3

19年 20年

棟数前年同月比(右目盛) 棟数

550

450

350

250

150

50

-50

-150

床面積前年同月比(右目盛)

(資料:国土交通省)

―― 投 資 動 向 ――

公共工事 1月の公共工事前払保証取扱は、件数

が400件(前年同月比4.2%増)と県からの発注増

により2ヵ月連続、請負金額が89億72百万円(同

51.5%増)と7ヵ月連続、保証金額が36億8百万

円(同61.9%増)と3ヵ月連続で、いずれも前年

を上回った。

主な発注者別の請負金額は、国が前年比12億29

百万円減少し4億98百万円(同71.2%減)となっ

た。一方、県が同7億9百万円増加し20億11百万

円(同54.5%増)、市町村が同31億21百万円増加

し56億63百万円(同122.8%増)となった。

設備投資 12月の建築着工(民間�非居住用)は、

棟数が149棟(前年同月比19.9%減)、工事費予定

額が77億5百万円(同50.2%減)と、ともに5ヵ

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� ■ 福島の進路 2009.4

マンスリーレポート

月ぶり、床面積が58,523㎡(同51.5%減)と2ヵ

月ぶりにいずれも大幅に減少し前年を下回った。

1月の建築物確認件数(計画変更を除く)は、

521件(前年同月比9.1%減)と4ヵ月連続で前年

を下回った。建築物別にみると、1~3号建物

(一定規模以上の建築物が対象)が119件(同21.7

%減)、4号建物(小規模な木造�非木造住宅な

どが対象)が402件(同4.5%減)と、ともに4ヵ

月連続で前年を下回った。「構造計算適合性判定

合格件数」は19件と前月比2件減少し2ヵ月ぶり

に前月を下回った。

建築物着工の先行指標である1月の建築物申請

件数は、524件(同11.6%減)と3ヵ月連続で前

年を下回った。建築物別にみると、1~3号建物

は107件(同29.1%減)と4ヵ月連続、4号建物

は417件(同5.7%減)と3ヵ月連続で、ともに前

年を下回った。「構造計算適合性判定申請件数」

は9件と前月比6件減少し3ヵ月連続で前月を下

回った。

住宅建設 1月の県内新設住宅着工戸数は、733

戸(前年同月比26.7%減)と減少幅を拡大し3ヵ

月連続で前年を下回った。主な利用関係別にみる

と、「持家」は291戸(同29.4%減)と2ヵ月連続、

「貸家」は398戸(同24.6%減)と3ヵ月連続、

「分譲住宅」は43戸(同23.2%減)と4ヵ月連続

で、いずれも前年を大幅に下回った。分譲住宅の

うちマンションは4ヵ月連続で着工戸数がなかっ

た。

5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4

(戸) (%) 福島県新設住宅着工戸数推移

500

1,000

1,500

2,000

-80

-40

-80

40

80

前年同月比(右目盛) 着工戸数

参考:全国の前年同月比(右目盛)

20年 21年

(資料:国土交通省)

12 12 1 2 3 4 5 6 7 8 10 9 11

福島県鉱工業生産指数(全国、東北との比較) (季調済 平成17年=100)

19年 20年

105

100

95

90

85

80

110

115

120 東北 福島県 全国

(資料:福島県企画調整部統計調査課)

11 12 1 2 3 64 5 7 8 9 11 10 12

福島県業種別鉱工業生産指数の推移 (原指数前年比)

19年 20年

-20

-5

-35

-50

10

25 (%)

非鉄金属 鉄鋼

金属製品

(資料:福島県企画調整部統計調査課)

―― 生 産 活 動 ――

鉱工業生産指数 12月の鉱工業生産指数は、季節

調整済指数でみると83.8(前月比△10.3%)と大

幅に低下し3ヵ月連続で前月を下回った。原指数

も84.9(前年同月比△19.1%)と同様に大幅な低

下となり5ヵ月連続で前年を下回った。上昇およ

び低下した主な業種別(季節調整済指数)では、

食料品�たばこ工業で91.0(前月比+15.3%)と

唯一上昇した、一方、鉄鋼業で57.6(同△28.0%)、

プラスチック製品工業で76.4(同△23.2%)、金

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�福島の進路 2009.4 ■

マンスリーレポート

属製品工業で59.2(同△22.8%)、輸送機械工業

で50.6(同△20.2%)と19業種が低下した。

化学 1月の食品包装フィルム用合成樹脂は堅調

だったものの、金属代替プラスチック、炭素繊維

などは前年を下回る生産で推移した。酸化チタン

(白色顔料、自動車用塗料向け)、バリウム化合物

(電子部品原料)および電子材料(コンデンサー、

リチウムイオン電池等材料)の生産なども前年を

大きく下回る水準で推移した。

鉄鋼・金属 1月の伸銅品の生産は、自動車向け

端子材、半導体向け電子材がともに前年を大幅に

下回る水準で推移した。建機用は、大型は海外需

要の水準が下がり、中型�小型は需要が薄れ減産

となり前年を下回る生産となった。車両用は、新

幹線および ��中央線�京浜東北線の更新需要お

よび海外需要に支えられ前年をやや下回る水準で

推移した。船舶用バルブ部品向けは堅調、陸上プ

ラント用バルブ部品は前年を下回る水準で推移し

た。

輸送用機械 1月の自動車用鋳造品の生産は、国

内および先進国や新興国など海外の需要が大きく

減退し前年を大きく下回る水準で推移した。

11 12 1 2 3 64 5 7 8 9 11 10 12

福島県業種別鉱工業生産指数の推移 (原指数前年比)

19年 20年

-25

-50

25

50

精密機械 一般機械

輸送機械

(%)

(資料:福島県企画調整部統計調査課)

11 12 1 2 3 5 64 7 8 9 11 10

12

福島県業種別鉱工業生産指数の推移 (原指数前年比)

19年 20年

-25

-50

25

50

情報通信機械 電気機械

電子・デバイス

(%)

(資料:福島県企画調整部統計調査課)

0

50000

100000

150000(�) (%)

福島県生コンクリート出荷実績

150

100

50

65 7 8 9 10 11 12 1 1 2 3 4

20年 21年

-30

-20

-10

0

10

前年同月比(右目盛) 出荷量

10

-10

-20

-30

(資料:福島県生コンクリート工業組合)

電気機械 1月の変圧器、配電盤、電熱炉、自動

車モーター、回転機などの生産は前年を上回る水

準で推移した。

情報通信機械 1月の携帯電話中継局用マイクロ

波通信機器の生産は、アジア�中近東(インド、

トルコ等)向けなどは安定しているが、前年を下

回る水準で推移した。衛星通信機器関連、��関

連機器の生産も前年をやや下回る水準で推移した。

電子部品・デバイス 1月の ���(大規模集積回

路)の生産は、主力の ���ゲーム機�家電、産

業機器を始め、車載品、パソコン���、通信向

け、携帯電話向けなどが前年を大きく下回る水準

となった。

精密機械 1月の医療用内視鏡の生産は前年を下

回る水準で推移した。デジタル一眼レフカメラ用

レンズは前年を下回る水準で推移した。

紙・紙加工品 1月の段ボールの生産は、前年を

下回る水準で推移した。感熱紙、インクジェット

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マンスリーレポート

紙、ノーカーボン紙はいずれも前年を大幅に下回

る水準で推移した。

窯業・土石 1月の生コンクリート出荷量は、全

体で85,849�(前年同月比13.0%減)と15ヵ月連

続で前年を下回った。増加地区をみると、官公需

では県北地区で中央高速道路工事、白河地区で砂

防工事、いわき地区で三和トンネル、港湾関係な

どにより増加した。民需は会津地区で工場新築工

事、病院新築工事などにより増加した。

清酒 1月の清酒移出数量は、963�(前年同月

比4.4%減)と4ヵ月連続で前年を下回った。タ

イプ別では、特定名称酒(吟醸酒�純米酒�本醸

造酒)が357�(同1.9%増)と5ヵ月連続で前年

を上回った。一般酒(特定名称酒以外の酒)は606

�(同7.8%減)と4ヵ月連続で前年を下回った。

化合繊織物 1月のナイロンの生産はダウンジャ

ケット(表地)向けを中心に前年をやや下回る水

準で推移した。ポリエステルの生産についても、

紳士服、婦人服の裏地向けを中心に前年をやや下

回る水準で推移した。

ニット 1月のニットの生産は、消費者の所得の

伸び悩みや買い控え傾向の強まりから衣料品全般

が低迷し、受注�生産は低調な水準で推移した。

大口電力 1月の大口電力販売量は、454百万�/�

(前年同月比21.0%減)と減少幅を拡大し3ヵ月

連続で前年を下回った。大口主要販売先を業種別

でみると、「電気機械」で94百万�/�(前年同月

比24.2%減)、「非鉄金属」で95百万�/�(同

17.7%減)、「化学」で48百万�/�(同17.9%減)、

「輸送用機械」で35百万�/�(同38.6%減)、「一

般機械」で23百万�/�(同20.7%減)、「紙�パ

ルプ」で17百万�/�(同38.0%減)となり、前

月に引き続き「食料品」を除く業種の全てで前年

を大きく下回った。

(kl) (%) 福島県清酒課税移出数量推移

4,000

3,000

2,000

1,000

20

10

-10

-20

6 75 8 9 10 12 11 1 12 1 2 3 4

19年 21年 20年

前年同月比(右目盛)

課税移出数量

(資料:福島県酒造組合)

6 10 11 7 8 5 1 12 912 1 2 3 4 11

福島県大口電力使用量

20年 19年 21年

(106 kw/h) (%) 700

650

600

550

500

450

400

前年同月比(右目盛) 販売量

5

0

10

15

-5

-10 -15

-25

-20

20

25

(資料:東北電力福島支店)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

(億円) (件) 福島県企業倒産(負債金額10百万以上)件数・金額推移

160

140

120

100

80

60

40

20

0

25

20

15

10

5

0

9 1 12 11 10 5 98 76 1 2 3 4 12 11 10

20年 19年 21年

件数(右目盛)

金額

(資料:帝国データバンク福島支店)

―― 企 業 倒 産 ――

企業倒産 1月の企業倒産(負債金額10百万円以

上)は、倒産件数が10件(前年同月比33.3%減)

と5ヵ月ぶり、負債総額が11億10百万円(同88.0

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��福島の進路 2009.4 ■

マンスリーレポート

%減)と3ヵ月ぶりで、ともに前年を大きく下

回った。

倒産主因別内訳は、受注�販売不振9件、業界

不振1件となった。業種別内訳は、建設業、小売

業がともに3件、サービス業2件、製造業、卸売

業がともに1件となった。地区別内訳は、県北、

会津がともに3件、県南、浜通りがともに2件と

なった。

(億円) (%)

20年 21年

6 5 7 8 9 1 1 2 3 4 12

福島県民間金融機関預金・貸出金

30,000

40,000

60,000

50,000

70,000

80,000 4

-2

-4

10 11

預金 預金前年同月比 (右目盛)

貸出金

貸出金前年同月比 (右目盛)

(資料:日本銀行福島支店)

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

(百万円) (%) 保証協会の保証承諾推移

35,000

30,000

25,000

20,000

15,000

10,000

5,000

6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5

前年同月比(金額) 保証承諾金額 150

125

100

75

50

25

-25

-50

件数前年比

0

75

100

20年 21年

(資料:福島県信用保証協会)

福島県求人倍率 (学卒を除きパートを含む季節調整値)推移

      

1.60

1.40

1.20

1.00

0.80

0.60

0.40

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

新規求人倍 有効求人倍

平成21年 平成21年

平成20年 平成20年

× ○

×

(倍)

20年

(資料:福島労働局職業安定部)

―― 金 融 動 向 ――

資金需要 県内金融機関(全国銀行、第二地銀、

信用金庫、信用組合の県内店舗分)の1月末の預

金残高は、6兆2,925億円(前年同月比2.2%増)

と23ヵ月連続で前年を上回った。貸出金残高は、

3兆8,759億円(同1.9%増)と7ヵ月連続で前年

を上回った。

保証協会 1月の保証承諾は、件数が1,704件

(前年同月比54.3%増)と2ヵ月連続、保証金額

が223億69百万円(同109.1%増)と4ヵ月連続で

前年を上回った。一方、代位弁済は、件数が5件

(同92.4%減)と12ヵ月ぶり、金額が54百万円

(同86.4%減)と7ヵ月ぶりでともに大幅に前年

を下回った。

―― 雇 用 動 向 ――

雇用動向 1月の新規求人数(原数値)は、9,492

人(前年同月比10.7%減)と15ヵ月連続で前年を

下回った。一方、新規求職申込件数(原数値)は、

15,816件(同41.5%増)と前月に引き続き大幅増

となり5ヵ月連続で前年を上回った。

新規求人倍率(季節調整済、パート含)は、

0.69倍(前月比±0)と前月と変わらなかった。

原数値は0.60倍(前年同月比0.35ポイント低下)と15ヵ

月連続で前年を下回った。有効求人倍率(季節調

整済、パート含)は、0.48倍(前月比0.05ポイント低下)

と3ヵ月連続で前月を下回った。原数値は0.48倍

(前年同月比0.32ポイント低下)と15ヵ月連続で前年を

下回った。

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�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

景況感が一段と悪化した県内景気―平成21年度上期の県内景気見通し調査―

日本経済は、世界経済の急激な減速を受けて、これまで景気を牽引してきた自動車や電気機械産業など

の輸出不振により、生産活動が大幅に低下し、それに伴い企業収益と雇用情勢は著しく悪化している。こ

うした情勢を裏付けるように、平成21年2月に内閣府が発表した平成20年10~12月期の国内総生産

(���)速報値は前期比△12.7%(年率換算)と大きく落ち込み、3四半期連続でのマイナス成長となっ

た。また、平成21年2月の内閣府の月例経済報告では、景気判断を5ヵ月連続で下方修正した。

一方、県内経済も、世界的な景気後退や急激な円高がもたらす経営環境への影響などから生産活動は低

下し、厳しい雇用情勢などから個人消費も低迷し、悪化している。

こうした中、当研究所では「平成21年度上期の県内景気見通し調査」を実施し、県内の850社を対象と

し、447社から回答を得た。本調査は、12月時点の景気判断について「���(業況判断指数)」を中心にま

とめたものである。

●調査要領

1.調査方法 多項目アンケート調査郵送法

2.調査対象 県内企業850社

3.回答企業 447社(回収率52.6%)

4.調査時期 平成20年12月

(前回調査:平成20年7月)

5.調査対象期間

20年度上期:平成20年4月~20年9月期

この期間は「実績」と記載。

20年度下期:平成20年10月~21年3月期

この期間は「現況」と記載。

21年度上期:平成21年4月~21年9月期

この期間は「見通し」と記載。

注:���(ビジネス�サーベイ�インデックス)

の計算方法

「上昇」と回答した企業数-「下降」とした企業数総回答企業数

× 100

例:総回答企業数200社

「上昇」50社 「不変」80社 「下降」70社

50-70200

× 100 =△10

(小数点第1位四捨五入)

業 種 回答企業数 構 成 比製 造 業 211社 47.2%

飲 食 料 品 34 7.6繊維�繊維製品 20 4.5木材�木製品 11 2.5紙�紙加工品 13 2.9化 学 15 3.4窯業�土石製品 21 4.7鉄鋼�非鉄金属製品 20 4.5一 般 機 械 16 3.6電 気 機 械 7 1.6情報通信機器 12 2.7電子部品�デバイス 10 2.2輸送用機械 8 1.8精 密 機 械 10 2.2その他製造業 14 3.1

非 製 造 業 236 52.8建 設 業 39 8.7運 輸 業 15 3.4通 信 業 4 0.9卸�小売業 120 26.8サービス業 47 10.5その他非製造業 11 2.5

全 産 業 計 447 100.0

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� �

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

図1 県内企業の景気判断 ���推移(全産業)

△90

90

9年度上期

 年度上期

 年度上期

 年度下期

12  年度上期

14  年度下期

14  年度上期

15  年度下期

15  年度上期

16  年度下期

16  年度上期

17 17 年度下期

 年度上期

18  年度下期

18  年度上期

19  年度下期

19  年度下期

20  年度上期

21  年度上期

20  年度下期

 年度上期

13 13  年度上期

8年度下期

9年度下期

 年度下期

 年度下期

10 10 11 11 12

国内景気 所属業界 自企業

※国内景気、所属業界:20年度下期以前は調査時点の現況、21年度上期は見通し※自企業:8年度下期から20年度上期は再調査した実績、20年度下期は現況、21年度上期は見通し

〇 国内、所属業界の景気判断(詳細はP14)国内の景気判断は、国内景気の後退を反映し、

現況(平成20年度下期)は実績(平成20年度上期)

比で一段と悪化した。国内の景気判断の見通し

(平成21年度上期)は依然として低い水準が続く見

込みである。所属業界についても同様に製造業�

非製造業とも平成20年度下期現況の景気判断 ���

が一段と悪化した。

〇 自企業の景気判断(同�P14~16)

現況(平成20年度下期)については、製造業�

非製造業ともに大幅に悪化し、今回調査では全て

の業種がマイナスとなった。世界経済の急激な減

速の影響を受けて、「輸送用機械」や「化学」な

どの業種で下降幅が大きかった。見通し(平成21

年度上期)についても、製造業�非製造業とも引

き続き厳しい結果となった。

本社所在地別にみると、平成20年度下期現況は

県内企業�県外本社とも景況感が大幅に悪化した。

平成20年度下期現況において資本金の規模別では、

全階層とも大きく悪化したが、総じて規模が大きいほど下降幅が大きかった。

〇 設備投資(同�P19~23)

平成20年度下期に「設備投資を実施した」と回

答した企業の割合は34.0%であり、平成20年度上

期実績の40.9%から減少した。見通しについては

実施予定企業割合が25.1%であり、平成20年度下

期の34.0%から減少した。設備投資を実施しない

理由としては、製造業では「受注、売上の見通し

が立たない」が最も多く、非製造業では「利益の

見通しが立たない」と「設備投資が一巡した」が

多かった。

〇 雇用�賃金�原材料価格(同�P23~29)

雇用については、雇用過不足 ���が前回調査

(平成20年7月)の+1から今回調査では+23と

一気に過剰感が強まる結果となった。平成21年4

月の雇用人員は、製造業と非製造業のいずれも正

社員、パート等ともに減少見込みであり、非正規

社員を中心に人員抑制傾向が強まっている。

平成21年春の賃金は、「変更しない」と「引き

下げる予定」「未定」で約8割を占め、「引き上げ

る予定」は約2割に留まった。原材料価格の急激な変動の影響については約9

割の企業が「影響がある」と回答した。一方、コ

スト上昇分の販売価格への転嫁状況は、価格転嫁

していない企業が多かった。

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表1 国内と所属業界の景気判断(上昇�下降)���

18年度下期実績※1

19年度上期実績※1

19年度下期実績※1

20年度上期実績※1

20年度下期現況※2

変化幅

21年度上期見通し

変化幅

国内景気 全 産 業 8 △ 1 △48 △76 △91(△68) △15 △81 10

製 造 業 △14 △35 △40 △61 △86(△56) △25 △75 11所属業界の 景 気 非製造業 △36 △48 △64 △74 △84(△69) △10 △81 3

※1:調査時点の現況を使用※2:20年度下期現況の( )内は前回調査の見通し

図2 自企業の景況判断 ���推移(全産業)

 年度下期

18  年度上期

19  年度下期

19  年度上期

20  年度下期

20  年度上期

21  年度上期

18 △70

△20

30

(上 昇)

(下 降)

現況・実績BSI※ 見通しBSI(下線)

△6 △8

△16

△27 △37

△68

△11 △13 △16

△30

△69

△47

△7

※18年度上期から20年度上期は再調査した「実績」、20年度下期は現況。下線のある数値が見通し ���。なお、以下図3~図6についても同様。

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

Ⅰ.国内、所属業界の景気判断

1.国内の景気

平成20年度下期現況の景気判断 ��� は△91

(平成20年度上期実績比△15ポイント)と一段と悪化し

た。また、平成21年度上期見通しは△81(平成20

年度下期現況比+10ポイント)となり、依然として低い

水準が続く見込みである(表1、図1)。今回調

査の数値は、当研究所が昭和57年下期に調査を開

始して以来、最も低い水準まで落ち込んだ。

2.所属業界の景気

平成20年度下期現況の景気判断 ���は、製造

業が△86(平成20年度上期実績比△25ポイント)、非製

造業が△84(同△10ポイント)と一段と悪化した。また、

平成21年度上期見通しの景気判断 ���は、製造

業が△75(平成20年度下期現況比+11ポイント)、非製

造業が△81(同+3ポイント)となり、国内景気と同様

に厳しい状況が続く見込みとなった(表1、図1)。

Ⅱ.自企業の判断

1.景気判断

�1 全 体

① 平成20年度下期現況

平成20年度下期現況 ���は全産業が△68(平

成20年度上期実績比△31ポイント)、製造業が△74(同

△39ポイント)、非製造業が△64(同△26ポイント)といずれ

も大幅に悪化し、今回調査では全ての業種がマイ

ナスとなった(表2、図2)。

下降幅が大きな業種をみると、製造業では「輸

送用機械」△100(同△87ポイント)、「化学」△80(同

△80ポイント)、「紙�紙加工品」△92(同△77ポイント)、非

製造業では「その他非製造業」△82(同△64ポイント)、

運輸業△80(同△47ポイント)となった(表2)。今回

調査では、世界経済の急激な減速の影響を受けて、

これまで景況感が良かった「輸送用機械」、「情報

通信機器」、「化学」などの輸出関連業種での大幅

な下降が目立った。

② 平成21年度上期見通し

平成21年度上期見通し ��� は全産業が△69

(平成20年度下期現況比△1ポイント)、製造業が△69

(同+5ポイント)、非製造業が△70(同△6ポイ

ント)となり、

製造業�非製造業とも引き続き厳しくみている

(表2、図2)。下降幅が大きな業種をみると、製

造業では「情報通信機器」△92(同△34ポイント)、「電

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表2 自企業の景気判断(上昇�下降)���

18年度下期実績※1

19年度上期実績※1

19年度下期実績※1

20年度上期実績※1

20年度下期現況※2

変化幅

21年度上期見通し

変化幅

全 産 業 △ 8 △16 △27 △37(△47) △68(△47) △31 △69 △1

製 造 業 △ 4 △ 8 △25 △35(△48) △74(△43) △39 △69 5

飲 食 料 品 △29 △30 △50 △53(△50) △79(△50) △26 △65 14

繊 維 � 繊 維 製 品 △ 5 △26 △38 △50(△67) △55(△57) △ 5 △65 △10

木 材 � 木 製 品 △20 △50 △63 △18(△50) △73(△63) △55 △55 18

紙 � 紙 加 工 品 9 25 △23 △15(△46) △92(△77) △77 △77 15

化 学 27 15 38 0(△23) △80( 0) △80 △67 13

窯 業 � 土 石 製 品 △19 △32 △47 △86(△74) △67(△37) 19 △71 △ 4

鉄鋼�非鉄金属製品 13 0 △27 △20(△33) △75(△27) △55 △60 15

一 般 機 械 8 33 25 △ 6(△25) △69(△42) △63 △56 13

電 気 機 械 0 △13 △25 △57(△25) △71(△38) △14 △86 △15

情 報 通 信 機 器 13 13 0 0(△58) △58(△42) △58 △92 △34

電子部品�デバイス 43 0 △22 △40(△78) △80(△22) △40 △70 10

輸 送 用 機 械 10 0 20 △13(△20) △100(△40) △87 △100 0

精 密 機 械 0 33 △20 △30( 0) △70(△20) △40 △60 10

そ の 他 製 造 業 △15 △10 △50 △43(△75) △79(△63) △36 △71 8

非 製 造 業 △12 △24 △30 △38(△47) △64(△51) △26 △70 △ 6

建 設 業 △28 △31 △37 △46(△51) △59(△49) △13 △69 △10

運 輸 業 △42 △14 △20 △33(△20) △80(△30) △47 △80 0

通 信 業 20 △25 29 △50(△29) △50(△43) 0 △75 △25

卸 � 小 売 業 △ 9 △22 △30 △30(△47) △65(△56) △35 △64 1

サ ー ビ ス 業 2 △20 △35 △58(△51) △55(△44) 3 △75 △20

そ の 他 非 製 造 業 △ 9 △33 △31 △18(△50) △82(△50) △64 △100 △18

※1:再調査した実績、( )内は前回調査の現況※2:( )内は前回調査の見通し

表3 自企業の景気判断(上昇�下降)���(県内�県外本社企業別)

県 内 本 社 企 業 県 外 本 社 企 業

平成20年度上期実績

平成20年度下期現況

変化幅

平成21年度上期見通し

変化幅

平成20年度上期実績

平成20年度下期現況

変化幅

平成21年度上期見通し

変化幅

全 産 業 △37 △67 △30 △69 △ 2 △35 △79 △44 △77 2製 造 業 △35 △72 △37 △67 5 △31 △82 △51 △74 8非製造業 △38 △64 △26 △69 △ 5 △75 △50 25 △100 △50

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

気機械」△86(同△15ポイント)、非製造業では「通信

業」△75(同△25ポイント)、「サービス業」△75(同

△20ポイント)となっている(表2)。

�2 本社所在地別

本社所在地別に平成20年度下期現況の自企業の

景気判断 ���をみると、全産業では、県内企業

が△67(平成20年度上期実績比△30ポイント)、県外企

業が△79(同△44ポイント)となり、県内�県外企業と

も大幅に悪化した(表3)。

また、平成21年度上期見通しの自企業の景気判

断 ��� については、全産業で県内企業が△69

(平成20年度下期現況比△2ポイント)、県外企業が△77

(同+2ポイント)となり、引き続き厳しい状況となっ

た(表3)。

�3 規 模 別

平成20年度下期現況の自企業の景気判断 ���

は、総じて資本金の規模が大きいほど下降幅が大

きかった。規模別にみると、「資本金10億円以上」

△81(平成20年度上期実績比△52ポイント)、「同1億円以

上10億円未満」△68(同△36ポイント)、「同5,000万円以

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表4 資本金別自企業 ���

企 業 数 20年度上期実績

20年度下期現況 変化幅 21年度上期

見通し 変化幅

全 体 447 △37 △68 △31 △69 △ 1

10億円以上 21 △29 △81 △52 △67 14

1億円以上10億円未満 69 △32 △68 △36 △75 △ 7

5,000万円以上1億円未満 81 △41 △84 △43 △77 7

1,000万円以上5,000万円未満 249 △37 △63 △26 △67 △ 4

1,000万円未満 27 △41 △63 △22 △59 4

図3 製造業の売上高 ���推移

 年度上期

18  年度下期

18  年度上期

19  年度下期

19  年度上期

20  年度下期

20  年度上期

21 △70

70

(増 加)

(減 少)

現況・実績BSI見通しBSI(下線)

△5

△4 △2

△9 △8 △11

△22

△68

△18

△33

△67

△8 △4

図4 製造業の収益 ���推移

 年度上期

18  年度下期

18  年度上期

19  年度下期

19  年度上期

20  年度下期

20  年度下期

21 △70

△15 △22

△28 △35

△65

△19

70

(増 加)

(減 少)

現況・実績BSI見通しBSI(下線)

△13 △15 △15

△31

△69

△42

△20

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

上1億円未満」△84(同△43ポイント)、「同1,000万円以

上5,000万円未満」△63(同△26ポイント)、「同1,000万

円未満」△63(同△22ポイント)となった(表4)。

平成21年度上期見通しの自企業の景気判断 ���

は、資本金の規模別でバラつきはあるが、総じて

横這いとなる厳しいものとなった(表4)。

2.製造業の経営

�1 平成20年度下期現況

① 受注高、生産高、売上高、在庫

受注高 ���は、△71(平成20年度上期実績比

△43ポイント)と大きく悪化した。大幅に下降した業種

は、「輸送用機械」△100(同△125ポイント)、「化学」

△87(同△120ポイント)、「紙�紙加工品」△92(同

△92ポイント)などである(表5)。

生産高 ���は、△67(同△43ポイント)と大きく悪

化し、全ての業種がマイナスとなった。中でも

「輸送用機械」△100(同△125ポイント)と「化学」△80

(同△100ポイント)は大幅に下降した(表5)。

売上高 ���は、△68(同△46ポイント)と大きく悪

化した。平成20年度上期実績比で大きく下降した

業種は、生産高が大幅に下降した「化学」△93

(同△140ポイント)や「輸送用機械」△100(同△125ポイント)

などである。全ての業種の売上高 ���値がマイ

ナスであり、多くの業種が△60を下回る低水準と

なった(表5、図3)。

在庫 ���は、+11(同+4ポイント)となり、全て

の ���値がプラスとなった。業種別にみると、

「輸送用機械」+13(同+26ポイント)、「鉄鋼�非鉄金

属製品」+15(同+20ポイント)、「情報通信機器」+25

(同+17ポイント)などの業種で大きく上昇した(表5)。

② 収益、製品価格、原材料価格

収益 ���は、△65(平成20年度上期実績比△30ポイント)と大きく悪化し、全ての業種がマイナスとなっ

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表5 製造業の実績�現況�見通し ���〔受注高(増�減)、生産高(増�減)、売上高(増�減)、在庫(過剰�不足)〕

受 注 高 生 産 高 売 上 高 在 庫

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

製 造 業 △28 △71 △43 △68 3 △24 △67 △43 △69 △ 2 △22 △68 △46 △67 1 7 11 4 7 △ 4飲 食 料 品 △41 △62 △21 △47 15 △41 △65 △24 △50 15 △38 △62 △24 △47 15 12 9 △ 3 9 0繊 維 � 繊 維 製 品 △50 △35 15 △60 △25 △45 △35 10 △55 △20 △55 △45 10 △60 △15 5 10 5 5 △ 5木 材 � 木 製 品 △18 △45 △27 △36 9 △ 9 △36 △27 △36 0 △ 9 △27 △18 △27 0 △ 9 0 9 0 0紙 � 紙 加 工 品 0 △92 △92 △77 15 △ 8 △85 △77 △92 △7 8 △92 △100 △92 0 23 15 △ 8 0 △15化 学 33 △87 △120 △47 40 20 △80 △100 △60 20 47 △93 △140 △47 46 0 13 13 0 △13窯 業 � 土 石 製 品 △67 △67 0 △86 △19 △76 △67 9 △91 △24 △67 △62 5 △86 △24 5 5 0 5 0鉄鋼�非鉄金属製品 △25 △70 △45 △65 5 △ 5 △65 △60 △60 5 △15 △60 △45 △55 5 △ 5 15 20 0 △15一 般 機 械 △ 6 △88 △82 △75 13 13 △69 △82 △69 0 13 △75 △88 △69 6 6 6 0 13 7電 気 機 械 △57 △86 △29 △71 15 △57 △71 △14 △71 0 △57 △71 △14 △71 0 29 14 △15 14 0情 報 通 信 機 器 △25 △67 △42 △100 △33 △17 △67 △50 △100 △33 △17 △67 △50 △100 △33 8 25 17 8 △17電子部品�デバイス △50 △80 △30 △80 0 △50 △80 △30 △80 0 △50 △80 △30 △80 0 0 10 10 0 △10輸 送 用 機 械 25 △100 △125 △100 0 25 △100 △125 △100 0 25 △100 △125 △100 0 △13 13 26 38 25精 密 機 械 △20 △70 △50 △60 10 △10 △70 △60 △60 10 △10 △70 △60 △60 10 30 10 △20 10 0そ の 他 製 造 業 △43 △86 △43 △86 0 △29 △79 △50 △86 △ 7 △36 △86 △50 △86 0 7 14 7 7 △ 7

表6 製造業の実績�現況�見通し ���〔収益(増�減)、製品価格(上昇�下降)、原材料価格(上昇�下降)〕

収 益 製 品 価 格 原 材 料 価 格

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

製 造 業 △35 △65 △30 △69 △ 4 3 △14 △17 △29 △15 61 12 △49 △18 △30飲 食 料 品 △26 △47 △21 △53 △ 6 32 12 △20 △ 9 △21 85 53 △32 3 △50繊 維 � 繊 維 製 品 △60 △35 25 △60 △25 △10 △30 △20 △20 10 60 △ 5 △65 △10 △ 5木 材 � 木 製 品 △27 △64 △37 △36 28 27 9 △18 △27 △36 64 36 △28 △27 △63紙 � 紙 加 工 品 △ 8 △92 △84 △85 7 31 69 38 8 △61 54 69 15 △15 △84化 学 △ 7 △67 △60 △53 14 40 △ 7 △47 △53 △46 67 △20 △87 △20 0窯 業 � 土 石 製 品 △91 △67 24 △86 △19 △14 5 19 0 △ 5 52 19 △33 19 0鉄鋼�非鉄金属製品 △25 △60 △35 △70 △10 △10 △30 △20 △40 △10 60 △10 △70 △35 △25一 般 機 械 13 △69 △82 △69 0 31 △25 △56 △50 △25 69 △13 △82 △63 △50電 気 機 械 △57 △71 △14 △71 0 △14 △43 △29 △57 △14 100 14 △86 △29 △43情 報 通 信 機 器 △33 △75 △42 △100 △25 △17 △42 △25 △33 9 42 △ 8 △50 △17 △ 9電子部品�デバイス △60 △80 △20 △80 0 △50 △60 △10 △50 10 10 0 △10 0 0輸 送 用 機 械 △13 △100 △87 △100 0 0 △38 △38 △38 0 63 38 △25 0 △38精 密 機 械 △30 △70 △40 △60 10 △30 △60 △30 △60 0 40 △10 △50 △20 △10そ の 他 製 造 業 △50 △79 △29 △79 0 △29 △29 0 △43 △14 50 △22 △72 △64 △42

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

た(表6)。企業の収益環境は、景気減速により

売上高が大きく減少し、厳しさを増している。大

幅に悪化した業種は、売上高 ���なども大きく

下降した「輸送用機械」△100(同△87ポイント)と

「紙�紙加工品」△92(同△84ポイント)などである。

製品価格 ���は、△14(同△17ポイント)と悪化した

(表6)。平成20年度上期実績比大きく下降したの

は「一般機械」△25(同△56ポイント)、「化学」△7

(同△47ポイント)などである。「一般機械」では、設備

投資マインド減退による需要減少などにより大き

く下降した。

原材料価格 ���は、+12(同△49ポイント)であり、

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表7 非製造業の実績�現況�見通し ���〔受注高(増�減)、生産高(増�減)、売上高(増�減)、在庫(過剰�不足)〕

受 注 高 売上(完成工事)高 在 庫

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

非 製 造 業 - - - - - △29 △57 △28 △62 △ 5 - - - - -建 設 業 △67 △49 18 △59 △10 △56 △46 10 △62 △16 - - - - -運 輸 業 - - - - - △33 △87 △54 △87 0 - - - - -通 信 業 - - - - - △50 △50 0 △50 0 - - - - -卸 � 小 売 業 - - - - - △ 9 △59 △50 △56 3 17 13 △ 4 3 △10サ ー ビ ス 業 - - - - - △55 △51 4 △64 △13 - - - - -そ の 他 非 製 造 業 - - - - - △27 △64 △37 △100 △36 - - - - -

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

「紙�紙加工品」以外の業種が全て下降した(表

6)。原材料価格 ���は下落したが製品価格 ���

も下落しており、また受注の大幅な減少による売

上低下もあって、収益環境の厳しさは続いている。

�2 平成21年度上期見通し

製造業の平成21年度上期見通し ���は、受注

高△68(平成20年度下期現況比+3ポイント)、生産高

△69(同△2ポイント)、売上高△67(同+1ポイ

ント)、在庫

+7(同△4ポイント)と引き続き厳しい結果となった

(表5)。

収益 ���は、△69(同△4ポイント)と更に悪化と

なった(表6、図4)。収益 ���が大きく下降す

る業種は、「繊維�繊維製品」△60(同△25ポイント)、

「情報通信機器」△100(同△25ポイント)などである。

一方、収益 ���が平成20年度下期現況比で上昇

する業種は、「木材�木製品」△36(同+28ポイント)

や「化学」△53(同+14ポイント)などである。平成20

年度下期現況の景況感が悪化していた「輸送用機

械」や「情報通信機器」などの業種では、収益

���を引き続き厳しくみている。

3.非製造業の経営

�1 平成20年度下期現況

売上高 ���は、△57(平成20年度上期実績比

△28ポイント)と大きく悪化した(表7、図5)。非製

造業の売上高 ���は、需要低迷の影響などから

悪化しており、全ての業種がマイナスとなった。

大幅に下降した業種をみると、「運輸業」△87

(同△54ポイント)、「卸�小売業」△59(同△50ポイント)な

どである。

収益 ���は△61(同△15ポイント)と悪化した(表

8、図6)。全ての業種で△50を下回るマイナス

にある。

商品(サービス)価格 ���は△14(同△29ポイント)と

大きく下降した(表8)。中でも「卸�小売業」は                      、

原材料価格の変動が影響し、平成20年度上期実績

の+41から△2(同△43ポイント)へ大きく下降した。

�2 平成21年度上期見通し

売上高(完成工事高)���は、△62(平成20年

度下期現況比△5ポイント)と更に悪化した(表7、図

5)。非製造業では、公共工事減少や消費低迷、

輸送量減少などによって、今後も厳しい状況が続

く見込みである。

収益 ���は、△66(同△5ポイント)と悪化し、全

ての業種において、引き続き収益環境は厳しく推

移する見込みである(表8、図6)。

商品(サービス)価格 ���は、△23(同△9ポイント)

と下降した(表8)。業種別にみると、「卸小売業」

△18(同△16ポイント)や「その他非製造業」△55(同

△19ポイント)では、雇用削減などにより個人消費が低

迷している影響で、マイナスでの推移となった。

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表8 非製造業の実績�現況�見通し ���〔収益(増�減)、商品価格(上昇�下降)、仕入価格(上昇�下降)〕

収 益 商品(サービス)価格 仕 入 価 格

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

平成20年度

上期実績

平成20年度

下期現況

平成21年度

上期見通し

非 製 造 業 △46 △61 △15 △66 △ 5 15 △14 △29 △23 △ 9 - - - - -建 設 業 △67 △64 3 △67 △ 3 △18 △28 △10 △31 △ 3 56 10 △46 △ 3 △13運 輸 業 △67 △87 △20 △87 0 7 △20 △27 △ 7 13 - - - - -通 信 業 △25 △50 △25 △50 0 25 25 0 25 0 - - - - -卸 � 小 売 業 △33 △61 △28 △61 0 41 △ 2 △43 △18 △16 59 18 △41 △ 8 △26サ ー ビ ス 業 △62 △51 11 △66 △15 △13 △32 △19 △30 2 - - - - -そ の 他 非 製 造 業 △18 △73 △55 △100 △27 △36 △36 0 △55 △19 - - - - -

図5 非製造業の売上高 ���推移

 年度上期

18  年度下期

18  年度下期

19  年度上期

19  年度下期

20  年度上期

21  年度上期

20 △70

70

(増 加)

(減 少)

現況・実績BSI見通しBSI(下線)

5 3

△4 △5

△25 △16

△57

△29

△15

△30

△62

△33

△2

図6 非製造業の収益 ���推移

 年度上期

18  年度下期

18  年度下期

19  年度上期

19  年度下期

20  年度上期

21  年度上期

20 △70

70

(増 加)

(減 少)

現況・実績BSI見通しBSI(下線)

△17 △20

△35 △36 △46

△61

△11 △14 △19 △13

△38 △50

△66

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

Ⅲ.設備投資動向

1.平成20年度下期現況

�1 設備投資実施企業

平成20年度下期に設備投資を実施した企業割合

は、34.0%(152社)となり、平成20年度上期の

40.9%(183社)から6.9ポイント減少した(図7、表9)。

資本金規模別の実施割合は、「資本金10億円以

上」(71.4%)、「同1億円以上10億円未満」(56.5

%)、「同5,000万円以上1億円未満」(34.6%)、

「同1,000万円以上5,000万円未満」(25.7%)、「同

1,000万円未満」(22.2%)と規模が大きいほど高

かった(表10)。

実施割合が高い業種は、製造業では「化学」

(66.7%)、非製造業では「運輸業」(53.3%)で

あるが、売上や受注などの大幅減少により投資環

境が悪化しており、実施割合は平成20年度上期実

績より下降した(表9)。

�2 設備投資金額

設備投資金額は、平成20年度上期実績比22億24

百万円増加し321億7百万円(平成20年度上期実

績比+7.4%)となった。製造業�非製造業別に

みると、製造業が同49億51百万円増加し263億28

百万円(同+23.2%)、非製造業が同27億27百万

円減少し57億79百万円(同△32.1%)となった

(図8、表11)。

設備投資金額は、「化学」が同28億9百万円増

加し88億29百万円(同+46.7%)と最も多かった。

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図7 設備投資実施割合

◎全 産 業 (447社)

○製 造 業 (211社)

○非製造業 (236社)

40.9(183社) 34.0(152社)

25.1(112社)

47.9(101社) 35.1(74社)

27.0(57社)

34.7(82社) 33.1(78社)

23.3(55社)

21年度上期 (設備投資実施見込み企業112社)

20年度上期 (設備投資実施企業183社) 20年度下期 (設備投資実施企業152社)

0 10 20 30 40 50 60%

表9 業種別設備投資実施割合 (単位:社、%)

20年度上期実績 20年度下期実績 21年度上期予定

実 施企 業 数 実施割合 実 施

企 業 数前 期 比増 減 数 実施割合 実 施

企 業 数前 期 比増 減 数 実施割合

全 産 業 183 40.9 152 △31 34.0 112 △40 25.1製 造 業 101 47.9 74 △27 35.1 57 △17 27.0飲 食 料 品 14 41.2 9 △ 5 26.5 13 4 38.2繊 維 � 繊 維 製 品 2 10.0 0 △ 2 0.0 1 1 5.0木 材 � 木 製 品 3 27.3 3 0 27.3 1 △ 2 9.1紙 � 紙 加 工 品 6 46.2 4 △ 2 30.8 3 △ 1 23.1化 学 13 86.7 10 △ 3 66.7 7 △ 3 46.7窯 業 � 土 石 製 品 5 23.8 5 0 23.8 4 △ 1 19.0鉄鋼�非鉄金属製品 12 60.0 9 △ 3 45.0 7 △ 2 35.0一 般 機 械 7 43.8 6 △ 1 37.5 4 △ 2 25.0電 気 機 械 4 57.1 3 △ 1 42.9 2 △ 1 28.6情 報 通 信 機 器 9 75.0 7 △ 2 58.3 4 △ 3 33.3電子部品�デバイス 7 70.0 4 △ 3 40.0 3 △ 1 30.0輸 送 用 機 械 6 75.0 4 △ 2 50.0 1 △ 3 12.5精 密 機 械 6 60.0 5 △ 1 50.0 5 0 50.0そ の 他 製 造 業 7 50.0 5 △ 2 35.7 2 △ 3 14.3

非 製 造 業 82 34.7 78 △ 4 33.1 55 △23 23.3建 設 業 4 10.3 11 7 28.2 0 △11 0.0運 輸 業 11 73.3 8 △ 3 53.3 6 △ 2 40.0通 信 業 1 25.0 1 0 25.0 1 0 25.0卸 � 小 売 業 36 30.0 34 △ 2 28.3 28 △ 6 23.3サ ー ビ ス 業 23 48.9 19 △ 4 40.4 17 △ 2 36.2そ の 他 非 製 造 業 7 63.6 5 △ 2 45.5 3 △ 2 27.3

図8 設備投資金額

0 50 100 150 200 250 300 350

321299

214

214263

142

855871

◎全 産 業 (447社)

○製 造 業 (211社)

○非製造業 (236社)

(億円)

20年度上期(設備投資実施企業183社) 20年度下期(設備投資実施企業152社) 21年度上期(設備投資実施見込み企業112社)

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

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表10 資本金別設備投資 (単位:社、%)

平成20年度上期 平成20年度下期 平成21年度上期

企業数実施企業数 実 施 割 合 実施�実施

予定企業数 実 施 割 合 実 施 予 定企 業 数 実 施 割 合

全 体 447 183 40.9 152 34.0 112 25.1

10億円以上 21 14 66.7 15 71.4 13 61.9

1億円以上10億円未満 69 44 63.8 39 56.5 36 52.2

5,000万円以上1億円未満 81 40 49.4 28 34.6 20 24.7

1,000万円以上5,000万円未満 249 79 31.7 64 25.7 38 15.3

1,000万円未満 27 6 22.2 6 22.2 5 18.5

図9 設備投資目的

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

設備の更新

増産・販促

新分野・新規事業

情 報 化

合理化・省力化

従業員福利厚生

そ の 他

68.363.2

25.1

20.819.119.6

14.211.812.5

12.013.813.4

3.83.95.4

13.117.1

12.5

19.719.6

78.6

20年度上期(設備投資実施企業183社) 20年度下期(設備投資実施見込み企業152社) 21年度上期(設備投資実施見込み企業112社)

(複数回答)

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

次いで「精密機械」が同34億91百万円増加し63億

45百万円(同+122.3%)であった。全般的に多

くの企業では、「設備の更新」の比率が高まってお

り、設備投資に対しては慎重な姿勢となっている。

2.平成21年度上期見通し

�1 設備投資計画

① 実施予定企業

平成21年度上期に設備投資実施予定の企業割合

は、平成20年度下期比8.9%減の25.1%(112社)

であり、設備投資への慎重姿勢が強まった(図7、

表9)。

資本金規模別の実施予定割合は、「資本金10億

円以上」(61.9%)、「同1億円以上10億円未満」

(52.2%)、「同5,000万円以上1億円未満」(24.7

%)、「同1,000万円以上5,000万円未満」(15.3%)、

「同1,000万円未満」(18.5%)となった。全階層

で設備投資割合が低下しており、特に県内企業の

大多数を占める資本金1億円未満規模の企業では、

厳しい収益環境を背景に大きく低下した(表10)。

実施予定割合が高い業種は、製造業では「精密

機械」50.0%、「化学」46.7%、非製造業では

「運輸業」40.0%などである(表9)。設備投資に

ついては、「先行き見通しが立たず延期する」や

「必要最小限にする」といった回答が目立つなど、

総じて慎重な姿勢がみられた。

② 設備投資金額

設備投資予定金額は、全産業で平成20年度下期

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表11 業種別設備投資金額 (単位:百万円、%)

20年度上期実績 20年度下期実績 21年度上期予定

投 資 額 投 資 額 前期比増加額 前期比増減率 投 資 額 前期比増加額 前期比増減率

全 産 業 29,883 32,107 2,224 7.4 21,354 △10,753 △33.5

製 造 業 21,377 26,328 4,951 23.2 14,223 △12,105 △46.0

飲 食 料 品 369 2,129 1,760 477.0 1,023 △1,106 △51.9

繊 維 � 繊 維 製 品 8 0 △8 △100.0 5 5 100.0

木 材 � 木 製 品 158 121 △37 △23.4 103 △18 △14.9

紙 � 紙 加 工 品 1,691 1,740 49 2.9 475 △1,265 △72.7

化 学 6,020 8,829 2,809 46.7 5,097 △3,732 △42.3

窯 業 � 土 石 製 品 1,869 446 △1,423 △76.1 2,164 1,718 385.2

鉄鋼�非鉄金属製品 2,338 2,190 △148 △6.3 1,661 △529 △24.2

一 般 機 械 474 450 △24 △5.1 203 △247 △54.9

電 気 機 械 174 443 269 154.6 459 16 3.6

情 報 通 信 機 械 733 349 △384 △52.4 319 △30 △8.6

電子部品�デバイス 3,131 1,901 △1,230 △39.3 1,170 △731 △38.5

輸 送 用 機 械 1,270 1,259 △11 △0.9 230 △1,029 △81.7

精 密 機 械 2,854 6,345 3,491 122.3 1,294 △5,051 △79.6

そ の 他 製 造 業 288 127 △161 △55.9 20 △107 △84.3

非 製 造 業 8,506 5,779 △2,727 △32.1 7,131 1,352 23.4

建 設 業 128 497 369 288.3 0 △497 △100.0

運 輸 業 1,611 212 △1,399 △86.8 224 12 5.7

通 信 業 1 1 0 0.0 2 1 100.0

卸 � 小 売 業 4,340 3,072 △1,268 △29.2 3,907 835 27.2

サ ー ビ ス 業 2,220 1,721 △499 △22.5 1,875 154 8.9

そ の 他 非 製 造 業 207 277 70 33.8 1,123 846 305.4

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

比107億53百万円減少し、213億54百万円(平成20

年度下期比△33.5%)となった。製造業�非製造

業別でみると、製造業が同121億5百万円減少し

142億23百万円(同△46.0%)、非製造業が同13億

52百万円増加し71億31百万円(同+23.4%)となっ

た(表11)。

設備投資予定金額をみると、平成20年度下期に

金額が大きかった「精密機械」と「化学」での投

資金額が減少することに加えて、全般的に多くの

企業が投資抑制することにより減少した。

�2 設備投資目的と資金調達方法

設備投資の目的(複数回答)は、「設備の更新」

78.6%、「増産�販促」19.6%、「合理化�省力化」

19.6%などの順となった(図9)。

設備資金の資金調達方法(複数回答)は、「内

部資金(減価償却費+留保利益)」65.2%、「金融

機関からの借入」47.3%、「リース」25.0%、「親

会社�関連会社からの借入」12.5%などの順となっ

た(図10)。製造業と非製造業を比べると、製造

業では「親会社�関連会社からの借入」、非製造

業では「金融機関からの借入」と「リース」の割

合がやや高かった。

�3 設備投資を実施しない理由

設備投資未実施企業における実施しない理由

(複数回答)は、「受注、売上の見通しが立たない」

が52.8%と最も多かった。以下「利益の見通しが

立たない」49.3%、「設備投資が一巡した」37.6

%などの順となった(表12)。

製造業と非製造業別にみると、「受注、売上の

見通しが立たない」が製造業63.0%、非製造業

44.2%、「利益の見通しが立たない」が製造業

54.5%、非製造業44.8%となっており、受注高の

減少や収益環境の悪化などによって、製造業での

設備投資に対する慎重な姿勢が強くみられる。

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図10 21年度上期に設備投資を実施予定している企業の資金調達方法

0 10 20 30 40 50 60 70 80%

内部資金         (減価償却費+留保利益)

金融機関からの借入

リース

親会社・関連会社からの借入

所有資産の売却

その他

増資・社債の発行

全 体 (112社) 製造業 (57社) 非製造業 (55社)

65.266.7

63.6

47.340.4

54.5

25.017.5

32.7

12.517.5

7.3

3.60.0

7.3

2.71.83.6

0.07.0

3.6

(複数回答)

表12 21年度上期に設備投資をしない理由(設備投資を実施しない企業335社) (複数回答、単位:%)

回 答企業数

受注、売上の見通しが立たない

利益の見通しが立たない

設備投資が一巡した

資金調達が困難である

取引先が生産拠点を海外移転した

そ の 他

全 産 業 335 52.8 49.3 37.6 16.1 1.2 6.0製 造 業 154 63.0 54.5 29.2 22.7 2.6 5.8非 製 造 業 181 44.2 44.8 44.8 10.5 0.0 6.1建 設 業 39 61.5 61.5 33.3 5.1 0.0 2.6運 輸 業 9 44.4 44.4 44.4 0.0 0.0 0.0通 信 業 3 0.0 33.3 66.7 0.0 0.0 0.0卸 � 小 売 業 92 42.4 40.2 46.7 14.1 0.0 6.5サ ー ビ ス 業 30 40.0 40.0 46.7 13.3 0.0 13.3その他非製造業 8 12.5 37.5 62.5 0.0 0.0 0.0

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

Ⅳ.資金需要(設備資金を除く)

設備資金を除く資金需要は、「運転資金」が177

億67百万円で最も多かった。以下「既借入金返済

資金」47億70百万円などの順となった(表13)。

合計額を業種別にみると、「卸�小売業」や「建

設業」など非製造業での資金需要が多い。

資金調達方法については、「金融機関からの借入」

が76.3%で最も多かった。以下「内部資金(減価

償却費+留保利益)」36.7%、「親会社�関連会社

からの借入」10.7%などの順となった(図11)。

Ⅴ.雇用動向

1.雇用の過不足感

雇用の過不足に関する ���(過剰-不足)は、全

産業が+23(平成20年7月調査比+22ポイント)、製造業

が+34(同+31ポイント)、非製造業が+12(同+12ポイント)

となり、ほとんどの業種において急激な生産減少

などにより過剰感が高くなってきた(表14)。「輸

送用機械」+100(同+70ポイント)と「精密機械」+100

(同+110ポイント)では、全ての企業が「過剰」と回答

した。他に過剰感を強く感じている業種は、製造

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図11 資金需要(設備資金を除く)のある企業の資金調達方法

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90%

内部資金         (減価償却費+留保利益)

金融機関からの借入

所有資産の売却

親会社・関連会社からの借入

そ の 他

増資・社債の発行

全 体 (169社) 製造業 (75社) 非製造業 (94社)

76.374.777.7

36.7 32.0

40.4

10.7 10.7 10.6

5.3 5.3 5.3

1.81.32.1

2.4 2.7 2.1

(複数回答)

表13 資金需要(設備資金を除く) (単位:百万円)

運 転 資 金 新 規 事 業資 金

既 借 入 金返 済 資 金

他行借入金返 済 資 金 そ の 他 合 計

全 産 業 17,767 2,124 4,770 2,593 194 27,448

製 造 業 9,100 1,208 1,461 1,268 50 13,087

飲 食 料 品 540 45 237 143 50 1,015

繊 維 � 繊 維 製 品 375 0 38 94 0 507

木 材 � 木 製 品 110 73 25 20 0 228

紙 � 紙 加 工 品 110 1,000 10 20 0 1,140

化 学 420 0 271 1 0 692

窯 業 � 土 石 製 品 695 0 80 700 0 1,475

鉄鋼�非鉄金属製品 450 70 0 60 0 580

一 般 機 械 280 20 740 230 0 1,270

電 気 機 械 830 0 0 0 0 830

情 報 通 信 機 械 1,300 0 0 0 0 1,300

電子部品�デバイス 2,200 0 0 0 0 2,200

輸 送 用 機 械 1,400 0 60 0 0 1,460

精 密 機 械 50 0 0 0 0 50

そ の 他 製 造 業 340 0 0 0 0 340

非 製 造 業 8,667 916 3,309 1,325 144 14,361

建 設 業 3,160 300 255 72 0 3,787

運 輸 業 460 0 5 603 64 1,132

通 信 業 10 0 0 0 0 10

卸 � 小 売 業 4,082 406 2,055 175 80 6,798

サ ー ビ ス 業 555 210 385 430 0 1,580

そ の 他 非 製 造 業 400 0 609 45 0 1,054

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

業では「電子部品�デバイス」+80(同+69ポイント)

など、非製造業では「建設業」+21(同+18ポイント)

などであった。一方、「サービス業」は△2(同

+14ポイント)とやや不足感が残っている。

2.雇用人員

平成21年4月時点の雇用総数増減見通し ���

は、全産業で△5(平成20年7月調査時点比

△16ポイント)となった。製造業�非製造業別にみると、

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表14 雇用の過不足 ���

全 体

20年7月 20年12月 前 回 比

全 産 業 1 23 22

製 造 業 3 34 31

飲 食 料 品 16 6 △10

繊 維 � 繊 維 製 品 10 25 15

木 材 � 木 製 品 0 18 18

紙 � 紙 加 工 品 △15 23 38

化 学 △15 27 42

窯 業 � 土 石 製 品 △21 10 31

鉄鋼�非鉄金属製品 7 40 33

一 般 機 械 0 25 25

電 気 機 械 13 43 30

情 報 通 信 機 器 0 58 58

電子部品�デバイス 11 80 69

輸 送 用 機 械 30 100 70

精 密 機 械 △10 100 110

そ の 他 製 造 業 6 43 37

非 製 造 業 0 12 12

建 設 業 3 21 18

運 輸 業 △10 7 17

通 信 業 △29 0 29

卸 � 小 売 業 8 17 9

サ ー ビ ス 業 △16 △ 2 14

そ の 他 非 製 造 業 6 9 3

表15 平成21年4月見込みの雇用人数 ���〔前年同時期比較(増�減)〕

総 人 員 正 社 員 パ ー ト 等

20年7月調 査 時

20年12月調 査 時 前 回 比 20年7月

調 査 時20年12月調 査 時 前 回 比 20年7月

調 査 時20年12月調 査 時 前 回 比

全 産 業 11 △ 5 △16 9 0 △ 9 7 △13 △20

製 造 業 13 △12 △25 12 △ 3 △15 3 △21 △24

非製造業 10 2 △ 8 6 4 △ 2 10 △ 5 △15

※平成20年4月と比較した平成21年4月の雇用人数(増�減)���

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

製造業は正社員△3(同△15ポイント)、パート等△21

(同△24ポイント)、非製造業では、正社員+4(同△2ポイント)、パート等△5(同△15ポイント)となった(表15)。

製造業�非製造業とも雇用抑制傾向にあり、特に

製造業の非正規社員であるパート等において、そ

の動きがみられる。

また、平成21年春の新規採用予定企業は、188

社(平成20年春225社)である(表16)。採用人数

は、全産業で1,581人(平成20年比△9.6%)、う

ち「製造業」571人(同△13.6%)、「非製造業」

1,010人(同△7.1%)となった(表16)。全産業

での採用企業数と採用人数は、雇用環境の悪化か

ら平成20年春よりも減少見込みである。

Ⅵ.企業の抱える経営上の問題点

経営上の問題点(複数回答)は、「国内販売

(需要)の低迷」が81.1%で最も多かった。以下

「国内企業との競争激化」37.4%、「販売価格の低

下」36.0%などの順となり、前回(平成20年7月)

調査で約8割に達し最も多かった「原油�原材料

価格の上昇」は31.4%に留まった(図12、表17)。

製造業�非製造業とも「国内販売(需要)の低

迷」が高い割合を占めており、共通の大きな問題

点となっている。非製造業では、「国内企業との

競争激化」と「販売価格の低下」が製造業の20%

台に対し40%台と高い。円高の影響を受けて「為

替相場の急激な変動」は「情報通信機器」と「電

子部品�デバイス」が高かった。

Ⅶ.賃 金

平成21年春の賃上げ動向は、全産業で「引き上

げる予定」18.3%、「変更しない」61.6%、「引き

下げる予定」7.9%という結果となった。厳しい

収益環境を反映して、「変更しない」、「引き下げ

る予定」、「未定�その他」で約8割を占めた(表

18)。資本金規模別にみると、県内企業の大半を

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表16 新規採用計画 (単位:人、%)

20年春採用実施企業数

20年春採用人 員 実 績

21 年春採用見込み企業数

21年春採用人員見込み

採 用 人 員前年比増減率

採用企業数前年比増減率

全 産 業 225 1,748 188 1,581 △ 9.6 △16.4

製 造 業 110 661 91 571 △13.6 △17.3

飲 食 料 品 14 74 11 70 △ 5.4 △21.4

繊 維 � 繊 維 製 品 6 16 4 15 △ 6.3 △33.3

木 材 � 木 製 品 4 16 2 4 △75.0 △50.0

紙 � 紙 加 工 品 5 14 6 14 0.0 20.0

化 学 11 96 10 107 11.5 △ 9.1

窯 業 � 土 石 製 品 5 11 5 13 18.2 0.0

鉄鋼�非鉄金属製品 14 90 13 77 △14.4 △ 7.1

一 般 機 械 11 70 7 47 △32.9 △36.4

電 気 機 械 3 6 3 13 116.7 0.0

情 報 通 信 機 械 10 59 9 47 △20.3 △10.0

電子部品�デバイス 5 56 4 30 △46.4 △20.0

輸 送 用 機 械 6 20 3 20 0.0 △50.0

精 密 機 械 9 112 6 92 △17.9 △33.3

そ の 他 製 造 業 7 21 8 22 4.8 14.3

非 製 造 業 115 1,087 97 1,010 △ 7.1 △15.7

建 設 業 16 33 13 31 △ 6.1 △18.8

運 輸 業 7 29 2 11 △62.1 △71.4

通 信 業 4 9 4 15 66.7 0.0

卸 � 小 売 業 55 737 45 647 △12.2 △18.2

サ ー ビ ス 業 31 276 27 298 8.0 △12.9

そ の 他 非 製 造 業 2 3 6 8 166.7 200.0

図12 企業が抱える経営上の問題

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90%

国内販売(需要)の低迷

国内企業との競争激化

在庫の過剰

人員過剰

為替相場の急激な変動

原油・原材料価格の上昇

人件費の負担増加

設備の老朽化 

人材不足

輸入品との競合

資金繰り難

販売価格の低下

81.1

25.148.3

41.8

31.435.3

28.0

20.721.7

19.8

20.724.2

17.7

20.0

18.7

12.1

9.1

5.010.1

0.4

11.66.9

17.47.3

10.014.5

6.0

15.022.0

21.718.5

36.029.5

37.4

81.680.6

全産業 (439社) 製造業 (207社) 非製造業 (232社)

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

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表17 企業が抱える経営上の問題点 (複数回答、単位:%)

回答企業数

国内販売

(需要)の

低迷国内企業と

の競争激化

販売価格

の低下

原油

原材

料価格の

上昇人件費の

負担増加

資金繰り難

人材不足

人員過剰

為替相場の

急激な変動

在庫の過剰

輸入品との

競合

全 産 業 439 81.1 37.4 36.0 31.4 20.7 20.7 20.0 18.7 12.1 10.0 9.1 5.0製 造 業 207 81.6 25.1 29.5 35.3 21.7 24.2 21.7 15.0 17.4 14.5 11.6 10.1飲 食 料 品 34 70.6 29.4 17.6 55.9 8.8 23.5 23.5 14.7 8.8 8.8 2.9 0.0繊維�繊維製品 20 90.0 5.0 25.0 30.0 20.0 35.0 15.0 15.0 0.0 20.0 20.0 35.0木 材�木 製 品 11 72.7 27.3 27.3 27.3 27.3 36.4 9.1 9.1 0.0 0.0 9.1 9.1紙�紙 加 工 品 13 84.6 15.4 23.1 69.2 23.1 7.7 0.0 15.4 0.0 15.4 15.4 0.0化 学 15 66.7 13.3 13.3 33.3 13.3 6.7 33.3 0.0 13.3 26.7 26.7 40.0窯業�土石製品 21 85.7 33.3 23.8 38.1 28.6 38.1 47.6 9.5 9.5 9.5 9.5 4.8鉄鋼�非鉄金属製品 19 78.9 26.3 52.6 36.8 26.3 10.5 42.1 21.1 21.1 15.8 10.5 0.0一 般 機 械 14 92.9 28.6 28.6 14.3 14.3 42.9 7.1 21.4 7.1 14.3 7.1 7.1電 気 機 械 7 85.7 28.6 42.9 14.3 0.0 14.3 0.0 14.3 14.3 0.0 28.6 0.0情 報通信機器 12 75.0 25.0 25.0 25.0 25.0 33.3 16.7 16.7 25.0 41.7 8.3 8.3電子部品�デバイス 10 90.0 40.0 50.0 10.0 20.0 20.0 20.0 0.0 50.0 40.0 0.0 10.0輸 送 用 機 械 8 100.0 12.5 25.0 25.0 75.0 37.5 37.5 12.5 87.5 0.0 12.5 0.0精 密 機 械 10 90.0 30.0 30.0 10.0 30.0 0.0 0.0 40.0 40.0 10.0 20.0 10.0そ の他製造業 13 84.6 38.5 53.8 46.2 23.1 23.1 15.4 23.1 30.8 0.0 7.7 15.4非 製 造 業 232 80.6 48.3 41.8 28.0 19.8 17.7 18.5 22.0 7.3 6.0 6.9 0.4建 設 業 38 84.2 68.4 55.3 26.3 18.4 7.9 10.5 10.5 7.9 0.0 5.3 0.0運 輸 業 15 66.7 33.3 13.3 33.3 20.0 33.3 33.3 33.3 13.3 0.0 0.0 0.0通 信 業 3 66.7 33.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 33.3 0.0 0.0 0.0 0.0卸 � 小 売 業 119 86.6 44.5 43.7 33.6 19.3 17.6 16.8 16.8 7.6 9.2 9.2 0.8サ ー ビ ス 業 46 71.7 47.8 37.0 19.6 26.1 23.9 28.3 39.1 6.5 6.5 2.2 0.0その他非製造業 11 63.6 45.5 45.5 9.1 9.1 9.1 9.1 27.3 0.0 0.0 18.2 0.0

表18 平成21年春の賃金について (単位:%)

引き上げる

変更しない

引き下げる

他全 産 業 18.3 61.6 7.9 12.2製 造 業 20.1 59.3 9.1 11.5飲 食 料 品 23.5 56.0 2.9 17.6繊 維 � 繊 維 製 品 21.1 63.1 15.8 0.0木 材 � 木 製 品 9.1 81.8 9.1 0.0紙 � 紙 加 工 品 23.1 61.5 7.7 7.7化 学 20.0 46.6 6.7 26.7窯 業 � 土 石 製 品 23.8 61.9 9.5 4.8鉄鋼�非鉄金属製品 26.3 52.6 15.8 5.3一 般 機 械 6.3 81.1 6.3 6.3電 気 機 械 28.6 57.1 0.0 14.3情 報 通 信 機 器 33.3 50.1 8.3 8.3電子部品�デバイス 0.0 60.0 10.0 30.0輸 送 用 機 械 0.0 75.0 12.5 12.5精 密 機 械 40.0 30.0 20.0 10.0そ の 他 製 造 業 14.3 57.2 7.1 21.4

非 製 造 業 16.7 63.7 6.8 12.8建 設 業 7.9 76.3 7.9 7.9運 輸 業 13.3 66.7 6.7 13.3通 信 業 25.0 50.0 0.0 25.0卸 � 小 売 業 16.8 62.2 5.9 15.1サ ー ビ ス 業 21.3 61.7 6.4 10.6そ の 他 非 製 造 業 27.3 45.4 18.2 9.1

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

占める資本金1億円未満規模の企業においては、

「変更しない」、「引き下げる予定」、「未定�その

他」で8割を超えており、賃上げを実施する企業

は少ない見込みである(表19)。

Ⅷ.原材料(原油を含む)価格

1.価格変動の影響

原材料(原油を含む)価格が急激に変動してい

る影響の有無については、全産業で「大きな影響

がある」が54.8%、「多少影響がある」が36.9%

と合計91.7%となった(図13、表20)。業種別に

みると、「大きな影響がある」は、製造業では

「紙�紙加工品」84.6%、「窯業�土石製品」81.0

%、「飲食料品」76.5%など、非製造業では「運

輸業」92.3%などで高い割合であった(表20)。

「影響がある」と回答した企業(全体の91.7%)

の具体的な影響内容(複数回答)については、全

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表20 原材料(原油を含む)価格の急激な変動の影響

(単位:%)

回答企業数

大きな影響

がある

多少影響が

ある

影響はない

全 産 業 444 54.8 36.9 8.3

製 造 業 210 54.3 38.1 7.6

飲 食 料 品 34 76.5 23.5 0.0

繊 維 � 繊 維 製 品 19 26.3 63.2 10.5

木 材 � 木 製 品 11 45.4 45.5 9.1

紙 � 紙 加 工 品 13 84.6 15.4 0.0

化 学 15 60.0 33.3 6.7

窯 業 � 土 石 製 品 21 81.0 19.0 0.0

鉄鋼�非鉄金属製品 20 60.0 40.0 0.0

一 般 機 械 16 37.5 56.2 6.3

電 気 機 械 7 57.1 42.9 0.0

情 報 通 信 機 器 12 33.3 50.0 16.7

電子部品�デバイス 10 20.0 40.0 40.0

輸 送 用 機 械 8 50.0 37.5 12.5

精 密 機 械 10 30.0 50.0 20.0

そ の 他 製 造 業 14 42.8 42.9 14.3

非 製 造 業 234 55.1 35.9 9.0

建 設 業 39 51.2 46.2 2.6

運 輸 業 13 92.3 7.7 0.0

通 信 業 4 25.0 0.0 75.0

卸 � 小 売 業 120 59.2 35.0 5.8

サ ー ビ ス 業 47 51.0 36.2 12.8

そ の 他 非 製 造 業 11 9.1 54.5 36.4

表19 平成21年春の賃金について(資本金別) (単位:%)

引き上げる予定 変更しない 引き下げる予定 未定�その他

全 体 18.3 61.6 7.9 12.2

10億円以上 30.0 25.0 10.0 35.0

1億円以上10億円未満 33.8 41.2 4.4 20.6

5,000万円以上1億円未満 14.8 55.6 7.4 22.2

1,000万円以上5,000万円未満 13.8 72.0 8.5 5.7

1,000万円未満 22.2 63.0 11.1 3.7

表21 原材料(原油を含む)価格高騰の具体的な影響

(複数回答、単位:%)

回答企業数

仕入

製造

コストが

上昇した

収益が悪化

した

売上高が

減少した

仕入

製造

コストが

下降した

良化した

全 産 業 406 79.3 55.7 20.7 3.4 1.2 2.5

製 造 業 194 87.6 54.1 12.9 3.1 2.1 0.5

飲 食 料 品 34 94.1 50.0 17.6 0.0 2.9 0.0

繊 維 � 繊 維 製 品 17 82.4 52.9 11.8 0.0 0.0 0.0

木 材 � 木 製 品 10 100.0 30.0 0.0 0.0 0.0 0.0

紙 � 紙 加 工 品 13 92.3 53.8 15.4 7.7 0.0 0.0

化 学 14 71.4 50.0 7.1 21.4 7.1 7.1

窯 業 � 土 石 製 品 21 95.2 71.4 19.0 0.0 0.0 0.0

鉄鋼�非鉄金属製品 20 85.0 60.0 20.0 0.0 5.0 0.0

一 般 機 械 15 80.0 53.3 0.0 0.0 0.0 0.0

電 気 機 械 7 100.0 28.6 0.0 0.0 0.0 0.0

情 報 通 信 機 器 10 50.0 60.0 20.0 10.0 0.0 0.0

電子部品�デバイス 6 83.3 66.7 16.7 16.7 0.0 0.0

輸 送 用 機 械 7 100.0 57.1 28.6 0.0 14.3 0.0

精 密 機 械 8 100.0 25.0 0.0 0.0 0.0 0.0

そ の 他 製 造 業 12 91.7 75.0 8.3 0.0 0.0 0.0

非 製 造 業 212 71.7 57.1 27.8 3.8 0.5 4.2

建 設 業 38 94.7 63.2 7.9 2.6 0.0 0.0

運 輸 業 13 69.2 84.6 15.4 0.0 0.0 0.0

通 信 業 1 100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

卸 � 小 売 業 112 70.5 48.2 34.8 6.3 0.9 6.3

サ ー ビ ス 業 41 61.0 63.4 31.7 0.0 0.0 4.9

そ の 他 非 製 造 業 7 28.6 85.7 28.6 0.0 0.0 0.0

�� ■ 福島の進路 2009.4

調 査

産業で「仕入れ�製造コストが上昇した」が79.3

%と最も多かった。以下「収益が悪化した」55.7

%、「売上高が減少した」20.7%などの順となっ

た(表21)。「収益が悪化した」は、製造業、非製

造業とも5割を超え、「運輸業」と「その他非製

造業」では8割に達した。

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図13 原材料(原油を含む)価格の急激な変動の影響

大きな影響がある (243社) 54.8%

影響はない (37社)8.3%

多少影響がある (164社) 36.9%

表23 製品(商品)価格転嫁実施状況(資本金別) (単位:%)

価格転嫁した 価格転嫁していない

全 体 44.4 55.6

10億円以上 37.5 62.5

1億円以上10億円未満 46.2 53.8

5,000万円以上1億円未満 37.0 63.0

1,000万円以上5,000万円未満 47.3 52.7

1,000万円未満 35.7 64.3

表22 製品(商品)価格転嫁実施状況 (単位:%)

価格転嫁した価 格 転 嫁していない

全 産 業 44.4 55.6

製 造 業 43.5 56.5

飲 食 料 品 46.9 53.1

繊 維 � 繊 維 製 品 28.6 71.4

木 材 � 木 製 品 20.0 80.0

紙 � 紙 加 工 品 91.7 8.3

化 学 60.0 40.0

窯 業 � 土 石 製 品 40.0 60.0

鉄鋼�非鉄金属製品 47.1 52.9

一 般 機 械 33.3 66.7

電 気 機 械 57.1 42.9

情 報 通 信 機 器 0.0 100.0

電子部品�デバイス 20.0 80.0

輸 送 用 機 械 57.1 42.9

精 密 機 械 37.5 62.5

そ の 他 製 造 業 36.4 63.6

非 製 造 業 45.4 54.6

建 設 業 22.2 77.8

運 輸 業 44.4 55.6

通 信 業 0.0 100.0

卸 � 小 売 業 68.4 31.6

サ ー ビ ス 業 8.0 92.0

そ の 他 非 製 造 業 50.0 50.0

��福島の進路 2009.4 ■

調 査

2.製品(商品)価格への転嫁状況

「仕入�製造コストが上昇した」と回答した企

業の製品(商品)価格への転嫁状況については、

「価格転嫁した」が44.4%、「価格転嫁していない」

が55.6%となり、価格転嫁していない企業が多

かった(表22)。業種別にみると、「価格転嫁して

いない」割合が高いのは、製造業では「情報通信

機械」100.0%、「木材�木製品」80.0%、「電子

部品�デバイス」80.0%などであり、非製造業で

は「通信業」100.0%、「サービス業」92.0%など

であった。

資本金別にみると、「価格転嫁していない」と

の回答は、「資本金10億円以上」62.5%、「同1億

円以上10億円未満」53.8%、「同5,000万円以上1

億円未満」63.0%、「同1,000万円以上5,000万円

未満」52.7%、「同1,000万円未満」64.3%であり、

資本金規模の大小にかかわらず、価格転嫁が充分

に行われていない結果となった(表23)。

(担当 高橋)

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講演どうなる?これからの日本経済

■ 高木 勝(たかぎ まさる)

経済評論家明治大学政治経済学部教授

�� ■ 福島の進路 2009.4

講 演

実感がなかった景気回復

ただ今ご紹介いただきました明治大学の高木で

す。これから、日本経済について私の思うところ

を申し上げていきたいと思います。最近の経済情

勢は本当に一寸先は闇という極めて不透明な状況

と言えます。昨日(2月24日)の東証株価指数は

25年振りの低水準。日経平均も、一時的にせよ

7,086円とバブル崩壊後の最安値です。アメリカ

では、シティコープ自体が国有化されるのではと

の話も有力になっています。���は既に莫大な

政府の資金を使いましたが、この10~12月期も

600億ドルの赤字になっています。わずか3ヵ月

で600億ドルですから、本当に何が起こるか分か

らない状況です。

今後を展望するには、これまでを概観すること

が極めて重要であり、簡単に振り返りたいと思い

ます。

既に景気は後退局面にありますが、ちょっと前

までは景気は回復期でした。整理しますと、2002

年2月から景気の回復が始まりました。先般、政

府が2007年10月を景気のピークと公式に認定しま

した。私はずっと前から2007年10月がピークだと

テレビなどで言っており、書物や原稿にも書いて

きました。たまたまとは思いますが、ぴたり当た

りました。2002年2月から2007年10月まで、ちょ

うど69ヵ月の景気回復になります。今回の景気回

復を含めて、戦後13回の景気回復があり、今回は

まだ命名されていませんが、私は「リストラ景気」

と呼ばせていただきたいと思います。

この「リストラ景気」は戦後最長の69ヵ月とな

りました。2番目は、1965年11月から1970年7月

まで57ヵ月の「いざなぎ景気」です。今回が最長

となったのは大変喜ばしいのですが、一方ではい

ろいろ問題を残したまま、景気後退になってしま

いました。

問題点の第1は、非常に回復力が脆弱だったこ

とです。本当に景気が回復しているのか、全然実

感がないまま景気回復は終了してしまいました。

成長率でみると、年平均成長率は実質2.1%の

プラス成長ですが、「いざなぎ景気」は11.8%で

す。成長率の格差では6分の1くらいです。従っ

て、最長でも勢いが出ない景気回復だったと思い

ます。

2番目の問題点は、デフレ経済下の景気回復

だったことです。デフレからなかなか抜け切れま

せんでした。名目値がどんどん上がれば手応えが

あるのでしょうが、物価が連続的に下落する状態

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��福島の進路 2009.4 ■

講 演

がずっと続きました。景気が良くなったと我々が

実感できるのは賃金の上昇です。企業で言えば売

上高や利益です。給料、ボーナスは全部名目です

からその名目値が上がらない限り「回復と言うけ

れども、どこにその証拠があるんだ」となってし

まうわけです。

3番目の特色は、なかなかプラスが個人部門、

家計部門に及ばなかったことです。今回の景気回

復は、確かに大企業、製造業を中心に大変な利益

が上がりました。上場企業ベースで申し上げると、

2008年3月決算の段階では6期連続の経常増益で

す。それから5期連続で過去最高益を更新したの

ですが、これがなかなか個人(従業員)の賃金

アップにつながりませんでした。もうけは内部留

保の増大、役員報酬の引き上げ、復配や増配にな

りました。国税庁によると、民間の平均給与総額

は9年連続で下がっています。当時は、「今は我

慢の時期だ、必ずやいいときが来る」と期待して

いました。しかし、結局は個人にまでプラスが及

ぶ前に、既に景気は悪化してしまい、この春闘で

は賃下げになる可能性さえあります。これを統計

的に見ると、総付加価値に占める人件費の比率は、

景気回復期もずっと右肩下がりです。それは当然

で、賃金が上がっていない一方で、会社はもうけ

ていますから、付加価値は上がっています。従っ

て比率は下がる一方なのです。だから個人�従業

員からみると景況感がなかったのです。

もう1点は格差の拡大です。個人間の所得格差

は広がる一方です。また、企業規模で見ても、先

ほど言ったように大企業は良かったのですが、中

小�零細企業の景況感が良くなりませんでした。

そして、格差がついたまま、景気回復時期が終

わってしまいました。今、貯蓄ゼロの世帯が二十

数パーセントくらいあります。5世帯に1世帯は

貯蓄ゼロです。その日暮らしをしています。雇用

がおかしくなれば、一発で生活できなくなります。

生活保護を受けている世帯も100万人を大きく超

えています。

それから地域間格差です。今まで中京地域は絶

好調でした。特に万博の時などは「さすが、名古

屋は絶好調だな」と思いました。しかし、その一

方で北海道や沖縄、九州、四国、中部、中国の日

本海側は総じてさえず、格差の拡大は広がる一方

でした。しかし、今、中京地域は急落です。百貨

店の売り上げ一つ見ても中京地域は急激に悪化し

ています。従って、ある意味で格差は是正された

のですが、本来の姿は、全体が上がるなかで、低

レベルだった地域も急速に勢いを盛り返し、逆に

最高の状況にある地域の勢いが少しおさまる前向

きな格差是正なのです。しかし、今回はそうでは

ないのです。良いところが落ちて、その他の地域

との差がちょっと縮まった後ろ向きの是正になっ

ています。

こういった特色を持ったまま、今回の「リスト

ラ景気」は終わりました。景気のピークや底は考

えているよりも意外と早く来ます。われわれは、

良ければいつまでも良い、悪ければ永久に駄目だ

という意識になりがちですので、どうしても認識

が遅れるのです。景気循環とは、悪くなれば必ず

良くなり、良くなれば必ず悪くなることなのです。

根っこにサブプライムローン問題

大半の景気後退要因は、アメリカ�ウォールス

トリート発の金融混乱、金融危機、サブプライム

ローンの問題です。この問題が大きくなって、時

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�� ■ 福島の進路 2009.4

講 演

間とともに事態はますます、いろいろな意味で厳

しくなって、世界的に金融危機が起こり、同時に

それが世界全体の実体経済にはね返っています。

同時に金融危機で、世界の株式市場が大混乱しま

した。最初は2007年8月、ニューヨーク発で同時

株安現象が起こり、ダウが下落すると24時間で世

界の市場に影響します。東京株式市場も大暴落し

たことは記憶に新しいのですが、あとは波状的に、

2007年11月にもものすごいのがあって、その後は

下げ基調に入っています。まずは株式市場の低迷

です。

つぎは、こういったことを受けて急速に為替が

動きました。景気が良かった「リストラ景気」の

ときには、大体1ドル120円から125円の間でした。

それが、サブプライム問題を契機に、今まで止

まっていた為替レートが急激に円高になったので

す。一時は、1ドル87円台と大変な円高が到来し

ました。同時に、こういう情勢ですから、安定確

保の観点から、一時は大量の投機マネーが原油市

場に向かい去年の7月には1バレル147ドルまで

上昇したのですが、その後は40ドルを割るなどか

なり激しく変化しました。

原油は産業のコメとも言われますが、日本は9

割以上も輸入しており、自動車や電力、ガス、そ

の他も大打撃を受けて非常なコスト高となりまし

た。また、投機マネーは穀物市場にも向い、小麦

やトウモロコシ、大豆などの値段が、国際的に急

騰しました。政府は小麦の売り渡し価格を何回も

引き上げ、パンやうどんは値上げの連続でした。

飼料高騰から乳製品の価格も上がりました。こう

いったマーケットの混乱も、経済には悪影響です。

円高の良い面もたくさんありますが、こと輸出に

限っては打撃です。また、株価下落については逆

資産効果となって良いことは何もありません。も

ちろん穀物価格の上昇も良いことは何もありませ

ん。ということで、これもサブプライム問題が出

発点ですが、マーケットに影響して大混乱を起こ

して経済を悪くしました。少し長くしゃべった感

がありますが、以上が今日までの動きです。

マイナス予測の経済見通し

さて、いよいよこれから「どうなる? 日本経

済」です。いろいろな見方があり、毎年「年後半

には良くなる」と強気論も必ず聞かれますが、楽

観論の影は薄くなりました。私は、ここ最近は慎

重に見る部類に属しています。答えからいきます

と、残念ながら、年内に景気回復の兆しは出ない

だろうと思っています。底入れは早くて来年の年

央前後ではないかと思っています。従って、当面、

景気の底入れ回復は、ちょっと望めそうにないと

厳しめにみています。

アメリカの中央銀行であるFRBのバーナンキ

議長は、昨日の議会証言で、「年末くらいには景

気回復の兆しが出る、来年からだ」と言っていま

した。2010年の最初からというイメージでおっ

しゃったようですが、そうなるかどうかでしょう。

先に成長率を申し上げてしまいます。実質成長

率ですが、2008年度、今年の3月は大変なマイナス

になっています。去年の10~12月期が年率-12.7

%で、1割以上減ってしまっています。1~3月

期の予測ですが、多分2桁減のマイナス成長にな

ります。今年度は2%台後半、2.6%くらいの実

質マイナス成長。来年度も、4%くらいのマイナ

ス成長ではないかと思っています。私は2008年度

はマイナス2.6%、2009年度はマイナス4.0%と予

測しています。何かすごいことを言っているよう

にも思いますが、民間のシンクタンクの見通しも、

大体同じような見方をしています。

ちなみに戦後の成長率ですが、そもそもマイナ

ス成長が2年連続などは絶対にないのです。単年

度ではありましたが。一番大きく落ちたのは1998

年度で-1.5%です。このときは、ご記憶にある

と思いますが、国内で金融破綻がありました。97

年から山一證券が破綻したり、北海道拓殖銀行、

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��福島の進路 2009.4 ■

講 演

三洋証券、言い出したらきりがありません。98年

になったら、旧長銀や日債銀。ああいうときです。

あのときに-1.5%が出たのですが、今年度が-2.6

%、来年度が-4%になると、予測ですから、ど

うなるか分かりませんが、仮にそういう想定でや

ると、残念ながら今回は戦後最悪の状態です。与

謝野さんまでが、今回の景気後退は戦後最悪の経

済危機だと言っています。久しぶりに政府や日銀

の見方とわれわれの見方にあまりずれがないと思

います。これまでは、立場の違いもあるでしょう

が、絶えず政府、日銀は強気の見通しを出してき

ましたが、もう強気のシナリオを描けない状況に

まで実体経済は落ち込んでしまっています。統計

的に厳しい数字を申し上げますと、先ほど言った

ように10~12月期の成長率は年率-12.7%。34年

9ヵ月振りの大幅なマイナスです。その前は何か

というと、1974年1~3月期の第一次石油ショッ

ク後の景気後退のときに-13.1%が出たのです。

しかし、その次の4~6月期は、当時はもうプラ

ス成長に転じたのですから、いずれにしても今は

大変厳しい状況に追い込まれています。

輸出主導型モデルの崩壊

今朝、8時50分に今年1月の貿易統計が出まし

た。ご存じの方も多々いらっしゃると思いますが、

この1月の日本の輸出は、去年の1月に比べて金

額ベースで45.7%落ちています。1年で半分に

なってしまったと言っても、そう間違いではあり

ません。信じ難いです。日本は輸出主導型の経済

で、輸出で頑張って経済が上向く体質なのです。

貿易立国ですから。今回の「リストラ景気」も、

先ほど年平均成長率2.1%と言いましたが、その

うちの6割は輸出のおかげなのです。

当時、欧米やアジアの景気がずっと上向いてい

ました。おまけに為替レートも、120円から125円

くらいの間でほとんど動きませんでした。輸出業

者にとって非常に居心地の良い状況が長期にわ

たって続きました。ですから対米輸出がどんどん

出ました。途中でアメリカ輸出が落ちると、今度

は中国を中心としたアジア向け輸出がぼんぼん出

ました。ですから、トータルで輸出がものすごい

勢いで増えたのです。実はそれが景気回復を長期

化させた要因でもあります。

どうやら日本の現状を見ると、この輸出主導型

の成長モデルは崩壊してしまったのではないで

しょうか。4ヵ月連続で前年を大きく下回ってい

ます。特に時間とともに落ち方がひどすぎます。

45.7%は約半分ということです。

輸入も落ちていますが、輸出の落ち込みが大き

いですから、貿易収支は、なんと4ヵ月連続で赤

字です。われわれの常識は、日本は貿易立国で、

常に貿易は黒字、経常収支も黒字であり、常識的

にこれが日本の生きる道だと思ってきました。そ

ういう経済常識が非常識になってきています。変

えないといけないかもしれません。4ヵ月連続は、

構造的にそうなってきてしまったのです。実体経

済の悪化を受けて、世界全体がおかしくなってし

まったのです。おまけに円高ですから、輸出が全

然出ないという状況になってしまうわけです。こ

ういったことを受けて、日本の生産活動は本当に

低迷しています。12月の生産指数を見ると、1ヵ

月で1割下がってしまっています。最後は0に

なってしまうのではないかと思うくらいです。そ

んなことは絶対にないのですが、前年対比では2

割程度も生産活動が落ちています。

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�� ■ 福島の進路 2009.4

講 演

輸出品がはけないため在庫調整局面にあります。

生産を落としても、それ以上に需要が落ちている

ために倉庫に眠っている製品在庫は少しも減らな

いのです。トヨタ自動車が5月くらいに増産する

という話が出ていますが、これは需要が出るので

はなく、今まで落としすぎた反動であり、一部強

気論者は、これを手がかりに景気回復と言ってい

ますが、そうではないと思います。全体の自動車

需要は、国内だけを見ても3割以上落ちています。

最近はタイヤなどを換えながら7年から9年は同じ

車に乗っており、結局、車は売れていないのです。

低迷の長期化はなぜか

結論を先に言った感があるのですが、景気低迷

がどうして長期化するのか、来年以降なのか。紐

解く鍵はサブプライム問題でしょう。この問題は、

予想以上に長期化かつ深刻化しています。サブプ

ライムローン問題が最初に起こったのは、2007年

2月くらいです。サウスカロライナ州やカリフォ

ルニア州の一部で住宅ローンに焦げ付きが起きた

という報道が最初ですが、そんな問題は心配する

必要のない、取るに足らない、一時的で特異な話

だということでスタートしたのです。

私はアメリカに5年いたこともあって、これは

下手をすると大変な問題になると思いました。事

態がまだ判明していないだけに、「そう軽く無視

してはいけない」、「単なる一時的な問題と済まし

てはいけません」と私はいろいろなところで述べ

ました。しかし、実際は私が考えている以上に厳

しくなりました。あの ���の議長ですら、最大

に厳しく見ても10兆円だと言ったのです。とんで

もない誤りでした。去年12月現在で、アメリカ、

ヨーロッパ、日本を含めた金融機関が抱えていて

表面化させた損失額の総計は約100兆円、1兆ド

ルです。ですから、当局ですら判断を誤ったわけ

です。

問題は、金融工学の手法によってサブプライム

ローン自体がいわゆる証券化商品や債務担保証券

などのハイリスク�ハイリターンに化けたことで

す。そもそも、信用力の弱い個人に住宅ローンを

貸すのですから、本当に返せるかどうかは、初め

から分かるので銀行は貸さなかったわけです。し

かし、住宅金融専門会社は、どんどん貸してしま

いました。そして貸した債権を担保にして、それ

に見合う形でどんどん証券化して、世界の投資家、

金融機関が買ってしまったのです。この辺も、ハ

イリスク�ハイリターンです。

特に、問題なのはリーマン�ブラザーズです。

私もアメリカにいたときに、ニューヨーク�マン

ハッタンのリーマン�ブラザーズ本社を随分訪ね

ました。ちなみに私が働いていたワールドトレー

ドセンターはもうありませんし、友人も被害者と

なりました。ですから、リーマンの破綻は他人事

ではないような気がします。リーマンは昔から、

ハイリスク�ハイリターンの投資銀行業務をやり

すぎているといろいろ噂がたっていました。好循

環のときはボロもうけですが、いったん歯車が逆

回転すると、多大なロスとなります。そして、

リーマン�ブラザーズは去年の9月15日に破綻し

ました。それがリーマンショックになって、世界

全体に及んでいます。

巨額の損失

問題はこのサブプライムローン問題がどうなる

かです。基本はアメリカの住宅価格の下落が止ま

るかどうかなのです。住宅価格は2006年7月が

ピークです。その後はほとんど横ばいでしたが、

最近は急落状態です。それが下げ止まらない限り、

それを担保にした証券の値段は下げ止まりません。

ところが最近に至るまで、住宅価格は、むしろ下

落幅が強まっています。アメリカの一等地である

マイアミ、ラスベガス、ニューヨーク、ロサンゼ

ルスなどは、2006年7月までは住宅価格が急上昇

していたエリアなのです。これが、いったん崩れ

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��福島の進路 2009.4 ■

講 演

ると急落するのです。デンバーなど少し上がって

はいましたが、今は大きく下がっています。これ

が下げ止まらないと、なかなかサブプライム問題

は決着がつきません。

今、いろいろな調査が出ていますが、最終的な

ゴールで言うと、これは全部日本円で言いますが、

トータルの損失額は200兆円を超えるだろうと言

われています。ゴールドマンサックスなども200

兆円を超えると言っています。ただ、統計がない

ので実態は誰にも分かりません。しかし、200兆

円は、決しておかしい数字ではありません。今、

サブプライムローンだけで600兆円ありますから。

仮に3割腐っていれば、180兆円でしょう。段

ボールに入ったミカンが腐ると、周りのミカンま

で腐ってきます。それと同じようなことが、一般

の住宅ローン、プライムローンや消費者ローン、

アメリカの自動車ローンなどに影響しています。

一般企業向けの通常の貸し出しまで、ちょっとお

かしくなってきています。そういうことを考える

と、サブプライムだけでも180兆円だとすると、

200兆円では済まないのです。いずれにしても、

今日明日で事態が良くなることにはならないとい

うのが大きな理由です。その結果、円や株も、ト

レンドとしては、思い切った円安になってしまう

とか、110円をさらに超えるような円安になるの

は、2009年内にはないし、100円を突破するかど

うかも、決して容易ではなく、水準は別としても、

株安円高という方向は変わらないでしょう。

良い面としては原油価格の下落を評価しなければ

いけません。147ドルが一時は40ドルを割ったの

です。おまけに円高ですから、輸出には打撃です

が、こと原油価格というのを円建てにした場合、

あるいは輸入品全体でもよいのですが、これは仕

入れ価格その他になるのですが、プラスになるの

で、この点は数少ない好材料ではないかと思って

います。

景気回復の処方箋

オバマ政権が発足して、まだ1ヵ月ちょっとで

すが、問題はサブプライム問題をどう処理するか

です。オバマ政権は、単なる公的資金の注入だけ

ではなく、金融機関が持っている不良債権を強制

的に買い取る以外にないと考えており、そのため

の資金は官民共同ファンドで1兆ドルと言ってい

ます。円に換算すると約100兆円です。

最後に残された手段は、住宅価格の下落を止め

ないといけません。それは早い話、住宅需要を高

めなければいけません。供給の方は一定だとする

と、今は需要がすっかり萎縮してしまっています

から、供給過剰になっています。ですから、住宅

価格は下落の一途なのです。だから、強制的にで

も金利を大幅に下げないといけません。今は

���も全体の金利を下げてきて、アメリカの

コールレートの誘導水準は0~0.25%の間のゼロ

金利です。やるべきことはやっています。しかし、

住宅ローンの金利はまだ高いので、場合によって

は、本当に特殊な異例の措置として、政府の支援

という形で金利を下げてローンを組みやすくし住

宅需要を引き上げないといけません。

それから。もうしょうがないので原則ゼロ税率

にしたらどうでしょうか。きちんと期限を限って、

5年なら5年。そうしたら、潜在的には買いたい

人がたくさんいますから、需要は出ます。しかも

住宅価格もだいぶ下がっており、買い得ではない

でしょうか。取得税や固定資産税的なものも買っ

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�� ■ 福島の進路 2009.4

講 演

た3年間はただにする。暴論かもしれませんが、

政府が住宅市場にまで踏み込んでいかないと、問

題はなかなか解決しないと思います。しかし、ま

だ、そこまではやれていません。借り入れ金利の

引下げについても、もっとダイナミックにやった

らどうでしょうか。こういうことをやれば、いず

れ、それは早くて来年の年央でしょうが、住宅価

格の底入れにつながってくるのではないでしょう

か。もし、底入れになれば、今度は逆回転して以

外と早い時期に景気の回復がみられるかもしれま

せん。そうなれば、日本の景気の底入れも近くな

ります。ですからオバマ政権も、そういうところ

に思い切って金を使う以外にないと思うのですが、

やれるかどうかが鍵です。以上が「どうなる?

これからの日本経済」です。

先手必勝のニーズ掘り起こし

最後になりましたが、日本の景気に対して、政

府にはもっと頑張ってもらいたいです。ただ、最

近やたらと目立つ劇薬や奇策は絶対にやってはい

けません。まず、政府紙幣の問題。また、一般の

企業にまで公的資金を注入するという話や公的資

金を使ってマーケットから株式を購入するなどの

奇策です。

これからの、景気対策として日本版のグリーン�

ニューディールの推進が有効でしょう。太陽光、

風力、バイオ燃料などに世界の先端をいくよう思

い切った技術開発投資をすれば脱石油や省エネが

促進されて、環境にもやさしくなります。温暖化

ガスが出ないので大きな効果があります。実施す

れば、当面の景気にも多大なプラスになり雇用の

拡大にもつながります。3年後、5年後には間違

いなく代替エネルギー、新エネルギー、省エネが

確実に進みます。かつ環境の改善に多大な貢献を

します。こういうことを政府はやっていますと言

うのですが、予算を見ると1,500億円くらいです。

そうではなく、10兆円規模でやってみてはどうで

すか。暴論でしょうか。そうすれば、わが国の中

長期の発展や成長に大きく貢献できるのです。

厳しい状況でも増収増益の企業はあります。株

価だって良い会社もあるのです。ユニクロが頑

張っています。ユニクロは増収増益です。東京

ディズニーランドのオリエンタルランドも増収増

益です。どうしてでしょうか。

これらは、常に現状に満足することなく顧客の

ニーズを先手先手で掘り起こしています。顧客

ニーズを生かした企業は、いくら経済や経営環境

が悪くても、絶対に勝てるのは間違いないでしょ

う。ユニクロでは、今日の売れ筋はもう明日の売

れ筋ではないのです。軽くて、湿気を取り保温性

もあるなどと絶えず研究の連続です。そして出せ

ば必ず売れてしまうのです。昔の話ですが、コン

ビニでは、おにぎりのご飯とのりを分けて大ヒッ

トしました。さらに、眼鏡業界や、実はお墓ビジ

ネスでも、最近では非常に革新的なことが起こっ

ています。ですから、自分の企業はもう衰退産業

だから駄目だなどと思わないで、いつも先を見て、

消費者のニーズを満たす、充足させる製品�サー

ビスを提供できるならば、絶対に勝てると私は確

信しています。

そういう意味では、これからも知恵を出した経

営展開を行うことだと思います。これは企業規模

とは関係がないと思うのです。そういう意味では、

厳しい環境ではありますが、これからも皆さま方

の会社のますますのご繁栄�ご発展をお祈りしま

して、私の話の結びとしたいと思います。ご清聴

ありがとうございました。

【おことわり】

本稿は、平成21年2月25日に、財団法人 福島

県産業振興センター、財団法人福島経済研究所の

共催により開催された定期講演会の要旨を当研究

所の文責でまとめたものです。

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I I IIII III II I

I II I I I I I I

I I I I I I I I I I I I I I I I III IIIII II I I I I I I I I I I I I I I I I I I I IResearch

悠ゆう

々ゆう

康こう

道どう

、始 於 足 下あなたのあしもとからはじまる

―健康は日頃の自己行動にある―

注:康道=医道に因んで、健康への正しい道を指す足下=「あなた」の尊敬語。ここで足元、眼の前、

今現在をも指す

■ 陳 文西(ちん ぶんし)

公立大学法人 会津大学コンピュータ�情報システム学専攻情報システム学部門 生体情報学講座上級准教授

��福島の進路 2009.4 ■

私の研究

1.緒 言

“���������� �� ��� ��� ����”という、い

わゆる、指先だけ動けば必要な情報を入手するこ

とができる時代に、我々はいつでもどこにいても、

家族や知人や仕事の仲間と瞬時に情報を交換する

ことができる。日常生活のいたるところに現代技

術発展の恩恵を沐浴しながら、生活の品質は大き

く向上し、ライフスタイルは劇的に変わった。し

かし、これは「諸刃の剣」とも懸念されている。

我々は過去にない様々な問題に直面している。図

1は過去百年間の各種疾患による死亡率の構成変

化を示している。急性疾患と伝染性疾患が減少す

る一方、長い年月における不良な生活習慣と関連

する慢性疾患は増え続けている。生活水準と医学

手段の進歩にもかかわらず、「3Cトップキラー」

といわれる心臓病、脳疾患とガンは、全死亡率の

60%を占めている。

慢性疾患は、発病の初期段階で、適切な対策を

取れば、全快が見込めるが、症状が自覚されにく

いため、そのまま長い年月を経て、知らない間に

「メタボリックシンドローム」などの合併症まで

病状が悪化し、治癒の可能性は段々低くなる。そ

の対策として、従来と異なる戦略や行動が必要で

ある。即ち、発病時の通院治療から日頃の健康増

進により疾病予防と健康維持への方針転換。

図1.100年間における死亡率の疾病構成の変化(厚生労動省資料より)

2.世界規模の取り組み

���は「健康」を「肉体的、精神的、社会的

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�� ■ 福島の進路 2009.4

私の研究

に健全な状態」と定義している。健康を実現する

ことは、本来個々人の健康観に基づき、一人一人

が主体的に取り組む課題であったが、近年世界人

口の高齢化に伴い、「健康」は、もはや個人の問

題だけでなく、人類全体と国々の将来にかかわる

重大な課題だと改めて認識されている。

���は2015年まで3,600万人の早死を防ぐ科

学知見�知識体系を備えているが、欠けているの

は慢性病の予防を将来への投資として三つのレベ

ル(国、専門組織と個人)からの積極的関与であ

ると指摘している。日本における代表的な出来事

としては、平成12年から推進してきた「健康日本

21」国民健康づくり運動と平成15年に施行された

「健康増進法」が挙げられる。平成17年に創設さ

れた「日本未病システム学会」と「未病医学認定

医制度」は学術領域の新しい試みである。平成4

年から世界的な先駆けともいえる西会津町の「百

歳への挑戦」プロジェクトは生活習慣の改善、日

頃健康管理の実践や土壌改良�環境保全などによ

るトータルソリューションの導入で健康寿命の延

長に大きな実績を成し遂げた。また、世界的著名

な大企業も多くの関連ビジネスを展開している。

������社の“������ ����”、� ������社の

“���� ���”、���社の“���� � ���”、

�� � ��社の“��� �����”など数えきれない。

医学界や臨床現場では、多くの生体情報が年齢、

性別、体型、姿勢�活動状況、時間、病状�精神

状態、計測部位�手段と関連するため、瞬時に測

られた個別の指標値よりも、ある変化範囲や長期

傾向の情報に注目するようになった。図2は24時

間における約10万回心拍数の変化プロファイルを

示す。心拍数が低い時の朝6時頃に50(拍/分)

以下まで下がるが、高い時の午後3時頃に150

(拍/分)近くまで上がった。

体温はドイツ学者 �� �� ���!��� ��によっ

て1851年より水銀体温計を用い、25,000人の腋下

温の計測結果に基づいて、正常値が37℃で、正常

図2.日常生活における20代の健常男子24時間の心拍数変化(尾田卒論より)

図3.30代の健常女子睡眠時6時間の腹部体表温度10分毎の変化(陳ら論文より)

範囲が36.2-37.5℃だと結論を付けられた。とこ

ろで、図3に示すように、睡眠時は生体の新陳代

謝活動が一番抑えられるにもかかわらず、体温の

変化は約1℃の差もある。

このようなバイオリズム的な変化は、生体が

時々刻々に変化している内外環境に対して、「安

定性の確保、協調機能の同期と持続機能の保守」

を果たすための欠かせない内在固有な機能だと認

知されている。

バイオリズムは、通常のパターンからの逸脱が

体調の微小変化や疾患の早期症候を反映している。

同様に体調の変化や疾患の初期段階では、バイオ

リズムに僅かな変化が表れる。心拍数と体温のバ

イオリズム変化は、様々な心身疾患と関連してい

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��福島の進路 2009.4 ■

私の研究

ると多くの研究で指摘されている。表1にそのま

とめ結果を列挙する。

表1.バイオリズムの変化に反映される心身疾患と生体情報の関連(複数論文より)

情報 心 拍 数 体 温

心筋機能障害 アレルギー

心室性不整脈 脳障害

僧帽弁閉鎖不全 乳ガン

うっ血性心不全 慢性疲労

糖尿病性神経障害 うつ病

四肢麻痺 躁病

高血圧 熱病

睡眠障害 ���

自律神経機能 不眠症

慢性疲労 肥満

精神性疾患 乾癬

概日リズム障害 甲状腺機能低下

3.我々の研究

我々は、日頃体の語り「������」に耳を

傾け、様々な生体情報を常時にモニタリングし、

バイオリズムの微小な変化を素早く捕捉し、科学

的な介入手段による通常状態への復帰と維持は、

健康管理の重要な課題だと考える。

そのため、我々の研究開発活動は、主に下記の

2点に集中�展開している。

1.日常生活環境の中で、ユーザを煩わしたり生

活品質を低下させたりすることなく、超低ない

し零コスト(肉体�精神�金銭的)で簡便に長

期使用可能な三種類の�������(隠形、

ユビキタス、ウェアラブル)及びその応用を統

合する������「����」の研究開発。

2.最新のデータマイニング手法を用いて、長期

に亘り日頃に収集してきた大量な生体データに

潜んでいる有用な情報を掘り出し、生体の語り

を聞き取り、個人別に適宜な健康増進のアドバ

イスの策定と提供。

最新2例の概略を紹介する。

1.隠形モニタ

特徴:①“���� � ��”―挿せば使える;②ユー

ザの全く見えない形ですべて全自動。

図4.挿せば忘れて良い隠形全自動睡眠モニタリングシステム概念図(陳ら論文より)

図4は隠形モニタシステムの概念図を示す。睡

眠時に頭が着枕すると、システムの電源は自動的

に投入され、心拍数、呼吸数と体動のデータは枕

の下に敷いたセンサボードで計測され、ベッドサ

イトボックスを通じインターネット経由データ

ベースサーバに蓄積される。日頃収集してきた

データを解析した結果の2例を図5と図6に示す。

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

11/28 12/5 12/12 12/19 12/26 1/2 1/9

SL

/

図5.20代の健常男子睡眠時の心拍数変動から検出された睡眠リズムの変化(渡辺ら論文より)

図6.30代の健常女子1年間にわたって睡眠時心拍数変動から推定された生理周期(陳ら論文より)

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�� ■ 福島の進路 2009.4

私の研究

図5に睡眠指数 ��が1以上の3本の棒は、年

末年始の深酒した日を示す。アルコール刺激によ

る交感神経の興奮で心拍数変化が激しく、睡眠リ

ズムが普段と異なる。図6は睡眠時心拍数による

女性生理周期の自動推定結果を示す。女性ボラン

ティアの自己記録と完全に一致している。

2.ウェアラブルモニタ

特徴:①体表温度を自動的に連続計測;②携帯

電話を用いてゲーム感覚でデータ収集。

図7は製品の写真、睡眠時体温計測の様子と携

帯電話を用いた ��コードによるデータ収集の流

れを示す。

図7.連続体表温度計(���社と陳ら論文より)

図8は睡眠時の連続体表温度変化(上)から推

定された2相性の基礎体温プロフィル(下)を示

す。低温相→高温相は排卵期と対応し、精度が未

検証だが、高温相→低温相は女性の月経記録と良

く同調している。

図8.6ヵ月間睡眠時の体温変化と推定された生理周期(陳ら論文より)

表1のような心身疾患やバイオリズムの変化を

反映する心拍数と体温等を、日常生活環境の下で

簡便に長期計測できれば、より多くの「体の語り」

情報は、優れた数学手法により発掘されると確信

している。

4.まとめ

古代ギリシアのプラトーン、アリストテレスの

存在論から近代ドイツのヘーゲルまで、「現実的

なものは理性的であり、理性的なものは現実的で

ある。」という言葉を考えてみると、人間ほど巧

妙に作られたものは他にない。数億個同士の戦い

に最後まで勝ち残った一個の精子と唯一の卵子と

の出会いで新生命は誕生し、他と異なる唯一な存

在として、最強に構成されていると推測できる。

中国医学の古典とされている「黄帝内経」の「生

病起於過用」と同工異曲のようで、生体が自己防

御�調整�治癒機能の閾を越えて悪用されると、

病が訪れる。

個々人の健康増進と維持は国家戦略の下で、専

門組織の技術的支援を加え、自ら日頃の心掛けと

行動は何より重要である。すべての人に適用する

ような処方はないが、良好な生活習慣、栄養バラ

ンスのとれた食事、適宜な運動と楽観向上な人生

態度は皆共通的なものである。西会津町の「百歳

への挑戦」は良い手本を示した。米国 ����大

学の ��� �教授の大作、「�� ����� �����」

は「医食同源」という古来の認識に豊富な科学的

証拠を提供した。

我々は、上記に述べた理念と哲学に基づき、長

い歴史上蓄積されてきた先人の知恵を取り入れな

がら現代の手段を駆使し様々な探索を展開してい

る。詳細に関する質問等がある場合は、会津大学

連携支援グループ(0242-37-2547)又は産学連

携センター(0242-37-2776)まで連絡ください。

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大山 忠作 《岡潔先生像》紙本着色 212.0×150.2㎝1968年 第11回新日展 福島県立美術館蔵

■ 酒井 哲朗(さかい てつを)

福島県立美術館長福島市

図1 O先生像

��福島の進路 2009.4 ■

美を訪ねて

さる2月19日に大山忠作氏が亡くなった。87歳

であった。戦後再生をめざした日本画を東山魁夷、

高山辰雄らに続いて、独自の作風を形成して支え、

また制作だけではなく日展理事長として日本画の

振興に尽力した。郷土愛の強い作家で、本県美術

界にとってはかけがえのない大きな存在であった。

昭和63年(1988)には福島県立美術館で、「大山

忠作展�画業四十年の歩み」展が開かれて多くの

県民に親しまれ、一昨年文化勲章を受賞して、永

年の功労が報われた。

私が大山忠作に関心をもったのは、昭和53年

(1978)頃だった。県立美術館創設のため宮城県

に赴任し、東北出身の美術家として注目したので

あった。前年の昭和52年に日本経済新聞社主催に

より銀座松屋で「大山忠作-今日と明日-展」が開

かれた。戦後30余年を経過して新しい日本画の創

造があらためてクローズアップされた時、長老作

家たちに続いて大家の域に達しようとしている中

堅作家をとりあげ、日本画の「今日と明日」を展

望しようとする試みであったが、そのトップバッ

ターが大山忠作であった。32年前55歳の大山忠作

のポジションがうかがわれて興味深い。

O先生像

大山忠作は大正11年(1922)二本松市の染物屋

(紺屋)に生まれた。父親は趣味に日本画を描い

たというが、職人芸を身近に見て育ち、画家にな

る決意を固めていったようである。昭和15年

(1940)18歳で東京美術学校日本画科に入学する

が、戦争へ急傾斜していった時代であり、昭和18

年(1943)に大山は学徒出陣のため美術学校を繰

り上げ卒業となり、仙台で入隊。航空隊に配属さ

れてフィリピンに派遣され、終戦は台湾で迎えた。

死と直面した戦争の中の青春だった。

昭和21年(1946)に上京し、第1回日展を見て

感動し、翌年の第2回日展に《O先生像》(1946)

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図2 浜の男

�� ■ 福島の進路 2009.4

美を訪ねて

を出品して初入選した。以来落選知らずの連続入

選が続き、昭和28年(1953)の第9回日展から無

鑑査となり、昭和35年(1960)の第3回新日展で

審査員になるなど、着々と地歩を築いていった。

《O先生像》(福島県立美術館蔵�図1)は、美

校で紋様学を学んだ小場恒吉をモデルにしている。

書棚の本の背文字に見られるように、画面の隅々

まで精細に描き、繁雑な身辺のさまざまな物を大

画面のなかに緊密に構成し、この碩学の風貌や室

内のたたずまいを見事に表現している。武者小路

実篤が新聞評にとりあげたというが、初入選の作

品とはとうてい思われない、美術館の壁面で堂々

と存在感を示す秀作である。

昭和22年(1947)に大山は一采会に加入した。

一采会は、高山辰雄、加藤東一、加藤晨明、浜田

台児ら現代絵画としての日本画を追求する日展系

の画家たちの研究グループである。大山は、日展

と一采会展を舞台に新しい日本画の創造を志した

のである。また、この頃から山口蓬春に師事した。

山口は洋画から転向し、大和絵の技法を基に斬新

な造形感覚によって、日本画の新しい領域を拓い

た画家である。

昭和20年、30年代の大山は、少年像や青年像な

どもっぱら人物を主たるモチーフとして、色面に

よる重厚な構成的な作風を特色とした。たとえば

《浜の男》(1953�図2)のような労働の状景を絵

画化した作品がある。現実から遊離して洗練され

ていった日本画に対する批判に応えて、現実の人

間の生活をテーマにした。画面構成の手法は明ら

かに洋画を意識している。このようにして大山は、

新しい日本画を模索していた。

岡潔先生像

標題の《岡潔先生像》(1968�図3)は、大山

芸術の確立を示す傑作である。モデルはその人間

性や言行によって伝説的人物となっている数学者

の岡潔である。恐る恐る岡の邸を訪れ、描かせて

ほしいと頼み込んだという話を画家自身から聞い

たことがある。古都奈良の土塀を背景にたたずむ

岡の謹厳な風貌が見事に表現されている。黄土色

の土塀と麻の着物姿の人物の色調が渾然と融合さ

れ、色彩画家大山の真髄をみせている。人物像が

膝下で切断され、そのことによって人物と背景の

面と面の対比がきわだち、造形効果をあげている。

その点について山口蓬春の助言があり、大山は深

く悟るところがあったようである。この作品は、

文部大臣賞を受賞した。

そのすぐ後大山は、インドと東南アジアに旅行

している。以前にヨーロッパやエジプトに旅行し

ているが、日本画の作品としてその結果は現れて

いない。インド旅行の成果は、《母子像》(1969)、

《浄晨》(1970)、《浄光》(1971)などのエキゾチッ

クな情調の作品として示された。《岡潔先生像》

によって新たな次元に立った大山の制作は、異国

の風物に触発され、さらにイメージを広げていっ

たようである。

昭和48年(1973)、前年の改組第4回日展に出

品した《五百羅漢》が日本芸術院賞を受賞した。

翌年の第6回日展に《古壁群相》(1974�図4)

を出品した。古壁は国東半島を旅行した時の寺の

壁が画因であり、そこに百面相のように自画像を

配した特異な作品である。この作品は、川越の喜

多院に取材した五百羅漢の群像表現が展開したも

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図3 岡潔先生像

図4 古壁群相

��福島の進路 2009.4 ■

美を訪ねて

のと考えられる。《五百羅漢》は、羅漢たちが、

本を読み、酒を汲み交わし、談笑する幻想的光景

を描いているが、《古壁群相》は画家自身の顔の

ヴァリーエーション、すなわち現実の人物が変幻

して古い壁の中に現れるという構想で、人間を通

じて時間と空間を統合した異次元の絵画空間の創

出を試みている。

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図5 智恵子に扮した有馬稲子像

�� ■ 福島の進路 2009.4

美を訪ねて

智恵子に扮した有馬稲子像

《智恵子に扮した有馬稲子像》(1976�図5�二

本松市教育委員会蔵)は、有名な女優有馬稲子の

肖像画ではない。新橋演舞場で有馬稲子が演じた

『智恵子抄』がモチーフである。有馬稲子を描い

たデッサンには、《智恵子抄》というタイトルが

つけられている。有馬稲子が智恵子に扮したため

に有馬稲子像になったのである。『智恵子抄』の

智恵子も実在の智恵子ではなく、高村光太郎の創

造した詩という虚構の中の智恵子である。智恵子

が愛した郷里二本松の安達太良山や「ほんとうの

空」は、同じ故郷に生まれ育った大山忠作が共感

する風景である。大山にとっては、『智恵子抄』

の世界が、有馬稲子の姿となって出現したという

事態であったにちがいない。

大山は、「乳頭山」とよばれる安達太良山のシ

ルエットを正確に表し、中景に薄の草原を描き、

その前に智恵子に扮して椅子に坐る有馬稲子の全

身像を描いた。全体を夢幻的な紫の色調で統一し、

人物の髪や目の黒、紅い唇がコントラストして、

人形のような美しい清楚な人物像をきわだたせて

いる。画面の周辺を額縁のような紫の色面で囲み、

幻想的効果を強めている。カラリスト大山ならで

はの、抒情的人物画である。

この後《京舞》(1977�福島県立美術館蔵)、

《青海波》(1978�那須ロイヤル美術館蔵)と現代

の役者絵とでもいうべき作品が描かれた。《京舞》

は井上八千代に扮した水谷八重子。《青海波》を

舞う中村扇雀がモデルである。これらの人物画は、

演じる人それぞれの所作の決定的な静止の瞬間を

とらえ、京舞の背景は舞台の背景の松を部分的に

表した象徴的空間として表し、《青海波》では、

文字どおり青海波が背景に描かれ、中村扇雀は

青々とした無限空間の中に置かれる。

大山の人物画は、背景が重要な役割を果たして

いる。写生に基づいた人物はリアルに表現されて

いる。背景もまた写生を基本として平明であるが、

それらが重合した時、それはもはや実在空間では

なく、記憶や歴史などの時間を孕んだ絵画空間に

変容するのである。

揺曳�天橋

人物画についてのべてきたが、大山は次のよう

にいう。「私の仕事には常に一貫性がなく、風景

なら風景を一筋に追う訳でなく、人物のみを追求

するでもなく、相撲でいえばなまくら四つという

やつで、これという得意技がないからである」

(『日月随想』)。それは言葉を変えていえば、作域

が広いということである。

大山は、鶴や鯉など伝統的な日本画の主題をし

ばしば描いた。とくに「鯉」は世評が高い。「何

時の頃からか、請われるままに何となく鯉を描く

ようになった。もちろんその形態、色彩が微妙で

画心が動かされるが、子供の頃、魚釣りが好きで

郷里の阿武隈川で鮒や鮠などを釣って遊び呆けて

いた。そんなことが潜在意識にあるのかもしれな

い」と語っている。鯉の代表作として《揺曳》

(1987。図6)を掲出しておく。遊泳する鯉が真

上からとらえられ、水底に魚影が反映する透明な

水のゆらめきが表現されており、写生を根底にし

ながら、画家の非凡な観察力や構成力を示してい

る。

昭和55年(1980)と昭和59年(1984)の2度に

わたって成田山新勝寺光輪閣の襖絵を描いた。第

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図6 揺 曳 図7 天 橋

��福島の進路 2009.4 ■

美を訪ねて

1期は《日月春秋》28面であった。蒼天の雲間に

輝く日輪と水平線上に昇る満月、春は爛漫と咲く

三春の瀧桜、秋は紅葉した楓の巨樹。日月春秋を

広大な空間のスケールと見事な色彩の対比によっ

て表現した。第2期は、書院のための《杉》、《松》、

《竹》の襖絵22面。こちらは水墨を基調にその濃

淡とリズミカルなフォルムの反復と変奏によって、

華麗な色彩表現の世界と対照的な深く静かな画情

を表している。

こういった探求を通じて、大山の制作はさらに

進展する。その作例として、《天橋》(1989�図7)

を紹介する。天の橋立は、古くは雪舟、近代では

川端龍子や麻田鷹司の作品が知られている。大山

の俯瞰構図による橋立の景観の表現は、白砂青松

の海浜や海波の構成、青灰色の渋く深い中間色の

色調、いずれの点においても大山独自の天橋図を

創出している。

「僕は物を平易にしか描けない。僕にいわせれ

ば絵の組み合わせです。丸いものは丸く、四角は

四角、デフォルメは全然なし。多少、自分の主観、

そういったものを表現したい」。大山の制作論で

あるが、対象の形に即し、平明な写生を基本にし

ながらそれをつきつめ、「絵の組み合わせ」すな

わち構成によって、新しい日本画の美を創造した。

「絵の組み合わせ」は、《天橋図》のような対象の

フォルムの構成の場合もあれば、《智恵子に扮し

た有馬稲子像》のような、人物と風景の組み合わ

せの場合もある。そこには、「僕の主観」という

大山の心情が表現され、心象風景となっている。

大山は故郷を深く愛した。《安達太良残雪》や

《智恵子に扮した有馬稲子像》などのように作品

化されるだけではなく、在京美術家協会の中心と

して福島県出身の美術家を支援するなど、実生活

にも及んだ。それは恐らく単なる懐旧の情という

ものではなく、青年期の死線を越えた経験の中か

ら再発見した故郷といったような深い心情であっ

たように思われる。芸術についてもそれはいえよ

う。精神の内部に太い芯が一本通っていたようだ。

雑事も厭わず、理事長として日展という大組織を

誠実に支えた。

大山の遺作は、二本松市に寄贈された。近く美

術館ができると聞いていたが、その完成を見るこ

となく亡くなられたのは残念である。しかし、高

村智恵子と同じ二本松市に大山忠作の作品が伝世

するのは、まことにふさわしく、喜ばしいことで

ある。

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����

箱崎愛宕神社の祭りと獅子舞

■ 懸田 弘訓(かけた ひろのり)

元福島県立博物館学芸課長二本松市

�� ■ 福島の進路 2009.4

福島の祭り

くだもの里 箱崎伊達市の旧伊達町は阿武隈川によって東西に分

かれている。箱崎地区は東側にあって、戸数は約

350戸である。耕地は畑が多く、近世以降はこの

地方と同様に、養蚕がひときわ盛んであった。隣接する伏黒地区で産する蚕

種だね

は「伏黒蚕種」と

いって、県内ではよく知られ、南会津地方の万歳

でもうたわれている。明治10年代からは梨を初め

として桃�リンゴなどの果樹が栽培され、現在で

は果物の名産地として知られている。

神社と獅子舞の由来愛宕山の山頂にある愛宕神社は、かつて愛宕大

権現といわれ、明治2年に愛宕神社と改めた。縁

起によると愛宕神社とその麓にある福厳寺は、天文7年(1538)に創建され、福厳寺は愛宕神社の

別当寺、つまり明治初年の神仏分離まで神社に設

けられた寺であった。そのために今なお獅子舞の

一行が衣装を整えて出発するのも、戻ってそれをはずすのも福厳寺である。

獅子舞について同神社の略記には、当地は獣の

被害が大きく、若者が毎日のように追っていたが

効なく困っていた。すると白髪の老人が現れて、

愛宕大権現に獅子舞を奉納すれば退散させることができるとの託

たく

宣せん

があった。それで諸国を訪ねて

舞を習得し、天文7年から行うようになったとい

う。この略記は代々守り伝えてきたものだけに大

切にするとしても、天文年間とする伝えは、おそらく社寺の創建と混同したものであろう。このよ

うな伝承は起源についての一つの型で、しかもこ

こまでさかのぼるのは、現在の芸能史の研究成果

からは難しい。

一方、福厳寺で保管している獅子頭などを入れておく木箱の蓋には、福厳寺の住職祐範の代に、

若者連中の伊藤淀吉が獅子頭を入れる櫃ひつ

を寄付し

た、それは天明8年(1788)3月であったという

意味の文が書かれている。獅子舞が県内でいち早く伝来したのはいわき地方と会津地方で、ともに

寛永年間(1624~44)前後と思われる。いわき地

方の獅子舞はより華やかになりながら、中通り地

方に広まり、その流れは伊達郡南部で止まった。

二本松市長折(旧岩代町)には天明3年(1783)の銘のある太鼓や天明8年の庭元(獅子宿)の順

番を書いた記録もあり、すでにこのころには県北

地方の南部にまで伝来していた。これらのことか

ら箱崎では天明8年に獅子頭を求めて舞を始めた

可能性が高い。

祭りの次第愛宕神社の春祭りは4月29�30の両日で、獅子

舞もこの日に行われる。初日の朝、獅子の踊り手などの一行は、福厳寺に集合する。ここでそれぞ

れ衣装をつけ、まず境内で本堂を向いて主な種目

を舞う。午前10時に列を組み、道中囃子を奏しな

がら愛宕山の参道入口に向かい、これから急な石

段を登って愛宕神社の境内に入る。まもなく社殿に氏子総代や役員、獅子の関係者が列席して祭典

が執り行われる。祭典が終わると午後4時ころに

かけて、境内で全種目を舞う。舞納めると再び福

厳寺に戻って、衣装解く。翌日は午前8時に福厳寺を出発し、かつては氏

子の全戸を巡った。これが昭和47年から氏子の代

表者宅や新築したために火伏せを祈って特に依頼

があった家だけになった。夕方には福厳寺に戻り

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福厳寺境内での舞 参道入口での舞

��福島の進路 2009.4 ■

福島の祭り

直会があって祭りはすべて終わる。

獅子舞踊り手は獅子3名、半

はん

平ぺい

1名、「ささら」1名で、水垢離をとって身を清めてあたる。獅子は先

獅子、中獅子、雌獅子の3名で、先獅子と中獅子

は雄である。これらは10代の少年による。いずれ

も晒さらし

木綿の襦袢に、木綿地に黒の鱗うろこ

模様を染めた

たっつけ袴で、獅子頭を被り、腰には締太鼓をつけ、後ろに五色の幣束を差し、両手にばちを持つ。

獅子頭は張り子で、大般若経を用いたといわれて

いる。一般に獅子頭は和紙を張った張り子か、桐

材の彫り物であるが、和紙にかえてお経を用いた

というのは、福厳寺との関係が深かったことによるのであろう。県内では例を見ない珍しいもので

ある。

半平は師匠格があたり、白い手拭いを被って白

い翁面としゃぐまをつけ、陣羽織を着て、腰にやや大きめな太鼓をつけてばちを持つ。この半平は舞

を統率する重要な役割を持ち、獅子の入退場や移

動には先導するが、獅子が舞っている間はちょっ

と見る程度で、その前を太鼓をたたきながら左右

に歩を進めている。その振りはまさに「知らぬ顔の半兵衛」で、半平の名は半兵衛が訛ったものと

思われ、仕し

種ぐさ

の特徴をよく表している。

「ささら」は道化役で、青年があたる。ひょっ

とこ面をつけて赤布で頬被りをし、紺地の単ひとえ

物もの

着て、晒木綿に綿を入れた3㍍30㌢もの太い紐を二重に回して巻く。手には「摺りささら」の「子」

と捩じり棒を持つ。「ささら」はフラなど南太平

洋の芸能でよく用いられる一種の楽器で、長さ数

十㌢竹を把手の部分を除いて細く割ったもので、これを両手に持って打ちつける。「摺りささら」

はこの片方をやはり把手の部分を除いて縦半分に

割って一方を捨て、把手のついた方には横に多数

の溝をつけ、打ちつけるのではなく摺る。これの

溝のついた方を「親」、細く割った方を「子」といっている。これは獅子舞によく用いられること

から、いわき地方では獅子舞を「ささら」といっ

ている。ここでは「親」に代えて捩じり棒を持っ

ている。

舞庭の正面の左右には、高さ約2㍍の造花と幣束を立てた「花笠」といっている花台を置く。下

に置いてあるのになぜ「花笠」かというと、古風

な獅子舞では、舞庭に獅子を囲むように四人が花

笠を被って立つ。花台は、この被った花笠の名残

であることによる。種目は道中の舞のほか、一人舞、二人舞、三人

舞に大別され、その順に述べると次のとおりであ

る。�1 道中の舞

① 道行きの舞 元来、道行とは文楽人形浄瑠璃

や歌舞伎の用語で、相愛の男女が道中するさま

をさすが、民俗芸能では踊り手が舞庭へ往復す

ることをいう。半平、「ささら」、先獅子、中獅

子、雌獅子の順に並んで進む。これはその間に奏される道中囃子で、舞はつかない。

② 数え歌 愛宕神社の祭礼に舞を奉納して山を

下りるときにだけ奏する囃子で、他で奏するこ

とはない。

③ そぞろきの舞 道行の舞と同様に半平を先頭に一列になって舞い込む。

�2 一人舞

① 弓の舞 先獅子の一人舞で、舞庭には一人が

弓を持って立つ。獅子は弓に近づいては離れ、ついにくぐる。中通り地方にはきわめて少ない

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愛宕神社境内での舞 輪 の 舞

�� ■ 福島の進路 2009.4

福島の祭り

種目で、いわきや会津の古い姿をとどめた獅子

舞でよく演じられている。この獅子舞は華やかな中にも、このような古風な一面が残っている。

② 輪の舞 中獅子の舞で、舞庭に直径1㍍ほど

の輪に色紙を細く切って貼ったものを出す。中

獅子はこれに近づいては離れることを繰り返し、最後にはくぐり抜ける。

山形県川西町の小松豊年獅子踊で演じられる

火の輪くぐりの輪を、色紙で飾った輪に置き換

えるとよく似ていて、県内では当地以外に例が

ない。③ やまの舞 雌獅子が優雅に舞う。「やま」と

は山の神のことともいっているがさだかでない。

古風な獅子舞では、花笠を「山」ともいってこ

れを被った四人を中にして、その回りで舞う種

目があることから、その名残とも思われる。�3 二人舞

注し

連め

の舞 先獅子と中獅子の二人が舞う。後半

には注連縄が張られれ、二人はこれに手をかけて

は離れ、ついに飛び越える。これも山形県南部の獅子舞で見られる。元来は棒舞ともいって、長さ

2㍍ほどの棒を二人が横にして持ち、獅子がこれ

に近づいては離れるというもので、会津の彼岸獅

子でよく演じている。これは棒が注連縄に代わっ

たものと思われる。�4 三人舞

① 六拍子の舞 福厳寺�愛宕神社�区長宅�神

社関係者宅で舞う儀礼の舞で、威儀を正して舞

い、振りの間違いは許されないといわれている。② 前ざしの舞 雌獅子を中にしてその右に先獅

子、左に中獅子と、横に並んで舞う。

③ 鍋のつるの舞 三人が横一列に並んで舞う。

珍しい種目名であるが、鍋のつるのように半円

形になって舞うことからついた。

④ 歌ぎりの舞 雌獅子を中にして、その右後ろに先獅子、左後ろに中獅子が立って舞う。ゆっ

たりとした舞で、かつては歌が2節うたわれた。

⑤ きり歌きりの舞 「歌ぎりの舞」と同じ位置

で舞う。舞の最後に先獅子と中獅子が一緒に、いったん雌獅子と離れ、後ろ向きになって互い

に近づく。半平は雌獅子に付き添うようにして

舞う。かつてはここでも歌が2節うたわれた。

⑥ 掛け合いの舞 三人が楽しく舞い遊んでいる

うちに、雌獅子は隠されたということで、舞庭の隅に下がる。すると先獅子と中獅子が争い、

「ささら」が中に入ってとりなす。いずれの獅

子舞でも中心となる勇壮な舞である。かつは歌

が3節うたわれた。

みどころ福島市や伊達地方の獅子舞には、半平のように

太鼓をつけた舞い手が一人加わるところがあり、

陣羽織か半纏を着ることも共通している。そのためか本来太鼓をつけるはずの獅子が、太鼓をつけ

なくなったところもある。しかも輪の舞や注連の

舞は県内では当地だけである。このような構成、

あるいは種目を持つ舞は、前述のように山形県米

沢市とその周辺にみられる。福島市と伊達地方は、寛文4年(1654)まで米沢藩上杉氏の支配下に

あったことから、その後も米沢などとの交流は続

いた。当地をはじめこのような舞はまぎれもなく

米沢周辺の影響と思われる。祭りのころはちょうど桃の花が満開である。舞

だけでなく、その間を縫うように獅子の一行が進

むさまも、ただ見事というほかに言葉がない。福

島県指定重要無形民俗文化財である。

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退職した従業員の営業機密保持義務

■ 渡辺 健寿(わたなべ けんじゅ)

渡辺健寿法律事務所弁護士

質問

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��福島の進路 2009.4 ■

企業法務セミナー

1 従業員との労働契約が継続している場合

の対応

会社が有する営業機密や技術上の秘密、ノウハ

ウ等(以下「営業機密等」といいます)について

は、それが一般的な知識や経験といったものを超

える程度に秘密性を有しているものであれば、従

業員は第三者にむやみにそれを流出させてはなら

ないという義務を負います。

労働契約は契約関係が長期間継続し、契約当事

者間に高度の信頼関係が必要とされるものであり、

会社と従業員は、本来の義務である役務の提供や

給与の支払いなどに加えて、相手方の利益に配慮

し誠実に行動しなければならないという付随的義

務を相互に負うと解されるからです。

従業員は、そうした労働契約に付随する配慮�

誠実義務の一環として、会社の営業機密等を守る

義務を負うものであり、会社は、そのような義務

に違反した従業員に対して、債務不履行に基づく

損害賠償請求(民法415条)をすることが可能で

す。

2 秘密保持の特約による対応

従業員が会社を退職した場合、会社と従業員と

の間の労働契約関係は終了するので、会社から従

業員に対して労働契約に付随する配慮�誠実義務

違反を根拠として損害賠償請求を行うことは困難

です。

しかし、会社と従業員との間の労働契約が終了

した後も、退職した従業員が営業機密等を何の制

限もなく利用できるのであれば、会社として大き

な不利益を被ることが想定されますので、会社と

退職する従業員との間で秘密保持の特約を取り交

わしておくことが行われています。

従業員が退職後も秘密保持義務を負うとの特約

は、労働契約終了時に個別的な特約としてできる

のはもちろんのこと、就業規則に盛り込むことで、

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�� ■ 福島の進路 2009.4

企業法務セミナー

労働契約の一内容とすることも可能です。

会社は、退職した従業員が秘密保持の特約に違

反して会社の営業機密等を漏洩した場合、当該特

約違反を理由として債務不履行に基づく損害賠償

請求や(民法415条)、漏洩行為の差止請求をする

ことができます。

また、特約の中で機密情報の範囲を明示したり

損害賠償の予約額を定めたりすれば、万が一問題

が起こった場合に、請求を容易にすることができ

ます。

ただし、秘密保持の特約により退職した従業員

に課される義務が、あまりに必要性�合理性を欠

く場合、そのような特約は公序良俗に違反するも

のとして無効とされることがあります(民法90条)。

ここでいう「公序良俗違反」とは、その契約等

の効力を認めることが社会的に見て余りに妥当性

を欠く場合を言います。たとえば秘密保持のため

と称して何ら条件も付けないまま同業種への再就

職を全面禁止するような場合や、損害賠償の予約

額を実際に生じる損害額からかけ離れた金額に設

定するような場合、このような特約は職業選択の

自由(憲法22条1項)や財産権(憲法29条1項)を

過度に制限する可能性があるため、公序良俗違反

により無効とされる可能性が高いと考えられます。

3 不法行為、不正競争防止法による対応

また、上記のような秘密保持の特約を取り交わ

していない場合であっても、退職した従業員が会

社の技術上�営業上の秘密を利用して会社に損害

を与えれば、会社は民法上の不法行為(民法709

条)を根拠として損害賠償を請求することが可能

な場合があります。

もっとも、会社の側で損害賠償請求に必要な要

件を全て立証することは必ずしも容易ではありま

せん。侵害された会社の利益がそもそも法律上保

護に値するものといえるか、保護に値するとして

退職した従業員にどのような行為があれば利益侵

害があったと言えるか、利益侵害によって会社に

どの程度の金額の損害が発生したのか等、会社と

しては多岐に亘る立証が必要となります。

そこで、会社側が利用しやすい法律として、不

正競争防止法があります。

不正競争防止法(以下「法」といいます)は、

秘密として管理されている生産方法や販売方法そ

の他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報

であって公然と知られていないものを「営業秘密」

と定義したうえで(法2条6項)、退職した従業

員が会社から示された営業秘密を「不正の競業そ

の他の不正の利益を得る目的」又は「その保有者

に損害を加える目的」を持って使用したり第三者

に開示したりする行為は不正行為になると定めて

います(法2条1項7号)。

そして、そのような不正行為をした者に対して

差止め(法3条1項)や損害賠償(法4条)、侵

害行為を組成した物(機密情報の記載された文書

やデータ等)の廃棄または侵害行為に供した設備

(営業秘密を利用するための装置等)の除却(法

3条2項)などの措置を定めており、一方で損害

額についての推定規定を置き(法5条)、不正を

行ったとされる者に行為の具体的態様を明示する

義務を負わせる(法6条)など、会社側の立証負

担の軽減を定めています。

4 本件の場合

当社としては、Aとの間で秘密保持の特約を取

り交わしておけば、将来Aが当社の営業機密等を

漏洩した場合に、特約に基づいて差止請求や損害

賠償請求をすることが可能です。

特約がない場合でも、当社として、前述のとお

り不法行為または不正競争防止法に基づく損害賠

償請求等の余地はありますが、従業員に退職後も

営業機密等を守る義務があることを自覚させると

いう紛争予防の見地からも、秘密保持の特約を取

り交わしておくことが望ましいでしょう。

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税務・財務相談 !

相続税の基本的計算の仕組み

■ 佐藤 達夫(さとう たつお)

東北税理士会 郡山支部税理士

今年度も私達のチ-ムが、原稿の担当をすることになりました。1年間どうぞ宜しくお願い致

します。さて、今年度の初めは、昨年税理士業界では、30年間続いてきた相続税税額計算方式の

改正について、大変話題になりました。結果的に国税庁は改正についていったん見送りとしまし

たが、今後の改正については、可能性を残したままであります。そこで今回は、もう一度30年間

続いてきた相続税の基本的なことについて考えてみたいと思います。

��福島の進路 2009.4 ■

税務・財務相談Q&A

〔質問1〕

私は、今回父が亡くなり遺産分割協議により

銀行預金を1,000万円相続することとなりまし

た。父の遺産総額は、3億円でした。それで、

相続人全員で相続税申告書を作成し申告納税を

しました。ところで、相続税は一人1,000万円

の基礎控除があると聞きましたが、なぜ私に納

税額が計算されるのか教えてください。

〔回 答〕

相続税の計算方法は、相続財産を取得した人が、

それぞれ一人一人各々計算するのではなく、相続

人の遺産総額全体に係る相続税額を計算し、その

税額を取得した財産額に応じて按分した金額を税

額として納付することになります。

例えば、質問者が以下の状況の場合について説

明します。

条件1�相続人 母(配偶者)�長男�

二男(質問者)�長女

条件2�遺産総額 3億円

(債務及び葬式費用控除後)

条件3�遺産分割状況

母 1億4,000万円

長男 1億4,000万円

二男 1,000万円

長女 1,000万円

相続税は、まず遺産総額から基礎控除を差し引

いて、それを、相続人が法定相続分により相続し

たものと見なして相続税の総額を計算します。そ

の後、その総額を取得した金額に応じて按分する

ことになります。

�1 基礎控除の計算

相続税の基礎控除額は、次の算式により計算さ

れます。

5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

=基礎控除額

質問者の場合に法定相続人の数は、母、長男、

二男、長女の4人となります。そのため、基礎控

除額は、5,000万円+1,000万円×4人=9,000万

円 となります。

�2 相続税の総額の計算

相続税の総額の計算は、遺産総額から上記�1の

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�� ■ 福島の進路 2009.4

税務・財務相談Q&A

基礎控除額を差し引いた金額を、法定相続人が、

法定相続分により取得したと、みなして税額を計

算します。質問者の場合には、次の通りになります                      。

① 法定相続分による各人の金額

母の法定相続分が 1/2

長男�二男�長女の法定相続分が

1/2×1/3=1/6

上記の割合が、法定相続分となり、それにより

取得したものとされる金額は、

課税価格 30,000万円-9,000万円=21,000万円

母 21,000万円×1/2=10,500万円

長男 21,000万円×1/6= 3,500万円

二男 21,000万円×1/6= 3,500万円

長女 21,000万円×1/6= 3,500万円

となる。

② 相続税総額

上記の金額に応じて相続税を計算し、その合計

金額を、相続税の総額とする。そうすると次のよ

うになる。

母 10,500万円×40%-1,700万円=2,500万円

長男 3,500万円×20%- 200万円= 500万円

二男 3,500万円×20%- 200万円= 500万円

長女 3,500万円×20%- 200万円= 500万円

結果相続税の総額が上記の合計金額の4,000万

円となります。

�3 各人の納付税額の計算

① 母の納付税額

4,000万円×(14,000万円/30,000万円)*

=1,880万円 *切り上げ47%とする。

② 長男の納付税額

4,000万円×(14,000万円/30,000万円)*

=1,880万円 *切り上げ47%とする

③ 二男の納付税額

4,000万円×( 1,000万円/30,000万円)*

= 120万円 *切り捨て3%とする

④ 長女の納付税額

4,000万円×( 1,000万円/30,000万円)*

= 120万円 *切り捨て3%とする

各人の納付税額は、上記のようになります。結

果、二男の方も納付税額は発生することになりま

す。尚、母(配偶者)については、配偶者の税額

軽減の規定があるので、母(配偶者)の取得した

遺産が、遺産の1/2以下の場合には、ゼロとな

ります。

このように、相続税額は、遺産分割がどのよう

に行われてもその総額は、変動することはありませ

ん。上記�2までは、同じになります。変動するの

は上記�3の計算が、その取得した割合によって変

動します。ただ配偶者の税額軽減規定があるので

分割の仕方では、納付税額が異なるし、二次相続

の相続税額も異なってきますので、相続税の申告

をする場合には、分割協議決定前に最寄りの税理

士の先生に相談なさった方がベストだと思います。

〔質問2〕

私の父が、2月1日に亡くなりました。父の

遺産は、3億円です。相続人は、母�長男�長

女と私(二男)です。私達は、遺産分割の協議

をしてきましたが、この度協議が成立しました

ので、相続税の申告を提出したいと思っていま

す。相続税の申告は、いつまでに提出したらよ

いのか教えてください。

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��福島の進路 2009.4 ■

税務・財務相談Q&A

〔回 答〕

相続税の申告書は、その相続の開始があったこ

とを知った日の翌日から10ヵ月以内に提出しなけ

ればならないことになっています。

尚、この期間内に国内住所及び居所を有しない

こととなる場合には、住所及び居所を有しないこ

ととなる日までに相続税の申告書を提出しなけれ

ばなりません。

相続の開始があったことを知った日とは、一般

的には被相続人の死亡の事実を知った日と解され

ています。そのため相続人により異なる場合があ

ります。その場合には、申告書の提出期限も異な

ることとなります。

従って、質問の場合には、相続人全員が、12月

1日が提出期限となります。

〔質問3〕

私の父が、2月1日に亡くなりました。相続

人は、母�長男�長女と私(二男)です。長男

は、10年前からアメリカの会社に勤務しており

アメリカの国籍を取得した上で妻子と共にワシ

ントンに居住しております。長女(父の扶養親

族)は、昨年からワシントンの大学に留学して

います。私と母は、日本国内に居住しておりま

す。この場合の納税義務の取り扱いはどのよう

になっているのでしょうか。

〔回 答〕

相続税法では、個人である相続税の納税義務者

について、無制限納税義務者と制限納税義務者及

び特定納税義務者に区分して規定しており、その

納税義務の範囲が異なっております。

1 無制限納税義務者

無制限納税義務者には、居住無制限納税義務者

と非居住無制限納税義務者があります。

�1 居住無制限納税義務者

居住無制限納税義務者とは、相続又は遺贈によ

り財産を取得した個人が、財産取得時において相

続税法の施行地(日本国内)に住所を有している

個人をいい、このときには、その取得財産が施行

地(日本国内)にあるかどうかにかかわらずその

全部について相続税が課税されます。

�2 非居住無制限納税義務者

非居住無制限納税義務者とは、相続又は遺贈に

より財産を取得した日本国籍を有する個人でその

取得をした時において、日本国内に住所を有して

いない者(その個人又は相続若しくは遺贈に係る

被相続人が、その相続又は遺贈に係る相続の開始

前5年以内のいずれかの時において日本国内に住

所を有していたことがある場合に限る)をいい、

このときにも、その取得財産が施行地(日本国内)

にあるかどうかにかかわらず、その全部について

相続税が課税されます。

2 制限納税義務者

制限納税義務者とは、相続又は遺贈により財産

を取得した個人が、財産取得の時において、相続

税の施行地(日本国内)に住所を有していない個

人(上記�2に該当する場合を除く。)をいい、こ

のときには、その取得財産のうち相続税の施行地

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�� ■ 福島の進路 2009.4

税務・財務相談Q&A

(日本国内)にあるものについてのみ制限的に相

続税が課税されます。

3 特定納税義務者

特定納税義務者とは、被相続人から相続又は遺

贈により財産を取得しなかった個人のうち、相続

税法第21条の161項の規定により相続時精算課税

の適用を受ける財産を被相続人から贈与で取得し

ている個人をいい、この個人は、贈与が相続とみ

なされて納税義務を負うこととなります。

尚、相続税法において住所とは、各人の生活の本

拠地をいい、同時に2ヵ所以上の住所はないものと

して取り扱われます。また、次の者の住所は、原則

として日本国内にあるものとして取り扱われます。

① 学術、技芸の習得のため留学している者で国

内にいる者の扶養親族となっている者

② 国外において勤務その他人的役務の提供をす

る者で国外における人的役務の提供が短期間

(おおむね1年以内をいう。)であると見込まれ

る者(その者の配偶者その他生計を一にする親

族でその者と同居している者を含む。)

以上のことから、質問者の場合、長男は、制限

納税義務者となり母�長女�二男は無制限納税義

務者になります。

〔質問4〕

父が亡くなりました。相続人は、母�長男�

長女�私(二男)の4人です。父は60年前から

郡山に住んでいます。母と私は、郡山市に、長

男は東京に、そして、長女は大阪に住んでいま

す。この度、相続税の申告書を提出しようと思

いますが、その提出先は、各相続人の住所地の

所轄税務署でよろしいですか。

〔回 答〕

居住無制限納税義務者及び特定納税義務者は、

日本国内にある住所地が納税地となり、相続税の

申告書は、その納税地の所轄税務署長に提出しな

ければなりません。また、非居住無制限納税義務

者、制限納税義務者、居住無制限納税義務者及び

特定納税義務者のうち日本国内に住所又は居所を

有しないこととなった者の納税地は、その者が納

税地を定めて申告した場合にはそれにより、その

申告がない場合には、国税庁長官が納税地を指定

することとされています。

しかし、被相続人の死亡の時における住所が日

本国内にある場合には、相続税の申告書の提出先

は、上記にかかわらずその被相続人の死亡の時に

おける住所地の所轄税務署長となります。

従って、質問者の場合には、亡くなった父の住

所地である郡山市の所轄税務署に相続税の申告書

を提出する必要があります。

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福 全国地方銀行協会

(平成21年2月発表分)から

輸出、生産活動が悪化するなど、後退色が強まる。

●後退色が強まる…東北、甲信越、北陸、北海道

�東北は、生産活動が低調、雇用情勢が悪化。甲信越は、生産活動、雇用情勢が悪化。北陸は、輸出が

低調、雇用情勢が悪化。北海道は、輸出が減少傾向、生産活動は弱い動きが拡大。

●後退…関東、九州、中国、近畿、東海、四国

�関東は、個人消費、生産活動が低調。九州は、設備投資、輸出が低調。中国は、輸出、生産活動が低

調。近畿は、輸出が低調、雇用情勢が低迷。東海は、輸出、生産活動が低調。四国は、生産活動が低

調、雇用情勢が低迷。

●足踏み…沖縄

�沖縄は、観光が頭打ち、雇用情勢が弱含み。

晴   :明るい

晴一部曇:一部に明るさ

曇   :停滞、持ち直し

曇一部雨:不振

雨   :厳しい

各 地 の 景 気

東北

関東

東海

近畿中国

四国

沖縄

甲信越

北海道

北陸

九州

��福島の進路 2009.4 ■

地方経済天気図

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�� ■ 福島の進路 2009.4

地方経済天気図

1.福島県の隣接6県の「現在の景気」(宮城、山形、新潟、群馬、栃木、茨城)

「宮城県」

�現在の景気:全体として、景気はさらに後退

している。

「山形県」

�現在の景気:雇用情勢が急速に悪化するなど、

後退している。

「新潟県」

�現在の景気:悪化している。

「群馬県」

�現在の景気:急速に悪化している。

「栃木県」

�現在の景気:悪化が続いている。

「茨城県」

�現在の景気:後退している。

2.隣接6県と北東北3県(青森、岩手、秋田)、東京都の「スポット情報」

�1 隣接6県について

「宮城県」

○仙台�宮城デスティネーションキャンペーン

(��)事務局は、期間中(10~12月)の観光客

数を発表。県内の主要な観光施設や祭り�イベ

ントへの入込客数は8,904千人と前年同期比6.8

%増、宿泊客数は509千人で同5.4%減。

「山形県」

○山形銀行が2008年12月に実施した「経営展望調

査」によると、2009年の県内景気は、2008年と

比べ「悪くなる」との回答が58.7%、「かなり

悪くなる」が34.6%を占め、先行きに対する強

い懸念が窺える結果。

○山形労働局の発表によると、1月時点の任意聞

き取りによる把握では、2008年10月~2009年3

月までに失業見込みの非正規労働者数は県内全

体で4,205人と12月時点の把握数(2,239人)か

ら倍増。単月では、2008年12月が1,774人と雇

い止めのピーク。

「新潟県」

○新潟経済社会リサーチセンターが県内企業

1,200社を対象に実施したアンケート調査によ

ると、新事業�新分野に「進出経験または進出

予定あり」と回答した割合は全体の41.9%。

○県のまとめによると、年末年始の県内スキー場

利用客数は前年比0.9%増の56万3千人。

○長岡市は、2008年11月に設けた「中小企業緊急

経営対策資金融資」の融資枠を当初の20億円か

ら13倍の263億円に拡大することを決定。

「群馬県」

○群馬経済研究所が行ったヒアリング調査結果に

よると、県内電気機械器具製造業者の最近の業

況は、世界的な金融危機や景気後退などから総

じて厳しい状況。各社が今後取り組むべき課題

は、主に①競争力の強化、②製品�部品の高付

加価値化�差別化、③環境関連分野への取り組

みなど。

○群馬経済研究所が行った県内製造業アンケート

調査によると、原材料価格の変動に関連して程

度の差はあれ、ここ3年間の内に製品価格の値

上げを実施した企業が多い状況。今後の値上げ

は「実施しない�できない」とする企業が多く、

その理由は「他社との競争が厳しい」という回

答の割合が高い状況。

○県の発表によると、急速な景気悪化により法人

事業税や法人県民税が大幅に減少し、2009年度

当初予算の県税収入額は2008年度当初と比べ

420億円減少する見込み。減収幅は過去最大で、

財源不足額は2008年夏試算の160億円から172億

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��福島の進路 2009.4 ■

地方経済天気図

円まで拡大する模様。

「栃木県」

○県内百貨店の初売りは、消費の冷え込みを受け

総じて低調。来客は多かったものの、客単価が

低下し、売り上げは不調。ガソリン価格の低下

や北関東自動車道開通の恩恵を受けた郊外型の

大型商業施設は比較的好調。「佐野プレミアム�

アウトレット」の来客数は約2割増加し、2008

年7月に実施した増設が奏功。「那須ガーデン

アウトレット」は広域から家族層を集客し、予

想を3割上回る来客数。

○日光市は、観光庁が整備を進める「観光圏」の

認定を目指し、早ければ2月中に認定申請。

「観光圏」は、観光地が広域に連携することで、

国際競争力の高い観光地作りを推進し、地域の

幅広い産業の活性化や発展を図ることが目的。

認定を受けると、事業費の補助や滞在型観光を

促進するための様々な恩恵を受けることが可能。

「茨城県」

○高級肉牛を生む全国屈指の名牛が茨城県に誕生。

県畜産センター肉用牛研究所(常陸大宮市)の

雄牛「平成勝」と城里町の農家の雌牛が交配さ

れ、2002年に「北国関7」という牛が誕生。こ

の牛の子供は、高級ブランド「常陸牛」の基準

を満たす能力が高い。全国から50頭以上が出品

された昨春の検定で、「北国関7」の血を受け

継いだ牛は肉の質や量など5部門で1~3位に

入り、県保有牛としてかつてない高評価。和牛

は、父親の血統が重視され、どの雌牛からも良

い牛が生まれるかが課題。「北国関7」の「種」

の流通が始まると、遺伝的能力の高さを聞きつ

けた県内外の畜産農家から熱いラブコール。真

の評価はこれからであるが、常陸牛の生産、販

売拡大へ大きな推進力になると期待。

�2 北東北3県と東京都について

「青森県」

○2008年県産リンゴの12月県外出荷量は前年比

7.0%減の2万6,710tと前3ヵ年の12月平均出

荷量を0.4%上回る水準。県外市場販売額は前

年比23.7%の57億2,800万円。消費地市場価格

は前年比20.0%低下し236円/㎏と4ヵ月連続で

低下。産地価格は前年比35.6%低下し103円/㎏。

○1月5日、県内製造業最大手のアンデス電気

(本社:八戸市)が東京地裁に民事再生法の適

用を申請。負債総額は約194億円に上り、県内

で過去4番目の規模。

「岩手県」

○厚生労働省の調査「非正規労働者の雇止め等の

状況について(1月報告)」(1月26日現在)に

よると、岩手県で2008年10月~2009年3月に失

職したか失職する見通しの非正規労働者は2008

年12月調査時点比44.4%(887人)増の2,883人。

就業形態別の内訳は、派遣が2,197人と最多、

次いで契約(期間工など)が497人、請負が74人                     。

○1月29日、東芝は、北上市に今春予定していた

半導体(携帯電話などに使われる ����型フ

ラッシュメモリー)工場の着工延期を発表。

(当社計画:2010年4月に完成予定。投資規

模:約8,500億円と県内の誘致企業で過去最大。

雇用:生産拡大に伴い1,000人程度まで増加さ

せる予定。)半導体市況の急激な悪化が要因で、

新たな着工時期は、市場動向をみながら判断す

る予定。

「秋田県」

○秋田船川税関支署のまとめによると、2008年の

管内3港の年間輸出入総額(速報値)は、1,641

億6,500万円と過去最高だった前年と比べ23.0

%減少し、2002年以来6年ぶりの減少。輸出が

前年比24.0%減、輸入が22.6%減。

「東京都」

○正月3が日の神社�仏閣の人出は、明治神宮が

前年比2万人増の319万人と前年同様全国第1

位。浅草寺が同18万人増の239万人と大幅に増

加し、順位は前年の8位から6位に躍進。

○1月14日、東京都は厳しい経済情勢に鑑み、都

が発注する公共工事の前払い制度について、こ

れまで工期60日以上の比較的大きな工事に限っ

ていたが、予定価格150万円以上の全ての工事

に拡大すると発表。施行日は1月19日。中野区、

世田谷区、調布市を始め多くの市町村も同様の

工事受注業者支援制度を取りまとめ、実行しつ

つある状況。

(出所:全国地方銀行協会地方経済天気図2月分より抜粋)

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�� ■ 福島の進路 2009.4

福島県景気動向指数

【福島県景気動向指数】―平成20年12月分―

(平成21年2月27日公表)(福島県企画調整部 統計分析課調べ)

1 概 括

12月の景気動向指数(��:コンポジット・インデックス、H17年=100)は、先行指数65.3ポイント、

一致指数65.4ポイント、遅行指数126.7ポイントとなった。

先行指数は、前月(71.2ポイント)を5.9ポイント下回り、4ヵ月連続の下降となった。

一致指数は、前月(73.7ポイント)を8.3ポイント下回り、7ヵ月連続の下降となった。

遅行指数は、前月(130.0ポイント)を3.3ポイント下回り、2ヵ月振りに下降に転じた。

2 一致系列の動向

寄与度をみると、手形交換金額(1枚当たり)はマイナスからプラスとなった。

一方、大型小売店販売額(既存店)はプラスからマイナスとなった。所定外労働時間指数(全産業)は

5ヵ月連続、出荷指数(鉱工業)は4ヵ月連続、生産指数(鉱工業)、大口電力使用量は3ヵ月連続、雇

用保険受給者実人員、有効求人倍率、建築着工床面積(鉱工業)は2ヵ月連続のマイナスとなった。

内訳をみると、大口電力使用量がマイナス1.41ポイント、雇用保険受給者実人員がマイナス1.40ポイン

ト、出荷指数(鉱工業)がマイナス1.32ポイント、所定外労働時間指数(全産業)がマイナス1.29ポイン

ト、有効求人倍率がマイナス1.28が、生産指数(鉱工業)がマイナス1.28ポイントとなっており、これら

の指標が下降に寄与した。

3 ��一致系列の推移

(注)1 ��の寄与度とは、��の増減がどの採用系列により引き起こされているかを把握するものです。

(出典:内閣府経済社会総合研究所景気統計部「景気動向指数の利用の手引き 1.(10)」より)

2 一部の計数は速報値を用いており、これはPで示しています。また、確定した段階で訂正を行い、

これはrで示しています。

3 「3ヵ月後方移動平均」とは、今月値から過去3ヵ月の平均値を、「7ヵ月後方移動平均」とは、

今月値から過去7ヵ月の平均値を指します。

(※「福島県景気動向指数」は3ヵ月ごとに掲載いたします。)

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��福島の進路 2009.4 ■

主要経済指標

県 内 主要経済指標���� Pは速報、rは訂正、※は年度計

鉱工業生産指数(季調済)(総合)注1

主 要 業 種 別鉱工業出荷指数(季調済)注1

製 造 工 業生 産 指 数

項目

年月

機 械 化 学 繊 維 食料品�たばこ17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

平成18年 102.3 2.3 102.3 2.3 108.2 8.2 93.7  ▲ 6.3 96.0  ▲ 4.0 88.9  ▲11.1 103.6 3.6平成19年 105.8 3.4 105.8 3.4 116.9 8.0 94.1 0.4 107.7 12.2 87.7  ▲ 1.3 109.4 5.6平成20年 102.3  ▲ 3.3 102.4  ▲ 3.2 113.2  ▲ 3.2 96.4 2.4 78.2  ▲27.4 83.0  ▲ 5.4 108.5  ▲ 0.820年1月 107.3 5.6 107.3 5.6 117.5 8.2 100.3 11.6 108.0 18.3 84.8 7.1 112.8 8.62 108.0 2.9 108.0 2.9 120.4 2.6 93.7 13.9 105.3 14.7 95.2 1.3 113.4 6.23 105.2 0.2 105.2 0.2 117.1 1.5 98.8 6.5 86.5  ▲10.9 76.1  ▲ 8.8 112.1 1.94 107.0 2.9 107.0 2.9 122.3 9.2 86.5  ▲ 7.9 81.3  ▲18.9 91.2  ▲ 4.5 112.3 6.75 107.7 1.5 107.7 1.5 121.5 3.9 96.9 5.8 81.8  ▲25.3 74.6  ▲ 2.0 118.2 7.66 108.0 1.1 108.0 1.1 122.8 3.9 99.6 3.5 72.3  ▲31.7 82.1  ▲ 4.8 114.4 4.77 106.7 1.6 106.7 1.6 119.6 2.4 100.4 4.9 66.8  ▲37.2 89.2 1.3 109.7 1.48 101.9  ▲ 6.6 101.9  ▲ 6.6 113.4  ▲ 7.4 99.2  ▲ 0.6 65.6  ▲42.2 75.1  ▲15.4 113.4  ▲ 1.79 102.6  ▲ 1.4 102.5  ▲ 1.4 111.1  ▲ 2.8 101.5 8.9 72.4  ▲33.8 85.8  ▲11.7 107.3 0.510 99.9  ▲ 9.1 100.0  ▲ 9.1 109.3  ▲12.7 96.2 6.5 61.1  ▲49.2 84.4  ▲10.5 103.1  ▲ 8.411 � 93.4  ▲16.0 93.4  ▲16.0 101.0  ▲18.5 � 93.1  ▲19.9 73.6  ▲40.6 � 78.9  ▲ 5.6 101.5  ▲14.212 � 83.8  ▲19.1 � 83.8  ▲19.1 � 87.1  ▲24.4 � 90.9 3.2 � 59.7  ▲50.6 � 91.0  ▲ 6.1 � 86.8  ▲19.5

21年1月 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―調査機関 県 企 画 調 整 部 統 計 調 査 課

注1.鉱工業生産�出荷�在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)

�������

項目

年月

使 用 電 力 量              公共工事前払金保証実績鉱工業在庫指数(季調済)注1

清 酒 課 税移 出 量

公共工事着工総 工 事 費総 量 うち大口電力使用量 発 生 件 数 保 証 金 額

17年=100

前年比% 103�/�

前年比% 103�/�

前年比%

��前年比

% 百万円前年比

% 件前年比

% 百万円前年比%

平成18年 100.8 0.8 ※15,433,355 3.1 ※6,386,535 8.1 20,169  ▲ 4.8 ※ 142,583  ▲30.6 ※6,458  ▲ 3.0 ※ 78,651  ▲11.2平成19年 105.0 4.2 ※16,154,916 4.7 ※6,849,270 7.2 18,926  ▲ 6.2 ※ 148,568 4.2 ※6,109  ▲ 5.4 ※ 73,622  ▲ 6.4平成20年 118.7 13.0 ※ ― ― ※ ― ― 18,387  ▲ 2.8 ※ ― ― ※ ― ― ※ ― ―20年1月 112.3 9.8 1,525,091 6.3 575,201 9.2 1,008  ▲ 4.2 6,076 2.7 384  ▲25.6 2,229  ▲34.0

2 110.8 8.4 1,484,267 10.9 585,974 14.2 1,505 5.0 7,475 29.2 330  ▲16.9 3,124 23.73 116.1 11.7 1,430,368 4.4 588,772 4.6 1,472  ▲ 7.5 26,001 47.5 224 4.2 5,467 22.94 119.1 12.0 1,343,575 3.1 593,381 10.3 1,663  ▲ 3.5 5,756 232.7 235  ▲34.9 6,856  ▲ 0.45 107.1 6.6 1,300,941 3.6 581,751 10.1 1,297  ▲ 3.0 3,319  ▲19.4 253  ▲ 2.3 3,582  ▲48.16 111.2 5.9 1,273,461 3.6 607,267 7.6 1,346  ▲ 5.8 18,509  ▲11.0 561  ▲26.0 6,867  ▲32.87 117.7 12.0 1,341,987 5.7 657,869 11.6 1,317  ▲ 2.4 14,916 9.5 771 7.5 9,178 6.58 116.4 11.6 1,401,271 3.0 595,959 5.7 1,037  ▲ 7.5 7,893  ▲50.9 531  ▲ 4.3 8,634 34.39 119.1 9.9 1,342,050  ▲ 0.6 622,822 7.5 1,473 18.5 24,496 37.9 745 10.0 8,275 12.110 131.8 22.9 1,278,199  ▲ 1.5 596,385 2.9 1,552  ▲ 2.0 9,121  ▲18.5 790 29.1 6,776  ▲ 0.811 130.3 23.9 1,266,075  ▲ 2.1 558,103  ▲ 2.3 1,717  ▲12.6 16,792 70.9 577  ▲ 5.3 5,850 38.912 � 133.4 22.1 1,287,145  ▲ 5.1 501,291  ▲14.3 3,000  ▲ 3.2 14,752 6.1 639 2.6 7,195 34.9

21年1月 ― ― 1,343,088  ▲11.9 454,429  ▲21.0 963  ▲ 4.4 ― ― 400 4.2 3,608 61.9

調査機関 県企画調整部統計調査課 東 北 電 力 福 島 支 店 福島県酒造組合 国土交通省 東日本建設業保証�株福島支店

注1.鉱工業生産�出荷�在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)

����

項目

年月

新 設 住 宅 着 工 着 工 建 築 物利 用 関 係 別 資 金 別

総 計持 家 貸 家 分 譲 給 与 民 間 資 金 公 的 資 金 建築物 床面積 工事費予定額

戸 前年比% 戸 戸 戸 戸 戸 前年比

% 戸 前年比% むね 百㎡ 百万円

平成18年 13,076 1.7 6,859 4,885 1,287 45 11,345 9.3 1,731  ▲30.3 12,573 25,934 356,541平成19年 11,721  ▲10.4 6,271 4,413 1,017 20 10,323  ▲ 9.0 1,398  ▲19.2 10,936 23,447 309,139平成20年 11,853 1.1 6,253 4,418 1,072 110 10,851 5.1 1,002  ▲28.3 10,692 22,869 330,56420年1月 1,000 9.8 412 528 56 4 932 11.4 68  ▲ 8.1 762 1,329 17,649

2 913 25.8 371 311 213 18 886 30.5 27  ▲42.6 740 1,665 22,5673 882  ▲ 5.1 543 225 113 1 798  ▲ 5.8 84 2.4 910 2,818 33,1274 825  ▲23.3 472 331 21 1 780  ▲13.7 45  ▲73.8 778 1,435 20,8585 896 8.0 498 259 91 48 832 8.8 64  ▲ 1.5 786 1,523 22,4636 1,000  ▲ 7.8 577 375 28 20 929 0.3 71  ▲55.3 948 2,035 26,2767 1,034 7.7 668 273 93 0 948 14.6 86  ▲35.3 1,076 2,231 29,6268 692  ▲20.3 465 119 108 0 616  ▲12.0 76  ▲54.8 754 1,816 28,5569 1,462 63.9 723 505 232 2 1,297 58.9 165 117.1 1,167 2,525 44,58710 1,048 10.7 526 490 19 13 956 13.4 92  ▲11.5 912 2,136 34,96111 946  ▲17.8 501 408 34 3 860  ▲13.6 86  ▲44.9 953 1,610 22,75212 1,155  ▲14.2 497 594 64 0 1,017  ▲14.1 138  ▲14.8 906 1,745 27,144

21年1月 733  ▲26.7 291 398 43 1 653  ▲29.9 80 17.6 575 1,943 22,339調査機関 国 土 交 通 省

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�� ■ 福島の進路 2009.4

主要経済指標

県 内����

項目

年月

福 島 空 港 利 用 者 数百貨店売上高注1

スーパー売上高注2

乗用車新車登録台数温泉旅館(福島、郡山、会津若松)利用者 国 内 線 国 際 線

百万円 前年比% 百万円 前年比

% 台 前年比% 人 前年比

% 人 前年比% 人 前年比

%平成18年 44,248  ▲ 5.1 186,292 3.6 74,630  ▲ 1.9 ※3,027,075 1.3 ※ 437,248  ▲ 6.9 ※ 77,661 19.2平成19年 43,025  ▲ 2.8 186,934 � 0.5 70,433  ▲ 5.6 ※3,022,966  ▲ 0.1 ※ 414,883  ▲ 5.1 ※ 70,501  ▲ 9.2平成20年 40,974  ▲ 4.8 191,551 2.3 68,798  ▲ 2.3 ※ ― ― ※ ― ― ※ ― ―20年1月 3,894  ▲ 4.8 16,545  ▲ 1.4 5,508 3.9 222,780  ▲ 5.9 24,542  ▲10.8 4,605  ▲19.6

2 3,005  ▲ 1.9 14,329 3.4 6,949 4.9 225,893  ▲ 2.7 28,189  ▲ 9.0 4,656  ▲ 9.73 4,006  ▲ 1.4 15,940 3.7 10,456  ▲ 2.9 231,259  ▲ 5.6 35,258  ▲ 7.6 5,238  ▲ 1.94 3,329  ▲ 6.9 15,502 2.7 5,085 8.1 217,925  ▲ 8.1 37,076  ▲ 6.5 5,570  ▲ 8.25 3,238  ▲ 4.6 15,946 2.4 4,641  ▲ 4.1 234,937  ▲ 0.3 31,936  ▲ 7.4 4,934  ▲ 8.96 3,178  ▲ 3.5 15,301 2.7 5,764  ▲ 3.5 234,822  ▲ 6.9 32,877  ▲10.1 5,023  ▲11.57 3,572  ▲ 3.2 15,941 3.5 5,842 12.6 219,529  ▲ 6.3 33,043  ▲ 5.4 7,103 19.28 2,810  ▲ 7.0 16,859 0.7 3,972  ▲ 4.2 285,462  ▲ 8.4 35,416  ▲11.5 7,903 5.39 2,872  ▲ 5.1 14,591 0.5 6,402  ▲ 7.0 215,687  ▲11.7 35,281  ▲ 9.9 6,771 4.710 3,311  ▲ 6.3 15,257 2.2 5,162  ▲ 3.2 283,522  ▲ 1.9 33,969  ▲ 9.7 7,677 3.311 3,704  ▲ 2.2 15,548 6.8 5,016  ▲18.3 285,347  ▲ 1.7 35,515  ▲ 2.1 3,552  ▲47.912 4,055  ▲ 9.6 � 19,792 1.6 4,001  ▲11.7 236,890  ▲ 4.7 25,927  ▲ 8.0 2,387  ▲48.8

21年1月 � 3,669  ▲ 5.8 � 16,670 0.8 4,494  ▲18.4 ― ― 24,796 1.0 2,536  ▲44.9調査機関 経 済 産 業 省 県自動車販売店協会 当 研 究 所 県 商 工 労 働 部 空 港 交 流 課

注1.前年(同月)比については全店舗(5店舗)。注2.前年(同月)比については全店舗(76店舗)。

����

項目

年月

消 費 者 物 価 指 数

総 合 食 料 住 居 光 熱 � 水 道 被服及びはき物 教 育 教 養 � 娯 楽

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

17年=100

前年比%

平成18年 100.2 0.2 99.5  ▲ 0.5 100.2 0.2 104.7 4.7 100.0 0.0 100.4 0.4 98.8  ▲ 1.2平成19年 100.4 0.2 100.5 1.0 100.6 0.4 105.0 0.3 99.4  ▲ 0.6 101.1 0.7 97.7  ▲ 1.1平成20年 102.4 2.0 104.1 3.6 100.0  ▲ 0.6 111.6 6.3 102.9 3.5 102.1 1.0 97.6  ▲ 0.120年1月 100.9 0.7 101.7 0.7 99.8  ▲ 1.5 108.4 3.6 95.9 2.9 101.3 0.8 95.9  ▲ 1.0

2 101.0 1.7 102.3 3.1 99.9  ▲ 1.4 108.1 3.6 94.1 5.0 101.3 0.7 96.1  ▲ 1.63 101.5 1.9 102.9 3.3 99.9  ▲ 1.0 108.5 4.1 100.0 4.2 101.3 0.7 96.8  ▲ 0.84 101.5 1.6 103.5 3.7 99.6  ▲ 1.2 109.8 5.8 105.1 6.1 102.5 1.2 97.6  ▲ 0.35 102.8 2.3 104.7 4.1 100.2  ▲ 0.4 110.4 6.0 107.0 5.2 102.4 1.1 97.6  ▲ 0.76 103.3 3.0 105.0 5.0 100.2  ▲ 0.7 112.7 7.8 104.8 3.9 102.4 1.1 97.9 0.47 103.3 3.4 104.0 4.4 100.3  ▲ 0.2 115.1 9.9 100.5 7.8 102.4 1.1 98.1  ▲ 0.18 103.6 3.4 105.3 5.1 100.0  ▲ 0.4 116.1 10.6 94.4 3.3 102.4 1.1 99.5 0.09 103.6 2.4 105.3 3.2 99.9  ▲ 0.5 116.2 10.7 105.3 0.0 102.4 1.1 98.4 0.310 103.3 1.9 105.2 2.6 100.0 0.0 114.1 8.4 108.2 1.3 102.4 1.1 98.3 0.511 102.2 1.1 104.3 3.6 99.9 0.0 111.2 4.6 110.8 1.7 102.4 1.1 97.6 1.512 101.5 0.2 104.4 3.2 99.7  ▲ 0.1 109.0 1.1 108.1 1.7 102.4 1.1 97.4 0.5

21年1月 101.4 0.5 106.8 5.0 99.7  ▲ 0.1 109.6 1.1 96.0 0.1 102.4 1.1 96.8 0.9調査機関 総 務 省 統 計 局

※ 平成17年3月以降は福島市の消費者物価指数を福島県の消費者物価指数とみなす。

������

項目

年月

有 効 求 職 者 数注1

有 効 求 人 数注1

有効求人倍率

新規求人数注1

雇用保険受給者実人員注1

常用雇用指数(産業計)

実質賃金指数(産業計)

所定外労働時間(産業計)

人 前年比% 人 前年比

%注2

倍 人 前年比% 人 前年比

%17年=100

前年比%

17年=100

前年比% 時間 前年比

%平成18年 34,924  ▲ 5.8 31,063 4.5 0.89 12,580 3.6 9,494  ▲ 9.2 100.0 0.1 101.5 1.5 14.5 � 3.9平成19年 34,445  ▲ 1.4 30,607  ▲ 1.5 0.89 12,514  ▲ 0.5 9,196  ▲ 3.1 102.1 2.1 100.7  ▲ 0.8 13.8 � 1.3平成20年 36,828 6.9 25,123  ▲17.9 0.68 9,898  ▲20.9 9,658 5.0 103.3 1.2 98.7  ▲ 2.0 13.2  ▲ 4.520年1月 32,541 0.2 25,961  ▲15.3 0.77 10,628  ▲19.0 8,627  ▲ 1.9 102.2 1.4 85.2 2.4 13.0 0.7

2 33,607 2.9 27,566  ▲12.5 0.79 11,671  ▲14.8 8,494  ▲ 0.3 101.9 1.1 83.2  ▲ 0.6 13.6  ▲ 3.53 36,423 3.7 28,523  ▲14.8 0.74 11,696  ▲15.8 8,406  ▲ 1.6 101.8 1.8 85.4 0.6 13.4  ▲ 6.94 38,541 4.6 26,959  ▲14.5 0.74 10,260  ▲16.3 9,132 7.6 104.0 1.2 84.6  ▲ 1.9 14.1 2.25 37,874 1.2 25,196  ▲16.1 0.76 9,386  ▲22.2 9,998  ▲ 0.7 104.2 1.5 81.9 0.6 13.4 2.36 37,853 4.2 24,296  ▲16.5 0.72 9,680  ▲18.4 10,315 6.1 104.1 1.4 148.5 0.0 13.8  ▲ 1.57 38,360 8.3 24,621  ▲15.2 0.69 10,198  ▲17.7 10,724 5.4 104.1 1.5 111.6  ▲ 0.9 14.1 6.08 36,747 6.5 24,122  ▲20.7 0.66 9,232  ▲31.6 10,276 2.9 104.0 1.4 86.1  ▲ 0.9 13.6 3.09 37,611 10.9 24,831  ▲22.4 0.61 10,037  ▲21.7 10,157 9.6 103.7 1.3 81.8  ▲ 0.6 13.3  ▲ 4.310 37,621 9.6 25,172  ▲24.0 0.62 10,154  ▲28.4 9,971 5.0 103.5 1.0 81.6  ▲ 2.2 12.7  ▲ 9.911 36,786 10.6 23,072  ▲22.5 0.58 8,348  ▲25.8 9,529 8.1 103.4 1.1 83.1  ▲ 2.4 12.4  ▲13.312 37,976 22.1 21,156  ▲20.5 0.53 7,490  ▲18.3 10,264 21.0 103.0 0.6 171.4  ▲10.0 10.6  ▲25.9

21年1月 43,548 33.8 21,107  ▲18.7 0.48 9,492  ▲10.7 11,657 35.1 ― ― ― ― ― ―調査機関 福 島 労 働 局 職 業 安 定 課 県企画調整部統計調査課 注3

注1.各年の年計は月平均。注2.季節調整値。注3.調査対象事業所の抽出替えに伴い、前年比はギャップ修正されている。

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��福島の進路 2009.4 ■

主要経済指標

県 内�������

項目

年月

民 間 金 融 機 関 信 用 保 証 申 込日 銀 券発行状況( ▲発行超) 預 金 貸 出 金 実質預金 一般預金 公金預金 金融機関預金 件 数 金 額

億円 億円 前年比% 億円 前年比

% 億円 億円 億円 億円 件 前年比% 百万円 前年比

%平成18年  ▲1,775 61,185  ▲ 0.1 38,929 0.1 61,098 58,036 2,669 392 ※16,655  ▲10.2 ※149,032  ▲15.2平成19年  ▲2,336 62,256 1.8 38,326  ▲ 1.5 62,176 59,183 2,626 365 ※15,306  ▲ 8.1 ※146,996  ▲ 1.4平成20年  ▲2,704 63,665 2.3 38,824 1.3 63,592 60,577 2,709 304 ※ ― ― ※ ― ―20年1月 323 61,569 2.0 38,018  ▲ 1.6 61,538 58,421 2,553 562 1,120 8.4 10,900 28.7

2  ▲ 175 61,593 2.1 37,986  ▲ 1.5 61,564 58,469 2,482 611 1,126  ▲ 6.2 11,022  ▲ 2.73  ▲ 289 61,590 0.9 38,238  ▲ 1.1 61,553 58,394 2,561 596 1,397  ▲ 9.8 12,890  ▲ 6.24  ▲ 316 62,287 1.4 37,829  ▲ 1.0 62,251 59,372 2,285 592 895  ▲17.8 8,720  ▲10.85 21 62,489 2.1 37,856  ▲ 0.1 62,424 59,084 2,831 507 995  ▲15.1 9,963  ▲ 4.96  ▲ 244 63,556 1.8 37,799  ▲ 0.6 63,519 59,542 3,449 527 1,124  ▲19.6 12,569  ▲11.27  ▲ 211 63,043 2.9 37,989 0.5 63,017 59,111 3,335 570 1,173  ▲15.2 12,512  ▲ 3.98  ▲ 210 63,224 3.3 38,104 1.2 63,163 59,765 3,029 368 1,024  ▲18.1 9,725  ▲18.59  ▲ 120 62,534 2.0 38,133 0.3 62,503 59,193 2,748 560 1,250  ▲10.6 14,264  ▲ 9.010  ▲ 476 62,298 2.1 38,237 0.6 62,271 59,326 2,458 485 1,423 11.3 14,700 19.811  ▲ 139 62,750 2.5 38,335 1.3 62,691 59,404 2,870 416 1,188 3.5 14,509 30.012  ▲ 868 63,665 2.3 38,824 1.3 63,592 60,577 2,709 304 2,682 73.6 35,046 155.4

21年1月 335 62,925 2.2 38,759 1.9 62,865 60,101 2,449 314 1,887 68.5 25,013 129.5

調査機関 日 本 銀 行 福 島 支 店 注1 県 信 用 保 証 協 会

注1.各年の年計は12月の末残

������

項目

年月

県 内 4 市 手 形 交 換 高 注1 不 渡 手 形 注1 企 業 倒 産 信 用 保 証 協 会 代 位 弁 済

枚 数 金 額 枚 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額

千枚前年比

% 百万円前年比

% 枚前年比

% 百万円前年比

% 件前年比

% 百万円前年比

% 件前年比

% 千 円前年比

%平成18年 877  ▲ 9.3 897,527  ▲ 3.5 1,705 20.2 2,009 50.1 106  ▲ 3.6 64,617  ▲ 1.3 ※ 661 14.2 ※6,295,557 14.1平成19年 803  ▲ 8.4 849,912  ▲ 5.3 1,548  ▲ 9.2 1,983  ▲ 1.3 133 25.5 115,648 79.0 ※ 957 44.8 ※7,483,952 18.9平成20年 727  ▲ 9.4 773,496  ▲ 9.0 2,287 47.7 5,788 191.9 175 31.6 78,792  ▲ 31.9 ※ ― ― ※ ― ―20年1月 68  ▲ 9.8 75,099  ▲ 2.9 123  ▲23.6 219  ▲ 4.4 15 7.1 9,227 436.1 66  ▲ 9.6 397,597  ▲ 46.6

2 60  ▲ 8.8 62,390  ▲ 7.6 183 77.7 159 29.0 13 85.7 4,793 27.0 93 78.8 535,149  ▲ 9.23 61  ▲ 2.0 64,408 11.6 259 232.1 263 144.7 15  ▲ 11.8 12,123 34.3 184 109.1 1,387,794 80.44 63  ▲ 6.6 65,286  ▲ 8.3 249 245.8 591 873.4 11 10.0 10,755  ▲ 83.6 58 866.7 354,317 612.85 56  ▲29.9 60,443  ▲33.6 136  ▲12.8 211 84.4 20 122.2 6,141 25.1 86 50.9 780,793 79.46 67 12.2 79,255 0.7 380 420.5 508 705.5 16 33.3 7,405 166.9 75 36.4 433,204  ▲ 4.37 64  ▲17.3 66,396  ▲18.6 261 139.4 416 229.3 12 71.4 3,054  ▲ 57.7 133 24.3 1,256,341 69.68 51  ▲22.9 57,696  ▲20.4 77 2.7 106 31.9 6  ▲ 60.0 480  ▲ 84.8 122 76.8 936,919 36.49 65 22.2 68,310 37.7 223 1.4 294  ▲ 22.1 16 77.8 12,468 53.3 126 96.9 1,000,561 52.210 59  ▲19.9 58,612  ▲24.4 152  ▲33.6 153  ▲ 47.4 20 100.0 4,041  ▲ 24.3 140 105.9 953,653 78.211 48  ▲24.3 42,923  ▲28.1 93  ▲42.9 2,677 953.4 16 45.5 4,623 141.7 78 13.0 533,635 18.312 64 11.8 72,678 10.8 151 38.5 192 22.6 15 25.0 3,682 72.6 186 56.3 1,272,375 10.2

21年1月 52  ▲23.6 53,261  ▲29.1 146 18.7 205  ▲ 6.3 10  ▲ 33.3 1,110  ▲ 88.0 5  ▲ 92.4 53,879  ▲ 86.4調査機関 当 研 究 所 帝国データバンク福島支店 県 信 用 保 証 協 会

注1.県内4市手形交換所�累計 ※平成17年4月から任意整理を除く。

国 内P印は速報、r印は訂正

項目

年月

国内銀行勘定 注1 手形交換高(全国) 企業倒産(負債総額千万以上)国庫対民間収支尻(総計)( ▲払超)

マ ネ ー ストック残高(M3)

(平 残)

日銀券平均発行 高

全国銀行貸出約定平均金利

コ ー ルレ ー ト(有担保翌日物)実質預金 貸出残高 枚 数 金 額 件 数 金 額

億円 前年比%

前年比% 百億円 前年比

% 百億円 前年比% 年利% 年利% 千 枚 千億円 前年比

% 件 前年比% 億円 前年比

%平成18年 ※407,654  ▲ 0.3 1.0 52,867 0.4 41,558 1.7 1.766 0.0990 134,230 4,779  ▲ 9.7 13,245 1.9 55,006  ▲17.9平成19年 ※371,981 0.2 1.4 54,504 3.1 41,764 0.5 1.945 0.4200 123,564 4,633  ▲ 3.1 14,091 6.4 57,279 4.1平成20年 ※ ― 0.8 0.8 55,706 2.2 43,685 4.6 1.865 0.4130 111,994 4,330  ▲ 6.5 15,646 11.0 122,920 114.620年1月 109,140 0.7 1.5 54,430 3.1 41,548 0.9 1.930 0.4500 10,655 373 1.2 1,174 7.6 5,812 1.32 50,863 0.8 1.1 54,576 3.1 41,621 1.6 1.922 0.4500 9,282 343  ▲ 2.7 1,194 8.3 3,652 26.13  ▲ 26,433 0.8 0.8 55,234 2.8 41,942 1.4 1.926 0.4530 9,431 410 1.1 1,347 8.0 4,730  ▲ 3.24 28,300 0.5 0.6 55,327 2.4 41,630 1.5 1.916 0.4500 9,450 365  ▲ 2.0 1,215 8.4 7,181 16.55 63,571 0.7 0.7 55,234 2.1 41,705 2.2 1.916 0.4500 8,131 337  ▲22.3 1,290  ▲ 1.5 5,498 49.26  ▲ 65,056 0.9 0.7 55,742 3.2 41,900 2.0 1.913 0.4520 10,505 427 3.2 1,324 11.7 4,924 56.27 108,280 0.8 0.6 55,209 2.2 41,860 2.2 1.910 0.4500 10,611 356  ▲14.6 1,372 12.9 6,653 90.28 44,432 1.0 0.9 55,082 2.5 41,887 2.0 1.908 0.4500 7,547 303  ▲25.6 1,254 4.2 8,680  ▲ 0.39  ▲ 8,461 0.9 0.4 55,208 2.4 42,072 1.9 1.913 0.4510 10,039 389 16.7 1,408 34.5 53,625 1,064.210 38,209 0.5 0.8 54,813 2.0 42,381 3.6 1.906 0.4410 8,929 363  ▲ 7.9 1,429 13.4 10,077 118.411 41,100 � 0.6 1.1 55,450 2.0 42,841 4.4 1.889 0.2600 7,078 275  ▲22.6 1,277 5.3 5,761 17.012  ▲ 19,583 � 0.7 0.5 55,706 2.2 43,685 4.6 1.865 0.2010 10,336 388 2.4 1,362 24.2 6,327 43.4

21年1月 106,216 � 0.9 0.4 55,496 2.0 43,374 4.4 ― 0.0800 ― ― ― 1,360 15.8 8,390 44.4調査機関 財務省 日 本 銀 行 全国銀行協会 東京商工リサーチ

注1.国内銀行勘定の各指数は、オフショア勘定を含む数値。

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�� ■ 福島の進路 2009.4

主要経済指標

国 内項目

年月

輸出入物価指数 鉱 工 業 (季調済)注1企業物価指数

(総平均)

消費者物価指数全国総合

(167都市町村)

製造業稼働率指 数

機械受注(280社分)船舶�電力除く民需(季調済)輸 出 輸 入 生 産 指 数 生産者出荷指数 生産者製品在庫指数

17年=100

前年同月比%

17年=100

前年比%

17年=100(円ベース)

17年=100

前年同月比%

17年=100

前年同月比%

17年=100

前年比%

17年=100 億円 前期比

%平成18年 102.2 2.2 100.3 0.3 103.1 113.9 104.5 4.5 104.6 4.6 102.7 3.5 102.7 128,537 4.0平成19年 104.0 1.8 100.3 0.0 105.4 122.4 107.4 2.8 107.8 3.1 104.0 1.3 103.7 �123,366  ▲ 4.0平成20年 108.8 4.6 101.7 1.4 99.1 133.2 103.8  ▲ 3.4 104.4  ▲ 3.2 108.9 4.7 99.3 116,022  ▲ 6.020年1月 105.7 3.1 100.7 0.7 99.8 126.8 108.5 2.9 110.0 3.9 105.3 1.9 104.4 11,893 17.32 106.2 3.6 100.5 1.0 �100.2 128.8 110.2 5.1 111.3 5.8 105.4 2.3 106.3 10,433  ▲12.33 106.7 3.9 101.0 1.2 97.3 125.3 106.5  ▲ 0.7 107.0 0.1 105.5 2.1 102.6 9,568  ▲ 8.34 107.6 4.0 100.9 0.8 99.7 133.0 106.3 1.9 108.0 2.8 104.2 1.0 101.9 10,094 5.55 108.9 4.9 101.7 1.3 101.4 138.5 109.3 1.1 110.2 1.7 104.7 1.5 104.1 11,146 10.46 109.9 5.8 102.2 2.0 104.2 148.6 106.9 0.0 106.9  ▲ 0.6 105.9 2.7 102.3 10,851  ▲ 2.67 112.2 7.3 102.4 2.3 105.4 152.7 108.3 2.4 108.9 3.1 105.8 2.2 103.7 10,428  ▲ 3.98 112.3 7.4 102.7 2.1 105.5 156.1 104.5  ▲ 6.9 104.9  ▲ 6.8 105.5 1.7 100.1 8,917  ▲14.59 111.6 6.8 102.7 2.1 102.4 145.6 105.6 0.2 105.3  ▲ 0.6 107.6 3.2 101.7 9,407 5.510 110.0 5.0 102.6 1.7 95.2 129.5 102.3  ▲ 7.1 102.1  ▲ 7.3 109.5 4.4 97.7 8,997  ▲ 4.411 107.9 2.8 101.7 1.0 90.5 �113.8 93.6  ▲16.6 93.5  ▲17.0 110.4 4.3 88.5 7,542  ▲16.212 106.6 1.1 101.3 0.4 � 87.0 � 99.9 � 84.4  ▲20.8 �85.9  ▲20.6 110.5 4.7 78.1 7,416  ▲ 1.7

21年1月 �105.5  ▲ 0.2 100.7 0.0 � 86.3 � 95.6 � 76.0  ▲30.8 76.1  ▲31.6 �108.3 2.8 ― ― ―調査機関 日 本 銀 行 総務省統計局 日 本 銀 行 経 済 産 業 省 内 閣 府

注1.鉱工業の各指数の前年比は原指数の増減率。

項目

年月

建設工事受注(50社分)(季調済) 大 型 小 売 店 販 売 額新設住宅着工戸数 乗用車新車登録台数

常用雇用指数注1(製造業)(未季調)

所 定 外労働時間注2

(製造業)

有 効 求人 倍 率

(季調済)

完全失業者数総 額 民 間 百 貨 店 ス ー パ ー

億円 前年比% 億円 前年比

% 千戸 前年比% 億円 前年比

% 億円 前年比% 千台 前年比

%17年=100 時間 倍 万人

平成18年 136,214  ▲ 2.0 98,886 4.3 1,290 4.4 86,440  ▲ 0.7 125,010  ▲ 1.6 4,642  ▲ 2.2 101.0 16.5 1.06 275平成19年 137,946 1.3 103,701 4.9 1,061  ▲17.8 84,652  ▲ 0.7 127,336  ▲ 1.3 4,400  ▲ 5.2 102.0 16.6 1.04 257平成20年 140,056 1.5 98,847  ▲ 4.7 1,093 3.1 80,788  ▲ 4.2 128,756  ▲ 1.3 4,228  ▲ 3.9 102.9 15.2 0.88 26520年1月 9,385  ▲ 2.5 6,789  ▲11.8 87  ▲ 5.7 7,399  ▲ 2.1 11,400  ▲ 2.0 320 3.8 102.1 15.0 0.98 256

2 12,212 18.4 7,768 8.9 83  ▲ 5.0 5,833 1.0 9,706 1.4 429 1.0 102.1 16.8 0.97 2663 25,513 6.4 18,247 6.0 84  ▲15.6 7,231  ▲ 1.2 10,472 1.3 614  ▲ 4.0 102.1 17.2 0.95 2684 7,598  ▲ 8.4 5,844  ▲14.2 98  ▲ 8.7 6,381  ▲ 3.4 10,431  ▲ 1.5 306 5.4 103.6 16.4 0.93 2755 7,829  ▲25.2 6,064  ▲23.2 91  ▲ 6.5 6,405  ▲ 2.5 10,546  ▲ 1.7 296  ▲ 3.6 103.6 15.1 0.92 2706 12,078  ▲11.7 8,114  ▲23.8 101  ▲16.7 6,442  ▲ 7.3 10,466  ▲ 1.7 364  ▲ 2.5 103.4 15.6 0.91 2657 11,553 42.3 8,471 38.6 97 19.0 7,716  ▲ 2.3 10,945 0.5 383 7.0 103.4 15.6 0.89 2568 9,276  ▲ 0.3 6,525  ▲ 3.8 97 53.6 5,567  ▲ 2.9 10,964  ▲ 1.8 255  ▲ 8.0 103.1 14.6 0.86 2729 17,287 10.3 12,873 4.8 97 54.2 5,731  ▲ 4.6 9,859  ▲ 2.5 397  ▲ 4.5 103.0 15.2 0.84 27110 10,369 47.2 5,638 5.0 92 19.8 6,369  ▲ 6.9 10,299  ▲ 2.6 315  ▲ 6.3 102.9 15.1 0.80 25511 8,015  ▲12.5 6,067  ▲13.9 84 0.0 7,058  ▲ 6.4 10,747  ▲ 0.7 296  ▲18.9 102.8 13.9 0.76 25612 8,942  ▲27.3 6,447  ▲26.1 82  ▲ 5.8 8,658  ▲ 9.6 12,919  ▲ 3.6 253  ▲17.3 102.5 12.0 0.72 270

21年1月 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― � 256  ▲20.0 ― ― ― ―調査機関 国 土 交 通 省 経 済 産 業 省 注3 厚生労働省 注4

注1.従業員30人以上から5人以上、季調済から未季調に変更注2.従業員30人以上から5人以上に変更注3.日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会

登録車種(ナンバー)ベース、但し平成15年まではシャーシーベース。注4.総務省統計局、各年の年計は月平均。

項目

年月

通 関 国 際 収 支 (I M F 方 式)注1 外貨1米ドルあたり(東京市場)外貨準備高(年月末)輸 出 輸 入 貿易�サービス収支 所得収支 経常収支 投資収支 資本収支 直物終値

注2月中最安値 月中最高値

百万ドル 前年同月比% 百万ドル 前年同

月比% 億 円 百万ドル 円

平成18年 647,286 8.2 579,301 11.7 73,460 137,459 198,488  ▲119,132  ▲124,666 895,320 118.92 119.80 109.02平成19年 712,736 10.1 621,081 7.2 98,251 163,267 247,938  ▲220,652  ▲225,384 973,365 113.12 124.14 107.29平成20年 776,203 8.9 755,501 21.6 17,973 158,324 162,802  ▲190,020  ▲195,558 1,030,647 90.28 95.57 107.3220年1月 58,252 16.8 58,823 17.8  ▲1,803 14,484 11,637  ▲13,439  ▲13,615 966,044 106.63 110.10 105.62

2 65,239 23.0 56,240 24.7 9,298 16,755 25,142  ▲26,597  ▲27,305 1,007,981 104.34 108.37 104.273 73,679 16.1 62,929 26.1 11,944 19,593 29,024  ▲29,576  ▲30,313 1,015,587 99.37 104.01 95.774 68,435 22.0 63,754 31.5 2,053 12,973 13,859  ▲23,895  ▲24,134 1,003,836 104.05 104.82 99.595 65,465 19.3 62,055 20.2 4,875 15,663 19,804  ▲19,101  ▲19,349 996,975 105.46 105.73 102.586 67,963 13.5 66,913 34.8 19 5,716 4,716  ▲ 91  ▲ 353 1,001,549 105.33 108.59 103.967 71,323 24.2 70,554 36.0 837 16,454 15,693  ▲12,480  ▲12,614 1,004,658 108.13 108.23 103.918 65,166 10.3 68,260 29.1  ▲2,570 14,046 10,610  ▲ 3,265  ▲ 3,460 996,741 108.80 110.48 107.329 67,984 7.9 67,144 36.9 1,677 14,860 15,646  ▲14,753  ▲15,610 995,890 104.76 109.09 103.5010 66,716 3.1 67,298 19.9 � ▲1,319 � 12,091 � 9,605 � ▲ 8,415 � ▲ 8,511 977,723 97.01 106.54 91.8811 54,379  ▲15.0 �56,671  ▲ 0.6 � ▲1,842 � 8,447 � 5,812 � ▲24,019 � ▲24,227 1,002,861 95.31 99.93 93.6512 �51,601  ▲23.3 ��54,861  ▲ 7.8 � ▲5,196 � 7,242 � 1,254 � ▲14,389 � ▲16,067 1,030,647 90.28 95.57 87.19

21年1月 ― ― ― ― ― ― ― ― ― 1,010,958 89.51 ― ―調査機関 財 務 省 財 務 省 財務省 日 本 銀 行

注1.発表形式の変更により項目を改定。および単位を円ベースに変更。なお、計数は�及して変更済。注2.17時時点の気配値ベース。

Page 63: 福 福島の進路 2009.4 №320fkeizai.in.arena.ne.jp/pdf/kikansi/kikansi_2009_04_1.pdf · CONTENTS 福 福島の進路 2009.4 №320 C O N T E N T S 【しんろ】 「ワイン」と「日本酒」

編 集 後 記� �

編集の仕事には原稿の手配や校正など様々な苦労があります。

その一方、この仕事ならではの楽しみが幾つかあります。特に、頂いた原稿がこちらの狙いにド

ンピシャリ……という時の快感は最高です。

今月号の「しんろ」にはジェトロ福島事務所の岡田さんが、「「ワイン」と「日本酒」」というタ

イトルでご寄稿下さいました。昨年郡山の事務所でお目にかかった際、経済の話や貿易の話などい

ろいろお聞きしましたが、最後に「実は私、酒どころ新潟県の出身でして……。」とおっしゃるの

をしっかり覚えておりました。

軽妙な語り口の「お酒」の文章。「酒好き」な皆様にピッタリの「しんろ」です。

(若狭)