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2012/01/26 2012/01/26 環境物質科学基礎論 環境物質科学基礎論 I I 1 1 2012 2012 1 1 26 26

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20122012年年11月月2626日日

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混成軌道のメリット混成軌道のメリット

■■軌道の軌道の方向性が強い方向性が強い=結合を=結合をつくったときの重なり積分が大きつくったときの重なり積分が大きい=安定化い=安定化

■■励起(昇位)エネルギーを補って励起(昇位)エネルギーを補ってなお「あまり」があるなお「あまり」がある

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ホルムアルデヒドの結合様式:ホルムアルデヒドの結合様式: 分子軌道法分子軌道法

■■分子軌道法による計算では,非共有電子対は分子軌道法による計算では,非共有電子対は2p2pyy軌道にある軌道にある=酸素原子は混成軌道をつくらない=酸素原子は混成軌道をつくらない

O 2pO 2pyy

O 2sO 2s

O 2pO 2pzz

O 2pO 2pxx

C 2pC 2pzz

C 2pC 2pyy

C 2pC 2pxx

C 2sC 2s

spsp22

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ホルムアルデヒドの結合様式ホルムアルデヒドの結合様式

■■酸素の酸素のspsp22混成を考えると混成を考えると......

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ホルムアルデヒドの結合様式:ホルムアルデヒドの結合様式: 分子軌道法分子軌道法

■■分子軌道法による計算では,非共有電子対は分子軌道法による計算では,非共有電子対は2p2pyy軌道にある軌道にある=酸素原子は混成軌道をつくらない=酸素原子は混成軌道をつくらない

O 2pO 2pyy

O 2sO 2s

O 2pO 2pzz

O 2pO 2pxx

C 2pC 2pzz

C 2pC 2pyy

C 2pC 2pxx

C 2sC 2s

spsp33

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原子価結合法と分子軌道法原子価結合法と分子軌道法

■■多電子系の波動方程式は近似的にしか解けない多電子系の波動方程式は近似的にしか解けない

■■原子価結合法:原子価結合法:

化学結合=混成軌道による結合の手で表現化学結合=混成軌道による結合の手で表現

電子=原子間に局在電子=原子間に局在

適用=分子骨格適用=分子骨格

■■分子軌道法分子軌道法

化学結合=軌道の重ね合わせで表現化学結合=軌道の重ね合わせで表現

電子=分子全体に存在電子=分子全体に存在

適用=電子遷移・適用=電子遷移・ππ電子電子

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アンモニアとプロトンの反応アンモニアとプロトンの反応

QQ アンモニアにプロトンがアンモニアにプロトンがちかづいたときに何がちかづいたときに何が起こるか.起こるか.

22個の電子が入った個の電子が入った11つのつのspsp33混成軌道にプロトン混成軌道にプロトンがちかづくと他のがちかづくと他のNN--HH結合とおなじ結合が生結合とおなじ結合が生じる=じる=44つのつのNN--HH結合結合は等価になるは等価になる

配位結合配位結合錯体・錯化合物錯体・錯化合物

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金属錯体金属錯体

■■金属カチオンの空の軌道と,「配位子」とよばれる分子の孤立金属カチオンの空の軌道と,「配位子」とよばれる分子の孤立電子対が配位結合を形成電子対が配位結合を形成

■■遷移金属は空の遷移金属は空のdd軌道(方向性あり)をもつ=配位結合には軌道(方向性あり)をもつ=配位結合には方向性があり,錯体の「かたち」がきまる方向性があり,錯体の「かたち」がきまる

■■金属錯体の構造の考え方(近似法)金属錯体の構造の考え方(近似法)

・原子価結合法:・原子価結合法: 金属イオンの混成軌道(光吸収の説明に難金属イオンの混成軌道(光吸収の説明に難がある)がある)

・結晶場・結晶場//配位子場理論:配位子場理論: 金属の金属のdd軌道と配位子の負電荷軌道と配位子の負電荷

・分子軌道法:・分子軌道法: 金属イオンと配位子の分子軌道金属イオンと配位子の分子軌道

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配位子配位子

■■基本的には孤立電子対(:)をもつ基本的には孤立電子対(:)をもつ

■■エチレンのようにエチレンのようにππ電子により配位するものもある電子により配位するものもある

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原子価結合法による解釈:原子価結合法による解釈: コバルト(コバルト(IIIIII)錯体)錯体

■■金属イオンは,配位子の孤立電子対によって配位結合をつく金属イオンは,配位子の孤立電子対によって配位結合をつくるので,るので,空の空の軌道をつかう必要がある=電子が収容されてい軌道をつかう必要がある=電子が収容されている軌道と配位子は相互作用しないる軌道と配位子は相互作用しない

■■正八面体型混成軌道正八面体型混成軌道

・・spsp33dd22==4s4s++4p4p××33++4d4d××22

・・dd22spsp33==3d3d××22++ 4s4s++4p4p××33

QQ 22つのつのdd軌道は軌道は55種類のうちの種類のうちのどれがつかわれますかどれがつかわれますか

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混成軌道の形成=軌道が重なる混成軌道の形成=軌道が重なる

■■pp軌道は軌道はxx,,yy,,zzの各軸上.これと重なるのは,の各軸上.これと重なるのは,ddx2x2--y2y2ととddz2z2だけだけ

■■pp33++dd22ででxx,,yy,,zz軸の各方向に等価な混成軌道が形成軸の各方向に等価な混成軌道が形成

■■spsp33dd22・・dd22spsp33は,のこりのは,のこりの33種類の種類のdd軌道とは重ならない軌道とは重ならない

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22種類の混成軌道種類の混成軌道

■■コバルト(コバルト(IIIIII)(=)(=3d3d電子電子66個)の個)の22種類の錯体種類の錯体

[[CoFCoF66]]33--:: spsp33dd22==4s4s++4p4p××33++4d4d××22(外軌道錯体)(外軌道錯体)

[[CoCo((NHNH33))66]]3+3+:: dd22spsp33==3d3d××22++4s4s++4p4p××33(内軌道錯体)(内軌道錯体)

QQ 22つの錯体の磁性について説明してくださいつの錯体の磁性について説明してください

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配位結合配位結合

■■22種類のコバルト(種類のコバルト(IIIIII)錯体の電子配置)錯体の電子配置

■■配位結合の軌道にはかならず配位結合の軌道にはかならず22個の配位子の電子が収容さ個の配位子の電子が収容されている=スピンは相殺されているれている=スピンは相殺されている

■■混成に使われなかった混成に使われなかった3d3d軌道の電子の収容状況による軌道の電子の収容状況による

常磁性=高スピン常磁性=高スピン

反磁性=低スピン反磁性=低スピン

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固体結晶中における「配位」構造固体結晶中における「配位」構造

•• カチオンをとり囲むアニオンがつくる静電場=結晶場カチオンをとり囲むアニオンがつくる静電場=結晶場

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結晶場理論結晶場理論

■■ 金属イオンの金属イオンのdd軌道と配位子の負電荷(孤立電子対)の軌道と配位子の負電荷(孤立電子対)の反発的相互作用反発的相互作用をを考慮する考慮する

■■ 例:例: 金属イオンに対して座標軸に沿って金属イオンに対して座標軸に沿って66個の負電荷が接近個の負電荷が接近

((11)ちかづく前は,縮退した)ちかづく前は,縮退した55個の個のdd軌道軌道

((22)ちかづくと相互作用により縮退したままエネルギー上昇)ちかづくと相互作用により縮退したままエネルギー上昇

((33)負電荷と空間的にちかいものと遠いものの)負電荷と空間的にちかいものと遠いものの22種類に分裂種類に分裂

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55種類の種類のdd軌道の方向性軌道の方向性

■■pp軌道は軌道はxx,,yy,,zzの各軸上.これと重なるのは,の各軸上.これと重なるのは,ddx2x2--y2y2ととddz2z2だけだけ

■■pp33++dd22ででxx,,yy,,zz軸の各方向に等価な混成軌道が形成軸の各方向に等価な混成軌道が形成

■■spsp33dd22・・dd22spsp33は,のこりのは,のこりの33種類の種類のdd軌道とは重ならない軌道とは重ならない

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TiTi((IVIV)イオンの結晶場分裂)イオンの結晶場分裂

■■eegg(二重に縮重)と(二重に縮重)とtt2g2g(三重に縮重)の(三重に縮重)の22つに分裂つに分裂

■■特定の軌道が配位子と結合するとは考えていない特定の軌道が配位子と結合するとは考えていない

■■金属イオンの正電荷と配位子の負電荷により全体は安定化金属イオンの正電荷と配位子の負電荷により全体は安定化

eegg

tt2g2g

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結晶場安定化エネルギー結晶場安定化エネルギー

■■結晶場分裂したエネルギー差=結晶場分裂したエネルギー差=ΔΔoo

■■TiTi((HH22OO))663+3+ではでは3d3d電子は電子は11つ(つ(dd11錯体錯体)=)=tt2g2gに入るに入る

■■八面体構造では,八面体構造では,0.40.4ΔΔooの安定化=結晶場安定化エネルギーの安定化=結晶場安定化エネルギー

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八面体錯体の結晶場安定化エネルギー(八面体錯体の結晶場安定化エネルギー(CFSECFSE))

QQ つぎのつぎの■の部分をうめてください部分をうめてください

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八面体錯体の結晶場安定化エネルギー(八面体錯体の結晶場安定化エネルギー(CFSE CFSE ))

■■CFSECFSE==0.40.4××((tt2g2g電子数)-電子数)-0.60.6××((eegg電子数)電子数)

■■一般的には低スピン型の方が安定一般的には低スピン型の方が安定

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異なる構造の結晶場分裂異なる構造の結晶場分裂

■■構造により分裂の大きさは異なる=構造により分裂の大きさは異なる=CFSECFSEも異なるも異なる

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配位子のちがいによる配位子のちがいによるCFSECFSEの変化の変化

■■CFSECFSEが大きくなるのはが大きくなるのは

・配位子の負電荷が大きい:・配位子の負電荷が大きい: 11価イオンより価イオンより22価イオン価イオン

・小さいイオン:・小さいイオン: 接近できる=接近できる=FF-->>ClCl--

・・11つの軌道に負電荷が集中:つの軌道に負電荷が集中: 相互作用大=相互作用大=NHNH33>>HH22OO

■■配位子による結晶場安定化の大きさ配位子による結晶場安定化の大きさ

・強配位子場:・強配位子場: COCO>>CNCN-->>NONO22-->>phenphen(フェナントロリン)(フェナントロリン)

・中間配位子場:・中間配位子場:

enen(エチレンジアミン)>(エチレンジアミン)>NHNH33>>NCSNCS-->>HH22OO>>FF--

・弱配位子場:・弱配位子場: RCORCO22-->>OHOH-->>ClCl-->>BrBr-->>II--

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20122012年年11月月2626日(木)日(木) 1818::0000までまで

感想と意見感想と意見

toto:: [email protected]@cat.hokudai.ac.jp

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