第5回:軸受shutingli/ME5.pdf③ スラスト =thrust (軸方向) 専門用語:...

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第5回:軸受

転がり軸受 滑り軸受 磁気軸受

転がり軸受の応用

2

深溝玉軸受 円筒ころ軸受

支持剛性

軸を支持する場合の剛性計算が必要

軸 受

転がり軸受:最も使用頻度が高い軸受

軸受の種類:転がり軸受: 滑り軸受と磁気軸受

① 高精度の規格品が大量に生産されて、組立・調整・交換が容易。② 荷重や回転数などの使用条件が変化しても、軸受性能が影響を

受けにくい。③ グリース潤滑が可能。潤滑油供給装置、密封装置が簡単。④ 一個の軸受でラジアル荷重(軸に垂直方向の荷重)およびスラスト

(アキシアル)荷重(軸に平行方向の荷重)を同時に支持することが可能。

⑤ 軸受材料の選択によって高温でも使用。

定義:

特徴:

玉・ころなどの転動体を介して転がり接触を行う軸受。コスト・パフォーマンスが良好。

① ラジアル =radial (半径方法)

② アキシアル =axial (軸方向)

③ スラスト =thrust (軸方向)

専門用語:

滑り軸受:大量に使わない

① 高速回転が可能。② 振動、衝撃に対する減衰能力が高い。③ 低騒音。④ 高負荷能力。⑤ 潤滑状態がよければ半永久的寿命を

持つ(流体膜が切れたら、すぐ壊れる)。

定義:

特徴:

軸とハウジングの間に、流体が充填されて、流体膜を介して運転される流体潤滑軸受が滑り軸受である。

ハウジング

磁気軸受:ほとんど使わない

1.転がり軸受の種類

深溝玉軸受

円筒ころ軸受

針状ころ軸受

スラスト軸受

自動調心軸受

円錐ころ軸受

アンギュラ玉軸受(angular)

軸中心線荷重方向

① 外輪レース面の円弧半径=ボール直径×(51%~54%)② 内輪レース面の円弧半径=ボール直径×(51%~54%)③ 内・外輪レース面を研磨し、レース面の面粗さはRa0.2~0.4にする必要④ 外輪・内輪・転胴体の材料=SUJ2(軸受鋼)(熱処理:高周波焼入れ)

ベアリングの構成:(1)内輪(2)外輪(3)転動体(4)保持器

Inch 1/32 3/64 1/16 5/64 3/32 7/64 1/8 9/64 5/32

mm 0.7938 1.1906 1.5875 1.9844 2.3812 2.7781 3.175 3.5719 3.9688

Inch 11/64 3/16 7/32 15/64 1/4 17/64 9/32 5/16 11/32

mm 4.3656 4.7625 5.5562 5.9338 6.3500 6.7469 7.1438 7.9375 8.7312

ボール直径: http://www.satotekkou.co.jp/technical/steel_size.php

(1)深溝玉軸受

(2)アンギュラ玉軸受

① 1対のベアリングを使用する。② アキシアル荷重とアジアル荷重は両方受ける。③ 使用時、予圧調整が必要。④ 工作機械主軸など回転体の振れ精度が高く要求される用途や、

回転速度が速い用途に最適である。

力の作用線方向

特徴:

アンギュラ 深溝

合力

(3)円筒ころ軸受

玉軸受 ころ軸受

軌道輪との

接触状況

点接触 線接触

接触面形状=楕円 接触面形状=長方形

① 転がり抵抗が小(小回転トルク)

② 高速使用が可③ 静粛(低騒音)

① 転がり抵抗が大(大回転トルク)

② 超高速使用が不可③ 高支持剛性

負荷能力

① 負荷能力が小② 大ラジアル荷重

③ 小アキシアル荷重が可能

① 負荷能力が大② 大ラジアル荷重③ 円錐ころの場合、2個

組合わせにより大アキシアル荷重が可能

(4)円すいころ軸受

1. 転動体=円すい台形のころ2. 内輪・外輪の軌道面及びころの円すい頂点が軸受中心上の一点に集まる

3. 内輪の大つばによって案内される4. ラジアルと一方向のアキシアル荷重を受けられる5. 荷重により、アキシアル分力が生じるので、通常2

個の軸受を対向させて使用するか、複列軸受として使用する必要がある

6. 予圧調整が必要7. 分離形のために、内輪と外輪とを別々に取り付けられる

特徴:一点に集まる

① ころ軸受の一種。② 負荷荷重の方向によってラジアル軸受とスラスト軸受とに分けられる。③ 通常、内輪がなく、内・外輪両方がないものもあるので、設計上省スペース。

(5)針状ころ軸受(別名:ニードルベアリング)

特徴:

(6)スラスト玉(ころ)軸受

① 軸方向の大きなアキシアル荷重が受けられる。② ラジアル荷重は受けることができない。

特徴:

(7)自動調心軸受

① 外輪の軌道面が球面で、曲率中心が軸受中心と一致している。そのため、内輪、玉、保持器の軸が、軸受中心の周りを自由に回転できるという調心性がある。

② 接触角が小さいため、アキシアル荷重の負荷容量が高くない。③ 許容調心角=約0.07~0.12ラジアン(4~7度)(普通荷重)。ただし、軸受

周りの取付関係寸法によっては、この調心角度が許容できない場合もある。

適用範囲: (1)軸とハウジングの芯合わせが難しい場合(2)軸がたわみやすい場合

特徴:

2.軸受の接触角、力の作用点と作用点間の距離(アンギュラ玉軸受と円すいころ軸受の場合)

曲げモーメントに強い

曲げモーメントに弱い

作用点

𝜶=接触角𝒍 =作用点間の距離

𝒍 𝒍

背面組合わせDB

正面組合せDF

並列組合せDT

3.軸受の潤滑目的と方法

目的:転がり面及び滑り面に薄い油膜を形成させ,金属同士の直接接触を防ぐことにより,次の効果が得られる。(1)摩擦及び摩耗の軽減 (2)摩擦熱の排出(3)軸受寿命の延長 (4)さび止め(5)異物の浸入防止

以上の効果を発揮させるために、以下の工夫が必要(1)使用条件に適した潤滑方法の選定(2)良質な潤滑剤の選定(3)適切な潤滑剤の量の使用(4)外部からの異物浸入防止対策(5)潤滑剤の漏れ防止対策(適切な密封構造の設計)

〔油浴潤滑〕

1. 最も一般的な方法

2. 低・中速の回転速度で広く使用されている

3. 油面はオイルゲージで管理される

潤滑方法(1):

オイルゲージ

〔飛沫給油〕

軸に取り付けた羽根などで,油を飛沫状にして給油する方法。相当高速まで使用可能。

潤滑方法(2):

羽根

〔ディスク給油〕

軸に取り付けたディスクの一部を油面に浸し、はね上げられた油が軸受を潤滑する方法。

潤滑方法(3):

ディスク

〔滴下給油〕

1. 上部にオイラを備え,油滴をハウジング内で回転体に衝突させ、霧状にして潤滑するか少量の油が軸受を通過するようにする。

2. 比較的高速で中荷重以下の場合に用いる。油量は毎分数滴程度の例が多い。

潤滑方法(4):

〔循環給油〕

1. 軸受を冷却するため、あるいは給油部位が多く、集中・自動給油するときに用いる。

2. 給油系統中にクーラを設け潤滑油を冷却したり,フィルタを使えば潤滑油を清浄に保てるなどの特長がある。

3. 給油された油が確実に軸受を潤滑するよう,油の入口と出口を軸受に対し互いに反対側に設ける。

潤滑方法(5):

油の循環パイプ

〔ジェット潤滑〕

1. 軸受の側面から潤滑油を高速噴射させる方法

2. 高速,高温など過酷な条件での信頼性が高い

3. ジェットエンジンやガスタービンの主軸受などに用いられる

4. 工作機械主軸軸受に使用されるアンダーレース潤滑は,この一種

潤滑方法(6):

ジェット噴射ノズル

〔グリース充填潤滑〕

1. 転がり軸受の潤滑には最も多く用いられている方法(理由:グリ-スの取扱いが容易で,密封装置の設計も簡素化できるため)

2. シ-ルド形の軸受(あらかじめグリ-スを封入した密封形)

3. 開放形軸受(ハウジング及び軸受内部に適量グリ-スを充填し,一定期間ごとに補給又は交換する)

グリ-スの充填量:① グリ-スの充填量はハウジングの設計,空間容積,回転速度,グリ-スの

種類などによって異なる② 充填量の目安は,軸受へは空間容積の30~40%,ハウジングへは空間容

積の30~60%とする③ 回転速度の高い場合や温度上昇を低く抑えたいときには少なめにする④ グリ-ス充填量が多過ぎると、温度上昇が大きくなり,グリ-スの軟化によ

る漏れ,又は酸化などの変質によってグリ-スの潤滑性能の低下を招く

潤滑方法(7):

4.シールド玉軸受非接触形シールド

玉軸受接触形シールド

玉軸受

特徴:(1)ゴム・コンダミの侵入防止(2)グリース封入と保持(3)軸受の長寿命化

5.軸受のすきま

ラジアル内部すきま=δ

図1 軸受内部すきま

表1 測定荷重によるラジアル内部すきま補正量(深溝玉軸受) 単位 μm

表2 CN(普通)すきま以外のすきま適用例

アキシアル内部すきま=δ1+δ2

6.軸受の止め方

小R法 ぬすみ穴法

面取り

スナップリング

ナット

軸受角部Rと軸やハウジング隅部Rの関係軸受の止め方

1. 軸は2個の軸受でラジアル方向及びアキシアル方向に支えられている。

2. 軸とハウジングとの相対的なアキシアル方向の移動を固定している側を固定側軸受,移動を可能にしている側を自由側軸受と呼ぶ。これによって温度変化による軸の伸縮を逃がし,かつ軸受の取付間隔の誤差を吸収することができる。

固定側 自由側左側軸受

左側軸受

左側軸受

左側軸受

右側軸受

右側軸受

右側軸受

右側軸受

7.軸受のはめあい

表1 ラジアル荷重の性質とはめあい

内輪回転荷重

外輪静止荷重

内輪静止荷重

外輪回転荷重

内輪:しまりばめ

外輪:すきまばめ

外輪:しまりばめ

内輪:すきまばめ

内輪回転

外輪静止

内輪静止

外輪回転

内輪回転

外輪静止

内輪静止

外輪回転

静止荷重

不釣合荷重

静止荷重

不釣合荷重

8.軸受の予圧

予圧の定義:一般に軸受は,運転状態でわずかな内部すきまを与えて使用するが,用途によってはあらかじめ荷重を加えて,軸受内部すきまを負の状態にして用いることがある。このような軸受の使い方を予圧法といい,アンギュラ玉軸受,円すいころ軸受に適用される。

予圧の目的:予圧によって,転動体と軌道面との接触点で常に弾性圧縮力を受けている結果,次の効果が得られる。

1. 荷重負荷時にも内部すきまが発生しにくく,剛性が高くなる。2. 軸の固有振動数が高くなり高速回転に適する。3. 軸振れが抑えられ,回転精度及び位置決め精度が向上する。4. 振動及び騒音が抑制される。5. 転動体の公転滑り,自転滑り及び旋回滑りが規制されて,スミアリングが軽

減する。6. 外部振動によって発生するフレッティングを防止する。7. 過大に予圧を加えると,寿命低下,異常発熱,回転トルク増大などを招くの

で用途,予圧の目的をよく考慮して予圧量を決定すべきである。

(1)アンギュラ玉軸受の予圧方法

固定 固定

自由自由

背面合わせ取付け

シムやリングの挿入により予圧を与える

軸受1 軸受2

予圧力

(2)円すいころ軸受の予圧方法

予圧力

予圧力

固定

自由

自由

固定

背面合わせ取付け

正面合わせ取付け

固定

自由 自由

固定

軸受1

軸受1

軸受2

軸受2

(3)予圧量(予圧荷重)

単位:N {kg}表1 組合せアンギュラ玉軸受の標準予圧量

9.軸受材の化学成分と組織写真

(SUJ2:高炭素クロム軸受鋼鋼材)

特徴:(1)耐摩耗性に優れている;(2)低コストで入手できる

種類の記号

C Si Mn P S Cr Mo

SUJ20.95~1.10

0.15~0.35

0.50以下

0.025以下

0.025以下

1.30~1.60

-

焼なまし硬度:HRB:94以下

0.00 0.25 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.75 2.00 2.25200

300

400

500

600

700

800

Bush hole surface in cycloidal gear

Har

dnes

s M

HV

Depth from bush hole surface mmDepth from the race surfaceH

ard

ness M

HV

高周波焼き入れ処理後の硬さ

球状化炭化物

転がり直動案内 ボールねじ

10. 軸受に関連する機械要素

スナップリング(止め輪)

1.軸用スナップリングの構造及び使い方

軸に円周溝を切ってはめるタイプである。

2.穴用スナップリングの構造及び使い方

穴に円周溝を切ってはめるタイプである。

3.止め輪の役割

止め輪深溝玉軸受 深溝玉軸受止め輪

軸受の固定に使用

4.止め輪を取り付ける時の様子

5.止め輪の使用例

スナップリングの使用

出典:ナブテスコ(株) 製品カタログ