20120418 mediverse ebook_pricing_kamata
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E-Bookの価格問題を考える―定価販売の桎梏を超えて 討論資料
EBook2.0 Forum/EB2 Magazineオブジェクトテクノロジー研究所鎌田博樹[email protected]
04/18/2012 MEDIVERSE 【研究会】 E-Bookの価格問題を考える―定価販売の桎梏を超えて
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2© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
【Agenda】
前提1:出版のステークホルダーにおける投資と回収、リスクと利益
前提2:米国における「実験」と中間総括
論点1:E-Bookの価格は誰がどう決めるのか?:委託システムと卸シス
テム
論点2:E-Bookの最適価格はあるか?:著者、出版社、ストア、読者に
とっての最適価格とは
論点3:E-Bookと印刷本の関係についてどう考えるべきか?
論点4:販売方法と価格の関係は?:単品、シリーズ、セット、無料…
課題:「持続可能な合理的価格システム」へ向けての合意形成
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3© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
E-Bookの価格問題:前回のおさらい
E-Bookについての錯覚:E-BookとP-Bookは同じもの?E-Bookは「使う」ためのもの買い置きする必要はなく資産性もない(売却できない)コンテンツに対して様々な「操作」が可能
コスト構造はまったく異なる固定費のみで変動費はゼロ(再版、在庫ナシ)自由に組み換えが可能
価格は権威?価値と価格の関係はダイナミックに変わる(市場価格)
E-BookはWebコンテンツであり、商品としての性質はWebの論理に従う知られなければ無いも同じ。(知られさえすればどこでも売れる)リアル書店とオンライン書店は違う客の振舞いの違いサイトでの行動はトレーサブル→インタラクティブ
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4© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
E-Bookの価格設定の基本:売上の最大化
売上=価格×DL数
1. E-Bookには変動費がない(いくら売ってもコストは一定)
2. 売上の最大化だけが課題となる(返本、在庫コストはゼロ)
3. 販売データ(ダウンロード数)はリアルタイムで追跡
4. 価格を下げてランキングが上がれば売上げも伸びる
5. 必要があれば、価格は随時変えるもの
6. ワンクリックの世界では、消費者はより衝動的(impulsive)になる
7. ランキングはDiscoverability(見つかりやすさ)の主要な要素
8. 膨大な数から瞬時に判断するので、カテゴリーやジャンルが重要である
9. 最適な価格設定は一定のアルゴリズムで設定できる
10.単独かシリーズかの違いは非常に重要
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5© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
出版のステークホルダーとサプライチェーン
著者出版社取次:専業・書店兼業書店:読者/購入者:個人、組織(学校、企業、公共図書館)
著者 出版社 取次 書店 読者
著者 出版社
著者
著者
読者
読者
読者
在来型
完全自主出版型
プラットフォーム型
自主出版+プラットフォーム型
プラットフォーム
プラットフォーム
POD
印刷
POD
決済
印刷
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6© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
ステークホルダー
著者目的:自作の公表、金銭的報酬(直接・間接)コスト:時間売上:←売渡、印税(←出版社←書店)
出版社目的:出版活動の持続、売上と利益、シェアコスト:版権(印税)、製作コスト、流通コスト売上:取次←書店とシェア
取次目的:売上と利益コスト:仕入、ロジスティクス、決済管理売上:販売収益、販売手数料(←書店)
書店目的:出版販売の継続、売上と利益コスト:仕入、販売管理、顧客管理売上:←消費者
読者/購入者:個人、組織(学校、企業、公共図書館)目的:実用/非実用、所有/使用コスト:購入価格
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7© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
米国における「実験」と中間総括
印刷本=卸モデル。E-Book=卸・委託併用(2010~)エージェンシー・モデル採用は大手と一部に止まる米国司法省&各州、EC独禁法提訴(2012)、消費者訴訟(2011)3社が和解(HBG、HC、S&S)委託制の先行きは不透明
卸モデル:出版社は卸・小売業者に販売書店は独自に販売価格を設定販売実績によって仕入価格は変動
委託モデル(大手、自主出版社)出版社が小売価格を設定(自由に変えてよいが…)ストアに販売手数料を支払う(<30%)価格固定では消費者やストアへのインセンティブが弱い
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8© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
米国の現状
大手出版社価格上昇したが、デジタル比率は20%以上に(業界水準)売上横ばいも利益率は顕著に向上商品構成をフォーカス:安全志向
中小出版社基本的には卸モデル中心
アマゾン独占(3分の2)は揺るがず販売協力金増額要求で出版社を脅かすアマゾンは出版事業に進出。別のビジネスモデルを開拓
Barnes & NobleE-Bookビジネスへの進出に成功。15-20%程度のシェア確保アマゾンとの価格競争回避で競争に残ることに成功。
その他:アップル、Kobo、Google大きな変化なし
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9© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
価格に関する議論の焦点
論点1:E-Bookの価格は誰がどう決めるのか?:委託システムと卸システム出版社にとって選択が可能であるために
論点2:E-Bookの最適価格はあるか?出版の採算性は、販売モデルと無関係に需要で決まる「定価x部数x販売率」発想からの転換
論点3:E-Bookと印刷本の関係についてどう考えるべきか?デジタル・ファーストでの統合マーケティング・プラットフォーム
論点4:販売方法と価格の関係は?:単品、シリーズ、セットから無料までジャンルとディスカバラビリティ→メタデータの活用買い手を刺激するマーケティング無料、低価格、アプリ内決済の活用など
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10© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
柔軟で持続可能な合理的価格システムへ向けて
実験の必要:価格、マーケティング手法コンテンツの市場価値を最大化する価格
産業基盤としての販売データ、市場調査米国中心に整備が進む:Bowker、BISG、AAP、その他アマゾンへの情報集中が過度な依存を生む
ビジネスモデルの対立と共存アマゾン的プラットフォーム:書店プラットフォーム:B&N、Kobo…直販:オライリー、…
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11© 2012 by OTI & Hiroki Kamata
情報源
E-Book2.0 Forum2009.11~問題提起、フォーラムhttp://www.ebook2forum.com/
E-Book2.0 Magazine2010.09~週刊ニューズレター(定期購読募集中、¥840/M、¥8,400/Y)http://www.ebook2forum.com/members/
Twitter随時コメント@hkamata