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1 令和元年度 総務常任委員会 行政視察報告書 1 視 察 日 令和元年 10 月 23 日(水) 2 参加委員 大島洋一(委員長)、橋爪法一(副委員長) 内山米六、近藤彰治、杉田勝典、池田尚江、滝沢一成、栗田英明 3 視 察 先 ・名 称:福岡県北九州市 ・住 所:北九州市小倉北区城内 1 番 1 号 ・人 口:940,141 人 ・面 積:491.95 ㎢ 4 視察の目的(視察先の選定理由、当市が参考にすべき点など) 縮退する社会の中でまちに賑わいを取り戻すため、現代版の家守(やもり)※ の手法を用いて遊休不動産を再生し、都市型産業の集積を行う、新しいまちづ くりの手法でリノベーションまちづくりを進めている北九州市の取組をつぶさ に調査し、もって当市が進める「城下町高田リノベーションまちづくり事業」 などの取組の参考にすることが目的。 ※家守(やもり)・江戸時代、地主に代わって長屋などを管理した職業の呼び 名で、店子に慕われ尊敬され、店子が持ち込む様々な相談に乗り、庶民の暮ら しを助ける存在とのこと。 5 テーマ等 リノベーションによるまちづくり 6 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など) 北九州市では、人口減少が深刻であったことから、遊休不動産や公共空間を 活用して、今までにない新しい使い方をすることで、街なかに新しい人を呼び 込んでいる。また、当市においても、人口減少問題は深刻であることから、新 しいまちづくりの手法でリノベーションまちづくりを進めている北九州市の取 組を参考としたい。 7 視察概要 ・事 業 名 官民連携でつくる「北九州市 リノベーション まちづくり事業」 ・概 要 ⑴ 「リノベーション まちづくり事業」は、今ある都心部なる遊休不動産や公 共空間を活用して、今までにない新しい使い方をすることで、街なかに新し い人を呼び込むという取組である。

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令和元年度 総務常任委員会 行政視察報告書

1 視 察 日

令和元年 10月 23日(水)

2 参加委員

大島洋一(委員長)、橋爪法一(副委員長)

内山米六、近藤彰治、杉田勝典、池田尚江、滝沢一成、栗田英明

3 視 察 先

・名 称:福岡県北九州市

・住 所:北九州市小倉北区城内 1番 1号

・人 口:940,141人

・面 積:491.95㎢

4 視察の目的(視察先の選定理由、当市が参考にすべき点など)

縮退する社会の中でまちに賑わいを取り戻すため、現代版の家守(やもり)※

の手法を用いて遊休不動産を再生し、都市型産業の集積を行う、新しいまちづ

くりの手法でリノベーションまちづくりを進めている北九州市の取組をつぶさ

に調査し、もって当市が進める「城下町高田リノベーションまちづくり事業」

などの取組の参考にすることが目的。

※家守(やもり)・江戸時代、地主に代わって長屋などを管理した職業の呼び

名で、店子に慕われ尊敬され、店子が持ち込む様々な相談に乗り、庶民の暮ら

しを助ける存在とのこと。

5 テーマ等

リノベーションによるまちづくり

6 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など)

北九州市では、人口減少が深刻であったことから、遊休不動産や公共空間を

活用して、今までにない新しい使い方をすることで、街なかに新しい人を呼び

込んでいる。また、当市においても、人口減少問題は深刻であることから、新

しいまちづくりの手法でリノベーションまちづくりを進めている北九州市の取

組を参考としたい。

7 視察概要

・事 業 名 官民連携でつくる「北九州市 リノベーション まちづくり事業」

・概 要

⑴ 「リノベーション まちづくり事業」は、今ある都心部なる遊休不動産や公

共空間を活用して、今までにない新しい使い方をすることで、街なかに新し

い人を呼び込むという取組である。

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⑵ 本事業の特徴として

➀一物件の価値向上にこだわらず、エリアの価値の向上を考えた取組とし、

通常、都市整備・都市局系の部署が主体で行うところだが、北九州市の場

合は、産業振興部署が中心の産業振興施策として取り組んでいること。

➁建物の改修やデザインは、あくまで手法と捉え、空き店舗・空きオフィス

を売るだけが目的ではなく、民間が持つ遊休不動産の活用と質の高い雇用

創出を掛け合わせて、都市型産業の集積による産業振興とコミュニティの

再生に力点を置いている。

⑶ リノベーションまちづくり事業のプロジェクトを決めるに当たって、民間

主導の「官民連携」とし、下記の 3点を基本に取り組んでいる。

➀民間事業者が主体で行政がサポートする。

➁補助金に頼らず、ビジネスペースで進める。

➂リスクを抑えた小さな投資から始める。

⑷ リノベーションまちづくり事業を始めたきっかけは、下記の 3 点としてい

る。

・人口減少が深刻であること。「参考:1979 年(S.54)の 1,068 千人をピー

クに減少が続き、2005 年(H.17)に 100 万人を割り込み、2017 年(H.29)が

950千人」

・2000年を基準とする路線価が 10年間で1/4まで下落したこと。

・小倉中心市街地のオフィスにおいて、リーマンショック以降、空室が増加

し、2010年、空室率が 19%強(その後の調査で 25%)になったこと。

⑸ この打開策として、街なかにどのような産業が適し、根付きやすいのか探

るため「都市型ビジネスの集積可能性に関する調査」を実施し、その結果を

基に、市・商工会議所・不動産会社などを構成メンバーとする研究会を設置

(3回開催)している。

なお、同研究会 2回目の開催時、ゲストメンバーとしてリノベーションま

ちづくりの提唱者で都市再生プロデューサーである清水義次氏を招へいし、

東京都千代田区で取り組む「家守方式」などによる地域の活性化や街が再生

したことの事例や空き店舗の増加は活用できる建築物のストックが豊富に

あると捉え、地価の下がりは家賃が安く、結果としてビジネスを集めやすい

と考えようというアドバイスを得ている。

⑹ これを受け、意義ある好立地な空き店舗、資源を活かして新たな産業、新

たな客層を街なかに呼び込むため、「家守制度」による街なかの再生に取り

組むこととし、商店街組合・学識経験者・行政関係課・まちづくり関係者な

ど、「権威」ではなく「フットワークの軽い人」、14 名からなる「動ける委

員会」としての「小倉家守構想検討委員会」を立ち上げ、約半年間でその構

想を完成させている。

⑺ この間、行政が取り組んだことは、➀小倉家守構想(方向性)策定の支援で

具体的なスモールエリアを設定したこと、➁志の高い(パブリックマインド

を持つ等)不動産オーナーと家守事業者を見つけること、➂事業化に向けた

仕掛けづくり(リノベーションスクール等の開催、円滑な許認可の支援)、

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➃まちづくり事業者の利便性に配慮した「行政窓口のワンスストップ化」に

取り組んだことである。

⑻ 小倉家守構想のポイントは、➀行動するための計画、➁やれることからす

ぐに始める、➂「スモールエリア(200m×200m)」を設定し、その空間を楽

しく、心地よく、活気ある空間にリノベーションする。そして、そこに面白

い人と様々な新しいまちのコンテンツを集積させることにより、中心部のま

ちを雇用創出エンジンに変えようとする点である。

⑼ 小倉家守講座と称し、まちのプロデューサーを育てる講座や不動産オーナ

ーと一緒に街を変える講座に取り組んでいる。

⑽ 都市型エリア再生のリノベーションスクールを開催している。

・題材は市内に実在する遊休不動産。

・3泊4日の集中講座で、受講生を8~10人のユニットにグループに分ける。

・最終日に公開の場で、事業化を前提として、物件オーナーへプレゼンテーシ

ョンを行い、スクール後は家守事業者が不動産オーナーをサポートし、事業

化を目指す取組を行っている。

この他、小倉以外を対象とする「まちづくりエリア再生塾」を展開し、DI

Yやリノベーションの手法を学ぶワークショップの中で、実在する遊休不動産

を題材に、「エリア再生」に取り組んでいる。

⑾ リノベーションまちづくりの効果として、➀リノベーションスクールを 13

回開催(2011 年~2017 年)し、受講者数は 1,032 名に達し、リノベーション

スクール案件を中心に、大小約 50 件が事業化している。また、関連物件や

まちづくり会社等において 600名越えの雇用が創出されている。➁商店街の

歩行者通行量が3割増(H22→H26)に転じた外路線価が下げどまり、上昇に転

じている。

⑿ 2012年 4月に「北九州家守舎」を設立し、リノベーションスクール案件の

多くを事業化している。その活動において、2014年 6月には、「リノベーシ

ョンスクール@北九州」の企画運営を通して、修了生が全国各地でリノベま

ちづくりの推進役として活躍したことが評価され「まちづくり法人国土交通

省大臣賞」を受賞、2019年 7月からは、小倉都心部の憩い空間「船場広場」

の運営管理者事務局を務めている。

⒀ リノベーションによって再生された北区魚町三番街中屋ビル界隈の状況を

視察した。リノベーションまちづくりのはじまりである中屋ビルは 5階建で、

「メルカート三番街」「ビッコロ三番街」「ポポラート三番街」などで区画さ

れ、ファッション、書店、食堂、手作り工房、物販、朝市など多彩な業態が

入居しており、4階に「北九州家守舎」、5階には中屋ビルのオーナー事務

所がある。

なお、当該ビルは築 50 年以上のものであるが、その改修は目に見える箇

所の体裁を整えるだけの極力経費を抑えたものとなっている。

また、魚町地区でアーケードを撤去後の市道の一部に植栽するなど、憩い

の場として活用している箇所があり、魅力的な空間となっている。

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8 所 感

⑴ 未曾有の人口減少と人口構成の変化で、自治体の財政難が深刻となっている。

そして、中心市街地の衰退や空き家(商店)・空き地をはじめ公共施設の利用

減などから遊休ストックが増大してきている。

⑵ このような時代に、成長時代のやり方では、自治体・都市の経営はやがて破

綻するとの危機感から、縮退時代に適合した公民連携のまちづくりの一つで

ある「リノベーションまちづくり」に取り組んでいる。

⑶ 北九州市の「リノベーションまちづくり」の大きなポイントは、家守制度を

採り入れ、その構想をいち早く策定し、かつ都市型エリア再生という実際の

空き物件を題材に実践力のある人材を育成するリノベーションスクールとい

う活動が功を奏していることである。

なお、家守制度は、補助金に頼らず、民間主導のエリア再生に取り組み、所

定期間内に投資を回収する仕組みであり、当市の「城下町高田リノベーション

まちづくり」のように税金を投資した事業とは大きな違いがある。

⑷ この度の視察では、リノベーションまちづくりの根幹をなす「家守制度」を

学んだ。当市においても、早急に導入に向け、積極的な研究・検討をすべき

と強く思った。

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北九州市

リノベーション現地視察(市同行なし)

↓ 日替わりで1区画を利用

偶然お会いできた関係者と懇談

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↑このビルは下記の区画となっている。

道路の一部に緑地を取り入れている

旧本屋表記そのままの飲食店

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令和元年度 総務常任委員会 行政視察報告書

1 視 察 日

令和元年 10月 24日(木)

2 参加委員

大島洋一(委員長)、橋爪法一(副委員長)

内山米六、近藤彰治、杉田勝典、池田尚江、滝沢一成、栗田英明

3 視 察 先

・名 称:岡山県倉敷市

・住 所:倉敷市西中新田 640

・人 口:482,308人

・面 積:355.63平方キロメートル

4 視察の目的(視察先の選定理由、当市が参考にすべき点など)

上越市も関川と保倉川でのバックウォーター現象が以前から懸念されており、

その解決策の保倉川放水路計画の実施が遅れている現状がある。倉敷市におけ

る西日本豪雨災害の被害状況を実際に現地で検証し、上越市の河川改修の推進

に役立てることを目的にこの地を視察先として選んだ。

5 テーマ等

豪雨災害の実態について

昨年の西日本豪雨災害の実態について、真備地区の検証結果から当市の対策

について検討する。

6 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など)

平成 30 年7月の西日本豪雨災害において、倉敷市真備町は死者 51 名という

甚大な被害を受けた。過去に経験のない想定外の雨量を記録し、1級河川高梁

川とその支流、小田川の合流部分でバックウォーター現象が発生。この現象を

なくす計画があったが、実施が遅れていた。 上越市も関川と保倉川でのバッ

クウォーター現象が以前から懸念されてきたが、その解決策の保倉川放水路計

画の実施が遅れている現状から、近年頻発する異常豪雨災害をみるにつけ、計

画の実施が急がれるところである。

7 視察概要

・概要

高梁川とその支流、小田川の合流地点を現在よりも下に付け替える工事の現

場を視察した。西日本豪雨災害時の日最大降水量は、138.5 ミリ(7 月 6 日)

で、歴代2位の降水量であった。その水が、高梁川と小田川の合流点でバック

ウォーター現象を起こして、小田川やその支流で堤防決壊 8か所を招き大惨事

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となった。この状況と、小田川合流点付替え事業の遅れが最大の要因である。

工事は大きな被害を出した原因の一つバックウォーター(背水)を防ぐことが

狙い。この工事により現在の合流点より少し上流の矢形橋地点の水位を5メー

トル引き下げようというもので、規模の大きさには驚いた。

その後、小田川の上流部を見通せる場所から、堤防の工事などの状況、住宅

被害の状況などの説明を受けた。堤防の工事では堤防の幅を5メートルから7

メートルにするということだった。途中、トレーラーハウスも見てきた。

真備支所では、被害の全体的な状況と災害対応について説明を聞いた。この

うち、避難情報の発令については詳しく説明を受けた。

第一次非常配備体制移行は6日の午前 11 時 30 分だが、真備地区全域に避難

勧告発令が6日 22時 0分、小田川南側へ避難指示が 23時 45分、氾濫発生が7

日0時 30分であった。夜間の避難になりそうな場合の避難所開設や災害弱者へ

の配慮が必要であるし、避難情報発令の時期についても検討が必要であるとの

ことだった。

真備支所では、真備地区復興計画についても説明を受けた。同計画は、平成

30 年7月豪雨により甚大な被害が生じた真備地区において、被災された住民が

一日でも早く落ち着いた生活を取り戻し、将来にわたって安全・安心なまちづ

くりをしていくためのものである。

計画では、住民と行政が協働して復旧・復興に取り組むことが必要であると

し、復興に向けた基本理念や基本方針を定めるとともに、主要施策を体系的に

まとめ、今後の取組内容や事業期間を示している。「復旧しながら、再生を図り、

再生しながらより良い地域を創造していく」としている。

8 所 感

このような大災害がなぜ起きたのか、その原因は何か、またどうすれば防ぐ

ことができるのかについて、倉敷市の実際の現場を視察して、考察を深めるこ

とができて大変に有益だった。バックウォーター現象は当市でも起きる可能性

が十分あり、その対策が急がれる。

避難情報の発令については、真備地区において、高齢者の被害が多かった点

を考える必要がある。また、「正常性バイアス」の問題も考えておくことも重要

と判断した。発令にあたっては、雨量だけでなく、降雨の範囲・流域、バック

ウォーター現象、堤防の越流なども当然考え、かつ迅速に発令する必要がある。

これらを総合的に情報収集し、迅速に判断できるよう事前に体制を整えておか

ねばならない。

全体として、当市の今後に向けて、多くの参考になることを視察させていた

だいた。倉敷市の「平成30年7月豪雨災害 対応検証報告書」は有益で、今後、

詳細に検討が必要である。これらを当市の今後の対策に生かしていきたい。

当市でこのような災害を絶対に起こしてはならない、と改めて決意した。そ

のためには、保倉川放水路整備を一刻も早く実施完了しなければならない。

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倉敷市 現地視察

被災者住宅(トレーラーハウス)

1年以上を経過したが復興途上

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現場視察後の座学(真備支所)

庁舎1階から2階への階段の途中には、

浸水した水位の表示あり

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令和元年度 総務常任委員会 行政視察報告書

1 視 察 日

令和元年 10月 25日(金)

2 参加委員

大島洋一(委員長)、橋爪法一(副委員長)

内山米六、近藤彰治、杉田勝典、池田尚江、滝沢一成、栗田英明

3 視 察 先

・名 称:山口県庁

・住 所:山口市滝町1-1

・人 口:1,396,197人

・面 積:6,113平方キロメートル

4 視察の目的(視察先の選定理由、当市が参考にすべき点など)

「山口県中山間地域振興条例」に基づき、「山口県中山間地域づくりビジョン」

に沿った「人口減少社会を生き抜く中山間地域の実現」を基本目標に、総合的

戦略的に対策を進めている山口県の取組を当市における「中山間地域振興」の

取組を考える。

5 テーマ等

中山間地域づくりビジョンの到達点と今後の対策

6 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など)

山口県の7割を占める中山間地域。山口県民の 25%が中山間地域に住む。生産

年齢人口割合は 50.3%。全体は 55%であるから、中山間地域が約5ポイント低い

状況だ。人口減少が激しいのが中山間地域といえる。また小規模中山間地域が

年々増える傾向にある。山口県は、平成 18年に制定した「山口県中山間地域振

興条例」に基づき、「山口県中山間地域づくりビジョン」に沿って、「人口減少

社会を生き抜く中山間地域の実現」を基本目標に、総合的戦略的に対策を進め

ている。

7 視察概要

・取組状況

「山口県中山間地域振興条例」は平成 18 年に成立。あわせてビジョンも策

定した。

平成 18 年度の第 1 次計画からスタートし、現在に至る。昨年度、第3次計

画を策定した。総合的かつ戦略的な山口県独自の計画である。

本条例の基本目標は、「いつまでも安心して暮らせる中山間地域」。条例は、

①自立持続可能な地域社会の形成、②移住の推進等による新しい人の流れの

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創出、③安心安全で暮らしやすい生活環境の整備、④中山間地域の強みを生

かした多様な産業の振興の 4 つの柱で構成され、部局横断の取組が行われて

いる。また、8つの重点プロジェクトがあり、それぞれの施策には数値目標

が設定されている。

第3次計画では、施策は 31 項目で、2017 年度を現状値として 2022 年度の

目標値を設定している。各施策の取組状況については、毎年、白書として議会

に報告することが条例で定められている。

取り組むにあたって山口県は、地域の自立に向けて、基幹的集落を中心とす

る複数集落で構成した、「やまぐち元気生活圏」の形成を目指している。そこ

は、日常生活支援機能等を拠点化・ネットワーク化した「基礎生活圏」であ

り、近隣都市とも連携しながら、地域産業の振興や人口定住の促進を図るも

のである。推進にあたっては、市町村で「やまぐち元気生活圏」推進方針を

策定し、地域住民が主体となって「地域の夢プラン」を作成している。

取り組む地域数は、目標が 60であり、現在、50地域で進められている。「地

域の夢プラン」は 89地域で作成済みだった。県内を4ブロックに分け、そこ

では特別支援員が伴走支援を行っている。必要なことを明確化し、課題から

案件を具体化、さらに補助金交付までもっていくようにしているとのことだ

った。

周南市大道理などいくつかの地域で先進的な取組が行われているが、地域

経営力向上が大きな課題であるという。地域資源活用の視点はあるが、経営

視点の欠如が見られるので、そこを伴走型の支援で補っていくとの説明だっ

た。

・主な質疑

Q:事業を進行させる上で、計画と到達点を定めることが重要だ。上越市は

目標 設定がやや弱いきらいがある。目標設定という考え方は、議員の

検討でどう出てきたか。また実施主体である市町村の段階で、独自分析な

どをやって行く必要性があると思うが、県と市町村の情報交換等は?

A:目標設定なければ意味がないと考えたと今から振り返れば推測される。

各目標は所管部署に依頼した。目標の他にも、「何をやっているのか」を

白紙の状態から意識を高めるため、毎年度、当課より出し、回答をもらっ

ている。主体は市町村であり、でしゃばりすぎないようにしているが、交

流を重ね、情報交換したいと考える。毎年、推進会議を市町村、関係団体

と行う。その他、出先機関ブロック単位で地区連絡会議を開催し、情報把

握している。また行政以外にも、年度末に大学生、専門家、地域の方々の

発表の場があり、意見交換、交流を行っている。大学生の取組を知る場に

なっている。

Q:経営力を高めることは大事だが、山間部にはごく小さな集落が多い。経

営を担う人材が難しいと想像する。どういう指導をされているか。

A:農林水産省のやり方に習い、派遣調査を行なっている。経営力の状況に

ついては具体的には把握していない。20 戸未満のところも多いが、山口

県は都市部と中山間地域が比較的近く、隔離地はあまりない。小さな集落

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という視点を持った専門的指導はない。

Q:地域経営の考え方、その視点は大事。しかし会社を作っていく難しさが

ある。一般に行政が加わるとうまくいかないのがこれまでの実態だ。本件

は、大きなチャレンジだと思うが県として心配しなかったのか。伴走型と

いうことだが、全部に対応できるのか。予算的にも。方針は県、市が真ん

中に入るという形はスピード感的にどうかと思うが。

A:会社については、出資は地元住民。自立してやっていかねばならない地

域であるから、地域の責任であることは当然だ。全ての地域で、とは考え

ていない。また立ち上がったら県は身を引く。基本は市町村であるため、

県が現地に入る例はあまりない。課題ニーズの把握から地元主導、県に伝

達が基本の形である。

Q:ゆくゆくは市が主体でやることをはっきりしておかなくてはならないの

ではないか。

A:現地から立ちあがってくるボトムアップなので、その点に苦労はない。

Q:収益事業となると、農産品加工を含め、品物自体を県外首都圏に出して

いるのか。また中山間地域出身都市居住者がサポートしている例はあるの

か。

A:農産品は把握していないが、俵山温泉街が事例としてあげられる。地産

地消でないのが課題だ。

Q:地域経営会社の具体的メンバーは?農協などは?

A:NPO メンバー、10 人いない、金融は入っていない、現役市職員、市議会

議員、農園経営者はいない。

Q:地域経営会社とは地域商社と把握。行政サービスとはっきり分けられな

いところも出てくるのでは?

A:意識はしていない。

Q:長年の取組で、本来目的、中山間地域での人口減少にどれくらい効果が

あったと考えるか。

A:はっきりとした数字ではないが、実感としてはある。

8 所 感

まず、「自立持続可能な地域社会の形成、移住の推進等による新しい人の流れ

の創出、安心安全で暮らしやすい生活環境の整備、中山間地域の強みを生かし

た多様な産業の振興」という明確な目標あるいは理念を打ち出したことが事業

そのものをわかりやすくした。こうしたコンセプトの明確化は見習う必要があ

る。また、数値目標を示すこと、議会に対し毎年度白書を提出するなどそのプ

ロセスの在り方も良い。数値目標については上越市でも農業振興計画等で行わ

れているが、中山間地域振興でも重要である。

山口県の担当者は地元(市町村あるいは事業主体)の経営視点の欠如を課題

としてあげていたが、これは上越でも同様な課題であろう。そこを伴走型の支

援で補っていくとのことであるが、言葉の端々から感じられる「どう現地とう

まくやっていくか」の課題、つまり県としての役割と指導の加減がなかなか難

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しいのではないかと感じられた。

「夢プラン」の事例の中に、そのまま上越市に応用できる事業がある気がす

る。資料にある事業をさらに調査し、思わぬ展開を上越において実現すること

もできるのではないか。

視察メンバーの一人が言葉にした「地域商社」にはこれといった反応はなか

ったが、この山口県の取組は、まさに地域商社の形成、言い換えればコミュニ

ティカンパニーの形成に大いに参考になると考えている。

いずれにせよ、コンセプトと目標を明確に持つ重要性を改めて認識させられ

た視察であったと思う。

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山口県庁