2015年(平成27年)6月15日(月曜日) 6...

4
(毎月1回 15日発行) 131 2015 年(平成 27 年)6月 15 日(月曜日) (1) 15 日(月) 発行所 ㈲デジタルリサーチ 4600008 名古屋市中区栄2-1019 名古屋商工会議所ビル11TEL0522236205 FAX0522538685 毎月1回 15日発行 購読料1年契約 11000円(消費税・送料込) 銀行口座 三菱東京UFJ銀行 新瑞橋支店 普通預金 口座番号 1539196 2015(平成 27 年) 131 O sakaGasHigh ! puri tyHydrogen 30 ! 30 調! 30 05 ! 11 15 ! 13 12 使20 15 ! 30 11 ! ! ! ! ! 30 ! 16 23 24 " Vac uumPressureSwing Adsorption 74 85 70 79 ! 99 Azbil 使CarbondioxideCa pture, Transporta tion and Storage ! 使姿 図.HYSERVEシリーズの用途分野別納入実績 30 05 07 55 60 55 60 08 11 PETROBR AS ERGOSTE CH 10 20 60 60 使図.北大阪水素ステーションの外観 図.5!"容水素発酵リアクターの外観 (出典:(株)タカキベーカリーホームページ)

Transcript of 2015年(平成27年)6月15日(月曜日) 6...

Page 1: 2015年(平成27年)6月15日(月曜日) 6 15日(月)digital-research.co.jp/FuelCellNews_20150615.pdf2015/06/15  · puri tyHydrogen )である ある。つ設備6基の納入実績が/時の水素製造能力を持時から1600N立方

燃 料 電 池 新 聞 (毎月1回 15日発行) 第131号2015年(平成27年)6月15日(月曜日)(1)

6月15日(月) 発行所 ㈲デジタルリサーチ〒460-0008 名古屋市中区栄2-10-19

名古屋商工会議所ビル11FTEL052-223-6205 FAX052-253-8685

毎月1回 15日発行 購読料1年契約 11,000円(消費税・送料込)銀行口座 三菱東京UFJ銀行 新瑞橋支店

普通預金 口座番号 1539196

2015年(平成27年)第131号

HYSERVEシ

リーズの開発の経

緯をお聞かせくだ

さい

当社では1960年代

からナフサや石炭、アス

ファルト等から都市ガス

を製造するための技術開

発を行っており、その中

で触媒に関する技術を培

ってきた。この触媒技術

を活かす形で1990年

頃に開発したのが水素製

造プラントOGHH(O

sakaGasHigh

�puri

tyHydrogen

)である

。OGHHは熱処理や化

学、食品などの産業分野

向けに100N立方/

時から1600N立方

/時の水素製造能力を持

つ設備6基の納入実績が

ある。

その後2000年代に

入り、水素ステーション

(以下、水素ST)の実

証研究開始に伴い、低コ

ストかつコンパクトで運

転管理が容易な水素製造

装置が必要となったこと

から、世界に先駆けて水

素製造能力30N立方/

時のコンパクト水素製造

装置「HYSERVE�

30」を開発した。HYS

ERVEシリーズは水素

STの実証研究と歩調を

合わせる形で開発を進め

ており、HYSERVE

�30は国内初の水素ST

である酉島水素ST、商

用地としては国内初の水

素STである大阪水素S

Tに導入したほか、05年

には水素製造能力100

N立方/時のHYSE

RVE�100をセント

レア水素STに納入し

た。さらに11年1月に自

動車メーカーやエネルギ

ー供給事業者が15年のF

CV国内導入とそれに合

わせた商用水素STの整

備に関する共同声明に対

応し、商用水素STに適

した水素製造能力300

N立方/時のHYSE

RVE�300の開発に

着手し、13年12月から販

売を開始した。

HYSERVEシ

リーズの技術的な

特徴を教えてくだ

さい

HYSERVEシリー

ズの前身であるOGHH

は工業用の水素製造装置

として開発されたもので

あり、装置コストが高く

広い設置スペースが必要

で運転管理も比較的手間

がかかるものであった。

それに対してHYSER

VEシリーズは、当初か

ら水素STでの使用を想

定し、低コスト・コンパ

クトで運転管理が容易

な、ボタンを押せば水素

が得られる「水素ボック

ス」のコンセプトで開発

を進めた。このコンセプ

トの具体化のためには改

質器及びPSAのコンパ

クト化、省エネ設計に加

え、当社が1960年代

から蓄積してきた触媒技

術が大きく貢献した。H

YSERVEでは、都

市ガスの付臭剤に含まれ

る硫黄を取り除くための

「超高次脱硫剤」、水

蒸気改質を行う「水蒸気

改質触媒」、水蒸気改

質反応後の生成ガス中の

COを水素に転化するた

めの「CO変成触媒」の

3種類の触媒を用いてい

る。このうち超高次脱硫

剤は硫黄の吸着力が極め

て高く、通常の脱硫剤の

約千分の一、ppbレベ

ルまでの脱硫が可能であ

ることから後段の水蒸気

改質触媒に貴金属系の高

活性改質触媒を用いた場

合でも硫黄被毒を抑制で

きるという特長がある。

また水蒸気改質触媒は通

常のニッケル系触媒では

なく貴金属系触媒を採用

していることから、原料

炭化水素に含まれる炭素

と反応の際に導入する水

蒸気のモル比であるS/

Cを低くしてもカーボン

析出が発生しにくく、低

温でも高効率で改質反応

を行うことが可能であ

る。また、耐摩耗性も高

いという特長がある。さ

らにCO変成触媒に低温

CO変成触媒を採用する

ことによりPSA入口で

のCO濃度の低減を実

現、これによりPSAの

コンパクト化に成功し

た。

HYSERVEシ

リーズの導入状況

を教えてください

HYSERVEシリー

ズはこれまでに合計20基

の納入実績(15年度納入

予定の1基を含む)があ

る。機種別ではHYSE

RVE�30が11基、HY

SERVE�100が5

基、HYSERVE�3

00が4基、また用途分

野別では水素ST向けが

4基、熱処理向けが9

基、化学向けが2基、ガ

ラス向けが3基、その他

が2基の内訳である。

最新型「HYSE

RVE�300」

の特徴を教えてく

ださい

HYSERVE�30

0はHYSERVE�30

及びHYSERVE�1

00の特徴を踏襲すると

共に、より商用水素ST

に適した水素製造装置と

するため、更なる低コス

ト・コンパクト化に加

え、高効率化や水素ST

の水素品質基準に適合し

た高純度水素対応及び高

頻度起動停止対応、高信

頼性を実現した水素製造

装置である。

このうち高効率化につ

いては、改質炉のバー

ナ形式の変更と輻射伝熱

の強化による反応管への

入熱の促進により炉効率

を16%向上、燃焼排ガ

スによる燃焼空気の予熱

及び改質ガスによる水蒸

気改質用純水の予熱によ

り熱損失をそれぞれ23

%、24%低減、吸着塔

の再生時に真空まで減圧

することで吸着塔充填材

の吸着性能を向上させる

PSA(VPSA�V

ac

uumPressureSwing

Adsorption

)を採用し

、水素回収率を74%から

85%に向上などにより、

トータルでの改質効率を

従来機種の70%から79%

(HHV基準)へ9ポイ

ントの向上を達成した。

HYSERVE�30

0の開発では、スケール

ダウンモデルではなく実

機と同じスケールの水素

製造能力300N立方

/時の実証機を用いて、

水素製造能力や水素純度

99・9995体積%、C

O濃度0・1ppm未満

の品質を確認している。

また、高頻度起動停止対

応については、水素製造

は行わず、通常時の約5

%の燃料消費で装置の放

熱による温度低下のみを

防止する「ホットスタン

ドバイ運転」を行うこと

により、触媒の粉化や起

動時間の短縮を実現し

た。この技術は、当社の

独自技術である。

さらに工業用燃焼炉の

安全通則に関するJIS

規格改正への対応のため

にAzbil

製のバーナー

マネジメントシステムを

採用、燃焼装置としてよ

り高度な安全性を担保し

たほか、オプションで遠

隔監視システムにも対応

している。

今後の水素製造装

置開発の方向性に

ついてお聞かせく

ださい

水素STの普及と水素

価格低減のためには、水

素STの建設コスト低減

が必須である。オンサイ

ト型水素STの場合、水

素製造装置の低価格化が

求められているが、水蒸

気改質法による水素製造

装置はある程度確立した

技術に基づく装置である

ことから、技術開発によ

る劇的なコストダウンは

期待しづらい。当面は生

産台数の拡大による量産

効果や細かなコストダウ

ン要因の積み重ねで低価

格化を進めていくことに

なる。

また、遠い将来、CO2

フリー水素への対応が求

められるようになれば、

バイオマス由来のメタン

ガスなどCO2フリーな

原料の使用や水素製造装

置から発生するCO2の

分離・貯蔵するCCTS

(CarbondioxideCa

pture,Transporta

tionandStorage

が必要となる可能性があ

ると考えている。

水素STに対する

取り組みをお聞か

せください

当社では2015年4

月にHYSERVE�3

00を採用した国内初の

都市ガスオンサイト型商

用水素ST「北大阪水素

ST(大阪府茨木市)」

の運用を開始した。オン

サイト型水素STは、水

素製造装置が必要である

分、オフサイト型よりも

イニシャルコストは比較

的高いものの、オフサイ

ト型水素STのように水

素受入のためのスペース

や水素貯蔵設備が不要で

あり、また水素の原価に

ついても一定以上の需要

が見込める場合にはオン

サイト型の方が安価とい

う利点がある。

しかしながらFCVの

普及初期は、オンサイト

型水素STの水素製造能

力はFCVへの水素販売

量を大きく上回ることか

ら、水素製造装

置の稼働率が低

迷し、効率的な

水素製造が困難

である。そこで

当社では、オン

サイト型水素S

Tの水素製造余

力を移動式水素

STと組み合わ

せることによ

り、初期投資を

抑制しつつ将来

のFCVの普及

状況に応じて柔

軟に対応できる

「マザー&ドー

ター方式」を採

用している。具

体的にはオンサ

イト型の北大阪水素ST

をマザーステーションと

して、同STの水素製造

余力を活用して製造した

水素を移動式水素STや

水素カードルに充填し、

ドーターステーションで

ある「上鳥羽水素ST

(京都市南区、今年度中

に整備の予定)」に移送

し、移動式STの水素デ

ィスペンサーを経て、F

CVに水素を充填すると

いう流れとなる。なお北

大阪水素ST、上鳥羽水

素STとも、当社直営の

エコ・ステーション(天

然ガススタンド)に併設

する形で整備することに

より、運営の効率化を図

っている。

水素供給事業の方

向性をお聞かせく

ださい

当社のコア事業は都市

ガス事業であり、自動車

への燃料供給事業は必ず

しも当社が得意とする事

業ではない。したがっ

て、自動車への燃料供給

に関するノウハウを持つ

事業者が整備するオンサ

イト型水素ST向けに、

よりニーズに合ったHY

SERVEを提供するこ

とで、低炭素社会の構築

に貢献していきたいと考

えている。そのため、北

大阪水素ST及び上鳥羽

水素STの整備・運営を

通じて、HYSERVE

を採用した水素STの運

用に関する知見などの蓄

積を行っていく。

また、工業用水素製造

装置としても、HYSE

RVEは活用いただいて

おり、引き続き工業用途

へのHYSERVEの拡

販にも注力したいと考え

ている。

装置としてのHYSE

RVEの製作販売は、当

社の子会社である大阪ガ

スエンジニアリングが行

っており、HYSERV

Eを用いた水素供給事業

は、当社の子会社である

(株)リキッドガスが実

施している。

住宅向けなどの民生分

野への取り組みとして

は、エネルギー効率や既

存インフラ有効活用の観

点から、当面は都市ガス

などを使用し高効率にエ

ネルギーを利用できる家

庭用燃料電池システムの

普及を目指したいと考え

ている。

昨年末のFCVの市販開始により、現実味を帯びてきた水素エネルギー社会。しかしながら現段階ではその具体的な姿につ

いて明確になっていない。

連載第二回目となる今回は、水素サプライチェーンの出発点である水素の製造方法に関して、都市ガス・LPガスを原料と

する水素製造装置「HYSERVE」シリーズの開発と水素ステーションに関する取り組みについて大阪ガス株式会社エンジ

ニアリング部プロセス技術チーム課長池田耕一郎氏に、また食品・農業廃棄物からのバイオマス水素製造技術についてサッポ

ロビール株式会社価値創造フロンティア研究所研究主幹三谷優氏にお話をお聞きした。

「「水水素素エエネネルルギギーー社社会会のの構構築築にに向向けけてて」」シシリリーーズズ第第二二回回

〜水素製造装置「HYSERVE」

シリーズの開発と水素ステーション

に関する取り組み〜

大阪ガス株式会社

エンジニアリング部プロセス技術チーム

図.HYSERVEシリーズの用途分野別納入実績課

池田耕一郎氏

バイオマス水素製

造技術の研究を始

めた経緯について

お聞かせください

当社はビールを始めと

する飲料メーカーである

が、ビールは製造時に比

較的高濃度の有機物を含

む大量の排水が発生す

る。従来は排水処理のた

めに好気性処理を採用し

ていたが、ビールの消費

拡大に伴う排水量の増加

に対応する為、1990

年代の後半から高効率の

嫌気性処理、すなわち高

速メタン発酵による排水

処理に変更した。メタン

発酵では、加水分解・酸

生成菌による高分子有機

物の加水分解反応、水素

・酢酸生成菌による低級

脂肪酸からの水素や酢酸

等の生成反応、さらにメ

タン生成菌による水素や

酢酸からのメタン生成反

応など、複数の反応がか

かわっている。当社では

排水処理のための技術開

発を通じ、これら各々の

反応を行う微生物の分離

やコントロールに関する

技術を蓄積していた。

一方、メタン発酵に関

わる反応を分離して行う

ことで水素などの有用物

質を抽出しようという研

究が広島大学と(株)島

津製作所の研究チームに

より進められていた。こ

の研究チームが当社の微

生物の分離・コントロー

ルに関する技術に着目、

共同研究の打診を受けた

ことから、2002年か

ら当社も研究チームに加

わり、バイオマス水素製

造技術の研究を開始する

こととなった。

これまでの研究の

成果についてお聞

かせください

当社のバイオマス水素

製造技術開発は、200

2年に島津製作所等と

共同で、農林水産省の支

援事業「食品リサイクル

促進技術開発事業」の採

択事業としてスタートし

た。研究開始当初は1

容ジャーファメンター、

2容ジャーファメンタ

ーとテーブルスケールで

の技術開発であったが、

その後30容リアクター

による試験を経て、05年

からは環境省の「地球温

暖化対策技術開発事業」

において9百容リアク

ターを用いた約2年間の

無殺菌連続発酵運転に成

功した。

その後07年から、5

容水素発酵リアクター

と6容メタン発酵リ

アクターを組み合わせた

水素・メタン二段発酵実

証設備を製パン会社の

(株)タカキベーカリー

の千代田工場(広島県山

県郡北広島町)に設置し

実証試験を実施した。こ

の実証試験では実利用を

想定し、原料となる食品

廃棄物の加熱殺菌等の水

素発酵リアクター内への

環境微生物混入防止のた

めの措置を取らなかった

にも関わらず、リアクタ

ー内は長期にわたり水素

生産菌が優勢で水素生成

量も維持できることが確

認された。

なお当社が開発した手

法では、水素発酵は55か

ら60℃、メタン発酵は55

℃といずれも高温発酵を

採用している。そのため

発酵リアクターの加温等

のユーティリティーで一

定の投入エネルギーが必

要となる。前述の5

容水素発酵リアクターと

6容メタン発酵リア

クターを組み合わせた実

証設備では、リアクター

の規模が小さく、また保

温対策なども十分に行わ

なかったことから、水素

やメタンの形での回収エ

ネルギー量はユーティリ

ティーのための投入エネ

ルギー量を下回った。し

かしながら試算では、リ

アクターの規模を一定以

上とし、リアクターや配

管等の保温対策などを十

分に施すことにより、投

入エネルギー量を上回る

水素・メタンの回収が可

能であるとの結論が得ら

れていることから、当社

のバイオマス水素製造技

術は基本的な部分に関し

てはほぼ完成段階に達し

ているものと考えてい

る。貴

社のバイオマス

水素製造技術の特

徴について教えて

ください

当社が開発したバイオ

マス水素製造技術は、メ

タン発酵の前工程に水素

生成菌による水素発酵工

程を配置することによ

り、有機物を含む排水か

ら水素とメタンガスを

別々に取り出すことを可

能とした「水素・メタン

二段発酵技術」である。

水素・メタン二段発酵技

術は、発酵生産ガス中

の水素濃度が約60%とバ

イオマス水素としては比

較的高濃度である、水

素生成菌の中には有機固

形分の加水分解が可能な

酵素を生成する菌がある

ことからこれらの菌を含

む水素発酵リアクターは

有機固形物の可溶化リア

クターとしての機能も持

つ、水素発酵リアクタ

ーにより有機固形物が可

溶化されることからメタ

ン発酵リアクターの処理

速度が向上するためメタ

ン発酵リアクターのコン

パクト化が可能、などの

利点がある。このうち特

にに関して、ビール製

造に伴い発生する排液を

原料として行った実験で

は、発酵生産ガス中の水

素以外の成分のほとんど

が二酸化炭素であり、含

硫化合物の濃度は検出限

界(1ppb)以下と極

めて低いことから、燃料

電池の燃料として利用す

る場合、脱硫処理を行う

必要がない。

バイオマス水素の

実用化の可能性に

ついてお聞かせく

ださい

当社が水素・メタン二

段発酵技術を開発したの

は、当社が水素供給事業

者となるためで

はなく、当社が

得意とする発酵

技術を活用し食

品廃棄物や農業

廃棄物を有効利

用するための技

術を開発するこ

とで環境保護に

貢献したいとい

う考えによるも

のである。水素

・メタン二段発

酵技術を活用し

た水素製造を実

際に廃棄物処理

に適用したいと

いう事業者があ

れば、当社では

協力を惜しまな

い考えである。

当社では08年11

月からブラジル

において石油会

社のP

ETROBR

AS

社、バイオ

燃料の研究やコンサルテ

ィングを行うE

RGOSTE

CH

社と共同でサトウキ

ビの搾りかすであるバガ

ス等の農業廃棄物からの

水素・メタン製造のため

の研究開発を実施、10年

9月には水素リアクター

などの設備を立ち上げる

など実証試験を本格的に

スタートさせているが、

これもその一環である。

当社がこれまで行って

きた技術開発では、ビー

ル製造時に発生する排水

や製パン廃棄物など限ら

れた種類の廃棄物を対象

としてきた。今後、実際

に水素・メタン二段発酵

技術を様々な食品・農業

廃棄物に適用していくた

めには、廃棄物の種類や

性状に合わせ設備や発酵

技術をカスタマイズする

必要がある。また発酵生

産ガスの利用方法につい

ても、メタンについては

メタンガスボイラーやメ

タンガス発電などのアプ

リケーションが比較的容

易に入手可能であるのに

対して、水素は現状では

実用的なアプリケーショ

ンがほとんど存在しない

ことから利用が難しいと

いう問題がある。

水素・メタン二段発酵

による水素の製造コスト

は、例えばビール工場の

ように1日当たり数千

の排水を処理するような

規模で行えば、将来の水

素製造コストの目標値と

される20円/立方を大

きく下回るものと考えら

れる。ただしこれは発酵

生産ガスから水素の精製

を行う前の段階、すなわ

ち濃度60%程度の状態の

水素の製造コストであ

り、FCV等の燃料とし

ての規格を満たす水準ま

での高純度化・昇圧のた

めには別途コストが発生

する。水素・メタン二段

発酵により得られる水素

のコスト面での優位性を

活かすためには、水素精

製・圧縮の低コスト化の

ための技術開発、または

60%程度の比較的低純度

かつ低圧の水素の有効な

活用方法の開発も重要で

ある。

将来的には、例えば食

品工場で発生した食品廃

棄物を原料として水素・

メタン二段発酵により水

素を製造し、その水素を

工場内で使用する燃料電

池フォークリフトの燃料

として活用する、という

ような形でバイオマス水

素が実用化されるのでは

ないかと考えている。た

だ一定の経済性を持った

水素製造のためには、当

社の試算では、水素発酵

リアクターの容量として

少なくとも数百レベ

ルのプラントが必要とな

る。このレベルの排水処

理プラントが必要な食品

工場は、日本国内では数

が限られる。さらに将来

的に水素利用インフラが

普及し水素需要が拡大す

れば、東南アジアや南米

など農業廃棄物が大量に

発生する場所でバイオマ

ス水素を製造し、CO2

フリー水素として水素需

要国に輸出する、といっ

たことが行われる可能性

もあるのではないかと見

ている。

〜食品・農業廃棄物からの

バイオマス水素製造技術の開発〜

サッポロビール株式会社価値創造フロンティア研究所

図.北大阪水素ステーションの外観

研究主幹

三谷

優氏

図.5��容水素発酵リアクターの外観 (出典:(株)タカキベーカリーホームページ)

Page 2: 2015年(平成27年)6月15日(月曜日) 6 15日(月)digital-research.co.jp/FuelCellNews_20150615.pdf2015/06/15  · puri tyHydrogen )である ある。つ設備6基の納入実績が/時の水素製造能力を持時から1600N立方

��������������������

燃 料 電 池 新 聞 (2)2015年(平成27年)6月15日(月曜日)第131号 (毎月1回 15日発行)

水素ステーション運営上の問題

を共有する情報システム構築

HySUT

JX日鉱日石エネルギ

ー、岩谷産業、東京ガス

などのエネルギー企業や

トヨタ自動車といった自

動車メーカーなど、水素

関連19社・団体で構成す

る民間団体「水素供給・

利用技術研究組合」(H

ySUT)がNEDOの

委託事業「水素ステーシ

ョン安全基盤整備に関す

る研究開発」で水素ステ

ーションの運営上の情報

を共用するシステムを構

築、運用を開始した。

JX日鉱日石エネルギ

ーや岩谷産業などが設置

した商用水素ステーショ

ン運営会社は、スタンド

水素充填前後の点検ポイ

ントや不具合が発生した

充填装置への対処など運

営上の課題や改善点を共

用システムに集める。商

用水素ステーションでの

実際の使用状態を共有

し、また蓄積した情報を

分析することで、水素ス

テーションの配管やホー

スを効率的に設置した

り、充填装置の使い勝手

を向上させたりすること

につなげていくことが可

能になる。高圧ガス保安

法など水素ステーション

運営に関わる関連法制の

見直しなど、政府への働

きかけが必要な際にも具

体的なデータを活用でき

る。す

でに一部の水素ステ

ーションで情報共用シス

テムの運用が始まってい

る。2015年度中に全

国100カ所に設置予定

の水素ステーションから

集まってくる情報を順次

蓄積して、水素ステーシ

ョンの設置や運営コスト

の削減につなげること

で、FCVの普及を後押

しする。

水素ステーション

の事故実態を報告

経済産業省

経済産業省は産業構造

審議会の高圧ガス関係委

員会で水素ステーション

の事故実態を報告した。

実証実験用の水素ステー

ションが稼働した平成14

年度から平成25年度まで

に起きた事故は合わせて

23件で、その91%は漏洩

事故だが、漏れた水素に

よる爆発事故も1件あっ

た。水素ステーションの

数自体は少ないものの、

事故件数の割合は30%と

高率だ。水素は極めて軽

く、漏洩しても大気中に

容易に拡散するため、大

規模な爆発や火災を起こ

す危険は低いといわれる

が、燃料電池車(FC

V)の普及に伴い、水素

充填中の誤発進や、水素

供給施設に衝突する事故

の増加も考えられるとし

て、同省は引き続き安全

対策に取り組む。

事故の大半は水素漏洩

で、継ぎ目のシール材の

劣化や、高圧タンクの製

造時にタンク内部につい

た傷が高温高圧にさらさ

れることで短時間でその

亀裂が拡大して水素が漏

れ出すなど、蓄圧器や配

管材料が高圧水素特有の

高圧高温という使用環境

に置かれることと、水素

が持つ水素脆化という特

性による金属疲労に起因

している。経済産業省は

製造品質の確保や機器管

理の徹底を促すなど、引

き続き安全対策に取り組

む。

45MPaの高圧水素出荷

設備を根岸製油所に建設中

JX

JX日鉱日石エネルギ

ーは、根岸製油所で液化

石油ガス(LPG)を改

質する方式で20MPaの

高圧水素を集中製造し水

素ステーションに供給し

ているが、1500N立

方/hの圧縮機を導入

し45MPaの高圧水素を

供給できる高圧水素出荷

設備を増設し、2016

年度から出荷を開始す

る。当面は高圧水素によ

り水素を供給するが、将

来は高圧水素よりも水素

輸送量が増やせるメチル

シクロヘキサン(MC

H)で供給することを想

定しており、現在MCH

をキャリアとする水素サ

プライチェーン構築に向

けた技術開発で、水素ス

テーションでMCHから

水素を取り出す小型脱水

素システムを開発中。

再生可能エネルギー利用に

よる水素製造システム開発

日立造船

日立造船は九州大学が

実施する「グリーンアジ

ア国際戦略総合特区」で

の「スマート燃料電池社

会実証」の中核的役割を

果たす、再生可能エネル

ギー利用による水素ステ

ーション向け水素製造シ

ステム「ハイドロスプリ

ング」の実証機を同大学

伊都キャンパス内の水素

ステーションに納入し

た。「ハイドロスプリン

グ」は固体高分子型の水

電解方式で1N立方/

hの水素を製造できる。

太陽光発電など再生可能

エネルギーは天候により

発電量が大きく変動する

ため、水素製造装置に負

荷がかかる。日立造船が

開発した水素製造システ

ム「ハイドロスプリン

グ」は発電量に応じて基

幹部品の稼働を柔軟に変

えるため、装置への負荷

が軽減できる。

九州大学伊都キャンパ

スでは、(1)太陽光や

風力等の不安定な発電形

態で得られた再生可能エ

ネルギーにより水素製造

システムを運転し、得ら

れた水素を貯蔵すること

でエネルギー供給を平準

化する、(2)再生可能

エネルギーによる電力で

製造した水素を燃料電池

自動車に供給する水素ス

テーションの運用試験を

行う。

硫黄島地熱発電で

水素製造を計画

川崎重工業、大林組

鹿児島県三島村の硫黄

島で地熱発電を利用し、

液体水素を製造する計画

が始まる。川崎重工業と

大林組が実証プラントの

建設に向け、2015年

度からボーリング調査を

行い、早ければ2016

年度から実証プラントの

整備に入る。2020年

の実用化を目指す。計画

では、火山ガスで水を沸

騰させ、蒸気でタービン

を回して発電する。水素

を取り出すための水は海

水を淡水化して使う。製

造した水素ガスはマイナ

ス253℃に冷却して液

化しタンクに貯蔵、フェ

リーでコンテナ輸送す

る。

燃料電池の白金触媒の挙動

をリアルタイムで観察で

きる新たな手法を開発

トヨタ

トヨタ自動車はファイ

ンセラミックスセンター

(JFCC)と共同で、

燃料電池の化学反応を促

進する触媒として不可欠

な「白金」の劣化に至る

挙動をリアルタイムで観

察できる新たな手法を開

発した。トヨタとJFC

Cの共同研究グループ

が、観察・分析用の「透

過型電子顕微鏡」の中で

燃料電池スタックと同じ

発電状態を模擬できる新

しい観察用サンプルの作

成に成功し、数ナノメー

トル程度の「白金微粒

子」のレベルで、反応性

低下に至る挙動プロセス

の観察を可能とした。

トヨタの水素タ

ンクの型式承認

経済産業省

経済産業省は高圧ガス

保安法に基づいてトヨタ

自動車が製造する燃料電

池自動車(FCV)用の

水素タンクの型式を承認

した。国連の「水素及び

燃料電池に関する世界技

術規則(GTR)」に対

応する水素タンクの型式

を国内で初めて承認し、

トヨタは全長や内容積、

外形などの小幅な仕様変

更を自主検査のみで可能

になる。従来は高圧ガス

保安協会など第三者機関

の容器検査を受ける必要

があった。設計変更の自

由度が高まり、新車など

のより迅速な市場投入が

期待できる。

「ワイヤレスジャパン2015」

にDMFC燃料電池(500W、

250W)を出展

三菱ガス化学

三菱ガス化学は201

5年5月27日~29日に開

催の「ワイヤレスジャパ

ン2015」で500W

級と250W級の直接メ

タノール形燃料電池(D

MFC)を用いた電源装

置を出展した。NHKと

共同開発した「500W

級DMFC定置型非常用

無停電電源装置MGC�

FC56」と「250W級

DMFC可搬型電源装置

MGC�FC44」で、放

送用機器・携帯基地局等

のバックアップ電源、自

治体・企業等の非常用電

源、可搬型では放送用機

器用、屋外用、レジャー

用の電源として応用でき

る。同社ではNHK静岡

放送局と共同で、201

3年11月から御殿場FP

U基地局舎内にて非常用

電源として設置、試験運

用を開始している。また

ゴルフ中継等で試験運用

を実施した。

■日本計画研究所

特別セミナー

○開催日�2015年7月16日(木)

14時~16時

○会場�JPIカンファレンススク

エア(東京メトロ日比谷線

広尾駅

徒歩3分。東京都港区南麻布5�2�

32)○

講演�再生可能エネルギーで造る

「東芝型水素の全て」と東芝の水素事

業モデルによる市場創出~水素サプラ

イチェーンを統合した社会インフラ事

業の進捗状況

1、水素事業環境について

2、東芝

の水素事業とは

3、東芝の水素事業

モデル

4、質疑応答

○講師�東芝

執行役上席常務

世代エネルギー事業プロジェクトマネ

ージャー

前川治氏

○参加費�32、940円(資料代、

税込)。

■日本計画研究所

特別セミナー

○開催日�2015年7月24日(金)

15時~17時

○会場�ガーデンシティ

クラブ大

阪(大阪市北区梅田2�5�25ハービ

スOSAKA

6階)

○講演�大量かつ集中的に導入され

る再生可能エネルギーに関西電力が対

応する研究開発の

先端~デマンドレ

スポンス実証・家庭向けエネルギーマ

ネジメントの取組み・BEMS研究~

1、再生可能エネルギーの現状

2、関西電力の再生可能エネルギーや

スマートエネルギーへの取組み

3、

エネルギーマネジメントに関する取組

4、質疑応答

○講師�関西電力

研究開発室長

三浦良隆氏

○参加費�32、420円(資料代、

税込)。

○問合せはともにJPI

マーケテ

ィング部

谷内将貴

TEL�03�5

793�9761

燃燃料料電電池池・・水水素素エエネネルルギギーー

燃燃料料電電池池イインンフフォォメメーーシショョンン

国内ニュース

図、日立造船が開発し

た水素製造システム

「ハイドロスプリング」

2015年夏から

家庭用蓄電池を販売

米Tesla

米国のEVメーカーで

あるT

eslaMotors

2015年夏から家庭用

蓄電池と、太陽光発電や

ビルの非常電源など業務

用蓄電池を投入する。家

庭向けは、一般家庭の1

日の消費電力を賄える容

量10時モデルで3千

5百ドル(約43万円)。

7時のモデルは3千

ドル(約37万円)。保証

期間は10年。太陽光発電

やビルの非常電源など業

務用100時のモデ

ルの販売も始める。

新型バックアッ

プ電源を開発

米Altergy

米国のA

ltergySys

tems

は設置面積と容積

を47%、システム重量を

48%それぞれ削減した新

型燃料電池バックアプ電

源「F

reedomPowerN

acelle

」を開発、販売

を開始した。1、2

・5、5の3タ

イプがある。新型「N

ac

elle

」は燃料電池の課

題であったコストを26

%引き下げた。同社のバ

ックアップ電源シリーズ

「FreedomPower

」は

8、300kWの販売実

績と32百万時間の稼働実

績がある。

独Helio

製品の

独占販売権を獲得

欧州稲畑産業

欧州稲畑産業はドイツ

Heliocentris

提携、同社製品を日本・

韓国・米国市場で独占的

に販売する。欧州稲畑産

はHeliocentris

が資金調達を容易にする

ため、同社が発行する1

百万ユーロ(約1億3千

万円)の無担保社債を購

入した。欧州稲畑産業は

同社製品の部材供給も手

掛ける。

印通信会社からバック

アップ電源百台受注

カナダB

allard

カナダのB

allardP

owerSystems

はイン

ドの通信会社R

elianc

eJioInfocomm

(RJ

IL)から国内の無線通

信ネットワークに設置さ

れる燃料電池バックアッ

プ電源E

lectraGen

ME

を百台受注した。R

JILは1年間にわたり

複数のメーカーの燃料電

池バックアップ電源のフ

ィールド実証を実施し、

にBallard

ものを採択した。KPM

Gの報告書によると、イ

ンドでは約30万か所の通

信タワーが一日8時間以

上の停電に見舞われ、デ

ィーゼル発電機や鉛蓄電

池が設置されている。そ

のためインドではディー

ゼル油の消費と温室効果

ガスの排出量が増加して

いる。

携帯電話事業者からバ

ックアップ電源を受注

インドネシアC

ascadiantCascadiant

はイン

ドネシア

大の携帯電話

オペレータのT

elkoms

el

からスマトラ島にあ

る同社のいくつかの重要

施設に燃料電池バックア

ップ電源を設置する契約

を結んだ。Ca

scadiant

は燃料電池バックアップ

電源の設置と同時に二酸

化炭素とエネルギーコス

トを削減できるエネルギ

ーソリューションを導入

する。C

ascadiant

Ballard

のアジア地区

のパートナー企業。

電解質膜を使わない

水電解技術を開発

スイスE

PFL

大学

スイス連邦工科大学ロ

ーザンヌ校(EPFL)

は水電解で水素と酸素の

分離にフッ素膜のような

高価な電解質膜を使わ

ず、二つの電極の間をマ

イクロ気泡流体を循環さ

せることで水素と酸素を

分離するという技術を開

発、低コストで水素を製

造するめどをつけた。

1・5��のPEM

水電解スタック開発

カナダH

ydrogenics

カナダのH

ydrogen

ics

はドイツのE

.ON

Reitbrook

サイト

実施するP

ower

�to

Gas

プロジェクトに1

・5の

置を納入する。G

ladbe

ck

にある同社の工場で

E.ON

担当者による立合

い検査が終了した。この

水電解装置の核になって

いる技術は1・5の

シングルPEMスタック

「1500E」で、同社

はコストダウンとコンパ

クト化を両立させた4千

/の高出力密度スタ

ックを開発した。

63・3��の燃料

電池発電所を発表

米FuelCellEnergy

米国のF

uelCellEn

ergy

は建設業のO

&G

とデベロッパーのC

TEn

ergy&Tech.

で、コネチカット州B

e

aconFalls

に63・3

の燃料電池発電所を建

設する事業計画を発表し

た。計画通り実現すると

世界

大の燃料電池

発電所になる。F

uelCe

llEnergy

はMCFC

燃料電池のサプライヤー

として参加し、長期間に

わたる発電所の運営・管

理とメンテナンスを含め

たトータルサービスを提

供する。

累計250以上のオフグ

リッド燃料電池を納入

米Acumentrics

米国のA

cumentric

sSOFCCorporation

は約3ダースの顧客に累

計で250以上のオフグ

リッドSOFC燃料電池

「RP」を納入した。同

社は無線通信、カソ�ド

防食、モニタリング、計

測機器などオフグリッド

環境で使用されるアプリ

ケーション向けに250

~10のチューブ型

SOFC燃料電池を提供

し、すでに200万時間

以上の稼働実績がある。

KOSEPの工場に

6台のPAFC設置

米Doosan

米国のD

oosanFuel

Cell

は韓国K

oreanS

outhEastPower

のソ

ウル郊外にあるA

nsan

工場に6台のPAFC燃

料電池「P

ureCellMo

del

400」を

た。総発電量は2・6

。同社は他にも、韓国

のIPPであるG

SPow

er

に12台納入す

ど、35台のPAFC燃料

電池「P

ureCellModel

400」を納入する。韓

国の電力会社は一定割合

で再生可能エネルギーの

導入を義務づける制度

(RPS)を取ってお

り、RPSが燃料電池の

導入促進に一役買ってい

る。

2015年10月からカリフォ

ルニアでFCVの販売を開始

米国トヨタ

米国トヨタは2015

年10月からS

anFranc

iscoToyota

などカリ

フォルニア州のトヨタ車

ディーラー8店舗でFC

V「ミライ」の販売を開

始すると発表、夏からF

CV「ミライ」の受注を

始める。トヨタは201

7年までに米国で3千台

のFCV「ミライ」の販

売を計画している。

石油・ガス掘削業界向け

オフグリッド電源を販拡

独SFCEnergy

ドイツのS

FCEnerg

y

は子会社のS

imarkC

ontrols

を通してカナ

のGenthermGloba

lPowerTechnologi

es

(GPT)と販売面

で提携した。GPTは50

か国以上の国の石油・ガ

ス掘削現場に3万システ

ム以上のオフグリッド電

源を販売した実績を持っ

る。S

FCEnergy

はその販売ルートを通し

て、特に米国の石油・ガ

ス掘削現場へのDMFC

燃料電池「E

FOYPro

を組み込んだシステムの

拡販を狙っている。GP

Tはガスバーナーの熱を

電力に変換する熱電発電

装置(TEGs)の専業

メーカー。

新しいバックア

ップ電源を開発

米PlugP

ower

のPlugPower

は米国南部の無線通信事

業者S

outhernLINC

共同開発したR

eliOn

ブランドの無線通信機器

とバックアップ電源をひ

とつのキャビネットにパ

ッケージングしたOPS

OutsidePlantsol

ution

)を開

発、市

投入を始めた。OPSは

イニシャルコストを2・

5のディーゼル発電

仕様と比較して33%、5

仕様で18%削減し

た。また一つのパッケー

ジに機器を収めたことで

設置面積を87%削減し

た。

ポーランドのバスメーカーか

ら燃料電池モジュールを受注

カナダB

allardBallard

はポーラン

Solaris

から24メート

ルの連結バスに搭載する

燃料電池モジュール

「FCvelocity

HD

7

」を受注した。201

5年下半期に納入する。

Solaris

は1996年

に創業し、主に欧州各国

に路線バスなど1万台の

納入実績を持つ。201

4年にはハンブルグ市内

の路線バス運行会社向け

にBallard

の燃

池モジュールを搭載した

燃料電池バス2台を納入

した。

2015年7月から240

��級AFCの建設開始

英AFCEnergy

のAFCEnergy

はAirProducts

のド

イツS

tade

工場に

の240級アルカリ

形(AFC)燃料電池「K

ORE」を建設する準備

を進めている。2013

年から米国のエンジニア

リング会社であるF

ost

erWheeler

と共同

化学プラントの安全性と

運転性能のリスク評価試

験を実施してきたが、

終的な評価が終了し、2

015年7月からプラン

トの建設が始まる。

カ州Riverside

市と

電力購入契約を締結

米FuelCellEnergy

米国のF

uelCellEn

ergy

はカリフォルニア

州Riverside

と20

年間の電力購入契約(P

PA)を結び、同市の下

水処理場に1・4の

MCFCコージェネシス

テムを設置し、2016

年から運用を開始する。

下水処理プロセスから出

るバイオガスを利用し、

同プラントが消費する電

力の1/2を供給し、電

力コストを削減する。

米北東部の水素イ

ンフラ構築で提携

トヨタと米AirLiquide

トヨタ自動車と米国の

Air

Liquide

はニュ

ーヨークを中心とする米

国北東部地域で

新の水

素ステーションを設置す

るなど水素インフラの構

築で提携する。トヨタは

2016年から米国北東

部地域でも燃料電池車

「ミライ」の販売を開始

する。

SOFC燃料電池システム

「ConvionC50

の実証試験を開始

フィンランドC

onvion

Convion

はSOFC燃

「ConvionC50

」(50

)の実証試験を開始

した。C

onvion

はワル

チラのSOFC燃料電池

事業を引き継いで開発を

継続してきた。発電出力

は53%、総合効率は83

%。系統連系も、単独運

転も可能。燃料は天然ガ

スもバイオガスも利用で

きる。同社は商品化して

いく上でのパートナー企

業を探しており、201

5年の商品化を目指して

いる。

2014年に17水素

ステーションオープン

TUVSUD

世界の水素ステーショ

ンの設置状況をまとめて

るTUVSUD

(web

はH2stations

.org

)は2014年

17カ所の水素ステーショ

ンが新しくオープンした

と発表。2015年3月

現在開設されている水素

ステーション数は184

か所となった。現在12

9か所の水素ステーショ

ンの設置が計画されてい

る。某

量販店から

「GenK

ey

」受注

米PlugP

ower

のPlugPower

は某量販店と、オハイオ

州Toledo

TroyTownship

設する配送センターに1

77台のフォークリフト

用燃料電池システム、水

素供給設備、メンテンナ

ンス契約を含むフルサー

ビスを提供するG

enKe

y

ソリューション契約を

結んだ。この量販店は北

米に100の配送センタ

ーを持っており、P

lug

Power

にとって今後W

almart

やKroger

ような重要な顧客になる

可能性がある。

ギ酸改質燃料電

池開発で提携

米NEAHPower

米国のN

EAHPowerS

ystems

とオーストラ

のTectonicaAu

stralia

は、N

EAHPo

wer

が開発したギ酸改

質燃料電池を兵士のパワ

ーマネージメントシステ

ム(BANTAM)に組

み込むことで、様々な市

場に適用が可能なオフグ

リッドかつオンデマンド

発電システムを開発する

ことで提携する。

データセンターに1

��の燃料電池設置

米Bloom

Energy

米国のB

loomEnerg

y

Equinix

は、シ

リコンバレーにある同社

のデータセンターにバイ

オガスを燃料とする1

のSOFC燃料電池を

設置するプロジェクトを

発表した。E

quinix

世界に100か所あるデ

ータセンターで、100

%クリーンで再生可能な

エネルギーの利用を目指

している。

インスブルックに水

素ステーション開設

独Linde

など

ドイツのL

indeGro

up

とオーストリアの石

油会社OMVはオースト

リアのインスブルック

に新しい水素ステーショ

ンを開設した。L

inde

のイオニックコンプレッ

サーを内蔵した70Pa

級水素ステーションで、

1時間に6台のFCVに

水素充填できる。この水

素ステーションはドイツ

とイタリアを結ぶ幹線ル

ートのひとつに位置して

いる。EUの水素ステー

ション建設プロジェクト

であるH

yFIVE

プロジ

ェクトの一環。

包装材料販社から

GenK

ey

受注

米PlugP

ower

のPlugPower

は燃料電池、水素充填シ

ステム、メンテナンスの

フルサービスを提供する

GenKey

ソリューショ

ンの新しい顧客として包

装材料販売のU

line

獲得した。U

line

は北

米の梱包・包装・発送資

材のディストリビュータ

で、米国、カナダ、メキ

シコに12の配送センター

を持っている。P

lugPo

wer

はUline

スコンシン州にある配送

センターと数か月先に新

設される配送センターに

フォークリフトとリフト

トラック用の燃料電池シ

ステム130台と水素充

填システムを納入する。

岩塩空洞に大量の水素を

貯蔵する可能性を評価

英ETI

英国のE

nergyTech

nologiesInstitut

e

(ETI)は水素を岩

塩空洞に大量に貯蔵する

可能性に関するアセスメ

ントを実施し報告書をま

とめた。英国には石油や

天然ガスを貯蔵した実績

のある岩塩空洞が30あ

る。報告書はその空洞を

使って再生可能エネルギ

ー由来の水素を貯蔵し、

電力ピーク時の需要を満

たす有力な手段になりえ

ると指摘している。

海外ニュース

【最近の統計から】

米国のハイブリッド

車、プラグインハイブリ

ッド車、電気自動車の

新販売動向をまとめてい

HybridCars.com

のダッシュボードによる

と、米国の2014年の

ハイブリッド車の販売台

は452、152台

(前年比8・8%減)。

トヨタのプリウスリフト

バックが122、776

台(前

比15・5%

減)、同プリウスCが4

0、570台(同3・4

%減)、同カムリハイブ

リッドが39、515台

(同11・1%減)。

プラグインハイブリッ

ド車の販売台数は55、

357台(前年比13・1

%増)で、GMのシボレ

ーボルトが18、805

台(前年比37・7%減)、

トヨタのプリウスPHV

が13、264台(同9

・7%増)、フォードの

フュージョンエナジーが

8、433台。

同じく電気自動車(E

V)の販売台数は、63、

325台(前年比33・2

%増)。日産リーフが3

0、200台(前年比33

・6%増)、テスラのモ

デルSが16、550台

(同11・3%減)、BM

Wのi3が6、092台

(新発売)となった。総

販売台数に占める割合は

3・5%である。

2014年は米国自動

車の総販売台数が1、6

00万台まで回復し、米

国経済の好調さを示す指

標とされた。カリフォル

ニア州のZEV規制を睨

んで自動車各社からPH

VやEVの新型車種投入

がはじまり、PHV、E

Vそれぞれの伸びにつな

がったが、ガソリン価格

が下がったことでHVの

価値が相対的に下がり、

HVの販売台数は前年を

下回った。

表.米国のHV、PHV、EVの販売台数の推移(2010~2015年)(単位:台)

Page 3: 2015年(平成27年)6月15日(月曜日) 6 15日(月)digital-research.co.jp/FuelCellNews_20150615.pdf2015/06/15  · puri tyHydrogen )である ある。つ設備6基の納入実績が/時の水素製造能力を持時から1600N立方

�����������������������������������������������������������������

�������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������

�����������������������������

燃 料 電 池 新 聞 (毎月1回 15日発行) 第131号2015年(平成27年)6月15日(月曜日)(3)

家庭用燃料電池「エネ

ファーム」を販売する主

要5社の2014年度の

販売台数と2015年度

の販売計画がまとまっ

た。2009年から一般

販売が始まった「エネフ

ァーム」は2011年度

以降、東日本大震災の影

響で自家発電が可能な家

庭用発電システムが注目

され、また政府も補正予

算を大幅に拡充して導入

補助金を増やし「エネフ

ァーム」の普及を後押し

したから販売に弾みがつ

いた。当初は350万円

弱だった機器価格も、パ

ナソニックが2015年

度から販売を開始した新

で160万

円(税

別)、東芝燃料電

池システム製が1

80万円(同)、ア

イシン精機製が2

15万円(同)と

発売当初の半額の

水準までコストダ

ウンが進んだ。2

013年度は消費

税増税の時期と重

なり、新築住宅の

駆け込み需要が販

売を押し上げ前期

比36・8%という

高い伸び率を示し

たが、2014年

度はその反動で新

築住宅建設が低水準で推

移したため、各社とも既

築案件への営業を強化し

ている。

コージェネ財団の調べ

によるメーカー出荷台数

ベースによる「エネファ

ーム」の市場規模は、2

013年度の33、53

1台(前

比36・8%

増)に対し、2014年

度は38、018台(前

期比13・4%増)という

実績に止まった。「エネ

ファーム」以外に「エコ

ウィル」、「コレモ」(北

海道地域専用)といった

ガスエンジンコージェネ

が2013年

で8千

台、2014年度は5千

台程度市場に出ている。

家庭用コージェネ市場は

5万台が見通せるところ

まで来た。

「エネファーム」は現

在、パナソニック(PE

FC)、東芝燃料電池シ

ステム(PEFC)、ア

イシン精機(SOFC)

の3社が製品を供給し、

2014年度末までの累

計販売台数は約12万台を

超えた。弊社推定による

内訳は、東芝燃料電池シ

ステムが約6万台、パナ

ソニックが約46千台、ア

イシン精機が65百台、現

在は製品供給を中止して

いるJX日鉱日石エネル

ギーが85百台である。

販売会社別にみると、

東京ガスが14千台(計画

では16千台。前期比14・

8%増)で、内訳は新築

案件と既築案件が半々。

既築向けはリフォームだ

けでなく、給湯機の入れ

替え需要もある。201

5年度は大手のハウスメ

ーカーだけでなく建売住

宅への営業も強化する。

2015年度は集合住宅

の拡販が期待できる。

大阪ガスは13、76

3台(同12、200

台。前期比23・6%増)

で計画台数を上回った。

2014年度は東芝燃料

電池システムから低価格

新製品が出たので販売数

が伸びた。新築案件が40

%、既築案件が60%程

度。PEFCタイプが80

%、SOFCタイプが20

%。東

邦ガスが2、050

台(同2、300台。前

期比6・3%減)。20

14年は新築案件が90

%、既築案件が10%。2

014年度からSOFC

タイプの販売を始めた

が、PEFCが90%以上

を占める。今年度は、新

築向けが苦戦した。

西部ガスが1、387

台(同1、820台。前

期比8・1%増)。20

14年は新築住宅の件数

が伸びなかった。201

5年は低価格機が登場す

るため、販売数の増加が

見込める。

JX日鉱日石エネルギ

ーは5千台(同6千台。

前期比12・3%減)とい

う実績である。同社は自

社で手掛けてきたSOF

Cタイプのエネファーム

販売から撤退後、東芝燃

料電池システムのものを

ルートで流しているが、

まだ今後の方針が正式に

決まっていないというこ

とで、2015年度の販

売計画は白紙になってい

る。

東東京京ガガスス1188、、110000台台

大大阪阪ガガスス1122、、330000台台

販販売売計計画画((22001155年年度度))

2015年度の「エネ

ファーム」の販売計画

は、東京ガスが18、1

00台、大阪ガスが1

2、300台、東邦ガス

が2、500台、西部ガ

スが2、400台。東京

ガスでは、「160万円

(税別)という低価格機

を市場に投入する。今年

度は大手のハウスメーカ

ーだけでなく建売住宅へ

の営業も強化していく。

また今年度から集合住宅

向けの設置が始まるた

め、集合住宅向けの拡販

が期待できる」として前

年度比29・3%増を見込

んでいる。西部ガスもパ

ナソニックから新しい低

価格機種が登場すること

を販売増の根拠としてあ

げ、約千台(73%増)の

販売計画を立てている。

2015

年度は集合

住宅向けの

販売が東西

で始まるこ

ともあり、

販売台数の

底上げにつ

ながるだろ

う。ただ消

費税再値上

げが201

7年4月ま

で先送りさ

れたとはい

え、新築住

宅の建設需

要は依然鈍

いまま推移

しており、

各社とも既

築住宅への

販路拡大や

大手ハウス

メーカー以

外のホーム

ビルダー向

けの販売強

化に動き始

めている。

トヨタ自動車はFCV

「ミライ」のカットモデ

ルを展示し、性能向上や

コスト削減に効果のあっ

た要素技術や部品の展示

を行った。セルの発電出

力を向上させた技術とし

て紹介されたのが3Dフ

ァインメッシュ流路によ

る排水性と空気の拡散性

の向上と膜電極接合体

(MEA)の革新であ

る。新型セルでは電流密

度が2008年モデルと

比べ2・4倍に向上して

おり出力の大幅アップを

もたらした。同社の見解

ではその寄与率は3Dフ

ァインメッシュ流路が1

/2、MEAの改良が1

/2であるという。

MEAの改良では、

(1)電解質膜を1/3

に薄膜化することでプロ

トン伝導性を3倍に向上

させたこと、(2)カー

ボンペーパーを低密度化

・薄層化することによ

り、ガス拡散層の拡散性

を2倍に向上させたこ

と、(3)反応性の高い

Pt/Co合金触媒を採

用することで触媒活性が

1・8倍に向上し、電極

反応が大幅に向上した。

併せて白金触媒の使用量

も1/3に削減してい

る。3

Dファインメッシュ

流路というのはチタン薄

膜をプレス成形し、電気

抵抗を下げるためダイヤ

モンドライクカーボン

(DLC)に似たカーボ

ン系めっきを施した空気

極側のセパレータのこ

と。空気極セパレータに

は反応で生成した水の速

やかな排出と、反応面に

空気を送り込む際の拡散

性向上が求められてい

る。3Dファインメッシ

ュ流路は流路のリブ幅が

小さく、乱流により触媒

層への空気(酸素)の拡

散を促進する作用と、生

成した水を親水化した3

Dファインメッシュ流路

によって下方向にも横方

向にも速やかに流し、水

づまりによる空気(酸

素)の流れ阻害を防止す

る作用が両立している。

素材のチタンはスタック

内部の酸性雰囲気での耐

食性は十分なのである

が、電気抵抗を下げるた

めコーティングが施され

ている。チタンセパレー

タはスタックの性能向上

には寄与するが、コスト

アップの要因にもなって

おり、チタン代替のステ

ンレス素材で厚めの耐食

コーティングしたセパレ

ータも検討されていると

のこと。

豊田自動織機は空気圧

縮機、水素循環ポンプを

展示した。FCVは始動

後、絶えず酸素と水素を

燃料電池スタック内で反

応させるため、アイドリ

ング時の小流量から加速

時の大流量まで、効率良

く大気を吸引・圧縮する

ことが求められる。同社

の空気圧縮機(定格出力

10)は「差圧の範囲

で動くようにしているた

め、必要な流量・圧力の

空気を送り込むのに

ふさわしい形状として」

世界初となる6葉ヘリカ

ルルーツ式を採用し、独

自のロータ形状を用いる

ことで、空気流量の変化

に対応しながら高効率で

空気を圧縮することを可

能にした。0・5秒以下

で12、500回転まで

レスポンスするコンプレ

ッサーはこれまでなかっ

たという。FCVが始動

を始めると「ヒーン」と

いう音がするが、その発

生源がこの空気圧縮機で

ある。

デンソーはラジエータ

などの冷却系システムの

各種部品、冷却水制御バ

ルブ(サーモスタット)

や電動ウォーターポンプ

などと高圧水素配管周り

の制御部品である高圧水

素センサー、水素充填制

御装置、温度センサなど

を展示した。高圧タンク

の中に直接差し入れる温

度センサだけが特殊な部

品で、それ以外は既存技

術の応用範囲という。ラ

ジエータは厚みがガソリ

ン車のほぼ二倍になって

いる。スタックからの放

熱温度が低いため放熱し

にくいため、その分ラジ

エータが大きくなってい

る。ア

イシン精機はトヨタ

紡織のスタックマニホー

ルドに取り付ける排気排

水弁のアセンブリ製品で

あるエアバルブモジュー

ルと、スタックの両端に

2枚使うターミナル(集

電板)を出展した。ター

ミナルは金メッキ系の薄

膜コーティングで耐久性

を確保している。金メッ

キを厚くすれば耐久性は

確保できるがコストアッ

プ要因になるため、素材

とめっきを工夫してコス

トダウンを図った。その

他には昇圧ケースなどア

ルミダイカスト製カバー

類が同社の製品である。

住友理工はゴム素材か

ら開発してきた厚さ2

程度のセル用ガスケット

を紹介した。セパレータ

を接着する「接着シー

ル」とガスをシールする

「応力シール」の二種類

がある。370枚のセル

すべてにガスケットが使

われる。展示会では複雑

な形状をしているという

側の展示はされなかった

が、シール材としては

大の大きさの部品であ

り、複雑な凹凸があるた

め、射出成形技術の開発

と、マイナス30℃から1

00℃までの環境シール

性と接着性を確保する材

料開発が大きな課題であ

った。

その他に防振ゴムの技

術をベースにしたモータ

ーマウント、スタックマ

ウント、配管用の水素ホ

ース、エア系ホース、高

圧タンクの保護カバーで

ある水素タンクパッドな

どが採用されている。

デュポンではPENフ

ィルムの展示があった。

PENフィルムはモータ

の絶縁フィルムなどに広

く使われている。燃料電

池ではセパレータの間に

差し入れ絶縁性を確保す

る役割を果たす。1以

上の厚みがあるフィルム

で、フィルムの表面に易

接着コーティング層をつ

けて成形し、セパレータ

と一緒に積層して接着す

る。この接着層がない

と、15年間の絶縁耐久性

が確保できないというこ

とだ。

愛知製鋼は高圧水素用

ステンレス鋼を開発し

た。高圧でかつ低温にな

る部位に使用する材料

で、充填ノズルや高圧背

圧弁など水素ステーショ

ンの配管部品に採用され

る。ト

ヨタ紡織はチタンセ

パレータ(燃料極側)、

スタックマニホールド、

イオン交換器を展示し

た。スタックマニホール

ドは燃料電池スタックの

端に取り付けられる、ス

タックに水素や空気、冷

却水を供給する配管部品

で、大型アルミ部品と樹

脂部品をインサート成形

することで薄型化し、燃

料電池スタックの小型化

に寄与した。チタンセパ

レータは水素が流れる複

雑な流路を、多段成形プ

レス技術を駆使して開発

した。厚みが0・2程

度のチタン薄膜に複雑な

流路パターンを成形する

ため薄膜が破れてしま

う。高精密プレス成形技

術の開発が眼目である。

愛三工業は水素インジ

ェクタ、デリバリーパイ

プ、リリーフバルブ、音

や振動を抑えるNV低減

ストレーナをサブアッシ

ーした水素インジェクタ

を展示した。燃料電池ス

タックに減圧された水素

の圧力・流量を制御して

供給する部品で部品点数

はFCV一台につき一

個。ベースになった技術

は圧縮天然ガス(CN

G)自動車の燃料供給シ

ステム。従来のシールは

メタルが使われるが、F

CVはすべてゴムシール

で、水素が漏れないよう

にするシール性の向上が

課題だった。

ジェイテクトは高圧水

素供給バルブと減圧弁を

展示した。高圧水素供給

バルブはソレノイドバル

ブ制御で高圧水素を封

止、供給する役割のため

高いシール性が必要とさ

れる。FCV「ミライ」

には高圧水素供給バルブ

が高圧水素タンクの入り

口に取り付けられ、70M

Paの水素を供給すると

きに開き、充填が終ると

閉じることで水素の漏れ

を防止する重要部品。減

圧弁は高圧水素タンクか

ら配管を通して高圧で供

給されてきた高圧水素を

燃料電池スタックで使用

可能な1MPa程度の圧

力まで下げ、スタックに

水素を送り込む役割を果

たす。メカニカルタイプ

の減圧弁である。

東レは同社の炭素繊維

が強化材料に採用された

70MPa級高圧水素タン

クを展示した。高圧水素

タンクは樹脂製で、それ

を炭素繊維強化樹脂層で

耐圧強度を確保し、さら

にガラス繊維強化樹脂層

で表面を保護する三相構

造で世界

高となる5・

7wt%の水素貯蔵性能

を達成している。高圧水

素タンクは現在トヨタの

内製で、ミズノテクニク

スが東レの炭素繊維をシ

ート状にしてエポキシ樹

脂を含浸させテープ状に

加工してトヨタに納入し

ている。東レはそのほか

にも電極基材としてカー

ボンペーパー、燃料電池

セルスタックを車両内で

支えるスタックフレーム

に成形性を向上させた熱

可塑性炭素繊維樹脂シー

トが採用されている。

燃燃料料電電池池・・水水素素エエネネルルギギーー

図.エネファームのメーカー販売台数推移(~2014年度)FCV「ミライ」に搭載された部品

エエネネフファァーームム

22001144年年度度のの

販販売売動動向向とと22001155年年度度のの販販売売計計画画

「人とクルマのテクノロジー展2015」

22001144年年度度のの販販売売台台数数はは3388、、001188台台。。

大大阪阪ガガススはは大大幅幅増増。。東東京京ガガスス等等はは計計画画をを下下回回るる

図、3Dファインメッシュ流路(出典:トヨタ車体プレスリリース)

図、デンソーの高圧水

素配管周りの制御部品

図、豊田自動織機の

空気圧縮機

表.エネファームのメーカー販売台数推移(2009~2014年度)(単位:台)図、アイシン精機のエ

アバルブモジュール

図、住友理工のセル用

ガスケット模式図

表.主要5社のエネファーム販売実績推移と2015年度の販売計画図、トヨタ紡織のチタ

ンセパレータ

図、愛三工業の水素イ

ンジェクタ

図、ジェイテクトの高

圧水素供給バルブと減

圧弁

燃料電池開発情報セン

ターが毎年主催している

第22回燃料電池シンポジ

ウムが5月28、29日の二

日間にわたりタワーホー

ル船堀で開催された。参

加者は昨年と同じ約六百

人、併設された展示会・

ポスター発表会には延べ

約千人が訪れた。発表プ

ログラムからいくつかの

話題を紹介する。

消化ガス発電で

販売台数を伸ば

すPAFC

富士電機は100

級リン酸形燃料電池(P

AFC)「FP�100

i」の現状について講演

した。国内では2012

年から始まった再生可能

エネルギー電力の固定価

格買取制度(FIT)を

利用した消化ガス発電の

引き合いが増加してい

る。FITを利用すると

バイオガスは39円/

時で売電ができるため、

発電効率の高さからガス

エンジンと競合できるよ

うになった。納入先は地

方自治体の下水処理場が

主体で、2014年度の

出荷台数14台のうちの大

半が消化ガス発電であ

る。P

AFCは2015年

4月現在、累計で63台を

出荷、51台が今でも運転

中で、10万時間以上稼働

しているものもある。今

後国内市場では消化ガス

発電を主体にセキュリテ

ィ電源としての利用も見

込む。また同社では海外

展開も始めた。欧州地域

では2012年に火災予

防対応型燃料電池の適合

認証であるCEマーキン

グを取得、データセンタ

ー向けに酸素濃度の低い

カソードのオフガスをサ

ーバールームに吹き込ん

で火災防止機能を持たせ

た電源として採用が始ま

った。海外向けはこれま

で韓国へ2台、ドイツへ

4台、南アフリカにも1

台を出荷、米国へはNE

DOの実証プロジェクト

機として1台を納入する

ことが決まっている。米

国市場参入にはUL規格

の取得が必要になるた

め、富士電機はまずCE

マーキングを取得した欧

州市場を重視する方針

だ。海外では火災予防対

応、副生水素などの水素

燃料発電、セキュリティ

電源がターゲットにな

る。

「エネファーム」関連

では東京ガス、パナソニ

ック、東芝燃料電池シス

テムの発表があった。東

京ガスはパナソニックを

パートナーとして「エネ

ファーム」の共同開発を

進めてきた。2015年

度の新型機はシステムの

簡素化をすすめ、従来機

と比較して30万円安価と

なる160万円(税別)

まで価格を引き下げた。

同社では、「コストダウ

ンはシステムの簡素化が

ポイントになる」とい

う。またユーザー側の多

様な設置状況に合わせ、

バックアップボイラーを

別置きにしたセパレート

タイプとバックアップボ

イラーを内蔵したコンバ

インドタイプを加えた。

今後は、設置性をさらに

向上させるため機器設置

に必要となる奥行きを7

50から500まで

縮めることを目標にする

という。現状の建築基準

法によると、隣家との間

低でも500開け

るようにきめられてい

る。必要な奥行き500

が達成できれば、どこ

にでも「エネファーム」

の設置が可能になり、都

市部でのユーザー拡大に

つながる。

パナソニックは東京ガ

スが2015年度から販

売を開始する新型機の概

要を概説した。新型機は

発電効率は維持したまま

定格出力を750から

700に変更、貯湯タ

ンクの容量も147か

ら140へと

適化し

た。機器の耐久性も6万

時間から7万時間まで伸

ばし、メンテナンスを5

年に1回で済むようにし

ている。またこれまでオ

プション品であった停電

時発電継続機能を燃料電

池ユニットに内蔵したタ

イプを揃えた。停電時に

大500の電力を

4日間連続して供給でき

る。販売価格は167万

円(税別)。

蓄電池とのハイ

ブリッドを開発

する東芝燃料電

池システム

東芝燃料電池システム

は2014年度機が18

0万円(税別)という価

格設定で販売台数を伸ば

した。2015年度は集

合住宅向けの「エネファ

ーム」を2015年10月

から販売開始する。停電

時に停止していた「エネ

ファーム」は自立起動が

できなかったが同社では

1時のバッテリーを

内蔵したハイブリッド型

「エネファーム」を20

15年度中に開発し販売

する計画。バッテリーを

搭載することで停電時に

自立起動が可能になるほ

か、電力需要のピーク時

に1400程度までの

出力が可能となる。また

海外展開に関しては、ド

イツのB

axi

社と進め

てきた欧州向け機器のシ

ステム化と検証試験が終

了し、2015年10月に

は商品化ステージに進む

ことになる。水素仕様の

燃料電池の開発も進んで

いる。同社ではこれまで

30台の水素仕様の燃料電

池を制作して実証プロジ

ェクトに提供してきた。

現在は山口県のプロジェ

クトと東芝社内の2か所

で発電効率55%、耐久性

8万時間、水素を燃料と

するバックアップボイラ

ー仕様の機器を開発、実

証試験を実施中である。

ホンダからは高圧水電

解技術を使ったスマート

水素ステーションの紹介

があった。ホンダはスマ

ート水素ステーションの

開発の根拠を、「水素を

活用したコミュニティで

は水素と燃料電池車(F

CV)だけではなく、コ

ミュニティとFCVとの

かかわりがないと、FC

Vはコミュニティから孤

立してしまう。スマート

コミュニティの単位は家

庭であり、ホンダは究極

の小型水素ステーション

としてソーラ高圧水電解

方式による水素ステーシ

ョンの開発を進めてい

る」と説明した。現状で

は35MPaの水素を一

日1・5製

る。コンプレッサーを使

って圧縮する方が効率は

いいがコンパクトになら

ないため、圧水電解方式

を採用した。差圧により

不純物が水素側に入って

こないため高純度の水素

が得られるメリットがあ

る。

第22回FCDIC燃料電池シンポジウムの話題(1)

「民衆にあることを説得するこ

とは容易だが、説得されたままの

状態に民衆をいつまでも引き留め

ておくことは難しいのである。だ

から、ことばを聞かなくなった

ら、力をもって信じさせるような

対策を講じなければならない。」

マキアヴェリ「君主論」(会田雄次訳)

日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定

は、日米安保条約の範囲とされ取り決めの実行

の法的義務もないと明記されているため国会の

承認を必要としない。ただ今回のガイドライン

改定では海外での集団的自衛権行使が盛り込ま

れたため、自衛隊を海外に出すための国内法の

改正が必要になった。

今回のガイドライン改定の眼目はグローバル

規模で米軍の軍事行動に自衛隊を組み入れ、実

質的に自衛隊を米軍と一体的に運用する、ある

いは米軍の役割の一部を自衛隊が肩代

わりするところにある。海外での自衛

隊の集団的自衛権の行使、つまり軍事

行動のことであるが、それを正当化す

るための政府側答弁は、ホルムズ海峡

の危機はエネルギー資源の確保に困難

をきたすため日本の国民生活に重大な

脅威となるというものだが、これはか

つてABCD包囲網の脅威を中国やア

ジアへ進出する膨張主義に転化した大日本帝国

の発想そのものである。「重大な脅威」を軍事

力で解決することを放棄したのが戦後日本の歩

みであり、数百万の日本人の血であがなった教

訓ではなかっただろうか。

海外で集団的自衛権を行使するというのは、

米軍の軍事行動に参加することであり、後方支

援であろうとなかろうと、自衛隊を戦場に派遣

することであり、自衛隊が戦闘に参加するとい

うことだ。現場に行ったら状況は刻々変わる。

戦場ではなんでも許されるということはないに

しろ、その時々の状況判断の際に、何が法律の

範囲であり、何が法律に抵触するかなどと考え

ながら行動しなければならない自衛隊の活動と

は、喜劇以外の何物でもない。自衛隊の海外で

の活動に縛りをかけるような集団的自衛権の行

使は自衛隊を危地にさらすだけだ。

季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季季節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節節をををををををををををををををををををををををををを運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運運ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風風

ガイドラインの危うさ

Page 4: 2015年(平成27年)6月15日(月曜日) 6 15日(月)digital-research.co.jp/FuelCellNews_20150615.pdf2015/06/15  · puri tyHydrogen )である ある。つ設備6基の納入実績が/時の水素製造能力を持時から1600N立方

������������������������������������������������

燃 料 電 池 新 聞 (4)2015年(平成27年)6月15日(月曜日)第131号 (毎月1回 15日発行)

太陽光の新たな課

題にも対応

本紙

これまで、太陽光

発電の分野でのサービス

が多かったと思います。

熊谷亨

太陽光発電のサ

ービスは今後も引き続き

行っていきます。

これまでの経験をもと

に、新たに明らかになっ

た課題にも対応させてい

ただいているところで

す。太

陽光発電では、これ

まで想定されていなかっ

た事故が実際に起きてい

ます。例えば洪水です。

日本の場合、太陽光発電

設備を海岸線など低い土

地に建設しているケース

が多いからです。

今後、太陽光発電が東

南アジアなど多雨の地域

での建設が増えていくこ

とが予想されるので、日

本での知見を生かすこと

もできます。

本紙

その他にも初期不

良や雑草、メンテナンス

の課題などもあったかと

思います。

熊谷

他にもあります。

思った以上に影響が大き

かったのが、大雪でし

た。想定していなかった

自然現象は、設備の資産

価値の目減りにもつなが

るため、慎重な評価が必

要です。

PID現象(電圧誘起

出力低下現象)なども少

しずつ発生しはじめてい

ますし、スネイルトレイ

ル(太陽電池のセルが小

さな亀裂でずれた状態)

などもあります。

こうした課題に向き合

いながら、1年ごとの性

能の維持に関する評価な

どを行っています。

本紙

日本では太陽光発

電の建設はまだしばらく

は続きますが、その先は

他の再生可能エネルギー

への期待が大きいかと思

います。

とりわけ、風力発電に

ついて、力を入れている

ということですが。

熊谷

風力については、

大型と小型の分野に大別

されます。

まず、大型風力です

が、こちらは子会社のD

EWIと連携して、機器

や部品の試験と型式認証

からプロジェクトの評価

・認証まで一貫したサー

ビスを提供しています。

試験や評価、認証を通

じて、銀行や投資家向け

に、製品がどれだけ建設

場所の気象条件などに適

合しているのかといった

説明を行うためのデータ

を提供することにもつな

がります。

さらに風力発電の場

合、メンテナンスの役割

が大きいので、適切なメ

ンテナンスが計画されて

いるかどうかということ

も、認証の対象となりま

す。

本紙

DEWIは世界的

にはどのように評価され

ているのでしょう。

熊谷

ヨーロッパでは25

年の歴史を持つ、世界第

二位の風力発電の認証機

関です。

発電所の場所の選定か

ら、適切な機器の選定補

助、予想される発電量、

プロジェクトの認証を行

ってきています。

風力発電へのサービス

を拡大するにあたって、

日本では3名のエンジニ

アを育成しています。

風力発電は環境アセス

を含めた長いプロジェク

トになります。計画段階

からステップ・バイ・ス

テップで進んでいくそれ

ぞれの過程でお手伝いさ

せていただきます。

日本でもプロファ

イで風力建設を可

能に

本紙

日本における風力

発電の課題はどのような

ものでしょうか。

熊谷

風況予測がポイン

トです。季節などで風況

は大きく変化しますし、

冬季雷の影響も無視でき

ませんから、その予測も

重要です。

もちろん、繰り返しに

なりますが、メンテナン

スをきちんと行わない

と、発電しません。

本紙

資金調達の面では

いかがでしょう。

熊谷

ヨーロッパのウイ

ンドファームでは、プロ

ジェクトファイナンスが

主流です。しかし、日本

では、現時点ではコーポ

レートファイナンスが主

流であり、プロジェクト

ファイナンスが一般化さ

れているとは言い難い。

だからこそ、第三者認証

が行われ、風力の普及に

合わせてプロジェクトフ

ァイナンスに対する認識

が深まっていくといいと

思います。

金融に限らず、今後は

いろいろなステークホル

ダーとお話していきたい

と思っています。

本紙

小型風力はいかが

でしょう。発電コストが

高いという課題を抱えて

いて、普及は難しいので

はないかと思うのです

が。

熊谷

固定価格買い取り

制度(FIT)で高い買

い取り価格が設定されて

います。また、北欧では

小型風力の設置が進んで

いますし、NEDOのプ

ロジェクトでもコストの

低減の検討が進められて

います。ビル風などに対

応した小型風力なども期

待されています。

小型風力の認証は、日

本海事協会が行っていま

す。これに対応するため、

当社が試験を行います。

蓄電池も含めた再

エネシステムにも

対応

本紙

日本企業が再エネ

の分野で海外展開する場

合の支援も行うというこ

とですね。

熊谷

日本にも海外に提

供した技術があります。

例えば浮体式の洋上風力

発電ですとか、小型風力

では垂直軸型のもので

す。た

だ、国内で普及しな

いと海外展開は難しいと

思いますので、まずは国

内展開から進めていきた

いと考えています。この

考え方は、再エネ導入を

進める政府の方針とも合

致しています。

本紙

再生可能エネルギ

ーが普及拡大していく

と、蓄電池なども必要に

なってきます。

熊谷

おっしゃる通り、

蓄電池をどのように有効

に活用していくかは、こ

れから重要なポイントと

なってくると思います。

当社でも、リチウムイ

オン電池やフロー電池な

どの試験を行っていま

す。今

後は、再エネと蓄電

池の組み合わせによるシ

ステムとしての認証など

もお手伝いしたいと考え

ています。

本紙

ところで、電力シ

ステム改革が進められて

おり、来年4月には小売

り全面自由化となりま

す。事

業に影響はあるので

しょうか。

熊谷

新電力として事業

展開しようとしている会

社とはお話させていただ

いています。

日本の電力技術はきち

んとした基準を持ってい

ます。そこを崩さないで

自由化を進めていくこと

も大事だと思います。

新電力も、どれだけ長

期的な展望を持って事業

を行うかが大事ですし、

そのためには電力の高い

品質を維持していくこと

が必要です。

こうした条件をクリア

することではじめて、事

業の海外展開も可能にな

ります。

5月14日、駐日英国大

使館で、IGES(地球

環境戦略研究機関)との

共催によるセミナー「2

020年以降の新しい気

候変動国際枠組みへの期

待及び各国の緩和策」が

開催された。このセミナ

ーでは、英米の参加者か

ら、日本の石炭火力発電

推進に対し、強い非難が

なされた。

この日のテーマ、今年

末にフランスで開催され

る気候変動枠組み条約第

21回締約国会議(COP

21)での合意の見通し。

日本では関心が薄れてい

る気候変動問題だが、英

米での認識は、安全保障

に関わる大きなリスクと

いうことだ。すでに欧米

で洪水や干ばつなどが頻

発しており、オバマ米大

統領も、COP21はトッ

ププライオリティを持っ

た国際交渉だと位置付け

ているという。

世界資源研究所(WR

I)気候変動プログラム

・グローバルディレクタ

ーのジェニファー・モー

ガン氏の基調講演の他、

在日米国大使館のスティ

ーヴン・ダイオカス氏と

駐日英国大使館のリチャ

ード・オッペンハイム氏

にIGESの研究員を交

えたパネルディスカッシ

ョンも行われた。

COP21に向けて、す

でに英米など主要国は2

020年以降の大幅な温

室効果ガス削減目標を提

示しており、中国も近く

提出する予定。日本の削

減目標は、90年比で18%

削減となる見込みだ。し

かし、参加者からは、日

本の目標に対する懸念が

示された。

さらに、削減目標以上

に非難が集中したのが、

石炭火力発電所の推進政

策だった。

実は日本は、国内でも

石炭火力発電所の新設計

画があるほか、途上国で

の石炭火力発電所の建設

にも資金を援助してい

る。こ

うした日本の姿勢

は、温室効果ガス排出削

減に逆行するというも

の。さらに、近い将来、

発電所の運転が不可能に

なる政治的なリスクを抱

えているという警告もな

された。

海外では石炭火力の新

設はほぼ不可能となって

る。COP21に

て、海外からの圧力は今

後、強まっていく可能性

は高い。

日本の再生可能エネルギーの導入目標は、2030年に一次エネルギ

ーの22〜24%となっている。これは諸外国と比較すると決して大きな数

字とはいえないが、日本の現状を考えると簡単な数字でもない。

この日本の再生可能エネルギーの機器・部品から発電事業まで、それ

らの試験から認証までを一貫してサポートしようというのが、UL

apanだ。今回はそのなかでも、直近での大幅な開発の拡大が期待さ

れている風力発電を中心に、お話をおうかがいした。

部品開発からプロジェクト開発まで、

再エネを一貫して支えるサービス

石炭火力発電に、

英米から強い批判

エエネネルルギギーーソソリリュューーシショョンン

―英国大使館COP21セミナー

株式会社UL

Japan

営業部門部長

熊谷

亨氏

リンナイ株式会社は、

5月8日、新たな中期経

営計画「進化と継承20

17」を発表した。

この中で、国内市場に

向けては、ハイブリッド

給湯器「エコワン」を軸

としたシステム商材主体

のビジネスモデルへの転

換を打ち出した。また、

海外展開を加速し、グロ

ーバル企業化する方向と

なっている。

エコキュートとエコジ

ョーズを組み合わせたハ

イブリッド給湯器は、ヒ

ートポンプの高効率性と

湯切れの心配がないとい

う特長を持った製品で、

エコキュート単体を上回

る138%というエネル

ギー効率を持った商品

だ。しかし、ガスを使う

ために電力会社のオール

電化料金が適用できず、

ガス会社からもガスの消

費量が減るといった理由

から、積極的な販売はさ

れてこなかった。

しかし、震災後に深夜

電力のメリットがなくな

ったことやエネルギー効

率への注目が高まったこ

と、電力小売り全面自由

化が予定されていること

から、今後は普及拡大が

見込まれるということ

だ。とりわけガス会社に

とっては、対オール電化

というだけではなく、電

気とのセット販売も可能

となるだけに、新たなビ

ジネスにもつながる。

一方、海外に向けて

は、現地のニーズに合っ

た製品を、技術を供与し

た上で現地での製造を行

うことを中心とした展開

となる。すでに中国、韓

国では高いブランド力を

持つが、さらにアメリ

カ、オーストラリア、イ

ンドネシア、ブラジルな

どでの事業拡大も進めて

いく。

国内の都市ガス・LP

ガス会社と共同での海外

進出は考えていないが、

結果としてガス事業とガ

ス機器のそれぞれの進出

が、東南アジア市場で相

乗効果を上げることが見

込まれる。

なお、今回の計画で

は、2017年度の売上

高は、14年比18・6%増

の3500億円、海外比

率を48%にまで拡大、営

業利益は26・7%増の3

90億円を目標としてい

る。さらに19年頃には海

外比率を50%以上にす

る。

リンナイ、ハイブリッド給

湯器を主力製品に

―中期経営計画

今年4月、自然エネル

ギーの電力の小売りを目

指す新電力、イージーパ

ワーが設立された。目指

すのは、自然エネルギー

の電力の販売だが、課題

は多いという。

今後の事業展開や戦略

などについて、同社代表

の竹村英明氏に話をうか

がった。

イージーパワー設立の

きっかけは、そもそも自

然エネルギーによる電気

を買いたい消費者が多い

ことだという。

ただ、現在は小売りで

はなく、太陽光発電事業

を行っており、小売りに

ついては準備を進めてい

る段階だ。

小売りに向けて、3つ

の課題があるという。

「もっとも大きな課題

は、電気を、再生可能エ

ネルギーだと名乗って売

れないこと」だ。

実は、固定価格買い取

り制度(FIT)で取引

される電気は、賦課金の

中にCO2削減などの環

境価値が含まれていると

いうのが、経済産業省の

解釈だ。したがって、F

ITの認定を受けた再生

可能エネルギーの発電所

からの電気も、CO2の

排出係数は火力発電と等

しくなる。したがって、

太陽光や風力の電気であ

っても、再生可能エネル

ギーの電気だと表示して

販売することはできな

い。た

だし、どの発電所か

ら供給された電気なのか

を明示することは、妨げ

られないだろう。

「一般の消費者は、事

業所とことなり、厳密な

CO2排出削減の数字は

必要としていない」た

め、やり方を工夫すれば

いいということだ。FI

Tの電気は、CO2が排

出されないわけではない

ことを示せば、発電所そ

のものを応援する気持ち

を持って、消費者は対応

するのではないだろう

か。よ

り困難な問題は、F

ITにおける回避可能原

価の解釈の変更だ。これ

まで、FITの電気は、

電気事業者が購入で負担

するのは、回避可能原価

(約7円/時~約1

3円/時)となり、

FITの価格との差額と

なる賦課金の部分は後で

精算されるしくみとなっ

ている。この回避可能原

価を、電力取引市場にお

ける市場価格と連動させ

ようという議論が進んで

いることだ。そうなる

と、再生可能エネルギー

を売る電力小売り会社

は、電気の仕入れ価格の

変動がリスクとなり、事

業が難しくなる。5年間

の猶予があるとされてい

るが、変更されれば、リ

スクに対応できる規模の

事業者しか残らなくな

る。さ

らに、自然エネルギ

ーによる小売り事業は、

電気の仕入れと賦課金の

返還との間の時間的ギャ

ップに対応した資金の準

備などの課題がある。

それでもなお、来年4

月の電力小売り全面自由

化に向けた準備は進めて

いく方針だ。

また同社は、自然エネ

ルギーによる新電力事業

を円滑に進めるため、全

国の事業者と連合をつく

ることもよびかけてい

る。

自然エネ専門の

新電力の戦略と課題

―イージーパワー

パナソニック、太陽電池増産へ

―住宅用・事業所

屋根上用に注力

パナソニック株式会社

エコソリューションズ社

は、太陽電池事業につい

て、生産体制強化に向け

た設備投資を行う。島根

工場と滋賀工場を増強

し、マレーシア工場など

と合わせてグローバルで

年産1を超える生産

体制を構築するという。

また、投資金額は両工場

を合わせ、約100億円

となる。

メガソーラーなど、太

陽光発電の大規模案件市

場が縮小する中、あえて

パナソニックが増産に踏

み切った背景には、同社

の製品が住宅用や中規模

案件でシェアを拡大して

いるということがある。

同社の太陽電池「HI

T」は、業界内でも

レベルの効率だが、高価

格だった。そのため、面

積の限られた屋根上での

発電で優位性を発揮して

きた。特に住宅用では2

013年のシェアが約20

%だったものが、14年に

は約28%と上昇し、とり

わけ既築案件で強みを発

揮してきた。

また、次の主力商品と

して、エネファームや蓄

電池、HEMSにも力を

入れており、創蓄連携シ

ステムは、ポスト固定価

格買い取り制度のソリュ

ーションともなる。6月

からは、余剰電力を電力

会社より1時あたり

1円高く買い取り、蓄電

池などを設置した場合は

大6円高く買い取る

(東京・中部電力管内の

み)。

こうした商品を支える

サービス体制の充実にも

力を入れており、電気工

事店の組織化も進んでい

る。さらに、電力の販売

も視野に入れているとも

言われている。

電力小売りを含めたソ

リューションサービスの

事業展開も注目される。

富士電機、5000��級地

熱バイナリー発電を受注

富士電機株式会社は、

出光大分地熱株式会社よ

り、滝上バイナリー発電

所向け5000級地

熱バイナリー発電設備を

受注した。

滝上バイナリー発電所

は、出光大分地熱の敷地

内に敷設され、九州電力

株式会社滝上地熱発電所

(2万7500)に

供給している蒸気に付随

して噴出する熱水を活用

して発電する。

稼働は2017年3月

を予定。

「燃料電池新聞」購読のご案内■「燃料電池新聞」<媒体のご案内>●創 刊 平成16年8月(2004年8月)●発行日 毎月1回 15日●体 裁 A2判(ブランケット判)4ページ建●購読料 1年(12号分) 11,000円(送料、消費税込)◆お申し込み・お問い合わせ:(有)デジタルリサーチ TEL:052-223-6205

< 申込み用紙 >

<デジタルリサーチ行きオーダーフォーム>FAX:052-253-8685/E-mail:[email protected]

「燃料電池新聞」購読申込書

会社名 :

住所:〒

FAX:

購入部署:

メールアドレス:

電話:

担当者(ご氏名):

申込部数

( )部

( )部

年間購読料

11,000円(消費税、送料込)

41,040円(消費税込)

発 刊 要 領

月1回、毎月15日発刊

年48回電子メールで配信

媒 体

燃料電池新聞

週刊燃料電池「FuelCellWeekly」