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【カ テ ゴ リーII】 日本建築学会環境系論 文集 　第 584号 ，916，2004年 10月　　　J．Environ．　Eng．，　AIJ，　No ．584，9−16，0ct、．2004

病院待合室 の 音環境 に 関する研究

ASTUDY 　ON 　ACOUSTIC 　ENVIRONMENT 　AT 　WAITING 　AREAS 　IN　HOSPITALS

豊 増 美 喜 ’ 1，大 鶴　 徹＊ 2

， 内之浦 祐樹’ 3

， 岡 本 則 子＊ 4

， 富 来 礼 次＊ 5

　　　　Miki　 TO 　YOMASU，　 Tora　OTSURU

，　 y跏 んJ　 UCHII＞OURA ，

　　　　　　　　　 N ∂褫 oOKAMOT （）and 麁 勿 T（）MIKU

Aseries 　of　measureme 蹟 s　of 　sound 　press肛 e 　levels　 were 　carried　out 註t　waiting 　areas　in　hosIオ翻 s； me 寧nwhile ，

psychoaQousdcal　survey 　ques緬onna 孟res 　were 　Qonducted ．　M ¢ asurements 　of　impulse　resp〔mses 　were 司so　carded 　out

bext 田 ct　reverbera 雌on 口me （賜 ）．　As　 a　resul し the　relaUonship 　between　the　LA．o　and 　quesUonnaires　 reveals　the

statistical　tendency　that　the　su司ec 樋ve 　percepUon　of 　aoous 恒c　condition ω ms 　to’層bad”rrom”good

”at　the　60dB．　The

comparison 　of　T，。　and 電he　average 　absor 凶 on 　coefflcients （α ）f（）r　waiUng 　afeas 　o 脈 ｝r 電he　hypothesis　that　the

difference　in　ceiling 　absorpUon 　coef 懾cients 　innuences　architec ω ra 舊acoustic 　condition ．

Keywents：　hOspital，　waiting 　area ，　SOi”id　environtnent ，　SO “ ndpressure 　level，　guestionnaire

　　　　 病院，待合室，音環境，騒 音 レ ベ ル，ア ン ケート

1

1， は じめ に

1．1．背景 と 目的

　ア メニ ティ や 癒しの 環境へ の 関心 が高 まる 中、医療施設 に おける

音環 境は、今後重要視さ れ て い くと思 われる。また、1995年の厚 生

白書1，で は、国民 の ほ ぼ6罰が医療をサ

ービス 業と と らえ て い る とい

う実態が示さ れ、1997年の 同白書2，は、医療の 質 の 確保

・改善の 立場

か ら、技術評価 と共 に、医療 の 「質 の 評価 」 が 重 要性 を増 して い る

と して い る。医療の 「質 の 評 価 は、個別 技術 の み な らず、施設設

備 ・人 員 ・体 制な どが 総体 と な っ て 提 供 され る 医療サー

ビ ス を患 者

側か ら 全体 的に 評価 す る も の と さ れ る。筆 者 ら は、医療 の 質 の 善 し

悪 し に及 ぼす 医療施 設 の 音環境 の 影響 が 無視で き な い も の と考 え

る。即 ち、患者や 家族な どの 同伴者 （以下、利用者 と 表す） に 良質

な医療 サー

ビス を確保す る た め、医 療施設の 音環境も、利用者の評

価か ら改善を検討するべ き で ある。

　病 院 の 部 門は大 き く 「病棟」　 「外来 部」　 「診療 部門 亅　 「供給部

門」　 「管理 部」 の 5部 門に 分け られ るs，。　 「外 来 部」 に 属す る待合室

は、病 院各部門の 利用者 の 多 くが 滞在、通過す る 場で ある。ま た 日

本で は、戦後の 医療機 関の 中央化 や 大病 院指 向に よ っ て 、利用者が

総合 病院へ 集中 し、待合 室 で 長 い時 間 を過 ごして い る と言 わ れ て い

るd）．G）。公共 公益施設 で ある 病 院の 待合 室 に は、多数 の 人 が出入 り

し、人の 声や 動作 音、機械 音 に加え、絶 え 間ない アナ ウン ス音 の 報

告7麹もあり、多 くの 音が存在 して い る。こ の 状況は、利用者 に と っ て

好 ま しくない 音環境で ある と考 え られ る。

　 病院 の 音環 境 に関す る 既往 の 研 究で 、ICU を含む 病棟部 門 の 音環

境 を対象と したもの は、過去 に 国内外で 行われて お り、例 え ば国内

で は、Kuwano％ 、山田9，らに よる 研究が ある。しか し外 来部を対象

に 含む研究は、山 田 らによ る 内部発生音 の 調査 loや 、上原 に よ る外

来 ロ ビー

の 音環境調 査” ）が あ る もの の．待 合 室 の 騒 音 レペ ル の連続

測 定、ア ン ケー

ト調 査、及 び 改 善策 な ど対 策 手 法 の 効 果 につ い て、

未だ 十分 に報告 は され て い な い。

　 そ こ で 本研 究で は、待合 室 の 音環 境 の実 態 を調 査 し、そ の 問 題 点

と、建築 音響 的な対策 手 法 の効果 を 明 ら か にす る こ と を 目的 と す

る。ま ず騒音 の 時間変動 の実 態 を把握す る た め、待合室 で 騒 音 レベ

ル の連続 測定 を 行う。続 い て．待合室 の利用者 が、室 内の音環 境 を

どの よ う に 捉え て い るか を把 握するた め の ア ンケー

ト調査 を行 う。

さ ら に、待合 室で 働 く看護師 ・事務 職員 等 （以下、ス タ ッ フ と 表

す） に対 して も、利用者 と ス タ ッ フ を比較 し回答の 傾 向を見 る ため

に ア ン ケート調査 を行 う。最 後に、待合室 に お ける 建築音響 的な 対

策手法 の一

端 と して 、天 井仕上 げ 材の 変更 によ る効果を 検討 した。

1．2　調 査対 象

　騒音 レベ ル及びイ ンパ ル ス 応 答 の 測定対 象は、3病 院の 待 合重7室

ll大分 大学 大学院工 学研 究科 環境工 学専攻博 上後 期課程

　 大学 院生‘2

大分 大学 工 学部福祉環 境⊥ 学科 建築コース 　教 授・工 博

ls   イ ン クス 　修 一L（工 学 ）’4

大分 大学 大 学院工 学研 究科 環 境 工 学 専 攻 博 十 後 期 課 程

　 大学 院生 ・修士 （工 学〉“5大分 大学 VBL 　研究貝 ・博一｝：（工 学）

Graduate 　Student，　Graduate　School　of 　Eng 、，　Oita　Uni＞．

Prof．，　Dept．　of 　Architecture，　Faculty　of 　Eng ．，　Oita　Univ．，　Dr．　Eng ．【NCS 【nc ．，　M ．Eng ．Graduate 　Studerlt，　Graduatc　School　 of 　Eng ．，　Oita　Univ、，　M ．　Eng．

P ．D ．　Research　FeUow ，　Venture　Business　Laboratory，　Oita　Univ．，　Ph．　D．

9

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表 1 測定 対 象 病院 の概 要 表 2 待合 室 の 利用 時 間帯

W 　 　　 　　 　S 　　 　　 　　 SS 合室 利用時間帯

所在地

開院時期

構造

福岡県　 　 　 福 岡県 　 　 　 福岡県

1987 年 7月　 　1997 年12月　 20DO 年10月SRC 　6階 建　　SRC 　2階建　　SRC 　8階建

S−1W−lSS−1

午前／午後／時間外救急

午前／午後〆時間外救急午前／午後

総ベッ ド数 2釧〕　 　　 　 　 　 149　 　 　 　　 　 149

SS¶2 午前／午後 （一部）診療時間　午前 9：〔Kレ 12：00　　　9 ：α｝pk2：00 　　　 9 ：αン 12：00W −2 午前／午後 （一部）　　　　 午後

（日祝 は休診）

14：0く〕」18；00　　14；〔Kト18二〇〇　　 14：〔K》18：00

（3病院共、救急患者 は24時 間受付）W −3S昏3

午前／午後 （一

部）

午前／午後

診察

会 計

表 3

待合室

S−1W−lSS−1SS−2W

−2W−3SS−3

待合室の 内装仕上げ材

　 天井

岩綿吸音板

岩綿吸音板

岩綿吸音板

岩綿吸音板

及び天窓

岩綿吸音板

化粧石膏ボー

ド

岩綿吸音板

及び天窓

　 壁　　 　 　　 　床

ビ ニ ル 壁紙 　 　ラスチ ッ クタイ ル

ビニ ル壁紙 　プラスチ ッ クタイ ル

紙壁紙　 　 　ン ドルパ ンチか ベ ットタ切

紙壁 臧　　　プラスチ ッ クタイ ル

ビニ ル壁紙 　塩化 ビニー

ル シー

ト

ビニ ル壁紙 　塩化ビニー

ル シー

ト

紙壁紙　 　 　プラス チ ッ クタイ ル

トー6，50D−一一トー5，450　H

　 　 　 S・1

トー6，000 −十一6，000　→

蕊

島

懃甲

囲皿

 

麗山

皿

呼

驢

齶

蠣皿 i

　

§ず一⊥

一ー

曲

矗 　 藍

匯

会計

「

婁．9

」「

§寸

「

§．〜

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 h＝2，550

Ls．500 ⊥ −　7、〔謡｝　一」一一6、000 」

診察 室

轟蠱 、muan

．［區 コ

ny コ　 ロ ロ

脇 罌匸匚ロ　皿

◎

皿■

attP 。et

超 墨

鬥 8

SS・2

どh＝3，IOO

W ・1

「− 8．800 一

W ・2

コ

8マ

ド

」

h＝2、450

0　　　5、OCO 　 10．（noirum）

ト ト

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■ ■ ■

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　 ．5・600 「

］

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　早L −

8、000 − 」

　 　 　 　 　 h＝2，570　 　 W ・3

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 h＝3，550ト 6．  ← 6．OOO　 十 6．OOO　 H

　 SS・1

ト 6．ooo 　H5

，110（内法｝●

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室．  F『…

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　 　 　 h≒3，100SS・3

ド　　　t．　　　t．　　ttttttttttttttt．tttttt．ttttttttttt　t．　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　tttt　tttttt　ttttttttttttttt　tt　tttttttt．tttttttt

　ttttttt．tt

　　　　　　　

　　　　　

　　　

　　　　　ttttttt　tttttttttttttt　tttttttttt　ttt　

ttttt　ttt　t．　　　　　　　　　　　　　

［四 ：テ レビ （S−1．SS−1．SS−2は 据 え置き、　W −1．W −2，W −3は 天 井か ら吊 り下げ 【b1950 】） 旨

卩 ・ 呼び出しス ピrkw （天 井面）　 　 　 　 　 　 　 ！し　　　 　　　　 　　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　　　　 　　　　 　　　　 　　　　 　　 　［。 R

，：L

，．，の測定点 ◎ R醐

：オクターブバ ン ド音圧 レベ ルの 測定点　一

：室 の 嶢界　　1

ゆ旻亘 ≧燬 黶 鑓 鼬 遡 一．．一．呪 一弖．ゴ．照 撚 酪 衂 螻劃4慣哀∠勲 ．一．一｝

’

図 1 調 査対 象待合室 の平面 図

か ら選定 し たそ れ ぞれ6室 とす る。測定対 象病院 の 概要 を表 1に、待

合室7室 の 利用時 間 帯を 表2に、内装仕上 げ材 を表3に、平面 図を 図1

にそれぞれ 示す。待合室S−1、W −1は受付 ・会 計 ・診療待ち に、　 SS−1

は受付 ・会計待 ちに、W −2、　 W −3、　 SS−2は診療待 ちに．　 SS−3は レ ン

トゲ ン の検査待ち に、それぞ れ使 われて い る。な お、測 定 した 全 て

の 待合室で 測定時 にBGM は流 さ れ て い な い こ とを確 認 して い る。

　ア ン ケート調査対象の 概要 は、3章で 述ぺ る。

Z1 　 測 定 の 概 要

　各待 合 室 内 の騒 音 レベ ル の 時間変動 を把握す る た め、待合 室の 15

分間の 等価 騒音 レベ ル 乙h ，．、s。inの 連続測定 を行 う。な お本 章の 測定 で

は、h章に 示す 調査対象の うち、レン トゲ ン の 検査待ち に使わ れ 利用

者の 少な い SS−3を除 いた待合室6室 を対象 として い る。測定 にはサ ウ

ン ドレベ ルメータ （RION ：M −14、　 NLOS ）を用 レ丶 4日間か ら6日

間の 自動計測の 結果を検 討に 用い る。図1の各待合室 の平面 図に、測

定点R， （床 上 1．2m ） を 永 す。サ ウ ン ドレベ ルメータの 設置場所 は、

図 1 に示 すテ レ ビ （各室共 t 診療 時間につ い て い る）や呼び出 し ス

2．騒 音 レベ ル の 時 間変動

一 10 一

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表4　各待合室 Q昼 間及び夜間のL．．g

時 間の 区分騒音影 響に 関する

室内指針　　　 各待合室 の  ［dB亅S・l　 W −1SS −1　 SS・2　 W −2　 W −3

昼 間（6時姐 時）

夜聞（22時 6 時）

4釦 13以 下

3聞 B 以下

59．4　61．0　 53．2　 52．1　 52．6　51．548．1　 52，2　 42．0

．　44．7　 37．4　 37．7

706050

如

3020

706050

剰

3020

706050

 

3020

乙幅 恥 ［dB】

024681012141618202224　　　　 　　　 　　　　 S＿1　　　　　　　　　　　　　　　 time（h）

LA．9，岫 ［dB 】

0　　2　　4　　6　　8　　！0　 12　 14　　16　 18　20　22　 24

　　 　　　　 　　　 　　 SS −1　　　　　　　　　　　　 time（h）

LIPtsu、n ［dB亅

024681012141618202224　 　　　　 　　　 　　　　SS−2　　　　　　　　　　　　 血me （h）

η

6050

菊

3020

7060

釦

鱒

3020

Lintsab［dB亅

024681012141618202224　　　　 　　　 　　　　 W −1　　　　 　　　 　　　 time（h）

L。．、」thth 【dB1

0　　 2　　4　　 6　　8　　10　 12　 14　　16　 ！8　 20　 22　　24　　　 　　　 　　　　 　 W −2　 　 　 　 　 　 　 　 timc（h）

　 L個 ．恤 ［dBl

706050a

」）　30 　　　20　 0　　 2　　4　　 6　　8　　10　 12　 14　　16　 18　20　 22　　24

　　　　　　　　　　　　　W −3　　　　　　　　 舳 6 （h）

一 診療時 間が午前・午後 の 日の 侃 1，血

　　 診療時間が午前の 日のL。．¢”、、”

図 2　各待合室にお ける 診療 日の 伝 H岫の 変動

ビーカー

な どか らの 音 の 直接 的な 影 響 を 受 けに く く、利用 者 と ス

タ ッ フ の 動 線上 を避 け、で き る だ け室 の 騒音 を代表す る位置 で ある

こと を考 慮 し決定 する。

2．2　結 果及 び考察

　測定 され た室 の騒音 レベ ル をふ まえ て 室の 音環 境の 改善 を検 討す

る に は、室 内騒 音の 許容値 や 指針値等 との 比較 が 必 要 とな る 。

Kuwano らは、前掲の 病棟 を測定対 象と し た研 究e｝の 中で 、測定 した

騒 音 レベ ル と、騒音 に係 る 環境基準の 改訂 の 基礎 と なっ た答 申 「騒

音 の 評 価手 法 の在 り方 に つ い て11）1 の 、騒音影響 に 関する室 内指 針

と を 比 較 して い る。

　しか し．病院 の待合 室 の よ う に、多数 の 人が 出入りし、そ の 利用

者が同時 に騒音 の発 生者 と なる、公共公益施設 の 室内にお ける変動

騒音の 許容値や 指針値 は 明確 に 示 され て い ない。筆 者 らは、次 の よ

うに考え る．即ち、騒音影 響に 関する 室 内指針 は、基 本的 には室 内

に存在 する 音に つ い て は考慮 さ れ て い な い 。しか し 「人の 健康 を保

護 し、及び生活環境 を保全す る 上で維 持 され る こ と が望 ま し い 基準

LS ，」 が環境基準 で ある、とす る 理念をふ ま え るな らば、病 院の 待 合

室 に お け る 騒 音 レペ ル の 抵針値 と し て の 妥 当 性 もあ りえる．そ こ で

本研究 で は、測 定 し た 騒音 レベ ル と、騒音影 響 に関す る室 内指針 と

を比 較す る、

　騒 音影 響 に関す る室 内 指 針 との 比 較 の た め、測定期 間内の 診療 日

にお ける、昼間の転 ，．rm （06：00−22：00）及び、夜間 のLA．gm （22：00−〔rs：OO）を

各待合室 ごと に求め る。結果 を表4 に示す。特 に静穏を要す る地域が

含 まれる 「一般地 域」 の騒音影響 に関す る室内指針は 「昼間 ：45dB

以下、夜間 ：35dB 以下1 で あ り．こ の 室 内指針 を全 て の待 合室で 上

回 っ て い る。ま た 、待 合 室 ごと の 差 は、昼間 よ り夜 間の 方 が大 き

く、W −1とW −2の 間 で は 約 15dB の 差 が生 じて い る。これは、夜 間は

救急 外 来 の 待合 に 使用 して い る室（S−1．W −1）と、救急外来 の待合 に 使

用 され ず ほ とん ど在 室 者 の い な い 室（SS−1，SS−2，W −2．W −3）と の 違い に

よる も の と考え られ る。

　次 に、各待合室 にお ける、診療 日の 時 間及 び 日に よる 騒 音 レベ ル

の 違 い を見 る こ と を目的と し、L．．．，、ainの 変 動を図2に 示す。

一 11 一

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　L。．、，、，、、。の 変動 に は、診療 時間 に対応 し た 以下の よ うな変 動がみ ら

れ る。まず各待合 室 に共通 して、午 前の 診療時間で あ る9時前後か

ら12時前後 が、1日の 中で LA，g、、阯の 高い 時間帯で あ る。また、曜 日 を

問わ ず午後 に も利用 され るS−1、W −1及びSS−1は、午後の 診療時間の

14時前後か ら18時 前後 の 間 に、再びL魄 、s血 が 高 い 時 間帯が ある。曜

日に よ っ て午後 に も利用 され るW −2、W −3及びSS−2は、午後 の 診療

の ある 日に 同様の 変動がみ られ る。さ ら に、夜間 に救急外 来の 待合

に利用 して い るS−1，W −1のLA．g．1Sn、aは、他 の 待合室 と 比べ ，　18時の 診療

時間終了後 も大き く は下が らな い。こ の よ うにLin．iS。inの変動は、診

療時間に 関連し た待 合室 の 利用 時 間帯 と の 関係 が 大き い こ とが わ か

る。

3．利 用 者 とス タ ッ フ に 対 す る ア ン ケート調査

3．1　調 査 の 概 要

　待合室 の利用 者、及び 待合室 で呼 出業務を行っ て い る ス タ ッ フ を

対 象 に、音環境 に対する意識 の ア ン ケー

ト調査 を行な う。利用者 の

ア ンケートは2章の 測定対象 と 同じ待合室6室で 、調査員 が待合室 内

で 配布、回収する。ス タッ フ の ア ン ケー

トは、2章の 測定対象だ けで

表 5　利用 者 を対 象 と した ア ン ケー

ト調査 の 概要

調査待合室 S−1 W −1 SS−1 SS−2 W −2 W −3 口　 　 の ％

調査 日

調 査 時間

00．9．27

9：〔Xレ 17：00

00．11．2201．10．2201．11．19

二（沿 ・18：00

OI．10．250UO，299

：〔沿〜16：30

Ol，10．2601．10，309

：（沿》12；30

00．11．1501．10．201．11．29

：00彫12：00

00．11．1501．10、201．11．29

：00酎12；00

患 者

付 き添 い

見舞 い

そ の 他

無 回答

59．523．21，73．811．8

回答数．133 216 297 i83 130 128 総回 答数 1087

表6　ス タッ フ を対象 と した ア ンケー

ト調査 の 概要

回答者 の属性（％）調 査病院数

調査 日

配布数

回 収数

回収率（％）

1101

．10、30〜01，11．17捌

17863

．6

事務職員 　6L8看護師　 　29．2そ の 他 　　 7．9無 回答　 　 1．1

総回答数　 ！78

表7　 ア ン ケート設 問項 目

患者さん達の 会話

子供の 声

0％　　20％　　40％　　60％　　80％ 　　10〔眄る

利用者

ス タ ッ フ

利用者

ス タッ フ

看護師等が説明す る声　　利用者

　 　　 　　 　　 　　 　 　ス タッ フ

放送の 呼び出 し

1）待合室 に存在す る12項 目の音 の うる ささの評価 （5段階評価）「以下の 音を どう思い ますか」

　 患者 さん連 の会話／子供 の声 ／看護師等 が 説明する声 ／

　 放送の 呼び出 し／肉声 の呼 び出 し ／人 の足音 ／

　 車椅子 ・ス トレ ッ チ ャー等の車輸の 音／テ レビの音声 ／

　 事務機器の 音／ドア（手動〉の開閉の 音／エ アコ ン等の 空調 の音

　 ／外か ら の交通騒音

2）待合室 の 全 体的な 音環境の 評緬 （5段階評価）

「全体的な音環境 をどう思い ますか」

3）ア ンケート回答時間

．（利用者の み）

4）属性 （利用者 ：来院頻度、年齢、性別〉

　　　 （ス タ ッ フ ： 年齢、性別）

肉声の 呼び 出し

人の足 音

車椅子・スト眇チャ

ー等

の 車輪の 音

テ レビの 音声

事務機器 の 音

利用 者

ス タッ フ

利用者

ス タッ フ

利用 者

ス タ ッ フ

利用者

．ス タ ッ フ

利用者

ス タ ッ フ

表8　待合室 に存在する 音 の 蟻

L魍 （dB ）

算術 　最大値 　測定

乎 均　 　　 　 回数

利用 者

ス タッ フ

ドア（手動）の 開閉の音　　 利用 者

　 　　 　　 　 　　 　　 　ス タッ フ

　 　 　　 　　 　　 　　 　 利用者工 ア コ ン等 の空調 の音　 　 　　 　　 　　 　　 　 ス タシフ

碧・計韓 L．殱 己鞭 ぎ．：

‘肥．聯 ：・レ：縦

F．霧 てr．

粥L・．．「E．b・．締 ”1

・癬

1セ：攤 芦際

詮．

．．．、，y1

縫

．瀦濁 婬；き轄

．

ヌF轟 “

し

．

繊 緬・

n＝IO13　　　拿n＝178n

＝1001　　　霧n＝亘78F

．nt998　　　　事　 n＝176n

＝1009n＝176　＊

n二1010　　　軍n＝176n

＝1014n昌178n

＝Io（）3　　　曠n＝178n

＝1016　　　0n＝172n

＝星〔Xン7

隠 享 176

音

患者さん達の会 話　 　 　 　 　 　 　 　 　 66．6子 供の 声　　 　　 　 　　 　

．　 　　 　　 85．9

看 護師等が説明する 声　　　　　　　　65．2放 送の 呼び出 し　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 75．5肉声の 呼び出し　　　　　　　　　　 72．6車椅子 ・ス トレッ チ ャ

ー等 の 車 輸の 音　 61．8

テ レビ の音 声 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 66．0ドア （手 動 ）の 開閉 の 音　　　　　　　　 69．6

83520298　

　

　

1　1

9232

る

825

万

即

刀

鴕

紹

研

72

乃

外か らの 交通騒音利用者

ス タッ フ

　．n＝1〔X〕9

　　　　　寧／3tstt　n＝176

口全く

　　　　　口そ れほ ど　團 多少　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ■非 常に　　　　　　　　　　　　　　　 ■ だい ぶ

　 うるさく　　うる さ く　　 うる さ い 　　　うる さい 　　 うるさい

　 ない 　　　　ない

図3 ．各音 に対す る利用者 とスタ ッ フの 評価

　　 （nは サ ン プル数 ）

n＝1014　　　電n＝亘76

n＝1011　　　拿n＝175

＊P ＜e．e5

一 12 一

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は検討 に十分な 回答 数 を確保で きない こ と か ら、11の総合病院を調

査 対 象 と し、留置法 とす る。利用者 を対 象 と した ア ン ケー

ト調査 の

概 要 を表5に、ス タ ッ フ を対象 と した ア ンケート調査 の 概要 を表6 に

示す。

　 ア ン ケー

トの 設 問項 目 を 表 7に示 す e 利用者 に は、ア ンケ ート実

施時 に在室 してい る 待合室 に つ い て、ス タ ッ フ には、普 段最 も頻繁

に働い て い る 待 合室 に つ い て の 回答 を依 頼す る。まず、事前 に 行

な っ た予備調査 結果をふ まえ 、調査対 象の 全待合室 に共通 して存 在

す る 12項 目の 音の うる さ さ に 関し、評価 を求 める。こ の 評価 に は、

矢野 らに よ り提案されて い る、うる ささ の 標準尺慶4， （5段階評価 ）

を用 い て い る。次に、全 体的 な音 環境 の 評価 を求め る。こ の 評価 に

は、評 価語 に 「良 い一悪 い 」 を用 い、5 段階評価 とする。さ らに 、利

用者 の 全 体的な 音環境の 評価 と、LA。g との 関係の 調査を 目的 に 、ア ン

ケー

トの 調査 時 間内 に、図 1の 測定 点R、で 10分間 の 等価騒音 レ ベ ル

L．．q，t。。、aを測定 する。利用者 の ア ンケートで は、全体的な 音環 境の 評

価 の 設 問の 次 に回答時 間の 設 問を設け、記述 された 回 答時間を含む

LA．g．1tU をア ンケート回答時の Lhg，io−laと し、検討 に用 い る。

3．2　12項 目の 音 に 対 す る 評価

100％

80％

60％

40％

20％

0％

偏 【dB］　 68

S−1W −1　 SS−l　 SS−2W −2　 W ・3

64

60

56

52

ロ 良い　　［コやや良い　團 ぎ夏簒自も

■ やや悪い　■ 悪 い

●L。。9

　　 図4 各待合室別 の全体的な 音環境 の 評価の 割合 と

　　　　 ア ン ケート調査 時間のLA．q

L・・，　［dB】　 0 　 20 ．CO 　 60 　 80100 ［％亅

50．O−52．5 （n＝38 ）

52．＄55．0 （n＝159 ）

55．〔｝−57、5（皿舞218）

57，5−60，0 （n＝160 ）

60．0−62．5（n＝137）

62．565 ．0（n＝2t8 ）

65．〔L67．5（nn 　 53）

＊

’ Pく∂．Ol

ロ ・・ ロ Pt … 團 叢騰 圏 やや悪・ ■・ ・

図5　利用者 の 全体的な音環境の 評価 と

　　　ア ンケー

ト回答 時の LA．q との 関係

　病院の 待合室 の よ うな 公共公益施 設の 室内空 間で は、室 内 に存在

する各 音の 騒音 レベ ル の 測定 に際 して 十分なSIN比の 確保が 困難な場

合がある。今 回 の 調査 で は、現場 で測定 者が測定可能 と 判断 した 音

の LA．．を各音か ら約 1m 点で 測定 する。乙漁

の 算衛平均値、最大値、

及び測 定回数 を、参考値 として 表8に示 す。L．。”の 高 い音は 「子供の

声」　 「肉声の 呼び出 し」　 「放送 の 呼び出 し」 で、最大値が80dBを越

えて い る。

　 次に、各音 に対す る うる ささに 関す る 評価 を、利用者と ス タ ッ フ

とに 分け図3に示 す。　「非 常 に う る さ い」　「だ いぶ うる さ い」　「多少

うる さ い 」 の カテ ゴ リー

を併合 して 『うる さ い』 の カ テ ゴ リーと し

た場合、利用 者 が 『う る さ い 』 と感 じ る 音 は、　「患 者 さ ん 達 の 会

話」 が24．6％ と最 も高 く、次 は 「子供 の 声 」 の 17．5％で ある。一方、

ス タ ッ フ で は、　 「子供 の 声」 が39．9％と最 も高 く、次は 「患者 さん

達の 会話 」 の 26．4％で ある。他 の 音 と比較 して、利 用者 ・ス タ ッ フ

共に、利用者か ら発せ られQ声 をうるさい と回答す る割合が高 い。

　 また、利用者 と ス タ ッ フの 回 答結果 を比較す る と、各音 に 対 して

『うる さ い』 の カ テ ゴ リーの 割合 は、す べ て の 音で、利 用 者 に比 ベ

ス タ ッ フ が 多 い 。各音 ご と の 利用者 と ス タ ッ フ の 回 答結果 に つ い

て 、帰無仮説 を 「利用 者 とス タ ッ フ で、うる さ さ に関 す る 評価 の 割

合 に は差 が な い」 と し、2標本5カテ ゴ リー

の ズ検定 を行う。この 結

果、す べ て の 音 で 、有意 水準5％で 帰無仮説が棄却さ れ る。以上 よ り

筆者 らは、利用者 とス タ ッ フの うる さ さ に 関する評価 の 割 合 には、

差が あると判断 した。

3．3 利 用 者 の 音環境の 評 価とL嶼

と の 関係

　利用 者 の 全 体的な 音環 境の 評価 と、各待 合室の ア ン ケート実 施時

間内のL，．

を 各待合 室 ごとに 図4 に示す。ア ン ケート実施時 間にL観

の

高 い待 合 室 は評 価が 低 い。

　 図5に、利 用 者 の 全 体 的な 音環 境の 評価 と、ア ン ケート回 答時の

LA．q と の 関係を 示す。乙鹹が高 い と利用 者 の音環境 の 評価が低 くな る

傾向 がみ られ、　 「悪 い 」　 「や や悪い 」 の カ テ ゴ リーを併合 して 『悪

い評価』 の カテ ゴ リー

と した場合、55，0dB未満の 2 つ の グループで

は r悪 い 評価』 の 回答 はみ られな い 。一方，　「良 い 」　「や や 良い」

の カ テ ゴ リー

を併合 して r良 い 評価 』 の カ テ ゴ リー

と し た 場合、57．5dB 以上 60，0dB 未満 の グル

ープの 『良 い 評価 』 の 回答 の 合計が77

％で ある の に対 し、60．OdB 以 上 62．SdB未 満 の グループで は58 ％ と差

が 大き い。

　次 に、LA．gの 値 の 範 囲が隣り合 う グループ間 につ いて 、そ れぞれ2

標 本5カ テゴ リーの ズ検 定 を行うa そ の 結果、帰無仮説 を 「57．5dB

以上 60、OdB 未満 と60．OdB以 上62．5dB未 満の グルー

プ間で．全体的な

音環 境の 評価 の 割合に差はな い」 と した検定 の み、有意水準 1％で 帰

無仮 説が棄却 され る。また．そ の 他 の 隣 り合 うグループ間の 検 定で

帰 無仮説は棄却 され な い。以 上 よ り筆者 らは、利用者 の 音環境の 評

価 は、L。．qが6（ma 付近 に 差があ る と判断 し た。図4の 各待合室別 の 評

価 を比較す る と、評価 の悪 い S−1、W −1の 2室 の ア ン ケート実施時間

内の L．q は60dB を超 え て お り、 『良い評価 』 は こ の 2室 の み 50％を下

回 っ て い る。

4 　待合 室 の 建築 音 響 的な 対策 手 法 に 関す る検 討

4．1　天 井仕上 げ材 の 傾 向

一 13 一

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　前章で 、待 合室に お ける音環境 の 現 状 と して 、騒音 レベ ルの 時 間

変動 と、利用者 及びス タ ッ フ の 音環 境に対 する 意識の一

端 を明 らか

に した。

　本章で は、待合室 に お ける 建築音響的な 対 策 手法 の 一端 と して、室 の境 界条件の 変更 に よる音環 境の 改善効果 を検 討す る。以前よ り

病 院設計 に お い て 、内部発生音 に 関 して 天 井面 の 吸音材 で の 対 処が

推奨 さ れ て い るが” ）、本研 究で も待合 室の 境界条件の うち比較 的容

易に 変更可 能 とな る 天井仕上 げ材 を検討の対 象と する。

　待合室 にお ける天 井仕上げ材の 使用 の傾向をみるため、雑誌 「医

院建築」 に 掲載 された過去9年間 （199S−20G3） tfivu ，の 病院 ・医院建築

化 粧石 膏ボ

2．9％

木板5，3％

壁紙216 ％

その 他

サ ン プル 数＝171

岩綿吸音板57 ％

鏃

艤縫劉図 6　待合室 の 天 井 仕上 げ材 の 割合

の、待合室で 施 工 され た 天 井 仕 上 げ材 の 割合 を集計 し、参考 として

図6 に示 す。岩綿 吸音板 の 比 率 は 25，7％ で 塗装 に次 い で 高い が、塗装

を含 め他 の 天井仕上 げ材は吸音率の 低い 材で ある。4，2　測 定 手 法 ・概 要

　天 井仕上 げ材 に岩綿 吸音板を 施工 した室 と、化 粧石 膏ボードを施

工 し た室 と の 比較 のため．イ ンパ ル ス 応答 の 測定 を行 う。イン パ ル

ス 応答の 測定 結果 か ら、ISO3382es）に準 じて、イ ンパ ル ス応 答 2乗積

分法 にお ける最 小 2乗 近 似直 線の 回帰範 囲を一5〜−25dBと した と き の

残 響時間 （以 下、T、eと表す ） を算 出 し、天井仕上 げ材 の変 更 に よる

効果 の 検討 に用 い る。

　まず、付随 して、待合 室 6室 にお ける、診療時間内の オクター

ブバ

ン ド音圧 レペ ル を測定 した。なお．こ のオ クターブバ ン ド音圧 レベ

ル は、図 1の 測定 点R。“で 測定 され、5分間 の エ ネル ギー

平均値 と し

た。結果 を図7に 示 す。

　図7よ り、待合 室の 診療時間内の オ ク ターブバ ン ド音圧 レ ペル は、中心 周波数250Hzか ら1kHz にか けて、す べ て の待 合室 で 50dBを越え

て い る。

　次 に イ ンパ ル ス 応答 の 測定 を行 い 、T，。を算 出す る。測 定 に用い る

音源信 号は、ス タ ッ フ の 医療 行為や利用者 へ の影響が小 さ い よ う、可 能 な 限 リヱ ネ ル ギーの 小さ な音源 を用い る 必要 が あ る。そ こ で、

筆者 らに よ る背景雑 音 の影響 に関す る検ail2e）をふ まえ、測定時 間は

　　 SPL ［dB］80

・70

60

｝1

1

旨 ll

ヨ

ヨ

ヨ璽

IEi

＿ む6SS 一

8

且

　　　　†−1　 　 装＞ W ．3　 　 　 　 i

・2　　　　 S−1

表9　調査対象待合室の 容積 。表面積

W −2W−3SS−3

容 積（mS ）表面積（rn『）

159．9　　 209．6252．9　　314．9223．2　　263．0

se

40

30250　　500　　　1k　　　2k　　　4k

　　Center　frequency【Hh 】

2，0

1．5

1．0

0．5

窃［s  1

0　250　　500　　　1k　　　2k　　　4k

　　　 Cemer　frequency［Hz｝

図7　各待合 室 にお ける オ クターブ バ ン ド　 図8　各待合室 にお ける

　　音圧 レベ ル　　　　　　　　　　　　　　Tmの 周波数特 性

　万0．40

．30

．20

．1

W −2SS−3W−3

　　250　　500　　　1k　　　2k　　　4k

　　　　Center　frequency［Hz］

図9W −2，　 W −3，　 SS−3にお け る α

0．40

．30

．20

．1

一α

250　　500　　　1k　　　2k　　　4k

　　　Oenter　fTequency［Hz］

図10W −3 におい て 天井仕 上 げ材を

　　 岩綿吸音板 に変更 し た場合 に

　　 推定 され る．α

　 △Lp［dB亅6．05．04．03．02．01．00

　 250　　5DO　　　lk　　　　2k　　　　4k

　　　 Center　frequency【Hz］

図11　W −3の天 井仕上 げ材が岩綿吸音板 と

　　　化粧石 膏 ボードの 場合 の △ Lp

　 S匹 【dB ］80

70l　 i　 　 　 雪

1i

ew ．3− W −3

　 　 ［

状）

更後 ： 定）

NC −70

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC6560　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC −60

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC −5550　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC −50

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC −4540　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC40

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 NC −3530　 　250 　　500　　　1k　　　2k　　　 4k

　　　　 Center　frequency［Hz1

　図12　W −3に お い て 天井仕上 げ材 を

岩綿 吸音板 に変更 した場合に

推定 され るNC 曲線

一 14一

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原則 と して 利用者 が 在 室 しな い 時 間 とす る。な お 、図 1に示 す調 査

対象 の うち、W −1は通常 の 診療 時間外 も救急 外来の待合と して 使用

され、利用者が在室 しない 時間帯 はな く、図 2 に 示す通 り，LA。，，isni。

は夜 間で も50dB付近 よ り下 が らない。こ の こ とか ら、イ ンパ ル ス応

答 の測 定 はW −1を除 く待合室6室で行 な う。

　図 1に 音源位 置S （床上 1．2m ）、及び受音位置1  を示す。音源位置

は看 護師が 肉声 に よる呼 び出 し を行 う位置 を想定 し、受音位置 は 座

廨を代表す る位置 と して4点か ら8点 を選択、音源 に は 12面体 ス ピー

カを用 い 、M 系列の 次数や 同期加算回数 は、暗 騒音の 影響 を考 慮 し

適宜設 定す る。各 室の 境 界条件 は、表3 に示 す よ う に、天 井 仕 上 げ

材はW −3が化粧石 膏ボードで他 の 待 合室 は岩綿 吸音板、壁材、床材

はそれぞれ吸音率の 低い 材で ある。

43 天 井仕 上 げ材 の 変 更 に よる 音環 境 の 改 善効 果

　測定 され た6室 の窃 の 周波数特 性 を図8に示す。W −3 におい て、中

心周 波 数250Hzか ら2kHz にか けて r．が長 くなる が，他 の 5室で は高

周 波数域ほ ど短 くなる。続 い て、W −3、　W −2、　SS−3にお ける T，。よ り

算出 した平均吸音率 （以 下、α と表す ）を図9に 示 す。こ の 際、W −3

はすべ て の ドア を閉 じた場合 を仮 定する。W −2とSS−3は、図1に示す

点線 を、それぞ れ室 の 境界 と み な し、吸音率1．0 として 取 り扱 っ た。

表9に、こ の場合 の室容積 ・室表面積 を示す。

　 図9で、W −3の み 中心周 波数250Hzか ら2kHzにか けて α が低 くな

る。こ れは、天井仕上 げ材 の 吸音性能の 違 い の影響 で ある と推測 さ

れ る。

　次 に、W −3の 天 井仕上 げ材 の化粧石 膏 ボードを岩綿 吸音板 に変更

し た 場合 に推定 され る α を、現 状 の α と 合 わ せ て 図 10に 示 す 。な

お、岩綿 吸 音板 と化 粧石 膏 ボードの 吸音 率 は 文 献2ηの 残響 室 法 吸音

率 を用 い る。推定 さ れ る α は 、中心周波数250Hzか ら2kHzにか けて

高 くな っ てお り、図9のSS−3やW −2の α と 同様の傾向 とな る。

　続 い て、図10に 示 す α を 用い、完全拡散音場を仮定 し文Wtls｝を参

考に、W −3の 音圧 レベ ル （以下、　 Lp と表す）を算定する。図11に、天

井仕上 げ材が岩綿吸音板と化粧石 膏ボードの 場合の Lpの 差 （以下、

△Lp と 表す ） を示 す。　 W −3に お い て 天 井 仕上 げ材 を 化粧石膏 ボー

ド

か ら岩綿 吸音板 に 変更 した 場合、Lpは、500Hzで 約3dB 、　 lkHz か ら

4kHz で は 約 5dB程度低減す る と推定 され る。

　 さ ら に、W −3 の 現状 の NC 曲 線 と、　 W −3か ら図 llの △ 乙pを減 じ た

NC 曲線 を、図12に示 す。完全 拡散 を仮 定 した単純な試算 で はある

が、NC 値pmで 1等級向上す る と推定 され る。

　 また、オ クターブパ ン ドレペ ル の 測定値 にA 特性 の 補正値 を加 え

全帯域の 音圧 レペ ル を試 算する と、周波数 重み つ き騒音 レベ ル は、

W −3の 現状で62．3dB 、岩綿吸音板 へ の 変更で 60．3dB とな り、2dB 程度

の 改 善効果が 推定 さ れ る。

S．待 合 室 の 音環 境 に 関 す る 問題 点 と考 察

5．1　評 価 手 法 の 確 立

　多数の 人が出入 り し、そ の 利用者が 同時 に騒音の 発生者 とな る よ

うな、公共公益施設 の 室内に おけ る変動騒 音の 許容 値や 目標値 は明

確 に示 さ れ て い ない。こ の ため 本研 究で は、2．2にお い て、騒音 に係

る環境基準の 改訂 の 基礎 とな っ た、騒音影響 に 関す る 室 内据針 と、

待合 室の 測定値 と を比較 した。そ の 結果、本研究で 測 定 を行っ た 全

て の 待 合室で、指針 の 基準値 を上 回っ て い た。しか し、騒音 に係 る

環境基準で は、基本的に室 内に存在す る 音 に つ い て は 考慮 さ れ て お

らず、こ の比較結果よ り単純に評価す る こ とは難 しい 。さらに、図2

に示す とお り、騒音 レベ ル の 時間変動 は診 療時間 に関連 した待合室

の 利用 時間帯と関係し て お り、測定時 間の 区分 につ い て も検 討の 余

地 が ある。今後ア ン ケート調査や騒音 レベ ルの 測定等多 くの研 究が

行 わ れ ．病 院の 待合 室 に お け る 音環 境 の 評 価 手 法 の確 立 が望 ま れ

る。

　 また、建築音響 的な 対策 を行 う 際 に 必 要 とな る、残 響時間そ の 他

の 音 響指標 につ い て も 目標 とな る情 報 が ほ とん ど無い。4、1に示 し た

よ うに、以 前よ り吸音材 の使用 が 推奨さ れ て い る に も 関わ らず、今

回文献調査 した病 院 ・医 院で は 半数以上 が 天井仕上 げ材に 吸音率 の

低 い材 を使用 して い た。これ は、音響 指標 の 許容値 や 指針値が 定 め

られて い ない こと も原 因の一

端 と考え られ る．こ れ らを定め る研究

推進の ため、各 種音響指標 を算 出で きる イ ン パ ルス応 答 を様 々 な待

合室で 測定 し、基礎的資 料を得る こ とが必要で あろ う。

5．2　測 定 手 法 の確 立

　待合室 内の 騒 音 レベ ル の 時間変動 を把握す る うえで、連続測 定が

重要で ある。図2の W −2、W −3、　SS−2で は、昼間の LA−isrinの 変動が 日

に よっ て 異なる 場合が確認 されて お り、待合室の 利用時 間が異なる

場合 を考 慮 した、二 日 以 上の 連続測定が必要で ある と考え る。しか

し、長時間の 連続測定 を行 う際の 受音位置は、利用者や ス タ ッ フ の

動 線 上 を 避 け る必 要が あ り、ま た、放 送 の 呼び出 し音 の直接 的な 影

響 を避 け る た め には、天 井 面 の ス ピー

カ が 設置さ れ た 位置 に対 して

も考慮す る 必 要が ある。ま た、改善 を検討す る に あた り、各 音の 騒

音 レベ ル の 情報 は重 要で ある が、待合 室 にお ける測定 はSN 比 の 確保

が 困難 な うえ に、音 の 騒 音 レペ ルの ばらつ き も大 きく、測定 手法の

検討が 必要で ある。さ らに、　 「患者 さん達 の 会話」 の ように発生回

数 の 把握が 困難な音 も存在す る。

　 イ ン パ ル ス 応答 の 測 定 に 関 して は、図2の W −1の よ うに、夜間で も

Lkg，Mt 。が50dB 付近よ り下が らな い 待 合室 もある。一方、ス タ ッ フ の

医療行 為や利用者へ の 影 響 を考慮す る と、測 定 に用 い る音 源信号は

可能な 限 り低エ ネルギーとする 必要 がある。また、同期加算 による

SN 比の 向上を行 うとして も、多数 の 人が使用 する 公共公益施設の 室

内空間で は、系の 時変性 の 影 響 も大 きい と考え られ、時 間効率の 良

い測定 が望 ましい。従っ て、測定誤差 の定 量化、測定精度に 関する

検 討をふ まえた測定手 法の確立が求め られ る。また、音源 ・受音点

の設置位置 につ いて も、今後検討が必要で あろ う．

5．3 利用 者 ・ス タ ッ フ の 評 価 か らみ た 音 環境 に 関 す る 考 察

　利用 者 の 音環境 の評 価 は、L，．，が 高い と評 価 が低 くな る 傾 向 が み ら

れ、ズ 検定 より、L“ ，が6（ma 付 近 で 評 価 に差 が あ る と判断 した こ と

を3．3で 示 した。騒音 レベ ル の 高 い 待合室で は、騒 音 レベ ル を 下 げる

こ とが、利用者の 待合室 の 音環境の評 価の 向上 につ な が る と 考え ら

れ る。また、今回 の 調査で は乙脚が50dBを下回 る時間描がない た め、

LA．g の低い待合室 の評 価につ いて は 今後明 らか に したい。

　 また、各音に対す る うる ささ に関す る評価 は、利用者 ・ス タッ フ

共 に．利用 者か ら発 せ られ る 声 を う る さ い と回 答す る割合 が 高い 。

また、利用 者 とス タ ッ フ の ア ンケー

ト回答 結 果 を比 較 す る と、回 収

数や 回 答時間 の 違 い を含 めて の 結果 で は あ る が、各音 に対 して うる

一 15 一

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さ い と 回 答 す る 翻合 は、す ぺ て の 音 で 利用者 に 比 ベ ス タ ッ フ が多

く、x 験 定で、評価 に差 があると判 断 した e 前掲の 山田 ら による 病

棟 の ア ンケート調査’，で も、患者 に比ぺ 看 護師の 方が 各音に対 し、気

に なる と回答す る割 合が 多い こ とが報告 されて い る。病院 の ア ン ケ

ート調査で 、ス タッ フ の ほうが利用 者よ りも厳 しい 判断 をす る傾 向

が ある の かは現状で は明 らかで は な い が、ス タ ッ フ の 労働環境 の 向

上 は、結果 と して 利用者 の 医療サービス 向上 と結び つ く と予測 され

る た め、利用 者 ・ス タッ フ双 方の評 価 に 着 目す る こ と も 必 要で あ ろ

う。

5．4 対 策 手 法に 関す る 考察

　本報で は、建築音響的な 対策手法 の一

端 と して、天 井の 化 粧石膏

ボードか ら岩綿吸音板へ の 変更が、NC 値 の一等 級向上、また、騒 音

レベ ル で 2dB 程度 の 改 善効 果 をもた らす こ と を示 した。こ の効 果 は

．待 合室 の L。。q．iSm、。に影 響 して い る と思われ る。しか し、天 井 に 吸 音材

を用 い て い るW −2に お い て も，診 療時間LA．，，ki。inは50dB を越 え60dB付

近 ま で 上 が る。そ こ で 、建築音響的な対策 の 他に、運営的な対 策、

建築 計画的な対 策など が考 え られる 。

　運 営的な対策 には、呼び出 し音量 の調 節や、利用者 ・ス タッ フ を

対 象 と した 音環 境 へ の 意 識 向上 に対す る 啓蒙活動 な どが挙げ られ

る。建築計画的 な対策 には、音 の遮音計 画や 空間の 分離な どが考え

られ、L。。、a が高 く利用 者や ス タ ッ フ がう る さ い と 回 答す る 割合 の 多

か っ た 「子 供の 声 」 へ の 対 処 と して、子供 と付 添人 の 専用待 ち ス ペ

ース の 確保 な どが 考え ら れ る。また、近 年 メ ディ ア で は、待 合室内

で の 音 に関す る利用者 へ の プ ライバ シー

配慮の 問題 を取 り上 げて い

るet ）。待合室 にお ける 音の プ ライバ シ

ーの 実態 調査 は今後 の 課題 と

す る が、利 用者 の プライバ シー

を 考慮 し た場合、問診や 説明 は他人

に 内容 が 聞か れ な い場所 で行 うな どの、建築計画 的な対 策が必要で

あ ろ う。

6．　 ま と め

　本 研究 で は、病 院の 待 合室 に お ける 音環 境 の 実 態 を把握 す るた

め、騒 音 レベ ル の 連続測定 を行 い 、利用者 とス タッ フ に対す る ア ン

ケート調査 を行 っ た。また、建築 音響的な対策手法 の 一端 と して、

イ ンパ ル ス応 答の 測定 結果 よ り算 出される T．を用 い、．待合 室の 天井

仕上 げ材 に よる建築 音響特 性 の変 化 につ い て 定量 的な検 討 を行 っ

た。主な結果 を以下 に示す。

（1）待合室 の LA．．tsniliの 変動 は．室 の 利用時間帯 との 関係が大き い 。

（2）利用 者、ス タ ッ フ共 に、利用者か ら発 せ られる 声を、うる さい と

回 答す る 割合が、他の 音 と比較 して 高い 。

（3）利用者 の 音環 境 の 評 価は、L．．gが高 い と 評価が低 くな る傾 向がみ

られ、ズ検定よ り、儀 が60dB 付近 で 評価 に差 がある と判 断 した。

（4）T．よ り算 出した α を用 い 、天井仕上 げ材 を化粧石 膏Pt’r一ドか ら岩

綿吸音板 に変 更した場合 のLpの低 減を推定 し、天 井 の 吸音仕上げ材

の 効果 を示 した。

　 また、待 合室の 音環境 の 評価手 法及び測定手法 に つ い て、それぞ

れ の 問題点 と、手法の 確立 が 求め られ る こ と を示 し た。さ ら に、建

築音響的な 対策以外の 対策 手 法 につ い て考察し た。これ らの 効果の

検 討 と、そ れ ら をふ まえ た 良 い待 合 室 モ デル の 提 案 に つ い て は、今

後の 課 題 と し た い 。

一 16 一

謝辞 　本研究 の一

部は、2001年度 日本建築学 会九 州支部研究助成 金によ っ て

行 っ た。ま た、本研 究 を進める にあた り アン ケー

ト作成 に ご助言 いた だい た

九州 女子大学 岡俊江 教授、調 査 に 参加 した 大分 大学卒論 生、また調査 に ご協

力い ただ い た病 院関係者各位 に記 して 謝意を 表す。

注

1）近年 メディ アで 取 り上 げられた問題 と して ，待合室 で大 勢人がい る前で

「今 Bは どこが悪い の で すか」 と聞くこ と （毎日新聞東京 夕刊 ： 「今 週の 異豫

あ り 1病院での プライバ シー

」 ，  ．9．26）、他の 利用者が近 くにい る受付

窓 口 で の 説明 （朝 日新聞朝刊 ：テー

マ 特集 「患 者 の プ ライバ シ ー」 ．

2001 ．11．22＞な どがあ る。　 ．

28）前 川純一

他 ； 「建築 ・環境音響学第2版 t 、  ．929

）b 巳o　L 　Be  ek： 「ReVised　Cliteria　for　Noise　inControl　3、　No．i、　pp．19−27．1957

参 考 文献

1）厚生省： 「厚生 白書」 、1995、第 1編第1部第 1章第2節

2）厚生省 ： 「厚生白書1 ．1gon，第 1娼 第1部第5章参考2

3＞伊藤 誠，小 滝一

正 ，河 口豊、長澤泰 ； 「新建築学大系31 病 院の 設計 第 二 版 」 ．彰 国社，p．49， 

4）吉武 泰水 ．田 口正 生 ： 「建築学大系35 病院 第 二 版 」 、彰国社、p．3cr7，19E35）野村み どり　編 　ほ か 13名 ； 「バ リアフ リ

ーの 生活環境論 第2版」 ．医 歯薬出

版株式会 社，pp．239 −240，1997．56）伊藤 誠，小 滝

一正 ，河 口豊，長澤泰 ：前掲 「新建築学大系31 病院の 設計 第二

版」 、彰国 社．p．143，2  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、7）長澤泰，鈴本 毅，山 下哲郎 ： 「患者 の 行動 と認知 を通 してみた病院外来 の考察，Hospital　 Gcography に関する 研究lt ，．日本 建築学会計画系論 文集 第452号，p、81、1993．108）Sonoko　 Kuwano．　 Teroo　 Yamasaki ，　 Miho 　 Yarnauchi 、　 Keiko　Okazawa，　 YokoSa  1a 叫 齢 、　 Harumi 　 Matsumeti ），　 Micho 　 Terada．　 Yumi 　 IgUchi，　 Noriko　 Itoh：「Sound　environl 囗ent 　in　a 　ho 司pital　−　A 　ca8e 　飢udy 　」　，　Jouma丘　of　IN（NJ ，

Vol．24、　No．4．　pp．258 −267、20009）山 田由紀子．小室克夫、中山茂樹，小久保隆之，櫻井祐介； 「病院におけ る騒音

の 実態 　一病 棟の 条件 による比較 ・検 討一」 ，騒 音制御．vol．27，　 No．5，　 pp．373−382，20a310

）山田由紀子、平尾善裕 ： 「病院内の騒音 に関す る基礎的研究 一そ の 1 病院内

騒音 の 実態 一」 ．日本建築学会大会学術 講演 梗概集，pp．i71−172，199Jll）上原和夫 ： 「癒しの 音環境 デザイン」 ，病院蜷 9号，pp，840−S42，1999912）中央環境審饑会 ： 「騒 音の 評価 手法の在 り方 に つ い て（答 申）」 、1998．513）環 境基本法　第 二 章　環境の 保全 に関す る基 本的施策　第三 節　環境基 準

　 第十六条

14）矢 野隆，五十嵐寿一，加来 治郎，金子哲也，神 田一伸．桑野園子、新居洋子 、佐

藤哲身．荘美智子．山 田一

郎，吉野泰 子： 「社会 調査に用 い る騒 音の うる さ さの

標準尺度1 、日本 音響学 会講演論 文集、pp．789」790，2001、315）吉 武泰水、田 口正生 ：前掲 「建築 学大 系35 病院 第 2版」 、彰 国社，p一川 ，196316

）医 院建築 糲集委員会； 「医院建築 」 、No，15．’9 国社、1995

17）医 院建築 編集委員会； 「医院建築」 、No，16，彰国社，199618）医 院建築 編集委員会； 「医 院建築J ．No．17，彰国社，1gee星9）医 院建築 編集委員会： 「医 院建築」 ．No．18．彰国社，199820）医 院建築 編集委員会 ； 「医 院建築 」 、Ne．19，彰国社，199921）医 院建築 編集委員会 ； 「医 院建築 」 、　Ne．20，彰国 社，200022＞医 院建築編集委員会 ： 「医 院建築」 、No．21，彰国社，200123）医 院建築 編集委員会 ： 「医 院建築」 、No．22、彰国 社，200224）医 院建築 編集委員会 ： 「医 院建築」 ．No．23、彰国 社，200325）ISO　 3382：Measurement　 of　the　 reverberatien 　time　 of 　 rooms 　 with 　 ref ¢ rence

tO　otheraCOUStical　parurneters、199726）内之浦祐樹 大鶴徹．富 来礼次，山本 み ど り ：

．「背景雑音に起 因す る室内音 響

イ ンパ ルス 応答の 測定誤差 」 ，　 日本音 響学会 建築 音響研究会，　 資料番 号

AA2003 −35、20Q3．n27）日本 建築 学会編； 「音響材料 の特性 と選定」 ．p．98、1ggコ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　共立出版株式会社．　 p．51−SS，

B ロi］dings」　，　Nd ＆e

〔2004年 2月 9．凵原稿受 埋，2eo4年 6月 17日採 用決定 ｝

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